JP5206068B2 - ルテニウム錯体化合物の製造方法 - Google Patents

ルテニウム錯体化合物の製造方法 Download PDF

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本発明は、ルテニウム錯体化合物の製造方法に関する。更に詳しくは、高活性で安定なルテニウムカルベン錯体化合物の製造方法に関する。
メタセシス触媒は、オレフィンのメタセシス反応(不均化反応)に用いられるが、最近では、環状オレフィンの開環重合用触媒としても賞用されている。
最近では、遷移金属メタセシス触媒、特にルテニウム触媒が数多く開発されている。これらのルテニウム触媒には、しかし、その合成に多段階を要する、反応開始速度が遅いといった問題を有しているものも多い。
特許文献1には、種々の官能基の存在下で安定であり、歪なしの環状及び非環状のオレフィンに対するオレフィンメタセシス反応の触媒として好適な、下記の一般式で表わされるルテニウム及びオスミウムカルベン化合物が開示されている。
Figure 0005206068
(上記式において、Mは、Os又はRuであり;Rは水素であり;X及びXは、異なっていても同じであってもよく、且ついずれのアニオン配位子であってもよく;L及びLは、異なっていても同じであってもよく、且ついずれの中性電子供与体であってもよく;Rは、水素、置換若しくは未置換アルキル、又は置換若しくは未置換アリールである)。
この化合物は、例えば、X=X=Cl、L=L=PPh、R=H、R=フェニル又はp−置換フェニルである場合、下記経路に示すように、RuCl(PPhと、ジアゾエタン、ジアゾプロパン又はp−置換アリールジアゾアルカン(p−CXCHN)との迅速反応によるRuCl(=CH−p−CX)(PPhの合成を経て、得られている。
しかし、この合成方法で使用するジアゾ化合物は、有毒で爆発性であり、安全性の確保に費用を要する。
Figure 0005206068
一方、特許文献2には、一般式(D1)で表わされる金属塩を、塩基及び第二又は第三アルコールの存在下で、第三ホスフィン若しくはホスフィット又はジ第三ジホスフィン若しくはジホスフィットと反応させ、そしてその後、酸の存在下で式(D2)のアルキンと反応させて、式(D3)で得られる錯体化合物を得、次いで、この錯体化合物(D3)に式(D4)のアルケンを反応させて、式(D5)で表わされる錯体化合物を得る方法が開示されている。
実施例には、RuCl(cis,cis−1,5−シクロオクタジエン)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン及びトリ(シクロヘキシル)ホスフィンを含有する反応液に、1−ヘキシン(又は1−ペンチン)とスチレンとを添加して、Cl(P(C11Ru=CH−Cを得たことが示されている。
Figure 0005206068
上記式(D1)〜(D5)において、Meはルテニウム原子又はオスミウム原子;X01及びX02はそれぞれ互いに独立してハロゲン原子;T及びTはそれぞれ互いに独立して第三ホスフィン又はホスフィットであるか、又はT及びTは一緒になってジ第三ジホスフィン又はジホスフィット;また、Tは水素原子、又は置換基を有していてもよいアルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリール基若しくはヘテロアリール基である。
しかしながら、この方法では、Ru化合物の10〜20倍モルと多量のスチレンを使用しなければならず、これが生成物中に不純物として残存するほか、コスト面で問題がある。また、スチレンの使用量を10倍モル未満とした場合、生成するルテニウムカルベン錯体が複数種の混合物となり、触媒活性の制御が困難となる問題がある。
特表平11−510807号公報 特開平10−180114号公報
