JP2001229520A - 磁気記録媒体及び磁気記録装置 - Google Patents

磁気記録媒体及び磁気記録装置

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JP2001229520A
JP2001229520A JP2000033901A JP2000033901A JP2001229520A JP 2001229520 A JP2001229520 A JP 2001229520A JP 2000033901 A JP2000033901 A JP 2000033901A JP 2000033901 A JP2000033901 A JP 2000033901A JP 2001229520 A JP2001229520 A JP 2001229520A
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JP2000033901A
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English (en)
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Fumiyoshi Kirino
文良 桐野
Nobuyuki Inaba
信幸 稲葉
Tomoko Sotani
朋子 曽谷
Teruaki Takeuchi
輝明 竹内
Koichiro Wakabayashi
康一郎 若林
Harumi Sakamoto
晴美 坂本
Tetsuo Mizumura
哲夫 水村
Takeshi Konuma
剛 小沼
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Hitachi Maxell Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 磁性層中の磁性粒子間の磁気的相互作用を低
減し、高密度記録可能な磁気記録媒体を提供する。 【解決手段】 Co−Cr系磁性膜を用いた磁気記録媒
体は、磁性層と直接接する下地層にCrを含む。この下
地層を用いることにより、磁性層中のCrの偏析が促進
され、Coを主体とする磁性粒子(結晶粒子)の結晶粒
界部及びその近傍に非磁性のCrの偏析部分を存在させ
ることができる。このように磁性粒子同士を非磁性の境
界部で囲むことにより、磁性粒子間の磁気的相互作用を
低減できる。これにより、記録時に磁性粒子の磁化反転
単位を低減し、40Gbits/inchを超える超
高密度磁気記録媒体を提供できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高密度記録可能な
磁気記録媒体及びその磁気記録媒体を装着した磁気記録
装置に関し、特に、磁性層中のCrの偏析によって磁性
粒子間の磁気的相互作用を低減し、高密度記録を実現し
た磁気記録媒体及びその磁気記録媒体を装着した磁気記
録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年の高度情報化社会の進展にはめざま
しいものがあり、各種形態の情報を取り扱うマルチメデ
ィアが急速に普及してきている。マルチメディアの一つ
としてコンピュータ等に装着する磁気記録装置がある。
現在、磁気記録装置は、記録密度を向上させつつ小型化
する方向に開発が進められている。
【0003】磁気記録装置の高記録密度化を実現するた
めに、(1)磁気記録媒体と磁気ヘッドとの間隔を狭め
ること、(2)磁気記録媒体の保磁力を増大させるこ
と、(3)信号処理を高速化かつ高性能化すること、
(4)熱揺らぎの小さい磁気記録媒体を開発することな
どが要望されている。
【0004】ところで、磁気記録媒体は基板上に磁性粒
子が集合してなる磁性層を有しており、磁気ヘッドによ
りいくつかの磁性粒子がまとまって(クラスターとし
て)同方向に磁化されることによって情報が記録され
る。それゆえ、高密度記録を実現するには磁性層の保磁
力の増大に加え、この磁性層中で一度に同方向に磁化さ
れ得る最小面積、即ち磁化反転が生じ得る単位面積を小
さくする必要がある。磁化反転単位面積を小さくするに
は、個々の磁性粒子を微細化するか、あるいは磁化反転
単位を構成する磁性粒子数を減らすことが必要である。
例えば、40Gbits/inch(6.20Gbi
ts/cm)を超える記録密度を達成するためには、
磁性粒子径を10nm以下に制御することが必要とされ
ている。また、磁性粒子を微細化する際に粒子径のばら
つきを低減するとともに、熱揺らぎを小さくする対策も
必要となってきている。これらを実現する試みとして、
例えば、米国特許第4、652、499号に開示されて
いるように、基板と磁性層との間にシード膜を設けるこ
とが提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
米国特許では、シード膜上に形成した磁性層の磁性粒子
径及びその分布は小さくなるものの、40Gbits/
inch(6.20Gbits/cm)を超える高
密度記録を達成することは困難であった。シード膜の材
料、成膜条件、構造などを調整しても、高密度記録に用
いるには、磁性層の磁性粒子径分布がなおブロードであ
り、磁性粒子の理想的な大きさは直径10nm程度であ
るが、平均よりも微小な粒子や粗大化した粒子などがか
なり混在していた。これら粒子径のばらついた磁性粒子
は、情報を記録する場合(磁化を反転させる場合)に、
周囲の磁性粒子からの漏洩磁界の影響である磁気的相互
作用を受けるため、磁化反転単位が磁性粒子5〜10個
と大きかった。また、微小な磁性粒子が混在する結果、
熱揺らぎなどが生じて高密度記録は安定して行えなかっ
た。加えて、磁化反転の起きた領域と起きていない領域
の境界線は全体としてジグザグのパターンを呈し、この
こともノイズ増大の一因であった。
【0006】そこで、本発明の第1の目的は、記録や消
去時の磁性粒子の磁化反転単位が低減された磁気記録媒
体及びそれを装着した磁気記録装置を提供することにあ
る。
【0007】本発明の第2の目的は、低ノイズ、低熱揺
らぎ、及び低熱減磁の磁気記録媒体、並びに、それを装
着した磁気記録装置を提供することにある。
【0008】本発明の第3の目的は、40Gbits/
inch(6.20Gbits/cm)を超える超
高密度磁気記録媒体及びそれを装着した磁気記録装置を
提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の態様に従
えば、基板と;Crを含む下地層と;上記下地層に接
し、情報を記録するためのCo−Cr系磁性層と;を備
え、上記磁性層が、Coを含む磁性粒子の粒界にCrが
偏析している構造を有することを特徴とする磁気記録媒
体が提供される。
【0010】本発明の磁気記録媒体は、磁気記録用の磁
性層材料として主成分としてのCoとCrを含む。Co
は主として磁性粒子を構成し、磁性粒子は磁性層中にほ
ぼ揃った形状で配列する。前述のように、磁性粒子間に
は磁気的相互作用が存在するために、磁気記録の際には
この磁性粒子数個がまとまって磁化反転単位として挙動
し、記録磁区を構成する。Co磁性層中にCrを含む
と、このCrが磁性粒子(結晶粒子)の粒界部に偏析し
易くなる。この他に、磁性層中にTaやNbなどの元素
を含むと、Crの偏析はさらに促進される。しかし、こ
れらの元素を過剰に添加すると、Crの偏析は促進され
るものの、磁気特性、例えば、保磁力が低下してしまう
ため、添加量には限界があり、Crの偏析効果と磁気特
性とを両立させることは困難であった。本発明者らは、
そこで、下地層を磁性層と接するように設け、この下地
層中にCrを含ませると、磁性層中のCrがCoを含む
磁性粒子の周囲に一層偏析し易くなることを見出した。
この理由は明確ではないが、下地層中のCrが結晶核と
なることで磁性層中のCrの偏析の成長を促進している
と考えられる。このようにCrの結晶粒界部での偏析が
促進されることにより、磁性粒子同士の磁気的相互作用
が切断され、磁化反転単位を一層小さくすることが可能
となる。
【0011】下地層を複数設ける場合には、上記のよう
に磁性層と接する最も基板から離れた層には、Crを含
ませて磁性層中のCrの偏析を促進する役割を持たせ
る。本明細書においては、複数の下地層が存在する場合
には基板と接する下地層を第1下地層、第1下地層上に
