JP2001233222A - メモリ機構付きチルトテレスコステアリング装置 - Google Patents

メモリ機構付きチルトテレスコステアリング装置

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JP2001233222A JP2000116969A JP2000116969A JP2001233222A JP 2001233222 A JP2001233222 A JP 2001233222A JP 2000116969 A JP2000116969 A JP 2000116969A JP 2000116969 A JP2000116969 A JP 2000116969A JP 2001233222 A JP2001233222 A JP 2001233222A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】構造が簡単で操作が容易なメモリ機構付きチル
トテレスコステアリング装置を提供する。 【解決手段】操作レバー31を支軸30の軸線33の周
りに回動させると、、ねじ伝動機構Tの働きで、固定ブ
ラケット5の側板13,14がチルトブラケット9の側
板10,11に押圧、又は押圧解除され、チルト、テレ
スコのロックとその解除が達成できる。連結軸32の回
りに操作レバー31を回動させて起こすと、スリーブ4
6がチルトメモリ軸41及びテレスコメモリ47のロッ
クを解除し、チルト、テレスコの各メモリの位置調整が
可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、チルト調節および
テレスコ調節されたステアリングホイールの位置を記憶
しておき、ホップアップ状態のステアリングホイールを
下降させたときに、自動的に記憶された位置に復帰させ
ることができるメモリ機構付きチルトテレスコステアリ
ング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】運転者の体格や運転姿勢等に応じてステ
アリングホイールの高さを変えられるようにしたチルト
ステアリング装置において、ステアリングホイールが乗
降の妨げとならないように、レバーの操作によりステア
リングホイールを最上位置まで跳ね上げて(チルトアッ
プして)、乗降を容易にするための装置が提供されてい
る。
【0003】この種の装置において、チルトアップ前に
チルト調節されたステアリングホイールの高さ位置を記
憶しておくメモリを設けたものがある。すなわち、ばね
の弾力でステアリングホイールをチルトアップした状態
で乗降した後、ステアリングホイールを下降させると、
メモリされた高さ位置に自動的に復帰させることができ
るわけである。例えば、ステアリングコラムをアッパチ
ューブとロアチューブで構成し、アッパチューブの下端
に固定されたチルトブラケットを、ロアチューブの上端
に固定された固定ブラケットに設けられたチルト中心軸
の回りに揺動可能に連結するようにした、いわゆる中折
れ式のチルトステアリング装置がある。この種の中折れ
式のものでは、チルトブラケットに組み付けられたポー
ルを固定ブラケットに設けたラチェットに係合させてチ
ルトロックを達成する。また、メモリ機構としては、チ
ルトブラケットに組み付けられたチルトカムを、ラチェ
ットに固着されたメモリピンにチルトブラケットの下方
への揺動時に係合させるようにするものがある(例えば
特開平5−116634号公報参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記公報の装置では、
チルトロック及びその解除は、チルト中心軸の回りに回
動自在なチルトレバーの操作により行われ、メモリ機構
のメモリ位置の変更は、チルトレバーとは別個に設けら
れた位置決め機構によりチルトカムの回動位置を変更操
作することにより行われる。このようにチルト調整とメ
モリ調整を別々の操作部材で行うので、構造が複雑とな
り、またコンパクト化の妨げともなる。
【0005】一方、簡易チルト式とも呼ばれるいわゆる
足元折れチルト方式のチルトステアリング装置では、フ
リクションロック式のチルトロックを採用していてチル
ト角度が無段に制御されるため、所望のチルト角度でメ
モリロックするようなメモリ機構を設けることが非常に
困難であり、実際上、そのような装置は実現化されてい
ない。ところが、この種の簡易チルト式のチルトステア
リング装置においても、メモリ機構の装着が要望されて
いる。
【0006】ところで、トラック等ではチルトアップし
た状態でドライバが運転席に乗り降りする際に、ステア
リングホイールを手で持って乗り降りするのが普通であ
る。この場合、ステアリングホイールが最上位置でロッ
