JP2001126239A - 下地層付き基板、磁気記録媒体及び磁気記録装置 - Google Patents

下地層付き基板、磁気記録媒体及び磁気記録装置

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JP2001126239A JP30662999A JP30662999A JP2001126239A JP 2001126239 A JP2001126239 A JP 2001126239A JP 30662999 A JP30662999 A JP 30662999A JP 30662999 A JP30662999 A JP 30662999A JP 2001126239 A JP2001126239 A JP 2001126239A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ノイズが小さく高密度記録に適した磁気記録
媒体、及びその媒体を備える磁気記録装置を提供する。 【解決手段】 本発明の磁気記録媒体は、基板上に、第
1下地層、第2下地層、磁性層、保護層をこの順に備え
る。第1下地層は、Hf等の非晶質膜あるいはCr等の結晶
質膜で、全体の膜厚を減らし、基板と磁性層の接着力を
強める。第2下地層はCoO-SiO2膜などで、正六角形の結
晶粒子12が均等な幅の結晶粒界部14で隔てられたハニカ
ム構造を有する。磁性層は、磁性粒子を結晶粒子12上か
ら、同時に非磁性の境界部を粒界部14からエピタキシャ
ル成長させ、形成する。これにより、磁性粒子径及びそ
の分布を制御し、磁性粒子間の磁気的相互作用を減らす
ことができる。これらの層を持つ磁気記録媒体は、ノイ
ズや熱揺らぎが少なく、40Gbits/inch2を超える超高密
度記録が可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高密度記録に適し
た磁気記録媒体及び磁気記録装置に関し、特に、磁性層
の極めて微小な領域にビット情報を記録することができ
る磁気記録媒体、その製造に用いられる磁気記録媒体用
基板及び磁気記録媒体を装着した磁気記録装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年の高度情報化社会の進展にはめざま
しいものがあり、各種形態の情報を取り扱うことができ
るマルチメディアが急速に普及してきている。マルチメ
ディアの一つとしてコンピュータ等に装着される磁気記
録装置が知られている。現在、磁気記録装置は、記録密
度を向上させつつ小型化する方向に開発が進められてい
る。
【0003】磁気記録装置の高記録密度化を実現するた
めに、(1)磁気記録媒体と磁気ヘッドとの間隔を狭め
ること、(2)磁気記録媒体の保磁力を増大させるこ
と、(3)信号処理を高速化すること、(4)熱揺らぎ
の小さい磁気記録媒体を開発することなどが要望されて
いる。
【0004】ところで、磁気記録媒体は基板上に磁性粒
子が集合してなる磁性層を有しており、磁気ヘッドによ
りいくつかの磁性粒子がまとまって同方向に磁化される
ことによって情報が記録される。それゆえ、高密度記録
を実現するには磁性層の保磁力の増大に加え、この磁性
膜中で一度に同方向に磁化され得る最小面積、即ち磁化
反転が生じ得る単位面積を小さくする必要がある。磁化
反転単位面積を小さくするには、個々の磁性粒子を微細
化するか、あるいは磁化反転単位を構成する磁性粒子数
を減らすことが必要である。例えば、20Gbits/
inch(3.10Gbits/cm)を超える記
録密度を達成するためには、磁性粒子径を10nm以下
に制御することが必要とされている。また、磁性粒子を
微細化する際に粒子径のばらつきを低減するとともに、
熱揺らぎを小さくする対策も必要となってきている。こ
れらを実現する試みとして、例えば、米国特許第4,6
52,499号に開示されているように、基板と磁性層
との間にシード膜を設けることが提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
基板上にシード膜を介して磁性層を設ける方法では,磁
性層における磁性粒子径およびその分布を制御するには
限界があった。例えば、粒子径10nm前後の磁性層の
磁性粒子を得るために、シード膜材料、成膜条件、シー
ド膜の構造などを調整しても、粒子径分布はブロードで
あり、10nmの2倍程度に粗大化した粒子や、逆に、
10nmの1/2程度に微細化した粒子がかなり混在し
ていた。磁性粒子中、平均より大きな粒子径の磁性粒子
は、記録/再生の際にノイズの増大を引き起こし、平均
より小さな粒子径の磁性粒子は、記録/再生の際に熱揺
らぎを増大させることになる。また、様々な大きさの磁
性粒子が混在する結果、磁化反転の起きた領域と起きて
いない領域との境界線は全体として粗いジグザグのパタ
ーンを呈し、このこともまたノイズ増大の一因となって
いた。さらに、従来の磁気記録媒体の磁性層における磁
化反転単位を構成する磁性粒子数は、5〜10個分と比
較的多かった。
【0006】そこで、本発明の第1の目的は、微細化さ
れた磁性粒子から構成された磁性層を有する磁気記録媒
体、その磁気記録媒体を製造するための基板及びその磁
気記録媒体を装着した磁気記録装置を提供することにあ
る。
【0007】本発明の第2の目的は、磁性粒子径のばら
つきが抑制された磁気記録媒体、その磁気記録媒体を製
造するための基板及びその磁気記録媒体を装着した磁気
記録装置を提供することにある。
【0008】本発明の第3の目的は、磁性粒子の結晶配
向性が所望の配向性に制御された磁気記録媒体、その磁
気記録媒体を製造するための基板及びその磁気記録媒体
を装着した磁気記録装置を提供することにある。
【0009】本発明の第4の目的は、磁化反転単位の小
さい磁気記録媒体、その磁気記録媒体を製造するための
基板及びその磁気記録媒体を装着した磁気記録装置を提
供することである。
【0010】本発明の第5の目的は、低ノイズ、低熱揺
らぎ及び低熱減磁であり、且つ高密度記録に適した磁気
記録媒体、その製造に用いられる基板及びその磁気記録
媒体の磁気記録装置を提供することにある。
【0011】本発明の第6の目的は、20Gbits/
inch、望ましくは40Gbits/inch
超える超高密度記録が可能な磁気記録媒体を提供するこ
とにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の態様に従
えば、下地層付き基板であって、剛性を有する基板と;
上記基板上に形成された第1下地層と;第1下地層上に
形成された第2下地層と;を備え、第2下地層は、酸化
コバルト、酸化クロム、酸化鉄及び酸化ニッケルからな
る群から選ばれた少なくとも1種類の酸化物から実質的
に構成される六角形状の結晶粒子と、該結晶粒子を取り
囲む酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化
タンタル及び酸化亜鉛からなる群から選ばれた少なくと
も1種類の酸化物を含む結晶粒界部とから構成され、該
結晶粒子が基板面に平行な面内においてハニカム状に配
列した構造を有することを特徴とする下地層付き基板が
提供される。
【0013】本発明者らは、非磁性層基板と、該基板上
に形成され、酸化コバルト、酸化クロム、酸化鉄あるい
は酸化ニッケルの内より選ばれた少なくとも1種類から
なる結晶質の第1酸化物と、酸化ケイ素、酸化アルミニ
ウム、酸化チタン、酸化タンタルあるいは酸化亜鉛の内
より選ばれた少なくとも1種類からなる第2酸化物とを
有し、第1酸化物の結晶粒子の粒界に第2酸化物が存在
する無機化合物膜と、該無機化合物膜上に形成された磁
性膜とを有することを特徴とする磁気記録媒体を特願平
11−1667号において開示した。この磁気記録媒体
では、無機化合物膜を構成する第1酸化物の結晶粒子が
ハニカム構造を有している。そして、無機化合物膜上に
形成される磁性層の磁性粒子は第1酸化物の結晶粒子か
らエピタキシャル成長するために、磁性層の磁性粒子も
またハニカム構造を有している。このため、磁性膜の結
晶粒子を微細化するとともに粒子径を揃えることが可能
となり、それにより低ノイズで、熱揺らぎが低減された
磁気記録媒体が実現されている。
【0014】しかしながら、本発明者の実験によると、
上記磁気記録媒体において、非磁性層基板上に無機化合
物膜を形成するときに非磁性層基板上に最初に発生する
初期成長層は規則的な構造を持たない微結晶の集まりで
あり、規則的なハニカム構造が無機化合物膜に現れるま
で無機化合物膜をある程度の膜厚、例えば、30nm以
上に成長させる必要があることがわかった。本発明で
は、無機化合物膜に相当する第2下地層と基板との間に
第1下地層を設けることにより、すなわち、磁性層の下
地層を2層構造とすることにより、前記初期成長層の生
成を実質的に抑制することに成功した。これにより、下
地層全体の厚さ、さらには磁気記録媒体の厚さを薄くす
ることができ、成膜工程を短縮化し、製造コストを下げ
ることができる。また、第1下地層を設けることにより
基板と磁性層との密着性が増すという効果もある。
【0015】さらに第1下地層を基板と第2下地層との
間に設けることにより、第2下地層が第1下地層の結晶
構造及び/または第1下地層の表面のモフォロジーを反
映して成長することがわかった。このため、第1下地層
なしで第2下地層を基板上に成長させた場合には、第2
下地層の結晶粒子径分布の標準偏差σが平均粒子径の1
