JP3962874B2 - 3−イソクロマノン類の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、農業用殺菌剤の製造中間体として有用な一般式(2)
【0002】
【化3】
【0003】
(式中、Rは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数1〜6のアルキルオキシ基を表す。)で示される3−イソクロマノン類の製造方法に関するものである。
【0004】
【従来の技術】
従来、3−イソクロマノン類を製造する方法として、(イ)置換フェニル酢酸のクロロメチル化による方法(J. Chem. Soc. 1927, 178)、(ロ)o−ブロモメチルベンジルアルコールをパラジウム触媒で一酸化炭素と反応させる方法(J. Amer. Chem. Soc. 1980, 4193) 、(ハ)2−インダノンを溶媒中で、メタクロロ過安息香酸などの過酸化物を用いてバイヤー−ビリガー反応により酸化する方法(Synthesis, 1981, 818) 、(ニ)α−メトキシ−α'−シアノオルトキシレンを硫酸を使用して環化させる方法(J. Chem. Soc., 1954, 2819)、(ホ)o−エトキシカルボニルフェニル酢酸エチルをジイソブチルアルミニウムヒドリドを使用して環化し、次いで酸化する方法(Tetrahedron Letters, 1973, 2359)、(ヘ)o−メチルベンジルアルコールにブチルリチウムを作用させ、次いで二酸化炭素と反応させた後、環化させる方法(Tetrahedron Letters, 1983, 1233)等などが知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、(イ)の方法は収率が低く、工業的製法としては必ずしも有利な方法とは言えない。(ロ)〜(ヘ)の方法は、使用する出発物質の製造が困難であり、純粋な出発物質を用いるにはその精製から合成工程を開始する必要がある。従って、3−イソクロマノン類の工業的製造方法としては工程数が多くなりコスト的にも収率的にも不利になり、いずれの方法も有用な合成反応とはなりえていない。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは従来法の欠点を克服すべく、工業的に安価な原料であるオルトキシレンジクロリド誘導体の触媒的カルボニル化による3−イソクロマノン類の製造方法について鋭意検討を重ねた結果、オルトキシレンジクロリド誘導体と一酸化炭素および水を有機溶媒中で加圧下に反応させることにより、短時間に収率および選択性よく3−イソクロマノン類が製造できることを見い出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち本発明は、パラジウム触媒および無機塩基の存在下、一般式(1)
【0008】
【化4】
【0009】
(式中、Rは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数1〜6のアルキルオキシ基を表す。)で示されるオルトキシレンジクロリド誘導体と一酸化炭素および水とを、有機溶媒中で加圧下に反応させ、次いで酸で処理することを特徴とする、一般式(2)
【0010】
【化5】
【0011】
(式中、Rは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数1〜6のアルキルオキシ基を表す。)で示される3−イソクロマノン類の製造方法に関するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の製造方法における反応では、まず、オルトキシレンジクロリド誘導体の一方のクロロメチル基がパラジウム触媒に酸化的付加し、ベンジルパラジウム錯体となり、一酸化炭素の挿入の後、塩基により加水分解され、カルボン酸塩となる。また、同時にもう一方のクロロメチル基が塩基の作用によりヒドロキシメチル基の塩となり、中間体として、一般式(3)
【0013】
【化6】
【0014】
(式中、Rは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数1〜6のアルキルオキシ基を表す。Mはアルカリ金属またはアルカリ土類金属を表し、nが1の時mは2であり、nが2の時mは1である。)で示されるo−ヒドロキシメチルフェニル酢酸の塩を与えるものと考えられる。このようにして生成したo−ヒドロキシメチルフェニル酢酸の塩は酸性条件下で容易に分子内でエステル化し、目的とする3−イソクロマノン類が得られるもの考えられる。従って、中間体であるo−ヒドロキシメチルフェニル酢酸の塩は単離してもよいが、単離せずそのまま酸で処理することにより、目的とする3−イソクロマノン類へと変換することができる。
【0015】
前記一般式(1)、(2)および(3)において、Rで表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子あるいは臭素原子を例示することができる。アルキル基としては炭素数1〜6の直鎖状または分岐鎖状アルキル基を例示でき、さらに具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等を例示することができる。また、アルキルオキシ基としては、炭素数1〜6の直鎖状または分岐鎖状アルキルオキシ基を例示でき、さらに具体的にはメトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、t−ブチルオキシ基、ペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、1−エチルブチルオキシ基等を例示することができる。
【0016】