クされていないと、ステアリングホイールがチルトダウ
ンしてしまう。そこで、ステアリングホイールを最上位
置にロックするロック機構とこれを操作するレバーを設
けているが、乗り降りの前後のレバー操作が面倒である
という問題がある。
【0007】本発明は上記課題に鑑みてなされたもので
あり、本発明の目的は、いわゆる簡易チルト式におい
て、構造が簡単で操作が容易なメモリ機構付きチルトテ
レスコステアリング装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】上記目的
を達成するための課題解決手段として、請求項1記載の
発明は、車両に固定された固定ブラケットの側板および
コラムに固定されたチルトブラケットの側板を貫通する
筒軸並びに、この筒軸内に挿通されて筒軸に対して軸方
向に相対移動可能な支軸を含む軸ユニットと、支軸の軸
線の回りに回動するように操作される被回動部材と、こ
の被回動部材の回動に伴って、両ブラケットの側板同士
を互いに押圧してチルトロックおよびテレスコロックを
達成させるカム機構と、被回動部材を支軸の軸線の回り
に回動させることができ且つ筒軸と支軸を軸方向に相対
移動させることができる操作部材と、この操作部材が筒
軸と支軸を軸方向に相対移動させることに伴って駆動さ
れ、チルトメモリおよびテレスコメモリを上記軸ユニッ
トに固定する固定手段とを備えることを特徴とするもの
である。
【0009】操作部材の操作により、チルトメモリおよ
びテレスコメモリの固定を解除した状態で、チルト調整
した後、チルトロックおよびテレスコロックを達成す
る。また、この状態で操作部材を操作してチルトメモリ
およびテレスコメモリをメモリ位置に固定することによ
りメモリ位置を記憶しておく。以降、運転者が乗降する
際には、操作部材の操作で、ホップアップした後、ステ
アリングホイールを押し下げると、メモリ位置に復帰す
るので、この位置で操作部材を操作してチルトロックお
よびテレスコロックを達成する。単一の操作部材の操作
で簡便にチルトロックおよびテレスコロック並びにチル
トメモリおよびテレスコメモリの固定を達成できる。
【0010】請求項2記載の発明は、請求項1におい
て、上記筒軸および被回動部材の何れか一方に設けら
れ、支軸の軸線と直交する方向に平行な連結軸をさらに
備え、上記操作部材は連結軸の回りに回動可能であると
ともに、連結軸を介して筒軸および被回動部材の何れか
一方と一体回動可能であり、上記操作部材は、連結軸の
回りに回動することに伴って支軸を筒軸に対して軸方向
に進退させる駆動部を含むことを特徴とするものであ
る。
【0011】本発明では、チルト調整やテレスコ調整を
実施する場合には、操作部材を支軸の周りに回動させ、
またチルトメモリおよびテレスコメモリの固定や解除を
実施する場合には、操作部材を連結軸の周りに回動させ
る。これにより、単一の操作部材の操作で各調整やロッ
クを達成することが実質的に可能となる。請求項3記載
の発明は、請求項1又は2において、上記チルトメモリ
は支軸に形成された縦孔を摺動自在に挿通するチルトメ
モリ軸からなり、上記固定手段は、支軸を挿通させる横
孔およびチルトメモリ軸を挿通させる縦孔を有する孔形
成部材を含むことを特徴とするものである。本発明で
は、筒軸と支軸を軸方向に相対移動させることにより、
両軸の縦孔を貫くチルトメモリ軸を両軸に固定すること
ができる。また、縦孔および横孔を有する孔形成部材が
両メモリを固定する手段を兼用するので、構造を簡素化
することができる。
【0012】請求項4記載の発明は、請求項3におい
て、上記チルトメモリ軸は、対向する部材の起伏部に凹
凸係合することのできる起伏部を有することを特徴とす
るものである。本発明では、調整後のチルトメモリ軸を
摩擦係合ではなく、凹凸係合により固定するので、調整
後のチルトメモリ軸の位置がずれるようなことがない。
請求項5記載の発明は、請求項1ないし4の何れか一つ
において、上記テレスコメモリは、支軸を挿通させる長
孔を有し、筒軸と支軸の軸方向の相対移動に伴って一対
の挟持部材間に挟持される部材からなることを特徴とす
るものである。本発明では、筒軸と支軸の相対移動に伴
って、テレスコメモリを一対の挟持部材間で挟持し或い
は挟持を解除することにより、テレスコメモリのロック
およびその解除を達成することができる。
【0013】請求項6記載の発明は、請求項5におい
て、上記テレスコメモリは、一方の挟持部材に形成され
る起伏部に凹凸係合することのできる起伏部を有するこ
とを特徴とするものである。本発明では、調整後のテレ
スコメモリを摩擦係合ではなく、凹凸係合により固定す
るので、調整後のテレスコメモリの位置がずれるような