0%以下であるのに対して、本発明の場合では第2下地
層の結晶粒子径分布の標準偏差σを平均粒子径の8%以
下にすることができた。また、第2下地層の一つの結晶
粒子を取り囲んでいる粒子の数(以下、配位粒子数と呼
ぶ)は、6.0に近いほどハニカム構造の規則性が高い
といえるが、第1下地層を設けることにより6.0に一
層近い配位粒子数を得ることができた。すなわち、第1
下地層を基板上に形成することにより第2下地層の粒度
分布及び配位粒子数を制御することができ、さらには、
第2下地層上に形成される磁性層の磁性粒子もまた一層
均一な粒径及び構造で形成することができることを見出
した。それゆえ、本発明の下地層付基板を用いれば、低
ノイズ、低熱揺らぎ、低熱減磁であり、しかも高密度記
録に適した磁気記録媒体を製造することができる。
【0016】本明細書の「酸化コバルト、酸化クロム、
酸化鉄及び酸化ニッケルからなる群より選ばれた少なく
とも1種類の酸化物から実質的に構成される六角形状の
結晶粒子」において、「実質的に構成される」とは、六角
形状の結晶粒子が、酸化コバルト、酸化クロム、酸化鉄
及び酸化ニッケルからなる群より選ばれた少なくとも1
種類の酸化物のみならず、不純物として、例えば、結晶
粒界部に含まれる酸化物又はそれを構成する元素を数%
程度含んでもよいことを意味する。
【0017】本発明において、第1下地層として非晶質
膜または結晶質膜を用い得る。非晶質膜を用いる場合
は、非晶質膜は、 (1)ハフニウム、チタン、タンタル、ニオブ、ジルコ
ニウム、タングステン及びモリブデン並びにこれらの少
なくとも一種の元素を含む合金からなる群から選ばれた
金属; (2)コバルトを主体として、チタン、タンタル、ニオ
ブ、ジルコニウム及びクロムからなる群より選ばれる少
なくとも1種類の元素を含むコバルト合金;または、 (3)窒化ケイ素、酸化ケイ素及び酸化アルミニウムか
らなる群から選ばれる少なくとも1種類の無機化合物を
用い得る。無機化合物を用いる場合には、さらに、ハフ
ニウム、チタン、タンタル、ニオブ、ジルコニウム、ク
ロム及びアルミニウムからなる群から選ばれた少なくと
も1種類の金属を含ませてもよい。これらの材料を用い
ることにより、第2下地層を第1下地層上から、微結晶
の集まりである初期成長層を実質的に成長させずに、一
層良好にエピタキシャル成長させることができる。
【0018】一方、第1下地層として結晶質膜を用いる
場合には、結晶質膜は、クロム、クロム合金、バナジウ
ム及びバナジウム合金からなる群より選ばれた少なくと
も一種から構成することができる。この場合、合金は、
チタン、タンタル、アルミニウム、ニッケル、バナジウ
ム及びジルコニウムからなる群から選ばれた少なくとも
1種類の元素を含み得る。これらの元素を添加すること
により、結晶質のクロムまたはバナジウムの格子定数を
制御して、第1下地層上に形成する第2下地層の結晶構
造を精密に制御することができる。
【0019】第1下地層が結晶質膜の場合には、hcp
(Hexagonal Closest Packing、六方最密充填)又は
bcc(Body−Centered Cubic、体心立方)構造が最
も好ましい。この構造は磁性層の結晶構造と同一あるい
は類似した構造であり、下地層の結晶粒子上から磁性層
の磁性粒子のエピタキシャル成長を促進できるためであ
る。本発明者の知見によると、第2下地層は、第1下地
層の結晶構造及び/または第1下地層の表面のモフォロ
ジーを反映して成長することがわかっている。従って、
第1下地層の結晶構造は、その上に形成しようとする第
2下地層の結晶構造を考慮して適宜選択することが好ま
しい。
【0020】本発明の下地層付き基板において、第2下
地層は、酸化コバルト、酸化クロム、酸化鉄あるいは酸
化ニッケルからなる群から選ばれる少なくとも1種類の
酸化物を結晶粒子として含む。そして、結晶粒子の周囲
を取囲む粒界部は、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸
化チタン、酸化タンタル及び酸化亜鉛からなる群から選
ばれる少なくとも1種類の酸化物から構成されている。
【0021】第2下地層は、基板面に平行な面内では、
図2に示すように、1つの結晶粒子の形状が正六角形で
あり、第2下地層の基板面に垂直な断面ではその結晶粒
子が上方に柱状に成長している構造を有する。特に、第
2下地層の成長とともに結晶粒子の柱状の断面は扇状に
広がることなく、粒界部の幅が均等な構造を有してい
る。したがって、一つが正六角柱をなす結晶粒子の集合
体は、正六角柱が規則的に配列したハニカム構造を形成
している。数学的には、近似的ではあるがフラクタル性
を有し、群論を用いても表現することができる。第2下
地層において、一つの正六角形の結晶粒子の周囲を平均
5.8〜6.2個の粒子が取り囲み得る。
【0022】実施例に示したように、第2下地層中に析
出している粒子及びその粒界部は、X線回折法による解
析により、それぞれ、結晶質及び非晶質であることがわ
かった。その結晶粒子径分布の標準偏差σは平均粒子径
の8%以下であり、しかも、粒子径分布が正規分布であ
るなどその構造の規則性は非常に高い。また、第2下地
層中の結晶粒子は、強い結晶配向を持っている。それゆ
え、このような構造の第2下地層上に磁性層を形成させ
ることにより、後述するように、ハニカム構造の結晶粒
子部分から、例えば、強磁性で且つ結晶配向した磁性粒
子を成長させることが可能となり、一方、ハニカム構造
の結晶粒界部からは非磁性の境界部分を成長させること
が可能となる。
【0023】第1下地層及び第2下地層は、マイクロ波
による共鳴放電を利用するECR(Electron Cyclotro
n Resonance)スパッタ法により行うことが好ましい。
このスパッタ法は、バイアス電圧のかけ方により、ター
ゲット粒子の運動エネルギーを揃えることができ、かつ
そのエネルギーをより精密に制御できる。特に、ECR
スパッタ法を用いて第2下地層を形成をすることによ
り、特に複雑なスパッタ条件を必要とせずに、所望の結
晶配向及び良好なハニカム構造の膜が得られる。
【0024】第1下地層の膜厚は2nm〜50nmが好
ましい。第1下地層の膜厚が2nm未満であると第1下
地層を設けた効果が期待できず、50nmを超えると下
地層全体の厚さを増し成膜に時間がかかる。第2下地層
の膜厚は3nm〜100nmが好ましい。第2下地層の
膜厚が3nm未満であると、下地層上から磁性層の良好
なエピタキシャル成長が起こりにくくなり、100nm
を超えると下地層全体の厚さが増し成膜に時間がかか
る。第1及び第2下地層全体の膜厚は、3nm〜100
nmであることが好ましい。また、結晶粒子の間隔(結
晶粒界部の幅)は、下地層上に形成した磁性層におい
て、磁性粒子間の磁気的相互作用を遮断するのに十分で
あり、形成された磁性膜のかさ密度を適切にするととも
に記録密度を向上するという理由から0.5nm〜2n
mが望ましい。
【0025】本発明の第2の態様に従えば、磁気記録媒
体であって、剛性のある基板と;上記基板上に形成され
た第1下地層と;第1下地層上に形成された第2下地層
と;第2下地層上に形成され、情報が記録される磁性層
と;を備え、第2下地層は、酸化コバルト、酸化クロ
ム、酸化鉄及び酸化ニッケルからなる群から選ばれた少
なくとも1種類の酸化物から実質的に構成される六角形
状の結晶粒子と、該結晶粒子を取り囲む酸化ケイ素、酸
化アルミニウム、酸化チタン、酸化タンタル及び酸化亜
鉛からなる群から選ばれた少なくとも1種類の酸化物を
含む結晶粒界部とから構成され、該結晶粒子が基板面に
平行な面内においてハニカム状に配列した構造を有する
ことを特徴とする磁気記録媒体が提供される。
【0026】上述のように、第2下地層の基板面に平行
な面内では、1つの結晶粒子の形状が正六角形であり、
第2下地層の基板面に垂直な面ではその結晶粒子が上方
に柱状に成長しているハニカム構造を有する。この第2
下地層の上に形成した磁性層は、この第2下地層の構造
を反映して同様のハニカム構造を有している。さらに、
第2下地層中の結晶粒子上から、磁性層中の磁性粒子が
連続してエピタキシャル成長している。従って、第2下
地層のハニカム構造を適宜調整することにより、その上
に所望の粒子径及び結晶配向性の磁性粒子を成長させる
ことが可能となる。すなわち、第2下地層は、磁性層の
粒子径、粒子径分布及び結晶配向性を制御する働きをす
る。一方で、前述のように第2下地層は第1下地層によ
りその粒子径、粒子径分布及び結晶配向性が制御される
ことになる。
【0027】磁性層において、磁性層の磁性粒子は、第
2下地層のハニカム構造の結晶粒子から成長させること
ができ、一方、第2下地層のハニカム構造の粒界部から
は非磁性の境界部を成長させることができるため、磁性
粒子が互いに磁気的に分離された構造をもたらすことが
できる。これにより、記録及び再生の際の磁化反転単位
を、例えば、磁性粒子2〜3個に低減することができ、
超高密度記録が可能となる。また、磁性膜における隣接
する記録磁区の境界部がジグザグパターンになることを
防止して、ノイズを低減することができる。
【0028】第2下地層及び磁性層において、結晶構造
が一致しているかあるいは類似していることが好まし
い。具体的には、ECRスパッタ法により形成した第2
下地層中で析出している結晶粒子及び磁性層中の磁性粒
子の個々の粒子形状、粒子径、ハニカム構造などが等し
く、且つ、第2下地層の結晶粒子の格子定数に対する第
