JP2960183B2 - 新規なテルペン誘導体及びその製造方法 - Google Patents

新規なテルペン誘導体及びその製造方法

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JP2960183B2 JP3046536A JP4653691A JP2960183B2 JP 2960183 B2 JP2960183 B2 JP 2960183B2 JP 3046536 A JP3046536 A JP 3046536A JP 4653691 A JP4653691 A JP 4653691A JP 2960183 B2 JP2960183 B2 JP 2960183B2
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、医薬品、食品、香料な
どの合成のために有用な新規なテルペン類およびその製
造方法に関する。
【0002】
【従来技術及び発明が解決しようとする課題】テルペン
類は生体内抗酸化作用を中心とする種々の生理作用が報
告され、注目されるようになってきたが、このテルペン
類はそのもの自体のみならず、医薬品、食品等の中間体
として広く汎用されており、有用性が高い。
【0003】有用なテルペン類については種々知られて
いるが、次の一般式(IV) で表されるテルペン類は、ビ
タミン及び香料の合成における中間体又は前駆物質とし
て使用されており、高収率、高純度のものが要求されて
いる。
【0004】
【化9】
【0005】〔式中mは0または1〜4の整数を意味す
る。
【0006】
【化10】
【0007】X, Yはいずれも電子吸引基を示すか、いず
れか一方が電子吸引基を意味し、他方が電子供与基を示
す。但し、X, Yのいずれか一方がアシル基を意味する場
合は、R3と一緒になって5〜6員環を形成することがで
きる。
【0008】
【化11】
【0009】このテルペン類の製造方法として、例え
ば、フランス国特許明細書第8414425号(特開昭61−112
033号)及び米国特許第4,168,271 号、同第4,292,459
号において、次のような方法を提案している。
【0010】
【化12】
【0011】(式中 m, X, Y, R3は前記の意味を有し、
Hal はハロゲン原子を意味する。)即ち、置換共役ジエ
ン類(II')にハロゲン化水素を作用させて、アリルハラ
イド(V)とし、これに活性メチレンを有する化合物
(VI)を作用させて、目的とするテルペン(IV')を合成
しているが、この方法は低収率(収率70%)、低純度
(純度80%)であり、更に置換共役ジエン類(II)にハ
ロゲン化水素を付加させる際にシス、トランスの異性
化、1級、3級のアリルハライドが生成し、それらの分
離精製には非常な困難を伴うなど工業上欠点が多い。
【0012】また、フランス国特許明細書第8,015,355
号及び第8,109,322 号(特公平1−58172 号)は次のよ
うな方法を開示している。即ち、活性化された炭素原子
をもつ化合物を置換共役ジエンに選択的に付加する方法
として水中または炭素数1〜3を有する脂肪族アルコー
ル中で、トリフェニルホスフィンのスルホネート塩など
の水溶性ホスフィンとロジウム金属との触媒を使用する
方法を提案している。
【0013】しかしながら、この方法は、置換共役ジエ
ン(II')の m=1のミルセンでは87%の転化率で目的物
(IV')を得ているが、 m=2のファルネセンでは僅か43
%の転化率で目的物(IV')を得ており、収率が低く工業
的な方法とは言えない。
【0014】この方法においては、ロジウム金属と共に
用いる代表的な触媒として下記に示す水溶性ホスフィン
(VII)を使用している。
【0015】
【化13】
【0016】(式中Ar1, Ar2, Ar3 は同一または異なる
置換されてもよいフェニレン又はナフチレン基を意味す
る。M は無機または有機の陽イオン性基を示し、n1,
n2, n3は同一または異なる0〜3の整数を示し、これら
のうちの少なくとも1つは1以上である。)本発明者
は、上述の実情に鑑み、上記一般式(IV)で表されるテ
ルペン誘導体を、収率良く、しかも簡便な方法で製造で
きる方法を新たに開発すべく、長年にわたって鋭意研究
を重ねてきた。
【0017】特に上述の如く、上記方法(特公平1−58
