JP2001249366A - 電気泳動表示装置およびその駆動方法 - Google Patents

電気泳動表示装置およびその駆動方法

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  • Electrochromic Elements, Electrophoresis, Or Variable Reflection Or Absorption Elements (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 クロストークの発生を抑え、良好な表示コン
トラストが得られる単純マトリックス駆動が可能な水平
移動型電気泳動表示装置を提供する。 【解決手段】 第1基板1上には第1表示電極4と第2
表示電極3とが配置され、隔壁10を介して第2基板2
が対向配置され、第1基板上の第1表示電極4と第2表
示電極3との境界部には、壁または段差からなる構造障
壁11と構造障壁の上方に配置される制御電極5とを備
え、両基板と隔壁によって形成される空間内には、透明
な絶縁性液体7が充填され、絶縁液体中には着色された
帯電泳動粒子6が分散されている電気泳動表示装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、帯電泳動粒子を移
動させて表示を行う電気泳動型表示装置およびその駆動
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、情報機器の発達に伴い、各種情報
のデータ量は拡大の一途をたどり、情報の出力も様々な
形態を用いてなされている。一般に、情報の出力は、ブ
ラウン管や液晶などを用いたディスプレイ表示とプリン
タなどによる紙へのハードコピー表示とに大別できる。
ディスプレイ表示においては、低消費電力且つ薄型の表
示装置のニーズが増しており、中でも液晶表示装置は、
こうしたニーズに対応できる表示装置として活発な開発
が行われ商品化さてれいる。しかしながら、現在の液晶
表示装置には、画面を見る角度や、反射光により、画面
上の文字が見ずらく、また光源のちらつき・低輝度等か
ら生じる視覚への負担が、未だ十分に解決されていな
い。またブラウン管を用いたディスプレイ表示では、コ
ントラストや輝度は液晶表示と比較して十分あるもの
の、ちらつきが発生するなど後述するハードコピー表示
と比較して十分な表示品位があるとはいえない。また装
置が大きく重いため携帯性が極めて低い。
【0003】一方、ハードコピー表示は情報の電子化に
より不要になるものと考えられていたが、実際には依然
膨大な量のハードコピー出力が行われている。その理由
として、情報をディスプレイ表示した場合、前述した表
示品位に係わる問題点に加えて、その解像度も一般的に
は最大でも120dpi程度と紙へのプリント・アウト
(通常300dpi以上)と比較して相当に低い。従っ
て、ディスプレイ表示ではハードコピー表示と比較して
視覚への負担が大きくなる。その結果、ディスプレイ上
で確認可能であっても、一旦ハードコピー出力すること
がしばしば行われることになる。また、ハードコピーさ
れた情報は、ディスプレイ表示のように表示領域がディ
スプレイのサイズに制限されることなく多数並べたり、
また複雑な機器操作を行わずに並べ替えたり、順に確認
していくことができることも、ディスプレイ表示可能で
あってもハードコピー表示が併用される大きな理由であ
る。さらには、ハードコピー表示は、表示を保持するた
めのエネルギーは不要であり、情報量が極端に大きくな
い限り、何時でもどこでも情報を確認することが可能で
あるという優れた携帯性を有する。
【0004】このように動画表示や頻繁な書き換えなど
が要求されない限り、ハードコピー表示はディスプレイ
表示と異なる様々な利点を有するが、紙を大量に消費す
るという欠点がある。そこで、近年においては、リライ
タブル記録媒体(視認性の高い画像の記録・消去サイク
ルが多数回可能で、表示の保持にエネルギーを必要とし
ない記録媒体)の開発が盛んに進められている。こうし
たハードコピーの持つ特性を継承した書き換え可能な第
3の表示方式をペーパーライクディスプレイと呼ぶこと
にする。
【0005】ペーパーライクディスプレイの必要条件
は、書き換え可能であること、表示の保持にエネルギー
を要さないか若しくは十分に小さいこと(メモリー
性)、携帯性に優れること、表示品位が優れていること
などである。現在、ペーパーライクディスプレイとみな
せる表示方式としては、例えば、サーマルプリンターヘ
ッドで記録・消去する有機低分子・高分子樹脂マトリッ
クス系(例えば、特開昭55−154198号公報、特
開昭57−82086号公報)を用いた可逆表示媒体を
挙げることができる。この系は一部プリペイドカードの
表示部分として利用されているが、コントラストが余り
高くないことや、記録・消去の繰り返し回数が150〜
500回程度と比較的少ないなどの課題を有している。
【0006】また、別のペーパーライクディスプレイと
して利用可能な表示方式として、Harold D.L
ees等により発明された電気泳動表示装置(米国特許
第3612758号明細書)が知られている。他にも、
特開平9−185087号公報に電気泳動表示装置が開
示されている。
【0007】この表示装置は、絶縁性液体中に着色帯電
泳動粒子を分散させてなる分散系と、この分散系を挟ん
で対峙する一対の電極からなっている。電極を介して分
散系に電圧を印加することにより、着色帯電泳動粒子の
電気泳動性を利用して、該着色帯電泳動粒子を粒子自身
が持つ電荷と反対極性の電極側にクーロン力により吸着
させるものである。表示は、この着色帯電泳動粒子の色
と染色された絶縁性液体の色の違いを利用して行われ
る。つまり、着色帯電泳動粒子が観測者に近い光透過性
の第1の電極表面に吸着させた場合には着色帯電泳動粒
子の色が観察され、逆に観測者から遠い第2の電極表面
に吸着させた場合には、着色帯電泳動粒子と光学的特性
が異なるように染色された絶縁性液体の色が観察され
る。
【0008】しかしながら、このような電気泳動装置で
は、絶縁性液体に染料やイオンなどの発色材を混合しな
くてはならず、このような発色材の存在は、新たな電荷
の授受をもたらすために電気泳動動作において不安定要
因として作用しやすく、表示装置としての性能や寿命、
安定性を低下させる場合があった。
【0009】係る問題を解決するために、第1表示電極
及び第2表示電極からなる電極対を同一基板上に配置
し、観察者から見て着色帯電泳動粒子を水平に移動させ
る表示装置が、特開昭49−5598号公報及び特開平
11−202804号公報において提案された。電気泳
動特性を利用して、透明な絶縁性液体中で着色帯電泳動
粒子を電圧印加により、第1表示電極面及び第2電極面
間を、基板面と水平に移動させることによって表示を行
うものである。
【0010】水平移動型電気泳動表示装置においては、
絶縁性液体は透明である場合が多く、観察者側から見
て、第1表示電極と第2表示電極が異なる着色を呈し、
いずれか一方の色を泳動粒子の色と一致させてある。例
えば第1表示電極の色を黒色、第2表示電極の色を白
色、泳動粒子の色を黒色とすると、泳動粒子が第1電極
上に分布する場合には、第2表示電極が露出し白色を呈
し、泳動粒子が第2表示電極上に分布する場合には泳動
粒子色である黒色を呈す。
【0011】ところで、画素がマトリックス状に配置さ
れた表示装置を、電気的にアドレスする方式としては大
別して、アクティブマトリックス方式と単純マトリック
ス方式の2つがある。
【0012】アクティブマトリックス方式では、各画素
それぞれに対して薄膜トランジスタ(TFT)などのス
イッチング素子を形成し、各画素に印加する電圧を画素
ごとに独立に制御する。この方式を用いれば、水平移動
型電気泳動表示装置を、高い表示コントラストで駆動す
ることが可能である。しかしながら一方で、アクティブ
マトリックス方式はプロセスコストが高い、薄膜トラン
ジスタのプロセス温度が高くポリマー基板上への形成が
困難である、といった問題を抱える。この問題は、低コ
ストでフレキシブルなディスプレイを目指すペーパーラ
イクディスプレイにおいては特に重要である。これらの
問題を解決するために、印刷プロセスが適用可能なポリ
マー材料による薄膜トランジスタの形成プロセスが提案
されているが、実用化の可能性は未だ未知数である。
【0013】単純マトリックス方式は、アドレスのため
に必要な構成要素がX−Y電極ラインのみであるから低
コストであリポリマー基板上への形成も容易である。選
択画素に対して書き込み電圧を印加する場合は、選択画
素を交点とするX電極ラインとY電極ラインに対して、
書き込み電圧に相当する電圧を印加すればよい。ところ
が、水平移動型電気泳動表示装置を単純マトリックス方
式により駆動しようとすると、選択された画素の周辺画
素まで一部書き込まれてしまう、いわゆるクロストーク
現象が発生し、表示コントラストが著しく劣化してしま
