JP4396068B2 - カルボニル化合物の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はアルコールを脱水素して、エステルやケトンなどのカルボニル化合物を製造する方法に関するものである。本発明の適用される好適な例の一つは、1,4−ブタンジオールからのガンマブチロラクトンの製造である。
【0002】
【従来の技術】
有機リン配位子を有する遷移金属錯体触媒の存在下に、アルコールを脱水素してカルボニル化合物を製造する方法は、いくつも報告されている。
例えば、J.Orgmet.Chem.,429(1992)269−274には、イリジウム−イソプロピルホスフィン錯体、ルテニウム−トリフェニルホスフィン錯体を触媒としてジオールを脱水素してラクトン化合物を得る反応が記載されており、Bull.Chem.Soc.Jpn.,61、2291−2294(1988)には、ルテニウム−エチルジフェニルホスフィン錯体を触媒としてメタノールを脱水素して蟻酸メチルを得る反応が記載されている。またJ.Org.Chem.1987,52,4319−4327ではルテニウム−有機ホスフィン錯体触媒に加えて、アセトンなどの水素受容体を過剰量添加した反応が記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
これらの従来報告されている錯体触媒の問題点の一つは、アセトンなどの水素受容体が存在しない系では、著るしく低い触媒活性しか発現しないことである。従って本発明は、アセトンなどの水素受容体が存在しない系でも高い触媒活性を発現する反応系を提供しようとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らはホスフィン系リン化合物とカルボニル化合物との付加生成物が、錯体触媒によるアルコールの脱水素反応を促進する作用を有することを見出した。本発明はこの知見に基づくものであり、有機リン配位子を有する遷移金属錯体触媒の存在下にアルコールを脱水素してカルボニル化合物を製造するに際し、反応系内にホスフィン系リン化合物とカルボニル化合物との付加生成物を存在させることを特徴とするものである。この付加生成物は反応により水素化されて水素化物を生成するものではないので、従来用いられていた水素受容体とは全く異なるものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明では1級又は2級の水酸基を有する任意のアルコールを脱水素反応に供することができる。アルコールは1価でも多価でもよく、飽和でも不飽和でもよく、更には置換基を有していてもよい。アルコールの炭素数は通常は50以下であり、好ましくは10以下である。そのいくつかを例示すると、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、4−ヘプタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、3−オクタノール、4−オクタノール、1−ノナノール、2−ノナノール、3−ノナノール、4−ノナノール、5−ノナノール、1−デカノール、2−デカノール、3−デカノール、4−デカノール、5−デカノール、アリルアルコール、1−ブテノール、2−ブテノール、1−ペンテノール、2−ペンテノール、1−ヘキセノール、2−ヘキセノール、3−ヘキセノール、1−ヘプテノール、2−ヘプテノール、3−ヘプテノール、1−オクテノール、2−オクテノール、3−オクテノール、4−オクテノール、1−ノネノール、2−ノネノール、3−ノネノール、4−ノネノール、1−デセノール、2−デセノール、3−デセノール、4−デセノール、5−デセノール、シクロヘキサノール、シクロペンタノール、シクロヘプタノール、1−フェネチルアルコール、2−フェネチルアルコール、メタノールアミン、エタノールアミン、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−ジメチロールシクロヘキサン、1,3−ジメチロールシクロヘキサン、1−ヒドロキシメチル−2−ヒドロキシエチルシクロヘキサン、1−ヒドロキシ−2−ヒドロキシプロピルシクロヘキサン、1−ヒドロキシル−2−ヒドロキシエチルシクロヘキサン、1−ヒドロキシメチル−2−ヒドロキシエチルベンゼン、1−ヒドロキシ−2−ヒドロキシプロピルベンゼン、1−ヒドロキシ−2−ヒドロキシエチルベンゼン等が挙げられる。好ましくは1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどの2つの水酸基が炭素数3〜6の炭素鎖で結合されている多価アルコールであり、特に好ましくは1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオールである。
【0006】