ことがない。請求項7記載の発明は、請求項2ないし6
の何れか一つにおいて、上記支軸は筒軸に対して軸方向
に相対移動して、チルトメモリおよびテレスコメモリの
ロックに対応する第1の位置と、チルトメモリおよびテ
レスコメモリのロック解除に対応する第2の位置とに変
位可能であり、筒軸に対して支軸を第2の位置に付勢す
る付勢手段と、この付勢手段に抗して、支軸が第1の位
置にある状態で操作部材を連結軸の周りに回動不能に止
定するロック手段とをさらに備えることを特徴とするも
のである。
【0014】本発明では、ロック手段によるロックを解
除すると、付勢手段によって支軸が軸方向に移動されて
チルトメモリおよびテレスコメモリのロックが自動的に
解除される。一方、ロック手段によって操作部材を止定
しておくと、チルトメモリおよびテレスコメモリのロッ
ク状態が保持される。請求項8記載の発明は、請求項1
ないし7の何れか一つにおいて、上記カム機構はねじ伝
動機構を含むことを特徴とするものである。ねじ伝動機
構であれば、構造が簡単であると共に、回動力を軸力に
変換する動作が確実である。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の好ましい実施の形態を添
付図面を参照しつつ説明する。図1は本発明の一実施の
形態のメモリ機構付きチルトテレスコステアリング装置
の分解斜視図であり、図2は装置の要部の斜視図であ
り、図3はチルト調整する際の装置の縦断面図であり、
図4はチルトメモリおよびテレスコメモリのロックを解
除した状態の装置の縦断面図である。
【0016】図1を参照して、本メモリ機構付きチルト
テレスコステアリング装置(以下では、単にステアリン
グ装置ともいう)は、上端にステアリングホイール1が
固定されるステアリングシャフトを回動可能に支承する
ステアリングコラム2を備えている。ステアリングコラ
ム2の下端に固定されたブラケット3には、ステアリン
グコラム2の長手方向に延びる長孔4が形成されてい
る。この長孔4には、固定ブラケット5の丸孔からなる
支持孔6により支持されるチルト中心軸7が挿通され
る。これにより、ステアリングコラム2の下端はチルト
中心軸7の回りに揺動自在に支持されている。また、チ
ルト中心軸7を、ステアリングコラム2の長孔4内で前
後に変位させることにより、テレスコピック調整が可能
となっている。
【0017】ステアリングコラム2は、ステアリングシ
ャフトを回動自在に支承するチューブ8と、このチュー
ブ8に固定されたチルトブラケット9とを含む。このチ
ルトブラケット9の両側板10,11には、ステアリン
グコラム2の長手方向に延びる横長孔12が形成されて
いる。図示していないが、所要時にステアリングホイー
ルをステアリングコラム2と共に最上位置まではね上げ
るチルトアップばねが、固定ブラケット5とチルトブラ
ケット9との間に介在している。
【0018】固定ブラケット5は車両に固定されるもの
であり、相対向する一対の側板13,14と、これら側
板13,14の上端の中間部を互いに連結する上板15
とを備えて下方に開放する溝形をなしている。各側板1
3,14には円弧状の縦長孔16が形成されている。1
7,18は各側板13,14の一部の上縁を外向きに折
り曲げて形成された取付ステーであり、各取付ステー1
7,18に形成されたねじ挿通孔を挿通するボルトによ
り、固定ブラケット5が車両に固定されるようになって
いる。
【0019】19は固定ブラケット5の側板13に形成
された孔に進退するロックピンであり、このロックピン
19は、チルトブラケット9の対応する側板10に形成
されたロック孔20に係合されることにより、ステアリ
ングホイールをチルトアップ位置(ホップアップ位置)
にロックする。21は一端22が側板13に固定された
片持ち状の板ばねからなるロック解除ボタンである。ロ
ック解除ボタン21はロックピン19を側板13の孔に
押し込む方向に弾性的に付勢している。このため、チル
トアップさせると、自動的にロックピン19がロック孔
20に係合され、ステアリングホイールをチルトアップ
位置にロックすることが可能である。一方、手動でロッ
ク解除ボタン21を操作することにより、ロックピン1
9をロック孔20から引き抜いてロックを解除させる。
【0020】23は固定ブラケット5およびチルトブラ
ケット9の各側板10,11;13,14を一体的に挿
通する筒軸である。筒軸23は、縦長孔16に案内され
て固定ブラケット5に対して上下方向の揺動のみを許容
される。一方、横長孔12は、筒軸23に対して、チル
トブラケット9を含むステアリングコラム2が前後に移
動することを許容する。図1および図2を参照して、筒
軸23の相対向する端部には、固定ブラケット5の対応