形成する下地層を第2下地層のように順に番号を付す。
磁性層と接する下地層以下の層は、それぞれの層の組成
に応じて少しずつ異なる格子定数を有し、基板上の第1
下地層上から最終的には磁性層を良好なエピタキシャル
成長させる役割を有している。磁性層の格子定数と、磁
性層に接する下地層の格子定数の差は、5%以下が好ま
しい。磁性層の有する格子定数と、磁性層に接する下地
層との格子定数が10%以上異なると、磁性層はこの下
地層上からエピタキシャル成長しなくなるためである。
一方で、基板上に形成する第1下地層は、磁性層の構造
や、磁性粒子の結晶配向性などを制御する役割を有して
いる。第1下地層と磁性層との間にさらなる下地層、例
えば、第2、第3下地層を設けることにより、この第1
下地層の構造や配向性を反映させて磁性層を成長させる
ことができ、それによって、磁性層中の磁性粒子に高密
度記録に好適な構造や結晶配向性を持たせることができ
る。第1下地層の膜厚は2nm〜10nmであることが
好ましい。そして、上述したように磁性層に接する下地
層にはCrを含ませて、磁性層をエピタキシャル成長さ
せると共に磁性層中のCrの偏析を促進させる。
【0012】磁性層中のCrの偏析構造は、その磁性粒
子を取り囲む偏析部分の幅(基板と平行な面内における
偏析部分の厚み)が、磁性粒子の平均粒子径の6%〜1
0%であることが好ましい。偏析部分の幅は、磁性粒子
の粒子径にも依存する。磁性粒子の粒子径が10〜20
nmの範囲では、偏析部分の幅はその6〜10%になり
得る。磁性粒子の粒子径が10nm以下では、偏析部分
の幅は0.5nm程度でほぼ一定となる。偏析部分の幅
を考慮すると、磁性粒子の粒子径は8〜25nmが好ま
しい。また、磁性層中の偏析部分のCrの濃度は、磁性
層におけるCrの平均濃度よりも5at%〜10at%
高くなっていることが好ましい。このように非磁性を示
すCr偏析部分の濃度が従来の磁性層よりも高くなり、
かつ幅も増すことによって、磁性粒子同士がこの非磁性
部分で隔てられ、磁性粒子間の磁気的相互作用を低減し
て磁化反転単位を微小化するのに効果がある。
【0013】磁性層材料は、CoとCrを主体とし、こ
れにPt、Pd、Rh、Ta、Nb、Zr、Ti、S
i、B、P、Gd、Sm、Nd、Dy、Ho、Tb、P
r、Er若しくはEu、又は、それらの元素の組み合わ
せを含んだ合金を用いるのが好適である。
【0014】また、下地層は、Co系磁性層の六方晶の
結晶構造を考慮すると、hcp構造、bcc構造、又は
B2構造の結晶構造が好ましい。さらに、複数の下地層
のうち、磁性層に接する下地層は、その結晶構造が六方
晶であり磁性層と同様であることからhcp構造である
ことが好ましい。このhcp構造の下地層を用いること
によって磁性層をこの下地層上からエピタキシャル成長
させることができ、前述のCrの偏析の効果を促進する
ことができる。
【0015】ここで、複数の下地層のうち、磁性層に接
する下地層はCr又はCr合金が好ましい。それ以外の
下地層は、Ni、Cr、Ni合金又はCr合金が好まし
い。Ni合金は、Nb、Co、Al、Ti、Ta、W、
V、Mo若しくはRu、又は、それらの元素の組み合わ
せとCrとを含むことが好ましい。Cr合金は、Nb、
Co、Ni、Al、Ti、Ta、W、V、Mo若しくは
Ru、又は、それらの元素の組み合わせを含むことが好
ましい。
【0016】ところで、Co−Cr系磁性層において、
Coを主成分として含む結晶粒子の周囲にCrが偏在
(偏析)することが、Ti、Si、B、P、Ta、Nb
の内より選ばれる少なくとも1種類の元素の存在によ
り、そしてまた、成膜時あるいは成膜後の熱処理により
促進される。この偏析効果は、先の元素の存在とCrを
含む下地層との相乗効果により、さらに促進される。偏
析したCrは、後述する実施例で分析結果を示すよう
に、Co結晶粒子の粒界近傍あるいは結晶粒界に析出
(偏析)している。
【0017】この他に、上述したように下地層には、磁
性層の結晶配向性、磁性層の磁性粒子径及びその分布の
制御を行なう役割がある。特に、配向性の制御の結果、
後述する実施例で示すように、得られた磁性層の結晶配
向性は、高密度記録に好適なCoの(11.0)配向で
あった。この他に、高密度記録にはCoの(112
0)も好適であり、この配向の磁性層を用いてもよい。
本明細書中において、2**は、アッパーバー付きの2
を意味する。また、それら下地層を用いた結果、磁性層
の磁性粒子の粒子径を微細化でき、その粒子径分布のば
らつきを抑制できる。具体的には、磁性層の磁性粒子の
粒子径は円形近似での平均粒子径が8〜25nm、特に
8〜10nmであり、かつ、その粒子径分布における標
準偏差は平均粒子径の8%以下であることが好ましい。
また、形成した磁性層は、基板に対して垂直方向の構造
が柱状であることが好ましい。
【0018】ところで、複数の下地層のうち、少なくと
も基板に接する下地層が、共鳴吸収によりプラズマを発
生させ、発生したプラズマをターゲットに衝突させてタ
ーゲット粒子をスパッタさせ、基板とターゲットの間に
バイアス電圧を印加することにより、スパッタしたター
ゲット粒子を基板上に誘導しつつ堆積させて形成されて
いることが好ましい。
【0019】さらに、上記の共鳴吸収が電子サイクロト
ロン共鳴(Electron Cyclotron Resonance:ECR)
であり、成膜に用いる手法がECRスパッタ法であるこ
とが好ましい。また、共鳴吸収により励起したプラズマ
及び該プラズマによって叩き出されたスパッタ粒子のエ
ネルギーを揃えるために、バイアス電圧を印加するが、
そのバイアス電源として直流(DC)電源又は無線周波
数(RF)の交流電源を用いるのが好ましい。このEC
Rスパッタ法を用いて第1下地層を形成すると、スパッ
タ粒子の運動エネルギーを揃えることができるため、成
膜条件を適切に選択することで、第1下地層の結晶構造
や結晶粒子径、粒子径分布のばらつきを精密に制御する
ことができる。
【0020】また、このECRスパッタ法を用いて膜を
積層すると、形成した層とその層に接する層との間で層
間の物質の移動が生じないので、例えば、磁性層におい
ては、磁性層への他の層からの物質の拡散が生じないた
め、磁気特性など磁性層の特性に劣化を生じることがな
い。特に、記録密度の向上により磁気記録媒体の薄膜化
がさらに進んだ場合にも、層間の物質拡散による磁気特
性の劣化を抑制できるので、ECRスパッタ法は高密度
記録可能な磁気記録媒体の製造に好適である。この他
に、ECRスパッタ法には、形成した膜中の結晶欠陥を
低減させ、これにより磁性層中のCrの偏析を促進する
ことができるという効果もある。また、磁性層を低温に
て形成できるので、磁性粒子の粒子径を制御することが
容易である。しかも、磁性粒子の微細化に加えて、粒子
径分布におけるばらつきを著しく小さくできる。したが
って、ECRスパッタ法を用いて製造した磁気ディスク
は、低ノイズであり、熱揺らぎや熱減磁の低減ができ、
高密度記録が可能になる。
【0021】また、ECRスパッタ法を用いることによ
り、磁気ディスクの表面の平坦性を基板表面の粗さに影
響されずに一定値に制御できるので、この手法で表面の
保護層を形成した磁気ディスクは、安定して磁気ヘッド
を走行させることができる。特に、形成した膜の平坦性
は、磁気ヘッドと磁気ディスクの距離が20nm以下の
近接記録において効果があり、超高密度磁気記録を行う
のに有効である。ECRスパッタ法により形成した保護
層である炭素膜は、5nm以下の極薄膜でもアイランド
状になることなく良好な薄膜が形成されており、かつ、
密度も理論密度(炭素原子が空隙なく密に堆積した状態
の密度)の60%以上の高密度であった。また、硬度も
通常のスパッタ法(RFマグネトロン法など)により形
成した膜の2倍以上であり、薄膜であっても十分な保護
機能を有していた。この炭素膜を磁気ディスク用の保護
膜として用いると、5nm以下の極薄膜で磁性層表面が
十分に被覆できるので、磁気ヘッドと磁気ディスク間の
距離を狭めて、記録密度を向上させるのに効果がある。
さらに、磁性層がこの保護膜形成時に磁気的な損傷を受
けないので、製造上の効果も大きい。
【0022】本発明の第2の態様に従えば、本発明の第
1の態様に従った少なくとも一つの磁気記録媒体と;情
報を記録又は消去するための磁気ヘッドと;上記磁気ヘ
ッドを上記磁気記録媒体に対して駆動するための駆動装