172 号)では、 m=2のファルネセンの場合の収率がか
なり低いが、この点を改善することに注力した結果、以
下に述べる方法が目的を達成できることを見い出し、本
発明を完成した。
【0018】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、一
般式(II)
【0019】
【化14】
【0020】(式中nは0または1〜2の整数を表
す。)で示されるアルキル置換共役ジエン類を、一般式
(III)
【0021】
【化15】
【0022】(式中R1は低級アルキル基を意味し、R2
アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキ
ル基、アリール基、アリールアルキル基またはヘテロア
リール基を意味する。)で表される化合物と反応させ、
一般式(I)
【0023】
【化16】
【0024】で表されるテルペン誘導体を製造するにあ
たり、有機溶媒中において遷移金属化合物と有機アミン
の存在下で反応させることを特徴とする一般式(I)で
表されるテルペン誘導体の製造法である。
【0025】上記一般式(I)で表されるテルペン誘導
体は、新規化合物であり、それ自体、あるいは混合物の
形でビタミン類および香料の合成に有用な中間体の前駆
物質として使用できる、有用な化合物である。
【0026】R1の定義にみられる低級アルキル基とは、
炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐状のアルキル基、例え
ばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、
ブチル基、イソブチル基、 sec−ブチル基、tert−ブチ
ル基、ペンチル基(アミル基)、イソペンチル基、ネオ
ペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルブチル基、
2−メチルブチル基、1,2 −ジメチルプロピル基、ヘキ
シル、イソヘキシル基、1−メチルペンチル基、2−メ
チルペンチル基、3−メチルペンチル基、1,1−ジメチ
ルブチル基、1,2 −ジメチルブチル基、2,2 −ジメチル
ブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,3 −ジメチルブ
チル基、3,3 −ジメチルブチル基、1−エチルブチル
基、2−エチルブチル基、1,1,2 −トリメチルプロピル
基、1,2,2−トリメチルプロピル基、1−エチル−1−
メチルプロピル基、1−エチル−2−メチルプロピル基
などを意味する。これらのうち好ましい基としては、メ
チル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基などを
挙げることができるが、最も好ましい基はメチル基であ
る。
【0027】またR2の定義にみられるシクロアルキル基
とは、シクロペンチル、シクロプロピル、シクロブチ
ル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル
基などの炭素数3〜8を有するシクロアルキル基を意味
するが、最も好ましい基としてはシクロヘキシル基を挙
げることができる。
【0028】一般式(I)で表されるテルペン誘導体の
中で好ましいテルペン誘導体を列挙すれば例えば、以下
のものを挙げることができる。
【0029】
【化17】
【0030】
【化18】
【0031】
【化19】
【0032】
【化20】
【0033】本発明方法において、使用される遷移金属
化合物として、好ましい化合物は、ロジウムカチオン錯
体を挙げることができ、例えば一般式(VIII)で示され
る〔ロジウム(シクロオクタ−1,5 −ジエン)(ビスジ
フェニルフォスフィノアルカン)〕を例示することがで
きる。
【0034】
【化21】
【0035】(式中m'は2〜6の整数を意味し、 Z-
アニオン種を表す。)具体的に例示すれば次のような錯
体を挙げることができる。
【0036】〔ロジウム(シクロオクタ−1,5 −ジエ
ン)(1,2 −ビスジフェニルフォスフィノエタン)〕過
塩素酸塩、〔ロジウム(シクロオクタ−1,5 −ジエン)
(1,3−ビスジフェニルフォスフィノプロパン)〕過塩
素酸塩、〔ロジウム(シクロオクタ−1,5 −ジエン)
(1,4 −ビスジフェニルフォスフィノブタン)〕過塩素