する側板13,14の外面に沿う第1および第2の端部
材24,25がそれぞれ設けられている。第1の端部材
24は、筒軸23の外周面に形成されたねじ部26にね
じ結合するナット27と、ナット27に延設された一対
のステー28とを含み、被回動部材を構成している。す
なわち、この被回動部材としての第1の端部材24は、
筒軸23に対して、カム機構としてのねじ伝動機構Tを
介して相対回動可能に連結されている。ねじ伝動機構T
は筒軸23のねじ部26とナット27により構成され
る。
【0021】筒軸23の第2の端部材25は、筒軸23
に一体に形成された大径の環状フランジからなる。29
は第2の端部材25に連続する、これより小径の角形フ
ランジからなる回動規制部であり、回動規制部29は、
図3に示すように固定ブラケット5の側板14の縦長孔
16に嵌め入れられており、筒軸23が回動できないよ
うにしている。したがって、第1の端部材24がナット
27と共に筒軸23の周りに回動されると、両端部材2
4,25間の間隔が増減する。これにより、各端部材2
4,25によって固定ブラケット5の側板13,14が
対応するチルトブラケット9の側板10,11に押圧さ
れてチルトロックおよびテレスコロックが達成された
り、或いはチルトロックおよびテレスコロックが解除さ
れたりする。
【0022】図3を参照して、筒軸23を軸方向に貫く
挿通孔23aには、筒軸23に対して軸方向に相対移動
自在な支軸30が同軸に挿通されて、筒軸23の両側へ
突出している。筒軸23と支軸30と第1の端部材24
とで軸ユニットUが構成されている。一方、図1、図2
および図3を参照して、第1の端部材24の一対のステ
ー28には、操作部材としての操作レバー31を回動自
在に支持する連結軸32が取り付けられている。連結軸
32は、支軸30の軸線33と直交する方向に平行であ
る。操作レバー31は、レバー主体34の一端に握り部
35を有し、他端に支軸30を軸方向に駆動するための
駆動部36を有している。駆動部36は支軸30の端部
に形成された周溝37に嵌め入れられ、支軸30の周方
向に移動自在な円弧状の腕部からなる。
【0023】また、操作レバー31のレバー主体34の
中間部から中間腕38が延設されている。この中間腕3
8は、第1の端部材24の一対のステー28間に挟持さ
れ、連結軸32を介してステー28に連結される。これ
により、第1の端部材24と操作レバー31が支軸30
の軸線33の周りに一体回動できるようになっている。
また、図2および図4に示すように、連結軸32の軸線
32aの周りに操作レバー31を回動させると、駆動部
36が支軸30を筒軸23に対して軸方向に進退させる
ようになっている。
【0024】また、図4に示すように、操作レバー31
の駆動部36が支軸30の周方向に対して傾斜すること
を許容するために、周溝37の相対向する壁面には中央
部が膨らむようにクラウニングが施されている。また、
図1、図2および図3を参照して、各ステー28には操
作レバー31の中間腕38を両側から挟持するための樋
状の弾性押圧部39が設けられている。中間腕38に
は、樋状の弾性押圧部39に係合する凹部60が形成さ
れており、係合を確実にしている。
【0025】第2の端部材25に対応する支軸30の端
部には、大径部40が形成され、この大径部40には、
チルトメモリとしてのチルトメモリ軸41を摺動自在に
挿通させる縦孔42が形成されている。この縦孔42は
支軸30の軸線33の方向に沿って扁平な長孔となって
おり、チルトメモリ軸41が縦孔42内で支軸30の軸
線33の方向に所定距離移動することを許容するように
なっている。一方、この大径部40を含む支軸30の端
部を摺動自在に挿通させる横孔43と、上記チルトメモ
リ軸41を摺動自在に挿通させる縦孔44とを交差させ
た十字孔45を有する孔形成部材としてのスリーブ46
が設けられている。
【0026】チルトメモリ軸41の下端には大径の環状
フランジからなるばね受け部53が一体に形成されてお
り、このばね受け部53とスリーブ46の外周面との間
に、チルトメモリ軸41に遊嵌される圧縮コイルばねか
らなる付勢ばね54が介在している。チルトメモリ軸4
1は付勢ばね54により下方へ付勢されている。したが
って、チルトメモリ軸41の固定を解除した状態では常
に、チルトメモリ軸41のばね受け部53が固定ブラケ
ット5の側板14の縁部49の上面に当接することにな
る。
【0027】図1および図2を参照して、47はテレス
コメモリであり、このテレスコメモリ47は、固定ブラ
ケット5の側板14に平行な長尺板からなる主体部48
と、主体部48の端部に設けられ固定ブラケット5の側
板14の縁部49の端部55(図1参照)に係合するス
トッパ50とを備えている。主体部48は、横長孔12
