JP3592184B2 - 電気泳動表示装置およびその駆動方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、帯電泳動粒子を移動させて表示を行う電気泳動型表示装置およびその駆動方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、情報機器の発達に伴い、各種情報のデータ量は拡大の一途をたどり、情報の出力も様々な形態を用いてなされている。一般に、情報の出力は、ブラウン管や液晶などを用いたディスプレイ表示とプリンタなどによる紙へのハードコピー表示とに大別できる。ディスプレイ表示においては、低消費電力且つ薄型の表示装置のニーズが増しており、中でも液晶表示装置は、こうしたニーズに対応できる表示装置として活発な開発が行われ商品化さてれいる。しかしながら、現在の液晶表示装置には、画面を見る角度や、反射光により、画面上の文字が見ずらく、また光源のちらつき・低輝度等から生じる視覚への負担が、未だ十分に解決されていない。またブラウン管を用いたディスプレイ表示では、コントラストや輝度は液晶表示と比較して十分あるものの、ちらつきが発生するなど後述するハードコピー表示と比較して十分な表示品位があるとはいえない。また装置が大きく重いため携帯性が極めて低い。
【0003】
一方、ハードコピー表示は情報の電子化により不要になるものと考えられていたが、実際には依然膨大な量のハードコピー出力が行われている。その理由として、情報をディスプレイ表示した場合、前述した表示品位に係わる問題点に加えて、その解像度も一般的には最大でも120dpi程度と紙へのプリント・アウト(通常300dpi以上)と比較して相当に低い。従って、ディスプレイ表示ではハードコピー表示と比較して視覚への負担が大きくなる。その結果、ディスプレイ上で確認可能であっても、一旦ハードコピー出力することがしばしば行われることになる。また、ハードコピーされた情報は、ディスプレイ表示のように表示領域がディスプレイのサイズに制限されることなく多数並べたり、また複雑な機器操作を行わずに並べ替えたり、順に確認していくことができることも、ディスプレイ表示可能であってもハードコピー表示が併用される大きな理由である。さらには、ハードコピー表示は、表示を保持するためのエネルギーは不要であり、情報量が極端に大きくない限り、何時でもどこでも情報を確認することが可能であるという優れた携帯性を有する。
【0004】
このように動画表示や頻繁な書き換えなどが要求されない限り、ハードコピー表示はディスプレイ表示と異なる様々な利点を有するが、紙を大量に消費するという欠点がある。そこで、近年においては、リライタブル記録媒体(視認性の高い画像の記録・消去サイクルが多数回可能で、表示の保持にエネルギーを必要としない記録媒体)の開発が盛んに進められている。こうしたハードコピーの持つ特性を継承した書き換え可能な第3の表示方式をペーパーライクディスプレイと呼ぶことにする。
【0005】
ペーパーライクディスプレイの必要条件は、書き換え可能であること、表示の保持にエネルギーを要さないか若しくは十分に小さいこと(メモリー性)、携帯性に優れること、表示品位が優れていることなどである。現在、ペーパーライクディスプレイとみなせる表示方式としては、例えば、サーマルプリンターヘッドで記録・消去する有機低分子・高分子樹脂マトリックス系(例えば、特開昭55−154198号公報、特開昭57−82086号公報)を用いた可逆表示媒体を挙げることができる。この系は一部プリペイドカードの表示部分として利用されているが、コントラストが余り高くないことや、記録・消去の繰り返し回数が150〜500回程度と比較的少ないなどの課題を有している。
【0006】
また、別のペーパーライクディスプレイとして利用可能な表示方式として、Harold D.Lees等により発明された電気泳動表示装置(米国特許第3612758号明細書)が知られている。他にも、特開平9−185087号公報に電気泳動表示装置が開示されている。
【0007】
この表示装置は、絶縁性液体中に着色帯電泳動粒子を分散させてなる分散系と、この分散系を挟んで対峙する一対の電極からなっている。電極を介して分散系に電圧を印加することにより、着色帯電泳動粒子の電気泳動性を利用して、該着色帯電泳動粒子を粒子自身が持つ電荷と反対極性の電極側にクーロン力により吸着させるものである。表示は、この着色帯電泳動粒子の色と染色された絶縁性液体の色の違いを利用して行われる。つまり、着色帯電泳動粒子が観測者に近い光透過性の第1の電極表面に吸着させた場合には着色帯電泳動粒子の色が観察され、逆に観測者から遠い第2の電極表面に吸着させた場合には、着色帯電泳動粒子と光学的特性が異なるように染色された絶縁性液体の色が観察される。
【0008】
しかしながら、このような電気泳動装置では、絶縁性液体に染料やイオンなどの発色材を混合しなくてはならず、このような発色材の存在は、新たな電荷の授受をもたらすために電気泳動動作において不安定要因として作用しやすく、表示装置としての性能や寿命、安定性を低下させる場合があった。
【0009】
係る問題を解決するために、第1表示電極及び第2表示電極からなる電極対を同一基板上に配置し、観察者から見て着色帯電泳動粒子を水平に移動させる表示装置が、特開昭49−5598号公報及び特開平11−202804号公報において提案された。電気泳動特性を利用して、透明な絶縁性液体中で着色帯電泳動粒子を電圧印加により、第1表示電極面及び第2電極面間を、基板面と水平に移動させることによって表示を行うものである。
【0010】
水平移動型電気泳動表示装置においては、絶縁性液体は透明である場合が多く、観察者側から見て、第1表示電極と第2表示電極が異なる着色を呈し、いずれか一方の色を泳動粒子の色と一致させてある。例えば第1表示電極の色を黒色、第2表示電極の色を白色、泳動粒子の色を黒色とすると、泳動粒子が第1電極上に分布する場合には、第2表示電極が露出し白色を呈し、泳動粒子が第2表示電極上に分布する場合には泳動粒子色である黒色を呈す。
【0011】
ところで、画素がマトリックス状に配置された表示装置を、電気的にアドレスする方式としては大別して、アクティブマトリックス方式と単純マトリックス方式の2つがある。
【0012】
アクティブマトリックス方式では、各画素それぞれに対して薄膜トランジスタ(TFT)などのスイッチング素子を形成し、各画素に印加する電圧を画素ごとに独立に制御する。この方式を用いれば、水平移動型電気泳動表示装置を、高い表示コントラストで駆動することが可能である。しかしながら一方で、アクティブマトリックス方式はプロセスコストが高い、薄膜トランジスタのプロセス温度が高くポリマー基板上への形成が困難である、といった問題を抱える。この問題は、低コストでフレキシブルなディスプレイを目指すペーパーライクディスプレイにおいては特に重要である。これらの問題を解決するために、印刷プロセスが適用可能なポリマー材料による薄膜トランジスタの形成プロセスが提案されているが、実用化の可能性は未だ未知数である。
【0013】
単純マトリックス方式は、アドレスのために必要な構成要素がX−Y電極ラインのみであるから低コストであリポリマー基板上への形成も容易である。選択画素に対して書き込み電圧を印加する場合は、選択画素を交点とするX電極ラインとY電極ラインに対して、書き込み電圧に相当する電圧を印加すればよい。ところが、水平移動型電気泳動表示装置を単純マトリックス方式により駆動しようとすると、選択された画素の周辺画素まで一部書き込まれてしまう、いわゆるクロストーク現象が発生し、表示コントラストが著しく劣化してしまう。これは水平移動型電気泳動表示装置が、書き込み電圧に対して明確な閾値特性を持たないために必然的に発生する問題である。
【0014】
係る問題に対して、原理的に閾値を持たない電気泳動表示において、表示電極に加えて制御電極を導入し、3電極構造によって単純マトリックス駆動を実現する提案がなされている。3電極構造に関する提案は殆どが上下電極型電気泳動表示に関してなされたものであり、例えば特開昭54−085699号公報(米国特許第4203106号明細書)がある。
【0015】
水平移動型電気泳動表示装置における3電極構造の提案は唯一、特表平8−507154号公報(米国特許第5345251号明細書)においてなされている。但し特表平8−507154号公報においては、分散液は透明ではなく着色されていると考えられ、前述の特開昭49−5598号公報及び特開平11−202804号公報及び本発明が対象とする、分散液が透明であることを特徴とする水平移動型電気泳動表示装置とは異なるものである。
【0016】
特表平8−507154号公報では制御電極の配置に関して2つの構成が開示されている(図24)。第1の構成(図24(a))は水平移動型電気泳動装置の第2基板2側に第3の電極として制御電極5aが配置されるタイプであり、第2の構成(図24(b))は第1基板1側の第1表示電極4と第2表示電極3との間に第3の電極として制御電極5aが配置されるタイプである。
【0017】
第1構成、第2構成いずれのタイプにおいても、一画素内には、複数のライン電極が集合したフォーク状第1表示電極と、第1表示電極の各ライン間に配置された複数のライン電極が集合したフォーク状第2表示電極がフェースプレートである第1基板上に配置される。第1表示電極3上にはクロム厚膜が付与され、その結果第1表示電極4と第2表示電極3の境界に約0.3μmの段差22が形成されている。第1構成においては制御電極5aは、第1基板1に対して25〜116μmの間隔で対向配置された第2基板2上の画素内全面に形成され、第2構成においては制御電極5aは、第1基板上の、第1表示電極4と第2表示電極3の各ライン間に配置される。図24においては説明の便宜上、第1表示電極、第2表示電極ともに1ラインで構成される場合について示してある。
【0018】
次に、図25および図26を用いて特表平8−507154号公報における書き込み動作について説明する。図25に泳動粒子の動作状態、図26に印加パルス及び反射率変化について示す。セル構成は図24(a)と同じ(但し1画素)である。
【0019】
尚、以下の説明で述べる印加電圧値は我々が実際に行なった実験によって求められた条件であり、必ずしも特表平8−507154号公報記載の条件とは一致していない。これは主に使用する泳動粒子の帯電極性、帯電量などの物性値によるところが大きい。以下の説明では、後に述べる本発明の動作説明との比較を容易にするため、我々が使用した泳動粒子での実験結果における印加電圧値を記載する。
【0020】
また特表平8−507154号公報においては、絶縁性液体として着色液体を使用していると考えられるが、以下の説明では後に述べる本発明の動作説明との比較を容易にするため透明な絶縁液体を用い、表示コントラストの発現方法についても泳動粒子を黒色、第1表示電極を黒色、第2表示電極を白色とする本発明の実施形態と同様の方式の構成について説明を行なう。
【0021】
泳動粒子6の帯電極性を正、第2表示電極3をコモン電極とし、第2表示電極3の接地電位を基準にして第1表示電極4に駆動電圧Vd、制御電極5aに制御電圧Vcを印加するものとする。
【0022】
期間Taは白表示保持状態である。図25中、矢印はセル内の電界ベクトルの概要を示す。第1表示電極4上に集められた泳動粒子6は、第1表示電極4と第2表示電極3間に設けられた段差22によって第2表示電極3側への移動を抑制され、かつ第1表示電極4と制御電極5a間に印加される保持電圧Vc=+250Vによって表示電極側に押え込まれることによって安定し、反射率(R)70%程度の白表示状態が保持される。保持状態において印加されるVd=5Vは、黒表示状態において、段差近傍の泳動粒子が第1表示電極側へ移動しやすくなる傾向を抑制する役割を果たしている。
【0023】
書き込み期間Tbにおいては、Vd=+50v、Vc=+50Vを印加する。第1表示電極4と制御電極5aとは同電位に設定されるため制御電圧による押え込みは解除され、全ての泳動粒子6は表示電極面に沿って段差を乗り越えて第2表示電極側に水平移動し、反射率Rは急激に減少する。
【0024】
黒表示保持状態である期間Tcでは、保持電圧Vc=+250Vによって表示電極側に押し付けられ、反射率5%程度の黒表示状態が保持される。
【0025】
続いて、特表平8−507154号公報において開示された単純マトリックス駆動方法について図27および図28を用いながら説明する。X方向にm列、Y方向にn行の画素が配列したm×nマトリックスを有する水平移動型電気泳動表示装置を考える。画素配列に沿って、m本の信号電極線が列方向に、n本の信号電極線が行方向に、互いに直交するように配列されており、各交点において信号電極線は各画素の制御電極5aに、走査電極線は各画素内の第1表示電極4に配線されている。第2表示電極3はコモン電極とし接地電位に固定する。
【0026】
まず全ての走査ラインにVd=−50V、全ての信号ラインにVc=0Vを印加し、全ての泳動粒子6を第1表示電極上に集める(図27(a)、全面消去)。次にY方向に上から順番に走査ラインを選択し書き込みを行なう。選択期間(書き込み期間)では、走査ラインにVd=+50Vを印加し、選択画素に相当する信号ラインにVc=+50V、非選択画素に相当するラインにVc=+250Vを印加する。選択画素では表示電極間に印加される駆動電圧Vd=+50Vによって、泳動粒子が段差を乗り越え第2表示電極側に移動し書き込みが行なわれる(図27(b))。非選択画素においても駆動電圧Vd=+50Vが印加されているが、第1の構成においては、泳動粒子はVc=+250Vの制御電圧によって第1表示電極に押し付けられ移動(書き込み)が阻止される(図27(c))。
【0027】
一方、非選択期間においては走査ラインにVd=+5Vが印加され、信号ラインにはVc=+50Vまたは+250Vが印加される(図28(d)〜(g))。いずれの場合も、泳動粒子は制御電圧によって表示電極面に押し付けられており表示状態は変化しない。
【0028】
このようにして、閾値特性を持たない水平移動型電気泳動装置において、単純マトリックス駆動法を用いた表示書き込みが実現される。
【0029】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特表平8−507154号公報で開示された水平移動型電気泳動装置は次のような問題点を抱えていた。
【0030】
第1の構成においては、段差をあまり高く設定できない、という制限がある。段差を高くしすぎると、選択期間における帯電泳動粒子の移動において、一部の泳動粒子が段差を越えられずに段差底部に残留してしまい、表示コントラストが低下する(図29(a))。段差底部への残留を引き起こさないためには、段差の高さを泳動粒子径前後に制限する必要がある。
【0031】
段差の高さが制限されるため、段差による泳動粒子の移動抑制効果は不十分である。このため、選択期間に駆動電圧Vdが印加された状態で、非選択画素において制御電圧Vcを印加し泳動粒子の移動を押え込む場合(図27(c))において、段差が低いために一部の泳動粒子が段差を越えて移動していまい、結果としてクロストーク現象を引き起こし表示コントラストが劣化するという重要な問題が発生する(図29(b))。
【0032】
制御電圧Vcを十分に大きくすれば、ある程度泳動粒子を押え込むことは可能であるが、この場合は印加電圧が上昇してしまうという弊害とともに、素子内の絶縁部材中に高電圧によって注入された電荷が電圧解除後も残留し、この残留電荷のもたらす意図せぬ電界によって泳動粒子の動作状態が不安定になる、という新たな問題が発生する。
【0033】
段差の高さが制限される弊害は他にもある。段差の高さが十分でないため、第1表示電極と第2表示電極との間の面積差をあまり大きく設定できない。面積差を大きく設定すると、面積の小さい電極面上に泳動粒子を集めようとしても泳動粒子が溢れ出てしまうからである(図29(c))。表示コントラストは、第1表示電極と第2表示電極の面積比で決定されるため、結果として表示コントラストが制限されてしまう。
【0034】
さらに、第1の構成においては、段差による移動抑制効果は下段側から上段側への方向に限定され、上段側から下段側への移動はむしろ加速される。従って、書き込み方向は一方向のみに限られ、まず最初に全画面の泳動粒子を下段側に集め全面リセットしたのち、一方向への書き込みを行なうという駆動法に限定されてしまう。書き込みを双方向に対して行なうことはできず、画面の一部のみを選択的に書き換えるような駆動はできない。
