JP2001229532A - 薄膜の形成方法、磁気記録媒体の製造方法及び磁気記録装置 - Google Patents

薄膜の形成方法、磁気記録媒体の製造方法及び磁気記録装置

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JP2001229532A
JP2001229532A JP2000034219A JP2000034219A JP2001229532A JP 2001229532 A JP2001229532 A JP 2001229532A JP 2000034219 A JP2000034219 A JP 2000034219A JP 2000034219 A JP2000034219 A JP 2000034219A JP 2001229532 A JP2001229532 A JP 2001229532A
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forming
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thin film
substrate
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JP2000034219A
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English (en)
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Fumiyoshi Kirino
文良 桐野
Nobuyuki Inaba
信幸 稲葉
Tomoko Sotani
朋子 曽谷
Teruaki Takeuchi
輝明 竹内
Koichiro Wakabayashi
康一郎 若林
Tetsuo Mizumura
哲夫 水村
Harumi Sakamoto
晴美 坂本
Takeshi Konuma
剛 小沼
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Maxell Holdings Ltd
Original Assignee
Hitachi Maxell Ltd
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Publication date
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  • Manufacturing Of Magnetic Record Carriers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 基板の表面エネルギーを制御し、高密度記録
に好適な磁気記録媒体を提供する。 【解決手段】 磁気記録媒体の基板の表面エネルギーを
0.1〜0.3mJ/cmに制御する。基板の表面エ
ネルギーを制御するために、基板上に表面エネルギー
0.1〜0.3mJ/cmの表面エネルギー制御層を
形成する。基板の表面エネルギー制御により、Co系磁
性膜の結晶性を向上することができ、これにより、磁性
層の磁気特性を向上させることができ、特に磁性層を薄
膜化した場合の磁気特性の劣化を抑制することができ
る。40Gbits/inchを超える超高密度記録
が可能であり、低ノイズ、低熱揺らぎ、低熱減磁である
磁気記録媒体を提供することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基板上に薄膜を形
成する方法に関し、特に、磁性膜の結晶配向性及び粒子
サイズが制御された高密度記録に適した磁気記録媒体用
の磁性膜の形成方法、磁気記録媒体の製造方法、及び磁
気記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年の高度情報化社会の進展にはめざま
しいものがあり、各種形態の情報を取り扱うマルチメデ
ィアが急速に普及してきている。マルチメディアの一つ
としてコンピュータ等に装着する磁気記録装置がある。
現在、磁気記録装置は、記録密度を向上させつつ小型化
する方向に開発が進められている。
【0003】磁気記録装置の高記録密度化を実現するた
めに、(1)磁気記録媒体と磁気ヘッドとの間隔を狭め
ること、(2)磁気記録媒体の保磁力を増大させるこ
と、(3)信号処理を高速化かつ高性能化すること、
(4)熱揺らぎの小さい磁気記録媒体を開発することな
どが要望されている。
【0004】ところで、磁気記録媒体は基板上に磁性粒
子が集合してなる磁性層を有しており、磁気ヘッドによ
りいくつかの磁性粒子がクラスター状にまとまって同方
向に磁化されることによって情報が記録される。それゆ
え、高密度記録を実現するには磁性層の保磁力を増大さ
せることと、この磁性層中で一度に同方向に磁化され得
る最小面積、即ち磁化反転が生じ得る単位面積を小さく
することが必要である。磁化反転単位面積を小さくする
には、個々の磁性粒子を微細化するか、あるいは磁化反
転単位を構成する磁性粒子数を減らすことが必要であ
り、そのためには、磁性粒子間の磁気的相互作用の低減
が有効である。また、磁性粒子を微細化する際に粒子径
のばらつきを低減し、それによって熱揺らぎを小さくす
る対策も必要となってきている。これらを実現する試み
として、例えば、米国特許第4、652、499号に開
示されているように、基板と磁性層との間にシード膜を
設けることが提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
基板上にシード膜を介して磁性層を設ける方法では、磁
性層における磁性粒子径及びその分布を制御するには限
界があった。磁性粒子中、平均より大きな粒子径の磁性
粒子は、記録/再生の際にノイズの増大を引き起こし、
平均より小さな粒子径の磁性粒子は、記録/再生の際に
熱揺らぎを増大させることになる。また、様々な大きさ
の磁性粒子が混在する結果、磁化反転の起きた領域と起
きていない領域との境界線は全体として粗いジグザグの
パターンを呈し、このこともまたノイズ増大の一因とな
っていた。さらに、磁性粒子同士に磁気的な相互作用が
働くため、従来の磁気記録媒体の磁性層における磁化反
転単位を構成する磁性粒子数は、5〜10個分と比較的
多かった。そのため、磁性層の構造や組織を精密に制御
するために、より効果的な下地層を形成する必要があっ
た。
【0006】ところで、磁気記録媒体の基板は、ガラス
基板やAl基板が使われてきたが、近年、製造コストを
低減するために樹脂等のより安価な基板材料を用いるこ
とが検討されている。しかし、樹脂製の基板上に磁性層
を形成すると、磁性粒子の結晶配向性や粒子径を制御す
ることが困難であり、良好な磁気特性を得ることができ
ないという欠点があった。それゆえ、低価格の樹脂製基
板を用いながらも、基板上に形成する磁性層の磁気特性
を良好に制御して、高密度記録に適した磁気記録媒体を
製造する技術が要望されている。
【0007】そこで、本発明の第1の目的は、任意の材
料から構成された基板上に、磁性層の結晶配向性及び磁
性粒子径を制御しつつ磁性層を形成することができる薄
膜の形成方法、磁気記録媒体の製造方法、及び磁気記録
装置を提供することにある。
【0008】本発明の第2の目的は、磁性層における磁
性粒子径を微細化し、磁性粒子径の分散を抑制すること
により、低ノイズ、低熱揺らぎ及び低熱減磁の磁性層を
形成できる薄膜の形成方法、磁気記録媒体の製造方法、
及び磁気記録装置を提供することにある。
【0009】本発明の第3の目的は、記録や消去時の磁
化反転単位が極めて小さい磁性層を形成することができ
る薄膜の形成方法、高密度記録に好適な磁気記録媒体の
製造方法、及び磁気記録装置を提供することにある。
【0010】本発明の第4の目的は、40Gbits/
inch(6.20Gbits/cm)を超える超
高密度磁気記録媒体の製造に用いることのできる薄膜の
形成方法、磁気記録媒体の製造方法、及び磁気記録装置
を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の態様に従
えば、基板上に薄膜を形成する方法において、基板の表
面エネルギーを0.1〜0.3mJ/cmに調整する
工程と;表面エネルギーを調整した基板上に薄膜を形成
する工程と;を含む薄膜の形成方法が提供される。
【0012】本発明者は、面の有する表面エネルギーが
1000erg/cm(0.1mJ/cm)〜30
00erg/cm(0.3mJ/cm)になるよう
に制御することによって、基板上に形成される磁性層の
ような薄膜の粒子の微細化ができ、かつ、粒子径を良好
に制御することができることを見出した。
【0013】固体の表面エネルギーは、固体表面を生じ
させるために必要な仕事量である。この仕事量は、原子
が固体表面を移動するために必要なエネルギーと言い換
えることもできる。ここで、固体表面は、固体内部と異
なり原子の結合手が余った特別な状態と見ることができ
る。bcc結晶を例に説明すると、bcc結晶の(11
1)表面の余った結合手は、全部で12本の結合手のう
ち3本である。そこで、格子定数a(Å)のbcc結晶
(111)面におけるaの面積中の原子数は4/√3
であることから、一個の原子が持っている表面エネルギ
ーE(111)は、以下のように表すことができる。 E(111)=L(M/N)(3/12)(2.3×
1016)erg/cm(10−7J/cm) (式中、M:分子量、N:アボガドロ数、 L:気化熱erg/g(10−7J/g)) このように、表面エネルギーを求めるには、結晶系と格
子定数が分かれば、気化熱を用いて計算できる。
【0014】しかし、表面エネルギーは固体表面の広さ
が変化するときの唯一のエネルギーではないので、実測
は困難である。一方で、表面エネルギーEは表面張力γ
と次のような関係にあるため、表面張力計を用いて固体
の表面張力を測定し、表面張力と表面エネルギーとの相
関関係を用いて、表面エネルギーを求めることができ
る。 E=γ−T(∂γ/∂T) T:温度 図6に、本発明者らが実験的に求めた、表面エネルギー
と表面張力との関係図を示した。表面張力の増加に比例
して表面エネルギーが増大していることが分かる。本明
細書において示す表面エネルギーの値は、表面張力の測
定値と、この関係図である図6を用いて求めた値であ
る。
【0015】基板の表面エネルギーは、基板の材料の選
択や表面処理などにより変化させることができる。上記
のように、表面エネルギーは表面張力の測定値を用いて
実験的に求めることができるが、その表面張力を変化さ
せるパラメータとしては、具体的に、基板を構成する原
子のイオン半径、基板を構成する原子の原子密度、基板
の密度、基板の融点を挙げることができる。表面張力
と、原子密度、密度、イオン半径及び融点のそれぞれと
の関係を本発明者らは実験的に求め、その関係図を図7
〜図10に示した。基板の表面張力を直接変化させるに
は、基板を構成する材料の選択、基板の表面処理を行え
ばよい。また、原子密度や密度もその値の増大とともに
表面張力(表面エネルギー)は増大する。さらに、融点
が高くなると、表面張力(表面エネルギー)は増大す
る。そのために、材料の選択に加えて、高融点成分を添
加するなどの手法がある。逆に、イオン半径が小さくな
るほど、表面張力(表面エネルギー)は大きくなる。基
板の表面エネルギーを調整する目的で、基板材料を選択
することに加えて、成膜条件を選択することができる。
すなわち、これらのパラメータのうちのいずれかを変化
させることによって、表面張力を変化させることがで
き、かつ、表面張力を介して表面エネルギーへ換算する
ことができる。
【0016】本発明に従えば、基板の表面エネルギーを
制御するために、基板表面に所望の表面エネルギーを有
する表面エネルギー制御層を設けることができる。この
場合、基板上に形成された表面エネルギー制御層の表面
は基板の表面と見なすことができ、それゆえ、表面エネ
ルギー制御層の表面エネルギーを基板の表面エネルギー
と見なすことができる。基板の表面を結晶核により十分
に被覆し、所望のエネルギーを有する表面を得るという
理由から、表面エネルギー制御層の膜厚は0.5〜2n
mであることが好ましい。この場合、基板の表面エネル
ギー制御層は、この表面エネルギー制御層上に形成する
薄膜(例えば磁性層)の成膜手法と異なる成膜手法を用
いて成膜するのが好ましい。これは、薄膜の成長機構が
異なるので、表面の均一性及びその後の配向性制御を考
慮すると、結晶成長の核を均一化することができるから
である。特に、表面エネルギー制御層及び薄膜をスパッ
タリングで形成する場合には、成膜時のスパッタ粒子の
有するエネルギーは、表面エネルギー制御層を形成する
場合の方が、その上に薄膜を形成する場合のエネルギー
よりも小さくすることが結晶成長核の均一性が確保でき
る(応力が小さく、結晶核のランダム配向などランダム
性が増す)という理由から好ましい。
【0017】基板表面に表面エネルギー制御層を形成す
る際には、成膜条件を制御することにより表面エネルギ
ー値を制御するのが好ましい。より具体的には、成膜条
件は、表面エネルギー層の材料、成膜方法、成膜時の雰
囲気圧力、成膜時に投入するエネルギー、形成する表面
エネルギー制御層の厚さ、形成する表面エネルギー制御
層の形態のうちの少なくとも1つの条件であることが好
ましい。ここで、基板の表面エネルギー制御層の形態
は、基板表面上でアイランド状であってもよいし、又
は、平坦な薄膜として存在していてもよい。
【0018】上述の基板上の薄膜の製法は磁気記録媒体
の製造方法へ応用することができる。磁気記録媒体は、
基板、情報を記録するための磁性層及び保護層から構成
される。例えば、ガラスやNiP膜を形成したAl合金
基板の表面に、表面エネルギー制御層を形成し得る。ガ
ラス基板の表面エネルギーは300〜500erg/c
(0.03〜0.05mJ/cm)であり、Ni
P付きのAl基板の表面エネルギーは500〜700e
rg/cm(0.05〜0.07mJ/cm )程度
である。そこで、基板上に表面エネルギー1000〜3
000erg/cm(0.1〜0.3mJ/cm
の表面エネルギー制御層を形成する。上記表面エネルギ
ーを1000〜3000erg/cm(0.1〜0.