に平行に延びる横長孔51を有しており、この横長孔5
1を支軸30の中間部が貫通している。図示していない
が、固定ブラケット5とテレスコメモリ47との間に介
在する付勢ばねがテレスコメモリ47をそのストッパ5
0が側板14の縁部49の端部55に当接する方向に付
勢している。
【0028】図3を参照して、テレスコメモリ47の主
体部48は、第2の端部材25の端面25aとスリーブ
46の対向端面46aとの間に介在しており、さらに、
テレスコメモリ47の主体部48とスリーブ46の対向
端面46aとの間には、例えば皿ばねからなる付勢ばね
52が介在している。筒軸23と支軸30の軸方向の相
対移動に伴ってテレスコメモリの主体部48および付勢
ばね52が、第2の端部材25の端面25aとスリーブ
46の対向端面46aの間で挟持されて、テレスコロッ
クが達成されるようになっている。
【0029】具体的には、上記支軸30は筒軸23に対
して軸方向に相対移動して、チルトメモリおよびテレス
コメモリのロックに対応する図3に示す第1の位置と、
チルトメモリおよびテレスコメモリのロック解除に対応
する図4に示す第2の位置とに変位可能である。上記の
付勢ばね52は筒軸23に対して支軸30を第2の位置
に付勢する働きをする。一方、第1の端部材24のステ
ー28の弾性押圧部39は、付勢ばね52に抗して、支
軸30が第1の位置にある状態で操作レバー31を止定
するロック手段を構成する。
【0030】本実施の形態では、図3に示すように、弾
性押圧部39が操作レバー31の凹部60に係合して、
操作レバー31の連結軸32周りの回動が規制された状
態で、操作レバー31を支軸30の軸線33の回りに回
動すると、チルトメモリ軸41およびテレスコメモリ4
7に対するロックは維持したままで、チルト調整やテレ
スコ調整を実施することができる。また、ホップアップ
からステアリングホイールを下ろすと、チルトメモリ軸
41のばね受け部53が固定ブラケット5の側板14の
縁部49の上面に当接し、また、テレスコメモリ47の
ストッパ50が固定ブラケット5の側板14の縁部49
の端部55に当接することにより、それぞれチルトおよ
びテレスコのメモリ位置に復帰することになる。
【0031】一方、図4に示すように、操作レバー31
を連結軸32の回りに回動して操作レバー31を傾倒
し、支軸30と筒軸23とを軸方向に相対移動させる
と、スリーブ46によるチルトメモリ軸41やテレスコ
メモリ47に対するロックが解除されるので、操作レバ
ー31を支軸30の軸線33の回りに回動してチルト調
整やテレスコ調整を実施した後、再び図3の状態に操作
レバー31を切り換えることにより、チルトメモリ軸4
1やテレスコメモリ47を新たな調整位置にてロックす
ることができる。
【0032】このように、単一の操作レバー31の操作
で、チルト調整とチルトメモリ位置調整、およびテレス
コ調整とテレスコメモリ位置調整を達成することができ
るので、操作性が非常に良いと共に、構造も非常に簡単
となる。しかも、これを、支軸30を軸方向に駆動する
駆動部37を設けた操作レバー31を被回動部材として
の第1の端部材24に対して傾倒可能に連結するという
簡単な構造にて実現することができる。
【0033】なお、上記の実施の形態では、筒軸23の
第1の端部材24が筒軸23に対して相対回動可能であ
り、第2の端部材25は筒軸23に一体に形成されてい
たが、これに限らず、第2の端部材25を筒軸23に対
して相対回動可能とし、第1の端部材24を筒軸23と
一体に形成するようにしても良い。この場合、第2の端
部材25が筒軸23との間にねじ伝動機構を設けて被回
動部材を構成することになる。
【0034】次いで、図5〜図7は本発明の他の実施の
形態を示している。図5〜図7を参照して、本実施の形
態が図3の実施の形態と主に異なるのは、下記の1)〜
5)である。すなわち、 1)図3の実施の形態では、調整後のチルトメモリ軸4
1およびテレスコメモリ47がそれぞれ摩擦係合により
その位置を固定されるのに対して、本実施の形態では、
ノッチ67,83;68,84による凹凸係合により固
定され、確実な固定を実現する。
【0035】2)本実施の形態では、操作レバー94を
連結軸32の回りに回動させることに伴って支軸70を
筒軸69に対して進退させる駆動部として、板ばね10
1を用いており、この点も図3の実施の形態とは異な
る。 3)図3の実施の形態では筒軸23と支軸30を軸方向
に相対移動させるのに、ねじ伝動機構Tを用いていた
が、本実施の形態では、一対のカム部97,98を含む
カム機構Kを用いている。
【0036】4)本実施の形態では、図3の実施の形態
のスリーブ46に代えて、チャンネル形断面をなす孔形