本発明の製造方法はパラジウム触媒を用いることが必要である。パラジウム触媒としては、塩化パラジウム、臭化パラジウム、ヨウ化パラジウム、パラジウムシアニド、酢酸パラジウム、硝酸パラジウム、ジクロロビス(トリメチルホスフィン)パラジウム、ジブロモビス(トリメチルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリエチルホスフィン)パラジウム、ジブロモビス(トリエチルホスフィン)パラジウム、ジヨードビス(トリエチルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリプロピルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリイソプロピルホスフィン)パラジウム、ジブロモビス(トリイソプロピルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリブチルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジブロモビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジアセタトビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリ−o−トリルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリ−o−メトキシフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(ジメチルフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(ジエチルフェニルホスフィン)パラジウム、ジブロモビス(ジエチルフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(ジブチルフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス{トリス(ジメチルアミノ)ホスフィン}パラジウム、ジクロロビス(亜リン酸トリメチル)パラジウム、ジクロロ{1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン}パラジウム、ジヒドロテトラクロロパラジウム、ナトリウムテトラクロロパラデート、カリウムテトラクロロパラデート、カリウムテトラブロモパラデート、ビス[{3−(ナトリウムスルホナト)フェニル}ジフェニルホスフィン]ジクロロパラジウム、アンモニウムテトラクロロパラデート、アンモニウムヘキサクロロパラデート、ジクロロジアンミンパラジウム、ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム、ジブロモビス(ベンゾニトリル)パラジウム、ジヨードビス(ベンゾニトリル)パラジウム、ジクロロビス(アセトニトリル)パラジウム、酢酸パラジウム、トリフルオロ酢酸パラジウム、ジ酢酸ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロ(シクロオクタ−1,5−ジエン)パラジウム、ジカルボニルジクロロパラジウム、ビス(アセチルアセトナト)パラジウム、ビス(t−ブチルイソシアニド)ジクロロパラジウム、ジ−μ−クロロ−ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)ジパラジウム、ジ−μ−クロロ−ジクロロビス(メチルイソシアニド)ジパラジウム等のパラジウム(II)錯体、あるいはテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ビス(ジブチルフェニルホスフィン)パラジウム、ビス(トリブチルホスフィン)パラジウム、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウム、テトラキス(亜リン酸トリフェニル)パラジウム、テトラキス(亜リン酸トリエチル)パラジウム、カルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ビス{1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン}パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、(η2−エチレン)ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ビス(シクロオクタ−1,5−ジエン)パラジウム等のパラジウム(0)錯体を例示することができる。パラジウム触媒の使用量は原料基質に対して0.0001〜0.5モル当量、好ましくは0.0005〜0.1モル当量用いることにより収率よく目的物を得ることができる。
【0017】
ホスフィン等の支持配位子は、あらかじめパラジウム金属に配位あるいは酸化的付加させて触媒として用いてもよいが、例えば塩化パラジウムに必要量の配位子を加えて反応系中で触媒系を発現させても構わない。また、支持配位子が配位したパラジウム錯体にさらに支持配位子を加えて触媒として用いることもできる。
【0018】
支持配位子としては、トリフェニルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリプロピルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリブチルホスフィン、ジメチルフェニルホスフィン、ジエチルフェニルホスフィン、ジブチルフェニルホスフィン、トリ−o−トリルホスフィン、トリ−o−メトキシフェニルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、トリス(ジメチルアミノ)ホスフィン等のホスフィン配位子、亜リン酸トリメチル、亜リン酸トリフェニル、亜リン酸トリエチル等の亜リン酸配位子、シクロオクタ−1,5−ジエン、ノルボルナジエン、ノルボルネン、エチレン、ジベンジリデンアセトン、無水マレイン酸等のオレフィン類、アセトタート基、トリフルオロアセタート基、アセチルアセトナト基等の配位子、t−ブチルイソシアニド、シクロヘキシルイソシアニド、メチルイソシアニド等のイソシアニド類、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基等を例示することができる。支持配位子の使用量はパラジウム金属に対して10当量以下用い、好ましくは0.5〜5当量用いることにより、収率よく目的物を得ることができる。