酸塩、〔ロジウム(シクロオクタ−1,5 −ジエン)(1,
5 −ビスジフェニルフォスフィノペンタン)〕過塩素酸
塩、〔ロジウム(シクロオクタ−1,5 −ジエン)(1,6 −
ビスジフェニルフォスフィノヘキサン)〕過塩素酸塩、
および〔ロジウム(シクロオクタ−1,5 −ジエン)(1,
4 −ビスジフェニルフォスフィノブタン)〕トリフルオ
ロメチル亜硫酸塩。
【0037】本発明で用いられる一般式(II)で示され
る化合物としては例えばイソプレン、ミルセン、β−フ
ァルネセン、β−スプリンゲン等が挙げられる。
【0038】また、本発明で用いられる一般式(III)で
示される化合物の例としては、3−シクロヘキシルイミ
ノブタン酸メチル、3−シクロヘキシルイミノブタン酸
エチル、3−シクロヘキシルイミノブタン酸プロピル、
3−シクロヘキシルイミノブタン酸ブチル、3−シクロ
ヘキシルイミノブタン酸ペンチル、3−ブチルイミノブ
タン酸メチル、3−ブチルイミノブタン酸エチル、3−
ブチルイミノブタン酸プロピル、3−ブチルイミノブタ
ン酸ブチル、3−ブチルイミノブタン酸ペンチル、3−
ペンチルイミノブタン酸メチル、3−ペンチルイミノブ
タン酸エチル、3−ペンチルイミノブタン酸プロピル、
3−ペンチルイミノブタン酸ブチル、3−ペンチルイミ
ノブタン酸ペンチル、3−ヘキシルイミノブタン酸メチ
ル、3−ヘキシルイミノブタン酸エチル、3−ヘキシル
イミノブタン酸プロピル、3−ヘキシルイミノブタン酸
ブチル、3−ヘキシルイミノブタン酸ペンチル、3−フ
ェニルイミノブタン酸メチル、3−フェニルイミノブタ
ン酸エチル、3−フェニルイミノブタン酸プロピル、3
−フェニルイミノブタン酸ブチル、3−フェニルイミノ
ブタン酸ペンチル、3−ベンジルイミノブタン酸メチ
ル、3−ベンジルイミノブタン酸エチル、3−ベンジル
イミノブタン酸プロピル、3−ベンジルイミノブタン酸
ブチル、3−ベンジルイミノブタン酸ペンチル等が挙げ
られる。
【0039】本発明の方法において有機溶媒としては、
アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類あるいは酢
酸エチル等のエステル類を使用することができる。本発
明に用いられる有機アミンとしては、例えば、トリメチ
ルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、ト
リブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルア
ミン、ピリジン、 N,N−ジメチルアミノピリジン、1,5
−ジアザビシクロ〔5.4.0 〕ウンデセン−5(DBU) 、1,
5 −ジアザビシクロ〔4.3.0 〕ノナン−5(DBN) 等を挙
げることができ、その使用量は一般式(II)で示される
化合物1モルに対し、10-4〜1モル、より好ましくは10
-1〜1モルである。
【0040】次に一般式(I)で表される化合物を合成
する方法を具体的に示す。前記一般式(VIII) で示され
るロジウムカチオン錯体、例えば〔ロジウム(シクロオ
クタ−1,5 −ジエン)(1,4 −ビスジフェニルフォスフ
ィノブタン)〕過塩素酸塩145mg に、有機アミン、例え
ばトリメチルアミン 0.5g、一般式(II)で示される
共役ジエン、例えばイソプレン0.54g、一般式(II
I)で示される化合物、例えば3−シクロヘキシルイミノ
ブタン酸メチル 3.9gおよびアセトン15mlを加え、オー
トクレーブ中で 100℃、6時間加熱撹拌する。操作は全
て窒素ガスまたはアルゴンガス等の不活性ガスの存在下
で行う。冷却後、オートクレーブの内容物に n−ヘキサ
ンを50ml加え、析出する橙黄色結晶を濾取する。この結
晶は〔ロジウム(シクロオクタ−1,5 −ジエン)(1,4
−ビスジフェニルフォスフィノブタン)〕過塩素酸塩で
あり、繰り返し使用できる。濾液は溶媒留去後、減圧蒸
留することにより、沸点98〜 101℃/0.15mmHgで留出す
る3−シクロヘキシルイミノブタン酸メチル 2.3gを回
収でき、さらに 110〜115 ℃/0.15mmHgの沸点を有する
化合物
【0041】
【化22】
【0042】を得ることができる。
【0043】加熱温度は60〜 130℃、反応時間は2〜6
時間の適切な温度、時間を選択することができ、反応の
転化率は85%以上である。