う。これは水平移動型電気泳動表示装置が、書き込み電
圧に対して明確な閾値特性を持たないために必然的に発
生する問題である。
【0014】係る問題に対して、原理的に閾値を持たな
い電気泳動表示において、表示電極に加えて制御電極を
導入し、3電極構造によって単純マトリックス駆動を実
現する提案がなされている。3電極構造に関する提案は
殆どが上下電極型電気泳動表示に関してなされたもので
あり、例えば特開昭54−085699号公報(米国特
許第4203106号明細書)がある。
【0015】水平移動型電気泳動表示装置における3電
極構造の提案は唯一、特表平8−507154号公報
(米国特許第5345251号明細書)においてなされ
ている。但し特表平8−507154号公報において
は、分散液は透明ではなく着色されていると考えられ、
前述の特開昭49−5598号公報及び特開平11−2
02804号公報及び本発明が対象とする、分散液が透
明であることを特徴とする水平移動型電気泳動表示装置
とは異なるものである。
【0016】特表平8−507154号公報では制御電
極の配置に関して2つの構成が開示されている(図2
4)。第1の構成(図24(a))は水平移動型電気泳
動装置の第2基板2側に第3の電極として制御電極5a
が配置されるタイプであり、第2の構成(図24
(b))は第1基板1側の第1表示電極4と第2表示電
極3との間に第3の電極として制御電極5aが配置され
るタイプである。
【0017】第1構成、第2構成いずれのタイプにおい
ても、一画素内には、複数のライン電極が集合したフォ
ーク状第1表示電極と、第1表示電極の各ライン間に配
置された複数のライン電極が集合したフォーク状第2表
示電極がフェースプレートである第1基板上に配置され
る。第1表示電極3上にはクロム厚膜が付与され、その
結果第1表示電極4と第2表示電極3の境界に約0.3
μmの段差22が形成されている。第1構成においては
制御電極5aは、第1基板1に対して25〜116μm
の間隔で対向配置された第2基板2上の画素内全面に形
成され、第2構成においては制御電極5aは、第1基板
上の、第1表示電極4と第2表示電極3の各ライン間に
配置される。図24においては説明の便宜上、第1表示
電極、第2表示電極ともに1ラインで構成される場合に
ついて示してある。
【0018】次に、図25および図26を用いて特表平
8−507154号公報における書き込み動作について
説明する。図25に泳動粒子の動作状態、図26に印加
パルス及び反射率変化について示す。セル構成は図24
(a)と同じ(但し1画素)である。
【0019】尚、以下の説明で述べる印加電圧値は我々
が実際に行なった実験によって求められた条件であり、
必ずしも特表平8−507154号公報記載の条件とは
一致していない。これは主に使用する泳動粒子の帯電極
性、帯電量などの物性値によるところが大きい。以下の
説明では、後に述べる本発明の動作説明との比較を容易
にするため、我々が使用した泳動粒子での実験結果にお
ける印加電圧値を記載する。
【0020】また特表平8−507154号公報におい
ては、絶縁性液体として着色液体を使用していると考え
られるが、以下の説明では後に述べる本発明の動作説明
との比較を容易にするため透明な絶縁液体を用い、表示
コントラストの発現方法についても泳動粒子を黒色、第
1表示電極を黒色、第2表示電極を白色とする本発明の
実施形態と同様の方式の構成について説明を行なう。
【0021】泳動粒子6の帯電極性を正、第2表示電極
3をコモン電極とし、第2表示電極3の接地電位を基準
にして第1表示電極4に駆動電圧Vd、制御電極5aに
制御電圧Vcを印加するものとする。
【0022】期間Taは白表示保持状態である。図25
中、矢印はセル内の電界ベクトルの概要を示す。第1表
示電極4上に集められた泳動粒子6は、第1表示電極4
と第2表示電極3間に設けられた段差22によって第2
表示電極3側への移動を抑制され、かつ第1表示電極4
と制御電極5a間に印加される保持電圧Vc=+250
Vによって表示電極側に押え込まれることによって安定
し、反射率(R)70%程度の白表示状態が保持され
る。保持状態において印加されるVd=5Vは、黒表示
状態において、段差近傍の泳動粒子が第1表示電極側へ
移動しやすくなる傾向を抑制する役割を果たしている。
【0023】書き込み期間Tbにおいては、Vd=+5
0v、Vc=+50Vを印加する。第1表示電極4と制
御電極5aとは同電位に設定されるため制御電圧による
押え込みは解除され、全ての泳動粒子6は表示電極面に
沿って段差を乗り越えて第2表示電極側に水平移動し、
反射率Rは急激に減少する。
【0024】黒表示保持状態である期間Tcでは、保持
電圧Vc=+250Vによって表示電極側に押し付けら
れ、反射率5%程度の黒表示状態が保持される。
【0025】続いて、特表平8−507154号公報に
おいて開示された単純マトリックス駆動方法について図
27および図28を用いながら説明する。X方向にm
列、Y方向にn行の画素が配列したm×nマトリックス
を有する水平移動型電気泳動表示装置を考える。画素配
列に沿って、m本の信号電極線が列方向に、n本の信号
電極線が行方向に、互いに直交するように配列されてお
り、各交点において信号電極線は各画素の制御電極5a
に、走査電極線は各画素内の第1表示電極4に配線され
ている。第2表示電極3はコモン電極とし接地電位に固
定する。
【0026】まず全ての走査ラインにVd=−50V、
全ての信号ラインにVc=0Vを印加し、全ての泳動粒
子6を第1表示電極上に集める(図27(a)、全面消
去)。次にY方向に上から順番に走査ラインを選択し書
き込みを行なう。選択期間(書き込み期間)では、走査
ラインにVd=+50Vを印加し、選択画素に相当する
信号ラインにVc=+50V、非選択画素に相当するラ
インにVc=+250Vを印加する。選択画素では表示
電極間に印加される駆動電圧Vd=+50Vによって、
泳動粒子が段差を乗り越え第2表示電極側に移動し書き
込みが行なわれる(図27(b))。非選択画素におい
ても駆動電圧Vd=+50Vが印加されているが、第1
の構成においては、泳動粒子はVc=+250Vの制御
電圧によって第1表示電極に押し付けられ移動(書き込
み)が阻止される(図27(c))。
【0027】一方、非選択期間においては走査ラインに
Vd=+5Vが印加され、信号ラインにはVc=+50
Vまたは+250Vが印加される(図28(d)〜
(g))。いずれの場合も、泳動粒子は制御電圧によっ
て表示電極面に押し付けられており表示状態は変化しな
い。
【0028】このようにして、閾値特性を持たない水平
移動型電気泳動装置において、単純マトリックス駆動法
を用いた表示書き込みが実現される。
【0029】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特表平
8−507154号公報で開示された水平移動型電気泳
動装置は次のような問題点を抱えていた。
【0030】第1の構成においては、段差をあまり高く
設定できない、という制限がある。段差を高くしすぎる
と、選択期間における帯電泳動粒子の移動において、一
部の泳動粒子が段差を越えられずに段差底部に残留して
しまい、表示コントラストが低下する(図29
(a))。段差底部への残留を引き起こさないために
は、段差の高さを泳動粒子径前後に制限する必要があ
る。
【0031】段差の高さが制限されるため、段差による
泳動粒子の移動抑制効果は不十分である。このため、選
択期間に駆動電圧Vdが印加された状態で、非選択画素
において制御電圧Vcを印加し泳動粒子の移動を押え込
む場合(図27(c))において、段差が低いために一
部の泳動粒子が段差を越えて移動していまい、結果とし
てクロストーク現象を引き起こし表示コントラストが劣
化するという重要な問題が発生する(図29(b))。
【0032】制御電圧Vcを十分に大きくすれば、ある
程度泳動粒子を押え込むことは可能であるが、この場合
は印加電圧が上昇してしまうという弊害とともに、素子
内の絶縁部材中に高電圧によって注入された電荷が電圧
解除後も残留し、この残留電荷のもたらす意図せぬ電界
によって泳動粒子の動作状態が不安定になる、という新
たな問題が発生する。
【0033】段差の高さが制限される弊害は他にもあ
る。段差の高さが十分でないため、第1表示電極と第2
表示電極との間の面積差をあまり大きく設定できない。
面積差を大きく設定すると、面積の小さい電極面上に泳
動粒子を集めようとしても泳動粒子が溢れ出てしまうか
らである(図29(c))。表示コントラストは、第1
表示電極と第2表示電極の面積比で決定されるため、結
果として表示コントラストが制限されてしまう。
【0034】さらに、第1の構成においては、段差によ
る移動抑制効果は下段側から上段側への方向に限定さ
れ、上段側から下段側への移動はむしろ加速される。従
って、書き込み方向は一方向のみに限られ、まず最初に
全画面の泳動粒子を下段側に集め全面リセットしたの