3mJ/cm)の範囲に制御することにより、その上
に形成する磁性層の結晶性及び配向性を高密度記録に適
した特性になるように制御することが可能となる。
【0019】また、表面エネルギー制御層上に形成する
薄膜の第1層目を形成する成膜手法として、共鳴吸収に
よりプラズマを発生させ、発生したプラズマをターゲッ
トに衝突させてターゲット粒子をスパッタさせ、基板と
ターゲットの間にバイアス電圧を印加することにより、
スパッタしたターゲット粒子を表面エネルギー制御層を
備える基板上に誘導しつつ堆積させてその薄膜を形成す
る方法を用いることが好ましい。この共鳴吸収には、具
体的に電子サイクロトロン共鳴法(ECR法)を用いる
ことが好ましい。プラズマ粒子を共鳴吸収により励起す
るのに、マイクロ波を用いることが最も好ましい。ま
た、バイアス電圧を印加するには、無線周波数の交流
(RF)電源あるいは直流電源(DC)を用いることが
好ましい。これにより、引き出されたプラズマ粒子及び
スパッタ粒子の有する運動エネルギーを一定値に制御で
きる。
【0020】また、ECRスパッタ法を用いると、多層
膜を形成する場合、薄膜相互の物質の拡散を抑制するこ
とができるので、磁気記録媒体に応用した場合、各層の
各種特性が劣化することがない。特に、磁気記録におい
ては、磁気記録媒体のナノメーター領域への薄膜化が急
激に進んでおり、そのような場合にもECRスパッタ法
は有効である。また、ECRスパッタ法により、形成さ
れた薄膜中の結晶欠陥を低減することができる。その結
果、磁性層においては、保磁力や磁気異方性の増大を図
ることができ、高密度記録に好適である。
【0021】この表面エネルギー制御層上に、上記のE
CRスパッタ法を用いて、磁性層の配向性及び結晶性を
制御するための下地層を形成することができる。表面エ
ネルギーを制御すると、この下地層の構造、特に、結晶
性及び配向性が大きく改善される。さらに、磁性層の形
成に先立って、下地層をECRスパッタ法により形成す
ることにより、形成される下地層の密度、表面の平坦
性、結晶配向性、結晶成長の方位、結晶構造、結晶粒子
径の内より選ばれる少なくとも1つのパラメータを所望
の値に制御することができる。このような下地層の構造
を反映させて磁性層を形成することにより、磁性層の特
性向上、例えば、磁性層の結晶配向性の制御を実現する
ことができ、高密度記録に好適な磁性層を形成すること
ができる。
【0022】この下地層は、少なくとも1層あるいは2
層以上からなることが好ましい。下地層は、磁性層と格
子整合させて磁性層のエピタキシャル成長を促進させ、
それにより、磁性層の構造をより精密に制御することが
できる。これは、磁性層の形成に先立って形成した下地
層が磁性層の成長核として作用し、磁性層が下地層の組
織や構造を反映して成長すると考えられるからである。
なお、本明細書中では、下地層が複数の場合には、基板
側から順に第1下地層、第2下地層のように番号を付す
こととする。この下地層は、bcc構造あるいはB2構
造を有する薄膜を用いることができる。特に、酸化マグ
ネシウムなどの無機化合物や、Cr若しくはNi、又
は、Cr若しくはNiを主体とする合金を用いればよ
い。そして、Cr又はNi合金は、母元素以外に、C
r、Ti、Ta、V、Ru、W、Mo、V、Nb、N
i、Zr若しくはAl、又は、これらの元素の組み合わ
せの元素が固溶しているのが好ましい。さらに、この下
地層は、一定の方位に配向していることが好ましい。
【0023】磁性層の配向の方向は、磁性層の結晶構造
に依存して決まる。例えば、Co合金においては、(1
1.0)配向及び(1120)配向が超高密度の磁気記
録に好適である。本明細書において、2はアッパーバ
ー付きの2を意味する。後述する実施例で示すように、
上記の下地層上に磁性層を形成したところ、磁性層の磁
性粒子径分布を調べると、その分布における標準偏差:
σは、平均粒子径の8%以下であった。この下地層で
は、膜厚が2〜10nmで十分に配向性などの制御効果
が得られた。ここで、磁性層の下地層は、複数の層を設
けることにより、磁性層のエピタキシャル成長が促進さ
れる。そのため、複数の層を設け、段階的に磁性層の格
子定数に近づけていくことが好ましい。
【0024】先の表面エネルギー制御層を用いて磁気デ
ィスクを製造する場合には、磁性層が結晶質であり、し
かも、該磁性層の結晶粒子(磁性粒子)がCoを主体と
した合金であることが好ましい。ここで、Coを主体と
した磁性層が、Co以外に、Cr、Pt、Ta、Nb、
Ti、Si、P、Pd、B、V、Tb、Gd、Sm、N
d、Dy、Ho若しくはEu、又は、これらの元素の組
み合わせを含んでいることが好ましい。
【0025】このCoを主体とした磁性層は、添加しう
る上記の元素の中で特に、Cr、Ta、Nb、Ti、S
i、B若しくはP、又は、それらの元素の組み合わせを
含むと、磁性層中でその元素を偏在させることができ
る。さらに、偏在している元素をCo磁性粒子(結晶粒
子)の結晶粒界近傍あるいは粒界に析出(偏析)させる
ことができる。これにより、磁性粒子間の磁気的相互作
用を低減できる。
【0026】上記以外の磁性層に用いる材料は、結晶質
相と非晶質相の2つの相から構成されているグラニュラ
構造の磁性層を用いてもよい。結晶質相がCoあるいは
Coを主体とする合金であり、Nd、Pr、Y、La、
Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Pt若しくはPd、又
はそれらの元素の組み合わせを含むことが好ましい。さ
らに、結晶質相を取囲むように存在している非晶質相
は、SiO、Al 、TiO、ZnO、SiO
若しくはSi、又は、それらの化合物の組み合わ
せである。そして、先の下地層が有する組織及び結晶粒
子径ともに等しい構造の磁性層であることが好ましい。
【0027】上述のように、元素の偏析や結晶粒界への
非晶質物質の析出により、磁性結晶粒子間の磁気的相互
作用を低減することができ、高密度磁気記録に好適な磁
性材料を得ることができる。さらに、磁性層は下地層の
構造や組織を反映しており、下地層の結晶粒子径やその
粒子径分布に磁性層中の磁性粒子やその分布が等しく成
長している。そのため磁性粒子径を微細化し、粒子径の
ばらつきを小さくできるので、熱揺らぎや熱減磁に強い
磁気記録媒体が得られる。さらに、この磁性層を第1下
地層からエピタキシャル成長させることにより、磁性層
の結晶配向を制御することができる。ここで、エピタキ
シャル成長を促進させるために、第1下地層と磁性層と
の間に、Cr又はNiを主体とする合金層(第2、第3
下地層)を設けてもよい。また、ECRスパッタ法によ
り磁性層を形成すると、磁性層の構造、配向性、さらに
は下地層からの磁性層のエピタキシャル成長が促進され
るので、高密度な磁気記録に好適な配向及び結晶性を有
する磁性層を得ることができる。
【0028】本発明の第2の態様に従えば、本発明の第
1の態様に従った薄膜の形成方法を応用して磁気記録媒
体を製造する方法において、基板の表面エネルギーが
0.1〜0.3mJ/cmに調整する工程と;表面エ
ネルギーを調整した基板上に磁性層を形成する工程と;
を含む磁気記録媒体の製造方法が提供される。基板材料
として、後述する実施例で示すように樹脂を用いること
も可能である。
【0029】本発明の第3の態様に従えば、本発明の第
2の態様に従って製造した少なくとも一つの磁気記録媒
体と;情報を記録又は消去するための磁気ヘッドと;上
記磁気ヘッドを上記磁気記録媒体に対して駆動するため
の駆動装置と;を有する磁気記録装置が提供される。
【0030】本発明の磁気記録装置は、本発明の磁気記
録媒体を装着しているので、画像や音声、コードデータ
などの情報を、低熱揺らぎ、低熱減磁、低ノイズで高密
度記録することができる。この磁気記録装置は、記憶容
量が40Gbits/inchを超える面記録密度を
有する。
【0031】
【発明の実施の形態】以下に実施例を用いて本発明につ
いて具体的かつ詳細に説明する。ただし、本発明は以下
の実施例に限定はされない。
【0032】
【実施例1】本実施例では、図1に示すように、基板1
上に表面エネルギー制御層2、第1下地層3、第2下地
層4、磁性層5及び保護層6を積層した磁気ディスクの
製造方法、並びに、特性測定の結果を説明する。本実施
例では、表面エネルギー制御層としてCr膜を形成し
た。
【0033】(1)表面エネルギー制御層の形成 直径2.5inch(6.35cm)のガラス基板1上
に、表面エネルギー制御層として、Cr膜2をDCスパ
ッタ法により形成した。ターゲットにはメタルボンディ
ングしたCrを、放電ガスにはArをそれぞれ用いた。
スパッタの条件は、Arガス圧が3mTorr(約39
9mPa)、投入DC電力密度が1kW/150mmφ
であった。このようにしてCr膜2を1nmの膜厚に形
成した。
【0034】(2)表面エネルギー制御層のSEMによ
る観察及び表面エネルギー測定結果 Cr膜2を、高分解能反射型電子顕微鏡(SEM)を用
