JP2001240595A - アルコールの脱水素によるカルボニル化合物の製造方法 - Google Patents

アルコールの脱水素によるカルボニル化合物の製造方法

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JP2001240595A JP2000380129A JP2000380129A JP2001240595A JP 2001240595 A JP2001240595 A JP 2001240595A JP 2000380129 A JP2000380129 A JP 2000380129A JP 2000380129 A JP2000380129 A JP 2000380129A JP 2001240595 A JP2001240595 A JP 2001240595A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 アルコールを脱水素してカルボニル化合物を
製造する方法の提供。 【解決手段】 ルテニウムと、リン原子の3個の結合手
の2個以上に脂肪族性の炭素が結合している有機ホスフ
ィンとを含む錯体触媒の存在下に、アルコールを脱水素
するカルボニル化合物の製造方法。例えば、1,4−ブ
タンジオールと上記錯体触媒で、203℃、6時間反応
し、1,4−ブタンジオールの転化率は99.7モル
%、ガンマブチロラクトンの選択率は、98.0モル%
であった。1,5−ペンタンジオールからはバレロラク
トンを製造。さらに、ガンマブチロラクトンからN−メ
チルピロリドンが製造され、ガンマブチロラクトンを溶
剤として含む電解液への応用がある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はアルコールを脱水素
してカルボニル化合物を製造する方法に関する。更に詳
しくは、ルテニウムと特定の有機ホスフィンとを含む錯
体触媒の存在下に、アルコールを脱水素してカルボニル
化合物を製造する方法に関する。本発明の方法が適用さ
れる好適な例としては、1,4−ブタンジオールからの
ガンマブチロラクトンの製造である。
【0002】
【従来の技術】従来、特定の遷移金属と特定の有機ホス
フィンを組み合わせた錯体触媒の存在下、アルコールを
脱水素してカルボニル化合物を製造する方法は、いくつ
か提案されていた。例えば、J.Orgmet.Che
m.,429(1992)269〜274には、イリジ
ウム−トリイソプロピルホスフィン錯体、ルテニウム−
トリフェニルホスフィン錯体及びレニウム−トリイソプ
ロピルホスフィン錯体を触媒としてジオールを脱水素し
てラクトン化合物を得る反応が記載され、J.Org.
Chem.1987,52,4319〜4327及びT
etrahedron Let.1981,22,53
27〜5330には、上記とは異なるルテニウム−トリ
フェニルホスフィン錯体を触媒としてジオールを脱水素
してラクトン化合物を得る反応が記載され、Chem.
Soc.Japan,1982,1179〜1182に
は、ルテニウム−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン
化合物錯体を触媒としてジオールを脱水素してラクトン
化合物を得る反応が記載されている。
【0003】しかしながら、これらは、アセトン等の水
素受容体を反応系内に存在させることによりアルコール
基質の脱水素反応を促進するものであり、水素受容体を
存在させない場合は触媒活性を著しく低下させるもので
あった。
【0004】Bull.Chem.Soc.Jpn.,
61,2291〜2294(1988)には、ルテニウ
ム−エチルジフェニルホスフィン錯体又はルテニウム−
ジエチルフェニルホスフィン錯体を触媒として、メタノ
ールを脱水素する反応が記載されている。しかしなが
ら、この方法では、触媒活性が著しく低いという問題点
があった。また、1,4−ブタンジオールを脱水素し、
分子内環化させることにより、効率よくガンマブチロラ
クトンを製造する方法については、何ら記載も示唆もさ
れていない。
【0005】多量の水素受容体を必要とする反応は、工
業的実施にとって極めて不利であり、且つ、アルコール
の脱水素反応によって該水素受容体は別の化合物に変換
されるため、再利用できない点においても工業的に実用
的な方法とは言えない。
【0006】また、特公平4−17954号公報には、
銅−クロム−マンガン系触媒又は銅−クロム−亜鉛系触
媒を用いて、特開平3−232874号公報には銅、ク
ロム及びバリウムを含む触媒を用いて、気相で1,4−
ブタンジオールを脱水素してガンマブチロラクトンを製
造する方法が記載されているが、これらの方法では、選
択率や触媒の劣化などの問題を解決するには至っておら
ず、また、気相法であるために逆反応による平衡制約を
逃れることができず、また、選択率や触媒劣化の問題を
完全に解決するには至っていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、アル