置と;を有する磁気記録装置が提供される。
【0023】本発明の磁気記録装置は、本発明の磁気記
録媒体を装着しているので、画像や音声、コードデータ
などの情報を、低熱揺らぎ、低熱減磁、低ノイズで高密
度記録することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】以下に実施例を用いて本発明を詳
細かつ具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施
例に限定されない。
【0025】
【実施例1】本実施例では、図1に示すように、基板1
上に第1下地層2、第2下地層3、第3下地層4、磁性
層5及び保護層6を有する磁気ディスク10を製造する
方法、並びに、磁気ディスクの特性測定の結果を説明す
る。本実施例では、第1下地層にはMgO膜、第2下地
層にはCr膜、第3下地層にはCr85Ru15膜をそ
れぞれ用いた。
【0026】(1)磁気ディスクの製法 直径2.5inch(6.35cm)のガラス基板1上
に、マイクロ波を用いたECR(Electron Cyclotron
Resonance)スパッタ法により第1下地層としてMg
O膜2を形成した。ターゲットにはMgOを、放電ガス
にArガスをそれぞれ用いた。スパッタ時のガス圧は
0.3mTorr(約39.9mPa)、投入マイクロ
波電力(2.98GHz)は0.7kWであった。ま
た、マイクロ波により励起されたプラズマをターゲット
方向に、同時にプラズマによって叩き出されたターゲッ
ト粒子を基板方向に引き込むために、500WのRFバ
イアス電圧を基板とターゲット間に印加した。成膜は室
温で行った。このようにして第1下地層であるMgO膜
2を膜厚20nmに形成した。
【0027】上記の第1下地層であるMgO膜2上に、
第2下地層としてCr膜3を、ECRスパッタ法により
形成した。ターゲットにはCrを、放電ガスにはArを
それぞれ用いた。スパッタ時のガス圧は0.3mTor
r(約39.9mPa)、投入マイクロ波電力は0.7
kWであった。また、マイクロ波により励起されたプラ
ズマをターゲット方向に、同時にプラズマによって叩き
出されたターゲット粒子を基板方向に引き込むために、
500WのRFバイアス電圧を基板とターゲット間に印
加した。このようにして第2下地層であるCr膜3を膜
厚5nmに形成した。
【0028】上記の第2下地層であるCr膜3上に、第
3下地層としてCr85Ru15膜4を、ECRスパッ
タ法により形成した。ターゲットにはCr−Ru合金
を、放電ガスにはArをそれぞれ用いた。スパッタ時の
ガス圧は0.3mTorr(約39.9mPa)、投入
マイクロ波電力は0.7kWであった。また、マイクロ
波により励起されたプラズマをターゲット方向に、同時
にプラズマによって叩き出されたターゲット粒子を基板
方向に引き込むために、500WのRFバイアス電圧を
基板とターゲット間に印加した。このようにして形成し
た第3下地層であるCr85Ru15膜4の膜厚は5n
mであった。ここで、第3下地層4の合金組成は、この
上に形成する磁性層の組成や成分により磁性層の格子定
数が異なるため、それに対応させて変化させ得る。
【0029】上記の第3下地層であるCr85Ru15
膜4上に、磁性層としてCo69Cr18Pt10Ta
膜5を、DCスパッタ法により形成した。ターゲット
にはCo−Cr−Pt−Ta合金を、放電ガスにはAr
をそれぞれ使用した。スパッタ時のガス圧は3mTor
r(約399mPa)、投入DC電力は1kW/150
mmφであった。このようにして磁性層であるCo69
Cr18Pt10Ta 膜5を10nmの膜厚に形成し
た。
【0030】最後に、上記の磁性層5上に保護層として
炭素膜6を、ECRスパッタ法により形成した。ターゲ
ットにはリング状の炭素を、スパッタガスにはArをそ
れぞれ用いた。スパッタ時のガス圧は0.3mTorr
(約39.9mPa)、投入マイクロ波電力は0.7k
Wであった。また、マイクロ波により励起されたプラズ
マをターゲット方向に、同時にプラズマによって叩き出
されたターゲット粒子を基板方向に引き込むために、5
00WのRFバイアス電圧を基板とターゲット間に印加
した。このようにして、保護層である炭素膜6を3nm
の膜厚に形成し、図1に示す構造の磁気ディスク10を
得た。
【0031】ここで、炭素膜6の形成にECRスパッタ
法を用いたのは、2〜3nmの極薄膜でも、緻密でピン
ホールがなく、しかも、磁性層を均一な膜厚で被覆でき
る炭素膜が得られるからである。これは、従来のRFス
パッタ法やDCスパッタ法に比べて顕著な特長である。
これに加えて、炭素膜の形成時に磁性層の受けるダメー
ジが著しく小さいという特長もある。磁性層の高密度記
録化とともに、磁性層は薄膜化されるため、炭素膜成膜
時に受ける磁性層のダメージによる磁気特性の低下が問
題となる。例えば、40Gbits/inchを越え
る高密度記録を行う場合、磁性層の膜厚は10nm以下
になることが予想される。このような場合に、炭素膜の
成膜による磁性層の劣化を抑制できるので、ECRスパ
ッタ法は有効な成膜手法である。
【0032】(2)磁性層のTEMによる観察、X線回
折法による解析、μ−EDXによる分析及び磁気特性測
定 上記のように磁性層であるCo69Cr18Pt10
膜5を形成後に、高分解能透過型電子顕微鏡(TE
M)により、磁性層表面の構造を観察した。磁性層表面
には規則的に配列した結晶粒子(磁性粒子)が観察され
た。結晶粒子は、粒界部を化して互いに隔離されてい
た。まず、この結晶粒子の粒子径を求めた。ランダムに
選択した、一辺が200nmの正方形中に存在している
粒子について調べたところ、平均粒子径は円形近似で1
0nmであった。この結晶粒子径の分布は正規分布をし
ており、この分布における標準偏差(σ)は0.5nm
であり、平均粒子径の5%であった。従来に比較して、
粒子径は微細化し、そのばらつきは小さくなっているこ
とが分かった。次に、粒界部を詳細に観察したところ、
粒界部の幅(結晶粒子間の間隔)は、平均で0.6nm
であり、結晶粒子の平均粒径の約6%であることが分か
った。従来の磁気ディスクでは結晶粒子間の間隔は結晶
粒子の平均粒径の約4%以下であったことからすれば、
本発明の磁気ディスクでは磁性粒子が互いに孤立して隣
接する磁性粒子からの磁気的な影響が低減されていると
いえる。また、この磁性層の断面構造をTEMにより観
察したところ、第3下地層上から磁性層はエピタキシャ
ル成長していることが分かった。一方で、ECRスパッ
タ法で磁性層を形成すると、平均粒子径は同じであった
が、粒子径分布におけるσが0.4nm(平均粒子径の
4%)に減少し、粒子径のばらつきがさらに抑制できる
ことが分かった。
【0033】本実施例では3層の下地層をECRスパッ
タ法により形成したが、3層全てをDCスパッタ法によ
り形成して磁気ディスクを作製した。その結果、室温で
の成膜では、磁性層は第3下地層上からエピタキシャル
成長せず、3次元ランダム配向であった。基板温度を3
00℃にして成膜すると、磁性層の磁性粒子の平均粒子
径は円形近似で20nmであり、粒子径分布におけるσ
は1.8nmであり、平均粒子径の9%であった。この
ように、ECRスパッタ法により形成した複数の下地層
を用いることにより、磁性粒子の微細化、粒子径のばら
つきの低減ができた。本実施例で得られた磁性層の構造
は、高密度記録を行うのに好適な構造である。
【0034】また、この磁気ディスクの構造をX線回折
法により解析した。まず、第1下地層であるMgO膜2
を形成後に行った解析では、MgO膜2は、化学量論組
成を有する膜で、2θ=63°付近にピークを有してい
た。次に、磁性層であるCo Cr18Pt10Ta
膜5を形成後に、同様にX線回折法によりこの積層体
を解析した。得られた回折プロファイルを図2に示す。
図に示すように、2θ=62.5°付近にMgOあるい
はCrの回折ピークが観測された。この他に、2θ=7
2.5°付近にピークが観測された。TEMによる観察
結果と合わせて考えると、2θ=72.5°付近のピー
クは磁性層中のCoの(11.0)であり、Coが強く
配向していることが分かる。よく知られているように、
Coの(11.0)の配向は高密度磁気記録に好適な方
向である。ここで、磁性層の形成をECRスパッタ法に
より行うと、このCo(11.0)を示す2θ=72.