【0035】
一方、第2の構成においては、選択期間においては、非選択画素に対しては表示電極と制御電極間に電圧を印加することによって泳動粒子の移動を双方向に対して阻止することが可能であり、また選択画素に対しては表示電極と制御電極間の電圧を0Vにすることによって泳動粒子の移動をスムーズに行なうことができる。この場合は段差は必ずしも必須な構成要素ではない、と考えられる。また第2の構成においては制御電極を含めた駆動に関係する全ての構成要素を単一基板上に配置することができる、という重要な特徴を有する。これにより、上下基板貼り合わせ工程での位置合わせ精度が不要となり、特に位置合わせ精度を高めることが原理的に困難なプラステック基板を用いて解像度の高い表示を実現することができるようになるという大きな利点が得られる。
【0036】
しかしながら第2の構成において、制御電極が阻止することができるのは、あくまで表示電極間の移動のみであって表示電極面内での移動については制御不能である。このため非選択期間において表示電極と制御電極間に印加される制御電圧によって、表示電極面内に均一に分散していた泳動粒子は制御電極から反発する方向に移動し、表示電極面内において図30(a),(b)に示すような分布の偏りが発生し表示コントラストが著しく低下してしまう、という問題がある。
【0037】
また、泳動粒子の一部が、制御電極に印加された制御電圧による反発力によって対向基板側に移動し貼りついてしまう場合があり、一度対向基板側に貼りつき吸着した泳動粒子に対しては有効な移動電圧を印加する手段がないため制御不能に陥るという深刻な問題を有する(図30(a),(b))。
【0038】
本発明は、この様な従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、クロストークの発生を抑え、良好な表示コントラストが得られる単純マトリックス駆動が可能で、また着色帯電泳動粒子の保持に要する制御電圧を大幅に低減することが可能な水平移動型電気泳動表示装置およびその駆動方法を提供することを目的とするものである。
【0039】
また、本発明は、第1表示電極と第2表示電極との面積比を従来より大きく設定でき、コントラストの向上を実現した電気泳動表示装置およびその駆動方法を提供することを目的とするものである。
【0040】
また、本発明は、双方向の書き込み駆動ができ、また表示画面の一部分のみを書き換える部分書き換えが可能な電気泳動表示装置およびその駆動方法を提供することを目的とするものである。
【0041】
【課題を解決するための手段】
本発明においては以下に記載する新規な構成及び駆動方法について提案し、上記問題点を解決する。
【0042】
本発明の構成に関する第1の特徴は、第1基板と、第1基板上に配置される第1表示電極及び第2表示電極と、前記第1基板に対向して配置される第2基板と、各電極に所望の電圧を印加する手段と、前記第1基板及び第2基板間に充填された透明絶縁性液体と、該透明絶縁性液体中に分散された複数の着色帯電泳動微粒子とを備え、該着色帯電泳動粒子を第1および第2表示電極間で移動させることによって表示の切り換えを行なう電気泳動表示装置において、前記第1基板上の前記第1表示電極と第2表示電極との境界部に壁構造または段差構造が設けられ、前記壁構造または段差構造の上部の第1および第2表示電極面より高い位置に前記帯電泳動粒子の移動を制御する制御電極が配置され、表示保持期間に、前記制御電極に、帯電泳動粒子を第1および第2表示電極側に押し付ける電圧が印加され、書き込み期間に、前記制御電極に、帯電泳動粒子を一方の表示電極から前記制御電極の近傍に移動させ続いて他方の表示電極側に移動させる電圧が印加されて、前記帯電泳動粒子の移動が制御されることにある。
【0043】
より具体的には、前記第1基板上の前記第1表示電極と第2表示電極との境界部に、壁構造または段差構造よりなる構造障壁が配置され、前記制御電極は、該構造障壁の上方部に配置されることを特徴とする。
【0044】
また、好ましい構成としては、前記段差に隣接し、上段側に位置する表示電極面の下側に、前記帯電泳動粒子が入出可能であって、表示面観察者からは視認不可能な遮蔽空間が形成されてなることを特徴とする。
【0045】
本発明の構成に関する第2の特徴は、第1基板と、第1基板上に配置される第1表示電極及び第2表示電極と、前記第1基板に対向して配置される第2基板と、各電極に所望の電圧を印加する手段と、前記第1基板及び第2基板間に充填された透明絶縁性液体と、該透明絶縁性液体中に分散された複数の着色帯電泳動微粒子と、前記第1基板上の前記第1表示電極と第2表示電極との境界部に設けられた壁構造または段差構造と、前記壁構造または段差構造の上部の第1および第2表示電極面に対して高い位置に配置され前記帯電泳動粒子の移動を制御する制御電極とを有する電気泳動表示装置の駆動方法であって、書き込み期間が、帯電泳動粒子を一方の表示電極から前記制御電極近傍に移動する第1の過程と、第1の過程に続いて帯電泳動粒子を制御電極から前記壁構造または段差構造を越えて他方の表示電極側に移動する第2の過程とからなることにある。
【0046】
より具体的には、前記泳動粒子の移動を引き起こすために、
正帯電の泳動粒子の場合には、
「移動先でない表示電極の電位≧制御電極の電位>移動先である表示電極の電位」の関係を満たし、
負帯電の泳動粒子の揚合には、
「移動先でない表示電極の電位≦制御電極の電位<移動先である表示電極の電位」の関係を満たす、
期間が含まれるように、前記第1表示電極、第2表示電極及び制御電極に電圧を印加することを特徴とし、また更に具体的には、前記2つの過程からなる泳動粒子の移動を引き起こすために、
正帯電の泳動粒子の場合には、
前記第1の過程において「両表示電極の電位>制御電極の電位」、
前記第2の過程において「移動前の表示電極の電位≧制御電極の電位>移動先の表示電極の電位」の関係を満たし、
負帯電の泳動粒子の場合には、
前記第1の過程において「両表示電極の電位<制御電極の電位」、
前記第2の過程において「移動前の表示電極の電位≦制御電極の電位<移動先の表示電極の電位」の関係を満たすように、
前記第1表示電極、第2表示電極及び制御電極に電圧を印加することを特徴とする。
【0047】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施態様について順に説明する。
(代表的な実施態様の構成及び動作)
図1に本発明の代表的な断面構成図の一例を示す。図1では説明の便宜上2画素からなる構成を示している。第1基板1上には第1表示電極4と第2表示電極3とが配置され、また隔壁10を介して第2基板2が対向配置される。第1基板上の第1表示電極4と第2表示電極3との境界部には、壁または段差からなる構造障壁11と構造障壁の上方に配置される制御電極5とを備える。図1においては構造障壁11として壁構造が形成される。両基板と隔壁によって形成される空間内には、透明な絶縁性液体7が充填され、絶縁液体中には着色された帯電泳動粒子6が分散されている。
【0048】
表示電極の平面形状に特に限定はなく、代表的なストライプ形状(図2(a))のほか、方形(図2(b))、円形などの閉ループ形状など、任意の形状が適用可能である。いずれの形状においても、制御電極5は第1表示電極4と第2表示電極3との境界領域に形成される。
【0049】
本発明の構成上の顕著な特徴は、泳動粒子の移動を抑制する手段として、物理的バリヤとなる構造障壁11と、電気的バリヤを発生する制御電極5とを併せ持つことにあり、物理的バリヤと電気的バリアとの相乗効果によって、比較的低い制御電圧で泳動粒子の移動を効果的に抑制することができる。また制御電極5を構造障壁11上に形成し表示電極面に対して高い位置に配置することによって、表示電極面に垂直な保持電圧成分が十分に発生するため、保持電圧の印加時に特表平8−507154号公報の第2構成において問題となる表示電極面内での泳動粒子の偏りや、上基板側への貼りつき(図30(a),(b))を効果的に抑制することが可能となる。また表示電極の面積が小さい場合でも泳動粒子を溢れ出ることなく保持することができるため、第1表示電極と第2表示電極間に大きな面積差を設定でき、表示コントラストを大幅に向上できる。
【0050】
図1の構成の具体的なサイズとしては、例えば画素サイズ100μm×100μmに対して、泳動粒子径0.5〜10μm、第1基板と第2基板との間隔10〜100μm、構造障壁11の高さ5〜50μm程度が好適であり、また各電極の全画素面積に対する面積比については、例えば第1表示電極10〜30%、第2表示面積85〜65%、制御電極5〜10%程度が好適である。
【0051】
セル構成部材の配色は任意の組み合わせが可能であり、例えば泳動粒子6を黒、第1表示電極4を黒、第2表示電極3を白、制御電極5を白とした場合、白表示と黒表示の切り換えが行なえる。第2表示電極3及び制御電極5の着色がRGBである画素を並べることによってカラー化表示を行なうことも可能である。
【0052】
次に図3および図4を用いて本発明の特徴のひとつである書き込み動作について説明する。図3に各過程における泳動粒子の動作状態、図4に各過程ごとの印加パルス及び反射率変化について示す。セル構成は図1と同じ(但し1画素)である。
【0053】
以下の説明では泳動粒子6の帯電極性を正とし、第1表示電極4に駆動電圧Vd1、第2表示電極3に駆動電圧Vd2、制御電極5に制御電圧Vcを印加するものとする。
【0054】
期間Taは白表示保持状態である。図3中、薄い矢印はセル内の電界ベクトルの概要を示す。全ての泳動粒子6は第1表示電極4と構造障壁11及び隔壁10で囲まれた空間内に収納されており、かつ第1表示電極4と制御電極5の間に印加される保持電圧によって表示電極側に押し付けられ、反射率80%程度の白表示状態が安定に保持される。
【0055】
本発明においては、構造障壁11による物理的バリヤと制御電極5による電気的バリヤとの複合効果により、泳動粒子の第2表示電極3側への直接的な水平移動を禁止するため、特表平8−507154号公報の構成に比べて、泳動粒子の移動を禁止し保持するための保持電圧を大幅に小さくすることが可能である。図3では保持電圧をVc=+100Vとした。
【0056】
期間Tbにおいて書き込みを行う。泳動粒子の移動を禁止する高い構造障壁11が存在する本発明の構成においては、構造障壁11上に配置された制御電極5と第1表示電極4及び第2表示電極3にVd1<Vc<Vd2の条件を満たす書き込み電圧を印加することによって書き込みが達成される。例えばVd1=+50V、Vd2=−50V、Vc=0Vを印加することによって、第1表示電極4上の泳動粒子6は、図4に示す電界ベクトル分布に従って、まず制御電極5側に向かって移動し、次に構造障壁11を乗り越え第2表示電極側へと移動する。
【0057】
期間Tcは黒表示保持状態であり、第2表示電極側に移動した泳動粒子6が、制御電圧Vc=+100Vによって表示電極側に押し付けられ、反射率10%程度の黒表示状態が安定に保持される。
【0058】
図11および図12に、本発明における他の書き込み方法を示す。書き込みは期間Tb1、Tb2において行なわれる。まず期間Tb1においてVd1=Vd2=0V、Vc=−50Vを印加し、泳動粒子6を制御電極側に移動する。次に期間Tb2においてVd1=+100V、Vd2=0V、Vc=+50Vを印加し、泳動粒子6の移動方向を制御電極方向から第2表示電極側ヘと反転させる。この時、第1表示電極4には制御電極5に対して+50Vのバイアスが印加されているため、全ての泳動粒子6は、第1表示電極側に戻ることなく、構造障壁11を越え第2表示電極側へと移動し、反射率Rは急激に減少する。
【0059】
この書き込み方法の場合、期間Tb1においては全ての電界ベクトルが制御電極5に向いているため、構造障壁11が極端に高い場合であっても泳動粒子6は構造障壁11に衝突することなく制御電極11に移動することができる。従って書き込みの信頼性が向上するとともに、構造障壁の高さ等構造の自由度が高くなるという利点を有する。
【0060】
期間Tcは黒表示保持状態であり、第2表示電極側に移動した泳動粒子6が、制御電圧Vc=+50Vによって表示電極側に押し付けられ、反射率10%程度の黒表示状態が安定に保持される。
【0061】
(単純マトリックス駆動方法)
以下、本発明における実施態様の単純マトリックス駆動法について説明する。X方向にm列、Y方向にn行の画素が配列したm×nマトリックスを有する水平移動型電気泳動表示装置を考える。画素配列に沿って、m本の信号電極線が列方向に、n本の信号電極線が行方向に、互いに直交するように配列される。
【0062】
書き込み方法については複数のバリエーションが考えられる。まず、各電極との配線方式に関しては、各画素の制御電極が走査電極線に、表示電極が信号電極線に配線される場合と、各画素の制御電極が信号電極線に、表示電極が走査電極線に配線される場合との2通りがある。また、書き込み方向については、各走査ラインごとに白状態・黒状態の双方向に対して書き込みを行う場合と、最初に画面全体を一方の状態にリセットしたのち各走査ラインごとに、書き換えが必要な画素についてのみ一方向の書き込みを行う場合とがある。
【0063】
一例として、各交点において第1信号電極線が各画素の第1表示電極に、第2信号電極線が各画素の第2表示電極に、走査電極線が各画素内の制御電極にそれぞれ配線され、書き込みが双方向に対して行われる場合の駆動方法について図5および図6を用いて説明する。双方向書き込みは、特表平8−507154号公報で開示された第1の構成では困難であって、障壁の構造が対称である本発明の特徴の一つである。
【0064】
書き込みはY方向に上から順番に走査ラインを選択しながら行なう。選択期間においては、走査ラインに書き込み許可電圧としてVc=0Vを印加し、表示したい画像データに相当する信号を各信号ラインに印加する。即ち、黒状態を書き込みたい画素(図5(a))に相当する第1信号ラインにVd1=+50Vを、第2信号ラインにVd2=−50Vを印加し、また白状態を書き込みたい画素(図5(b))に相当する第1信号ラインにVd1=−50Vを、第2信号ラインにVd2=+50Vを印加する。書き込み動作の詳細な説明については図3および図4の説明と同様なので省略する。以上のようにして、期間Tbにおいて黒・白双方向への書き込みが同時に行なわれる。
【0065】
一方、非選択期間においては走査ラインに書き込み禁止電圧(保持電圧)としてVc=+100Vが印加される。本発明においては制御電極5を構造障壁11上に形成し表示電極面に対して高い位置に配置することによって、表示電極面に垂直な保持電圧成分が発生し、泳動粒子を表示電極面上に十分に押し付けることができる。各信号ラインに黒書き込み信号が印加された状態(図6(c),(e))、または白書き込み信号が印加された状態(図6(d),(f))においても、特表平8−507154号公報の第2の構成で問題であったような表示電極面内での泳動粒子の偏りや、上基板側への貼りつきを効果的に抑制することが可能となる。
【0066】
駆動方法の他の一例として、書き込み方向が一方向の場合について図7〜図10を用いて説明する。図7および図8においては電極の配線方式は図5および図6と同じく走査電極線を制御電極、信号電極線を表示電極に配線する。また図9および図10においては、電極の配線方式は図5および図6とは異なり走査電極線を表示電極、信号電極線を制御電極に配線する。いずれの場合も、書き込み方向が一方向の場合は各画素には2ラインの信号電極線は不要であり、第2表示電極は共通電極として接地電位に短絡される。
【0067】
以下図7および図8の駆動方法について説明する。まず最初に、全ての走査電極線にVc=−50V、全ての信号電極線にVd1=−100Vを印加し、画面全体を白状態にリセットする(図7(a))。
【0068】
書き込みはY方向に上から順番に走査ラインを選択しながら行なう。選択期間においては、走査ラインに書き込み許可電圧としてVc=+50Vを印加し、表示したい画像データに相当する信号を各信号ラインに印加する。即ち、黒状態を書き込みたい画素(図7(b))に相当する信号ラインにVd1=+100Vを印加することによって黒状態への書き込みが行われ、また白状態を書き込みたい画素(図7(c))に相当する信号ラインにVd1=0Vを印加することによって白状態が維持される。以上のようにして、選択期間において所望の画素に対してのみ黒状態への一方向書き込みが行なわれる。
