JP3730820B2 - 下地層付き基板、磁気記録媒体及び磁気記録装置 - Google Patents

下地層付き基板、磁気記録媒体及び磁気記録装置 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高密度記録に適した磁気記録媒体及び磁気記録装置に関し、特に、磁性層の極めて微小な領域にビット情報を記録することができる磁気記録媒体、その製造に用いられる磁気記録媒体用基板及び磁気記録媒体を装着した磁気記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の高度情報化社会の進展にはめざましいものがあり、各種形態の情報を取り扱うことができるマルチメディアが急速に普及してきている。マルチメディアの一つとしてコンピュータ等に装着される磁気記録装置が知られている。現在、磁気記録装置は、記録密度を向上させつつ小型化する方向に開発が進められている。
【0003】
磁気記録装置の高記録密度化を実現するために、(1)磁気記録媒体と磁気ヘッドとの間隔を狭めること、(2)磁気記録媒体の保磁力を増大させること、(3)信号処理を高速化すること、(4)熱揺らぎの小さい磁気記録媒体を開発することなどが要望されている。
【0004】
ところで、磁気記録媒体は基板上に磁性粒子が集合してなる磁性層を有しており、磁気ヘッドによりいくつかの磁性粒子がまとまって同方向に磁化されることによって情報が記録される。それゆえ、高密度記録を実現するには磁性層の保磁力の増大に加え、この磁性膜中で一度に同方向に磁化され得る最小面積、即ち磁化反転が生じ得る単位面積を小さくする必要がある。磁化反転単位面積を小さくするには、個々の磁性粒子を微細化するか、あるいは磁化反転単位を構成する磁性粒子数を減らすことが必要である。例えば、20Gbits/inch(3.10Gbits/cm)を超える記録密度を達成するためには、磁性粒子径を10nm以下に制御することが必要とされている。また、磁性粒子を微細化する際に粒子径のばらつきを低減するとともに、熱揺らぎを小さくする対策も必要となってきている。これらを実現する試みとして、例えば、米国特許第4,652,499号に開示されているように、基板と磁性層との間にシード膜を設けることが提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の基板上にシード膜を介して磁性層を設ける方法では,磁性層における磁性粒子径およびその分布を制御するには限界があった。例えば、粒子径10nm前後の磁性層の磁性粒子を得るために、シード膜材料、成膜条件、シード膜の構造などを調整しても、粒子径分布はブロードであり、10nmの2倍程度に粗大化した粒子や、逆に、10nmの1/2程度に微細化した粒子がかなり混在していた。磁性粒子中、平均より大きな粒子径の磁性粒子は、記録/再生の際にノイズの増大を引き起こし、平均より小さな粒子径の磁性粒子は、記録/再生の際に熱揺らぎを増大させることになる。また、様々な大きさの磁性粒子が混在する結果、磁化反転の起きた領域と起きていない領域との境界線は全体として粗いジグザグのパターンを呈し、このこともまたノイズ増大の一因となっていた。さらに、従来の磁気記録媒体の磁性層における磁化反転単位を構成する磁性粒子数は、5〜10個分と比較的多かった。
【0006】
そこで、本発明の第1の目的は、微細化された磁性粒子から構成された磁性層を有する磁気記録媒体、その磁気記録媒体を製造するための基板及びその磁気記録媒体を装着した磁気記録装置を提供することにある。
【0007】
本発明の第2の目的は、磁性粒子径のばらつきが抑制された磁気記録媒体、その磁気記録媒体を製造するための基板及びその磁気記録媒体を装着した磁気記録装置を提供することにある。
【0008】
本発明の第3の目的は、磁性粒子の結晶配向性が所望の配向性に制御された磁気記録媒体、その磁気記録媒体を製造するための基板及びその磁気記録媒体を装着した磁気記録装置を提供することにある。
【0009】
本発明の第4の目的は、磁化反転単位の小さい磁気記録媒体、その磁気記録媒体を製造するための基板及びその磁気記録媒体を装着した磁気記録装置を提供することである。
【0010】
本発明の第5の目的は、低ノイズ、低熱揺らぎ及び低熱減磁であり、且つ高密度記録に適した磁気記録媒体、その製造に用いられる基板及びその磁気記録媒体の磁気記録装置を提供することにある。
【0011】
本発明の第6の目的は、20Gbits/inch、望ましくは40Gbits/inchを超える超高密度記録が可能な磁気記録媒体を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の態様に従えば、下地層付き基板であって、
剛性を有する基板と;
上記基板上に形成された第1下地層と;
第1下地層上に形成された第2下地層と;を備え、
第2下地層は、酸化コバルト、酸化クロム、酸化鉄及び酸化ニッケルからなる群から選ばれた少なくとも1種類の酸化物から実質的に構成される六角形状の結晶粒子と、該結晶粒子を取り囲む酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化タンタル及び酸化亜鉛からなる群から選ばれた少なくとも1種類の酸化物を含む結晶粒界部とから構成され、該結晶粒子が基板面に平行な面内においてハニカム状に配列した構造を有することを特徴とする下地層付き基板が提供される。
【0013】
本発明者らは、非磁性層基板と、該基板上に形成され、酸化コバルト、酸化クロム、酸化鉄あるいは酸化ニッケルの内より選ばれた少なくとも1種類からなる結晶質の第1酸化物と、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化タンタルあるいは酸化亜鉛の内より選ばれた少なくとも1種類からなる第2酸化物とを有し、第1酸化物の結晶粒子の粒界に第2酸化物が存在する無機化合物膜と、該無機化合物膜上に形成された磁性膜とを有することを特徴とする磁気記録媒体を特願平11−1667号において開示した。この磁気記録媒体では、無機化合物膜を構成する第1酸化物の結晶粒子がハニカム構造を有している。そして、無機化合物膜上に形成される磁性層の磁性粒子は第1酸化物の結晶粒子からエピタキシャル成長するために、磁性層の磁性粒子もまたハニカム構造を有している。このため、磁性膜の結晶粒子を微細化するとともに粒子径を揃えることが可能となり、それにより低ノイズで、熱揺らぎが低減された磁気記録媒体が実現されている。
【0014】
しかしながら、本発明者の実験によると、上記磁気記録媒体において、非磁性層基板上に無機化合物膜を形成するときに非磁性層基板上に最初に発生する初期成長層は規則的な構造を持たない微結晶の集まりであり、規則的なハニカム構造が無機化合物膜に現れるまで無機化合物膜をある程度の膜厚、例えば、30nm以上に成長させる必要があることがわかった。本発明では、無機化合物膜に相当する第2下地層と基板との間に第1下地層を設けることにより、すなわち、磁性層の下地層を2層構造とすることにより、前記初期成長層の生成を実質的に抑制することに成功した。これにより、下地層全体の厚さ、さらには磁気記録媒体の厚さを薄くすることができ、成膜工程を短縮化し、製造コストを下げることができる。また、第1下地層を設けることにより基板と磁性層との密着性が増すという効果もある。
【0015】
さらに第1下地層を基板と第2下地層との間に設けることにより、第2下地層が第1下地層の結晶構造及び/または第1下地層の表面のモフォロジーを反映して成長することがわかった。このため、第1下地層なしで第2下地層を基板上に成長させた場合には、第2下地層の結晶粒子径分布の標準偏差σが平均粒子径の10%以下であるのに対して、本発明の場合では第2下地層の結晶粒子径分布の標準偏差σを平均粒子径の8%以下にすることができた。また、第2下地層の一つの結晶粒子を取り囲んでいる粒子の数(以下、配位粒子数と呼ぶ)は、6.0に近いほどハニカム構造の規則性が高いといえるが、第1下地層を設けることにより6.0に一層近い配位粒子数を得ることができた。すなわち、第1下地層を基板上に形成することにより第2下地層の粒度分布及び配位粒子数を制御することができ、さらには、第2下地層上に形成される磁性層の磁性粒子もまた一層均一な粒径及び構造で形成することができることを見出した。それゆえ、本発明の下地層付基板を用いれば、低ノイズ、低熱揺らぎ、低熱減磁であり、しかも高密度記録に適した磁気記録媒体を製造することができる。
【0016】
本明細書の「酸化コバルト、酸化クロム、酸化鉄及び酸化ニッケルからなる群より選ばれた少なくとも1種類の酸化物から実質的に構成される六角形状の結晶粒子」において、「実質的に構成される」とは、六角形状の結晶粒子が、酸化コバルト、酸化クロム、酸化鉄及び酸化ニッケルからなる群より選ばれた少なくとも1種類の酸化物のみならず、不純物として、例えば、結晶粒界部に含まれる酸化物又はそれを構成する元素を数%程度含んでもよいことを意味する。