5°付近のピークが、DCスパッタ法により形成した場
合よりも著しく強くなり、かつ、ピークの半値幅も狭く
なった。このことから、磁性層の結晶性が向上している
ことが分かる。このように、共鳴吸収法を用いた成膜法
と下地層群とを組み合わせることにより、磁性層の結晶
性を大きく向上できることが分かった。
【0035】また、この磁気記録媒体の磁気特性を測定
した。得られた磁気特性は、保磁力が3.5kOe(約
276.5kA/m)、Isvが2.5×10−16
mu、M−Hループにおけるヒステリシスの角型性の指
標であるSが0.91、Sが0.94であり、良好な
磁気特性を有していた。このように、角型性を示す指標
が大きい(角型に近い)のは、磁性粒子間の磁気的相互
作用が低減されていることを示している。
【0036】ここで、第1下地層であるMgO膜2は配
向性制御を主な役割とし、その上の第2下地層3、第3
下地層4の役割は、磁性層5のエピタキシャル成長を促
進することである。特に、磁性層5のCoの配向性の制
御は、格子定数を磁性層5に近づけて格子整合を取るこ
とで促進される。さらに、磁性層5に接する第3下地層
4がCr−Ru系で、Crを主体としているので、磁性
層5中のCrは、磁性層のCo結晶粒子(磁性粒子)の
粒界近傍に偏析していた。このCrの偏析部分は非磁性
の挙動を示すため、磁性粒子がCrの偏析部分で周囲を
囲まれることにより隔離され、その結果、磁性粒子間の
磁気的な相互作用を低減することができた。このこと
は、角型性の値(SやSの値)の変化として現れる。
例えば、MgO層の上に直接磁性層を形成すると、配向
性は変化ないが、Sが0.86、S が0.88と角型
性が低下した。これは、Crを含まない下地層上に形成
した磁性層では、磁気的相互作用が大きくなることを示
している。この点をさらに詳しく調べるために、Co結
晶粒子の粒界近傍の極微小領域のエネルギー分散型X線
分析(μ−EDX分析)を行ったところ、磁性層のCr
偏析部分では磁性層全体の平均Cr濃度よりも約5%C
r濃度が高かった。さらに、比較例として、Crを含ま
ないMgO上に直接磁性層を形成した磁気ディスクを製
造した。この比較例の磁気ディスクの磁性層のCr偏析
部分と本実施例の磁気ディスクの磁性層のCr偏析部分
のCr濃度を比較したところ、本発明の磁気ディスク
は、比較例の磁気ディスクに比べてCr偏析部分のCr
濃度が約5%高いことがわかった。
【0037】上記のように形成した保護層である炭素膜
6表面に潤滑剤を塗布して磁気ディスク10を完成させ
た。同様のプロセスにより、複数枚の磁気ディスク10
を作製し、磁気記録装置に同軸上に組み込んだ。そし
て、この磁気ディスク10の記録再生特性を評価した。
磁気記録装置の概略構成を図3及び図4に示す。図3は
磁気記録装置60の上面図であり、図4は図3における
破線A−A’方向の磁気記録装置60の断面図である。
記録用磁気磁気ヘッドとして、2.1Tの高飽和磁束密
度を有する軟磁性膜を用いた薄膜磁気ヘッドを用いた。
また、記録信号は、巨大磁気抵抗効果を有するデュアル
スピンバルブ型磁気ヘッドにより再生した。磁気ヘッド
のギャップ長は0.12μmであった。記録用磁気ヘッ
ド及び再生用磁気ヘッドは一体化されており、図3及び
図4では磁気ヘッド53として示した。この一体型磁気
ヘッドは磁気ヘッド用駆動系54により制御される。複
数の磁気ディスク10はスピンドル52により同軸回転
される。ここで、磁気ヘッド面と磁性層との距離は12
nmに保った。この磁気ディスク10に40Gbits
/inch(6.20Gbits/cm)に相当す
る信号を記録してディスクのS/Nを評価したところ、
34dBの再生出力が得られた。
【0038】ここで、磁気力顕微鏡(MFM)により磁
化反転単位を測定したところ、1ビットのデータを記録
する際に印加した記録磁界に対して粒子2〜3個が一度
に磁化反転した。これは、従来の磁気ディスクの磁化反
転単位である5〜10個に比較して、十分に小さい。こ
れと共に、磁化反転領域の境界に相当するジグザグパタ
ーンも従来の磁気ディスクより著しく小さかった。ま
た、熱揺らぎや熱による減磁も発生しなかった。これ
は、磁性層の磁性粒子径が微細化し、そのばらつきが小
さくなったことによる効果である。また、このディスク
の欠陥レートを測定したところ、信号処理を行わない場
合の値で、1×10−5以下であった。
【0039】
【実施例2】本実施例は、第2下地層にNi−Ta合
金、第3下地層にCr−Ti合金を用いた以外は、実施
例1と同様の材料及び方法を用いて磁気ディスクを製造
した。
【0040】(1)磁気ディスクの製法 直径2.5inch(6.35cm)のガラス基板上
に、ECRスパッタ法により第1下地層であるMgO膜
を形成した。成膜条件は、実施例1と同様であり、形成
したMgO膜は5nmの膜厚であった。
【0041】次いで、第2下地層としてNi50Ta
50合金膜を、ECRスパッタ法により形成した。ター
ゲットにはNi−Ta合金を、スパッタガスにはArを
それぞれ用いた。スパッタ時のガス圧は0.3mTor
r(約39.9mPa)、投入マイクロ波電力は1kW
であった。また、マイクロ波により励起されたプラズマ
をターゲット方向に、同時にプラズマによって叩き出さ
れたターゲット粒子を基板方向に引き込むために、50
0VのDCバイアス電圧を基板とターゲット間に印加し
た。このようにして形成した第2下地層であるNi50
Ta50膜の膜厚は、5nmであった。
【0042】次いで、第3下地層として、Cr85Ti
15膜を、ECRスパッタ法により形成した。ターゲッ
トにはCr−Ti合金を、放電ガスとしてArをそれぞ
れ用いた。スパッタ時のガス圧は0.3mTorr(約
39.9mPa)、投入マイクロ波電力は1kWであっ
た。また、マイクロ波により励起されたプラズマをター
ゲット方向に、同時にプラズマによって叩き出されたタ
ーゲット粒子を基板方向に引き込むために、500Vの
DCバイアス電圧を基板とターゲット間に印加した。こ
のようなECRスパッタ法により形成した第3下地層で
あるCr85Ti15膜の膜厚は5nmであった。
【0043】上記のように第3下地層であるCr85
15膜を形成後、実施例1と同様の材料及び方法を用
いて、磁性層としてCo69Cr18Pt10Ta
を、保護層として炭素膜をそれぞれ形成した。このよう
にして、図1と同様の構造の磁気ディスクを形成した。
【0044】ここで、磁性層に用いた組成及び成分によ
り磁性層の格子定数が異なるので、各下地層の合金組成
は、磁性層の組成及び成分に依存させて変化させ得る。
また、第2下地層として、Ni−Ta以外に、例えば、
Ni−Al合金などのNi合金を用いてもNi−Ta同
様の格子定数を整合する効果が得られた。また、第2下
地層は、磁性層と第1下地層との格子定数の差によって
はMgO/Ni−Ta/Cr−Ti/Cr−Ruなどの
ように、4層からなる多層膜を用いると、格子のミスマ
ッチがさらに低減できるので、磁気特性を向上させるこ
とができる。特に、この多層膜は、磁性層の膜厚が10
nm以下の極薄膜を用いる場合、磁気特性の維持又は向
上に効果がある。また、第3下地層と磁性層との格子定
数の差が10%以上の場合は、磁性層は第3下地層上に
エピタキシャル成長しないことが分かった。
【0045】(2)磁性層のTEMによる観察、X線回
折法による解析及び磁気特性測定 上記製造プロセスにおいて、磁性層であるCo69Cr
18Pt10Ta膜を形成後、この磁性層の表面及び