従って、本発明の目的は、安全に、経済的に有利に、不純物の含有量が少ないルテニウム錯体を効率よく得る方法を提供することにある。
本発明者は、上記目的の達成のため鋭意検討を重ねた結果、特定の化合物を介在させることにより、高選択率で目的とする化合物が得られることを見出し、この知見に基づき本発明を完成するに至った。
かくして本発明によれば、一般式(2)で表される化合物(2)に、Yの水素化物(HY)及び一般式(3)で表される化合物(3)を接触させる工程〔1〕、及びその後に、一般式(4)で表される化合物(4)を接触させる工程〔2〕を含んでなる、一般式(1)で表されるルテニウム錯体化合物の製造方法が提供される。
Figure 0005206068
(式(1)中、X及びYは、それぞれ、アニオン性配位子;L及びLは、それぞれ、中性配位子;R〜Rは、それぞれ、水素、ハロゲン原子又は有機基である。)
Figure 0005206068
(式(2)中、X、L及びLは、式(1)における定義と同じ;Lは中性配位子;n及びmは、それぞれ、0〜2の整数である。)
―C≡C―COOR (3)
(式(3)中、R及びRは、それぞれ、水素又は有機基を表す。)
Figure 0005206068
(式(4)中、R〜Rは、式(1)における定義と同じである。)
本発明のルテニウム錯体化合物製造方法において、化合物(3)がH―C≡C―COOR(Rは、水素又は有機基を表す。)であることが好ましい。
また、本発明のルテニウム錯体化合物製造方法において、化合物(3)がR―C≡C―COOH(Rは、水素又は有機基を表す。)であることが好ましい。
更に、本発明のルテニウム錯体化合物製造方法において、化合物(3)がH―C≡C―COOHであることが特に好ましい。
更に本発明のルテニウム錯体化合物製造方法において、工程〔1〕において一般式(5)で表される化合物(5)を存在させることが好ましい。
―CN (5)
(式(5)中、Rは、1価の有機基である。)
本発明によれば、安全に、経済的に有利に、不純物の含有量が少ないルテニウム錯体を効率よく得ることができる。本発明方法で得られたルテニウム触媒は、高活性であり、メタセシス重合等の触媒として有用である。
本発明のルテニウム錯体の製造方法は、式(1)で表わされるルテニウム錯体を製造するための方法である。
Figure 0005206068
式(1)中、X及びYは、それぞれ、アニオン性配位子であり、同一であっても、異なっていてもよい。
アニオン性配位子は、特に限定されないが、その具体例としては、ハロゲン、水素、炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、炭素数1〜20のアルコキシ基、アリールオキシ基、炭素数3〜20のアルキルジケトネート基、アリールジケトネート基、炭素数1〜20のカルボキシレート基、アリールスルホネート基、炭素数1〜20のアルキルスルホネート基、炭素数1〜20のアルキルチオ基、炭素数1〜20のアルキルスルホニル基、及び炭素数1〜20のアルキルスルフィニル基を示すことができる。これらの基は、炭素数1〜5のアルキル基、ハロゲン、炭素数1〜5のアルコキシ基又はフェニル基で置換されていてもよく、このフェニル基は、更に、ハロゲン、炭素数1〜5のアルキル基、又は、炭素数1〜5のアルコキシ基で置換されていてもよい。
アニオン性配位子は、好ましくは、塩素、臭素、ヨウ素、水素、ベンゾエート基、炭素数1〜5のカルボキシレート基、炭素数1〜5のアルキル基、フェノキシ基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数1〜5のアルキルチオ基、アリール基又は炭素数1〜5のアルキルスルホネート基である。これらの基は、炭素数1〜5のアルキル基又はフェニル基で置換されていてもよく、このフェニル基は、更に、ハロゲン、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のアルコキシ基で置換されていてもよい。