【0069】
一方、非選択期間においては走査ラインに書き込み禁止電圧(保持電圧)としてVc=+150Vが印加され、各信号ラインに黒書き込み信号が印加された状態(図8(d),(f))、または黒書き込み信号が印加されない状態(図8(e),(g))のそれぞれにおいて、図5および図6の場合と同様に表示状態が良好に保持される。
【0070】
以下図9および図10の駆動方法について説明する。まず最初に、全ての走査電極線にVd1=−100V、全ての信号電極線にVc=−50Vを印加し、画面全体を白状態にリセットする(図9(a))。
【0071】
書き込みはY方向に上から順番に走査ラインを選択しながら行なう。選択期間においては、走査ラインに黒書き込み電圧としてVd1=+100Vを印加し、表示したい画像データに相当する信号を各信号ラインに印加する。即ち、黒状態を書き込みたい画素(図9(b))に相当する信号ラインに書き込み許可信号としてVc=+50Vを印加することによって黒状態への書き込みが行われ、また白状態を保持したい画素(図9(c))に相当する信号ラインに書き込み禁止信号としてVc=+150Vを印加することによって白状態が維持される。以上のようにして、選択期間において所望の画素に対してのみ黒状態への一方向書き込みが行なわれる。
【0072】
一方、非選択期間においては走査ラインに書き込み信号は印加されずVd1=0Vとし、各信号ラインに書き込み許可信号が印加された状態(図10(d),(f))、または書き込み禁止信号が印加された状態(図10(e),(g))のそれぞれにおいて、図5および図6の場合と同様に表示状態が良好に保持される。
【0073】
続いて駆動方法の他の一例として、書き込み期間が2分割された書き込み方式(図11および図12)による駆動方法について図13〜15を用いて説明する。走査ラインを制御電極、第1信号ラインを第1表示電極、第2信号ラインを第2表示電極にそれぞれ配線し、書き込みは各ライン毎に双方向に対して行なう。この場合、初期全面リセットは不要である。
【0074】
選択期間においては、第1走査ラインにVc=−50V(期間Tb1)/0V(期間Tb2)を印加する。同時に、黒表示書き込みを行なう画素(図13(a))に相当する第1信号ラインにVd1=0V/+50Vを、第2信号ラインにVd2=0V/−50Vを印加する。また、白表示書き込みを行なう画素(図13(b))に相当する第1信号ラインにVd1=0V/−50Vを、第2信号ラインにVd2=0V/+50Vを印加する。書き込みの動作については図11および図12において説明ずみであるので省略する。
【0075】
一方、非選択期間においては走査ラインにVc=+50V/+100Vが印加される。信号ラインに関しては、選択期間と同様に、黒表示書き込み信号として第1信号ラインにVd1=0V/+50Vが、第2信号ラインにVd2=0V/−50Vが印加される(図14(d),(e))。また、白表示書き込み信号として第1信号ラインにVd1=0V/−50Vが、第2信号ラインにVd2=0V/+50Vが印加される(図15(f),(g))。いずれの場合においても、表示電極面に垂直な保持電圧成分が発生し、泳動粒子6を表示電極面上に十分に押し付けることができるため表示状態が安定に保持される。
【0076】
(構成のバリエーション)
本発明の構成は、図1のタイプに限定されるものではない。例えば構造障壁11の断面形状は長方形に限定される訳ではなく、三角形、台形など任意の形状が適用可能であるのはいうまでもない。また制御電極5の位置は必ずしも構造障壁11の最上部に配置される必要はなく、表示電極面に対して上方であれば障壁の中間部に埋設されてもよく、また障壁の側壁に形成されてもよい。以下本発明において有効な構成について図を用いながら更に説明する。
【0077】
図16(a)に、障壁が段差であるタイプを示す。制御電極5は段差のエッジ部に配置される。駆動方法は図1と同様であるが、書き込み方法は一方向書き込みに限定される。段差12の高さは泳動粒子径の数倍〜数十倍と大きく、制御電極への保持電圧印加によって表示電極面に垂直な保持電圧成分が発生し、泳動粒子を表示電極面上に十分に押し付けることができる。特表平8−507154号公報において提案された段差とは、高さ及び機能が異なるものである。
【0078】
図16(b)に、図1の変形として、面積の大きい第2表示電極面3を第1表示電極面4よりも高い位置に配置する構成を示す。図1の構成において表示電極面を斜めから観察する場合、構造障壁11が視界を遮る領域が表示電極面上に発生する。これは第2制御電圧の配置された構造障壁11の先端部と泳動粒子6の充填面上端との距離が大きい第2表示電極面3において特に顕著であり、構造障壁11と第2制御電極を透明部材で構成してもやや表示視野角特性に影響を与える場合がある。面積の大きい第2表示電極面3を第1表示電極面4よりも高い位置に配置することによって、第2表示電極面3における充填面上端と障壁先端間の距離を第1表示電極と同程度に揃えることが可能となる。この構成ではさらに、第1表示電極面4と第2表示電極面3の最表面にある泳動粒子6の、水平方向への移動抑制効果が等しくなるという利点もある。
【0079】
図17に、図16(a)で示した段差タイプのバリエーションを示す。上段側に位置する第2表示電極面3の下側の段差壁面部に、表示面観察者からは視認不可能な、遮蔽空間15を形成することによって、第1表示電極面上の泳動粒子充填体積を増やすと同時に、第1表示電極4と第2表示電極3との実効的な面積比を、見かけ上大きくして表示コントラストを向上させることができる。例えば段差断面を逆テーパ形状にする構成(図17(a))、オーバーハング形状にする構成(図17(b))によって、遮蔽空間15を形成することができる。
【0080】
以上の記述においては説明の便宜上、第1表示電極と第2表示電極が一画素内に一対配置された構成について示してきたが、本発明においては一画素内の電極数について特に限定はなく、複数の表示電極対が配置される構成が可能であることはいうまでもない。図18に図1のタイプにおいて一画素内に電極対が2組配置される構成について示す。構造障壁11及び制御電極5は、第1表示電極と第2表示電極の全ての境界に形成される。
【0081】
(構成部材の材料・製造方法)
以下、本実施態様の表示装置の製造方法について、図1を用いて説明する。
まず第1基板1上に、第1表示電極4及び第2表示電極3を形成しパターンニングする。基板の材料としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルサルフォン(PES)等のボリマーフィルム或いはガラス、石英等の無機材料を使用することができる。表示電極材料は、パターニング可能な導電性材料ならどのようなものを用いてもよく、第1制御電極材料としては、酸化インジウムすず(ITO)などの透明電極を用いる。
【0082】
次に表示電極上に絶縁層を形成する。絶縁層の材料としては薄膜でピンホールが形成しづらく、かつ誘電率の低い材料が好ましく、例えば、アモルファスフッ素樹脂、高透明ポリイミド、PET、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂等を使用できる。絶縁層の膜厚としては、100nm〜1μm程度が好適である。
【0083】
次に構造障壁11を形成する。障壁用厚膜、制御電極膜、レジスト膜を順次全面に形成した後、最上面のレジスト膜をパターンニングし、制御電極膜、段差用厚膜を順次ドライエッチングまたはウエットエッチングすればよい。図16、図17に示すような段差12の場合には、段差用厚膜を形成後、第2制御電極膜及び制御電極膜を成膜・パターンニングし、次にレジスト膜を新たに形成・パターンニングし、段差用厚膜をドライエッチングまたはウエットエッチングすればよい。また、エッチング方式及び条件を調整することによって、図17に示すような、逆テーパー形状(図17(a))、或いはオーバーハング形状(図17(b))の断面を持つ段差を形成することができる。障壁または段差材料としてはポリマー樹脂を使用する。制御電極膜または第2表示電極膜材料は、パターニング可能な導電性材料ならどのようなものを用いてもよく、金属薄膜の成膜の他、マグネトロンスパッタ法によってITOを低温成膜してもいいし、ポリアニリンなどの有機導電性材料を印刷法によって成膜してもよい。必要に応じて制御電極5上に絶縁層を形成してもよい。
【0084】
制御電極5の色は透明でもよいが、第1表示電極か第2表示電極のいずれか一方に一致させてもよい。表示電極面3、4及び制御電極面5の着色は、電極材料、あるいは電極材料の上に形成される絶縁層材料そのものの色を利用してもよく、又は所望の色の材料層を電極上、絶縁層上、基板面上に形成してもよい。また、絶縁層などに着色材料を混ぜ込んでもよい。
【0085】
次に、第2基板上に絶縁層9及び隔壁10を形成する。絶緑層の材料、膜厚については前述のとうりである。隔壁10の配置に制限はないが、画素間で泳動粒子6が移動しないように、各画素の周囲を取り囲むように配置するのがよい。隔壁材料としてはポリマー樹脂を使用する。隔壁形成はどのような方法を用いてもよい。例えば、光感光性樹脂層を塗布した後露光及びウエット現像を行う方法、又は別に作製した障壁を接着する方法、印刷法によって形成する方法、或いは光透過性の第1基板表面にモールドによって形成しておく方法等を用いることができる。
【0086】
次に隔壁で囲まれた各画素空間に透明な絶縁性液体7及び着色帯電泳動粒子6を充填する。絶縁性液体7としては、シリコーンオイル、トルエン、キシレン、高純度石油等の無色透明液体を使用する。黒色帯電泳動粒子6としては、絶縁性液体中で良好な帯電特性を示す材料を用いる。例えば、ポリエチレン、ポリスチレン等の樹脂にカーボンなどを混ぜたものを使用する。泳動粒子6の粒径に制限はないが、通常は平均粒子径0.5μm〜20μm位、好ましくは1μm〜5μmのものを使用する。
【0087】
最後に、第1基板1の第2基板2との接合面に接着層を形成した後、第1基板及び第2基板の位置合わせを行い、熱をかけて接着する。これに、電圧印加手段を接続して表示装置が完成する。
【0088】
【実施例】
以下、実施例に従って本発明を更に詳しく説明する。
【0089】
実施例1
本実施例では、図1に示すセル構成で、3×3マトリックス表示セルを作成し、双方向書き込みによる単純マトリックス駆動を行なった。図1の構成においては、泳動粒子の水平方向への移動を双方向に対して禁止することができ、従って黒状態と白状態の双方向に対して書き込みを行なうことができる。双方向書き込み駆動は、特表平8−507154号公報で開示された第1の構成では困難であって、障壁の構造が対称である本発明の特徴の一つである。
【0090】
作成した3×3マトリックス表示セルの平面図を図19に示す。一画素サイズは200μm×200μm、第1表示電極、第2制御電極、第2表示電極の面積比は20:5:75とした。
【0091】
以下、図1及び図19を見ながら、セルの製造方法について簡単に説明する。厚さ200μmのPETフィルムからなる第1基板1上に、まずアルミナなどの白色顔料を分散させたアクリル樹脂からなる絶縁着色層を全面に形成した。次に第2表示電極3としてITOを低温成膜し、フォトリソグラフィー及びドライエッチングにより図19に示す形状にパターニングした。次に第1表示電極4として暗黒色の炭化チタン膜を成膜し、同様にしてパターニングした。
【0092】
次にエボキシ樹脂を30μmの膜厚で塗布し、続いて制御電極膜として暗黒色の炭化チタン膜を成膜し、続いてレジスト膜を塗布・露光・現像し図19に示すような形状にパターンニング、最後にCF4 及びO2ガスによる反応性ドライエッチングを行ない、高さ30μmの障壁11上に炭化チタンからなる制御電極5が配置された構造体を形成した。次に、全面にアモルファスフッ素樹脂からなる絶縁層8を200nm形成した。
【0093】
続いて、PETフィルムからなる第2基板2の全面にアモルファスフッ素樹脂からなる絶縁層9を200nmの厚さに形成した。この上に、隔壁10を形成した。隔壁10は、光感光性エポキシ樹脂を塗布した後、露光及びウエット現像を行うことによって形成し、70μmの高さとした。形成された隔壁内に絶縁性液体7及び黒色帯電泳動粒子6を充填した。
【0094】
絶縁性液体1としては、シリコーンオイルを使用した。黒色帯電泳動粒子6としては、ポリスチレンとカーボンの混合物で、平均粒径5μmのものを使用した。シリコーンオイル中での泳動粒子6の極性は正帯電を示した。次に、第1基板1の第2基板2との接着面に熱融着性の接着層パターンを形成し、第2基板2の隔壁上に、位置合わせを行ないながら第1基板1を置き、熱をかけて張り合わせシート状の表示パネルを完成した。この表示パネルに不図示の電圧印加回路を接続して駆動特性を評価した。
【0095】
以下、本実施例における駆動方法の説明を行なう。
制御電極を走査ライン(S1〜S3)、第1表示電極を第1信号ライン(I11〜I13)、第2表示電極を第2信号ライン(I21〜I23)とした。
【0096】
図20(a)に、各走査ライン及び信号ラインに印加した駆動パルスのタイムチャート図を、図20(b)に各期間における表示状態の変化を示した。各期間は50msecである。
【0097】
本実施例においては双方向への書き込みが可能であるので、初期動作として全面リセットをする必要はない。初期表示パターンとして期間T0に示すパターンを与え、全画素を各走査ライン(S1〜S3)ごとに反転表示することとする。尚、本実施例においては図5および図6で説明した駆動方法によって書き込みを行なった。書き込み時の泳動粒子の詳しい動作については、図5および図6と同様であるので説明を省略する。
【0098】
以下、タイムチャート図に従って駆動方法を順に説明する。期間T1おいて選択走査ラインであるS1に対してVc=0V、非選択走査ラインであるS2、S3に対してVc=+100Vを印加し、画素(1,1)(1,3)に相当する第1信号ラインI11,I13及び第2信号ラインI21,I23にそれぞれに白表示書き込みパルスとして、Vd1=−50V、Vd2=+50Vを印加し、また画素(1,2)に相当する第1信号ラインI12及び第2信号ラインI22にそれぞれに黒表示書き込みパルスとして、Vd1=+50V、Vd2=−50Vを印加した。その結果、選択走査ラインS1の全ての画素が書き換えられ反転表示され、また非選択走査ラインS2,S3における各画素では初期表示状態が保持された。
【0099】
以下、期間T2、T3において同様の駆動を行なった結果、目的の反転表示パターンが良好なコントラストで得られた。得られた表示には、クロストーク現象、及び泳動粒子の移動不良、保持不良によるコントラストの劣化は一切認められず、白表示と黒表示の平均的なコントラストは10:1程度の高い値を示した。
【0100】
実施例2
本実施例では、図16(a)に示す段差を有するセル構成で、3×3マトリックス表示セルを作成し、一方向書き込みによる単純マトリックス駆動を行なった。
作成した3×3マトリックス表示セルの平面図を図21に示す。一画素サイズは200μm×200μm、第1表示電極、制御電極、第2表示電極の面積比は20:5:75とした。
【0101】
以下、図21及び図16(a)を見ながら、セルの製造方法について概略を説明する。厚さ200μmのPETフィルムからなる第1基板1上に、まずアルミナなどの白色顔料を分散させたアクリル樹脂からなる絶縁着色層を全面に形成した。次に第1表示電極4として暗黒色の炭化チタン膜を成膜し、フォトリソグラフィー及びドライエッチングにより図に示す形状にパターニングした。
【0102】
次にエポキシ樹脂を30μmの膜厚で塗布、続いてレジスト膜を塗布・露光・現像し第2表示電極のネガパターンを形成、続いてITO薄膜をマグネトロンスパッタ法よって低温成膜したのちレジスト膜をリフトオフし、第2表示電極3をパターンニングした。さらにアクリル樹脂からなる絶縁層を1μm成膜し、続いて制御電極膜として暗黒色の炭化チタン膜を成膜、第2表示電極3と同様にして制御電極5をパターニングした。続いてレジスト膜によって段差および配線パターンを形成し、最後にCF4 及びO2ガスによる反応性ドライエッチングを行ない、高さ30μmの段差上に第2表示電極3及び制御電極5が配置された構造体を形成した。次に、全面にアモルファスフッ素樹脂からなる絶縁層8を200nm形成した。