【0017】
本発明において、第1下地層として非晶質膜または結晶質膜を用い得る。非晶質膜を用いる場合は、非晶質膜は、
(1)ハフニウム、チタン、タンタル、ニオブ、ジルコニウム、タングステン及びモリブデン並びにこれらの少なくとも一種の元素を含む合金からなる群から選ばれた金属;
(2)コバルトを主体として、チタン、タンタル、ニオブ、ジルコニウム及びクロムからなる群より選ばれる少なくとも1種類の元素を含むコバルト合金;または、
(3)窒化ケイ素、酸化ケイ素及び酸化アルミニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種類の無機化合物を用い得る。無機化合物を用いる場合には、さらに、ハフニウム、チタン、タンタル、ニオブ、ジルコニウム、クロム及びアルミニウムからなる群から選ばれた少なくとも1種類の金属を含ませてもよい。これらの材料を用いることにより、第2下地層を第1下地層上から、微結晶の集まりである初期成長層を実質的に成長させずに、一層良好にエピタキシャル成長させることができる。
【0018】
一方、第1下地層として結晶質膜を用いる場合には、結晶質膜は、クロム、クロム合金、バナジウム及びバナジウム合金からなる群より選ばれた少なくとも一種から構成することができる。この場合、合金は、チタン、タンタル、アルミニウム、ニッケル、バナジウム及びジルコニウムからなる群から選ばれた少なくとも1種類の元素を含み得る。これらの元素を添加することにより、結晶質のクロムまたはバナジウムの格子定数を制御して、第1下地層上に形成する第2下地層の結晶構造を精密に制御することができる。
【0019】
第1下地層が結晶質膜の場合には、hcp(Hexagonal Closest Packing、六方最密充填)又はbcc(Body−Centered Cubic、体心立方)構造が最も好ましい。この構造は磁性層の結晶構造と同一あるいは類似した構造であり、下地層の結晶粒子上から磁性層の磁性粒子のエピタキシャル成長を促進できるためである。本発明者の知見によると、第2下地層は、第1下地層の結晶構造及び/または第1下地層の表面のモフォロジーを反映して成長することがわかっている。従って、第1下地層の結晶構造は、その上に形成しようとする第2下地層の結晶構造を考慮して適宜選択することが好ましい。
【0020】
本発明の下地層付き基板において、第2下地層は、酸化コバルト、酸化クロム、酸化鉄あるいは酸化ニッケルからなる群から選ばれる少なくとも1種類の酸化物を結晶粒子として含む。そして、結晶粒子の周囲を取囲む粒界部は、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化タンタル及び酸化亜鉛からなる群から選ばれる少なくとも1種類の酸化物から構成されている。
【0021】
第2下地層は、基板面に平行な面内では、図2に示すように、1つの結晶粒子の形状が正六角形であり、第2下地層の基板面に垂直な断面ではその結晶粒子が上方に柱状に成長している構造を有する。特に、第2下地層の成長とともに結晶粒子の柱状の断面は扇状に広がることなく、粒界部の幅が均等な構造を有している。したがって、一つが正六角柱をなす結晶粒子の集合体は、正六角柱が規則的に配列したハニカム構造を形成している。数学的には、近似的ではあるがフラクタル性を有し、群論を用いても表現することができる。第2下地層において、一つの正六角形の結晶粒子の周囲を平均5.8〜6.2個の粒子が取り囲み得る。
【0022】
実施例に示したように、第2下地層中に析出している粒子及びその粒界部は、X線回折法による解析により、それぞれ、結晶質及び非晶質であることがわかった。その結晶粒子径分布の標準偏差σは平均粒子径の8%以下であり、しかも、粒子径分布が正規分布であるなどその構造の規則性は非常に高い。また、第2下地層中の結晶粒子は、強い結晶配向を持っている。それゆえ、このような構造の第2下地層上に磁性層を形成させることにより、後述するように、ハニカム構造の結晶粒子部分から、例えば、強磁性で且つ結晶配向した磁性粒子を成長させることが可能となり、一方、ハニカム構造の結晶粒界部からは非磁性の境界部分を成長させることが可能となる。
【0023】
第1下地層及び第2下地層は、マイクロ波による共鳴放電を利用するECR(Electron Cyclotron Resonance)スパッタ法により行うことが好ましい。このスパッタ法は、バイアス電圧のかけ方により、ターゲット粒子の運動エネルギーを揃えることができ、かつそのエネルギーをより精密に制御できる。特に、ECRスパッタ法を用いて第2下地層を形成をすることにより、特に複雑なスパッタ条件を必要とせずに、所望の結晶配向及び良好なハニカム構造の膜が得られる。
【0024】
第1下地層の膜厚は2nm〜50nmが好ましい。第1下地層の膜厚が2nm未満であると第1下地層を設けた効果が期待できず、50nmを超えると下地層全体の厚さを増し成膜に時間がかかる。第2下地層の膜厚は3nm〜100nmが好ましい。第2下地層の膜厚が3nm未満であると、下地層上から磁性層の良好なエピタキシャル成長が起こりにくくなり、100nmを超えると下地層全体の厚さが増し成膜に時間がかかる。第1及び第2下地層全体の膜厚は、3nm〜100nmであることが好ましい。また、結晶粒子の間隔(結晶粒界部の幅)は、下地層上に形成した磁性層において、磁性粒子間の磁気的相互作用を遮断するのに十分であり、形成された磁性膜のかさ密度を適切にするとともに記録密度を向上するという理由から0.5nm〜2nmが望ましい。
【0025】
本発明の第2の態様に従えば、磁気記録媒体であって、
剛性のある基板と;
上記基板上に形成された第1下地層と;
第1下地層上に形成された第2下地層と;
第2下地層上に形成され、情報が記録される磁性層と;を備え、
第2下地層は、酸化コバルト、酸化クロム、酸化鉄及び酸化ニッケルからなる群から選ばれた少なくとも1種類の酸化物から実質的に構成される六角形状の結晶粒子と、該結晶粒子を取り囲む酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化タンタル及び酸化亜鉛からなる群から選ばれた少なくとも1種類の酸化物を含む結晶粒界部とから構成され、該結晶粒子が基板面に平行な面内においてハニカム状に配列した構造を有することを特徴とする磁気記録媒体が提供される。
【0026】
上述のように、第2下地層の基板面に平行な面内では、1つの結晶粒子の形状が正六角形であり、第2下地層の基板面に垂直な面ではその結晶粒子が上方に柱状に成長しているハニカム構造を有する。この第2下地層の上に形成した磁性層は、この第2下地層の構造を反映して同様のハニカム構造を有している。さらに、第2下地層中の結晶粒子上から、磁性層中の磁性粒子が連続してエピタキシャル成長している。従って、第2下地層のハニカム構造を適宜調整することにより、その上に所望の粒子径及び結晶配向性の磁性粒子を成長させることが可能となる。すなわち、第2下地層は、磁性層の粒子径、粒子径分布及び結晶配向性を制御する働きをする。一方で、前述のように第2下地層は第1下地層によりその粒子径、粒子径分布及び結晶配向性が制御されることになる。
【0027】
磁性層において、磁性層の磁性粒子は、第2下地層のハニカム構造の結晶粒子から成長させることができ、一方、第2下地層のハニカム構造の粒界部からは非磁性の境界部を成長させることができるため、磁性粒子が互いに磁気的に分離された構造をもたらすことができる。これにより、記録及び再生の際の磁化反転単位を、例えば、磁性粒子2〜3個に低減することができ、超高密度記録が可能となる。また、磁性膜における隣接する記録磁区の境界部がジグザグパターンになることを防止して、ノイズを低減することができる。
【0028】
第2下地層及び磁性層において、結晶構造が一致しているかあるいは類似していることが好ましい。具体的には、ECRスパッタ法により形成した第2下地層中で析出している結晶粒子及び磁性層中の磁性粒子の個々の粒子形状、粒子径、ハニカム構造などが等しく、且つ、第2下地層の結晶粒子の格子定数に対する第2下地層の結晶粒子と磁性層の磁性粒子の格子定数の差の割合が±10%以内であることが望ましい。これにより、第2下地層の結晶粒子から磁性層の磁性粒子をエピタキシャル成長させる場合に、第2下地層及び磁性層の接面の正六角形の結晶格子の整合性を確保することができる。この接面における格子定数の差が±10%を超える場合、第2下地層と磁性層の間に、格子面のずれを調整するための層を一層あるいは複数層設けてもよい。
【0029】