ち、一方向への書き込みを行なうという駆動法に限定さ
れてしまう。書き込みを双方向に対して行なうことはで
きず、画面の一部のみを選択的に書き換えるような駆動
はできない。
【0035】一方、第2の構成においては、選択期間に
おいては、非選択画素に対しては表示電極と制御電極間
に電圧を印加することによって泳動粒子の移動を双方向
に対して阻止することが可能であり、また選択画素に対
しては表示電極と制御電極間の電圧を0Vにすることに
よって泳動粒子の移動をスムーズに行なうことができ
る。この場合は段差は必ずしも必須な構成要素ではな
い、と考えられる。また第2の構成においては制御電極
を含めた駆動に関係する全ての構成要素を単一基板上に
配置することができる、という重要な特徴を有する。こ
れにより、上下基板貼り合わせ工程での位置合わせ精度
が不要となり、特に位置合わせ精度を高めることが原理
的に困難なプラステック基板を用いて解像度の高い表示
を実現することができるようになるという大きな利点が
得られる。
【0036】しかしながら第2の構成において、制御電
極が阻止することができるのは、あくまで表示電極間の
移動のみであって表示電極面内での移動については制御
不能である。このため非選択期間において表示電極と制
御電極間に印加される制御電圧によって、表示電極面内
に均一に分散していた泳動粒子は制御電極から反発する
方向に移動し、表示電極面内において図30(a),
(b)に示すような分布の偏りが発生し表示コントラス
トが著しく低下してしまう、という問題がある。
【0037】また、泳動粒子の一部が、制御電極に印加
された制御電圧による反発力によって対向基板側に移動
し貼りついてしまう場合があり、一度対向基板側に貼り
つき吸着した泳動粒子に対しては有効な移動電圧を印加
する手段がないため制御不能に陥るという深刻な問題を
有する(図30(a),(b))。
【0038】本発明は、この様な従来技術の問題点を解
決するためになされたものであり、クロストークの発生
を抑え、良好な表示コントラストが得られる単純マトリ
ックス駆動が可能で、また着色帯電泳動粒子の保持に要
する制御電圧を大幅に低減することが可能な水平移動型
電気泳動表示装置およびその駆動方法を提供することを
目的とするものである。
【0039】また、本発明は、第1表示電極と第2表示
電極との面積比を従来より大きく設定でき、コントラス
トの向上を実現した電気泳動表示装置およびその駆動方
法を提供することを目的とするものである。
【0040】また、本発明は、双方向の書き込み駆動が
でき、また表示画面の一部分のみを書き換える部分書き
換えが可能な電気泳動表示装置およびその駆動方法を提
供することを目的とするものである。
【0041】
【課題を解決するための手段】本発明においては以下に
記載する新規な構成及び駆動方法について提案し、上記
問題点を解決する。
【0042】本発明の構成に関する第1の特徴は、第1
基板と、第1基板上に配置される第1表示電極及び第2
表示電極と、前記第1基板に対向して配置される第2基
板と、各電極に所望の電圧を印加する手段と、前記第1
基板及び第2基板間に充填された透明絶縁性液体と、該
透明絶縁性液体中に分散された複数の着色帯電泳動微粒
子とを備え、該着色帯電泳動粒子を第1および第2表示
電極間で移動させることによって表示の切り換えを行な
う電気泳動表示装置において、前記第1基板上の前記第
1表示電極と第2表示電極との間に制御電極が配置さ
れ、かつ該制御電極上面と前記第1基板表面との間隔
が、前記第1表示電極上面と前記第1基板表面との間
隔、及び前記第2表示電極上面と前記第1基板表面との
間隔に対して、それぞれ大きいことにある。
【0043】より具体的には、前記第1基板上の前記第
1表示電極と第2表示電極との境界部に、壁構造または
段差構造よりなる構造障壁が配置され、前記制御電極
は、該構造障壁の上方部に配置されることを特徴とす
る。
【0044】また、好ましい構成としては、前記段差に
隣接し、上段側に位置する表示電極面の下側に、前記帯
電泳動粒子が入出可能であって、表示面観察者からは視
認不可能な遮蔽空間が形成されてなることを特徴とす
る。
【0045】本発明の構成に関する第2の特徴は、第1
基板と、第1基板上に配置される第1表示電極及び第2
表示電極と、前記第1基板に対向して配置される第2基
板と、各電極に所望の電圧を印加する手段と、前記第1
基板及び第2基板間に充填された透明絶縁性液体と、該
透明絶縁性液体中に分散された複数の着色帯電泳動微粒
子と、前記第1表示電極と前記第2表示電極との境界部
に配置される壁構造または段差構造よりなる構造障壁
と、該構造障壁の上方部に配置される制御電極とを備
え、前記着色帯電泳動粒子を第1および第2表示電極間
で移動させることによって表示の切り換えを行ない、か
つ前記構造障壁による物理的バリヤと前記制御電極によ
る電気的バリヤとの複合効果により着色帯電泳動微粒子
の移動を制御することが可能な電気泳動表示装置におい
て、前記帯電泳動粒子の移動が、帯電泳動粒子を一方の
表示電極から前記制御電極近傍に移動する第1の過程
と、第1の過程に続いて帯電泳動粒子を制御電極から前
記構造障壁を越えて他方の表示電極側に移動する第2の
過程とからなることにある。
【0046】より具体的には、前記泳動粒子の移動を引
き起こすために、正帯電の泳動粒子の場合には、「移動
先でない表示電極の電位≧制御電極の電位>移動先であ
る表示電極の電位」の関係を満たし、負帯電の泳動粒子
の揚合には、「移動先でない表示電極の電位≦制御電極
の電位<移動先である表示電極の電位」の関係を満た
す、期間が含まれるように、前記第1表示電極、第2表
示電極及び制御電極に電圧を印加することを特徴とし、
また更に具体的には、前記2つの過程からなる泳動粒子
の移動を引き起こすために、正帯電の泳動粒子の場合に
は、前記第1の過程において「両表示電極の電位>制御
電極の電位」、前記第2の過程において「移動前の表示
電極の電位≧制御電極の電位>移動先の表示電極の電
位」の関係を満たし、負帯電の泳動粒子の場合には、前
記第1の過程において「両表示電極の電位<制御電極の
電位」、前記第2の過程において「移動前の表示電極の
電位≦制御電極の電位<移動先の表示電極の電位」の関
係を満たすように、前記第1表示電極、第2表示電極及
び制御電極に電圧を印加することを特徴とする。
【0047】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施態様について
順に説明する。 (代表的な実施態様の構成及び動作)図1に本発明の代
表的な断面構成図の一例を示す。図1では説明の便宜上
2画素からなる構成を示している。第1基板1上には第
1表示電極4と第2表示電極3とが配置され、また隔壁
10を介して第2基板2が対向配置される。第1基板上
の第1表示電極4と第2表示電極3との境界部には、壁
または段差からなる構造障壁11と構造障壁の上方に配
置される制御電極5とを備える。図1においては構造障
壁11として壁構造が形成される。両基板と隔壁によっ
て形成される空間内には、透明な絶縁性液体7が充填さ
れ、絶縁液体中には着色された帯電泳動粒子6が分散さ
れている。
【0048】表示電極の平面形状に特に限定はなく、代
表的なストライプ形状(図2(a))のほか、方形(図
2(b))、円形などの閉ループ形状など、任意の形状
が適用可能である。いずれの形状においても、制御電極
5は第1表示電極4と第2表示電極3との境界領域に形
成される。
【0049】本発明の構成上の顕著な特徴は、泳動粒子
の移動を抑制する手段として、物理的バリヤとなる構造
障壁11と、電気的バリヤを発生する制御電極5とを併
せ持つことにあり、物理的バリヤと電気的バリアとの相
乗効果によって、比較的低い制御電圧で泳動粒子の移動
を効果的に抑制することができる。また制御電極5を構
造障壁11上に形成し表示電極面に対して高い位置に配
置することによって、表示電極面に垂直な保持電圧成分
が十分に発生するため、保持電圧の印加時に特表平8−
507154号公報の第2構成において問題となる表示
電極面内での泳動粒子の偏りや、上基板側への貼りつき
(図30(a),(b))を効果的に抑制することが可
能となる。また表示電極の面積が小さい場合でも泳動粒
子を溢れ出ることなく保持することができるため、第1
表示電極と第2表示電極間に大きな面積差を設定でき、
表示コントラストを大幅に向上できる。
【0050】図1の構成の具体的なサイズとしては、例
えば画素サイズ100μm×100μmに対して、泳動
粒子径0.5〜10μm、第1基板と第2基板との間隔
10〜100μm、構造障壁11の高さ5〜50μm程
度が好適であり、また各電極の全画素面積に対する面積
比については、例えば第1表示電極10〜30%、第2
表示面積85〜65%、制御電極5〜10%程度が好適
である。
【0051】セル構成部材の配色は任意の組み合わせが
可能であり、例えば泳動粒子6を黒、第1表示電極4を