断面をTEMにより観察した。その観察結果により、磁
性層及びこの積層体の構造を解析した。まず、表面の観
察像から、結晶粒子(磁性粒子)の規則的な配列が観察
された。この結晶粒子の粒子径を求めたところ、ランダ
ムに選択した、一辺が200nmの正方形中に存在して
いる粒子について、平均粒子径は円形近似で10nmで
あった。また、この粒子径分布は正規分布をしており、
σは0.5nmであり、平均粒子径の5%であった。ま
た、この磁性層の断面構造をTEMにより観察したとこ
ろ、第3下地層上から磁性層はエピタキシャル成長して
いることが分かった。
【0046】ここで、比較のためにECRスパッタ法で
磁性層を形成すると、平均粒子径は同じであったが、σ
が0.4nm(平均粒子径の4%)に減少した。一方、
ECRスパッタ法を用いずに、全てDCスパッタ法によ
り形成した下地層を用いると、磁性層の室温での成膜で
はエピタキシャル成長せず、磁性層は3次元ランダム配
向であった。磁性層を基板温度を300℃にして成膜す
ると、平均粒子径は円形近似で20nmであり、粒子径
分布におけるσは1.8nmであり、平均粒子径の9%
であった。このように、ECRスパッタ法により形成し
た複数の下地層を用いることにより、結晶粒子の微細
化、粒子径分布のばらつきを低減することができる。こ
れは、高密度記録に好適な構造である。
【0047】次に、この磁気ディスクの構造をX線回折
法により解析した。得られた回折プロファイルは、図2
と同様であり、2θ=62.5°付近にMgOあるいは
Crの回折ピークが観測された。この他に、2θ=7
2.5°付近にピークが観測された。TEMによる観察
結果と合わせて考えると、2θ=72.5°付近のピー
クは磁性層中のCoの(11.0)であり、Coが強く
配向していることが分かった。この配向は高密度磁気記
録に好適な配向である。
【0048】ここで、磁性層の形成をECRスパッタ法
により行うと、2θ=72.5°付近のCoの(11.
0)のピークが、DCスパッタ法により磁性層を形成し
た場合よりも著しく強くなり、かつ、ピークの半値幅も
狭くなったことから、磁性層の結晶性が向上しているこ
とが分かった。このように、ECRスパッタ法と下地層
群とを組み合わせることにより、磁性層の結晶性を大き
く向上させることができることが分かった。
【0049】また、この磁気ディスクの磁気特性を測定
した。得られた磁気特性は、保磁力が3.5kOe(約
276.5kA/m)、Isvが2.5×10−16
mu、M−Hループにおけるヒステリシスの角型性の指
標であるSが0.86、Sが0.91であり、良好な
磁気特性を有していた。このように、角型性を示す指標
が大きい(角型に近い)のは、磁性粒子がCrの偏析に
よって隔てられ、磁性粒子間の磁気的相互作用が低減さ
れたことを示している。
【0050】(3)磁気ディスクの評価 上述のように形成した保護層である炭素膜の表面に潤滑
剤を塗布して磁気ディスクを完成させた。同様のプロセ
スにより複数の磁気ディスクを作製し、磁気記録装置に
同軸上に組み込んだ。磁気記録装置は、実施例1と同様
に図3及び図4に示す構成とした。磁気ヘッドと磁気デ
ィスクとの距離は12nmに保った。このディスクに4
0Gbits/inch(6.20Gbits/cm
)に相当する信号(700kFCI)を記録してディ
スクのS/Nを評価した。その結果、34dBの再生出
力が得られた。
【0051】ここで、実施例1におけると同様にMFM
により磁化反転単位を測定したところ、磁性粒子2〜3
個が一度に磁化反転した。これは、従来の磁気ディスク
の磁化反転単位である5〜10個に比較して十分に小さ
い。これと共に、磁化反転領域の境界部分に相当するジ
グザグパターンも従来の磁気ディスクより著しく小さか
った。また、熱揺らぎや熱による減磁も発生しなかっ
た。これは、磁性層の結晶粒子サイズの分布が小さいこ
とに起因している。また、このディスクの欠陥レートを
測定したところ、信号処理を行わない場合の値で、1×
10−5以下であった。
【0052】
【実施例3】本実施例では、図5に示すように、基板2
1上に第1下地層22、第2下地層23、第3下地層2
4、第4下地層25、磁性層26及び保護層27を有す
る磁気ディスク30を製造する方法、並びに、製造した
磁気ディスク30の特性測定の結果について以下に説明
する。本実施例では、第1下地層にMgO膜22、第2
下地層にCr膜23、第3下地層にCr85Ti15
24、第4下地層にCo75Cr20Ru膜25をそ
れぞれ用いた。
【0053】(1)磁気ディスクの製法 第1下地層であるMgO膜22は、基板21上に、マイ
クロ波を用いたECRスパッタ法を用いて形成した。成
膜条件は実施例1と同様とした。ここで、実施例1と同
様のECRスパッタ法を用いることにより、MgO膜2
2における結晶配向性と表面状態を制御することができ
る。その結果、この上にエピタキシャル成長させて形成
する下地層及び磁性層の構造を制御することができる。
【0054】次に、第2下地層であるCr膜23及び第
3下地層であるCr85Ti15膜24(いずれもbc
c構造)を、ECRスパッタ法により形成した。ターゲ
ットをそれぞれCr及びCr−Ti合金とした以外は、
第2下地層23及び第3下地層24の成膜条件はいずれ
も以下の条件を用いた。スパッタガスにはArを用い、
スパッタ時のガス圧は0.3mTorr(約39.9m
Pa)、投入マイクロ波電力は0.7kWであった。ま
た、マイクロ波により励起されたプラズマをターゲット
方向に、同時に叩き出されたターゲット粒子を基板方向
に引き込むために、500VのDCバイアス電圧を基板
とターゲット間に印加した。このようにして形成した第
2下地層であるCr膜23及び第3下地層であるCr
85Ti15膜24の膜厚はいずれも5nmであった。
【0055】次いで、第4下地層としてhcp構造のC
75Cr20Ru膜25を、ECRスパッタ法によ
り形成した。ターゲットにはCo−Cr−Ru合金を、
スパッタガスにはArをそれぞれ用いた。スパッタ時の
ガス圧は0.3mTorr(約39.9mPa)であ
り、投入マイクロ波電力は0.7kWであった。また、
マイクロ波により励起されたプラズマをターゲット方向
に、同時に叩き出されたターゲット粒子を基板方向に引
き込むために、500VのDCバイアス電圧を基板とタ
ーゲット間に印加した。このようにして第4下地層であ
るCo75Cr Ru膜25を5nmの膜厚に形成
した。
【0056】次いで、第4下地層であるCo75Cr
20Ru膜25上に、実施例1と同様のCo−Cr−
Pt−Ta系の磁性層26を、DCスパッタ法により形
成した。基板温度は100℃であり、スパッタ時のガス
圧は3mTorr(約399mPa)であり、投入DC
電力は1kWであった。このようにして形成した磁性層
であるCo69Cr18Pt10Ta膜26の膜厚は
8nmであった。
【0057】最後に、上記のCo69Cr18Pt10
Ta膜26を形成後に、保護層である炭素膜27を、
ECRスパッタ法により形成した。成膜条件は実施例1
と同様であり、形成した炭素膜27の膜厚は5nmであ
った。このようにして、図5に示した構造の磁気ディス
ク30を作製した。
【0058】(2)磁性層のTEMによる観察、X線回
折法による解析、磁気特性測定 上記のように得られた磁性層26の表面をTEMにより
観察した。観察された表面の組織は、Coが結晶粒子
(磁性粒子)として析出し、その形状は円形近似で平均
粒子径が10nmであり、粒子径分布におけるσは0.