コールを脱水素してカルボニル化合物を製造するにあた
り、穏和な反応条件下で、選択性よく、高収率で工業的
に有利にカルボニル化合物を製造する方法を提供するこ
とである。
【0008】また、本発明の別の課題は、1,4−ブタ
ンジオールを脱水素して環化させ、ガンマブチロラクト
ンを穏和な反応条件下で、選択性よく、高収率で工業的
に有利に製造する方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の課題
を解決すべく鋭意検討を行った結果、ルテニウムと、リ
ン原子の3個の結合手の2個以上に脂肪族性の炭素が結
合している有機ホスフィンとを含む錯体触媒が、効率よ
くアルコールを脱水素してカルボニル化合物を製造する
触媒となり得ることを見出した。特に、上記した錯体触
媒が、1,4−ブタンジオールからガンマブチロラクト
ンを製造するための好適な触媒となり得ることを見出し
た。本発明は上記の知見を基にして完成されたものであ
る。
【0010】即ち本発明の要旨は、ルテニウムと、リン
原子の3個の結合手の2個以上に脂肪族性の炭素が結合
している有機ホスフィンとを含む錯体触媒の存在下に、
アルコールを脱水素することを特徴とするカルボニル化
合物の製造方法にある。
【0011】また、本発明の別の要旨は、ルテニウム
と、リン原子の3個の結合手の2個以上に脂肪族性の炭
素が結合している有機ホスフィンとを含む錯体触媒の存
在下に、1,4−ブタンジオールを脱水素することを特
徴とするガンマブチロラクトンの製造方法にある。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明で用いる触媒は、ルテニウ
ムと、リン原子の3個の結合手の2個以上に脂肪族性の
炭素が結合している有機ホスフィンとを含む錯体触媒で
ある。触媒は、予め調製して反応に用いてもよく、ま
た、触媒を構成する各成分を反応系に存在させ、反応系
内で触媒を生成させることもできる。
【0013】ルテニウム金属の供給形態としては、特に
制限されるものでなく、金属ルテニウム又はルテニウム
化合物であってよい。ルテニウム化合物としては、例え
ば、酸化物、水酸化物、無機酸塩、有機酸塩、錯化合物
等が挙げられ、具体的には例えば、二酸化ルテニウム、
四酸化ルテニウム、水酸化ルテニウム、塩化ルテニウ
ム、臭化ルテニウム、沃化ルテニウム、硝酸ルテニウ
ム、酢酸ルテニウム、トリス(アセチルアセトナト)ル
テニウム、ヘキサクロロルテニウム酸ナトリウム、テト
ラカルボニルルテニウム酸ジカリウム、ペンタカルボニ
ルルテニウム、シクロペンタジエニルジカルボニルルテ
ニウム、ジブロモトリカルボニルルテニウム、クロロト
リス(トリフェニルホスフィン)ヒドリドルテニウム、
テトラ(トリフェニルホスフィン)ジヒドリドルテニウ
ム、テトラ(トリメチルホスフィン)ジヒドリドルテニ
ウム、ビス(トリ−n−ブチルホスフィン)トリカルボ
ニルルテニウム、テトラヒドリドデカカルボニルテトラ
ルテニウム、ドデカカルボニルトリルテニウム、オクタ
デカカルボニルヘキサルテニウム酸ジセシウム、ウンデ
カカルボニルヒドリドトリルテニウム酸テトラフェニル
ホスフォニウム等が挙げられる。これらの化合物は、市
販されているものを用いてもよく、また、公知の方法に
より合成してもよい。
【0014】本発明で用いる有機ホスフィンは、リン原
子の3個の結合手の2個以上に脂肪族性の炭素が結合し
ているものである。該有機ホスフィンとは、例えば、リ
ン原子の3個の結合手の全てにアルキル基が結合したト
リアルキルホスフィン、リン原子の3個の結合手の2個
にアルキル基が結合し、残る1個にアリール基が結合し
たジアルキルアリールホスフィン等が挙げられる。該有
機ホスフィン1分子中のリン原子は、1つであっても複
数存在していてもよく、ルテニウムに対して単座配位し
ても多座配位してもよい。
【0015】アルキル基とは、置換されていてもよい炭
素数1〜30、好ましくは炭素数1〜20、より好まし
くは炭素数1〜10の、飽和又は不飽和の、直鎖状、分
岐鎖状又は環状の脂肪族炭化水素である。該アルキル基
の置換基としては、特に制限されるものではないが、例
えば、フェニル基、トリル基等の芳香族炭化水素等が挙
げられる。このようなアルキル基の具体例としては、メ
チル、エチル、ノルマルプロピル、イソプロピル、ノル
マルブチル、イソブチル、ノルマルペンチル、ノルマル
ヘキシル、2−メチルペンチル、2−エチルブチル、シ
クロヘキシル、ノルマルヘプチル、ノルマルオクチル、
ノルマルノニル、ノルマルデカニル、ベンジル等が挙げ
られる。
【0016】アリール基とは、炭素数1〜20、好まし
くは炭素数1〜10の置換されていてもよい芳香族炭化
水素である。該芳香族炭化水素の置換基としては、メチ
ル、エチル、ノルマルプロピル、イソプロピル、ノルマ
ルブチル、イソブチル等のアルキル基;メトキシ、エト
キシ等のアルコキシ基;塩素、臭素等のハロゲン原子;
ニトロ基;スルホン基等が挙げられる。このようなアリ
ール基の具体例としては、フェニル、o−,m−,p−
トリル、o−,m−,p−メトキシフェニル、n−,s