従来、磁性粒子間の磁気的な相互作用を低減するには、非磁性元素を結晶粒子中の結晶粒界近傍に偏析させていた。しかしながら、本発明では、第2下地層の正六角形の結晶粒子を取り囲む粒界部に対応させて磁性層中に非磁性の部分を成長させることによって磁性粒子間の時期的相互作用を低減している。この場合、第2下地層の結晶粒子間の距離が0.5nm〜2nmになるように制御し、この構造を反映させて磁性層をエピタキシャル成長させることにより、そのような間隔の非磁性の部分を磁性層にもたらすことができる。エピタキシャル成長した磁性粒子部分は強磁性であり、高密度記録に適した結晶配向を有する。一方で、その磁性粒子を取り囲む粒界部は非晶質で非磁性を示し、ランダム配向になるため、磁性粒子同士を磁気的に独立させることができる。これにより、磁気記録媒体の磁区のサイズを磁性粒子サイズにまで微細化することが可能となる。
【0030】
上記磁性粒子は、コバルトを主体とした合金が好ましい。コバルト合金として、例えば、コバルトを主体とし、これにクロム、白金、タンタル、ニオブ、チタン及びケイ素からなる群から選ばれる少なくとも2種類の元素を含む合金から構成され得る。また、磁性粒子の境界部は、クロム、タンタル、ニオブ、チタン、ケイ素からなる群から選ばれる少なくとも1種類の元素を含み且つ多結晶質から構成され得る。
【0031】
磁性層として、結晶質相と非晶質相の二相から構成されるグラニュラ構造の磁性膜を用いても良く、この場合、結晶相がコバルトを主体とし、これにネオジウム、プラセオジウム、イットリウム、ランタン、サマリウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホロミウム、白金、パラジウムの内より選ばれる少なくとも1種類の元素を含んでおり、非晶質相として酸化ケイ素、酸化亜鉛、酸化タンタル、酸化アルミニウムの内より選ばれる少なくとも1種類の化合物が結晶粒子を取囲むように存在し得る。
【0032】
第2下地層上に磁性層を形成する方法として、ECRスパッタ法を用いるのが好ましい。ECRスパッタ法を用いることにより、第2下地層の結晶粒子径を反映するように、磁性層の磁性粒子径及び粒子径分布を良好に制御することができる。
【0033】
本発明の第3の態様に従えば、本発明の第2の態様に従う少なくとも一つの磁気記録媒体と;
上記磁気記録媒体に情報を記録または再生するための磁気ヘッドと;
上記磁気記録媒体を上記磁気ヘッドに対し駆動するための駆動装置と;を含む磁気記録装置が提供される。
【0034】
本発明の磁気記録装置は、本発明の磁気記録媒体を装着しているので、画像や音声、コードデータなどの情報を、低ノイズで高密度記録することができる。
【0035】
【発明の実施の形態】
本発明の2層からなる下地層付き基板、磁気記録媒体、及び磁気記録装置の実施の形態を以下の実施例を用いて具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0036】
【実施例1】
本実施例では、図1に示すように、基板1上に、第1下地層2、第2下地層3、磁性層4、及び保護層5をこの順で備えた磁気ディスク10を製造する方法、並びに得られた各層及び磁気ディスクの測定結果について説明する。2層からなる下地層として、第1下地層に非晶質材料であるHf薄膜、第2下地層にCoO−SiOを用いた。
【0037】
(1)第1下地層及び第2下地層の形成
直径2.5inch(6.25cm)のガラス基板1上に、第1下地層2としてHf膜をECR(Electron Cyclotron Resonance)スパッタ法により形成した。スパッタガスとしてArを用い、スパッタ時のガス圧は3mTorr(約399Pa)であった。投入マイクロ波電力は1kWであった。また、マイクロ波により励起されたプラズマをターゲット方向に引き込むために、500VのDCバイアス電圧をターゲットに印加した。このECRスパッタにより膜厚3nmのHf膜を形成した。
【0038】
次いで、第2下地層3として、CoO−SiO膜をECRスパッタ法により形成した。ターゲットにはCo−Si合金を用いた。スパッタガスとしてAr−O混合ガスを使用して、反応性スパッタを行った。スパッタ時のガス圧は3mTorr、投入マイクロ波電力は1kWである。また、マイクロ波により励起されたプラズマをターゲット方向に引き込むために、500WのRFバイアス電圧をターゲットに印加した。形成したCoO−SiO膜の膜厚は、20nmであった。
【0039】
(2)第1下地層及び第2下地層の観察及び測定
1)第1下地層のSEM及びX線回折法による観察
Hf膜2形成後に、この膜を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察したところ、非常に平坦であり、しかもピンホールなどの欠陥は存在していないことがわかった。また、X線回折法により、Hf膜の結晶性を解析したが、Hf膜は非晶質であった。
【0040】
2)第2下地層の組成測定並びにTEM及びμ―EDXによる観察
Hf膜上に形成したCoO−SiO膜の組成は、蛍光X線を用いたCoとSiの定量分析によりCoOとSiOが2:1の割合であることが分かった。
【0041】
このCoO−SiO膜3の平面構造を高分解能透過型電子顕微鏡(TEM)により明視野で観察した。観察した像の概略を図2に示す。図に示すように、このCoO−SiO薄膜は正六角形の結晶粒子12の集合体であり、結晶粒子12は互いに結晶粒界部14を介して二次元に規則的に配列していた。次いで、この薄膜の断面を観察したところ、この正六角形の結晶粒子12は基板面に対して垂直方向に柱状の構造が成長していることが観察された。即ち、CoO−SiO膜全体がハニカム構造を有していることが分かった。また、この柱状構造は、その成長方向において均一な粒子径でエピタキシャル成長していることが分かった。
【0042】
極微小領域のエネルギー分散型X線分析(μ−EDX分析)によると、CoO−SiO膜における結晶粒子12及び結晶粒界部14を分析したところ、結晶粒子12はCoOであり、結晶粒界部14はSiOであった。結晶粒子間の距離、即ち、結晶粒界部14の幅は、0.5〜1.0nmであった。
【0043】
また、CoO−SiO膜の格子像観察を行ったところ正六角柱の結晶粒子内部は結晶質であり、結晶粒界部は非晶質であることがわかった。格子定数を求めたところ、コバルトの値にほぼ等しい値であった。
【0044】
ここで、SiOは、構造に規則性を持たせる重要な役割を有しており、形成する結晶粒子の間隔を決定している。この間隔は、ターゲットの組成(CoとSiの比、あるいはCoOとSiOの比など)、即ちSiO濃度を変化させることにより、所望の値を容易かつ任意に選択することができる。しかし、SiO濃度を低くすると、粒子間隔は狭くなる(結晶粒子どうしが接近する)と同時に、粒子形状に乱れが観測され、逆にSiOが多量に存在すると、CoOの析出成長が抑制されるため2nm以上とすることは困難である。適当な結晶粒子間隔範囲は0.5〜2nmであり、これを実現するようSiO濃度の制御を行った。
【0045】
TEMの観察結果より、CoO−SiO膜の結晶粒子径(正六角形の対辺の間隔)、その分布、及び1つの結晶粒子の周囲を取り囲んで位置している粒子数(以下、配位粒子数と呼ぶ)を解析した。まず、結晶粒子径について、ランダムに選択した一辺が200nmの正方形の領域に存在する粒子を調べたところ、平均粒子径は10nmであった。粒子径分布は正規分布をしており、標準偏差(σ)を求めると0.5nmであった。配位粒子数は、300個の結晶粒子について調べたところ、平均6.01個であった。このことは、結晶粒子の粒径のばらつきが少なく、基板面に平行な面内で結晶粒子の正六角形がハニカム状に極めて規則的に配列していることを示している。
【0046】
CoO−SiO層及びHf層の界面近傍の構造について、格子像観察により詳細に調べた。それによると、Hf層上から上述のハニカム状の結晶粒子が成長しており、後述する比較例で見られるような、微結晶の集合体でありハニカム構造を形成しない初期成長層は観察されなかった。
【0047】
3)第2下地層のX線回折法による観察
CoO−SiO薄膜の結晶構造をX線回折法により解析した。得られたプロファイルを図3に示す。これによると、2θ=62.5°付近にCoOの(220)の回折ピークが現れているが、この他のピークは観測されなかった。このことは、CoOが薄膜中で一方向にのみ結晶配向していることを示している。この結晶構造は、後述するように成膜条件や組成の制御によって変化させることが可能である。
【0048】
(3)磁性層の形成
上記のように形成した第2下地層3の上に、DCスパッタ法により磁性層4として、Co69Cr19Pt12膜を形成した。ターゲットにはCo−Cr−Pt合金を、スパッタガスにはArをそれぞれ使用した。Co69Cr19Pt12膜の形成中は、基板を300℃に加熱した。スパッタ時のArガス圧は3mTorr、投入DC電力は1kW/150mmφであった。こうして膜厚15nmのCo69Cr19Pt12膜4を形成した。