いて観察したところ、Cr膜2は基板上を全て覆ってい
るのではなく、アイランド状に存在していることが分か
った。Cr膜2の表面エネルギーを、図6に示した表面
張力と表面エネルギーの関係を表すグラフを用いて求め
た。Cr膜2の表面張力は、電解液にCr膜2を浸漬さ
せ、静電容量を電位を変えて測定したところ、1100
mN/mであった。この測定値と図6のグラフより求め
たCr膜2の表面エネルギーは、1500erg/cm
(0.15mJ/cm)であった。さらに、このC
r膜を2nm積層すると、SEMによる観察から、平坦
な膜になったことが分かった。この平坦なCr膜2の表
面エネルギーは同様の換算から1800erg/cm
(0.18mJ/cm)であった。
【0035】一方、ここで用いたガラス基板の表面エネ
ルギーは同様の換算により300〜500erg/cm
(0.03〜0.05mJ/cm)であり、NiP
付きのAl基板の表面エネルギーは500〜700er
g/cm(0.05〜0.07mJ/cm)程度で
あった。この上に、表面エネルギー制御層を形成せずに
磁性層等を積層し、磁気記録媒体を形成すると、磁性層
の結晶性が低下することや基板から磁性層がはがれるこ
となどにより、性能や信頼性が不十分で安定した特性が
得られなかった。
【0036】さらに、表面エネルギー制御層の材料をC
r以外の物質に変化させると、密度や原子密度が変化す
るため、表面エネルギーは、例えば、Wでは2600e
rg/cm(0.26mJ/cm)、Tiでは15
00erg/cm(0.15mJ/cm)、Alや
MgOでは1000erg/cm(0.1mJ/cm
)と用いる材料により変化し、適宜選択することがで
きる。さらに、成膜時の圧力や成膜速度、基板温度など
の成膜条件を選択することによっても、10から20%
程度、表面エネルギーを変化させることができた。ただ
し、この表面エネルギー制御層上に形成する磁性層の結
晶性などの制御の容易さを考慮すると、表面エネルギー
は1000〜3000erg/cm(0.1〜0.3
mJ/cm)の範囲で、かつ、表面エネルギー制御層
上に形成する層と同じ材料系の材料で表面エネルギー制
御層を構成するのが好ましい。
【0037】(3)第1下地層、第2下地層、磁性層及
び保護層の形成 次に、この表面エネルギー制御層を積層した基板1上
に、マイクロ波を用いたECRスパッタ法により、第1
下地層であるCr膜3を形成した。この手法で、粒子に
与えられるエネルギーは、表面エネルギー制御層形成の
際に用いたDCスパッタ法でCr粒子に与えられるエネ
ルギーの約10倍であった。ターゲットにはCrを、放
電ガスにArをそれぞれ用いた。スパッタ時のガス圧は
3mTorr(約399mPa)、投入マイクロ波電力
は1kWであった。また、マイクロ波(2.98GH
z)により励起されたプラズマをターゲット方向に、同
時にプラズマにより叩き出されたターゲット粒子を基板
方向に引き込むために、500VのDCバイアス電圧を
基板とターゲット間にを印加した。このようにして第1
下地層であるCr膜3を10nmの膜厚に形成した。
【0038】次いで、第1下地層であるCr膜3上に、
ECRスパッタ法により、第2下地層としてCr85
15膜4を形成した。ターゲットにはCr−Ti合金
を、放電ガスにはArをそれぞれ用いた。ここで、ター
ゲットの合金組成は、材料の組成や成分により得られる
第2下地層の格子定数が異なるため、磁性層に用いる組
成や成分に対応させて変化させる。スパッタ時のガス圧
は0.3mTorr(約39.9mPa)、投入マイク
ロ波電力は1kWであった。また、マイクロ波により励
起されたプラズマをターゲット方向に、同時にプラズマ
により叩き出されたターゲット粒子を基板方向に引き込
むために、500VのDCバイアス電圧をターゲットと
基板間に印加した。このようにして第2下地層であるC
85Ti15膜4を膜厚3nmに形成した。
【0039】次に、上記の第2下地層であるCr85
15膜4上に、磁性層5として、Co69Cr18
10Ta膜を10nm膜厚にDCスパッタ法により
形成した。ターゲットにはCo−Cr−Pt−Ta合金
を、放電ガスにはArをそれぞれ使用した。スパッタ時
のガス圧は3mTorr(約399mPa)、投入DC
電力は1kW/150mmφであった。また、磁性層の
成膜中は、基板を300℃に加熱した。このようにし
て、磁性層であるCo69Cr18Pt10Ta 膜5
を10nmの膜厚に形成した。
【0040】最後に、保護層6として、ECRスパッタ
法により炭素膜を形成した。ターゲットにはリング状の
炭素を、スパッタガスにはArをそれぞれ用いた。スパ
ッタ時のガス圧は0.3mTorr(約39.9mP
a)、投入マイクロ波電力は0.7kWであった。ま
た、マイクロ波により励起されたプラズマをターゲット
方向に、同時にプラズマによって叩き出されたターゲッ
ト粒子を基板方向に引き込むために、500VのDCバ
イアス電圧を基板とターゲット間に印加した。このよう
にして、保護層である炭素膜6を3nmの膜厚に形成
し、図1に示す構造の磁気ディスク10を得た。
【0041】ここで、保護膜の形成にECRスパッタ法
を用いたのは、2〜3nmの極薄膜でも、緻密でかつピ
ンホールがなく、しかも、磁性層を均一な膜厚で一様に
被覆できる炭素膜が得られるからである。これは、RF
スパッタ法やDCスパッタ法で炭素膜を成膜した場合に
比べて顕著な特長である。これに加えて、炭素膜形成時
に磁性層の受けるダメージが著しく小さいという特長も
ある。特に、40Gbits/inch(6.20G
bits/cm)を超える高密度記録を行う場合、磁
性層の膜厚は10nm以下になることが予想されるが、
その場合には保護層の成膜時に磁性層が受けるダメージ
はますます顕著になる。したがって、超高密度磁気記録
用の磁性層の製造を行う場合にECRスパッタ法は極め
て有効な成膜手法となる。
【0042】(4)磁性層のTEMによる観察、X線回
折法による解析及び磁気特性測定 上記の各層の形成プロセスにおいて、磁性層であるCo
69Cr18Pt10Ta膜5を形成後、高分解能透
過型電子顕微鏡(TEM)により、表面の構造及び組織
を観察した。表面には、正六角形の結晶粒子(磁性粒
子)が規則的に配列している様子が観察された。まず、
その結晶粒子径(正六角形の対辺の間隔)を求めた。ラ
ンダムに選択した一辺が200nmの正方形中に存在し
ている粒子について調べたところ、平均粒子径は10n
mであった。この粒子径分布は正規分布をしており、そ
の分布における標準偏差(σ)を求めると0.5nmで
あり、平均粒子径の5%であった。このことは、サイズ
のそろった六角形を有する結晶粒子が、ハニカム状に極
めて規則的に配列していることを示している。また、こ
の積層体の断面構造をTEMにより観察したところ、第
1下地層3上から第2下地層4を介して磁性層5はエピ
タキシャル成長していた。
【0043】比較のために、第1下地層のCr膜3をE
CRスパッタ法で形成しないで、DCスパッタ法で形成
した以外は、上記実施例と同様に、第1下地層のCr膜
上に第2下地層、磁性層及び保護層を積層して磁気ディ
スクを作製した。磁性層形成後の表面をTEMにより観
察したところ、平均粒子径は15nmで、粒子径分布に
おけるσは1.5nmと大きかった。この結果より、E
CRスパッタ法により第1下地層であるCr膜3を形成
すると、磁性層の結晶粒子(磁性粒子)は微細化し、か
つ、その粒子径分布を小さくすることができることが分
かった。
【0044】また、この磁気ディスクの構造をX線回折
法により解析した。はじめに、第2下地層であるCr
85Ti15膜4形成後に解析を行ったところ、Crの
(200)のみが観測され、この第1下地層及び第2下
地層が十分に結晶配向した膜であることが分かった。次
に、磁性層であるCo69Cr18Pt10Ta膜5
を形成後に、X線回折法による同様の解析を行った。得
られた回折プロファイルを図2に示す。これによると、
2θ=62.5°付近にCrの(200)の回折ピーク
が観測された。この他に、2θ=72.5°付近にピー
クが観測された。前述のTEM観察結果と合わせて考え
ると、2θ=72.5°付近のピークは磁性層中のCo
の(11.0)であり、Coが強く配向していることが
分かった。よく知られているように、このCoの(1
1.0)配向は高密度磁気記録に好適な配向性である。
【0045】ここで、表面エネルギー制御層を有してい
ない基板を用いて作製した磁気ディスクについて、上記
と同様のX線回折法による解析を行った。得られた回折
プロファイルでは、Coの(11.0)のピーク強度
は、表面エネルギー制御層を有した磁気ディスクの2/
3程度であり、また、半値幅は1.5倍に増大した。こ
の結果とTEM観察と同時に行った電子回折の測定結果
を合わせて考えると、基板の表面エネルギーを制御する
ことにより磁気ディスク、特に、磁性層の結晶性を大き
く向上させることができることが分かった。
【0046】さらに、磁性層の形成をECRスパッタ法
により行うと、2θ=72.5°付近のCo(11.