ec−,tert−ブチル、o−,m−,p−クロルフ
ェニル、ナフチル等が挙げられる。
【0017】また、2個以上のアルキル基が結合して、
アルキレン基を形成してもよい。
【0018】本発明の有機ホスフィンにおいて、リン原
子に結合した上記官能基は、同一でも相互に異なってい
ても、任意の2個又は3個が環構造を形成していてもよ
い。また、リン原子に結合している炭素は、1級であっ
ても2級であってもよいが、好ましくは1級である。
【0019】上記したアルキル基を有するトリアルキル
ホスフィンとしては、例えば、トリノルマルデカニルホ
スフィン、トリノルマルノニルホスフィン、トリノルマ
ルオクチルホスフィン、トリノルマルヘプチルホスフィ
ン、トリノルマルヘキシルホスフィン、トリシクロヘキ
シルホスフィン、トリノルマルペンチルホスフィン、ト
リノルマルブチルホスフィン、トリイソブチルホスフィ
ン、トリノルマルプロピルホスフィン、トリイソプロピ
ルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリメチルホス
フィン、ジメチルノルマルオクチルホスフィン、ジノル
マルオクチルメチルホスフィン、ジメチルノルマルヘプ
チルホスフィン、ジノルマルヘプチルメチルホスフィ
ン、ジメチルノルマルヘキシルホスフィン、ジノルマル
ヘキシルメチルホスフィン、ジメチルシクロヘキシルホ
スフィン、ジシクロヘキシルメチルホスフィン、ジメチ
ルブチルホスフィン、ジノルマルブチルメチルホスフィ
ン、トリベンジルホスフィン等の、1分子中にリン原子
が1つあるトリアルキルホスフィン;1,1,2,2−
テトラキス(ジメチルホスフィノ)エタン、1,1,
2,2−テトラキス(ジメチルホスフィノ)プロパン、
1,1,2,2−テトラキス(ジメチルホスフィノ)ブ
タン、1,1,2,2−テトラキス(ジオクチルホスフ
ィノ)エタン、1,1,2,2−テトラキス(ジオクチ
ルホスフィノ)プロパン、1,1,2,2−テトラキス
(ジオクチルホスフィノ)ブタン、1,1,2,2−テ
トラキス(ジヘキシルホスフィノ)エタン、1,1,
2,2−テトラキス(ジヘキシルホスフィノ)プロパ
ン、1,1,2,2−テトラキス(ジヘキシルホスフィ
ノ)ブタン、1,1,2,2−テトラキス(ジブチルホ
スフィノ)エタン、1,1,2,2−テトラキス(ジブ
チルホスフィノ)プロパン、1,1,2,2−テトラキ
ス(ジブチルホスフィノ)ブタン等の、1分子中にリン
原子が複数あるトリアルキルホスフィン;1,1―ジホ
スフィナン、1,4−ジメチル−1,4−ジホスフィノ
ファン、1,3−ジメチルホスフォリナン、1,4―ジ
メチルホスフォリナン、8−メチル−8−ホスフィノビ
シクロオクタン、4−メチル−4−ホスフォテトラシク
ロオクタン、1−メチルホスフォラン、1−メチルホス
フォナン1,4−ジホスファビシクロ[2.2.2]オ
クタン、1,3−ジメチルホスフォリナン、1,4−ジ
メチルホスフォリナン、1−メチルホスフォナン、1−
メチルフォスフォラン、1−メチルホスフォリナン、1
−フォスファビシクロ[2.2.2]オクタン、1−ホ
スファビシクロ[2.2.1]ヘプタン等の、リン原子
が環の構成要素となっているもの等が挙げられる。
【0020】これらの中で、トリノルマルデカニルホス
フィン、トリノルマルノニルホスフィン、トリノルマル
オクチルホスフィン、トリノルマルヘプチルホスフィ
ン、トリノルマルヘキシルホスフィン、トリノルマルペ
ンチルホスフィン、トリノルマルブチルホスフィン、ト
リノルマルプロピルホスフィン、トリエチルホスフィ
ン、トリメチルホスフィン、ジメチルノルマルオクチル
ホスフィン、ジノルマルオクチルメチルホスフィン、ジ
メチルノルマルヘプチルホスフィン、ジノルマルヘプチ
ルメチルホスフィン、ジメチルノルマルヘキシルホスフ
ィン、ジノルマルヘキシルメチルホスフィン等の1分子
中にリン原子が1つあるトリアルキルホスフィンが好ま
しい。
【0021】ジアルキルアリールホスフィンとしては、
例えば、ジメチルフェニルホスフィン、ジエチルフェニ
ルホスフィン、ジノルマルプロピルフェニルホスフィ
ン、ジイソプロピルフェニルホスフィン、ジノルマルヘ
キシルフェニルホスフィン、ジノルマルオクチルフェニ
ルホスフィン、ジメチルトリルホスフィン、ジエチルト
リルホスフィン、ジノルマルプロピルトリルホスフィ
ン、ジイソプロピルトリルホスフィン、ジノルマルヘキ
シルトリルホスフィン、ジノルマルオクチルトリルホス
フィン等のモノホスフィン;メチルフェニルホスフィノ
エタン、エチルフェニルホスフィノエタン、メチルフェ
ニルホスフィノプロパン等のポリホスフィン等が挙げら
れる。
【0022】上記した有機ホスフィンの入手方法として
は、通常、市販されているものを用いればよいが、必要
に応じて、公知の方法により合成して用いることができ
る。該有機ホスフィンの合成方法としては、例えば、実
験化学講座第4版24巻第229頁、H.Hibber
t.Chem.Ber.,39,160(1906)等
に記載されているとおり、Grinard反応等が挙げ