【0049】
(4)磁性層の観察
1)磁性層のTEMによる観察
上述のように形成したCo69Cr19Pt12膜の構造をTEMにより観察した。それによると、第2下地層のハニカム構造を反映して、Co69Cr19Pt12膜もハニカム構造を有していることがわかった。Co69Cr19Pt12膜の平面観察から得られた像を用いて、粒子径を求めたところ、平均粒子径は10nmであり、粒子径分布におけるσは0.7nmであった。このように、磁性層4の粒子は微細化しており、かつ、粒子径分布が小さく、第2下地層3と同一の形態の膜が得られたことがわかる。次に、一つの磁性層粒子に配位する配位粒子数を求めた。300個の磁性粒子について調べたところ、平均配位粒子数は6.01個で、先の第2下地層のCoO−SiO層における配位粒子数と一致していた。このことは、磁性粒子が、第2下地層から上方に正六角柱状に連続して成長し、基板面と平行な面において、図2に示したように正六角形が規則的に配列した構造(ハニカム構造)を有していることを示している。
【0050】
また、格子像観察及び後述するX線回折の結果によりCo69Cr19Pt12膜中の磁性粒子は結晶質であり、一方、磁性粒子(結晶粒子)間の境界部は、多結晶体であることが分かった。ここで、結晶質の磁性粒子は第2下地層であるCoO−SiO膜の正六角形の結晶粒子上から成長しており、多結晶体の磁性粒子間の境界部は、CoO−SiO膜の結晶粒界部に対応していることが分かった。即ち、CoO−SiO膜とCo69Cr19Pt12膜との間には、結晶格子のつながりが見られ、Co69Cr19Pt12膜の磁性粒子はCoO−SiO膜のCoO部分からエピタキシャル成長していることが分かった。
【0051】
Co69Cr19Pt12膜中の磁性粒子の境界部(多結晶体)は、磁性粒子部分と異なり、非磁性体としての挙動を示す。この境界部は、磁性粒子間に、0.5〜1.0nmの幅で存在しているため、隣り合う磁性粒子間の磁気的相互作用は弱められる。したがって、個々の磁性粒子(結晶粒子)が記録・消去時の磁化反転に際し独立して挙動しやすくなり、磁化反転単位をなす磁性粒子数即ち磁性膜面積を小さくすることが可能となった。
【0052】
2)磁性層のX線回折による観察
Co69Cr19Pt12膜を形成した後の積層体のX線回折プロファイルを図4に示す。2θ=62.5°付近の第2下地層のピークに加えて、2θ=72.5°付近に弱いピークが観測された。TEM観察結果と合わせて考えると、2θ=72.5°付近のピークは磁性層中のCoの(11.0)であることが分かる。Coの(11.0)はよく知られているように高密度記録のために要求されている結晶配向である。即ち、磁性層中の結晶粒子においてはCoがこの方向に強く配向しており、所望の結晶配向が磁性層において実現できたことを示している。
【0053】
3)磁性層の磁気特性の測定
このCo69Cr19Pt12膜の磁気特性を測定した。得られた磁気特性は、保磁力が3.5kOe、Isvが2.5×10−16emu、M−Hループにおけるヒステリシスの角型性の指標であるSが0.8、Sが0.86であり、良好な磁気特性を有していた。このように、角型性を示す指標が大きい(角型に近い)のは、磁性層が、第2下地層であるCoO−SiO薄膜の結晶粒子及び結晶粒界部をそれぞれ反映した構造に成長し、この結果、磁性粒子間の相互作用が低減された構造が得られたためである。
【0054】
(5)保護層の形成
最後に、ECRスパッタ法を用いて保護層5としてのカーボン膜を5nmの膜厚に形成した。スパッタガスとしてArを、ターゲットとしてリング状カーボンターゲットをそれぞれ用いた。スパッタ時のガス圧は3mTorr、投入マイクロ波電力は1kWであった。また、マイクロ波により励起されたプラズマをターゲット方向に引き込むために500VのDCバイアス電圧をターゲットに印加した。
【0055】
ECRスパッタ法を用いることにより、RFスパッタ法やDCスパッタ法に比べて緻密でかつピンホールフリーな膜が得られることが分かった。こうして図1に示した構造の磁気ディスク10を得た。
【0056】
(6)磁気ディスクの評価
さらに、上述のように形成した保護膜5の上に潤滑剤を塗布して磁気ディスク10を完成させた。同様のプロセスにより複数枚の磁気ディスクを作製し、それらを磁気記録装置に組み込んだ。磁気記録装置の概略構成を図5及び図6に示す。図5は磁気記録装置60の上面の図であり、図6は、図5の破線A―A’における磁気記録装置60の断面図である。記録用磁気ヘッドとして、2.1Tの高飽和磁束密度を有する軟磁性膜を用いた薄膜磁気ヘッドを用い、再生のために巨大磁気抵抗効果を有する磁気ヘッドを用いた。記録用磁気ヘッド及び再生用磁気ヘッドは一体化されており、図5及び図6では磁気ヘッド53として示した。この一体型の磁気ヘッド53は磁気ヘッド用駆動系54により制御される。複数の磁気ディスク10は、回転駆動系51のスピンドル52により、同軸回転される。磁気ヘッド面と磁気ディスク10との距離は15nmに保った。このディスクに40Gbits/inchに相当する信号を記録して、ディスクのS/Nを評価したところ、32dBの再生出力が得られた。
【0057】
ここで、磁気力顕微鏡(MFM)により、情報記録時の磁化反転単位を測定した。1ビットのデータを記録する際に印加した記録磁界に対して磁性粒子2から3個が一度に磁化反転した。これは、従来の磁化反転単位5から10個に比べて十分に小さい。これに伴い、隣接する磁化反転単位の境界に相当する部分(ジグザグパターン)も従来の磁気ディスクより著しく小さかった。これは、磁性粒子が微細化し、磁化反転単位も小さくなったため、磁化反転領域の境界線が滑らかになったことを示している。また、熱揺らぎや熱による減磁も発生しなかった。これは、Co69Cr19Pt12膜の結晶粒子径の分布が小さいことによる効果である。また、このディスクの欠陥レートを測定したところ、信号処理を行わない場合の値で、1×10−5以下であった。
【0058】
本実施例では、第1下地層にハフニウムを用いたが、これ以外に、コバルトを主体としてこれにチタン、タンタル、ニオビウム、ジルコニウム、クロムの内より選ばれる少なくとも1種類の元素を含む合金薄膜、あるいは窒化ケイ素、酸化ケイ素、酸化アルミニウムの内より選ばれる少なくとも1種類の無機化合物薄膜のいずれを用いてもよい。この場合も、第2下地層のハニカム構造を第1下地層から成長させることができることを確認した。特に、コバルトを主体とした合金としては、Co−Ta−Zr,Co−Nb−Zr,Co−Ti−Zr,Co−Cr−Zr,Co−Nb,Co−Ta,Co−Ti,Co−Nb,Co−Zr,Co−Crなどを用いることができる。このときコバルト合金を非磁性にするために、30%程度の添加元素を含ませることができる。
【0059】
第2下地層の結晶相に用いる物質として酸化コバルト(CoO)を用いた例を述べたが、酸化クロム、酸化鉄あるいは酸化ニッケルを用いても、酸化コバルトと同様に正六角柱の結晶粒子が得られる。また、結晶粒界部の物質として酸化ケイ素(SiO)を用いたが、これ以外に、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化タンタルあるいは酸化亜鉛を用いても、酸化ケイ素と同様に結晶粒子を均一に隔てる結晶粒界部が得られた。ここで、酸化ケイ素と酸化亜鉛の混合物を用いると、混合比により結晶粒子間隔を制御することができる。
【0060】
第2下地層の格子定数は、成膜条件を調節することにより、さらには、CoOにイオン半径の異なる金属(例えば、クロム、鉄、あるいはニッケルなど)又はこれらの酸化物を添加することで制御することができる。
【0061】
第2下地層であるCoO−SiO膜の形成において、本実施例ではターゲットとして、Co−Si合金を用い、スパッタガスとしてAr−O混合ガスを用いた反応性スパッタを実行した。これ以外に、CoOとSiOを2:1に混合して焼結したものをターゲットに用い、スパッタガスとしてArを用いたスパッタ法を実行してもよい。しかし、実施例で用いた反応性スパッタは、成膜速度が速いので、生産性の点から有利である。
【0062】
また、反応性スパッタにおいて、Co及びSiを各々単独で焼結したものをターゲットに用い、二元同時スパッタにより成膜しても、ハニカム構造を持つ第2下地層が得られる。いずれのスパッタ法においても、スパッタ粒子のエネルギーを精密に制御することが重要であり、ECRスパッタ法を用いることによって精密な制御がより容易となることが分かった。
【0063】