2下地層の結晶粒子と磁性層の磁性粒子の格子定数の差
の割合が±10%以内であることが望ましい。これによ
り、第2下地層の結晶粒子から磁性層の磁性粒子をエピ
タキシャル成長させる場合に、第2下地層及び磁性層の
接面の正六角形の結晶格子の整合性を確保することがで
きる。この接面における格子定数の差が±10%を超え
る場合、第2下地層と磁性層の間に、格子面のずれを調
整するための層を一層あるいは複数層設けてもよい。
【0029】従来、磁性粒子間の磁気的な相互作用を低
減するには、非磁性元素を結晶粒子中の結晶粒界近傍に
偏析させていた。しかしながら、本発明では、第2下地
層の正六角形の結晶粒子を取り囲む粒界部に対応させて
磁性層中に非磁性の部分を成長させることによって磁性
粒子間の時期的相互作用を低減している。この場合、第
2下地層の結晶粒子間の距離が0.5nm〜2nmにな
るように制御し、この構造を反映させて磁性層をエピタ
キシャル成長させることにより、そのような間隔の非磁
性の部分を磁性層にもたらすことができる。エピタキシ
ャル成長した磁性粒子部分は強磁性であり、高密度記録
に適した結晶配向を有する。一方で、その磁性粒子を取
り囲む粒界部は非晶質で非磁性を示し、ランダム配向に
なるため、磁性粒子同士を磁気的に独立させることがで
きる。これにより、磁気記録媒体の磁区のサイズを磁性
粒子サイズにまで微細化することが可能となる。
【0030】上記磁性粒子は、コバルトを主体とした合
金が好ましい。コバルト合金として、例えば、コバルト
を主体とし、これにクロム、白金、タンタル、ニオブ、
チタン及びケイ素からなる群から選ばれる少なくとも2
種類の元素を含む合金から構成され得る。また、磁性粒
子の境界部は、クロム、タンタル、ニオブ、チタン、ケ
イ素からなる群から選ばれる少なくとも1種類の元素を
含み且つ多結晶質から構成され得る。
【0031】磁性層として、結晶質相と非晶質相の二相
から構成されるグラニュラ構造の磁性膜を用いても良
く、この場合、結晶相がコバルトを主体とし、これにネ
オジウム、プラセオジウム、イットリウム、ランタン、
サマリウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウ
ム、ホロミウム、白金、パラジウムの内より選ばれる少
なくとも1種類の元素を含んでおり、非晶質相として酸
化ケイ素、酸化亜鉛、酸化タンタル、酸化アルミニウム
の内より選ばれる少なくとも1種類の化合物が結晶粒子
を取囲むように存在し得る。
【0032】第2下地層上に磁性層を形成する方法とし
て、ECRスパッタ法を用いるのが好ましい。ECRス
パッタ法を用いることにより、第2下地層の結晶粒子径
を反映するように、磁性層の磁性粒子径及び粒子径分布
を良好に制御することができる。
【0033】本発明の第3の態様に従えば、本発明の第
2の態様に従う少なくとも一つの磁気記録媒体と;上記
磁気記録媒体に情報を記録または再生するための磁気ヘ
ッドと;上記磁気記録媒体を上記磁気ヘッドに対し駆動
するための駆動装置と;を含む磁気記録装置が提供され
る。
【0034】本発明の磁気記録装置は、本発明の磁気記
録媒体を装着しているので、画像や音声、コードデータ
などの情報を、低ノイズで高密度記録することができ
る。
【0035】
【発明の実施の形態】本発明の2層からなる下地層付き
基板、磁気記録媒体、及び磁気記録装置の実施の形態を
以下の実施例を用いて具体的に説明する。ただし、本発
明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0036】
【実施例1】本実施例では、図1に示すように、基板1
上に、第1下地層2、第2下地層3、磁性層4、及び保
護層5をこの順で備えた磁気ディスク10を製造する方
法、並びに得られた各層及び磁気ディスクの測定結果に
ついて説明する。2層からなる下地層として、第1下地
層に非晶質材料であるHf薄膜、第2下地層にCoO−
SiOを用いた。
【0037】(1)第1下地層及び第2下地層の形成 直径2.5inch(6.25cm)のガラス基板1上
に、第1下地層2としてHf膜をECR(Electron Cy
clotron Resonance)スパッタ法により形成した。スパ
ッタガスとしてArを用い、スパッタ時のガス圧は3m
Torr(約399Pa)であった。投入マイクロ波電
力は1kWであった。また、マイクロ波により励起され
たプラズマをターゲット方向に引き込むために、500
VのDCバイアス電圧をターゲットに印加した。このE
CRスパッタにより膜厚3nmのHf膜を形成した。
【0038】次いで、第2下地層3として、CoO−S
iO膜をECRスパッタ法により形成した。ターゲッ
トにはCo−Si合金を用いた。スパッタガスとしてA
r−O混合ガスを使用して、反応性スパッタを行っ
た。スパッタ時のガス圧は3mTorr、投入マイクロ
波電力は1kWである。また、マイクロ波により励起さ
れたプラズマをターゲット方向に引き込むために、50
0WのRFバイアス電圧をターゲットに印加した。形成
したCoO−SiO膜の膜厚は、20nmであった。
【0039】(2)第1下地層及び第2下地層の観察及
び測定 1)第1下地層のSEM及びX線回折法による観察Hf
膜2形成後に、この膜を走査型電子顕微鏡(SEM)に
より観察したところ、非常に平坦であり、しかもピンホ
ールなどの欠陥は存在していないことがわかった。ま
た、X線回折法により、Hf膜の結晶性を解析したが、
Hf膜は非晶質であった。
【0040】2)第2下地層の組成測定並びにTEM及
びμ―EDXによる観察 Hf膜上に形成したCoO−SiO膜の組成は、蛍光
X線を用いたCoとSiの定量分析によりCoOとSi
が2:1の割合であることが分かった。
【0041】このCoO−SiO膜3の平面構造を高
分解能透過型電子顕微鏡(TEM)により明視野で観察
した。観察した像の概略を図2に示す。図に示すよう
に、このCoO−SiO薄膜は正六角形の結晶粒子1
2の集合体であり、結晶粒子12は互いに結晶粒界部1
4を介して二次元に規則的に配列していた。次いで、こ
の薄膜の断面を観察したところ、この正六角形の結晶粒
子12は基板面に対して垂直方向に柱状の構造が成長し
ていることが観察された。即ち、CoO−SiO 膜全
体がハニカム構造を有していることが分かった。また、
この柱状構造は、その成長方向において均一な粒子径で
エピタキシャル成長していることが分かった。
【0042】極微小領域のエネルギー分散型X線分析
(μ−EDX分析)によると、CoO−SiO膜にお
ける結晶粒子12及び結晶粒界部14を分析したとこ
ろ、結晶粒子12はCoOであり、結晶粒界部14はS
iOであった。結晶粒子間の距離、即ち、結晶粒界部
14の幅は、0.5〜1.0nmであった。
【0043】また、CoO−SiO膜の格子像観察を
行ったところ正六角柱の結晶粒子内部は結晶質であり、
結晶粒界部は非晶質であることがわかった。格子定数を
求めたところ、コバルトの値にほぼ等しい値であった。
【0044】ここで、SiOは、構造に規則性を持た
せる重要な役割を有しており、形成する結晶粒子の間隔
を決定している。この間隔は、ターゲットの組成(Co
とSiの比、あるいはCoOとSiOの比など)、即
ちSiO濃度を変化させることにより、所望の値を容
易かつ任意に選択することができる。しかし、SiO
濃度を低くすると、粒子間隔は狭くなる(結晶粒子どう
しが接近する)と同時に、粒子形状に乱れが観測され、
逆にSiOが多量に存在すると、CoOの析出成長が
抑制されるため2nm以上とすることは困難である。適
当な結晶粒子間隔範囲は0.5〜2nmであり、これを
実現するようSiO濃度の制御を行った。
【0045】TEMの観察結果より、CoO−SiO
膜の結晶粒子径(正六角形の対辺の間隔)、その分布、
及び1つの結晶粒子の周囲を取り囲んで位置している粒
子数(以下、配位粒子数と呼ぶ)を解析した。まず、結
晶粒子径について、ランダムに選択した一辺が200n
mの正方形の領域に存在する粒子を調べたところ、平均
粒子径は10nmであった。粒子径分布は正規分布をし
ており、標準偏差(σ)を求めると0.5nmであっ
た。配位粒子数は、300個の結晶粒子について調べた
ところ、平均6.01個であった。このことは、結晶粒
子の粒径のばらつきが少なく、基板面に平行な面内で結
晶粒子の正六角形がハニカム状に極めて規則的に配列し
ていることを示している。
【0046】CoO−SiO層及びHf層の界面近傍
の構造について、格子像観察により詳細に調べた。それ
によると、Hf層上から上述のハニカム状の結晶粒子が
成長しており、後述する比較例で見られるような、微結
晶の集合体でありハニカム構造を形成しない初期成長層
は観察されなかった。
【0047】3)第2下地層のX線回折法による観察 CoO−SiO薄膜の結晶構造をX線回折法により解
析した。得られたプロファイルを図3に示す。これによ
ると、2θ=62.5°付近にCoOの(220)の回
折ピークが現れているが、この他のピークは観測されな
かった。このことは、CoOが薄膜中で一方向にのみ結
晶配向していることを示している。この結晶構造は、後
述するように成膜条件や組成の制御によって変化させる
ことが可能である。
【0048】(3)磁性層の形成 上記のように形成した第2下地層3の上に、DCスパッ
タ法により磁性層4として、Co69Cr19Pt12
膜を形成した。ターゲットにはCo−Cr−Pt合金
を、スパッタガスにはArをそれぞれ使用した。Co