【0044】本発明方法において用いられる前記一般式
(VIII)で表される〔ロジウム(シクロオクタ−1,5 −
ジエン)(ビスジフェニルフォスフィノアルカン)〕+
カチオン錯体のm'の値が2のものが知られているが、m'
の値3〜6の化合物は新規である。
【0045】このロジウムカチオン錯体(VIII)の合成
は下記式に示す如く、〔ロジウム(シクロオクタ−1,5
−ジエン)クロライド〕をメタノール中、過塩素酸銀を
作用させ、ついで生成した塩化銀を濾取し、濾液にビス
ジフェニルフォスフィノアルカンのテトラヒドロフラン
溶液を滴下して調製する。合成したロジウムカチオン錯
体はメタノールより再結晶化し、90%以上の収率で橙黄
色の結晶を得ることができる。
【0046】
【化23】
【0047】本発明で用いるロジウムカチオン錯体(VI
II)はメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノ
ール、酢酸メチル、酢酸エチル、アセトン、メチルエチ
ルケトン、ピリジン、テトラヒドロフラン、ジオキサン
等の有機溶媒に可溶であり、実際の反応においては有機
溶媒中で用い、不溶性の n−ヘキサンを反応系に添加す
ることにより触媒はほぼ定量的に回収され、繰り返し使
用することができる。
【0048】本発明の方法において、ロジウムカチオン
錯体の使用量は、一般式(II)で表される化合物1モル
に対し10-4〜10-1ロジウムグラム原子数であり、より好
ましくは10-3〜10-2ロジウムグラム原子数である。
【0049】本発明で用いるロジウムカチオン錯体(VI
II)は前記したフランス国特許明細書第8,015,355 号お
よび第8,109,322 号において使用しているトリフェニル
ホスフィンのメタスルホネート塩(VII)に比べ、カチオ
ン錯体分子中に2個のリン原子と1個のロジウム原子を
有しており、その配位力においてはるかに優位であり、
アルキル置換共役ジエンの1−位置に高選択的に活性メ
チレン基を付加させることが可能である。
【0050】例えば、置換共役ジエン(II)のn=0の
イソプレン、n=1のミルセン、n=2のβ−ファルネ
センで各々85%、90%、91%以上の収率で目的物(I)
を得るなど、触媒効果がはるかに優れていることが判明
した。この驚くべき事実を見い出し、本発明の完成に到
ったものである。
【0051】本発明方法によれば、目的物質(I)にお
いてイソプレン単位nの大きさに関係なく、置換共役ジ
エンの1−位置の炭素原子に高選択的に付加することが
でき、従って、nの値に関係なく高収率に目的物質であ
るテルペン誘導体(I)を製造することが可能であり、
本発明方法は、工業的に実施しうる方法である。
【0052】本発明者等は、驚くべき優れた本方法を見
い出したものであるが、このことは、遷移金属化合物と
して前述したロジウムカチオン性錯体を使用しているこ
とに起因しているものと考えられる。
【0053】この点について、前述の先行技術(特公平
1−58172 号)に言及すると、その方法における原料で
ある置換共役ジエン類において、その脂溶性が増大する
と該方法おいて使用している触媒が、触媒としての作用
が減弱しており、そのためイソプレン単位nが増大する
と収率が悪くなるものと推定される。
【0054】以下に、本発明の優れた効果を上記先行技
術との比較を含めて示す。本発明で得られる化合物
(I)はさらに脱炭酸、脱イミノ化してゲラニルアセト
ン、ファルネシルアセトンとすることができ、ついで接
触還元してテトラヒドロゲラニルアセトンおよびフィト
ンとすることができる。これら化合物は別途合成品と比
較・同定した。
【0055】
【実施例】以下に本発明の代表的な実施例を示すが、本
発明がこれらのみに限定されることがないことは言うま
でもない。
【0056】実施例1〜2 イソプレンに3−シクロヘキシルイミノブタン酸メチル
を付加させて下記式で示される(a), (a')を得る反応。
【0057】
【化24】
【0058】実施例1 145mg の〔ロジウム(シクロオクタ−1,5 −ジエン)
(1,4 −ビスジフェニルフォスフィノブタン)〕過塩素
酸塩(以下実施例において〔Rh(COD)(1,4 −DPPB)〕+
ClO4 - と記す)、すなわち、0.028 ミリグラム原子のロ
ジウム、 0.5g(5ミリモル)のトリエチルアミン、0.