さらに、第2下地層であるCoO−SiO層は、通常のマグネトロンスパッタ法により形成することもできる。ここで、マグネトロンスパッタ法により得られたCoO−SiO膜の構造を解析すると、平均粒子径は10nmであり、粒子径分布は正規分布をしていた。しかし、σは1.2nmであり、粒子径のばらつきが大きかった。また、300個の結晶粒子について調べたところ、配位粒子数は、平均6.30個であり、やや規則性が低下していた。このことから、ECRスパッタ法を用いると、無機化合物膜の構造の規則性は一層改善することがわかる。
【0064】
ECRスパッタ法は、第1下地層であるHf膜についても有効である。DCスパッタ法やRFスパッタ法を用いてHf膜を形成すると、その上に形成したCoO−SiO膜の表面凹凸が増し、かつ、CoO−SiO膜の結晶成長の欠陥が急増した。300個の結晶粒子について調べたところ、配位粒子数は平均6.08個であり、やや規則性が低下した。この上に磁性層を形成することを考えると、磁性層の結晶構造の規則性が低下することは容易に予測できる。したがって第1下地層及び第2下地層形成にはECRスパッタ法がより望ましい。
【0065】
第2下地層であるCoO−SiO膜の膜厚については、形成する膜の性質に大きく影響しない。重要なのは、やはりスパッタ粒子のエネルギー制御であり、CoO−SiO膜の膜厚を5nm程度としても、逆に、100nmと厚くしても、得られた膜の表面および断面の構造、粒子径および粒子径分布などに、膜厚に依存した変化は見られなかった。さらに、成膜初期に、初期成長層も観察されなかった。3nm以下の膜厚では、成膜装置の都合上、CoO−SiO膜を安定して形成することが困難であり、100nm以上では成膜に時間がかかるので製造上の制限がある。この間で適当な膜厚を選べばよい。
【0066】
本実施例では磁性層であるCo69Cr19Pt12膜を形成するためにDCスパッタ法を用いたが、ECRスパッタ法を用いてもよい。ECRスパッタ法では、ピンホールのない膜を形成でき、成膜時に磁性層の受けるダメージを著しく小さくすることができる。特に、40Gbits/inchを超える高密度記録を行う場合、磁性膜厚は10nm以下にする必要がある。この場合、成膜時に磁性膜が受けるダメージの影響はますます大きくなると考えられ、そのような高密度記録用磁性膜の製造を行う場合に、ECRスパッタ法は特に有効な成膜法となる。
【0067】
本実施例では、スパッタガスにArを使用したが、窒素を含むガスを用いてもよい。窒素を含むと、粒子が微細化するために、得られるカーボン膜が緻密化し、保護性能をさらに向上させることができる。
【0068】
【実施例2】
本実施例は、第1下地層及び第二下地層として実施例1で用いた材料とは異なる材料を使用するが、形成する磁気ディスクの構造は、図1に示した構造であり、実施例1と同様である。ここでは、第1下地層に結晶質材料であるCrを、第2下地層にCoO−ZnO膜をそれぞれ用いた。
【0069】
(1)第1下地層及び第2下地層の形成
直径2.5inchのガラス基板上に、第1下地層としてCr膜をECRスパッタ法により形成した。スパッタガスにはArを、ターゲットにはCrをそれぞれ用いた。スパッタ時のガス圧は3mTorrであり、投入マイクロ波電力は1kWであった。マイクロ波により励起されたプラズマをCrターゲットに引き寄せるために、500VのDCバイアス電圧をターゲットに印加した。これらの条件のECRスパッタ法により、第1下地層であるCr膜を3nmの膜厚に形成した。
【0070】
次いで、第2下地層として、CoO−ZnO膜をECRスパッタ法により形成した。ターゲットにはCo−Zn合金を、スパッタガスにAr−O混合ガスをそれぞれ用い、反応性スパッタ法を用いた。スパッタガスの圧力は3mTorr、投入マイクロ波電力は1kWであった。マイクロ波により励起されたプラズマをターゲット方向に引き込むために500WのRFバイアス電圧をターゲットに印加した。このようにして、ECRスパッタ法により、第2下地層であるCoO−ZnO膜を30nmの膜厚に形成した。
【0071】
(2)第1下地層及び第2下地層の観察
1)第1下地層のSEM及びX線回折法による観察
Cr膜形成後に、この膜をSEMにより観察したところ、非常に平坦であり、しかもピンホールなどの欠陥は存在していないことがわかった。また、X線回折により、Cr膜の結晶性を解析したが、Cr膜は結晶質であることが分かった。
【0072】
2)第2下地層のTEMによる観察
Cr膜2上に形成した第2下地層であるCoO−ZnO膜の表面を、TEMにより観察した。観察した像は、実施例1と同様で、正六角形の粒子が規則的に配列していた。CoO−ZnO膜は、対辺の間隔が10nmの正六角形の結晶粒子の集合体であり、この結晶粒子は互いに結晶粒界部を介して存在していた。次に、任意に選んだ1つの結晶粒子の周囲に配位している配位粒子数を求めた。300個の結晶粒子について調べたところ、平均6.01個で、先の実施例1における値と同じであった。このことは、結晶粒子の粒子径のばらつきが少なく、基板に平行な面内で結晶粒子の正六角形がハニカム状に極めて規則的に配列していることを示している。
【0073】
(3)磁性層の形成
上述のように形成した第2下地層であるCoO−ZnO膜上に、磁性層として、Co69Cr17Pt11Ta膜をDCスパッタ法により形成した。ターゲットにはCo−Cr−Pt−Ta合金を、スパッタガスにはArをそれぞれ使用した。スパッタガスのガス圧は、3mTorr、投入DC電力は1kW/150mmφであった。このような条件で、Co69Cr17Pt11Ta膜を10nmの膜厚に形成した。
【0074】
(4)磁性層のX線回折法及びTEMによる観察、スクラッチテスト、並びに磁気特性測定
第2下地層であるCoO−ZnO膜上に、磁性層であるCo69Cr17Pt11Ta膜を形成した後、TEMにより、このCo69Cr17Pt11Ta膜の表面の観察を行った。その結果、CoO−ZnO膜のハニカム構造を反映して、磁性層であるCo69Cr17Pt11Ta膜もハニカム構造を有していることが分かった。Co69Cr17Pt11Ta膜における磁性粒子の平均粒子径は10nmであり、CoO−ZnO膜の結晶粒子径とほぼ同じであった。この磁性粒子の粒子径分布におけるσは0.7nmであった。このように、磁性層の磁性粒子は微細化しており、かつ、粒子径分布が小さいことが分かった。
【0075】
TEMによる断面観察の結果、第2下地層であるCoO−ZnO膜の結晶粒子上から、磁性層であるCo69Cr17Pt11Ta膜の磁性粒子がエピタキシャル成長していることが分かった。この断面では、基板面に対し垂直方向に、CoO−ZnO膜の結晶粒子及びCo69Cr17Pt11Ta膜の磁性粒子が連続して柱状に成長しており、その2層において、正六角形の粒子径及び粒子間の距離(結晶粒界部の幅)は均一であることが分かった。
【0076】
また、スクラッチテストによる結果から、第1下地層及び第2下地層を設けることにより、ガラス基板と磁性層であるCo69Cr17Pt11Ta膜との接着力の向上にも効果があったことが明らかになった。
【0077】
また、Co69Cr17Pt11Ta膜の構造を、X線回折法により解析した。その結果、この磁性層中のCoが(11.0)に強く配向していることが分かった。このほか、非常に弱いが第1下地層のCrのピークが2θ=44.5°付近に観察された。このCoの(11.0)は、高密度記録のために要求されている結晶配向であり、磁性層であるCo69Cr17Pt11Ta膜のCoについて、所望とする結晶配向を実現できたことが分かった。また、実施例1で得られた回折プロファイルと比較すると、同じCoの回折ピークがシャープになっていた。このことは、所望のCoの結晶配向がより強く得られたことを示している。したがって、第1下地層としてCrなどの結晶質材料を用いると、その上に第2下地層を介して形成する磁性層において、Coの結晶配向の制御性をさらに向上できることが分かった。
【0078】
また、このCo69Cr17Pt11Ta膜の磁気特性を測定した。得られた磁気特性は、保磁力が3.0kOe、Isvが2.5×10−16emu、M−Hループにおけるヒステリシスの角型性の指標であるSが0.81、Sが0.85であり、良好な磁気特性を有していた。
【0079】
(5)保護層の形成
上述の磁性層であるCo69Cr17Pt11Ta膜の上に、保護層として、DCスパッタによりカーボン膜を形成した。スパッタガスにはArを用い、ターゲットにはリング状カーボンターゲットを用いた。投入DC電力密度は0.5kW/150mmφ、スパッタガスのガス圧は5mTorrであった。これらの条件で、カーボン膜を5nmの膜厚で形成した。こうして図1に示した構造の磁気ディスクを得た。
【0080】
(6)磁気ディスクの評価
上記のように形成した保護層の上に潤滑剤を塗布して、磁気ディスクを完成させた。上述したプロセスにより複数枚の磁気ディスクを作製し、それらを磁気記録装置のスピンドルに同軸上に取り付けた。磁気記録装置の構成は実施例1と同様に、図5及び図6に示す構成とした。ヘッド面と磁気ディスクとの距離は15nmに保った。このディスクに50Gbits/inchに相当する信号を記録してディスクのS/Nを評価したところ、32dBの再生出力が得られた。