られる。また、ジアルキルフェニルホスフィン等のフェ
ニル基を有するホスフィンとリチウム金属とを反応さ
せ、更に、アルキルブロマイドと反応させて、フェニル
基をアルキル基に置換することにより所望の有機ホスフ
ィンを合成してもよい。
【0023】有機ホスフィンの使用量としては、ルテニ
ウム金属に対し、リン原子/金属の原子比で通常は0.
1〜1000、好ましくは1〜100の範囲である。但
し、ルテニウム金属を供給する化合物として、トリフェ
ニルホスフィン等のリン原子にアリール基が2個以上結
合したホスフィンを含む化合物を用いる場合には、この
ホスフィンが上記の有機ホスフィンで置換されるように
リン原子/金属の原子比を大きくするのが好ましい。
【0024】本発明で用いる触媒は、上述のごとくルテ
ニウムと、リン原子の3個の結合手の2個以上に脂肪族
性の炭素が結合している有機ホスフィンとを含むことを
特徴としているが、これに任意成分として更に中性配位
子などを含有させてもよい。このような任意成分として
は、例えばエチレン、プロピレン、ブテン、シクロペン
テン、シクロヘキセン、ブタジエン、シクロペンタジエ
ン、シクロオクタジエン、ノルボナジエン等のエチレン
性不飽和結合を有する炭化水素;ジエチルエーテル、ア
ニソール、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテ
ル類;プロピオン酸、カプロン酸、酪酸、安息香酸、安
息香酸メチル、酢酸エチル、酢酸アリル等のカルボン酸
やカルボン酸エステル;ジメチルスルフィド、トリブチ
ルホスフィンオキシド、エチルジフェニルホスフィンオ
キシド、トリフェニルホスフィンオキシド、トリオクチ
ルホスフィンオキシド、ジエチルフェニルホスフィネー
ト、ジフェニルエチルホスフィネート、トリエチルホス
フェート、トリフェニルホスファイト、トリオクチルホ
スフェート、ヘキサメチルホスホリックトリアミド等の
有機リン化合物;更には一酸化炭素、エチレングリコー
ル、二硫化炭素、カプロラクタムなどが挙げられる。従
って、場合によっては反応原料、反応生成物又は溶媒が
触媒の構成成分となることもある。
【0025】更に、触媒は、pkaが2よりも小さい酸
の共役塩基を用いて、カチオン性錯体の形で用いること
もできる。カチオン性錯体化することにより、触媒の安
定化、活性の向上等好ましい結果が得られることがあ
る。
【0026】pkaが2よりも小さい酸の共役塩基を与
える化合物としては、通常pkaが2よりも小さいブレ
ンステッド酸又はその塩を用いればよい。具体的には例
えば、硝酸、過塩素酸、ホウフッ化水素酸、ヘキサフル
オロリン酸、フルオロスルホン酸等の無機酸;トリクロ
ロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、ドデシルス
ルホン酸、オクタデシルスルホン酸、トリフルオロメタ
ンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスル
ホン酸、テトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素酸、
スルホン化スチレン−ジビニルベンゼン共重合体等の有
機酸;これら無機酸や有機酸のアルカリ金属塩、アルカ
リ土類金属塩、アンモニウム塩、銀塩などが挙げられ
る。また、これらの酸の共役塩基を与え得る化合物、例
えば酸ハロゲン化物、酸無水物、エステル、酸アミドな
どを用いることもできる。これらのpkaが2よりも小
さい酸の共役塩基を与える化合物は、ルテニウム金属に
対して通常1000倍モル以下、好ましくは100倍モ
ル以下となるように用いられる。
【0027】本発明の触媒を予め調製して用いる場合、
その調製方法としては特に制限されるものではないが、
1例を挙げれば、ルテニウムトリス(アセチルアセトナ
ト)と、これに対して5〜20モル倍のトリアルキルホ
スフィンとを、反応原料のアルコールに加えて、水素雰
囲気中で撹拌すると、錯体触媒のアルコール溶液が生成
する。またこれをカチオン性錯体とするには、上記で得
た触媒を含む液にpkaが2以下の酸の共役塩基を与え
る化合物を、ルテニウムに対し0.1〜20モル倍、好
ましくは1〜10モル倍となるように添加すればよい。
反応原料アルコール中に、ルテニウムトリス(アセチル
アセトナト)、トリアルキルホスフィン及びpkaが2
以下の酸の共役塩基を与える化合物を添加して撹拌して
も、カチオン性錯体触媒を合成することができる。
【0028】反応原料であるアルコールは、1級又は2
級の水酸基を有するものであれば、1価アルコールでも
多価アルコールでもよい。また、アルコールは飽和でも
不飽和でもよく、更には置換基を有していてもよい。そ
のいくつかを例示すると、1価アルコールでは、メタノ
ール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノー
ル、1−ブタノール、2−ブタノール、1−ペンタノー
ル、2−ペンタノール、3−ペンタノール、1−ヘキサ
ノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、1−ヘ
プタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、4
−ヘプタノール、1−オクタノール、2−オクタノー
ル、3−オクタノール、4−オクタノール、1−ノナノ
ール、2−ノナノール、3−ノナノール、4−ノナノー
ル、5−ノナノール、1−デカノール、2−デカノー
ル、3−デカノール、4−デカノール、5−デカノー
ル、アリルアルコール、1−ブテノール、2−ブテノー
ル、1−ペンテノール、2−ペンテノール、1−ヘキセ
ノール、2−ヘキセノール、3−ヘキセノール、1−ヘ
プテノール、2−ヘプテノール、3−ヘプテノール、1
−オクテノール、2−オクテノール、3−オクテノー
ル、4−オクテノール、1−ノネノール、2−ノネノー
ル、3−ノネノール、4−ノネノール、1−デセノー
ル、2−デセノール、3−デセノール、4−デセノー
ル、5−デセノール、シクロヘキサノール、シクロペン
タノール、シクロヘプタノール、1−フェネチルアルコ
ール、2−フェネチルアルコール、メタノールアミン、
エタノールアミン等が挙げられる。なお、不飽和アルコ
ールの場合には不飽和結合の位置は任意である。
【0029】多価アルコールとしては例えば、1,3−
プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−
ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7
−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,
2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキ
サンジメタノール、1−ヒドロキシメチル−2−ヒドロ
キシエチルシクロヘキサン、1−ヒドロキシ−2−ヒド
ロキシプロピルシクロヘキサン、1−ヒドロキシ−2−
ヒドロキシエチルシクロヘキサン、1−ヒドロキシメチ
ル−2−ヒドロキシエチルベンゼン、1−ヒドロキシメ
チル−2−ヒドロキシプロピルベンゼン、1−ヒドロキ
シ−2−ヒドロキシエチルベンゼン、1,2−ベンジル
ジメチロール、1,3−ベンジルジメチロールなどの2
価アルコールが挙げられる。2個の1級水酸基を有する
アルコールを原料とすると、反応過程を経て分子間エス
テル結合により、ポリエステルを生成することがある
が、1級水酸基が結合している炭素原子間に2〜4個の
炭素原子が介在している場合には、分子内環化によりラ
クトン化合物を形成することができる。
【0030】上記したアルコール原料の中で、好ましく
は炭素数4以上のアルコールであり、更に好ましくは
1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、
1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオー
ル、1,8−オクタンジオール等の炭素数4以上のジオ
ールである。特に、本発明は1,4−ブタンジオールか
らガンマブチロラクトンを製造する脱水素、環化反応に
好適である。
【0031】本発明によるアルコールの脱水素反応は、
通常は無溶媒で、すなわち原料のアルコール又は生成物
のカルボニル化合物以外の溶媒を存在させずに行われる
が、所望ならば他の溶媒を用いることもできる。このよ
うな溶媒としては、例えばジエチルエーテル、アニソー
ル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチル
エーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、
テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ジオキサ
ン等のエーテル類;メタノール、エタノール、n−ブタ
ノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、ジ
エチレングリコール等のアルコール類;フェノール等の
フェノール類;ギ酸、酢酸、プロピオン酸、トルイル酸
等のカルボン酸類;酢酸メチル、酢酸ブチル、安息香酸
ベンジル等のエステル類;ベンゼン、トルエン、エチル
ベンゼン、テトラリン等の芳香族炭化水素;n−ヘキサ
ン、n−オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水
素;ジクロロメタン、トリクロロエタン、クロロベンゼ
ン等のハロゲン化炭化水素;ニトロメタン、ニトロベン
ゼン等のニトロ化合物;N,N−ジメチルホルムアミ
ド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリ
ドン等のカルボン酸アミド;ヘキサメチルリン酸トリア
ミド等の他のアミド化合物;N,N−ジメチルイミダゾ
リジノン等の尿素;ジメチルスルホン等のスルホン類;
ジメチルスルフォキシド等のスルホキシド類;ガンマブ
チロラクトン、カプロラクトン等のラクトン類;ジメチ