54g(8ミリモル)のイソプレン、 3.9g(20ミリモ
ル)の3−シクロヘキシルイミノブタン酸メチル、アセ
トン15mlをオートクレーブ中、 100℃にて6時間加熱、
撹拌する。
【0059】冷却後、オートクレーブの内容物にn−ヘ
キサン50mlを添加すると橙黄色の結晶〔Rh(COD)(1,4 −
DPPB)〕+ ClO4 - が析出し、これを濾取して141mg の触
媒を回収する。
【0060】濾液は溶媒留去後、減圧蒸留し、bp. 98〜
101℃/0.15mmHgで留出する3−シクロヘキシルイミノ
ブタン酸メチル2.3gを回収、さらにbp. 110 〜115℃/
0.15mmHgの沸点を有する目的物(a) と(a')の混合物 1.8
gを得る(収率84.9%)。このもののキャピラリーガス
クロマト分析の結果、(a) 58%, (a')42%であった。
【0061】IR (cm-1) ;1,640 、1,600 NMR (δ);9.3 〜9.4(d,1H), 5.15(t),4.7(d), 3.7
(s,3H), 2.3(m,1H), 1.8(s), 1.75(s), 1.7(s), 1.4 〜
1.3(m,10H) Mass;266, 264 実施例2 実施例1に準じ、〔Rh(COD)(1,4 −DPPB)〕+CF3SO3 - 1
57mg、すなわち0.028ミリグラム原子のロジウム、溶媒
にメチルエチルケトン15mlを用いて反応を行う。実施例
1と同様に操作して〔Rh(COD)(1,4 −DPPB)〕+ CF3SO3
- の回収量 153mg、3−シクロヘキシルイミノブタン酸
メチルの回収量2.1g、目的物(a)と(a')の混合物1.75g
を得る(収率82.5%)。このもののキャピラリーガスク
ロマト分析の結果、(a) 56%、(a')44%であった。
【0062】実施例3〜7 実施例1に準じ、3−シクロヘキシルイミノブタン酸メ
チルの代わりに表1に示す試薬を用いて同様に反応させ
た。結果を表1に示す。
【0063】
【表1】
【0064】実施例8〜9 ミルセンに3−シクロヘキシルイミノブタン酸メチルを
付加させて下記式で表される(b), (b') を得る反応。
【0065】
【化25】
【0066】実施例8 580mg (0.8ミリモル)の〔Rh(COD)(1,4 −DPPB)〕+ Cl
O4 - 、すなわち0.112ミリグラム原子のロジウム、 2.0
g(20ミリモル)のトリエチルアミン、 4.4g(32ミリ
モル)のミルセン、15.7g(80ミリモル)の3−シクロ
ヘキシルイミノ−ブタン酸メチル、アセトン45mlをオー
トクレーブ中にて、 100℃、6時間加熱、撹拌する。冷
却後、オートクレーブの内容物にn−ヘキサン 200mlを
添加すると橙黄色の触媒〔Rh(COD)(1,4 −DPPB)〕+ Cl
O4 - が析出し、これを濾取して564mg を回収する。
【0067】濾液は溶媒留去後、減圧蒸留し、bp. 96〜
98℃/0.13mmHgで留出する3−シクロヘキシルイミノブ
タン酸メチル 9.3gを回収、さらにbp.158〜160 ℃/0.