【0019】
また本発明は、アルカリ金属無機塩基またはアルカリ土類金属無機塩基のような無機塩基の存在下に行うことが必要である。アルカリ金属無機塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等を例示でき、アルカリ土類金属無機塩基としては、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム、水酸化ストロンチウム等を例示することができるが、収率がよい点でアルカリ土類金属無機塩基、特に水酸化カルシウムを用いることが好ましい。塩基の使用量は原料基質に対して1〜10モル当量用いることにより収率よく目的物を得ることができる。
【0020】
本発明の製造方法における反応試剤である一酸化炭素は、反応を行うに必要とされる量が圧力に限定されることなく存在すればよいが、一酸化炭素の分圧を含め大気圧以上の加圧下に反応させることが、短時間に収率および選択性よく3−イソクロマノン類を製造する上で必須である。従って、大気圧以上の加圧下であれば、窒素ガスのような反応に害を与えない不活性ガスと一酸化炭素共存下に反応を行うこともできる。
【0021】
また本発明の反応試剤である水は、使用量が少ないと反応は完結しないことより、原料基質に対して3.5モル当量以上用いることが好ましい。また大過剰量使用すると、初期反応は速いものの触媒が失活し、目的とする3−イソクロマノン類の収率が低下する。
【0022】
本反応は有機溶媒中で行うものであり、炭素数3〜10の第2級または第3級アルコール溶媒中で行うことが反応効率の上で好ましい。またテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒との混合溶媒中で行うこともできる。使用することのできる炭素数3〜10の第2級または第3級アルコール溶媒としては、2−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、2−ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、3−メチル−2−ブタノール、2,3−ジメチル−2−ブタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、2−メチル−2−ヘキサノール、3−メチル−3−ヘキサノール、3−ヘプタノール、2−オクタノール、3−オクタノール、4−オクタノール、1−メチル−1−オクタノール、2−デカノール、シクロペンタノール、シクロヘキシルアルコール、1−メチル−1−シクロヘキシルアルコール、1−エチル−1−シクロヘキシルアルコール、メントール、ボルネオール等を使用することができるが、入手が容易であり、反応が円滑に進行する点で、2−メチル−2−プロパノール、2−メチル−2−ブタノールが好ましい。
【0023】
反応温度は、使用する触媒、塩基あるいは溶媒等によっても異なり、0〜120℃の範囲から選ばれる温度で行うことができるが、反応を円滑に進行させるためには室温〜100℃の温度で実施することが好ましい。
本発明では、反応を激しい撹拌のもとで行うことにより収率よく目的物を得ることができる。本発明で用いる激しい撹拌とは、例えば邪魔板を持たない円筒形の反応容器中で、反応容器の直径の1/3〜3/5程度の直径を有する撹拌翼を用いて反応を行ったとき、撹拌機の回転数が毎分500回以上の撹拌で達成される撹拌をいう。
【0024】
カルボニル化反応終了後は、o−ヒドロキシメチルフェニル酢酸の塩を濾別し、塩酸等の酸を加えて分子内でエステル化させ、目的とする3−イソクロマノン類を抽出、濃縮、カラム精製等の通常の方法により単離することができる。また、反応終了後の反応混合物に直接塩酸等の酸を加え、不溶物を濾別した後、3−イソクロマノン類を抽出、濃縮、カラム精製等の通常の方法により単離することができる。
【0025】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、有機溶媒中でパラジウム触媒および無機塩基存在下に、オルトキシレンジクロリド誘導体と一酸化炭素および水を反応させるにあたって、加圧下に反応させることにより、短時間に収率および選択性よく3−イソクロマノン類を製造することができる。
【0026】
以下、実施例および参考例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0027】
【実施例】
実施例−1
ステンレス製のオートクレーブ(300cc)に、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(175mg, 0.250mmol)、トリフェニルホスフィン(145mg, 0.555mmol)、オルトキシレンジクロリド(8.75g, 50.0mmol)、水酸化カルシウム(7.80g, 105mmol)、水(8.0mL)、および2−メチル−2−プロパノール(100g)を加え、オートクレーブ内を一酸化炭素で3回置換した。次いで反応混合物を2気圧の一酸化炭素圧下(ゲージ圧:1kg/cm2)下に70℃で1時間攪拌した。反応後混合物を室温まで冷却し、水(100mL)を加え、不溶性固体を濾過により濾別した。アルカリ性濾液をエーテル(25mLx2)で洗浄した後、水層に濃塩酸(30mL)を加え酸性にし、新たにエーテル(100mLx2)で抽出した。さらに濾別した不溶性固体に3N塩酸を加え、不溶性のパラジウム触媒を濾別した後、濾液をエーテル(50mLx2)で抽出した。エーテル抽出液を全て合わせ、減圧下に濃縮することにより、3−イソクロマノン(5.65g, 収率76.7%)を得た。また、アルカリ性濾液のエーテル洗浄液から減圧下に溶媒等を除去することにより、オルトキシレンジクロリド(0.273g)を回収した。
融点:76〜77℃
1H-NMR(CDCl3, TMS, ppm):δ3.70(2H, s), 5.33(2H, s), 7.33(4H, s).