0)のピークが、DCスパッタ法により磁性層を形成し
た場合よりも強くなり、かつ、ピークの半値幅も狭くな
ったことから、磁性層の結晶性を向上させることが分か
った。このように、基板の表面エネルギーを制御すると
同時に、ECRスパッタ法を用いて下地層群を形成する
ことを組み合わせることにより、磁性層の結晶性をさら
に大きく向上させることができた。その結果、保磁力及
び磁気異方性の増大、熱揺らぎや熱減磁などの耐熱性の
向上を図ることができる。
【0047】また、この磁気ディスク10の磁気特性を
測定した。得られた磁気特性は、保磁力が3.5kOe
(約276.5kA/m)、Isvが2.5×10
−16emu、M−Hループにおけるヒステリシスの角
型性の指標であるSが0.86、Sが0.91であ
り、良好な磁気特性を有していた。このように、角型性
を示す指標が大きい(角型に近い)のは、磁性結晶粒子
間の相互作用が低減されたためである。
【0048】(5)磁気ディスクの評価 上記のように形成した保護層である炭素膜6表面に潤滑
剤を塗布して磁気ディスク10を完成させた。同様のプ
ロセスにより、複数枚の磁気ディスク10を作製し、磁
気記録装置に同軸上に組み込んだ。この磁気ディスク1
0の記録再生特性を評価した。磁気記録装置の概略構成
を図3及び図4に示す。図3は磁気記録装置60の上面
図であり、図4は図3における破線A−A’方向の磁気
記録装置60の断面図である。記録用磁気磁気ヘッドと
して、2.1Tの高飽和磁束密度を有する軟磁性膜を用
いた薄膜磁気ヘッドを用いた。また、記録信号は、巨大
磁気抵抗効果を有するデュアルスピンバルブ型GMR磁
気ヘッドにより再生した。記録用磁気ヘッド及び再生用
磁気ヘッドは一体化されており、図3及び図4では磁気
ヘッド53として示した。この一体型磁気ヘッドは磁気
ヘッド用駆動系54により制御される。複数の磁気ディ
スク10はスピンドル52により同軸回転される。ここ
で、磁気ヘッド面と磁性層との距離は12nmに保っ
た。この磁気ディスクに40Gbits/inch
(6.20Gbits/cm)に相当する信号を記
録してディスクのS/Nを評価したところ、35dBの
再生出力が得られた。
【0049】ここで、磁気力顕微鏡(MFM)により磁
化反転単位を測定したところ、1ビットのデータを記録
する際に印加した記録磁界に対して粒子2〜3個が一度
に磁化反転した。これは、従来の磁気ディスクの磁化反
転単位5〜10個に比較して、十分に小さい。これと共
に、磁化反転領域の境界に相当するジグザグパターンも
従来の磁気ディスクより著しく小さかった。また、熱揺
らぎや熱による減磁も発生しなかった。これは、磁性層
の磁性粒子径が微細化し、そのばらつきが小さくなった
ことによる効果である。また、このディスクの欠陥レー
トを測定したところ、信号処理を行わない場合の値で、
1×10−5以下であった。
【0050】磁性層に用いる材料や構造、組成により第
2下地層の材料や組成を適宜選択することにより、磁性
層の配向性はさらに精密に制御できる。本実施例では、
下地層は2層であったが、さらにCr−Tiと磁性層の
間に格子整合を調整するための層、例えばCr−Ruの
ようにCr−TiとCo系合金の中間の格子定数を有す
る合金層を第3下地層として用いてもよい。
【0051】本実施例では、磁性層の成膜法にDCマグ
ネトロンスパッタ法を用いたが、前述のようにECRス
パッタ法を用いてもよい。ECRスパッタ法を用いる
と、DCマグネトロンスパッタ法で磁性層を形成した場
合より保磁力が0.5kOe(約39.5kA/m)程
度増大し、また、10nm以下の膜厚でも保磁力の劣化
は見られなかった。さらに、磁気異方性は3倍以上に増
大した。また、ECRスパッタ法を用いると、成膜時の
基板温度が100〜200℃程度の低い温度で成膜でき
るので、結晶粒子径の分散をより小さくできる。したが
って、熱揺らぎや熱減磁などの耐熱性を向上させること
ができる。
【0052】
【実施例2】本実施例では、第1下地層としてCr−T
i合金を用いた以外は、実施例1と同様の材料及び方法
を用いて、図1と同様の構造の磁気ディスクを作製し
た。この磁気ディスクの製造方法及び特性測定結果につ
いて以下に説明する。
【0053】(1)磁気ディスクの製造 基板には、実施例1と同様の手法により表面エネルギー
制御層であるCr膜を形成することによって、表面エネ
ルギーを制御したガラス基板を用いた。この基板上に、
第1下地層としてCr90Ti10膜を、ECRスパッ
タ法により形成した。Arを放電ガスに、Cr−Ti合
金をターゲットにそれぞれ用いた。スパッタ時のガス圧
は0.3mTorr(約39.9mPa)、投入RF電
力は1kWであった。また、プラズマをターゲット方向
に、同時に叩き出されたスパッタ粒子を基板方向に引き
出すために、ターゲットと基板の間に500VのDCバ
イアス電圧を印加した。このようにして、第1下地層で
あるCr90Ti10膜を10nmの膜厚に形成した。
この第1下地層上に、第2下地層としてCr90 10
合金膜を、RFスパッタ法により形成した。Arを放電
ガスに、Cr−W合金をターゲットにそれぞれ用いた。
スパッタ時のガス圧は3mTorr(約399mP
a)、投入RF電力は1kWであった。このようにして
第2下地層であるCr9010膜を膜厚3nmに形成
した。
【0054】上記のように形成した第2下地層であるC
9010膜上に、磁性層としてCo69Cr18
10Ta膜を、ECRスパッタ法により形成した。
ターゲットにはCo−Cr−Pt−Ta合金を、放電ガ
スにはArをそれぞれ使用した。スパッタ時のガス圧
は、0.3mTorr(約39.9mPa)、投入マイ
クロ波電力は0.7kWであった。また、プラズマをタ
ーゲット方向に、同時に叩き出されたスパッタ粒子を基
板方向に引き出すために、ターゲットと基板の間に50
0VのDCバイアス電圧を印加した。成膜中は基板温度
を150℃に保った。このようなECRスパッタ法によ
り磁性層であるCo69Cr18Pt10Ta膜を1
0nmの膜厚に形成した。このように、ECRスパッタ
法を用いることにより、磁性層の成膜時の基板温度が低
く抑制できるので、磁性粒子の異常成長の抑制、内部応
力の低減、各層のスパッタによるダメージの低減などの
効果があった。
【0055】最後に、保護層として炭素膜をECRスパ
ッタ法により形成した。スパッタ時の条件は、実施例1
と同様であった。このようにして炭素膜を5nmの膜厚
に形成し、図1と同様の構造の磁気ディスクを得た。
【0056】(2)磁性層のX線回折法による解析、T
EMによる観察及び磁気特性測定 この磁性層であるCo69Cr18Pt10Ta膜の
構造をX線回折法により解析した結果、実施例1と同様
に磁性層中のCoの(11.0)が強く配向していた。
また、非常に弱いがCrのピークが2θ=44.5°付
近に観察された。
【0057】また、TEMによる磁性層表面の観察から
求めた、磁性層中の磁性粒子の平均粒子径は10nmで
あり、TEMによる同様の第1下地層の観察結果とほぼ
同じであった。この磁性粒子の粒子径分布を求めたとこ
ろ、σは0.7nmであった。このように、磁性層の磁
性粒子は微細化しており、かつ、粒子径のばらつきが小
さいことが分かった。また、TEMによるこの積層体の
断面観察から、磁性層は、第1下地層であるCr90
10膜上から第2下地層であるCr90 膜を介
してエピタキシャル成長していることが分かった。積層
体の断面は、基板から垂直に成長している良好な柱状構
造であり、基板表面から磁性層まで結晶粒子径が変化せ
ず上方に良好なエピタキシャル成長をしていることが分
かった。
【0058】また、この磁性層の磁気特性を測定した。
得られた磁気特性は、保磁力が3.5kOe(約27
6.5kA/m)、Isvが2.5×10−16em
u、M−Hループにおけるヒステリシスの角型性の指標
であるSが0.85、Sが0.90であり、良好な磁
気特性を有していた。
【0059】(3)磁気ディスクの評価 上述のように形成した保護層である炭素膜の表面に潤滑
剤を塗布して磁気ディスクを完成させた。同様のプロセ
スにより複数の磁気ディスクを作製し、磁気記録装置に
同軸上に組み込んだ。磁気記録装置は、実施例1と同様
に図3及び図4に示す構成とした。磁気ヘッドと磁性層
との距離は15nmに保った。このディスクに50Gb
its/inch(7.75Gbits/cm)に
相当する信号を記録してディスクのS/Nを評価した。
その結果、34dBの再生出力が得られた。
【0060】実施例1と同様にMFMにより磁化反転単
位を測定したところ、磁性粒子2〜3個が一度に磁化反
転した。これは、従来の磁気ディスクの磁化反転単位で
ある5〜10個に比較して、十分に小さい。これと共
に、磁化反転領域の境界に相当するジグザグパターンも
従来の磁気ディスクより著しく小さかった。また、熱揺
らぎや熱による減磁も発生しなかった。これは、磁性層
の磁性粒子径が微細化し、そのばらつきが小さくなった
ことによる効果である。また、このディスクの欠陥レー
トを測定したところ、信号処理を行わない場合の値で、
1×10−5以下であった。
【0061】本実施例では、表面エネルギーを制御した
ガラス基板上に磁性層の結晶粒子の格子定数を制御する
ための下地層を2層形成したが、さらにエピタキシャル
成長を促進するには、3層以上の下地層を形成した上に
磁性層を形成してもよい。例えば、第2下地層は、磁性
層と第1下地層との格子定数の差によってはCr/Cr
−Ti/Ni−Taなどのように、第1下地層と磁性層
の格子定数の差を小さくするように、多層膜を用いるこ
とができる。これにより、格子のミスマッチを低減で
き、エピタキシャル成長を促進できるので、磁気特性の
向上を図ることができる。この多層膜は、特に磁性層の
膜厚が10nm以下の極薄膜になった場合に、磁気特性
の維持や向上に効果がある。
【0062】本実施例では、第2下地層にCr合金を用
いたが、これ以外に、例えば、Ni−Al合金やNi−
Ta合金などのNi系合金を用いてもよい。
【0063】上記実施例1及び2では、磁性層にはCo
−Cr−Pt−Ta系を用いたが、Ptの代りにPd、
Tb、Gd、Sm、Nd、Dy、Ho又はEuを用いて
もよく、また、Taの代りにNb、Si、B、Vなどの
元素を用いてもよく、これらの元素を組み合わせて含ん
でもよい。
【0064】
【実施例3】本実施例では、表面エネルギー制御層の厚
さを変化させ、磁気記録用の磁性層にCo−SiO
のグラニュラ型磁性膜を用いた以外は、実施例1と同様
にして図1と同様の構造の磁気ディスク作製した。本実
施例では、表面エネルギー制御層の厚さは0.5nmと
した。
【0065】(1)磁気ディスクの製造 直径2.5inch(6.35cm)のガラス基板上
に、表面エネルギー制御層としてCr膜を、DCスパッ
タ法により形成した。ターゲットにはメタルボンディン
グしたCrを、放電ガスにはArをそれぞれ用いた。ス
パッタの条件は、Arガス圧が3mTorr(約399
mPa)、投入DC電力密度が1kW/150mmφで
あった。このようにして、表面エネルギー制御層である
Cr膜を0.5nmの膜厚に形成した。