アニオン性配位子は、更に好ましくは、Cl、Br、I、CFCO、CHCO、CFHCO、(CHCO、(CF(CH)CO、(CF)(CHCO、PhO、MeO、EtO、トシレート、メシレート、及びトリフルオロメタンスルホネートである。
アニオン性配位子は、特に好ましくは、塩素であり、最も好ましくは、X及びYが共に塩素である。
及びLは、それぞれ、中性配位子であり、同一であっても、異なっていてもよい。
中性配位子は、特に限定されないが、その具体例としては、ホスフィン、スルホン化ホスフィン、ホスファイト、ホスフィナイト、ホスホナイト、アルシン、スチビン、エーテル、アミン、アミド、スルホキシド、カルボキシル、ニトロシル、ピリジン及びチオエーテルを挙げることができる。
中性配位子は、好ましくは、ホスフィンであり、更に好ましくは、1つの第二級アルキル基又はシクロアルキル基と、アリール、炭素数1〜10の第一級アルキル基、第二級アルキル基及びシクロアルキル基からなる群から独立に選ばれる2つの基とを、有するホスフィンであり、特に好ましくは、トリ(シクロヘキシル)ホスフィン、トリ(シクロペンチル)ホスフィン、トリ(イソプロピル)ホスフィン及びトリ(フェニル)ホスフィンである。
〜Rは、それぞれ、水素、ハロゲン、ヒドロキシ基、ヒドロキシカルボニル基、アルキル基若しくはアリール基を有していてもよいアミノ基、ニトロ基、アルキル基若しくはアリール基を有していてもよいシリル基、炭素数1〜10のアシル基、アルキル基若しくはアリール基を有していてもよいスルホニル基、炭素数1〜5のアルキルチオ基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数1〜10のアシロキシ基、又は置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基若しくはアリール基である。アルキル基又はアリール基が有していてもよい置換基の例としては、ハロゲン、ヒドロキシ基、アルキル基若しくはアリール基を有していてもよいアミノ基、ニトロ基、炭素数1〜5のアルコキシ基、及び炭素数1〜10のアシロキシ基を挙げることができる。
本発明は、特に、R〜Rとして、ハロゲン置換アルキル基又はアシロキシ基を有するルテニウム錯体化合物の製造に好適に使用することができる。
式(1)で表わされるルテニウム錯体化合物の製造方法においては、一般式(2)で表される化合物(2)を使用する。
Figure 0005206068
式(2)中、X、L及びLは、それぞれ、式(1)において定義したものと同じである。
は、中性配位子であり、その具体例としては、L及びLの具体例として挙げたものと同じものを挙げることができる。
n及びmは、それぞれ、0〜2の整数である。
式(2)で表わされる化合物は、例えば、以下に示す文献に従って合成することができる。
M.L.Christ, S.Sabo−Etienne, B.Chaudret、 Oraganometallics、1994年、第13巻、p.3800.
J.Wolf,W.Stuer, C.Grunwald, O.Gevert, M.Laubender, H.Werner、 Eur. J. Inorg. Chem.、1998年、p.1827
P.A.van der Schaaf, R.Kolly, A.Hafner、 Chem.Commun.、2000年、p.1045.
特表2001−503434号公報
J.N.Coalter III, K.G.Caulton、 New J. Chem.、2001年、第25巻、p.679.
S.Jung, C.D.Brandt、 J.Wolf, H.Werner、 Dalton Trans.、2004年、p.375.
W.Stuer, B.Weberndorfer、 J.Wolf, H.Werner、 Dalton Trans.、2005年、p.1796.