ルカーボネート、エチレンカーボネート等の炭酸エステ
ル類;トリグライム、テトラグライム等のポリエーテル
類などが挙げられる。
【0032】これらの中で好ましくは、エーテル類、ポ
リエーテル類等である。
【0033】反応温度は、通常20〜350℃、好まし
くは100〜250℃、更に好ましくは150〜220
℃の範囲で反応させるとよい。触媒濃度は、工業的に所
望な活性を示す程度でよいが、通常、反応液に対しルテ
ニウム金属として0.0001〜100モル/L、好ま
しくは0.001〜10モル/Lとなるように反応系に
存在させればよい。反応は通常は均一触媒反応として進
行する。
【0034】本発明で用いる触媒は、高活性で高選択的
にアルコールの脱水素反応を進行させることができるた
め、特に反応系に水素受容体を存在させる必要はない
が、所望により存在させてもよい。水素受容体として
は、例えば、アセトン、ジフェニルアセチレン、ビニル
メチルケトン、ベンザルアセトン、エチルメチルケト
ン、パラベンゾキノン、ニトロベンゼン、アセトニトリ
ル、塩化ビニル、ベンゾニトリル、アセトアルデヒド、
ホルムアルデヒド、ブチルアルデヒド、ベンズアルデヒ
ドなどのカルボニル、アルケン又はアルキン化合物等が
挙げられる。
【0035】反応圧力は、反応系が液相に保たれる圧力
であれば任意であるが、本発明のアルコール脱水素反応
は、水素を生成する反応であるため、その水素を系外に
抜き出しながら行うのが好ましいことから、大気圧下で
開放系で行うことが好ましい。閉鎖系で行う場合には、
雰囲気は窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素などの
不活性ガスが好ましい。反応は回分方式でも連続方式で
も行うことができる。反応生成液は蒸留して生成したカ
ルボニル化合物を留去し、残留液には触媒が溶解してい
るので、回収して次回の反応に触媒として用いることが
できる。
【0036】本発明の方法によって得られるカルボニル
化合物、特にラクトン化合物は、アルキルアミン類と反
応させて、ピロリドン類を製造することができる。例え
ば、ガンマブチロラクトンとメチルアミンとを反応させ
て、N−メチルピロリドンを製造し、洗浄剤、溶剤等と
して工業的に広く用いることができる。メチルアミン及
びN−メチルピロリドンの製造方法としては、特に制限
されるものではなく、それ自体既知の通常行なわれる方
法を採用すればよい。メチルアミンの製造方法として
は、例えば、米国特許3,387,032号公報、特開
平9−12514号公報等に記載された方法が挙げられ
るが、通常、メタノールとアンモニアとをシリカ及び/
又はアルミナ若しくはゼオライト等の触媒の存在下に反
応させることによって製造できる。N−メチルピロリド
ンの製造方法としては、例えば、特公昭47−1875
1号公報又は特公平6−78305号公報等に記載され
た方法が用いられうるが、モノ、ジ及び/又はトリメチ
ルアミンとガンマブチロラクトンとを加熱反応させるこ
とによって得られる。
【0037】また、本発明の方法によって得られるカル
ボニル化合物、特にガンマブチロラクトンは、特開平1
1−97062号公報又は特開平11−135374号
公報等に記載された如く、電解液の溶剤として、特開平
9−176695号公報等のポリウレタン洗浄溶液等と
して用いられ得る。
【0038】
【実施例】以下に実施例により本発明を更に具体的に説
明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものでは
ない。なお、転化率及び選択率は、内部標準法を用いた
ガスクロマトグラフィーにより反応液を分析して求め
た。
【0039】実施例1 500mL容のSUS製オートクレーブにルテニウムト
リス(アセチルアセトナト)17.68g、10モル等
量のトリノルマルオクチルホスフィン162.95gを
導入し、水素圧0.8MPaで水素ガスを導入しなが
ら、190℃に熱し、5時間熱処理した。
【0040】攪拌器、冷却管、温度測定装置、サンプリ
ング口を設置した300mLの4つ口フラスコ中に1,
4−ブタンジオール93.31gを加え、205℃まで
加熱昇温した。そこに上記調製法で合成したルテニウム
触媒を8.19g加え、203℃で6時間加熱攪拌を行
った(Ru金属濃度2000重量ppm)。その結果、
1,4−ブタンジオールの転化率は99.7モル%であ
り、ガンマブチロラクトンの選択率は98.0モル%で
あった。
【0041】実施例2 実施例1で調製したルテニウム触媒4.00g、溶媒と
してトリグライム86.80g、1,5−ペンタンジオ
ール9.39gを203℃で3時間加熱攪拌した。その
結果、1,5−ペンタンジオールの転化率は100%で
あり、バレロラクトンの選択率は88.9モル%であっ
た。
【0042】実施例3 配位子にトリノルマルヘキシルホスフィンを用いて実施
例1と同様の調製法でルテニウム触媒を調製した。調製
した触媒6.15gを1,4−ブタンジオール93.3
3gに加え、実施例1と同様に203℃に加熱して4.