【0028】
実施例−2
ステンレス製のオートクレーブ(300cc)に、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(350mg, 0.500mmol)、トリフェニルホスフィン(290mg, 1.11mmol)、オルトキシレンジクロリド(8.75g, 50.0mmol)、水酸化カルシウム(7.80g, 105mmol)、水(15.0mL)、および2−メチル−2−プロパノール(150g)を加え、オートクレーブ内を一酸化炭素で3回置換した。次いで反応混合物を2気圧の一酸化炭素圧(ゲージ圧:1kg/cm2)下に70℃で5時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、水(100mL)と濃塩酸(30mL)を加えた後、ガスクロマトグラフィーで分析したところ、目的とする3−イソクロマノンが72.9%で生成していることを確認した。
【0029】
参考例−1
丸底フラスコ(300cc)に、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(350mg, 0.500mmol)、トリフェニルホスフィン(290mg, 1.11mmol)、水酸化カルシウム(7.80g, 105mmol)、および2−メチル−2−プロパノール(100g)を加え、一酸化炭素で系内を3回置換した後、混合物を常圧の一酸化炭素雰囲気下で70℃で1時間攪拌した。次いでオルトキシレンジクロリド(8.75g, 50.0mmol)と水(8.0mL)を加え、常圧の一酸化炭素雰囲気下で70℃で11時間激しく攪拌した。反応後混合物を室温まで冷却し、水(100mL)を加え、不溶性固体を濾過により濾別した。アルカリ性濾液をエーテル(25mLx2)で洗浄し、濃塩酸(30mL)を加え酸性にした後、新たにエーテル(100mLx2)で抽出した。一方、濾別した不溶性固体に3N塩酸を加え、不溶性のパラジウム触媒を濾別した後、濾液をエーテル(50mLx2)で抽出した。エーテル抽出液を全て合わせ、減圧下に濃縮することにより、3−イソクロマノン(3.80g, 収率51.3%)を得た。また、アルカリ性濾液のエーテル洗浄液から減圧下に溶媒等を除去することにより、オルトキシレンジクロリド(2.53g)を回収した。
【0030】
参考例−2
丸底フラスコ(300cc)に、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(350mg, 0.500mmol)、トリフェニルホスフィン(290mg, 1.11mmol)、水酸化カルシウム(7.80g, 105mmol)、および2−メチル−2−プロパノール(100g)を加え、一酸化炭素で系内を3回置換した後、混合物を常圧の一酸化炭素雰囲気下で70℃で1時間攪拌した。次いでオルトキシレンジクロリド(8.75g, 50.0mmol)と水(20mL)を加え、常圧の一酸化炭素雰囲気下で70℃で11時間激しく攪拌した。反応後混合物を室温まで冷却し、水(100mL)を加え、不溶性固体を濾過により濾別した。アルカリ性濾液をエーテル(25mLx2)で洗浄し、濃塩酸(30mL)を加え酸性にした後、新たにエーテル(100mLx2)で抽出した。一方、濾別した不溶性固体に3N塩酸を加え、不溶性のパラジウム触媒を濾別した後、濾液をエーテル(50mLx2)で抽出した。エーテル抽出液を全て合わせ、減圧下に濃縮することにより、3−イソクロマノン(4.26g, 収率57.6%)を得た。また、アルカリ性濾液のエーテル洗浄液から減圧下に溶媒等を除去することにより、オルトキシレンジクロリド(2.94g)を回収した。
Claims (4)
- 無機塩基がアルカリ土類金属無機塩基である請求項1に記載の製造方法。
- アルカリ土類金属無機塩基が水酸化カルシウムである、請求項2に記載の製造法。
- 有機溶媒が炭素数3〜10の第2級または第3級アルコールである、請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
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