【0103】
その後、実施例1と全く同様のプロセスによって、シート状の表示パネルを完成した。この表示パネルに不図示の電圧印加回路を接続して駆動特性を評価した。
【0104】
以下、本実施例における駆動方法の説明を行なう。
第1表示電極を走査ライン(S1〜S3)、制御電極を信号ライン(I1〜I3)とし、第2表示電極を共通電極として接地電位に短絡した。
【0105】
図22(a)に、各走査ライン及び信号ラインに印加した駆動パルスのタイムチャート図を、図22(b)に各期間における表示状態の変化を示した。1走査ライン選択期間(TR,T1,T2,T3)を50msecに設定した。
【0106】
駆動は、まず最初に全面を白表示にリセットし次に走査ライン毎に、設定した表示パターンに対応する選択画素(1,2),(2,1),(2,3),(3,2)に対して、一方向(白表示→黒表示)への書き込みを行なった。書き込み時の泳動粒子の詳しい動作については、図9および図10と同様であるので説明を省略する。
【0107】
以下、タイムチャート図に従って駆動方法を順に説明する。まず期間TRにおいて、全ての走査ラインS1〜S3に対してVd1=−100V、全ての信号ラインI1〜I3に対してVc=−50Vを印加し、全画素を白表示状態にリセットした。
【0108】
次に期間T1において選択走査ラインであるS1に対してVd1=+100V、非選択走査ラインであるS2、S3に対してVd1=0V、黒書き込みを行う選択画素化(1,2)に相当する信号ラインI2にVc=+50V、白状態を保持する非選択画素(1,1),(1,3)に相当する第1信号ラインI1,I3にVc=+150Vをそれぞれ印加した。その結果、選択走査ライン上の選択画素(1,2)のみが黒表示に書き換えられ、非選択画素(1,1),(1,3)、及び非選択走査ライン上の各画素では白表示が保持された。
【0109】
以下、期間T2、T3において選択画素パターンに従って同様の駆動を行なった結果、目的の表示パターンが良好なコントラストで得られた。得られた表示には、クロストーク現象、及び泳動粒子の移動不良、保持不良によるコントラストの劣化は一切認められず、白表示と黒表示の平均的なコントラストは10:1程度の高い値を示した。
【0110】
実施例3
本実施例では、図1に示すセル構成で、3×3マトリックス表示セルを作成し、図11〜図15に示す2つの書き込み期間からなる双方向書き込みによる単純マトリックス駆動を行なう。
【0111】
駆動特性の評価は、実施例1で作成した表示セルに不図示の電圧印加回路を接続して行なった。以下、本実施例における駆動方法について説明する。
制御電極を走査ライン(S1〜S3)、第1表示電極を第1信号ライン(I11〜I13)、第2表示電極を第2信号ライン(I21〜I23)とした(図19)。
【0112】
図23(a)に、各走査ライン及び信号ラインに印加した駆動パルスのタイムチャート図を、図23(b)に各期間における表示状態の変化を示した。本実施例においては、図11〜図15において説明した駆動方法によって書き込みを行なった。一走査ラインあたりの選択期間は、期間前半30msec、期間後半30msecとした。書き込み時の泳動粒子の詳しい動作については、図11〜図15と同様であるので説明を省略する。
【0113】
本実施例においては双方向への書き込みが可能であるので、初期動作として全面リセットをする必要はない。そこで初期表示パターンとして期間T0に示すパターンを与え、全画素を各走査ライン(S1〜S3)ごとに反転表示することとする。
【0114】
以下、タイムチャート図に従って駆動方法を順に説明する。期間T1において選択走査ラインであるS1に対してVc=−50V(期間前半T11)/0V(期間後半T12)、非選択走査ラインであるS2、S3に対してVc=+50/+100Vを印加し、同時に画素(1,1)(1,3)に相当する第1信号ラインI11,I13及び第2信号ラインI21,I23にそれぞれに白表示書き込みパルスとして、Vd1=0V/−50V、Vd2=0V/+50Vを印加し、また画素(1,2)に相当する第1信号ラインI12及び第2信号ラインI22にそれぞれに黒表示書き込みパルスとして、Vd1=0V/+50V、Vd2=0V/−50Vを印加した。その結果、選択された一行目の走査ライン上の全ての画素が書き換えられ反転表示された。また2、3行目の非選択走査ライン上の各画素では初期表示状態が保持された。
【0115】
以下、期間T2、T3において同様の駆動を行なった結果、目的の反転表示パターンが良好なコントラストで得られた。得られた表示には、クロストーク現象、及び泳動粒子の移動不良、保持不良によるコントラストの劣化は一切認められず、白表示と黒表示の平均的なコントラストは10:1程度の高い値を示した。
【0116】
比較例1
比較例1として、特表平8−507154号公報において開示された図24(a)に示すセル構成で、3×3マトリックス表示セルを作成し、一方向書き込みによる単純マトリックス駆動を行なった。
【0117】
作成した3×3マトリックス表示セルの平面図を図31に示す。一画素サイズは200μm×200μm、第1表示電極と第2表示電極の面積比35:65、第1基板と第2基板間の間隔70μm、段差高0.3μmとし、平均粒子径1μmの正帯電泳動粒子を用いた。表示電極と泳動粒子の配色は図1と同様である。
【0118】
以下、図24(a)及び図31を見ながら、セルの製造方法について簡単に説明する。厚さ200μmのPETフィルムからなる第1基板1上に、まずアルミナなどの白色顔料を分散させたアクリル樹脂からなる絶縁着色層を全面に形成した。次に第1表示電極4として暗黒色の炭化チタン膜を成膜し、フォトリソグラフィー及びドライエッチングにより図に示す形状にパターニングした。
【0119】
次にエポキシ樹脂を0.3μmの膜厚で塗布し、続いて第2表示電極としてITO薄膜をマグネトロンスパッタ法よって低温成膜した。続いてレジスト膜を塗布し、図31に示すような形状にパターンニング、最後にCF4 及びO2 ガスによる反応性ドライエッチングを行ない、高さ0.3μmのステップ上にITOからなる第2表示電極が配置された構造体を形成した。次に、全面にアモルファスフッ素樹脂からなる絶縁層8を200nm形成した。
【0120】
続いて、PETフィルムからなる第2基板2上に制御電極5としてITOを低温成膜したのち、図31に示す形状にパターニングし、次に全面にアモルファスフッ素樹脂からなる絶縁層9を200nm形成した。この上に、隔壁10を形成した。隔壁10は、光感光性エポキシ樹脂を塗布した後、露光及びウエット現像を行うことによって形成し、70μmの高さとした。形成された隔壁内に絶縁性液体7及び黒色帯電泳動粒子6を充填した。
【0121】
絶縁性液体1としては、シリコーンオイルを使用した。黒色帯電泳動粒子6は、実施例1と同じくポリスチレンとカーボンの混合物で、平均粒径1μm位のものを使用した。シリコーンオイル中での泳動粒子6は正帯電極性を示した。次に、第1基板1の第2基板2との接着面に熱融着性の接着層パターンを形成し、第2基板2の隔壁上に、位置合わせを行ないながら第1基板1を置き、熱をかけて張り合わせた。これに不図示の電圧印加回路を接続して表示装置とした。
【0122】
以下駆動方法について説明する。
第1表示電極を走査ライン(S1〜S3)、制御電極を信号ライン(I1〜I3)とし、第2表示電極をコモン電極として接地電位に固定した。
【0123】
図32(a)に、各走査ライン及び信号ラインに印加した駆動パルスのタイムチャート図を、図32(b)に各期間における表示状態の変化を示した。1走査ライン選択期間(TR,T1,T2,T3)は50msecに設定した。
【0124】
駆動は、まず最初に全面を白表示にリセットし次に走査ライン毎に、設定した表示パターンに対応する選択画素(1,2),(2,1),(2,3),(3,2)に対して、一方向(白表示→黒表示)への書き込みを行なった。尚、本実施例においては図25〜図28で説明した駆動方法によって書き込みを行なった。書き込み時の泳動粒子の詳しい動作については、図25〜図28と同様であるので説明を省略する。
【0125】
以下、タイムチャート図に従って駆動方法を順に説明する。期間TRにおいては、全走査ラインS1〜S3に対してVd=−50V、全信号ライン11〜13に対してVc=0Vを印加し、全画素を白表示にリセットした。
【0126】
次に期間T1において選択走査ラインであるS1に対してVd=+50V、非選択走査ラインであるS2、S3に対してVd=+5Vを印加し、選択画素(1,2)に相当する信号ライン12にVc=+50Vを、非選択画素(1,1),(1,3)に相当する信号ラインI1,I3にはVc=+250Vを印加した。その結果、選択走査ラインS1の選択画素(1,2)のみが黒表示に書き換えられ、非選択画素(1,1),(1,3)、及び非選択走査ラインS2,S3における各画素では白表示が保持された。但し、非選択画素(1,1),(1,3)においては制御電圧Vc=+250Vによる泳動粒子の押え込みは不十分であり、図27(c)に示したように一部の泳動粒子が第2表示電極側に移動してしまい、図32(b)に示すような灰色がかった表示になってしまった。
【0127】
以下、期間T2、T3において選択画素パターンに従って同様の駆動を行なった結果、目的の表示パターンが得られたが、白表示が全体的に灰色がかっており表示コントラストは劣悪であった。白表示と黒表示の平均的なコントラストは3:1程度であった。また、本比較例で用いた制御電圧は+250Vであったが、まだ不十分であり更に増大させる必要があった。
【0128】
【発明の効果】
以上、詳細に述べたように、本発明によって次のような効果が得られた。
第1に、水平移動型電気泳動装置においてクロストーク現象の見られない、良好な表示コントラストが得られる単純マトリックス駆動が実現された。これは新規な構成と駆動方法によって、従来問題であった、非選択画素内の泳動粒子のホールド不良によるクロストークの発生を、ほぼ完全に抑えこめたことによる。
第2に、構造障壁による物理バリアと、構造障壁の上方に形成される制御電極による電気バリアとの相乗効果によって、泳動粒子の保持に要する制御電圧を大幅に低減できるようになった。
【0129】
第3に、制御電極を含めた駆動に関係する全ての構成要素を単一基板上に配置することができる。これにより、上下基板貼り合わせ工程での位置合わせ精度が不要となり、特に位置合わせ精度を高めることが原理的に困難なプラステック基板を用いて解像度の高い表示を実現することができるようになるという大きな利点が得られる。
【0130】
第4に、高い障壁または段差を導入する構成においては、第1表示電極と第2表示電極との面積比を従来より大きく設定できるようになった。これによって、クロストーク抑制とは別の理由による、更なるコントラストの向上が実現された。
第5に、双方向の書き込み駆動ができるようになった。このため、初期全面リセットの必要がなく、また表示画面の一部分のみを書き換える部分書き換え駆動ができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の表示装置の代表的な一例を示す断面図である。
【図2】本発明の表示装置の代表的な一例を示す平面図である。
【図3】本発明の表示装置の駆動方法及び動作状態の代表的な一例を示す図である。
【図4】図3の表示装置の駆動方法及び動作状態の他の部分を示す図である。
【図5】本発明の表示装置の単純マトリックス駆動法の代表的な一例を示す図である。
【図6】図5の表示装置の単純マトリックス駆動法の他の部分を示す図である。
【図7】本発明の表示装置の単純マトリックス駆動法の代表的な他の例を示す図である。
【図8】図7の表示装置の単純マトリックス駆動法の他の部分を示す図である。
【図9】本発明の表示装置の単純マトリックス駆動法の代表的な他の例を示す図である。
【図10】図9の表示装置の単純マトリックス駆動法の他の部分を示す図である。
【図11】本発明の表示装置の駆動方法及び動作状態の代表的な他の一例を示す図である。
【図12】図11の表示装置の駆動方法及び動作状態の他の部分を示す図である。
【図13】本発明の表示装置の単純マトリックス駆動法の代表的な他の例を示す図である。
【図14】図13の表示装置の単純マトリックス駆動法の他の部分を示す図である。
【図15】図13の表示装置の単純マトリックス駆動法の他の部分を示す図である。
【図16】本発明の表示装置の代表的な他の例を示す断面図である。
【図17】本発明の表示装置の代表的な他の例を示す断面図である。
【図18】本発明の表示装置の代表的な他の例を示す断面図である。
【図19】本発明の実施例1において作成した3×3マトリックスを示す平面構成図である。
【図20】本発明の実施例1で行なった駆動のタイムチャート及び表示パターンを示す図である。
【図21】本発明の実施例2において作成した3×3マトリックスを示す平面構成図である。
【図22】本発明の実施例2で行なった駆動のタイムチャート及び表示パターンを示す図である。
【図23】本発明の実施例3で行なった駆動のタイムチャート及び表示パターンを示す図である。
【図24】従来例における表示装置を示す断面図である。
【図25】従来例における表示装置の駆動方法及び動作状態を示す図である。
【図26】図25の表示装置の駆動方法及び動作状態の他の部分を示す図である。
【図27】従来例における表示装置の単純マトリックス駆動法を示す図である。
【図28】図27の表示装置の単純マトリックス駆動法の他の部分を示す図である。
【図29】従来例における表示装置の問題点を示す説明図である。
【図30】従来例における表示装置の他の問題点を示す説明図である。
【図31】比較例1で作成した3×3マトリックスを示す平面構成図である。
【図32】比較例1で行なった駆動のタイムチャート及び表示パターンを示す図である。
【符号の説明】
1 第1基板
2 第2基板
3 第2表示電極
4 第1表示電極
5 制御電極
5a 制御電極
6 泳動粒子
7 透明絶縁性液体
8、9 絶緑膜
10 隔壁
11 構造障壁
12 段差
15 遮蔽空間
22 段差
【発明の属する技術分野】
本発明は、帯電泳動粒子を移動させて表示を行う電気泳動型表示装置およびその駆動方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、情報機器の発達に伴い、各種情報のデータ量は拡大の一途をたどり、情報の出力も様々な形態を用いてなされている。一般に、情報の出力は、ブラウン管や液晶などを用いたディスプレイ表示とプリンタなどによる紙へのハードコピー表示とに大別できる。ディスプレイ表示においては、低消費電力且つ薄型の表示装置のニーズが増しており、中でも液晶表示装置は、こうしたニーズに対応できる表示装置として活発な開発が行われ商品化さてれいる。しかしながら、現在の液晶表示装置には、画面を見る角度や、反射光により、画面上の文字が見ずらく、また光源のちらつき・低輝度等から生じる視覚への負担が、未だ十分に解決されていない。またブラウン管を用いたディスプレイ表示では、コントラストや輝度は液晶表示と比較して十分あるものの、ちらつきが発生するなど後述するハードコピー表示と比較して十分な表示品位があるとはいえない。また装置が大きく重いため携帯性が極めて低い。
【0003】
一方、ハードコピー表示は情報の電子化により不要になるものと考えられていたが、実際には依然膨大な量のハードコピー出力が行われている。その理由として、情報をディスプレイ表示した場合、前述した表示品位に係わる問題点に加えて、その解像度も一般的には最大でも120dpi程度と紙へのプリント・アウト(通常300dpi以上)と比較して相当に低い。従って、ディスプレイ表示ではハードコピー表示と比較して視覚への負担が大きくなる。その結果、ディスプレイ上で確認可能であっても、一旦ハードコピー出力することがしばしば行われることになる。また、ハードコピーされた情報は、ディスプレイ表示のように表示領域がディスプレイのサイズに制限されることなく多数並べたり、また複雑な機器操作を行わずに並べ替えたり、順に確認していくことができることも、ディスプレイ表示可能であってもハードコピー表示が併用される大きな理由である。さらには、ハードコピー表示は、表示を保持するためのエネルギーは不要であり、情報量が極端に大きくない限り、何時でもどこでも情報を確認することが可能であるという優れた携帯性を有する。