69Cr19Pt 膜の形成中は、基板を300℃に
加熱した。スパッタ時のArガス圧は3mTorr、投
入DC電力は1kW/150mmφであった。こうして
膜厚15nmのCo69Cr19Pt12膜4を形成し
た。
【0049】(4)磁性層の観察 1)磁性層のTEMによる観察 上述のように形成したCo69Cr19Pt12膜の構
造をTEMにより観察した。それによると、第2下地層
のハニカム構造を反映して、Co69Cr19Pt12
膜もハニカム構造を有していることがわかった。Co
69Cr19Pt 12膜の平面観察から得られた像を用
いて、粒子径を求めたところ、平均粒子径は10nmで
あり、粒子径分布におけるσは0.7nmであった。こ
のように、磁性層4の粒子は微細化しており、かつ、粒
子径分布が小さく、第2下地層3と同一の形態の膜が得
られたことがわかる。次に、一つの磁性層粒子に配位す
る配位粒子数を求めた。300個の磁性粒子について調
べたところ、平均配位粒子数は6.01個で、先の第2
下地層のCoO−SiO層における配位粒子数と一致
していた。このことは、磁性粒子が、第2下地層から上
方に正六角柱状に連続して成長し、基板面と平行な面に
おいて、図2に示したように正六角形が規則的に配列し
た構造(ハニカム構造)を有していることを示してい
る。
【0050】また、格子像観察及び後述するX線回折の
結果によりCo69Cr19Pt 膜中の磁性粒子は
結晶質であり、一方、磁性粒子(結晶粒子)間の境界部
は、多結晶体であることが分かった。ここで、結晶質の
磁性粒子は第2下地層であるCoO−SiO膜の正六
角形の結晶粒子上から成長しており、多結晶体の磁性粒
子間の境界部は、CoO−SiO膜の結晶粒界部に対
応していることが分かった。即ち、CoO−SiO
とCo69Cr19Pt12膜との間には、結晶格子の
つながりが見られ、Co69Cr19Pt12膜の磁性
粒子はCoO−SiO膜のCoO部分からエピタキシ
ャル成長していることが分かった。
【0051】Co69Cr19Pt12膜中の磁性粒子
の境界部(多結晶体)は、磁性粒子部分と異なり、非磁
性体としての挙動を示す。この境界部は、磁性粒子間
に、0.5〜1.0nmの幅で存在しているため、隣り
合う磁性粒子間の磁気的相互作用は弱められる。したが
って、個々の磁性粒子(結晶粒子)が記録・消去時の磁
化反転に際し独立して挙動しやすくなり、磁化反転単位
をなす磁性粒子数即ち磁性膜面積を小さくすることが可
能となった。
【0052】2)磁性層のX線回折による観察 Co69Cr19Pt12膜を形成した後の積層体のX
線回折プロファイルを図4に示す。2θ=62.5°付
近の第2下地層のピークに加えて、2θ=72.5°付
近に弱いピークが観測された。TEM観察結果と合わせ
て考えると、2θ=72.5°付近のピークは磁性層中
のCoの(11.0)であることが分かる。Coの(1
1.0)はよく知られているように高密度記録のために
要求されている結晶配向である。即ち、磁性層中の結晶
粒子においてはCoがこの方向に強く配向しており、所
望の結晶配向が磁性層において実現できたことを示して
いる。
【0053】3)磁性層の磁気特性の測定 このCo69Cr19Pt12膜の磁気特性を測定し
た。得られた磁気特性は、保磁力が3.5kOe、Is
vが2.5×10−16emu、M−Hループにおける
ヒステリシスの角型性の指標であるSが0.8、S
0.86であり、良好な磁気特性を有していた。このよ
うに、角型性を示す指標が大きい(角型に近い)のは、
磁性層が、第2下地層であるCoO−SiO薄膜の結
晶粒子及び結晶粒界部をそれぞれ反映した構造に成長
し、この結果、磁性粒子間の相互作用が低減された構造
が得られたためである。
【0054】(5)保護層の形成 最後に、ECRスパッタ法を用いて保護層5としてのカ
ーボン膜を5nmの膜厚に形成した。スパッタガスとし
てArを、ターゲットとしてリング状カーボンターゲッ
トをそれぞれ用いた。スパッタ時のガス圧は3mTor
r、投入マイクロ波電力は1kWであった。また、マイ
クロ波により励起されたプラズマをターゲット方向に引
き込むために500VのDCバイアス電圧をターゲット
に印加した。
【0055】ECRスパッタ法を用いることにより、R
Fスパッタ法やDCスパッタ法に比べて緻密でかつピン
ホールフリーな膜が得られることが分かった。こうして
図1に示した構造の磁気ディスク10を得た。
【0056】(6)磁気ディスクの評価 さらに、上述のように形成した保護膜5の上に潤滑剤を
塗布して磁気ディスク10を完成させた。同様のプロセ
スにより複数枚の磁気ディスクを作製し、それらを磁気
記録装置に組み込んだ。磁気記録装置の概略構成を図5
及び図6に示す。図5は磁気記録装置60の上面の図で
あり、図6は、図5の破線A―A’における磁気記録装
置60の断面図である。記録用磁気ヘッドとして、2.
1Tの高飽和磁束密度を有する軟磁性膜を用いた薄膜磁
気ヘッドを用い、再生のために巨大磁気抵抗効果を有す
る磁気ヘッドを用いた。記録用磁気ヘッド及び再生用磁
気ヘッドは一体化されており、図5及び図6では磁気ヘ
ッド53として示した。この一体型の磁気ヘッド53は
磁気ヘッド用駆動系54により制御される。複数の磁気
ディスク10は、回転駆動系51のスピンドル52によ
り、同軸回転される。磁気ヘッド面と磁気ディスク10
との距離は15nmに保った。このディスクに40Gb
its/inchに相当する信号を記録して、ディス
クのS/Nを評価したところ、32dBの再生出力が得
られた。
【0057】ここで、磁気力顕微鏡(MFM)により、
情報記録時の磁化反転単位を測定した。1ビットのデー
タを記録する際に印加した記録磁界に対して磁性粒子2
から3個が一度に磁化反転した。これは、従来の磁化反
転単位5から10個に比べて十分に小さい。これに伴
い、隣接する磁化反転単位の境界に相当する部分(ジグ
ザグパターン)も従来の磁気ディスクより著しく小さか
った。これは、磁性粒子が微細化し、磁化反転単位も小
さくなったため、磁化反転領域の境界線が滑らかになっ
たことを示している。また、熱揺らぎや熱による減磁も
発生しなかった。これは、Co69Cr19Pt12
の結晶粒子径の分布が小さいことによる効果である。ま
た、このディスクの欠陥レートを測定したところ、信号
処理を行わない場合の値で、1×10−5以下であっ
た。
【0058】本実施例では、第1下地層にハフニウムを
用いたが、これ以外に、コバルトを主体としてこれにチ
タン、タンタル、ニオビウム、ジルコニウム、クロムの
内より選ばれる少なくとも1種類の元素を含む合金薄
膜、あるいは窒化ケイ素、酸化ケイ素、酸化アルミニウ
ムの内より選ばれる少なくとも1種類の無機化合物薄膜
のいずれを用いてもよい。この場合も、第2下地層のハ
ニカム構造を第1下地層から成長させることができるこ
とを確認した。特に、コバルトを主体とした合金として
は、Co−Ta−Zr,Co−Nb−Zr,Co−Ti
−Zr,Co−Cr−Zr,Co−Nb,Co−Ta,
Co−Ti,Co−Nb,Co−Zr,Co−Crなど
を用いることができる。このときコバルト合金を非磁性
にするために、30%程度の添加元素を含ませることが
できる。
【0059】第2下地層の結晶相に用いる物質として酸
化コバルト(CoO)を用いた例を述べたが、酸化クロ
ム、酸化鉄あるいは酸化ニッケルを用いても、酸化コバ
ルトと同様に正六角柱の結晶粒子が得られる。また、結
晶粒界部の物質として酸化ケイ素(SiO)を用いた
が、これ以外に、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化
タンタルあるいは酸化亜鉛を用いても、酸化ケイ素と同
様に結晶粒子を均一に隔てる結晶粒界部が得られた。こ
こで、酸化ケイ素と酸化亜鉛の混合物を用いると、混合
比により結晶粒子間隔を制御することができる。
【0060】第2下地層の格子定数は、成膜条件を調節
することにより、さらには、CoOにイオン半径の異な
る金属(例えば、クロム、鉄、あるいはニッケルなど)
又はこれらの酸化物を添加することで制御することがで
きる。
【0061】第2下地層であるCoO−SiO膜の形
成において、本実施例ではターゲットとして、Co−S
i合金を用い、スパッタガスとしてAr−O混合ガス
を用いた反応性スパッタを実行した。これ以外に、Co
OとSiOを2:1に混合して焼結したものをターゲ
ットに用い、スパッタガスとしてArを用いたスパッタ
法を実行してもよい。しかし、実施例で用いた反応性ス
パッタは、成膜速度が速いので、生産性の点から有利で
ある。
【0062】また、反応性スパッタにおいて、Co及び
Siを各々単独で焼結したものをターゲットに用い、二
元同時スパッタにより成膜しても、ハニカム構造を持つ
第2下地層が得られる。いずれのスパッタ法において
も、スパッタ粒子のエネルギーを精密に制御することが
重要であり、ECRスパッタ法を用いることによって精
密な制御がより容易となることが分かった。
【0063】さらに、第2下地層であるCoO−SiO
層は、通常のマグネトロンスパッタ法により形成する
こともできる。ここで、マグネトロンスパッタ法により
得られたCoO−SiO膜の構造を解析すると、平均
粒子径は10nmであり、粒子径分布は正規分布をして
いた。しかし、σは1.2nmであり、粒子径のばらつ
きが大きかった。また、300個の結晶粒子について調
べたところ、配位粒子数は、平均6.30個であり、や
や規則性が低下していた。このことから、ECRスパッ