【0066】次に、この表面エネルギーを制御した基板
上に、第1下地層としてCr膜を、マイクロ波を用いた
ECRスパッタ法を用いて形成した。ターゲットにはC
rを、放電ガスにはArをそれぞれ用いた。スパッタ時
のガス圧は3mTorr(約399mPa)、投入マイ
クロ波(2.98GHz)電力は1kWであった。ま
た、マイクロ波により励起されたプラズマをターゲット
方向に、同時にプラズマによって叩き出されたターゲッ
ト粒子を基板方向に引き込むために、500VのDCバ
イアス電圧を基板とターゲット間に印加した。このよう
にして形成した第1下地層の膜厚は10nmであった。
また、このECRスパッタ法で粒子に与えられるエネル
ギーは、表面エネルギー制御層形成の際に用いたDCス
パッタ法によってCr粒子に与えられるエネルギーの約
10倍であった。
【0067】上記の第1下地層であるCr膜上に第2下
地層として、Cr85Ti15膜を形成した。ターゲッ
トにはCr−Ti合金を、放電ガスにはArをそれぞれ
用いた。スパッタ時のガス圧は3mTorr(約399
mPa)、投入マイクロ波電力は1kWであった。ま
た、マイクロ波により励起されたプラズマをターゲット
方向に、同時にプラズマにより叩き出されたターゲット
粒子を基板方向に引き込むために、500VのDCバイ
アス電圧を基板とターゲット間に印加した。このように
して第2下地層であるCr85Ti15膜を3nmの膜
厚に形成した。ここで、第2下地層の合金組成は、磁性
層の組成や用いる材料に依存させて変化させ得る。これ
は、材料の組成や成分により形成する第2下地層の格子
定数が異なるからである。
【0068】次いで、第2下地層であるCr85Ti
15膜上に、磁性層としてグラニュラ構造を有するCo
Pt−SiO系磁性膜を、ECRスパッタ法により形
成した。ターゲットには、Co50Pt50−SiO
系混合(混合比:CoPt:SiO=1:1)ターゲ
ットを、放電ガスにはArをそれぞれ使用した。スパッ
タ時の放電ガス圧は0.3mTorr(約39.9mP
a)、投入マイクロ波電力は0.7kWであった。マイ
クロ波により励起されたプラズマをターゲット方向に、
同時にプラズマにより叩き出されたターゲット粒子を基
板方向に引き込むために、500WのRFバイアス電圧
を基板とターゲット間に印加した。磁性層を成膜してい
る間は、基板を200℃に加熱した。このようにして磁
性層であるCoPt−SiO系磁性膜を10nmの膜
厚に形成した。ここで、磁性層の形成にECRスパッタ
法を用いたのは、スパッタ粒子の高精度なエネルギー制
御により、第1下地層上から成長した第2下地層上の配
向した結晶粒子と結晶粒界部とに対応させて、良好に磁
性層のエピタキシャル成長が行えるからである。この磁
性層の上に保護層として炭素膜をECRスパッタ法によ
り形成した。成膜条件は、実施例1と同様である。この
ようにして、図1と同様の構造の磁気ディスクを作製し
た。
【0069】(2)磁気ディスクの観察及び特性測定 上記製造プロセスにおいて表面エネルギー制御層である
Cr薄膜を形成後に、この膜の表面を高分解能SEMに
より観察したところ、Crが直径1〜2mm程度の半球
でアイランド状に存在していた。基板上に表面エネルギ
ー制御層であるCr膜を形成後、その表面エネルギーを
実施例1と同様に求めると、1500erg/cm
(0.15mJ/cm)であった。
【0070】また、第2下地層であるCr85Ti15
膜形成後にX線回折法による解析を行った。その結果、
得られた回折プロファイルにはCrの(200)のみが
観測され、一方位によく配向した膜であることが分かっ
た。
【0071】磁性層であるCoPt−SiO系グラニ
ュラ型磁性膜を形成後に、TEMを用いて、この積層体
の断面を観察した。その結果、第2下地層の結晶粒子上
から磁性層のCoPt(磁性粒子)がエピタキシャル成
長しており、結晶粒子を取囲む非晶質相(結晶粒界部)
からはSiOがそれぞれ成長していた。断面は柱状構
造であり、磁性粒子は、第2下地層の結晶粒子上から、
粒子径を変化させずに上方に良好にエピタキシャル成長
していた。CoPtはSiOに囲まれて磁性粒子同士
が物理的に分離されており、磁性層は磁性粒子間の磁気
的相互作用が大きく低減された構造に成長していること
が分かった。この磁性層の構造は、高密度な磁気記録に
有効である。
【0072】また、TEMによる磁気ディスク表面の観
察から、この表面には規則的な凹凸が存在していた。こ
の表面の凹凸は、原子間力電子顕微鏡(AFM)による
計測では、山(凸部)と山の水平方向の距離が6μm、
山と谷(凹部)の垂直方向の距離が10nm以下(AF
Mの測定下限以下)であった。したがって、この規則的
な凹凸は微小であり、磁気ディスク表面はむしろ平坦で
あることを示している。この程度の凹凸は、磁気ヘッド
のサーボ機能が十分追従できる程度のものである。この
凹凸は、第1下地層及び第2下地層表面の結晶粒子と結
晶粒界部がわずかに成長速度が異なることに由来する凹
凸を反映している。
【0073】上述のように作製した磁気ディスクの磁気
特性を測定した。得られた磁気特性は、保磁力が4.0
kOe(約316kA/m)、Isvが2.5×10
−16emu、M−Hループにおけるヒステリシスの角
型性の指標であるSが0.88、Sが0.93であ
り、良好な磁気特性を有していた。このことは、磁性層
の磁性粒子径が小さく、そのばらつきが小さいこと、さ
らに、磁性粒子間の磁気的相互作用が低減した結果を反
映しているためである。また、粒子径のばらつきが小さ
いため、微小な結晶粒子がほとんど存在しないので、耐
熱揺らぎに優れた媒体であることが理解される。また、
このように、CoにPtを添加した系を用いると、磁気
異方性が増大するとともに、保磁力も増大した。
【0074】比較のため、ECRスパッタ法ではなくマ
グネトロン型RFスパッタ法を用いて、保護層である炭
素膜を形成し磁気ディスクを作製した。マグネトロン型
RFスパッタ法で炭素膜を形成した磁気ディスクの磁気
特性は、保磁力が2.5〜1.8kOe(約197.5
〜約142.2kA/m)に低下していた。その上、そ
の保磁力は1枚の磁気ディスク上に大きなむらを生じて
いた。このように、ECRスパッタ法を用いると、磁性
層を均一な膜厚で被覆でき、緻密な膜が形成できること
に加えて磁性層への損傷も抑制できる。
【0075】(3)磁気ディスクの評価 上述のように形成した保護層である炭素膜の表面に潤滑
剤を塗布して磁気ディスクを完成させた。同様のプロセ
スにより複数の磁気ディスクを作製し、磁気記録装置に
同軸上に組み込んだ。磁気記録装置は、実施例1と同様
に図3及び図4に示す構成とした。磁気ヘッドと磁性層
との距離は12nmに保った。このディスクに50Gb
its/inch(7.75Gbits/cm)に
相当する信号を記録してディスクのS/Nを評価した。
その結果、30dBの再生出力が得られた。
【0076】ここで、実施例1と同様にMFMにより磁
化反転単位を測定したところ、磁性粒子1〜2個が一度
に磁化反転した。これは、従来の磁気ディスクの磁化反
転単位である5〜10個に比較して十分小さい。これと
共に、磁化反転領域の境界部分に相当するジグザグパタ
ーンも従来の磁気ディスクより著しく小さかった。ま
た、熱揺らぎや熱による減磁も発生しなかった。これ
は、磁性層の磁性粒子径のばらつきが小さいことによる
効果である。また、このディスクの欠陥レートを測定し
たところ、信号処理を行わない場合の値で、1×10
−5以下であった。
【0077】ここで、磁気ヘッドと磁気ディスク表面と
の距離を12nmとしたところ、磁気ディスクは安定に
浮上した。しかし、ECRスパッタ法により形成した下
地層群を有していない磁気ディスクを同様の条件で駆動
したところ、安定した再生信号が得られなかったり、ヘ
ッドクラッシュが発生し磁性層が損傷したりした。安定
した再生信号が得られないのは、磁気ディスク表面の凹
凸が大きく、磁気ヘッドと磁気ディスク表面の距離を磁
気記録装置が一定に制御できる範囲を超えているためで
ある。
【0078】本実施例では、磁性層として(Co−P
t)−SiO系グラニュラ型磁性膜を用いたが、Pt
以外に、Pd、Gd、Sm、Pr、Nd、Tb、Dy、
Ho、Y、Laなどの元素を添加したCo合金を用いる
と、磁気異方性をさらに向上させることができる。この
なかでSmやPdをを含む系では、Coとそれら元素が
金属間化合物を作るので、励起された粒子のエネルギー
が高い成膜手法(例えばECRスパッタ法)を用いるこ
とが好ましい。これにより、低い基板温度での成膜が可
能になる。
【0079】本実施例では、磁性層の形成にECRスパ
ッタ法を用いたが、Co−SiO混合(あるいは複
合)のターゲットを用いてマグネトロンスパッタ法など
の成膜手法を用いてもよい。しかし、この場合は、結晶
粒子形状がECRスパッタ法を用いた場合より劣化し、
その結果、磁気特性や記録再生特性がやや劣化すること
がある。また、層間の物質拡散も生じ、特に、10nm
以下の超薄膜の場合はその影響は顕著になるので、EC
Rスパッタ法の方が好ましい。
【0080】
【実施例4】本実施例は、図5に示すように、基板21
上に基板の表面エネルギー制御層22、第1下地層2
3、第2下地層24、第3下地層25、磁性層26及び
保護層27を積層した磁気ディスク30を作製した。以
下に、この磁気ディスク30の製造方法及び特性測定の
結果を説明する。本実施例では、表面エネルギー制御層
22に、第1下地層23と同様の材料のNi−Ta薄膜
を用いた。さらに、下地層を三層構造とし、第1下地層
23にNi−Ta膜、第2下地層24にCr−Ti膜、
第3下地層25にCr−Ru膜をそれぞれ用いた。
【0081】(1)磁気ディスクの製造 基板21として、直径2.5inch(6.35cm)
のガラス基板21を用いた。この基板21上に、表面エ
ネルギー制御層22としてNi−Ta薄膜を、DCスパ
ッタ法により形成した。ターゲットにはメタルボンディ
ングしたNi−Ta合金を、放電ガスにArをそれぞれ
用いた。スパッタの条件は、Arガス圧が3mTorr
(約399mPa)、投入DC電力密度が1kW/15
0mmφであった。このようにして表面エネルギー制御
層であるNi−Ta薄膜22を1nm膜厚に形成した。
【0082】表面エネルギーを制御した基板22上に、
第1下地層23としてNi66Ta 34膜を、ECRス
パッタ法により形成した。ターゲットにはNi−Ta合
金を、放電ガスにはArをそれぞれ使用した。スパッタ
時のガス圧は3mTorr(約399mPa)、投入マ
イクロ波電力は1kWであった。また、マイクロ波によ
り励起されたプラズマをターゲット方向に、同時にプラ
ズマにより叩き出されたターゲット粒子を基板方向に引
き込むために、500VのDCバイアス電圧を基板とタ
ーゲット間に印加した。このようにして第1下地層であ
るNi66Ta 34膜23を膜厚10nmに形成した。
【0083】次に、第1下地層23上に第2下地層24
としてCr90Ti10膜を、ECRスパッタ法により
形成した。ターゲットにはCr−Ti合金を、放電ガス
にはArをそれぞれ用いた。スパッタ時のガス圧は0.