反応原料として1価アルコールを用いた場合には、1級アルコールはエステルを生じ2級アルコールはケトンを生ずる。1級アルコールがエステルを生ずるのは、アルコールの脱水素により生じたアルデヒドがアルコールと反応してヘミアセタールとなり、このヘミアセタールの水酸基が更に脱水素されるという過程を経るものと考えられる。また反応原料として2個の1級水酸基を有するアルコールを用いると、一般にはポリエステルが生成する。しかし2個の1級水酸基間に介在する炭素原子数が3〜6個の場合には、環化してラクトンを生成する。従って本発明は1,4−ブタンジオールからのガンマ−ブチロラクトンの製造に好適である。
【0007】
遷移金属錯体触媒としては通常は第8族の白金族金属、好ましくはルテニウム、ロジウム又はイリジウムを含むものを用いる。特に好ましいのはルテニウムである。錯体触媒調製の常法に従い、これらの金属は酸化物、水酸化物、無機酸塩、有機酸塩、錯化合物など、種々の形態で触媒調製に用いることができる。例えばルテニウムを含む触媒の調製は、二酸化ルテニウム、四酸化ルテニウム、二水酸化ルテニウム、塩化ルテニウム、臭化ルテニウム、沃化ルテニウム、硝酸ルテニウム、酢酸ルテニウム、トリス(アセチルアセトナト)ルテニウム、ヘキサクロロルテニウム酸ナトリウム、テトラカルボニルルテニウム酸ジカリウム、ペンタカルボニルルテニウム、シクロペンタジエニルジカルボニルルテニウム、ジブロモトリカルボニルルテニウム、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ヒドリドルテニウム、テトラ(トリフェニルホスフィン)ジヒドリドルテニウム、テトラ(トリメチルホスフィン)ジヒドリドルテニウム、ビス(トリ−n−ブチルホスフィン)トリカルボニルルテニウム、テトラヒドリドデカルボニルテトラルテニウム、ドデカカルボニルトリルテニウム、オクタデカカルボニルヘキサルテニウム酸ジセシウム、ウンデカカルボニルヒドリドトリルテニウム酸テトラフェニルホスフォニウム等が用いられる。好ましくは塩化ルテニウム、トリス(アセチルアセトナト)ルテニウム、酢酸ルテニウムなどを用いる。
【0008】
錯体触媒に含有させる有機リン配位子としては、リン原子の3個の結合手の全てに炭素原子が結合しているものを用いる。有機リン配位子は単座配位子でも多座配位子でもよい。また、リン原子が環の構成要素となっているものであってもよい。有機リン配位子のいくつかを例示すると、トリフェニルホスフィン、トリトリルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、エチルジフェニルホスフィン、ジメチルフェニルホスフィン、ジオクチルフェニルホスフィン、トリデカニルホスフィン、トリノニルホスフィン、トリオクチルホスフィン、トリヘプチルホスフィン、トリヘキシルホスフィン、トリペンチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリプロピルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリメチルホスフィン、ジメチルオクチルホスフィン、ジオクチルメチルホスフィン、ジメチルヘプチルホスフィン、ジヘプチルメチルホスフィン、ジメチルヘキシルホスフィン、ジヘキシルメチルホスフィン、ジメチルブチルホスフィン、ジブチルメチルホスフィン、トリペンチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリヘプチルホスフィン、トリベンジルホスフィン、ジメチルシクロヘキシルホスフィン、ジシクロヘキシルメチルホスフィン、1,2−ビス(ジメチルホスフィノ)エタン、1,3−ビス(ジメチルホスフィノ)プロパン、1,4−ビス(ジメチルホスフィノ)ブタン、1,2−ビス(ジオクチルホスフィノ)エタン、1,3−ビス(ジオクチルホスフィノ)プロパン、1,4−ビス(ジオクチルホスフィノ)ブタン、1,2−ビス(ジヘキシルホスフィノ)エタン、1,3−ビス(ジヘキシルホスフィノ)プロパン、1,4−ビス(ジヘキシルホスフィノ)ブタン、1,2−ビス(ジブチルホスフィノ)エタン、1,3−ビス(ジブチルホスフィノ)プロパン、1,4−ビス(ジブチルホスフィノ)ブタン等が挙げられる。これらのなかでも式(3)で表されるものを用いるのが好ましい。
【0009】
【化7】
PR456 …(3)
【0010】
(式中、R4、R5及びR6は、相互に独立して、置換基を有していてもよいアルキル基又はアリール基を示す)。
有機リン配位子として最も好ましいのは、トリアルキルホスフィン、例えばトリオクチルホスフィン、トリヘキシルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリメチルホスフィンなどである。トリアルキルホスフィンのアルキル基は1級アルキル基であるのが好ましく、直鎖状及び分岐鎖状のいずれであってもよい。光学活性なトリアルキルホスフィンを使用すると光学活性なラクトンが生成することが期待できる。