タ法を用いると、無機化合物膜の構造の規則性は一層改
善することがわかる。
【0064】ECRスパッタ法は、第1下地層であるH
f膜についても有効である。DCスパッタ法やRFスパ
ッタ法を用いてHf膜を形成すると、その上に形成した
CoO−SiO膜の表面凹凸が増し、かつ、CoO−
SiO膜の結晶成長の欠陥が急増した。300個の結
晶粒子について調べたところ、配位粒子数は平均6.0
8個であり、やや規則性が低下した。この上に磁性層を
形成することを考えると、磁性層の結晶構造の規則性が
低下することは容易に予測できる。したがって第1下地
層及び第2下地層形成にはECRスパッタ法がより望ま
しい。
【0065】第2下地層であるCoO−SiO膜の膜
厚については、形成する膜の性質に大きく影響しない。
重要なのは、やはりスパッタ粒子のエネルギー制御であ
り、CoO−SiO膜の膜厚を5nm程度としても、
逆に、100nmと厚くしても、得られた膜の表面およ
び断面の構造、粒子径および粒子径分布などに、膜厚に
依存した変化は見られなかった。さらに、成膜初期に、
初期成長層も観察されなかった。3nm以下の膜厚で
は、成膜装置の都合上、CoO−SiO膜を安定して
形成することが困難であり、100nm以上では成膜に
時間がかかるので製造上の制限がある。この間で適当な
膜厚を選べばよい。
【0066】本実施例では磁性層であるCo69Cr
19Pt12膜を形成するためにDCスパッタ法を用い
たが、ECRスパッタ法を用いてもよい。ECRスパッ
タ法では、ピンホールのない膜を形成でき、成膜時に磁
性層の受けるダメージを著しく小さくすることができ
る。特に、40Gbits/inchを超える高密度
記録を行う場合、磁性膜厚は10nm以下にする必要が
ある。この場合、成膜時に磁性膜が受けるダメージの影
響はますます大きくなると考えられ、そのような高密度
記録用磁性膜の製造を行う場合に、ECRスパッタ法は
特に有効な成膜法となる。
【0067】本実施例では、スパッタガスにArを使用
したが、窒素を含むガスを用いてもよい。窒素を含む
と、粒子が微細化するために、得られるカーボン膜が緻
密化し、保護性能をさらに向上させることができる。
【0068】
【実施例2】本実施例は、第1下地層及び第二下地層と
して実施例1で用いた材料とは異なる材料を使用する
が、形成する磁気ディスクの構造は、図1に示した構造
であり、実施例1と同様である。ここでは、第1下地層
に結晶質材料であるCrを、第2下地層にCoO−Zn
O膜をそれぞれ用いた。
【0069】(1)第1下地層及び第2下地層の形成 直径2.5inchのガラス基板上に、第1下地層とし
てCr膜をECRスパッタ法により形成した。スパッタ
ガスにはArを、ターゲットにはCrをそれぞれ用い
た。スパッタ時のガス圧は3mTorrであり、投入マ
イクロ波電力は1kWであった。マイクロ波により励起
されたプラズマをCrターゲットに引き寄せるために、
500VのDCバイアス電圧をターゲットに印加した。
これらの条件のECRスパッタ法により、第1下地層で
あるCr膜を3nmの膜厚に形成した。
【0070】次いで、第2下地層として、CoO−Zn
O膜をECRスパッタ法により形成した。ターゲットに
はCo−Zn合金を、スパッタガスにAr−O混合ガ
スをそれぞれ用い、反応性スパッタ法を用いた。スパッ
タガスの圧力は3mTorr、投入マイクロ波電力は1
kWであった。マイクロ波により励起されたプラズマを
ターゲット方向に引き込むために500WのRFバイア
ス電圧をターゲットに印加した。このようにして、EC
Rスパッタ法により、第2下地層であるCoO−ZnO
膜を30nmの膜厚に形成した。
【0071】(2)第1下地層及び第2下地層の観察 1)第1下地層のSEM及びX線回折法による観察 Cr膜形成後に、この膜をSEMにより観察したとこ
ろ、非常に平坦であり、しかもピンホールなどの欠陥は
存在していないことがわかった。また、X線回折によ
り、Cr膜の結晶性を解析したが、Cr膜は結晶質であ
ることが分かった。
【0072】2)第2下地層のTEMによる観察 Cr膜2上に形成した第2下地層であるCoO−ZnO
膜の表面を、TEMにより観察した。観察した像は、実
施例1と同様で、正六角形の粒子が規則的に配列してい
た。CoO−ZnO膜は、対辺の間隔が10nmの正六
角形の結晶粒子の集合体であり、この結晶粒子は互いに
結晶粒界部を介して存在していた。次に、任意に選んだ
1つの結晶粒子の周囲に配位している配位粒子数を求め
た。300個の結晶粒子について調べたところ、平均
6.01個で、先の実施例1における値と同じであっ
た。このことは、結晶粒子の粒子径のばらつきが少な
く、基板に平行な面内で結晶粒子の正六角形がハニカム
状に極めて規則的に配列していることを示している。
【0073】(3)磁性層の形成 上述のように形成した第2下地層であるCoO−ZnO
膜上に、磁性層として、Co69Cr17Pt11Ta
膜をDCスパッタ法により形成した。ターゲットには
Co−Cr−Pt−Ta合金を、スパッタガスにはAr
をそれぞれ使用した。スパッタガスのガス圧は、3mT
orr、投入DC電力は1kW/150mmφであっ
た。このような条件で、Co69Cr17Pt11Ta
膜を10nmの膜厚に形成した。
【0074】(4)磁性層のX線回折法及びTEMによ
る観察、スクラッチテスト、並びに磁気特性測定 第2下地層であるCoO−ZnO膜上に、磁性層である
Co69Cr17Pt 11Ta膜を形成した後、TE
Mにより、このCo69Cr17Pt11Ta 膜の表
面の観察を行った。その結果、CoO−ZnO膜のハニ
カム構造を反映して、磁性層であるCo69Cr17
11Ta膜もハニカム構造を有していることが分か
った。Co69Cr17Pt11Ta膜における磁性
粒子の平均粒子径は10nmであり、CoO−ZnO膜
の結晶粒子径とほぼ同じであった。この磁性粒子の粒子
径分布におけるσは0.7nmであった。このように、
磁性層の磁性粒子は微細化しており、かつ、粒子径分布
が小さいことが分かった。
【0075】TEMによる断面観察の結果、第2下地層
であるCoO−ZnO膜の結晶粒子上から、磁性層であ
るCo69Cr17Pt11Ta膜の磁性粒子がエピ
タキシャル成長していることが分かった。この断面で
は、基板面に対し垂直方向に、CoO−ZnO膜の結晶
粒子及びCo69Cr17Pt11Ta膜の磁性粒子
が連続して柱状に成長しており、その2層において、正
六角形の粒子径及び粒子間の距離(結晶粒界部の幅)は
均一であることが分かった。
【0076】また、スクラッチテストによる結果から、
第1下地層及び第2下地層を設けることにより、ガラス
基板と磁性層であるCo69Cr17Pt11Ta
との接着力の向上にも効果があったことが明らかになっ
た。
【0077】また、Co69Cr17Pt11Ta
の構造を、X線回折法により解析した。その結果、この
磁性層中のCoが(11.0)に強く配向していること
が分かった。このほか、非常に弱いが第1下地層のCr
のピークが2θ=44.5°付近に観察された。このC
oの(11.0)は、高密度記録のために要求されてい
る結晶配向であり、磁性層であるCo69Cr17Pt
11Ta膜のCoについて、所望とする結晶配向を実
現できたことが分かった。また、実施例1で得られた回
折プロファイルと比較すると、同じCoの回折ピークが
シャープになっていた。このことは、所望のCoの結晶
配向がより強く得られたことを示している。したがっ
て、第1下地層としてCrなどの結晶質材料を用いる
と、その上に第2下地層を介して形成する磁性層におい
て、Coの結晶配向の制御性をさらに向上できることが
分かった。
【0078】また、このCo69Cr17Pt11Ta
膜の磁気特性を測定した。得られた磁気特性は、保磁
力が3.0kOe、Isvが2.5×10−16em
u、M−Hループにおけるヒステリシスの角型性の指標
であるSが0.81、Sが0.85であり、良好な磁
気特性を有していた。
【0079】(5)保護層の形成 上述の磁性層であるCo69Cr17Pt11Ta
の上に、保護層として、DCスパッタによりカーボン膜
を形成した。スパッタガスにはArを用い、ターゲット
にはリング状カーボンターゲットを用いた。投入DC電
力密度は0.5kW/150mmφ、スパッタガスのガ
ス圧は5mTorrであった。これらの条件で、カーボ
ン膜を5nmの膜厚で形成した。こうして図1に示した
構造の磁気ディスクを得た。
【0080】(6)磁気ディスクの評価 上記のように形成した保護層の上に潤滑剤を塗布して、
磁気ディスクを完成させた。上述したプロセスにより複
数枚の磁気ディスクを作製し、それらを磁気記録装置の
スピンドルに同軸上に取り付けた。磁気記録装置の構成
は実施例1と同様に、図5及び図6に示す構成とした。
ヘッド面と磁気ディスクとの距離は15nmに保った。
このディスクに50Gbits/inchに相当する
信号を記録してディスクのS/Nを評価したところ、3
2dBの再生出力が得られた。
【0081】ここで、磁気力顕微鏡(MFM)により、
情報記録時の磁化反転単位を測定した。1ビットのデー
タを記録する際に印加した記録磁界に対して、磁性粒子
2から3個が一度に磁化反転した。これは従来の磁化反
転単位5から10個に比べて十分に小さいことがわかっ
た。これに伴い、隣接する磁化反転単位の境界に相当す
る部分(ジグザグパターン)も従来の磁気ディスクより
著しく小さかった。磁性粒子が微細化し、磁化反転単位