13mmHgの沸点を有する目的物(b), (b') の混合物 9.6g
を得る(収率90.0%)。このもののキャピラリーガスク
ロマト分析の結果、(b) 55%, (b')45%であった。
【0068】IR (cm-1) ;1,640 、 1,600 NMR (δ);9.4(d,1H), 5.1〜5.15(m), 4.75(d), 3.65
(s,3H), 2.35(m,1H),2.0 〜2.2(m), 1.7(s), 1.6(s),
1.5(s),1.2 〜1.45(m,10H) Mass;334, 332 実施例9 145mg (0.2ミリモル)の〔Rh(COD)(1,4 −DPPB)〕+ Cl
O4 - 、すなわち0.028ミリグラム原子のロジウム、 0.5
g(5ミリモル)のトリエチルアミン、 1.1g(8ミリ
モル)のミルセン、 3.9g(20ミリモル)の3−シクロ
ヘキシルイミノブタン酸メチル、メチルエチルケトン15
mlを混合し、3時間撹拌、還流する。反応液は冷却後、
n−ヘキサン50mlを添加して橙黄色の触媒を析出させ、
濾取して 138mgを回収する。濾液は実施例8と同様に処
理して、目的物(b) と(b')の混合物2.35gを得る(収率
88.0%)。このもののキャピラリークロマト分析の結
果、(b) 57%, (b')43%であった。
【0069】実施例10〜14 実施例8に準じ、3−シクロヘキシルイミノブタン酸メ
チルの代わりに表2に示す試薬を用いて同様に反応させ
た。結果を表2に示す。
【0070】
【表2】
【0071】実施例15 ゲラニルアセトンの合成
【0072】
【化26】
【0073】ミルセン 4.6g(34ミリモル)、〔Rh(CO
D)(1,4 −DPPB)〕+ ClO4 - 500mg(0.68ミリモル)、
トリエチルアミン2g(20ミリモル)、3−シクロヘキ
シルイミノブタン酸メチル15.7g(80ミリモル)、メチ
ルエチルケトン45mlを用いて実施例8と同様に操作し、
(b), (b') を得る。
【0074】尚、ゲラニルアセトンは次の方法により得
ることができる。上記反応物から橙黄色の触媒478mg を
回収した後、濾液を濃縮し、残油状物にNaOH14g、メタ
ノール120ml 、水60mlを加え、3時間撹拌還流する。反
応液はn−ヘキサン50mlにて2回抽出し、乾燥・溶媒留
去後減圧蒸留し、bp.70〜74℃/0.5mmHg の沸点を有す
る目的物5.32gを得る(収率80.5%)。ここに得たもの
は一部接触還元して、テトラヒドロゲラニルアセトンと
し、別途合成品とIR、NMR 、キャピラリーガスクロマト
分析にて同定した。
【0075】実施例16〜20 実施例15に準じ、溶媒、触媒、有機アミンを表3に示す
ように変換し、ゲラニルアセトンを合成した。キャピラ
リーガスクロマト分析結果を表3に示す。
【0076】
【表3】
【0077】実施例21〜22 β−ファルネセンに3−シクロヘキシルイミノブタン酸
メチルを付加させて下記式で表される(c), (c') を得る
反応。
【0078】
【化27】
【0079】実施例21 500mg (0.68ミリモル)の〔Rh(COD)(1,4 −DPPB)〕+
ClO4 - , 2.0g(20ミリモル)のトリエチルアミン、6.
94g(34ミリモル)のβ−ファルネセン、10.0g(51ミ
リモル)の3−シクロヘキシルイミノブタン酸メチル、
イソプロペニルアセテート45mlを混合し、6時間撹拌、
還流する。反応液を冷却後、n−ヘキサン 200mlを添加
して、橙黄色の触媒を析出させ、濾取して483mg を回収
する。
【0080】濾液は溶媒留去後、減圧蒸留し、bp.100〜
104℃/0.2mmHg で留出する3−シクロヘキシルイミノ
ブタン酸メチル 3.2gを回収、さらにbp.202〜205 ℃/
0.13mmHgの沸点を有する目的物(c) と(c')の混合物12.2
gを得る(収率89.4%)。このもののキャピラリーガス
クロマト分析の結果、(c) 57%、(c')43%であった。
【0081】IR (cm-1) ;1,640 、 1,600 NMR (δ);9.4(d,1H), 5.0〜5.2(m,オレフィンプロト
ン), 4.75(d,エキソメチレン), 3.65(s,3H), 2.3(m,1
H), 1.9 〜2.1(m), 1.8(s), 1.7(s),1.6(s), 1.2 〜1.4
(m,10H) Mass;402, 400 実施例22 0.5g(0.64 ミリモル)の〔Rh(COD)(1,4 −DPPB)〕+ C