工程〔1〕で使用するYの水素化物(HY)の例としては、ハロゲン化水素、水素、アルコール、フェノール類、カルボン酸、ケトン、ジケトン、アルキルスルホン酸及びアリールスルホン酸を挙げることができる。
これらのうち、水素酸が好適であり、その具体例としては、塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素、酢酸、プロピオン酸、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、プロピオール酸、安息香酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等を挙げることができる。
工程〔1〕では、一般式(3)で表される化合物を使用する。
―C≡C―COOR (3)
式(3)中、R及びRは、それぞれ、水素又は有機基を表す。
及びRで表わされる有機基の具体例としては、炭素数1〜20のアルキル基及びアリール基を挙げることができる。更に具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、フェニル基、トルイル基等を挙げることができる。
一般式(3)で表される化合物(3)は、H―C≡C―COORであることが好ましく、H―C≡C―COOHであることが特に好ましい。
工程〔1〕では、一般式(2)で表される化合物に、Yの水素化物(HY)及び一般式(3)で表される化合物(3)を接触させる。
一般式(2)で表わされる化合物(2)と一般式(3)で表される化合物(3)との比率は、通常、化合物(2)1モルに対して化合物(3)0.5〜5モルの範囲である。
また、Yの水素化物(HY)の使用量は、通常、化合物(2)1モルに対して0.5〜3モルの範囲である。
これらの化合物を互いに接触させる方法は、特に限定されないが、化合物(2)と化合物(3)とを反応させた後、反応生成物を単離することなく、反応混合物にYの水素化物(HY)を添加して反応させるのが好ましい。
工程〔1〕においては、一般式(5)で表される化合物(5)を存在させることが好ましい。
―CN (5)
式(5)中、Rは、1価の有機基である。
で表わされる1価の有機基の具体例としては、炭素数1〜20のアルキル基及びアリール基を挙げることができる。更に具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、フェニル基、トルイル基等を挙げることができる。
で表わされる1価の有機基としては、アルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
一般式(5)で表される化合物(5)の量は、一般式(2)で表される化合物100重量部に対して、0.5〜30重量部、好ましくは3〜10の範囲である。
工程〔1〕において、反応は、通常、溶媒中で行なう。溶媒は、反応を阻害しないものであれば特に限定されないが、その具体例としては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、2−メチルテトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル溶媒;ペンタン、ヘキサン、石油エーテル、ヘプタン、オクタン、シクロペンタン、シクロヘキサン等の炭化水素溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族溶媒;メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、i−ブタノール、t−ブタノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール溶媒;等を挙げることができる。
反応は、不活性ガス雰囲気下で行なうのが好ましく、不活性ガスの具体例としては、アルゴン等の希ガス、窒素ガス等を示すことができる。
反応温度は、特に限定されないが、反応を−90〜10℃の範囲で行なうのが好ましく、−50〜−10℃の範囲で行なうのがより好ましい。
反応時間は、特に限定されないが、通常、1分〜12時間程度である。
工程〔1〕により、下式に示す構造の反応生成物が得られる。
Figure 0005206068
式中、X、Y、L及びLは、式(1)における定義と同じであり、R及びRは、式(3)における定義と同じである。
この反応生成物(5)は、単離することなく、次の工程〔2〕に供する。
工程〔2〕では、上記反応生成物(5)と、一般式(4)で表される化合物(4)とを接触させる。
反応の条件は、工程〔1〕における条件と同様でよい。
反応終了後、徐々に室温まで昇温した後、目的の化合物(1)を単離する。