5時間反応させた(Ru金属濃度2000重量pp
m)。その結果、1,4−ブタンジオールの転化率は1
00.0モル%、ガンマブチロラクトン選択率は96.
6モル%であった。
【0043】実施例4 配位子にトリノルマルブチルホスフィンを用いて実施例
1と同様の調製法でルテニウム触媒を調製した。調製し
た触媒5.19gを1,4−ブタンジオール100.4
7gに加え、実施例1と同様に203℃に加熱して4時
間反応させた(Ru金属濃度2000重量ppm)。そ
の結果、1,4−ブタンジオールの転化率は100.0
モル%、ガンマブチロラクトン選択率は97.0モル%
であった。
【0044】実施例5 実施例4の触媒2.49gを1,4−ブタンジオール1
00.31gに加え、実施例1と同様に203℃に加熱
して5時間反応させた(Ru金属濃度1000重量pp
m)。その結果、1,4−ブタンジオールの転化率は1
00.0モル%、ガンマブチロラクトン選択率は98.
9モル%であった。
【0045】実施例6 実施例4の触媒1.25gを1,4−ブタンジオール9
9.09gに加え、実施例1と同様に203℃に加熱し
て7.5時間反応させた(Ru金属濃度500重量pp
m)。その結果、1,4−ブタンジオールの転化率は1
00.0モル%、選択率は99.3モル%であった。
【0046】実施例7 実施例4で調製したルテニウム触媒2.18g、溶媒と
してトリグライム88.16g、1,5−ペンタンジオ
ール9.44gを203℃で3時間加熱攪拌した。その
結果、1,5−ペンタンジオールの転化率は98.6%
であり、バレロラクトンの選択率は84.5モル%であ
った。
【0047】実施例8 配位子にトリメチルホスフィンを用いて実施例1と同様
の調製法でルテニウム触媒を調製した。調製した触媒
1.40gを1,4−ブタンジオール43.67gに加
え、実施例1と同様に203℃に加熱して4時間反応さ
せた(Ru金属濃度2000重量ppm)。その結果、
1,4−ブタンジオールの転化率は99.8モル%、ガ
ンマブチロラクトン選択率は99.5モル%であった。
【0048】実施例9 配位子にトリベンジルホスフィンを用いて実施例1と同
様の調製法でルテニウム触媒を調製した。調製した触媒
2.56gを1,4−ブタンジオール45.63gに加
え、実施例1と同様に203℃に加熱して6時間反応さ
せた(Ru金属濃度2000重量ppm)。その結果、
1,4−ブタンジオールの転化率は99.8モル%、ガ
ンマブチロラクトン選択率は99.2モル%であった。
【0049】実施例10 500mL丸底フラスコにルテニウムトリス(アセチル
アセトナト)0.32g、トリノルマルオクチルホスフ
ィン3.2g、トリグライム300mL、パラトルエン
スルホン酸2.8gを仕込んだ後、200℃に熱して2
時間熱処理した。
【0050】この触媒液90mLを300mLの丸底フ
ラスコに移し、1,4−ブタンジオールを10g加え、
200℃に加熱して4時間反応させた。その結果、1,
4−ブタンジオールの転化率は100モル%、ガンマブ
チロラクトンの選択率は75.3モル%であった。
【0051】実施例11 500mL容のSUS製オートクレーブに、ルテニウム
トリス(アセチルアセトナト)0.32g、トリオクチ
ルホスフィン3.2g及びトリエチレングリコールジメ
チルエーテル300mLを仕込み、水素で5MPaに加
圧しつつ170℃で2時間保持して触媒液を調製した。
【0052】300mL容の丸底フラスコに、上記で調
製した触媒液90mLと1,4−ブタンジオール10g
を仕込み、200℃で4時間反応させた。1,4−ブタ
ンジオールの転化率は99.7%であり、ガンマブチロ
ラクトンの選択率は98.0%であった。
【0053】実施例12 300mL容の丸底フラスコに、実施例11で調製した
触媒液45mL及び1,4−ブタンジオール50gを加
え、200℃に加熱して6時間反応させた。1,4−ブ
タンジオールの転化率は99.8%であり、ガンマブチ
ロラクトンの選択率は99.0%であった。
【0054】実施例13 500mL容のSUS製オートクレーブに、ルテニウム
トリス(アセチルアセトナト)0.32g、トリオクチ
ルホスフィン3.2g及びトリエチレングリコールジメ
チルエーテル300mLを仕込み、水素で0.8MPa
に加圧しつつ200℃で5時間保持して触媒液を調製し
た。
【0055】300mL容の丸底フラスコに、上記で調
製した触媒液45mLと1,4−ブタンジオール50g