も小さくなったため、磁化反転領域の境界線が滑らかに
なったことを示している。また、熱揺らぎや熱による減
磁も発生しなかった。これは、Co69Cr17Pt
11Ta膜の磁性粒子径分布が小さいことによる効果
である。また、このディスクの欠陥レートを測定したと
ころ、信号処理を行わない場合の値で、1×10−5
下であった。
【0082】本実施例では、直径2.5inchのガラ
ス基板を用いたが、これは1例であり、いずれのサイズ
のガラス基板を用いても、また、アルミニウムやアルミ
ニウム合金基板を用いてもよい。
【0083】第2下地層の形成において、本実施例では
ターゲットとしてCo−Zn合金を用い、スパッタガス
としてAr−O混合ガスを用いた反応性スパッタを実
行した。その代わりにCoOとZnOを3:1に混合し
て焼結したものをターゲットに用い、スパッタガスにA
rを用いたスパッタ法を実行してもよい。しかし、本実
施例で用いた反応性スパッタは、成膜速度が速いので、
生産性の点から有利である。
【0084】上記実施例では、ガラス基板上に第1下地
層及び第2下地層を設けたが、基板を第1下地層と同じ
材料で構成して、第1下地層の形成を省略してもよい。
この場合、請求の範囲における「基板」と「第1下地
層」は、同一物を意味すると解釈されるべきである。
【0085】また、結晶質材料の第1下地層としてにク
ロムを用いたが、これ以外に、バナジウムを用いても良
い。さらにこれに、チタン、アルミニウム、タンタル、
ニッケルなどの元素を5%から30%程度加えてもよ
い。これら元素を加えることにより、第2下地層の結晶
粒子径や結晶粒界部の幅を変化させることができるた
め、第2下地層であるCoO−SiO膜の結晶粒子の
制御性をさらに向上させることができる。
【0086】また、本実施例では第2下地層の結晶粒子
として酸化コバルト(CoO)を用いたが、これ以外
に、酸化鉄あるいは酸化ニッケルを用いてもよく、酸化
コバルト同様の正六角柱の結晶粒子が得られることが分
かった。さらに、第2下地層中の結晶粒界部を形成する
酸化物として酸化亜鉛(ZnO)を用いたが、これ以外
に、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、ある
いは酸化タンタルを用いてもよく、酸化亜鉛と同様に結
晶粒子を均一に隔てる結晶粒界部が得られることが分か
った。
【0087】保護膜の形成において、ここではスパッタ
ガスにArを使用したが、窒素を含むガスを用いてもよ
い。これは、粒子が微細化するために、得られる膜が緻
密化し、保護性能を向上させることができるからであ
る。
【0088】
【実施例3】本実施例は、磁性層として実施例1及び2
で用いた材料とは異なる材料を使用するが、形成する磁
気ディスクの構造は、図1に示した構造であり、実施例
1及び2と同様である。ここでは、磁気記録用の磁性層
に、酸化物中に粒状の金属が存在しているCo−SiO
のグラニュラ型磁性膜を用いた。
【0089】(1)第1下地層、第2下地層及び磁性層
の形成 直径2.5inchのガラス円板を基板として用いた。
この上に、実施例1と同様のECRスパッタ法を用い、
第1下地層及び第2下地層として、実施例1と同じ材料
を用いたHf膜及びCoO−SiO膜をそれぞれ形成
した。
【0090】次いで、この第2下地層であるCoO−S
iO膜上に、磁性層として、グラニュラ構造を有する
Co−SiO磁性膜をECRスパッタ法により形成し
た。ターゲットにはCo−SiO混合物(混合比は、
Co:SiO=1:1)を、スパッタガスにはArを
それぞれ使用した。スパッタガスのガス圧は3mTor
r、投入マイクロ波電力は1kWであった。マイクロ波
により励起されたプラズマをターゲット方向に引き込む
ために、ターゲットに印加したRFバイアス電圧は、5
00Wであった。ECRスパッタ中に、ガラス基板を3
00℃に加熱した。このような条件のECRスパッタ法
により、グラニュラ型Co−SiO磁性膜を膜厚10
nmに形成した。
【0091】(2)第2下地層及び磁性層の観察 1)第2下地層及び磁性層のTEM及びAFMによる観
察 TEMにより、第2下地層であるCoO−SiO膜、
及び磁性層であるグラニュラ型Co−SiO膜を観察
した。表面を観察した結果、磁性層のグラニュラ型Co
−SiO膜は、下地であるCoO−SiO膜のハニ
カム構造を反映し、やはりハニカム構造を有しているこ
とが分かった。この2層の断面を観察すると、CoO−
SiO膜の結晶粒子上からグラニュラ型Co−SiO
膜の磁性粒子Coがエピタキシャル成長していること
が分かった。この磁性粒子は、第2下地層の結晶粒子か
ら基板面に垂直方向に、正六角形の粒子径を一定に保ち
柱状に成長していた。また、第2下地層の結晶粒子を取
囲む結晶粒界部上には、磁性層のSiOが成長してい
た。磁性層中では、磁性粒子のCoはSiOに囲まれ
ているため、個々の磁性粒子が均一な幅の境界部SiO
で分離されることにより、磁性粒子間の磁気的相互作
用が大きく低減されることが理解される。このグラニュ
ラ型Co−SiO膜の構造は、磁化反転単位を小さく
することが可能になるため、高密度な磁気記録媒体を実
現するのに好適である。
【0092】また、原子間力電子顕微鏡(AFM)によ
る観察の結果、グラニュラ型Co−SiO膜の表面に
は凹凸があることが分かった。この凹凸は基板面に平行
方向が6μm、垂直方向が10nm以下(AFMの測定
下限以下)であった。この値は基板面の傷や凹凸に比べ
て小さく、磁性層表面が滑らかであり、それら基板面の
荒さが磁性層表面へ影響することを防ぐことが可能であ
ることを示している。AFMにより、第2下地層である
CoO−SiO膜を観察した結果と比較したところ、
この磁性層の凹凸は、第2下地層のモフォロジーを反映
していることが分かった。
【0093】2)磁性層の磁気特性測定 磁性層であるグラニュラ型Co−SiO膜の磁気特性
を測定した。得られた磁気特性は、保磁力が4.0kO
e、Isvが2.5×10−16emu、M−Hループ
におけるヒステリシスの角型性の指標であるSが0.8
5、Sが0.90であり、良好な磁気特性を有してい
た。このことは、グラニュラ型Co−SiO膜の磁性
粒子径が小さく、そのばらつきも小さいこと、さらに、
磁性粒子間の磁気的相互作用が低減した結果である。
【0094】(3)保護層の形成及び観察 上述のように形成したグラニュラ型Co−SiO膜の
上に、実施例1での保護層形成と同条件のECRスパッ
タ法により、保護層であるカーボン膜を形成した。この
カーボン膜は2nmの膜厚に形成した。
【0095】このようにグラニュラ型Co−SiO
上にカーボン膜を形成後、その表面をTEMにより観察
した。その結果、磁性層であるグラニュラ型Co−Si
膜表面と同じでハニカム構造を反映した小さい凹凸
があり、しかも、磁性膜表面は保護膜で完全に覆われて
いることが分かった。
【0096】(4)磁気ディスクの評価 上記のように形成したカーボン膜の上に潤滑剤を塗布し
て、磁気ディスクを完成させた。上述したプロセスによ
り同様に複数枚の磁気ディスクを作製し、それらを磁気
記録装置のスピンドルに同軸上に取り付けた。この磁気
記録装置の構成は実施例1と同様である。ヘッド面と磁
気ディスクとの距離は12nmであった。この磁気ディ
スクの記録再生特性を評価するため、このディスクに5
0Gbits/inchに相当する信号を記録してS
/Nを調べたところ、30dBの再生出力が得られた。
【0097】ここで、磁気力顕微鏡(MFM)により、
情報記録時の磁化反転単位を測定した。1ビットのデー
タを記録する際に印加した記録磁界に対して、磁性粒子
1から2個が一度に磁化反転した。これは従来の磁化反
転単位5から10個に比べて十分に小さいことがわかっ
た。これに伴い、隣接する磁化反転単位の境界に相当す
る部分(ジグザグパターン)も従来の磁気ディスクより
著しく小さかった。磁性粒子が微細化し、磁化反転単位
も小さくなったため、磁化反転領域の境界線が滑らかに
なったことを示している。また、熱揺らぎや熱による減
磁も発生しなかった。これは、磁性層であるグラニュラ
型Co−SiO膜の粒子径分布が従来より小さくなっ
たためである。また、このディスクの欠陥レートを測定
したところ、信号処理を行わない場合の値で、1×10
−12以下であった。
【0098】ここで、磁気ヘッドと磁気ディスク表面と
の距離は12nmであり、磁気記録装置は磁気ヘッドを
安定に浮上させることができた。しかし、第1下地層及
び第2下地層を有していない磁気ディスクを同様の条件
で駆動したところ、安定した再生信号が得られなかった
り、ヘッドクラッシュが発生したりした。安定した再生
信号が得られないのは、第1下地層及び第2下地層を持
たないこのディスクの表面の凹凸が大きく、磁気記録装
置が磁気ヘッドと磁気ディスク表面の距離を一定にする
よう制御できる範囲を超えているためである。
【0099】本実施例では、磁性層であるグラニュラ型
Co−SiO膜の形成にECRスパッタ法を用いた。
これ以外に、Co−SiO混合(あるいは複合)のタ
ーゲットを用いてマグネトロンスパッタ法などを用いて
も良い。しかし、この場合は、ECRスパッタ法を用い
た場合より結晶粒子形状がやや劣化することがあるの
で、ECRスパッタ法がより望ましい。
【0100】ここでは、磁性層としてグラニュラ型Co
−SiO膜を用いたが、コバルトに白金、パラジウ
ム、ガドリニウム、サマリウム、プラセオジウム、ネオ
ジウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、イ