化合物(1)の単離は、常法に従って行なえばよく、通常、溶媒を減圧で除去し、必要に応じて、アルコール等で洗浄した後、減圧下で乾燥を行なえばよい。
本発明の製造方法で得られるルテニウム錯体化合物(1)の具体例としては、ビス((トリシクロヘキシル)ホスフィン)(p−アセトキシベンジリデン)ルテニウム(IV)ジクロリド〔L=L=(トリシクロヘキシル)ホスフィン、X=Y=塩素、R=R=R=R=H、R=アセトキシの化合物〕、ビス((トリシクロヘキシル)ホスフィン)(p−クロロメチルベンジリデン)ルテニウム(IV)ジクロリド〔L=L=(トリシクロヘキシル)ホスフィン、X=Y=塩素、R=R=R=R=H、R=クロロメチルの化合物〕ビス((トリシクロヘキシル)ホスフィン)(ベンジリデン)ルテニウム(IV)ジクロリド〔L=L=(トリシクロヘキシル)ホスフィン、X=Y=塩素、R=R=R=R=R=Hの化合物〕、ビス((トリシクロヘキシル)ホスフィン)(p−クロロベンジリデン)ルテニウム(IV)ジクロリド〔L=L=(トリシクロヘキシル)ホスフィン、X=Y=塩素、R=R=R=R=H、R=クロルの化合物〕、ビス((トリシクロヘキシル)ホスフィン)(p−ブロモベンジリデン)ルテニウム(IV)ジクロリド〔L=L=(トリシクロヘキシル)ホスフィン、X=Y=塩素、R=R=R=R=H、R=ブロモの化合物〕、ビス((トリシクロヘキシル)ホスフィン)(p−メチルベンジリデン)ルテニウム(IV)ジクロリド〔L=L=(トリシクロヘキシル)ホスフィン、X=Y=塩素、R=R=R=R=H、R=メチルの化合物〕、ビス((トリシクロヘキシル)ホスフィン)(p−メトキシベンジリデン)ルテニウム(IV)ジクロリド〔L=L=(トリシクロヘキシル)ホスフィン、X=Y=塩素、R=R=R=R=H、R=メトキシの化合物〕、ビス((トリシクロヘキシル)ホスフィン)(p−アセトキシベンジリデン)ルテニウム(IV)ジブロミド〔L=L=(トリシクロヘキシル)ホスフィン、X=Y=臭素、R=R=R=R=H、R=アセトキシの化合物〕、ビス((トリシクロヘキシル)ホスフィン)(p−アセトキシベンジリデン)ルテニウム(IV)ブロミドクロリド〔L=L=(トリシクロヘキシル)ホスフィン、X=塩素、Y=臭素、R=R=R=R=H、R=アセトキシの化合物〕等を示すことができる。
以下に合成例及び実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。なお、各例中の部及び%は特に断りのない限り、質量基準である。
錯体の純度は、H−NMR及び31P−NMRで測定した。
全カルベン中における各成分の比率は、H−NMR(標準物質テトラメチルシラン:0ppm)における19ppm〜21ppmのピーク積分比によって決定した。
〔実施例1〕
ビス(トリ(シクロヘキシル)ホスフィン)(p−アセトキシベンジリデン)ルテニウム(IV)ジクロリド(錯体a)の合成
ビス(トリ(シクロヘキシル)ホスフィン)(ジハイドロジェン)ヒドリドルテニウム(II)クロライド0.77部をシュレンク管にとり、アルゴン置換した。そこにアルゴン置換したテトラヒドロフラン9部を加え溶解し、−30℃に冷却した。そこに攪拌しながらプロピオール酸0.08部を添加した。溶液の色は赤褐色に変化した。その後、10分攪拌し、1mol/lのHCl/ジエチルエーテル溶液0.78部、続いてp−アセトキシスチレン0.18部を添加した。−30℃で10分攪拌後、3時間掛けて20℃まで昇温したのち溶媒を減圧除去し、暗桃色粉末1.06部を得た。
H−NMRにより分析したところ、全カルベン中における錯体aの割合は81%であった。得られた粉末をメタノール20部で3回洗浄し、減圧乾燥して錯体aを桃色粉末0.48部として得た。この粉末をH−NMRにより分析したところ、全カルベン中における錯体aの割合は100%であった。また、31P−NMRにより分析したところ、単一のピークを示した。
得られた錯体aのNMRスペクトルデータを以下に示す。
H−NMR(CDCl、25℃)δppm:19.90(s、1H)、8.49(d、2H)、7.04(d、2H)、2.61(brs、6H)、2.30(s、3H)、1.90−1.02(m、60H)
31P−NMR(CDCl、25℃)δppm:36.4(s)
〔実施例2〕
p−アセトキシスチレンの仕込み量を0.18部から1.80部に変更した以外は実施例1と同様にして反応を行ない、赤紫色粘性液体2.75部を得た。H−NMRにより分析したところ、全カルベン中における錯体aの割合は90%であった。得られた液をメタノール20部で3回洗浄し、減圧乾燥して錯体aを桃色粉末0.51部として得た。H−NMRにより分析したところ、全カルベン中における錯体aの割合は100%であった。
〔実施例3〕
プロピオール酸の添加の直前にアセトニトリル0.10部を添加した以外は実施例1と同様に操作を行なって、暗桃色粉末1.19部を得た。