【0004】
このように動画表示や頻繁な書き換えなどが要求されない限り、ハードコピー表示はディスプレイ表示と異なる様々な利点を有するが、紙を大量に消費するという欠点がある。そこで、近年においては、リライタブル記録媒体(視認性の高い画像の記録・消去サイクルが多数回可能で、表示の保持にエネルギーを必要としない記録媒体)の開発が盛んに進められている。こうしたハードコピーの持つ特性を継承した書き換え可能な第3の表示方式をペーパーライクディスプレイと呼ぶことにする。
【0005】
ペーパーライクディスプレイの必要条件は、書き換え可能であること、表示の保持にエネルギーを要さないか若しくは十分に小さいこと(メモリー性)、携帯性に優れること、表示品位が優れていることなどである。現在、ペーパーライクディスプレイとみなせる表示方式としては、例えば、サーマルプリンターヘッドで記録・消去する有機低分子・高分子樹脂マトリックス系(例えば、特開昭55−154198号公報、特開昭57−82086号公報)を用いた可逆表示媒体を挙げることができる。この系は一部プリペイドカードの表示部分として利用されているが、コントラストが余り高くないことや、記録・消去の繰り返し回数が150〜500回程度と比較的少ないなどの課題を有している。
【0006】
また、別のペーパーライクディスプレイとして利用可能な表示方式として、Harold D.Lees等により発明された電気泳動表示装置(米国特許第3612758号明細書)が知られている。他にも、特開平9−185087号公報に電気泳動表示装置が開示されている。
【0007】
この表示装置は、絶縁性液体中に着色帯電泳動粒子を分散させてなる分散系と、この分散系を挟んで対峙する一対の電極からなっている。電極を介して分散系に電圧を印加することにより、着色帯電泳動粒子の電気泳動性を利用して、該着色帯電泳動粒子を粒子自身が持つ電荷と反対極性の電極側にクーロン力により吸着させるものである。表示は、この着色帯電泳動粒子の色と染色された絶縁性液体の色の違いを利用して行われる。つまり、着色帯電泳動粒子が観測者に近い光透過性の第1の電極表面に吸着させた場合には着色帯電泳動粒子の色が観察され、逆に観測者から遠い第2の電極表面に吸着させた場合には、着色帯電泳動粒子と光学的特性が異なるように染色された絶縁性液体の色が観察される。
【0008】
しかしながら、このような電気泳動装置では、絶縁性液体に染料やイオンなどの発色材を混合しなくてはならず、このような発色材の存在は、新たな電荷の授受をもたらすために電気泳動動作において不安定要因として作用しやすく、表示装置としての性能や寿命、安定性を低下させる場合があった。
【0009】
係る問題を解決するために、第1表示電極及び第2表示電極からなる電極対を同一基板上に配置し、観察者から見て着色帯電泳動粒子を水平に移動させる表示装置が、特開昭49−5598号公報及び特開平11−202804号公報において提案された。電気泳動特性を利用して、透明な絶縁性液体中で着色帯電泳動粒子を電圧印加により、第1表示電極面及び第2電極面間を、基板面と水平に移動させることによって表示を行うものである。
【0010】
水平移動型電気泳動表示装置においては、絶縁性液体は透明である場合が多く、観察者側から見て、第1表示電極と第2表示電極が異なる着色を呈し、いずれか一方の色を泳動粒子の色と一致させてある。例えば第1表示電極の色を黒色、第2表示電極の色を白色、泳動粒子の色を黒色とすると、泳動粒子が第1電極上に分布する場合には、第2表示電極が露出し白色を呈し、泳動粒子が第2表示電極上に分布する場合には泳動粒子色である黒色を呈す。
【0011】
ところで、画素がマトリックス状に配置された表示装置を、電気的にアドレスする方式としては大別して、アクティブマトリックス方式と単純マトリックス方式の2つがある。
【0012】
アクティブマトリックス方式では、各画素それぞれに対して薄膜トランジスタ(TFT)などのスイッチング素子を形成し、各画素に印加する電圧を画素ごとに独立に制御する。この方式を用いれば、水平移動型電気泳動表示装置を、高い表示コントラストで駆動することが可能である。しかしながら一方で、アクティブマトリックス方式はプロセスコストが高い、薄膜トランジスタのプロセス温度が高くポリマー基板上への形成が困難である、といった問題を抱える。この問題は、低コストでフレキシブルなディスプレイを目指すペーパーライクディスプレイにおいては特に重要である。これらの問題を解決するために、印刷プロセスが適用可能なポリマー材料による薄膜トランジスタの形成プロセスが提案されているが、実用化の可能性は未だ未知数である。
【0013】
単純マトリックス方式は、アドレスのために必要な構成要素がX−Y電極ラインのみであるから低コストであリポリマー基板上への形成も容易である。選択画素に対して書き込み電圧を印加する場合は、選択画素を交点とするX電極ラインとY電極ラインに対して、書き込み電圧に相当する電圧を印加すればよい。ところが、水平移動型電気泳動表示装置を単純マトリックス方式により駆動しようとすると、選択された画素の周辺画素まで一部書き込まれてしまう、いわゆるクロストーク現象が発生し、表示コントラストが著しく劣化してしまう。これは水平移動型電気泳動表示装置が、書き込み電圧に対して明確な閾値特性を持たないために必然的に発生する問題である。
【0014】
係る問題に対して、原理的に閾値を持たない電気泳動表示において、表示電極に加えて制御電極を導入し、3電極構造によって単純マトリックス駆動を実現する提案がなされている。3電極構造に関する提案は殆どが上下電極型電気泳動表示に関してなされたものであり、例えば特開昭54−085699号公報(米国特許第4203106号明細書)がある。
【0015】
水平移動型電気泳動表示装置における3電極構造の提案は唯一、特表平8−507154号公報(米国特許第5345251号明細書)においてなされている。但し特表平8−507154号公報においては、分散液は透明ではなく着色されていると考えられ、前述の特開昭49−5598号公報及び特開平11−202804号公報及び本発明が対象とする、分散液が透明であることを特徴とする水平移動型電気泳動表示装置とは異なるものである。
【0016】
特表平8−507154号公報では制御電極の配置に関して2つの構成が開示されている(図24)。第1の構成(図24(a))は水平移動型電気泳動装置の第2基板2側に第3の電極として制御電極5aが配置されるタイプであり、第2の構成(図24(b))は第1基板1側の第1表示電極4と第2表示電極3との間に第3の電極として制御電極5aが配置されるタイプである。
【0017】
第1構成、第2構成いずれのタイプにおいても、一画素内には、複数のライン電極が集合したフォーク状第1表示電極と、第1表示電極の各ライン間に配置された複数のライン電極が集合したフォーク状第2表示電極がフェースプレートである第1基板上に配置される。第1表示電極3上にはクロム厚膜が付与され、その結果第1表示電極4と第2表示電極3の境界に約0.3μmの段差22が形成されている。第1構成においては制御電極5aは、第1基板1に対して25〜116μmの間隔で対向配置された第2基板2上の画素内全面に形成され、第2構成においては制御電極5aは、第1基板上の、第1表示電極4と第2表示電極3の各ライン間に配置される。図24においては説明の便宜上、第1表示電極、第2表示電極ともに1ラインで構成される場合について示してある。
【0018】
次に、図25および図26を用いて特表平8−507154号公報における書き込み動作について説明する。図25に泳動粒子の動作状態、図26に印加パルス及び反射率変化について示す。セル構成は図24(a)と同じ(但し1画素)である。
【0019】
尚、以下の説明で述べる印加電圧値は我々が実際に行なった実験によって求められた条件であり、必ずしも特表平8−507154号公報記載の条件とは一致していない。これは主に使用する泳動粒子の帯電極性、帯電量などの物性値によるところが大きい。以下の説明では、後に述べる本発明の動作説明との比較を容易にするため、我々が使用した泳動粒子での実験結果における印加電圧値を記載する。
【0020】
また特表平8−507154号公報においては、絶縁性液体として着色液体を使用していると考えられるが、以下の説明では後に述べる本発明の動作説明との比較を容易にするため透明な絶縁液体を用い、表示コントラストの発現方法についても泳動粒子を黒色、第1表示電極を黒色、第2表示電極を白色とする本発明の実施形態と同様の方式の構成について説明を行なう。
【0021】
泳動粒子6の帯電極性を正、第2表示電極3をコモン電極とし、第2表示電極3の接地電位を基準にして第1表示電極4に駆動電圧Vd、制御電極5aに制御電圧Vcを印加するものとする。
【0022】
期間Taは白表示保持状態である。図25中、矢印はセル内の電界ベクトルの概要を示す。第1表示電極4上に集められた泳動粒子6は、第1表示電極4と第2表示電極3間に設けられた段差22によって第2表示電極3側への移動を抑制され、かつ第1表示電極4と制御電極5a間に印加される保持電圧Vc=+250Vによって表示電極側に押え込まれることによって安定し、反射率(R)70%程度の白表示状態が保持される。保持状態において印加されるVd=5Vは、黒表示状態において、段差近傍の泳動粒子が第1表示電極側へ移動しやすくなる傾向を抑制する役割を果たしている。
【0023】
書き込み期間Tbにおいては、Vd=+50v、Vc=+50Vを印加する。第1表示電極4と制御電極5aとは同電位に設定されるため制御電圧による押え込みは解除され、全ての泳動粒子6は表示電極面に沿って段差を乗り越えて第2表示電極側に水平移動し、反射率Rは急激に減少する。
【0024】
黒表示保持状態である期間Tcでは、保持電圧Vc=+250Vによって表示電極側に押し付けられ、反射率5%程度の黒表示状態が保持される。
【0025】
続いて、特表平8−507154号公報において開示された単純マトリックス駆動方法について図27および図28を用いながら説明する。X方向にm列、Y方向にn行の画素が配列したm×nマトリックスを有する水平移動型電気泳動表示装置を考える。画素配列に沿って、m本の信号電極線が列方向に、n本の信号電極線が行方向に、互いに直交するように配列されており、各交点において信号電極線は各画素の制御電極5aに、走査電極線は各画素内の第1表示電極4に配線されている。第2表示電極3はコモン電極とし接地電位に固定する。
【0026】
まず全ての走査ラインにVd=−50V、全ての信号ラインにVc=0Vを印加し、全ての泳動粒子6を第1表示電極上に集める(図27(a)、全面消去)。次にY方向に上から順番に走査ラインを選択し書き込みを行なう。選択期間(書き込み期間)では、走査ラインにVd=+50Vを印加し、選択画素に相当する信号ラインにVc=+50V、非選択画素に相当するラインにVc=+250Vを印加する。選択画素では表示電極間に印加される駆動電圧Vd=+50Vによって、泳動粒子が段差を乗り越え第2表示電極側に移動し書き込みが行なわれる(図27(b))。非選択画素においても駆動電圧Vd=+50Vが印加されているが、第1の構成においては、泳動粒子はVc=+250Vの制御電圧によって第1表示電極に押し付けられ移動(書き込み)が阻止される(図27(c))。
【0027】
一方、非選択期間においては走査ラインにVd=+5Vが印加され、信号ラインにはVc=+50Vまたは+250Vが印加される(図28(d)〜(g))。いずれの場合も、泳動粒子は制御電圧によって表示電極面に押し付けられており表示状態は変化しない。
【0028】
このようにして、閾値特性を持たない水平移動型電気泳動装置において、単純マトリックス駆動法を用いた表示書き込みが実現される。
【0029】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特表平8−507154号公報で開示された水平移動型電気泳動装置は次のような問題点を抱えていた。
【0030】
第1の構成においては、段差をあまり高く設定できない、という制限がある。段差を高くしすぎると、選択期間における帯電泳動粒子の移動において、一部の泳動粒子が段差を越えられずに段差底部に残留してしまい、表示コントラストが低下する(図29(a))。段差底部への残留を引き起こさないためには、段差の高さを泳動粒子径前後に制限する必要がある。
【0031】
段差の高さが制限されるため、段差による泳動粒子の移動抑制効果は不十分である。このため、選択期間に駆動電圧Vdが印加された状態で、非選択画素において制御電圧Vcを印加し泳動粒子の移動を押え込む場合(図27(c))において、段差が低いために一部の泳動粒子が段差を越えて移動していまい、結果としてクロストーク現象を引き起こし表示コントラストが劣化するという重要な問題が発生する(図29(b))。
【0032】
制御電圧Vcを十分に大きくすれば、ある程度泳動粒子を押え込むことは可能であるが、この場合は印加電圧が上昇してしまうという弊害とともに、素子内の絶縁部材中に高電圧によって注入された電荷が電圧解除後も残留し、この残留電荷のもたらす意図せぬ電界によって泳動粒子の動作状態が不安定になる、という新たな問題が発生する。
【0033】
段差の高さが制限される弊害は他にもある。段差の高さが十分でないため、第1表示電極と第2表示電極との間の面積差をあまり大きく設定できない。面積差を大きく設定すると、面積の小さい電極面上に泳動粒子を集めようとしても泳動粒子が溢れ出てしまうからである(図29(c))。表示コントラストは、第1表示電極と第2表示電極の面積比で決定されるため、結果として表示コントラストが制限されてしまう。
【0034】
さらに、第1の構成においては、段差による移動抑制効果は下段側から上段側への方向に限定され、上段側から下段側への移動はむしろ加速される。従って、書き込み方向は一方向のみに限られ、まず最初に全画面の泳動粒子を下段側に集め全面リセットしたのち、一方向への書き込みを行なうという駆動法に限定されてしまう。書き込みを双方向に対して行なうことはできず、画面の一部のみを選択的に書き換えるような駆動はできない。
【0035】
一方、第2の構成においては、選択期間においては、非選択画素に対しては表示電極と制御電極間に電圧を印加することによって泳動粒子の移動を双方向に対して阻止することが可能であり、また選択画素に対しては表示電極と制御電極間の電圧を0Vにすることによって泳動粒子の移動をスムーズに行なうことができる。この場合は段差は必ずしも必須な構成要素ではない、と考えられる。また第2の構成においては制御電極を含めた駆動に関係する全ての構成要素を単一基板上に配置することができる、という重要な特徴を有する。これにより、上下基板貼り合わせ工程での位置合わせ精度が不要となり、特に位置合わせ精度を高めることが原理的に困難なプラステック基板を用いて解像度の高い表示を実現することができるようになるという大きな利点が得られる。
【0036】
しかしながら第2の構成において、制御電極が阻止することができるのは、あくまで表示電極間の移動のみであって表示電極面内での移動については制御不能である。このため非選択期間において表示電極と制御電極間に印加される制御電圧によって、表示電極面内に均一に分散していた泳動粒子は制御電極から反発する方向に移動し、表示電極面内において図30(a),(b)に示すような分布の偏りが発生し表示コントラストが著しく低下してしまう、という問題がある。
【0037】
また、泳動粒子の一部が、制御電極に印加された制御電圧による反発力によって対向基板側に移動し貼りついてしまう場合があり、一度対向基板側に貼りつき吸着した泳動粒子に対しては有効な移動電圧を印加する手段がないため制御不能に陥るという深刻な問題を有する(図30(a),(b))。
【0038】
本発明は、この様な従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、クロストークの発生を抑え、良好な表示コントラストが得られる単純マトリックス駆動が可能で、また着色帯電泳動粒子の保持に要する制御電圧を大幅に低減することが可能な水平移動型電気泳動表示装置およびその駆動方法を提供することを目的とするものである。