成部材56を設けている。 5)図3の実施の形態では、チルトロックおよびテレス
コロックを達成するために、操作レバー31が筒軸23
と被回動部材としての第1の端部材24とを相対回動さ
せていたが、本実施の形態では、筒軸69に対する軸方
向移動が規制され且つ筒軸69に対して相対回動自在な
操作レバー支持体91を、固定ブラケット5の側板14
により回動規制された第2の端部材72に対して回動さ
せる。
【0037】より具体的に説明すると、主に図6を参照
して、上記の孔形成部材56は、それぞれ縦孔57を有
する上下のフランジ58,59と、これらフランジ5
8,59を互いに連結する側板61とを有し、この側板
61には横孔62が形成されている。各フランジ58,
59の縦孔57はチルトメモリ軸63を挿通させる。チ
ルトメモリ軸63には、チルト調整後にチルトメモリ軸
63を凹凸係合により止定するための起伏部としての横
溝からなるノッチ67が形成されている。
【0038】64,65は側板61の左右の端部にそれ
ぞれ上下一対で形成されたガイドフランジであり、これ
らのガイドフランジ64,65は、テレスコ調整時のテ
レスコメモリ66の移動を案内する。テレスコメモリ6
6には、テレスコ調整後にテレスコメモリ66を凹凸係
合により止定するための起伏部としての縦溝からなるノ
ッチ68が形成されている。テレスコメモリ66の一端
部には、図7に示すように、チルトブラケット9の側板
10に摺接する筒状筒起からなるストッパ85が86に
より固定されている。
【0039】図5および図6を参照して、69は固定ブ
ラケット5およびチルトブラケット9の各側板10,1
1;13,14を一体的に挿通する筒軸であり、この筒
軸69内を支軸70が挿通している。この筒軸69の相
対向する端部には、固定ブラケット5の対応する側板1
3,14の外面に沿う第1および第2の端部材が71,
72が設けられている。第1の端部材71は、固定ブラ
ケット5の側板13の外面に接する多角形形状の主体部
73と、この主体部73から突出して、孔形成部材56
の側板61の横孔62およびテレスコメモリ66の横長
孔51を貫通する突出部74とを備える。75は第1の
端部材71の主体部73と突出部74を貫いて筒軸69
を挿通させるねじ孔である。
【0040】突出部74の周面に形成された周溝76に
嵌め入れられるC形の止め輪77と、主体部73の突出
部74側の端面との間に、孔形成部材56の側板61お
よびテレスコメモリ66が配置され、止め輪77によっ
て側板61およびテレスコメモリ66の突出部74から
の脱落が防止されている。78は第1の端部材71に対
応して筒軸69の端部に設けられたねじ部であり、この
ねじ部78が第1の端部材71のねじ孔75にねじ込ま
れることにより、筒軸69と第1の端部材71の軸方向
相対移動が規制されている。
【0041】支軸70の孔形成部材56に対応する端部
には、円板状の大径部40が形成され、この大径部40
の外側面には、略矩形の端板79がねじ80により締結
固定されている。大径部40の外側面には、縦溝81が
形成されており、大径部40の外側面が端板79で塞が
れることにより、両者間にチルトメモリ軸54を挿通さ
せる図5に示すような縦孔82が形成されるようになっ
ている。端板79の背面には、チルトメモリ軸63のノ
ッチ67に凹凸係合することのできる起伏部としてのノ
ッチ83が形成されている。また、大径部40の背面に
は、テレスコメモリ66のノッチ68と凹凸係合するこ
とのできる起伏部としてのノッチ84が形成されてい
る。
【0042】一方、図5を参照して、筒軸69の側板1
4側の端部には、径方向に延びる環状フランジ87が形
成され、この環状フランジ87の外周部から延びて筒軸
69と同心の円筒部88が形成されている。円筒部88
に相対回転可能に外嵌される円筒部89と環状フランジ
87に対向する環状フランジ90とを有する、被回動部
材としての操作レバー支持体91が設けられている。9
2は操作レバー支持体91と円筒部88との軸方向相対
移動を規制するべく、円筒部89の内周溝に嵌め入れら
れて円筒部88の端面に当接する止め輪である。
【0043】また、被回動部材としての操作レバー支持
体91の外周の一部には平坦なリブ状をなす操作レバー
支持部93が突出形成されており、この操作レバー支持
部93を貫く連結軸32によって、操作レバー94の基
端部が軸線32aの回りに回動できるように連結されて
いる。また、連結軸32を介して、操作レバー94と操
作レバー支持体91が支軸70の回動軸線33の回りに
一体回動できるようになっている。
【0044】第2の端部材72は、固定ブラケット5の
側板14の外面に沿う円板部95と、円板部95から突
出形成され側板14の縦長孔16に嵌め入れられる回動