H−NMRにより分析したところ、全カルベン中における錯体aの割合は81%であった。得られた粉末をメタノール20部で3回洗浄し、減圧乾燥して錯体aを桃色粉末0.59部として得た。H−NMRにより分析したところ、全カルベン中における錯体aの割合は100%であった。
〔実施例4〕
p−アセトキシスチレン添加量を0.18部から0.90部に変更した以外は実施例3と同様にして反応を行ない、赤紫色粘性液1.69部を得た。
H−NMRにより分析したところ、全カルベン中における錯体aの割合は95%であった。得られた液をメタノール20部で3回洗浄し、減圧乾燥して錯体aを桃色粉末0.69部として得た。H−NMRにより分析したところ、全カルベン中における錯体aの割合は100%であった。
〔実施例5〕
ビス(トリ(シクロヘキシル)ホスフィン)(p−クロロメチルベンジリデン)ルテニウム(IV)ジクロリド(錯体b)の合成
p−アセトキシスチレン0.18部に代えて、p−クロロメチルスチレン0.17部を用いた以外は実施例3と同様にして反応を行ない、暗桃色粉末1.10部を得た。
H−NMRにより分析したところ、全カルベン中における錯体bの割合は75%であった。得られた粉末をメタノール20部で3回洗浄し、減圧乾燥して錯体bを桃色粉末0.51部として得た。この粉末をH−NMRにより分析したところ、全カルベン中における錯体bの割合は100%であった。また、31P−NMRにより分析したところ、単一のピークを示した。
得られた錯体bのNMRスペクトルデータを以下に示す。
H−NMR(CDCl、25℃)δppm:20.04(s、1H)、8.44(d、2H)、7.34(d、2H)、4.41(s、2H)、2.61(brs、6H)、1.90−1.05(m、60H)
31P−NMR(CDCl、25℃)δppm:36.6(s)
〔比較例1〕
プロピオール酸0.08部に代えてフェニルアセチレン0.22部を用いた以外は実施例1と同様にして反応を行ない、赤褐色粉末1.20部を得た。
H−NMRにより分析したところ、全カルベン中における錯体aの割合は81%であった。それ以外にビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウム(IV)ジクロリド(錯体c)12%及びビス(トリシクロヘキシルホスフィン)(2−フェニルエチリデン)ルテニウム(IV)ジクロリド(錯体d)7%が観測された。また、31P−NMRにより分析したところ、3本のピークが確認された。得られた粉末にメタノール20部を加え3回洗浄を行なったが、錯体c及び錯体dを除去することができなかった。
〔比較例2〕
プロピオール酸0.08部に代えて、フェニルアセチレン0.11部を用いた以外は実施例3と同様にして反応を行ない、赤褐色粉末1.25部を得た。H−NMRにより分析したところ、全カルベン中における錯体aの割合は80%であった。それ以外に錯体c11%及び錯体d9%が観測された。また、31P−NMRにより分析したところ、3本のピークが確認された。得られた粉末にn−ヘキサン20部を加え3回洗浄を行なったが、錯体c及び錯体dを除去することができなかった。

Claims (4)

  1. 一般式(2)で表される化合物(2)に、Yの水素化物(HY)及び一般式(3)で表される化合物(3)を接触させる工程〔1〕、及びその後に、一般式(4)で表される化合物(4)を接触させる工程〔2〕を含んでなる、一般式(1)で表されるルテニウム錯体化合物の製造方法。
    Figure 0005206068
    (式(1)中、X及びYは、それぞれ、アニオン性配位子;L及びLは、それぞれ、中性配位子;R〜Rは、それぞれ、水素、ハロゲン原子又は有機基である。)
    Figure 0005206068
    (式(2)中、X、L及びLは、式(1)における定義と同じ;Lは中性配位子;n及びmは、それぞれ、0〜2の整数である。)
    ―C≡C―COOR (3)
    (式(3)中、R及びRは、それぞれ、水素又は有機基を表す。)
    Figure 0005206068
    (式(4)中、R〜Rは、式(1)における定義と同じである。)
  2. が水素である、請求項1に記載のルテニウム錯体化合物製造方法。
  3. が水素である、請求項1又は2に記載のルテニウム錯体化合物製造方法。
  4. 工程〔1〕において一般式(5)で表される化合物(5)を存在させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のルテニウム錯体化合物製造方法。
    ―CN (5)
    (式(5)中、Rは、1価の有機基である。)
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