6nmであった。また、TEMによりこの積層体の断面
構造を調べてみると、第1下地層上から磁性層へ上方に
連続した、粒子径を保った良好な柱状組織であった。こ
のように、磁性層を複数の下地層上に成長させることに
より、磁性層の磁性粒子径を制御することができた。
【0059】また、このようにして作製した磁気ディス
クの構造をX線回折法により解析した。得られた回折プ
ロファイルにはまず、2θ=62.5°付近に下地層中
に含まれるCrの(220)面に対応したピークが観測
された。この結果は、TEMによる格子像観察結果とも
一致していた。また回折プロファイルでこの他に、2θ
=73°付近に観測されたピークは、磁性層のCoの
(11.0)に相当していた。また、4層の下地層が存
在しない場合は、Coの(11.0)面は観測されず、
Coの(10.0)又は(00.2)が観測された。この
ことから、この4層の下地層は磁性層の配向性制御に大
きく寄与していることが分かった。
【0060】また、この磁性層の磁気特性を測定した。
得られた磁気特性は、保磁力が4.3kOe(約33
9.7kA/m)、Isvが2.5×10−16em
u、M−Hループにおけるヒステリシスの角型性の指標
であるSが0.90、Sが0.93であり、良好な磁
気特性を有していた。このことは、磁性層の磁性粒子径
が小さく、そのばらつきが小さいこと、さらに、磁性粒
子間の磁気的相互作用が低減された結果を反映してい
る。また、粒子径のばらつきが小さいことから、微小な
磁性粒子がほとんど存在しないので、耐熱揺らぎに優れ
た媒体であることが分かる。さらに、4層からなる下地
層を用いると、高い格子整合が得られるために、磁性層
の膜厚を薄くしても十分大きな保磁力が得られたことが
分かった。本実施例で形成した膜厚より厚くなると、さ
らに、磁性層の保磁力は増大する。
【0061】(3)磁気ディスクの評価 上述のように形成した保護層である炭素膜27の表面に
潤滑剤を塗布して磁気ディスク30を完成させた。同様
のプロセスにより複数の磁気ディスク30を作製し、磁
気記録装置に同軸上に組み込んだ。磁気記録装置は、実
施例1と同様に図3及び図4に示す構成とした。磁気ヘ
ッドと磁性層との距離は15nmに保った。このディス
クに40Gbits/inch(6.20Gbits
/cm)に相当する信号(700kFCI)を記録し
てディスクのS/Nを評価した。その結果、32dBの
再生出力が得られた。
【0062】ここで、実施例1と同様にMFMにより磁
化反転単位を測定したところ、磁性粒子2〜3個が一度
に磁化反転した。これは、従来の磁化反転単位である5
〜10個に比べて十分小さい。これと共に、磁化反転領
域の境界部分に相当するジグザグパターンも従来の磁気
ディスクより著しく小さかった。また、熱揺らぎや熱に
よる減磁も発生しなかった。これは、磁性層の磁性粒子
径のばらつきが小さいことによる効果である。また、こ
のディスクの欠陥レートを測定したところ、信号処理を
行わない場合の値で、1×10−5以下であった。
【0063】ところで、磁気ヘッドと磁気ディスク表面
との距離は12nmとしたところ、磁気ヘッドは安定に
浮上した。しかし、ECRスパッタ法により形成した下
地層群を有していない磁気ディスクを同様の条件で駆動
したところ、安定した再生信号が得られなかったり、ヘ
ッドクラッシュが発生して磁性層が損傷したりした。安
定した再生信号が得られないのは、磁気ディスク表面の
凹凸が大きく、磁気記録装置が磁気ヘッドと磁気ディス
クの間の距離を一定に制御できる範囲を超えているため
である。
【0064】
【実施例4】本実施例では、図6に示すように、基板3
1上に第1下地層32、第2下地層33、磁性層34、
及び保護層35を有する磁気ディスク40を製造する方
法、並びに、磁気ディスク40の特性測定の結果を以下
に説明する。本実施例では、第1下地層にはNi−Al
膜32、第2下地層にはNi−Al−Cr膜33をそれ
ぞれ用いた。
【0065】(1)磁気ディスクの製法 基板31として、直径2.5inch(6.35cm)
のガラス円板を用いた。この基板31上に、第1下地層
として、Ni66Al34膜32を、ECRスパッタ法
により形成した。ターゲットにはNi−Al合金を、放
電ガスにはArをそれぞれ使用した。スパッタ時のガス
圧は0.3mTorr(約39.9mPa)、投入マイ
クロ波電力は0.7kWであった。また、マイクロ波に
より励起されたプラズマをターゲット方向に、同時にプ
ラズマにより叩き出されたターゲット粒子を基板方向に
引き込むために、500VのDCバイアス電圧を基板と
ターゲット間に印加した。このようにして第1下地層で
あるNi66Al34膜32を膜厚10nmに形成し
た。
【0066】次に、第1下地層であるNi50Al50
膜32上に、第2下地層として(Ni50Al50
95Cr膜33を、ECRスパッタ法により形成し
た。ターゲットにはNi−Al−Cr合金を、放電ガス
にArをそれぞれ用いた。スパッタ時のガス圧は0.3
mTorr(約39.9mPa)、投入マイクロ波電力
は1kWであった。また、マイクロ波により励起された
プラズマをターゲット方向に、同時にプラズマにより叩
き出されたターゲット粒子を基板方向に引き込むため
に、500VのDCバイアス電圧を基板とターゲット間
に印加した。このようにして第2下地層である(Ni
50Al5095Cr膜33を膜厚10nmに形成
した。また、磁性層の組成及び成分により磁性層の格子
定数が異なるため、第2下地層の合金組成は、磁性層の
組成及び成分に対応させて変化させ得る。
【0067】第2下地層である(Ni50Al50
95Cr膜33上に、磁性層としてCo68Cr17
Pt12Ta膜34を、DCスパッタ法により形成し
た。ターゲットには、目的の膜組成と同一の組成である
Co68Cr17Pt12Ta 合金を、放電ガスには
Arをそれぞれ使用した。スパッタ時のガス圧は、3m
Torr(約399mPa)、投入DC電力は1kW/
150mmφであった。磁性層を成膜している間は、基
板を150℃に加熱した。このようにして、磁性層であ
るCo68Cr17Pt12Ta膜34を8nmの膜
厚に形成した。
【0068】最後に、保護膜として炭素膜35を、EC
Rスパッタ法により形成した。ターゲットには、リング
状の炭素を、放電ガスにはArをそれぞれ用いた。スパ
ッタ時のガス圧は0.3mTorr(約39.9mP
a)、投入マイクロ波電力は1kW(周波数は2.93
GHz)であった。成膜時の基板温度は室温であった。
また、マイクロ波により励起されたプラズマをターゲッ
ト方向に、同時にプラズマにより叩き出されたターゲッ
ト粒子を基板方向に引き込むために、500VのDCバ
イアス電圧を基板とターゲット間に印加した。このよう
にして、保護層である炭素膜35を3nmの膜厚に形成
し、図6に示す構造の磁気ディスク40を得た。
【0069】(2)磁性層のTEMによる観察、X線回
折法による解析及び磁気特性測定 上記製造プロセスにおいて、磁性層であるCo68Cr
17Pt12Ta膜34を形成後に、磁性層34の表
面をTEMにより観察した。平面観察像から、磁性層3
4中に正六角形の磁性粒子が規則的に配列している様子
が分かった。この観察像から求めた磁性粒子の平均粒子
径は10nmであり、その粒子径分布におけるσは0.