【0081】
ここで、磁気力顕微鏡(MFM)により、情報記録時の磁化反転単位を測定した。1ビットのデータを記録する際に印加した記録磁界に対して、磁性粒子2から3個が一度に磁化反転した。これは従来の磁化反転単位5から10個に比べて十分に小さいことがわかった。これに伴い、隣接する磁化反転単位の境界に相当する部分(ジグザグパターン)も従来の磁気ディスクより著しく小さかった。磁性粒子が微細化し、磁化反転単位も小さくなったため、磁化反転領域の境界線が滑らかになったことを示している。また、熱揺らぎや熱による減磁も発生しなかった。これは、Co69Cr17Pt11Ta膜の磁性粒子径分布が小さいことによる効果である。また、このディスクの欠陥レートを測定したところ、信号処理を行わない場合の値で、1×10−5以下であった。
【0082】
本実施例では、直径2.5inchのガラス基板を用いたが、これは1例であり、いずれのサイズのガラス基板を用いても、また、アルミニウムやアルミニウム合金基板を用いてもよい。
【0083】
第2下地層の形成において、本実施例ではターゲットとしてCo−Zn合金を用い、スパッタガスとしてAr−O混合ガスを用いた反応性スパッタを実行した。その代わりにCoOとZnOを3:1に混合して焼結したものをターゲットに用い、スパッタガスにArを用いたスパッタ法を実行してもよい。しかし、本実施例で用いた反応性スパッタは、成膜速度が速いので、生産性の点から有利である。
【0084】
上記実施例では、ガラス基板上に第1下地層及び第2下地層を設けたが、基板を第1下地層と同じ材料で構成して、第1下地層の形成を省略してもよい。この場合、請求の範囲における「基板」と「第1下地層」は、同一物を意味すると解釈されるべきである。
【0085】
また、結晶質材料の第1下地層としてにクロムを用いたが、これ以外に、バナジウムを用いても良い。さらにこれに、チタン、アルミニウム、タンタル、ニッケルなどの元素を5%から30%程度加えてもよい。これら元素を加えることにより、第2下地層の結晶粒子径や結晶粒界部の幅を変化させることができるため、第2下地層であるCoO−SiO膜の結晶粒子の制御性をさらに向上させることができる。
【0086】
また、本実施例では第2下地層の結晶粒子として酸化コバルト(CoO)を用いたが、これ以外に、酸化鉄あるいは酸化ニッケルを用いてもよく、酸化コバルト同様の正六角柱の結晶粒子が得られることが分かった。さらに、第2下地層中の結晶粒界部を形成する酸化物として酸化亜鉛(ZnO)を用いたが、これ以外に、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、あるいは酸化タンタルを用いてもよく、酸化亜鉛と同様に結晶粒子を均一に隔てる結晶粒界部が得られることが分かった。
【0087】
保護膜の形成において、ここではスパッタガスにArを使用したが、窒素を含むガスを用いてもよい。これは、粒子が微細化するために、得られる膜が緻密化し、保護性能を向上させることができるからである。
【0088】
【実施例3】
本実施例は、磁性層として実施例1及び2で用いた材料とは異なる材料を使用するが、形成する磁気ディスクの構造は、図1に示した構造であり、実施例1及び2と同様である。ここでは、磁気記録用の磁性層に、酸化物中に粒状の金属が存在しているCo−SiOのグラニュラ型磁性膜を用いた。
【0089】
(1)第1下地層、第2下地層及び磁性層の形成
直径2.5inchのガラス円板を基板として用いた。この上に、実施例1と同様のECRスパッタ法を用い、第1下地層及び第2下地層として、実施例1と同じ材料を用いたHf膜及びCoO−SiO膜をそれぞれ形成した。
【0090】
次いで、この第2下地層であるCoO−SiO膜上に、磁性層として、グラニュラ構造を有するCo−SiO磁性膜をECRスパッタ法により形成した。ターゲットにはCo−SiO混合物(混合比は、Co:SiO=1:1)を、スパッタガスにはArをそれぞれ使用した。スパッタガスのガス圧は3mTorr、投入マイクロ波電力は1kWであった。マイクロ波により励起されたプラズマをターゲット方向に引き込むために、ターゲットに印加したRFバイアス電圧は、500Wであった。ECRスパッタ中に、ガラス基板を300℃に加熱した。このような条件のECRスパッタ法により、グラニュラ型Co−SiO磁性膜を膜厚10nmに形成した。
【0091】
(2)第2下地層及び磁性層の観察
1)第2下地層及び磁性層のTEM及びAFMによる観察
TEMにより、第2下地層であるCoO−SiO膜、及び磁性層であるグラニュラ型Co−SiO膜を観察した。表面を観察した結果、磁性層のグラニュラ型Co−SiO膜は、下地であるCoO−SiO膜のハニカム構造を反映し、やはりハニカム構造を有していることが分かった。この2層の断面を観察すると、CoO−SiO膜の結晶粒子上からグラニュラ型Co−SiO膜の磁性粒子Coがエピタキシャル成長していることが分かった。この磁性粒子は、第2下地層の結晶粒子から基板面に垂直方向に、正六角形の粒子径を一定に保ち柱状に成長していた。また、第2下地層の結晶粒子を取囲む結晶粒界部上には、磁性層のSiOが成長していた。磁性層中では、磁性粒子のCoはSiOに囲まれているため、個々の磁性粒子が均一な幅の境界部SiOで分離されることにより、磁性粒子間の磁気的相互作用が大きく低減されることが理解される。このグラニュラ型Co−SiO膜の構造は、磁化反転単位を小さくすることが可能になるため、高密度な磁気記録媒体を実現するのに好適である。
【0092】
また、原子間力電子顕微鏡(AFM)による観察の結果、グラニュラ型Co−SiO膜の表面には凹凸があることが分かった。この凹凸は基板面に平行方向が6μm、垂直方向が10nm以下(AFMの測定下限以下)であった。この値は基板面の傷や凹凸に比べて小さく、磁性層表面が滑らかであり、それら基板面の荒さが磁性層表面へ影響することを防ぐことが可能であることを示している。AFMにより、第2下地層であるCoO−SiO膜を観察した結果と比較したところ、この磁性層の凹凸は、第2下地層のモフォロジーを反映していることが分かった。
【0093】
2)磁性層の磁気特性測定
磁性層であるグラニュラ型Co−SiO膜の磁気特性を測定した。得られた磁気特性は、保磁力が4.0kOe、Isvが2.5×10−16emu、M−Hループにおけるヒステリシスの角型性の指標であるSが0.85、Sが0.90であり、良好な磁気特性を有していた。このことは、グラニュラ型Co−SiO膜の磁性粒子径が小さく、そのばらつきも小さいこと、さらに、磁性粒子間の磁気的相互作用が低減した結果である。
【0094】
(3)保護層の形成及び観察
上述のように形成したグラニュラ型Co−SiO膜の上に、実施例1での保護層形成と同条件のECRスパッタ法により、保護層であるカーボン膜を形成した。このカーボン膜は2nmの膜厚に形成した。
【0095】
このようにグラニュラ型Co−SiO膜上にカーボン膜を形成後、その表面をTEMにより観察した。その結果、磁性層であるグラニュラ型Co−SiO膜表面と同じでハニカム構造を反映した小さい凹凸があり、しかも、磁性膜表面は保護膜で完全に覆われていることが分かった。
【0096】
(4)磁気ディスクの評価
上記のように形成したカーボン膜の上に潤滑剤を塗布して、磁気ディスクを完成させた。上述したプロセスにより同様に複数枚の磁気ディスクを作製し、それらを磁気記録装置のスピンドルに同軸上に取り付けた。この磁気記録装置の構成は実施例1と同様である。ヘッド面と磁気ディスクとの距離は12nmであった。この磁気ディスクの記録再生特性を評価するため、このディスクに50Gbits/inchに相当する信号を記録してS/Nを調べたところ、30dBの再生出力が得られた。
【0097】
ここで、磁気力顕微鏡(MFM)により、情報記録時の磁化反転単位を測定した。1ビットのデータを記録する際に印加した記録磁界に対して、磁性粒子1から2個が一度に磁化反転した。これは従来の磁化反転単位5から10個に比べて十分に小さいことがわかった。これに伴い、隣接する磁化反転単位の境界に相当する部分(ジグザグパターン)も従来の磁気ディスクより著しく小さかった。磁性粒子が微細化し、磁化反転単位も小さくなったため、磁化反転領域の境界線が滑らかになったことを示している。また、熱揺らぎや熱による減磁も発生しなかった。これは、磁性層であるグラニュラ型Co−SiO膜の粒子径分布が従来より小さくなったためである。また、このディスクの欠陥レートを測定したところ、信号処理を行わない場合の値で、1×10−12以下であった。
【0098】