3mTorr(約39.9mPa)、投入マイクロ波電
力は0.7kWであった。また、マイクロ波により励起
されたプラズマをターゲット方向に、同時にプラズマに
より叩き出されたターゲット粒子を基板方向に引き込む
ために、500VのDCバイアス電圧を基板とターゲッ
ト間に印加した。このようにして第2下地層であるCr
90Ti10膜24を膜厚20nmに形成した。ここ
で、第2下地層の合金組成は、磁性層の組成及び成分、
並びに、磁性層の成膜条件に対応させて変化させ得る。
これは、下地層を構成する組成及び成分により下地層の
格子定数が異なるからである。
【0084】上記の第2下地層であるCr90Ti10
膜24に続いて、第3下地層25としてCr95Ru
膜を、DCスパッタ法により形成した。ターゲットには
メタルボンディングしたCr−Ru合金を、放電ガスに
はArをそれぞれ用いた。スパッタの条件は、Arガス
圧が3mTorr(約399mPa)、投入DC電力密
度が1kW/150mmφであった。このようにして第
3下地層であるCr Ru膜25を5nmの膜厚に
形成した。
【0085】この第3下地層であるCr95Ru膜2
5上に、磁性層26として、Co Cr17Pt12
Ta膜をDCスパッタ法により形成した。ターゲット
には、磁性層の合金膜組成と同じ組成(Co68Cr
17Pt12Ta)のCo−Cr−Pt−Ta合金
を、放電ガスにはArをそれぞれ使用した。磁性層を成
膜している間は、基板を150℃に加熱した。スパッタ
時のガス圧は、3mTorr(約399mPa)、投入
DC電力は1kW/150mmφであった。このように
して、磁性層であるCo68Cr17Pt12Ta
26を8nmの膜厚に形成した。
【0086】最後に、保護層27として炭素膜を、EC
Rスパッタ法により形成した。ターゲットには、リング
状のカーボンターゲットを用い、放電ガスにはArを用
いた。スパッタ時のガス圧は0.3mTorr(約3
9.9mPa)、投入マイクロ波電力は0.7kW(周
波数は2.93GHz)、基板温度は室温であった。マ
イクロ波により励起されたプラズマをターゲット方向
に、同時にプラズマにより叩き出されたターゲット粒子
を基板方向に引き込むために、500VのDCバイアス
電圧を基板とターゲット間に印加した。このようにして
炭素膜27を3nmの膜厚に形成し、図5に示した構造
の磁気ディスク30を作製した。
【0087】(2)磁気ディスクの観察及び特性測定 基板21上に表面エネルギー制御層であるNi−Ta膜
22を成膜した後、このNi−Ta膜表面を高分解能S
EMにより観察した。その結果から、このNi−Ta膜
はアイランド状に存在していることが分かった。また、
Ni−Ta膜の表面張力を実施例1と同様に電気化学的
手法を用い、電位を変化させたときの静電容量の変化を
測定して求めたところ、2000mN/mであった。こ
の表面張力の測定値を図6に示したグラフを用いて表面
エネルギーに換算したところ、Ni−Ta膜の表面エネ
ルギーは2200erg/cm(0.22mJ/cm
)であることが分かった。
【0088】次に、磁性層であるCo68Cr17Pt
12Ta膜26を形成後に、TEMによりこの磁性層
表面の構造を観察した。その結果、正六角形を有する磁
性粒子(結晶粒子)が規則的に配列している様子が観察
された。この平面観察から求めた磁性粒子の平均粒子径
(正六角形の対辺の間隔)は10nmであり、この粒子
径分布における標準偏差:σは0.6nmであった。こ
のように、磁性層の磁性粒子は微細化して、かつ、磁性
粒子径のばらつきが小さいことが分かった。このこと
は、サイズのそろった六角形を有する磁性粒子が、ハニ
カム状に規則的に配列していることを示している。この
積層体の断面構造をTEMにより観察したところ、第1
下地層であるNi66Ta34膜23上から、第2下地
層であるCr90Ti10膜24及び第3下地層である
Cr95Ru膜25を介して磁性層との間には、格子
のつながりが見られ、磁性層は第3下地層上からエピタ
キシャル成長していることが分かった。また、第3下地
層の結晶粒子上から成長した磁性粒子と結晶粒界部上か
ら成長した磁性層部分とでは、成長機構が異なり、異な
る金属組織を有していることが分かった。
【0089】また、磁性層26の極微小領域のエネルギ
ー分散型X線分析(μ−EDX分析)により、Co結晶
粒子(磁性粒子)の結晶粒界部にはCrが偏析している
ことが分かった。この偏析効果は磁性層中にTaを含む
ことにより促進される。この偏析促進効果は、Nb、S
i、Tiなどを添加した場合も同様で、TaとNbや、
SiとTaなどの例に代表される2元素を同時に添加さ
せてもよい。特に、2元素を同時に添加すると偏析の効
果が1元素の場合よりさらに促進される。このような偏
析部分は、非磁性的な挙動を示すことが知られており、
この非磁性部分で磁性粒子が取り囲まれることによっ
て、磁性粒子間の磁気的相互作用を低減することが可能
になる。
【0090】また、この磁気ディスク30の構造をX線
回折法により解析した。得られた回折プロファイルで
は、2θ=62.5°付近に観測されたCrの(10
0)のピークに加えて、2θ=72.5°付近にピーク
が観測された。先の下地層群の構造解析ならびにTEM
観察結果と合わせて考えると、このピークは磁性層中の
Coの(11.0)が強く配向していることが分かっ
た。これは、高密度記録に好適な配向性であり、磁性層
において所望の配向性が得られたことが分かる。またこ
の他に、Coの(1120)でも高密度記録に効果的で
ある。
【0091】また、この磁性層の磁気特性を測定した。
得られた磁気特性は、保磁力が3.5kOe(約27
6.5kA/m)、Isvが2.5×10−16em
u、M−Hループにおけるヒステリシスの角型性の指標
であるSが0.89、Sが0.94であり、良好な磁
気特性を有していた。このように、角型性を示す指標が
大きい(角型に近い)のは、第2下地層24及び第3下
地層25を介して第1下地層23の結晶粒子と結晶粒界
部を反映して、それぞれの構造の上に磁性層25の磁性
粒子と磁性粒子を隔てる境界部が成長したことによっ
て、磁性粒子間の相互作用が低減されたためである。こ
の磁気特性は、300℃の高温で作製した磁性層と同等
以上の値を有していた。特に、保磁力と磁気異方性は高
温で作製した場合より増大した。
【0092】(3)磁気ディスクの評価 上述のように形成した保護層である炭素膜27の表面に
潤滑剤を塗布して磁気ディスク30を完成させた。同様
のプロセスにより複数の磁気ディスク30を作製し、磁
気記録装置に同軸上に組み込んだ。磁気記録装置は、実
施例1と同様に図3及び図4に示す構成とした。磁気ヘ
ッドと磁性層との距離は11nmに保った。磁気ギャッ
プは0.12μmであった。このディスクに50Gbi
ts/inch(7.75Gbits/cm)に相
当する信号(約900kFCI)を記録してディスクの
S/Nを評価した。その結果、34dBの再生出力が得
られた。
【0093】ここで、実施例1と同様にMFMにより磁
化反転単位を測定したところ、磁性粒子2〜3個が一度
に磁化反転した。これは、従来の磁気ディスクの磁化反
転単位5〜10個に比較して、十分に小さい。これと共
に、磁化反転領域の境界に相当するジグザグパターンも
従来の磁気ディスクより著しく小さかった。また、熱揺
らぎや熱による減磁も発生しなかった。これは、磁性層
の磁性粒子径のばらつきが小さいことによる効果であ
る。また、このディスクの欠陥レートを測定したとこ
ろ、信号処理を行わない場合の値で、1×10−6以下
であった。
【0094】本実施例では、磁性層の形成にDCスパッ
タ法を用いたが、ECRスパッタ法を用いてもよい。E
CRスパッタ法を用いることにより、磁性層の磁性粒子
径及びその分布の高精度な制御が可能となるため、より
好ましい。さらに、磁性層の保磁力や磁気異方性の増大
を図ることができる。
【0095】
【実施例5】本実施例では、実施例4とは異なる材料を
使用するが、形成する磁気ディスクの構造は実施例4と
同様で、図5に示した構造とした。本実施例では、表面
エネルギー制御層にCr膜、第1下地層にCr膜、第2
下地層にCr−Ti膜、第3下地層にCo−Cr−Ru
膜、磁性層にCo−Cr−Pt−Ta膜、保護層に炭素
膜を用いた。
【0096】(1)磁気ディスクの製造 直径2.5inch(6.35cm)のガラス基板上
に、表面エネルギー制御層としてCr薄膜を、DCスパ
ッタ法により形成した。成膜条件は、実施例1と同様と
した。それゆえ、Cr薄膜の表面エネルギーは1500
erg/cm(0.15mJ/cm)であった。次
いで、第1下地層としてCr膜を、マイクロ波を用いた
ECRスパッタ法により形成した。Crをターゲット
に、Arを放電ガスにそれぞれ使用した。スパッタ時の
ガス圧は0.3mTorr(約39.9mPa)、投入
マイクロ波電力は0.7kWであった。マイクロ波によ
り励起されたプラズマをターゲット方向に、同時にプラ
ズマにより叩き出されたターゲット粒子を基板方向に引
き込むために、500VのDCバイアス電圧を基板とタ
ーゲット間に印加した。このようにして、第1下地層で
あるCr膜を5nmの膜厚に形成した。次に、第2下地
層としてCr85Ti15膜をECRスパッタ法により
形成した。ターゲットにはCr−Ti合金を、放電ガス
にArを用いた。その他の成膜条件は第1下地層と同様
であった。さらに、第2下地層であるCr 85Ti15
膜上に第3下地層としてCo68Cr27Ru合金層
をECRスパッタ法により作製した。ターゲットにはC
o−Cr−Ru合金を、放電ガスにArを用いた。その
他の成膜条件は第1下地層と同様であった。
【0097】第3下地層であるCo68Cr27Ru
合金膜上に、磁性層としてCo69Cr11Pt17
膜を、ECRスパッタ法により形成した。放電ガス
にはArを、ターゲットにはCo69Cr11Pt17
Ta合金ターゲットをそれぞれ使用した。スパッタ時
のガス圧は3mTorr(約399mPa)、投入マイ
クロ波電力は1kWであった。マイクロ波により励起さ
れたプラズマをターゲット方向に、同時にプラズマによ
り叩き出されたターゲット粒子を基板方向に引き込むた
めに、500VのDCバイアス電圧を基板とターゲット
間に印加した。磁性層を成膜中は、基板を150℃に加
熱した。このようにして磁性層であるCo69Cr11
Pt17Ta膜を膜厚8nmに形成した。
【0098】最後に、上記の磁性層上に保護層として炭
素膜を、ECRスパッタ法により形成した。ターゲット
には、リング状のカーボンターゲットを用い、放電ガス
にはArを用いた。スパッタ時のガス圧は3mTorr
(約399mPa)、投入マイクロ波電力は1kW(周
波数は2.93GHz)、基板温度は室温であった。マ
イクロ波により励起されたプラズマをターゲット方向
に、同時にプラズマにより叩き出されたターゲット粒子
を基板方向に引き込むために、500VのDCバイアス
電圧を基板とターゲット間に印加した。このようにして
炭素膜を3nmの膜厚に形成し、図5と同様の構造の磁
気ディスクを作製した。
【0099】(2)磁性層のTEMによる観察、X線回
折法による解析、磁気特性測定 上述のように得られた磁性層の表面をTEMにより観察
した。その結果、Coが結晶粒子(磁性粒子)として析
出し、その形状は平均粒子径(正六角形の対辺の間隔)
が10nmの正六角形であった。その粒子径分布は、σ
が0.5nm以下と著しく小さかった。磁性層の表面構
造は、第1下地層の結晶形態を反映して、正六角形の結
晶粒子がハニカム状に規則的に配列していた。また、T
EMによりこの積層体の断面構造を観察すると、第1下
地層上から第2及び第3下地層を介して磁性層が成長し
た柱状構造であった。このように、磁性層を3層の下地
層の上に成長させることにより、磁性層の磁性粒子径を
制御できたことが分かった。
【0100】次に、この磁気ディスクの構造をX線回折
法により解析した。得られた回折プロファイルでは、2
θ=62.5°付近にCrの(220)面に対応したピ
ークが観測された。この結果は、TEMによる格子像観
察結果とも一致していた。さらに、2θ=73°付近に
観測されたピークは、磁性層中のCoの(11.0)に
相当していた。一方で、3層からなる下地層群が存在し
ない場合は、同様のX線回折による解析では、Coの
(11.0)面は観測されず、Coの(00.2)が観
測された。このことから、この3層の下地層は磁性層の