【0039】
また、本発明は、第1表示電極と第2表示電極との面積比を従来より大きく設定でき、コントラストの向上を実現した電気泳動表示装置およびその駆動方法を提供することを目的とするものである。
【0040】
また、本発明は、双方向の書き込み駆動ができ、また表示画面の一部分のみを書き換える部分書き換えが可能な電気泳動表示装置およびその駆動方法を提供することを目的とするものである。
【0041】
【課題を解決するための手段】
本発明においては以下に記載する新規な構成及び駆動方法について提案し、上記問題点を解決する。
【0042】
本発明の構成に関する第1の特徴は、第1基板と、第1基板上に配置される第1表示電極及び第2表示電極と、前記第1基板に対向して配置される第2基板と、各電極に所望の電圧を印加する手段と、前記第1基板及び第2基板間に充填された透明絶縁性液体と、該透明絶縁性液体中に分散された複数の着色帯電泳動微粒子とを備え、該着色帯電泳動粒子を第1および第2表示電極間で移動させることによって表示の切り換えを行なう電気泳動表示装置において、前記第1基板上の前記第1表示電極と第2表示電極との境界部に壁構造または段差構造が設けられ、前記壁構造または段差構造の上部の第1および第2表示電極面より高い位置に前記帯電泳動粒子の移動を制御する制御電極が配置され、表示保持期間に、前記制御電極に、帯電泳動粒子を第1および第2表示電極側に押し付ける電圧が印加され、書き込み期間に、前記制御電極に、帯電泳動粒子を一方の表示電極から前記制御電極の近傍に移動させ続いて他方の表示電極側に移動させる電圧が印加されて、前記帯電泳動粒子の移動が制御されることにある。
【0043】
より具体的には、前記第1基板上の前記第1表示電極と第2表示電極との境界部に、壁構造または段差構造よりなる構造障壁が配置され、前記制御電極は、該構造障壁の上方部に配置されることを特徴とする。
【0044】
また、好ましい構成としては、前記段差に隣接し、上段側に位置する表示電極面の下側に、前記帯電泳動粒子が入出可能であって、表示面観察者からは視認不可能な遮蔽空間が形成されてなることを特徴とする。
【0045】
本発明の構成に関する第2の特徴は、第1基板と、第1基板上に配置される第1表示電極及び第2表示電極と、前記第1基板に対向して配置される第2基板と、各電極に所望の電圧を印加する手段と、前記第1基板及び第2基板間に充填された透明絶縁性液体と、該透明絶縁性液体中に分散された複数の着色帯電泳動微粒子と、前記第1基板上の前記第1表示電極と第2表示電極との境界部に設けられた壁構造または段差構造と、前記壁構造または段差構造の上部の第1および第2表示電極面に対して高い位置に配置され前記帯電泳動粒子の移動を制御する制御電極とを有する電気泳動表示装置の駆動方法であって、書き込み期間が、帯電泳動粒子を一方の表示電極から前記制御電極近傍に移動する第1の過程と、第1の過程に続いて帯電泳動粒子を制御電極から前記壁構造または段差構造を越えて他方の表示電極側に移動する第2の過程とからなることにある。
【0046】
より具体的には、前記泳動粒子の移動を引き起こすために、
正帯電の泳動粒子の場合には、
「移動先でない表示電極の電位≧制御電極の電位>移動先である表示電極の電位」の関係を満たし、
負帯電の泳動粒子の揚合には、
「移動先でない表示電極の電位≦制御電極の電位<移動先である表示電極の電位」の関係を満たす、
期間が含まれるように、前記第1表示電極、第2表示電極及び制御電極に電圧を印加することを特徴とし、また更に具体的には、前記2つの過程からなる泳動粒子の移動を引き起こすために、
正帯電の泳動粒子の場合には、
前記第1の過程において「両表示電極の電位>制御電極の電位」、
前記第2の過程において「移動前の表示電極の電位≧制御電極の電位>移動先の表示電極の電位」の関係を満たし、
負帯電の泳動粒子の場合には、
前記第1の過程において「両表示電極の電位<制御電極の電位」、
前記第2の過程において「移動前の表示電極の電位≦制御電極の電位<移動先の表示電極の電位」の関係を満たすように、
前記第1表示電極、第2表示電極及び制御電極に電圧を印加することを特徴とする。
【0047】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施態様について順に説明する。
(代表的な実施態様の構成及び動作)
図1に本発明の代表的な断面構成図の一例を示す。図1では説明の便宜上2画素からなる構成を示している。第1基板1上には第1表示電極4と第2表示電極3とが配置され、また隔壁10を介して第2基板2が対向配置される。第1基板上の第1表示電極4と第2表示電極3との境界部には、壁または段差からなる構造障壁11と構造障壁の上方に配置される制御電極5とを備える。図1においては構造障壁11として壁構造が形成される。両基板と隔壁によって形成される空間内には、透明な絶縁性液体7が充填され、絶縁液体中には着色された帯電泳動粒子6が分散されている。
【0048】
表示電極の平面形状に特に限定はなく、代表的なストライプ形状(図2(a))のほか、方形(図2(b))、円形などの閉ループ形状など、任意の形状が適用可能である。いずれの形状においても、制御電極5は第1表示電極4と第2表示電極3との境界領域に形成される。
【0049】
本発明の構成上の顕著な特徴は、泳動粒子の移動を抑制する手段として、物理的バリヤとなる構造障壁11と、電気的バリヤを発生する制御電極5とを併せ持つことにあり、物理的バリヤと電気的バリアとの相乗効果によって、比較的低い制御電圧で泳動粒子の移動を効果的に抑制することができる。また制御電極5を構造障壁11上に形成し表示電極面に対して高い位置に配置することによって、表示電極面に垂直な保持電圧成分が十分に発生するため、保持電圧の印加時に特表平8−507154号公報の第2構成において問題となる表示電極面内での泳動粒子の偏りや、上基板側への貼りつき(図30(a),(b))を効果的に抑制することが可能となる。また表示電極の面積が小さい場合でも泳動粒子を溢れ出ることなく保持することができるため、第1表示電極と第2表示電極間に大きな面積差を設定でき、表示コントラストを大幅に向上できる。
【0050】
図1の構成の具体的なサイズとしては、例えば画素サイズ100μm×100μmに対して、泳動粒子径0.5〜10μm、第1基板と第2基板との間隔10〜100μm、構造障壁11の高さ5〜50μm程度が好適であり、また各電極の全画素面積に対する面積比については、例えば第1表示電極10〜30%、第2表示面積85〜65%、制御電極5〜10%程度が好適である。
【0051】
セル構成部材の配色は任意の組み合わせが可能であり、例えば泳動粒子6を黒、第1表示電極4を黒、第2表示電極3を白、制御電極5を白とした場合、白表示と黒表示の切り換えが行なえる。第2表示電極3及び制御電極5の着色がRGBである画素を並べることによってカラー化表示を行なうことも可能である。
【0052】
次に図3および図4を用いて本発明の特徴のひとつである書き込み動作について説明する。図3に各過程における泳動粒子の動作状態、図4に各過程ごとの印加パルス及び反射率変化について示す。セル構成は図1と同じ(但し1画素)である。
【0053】
以下の説明では泳動粒子6の帯電極性を正とし、第1表示電極4に駆動電圧Vd1、第2表示電極3に駆動電圧Vd2、制御電極5に制御電圧Vcを印加するものとする。
【0054】
期間Taは白表示保持状態である。図3中、薄い矢印はセル内の電界ベクトルの概要を示す。全ての泳動粒子6は第1表示電極4と構造障壁11及び隔壁10で囲まれた空間内に収納されており、かつ第1表示電極4と制御電極5の間に印加される保持電圧によって表示電極側に押し付けられ、反射率80%程度の白表示状態が安定に保持される。
【0055】
本発明においては、構造障壁11による物理的バリヤと制御電極5による電気的バリヤとの複合効果により、泳動粒子の第2表示電極3側への直接的な水平移動を禁止するため、特表平8−507154号公報の構成に比べて、泳動粒子の移動を禁止し保持するための保持電圧を大幅に小さくすることが可能である。図3では保持電圧をVc=+100Vとした。
【0056】
期間Tbにおいて書き込みを行う。泳動粒子の移動を禁止する高い構造障壁11が存在する本発明の構成においては、構造障壁11上に配置された制御電極5と第1表示電極4及び第2表示電極3にVd1<Vc<Vd2の条件を満たす書き込み電圧を印加することによって書き込みが達成される。例えばVd1=+50V、Vd2=−50V、Vc=0Vを印加することによって、第1表示電極4上の泳動粒子6は、図4に示す電界ベクトル分布に従って、まず制御電極5側に向かって移動し、次に構造障壁11を乗り越え第2表示電極側へと移動する。
【0057】
期間Tcは黒表示保持状態であり、第2表示電極側に移動した泳動粒子6が、制御電圧Vc=+100Vによって表示電極側に押し付けられ、反射率10%程度の黒表示状態が安定に保持される。
【0058】
図11および図12に、本発明における他の書き込み方法を示す。書き込みは期間Tb1、Tb2において行なわれる。まず期間Tb1においてVd1=Vd2=0V、Vc=−50Vを印加し、泳動粒子6を制御電極側に移動する。次に期間Tb2においてVd1=+100V、Vd2=0V、Vc=+50Vを印加し、泳動粒子6の移動方向を制御電極方向から第2表示電極側ヘと反転させる。この時、第1表示電極4には制御電極5に対して+50Vのバイアスが印加されているため、全ての泳動粒子6は、第1表示電極側に戻ることなく、構造障壁11を越え第2表示電極側へと移動し、反射率Rは急激に減少する。
【0059】
この書き込み方法の場合、期間Tb1においては全ての電界ベクトルが制御電極5に向いているため、構造障壁11が極端に高い場合であっても泳動粒子6は構造障壁11に衝突することなく制御電極11に移動することができる。従って書き込みの信頼性が向上するとともに、構造障壁の高さ等構造の自由度が高くなるという利点を有する。
【0060】
期間Tcは黒表示保持状態であり、第2表示電極側に移動した泳動粒子6が、制御電圧Vc=+50Vによって表示電極側に押し付けられ、反射率10%程度の黒表示状態が安定に保持される。
【0061】
(単純マトリックス駆動方法)
以下、本発明における実施態様の単純マトリックス駆動法について説明する。X方向にm列、Y方向にn行の画素が配列したm×nマトリックスを有する水平移動型電気泳動表示装置を考える。画素配列に沿って、m本の信号電極線が列方向に、n本の信号電極線が行方向に、互いに直交するように配列される。
【0062】
書き込み方法については複数のバリエーションが考えられる。まず、各電極との配線方式に関しては、各画素の制御電極が走査電極線に、表示電極が信号電極線に配線される場合と、各画素の制御電極が信号電極線に、表示電極が走査電極線に配線される場合との2通りがある。また、書き込み方向については、各走査ラインごとに白状態・黒状態の双方向に対して書き込みを行う場合と、最初に画面全体を一方の状態にリセットしたのち各走査ラインごとに、書き換えが必要な画素についてのみ一方向の書き込みを行う場合とがある。
【0063】
一例として、各交点において第1信号電極線が各画素の第1表示電極に、第2信号電極線が各画素の第2表示電極に、走査電極線が各画素内の制御電極にそれぞれ配線され、書き込みが双方向に対して行われる場合の駆動方法について図5および図6を用いて説明する。双方向書き込みは、特表平8−507154号公報で開示された第1の構成では困難であって、障壁の構造が対称である本発明の特徴の一つである。
【0064】
書き込みはY方向に上から順番に走査ラインを選択しながら行なう。選択期間においては、走査ラインに書き込み許可電圧としてVc=0Vを印加し、表示したい画像データに相当する信号を各信号ラインに印加する。即ち、黒状態を書き込みたい画素(図5(a))に相当する第1信号ラインにVd1=+50Vを、第2信号ラインにVd2=−50Vを印加し、また白状態を書き込みたい画素(図5(b))に相当する第1信号ラインにVd1=−50Vを、第2信号ラインにVd2=+50Vを印加する。書き込み動作の詳細な説明については図3および図4の説明と同様なので省略する。以上のようにして、期間Tbにおいて黒・白双方向への書き込みが同時に行なわれる。
【0065】
一方、非選択期間においては走査ラインに書き込み禁止電圧(保持電圧)としてVc=+100Vが印加される。本発明においては制御電極5を構造障壁11上に形成し表示電極面に対して高い位置に配置することによって、表示電極面に垂直な保持電圧成分が発生し、泳動粒子を表示電極面上に十分に押し付けることができる。各信号ラインに黒書き込み信号が印加された状態(図6(c),(e))、または白書き込み信号が印加された状態(図6(d),(f))においても、特表平8−507154号公報の第2の構成で問題であったような表示電極面内での泳動粒子の偏りや、上基板側への貼りつきを効果的に抑制することが可能となる。
【0066】
駆動方法の他の一例として、書き込み方向が一方向の場合について図7〜図10を用いて説明する。図7および図8においては電極の配線方式は図5および図6と同じく走査電極線を制御電極、信号電極線を表示電極に配線する。また図9および図10においては、電極の配線方式は図5および図6とは異なり走査電極線を表示電極、信号電極線を制御電極に配線する。いずれの場合も、書き込み方向が一方向の場合は各画素には2ラインの信号電極線は不要であり、第2表示電極は共通電極として接地電位に短絡される。
【0067】
以下図7および図8の駆動方法について説明する。まず最初に、全ての走査電極線にVc=−50V、全ての信号電極線にVd1=−100Vを印加し、画面全体を白状態にリセットする(図7(a))。
【0068】
書き込みはY方向に上から順番に走査ラインを選択しながら行なう。選択期間においては、走査ラインに書き込み許可電圧としてVc=+50Vを印加し、表示したい画像データに相当する信号を各信号ラインに印加する。即ち、黒状態を書き込みたい画素(図7(b))に相当する信号ラインにVd1=+100Vを印加することによって黒状態への書き込みが行われ、また白状態を書き込みたい画素(図7(c))に相当する信号ラインにVd1=0Vを印加することによって白状態が維持される。以上のようにして、選択期間において所望の画素に対してのみ黒状態への一方向書き込みが行なわれる。
【0069】
一方、非選択期間においては走査ラインに書き込み禁止電圧(保持電圧)としてVc=+150Vが印加され、各信号ラインに黒書き込み信号が印加された状態(図8(d),(f))、または黒書き込み信号が印加されない状態(図8(e),(g))のそれぞれにおいて、図5および図6の場合と同様に表示状態が良好に保持される。
【0070】
以下図9および図10の駆動方法について説明する。まず最初に、全ての走査電極線にVd1=−100V、全ての信号電極線にVc=−50Vを印加し、画面全体を白状態にリセットする(図9(a))。
【0071】
書き込みはY方向に上から順番に走査ラインを選択しながら行なう。選択期間においては、走査ラインに黒書き込み電圧としてVd1=+100Vを印加し、表示したい画像データに相当する信号を各信号ラインに印加する。即ち、黒状態を書き込みたい画素(図9(b))に相当する信号ラインに書き込み許可信号としてVc=+50Vを印加することによって黒状態への書き込みが行われ、また白状態を保持したい画素(図9(c))に相当する信号ラインに書き込み禁止信号としてVc=+150Vを印加することによって白状態が維持される。以上のようにして、選択期間において所望の画素に対してのみ黒状態への一方向書き込みが行なわれる。
【0072】
一方、非選択期間においては走査ラインに書き込み信号は印加されずVd1=0Vとし、各信号ラインに書き込み許可信号が印加された状態(図10(d),(f))、または書き込み禁止信号が印加された状態(図10(e),(g))のそれぞれにおいて、図5および図6の場合と同様に表示状態が良好に保持される。
【0073】