黒、第2表示電極3を白、制御電極5を白とした場合、
白表示と黒表示の切り換えが行なえる。第2表示電極3
及び制御電極5の着色がRGBである画素を並べること
によってカラー化表示を行なうことも可能である。
【0052】次に図3および図4を用いて本発明の特徴
のひとつである書き込み動作について説明する。図3に
各過程における泳動粒子の動作状態、図4に各過程ごと
の印加パルス及び反射率変化について示す。セル構成は
図1と同じ(但し1画素)である。
【0053】以下の説明では泳動粒子6の帯電極性を正
とし、第1表示電極4に駆動電圧Vd1、第2表示電極
3に駆動電圧Vd2、制御電極5に制御電圧Vcを印加
するものとする。
【0054】期間Taは白表示保持状態である。図3
中、薄い矢印はセル内の電界ベクトルの概要を示す。全
ての泳動粒子6は第1表示電極4と構造障壁11及び隔
壁10で囲まれた空間内に収納されており、かつ第1表
示電極4と制御電極5の間に印加される保持電圧によっ
て表示電極側に押し付けられ、反射率80%程度の白表
示状態が安定に保持される。
【0055】本発明においては、構造障壁11による物
理的バリヤと制御電極5による電気的バリヤとの複合効
果により、泳動粒子の第2表示電極3側への直接的な水
平移動を禁止するため、特表平8−507154号公報
の構成に比べて、泳動粒子の移動を禁止し保持するため
の保持電圧を大幅に小さくすることが可能である。図3
では保持電圧をVc=+100Vとした。
【0056】期間Tbにおいて書き込みを行う。泳動粒
子の移動を禁止する高い構造障壁11が存在する本発明
の構成においては、構造障壁11上に配置された制御電
極5と第1表示電極4及び第2表示電極3にVd1<V
c<Vd2の条件を満たす書き込み電圧を印加すること
によって書き込みが達成される。例えばVd1=+50
V、Vd2=−50V、Vc=0Vを印加することによ
って、第1表示電極4上の泳動粒子6は、図4に示す電
界ベクトル分布に従って、まず制御電極5側に向かって
移動し、次に構造障壁11を乗り越え第2表示電極側へ
と移動する。
【0057】期間Tcは黒表示保持状態であり、第2表
示電極側に移動した泳動粒子6が、制御電圧Vc=+1
00Vによって表示電極側に押し付けられ、反射率10
%程度の黒表示状態が安定に保持される。
【0058】図11および図12に、本発明における他
の書き込み方法を示す。書き込みは期間Tb1、Tb2
において行なわれる。まず期間Tb1においてVd1=
Vd2=0V、Vc=−50Vを印加し、泳動粒子6を
制御電極側に移動する。次に期間Tb2においてVd1
=+100V、Vd2=0V、Vc=+50Vを印加
し、泳動粒子6の移動方向を制御電極方向から第2表示
電極側ヘと反転させる。この時、第1表示電極4には制
御電極5に対して+50Vのバイアスが印加されている
ため、全ての泳動粒子6は、第1表示電極側に戻ること
なく、構造障壁11を越え第2表示電極側へと移動し、
反射率Rは急激に減少する。
【0059】この書き込み方法の場合、期間Tb1にお
いては全ての電界ベクトルが制御電極5に向いているた
め、構造障壁11が極端に高い場合であっても泳動粒子
6は構造障壁11に衝突することなく制御電極11に移
動することができる。従って書き込みの信頼性が向上す
るとともに、構造障壁の高さ等構造の自由度が高くなる
という利点を有する。
【0060】期間Tcは黒表示保持状態であり、第2表
示電極側に移動した泳動粒子6が、制御電圧Vc=+5
0Vによって表示電極側に押し付けられ、反射率10%
程度の黒表示状態が安定に保持される。
【0061】(単純マトリックス駆動方法)以下、本発
明における実施態様の単純マトリックス駆動法について
説明する。X方向にm列、Y方向にn行の画素が配列し
たm×nマトリックスを有する水平移動型電気泳動表示
装置を考える。画素配列に沿って、m本の信号電極線が
列方向に、n本の信号電極線が行方向に、互いに直交す
るように配列される。
【0062】書き込み方法については複数のバリエーシ
ョンが考えられる。まず、各電極との配線方式に関して
は、各画素の制御電極が走査電極線に、表示電極が信号
電極線に配線される場合と、各画素の制御電極が信号電
極線に、表示電極が走査電極線に配線される場合との2
通りがある。また、書き込み方向については、各走査ラ
インごとに白状態・黒状態の双方向に対して書き込みを
行う場合と、最初に画面全体を一方の状態にリセットし
たのち各走査ラインごとに、書き換えが必要な画素につ
いてのみ一方向の書き込みを行う場合とがある。
【0063】一例として、各交点において第1信号電極
線が各画素の第1表示電極に、第2信号電極線が各画素
の第2表示電極に、走査電極線が各画素内の制御電極に
それぞれ配線され、書き込みが双方向に対して行われる
場合の駆動方法について図5および図6を用いて説明す
る。双方向書き込みは、特表平8−507154号公報
で開示された第1の構成では困難であって、障壁の構造
が対称である本発明の特徴の一つである。
【0064】書き込みはY方向に上から順番に走査ライ
ンを選択しながら行なう。選択期間においては、走査ラ
インに書き込み許可電圧としてVc=0Vを印加し、表
示したい画像データに相当する信号を各信号ラインに印
加する。即ち、黒状態を書き込みたい画素(図5
(a))に相当する第1信号ラインにVd1=+50V
を、第2信号ラインにVd2=−50Vを印加し、また
白状態を書き込みたい画素(図5(b))に相当する第
1信号ラインにVd1=−50Vを、第2信号ラインに
Vd2=+50Vを印加する。書き込み動作の詳細な説
明については図3および図4の説明と同様なので省略す
る。以上のようにして、期間Tbにおいて黒・白双方向
への書き込みが同時に行なわれる。
【0065】一方、非選択期間においては走査ラインに
書き込み禁止電圧(保持電圧)としてVc=+100V
が印加される。本発明においては制御電極5を構造障壁
11上に形成し表示電極面に対して高い位置に配置する
ことによって、表示電極面に垂直な保持電圧成分が発生
し、泳動粒子を表示電極面上に十分に押し付けることが
できる。各信号ラインに黒書き込み信号が印加された状
態(図6(c),(e))、または白書き込み信号が印
加された状態(図6(d),(f))においても、特表
平8−507154号公報の第2の構成で問題であった
ような表示電極面内での泳動粒子の偏りや、上基板側へ
の貼りつきを効果的に抑制することが可能となる。
【0066】駆動方法の他の一例として、書き込み方向
が一方向の場合について図7〜図10を用いて説明す
る。図7および図8においては電極の配線方式は図5お
よび図6と同じく走査電極線を制御電極、信号電極線を
表示電極に配線する。また図9および図10において
は、電極の配線方式は図5および図6とは異なり走査電
極線を表示電極、信号電極線を制御電極に配線する。い
ずれの場合も、書き込み方向が一方向の場合は各画素に
は2ラインの信号電極線は不要であり、第2表示電極は
共通電極として接地電位に短絡される。
【0067】以下図7および図8の駆動方法について説
明する。まず最初に、全ての走査電極線にVc=−50
V、全ての信号電極線にVd1=−100Vを印加し、
画面全体を白状態にリセットする(図7(a))。
【0068】書き込みはY方向に上から順番に走査ライ
ンを選択しながら行なう。選択期間においては、走査ラ
インに書き込み許可電圧としてVc=+50Vを印加
し、表示したい画像データに相当する信号を各信号ライ
ンに印加する。即ち、黒状態を書き込みたい画素(図7
(b))に相当する信号ラインにVd1=+100Vを
印加することによって黒状態への書き込みが行われ、ま
た白状態を書き込みたい画素(図7(c))に相当する
信号ラインにVd1=0Vを印加することによって白状
態が維持される。以上のようにして、選択期間において
所望の画素に対してのみ黒状態への一方向書き込みが行
なわれる。
【0069】一方、非選択期間においては走査ラインに
書き込み禁止電圧(保持電圧)としてVc=+150V
が印加され、各信号ラインに黒書き込み信号が印加され
た状態(図8(d),(f))、または黒書き込み信号
が印加されない状態(図8(e),(g))のそれぞれ
において、図5および図6の場合と同様に表示状態が良
好に保持される。
【0070】以下図9および図10の駆動方法について
説明する。まず最初に、全ての走査電極線にVd1=−
100V、全ての信号電極線にVc=−50Vを印加
し、画面全体を白状態にリセットする(図9(a))。
【0071】書き込みはY方向に上から順番に走査ライ
ンを選択しながら行なう。選択期間においては、走査ラ
インに黒書き込み電圧としてVd1=+100Vを印加
し、表示したい画像データに相当する信号を各信号ライ
ンに印加する。即ち、黒状態を書き込みたい画素(図9
(b))に相当する信号ラインに書き込み許可信号とし
てVc=+50Vを印加することによって黒状態への書
き込みが行われ、また白状態を保持したい画素(図9