を加え、200℃に加熱して6時間反応させた。1,4
−ブタンジオールの転化率は99.7%であり、ガンマ
ブチロラクトンの選択率は98.0%であった。
【0056】実施例14 配位子にジメチルフェニルホスフィンを用いて比較例1
と同様の調製法でルテニウム触媒を調製した。調製した
触媒液5.81gを1,4−ブタンジオール95.34
gに加え、実施例1と同様に203℃に加熱して7時間
反応させた(Ru金属濃度約2000重量ppm)。そ
の結果、1,4−ブタンジオールの転化率は97.8モ
ル%、ガンマブチロラクトン選択率は95.0モル%で
あった。
【0057】比較例1 配位子にトリフェニルホスフィンを用いてトルエン溶媒
中、実施例1と同様の調製法でルテニウム触媒を調製し
た。調製した触媒トルエン溶液からトルエンを減圧留去
して除いた触媒7.48gを1,4−ブタンジオール1
24.89gに加え、実施例1と同様に203℃に加熱
して8時間反応させた(Ru金属濃度約2000重量p
pm)。その結果、1,4−ブタンジオールの転化率は
84.0モル%、ガンマブチロラクトン選択率は68.
1モル%であった。
【0058】比較例2 配位子にメチルジフェニルホスフィンを用いて比較例1
と同様の調製法でルテニウム触媒を調製した。調製した
触媒液1.94gを1,4−ブタンジオール48.66
gに加え、実施例1と同様に203℃に加熱して12時
間反応させた(Ru金属濃度約2000重量ppm)。
その結果、1,4−ブタンジオールの転化率は85.0
モル%、ガンマブチロラクトン選択率は54.2モル%
であった。
【0059】比較例3 実施例1と同様の触媒調製法を用いて、イリジウムトリ
ス(アセチルアセトナト)0.635g、10モル等量
のトリ−n−オクチルホスフィン4.84gからIr触
媒を合成した。このイリジウム触媒3.73gを実施例
1と同様に205℃に加熱した1、4−ブタンジオール
81.5gに加え、203℃で10時間加熱攪拌した。
その結果、1,4−ブタンジオールの転化率は5.2%
であり、ガンマブチロラクトンの選択率は0.0モル%
であった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 勢藤 陽子 岡山県倉敷市潮通三丁目10番地 三菱化学 株式会社水島事業所内 (72)発明者 折田 宗市 岡山県倉敷市潮通三丁目10番地 三菱化学 株式会社水島事業所内 (72)発明者 天野 壮一 岡山県倉敷市潮通三丁目10番地 三菱化学 株式会社水島事業所内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ルテニウムと、リン原子の3個の結合手
    の2個以上に脂肪族性の炭素が結合している有機ホスフ
    ィンとを含む錯体触媒の存在下に、アルコールを脱水素
    することを特徴とするカルボニル化合物の製造方法。
  2. 【請求項2】 有機ホスフィンがトリアルキルホスフィ
    ンであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 錯体触媒がpkaが2よりも小さい酸の
    共役塩基を含有していることを特徴とする請求項1また
    は2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 アルコールが複数個の第1級水酸基を有
    する多価アルコールであることを特徴とする請求項1か
    ら3のいずれかに記載の方法。
  5. 【請求項5】 カルボニル化合物がエステル結合を有す
    る化合物であることを特徴とする請求項1から4のいず
    れかに記載の方法。
  6. 【請求項6】 アルコールが1,4−ブタンジオールで
    あり、カルボニル化合物がガンマブチロラクトンである
    ことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の方
    法。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載の方法により得られたガ
    ンマブチロラクトンを用いて製造されたN−メチルピロ
    リドン。
  8. 【請求項8】 請求項6に記載の方法により得られたガ
    ンマブチロラクトンを溶剤として含む電解液。
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