ットリウム、ランタンなどの元素を添加することもでき
る。これまでグラニュラ型磁性膜は、保磁力が小さいた
めに磁気記録媒体の磁性層に用いられていなかったが、
これら元素を添加することにより、グラニュラ型磁性膜
中の磁性粒子の磁気異方性を向上させることができる。
実際にコバルトに白金を添加した系を用いると、磁性粒
子の磁気異方性が増大するとともに、保磁力も増大し
た。また、本発明に従い、2層の下地層を用いて磁性膜
の構造を制御することにより、グラニュラ型磁性膜を有
効に使用することが可能になる。
【0101】また、本実施例では、保護層であるカーボ
ン膜形成にECRスパッタ法を用いたが、これ以外にマ
グネトロン型RFスパッタ法などを用いることもでき
る。しかし、2つの手法を比較すると、いくつかの点か
らECRスパッタ法がより望ましいことが分かった。E
CRスパッタ法を用いて形成したカーボン膜と、マグネ
トロン型RFスパッタ法で形成したカーボン膜をそれぞ
れ有する磁気ディスクの磁気特性を比較した。マグネト
ロン型RFスパッタ法で形成したカーボン膜を有する磁
気ディスクでは、ECRスパッタ法でカーボン膜を形成
した場合に比べ、保磁力が2.5〜1.8kOeに低下
していた。同時にこの保磁力は、1枚の磁気ディスク上
に大きなむらを生じていた。このように、ECRスパッ
タ法は保護層形成において、カーボン膜で磁性層を均一
に被覆できることや、形成したカーボン膜が緻密である
ことに加えて、成膜時の磁性層への損傷も抑制できるこ
とが分かった。
【0102】
【比較例1】この例では実施例1で製造した磁気記録媒
体との比較のため、第1下地層を設けずに第2下地層の
みを基板上に形成した磁気記録媒体を製造した。
【0103】直径2.5inchのガラス基板上に、C
oO−SiO膜のみを下地層として、スパッタ法によ
り形成した。ターゲットにはCoOとSiOを2:1
に混合して焼結したものを用いた。スパッタガスとして
Arを使用した。スパッタ時のガス圧は3mTorr、
投入DC電力は1kW/150mmφであった。成膜中
は、ガラス基板を300℃に加熱した。このようにして
形成したCoO−SiO膜の膜厚は、30nmであっ
た。
【0104】次いで、この下地層上に磁性層として、ス
パッタ法により、Co69Cr19Pt12膜を形成し
た。ターゲットにはCo−Cr−Pt合金を、スパッタ
ガスにはArをそれぞれ用いた。スパッタガスのガス圧
は3mTorr、投入DC電力は1kW/150mmφ
であった。
【0105】このように形成した下地層の表面及び断面
を、TEMにより観察した。すると、表面では、粒子径
9nmの正六角形の結晶粒子が規則的に配列し、ハニカ
ム構造を形成している様子が観察された。しかし、基板
面に垂直な断面を観察すると、特定の構造を持たない初
期成長層が約20nm以上にわたって成長し、その上方
に実施例1の第2下地層で形成されたような規則的なハ
ニカム構造が確認できた。しかし、この下地層であるC
oO−SiO膜における結晶粒子の配向は十分でない
ため、この層上に形成する磁性層中の磁性粒子において
も同様に所望の結晶配向性は強く得られないことが理解
される。
【0106】上述のように形成した磁性層であるCo
69Cr19Pt12膜の表面を電子顕微鏡により観察
し、磁性粒子の粒子径分布を求めるとσは2nm程度で
あった。実施例1では、磁性層の磁性粒子径分布におけ
るσはどちらも0.7nmであった。
【0107】比較例1から分かるように、下地層が一層
のみの場合にはハニカム構造が現れるまでに下地層を3
0nmの膜厚に成長させなければならない。しかし本発
明では、わずか3nmの第1下地層を設けることによ
り、ハニカム構造を有する第2下地層を第1下地層から
直接成長させることができた。すなわち、本発明に従う
磁気記録媒体では、結晶配向していない初期成長層を発
生を防止することができるため、下地層、ひいては記録
媒体の全体の厚みを低減することが可能となった。
【0108】また、比較例1での磁性層の磁性粒子径分
布を、実施例1で製造した磁気記録媒体の磁性粒子径分
布と比較すると、磁性粒子径の標準偏差は、比較例1で
はσ=2nm程度であるのに対して、実施例1ではσ=
0.7nmであった。即ち、下地層を2層化することに
より、磁性層の磁性粒子径のより精密な制御が可能にな
り、磁性粒子の粒子径をさらに均一にし、ばらつきを少
なくすることができた。
【0109】
【発明の効果】本発明に従う磁気記録媒体、下地層付き
基板、及び磁気記録装置によれば、第1下地層及び第2
下地層それぞれの層に異なる機能を持たせることによ
り、その上に形成する磁性層の構造の制御性を大きく向
上できる。特に、磁性層の磁性粒子径の制御が容易で、
しかも、粒子径分布を著しく小さくできる。
【0110】第1下地層は、第2下地層をこの上に積層
することにより、特定の結晶構造を持たない第2下地層
の初期成長層の形成を抑制する効果がある。したがって
この初期成長層に相当する部分の膜厚を減らすことがで
きるため、成膜に必要とする時間を短縮でき、製造コス
トも削減できる。また、第1下地層を設けることによ
り、基板と磁性層の接着力を向上させ、磁性層をはがれ
にくくできるため、物理的損傷を受けにくい磁気記録媒
体が提供できる。さらに、第1下地層に結晶質材料を用
いれば、この上に形成する第2下地層の結晶構造をより
精密に制御することが可能である。
【0111】一方で、第2下地層は、正六角形の結晶粒
子が均一な幅の結晶粒界部を介して極めて規則的に配列
した、ハニカム構造を有している。そこで、第2下地層
上に形成した磁性層中では、第2下地層の結晶粒子上か
ら磁性粒子がエピタキシャル成長し、第2下地層の結晶
粒界部上からは磁性層の非磁性の境界部分が成長する。
このため、第2下地層のハニカム構造を反映させること
で、磁性粒子の粒子径、粒子間の距離、粒子径分布、及
び配向性を制御できる。第2下地層の結晶構造は、成膜
条件や材料の選択及びECRスパッタ法を用いることに
より、制御が可能である。個々の磁性粒子は非磁性の境
界部で均一に隔てられているため、磁気的に独立とな
り、磁化反転単位を従来の磁性粒子数5〜10個に比
べ、本発明の磁気記録媒体では1〜2個と小さくするこ
とができる。個々の磁性粒子径を微細化すること、及び
磁化反転単位を小さくすることによって磁気記録媒体の
ノイズを減少させることができる。また、磁性粒子の粒
子径のばらつきを小さくすることによっても、磁気記録
媒体のノイズを減少させることができ、加えて熱揺らぎ
や熱による減磁を防ぐことができる。また、磁性粒子は
第2下地層の結晶粒子の結晶配向を反映して成長するた
め、磁性粒子が高密度記録に適した強い配向を持つ磁性
層を形成でき、高密度記録に適した磁気記録媒体を提供
できる。
【0112】本発明の磁気記録媒体及び磁気記録装置を
用いれば、磁気記録媒体のノイズの減少、熱揺らぎの低
減、40Gbits/inchを超える記録密度が可
能となるため、本発明の磁気記録媒体及び磁気記録装置
は超高密度記録に極めて有望である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従う磁気記録媒体の断面構造を示す模
式図である。
【図2】本発明に係る第2下地層の表面モフォロジーを
示す模式図である。
【図3】本発明の実施例1に係る第1下地層及び第2下
地層のX線回折プロファイルである。
【図4】本発明の実施例1に係る第1下地層、第2下地
層及び磁性層のX線回折プロファイルである。
【図5】本発明に従う磁気記録装置の一例を上方から見
た概略構成図である。
【図6】図5に示す磁気記録装置のA−A’方向の断面
図である。
【符号の説明】
1 基板 2 第1下地層 3 第2下地層 4 磁性層 5 保護層 10 磁気ディスク 12 結晶粒子 14 結晶粒界部 51 回転駆動系 52 スピンドル 53 磁気ヘッド 54 磁気ヘッド用駆動系 60 磁気記録装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 竹内 輝明 大阪府茨木市丑寅一丁目1番88号 日立マ クセル株式会社内 (72)発明者 水村 哲夫 大阪府茨木市丑寅一丁目1番88号 日立マ クセル株式会社内 (72)発明者 若林 康一郎 大阪府茨木市丑寅一丁目1番88号 日立マ クセル株式会社内 (72)発明者 曽谷 朋子 大阪府茨木市丑寅一丁目1番88号 日立マ クセル株式会社内 (72)発明者 坂本 晴美 大阪府茨木市丑寅一丁目1番88号 日立マ クセル株式会社内 (72)発明者 小沼 剛 大阪府茨木市丑寅一丁目1番88号 日立マ クセル株式会社内 Fターム(参考) 5D006 BB06 BB07 BB08 CA01 CA05 EA03 FA09

Claims (33)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下地層付き基板であって、 剛性を有する基板と;上記基板上に形成された第1下地
    層と;第1下地層上に形成された第2下地層と;を備
    え、第2下地層は、酸化コバルト、酸化クロム、酸化鉄
    及び酸化ニッケルからなる群から選ばれた少なくとも1
    種類の酸化物から実質的に構成される六角形状の結晶粒
    子と、該結晶粒子を取り囲む酸化ケイ素、酸化アルミニ
    ウム、酸化チタン、酸化タンタル及び酸化亜鉛からなる
    群から選ばれた少なくとも1種類の酸化物を含む結晶粒