(c))に相当する信号ラインに書き込み禁止信号とし
てVc=+150Vを印加することによって白状態が維
持される。以上のようにして、選択期間において所望の
画素に対してのみ黒状態への一方向書き込みが行なわれ
る。
【0072】一方、非選択期間においては走査ラインに
書き込み信号は印加されずVd1=0Vとし、各信号ラ
インに書き込み許可信号が印加された状態(図10
(d),(f))、または書き込み禁止信号が印加され
た状態(図10(e),(g))のそれぞれにおいて、
図5および図6の場合と同様に表示状態が良好に保持さ
れる。
【0073】続いて駆動方法の他の一例として、書き込
み期間が2分割された書き込み方式(図11および図1
2)による駆動方法について図13〜15を用いて説明
する。走査ラインを制御電極、第1信号ラインを第1表
示電極、第2信号ラインを第2表示電極にそれぞれ配線
し、書き込みは各ライン毎に双方向に対して行なう。こ
の場合、初期全面リセットは不要である。
【0074】選択期間においては、第1走査ラインにV
c=−50V(期間Tb1)/0V(期間Tb2)を印
加する。同時に、黒表示書き込みを行なう画素(図13
(a))に相当する第1信号ラインにVd1=0V/+
50Vを、第2信号ラインにVd2=0V/−50Vを
印加する。また、白表示書き込みを行なう画素(図13
(b))に相当する第1信号ラインにVd1=0V/−
50Vを、第2信号ラインにVd2=0V/+50Vを
印加する。書き込みの動作については図11および図1
2において説明ずみであるので省略する。
【0075】一方、非選択期間においては走査ラインに
Vc=+50V/+100Vが印加される。信号ライン
に関しては、選択期間と同様に、黒表示書き込み信号と
して第1信号ラインにVd1=0V/+50Vが、第2
信号ラインにVd2=0V/−50Vが印加される(図
14(d),(e))。また、白表示書き込み信号とし
て第1信号ラインにVd1=0V/−50Vが、第2信
号ラインにVd2=0V/+50Vが印加される(図1
5(f),(g))。いずれの場合においても、表示電
極面に垂直な保持電圧成分が発生し、泳動粒子6を表示
電極面上に十分に押し付けることができるため表示状態
が安定に保持される。
【0076】(構成のバリエーション)本発明の構成
は、図1のタイプに限定されるものではない。例えば構
造障壁11の断面形状は長方形に限定される訳ではな
く、三角形、台形など任意の形状が適用可能であるのは
いうまでもない。また制御電極5の位置は必ずしも構造
障壁11の最上部に配置される必要はなく、表示電極面
に対して上方であれば障壁の中間部に埋設されてもよ
く、また障壁の側壁に形成されてもよい。以下本発明に
おいて有効な構成について図を用いながら更に説明す
る。
【0077】図16(a)に、障壁が段差であるタイプ
を示す。制御電極5は段差のエッジ部に配置される。駆
動方法は図1と同様であるが、書き込み方法は一方向書
き込みに限定される。段差12の高さは泳動粒子径の数
倍〜数十倍と大きく、制御電極への保持電圧印加によっ
て表示電極面に垂直な保持電圧成分が発生し、泳動粒子
を表示電極面上に十分に押し付けることができる。特表
平8−507154号公報において提案された段差と
は、高さ及び機能が異なるものである。
【0078】図16(b)に、図1の変形として、面積
の大きい第2表示電極面3を第1表示電極面4よりも高
い位置に配置する構成を示す。図1の構成において表示
電極面を斜めから観察する場合、構造障壁11が視界を
遮る領域が表示電極面上に発生する。これは第2制御電
圧の配置された構造障壁11の先端部と泳動粒子6の充
填面上端との距離が大きい第2表示電極面3において特
に顕著であり、構造障壁11と第2制御電極を透明部材
で構成してもやや表示視野角特性に影響を与える場合が
ある。面積の大きい第2表示電極面3を第1表示電極面
4よりも高い位置に配置することによって、第2表示電
極面3における充填面上端と障壁先端間の距離を第1表
示電極と同程度に揃えることが可能となる。この構成で
はさらに、第1表示電極面4と第2表示電極面3の最表
面にある泳動粒子6の、水平方向への移動抑制効果が等
しくなるという利点もある。
【0079】図17に、図16(a)で示した段差タイ
プのバリエーションを示す。上段側に位置する第2表示
電極面3の下側の段差壁面部に、表示面観察者からは視
認不可能な、遮蔽空間15を形成することによって、第
1表示電極面上の泳動粒子充填体積を増やすと同時に、
第1表示電極4と第2表示電極3との実効的な面積比
を、見かけ上大きくして表示コントラストを向上させる
ことができる。例えば段差断面を逆テーパ形状にする構
成(図17(a))、オーバーハング形状にする構成
(図17(b))によって、遮蔽空間15を形成するこ
とができる。
【0080】以上の記述においては説明の便宜上、第1
表示電極と第2表示電極が一画素内に一対配置された構
成について示してきたが、本発明においては一画素内の
電極数について特に限定はなく、複数の表示電極対が配
置される構成が可能であることはいうまでもない。図1
8に図1のタイプにおいて一画素内に電極対が2組配置
される構成について示す。構造障壁11及び制御電極5
は、第1表示電極と第2表示電極の全ての境界に形成さ
れる。
【0081】(構成部材の材料・製造方法)以下、本実
施態様の表示装置の製造方法について、図1を用いて説
明する。まず第1基板1上に、第1表示電極4及び第2
表示電極3を形成しパターンニングする。基板の材料と
しては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ
エーテルサルフォン(PES)等のボリマーフィルム或
いはガラス、石英等の無機材料を使用することができ
る。表示電極材料は、パターニング可能な導電性材料な
らどのようなものを用いてもよく、第1制御電極材料と
しては、酸化インジウムすず(ITO)などの透明電極
を用いる。
【0082】次に表示電極上に絶縁層を形成する。絶縁
層の材料としては薄膜でピンホールが形成しづらく、か
つ誘電率の低い材料が好ましく、例えば、アモルファス
フッ素樹脂、高透明ポリイミド、PET、アクリル系樹
脂、エポキシ系樹脂等を使用できる。絶縁層の膜厚とし
ては、100nm〜1μm程度が好適である。
【0083】次に構造障壁11を形成する。障壁用厚
膜、制御電極膜、レジスト膜を順次全面に形成した後、
最上面のレジスト膜をパターンニングし、制御電極膜、
段差用厚膜を順次ドライエッチングまたはウエットエッ
チングすればよい。図16、図17に示すような段差1
2の場合には、段差用厚膜を形成後、第2制御電極膜及
び制御電極膜を成膜・パターンニングし、次にレジスト
膜を新たに形成・パターンニングし、段差用厚膜をドラ
イエッチングまたはウエットエッチングすればよい。ま
た、エッチング方式及び条件を調整することによって、
図17に示すような、逆テーパー形状(図17
(a))、或いはオーバーハング形状(図17(b))
の断面を持つ段差を形成することができる。障壁または
段差材料としてはポリマー樹脂を使用する。制御電極膜
または第2表示電極膜材料は、パターニング可能な導電
性材料ならどのようなものを用いてもよく、金属薄膜の
成膜の他、マグネトロンスパッタ法によってITOを低
温成膜してもいいし、ポリアニリンなどの有機導電性材
料を印刷法によって成膜してもよい。必要に応じて制御
電極5上に絶縁層を形成してもよい。
【0084】制御電極5の色は透明でもよいが、第1表
示電極か第2表示電極のいずれか一方に一致させてもよ
い。表示電極面3、4及び制御電極面5の着色は、電極
材料、あるいは電極材料の上に形成される絶縁層材料そ
のものの色を利用してもよく、又は所望の色の材料層を
電極上、絶縁層上、基板面上に形成してもよい。また、
絶縁層などに着色材料を混ぜ込んでもよい。
【0085】次に、第2基板上に絶縁層9及び隔壁10
を形成する。絶緑層の材料、膜厚については前述のとう
りである。隔壁10の配置に制限はないが、画素間で泳
動粒子6が移動しないように、各画素の周囲を取り囲む
ように配置するのがよい。隔壁材料としてはポリマー樹
脂を使用する。隔壁形成はどのような方法を用いてもよ
い。例えば、光感光性樹脂層を塗布した後露光及びウエ
ット現像を行う方法、又は別に作製した障壁を接着する
方法、印刷法によって形成する方法、或いは光透過性の
第1基板表面にモールドによって形成しておく方法等を
用いることができる。
【0086】次に隔壁で囲まれた各画素空間に透明な絶
縁性液体7及び着色帯電泳動粒子6を充填する。絶縁性
液体7としては、シリコーンオイル、トルエン、キシレ
ン、高純度石油等の無色透明液体を使用する。黒色帯電
泳動粒子6としては、絶縁性液体中で良好な帯電特性を
示す材料を用いる。例えば、ポリエチレン、ポリスチレ
ン等の樹脂にカーボンなどを混ぜたものを使用する。泳
動粒子6の粒径に制限はないが、通常は平均粒子径0.