【0011】
錯体触媒の調製は、常法に従って行うことができる。例えばルテニウム錯体触媒であれば、ルテニウムトリス(アセチルアセトナト)とこれに対して5〜20倍モルのトリアルキルホスフィンとを、好ましくは溶媒の存在下に、水素雰囲気中で100〜250℃、好ましくは150〜200℃で反応させればよい。ルテニウム錯体触媒がルテニウムカチオン性錯体触媒の場合には、上記で錯体を調製したのち、pKaが2以下の酸の共役塩基を添加する。また、別法としてルテニウムトリス(アセチルアセトナト)とトリアルキルホスフィンとから錯体を調製する際に、その反応系にpKaが2以下の酸の共役塩基をトリアルキルホスフィンに対して1〜10倍モル存在させてもよい。
ホスフィン系リン化合物としては、通常は式(1)で表されるものを用いる。
【0012】
【化8】
PR123 …(1)
【0013】
式中、R1、R2及びR3は、相互に独立して、アルキル基、アリール基又は水素原子を示す。アルキル基及びアリール基は置換基を有していてもよい。置換基としては炭化水素基やアミノ基、アミド基、アルコキシ基、シアノ基、ヒドロキシ基などが挙げられる。好ましくはホスフィン系リン化合物としては、前述の有機リン配位子として挙げたものを用いる。なかでもアルキル基が炭素数1〜10のアルキル基であるトリアルキルホスフィンを用いるのが好ましい。アルキル基は1級アルキル基であるのが好ましく、直鎖状でも分岐鎖状であってもよい。なお、トリアルキルホスフィンの3個のアルキル基のうち少なくとも2個は同一であるのが好ましく、3個のアルキル基が全て同一であるのが最も好ましい。
【0014】
ホスフィン系リン化合物と反応させるカルボニル化合物としては、ラクトンを用いるのが好ましい。式(1)のホスフィン系リン化合物とラクトンとを付加反応させると、ラクトンのカルボニル−酸素結合の間に式(1)の化合物が挿入され、式(2)の部分構造を有する化合物が生成する。
【0015】
【化9】
Figure 0004396068
【0016】
ホスフィン系リン化合物とカルボニル化合物との付加反応は、ホスフィン系リン化合物に対して過剰量、好ましくは10〜100倍モルのカルボニル化合物を加え、水素又は窒素もしくはアルゴンなどの不活性ガス雰囲気中で、100〜300℃、好ましくは150〜250℃、1〜100時間、好ましくは10〜60時間反応させればよい。ホスフィン系リン化合物に対するカルボニル化合物のモル比が小さいと、ホスフィン系リン化合物の反応率が低下する。また反応温度が低すぎると反応速度が遅くて反応に長時間を必要とし、逆に反応温度が高すぎると熱分解による不純物が生成する。反応生成液は減圧蒸留して残留しているカルボニル化合物を留去したのち、有機溶媒−水の2相で抽出することにより目的の付加生成物を回収できる。なお、反応は通常は無溶媒で行うが、所望ならば溶媒を用いることもできる。
【0017】
溶媒としては例えばジエチルエーテル、アニソール、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジオキサンなどのエーテル類、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、トルイル酸などのカルボン酸類、酢酸メチル、酢酸ブチル、安息香酸ベンジルなどのエステル類、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、テトラリン等の芳香族炭化水素、n−ヘキサン、n−オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素、ジクロロメタン、トリクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素、ニトロメタン、ニトロベンゼン等のニトロ化合物、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のカルボン酸アミド、ヘキサメチルリン酸トリアミドその他のアミド類、N,N−ジメチルイミダゾリジノン等の尿素類、ジメチルスルホン等のスルホン類、ジメチルスルフォキシド等のスルフォキシド類、ガンマブチロラクトン、カプロラクトン等のラクトン類、テトラグライム、トリグライム等のポリエーテル類、ジメチルカーボネート、エチレンカーボネート等の炭酸エステル類等が挙げられる。
【0018】