    界部とから構成され、該結晶粒子が基板面に平行な面内
    においてハニカム状に配列した構造を有することを特徴
    とする下地層付き基板。
  2. 【請求項2】 第1下地層が非晶質膜であり、該非晶質
    膜が、ハフニウム、チタン、タンタル、ニオブ、ジルコ
    ニウム、タングステン及びモリブデン並びにこれらの少
    なくとも一種の元素を含む合金からなる群から選ばれた
    金属;コバルトを主体として、チタン、タンタル、ニオ
    ブ、ジルコニウム及びクロムからなる群より選ばれる少
    なくとも1種類の元素を含むコバルト合金;または、窒
    化ケイ素、酸化ケイ素及び酸化アルミニウムからなる群
    から選ばれる少なくとも1種類の無機化合物を含むこと
    を特徴とする請求項1に記載の下地層付き基板。
  3. 【請求項3】 上記無機化合物が、さらに、ハフニウ
    ム、チタン、タンタル、ニオブ、ジルコニウム、クロム
    及びアルミニウムからなる群から選ばれた少なくとも1
    種類の金属を含むことを特徴とする請求項2に記載の下
    地層付き基板。
  4. 【請求項4】 第1下地層が結晶質膜であり、該結晶質
    膜が、クロム、クロム合金、バナジウム及びバナジウム
    合金からなる群より選ばれた少なくとも一種を含むこと
    を特徴とする請求項1に記載の下地層付き基板。
  5. 【請求項5】 上記合金が、チタン、タンタル、アルミ
    ニウム、ニッケル、バナジウム及びジルコニウムからな
    る群から選ばれた少なくとも1種類の元素を含む合金で
    あることを特徴とする請求項4に記載の下地層付き基
    板。
  6. 【請求項6】 第1下地層の膜厚が2nm〜50nmで
    あることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に
    記載の下地層付き基板。
  7. 【請求項7】 第1下地層及び第2下地層が、ECRス
    パッタ法を用いて形成されていることを特徴とする請求
    項1から6のいずれか一項に記載の下地層付き基板。
  8. 【請求項8】 上記結晶粒界部が非晶質であることを特
    徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の下地層
    付き基板。
  9. 【請求項9】 第2下地層中の結晶粒子が結晶配向して
    いることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に
    記載の下地層付き基板。
  10. 【請求項10】 第1下地層が、第2下地層の結晶粒子
    の結晶配向及び結晶粒子径分布の少なくとも一方を制御
    していることを特徴とする請求項9に記載の下地層付き
    基板。
  11. 【請求項11】 上記粒子径の標準偏差(σ)が平均粒
    子径の8%以下であることを特徴とする請求項10に記
    載の下地層付き基板。
  12. 【請求項12】 第2下地層が、第1下地層の結晶構造
    及び表面のモフォロジーの少なくとも一方を反映した構
    造を有することを特徴とする請求項1から11のいずれ
    か一項に記載の下地層付き基板。
  13. 【請求項13】 第2下地層が、第1下地層から六角柱
    状にエピタキシャル成長していることを特徴とする請求
    項1から12のいずれか一項に記載の下地層付き基板。
  14. 【請求項14】 第2下地層の膜厚が3nm〜100n
    mであることを特徴とする請求項1から13のいずれか
    一項に記載の下地層付き基板。
  15. 【請求項15】 第2下地層の結晶粒子間の間隔が0.
    5nm〜2nmであることを特徴とする請求項1から1
    4のいずれか一項に記載の下地層付き基板。
  16. 【請求項16】 磁気記録媒体であって、 剛性のある基板と;上記基板上に形成された第1下地層
    と;第1下地層上に形成された第2下地層と;第2下地
    層上に形成され、情報が記録される磁性層と;を備え、 第2下地層は、酸化コバルト、酸化クロム、酸化鉄及び
    酸化ニッケルからなる群から選ばれた少なくとも1種類
    の酸化物から実質的に構成される六角形状の結晶粒子
    と、該結晶粒子を取り囲む酸化ケイ素、酸化アルミニウ
    ム、酸化チタン、酸化タンタル及び酸化亜鉛からなる群
    から選ばれた少なくとも1種類の酸化物を含む結晶粒界
    部とから構成され、該結晶粒子が基板面に平行な面内に
    おいてハニカム状に配列した構造を有することを特徴と
    する磁気記録媒体。
  17. 【請求項17】 上記磁性層が第2下地層からエピタキ
    シャル成長していることを特徴とする請求項16に記載
    の磁気記録媒体。
  18. 【請求項18】 第2下地層の結晶粒界部が非晶質であ
    ることを特徴とする請求項16又は17に記載の磁気記
    録媒体。
  19. 【請求項19】 第2下地層が、ECRスパッタ法で形
    成されていることを特徴とする請求項16から18のい
    ずれか一項に記載の磁気記録媒体。
  20. 【請求項20】 第2下地層において一つの結晶粒子の
    回りに配置している結晶粒子数が5.8〜6.2であ
    り、該結晶粒子の粒子径分布の標準偏差が平均粒子径の
    8%以下であることを特徴とする請求項16から19の
    いずれか一項に記載の磁気記録媒体。
  21. 【請求項21】 上記磁性層は、第2下地層からエピタ
    キシャル成長していることを特徴とする請求項17から
    20のいずれか一項に記載の磁気記録媒体。
  22. 【請求項22】 上記磁性層が、第2下地層のそれぞれ
    の結晶粒子に対応して成長した磁性粒子と、隣り合う磁
    性粒子間に磁気的相互作用を実質的に遮断する境界部と
    を有することを特徴とする請求項16から21に記載の
    磁気記録媒体。
  23. 【請求項23】 上記磁性層の磁性粒子の粒子径と第2
    下地層の結晶粒子の粒子径とが実質的に等しいことを特
    徴とする請求項22に記載の磁気記録媒体。
  24. 【請求項24】 上記磁性粒子が結晶質であることを特
    徴とする請求項22または23に記載の磁気記録媒体。
  25. 【請求項25】 第2下地層の結晶粒子の格子定数と磁
    性層の磁性粒子の格子定数との差が、±10%以内であ
    ることを特徴とする請求項22から24のいずれか一項
    に記載の磁気記録媒体。
  26. 【請求項26】 上記磁性粒子がコバルトを主体とした
    合金であることを特徴とする請求項22から25のいず
    れか一項に記載の磁気記録媒体。
  27. 【請求項27】 上記磁性粒子が、コバルトを主体と
    し、これにクロム、白金、タンタル、ニオブ、チタン及
    びケイ素からなる群から選ばれる少なくとも2種類の元
    素を含む合金から構成されており、磁性粒子の境界部
    が、クロム、タンタル、ニオブ、チタン及びケイ素から
    なる群から選ばれる少なくとも1種類の元素を含み且つ
    多結晶質であることを特徴とする請求項16から26の
    いずれか一項に記載の磁気記録媒体。
  28. 【請求項28】 さらに、上記磁性層上に保護層が形成
    されていることを特徴とする請求項16から27のいず
    れか一項に記載の磁気記録媒体。
  29. 【請求項29】 第1下地層が非晶質膜であり、該非晶
    質膜が、 ハフニウム、チタン、タンタル、ニオブ、ジルコニウ
    ム、タングステン及びモリブデン並びにこれらの少なく
    とも一種の元素を含む合金からなる群から選ばれた金
    属;コバルトを主体として、チタン、タンタル、ニオ
    ブ、ジルコニウム及びクロムからなる群より選ばれる少
    なくとも1種類の元素を含むコバルト合金;または、 窒化ケイ素、酸化ケイ素及び酸化アルミニウムからなる
    群から選ばれる少なくとも1種類の無機化合物を含むこ
    とを特徴とする請求項16から28のいずれか一項に記
    載の磁気記録媒体。
  30. 【請求項30】 第1下地層が結晶質膜であり、該結晶
    質膜が、クロム、クロム合金、バナジウム及びバナジウ
    ム合金からなる群より選ばれた少なくとも一種を含むこ
    とを特徴とする請求項16から28のいずれか一項に記
    載の磁気記録媒体。
  31. 【請求項31】 上記磁性層における磁化反転単位が、
    磁性粒子数で3個以下である請求項16から30のいず
    れか一項に記載の磁気記録媒体。
  32. 【請求項32】 少なくとも一つの請求項16に記載の
    磁気記録媒体と;上記磁気記録媒体に情報を記録または
    再生するための磁気ヘッドと;上記磁気記録媒体を上記
    磁気ヘッドに対し駆動するための駆動装置と;を含む磁
    気記録装置。
  33. 【請求項33】 上記少なくとも一つの請求項16に記
    載の磁気記録媒体が複数の磁気ディスクであり、上記駆
    動装置が上記複数の磁気ディスクを同軸上に支持して回
    転するための回転軸を備えることを特徴とする請求項3
    2に記載の磁気記録装置。
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