5μm〜20μm位、好ましくは1μm〜5μmのもの
を使用する。
【0087】最後に、第1基板1の第2基板2との接合
面に接着層を形成した後、第1基板及び第2基板の位置
合わせを行い、熱をかけて接着する。これに、電圧印加
手段を接続して表示装置が完成する。
【0088】
【実施例】以下、実施例に従って本発明を更に詳しく説
明する。
【0089】実施例1 本実施例では、図1に示すセル構成で、3×3マトリッ
クス表示セルを作成し、双方向書き込みによる単純マト
リックス駆動を行なった。図1の構成においては、泳動
粒子の水平方向への移動を双方向に対して禁止すること
ができ、従って黒状態と白状態の双方向に対して書き込
みを行なうことができる。双方向書き込み駆動は、特表
平8−507154号公報で開示された第1の構成では
困難であって、障壁の構造が対称である本発明の特徴の
一つである。
【0090】作成した3×3マトリックス表示セルの平
面図を図19に示す。一画素サイズは200μm×20
0μm、第1表示電極、第2制御電極、第2表示電極の
面積比は20:5:75とした。
【0091】以下、図1及び図19を見ながら、セルの
製造方法について簡単に説明する。厚さ200μmのP
ETフィルムからなる第1基板1上に、まずアルミナな
どの白色顔料を分散させたアクリル樹脂からなる絶縁着
色層を全面に形成した。次に第2表示電極3としてIT
Oを低温成膜し、フォトリソグラフィー及びドライエッ
チングにより図19に示す形状にパターニングした。次
に第1表示電極4として暗黒色の炭化チタン膜を成膜
し、同様にしてパターニングした。
【0092】次にエボキシ樹脂を30μmの膜厚で塗布
し、続いて制御電極膜として暗黒色の炭化チタン膜を成
膜し、続いてレジスト膜を塗布・露光・現像し図19に
示すような形状にパターンニング、最後にCF4 及びO
2ガスによる反応性ドライエッチングを行ない、高さ3
0μmの障壁11上に炭化チタンからなる制御電極5が
配置された構造体を形成した。次に、全面にアモルファ
スフッ素樹脂からなる絶縁層8を200nm形成した。
【0093】続いて、PETフィルムからなる第2基板
2の全面にアモルファスフッ素樹脂からなる絶縁層9を
200nmの厚さに形成した。この上に、隔壁10を形
成した。隔壁10は、光感光性エポキシ樹脂を塗布した
後、露光及びウエット現像を行うことによって形成し、
70μmの高さとした。形成された隔壁内に絶縁性液体
7及び黒色帯電泳動粒子6を充填した。
【0094】絶縁性液体1としては、シリコーンオイル
を使用した。黒色帯電泳動粒子6としては、ポリスチレ
ンとカーボンの混合物で、平均粒径5μmのものを使用
した。シリコーンオイル中での泳動粒子6の極性は正帯
電を示した。次に、第1基板1の第2基板2との接着面
に熱融着性の接着層パターンを形成し、第2基板2の隔
壁上に、位置合わせを行ないながら第1基板1を置き、
熱をかけて張り合わせシート状の表示パネルを完成し
た。この表示パネルに不図示の電圧印加回路を接続して
駆動特性を評価した。
【0095】以下、本実施例における駆動方法の説明を
行なう。制御電極を走査ライン(S1〜S3)、第1表
示電極を第1信号ライン(I11〜I13)、第2表示
電極を第2信号ライン(I21〜I23)とした。
【0096】図20(a)に、各走査ライン及び信号ラ
インに印加した駆動パルスのタイムチャート図を、図2
0(b)に各期間における表示状態の変化を示した。各
期間は50msecである。
【0097】本実施例においては双方向への書き込みが
可能であるので、初期動作として全面リセットをする必
要はない。初期表示パターンとして期間T0に示すパタ
ーンを与え、全画素を各走査ライン(S1〜S3)ごと
に反転表示することとする。尚、本実施例においては図
5および図6で説明した駆動方法によって書き込みを行
なった。書き込み時の泳動粒子の詳しい動作について
は、図5および図6と同様であるので説明を省略する。
【0098】以下、タイムチャート図に従って駆動方法
を順に説明する。期間T1おいて選択走査ラインである
S1に対してVc=0V、非選択走査ラインであるS
2、S3に対してVc=+100Vを印加し、画素
(1,1)(1,3)に相当する第1信号ラインI1
1,I13及び第2信号ラインI21,I23にそれぞ
れに白表示書き込みパルスとして、Vd1=−50V、
Vd2=+50Vを印加し、また画素(1,2)に相当
する第1信号ラインI12及び第2信号ラインI22に
それぞれに黒表示書き込みパルスとして、Vd1=+5
0V、Vd2=−50Vを印加した。その結果、選択走
査ラインS1の全ての画素が書き換えられ反転表示さ
れ、また非選択走査ラインS2,S3における各画素で
は初期表示状態が保持された。
【0099】以下、期間T2、T3において同様の駆動
を行なった結果、目的の反転表示パターンが良好なコン
トラストで得られた。得られた表示には、クロストーク
現象、及び泳動粒子の移動不良、保持不良によるコント
ラストの劣化は一切認められず、白表示と黒表示の平均
的なコントラストは10:1程度の高い値を示した。
【0100】実施例2 本実施例では、図16(a)に示す段差を有するセル構
成で、3×3マトリックス表示セルを作成し、一方向書
き込みによる単純マトリックス駆動を行なった。作成し
た3×3マトリックス表示セルの平面図を図21に示
す。一画素サイズは200μm×200μm、第1表示
電極、制御電極、第2表示電極の面積比は20:5:7
5とした。
【0101】以下、図21及び図16(a)を見なが
ら、セルの製造方法について概略を説明する。厚さ20
0μmのPETフィルムからなる第1基板1上に、まず
アルミナなどの白色顔料を分散させたアクリル樹脂から
なる絶縁着色層を全面に形成した。次に第1表示電極4
として暗黒色の炭化チタン膜を成膜し、フォトリソグラ
フィー及びドライエッチングにより図に示す形状にパタ
ーニングした。
【0102】次にエポキシ樹脂を30μmの膜厚で塗
布、続いてレジスト膜を塗布・露光・現像し第2表示電
極のネガパターンを形成、続いてITO薄膜をマグネト
ロンスパッタ法よって低温成膜したのちレジスト膜をリ
フトオフし、第2表示電極3をパターンニングした。さ
らにアクリル樹脂からなる絶縁層を1μm成膜し、続い
て制御電極膜として暗黒色の炭化チタン膜を成膜、第2
表示電極3と同様にして制御電極5をパターニングし
た。続いてレジスト膜によって段差および配線パターン
を形成し、最後にCF4 及びO2ガスによる反応性ドラ
イエッチングを行ない、高さ30μmの段差上に第2表
示電極3及び制御電極5が配置された構造体を形成し
た。次に、全面にアモルファスフッ素樹脂からなる絶縁
層8を200nm形成した。
【0103】その後、実施例1と全く同様のプロセスに
よって、シート状の表示パネルを完成した。この表示パ
ネルに不図示の電圧印加回路を接続して駆動特性を評価
した。
【0104】以下、本実施例における駆動方法の説明を
行なう。第1表示電極を走査ライン(S1〜S3)、制
御電極を信号ライン(I1〜I3)とし、第2表示電極
を共通電極として接地電位に短絡した。
【0105】図22(a)に、各走査ライン及び信号ラ
インに印加した駆動パルスのタイムチャート図を、図2
2(b)に各期間における表示状態の変化を示した。1
走査ライン選択期間(TR,T1,T2,T3)を50
msecに設定した。
【0106】駆動は、まず最初に全面を白表示にリセッ
トし次に走査ライン毎に、設定した表示パターンに対応
する選択画素(1,2),(2,1),(2,3),
(3,2)に対して、一方向(白表示→黒表示)への書
き込みを行なった。書き込み時の泳動粒子の詳しい動作
については、図9および図10と同様であるので説明を
省略する。
【0107】以下、タイムチャート図に従って駆動方法
を順に説明する。まず期間TRにおいて、全ての走査ラ
インS1〜S3に対してVd1=−100V、全ての信
号ラインI1〜I3に対してVc=−50Vを印加し、
全画素を白表示状態にリセットした。
【0108】次に期間T1において選択走査ラインであ
るS1に対してVd1=+100V、非選択走査ライン
であるS2、S3に対してVd1=0V、黒書き込みを
行う選択画素化(1,2)に相当する信号ラインI2に
Vc=+50V、白状態を保持する非選択画素(1,
1),(1,3)に相当する第1信号ラインI1,I3
にVc=+150Vをそれぞれ印加した。その結果、選
択走査ライン上の選択画素(1,2)のみが黒表示に書
き換えられ、非選択画素(1,1),(1,3)、及び
非選択走査ライン上の各画素では白表示が保持された。
【0109】以下、期間T2、T3において選択画素パ