本発明方法によるアルコールを脱水素してカルボニル化合物を生成させる反応は通常は無溶媒で行うが、所望ならば溶媒を用いることもできる。溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル、アニソール、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジオキサンなどのエーテル類、酢酸メチル、酢酸ブチル、安息香酸ベンジル等のエステル類、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、テトラリン等の芳香族炭化水素、n−ヘキサン、n−オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素、ジクロロメタン、トリクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素、ニトロメタン、ニトロベンゼン等のニトロ化合物、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のカルボン酸アミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、その他のアミド類、N,N−ジメチルイミダゾリジノン等の尿素類、ジメチルスルホン等のスルホン類、ジメチルスルフォキシド等のスルフォキシド類、カプロラクトン等のラクトン類、テトラグライム、トリグライム等のポリエーテル類、ジメチルカーボネート、エチレンカーボネート等の炭酸エステル類などが挙げられる。これらのなかでも好ましいのはエーテル類及びポリエーテル類である。
【0019】
脱水素反応は、反応系に原料のアルコール、錯体触媒及びホスフィン系リン化合物とカルボニル化合物との付加生成物、並びに所望により溶媒を加えて、液相を保つ圧力下、20〜350℃で反応させればよい。好ましい反応温度は100〜300℃、特に150〜250℃である。錯体触媒は、金属として10-4モル〜102モル/L、特に10-3モル〜101モル/Lとなるように反応系に存在させるのが好ましい。触媒濃度が低すぎると反応速度が遅くなる。触媒濃度が高いことは反応上は支障ないが、触媒が極めて高価なので経済的に不利である。従って所望の反応速度が維持できる範囲で、できるだけ低い触媒濃度で反応を行うのが好ましい。
【0020】
ホスフィン系リン化合物とカルボニル化合物との付加生成物は、反応系に存在する原料アルコールとカルボニル化合物の合計量に対して少なくとも0.1重量%以上となるように反応系に存在させる。1重量%以上、特に5重量%以上となるように存在させるのが好ましい。存在量が少なすぎると反応促進効果が十分に発現しない。存在量が多いことは反応上は支障ないが、反応器の容積効率が低下するので不利である。
【0021】
従ってその上限は80重量%以下、特に50重量%以下とするのが好ましい。ホスフィン系リン化合物とカルボニル化合物との付加生成物は反応系内で生成させることもできるが、その効果を十分に発現させるためには原料のアルコールと共に反応系に供給するのが好ましい。通常は原料アルコールに対して1〜50重量%、好ましくは5〜50重量%の付加生成物を反応系に供給することにより、その反応促進効果を反応初期から発現させるようにする。原料アルコールに対して20〜50重量%の付加生成物を反応系に供給するのが最も好ましい。
【0022】
アルコールの脱水素反応では水素ガスが生成するので、これを系外に排出しながら反応させるのが好ましく、できれば開放系で反応させるのが好ましい。閉鎖系で反応させる場合には、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素などの不活性ガス雰囲気とするのが好ましい。反応は回分方式及び連続方式のいずれでも行うことができる。反応生成液は蒸留して生成したカルボニル化合物を回収する。蒸留残渣は錯体触媒及び上述の付加生成物を含有しているので、回収して次回の反応に用いる。
【0023】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例に限定されるものではない。尚、分析は内部標準法によるガスクロマトグラフィーにより行った。
ホスフィン系リン化合物とカルボニル化合物の付加生成物の合成;
500mL丸底フラスコに、ガンマブチロラクトン209.7g、トリ−n−オクチルホスフィン10.5gを窒素雰囲気下で仕込み、205℃に加熱して20時間反応させた。反応終了後、残存しているガンマブチロラクトンを減圧下に留去し、茶褐色の固体を得た。この固体を250mLの分液ロートに入れ、ヘキサン100mL、脱塩水90mLを用いて抽出を行った。得られたヘキサン相からヘキサンをエバポレーターで留去し、白色固体を得た。このものは分析結果から
【0024】
【化10】
Figure 0004396068
【0025】
で示される化合物と同定した。
融点:68−70℃
沸点:291−284℃(10.5mmHg)
ガスクロマトグラフィー分析:リテンションタイム47−48min
NMR分析: 1H−NMR(CDCl3):2.57ppm(2H、t)、2.39ppm(2H、t)、1.85ppm(2H、m)、1.67ppm(6H、m)、1.55ppm(6H、m)、1.38ppm(6H、m)、1.27ppm(24H、m)、0.88ppm(9H、m).