ここで、磁気ヘッドと磁気ディスク表面との距離は12nmであり、磁気記録装置は磁気ヘッドを安定に浮上させることができた。しかし、第1下地層及び第2下地層を有していない磁気ディスクを同様の条件で駆動したところ、安定した再生信号が得られなかったり、ヘッドクラッシュが発生したりした。安定した再生信号が得られないのは、第1下地層及び第2下地層を持たないこのディスクの表面の凹凸が大きく、磁気記録装置が磁気ヘッドと磁気ディスク表面の距離を一定にするよう制御できる範囲を超えているためである。
【0099】
本実施例では、磁性層であるグラニュラ型Co−SiO膜の形成にECRスパッタ法を用いた。これ以外に、Co−SiO混合(あるいは複合)のターゲットを用いてマグネトロンスパッタ法などを用いても良い。しかし、この場合は、ECRスパッタ法を用いた場合より結晶粒子形状がやや劣化することがあるので、ECRスパッタ法がより望ましい。
【0100】
ここでは、磁性層としてグラニュラ型Co−SiO膜を用いたが、コバルトに白金、パラジウム、ガドリニウム、サマリウム、プラセオジウム、ネオジウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、イットリウム、ランタンなどの元素を添加することもできる。これまでグラニュラ型磁性膜は、保磁力が小さいために磁気記録媒体の磁性層に用いられていなかったが、これら元素を添加することにより、グラニュラ型磁性膜中の磁性粒子の磁気異方性を向上させることができる。実際にコバルトに白金を添加した系を用いると、磁性粒子の磁気異方性が増大するとともに、保磁力も増大した。また、本発明に従い、2層の下地層を用いて磁性膜の構造を制御することにより、グラニュラ型磁性膜を有効に使用することが可能になる。
【0101】
また、本実施例では、保護層であるカーボン膜形成にECRスパッタ法を用いたが、これ以外にマグネトロン型RFスパッタ法などを用いることもできる。しかし、2つの手法を比較すると、いくつかの点からECRスパッタ法がより望ましいことが分かった。ECRスパッタ法を用いて形成したカーボン膜と、マグネトロン型RFスパッタ法で形成したカーボン膜をそれぞれ有する磁気ディスクの磁気特性を比較した。マグネトロン型RFスパッタ法で形成したカーボン膜を有する磁気ディスクでは、ECRスパッタ法でカーボン膜を形成した場合に比べ、保磁力が2.5〜1.8kOeに低下していた。同時にこの保磁力は、1枚の磁気ディスク上に大きなむらを生じていた。このように、ECRスパッタ法は保護層形成において、カーボン膜で磁性層を均一に被覆できることや、形成したカーボン膜が緻密であることに加えて、成膜時の磁性層への損傷も抑制できることが分かった。
【0102】
【比較例1】
この例では実施例1で製造した磁気記録媒体との比較のため、第1下地層を設けずに第2下地層のみを基板上に形成した磁気記録媒体を製造した。
【0103】
直径2.5inchのガラス基板上に、CoO−SiO膜のみを下地層として、スパッタ法により形成した。ターゲットにはCoOとSiOを2:1に混合して焼結したものを用いた。スパッタガスとしてArを使用した。スパッタ時のガス圧は3mTorr、投入DC電力は1kW/150mmφであった。成膜中は、ガラス基板を300℃に加熱した。このようにして形成したCoO−SiO膜の膜厚は、30nmであった。
【0104】
次いで、この下地層上に磁性層として、スパッタ法により、Co69Cr19Pt12膜を形成した。ターゲットにはCo−Cr−Pt合金を、スパッタガスにはArをそれぞれ用いた。スパッタガスのガス圧は3mTorr、投入DC電力は1kW/150mmφであった。
【0105】
このように形成した下地層の表面及び断面を、TEMにより観察した。すると、表面では、粒子径9nmの正六角形の結晶粒子が規則的に配列し、ハニカム構造を形成している様子が観察された。しかし、基板面に垂直な断面を観察すると、特定の構造を持たない初期成長層が約20nm以上にわたって成長し、その上方に実施例1の第2下地層で形成されたような規則的なハニカム構造が確認できた。しかし、この下地層であるCoO−SiO膜における結晶粒子の配向は十分でないため、この層上に形成する磁性層中の磁性粒子においても同様に所望の結晶配向性は強く得られないことが理解される。
【0106】
上述のように形成した磁性層であるCo69Cr19Pt12膜の表面を電子顕微鏡により観察し、磁性粒子の粒子径分布を求めるとσは2nm程度であった。実施例1では、磁性層の磁性粒子径分布におけるσはどちらも0.7nmであった。
【0107】
比較例1から分かるように、下地層が一層のみの場合にはハニカム構造が現れるまでに下地層を30nmの膜厚に成長させなければならない。しかし本発明では、わずか3nmの第1下地層を設けることにより、ハニカム構造を有する第2下地層を第1下地層から直接成長させることができた。すなわち、本発明に従う磁気記録媒体では、結晶配向していない初期成長層を発生を防止することができるため、下地層、ひいては記録媒体の全体の厚みを低減することが可能となった。
【0108】
また、比較例1での磁性層の磁性粒子径分布を、実施例1で製造した磁気記録媒体の磁性粒子径分布と比較すると、磁性粒子径の標準偏差は、比較例1ではσ=2nm程度であるのに対して、実施例1ではσ=0.7nmであった。即ち、下地層を2層化することにより、磁性層の磁性粒子径のより精密な制御が可能になり、磁性粒子の粒子径をさらに均一にし、ばらつきを少なくすることができた。
【0109】
【発明の効果】
本発明に従う磁気記録媒体、下地層付き基板、及び磁気記録装置によれば、第1下地層及び第2下地層それぞれの層に異なる機能を持たせることにより、その上に形成する磁性層の構造の制御性を大きく向上できる。特に、磁性層の磁性粒子径の制御が容易で、しかも、粒子径分布を著しく小さくできる。
【0110】
第1下地層は、第2下地層をこの上に積層することにより、特定の結晶構造を持たない第2下地層の初期成長層の形成を抑制する効果がある。したがってこの初期成長層に相当する部分の膜厚を減らすことができるため、成膜に必要とする時間を短縮でき、製造コストも削減できる。また、第1下地層を設けることにより、基板と磁性層の接着力を向上させ、磁性層をはがれにくくできるため、物理的損傷を受けにくい磁気記録媒体が提供できる。さらに、第1下地層に結晶質材料を用いれば、この上に形成する第2下地層の結晶構造をより精密に制御することが可能である。
【0111】
一方で、第2下地層は、正六角形の結晶粒子が均一な幅の結晶粒界部を介して極めて規則的に配列した、ハニカム構造を有している。そこで、第2下地層上に形成した磁性層中では、第2下地層の結晶粒子上から磁性粒子がエピタキシャル成長し、第2下地層の結晶粒界部上からは磁性層の非磁性の境界部分が成長する。このため、第2下地層のハニカム構造を反映させることで、磁性粒子の粒子径、粒子間の距離、粒子径分布、及び配向性を制御できる。第2下地層の結晶構造は、成膜条件や材料の選択及びECRスパッタ法を用いることにより、制御が可能である。個々の磁性粒子は非磁性の境界部で均一に隔てられているため、磁気的に独立となり、磁化反転単位を従来の磁性粒子数5〜10個に比べ、本発明の磁気記録媒体では1〜2個と小さくすることができる。個々の磁性粒子径を微細化すること、及び磁化反転単位を小さくすることによって磁気記録媒体のノイズを減少させることができる。また、磁性粒子の粒子径のばらつきを小さくすることによっても、磁気記録媒体のノイズを減少させることができ、加えて熱揺らぎや熱による減磁を防ぐことができる。また、磁性粒子は第2下地層の結晶粒子の結晶配向を反映して成長するため、磁性粒子が高密度記録に適した強い配向を持つ磁性層を形成でき、高密度記録に適した磁気記録媒体を提供できる。
【0112】
本発明の磁気記録媒体及び磁気記録装置を用いれば、磁気記録媒体のノイズの減少、熱揺らぎの低減、40Gbits/inchを超える記録密度が可能となるため、本発明の磁気記録媒体及び磁気記録装置は超高密度記録に極めて有望である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従う磁気記録媒体の断面構造を示す模式図である。
【図2】本発明に係る第2下地層の表面モフォロジーを示す模式図である。
【図3】本発明の実施例1に係る第1下地層及び第2下地層のX線回折プロファイルである。
【図4】本発明の実施例1に係る第1下地層、第2下地層及び磁性層のX線回折プロファイルである。
【図5】本発明に従う磁気記録装置の一例を上方から見た概略構成図である。
【図6】図5に示す磁気記録装置のA−A’方向の断面図である。
【符号の説明】
1 基板
2 第1下地層
3 第2下地層
4 磁性層
5 保護層
10 磁気ディスク
12 結晶粒子
14 結晶粒界部
51 回転駆動系
52 スピンドル
53 磁気ヘッド
54 磁気ヘッド用駆動系