ターンに従って同様の駆動を行なった結果、目的の表示
パターンが良好なコントラストで得られた。得られた表
示には、クロストーク現象、及び泳動粒子の移動不良、
保持不良によるコントラストの劣化は一切認められず、
白表示と黒表示の平均的なコントラストは10:1程度
の高い値を示した。
【0110】実施例3 本実施例では、図1に示すセル構成で、3×3マトリッ
クス表示セルを作成し、図11〜図15に示す2つの書
き込み期間からなる双方向書き込みによる単純マトリッ
クス駆動を行なう。
【0111】駆動特性の評価は、実施例1で作成した表
示セルに不図示の電圧印加回路を接続して行なった。以
下、本実施例における駆動方法について説明する。制御
電極を走査ライン(S1〜S3)、第1表示電極を第1
信号ライン(I11〜I13)、第2表示電極を第2信
号ライン(I21〜I23)とした(図19)。
【0112】図23(a)に、各走査ライン及び信号ラ
インに印加した駆動パルスのタイムチャート図を、図2
3(b)に各期間における表示状態の変化を示した。本
実施例においては、図11〜図15において説明した駆
動方法によって書き込みを行なった。一走査ラインあた
りの選択期間は、期間前半30msec、期間後半30
msecとした。書き込み時の泳動粒子の詳しい動作に
ついては、図11〜図15と同様であるので説明を省略
する。
【0113】本実施例においては双方向への書き込みが
可能であるので、初期動作として全面リセットをする必
要はない。そこで初期表示パターンとして期間T0に示
すパターンを与え、全画素を各走査ライン(S1〜S
3)ごとに反転表示することとする。
【0114】以下、タイムチャート図に従って駆動方法
を順に説明する。期間T1において選択走査ラインであ
るS1に対してVc=−50V(期間前半T11)/0
V(期間後半T12)、非選択走査ラインであるS2、
S3に対してVc=+50/+100Vを印加し、同時
に画素(1,1)(1,3)に相当する第1信号ライン
I11,I13及び第2信号ラインI21,I23にそ
れぞれに白表示書き込みパルスとして、Vd1=0V/
−50V、Vd2=0V/+50Vを印加し、また画素
(1,2)に相当する第1信号ラインI12及び第2信
号ラインI22にそれぞれに黒表示書き込みパルスとし
て、Vd1=0V/+50V、Vd2=0V/−50V
を印加した。その結果、選択された一行目の走査ライン
上の全ての画素が書き換えられ反転表示された。また
2、3行目の非選択走査ライン上の各画素では初期表示
状態が保持された。
【0115】以下、期間T2、T3において同様の駆動
を行なった結果、目的の反転表示パターンが良好なコン
トラストで得られた。得られた表示には、クロストーク
現象、及び泳動粒子の移動不良、保持不良によるコント
ラストの劣化は一切認められず、白表示と黒表示の平均
的なコントラストは10:1程度の高い値を示した。
【0116】比較例1 比較例1として、特表平8−507154号公報におい
て開示された図24(a)に示すセル構成で、3×3マ
トリックス表示セルを作成し、一方向書き込みによる単
純マトリックス駆動を行なった。
【0117】作成した3×3マトリックス表示セルの平
面図を図31に示す。一画素サイズは200μm×20
0μm、第1表示電極と第2表示電極の面積比35:6
5、第1基板と第2基板間の間隔70μm、段差高0.
3μmとし、平均粒子径1μmの正帯電泳動粒子を用い
た。表示電極と泳動粒子の配色は図1と同様である。
【0118】以下、図24(a)及び図31を見なが
ら、セルの製造方法について簡単に説明する。厚さ20
0μmのPETフィルムからなる第1基板1上に、まず
アルミナなどの白色顔料を分散させたアクリル樹脂から
なる絶縁着色層を全面に形成した。次に第1表示電極4
として暗黒色の炭化チタン膜を成膜し、フォトリソグラ
フィー及びドライエッチングにより図に示す形状にパタ
ーニングした。
【0119】次にエポキシ樹脂を0.3μmの膜厚で塗
布し、続いて第2表示電極としてITO薄膜をマグネト
ロンスパッタ法よって低温成膜した。続いてレジスト膜
を塗布し、図31に示すような形状にパターンニング、
最後にCF4 及びO2 ガスによる反応性ドライエッチン
グを行ない、高さ0.3μmのステップ上にITOから
なる第2表示電極が配置された構造体を形成した。次
に、全面にアモルファスフッ素樹脂からなる絶縁層8を
200nm形成した。
【0120】続いて、PETフィルムからなる第2基板
2上に制御電極5としてITOを低温成膜したのち、図
31に示す形状にパターニングし、次に全面にアモルフ
ァスフッ素樹脂からなる絶縁層9を200nm形成し
た。この上に、隔壁10を形成した。隔壁10は、光感
光性エポキシ樹脂を塗布した後、露光及びウエット現像
を行うことによって形成し、70μmの高さとした。形
成された隔壁内に絶縁性液体7及び黒色帯電泳動粒子6
を充填した。
【0121】絶縁性液体1としては、シリコーンオイル
を使用した。黒色帯電泳動粒子6は、実施例1と同じく
ポリスチレンとカーボンの混合物で、平均粒径1μm位
のものを使用した。シリコーンオイル中での泳動粒子6
は正帯電極性を示した。次に、第1基板1の第2基板2
との接着面に熱融着性の接着層パターンを形成し、第2
基板2の隔壁上に、位置合わせを行ないながら第1基板
1を置き、熱をかけて張り合わせた。これに不図示の電
圧印加回路を接続して表示装置とした。
【0122】以下駆動方法について説明する。第1表示
電極を走査ライン(S1〜S3)、制御電極を信号ライ
ン(I1〜I3)とし、第2表示電極をコモン電極とし
て接地電位に固定した。
【0123】図32(a)に、各走査ライン及び信号ラ
インに印加した駆動パルスのタイムチャート図を、図3
2(b)に各期間における表示状態の変化を示した。1
走査ライン選択期間(TR,T1,T2,T3)は50
msecに設定した。
【0124】駆動は、まず最初に全面を白表示にリセッ
トし次に走査ライン毎に、設定した表示パターンに対応
する選択画素(1,2),(2,1),(2,3),
(3,2)に対して、一方向(白表示→黒表示)への書
き込みを行なった。尚、本実施例においては図25〜図
28で説明した駆動方法によって書き込みを行なった。
書き込み時の泳動粒子の詳しい動作については、図25
〜図28と同様であるので説明を省略する。
【0125】以下、タイムチャート図に従って駆動方法
を順に説明する。期間TRにおいては、全走査ラインS
1〜S3に対してVd=−50V、全信号ライン11〜
13に対してVc=0Vを印加し、全画素を白表示にリ
セットした。
【0126】次に期間T1において選択走査ラインであ
るS1に対してVd=+50V、非選択走査ラインであ
るS2、S3に対してVd=+5Vを印加し、選択画素
(1,2)に相当する信号ライン12にVc=+50V
を、非選択画素(1,1),(1,3)に相当する信号
ラインI1,I3にはVc=+250Vを印加した。そ
の結果、選択走査ラインS1の選択画素(1,2)のみ
が黒表示に書き換えられ、非選択画素(1,1),
(1,3)、及び非選択走査ラインS2,S3における
各画素では白表示が保持された。但し、非選択画素
(1,1),(1,3)においては制御電圧Vc=+2
50Vによる泳動粒子の押え込みは不十分であり、図2
7(c)に示したように一部の泳動粒子が第2表示電極
側に移動してしまい、図32(b)に示すような灰色が
かった表示になってしまった。
【0127】以下、期間T2、T3において選択画素パ
ターンに従って同様の駆動を行なった結果、目的の表示
パターンが得られたが、白表示が全体的に灰色がかって
おり表示コントラストは劣悪であった。白表示と黒表示
の平均的なコントラストは3:1程度であった。また、
本比較例で用いた制御電圧は+250Vであったが、ま
だ不十分であり更に増大させる必要があった。
【0128】
【発明の効果】以上、詳細に述べたように、本発明によ
って次のような効果が得られた。第1に、水平移動型電
気泳動装置においてクロストーク現象の見られない、良
好な表示コントラストが得られる単純マトリックス駆動
が実現された。これは新規な構成と駆動方法によって、
従来問題であった、非選択画素内の泳動粒子のホールド
不良によるクロストークの発生を、ほぼ完全に抑えこめ
たことによる。第2に、構造障壁による物理バリアと、
構造障壁の上方に形成される制御電極による電気バリア
との相乗効果によって、泳動粒子の保持に要する制御電
圧を大幅に低減できるようになった。
【0129】第3に、制御電極を含めた駆動に関係する
全ての構成要素を単一基板上に配置することができる。