配向性制御に大きく寄与していることが分かった。
【0101】一方、基板の表面エネルギー制御層を有し
ていない磁気ディスクの場合は、同様のX線回折による
解析ではCoの(11.0)のピークが弱くなり、か
つ、半値幅が広がり、Coの結晶性が低下した。その結
果、後述する磁気特性の測定を行ったところ、保磁力が
3.2kOe(約252.8kA/m)に減少した。
【0102】次に、この磁性層の磁気特性を測定した。
得られた磁気特性は、保磁力が4.0kOe(約316
kA/m)、Isvが2.5×10−16emu、M−
Hループにおけるヒステリシスの角型性の指標であるS
が0.90、Sが0.93であり、良好な磁気特性を
有していた。このことは、磁性層の磁性粒子径が小さ
く、そのばらつきが小さいこと、さらに、結晶粒子間の
磁気的相互作用が低減した結果を反映しているためであ
る。また、磁性粒子径のばらつきが小さいことから、微
小な結晶粒子がほとんど存在しないので、耐熱揺らぎに
優れた媒体であることが理解される。さらに、3層から
なる下地層を用いると、高い格子整合が得られるため
に、磁性層の膜厚が薄くなっても十分大きな保磁力が得
られた。磁性層がここで形成した膜厚よりさらに厚くな
ると、保磁力はより増大する。
【0103】(3)磁気ディスクの評価 上述のように形成した保護層である炭素膜の表面に潤滑
剤を塗布して磁気ディスクを完成させた。同様のプロセ
スにより複数の磁気ディスクを作製し、磁気記録装置に
同軸上に組み込んだ。磁気記録装置は、実施例1と同様
に図3及び図4に示す構成とした。磁気ヘッドと磁性層
との距離は15nmに保った。このディスクに40Gb
its/inch(6.20Gbits/cm)に
相当する信号(700kFCI)を記録してディスクの
S/Nを評価した。その結果、36dBの再生出力が得
られた。
【0104】ここで、実施例1と同様にMFMにより磁
化反転単位を測定したところ、粒子2〜3個が一度に磁
化反転した。これは、従来の磁気ディスクの磁化反転単
位である5〜10個に比較して十分小さい。これと共
に、磁化反転領域の境界部分に相当するジグザグパター
ンも従来の磁気ディスクより著しく小さかった。また、
熱揺らぎや熱による減磁も発生しなかった。これは、磁
性層の磁性粒子径のばらつきが小さいことによる効果で
ある。また、このディスクの欠陥レートを測定したとこ
ろ、信号処理を行わない場合の値で、1×10−5以下
であった。
【0105】ここで、磁気ヘッドと磁気ディスク表面と
の距離は12nmとしたところ、磁気ヘッドは安定に浮
上した。しかし、ECRスパッタ法により形成した下地
層を有していない磁気ディスクを、同様の条件で駆動し
たところ、安定した再生信号が得られなかったり、ヘッ
ドクラッシュによって磁性層の損傷が発生した。安定し
た再生信号が得られないのは、磁気ディスク表面の凹凸
が大きく、磁気記録装置が磁気ヘッドと磁気ディスク間
の距離を一定に制御できる範囲を超えているためであ
る。
【0106】上記実施例1、2、4、及び5では、磁性
層にCo−Cr−Pt−Ta系合金を用いたが、これ以
外に、Co−Cr−PtやCo−Cr−Taなどの3元
系、あるいはCo−Cr−Pt−Ta−Siなどの5元
系を用いてもよい。さらに、実施例3で用いたように、
磁性層が結晶質相と非晶質相の二相から構成されたグラ
ニュラ構造の磁性層を用いてもよい。この場合、結晶質
相がCoを主体とし、これにNd、Pr、Y、La、S
m、Gd、Tb、Dy、Ho、Pt若しくはPd、又
は、これらの元素の組み合わせを含み、非晶質相が酸化
ケイ素、酸化亜鉛、酸化タンタル若しくは酸化アルミニ
ウム、又は、それらの化合物の組み合わせから構成さ
れ、結晶質層を取囲むように存在していることが好まし
い。
【0107】
【実施例6】本実施例では、基板材料としてアモルファ
スポリオレフィン(APO)やポリカーボネートのよう
な樹脂材料を用い、この基板上に表面エネルギー制御
層、下地層、磁性層、及び保護層を形成して磁気ディス
クを製造する方法を示す。
【0108】アモルファスポリオレフィンの樹脂基板上
に、表面エネルギー制御層としてhcp構造のZr又は
Ti膜を、DCマグネトロンスパッタ法によって形成す
る。放電ガスにはArを、ターゲットには目的の金属を
それぞれ用いる。スパッタ時のガス圧は3mTorr、
投入DC電力は1kWである。このようにして表面エネ
ルギー制御層であるZr又はTi膜を、10〜20nm
の膜厚に形成することができる。
【0109】表面エネルギー制御層上に、下地層である
Cr85Ti15膜を、ECRスパッタ法で形成する。
Cr85Ti15合金をターゲットに、Arを放電ガス
にそれぞれ使用する。スパッタ時のガス圧は0.3mT
orr(約39.9mPa)、投入マイクロ波電力は
0.7kWである。マイクロ波により励起されたプラズ
マをターゲット方向に、同時にプラズマにより叩き出さ
れたターゲット粒子を基板方向に引き込むために、50
0VのDCバイアス電圧を基板とターゲット間に印加す
る。このようにして、下地層であるCr85Ti15
を、実施例5における各下地層と同様に5nmの膜厚に
形成する。このCr85Ti15膜上に、磁性層として
Co69Cr19Pt12膜をDCスパッタ法により形
成する。ターゲットはCr85Ti15合金であり、放
電ガスはArである。スパッタ時のガス圧は10mTo
rr(1.33Pa)、投入DC電力は1kWである。
又、成膜中は基板温度を70℃とした。このようにし
て、磁性層であるCo69Cr 19Pt12膜を、実施
例5と同様の8nmに形成する。さらに、磁性層上にE
CRスパッタ法により、保護層である炭素膜を形成す
る。ターゲットにはリング状のカーボンターゲットを、
放電ガスにはArをそれぞれ使用する。スパッタ時のガ
ス圧は0.3mTorr(約39.9mPa)、投入マ
イクロ波電力は0.7kWである。マイクロ波により励
起されたプラズマをターゲット方向に、同時にプラズマ
により叩き出されたターゲット粒子を基板方向に引き込
むために、500VのDCバイアス電圧を基板とターゲ
ット間に印加する。このようにして、実施例5と同様に
保護層である炭素膜を3nmの膜厚に形成して磁気ディ
スクを完成することができる。
【0110】本実施例では、実施例1〜5と異なり、磁
性層形成の際のガス圧が10mTorrと高くなってい
るが、これはCrの磁性粒子周辺における偏析構造を促
進するためである。一方で、磁性層形成にECRスパッ
タ法を用いれば、0.3mTorr程度のガス圧でCr
の偏析構造を得ることができる。また、下地層を形成す
ることによって磁性層中の磁性粒子の下地層上からの良
好なエピタキシャル成長ができるため、磁性粒子の平均
粒子径が10nm程度に微細化でき、かつ、磁性層中の
Coの配向性の制御も可能となる。
【0111】上記のようにして得られる磁気ディスクを
実施例1〜5と同様の磁気記録装置に組み込み、記録再
製特性を評価することができる。磁気記録装置は、実施
例1と同様に図3及び図4に示す構成とし、磁気ヘッド
と磁性層との距離は20nmに保った。このディスクに
40Gbits/inch(6.20Gbits/c
)に相当する信号(700kFCI)を記録してデ
ィスクのS/Nを評価したところ、31dBの再生出力
が得られた。
【0112】また、実施例1〜5と同様にMFMにより
得られた磁気ディスクの磁化反転単位を測定すると、磁
性粒子2〜3個が一度に磁化反転した。これは、従来の
磁気ディスクの磁化反転単位である5〜10個に比較し
て十分小さい。これは、磁性層の磁性粒子径のばらつき
が小さいことによる効果である。また、このディスクの
欠陥レートを測定したところ、信号処理を行わない場合
の値で、1×10−5以下を得ることができた。
【0113】上記実施例1〜6で用いた基板サイズや形
状は一例であり、いずれのサイズ又は形状の基板を用い
てもよい。また、ガラス、樹脂等いずれの材質の基板を
用いてもよく、AlやAl合金の基板上にNiPをメッ
キ法により形成した基板を用いてもよい。実施例6では
樹脂基板としてアモルファスポリオレフィン基板を用い
たが、ポリカーボネート基板を用いても同様の結果が得
られると分かった。
【0114】上記実施例1〜6では、保護層形成の際の
スパッタガスにArを使用したが、窒素を含む混合ガ
ス、あるいは窒素と水素を含む混合ガスを用いてもよ
い。これらの混合ガスを用いると、得られる炭素膜が緻
密化し、保護性能を向上させることができる。さらに、
炭素は導電体であるが、RFバイアス電圧を印加して引
き込んでもよい。
【0115】
【発明の効果】本発明によれば、磁気記録媒体に用いら
れる基板の表面エネルギーを制御することにより、Co
系磁性膜の結晶構造、特に結晶性を向上できるので、磁
気特性を向上することができる。同時に、磁気記録媒体
の結晶粒子の微細化及びその分布の低減を促進できる。
これにより、磁気記録媒体のノイズの低減、熱揺らぎや
熱減磁の低減に効果がある。また、磁性層の配向性の制
御により、高密度磁気記録に適した配向を有した磁性層
を得ることができた。また、6〜8nm程度に磁性層が
薄膜化しても磁気特性の低下はなく、特性劣化を抑制で
きた。また、基板の表面エネルギーを制御することによ
り、基板材料の選択範囲が広がり、磁気記録媒体の製造
コストを低減することができる。
【0116】本発明により、40Gbits/inch
(6.20Gbits/cm)を超える超高密度磁
気記録が可能な磁気記録媒体を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1に係る磁気ディスクの断面構造を示す
模式図である。
【図2】実施例2に係る磁気ディスクのX線回折プロフ
ァイルである。
【図3】本発明の一例である磁気記録装置の上面の概略
構成図である。
【図4】図3における磁気記録装置のA−A’方向にお
ける断面図である。
【図5】実施例4に係る磁気ディスクの断面構造を示す
模式図である。
【図6】表面エネルギーと表面張力の関係図である。
【図7】表面張力と原子密度の関係図である。
【図8】表面張力と密度の関係図である。
【図9】表面張力とイオン半径の関係図である。
【図10】表面張力と融点の関係図である。
【符号の説明】
1、21 基板 2、22 表面エネルギー制御層 3、23 第1下地層 4、24 第2下地層 5、26 磁性層 6、27 保護層 10、30 磁気ディスク 25 第3下地層 51 回転駆動系 52 スピンドル 53 磁気ヘッド 54 磁気ヘッド用駆動系 60 磁気記録装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 曽谷 朋子 大阪府茨木市丑寅一丁目1番88号 日立マ クセル株式会社内 (72)発明者 竹内 輝明 大阪府茨木市丑寅一丁目1番88号 日立マ クセル株式会社内 (72)発明者 若林 康一郎 大阪府茨木市丑寅一丁目1番88号 日立マ クセル株式会社内 (72)発明者 水村 哲夫 大阪府茨木市丑寅一丁目1番88号 日立マ クセル株式会社内 (72)発明者 坂本 晴美 大阪府茨木市丑寅一丁目1番88号 日立マ クセル株式会社内 (72)発明者 小沼 剛 大阪府茨木市丑寅一丁目1番88号 日立マ クセル株式会社内 Fターム(参考) 5D112 AA03 AA05 AA11 BB05 BD01 BD04 FA04

Claims (37)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に薄膜を形成する方法において、 基板の表面エネルギーを0.1〜0.3mJ/cm
    調整する工程と;表面エネルギーを調整した基板上に薄
    膜を形成する工程と;を含む薄膜の形成方法。
  2. 【請求項2】 上記表面エネルギーを調整するために、
    基板の表面張力、基板を構成する原子のイオン半径、基
    板を構成する原子の原子密度、基板の密度、基板の融点
    からなる群より選ばれた少なくとも1種類のパラメータ
    を制御することを特徴とする請求項1に記載の薄膜の形
    成方法。
  3. 【請求項3】 上記基板上に、表面エネルギーが0.1
    〜0.3mJ/cm の表面エネルギー制御層を設ける
    ことによって、該基板の表面エネルギーを調整すること
    を特徴とする請求項1又は2に記載の薄膜の形成方法。
  4. 【請求項4】 上記表面エネルギー制御層の膜厚が0.