続いて駆動方法の他の一例として、書き込み期間が2分割された書き込み方式(図11および図12)による駆動方法について図13〜15を用いて説明する。走査ラインを制御電極、第1信号ラインを第1表示電極、第2信号ラインを第2表示電極にそれぞれ配線し、書き込みは各ライン毎に双方向に対して行なう。この場合、初期全面リセットは不要である。
【0074】
選択期間においては、第1走査ラインにVc=−50V(期間Tb1)/0V(期間Tb2)を印加する。同時に、黒表示書き込みを行なう画素(図13(a))に相当する第1信号ラインにVd1=0V/+50Vを、第2信号ラインにVd2=0V/−50Vを印加する。また、白表示書き込みを行なう画素(図13(b))に相当する第1信号ラインにVd1=0V/−50Vを、第2信号ラインにVd2=0V/+50Vを印加する。書き込みの動作については図11および図12において説明ずみであるので省略する。
【0075】
一方、非選択期間においては走査ラインにVc=+50V/+100Vが印加される。信号ラインに関しては、選択期間と同様に、黒表示書き込み信号として第1信号ラインにVd1=0V/+50Vが、第2信号ラインにVd2=0V/−50Vが印加される(図14(d),(e))。また、白表示書き込み信号として第1信号ラインにVd1=0V/−50Vが、第2信号ラインにVd2=0V/+50Vが印加される(図15(f),(g))。いずれの場合においても、表示電極面に垂直な保持電圧成分が発生し、泳動粒子6を表示電極面上に十分に押し付けることができるため表示状態が安定に保持される。
【0076】
(構成のバリエーション)
本発明の構成は、図1のタイプに限定されるものではない。例えば構造障壁11の断面形状は長方形に限定される訳ではなく、三角形、台形など任意の形状が適用可能であるのはいうまでもない。また制御電極5の位置は必ずしも構造障壁11の最上部に配置される必要はなく、表示電極面に対して上方であれば障壁の中間部に埋設されてもよく、また障壁の側壁に形成されてもよい。以下本発明において有効な構成について図を用いながら更に説明する。
【0077】
図16(a)に、障壁が段差であるタイプを示す。制御電極5は段差のエッジ部に配置される。駆動方法は図1と同様であるが、書き込み方法は一方向書き込みに限定される。段差12の高さは泳動粒子径の数倍〜数十倍と大きく、制御電極への保持電圧印加によって表示電極面に垂直な保持電圧成分が発生し、泳動粒子を表示電極面上に十分に押し付けることができる。特表平8−507154号公報において提案された段差とは、高さ及び機能が異なるものである。
【0078】
図16(b)に、図1の変形として、面積の大きい第2表示電極面3を第1表示電極面4よりも高い位置に配置する構成を示す。図1の構成において表示電極面を斜めから観察する場合、構造障壁11が視界を遮る領域が表示電極面上に発生する。これは第2制御電圧の配置された構造障壁11の先端部と泳動粒子6の充填面上端との距離が大きい第2表示電極面3において特に顕著であり、構造障壁11と第2制御電極を透明部材で構成してもやや表示視野角特性に影響を与える場合がある。面積の大きい第2表示電極面3を第1表示電極面4よりも高い位置に配置することによって、第2表示電極面3における充填面上端と障壁先端間の距離を第1表示電極と同程度に揃えることが可能となる。この構成ではさらに、第1表示電極面4と第2表示電極面3の最表面にある泳動粒子6の、水平方向への移動抑制効果が等しくなるという利点もある。
【0079】
図17に、図16(a)で示した段差タイプのバリエーションを示す。上段側に位置する第2表示電極面3の下側の段差壁面部に、表示面観察者からは視認不可能な、遮蔽空間15を形成することによって、第1表示電極面上の泳動粒子充填体積を増やすと同時に、第1表示電極4と第2表示電極3との実効的な面積比を、見かけ上大きくして表示コントラストを向上させることができる。例えば段差断面を逆テーパ形状にする構成(図17(a))、オーバーハング形状にする構成(図17(b))によって、遮蔽空間15を形成することができる。
【0080】
以上の記述においては説明の便宜上、第1表示電極と第2表示電極が一画素内に一対配置された構成について示してきたが、本発明においては一画素内の電極数について特に限定はなく、複数の表示電極対が配置される構成が可能であることはいうまでもない。図18に図1のタイプにおいて一画素内に電極対が2組配置される構成について示す。構造障壁11及び制御電極5は、第1表示電極と第2表示電極の全ての境界に形成される。
【0081】
(構成部材の材料・製造方法)
以下、本実施態様の表示装置の製造方法について、図1を用いて説明する。
まず第1基板1上に、第1表示電極4及び第2表示電極3を形成しパターンニングする。基板の材料としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルサルフォン(PES)等のボリマーフィルム或いはガラス、石英等の無機材料を使用することができる。表示電極材料は、パターニング可能な導電性材料ならどのようなものを用いてもよく、第1制御電極材料としては、酸化インジウムすず(ITO)などの透明電極を用いる。
【0082】
次に表示電極上に絶縁層を形成する。絶縁層の材料としては薄膜でピンホールが形成しづらく、かつ誘電率の低い材料が好ましく、例えば、アモルファスフッ素樹脂、高透明ポリイミド、PET、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂等を使用できる。絶縁層の膜厚としては、100nm〜1μm程度が好適である。
【0083】
次に構造障壁11を形成する。障壁用厚膜、制御電極膜、レジスト膜を順次全面に形成した後、最上面のレジスト膜をパターンニングし、制御電極膜、段差用厚膜を順次ドライエッチングまたはウエットエッチングすればよい。図16、図17に示すような段差12の場合には、段差用厚膜を形成後、第2制御電極膜及び制御電極膜を成膜・パターンニングし、次にレジスト膜を新たに形成・パターンニングし、段差用厚膜をドライエッチングまたはウエットエッチングすればよい。また、エッチング方式及び条件を調整することによって、図17に示すような、逆テーパー形状(図17(a))、或いはオーバーハング形状(図17(b))の断面を持つ段差を形成することができる。障壁または段差材料としてはポリマー樹脂を使用する。制御電極膜または第2表示電極膜材料は、パターニング可能な導電性材料ならどのようなものを用いてもよく、金属薄膜の成膜の他、マグネトロンスパッタ法によってITOを低温成膜してもいいし、ポリアニリンなどの有機導電性材料を印刷法によって成膜してもよい。必要に応じて制御電極5上に絶縁層を形成してもよい。
【0084】
制御電極5の色は透明でもよいが、第1表示電極か第2表示電極のいずれか一方に一致させてもよい。表示電極面3、4及び制御電極面5の着色は、電極材料、あるいは電極材料の上に形成される絶縁層材料そのものの色を利用してもよく、又は所望の色の材料層を電極上、絶縁層上、基板面上に形成してもよい。また、絶縁層などに着色材料を混ぜ込んでもよい。
【0085】
次に、第2基板上に絶縁層9及び隔壁10を形成する。絶緑層の材料、膜厚については前述のとうりである。隔壁10の配置に制限はないが、画素間で泳動粒子6が移動しないように、各画素の周囲を取り囲むように配置するのがよい。隔壁材料としてはポリマー樹脂を使用する。隔壁形成はどのような方法を用いてもよい。例えば、光感光性樹脂層を塗布した後露光及びウエット現像を行う方法、又は別に作製した障壁を接着する方法、印刷法によって形成する方法、或いは光透過性の第1基板表面にモールドによって形成しておく方法等を用いることができる。
【0086】
次に隔壁で囲まれた各画素空間に透明な絶縁性液体7及び着色帯電泳動粒子6を充填する。絶縁性液体7としては、シリコーンオイル、トルエン、キシレン、高純度石油等の無色透明液体を使用する。黒色帯電泳動粒子6としては、絶縁性液体中で良好な帯電特性を示す材料を用いる。例えば、ポリエチレン、ポリスチレン等の樹脂にカーボンなどを混ぜたものを使用する。泳動粒子6の粒径に制限はないが、通常は平均粒子径0.5μm〜20μm位、好ましくは1μm〜5μmのものを使用する。
【0087】
最後に、第1基板1の第2基板2との接合面に接着層を形成した後、第1基板及び第2基板の位置合わせを行い、熱をかけて接着する。これに、電圧印加手段を接続して表示装置が完成する。
【0088】
【実施例】
以下、実施例に従って本発明を更に詳しく説明する。
【0089】
実施例1
本実施例では、図1に示すセル構成で、3×3マトリックス表示セルを作成し、双方向書き込みによる単純マトリックス駆動を行なった。図1の構成においては、泳動粒子の水平方向への移動を双方向に対して禁止することができ、従って黒状態と白状態の双方向に対して書き込みを行なうことができる。双方向書き込み駆動は、特表平8−507154号公報で開示された第1の構成では困難であって、障壁の構造が対称である本発明の特徴の一つである。
【0090】
作成した3×3マトリックス表示セルの平面図を図19に示す。一画素サイズは200μm×200μm、第1表示電極、第2制御電極、第2表示電極の面積比は20:5:75とした。
【0091】
以下、図1及び図19を見ながら、セルの製造方法について簡単に説明する。厚さ200μmのPETフィルムからなる第1基板1上に、まずアルミナなどの白色顔料を分散させたアクリル樹脂からなる絶縁着色層を全面に形成した。次に第2表示電極3としてITOを低温成膜し、フォトリソグラフィー及びドライエッチングにより図19に示す形状にパターニングした。次に第1表示電極4として暗黒色の炭化チタン膜を成膜し、同様にしてパターニングした。
【0092】
次にエボキシ樹脂を30μmの膜厚で塗布し、続いて制御電極膜として暗黒色の炭化チタン膜を成膜し、続いてレジスト膜を塗布・露光・現像し図19に示すような形状にパターンニング、最後にCF4 及びO2ガスによる反応性ドライエッチングを行ない、高さ30μmの障壁11上に炭化チタンからなる制御電極5が配置された構造体を形成した。次に、全面にアモルファスフッ素樹脂からなる絶縁層8を200nm形成した。
【0093】
続いて、PETフィルムからなる第2基板2の全面にアモルファスフッ素樹脂からなる絶縁層9を200nmの厚さに形成した。この上に、隔壁10を形成した。隔壁10は、光感光性エポキシ樹脂を塗布した後、露光及びウエット現像を行うことによって形成し、70μmの高さとした。形成された隔壁内に絶縁性液体7及び黒色帯電泳動粒子6を充填した。
【0094】
絶縁性液体1としては、シリコーンオイルを使用した。黒色帯電泳動粒子6としては、ポリスチレンとカーボンの混合物で、平均粒径5μmのものを使用した。シリコーンオイル中での泳動粒子6の極性は正帯電を示した。次に、第1基板1の第2基板2との接着面に熱融着性の接着層パターンを形成し、第2基板2の隔壁上に、位置合わせを行ないながら第1基板1を置き、熱をかけて張り合わせシート状の表示パネルを完成した。この表示パネルに不図示の電圧印加回路を接続して駆動特性を評価した。
【0095】
以下、本実施例における駆動方法の説明を行なう。
制御電極を走査ライン(S1〜S3)、第1表示電極を第1信号ライン(I11〜I13)、第2表示電極を第2信号ライン(I21〜I23)とした。
【0096】
図20(a)に、各走査ライン及び信号ラインに印加した駆動パルスのタイムチャート図を、図20(b)に各期間における表示状態の変化を示した。各期間は50msecである。
【0097】
本実施例においては双方向への書き込みが可能であるので、初期動作として全面リセットをする必要はない。初期表示パターンとして期間T0に示すパターンを与え、全画素を各走査ライン(S1〜S3)ごとに反転表示することとする。尚、本実施例においては図5および図6で説明した駆動方法によって書き込みを行なった。書き込み時の泳動粒子の詳しい動作については、図5および図6と同様であるので説明を省略する。
【0098】
以下、タイムチャート図に従って駆動方法を順に説明する。期間T1おいて選択走査ラインであるS1に対してVc=0V、非選択走査ラインであるS2、S3に対してVc=+100Vを印加し、画素(1,1)(1,3)に相当する第1信号ラインI11,I13及び第2信号ラインI21,I23にそれぞれに白表示書き込みパルスとして、Vd1=−50V、Vd2=+50Vを印加し、また画素(1,2)に相当する第1信号ラインI12及び第2信号ラインI22にそれぞれに黒表示書き込みパルスとして、Vd1=+50V、Vd2=−50Vを印加した。その結果、選択走査ラインS1の全ての画素が書き換えられ反転表示され、また非選択走査ラインS2,S3における各画素では初期表示状態が保持された。
【0099】
以下、期間T2、T3において同様の駆動を行なった結果、目的の反転表示パターンが良好なコントラストで得られた。得られた表示には、クロストーク現象、及び泳動粒子の移動不良、保持不良によるコントラストの劣化は一切認められず、白表示と黒表示の平均的なコントラストは10:1程度の高い値を示した。
【0100】
実施例2
本実施例では、図16(a)に示す段差を有するセル構成で、3×3マトリックス表示セルを作成し、一方向書き込みによる単純マトリックス駆動を行なった。
作成した3×3マトリックス表示セルの平面図を図21に示す。一画素サイズは200μm×200μm、第1表示電極、制御電極、第2表示電極の面積比は20:5:75とした。
【0101】
以下、図21及び図16(a)を見ながら、セルの製造方法について概略を説明する。厚さ200μmのPETフィルムからなる第1基板1上に、まずアルミナなどの白色顔料を分散させたアクリル樹脂からなる絶縁着色層を全面に形成した。次に第1表示電極4として暗黒色の炭化チタン膜を成膜し、フォトリソグラフィー及びドライエッチングにより図に示す形状にパターニングした。
【0102】
次にエポキシ樹脂を30μmの膜厚で塗布、続いてレジスト膜を塗布・露光・現像し第2表示電極のネガパターンを形成、続いてITO薄膜をマグネトロンスパッタ法よって低温成膜したのちレジスト膜をリフトオフし、第2表示電極3をパターンニングした。さらにアクリル樹脂からなる絶縁層を1μm成膜し、続いて制御電極膜として暗黒色の炭化チタン膜を成膜、第2表示電極3と同様にして制御電極5をパターニングした。続いてレジスト膜によって段差および配線パターンを形成し、最後にCF4 及びO2ガスによる反応性ドライエッチングを行ない、高さ30μmの段差上に第2表示電極3及び制御電極5が配置された構造体を形成した。次に、全面にアモルファスフッ素樹脂からなる絶縁層8を200nm形成した。
【0103】
その後、実施例1と全く同様のプロセスによって、シート状の表示パネルを完成した。この表示パネルに不図示の電圧印加回路を接続して駆動特性を評価した。
【0104】
以下、本実施例における駆動方法の説明を行なう。
第1表示電極を走査ライン(S1〜S3)、制御電極を信号ライン(I1〜I3)とし、第2表示電極を共通電極として接地電位に短絡した。
【0105】
図22(a)に、各走査ライン及び信号ラインに印加した駆動パルスのタイムチャート図を、図22(b)に各期間における表示状態の変化を示した。1走査ライン選択期間(TR,T1,T2,T3)を50msecに設定した。
【0106】
駆動は、まず最初に全面を白表示にリセットし次に走査ライン毎に、設定した表示パターンに対応する選択画素(1,2),(2,1),(2,3),(3,2)に対して、一方向(白表示→黒表示)への書き込みを行なった。書き込み時の泳動粒子の詳しい動作については、図9および図10と同様であるので説明を省略する。
【0107】
以下、タイムチャート図に従って駆動方法を順に説明する。まず期間TRにおいて、全ての走査ラインS1〜S3に対してVd1=−100V、全ての信号ラインI1〜I3に対してVc=−50Vを印加し、全画素を白表示状態にリセットした。
【0108】
次に期間T1において選択走査ラインであるS1に対してVd1=+100V、非選択走査ラインであるS2、S3に対してVd1=0V、黒書き込みを行う選択画素化(1,2)に相当する信号ラインI2にVc=+50V、白状態を保持する非選択画素(1,1),(1,3)に相当する第1信号ラインI1,I3にVc=+150Vをそれぞれ印加した。その結果、選択走査ライン上の選択画素(1,2)のみが黒表示に書き換えられ、非選択画素(1,1),(1,3)、及び非選択走査ライン上の各画素では白表示が保持された。