6nmであった。このように、磁性層34の磁性粒子は
微細化して、かつ、粒子径分布におけるばらつきが小さ
いことが分かった。次に、1つの磁性粒子の周囲に存在
している磁性粒子の数を求めた。ランダムに選択した5
00個の磁性粒子について調べたところ、平均6.01
個であった。この値は、先に形成した第1下地層32で
の観察結果における値とよく一致していた。このこと
は、磁性粒子が、第1下地層32上から第2下地層33
を介し、連続して良好なエピタキシャル成長をし、サイ
ズのそろった六角柱状の磁性粒子が、磁性層34中でハ
ニカム状に極めて規則的に配列していることを示してい
る。
【0070】さらに、この積層体の断面構造をTEMに
より観察した。その結果、第1下地層であるNi50
50膜32と第2下地層である(Ni50Al50
95Cr膜33、第2下地層33と磁性層であるCo
68Cr17Pt12Ta膜34との間には、格子の
つながりが観察され、磁性層34は第2下地層33を介
して第1下地層32上からエピタキシャル成長している
ことが分かった。また、第1下地層32の結晶粒子上か
ら成長した磁性粒子部分と、第1下地層32の結晶粒界
部上から成長した磁性層34中の磁性粒子の境界部分と
では、成長機構が異なり、異なる金属組織を有している
ことが分かった。また、μ−EDX分析によれば、Co
合金の結晶粒子(磁性粒子)の結晶粒界にはCrが偏析
していることが分かった。この非磁性のCr偏析部分で
Coを主体とする磁性粒子が周囲を囲まれることによ
り、磁性粒子間の磁気的相互作用が低減できる。この偏
析効果は磁性層中にTaを含むことにより促進される。
Taと同様の偏析促進効果は、Nb、Si、Tiなどを
添加した場合も生じ、TaとNbや、SiとTaなどの
例に代表される2元素を同時に添加させてもよい。特
に、2元素を同時に添加すると偏析の効果が1元素の場
合よりさらに促進される。
【0071】また、この磁気ディスクの構造をX線回折
法により解析した。得られた回折プロファイルからは、
2θ=62.5°付近に観測されたCrの(100)の
ピークに加えて、2θ=72.5°付近にピークが観測
された。先の第2下地層33形成後の構造解析及びTE
M観察結果と合わせて考えると、この2θ=72.5°
付近のピークは磁性層であるCo68Cr17Pt12
Ta膜34中のCoの(11.0)が強く配向してい
ることを示している。よく知られているように、Coの
(11.0)は高密度記録に好適な配向性である。この
他に、Coの(112**0)配向した磁性層も高密度記
録に好適である。
【0072】また、この磁性層34の磁気特性を測定し
た。得られた磁気特性は、保磁力が3.5kOe(約2
76.5kA/m)、Isvが2.5×10−16em
u、M−Hループにおけるヒステリシスの角型性の指標
であるSが0.86、Sが0.91であり、良好な磁
気特性を有していた。このように、角型性を示す指標が
大きい(角型に近い)のは、第1下地層32の結晶粒子
と結晶粒界部を反映して磁性層34が成長したために、
磁性粒子間の磁気的相互作用が低減された結果である。
この結果は、300℃の高温で磁性層を形成した場合と
同等以上の磁気特性であった。特に、磁性層を高温で形
成した場合よりも、保磁力と磁気異方性が増大した。
【0073】(3)磁気ディスクの評価 上述のように形成した保護層である炭素膜35の表面に
潤滑剤を塗布して磁気ディスク40を完成させた。同様
のプロセスにより複数の磁気ディスク40を作製し、磁
気記録装置に同軸上に組み込んだ。磁気記録装置は、実
施例1と同様の図3及び図4に示す構成とした。磁気ヘ
ッドと磁気ディスク40との距離は11nmに保った。
このディスクに40Gbits/inch(6.20
Gbits/cm)に相当する信号を記録してディス
クのS/Nを評価した。その結果、32dBの再生出力
が得られた。
【0074】ここで、実施例1と同様にMFMにより磁
化反転単位を測定したところ、磁性粒子2〜3個が一度
に磁化反転した。従来の磁気ディスクの磁化反転単位で
ある5〜10個と比較して、十分に小さい。これと共
に、磁化反転領域の境界に相当するジグザグパターンも
従来の磁気ディスクより著しく小さかった。また、熱揺
らぎや熱による減磁も発生しなかった。これは、磁性層
34の磁性粒子の粒子径分布におけるばらつきが小さい
ことによる効果である。また、このディスクの欠陥レー
トを測定したところ、信号処理を行わない場合の値で、
1×10−6以下であった。
【0075】基板サイズや材質は上記実施例1〜4にお
いて用いたものに限定されない。基板はいずれのサイズ
でもよく、また、基板はAlやAl合金、あるいは樹脂
基板等の材質でもよい。
【0076】上記実施例1〜4において、磁性層にはC
o−Cr−Pt−Ta系を用いたが、Ptの代りにP
d、Tb、Gd、Sm、Nd、Dy、Ho又はEuを用
いてもよく、また、Taの代りにNb、Si、B、Vな
どの元素を用いてもよい。また、これらのうち複数の元
素を含んでもよい。
【0077】上記実施例1〜4では、磁性層の成膜法に
DCマグネトロンスパッタ法を用いたが、ECRスパッ
タ法を用いてもよい。ECRスパッタ法により、磁性層
の磁性粒子径及び磁性粒子径分布の高精度な制御が可能
になり、より好ましい。さらに、ECRスパッタ法を用
いると、DCマグネトロンスパッタ法で磁性層を形成し
た上記の場合より、保磁力が0.5〜1.0kOe(約
35.5〜79kA/m)程度増大した。また、DCス
パッタ法により形成した10nmの磁性層と同じ保磁力
を得ようとすると、ECRスパッタ法では7nmでよ
く、高密度記録に好適な磁性層を得ることができる。こ
の他に、磁気異方性は、ECRスパッタ法で形成した磁
性層ではDCスパッタ法で形成した磁性層の3倍以上に
増大した。
【0078】上記実施例1〜4では、保護層形成の際の
スパッタガスにArを使用したが、窒素を含む混合ガス
を用いて成膜してもよい。窒素を含む混合ガスを用いる
と、スパッタされた炭素粒子が微細化するとともに、得
られる炭素膜が緻密化し、保護性能をさらに向上させる
ことができる。また、実施例4では、DC電圧を用いた
が、RF電圧を印加して炭素粒子を引き込んでもよい。
【0079】
【発明の効果】本発明によれば、Co−Cr系磁性材料
を磁気記録用の磁性層として用いた磁気記録媒体におい
て、磁性層と接する下地層としてCrを含む下地層を用
いることにより、磁性層中のCrの偏析が促進された。
非磁性のCr偏析部分のCr濃度と幅が増したため、こ
の非磁性部分で取り囲まれた磁性粒子間の磁気的相互作
用を一層低減することができた。これにより、微小磁区
を安定して形成することができ、微小な領域での記録及
び消去が可能であり、磁気記録媒体の高密度記録が可能
になる。
【0080】本発明に従い、40Gbits/inch
(6.20Gbits/cm)を超える超高密度磁
気記録可能な磁気記録媒体を実現することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1に係る磁気ディスクの断面構造を示す
模式図である。
【図2】実施例1に係る第1下地層、第2下地層、第3
下地層及び磁性層の積層体のX線回折プロファイルであ
る。
【図3】本発明の一例である磁気記録装置の概略構成図
である。
【図4】図3のA−A’方向における断面図である。
【図5】実施例3に係る磁気ディスクの断面構造を示す
模式図である。
【図6】実施例4に係る磁気ディスクの断面構造を示す
模式図である。
【符号の説明】
1、21、31 基板 2、22、32 第1下地層 3、23、33 第2下地層 4、24 第3下地層 5、25、34 磁性層 6、27、35 保護層 10、30、40 磁気ディスク 26 第4下地層 51 回転駆動系 52 スピンドル 53 磁気ヘッド 54 磁気ヘッド用駆動系 60 磁気記録装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 曽谷 朋子 大阪府茨木市丑寅一丁目1番88号 日立マ クセル株式会社内 (72)発明者 竹内 輝明 大阪府茨木市丑寅一丁目1番88号 日立マ クセル株式会社内 (72)発明者 若林 康一郎 大阪府茨木市丑寅一丁目1番88号 日立マ クセル株式会社内 (72)発明者 坂本 晴美 大阪府茨木市丑寅一丁目1番88号 日立マ クセル株式会社内 (72)発明者 水村 哲夫 大阪府茨木市丑寅一丁目1番88号 日立マ クセル株式会社内 (72)発明者 小沼 剛 大阪府茨木市丑寅一丁目1番88号 日立マ クセル株式会社内 Fターム(参考) 5D006 BB02 BB07 BB09 CA01 CA05 CA06 5D091 AA10 CC05 5D112 AA03 AA05 FA04 FB26