規制部96とを有している。そして、操作レバー支持体
91の環状フランジ90およよび第2の端部材72の円
板部95の互いの対向面には、相係合する一対のカム部
97,98がそれぞれ形成され、これらカム部97,9
8によりカム機構Kが構成されている。一対のカム部9
7,98は操作レバー支持体91と第2の端部材72の
相対回転に伴って互いに相手方を軸方向に押す。その結
果、第1および第2の端部材71,72がそれぞれ固定
ブラケット5の側板13,14を対応するチルトブラケ
ット9の側板10,11に押圧する。
【0045】操作レバー94を回動軸線33の回りに回
動させると、回動規制されている第2の端部材72に対
して、被回動部材としての操作レバー支持体91が回動
し、これにより、カム機構Kが筒軸69を支軸70に対
して軸方向に移動させ、チルトロックおよびテレスコロ
ックが達成されたり、解除されたりする。支軸70の側
板14側の端部には、小径部99が設けられ、小径部9
9には、スラストワッシャ100、駆動部としての板ば
ね101の第1の固定端102の貫通孔103、ナット
104およびロックナット105が順次に嵌め入れられ
ている。ナット104およびロックナット105は支軸
70の小径部99の先端のねじ部に止定されている。
【0046】スラストワッシャ100は、支軸70の小
径部99の基端の段付き部106に当接しており、スラ
ストワッシャ100とナット104との間で板ばね10
1の第1の固定端102が挟持されて、板ばね101の
第1の固定端102が支軸70と軸方向に一体移動でき
るようになっている。板ばね101の第2の固定端10
7は操作レバー94の連結軸32から所定距離離れた部
位にねじ108により固定されている。
【0047】本実施の形態によれば、操作レバー94を
軸線32aを中心として図5において時計回りに回動さ
せて傾倒させると、板ばね101が屈曲し筒軸69に対
して支軸70を軸方向に押すことにより、チルトメモリ
軸63およびテレスコメモリ66を調整後の位置にロッ
クすることができる。しかも、これらのロックは対応す
るノッチ67,83;68,84どうしの結合を介して
強固に達成され、調整後のチルトメモリ軸63およびテ
レスコメモリ66が位置ずれすることがない。
【0048】そして、このように操作レバー94を傾倒
させた状態、すなわち、チルトメモリ軸63およびテレ
スコメモリ66のロックをノッチ67,83;68,8
4により強固に達成した状態で、操作レバー94を支軸
69の回動軸線33の回りに回動させると、チルトメモ
リ軸63およびテレスコメモリ66の強固なロックを維
持したままで、チルト調整やテレスコ調整を行うことが
できる。また、ホップアップからステアリングホイール
を下ろすと、チルトメモリ軸63のばね受け部53が固
定ブラケット5の側板13の縁部49の上面に当接する
と共に、テレスコメモリ66のストッパ85が側板13
の縁部49の端部に当接し、それぞれチルトおよびテレ
スコのメモリ位置に復帰することになる。
【0049】一方、図5において、操作レバー94を連
結軸32の軸線32aを中心として反時計回りに回動さ
せると、板ばね101を介して支軸70が筒軸69に対
して軸方向に移動される。これにより、端板79のノッ
チ83によるチルトメモリ軸63に対する押圧が解除さ
れるとともに、大径部40のノッチ84によるテレスコ
メモリ66に対する押圧が解除され、チルトメモリ軸6
3およびテレスコメモリ66が自由に変位できる状態と
なる。
【0050】なお、本発明は上記実施の形態に限定され
るものではなく、本発明の範囲で種々の変更を施すこと
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態としてのメモリ機構付き
チルトテレスコステアリング装置の一部破断分解斜視図
である。
【図2】装置の要部の斜視図である。
【図3】チルト調整する際の装置の縦断面図である。
【図4】チルトメモリおよびテレスコメモリのロックを
解除した状態の装置の縦断面図である。
【図5】本発明の別の実施の形態としてのメモリ機構付
きチルトテレスコステアリング装置の一部破断分解斜視
図である。
【図6】支軸の軸線を含む縦断面で切断した図5の装置
の要部の縦断面図である。
【図7】支軸の軸線を含む横断面で切断した図5の装置
の要部の横断面図である。
【符号の説明】