60 磁気記録装置

Claims (33)

  1. 下地層付き基板であって、
    剛性を有する基板と;
    上記基板上に形成された第1下地層と;
    第1下地層上に形成された第2下地層と;を備え、
    第2下地層は、酸化コバルト、酸化クロム、酸化鉄及び酸化ニッケルからなる群から選ばれた少なくとも1種類の酸化物から実質的に構成される六角形状の結晶粒子と、該結晶粒子を取り囲む酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化タンタル及び酸化亜鉛からなる群から選ばれた少なくとも1種類の酸化物を含む結晶粒界部とから構成され、該結晶粒子が基板面に平行な面内においてハニカム状に配列した構造を有することを特徴とする下地層付き基板。
  2. 第1下地層が非晶質膜であり、該非晶質膜が、
    ハフニウム、チタン、タンタル、ニオブ、ジルコニウム、タングステン及びモリブデン並びにこれらの少なくとも一種の元素を含む合金からなる群から選ばれた金属;
    コバルトを主体として、チタン、タンタル、ニオブ、ジルコニウム及びクロムからなる群より選ばれる少なくとも1種類の元素を含むコバルト合金;または、
    窒化ケイ素、酸化ケイ素及び酸化アルミニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種類の無機化合物を含むことを特徴とする請求項1に記載の下地層付き基板。
  3. 上記無機化合物が、さらに、ハフニウム、チタン、タンタル、ニオブ、ジルコニウム、クロム及びアルミニウムからなる群から選ばれた少なくとも1種類の金属を含むことを特徴とする請求項2に記載の下地層付き基板。
  4. 第1下地層が結晶質膜であり、該結晶質膜が、クロム、クロム合金、バナジウム及びバナジウム合金からなる群より選ばれた少なくとも一種を含むことを特徴とする請求項1に記載の下地層付き基板。
  5. 上記合金が、チタン、タンタル、アルミニウム、ニッケル、バナジウム及びジルコニウムからなる群から選ばれた少なくとも1種類の元素を含む合金であることを特徴とする請求項4に記載の下地層付き基板。
  6. 第1下地層の膜厚が2nm〜50nmであることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の下地層付き基板。
  7. 第1下地層及び第2下地層が、ECRスパッタ法を用いて形成されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の下地層付き基板。
  8. 上記結晶粒界部が非晶質であることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の下地層付き基板。
  9. 第2下地層中の結晶粒子が結晶配向していることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の下地層付き基板。
  10. 第1下地層が、第2下地層の結晶粒子の結晶配向及び結晶粒子径分布の少なくとも一方を制御していることを特徴とする請求項9に記載の下地層付き基板。
  11. 上記粒子径の標準偏差(σ)が平均粒子径の8%以下であることを特徴とする請求項10に記載の下地層付き基板。
  12. 第2下地層が、第1下地層の結晶構造及び表面のモフォロジーの少なくとも一方を反映した構造を有することを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の下地層付き基板。
  13. 第2下地層が、第1下地層から六角柱状にエピタキシャル成長していることを特徴とする請求項1から12のいずれか一項に記載の下地層付き基板。
  14. 第2下地層の膜厚が3nm〜100nmであることを特徴とする請求項1から13のいずれか一項に記載の下地層付き基板。
  15. 第2下地層の結晶粒子間の間隔が0.5nm〜2nmであることを特徴とする請求項1から14のいずれか一項に記載の下地層付き基板。
  16. 磁気記録媒体であって、
    剛性のある基板と;
    上記基板上に形成された第1下地層と;
    第1下地層上に形成された第2下地層と;
    第2下地層上に形成され、情報が記録される磁性層と;を備え、
    第2下地層は、酸化コバルト、酸化クロム、酸化鉄及び酸化ニッケルからなる群から選ばれた少なくとも1種類の酸化物から実質的に構成される六角形状の結晶粒子と、該結晶粒子を取り囲む酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化タンタル及び酸化亜鉛からなる群から選ばれた少なくとも1種類の酸化物を含む結晶粒界部とから構成され、該結晶粒子が基板面に平行な面内においてハニカム状に配列した構造を有することを特徴とする磁気記録媒体。
  17. 上記磁性層が第2下地層からエピタキシャル成長していることを特徴とする請求項16に記載の磁気記録媒体。
  18. 第2下地層の結晶粒界部が非晶質であることを特徴とする請求項16又は17に記載の磁気記録媒体。
  19. 第2下地層が、ECRスパッタ法で形成されていることを特徴とする請求項16から18のいずれか一項に記載の磁気記録媒体。
  20. 第2下地層において一つの結晶粒子の回りに配置している結晶粒子数が5.8〜6.2であり、該結晶粒子の粒子径分布の標準偏差が平均粒子径の8%以下であることを特徴とする請求項16から19のいずれか一項に記載の磁気記録媒体。
  21. 上記磁性層は、第2下地層からエピタキシャル成長していることを特徴とする請求項17から20のいずれか一項に記載の磁気記録媒体。
  22. 上記磁性層が、第2下地層のそれぞれの結晶粒子に対応して成長した磁性粒子と、隣り合う磁性粒子間に磁気的相互作用を実質的に遮断する境界部とを有することを特徴とする請求項16から21に記載の磁気記録媒体。
  23. 上記磁性層の磁性粒子の粒子径と第2下地層の結晶粒子の粒子径とが実質的に等しいことを特徴とする請求項22に記載の磁気記録媒体。
  24. 上記磁性粒子が結晶質であることを特徴とする請求項22または23に記載の磁気記録媒体。
  25. 第2下地層の結晶粒子の格子定数と磁性層の磁性粒子の格子定数との差が、±10%以内であることを特徴とする請求項22から24のいずれか一項に記載の磁気記録媒体。
  26. 上記磁性粒子がコバルトを主体とした合金であることを特徴とする請求項22から25のいずれか一項に記載の磁気記録媒体。
  27. 上記磁性粒子が、コバルトを主体とし、これにクロム、白金、タンタル、ニオブ、チタン及びケイ素からなる群から選ばれる少なくとも2種類の元素を含む合金から構成されており、磁性粒子の境界部が、クロム、タンタル、ニオブ、チタン及びケイ素からなる群から選ばれる少なくとも1種類の元素を含み且つ多結晶質であることを特徴とする請求項16から26のいずれか一項に記載の磁気記録媒体。
  28. さらに、上記磁性層上に保護層が形成されていることを特徴とする請求項16から27のいずれか一項に記載の磁気記録媒体。
  29. 第1下地層が非晶質膜であり、該非晶質膜が、
    ハフニウム、チタン、タンタル、ニオブ、ジルコニウム、タングステン及びモリブデン並びにこれらの少なくとも一種の元素を含む合金からなる群から選ばれた金属;
    コバルトを主体として、チタン、タンタル、ニオブ、ジルコニウム及びクロムからなる群より選ばれる少なくとも1種類の元素を含むコバルト合金;または、
    窒化ケイ素、酸化ケイ素及び酸化アルミニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種類の無機化合物を含むことを特徴とする請求項16から28のいずれか一項に記載の磁気記録媒体。
  30. 第1下地層が結晶質膜であり、該結晶質膜が、クロム、クロム合金、バナジウム及びバナジウム合金からなる群より選ばれた少なくとも一種を含むことを特徴とする請求項16から28のいずれか一項に記載の磁気記録媒体。
  31. 上記磁性層における磁化反転単位が、磁性粒子数で3個以下である請求項16から30のいずれか一項に記載の磁気記録媒体。
  32. 少なくとも一つの請求項16に記載の磁気記録媒体と;
    上記磁気記録媒体に情報を記録または再生するための磁気ヘッドと;
    上記磁気記録媒体を上記磁気ヘッドに対し駆動するための駆動装置と;を含む磁気記録装置。
  33. 上記少なくとも一つの請求項16に記載の磁気記録媒体が複数の磁気ディスクであり、上記駆動装置が上記複数の磁気ディスクを同軸上に支持して回転するための回転軸を備えることを特徴とする請求項32に記載の磁気記録装置。
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