【0109】
以下、期間T2、T3において選択画素パターンに従って同様の駆動を行なった結果、目的の表示パターンが良好なコントラストで得られた。得られた表示には、クロストーク現象、及び泳動粒子の移動不良、保持不良によるコントラストの劣化は一切認められず、白表示と黒表示の平均的なコントラストは10:1程度の高い値を示した。
【0110】
実施例3
本実施例では、図1に示すセル構成で、3×3マトリックス表示セルを作成し、図11〜図15に示す2つの書き込み期間からなる双方向書き込みによる単純マトリックス駆動を行なう。
【0111】
駆動特性の評価は、実施例1で作成した表示セルに不図示の電圧印加回路を接続して行なった。以下、本実施例における駆動方法について説明する。
制御電極を走査ライン(S1〜S3)、第1表示電極を第1信号ライン(I11〜I13)、第2表示電極を第2信号ライン(I21〜I23)とした(図19)。
【0112】
図23(a)に、各走査ライン及び信号ラインに印加した駆動パルスのタイムチャート図を、図23(b)に各期間における表示状態の変化を示した。本実施例においては、図11〜図15において説明した駆動方法によって書き込みを行なった。一走査ラインあたりの選択期間は、期間前半30msec、期間後半30msecとした。書き込み時の泳動粒子の詳しい動作については、図11〜図15と同様であるので説明を省略する。
【0113】
本実施例においては双方向への書き込みが可能であるので、初期動作として全面リセットをする必要はない。そこで初期表示パターンとして期間T0に示すパターンを与え、全画素を各走査ライン(S1〜S3)ごとに反転表示することとする。
【0114】
以下、タイムチャート図に従って駆動方法を順に説明する。期間T1において選択走査ラインであるS1に対してVc=−50V(期間前半T11)/0V(期間後半T12)、非選択走査ラインであるS2、S3に対してVc=+50/+100Vを印加し、同時に画素(1,1)(1,3)に相当する第1信号ラインI11,I13及び第2信号ラインI21,I23にそれぞれに白表示書き込みパルスとして、Vd1=0V/−50V、Vd2=0V/+50Vを印加し、また画素(1,2)に相当する第1信号ラインI12及び第2信号ラインI22にそれぞれに黒表示書き込みパルスとして、Vd1=0V/+50V、Vd2=0V/−50Vを印加した。その結果、選択された一行目の走査ライン上の全ての画素が書き換えられ反転表示された。また2、3行目の非選択走査ライン上の各画素では初期表示状態が保持された。
【0115】
以下、期間T2、T3において同様の駆動を行なった結果、目的の反転表示パターンが良好なコントラストで得られた。得られた表示には、クロストーク現象、及び泳動粒子の移動不良、保持不良によるコントラストの劣化は一切認められず、白表示と黒表示の平均的なコントラストは10:1程度の高い値を示した。
【0116】
比較例1
比較例1として、特表平8−507154号公報において開示された図24(a)に示すセル構成で、3×3マトリックス表示セルを作成し、一方向書き込みによる単純マトリックス駆動を行なった。
【0117】
作成した3×3マトリックス表示セルの平面図を図31に示す。一画素サイズは200μm×200μm、第1表示電極と第2表示電極の面積比35:65、第1基板と第2基板間の間隔70μm、段差高0.3μmとし、平均粒子径1μmの正帯電泳動粒子を用いた。表示電極と泳動粒子の配色は図1と同様である。
【0118】
以下、図24(a)及び図31を見ながら、セルの製造方法について簡単に説明する。厚さ200μmのPETフィルムからなる第1基板1上に、まずアルミナなどの白色顔料を分散させたアクリル樹脂からなる絶縁着色層を全面に形成した。次に第1表示電極4として暗黒色の炭化チタン膜を成膜し、フォトリソグラフィー及びドライエッチングにより図に示す形状にパターニングした。
【0119】
次にエポキシ樹脂を0.3μmの膜厚で塗布し、続いて第2表示電極としてITO薄膜をマグネトロンスパッタ法よって低温成膜した。続いてレジスト膜を塗布し、図31に示すような形状にパターンニング、最後にCF4 及びO2 ガスによる反応性ドライエッチングを行ない、高さ0.3μmのステップ上にITOからなる第2表示電極が配置された構造体を形成した。次に、全面にアモルファスフッ素樹脂からなる絶縁層8を200nm形成した。
【0120】
続いて、PETフィルムからなる第2基板2上に制御電極5としてITOを低温成膜したのち、図31に示す形状にパターニングし、次に全面にアモルファスフッ素樹脂からなる絶縁層9を200nm形成した。この上に、隔壁10を形成した。隔壁10は、光感光性エポキシ樹脂を塗布した後、露光及びウエット現像を行うことによって形成し、70μmの高さとした。形成された隔壁内に絶縁性液体7及び黒色帯電泳動粒子6を充填した。
【0121】
絶縁性液体1としては、シリコーンオイルを使用した。黒色帯電泳動粒子6は、実施例1と同じくポリスチレンとカーボンの混合物で、平均粒径1μm位のものを使用した。シリコーンオイル中での泳動粒子6は正帯電極性を示した。次に、第1基板1の第2基板2との接着面に熱融着性の接着層パターンを形成し、第2基板2の隔壁上に、位置合わせを行ないながら第1基板1を置き、熱をかけて張り合わせた。これに不図示の電圧印加回路を接続して表示装置とした。
【0122】
以下駆動方法について説明する。
第1表示電極を走査ライン(S1〜S3)、制御電極を信号ライン(I1〜I3)とし、第2表示電極をコモン電極として接地電位に固定した。
【0123】
図32(a)に、各走査ライン及び信号ラインに印加した駆動パルスのタイムチャート図を、図32(b)に各期間における表示状態の変化を示した。1走査ライン選択期間(TR,T1,T2,T3)は50msecに設定した。
【0124】
駆動は、まず最初に全面を白表示にリセットし次に走査ライン毎に、設定した表示パターンに対応する選択画素(1,2),(2,1),(2,3),(3,2)に対して、一方向(白表示→黒表示)への書き込みを行なった。尚、本実施例においては図25〜図28で説明した駆動方法によって書き込みを行なった。書き込み時の泳動粒子の詳しい動作については、図25〜図28と同様であるので説明を省略する。
【0125】
以下、タイムチャート図に従って駆動方法を順に説明する。期間TRにおいては、全走査ラインS1〜S3に対してVd=−50V、全信号ライン11〜13に対してVc=0Vを印加し、全画素を白表示にリセットした。
【0126】
次に期間T1において選択走査ラインであるS1に対してVd=+50V、非選択走査ラインであるS2、S3に対してVd=+5Vを印加し、選択画素(1,2)に相当する信号ライン12にVc=+50Vを、非選択画素(1,1),(1,3)に相当する信号ラインI1,I3にはVc=+250Vを印加した。その結果、選択走査ラインS1の選択画素(1,2)のみが黒表示に書き換えられ、非選択画素(1,1),(1,3)、及び非選択走査ラインS2,S3における各画素では白表示が保持された。但し、非選択画素(1,1),(1,3)においては制御電圧Vc=+250Vによる泳動粒子の押え込みは不十分であり、図27(c)に示したように一部の泳動粒子が第2表示電極側に移動してしまい、図32(b)に示すような灰色がかった表示になってしまった。
【0127】
以下、期間T2、T3において選択画素パターンに従って同様の駆動を行なった結果、目的の表示パターンが得られたが、白表示が全体的に灰色がかっており表示コントラストは劣悪であった。白表示と黒表示の平均的なコントラストは3:1程度であった。また、本比較例で用いた制御電圧は+250Vであったが、まだ不十分であり更に増大させる必要があった。
【0128】
【発明の効果】
以上、詳細に述べたように、本発明によって次のような効果が得られた。
第1に、水平移動型電気泳動装置においてクロストーク現象の見られない、良好な表示コントラストが得られる単純マトリックス駆動が実現された。これは新規な構成と駆動方法によって、従来問題であった、非選択画素内の泳動粒子のホールド不良によるクロストークの発生を、ほぼ完全に抑えこめたことによる。
第2に、構造障壁による物理バリアと、構造障壁の上方に形成される制御電極による電気バリアとの相乗効果によって、泳動粒子の保持に要する制御電圧を大幅に低減できるようになった。
【0129】
第3に、制御電極を含めた駆動に関係する全ての構成要素を単一基板上に配置することができる。これにより、上下基板貼り合わせ工程での位置合わせ精度が不要となり、特に位置合わせ精度を高めることが原理的に困難なプラステック基板を用いて解像度の高い表示を実現することができるようになるという大きな利点が得られる。
【0130】
第4に、高い障壁または段差を導入する構成においては、第1表示電極と第2表示電極との面積比を従来より大きく設定できるようになった。これによって、クロストーク抑制とは別の理由による、更なるコントラストの向上が実現された。
第5に、双方向の書き込み駆動ができるようになった。このため、初期全面リセットの必要がなく、また表示画面の一部分のみを書き換える部分書き換え駆動ができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の表示装置の代表的な一例を示す断面図である。
【図2】本発明の表示装置の代表的な一例を示す平面図である。
【図3】本発明の表示装置の駆動方法及び動作状態の代表的な一例を示す図である。
【図4】図3の表示装置の駆動方法及び動作状態の他の部分を示す図である。
【図5】本発明の表示装置の単純マトリックス駆動法の代表的な一例を示す図である。
【図6】図5の表示装置の単純マトリックス駆動法の他の部分を示す図である。
【図7】本発明の表示装置の単純マトリックス駆動法の代表的な他の例を示す図である。
【図8】図7の表示装置の単純マトリックス駆動法の他の部分を示す図である。
【図9】本発明の表示装置の単純マトリックス駆動法の代表的な他の例を示す図である。
【図10】図9の表示装置の単純マトリックス駆動法の他の部分を示す図である。
【図11】本発明の表示装置の駆動方法及び動作状態の代表的な他の一例を示す図である。
【図12】図11の表示装置の駆動方法及び動作状態の他の部分を示す図である。
【図13】本発明の表示装置の単純マトリックス駆動法の代表的な他の例を示す図である。
【図14】図13の表示装置の単純マトリックス駆動法の他の部分を示す図である。
【図15】図13の表示装置の単純マトリックス駆動法の他の部分を示す図である。
【図16】本発明の表示装置の代表的な他の例を示す断面図である。
【図17】本発明の表示装置の代表的な他の例を示す断面図である。
【図18】本発明の表示装置の代表的な他の例を示す断面図である。
【図19】本発明の実施例1において作成した3×3マトリックスを示す平面構成図である。
【図20】本発明の実施例1で行なった駆動のタイムチャート及び表示パターンを示す図である。
【図21】本発明の実施例2において作成した3×3マトリックスを示す平面構成図である。
【図22】本発明の実施例2で行なった駆動のタイムチャート及び表示パターンを示す図である。
【図23】本発明の実施例3で行なった駆動のタイムチャート及び表示パターンを示す図である。
【図24】従来例における表示装置を示す断面図である。
【図25】従来例における表示装置の駆動方法及び動作状態を示す図である。
【図26】図25の表示装置の駆動方法及び動作状態の他の部分を示す図である。
【図27】従来例における表示装置の単純マトリックス駆動法を示す図である。
【図28】図27の表示装置の単純マトリックス駆動法の他の部分を示す図である。
【図29】従来例における表示装置の問題点を示す説明図である。
【図30】従来例における表示装置の他の問題点を示す説明図である。
【図31】比較例1で作成した3×3マトリックスを示す平面構成図である。
【図32】比較例1で行なった駆動のタイムチャート及び表示パターンを示す図である。
【符号の説明】
1 第1基板
2 第2基板
3 第2表示電極
4 第1表示電極
5 制御電極
5a 制御電極
6 泳動粒子
7 透明絶縁性液体
8、9 絶緑膜
10 隔壁
11 構造障壁
12 段差
15 遮蔽空間
22 段差
Claims (8)
- 第1基板と、第1基板上に配置される第1表示電極及び第2表示電極と、前記第1基板に対向して配置される第2基板と、各電極に所望の電圧を印加する手段と、前記第1基板及び第2基板間に充填された透明絶縁性液体と、該透明絶縁性液体中に分散された複数の着色帯電泳動微粒子とを備え、該着色帯電泳動粒子を第1および第2表示電極間で移動させることによって表示の切り換えを行なう電気泳動表示装置において、前記第1基板上の前記第1表示電極と第2表示電極との境界部に壁構造または段差構造が設けられ、前記壁構造または段差構造の上部の第1および第2表示電極面より高い位置に前記帯電泳動粒子の移動を制御する制御電極が配置され、表示保持期間に、前記制御電極に、帯電泳動粒子を第1および第2表示電極側に押し付ける電圧が印加され、書き込み期間に、前記制御電極に、帯電泳動粒子を一方の表示電極から前記制御電極の近傍に移動させ続いて他方の表示電極側に移動させる電圧が印加されて、前記帯電泳動粒子の移動が制御されることを特徴とする電気泳動表示装置。
- 前記制御電極が,表示保持期間において泳動粒子の水平方向への移動を双方向に対して禁止し、書き込み期間において黒状態と白状態の双方向の書き込みを可能にする電極である請求項1記載の電気泳動表示装置。
- 全画素面積に対する電極の面積比が、第1表示電極は10〜30%、第2表示電極は85〜65%、制御電極は5〜10%である請求項1記載の電気泳動表示装置。
- 第2表示電極及び制御電極をRGBに着色した画素が並べられてカラー化表示を行なう請求項1記載の電気泳動表示装置。
- 制御電極を走査電極、第1および第2表示電極をそれぞれ第1信号電極線および第2信号電極線とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電気泳動表示装置。
- 第1基板と、第1基板上に配置される第1表示電極及び第2表示電極と、前記第1基板に対向して配置される第2基板と、各電極に所望の電圧を印加する手段と、前記第1基板及び第2基板間に充填された透明絶縁性液体と、該透明絶縁性液体中に分散された複数の着色帯電泳動微粒子と、前記第1基板上の前記第1表示電極と第2表示電極との境界部に設けられた壁構造または段差構造と、前記壁構造または段差構造の上部の第1および第2表示電極面に対して高い位置に配置され前記帯電泳動粒子の移動を制御する制御電極とを有する電気泳動表示装置の駆動方法であって、書き込み期間が、帯電泳動粒子を一方の表示電極から前記制御電極近傍に移動する第1の過程と、第1の過程に続いて帯電泳動粒子を制御電極から前記壁構造または段差構造を越えて他方の表示電極側に移動する第2の過程とからなることを特徴とする電気泳動表示装置の駆動方法。
- 前記泳動粒子の移動を引き起こすために、
正帯電の泳動粒子の場合には、
「移動先でない表示電極の電位≧制御電極の電位>移動先である表示電極の電位」の関係を満たし、
負帯電の泳動粒子の揚合には、
「移動先でない表示電極の電位≦制御電極の電位<移動先である表示電極の電位」の関係を満たす、
期間が含まれるように、前記第1表示電極、第2表示電極及び制御電極に電圧を印加することを特徴とする請求項6記載の電気泳動表示装置の駆動方法。 - 前記2つの過程からなる泳動粒子の移動を引き起こすために、
正帯電の泳動粒子の場合には、
前記第1の過程において「両表示電極の電位>制御電極の電位」、
前記第2の過程において「移動前の表示電極の電位≧制御電極の電位>移動先の表示電極の電位」の関係を満たし、
負帯電の泳動粒子の場合には、
前記第1の過程において「両表示電極の電位<制御電極の電位」、
前記第2の過程において「移動前の表示電極の電位≦制御電極の電位<移動先の表示電極の電位」の関係を満たすように、
前記第1表示電極、第2表示電極及び制御電極に電圧を印加することを特徴とする請求項6記載の電気泳動表示装置の駆動方法。
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