2 ステアリングコラム 5 固定ブラケット 7 チルト中心軸 9 チルトブラケット 10,11 側板 12 横長孔 13,14 側板 16 縦長孔 23 筒軸 24 第1の端部材(被回動部材) 25 第2の端部材 25a 端面 26 ねじ部 27 ナット T ねじ伝動機構(カム機構) 30 支軸 U 軸ユニット 31 操作レバー(操作部材) 32 連結軸 36 駆動部 39 弾性押圧部(ロック手段) 41 チルトメモリ軸 42 縦孔 43 横孔 44 縦孔 45 十字孔 46 スリーブ(孔形成部材) 46a 対向端面 47 テレスコメモリ 50,53 ストッパ 52,54 付勢ばね 56 孔形成部材 57 縦孔 62 横孔 63 チルトメモリ軸 66 テレスコメモリ 67,68,83,84 ノッチ(起伏部) 69 筒軸 70 支軸 71 第1の端部材 72 第2の端部材 82 縦孔 91 操作レバー支持体(被回動部材) 94 操作レバー 97,98 カム部 K カム機構
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 九郎丸 善和 大阪市中央区南船場三丁目5番8号 光洋 精工株式会社内 Fターム(参考) 3D030 DD17 DD18 DD19 DD26 DD33 DD74

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】車両に固定された固定ブラケットの側板お
    よびコラムに固定されたチルトブラケットの側板を貫通
    する筒軸並びに、この筒軸内に挿通されて筒軸に対して
    軸方向に相対移動可能な支軸を含む軸ユニットと、 支軸の軸線の回りに回動するように操作される被回動部
    材と、 この被回動部材の回動に伴って、両ブラケットの側板同
    士を互いに押圧してチルトロックおよびテレスコロック
    を達成させるカム機構と、 被回動部材を支軸の軸線の回りに回動させることができ
    且つ筒軸と支軸を軸方向に相対移動させることができる
    操作部材と、 この操作部材が筒軸と支軸を軸方向に相対移動させるこ
    とに伴って駆動され、チルトメモリおよびテレスコメモ
    リを上記軸ユニットに固定する固定手段とを備えること
    を特徴とするメモリ機構付きチルトテレスコステアリン
    グ装置。
  2. 【請求項2】上記筒軸および被回動部材の何れか一方に
    設けられ、支軸の軸線と直交する方向に平行な連結軸を
    さらに備え、 上記操作部材は連結軸の回りに回動可能であるととも
    に、連結軸を介して筒軸および被回動部材の何れか一方
    と一体回動可能であり、 上記操作部材は、連結軸の回りに回動することに伴って
    支軸を筒軸に対して軸方向に進退させる駆動部を含むこ
    とを特徴とする請求項1に記載のメモリ機構付きチルト
    テレスコステアリング装置。
  3. 【請求項3】上記チルトメモリは支軸に形成された縦孔
    を摺動自在に挿通するチルトメモリ軸からなり、 上記固定手段は、支軸を挿通させる横孔およびチルトメ
    モリ軸を挿通させる縦孔を有する孔形成部材を含むこと
    を特徴とする請求項1又は2に記載のメモリ機構付きチ
    ルトテレスコステアリング装置。
  4. 【請求項4】上記チルトメモリ軸は、対向する部材の起
    伏部に凹凸係合することのできる起伏部を有することを
    特徴とする請求項3記載のメモリ機構付きチルトテレス
    コステアリング装置。
  5. 【請求項5】上記テレスコメモリは、支軸を挿通させる
    長孔を有し、筒軸と支軸の軸方向の相対移動に伴って一
    対の挟持部材間に挟持される部材からなることを特徴と
    する請求項1ないし4の何れか一つに記載のメモリ機構
    付きチルトテレスコステアリング装置。
  6. 【請求項6】上記テレスコメモリは、一方の挟持部材に
    形成される起伏部に凹凸係合することのできる起伏部を
    有することを特徴とする請求項5に記載のメモリ機構付
    きチルトテレスコステアリング装置。
  7. 【請求項7】上記支軸は筒軸に対して軸方向に相対移動
    して、チルトメモリおよびテレスコメモリのロックに対
    応する第1の位置と、チルトメモリおよびテレスコメモ
    リのロック解除に対応する第2の位置とに変位可能であ
    り、 筒軸に対して支軸を第2の位置に付勢する付勢手段と、 この付勢手段に抗して、支軸が第1の位置にある状態で
    操作部材を連結軸の周りに回動不能に止定するロック手
    段とをさらに備えることを特徴とする請求項2ないし6
    の何れか一つに記載のメモリ機構付きチルトテレスコス
    テアリング装置。
  8. 【請求項8】上記カム機構はねじ伝動機構を含むことを
    特徴とする請求項1ないし7の何れか一つに記載のメモ
    リ機構付きチルトテレスコステアリング装置。
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