    5〜2nmであることを特徴とする請求項3に記載の薄
    膜の形成方法。
  5. 【請求項5】 上記表面エネルギー制御層が、上記基板
    表面にアイランド状、又は、平坦な薄膜として存在して
    いることを特徴とする請求項3又は4に記載の薄膜の形
    成方法。
  6. 【請求項6】 上記表面エネルギー制御層が、Al、C
    r、Ni、Ta、Nb、Mo、Ti、Co、Zr、R
    u、W及びVからなる群より選ばれた少なくとも1種類
    の元素を含む合金であることを特徴とする請求項3〜5
    のいずれか一項に記載の薄膜の形成方法。
  7. 【請求項7】 上記表面エネルギー制御層の形成工程に
    おいて、表面エネルギー制御層の材料、膜形成の方法、
    膜形成時の雰囲気圧力、膜形成時に投入するエネルギ
    ー、形成する表面エネルギー制御層の厚さ及び形成する
    表面エネルギー制御層の形態からなる群より選ばれた少
    なくとも1つを制御することを特徴とする請求項3〜6
    のいずれか一項に記載の薄膜の形成方法。
  8. 【請求項8】 上記表面エネルギー制御層を高周波スパ
    ッタ法、又は直流スパッタ法により形成することを特徴
    とする請求項7に記載の薄膜の製造方法。
  9. 【請求項9】 上記表面エネルギー制御層の成膜方法
    と、該表面エネルギー制御層上に形成する薄膜の成膜方
    法が異なることを特徴とする請求項3〜8のいずれか一
    項に記載の薄膜の形成方法。
  10. 【請求項10】 上記表面エネルギー制御層の成膜方法
    における、該表面エネルギー制御層を形成する粒子の有
    するエネルギーが、上記薄膜の成膜方法における、該薄
    膜を形成する粒子の有するエネルギーより小さいことを
    特徴とする請求項9に記載の薄膜の形成方法。
  11. 【請求項11】 上記薄膜の成膜方法が、上記表面エネ
    ルギー制御層上に、共鳴吸収によりプラズマを発生さ
    せ、発生したプラズマをターゲットに衝突させてターゲ
    ット粒子をスパッタさせ、上記基板とターゲットの間に
    バイアス電圧を印加することにより、スパッタしたター
    ゲット粒子を上記表面エネルギー制御層上に誘導しつつ
    堆積させて上記薄膜を形成することを含むことを特徴と
    する請求項10に記載の薄膜の形成方法。
  12. 【請求項12】 上記共鳴吸収に電子サイクロトロン共
    鳴を用いることを特徴とする請求項11に記載の薄膜の
    形成方法。
  13. 【請求項13】 上記薄膜が情報を記録するための磁性
    層であることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一
    項に記載の薄膜の形成方法。
  14. 【請求項14】 上記表面エネルギー制御層により、上
    記磁性層の結晶構造、結晶配向性、磁性粒子径、磁性粒
    子径分布及び磁性層中の元素の偏析状態からなる群より
    選ばれた少なくとも1つのパラメータを制御することを
    特徴とする請求項13に記載の薄膜の形成方法。
  15. 【請求項15】 上記磁性層の結晶配向性がCoの(1
    1.0)又は(1120)であることを特徴とする請求
    項13又は14に記載の薄膜の形成方法。
  16. 【請求項16】上記磁性層の磁性粒子径の分布における
    標準偏差が平均粒子径の8%以下であることを特徴とす
    る請求項13〜15のいずれか一項に記載の薄膜の形成
    方法。
  17. 【請求項17】 上記磁性層が、Cr、Pt、Ta、N
    b、Ti、Si、P、Pd、B、V、Tb、Gd、S
    m、Nd、Dy及びHoからなる群より選ばれた少なく
    とも1種類の元素を含むCo合金であることを特徴とす
    る請求項13〜16のいずれか一項に記載の薄膜の形成
    方法。
  18. 【請求項18】 上記磁性層がCrを含み、該Crが磁
    性粒子の粒界近傍あるいは粒界に偏在していることを特
    徴とする請求項17に記載の薄膜の形成方法。
  19. 【請求項19】 上記磁性層が、Ti、Si、B、P、
    Ta及びNbからなる群より選ばれた少なくとも1種類
    の元素を含むことを特徴とする請求項18に記載の薄膜
    の形成方法。
  20. 【請求項20】 上記磁性層が結晶質相と非晶質相の2
    つの相から構成され、結晶質相がCo又はCo合金であ
    り、該Co合金がNd、Pr、Y、La、Sm、Gd、
    Tb、Dy、Ho、Pt、Pd、Si、B、P、Pd及
    びBからなる群より選ばれた少なくとも1種類を含み、
    該結晶質相を取囲むように該非晶質相が存在しており、
    該非晶質相がSiO、Al、TiO、Zn
    O、SiO及びSiからなる群より選ばれた少な
    くとも1種類の化合物であることを特徴とする請求項1
    3〜16のいずれか一項に記載の薄膜の形成方法。
  21. 【請求項21】 さらに、上記表面エネルギー制御層と
    上記磁性層との間に下地層を形成する工程を含むことを
    特徴とする請求項13〜20のいずれか一項に記載の薄
    膜の形成方法。
  22. 【請求項22】 上記表面エネルギー制御層を構成する
    材料が、上記下地層に含まれることを特徴とする請求項
    21に記載の薄膜の形成方法。
  23. 【請求項23】 上記下地層を形成する工程が、共鳴吸
    収によりプラズマを発生させ、発生したプラズマをター
    ゲットに衝突させてターゲット粒子をスパッタさせ、上
    記基板とターゲットの間にバイアス電圧を印加すること
    により、スパッタしたターゲット粒子を上記表面エネル
    ギー制御層上に誘導しつつ堆積させることを含むことを
    特徴とする請求項21又は22に記載の薄膜の形成方
    法。
  24. 【請求項24】 上記下地層の膜厚が1〜10nmであ
    ることを特徴とする請求項21〜23のいずれか一項に
    記載の薄膜の形成方法。
  25. 【請求項25】 上記下地層が、bcc構造あるいはB
    2構造を有し、Cr若しくはNi、又は、Cr合金若し
    くはNi合金であることを特徴とする請求項21〜24
    のいずれか一項に記載の薄膜の形成方法。
  26. 【請求項26】 上記Cr合金又はNi合金が、Cr、
    Ti、Ta、V、Ru、W、Mo、Nb、Ni、Zr及
    びAlからなる群より選ばれた少なくとも1種類の元素
    を含むことを特徴とする請求項25に記載の薄膜の形成
    方法。
  27. 【請求項27】 上記下地層の結晶方位が一定の方位に
    配向していることを特徴とする請求項21〜26のいず
    れか一項に記載の薄膜の形成方法。
  28. 【請求項28】 上記下地層が、上記磁性層の、密度、
    表面の平坦性、結晶配向性、結晶成長の方位、結晶構
    造、磁性粒子径及び磁性粒子径分布からなる群より選ば
    れた少なくとも1つのパラメータを制御することを特徴
    とする請求項21〜27のいずれか一項に記載の薄膜の
    形成方法。
  29. 【請求項29】 上記磁性層の有する組織及び磁性粒子
    径が、上記下地層の有する組織及び結晶粒子径と実質的
    に等しいことを特徴とする請求項28に記載の薄膜の形
    成方法。
  30. 【請求項30】 上記下地層上に上記磁性層が、エピタ
    キシャル成長していることを特徴とする請求項21〜2
    9のいずれか一項に記載の薄膜の形成方法。
  31. 【請求項31】 上記磁性層及び上記下地層は、基板と
    垂直方向に柱状の構造を有することを特徴とする請求項
    21〜30のいずれか一項に記載の薄膜の形成方法。
  32. 【請求項32】 上記基板が樹脂基板であることを特徴
    とする請求項1〜31のいずれか一項に記載の薄膜の形
    成方法。
  33. 【請求項33】 基板上に薄膜を形成し、磁気記録媒体
    を製造する方法において、基板の表面エネルギーを0.
    1〜0.3mJ/cmに調整する工程と;表面エネル
    ギーを調整した基板上に磁性層を形成する工程と;を含
    む磁気記録媒体の製造方法。
  34. 【請求項34】 上記基板が樹脂基板であることを特徴
    とする請求項33に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  35. 【請求項35】 少なくとも一つの、上記請求項33又
    は34に記載の方法で製造した磁気記録媒体と;情報を
    記録又は消去するための磁気ヘッドと;上記磁気ヘッド
    を上記磁気記録媒体に対して駆動するための駆動装置
    と;を有する磁気記録装置。
  36. 【請求項36】 上記少なくとも一つの磁気記録媒体が
    複数の磁気ディスクであり、該複数の磁気ディスクを同
    軸上に回転させるための回転駆動装置を備える請求項3
    5に記載の磁気記録装置。
  37. 【請求項37】 面記録密度が40Gbits/inc
    を超える密度であることを特徴とする請求項35又
    は36に記載の磁気記録装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006108291A (ja) * 2004-10-04 2006-04-20 Seiko Epson Corp 強誘電体キャパシタ及びその製造方法、並びに強誘電体メモリ装置
JP2010027197A (ja) * 2008-07-23 2010-02-04 Seagate Technology Llc 酸化されたコンフォーマルキャップ層

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