これにより、上下基板貼り合わせ工程での位置合わせ精
度が不要となり、特に位置合わせ精度を高めることが原
理的に困難なプラステック基板を用いて解像度の高い表
示を実現することができるようになるという大きな利点
が得られる。
【0130】第4に、高い障壁または段差を導入する構
成においては、第1表示電極と第2表示電極との面積比
を従来より大きく設定できるようになった。これによっ
て、クロストーク抑制とは別の理由による、更なるコン
トラストの向上が実現された。第5に、双方向の書き込
み駆動ができるようになった。このため、初期全面リセ
ットの必要がなく、また表示画面の一部分のみを書き換
える部分書き換え駆動ができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の表示装置の代表的な一例を示す断面図
である。
【図2】本発明の表示装置の代表的な一例を示す平面図
である。
【図3】本発明の表示装置の駆動方法及び動作状態の代
表的な一例を示す図である。
【図4】図3の表示装置の駆動方法及び動作状態の他の
部分を示す図である。
【図5】本発明の表示装置の単純マトリックス駆動法の
代表的な一例を示す図である。
【図6】図5の表示装置の単純マトリックス駆動法の他
の部分を示す図である。
【図7】本発明の表示装置の単純マトリックス駆動法の
代表的な他の例を示す図である。
【図8】図7の表示装置の単純マトリックス駆動法の他
の部分を示す図である。
【図9】本発明の表示装置の単純マトリックス駆動法の
代表的な他の例を示す図である。
【図10】図9の表示装置の単純マトリックス駆動法の
他の部分を示す図である。
【図11】本発明の表示装置の駆動方法及び動作状態の
代表的な他の一例を示す図である。
【図12】図11の表示装置の駆動方法及び動作状態の
他の部分を示す図である。
【図13】本発明の表示装置の単純マトリックス駆動法
の代表的な他の例を示す図である。
【図14】図13の表示装置の単純マトリックス駆動法
の他の部分を示す図である。
【図15】図13の表示装置の単純マトリックス駆動法
の他の部分を示す図である。
【図16】本発明の表示装置の代表的な他の例を示す断
面図である。
【図17】本発明の表示装置の代表的な他の例を示す断
面図である。
【図18】本発明の表示装置の代表的な他の例を示す断
面図である。
【図19】本発明の実施例1において作成した3×3マ
トリックスを示す平面構成図である。
【図20】本発明の実施例1で行なった駆動のタイムチ
ャート及び表示パターンを示す図である。
【図21】本発明の実施例2において作成した3×3マ
トリックスを示す平面構成図である。
【図22】本発明の実施例2で行なった駆動のタイムチ
ャート及び表示パターンを示す図である。
【図23】本発明の実施例3で行なった駆動のタイムチ
ャート及び表示パターンを示す図である。
【図24】従来例における表示装置を示す断面図であ
る。
【図25】従来例における表示装置の駆動方法及び動作
状態を示す図である。
【図26】図25の表示装置の駆動方法及び動作状態の
他の部分を示す図である。
【図27】従来例における表示装置の単純マトリックス
駆動法を示す図である。
【図28】図27の表示装置の単純マトリックス駆動法
の他の部分を示す図である。
【図29】従来例における表示装置の問題点を示す説明
図である。
【図30】従来例における表示装置の他の問題点を示す
説明図である。
【図31】比較例1で作成した3×3マトリックスを示
す平面構成図である。
【図32】比較例1で行なった駆動のタイムチャート及
び表示パターンを示す図である。
【符号の説明】
1 第1基板 2 第2基板 3 第2表示電極 4 第1表示電極 5 制御電極 5a 制御電極 6 泳動粒子 7 透明絶縁性液体 8、9 絶緑膜 10 隔壁 11 構造障壁 12 段差 15 遮蔽空間 22 段差
フロントページの続き (72)発明者 松田 陽次郎 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 5C080 AA13 BB05 DD10 JJ04 JJ05 JJ06 5C094 AA06 AA09 AA24 AA53 AA54 BA75 CA19 EA04 EB02 EC04 FA01 FA02 FB04 FB12 FB15 JA03 JA08

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1基板と、第1基板上に配置される第
    1表示電極及び第2表示電極と、前記第1基板に対向し
    て配置される第2基板と、各電極に所望の電圧を印加す
    る手段と、前記第1基板及び第2基板間に充填された透
    明絶縁性液体と、該透明絶縁性液体中に分散された複数
    の着色帯電泳動微粒子とを備え、該着色帯電泳動粒子を
    第1および第2表示電極間で移動させることによって表
    示の切り換えを行なう電気泳動表示装置において、前記
    第1基板上の前記第1表示電極と第2表示電極との間に
    制御電極が配置され、かつ該制御電極上面と前記第1基
    板表面との間隔が、前記第1表示電極上面と前記第1基
    板表面との間隔、及び前記第2表示電極上面と前記第1
    基板表面との間隔に対して、それぞれ大きいことを特徴
    とする電気泳動表示装置。
  2. 【請求項2】 前記第1基板上の前記第1表示電極と第
    2表示電極との境界部に、壁構造または段差構造よりな
    る構造障壁が配置され、前記制御電極は、該構造障壁の
    上方部に配置されることを特徴とする請求項1記載の電
    気泳動表示装置。
  3. 【請求項3】 前記段差に隣接し、上段側に位置する表
    示電極面の下側に、前記帯電泳動粒子が入出可能であっ
    て、表示面観察者からは視認不可能な遮蔽空間が形成さ
    れてなることを特徴とする請求項2記載の電気泳動表示
    装置。
  4. 【請求項4】 第1基板と、第1基板上に配置される第
    1表示電極及び第2表示電極と、前記第1基板に対向し
    て配置される第2基板と、各電極に所望の電圧を印加す
    る手段と、前記第1基板及び第2基板間に充填された透
    明絶縁性液体と、該透明絶縁性液体中に分散された複数
    の着色帯電泳動微粒子と、前記第1表示電極と前記第2
    表示電極との境界部に配置される壁構造または段差構造
    よりなる構造障壁と、該構造障壁の上方部に配置される
    制御電極とを備え、前記着色帯電泳動粒子を第1および
    第2表示電極間で移動させることによって表示の切り換
    えを行ない、かつ前記構造障壁による物理的バリヤと前
    記制御電極による電気的バリヤとの複合効果により着色
    帯電泳動微粒子の移動を制御することが可能な電気泳動
    表示装置において、前記帯電泳動粒子の移動が、帯電泳
    動粒子を一方の表示電極から前記制御電極近傍に移動す
    る第1の過程と、第1の過程に続いて帯電泳動粒子を制
    御電極から前記構造障壁を越えて他方の表示電極側に移
    動する第2の過程とからなることを特徴とする電気泳動
    表示装置の駆動方法。
  5. 【請求項5】 前記泳動粒子の移動を引き起こすため
    に、 正帯電の泳動粒子の場合には、 「移動先でない表示電極の電位≧制御電極の電位>移動
    先である表示電極の電位」の関係を満たし、 負帯電の泳動粒子の揚合には、 「移動先でない表示電極の電位≦制御電極の電位<移動
    先である表示電極の電位」の関係を満たす、 期間が含まれるように、前記第1表示電極、第2表示電
    極及び制御電極に電圧を印加することを特徴とする請求
    項4記載の電気泳動表示装置の駆動方法。
  6. 【請求項6】 前記2つの過程からなる泳動粒子の移動
    を引き起こすために、 正帯電の泳動粒子の場合には、 前記第1の過程において「両表示電極の電位>制御電極
    の電位」、 前記第2の過程において「移動前の表示電極の電位≧制
    御電極の電位>移動先の表示電極の電位」の関係を満た
    し、 負帯電の泳動粒子の場合には、 前記第1の過程において「両表示電極の電位<制御電極
    の電位」、 前記第2の過程において「移動前の表示電極の電位≦制
    御電極の電位<移動先の表示電極の電位」の関係を満た
    すように、 前記第1表示電極、第2表示電極及び制御電極に電圧を
    印加することを特徴とする請求項5記載の電気泳動表示
    装置の駆動方法。
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