F3SO3 - 、2g(20ミリモル)のトリエチルアミン、6.9
4g(34ミリモル)のβ−ファルネセン、10g(51ミリモ
ル)の3−シクロヘキシルイミノブタン酸メチル、メチ
ルエチルケトン45mlを用い、実施例21と同様に操作し
て、触媒〔Rh(COD)(1,4 −DPPB)〕+ CF3SO3 - の回収47
9mg 、3−シクロヘキシルイミノブタン酸メチルの回収
3.0g、bp.196 〜200 ℃/0.1mmHg の沸点を有する目的
物(c) と(c')の混合物12.5gを得る(収率91.6%)。こ
のもののキャピラリーガスクロマト分析の結果、(c) 5
6.5%, (c')43.5%であった。
【0082】実施例23〜27 実施例21に準じ、3−シクロヘキシルイミノブタン酸メ
チルの代わりに表4に示す試薬を用いて同様に反応させ
た。結果を表4に示す。
【0083】
【表4】
【0084】実施例28 ファルネシルアセトンの合成
【0085】
【化28】
【0086】626mg(0.85ミリモル)の〔Rh(COD)(1,4
−DPPB)〕+ ClO4 - , 2g(20ミリモル)のトリエチル
アミン、 7.0g(34.3ミリモル)のβ−ファルネセン、
10.2g(52ミリモル)の3−シクロヘキシルイミノブタン
酸メチル、アセトン21mlを用いて実施例21と同様に操作
し、(c), (c') を得る。
【0087】尚、ファルネシルアセトンは次の方法によ
り得ることができる。上記反応物から橙黄色の触媒 608
mgを回収した後、濾液を濃縮し、残油状物にNaOH14g、
エタノール 150ml、水60mlを加え、3時間撹拌還流す
る。反応液は冷却後、n−ヘキサン50mlにて2回抽出
し、乾燥・溶媒留去後、減圧蒸留し、bp.120〜123℃/
0.15mmHgの沸点を有する目的物8.1gを得る(収率90.2
%)。ここに得たものは一部接触還元してフィトンと
し、別途合成品とIR、NMR 、キャピラリーガスクロマト
分析にて同定した。
【0088】実施例29〜40 実施例28に準じ、溶媒、触媒、有機アミンを表5に示す
ように変換してファルネシルアセトン(FA) を合成し、
一部接触還元してフィトンとした。キャピラリーガスク
ロマト分析結果を表5に示す。
【0089】
【表5】
【0090】注) 1,2 −DPPE=1,2 −ビスジフェニルフォスフィノエタン 実施例34〜40は封管中で反応。
【0091】比較実験 ローンプーラン社特許(特公平1−58172 号)の実施例
21に準じ、64mgの〔Rh(COD)Cl〕2(0.26ミリグラム原子
のロジウム), 0.53gのNa−TPPTs(0.78ミリグラム原子
のP3+ ), 0.20gのNa2CO3(1.9 ミリモル)および15ml
の水をアルゴン置換したオートクレーブに入れる。つい
で3.26g(16ミリモル)のβ−ファルネセンと11.6g
(58.9ミリモル)の3−シクロヘキシルイミノブタン酸
メチルを加え、 120℃に加熱しつつ、6 時間撹拌する
も、化合物(c), (c') の存在はキャピラリーガスクロマ
ト分析では観測されない。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 貴島 静正 千葉県柏市柏999−18 (56)参考文献 特開 昭57−45111(JP,A) 特開 昭58−4748(JP,A) Chemical Abstract s,No.88:120581d J.Am.Chem.Soc.,Vo l.106,No.18(1984)p.5208− 5217 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I) 【化1】 で表されるテルペン誘導体。
  2. 【請求項2】 テルペン誘導体が次の化学構造式から選
    択される化合物である請求項1記載のテルペン誘導体。 【化2】 【化3】 【化4】 【化5】
  3. 【請求項3】 一般式(II) 【化6】 (式中nは0または1〜2の整数を表す。)で表される
    化合物を、一般式(III) 【化7】 (式中Rは低級アルキル基を意味し、R2はアルキル
    基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、ア
    リール基、アリールアルキル基またはヘテロアリール基
    を意味する。)で表される化合物と反応させ、一般式