13C−NMR(CDCl3):210.4ppm、43.1ppm、43.0ppm、42.9ppm、31.8ppm、31.5ppm、31.2ppm、31.1ppm、29.3ppm、29.2ppm、29.1ppm、29.0ppm、28.3ppm、27.6ppm、27.5ppm、26.8ppm、23.8ppm、22.6ppm、21.7ppm、21.6ppm、16.1ppm、16.0ppm、14.1ppm、14.0ppm、0.1ppm.
IR:665cm-1、722cm-1、892cm-1、915cm-1、926cm-1、971cm-1、1576cm-1、1661cm-1、1697cm-1、1868cm-1、1904cm-1、1953cm-1、2022cm-1、2057cm-1、2122cm-1、2150cm-1、2191cm-1、2301cm-1、2341cm-1、2356cm-1、2409cm-1、2435cm-1、2531cm-1、2582cm-1、2645cm-1、2669cm-1、2728cm-1、3199cm-1、3383cm-1、3606cm-1、3625cm-1、3716cm-1、3776cm-1、3812cm-1、3851cm-1、3922cm-1、3983cm-1
【0026】
ルテニウム錯体触媒の合成;
500mLSUS製オートクレーブに、ルテニウムトリス(アセチルアセトナト)17.68g、及びトリ−n−オクチルホスフィン162.95g(ルテニウムに対して10倍モル)を導入し、水素圧0.8MPaで水素ガスを導入しながら、190℃に加熱して5時間反応させた。
【0027】
[実施例1]
攪拌器、冷却管、温度測定装置及びサンプリング口を備えた300mLの4つ口フラスコに、1,4−ブタンジオール69.51g、上記で合成したトリオクチルホスフィンとガンマブチロラクトンの付加生成物30.81gを加え、203℃に加熱した。これに上記で合成したルテニウム触媒を4.35g加え、203℃で3時間撹拌を行った。触媒濃度はルテニウムとして約0.1重量%であった。内部標準法により反応液のガスクロマトグラフィー分析を行った結果、1,4−ブタンジオールの転化率は100%であり、ガンマブチロラクトンの選択率は98.3モル%であった。
【0028】
[比較例1]
実施例1と同様に攪拌器、冷却管、温度測定装置及びサンプリング口を備えた300mLの4つ口フラスコに、1,4−ブタンジオール93.31gを加え、205℃に加熱した。これに上記で合成したルテニウム触媒を4.10g加え、203℃で3時間撹拌を行った。触媒濃度はルテニウムとして約0.1重量%であった。内部標準法により反応液の分析を行った結果、1,4−ブタンジオールの転化率は50.3%であり、ガンマブチロラクトンの選択率は87.0モル%であった。
【0029】
【発明の効果】
本発明によれば、アルコールを脱水素してカルボニル化合物を製造する反応を効率よく行うことができる。

Claims (5)

  1. 式(4)で表される有機リン配位子を有する第8族の白金錯体触媒の存在下に1,4−ブタンジオールを脱水素してガンマ−ブチロラクトンを製造するに際し、反応系に1,4−ブタンジオールに対して1〜50重量%の式(5)で表される化合物を供給することを特徴とする方法。
    【化5】
    PR789 …(4)
    (式中、R7、R8及びR9は、相互に独立して、置換基を有していてもよいアルキル基又はアリール基を示す)。
    Figure 0004396068
    (式中、R7、R8及びR9は式(4)におけると同義である)。
  2. 式(4)のR7、R8及びR9がいずれもアルキル基であり、かつ白金族金属がルテニウムであることを特徴とする請求項に記載の方法。
  3. 式(4)のR7、R8及びR9が全てn−オクチル基であり、かつ白金族金属がルテニウムであることを特徴とする請求項に記載の方法。
  4. 式(5)で表される化合物を1,4−ブタンジオールに対して5〜50重量%反応系に供給することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の方法。
  5. 式(5)で表される化合物を1,4−ブタンジオールに対して20〜50重量%反応系に供給することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の方法。
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