Claims (24)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板と;Crを含む下地層と;上記下地
    層に接し、情報を記録するためのCo−Cr系磁性層
    と;を備え、上記磁性層が、Coを含む磁性粒子の粒界
    にCrが偏析している構造を有することを特徴とする磁
    気記録媒体。
  2. 【請求項2】 上記磁性層におけるCrの偏析部分の幅
    が、上記磁性粒子の平均粒子径の6〜10%であること
    を特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 上記磁性層のCrの偏析部分のCr濃度
    が、該磁性層の平均Cr濃度に対して5〜10at%高
    いことを特徴とする請求項1又は2に記載の磁気記録媒
    体。
  4. 【請求項4】 上記下地層が複数であり、複数の下地層
    のうち上記磁性層に接する下地層がCrを含むことを特
    徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の磁気記録
    媒体。
  5. 【請求項5】 上記複数の下地層のうち、磁性層と接す
    る下地層が、Cr又はCr合金であることを特徴とする
    請求項4に記載の磁気記録媒体。
  6. 【請求項6】 上記複数の下地層がそれぞれ、hcp構
    造、bcc構造及びB2構造からなる群より選ばれた少
    なくとも1つの結晶構造を有することを特徴とする請求
    項4又は5に記載の磁気記録媒体。
  7. 【請求項7】 上記複数の下地層のうち、磁性層に接す
    る下地層がhcp構造であることを特徴とする請求項6
    に記載の磁気記録媒体。
  8. 【請求項8】 上記複数の下地層のうち、磁性層と接触
    しない下地層がNi、Cr、Ni合金及びCr合金から
    なる群より選択された一種から構成されていることを特
    徴とする請求項4〜7のいずれか一項に記載の磁気記録
    媒体。
  9. 【請求項9】 上記Ni合金が、Nb、Co、Al、T
    i、Ta、W、V、Mo及びRuからなる群より選ばれ
    た少なくとも1種類の元素とCrとを含み、上記Cr合
    金が、Nb、Co、Ni、Al、Ti、Ta、W、V、
    Mo及びRuからなる群より選ばれた少なくとも1種類
    の元素を含むことを特徴とする請求項8に記載の磁気記
    録媒体。
  10. 【請求項10】 上記複数の下地層のうち、基板と接す
    る下地層の膜厚が2〜10nmであることを特徴とする
    請求項4〜9のいずれか一項に記載の磁気記録媒体。
  11. 【請求項11】 上記複数の下地層のうち、上記磁性層
    に近い下地層の格子定数ほど上記磁性層の格子定数との
    差が小さく、上記磁性層に接する下地層の格子定数と上
    記磁性層の格子定数の差が5%以下であることを特徴と
    する請求項4〜10のいずれか一項に記載の磁気記録媒
    体。
  12. 【請求項12】 上記磁性層が、該磁性層に接する下地
    層上からエピタキシャル成長していることを特徴とする
    請求項1〜11のいずれか一項に記載の磁気記録媒体。
  13. 【請求項13】 上記磁性層が、Pt、Pd、Rh、T
    a、Nb、Zr、Ti、Si、B、P、Gd、Sm、N
    d、Dy、Ho、Tb、Pr、Er及びEuからなる群
    より選ばれた少なくとも1種類の元素を含むCo合金で
    あることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に
    記載の磁気記録媒体。
  14. 【請求項14】 上記Pt、Pd、Rh、Ta、Nb、
    Zr、Ti、Si、B、P、Gd、Sm、Nd、Dy、
    Ho、Tb、Pr、Er及びEuからなる群より選ばれ
    た少なくとも1種類の元素が、Ti、Si、B、P、T
    a若しくはNb又はそれら元素の組み合わせであり、該
    元素又は該元素の組み合わせが磁性層中のCrの偏析を
    促進していることを特徴とする請求項13に記載の磁気
    記録媒体。
  15. 【請求項15】 上記磁性層の結晶配向性がCoの(1
    1.0)又は、(112**0)であることを特徴とする
    請求項1〜14のいずれか一項に記載の磁気記録媒体。
  16. 【請求項16】 上記磁性層の磁性粒子の平均粒子径が
    円形近似で平均8〜10nmであり、かつ、磁性粒子の
    粒子径分布における標準偏差が該平均粒子径の8%以下
    であることを特徴とする請求項1〜15のいずれか一項
    に記載の磁気記録媒体。
  17. 【請求項17】 上記磁性層の基板面に対して垂直方向
    における構造が柱状構造であることを特徴とする請求項
    1〜16のいずれか一項に記載の磁気記録媒体。
  18. 【請求項18】 上記複数の下地層のうち、基板に接す
    る下地層が、共鳴吸収によりプラズマを発生させ、発生
    したプラズマをターゲットに衝突させてターゲット粒子
    をスパッタさせ、上記基板と上記ターゲットの間にバイ
    アス電圧を印加することにより、スパッタしたターゲッ
    ト粒子を上記基板上に誘導しつつ堆積させて形成されて
    いることを特徴とする請求項4〜17のいずれか一項に
    記載の磁気記録媒体。
  19. 【請求項19】 上記共鳴吸収が、電子サイクロトロン
    共鳴であることを特徴とする請求項18に記載の磁気記
    録媒体。
  20. 【請求項20】 上記バイアス電圧が、DC電源又はR
    F電源により印加されることを特徴とする請求項18又
    は19に記載の磁気記録媒体。
  21. 【請求項21】 上記磁性層及び上記複数の下地層のう
    ち、連続する二つの層が、共鳴吸収によりプラズマを発
    生させ、発生したプラズマをターゲットに衝突させてタ
    ーゲット粒子をスパッタさせ、上記基板と上記ターゲッ
    トの間にバイアス電圧を印加することにより、スパッタ
    したターゲット粒子を上記基板方向にに誘導しつつ堆積
    させて形成されていることを特徴とする請求項18〜2
    0のいずれか一項に記載の磁気記録媒体。
  22. 【請求項22】 少なくとも一つの、上記請求項1〜2
    1に記載の磁気記録媒体と;情報を記録又は消去するた
    めの磁気ヘッドと;上記磁気ヘッドを上記磁気記録媒体
    に対して駆動するための駆動装置と;を有する磁気記録
    装置。
  23. 【請求項23】 上記少なくとも一つの磁気記録媒体の
    面記録密度が6.20Gbits/cmを超えること
    を特徴とする請求項22に記載の磁気記録装置。
  24. 【請求項24】 上記少なくとも一つの磁気記録媒体が
    複数の磁気ディスクであり、該複数の磁気ディスクを同
    軸上に回転させるための回転駆動装置を備える請求項2
    2又は23に記載の磁気記録装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014049146A (ja) * 2012-08-29 2014-03-17 Showa Denko Kk 磁気記録媒体及び磁気記録再生装置

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