    (I) 【化8】 で表されるテルペン誘導体を製造するにあたり、有機溶
    媒中において遷移金属化合物と有機アミンの存在下で反
    応させることを特徴とする請求項1記載のテルペン誘導
    体の製造方法。
  4. 【請求項4】 遷移金属化合物がロジウム化合物である
    請求項3記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 ロジウム化合物が〔ロジウム(シクロオ
    クタ−1,5 −ジエン)(1,2 −ビスジフェニルフォスフ
    ィノエタン)〕過塩素酸塩、〔ロジウム(シクロオクタ
    −1,5 −ジエン)(1,3 −ビスジフェニルフォスフィノ
    プロパン)〕過塩素酸塩、〔ロジウム(シクロオクタ−
    1,5 −ジエン)(1,4 −ビスジフェニルフォスフィノブ
    タン)〕過塩素酸塩、〔ロジウム(シクロオクタ−1,5
    −ジエン)(1,5 −ビスジフェニルフォスフィノペンタ
    ン)〕過塩素酸塩、〔ロジウム(シクロオクタ−1,5 −
    ジエン)(1,6 −ビスジフェニルフォスフィノヘキサ
    ン)〕過塩素酸塩、および〔ロジウム(シクロオクタ−
    1,5 −ジエン)(1,4 −ビスジフェニルフォスフィノブ
    タン)〕トリフルオロメチル亜硫酸塩から選ばれる1種
    または2種以上のロジウム化合物である請求項4記載の
    製造方法。
  6. 【請求項6】 ロジウム化合物の使用量が、一般式(I
    I)で表される化合物1モルに対し、10-4〜10-1のロジ
    ウムグラム原子数である請求項4又は5記載の製造方
    法。
  7. 【請求項7】 一般式(II)で表される化合物がイソプ
    レン、ミルセン、β−ファルネセン及びβ−スプリンゲ
    ンから選択される化合物である請求項3〜6のいずれか
    一項に記載の製造方法。
  8. 【請求項8】 一般式(III)で表される化合物が3−シ
    クロヘキシルイミノブタン酸メチル、3−シクロヘキシ
    ルイミノブタン酸エチル、3−シクロヘキシルイミノブ
    タン酸プロピル、3−シクロヘキシルイミノブタン酸ブ
    チル、3−シクロヘキシルイミノブタン酸ペンチル、3
    −ブチルイミノブタン酸メチル、3−ブチルイミノブタ
    ン酸エチル、3−ブチルイミノブタン酸プロピル、3−
    ブチルイミノブタン酸ブチル、3−ブチルイミノブタン
    酸ペンチル、3−ペンチルイミノブタン酸メチル、3−
    ペンチルイミノブタン酸エチル、3−ペンチルイミノブ
    タン酸プロピル、3−ペンチルイミノブタン酸ブチル、
    3−ペンチルイミノブタン酸ペンチル、3−ヘキシルイ
    ミノブタン酸メチル、3−ヘキシルイミノブタン酸エチ
    ル、3−ヘキシルイミノブタン酸プロピル、3−ヘキシ
    ルイミノブタン酸ブチル、3−ヘキシルイミノブタン酸
    ペンチル、3−フェニルイミノブタン酸メチル、3−フ
    ェニルイミノブタン酸エチル、3−フェニルイミノブタ
    ン酸プロピル、3−フェニルイミノブタン酸ブチル、3
    −フェニルイミノブタン酸ペンチル、3−ベンジルイミ
    ノブタン酸メチル、3−ベンジルイミノブタン酸エチ
    ル、3−ベンジルイミノブタン酸プロピル、3−ベンジ
    ルイミノブタン酸ブチル及び3−ベンジルイミノブタン
    酸ペンチルから選ばれる化合物である請求項3〜7のい
    ずれか一項に記載の製造方法。
  9. 【請求項9】 有機アミンがトリメチルアミン、トリエ
    チルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、
    トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、ピリジン、
    N,N −ジメチルアミノピリジン、1,5 −ジアザビシクロ
    〔5.4.0 〕ウンデセン−5(DBU) および1,5 −ジアザビ
    シクロ〔4.3.0 〕ノナン−5(DBN) から選ばれ、その使
    用量が一般式(II)で表される化合物1モルに対し10-4
    〜1モルである請求項3〜8のいずれか一項に記載の製
    造方法。
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