JP2001219015A - フィルター用繊維もしくは繊維製品およびその製造方法 - Google Patents

フィルター用繊維もしくは繊維製品およびその製造方法

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JP2001219015A
JP2001219015A JP2000366422A JP2000366422A JP2001219015A JP 2001219015 A JP2001219015 A JP 2001219015A JP 2000366422 A JP2000366422 A JP 2000366422A JP 2000366422 A JP2000366422 A JP 2000366422A JP 2001219015 A JP2001219015 A JP 2001219015A
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fiber
acid
group
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dust collecting
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JP2000366422A
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English (en)
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Kimihiko Noda
公彦 野田
Kazumichi Suzuki
一充 鈴木
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Sanyo Chemical Industries Ltd
Original Assignee
Sanyo Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 都市ゴミ焼却場で使用されるバグフィルター
に、優れたダスト捕集性能を付与する。 【解決手段】 繊維もしくは繊維製品の表面に、3級ア
ミノ基、3級アミン塩基および4級アンモニウム塩基か
らなる群から選ばれる1種以上の官能基を分子内に有す
る化合物からなるダスト捕集性向上剤が100μm以下
の平均粒径で非連続的に付着処理されてなるフィルター
用繊維もしくは繊維製品は優れたダスト捕集性能を有す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、フィルター用繊維もし
くは繊維製品およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、猛毒のダイオキシンが都市ゴミ焼
却場などから発生する煤塵(ダスト)に多く存在するこ
とがわかり、このため、よりダスト捕集効率の高いバグ
フィルターの開発が望まれている。従来、バグフィルタ
ーの捕集効率の改良は、高密度化による方法、PTFE
膜をろ過面に膜加工する方法、2種類の繊維の複合化に
よる方法(特開平6−81270)等が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、高密度化する
には、使用する繊維を細くする必要があり、これにより
機械的強度が保てない、通気圧力損失が高くなる、目詰
まりしやすく払い落としが困難になるといった問題点が
あった。また、PTFE膜をろ過面に膜加工する方法
や、2種類の繊維の複合化による方法は製造コストが高
くなるといった問題点があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、この課題
を解決すべく鋭意検討した結果本発明に至った。
【0005】すなわち本発明は、繊維もしくは繊維製品
の表面にダスト捕集性向上剤が100μm以下の平均粒
径で非連続的に付着処理されてなるフィルター用繊維も
しくは繊維製品;水および/または有機溶剤中に予め分
散させた状態のダスト捕集性向上剤またはダスト捕集性
向上剤および高分子化合物でフィルター用繊維もしくは
繊維製品を処理してなることを特徴とするフィルター用
繊維もしくは繊維製品;並びに、該フィルター用繊維も
しくは繊維製品からなるフィルターである。上記の本発
明におけるダスト捕集性向上剤とは、フィルターに適用
した場合のフィルターの捕集効率(重量%)が、捕集開
始1000秒後で97以上、4000秒後で98以上を
示すものを指す。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明で用いられる3級アミノ基
を分子内に有する化合物としては、 (ア)脂肪族もしくは脂環式3級アミン (イ)非芳香複素環を有する3級アミン (ウ)芳香複素環を有する3級アミン (エ)3級アミノ基含有ポリエステル などが挙げられる。
【0007】脂肪族もしくは脂環式3級アミン(ア)と
しては、下記一般式(1)
【0008】
【化1】
【0009】[式中、R1、R2は炭素数1〜20のアル
キル基、アルケニル基、シクロアルキル基またはヒドロ
キシアルキル基;Aは炭素数1〜20(好ましくは炭素
数2〜12)のアルキレン基またはシクロアルキレン
基;nは0または1〜100の整数を表す]で示される
脂肪族もしくは脂環式3級アミンが挙げられる。R1
2のアルキル基、アルケニル基としては、メチル基、
エチル基、オクチル基、ラウリル基、オレイル基など;
シクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロ
ヘキシル基など;ヒドロキシアルキル基としては、ヒド
ロキシエチル基、ヒドロキシオクチル基などが挙げられ
る。Aのアルキレン基としては、メチレン基、エチレン
基、1,2−および1,3−プロピレン基、1,2−、
2,3−、1,3−および1,4−ブチレン基、1,2
−オクチレン基など;シクロアルキレン基(炭素数3〜
12)としては、1,4−、1,3−および1,2−シ
クロヘキシレン基などが挙げられる。
【0010】脂肪族3級アミンの具体例としては、トリ
メチルアミン、トリエチルアミン、エチルジメチルアミ
ン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミ
ン、トリ−n−オクチルアミン、ジエチル−1−プロピ
ルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレン
ジアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−ラウリ
ルジエタノールアミンなどが挙げられ、脂環式3級アミ
ンの具体例としては、N,N−ジメチルシクロヘキシル
アミン、N,N−ジメチルシクロペンチルアミン、N−
メチルジシクロヘキシルアミン、N−メチルジシクロペ
ンチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−
1,4−ジアミノシクロヘキサンなどが挙げられる。
【0011】非芳香複素環を有する3級アミン(イ)と
しては、下記一般式(2)
【0012】
【化2】
【0013】[式中、R3は水素もしくは炭素数1〜2
0のアルキル基;R4は炭素数1〜20のアルキル基、
またはR3とR4は結合して2〜11個のメチレン基を形
成してもよい;nは2〜9の整数を表し、各メチレン基
は低級アルキル基(炭素数1〜20)で置換されていて
もよい]で示されるもの;N−アルキル(炭素数1〜2
0)環状イミン(N−アルキルピロリジン、N−アルキ
ルピペリジン、N,N’−ジアルキルピペラジン、N−
アルキルヘキサメチレンイミンなど);およびO原子、
P原子またはS原子を含有する3級アミンなどが挙げら
れる。
【0014】一般式(2)におけるR3、R4のアルキル
基、アルケニル基としては、メチル基、エチル基、オク
チル基、ラウリル基、オレイル基などが挙げられる。一
般式(2)で示される非芳香複素環を有するアミンの具
体例としては、特公昭46−10549号公報に記載さ
れたもの、例えば1,5−ジアザビシクロ〔4,3,
0〕−5−ノネン、1,8−ジアザビシクロ〔5,4,
0〕−7−ウンデセンなどが挙げられる。N−アルキル
ピロリジンの具体例としては、N−メチルピロリジン、
N−エチルピロリジンなど;N−アルキルピペリジンの
具体例としては、N−メチルピペリジン、N−エチルピ
ペリジン、N−n−ブチルピペリジンなど;N,N’−
ジアルキルピペラジンの具体例としては、N,N’−ジ
メチルピペラジン、N,N’−ジエチルピペラジンな
ど;N−アルキルヘキサメチレンイミンの具体例として
は、N−メチルヘキサメチレンイミン、N−エチルヘキ
サメチレンイミンなど;O原子を含有する3級アミンの
具体例としては、N−アルキル(炭素数1〜20)モル
ホリン、例えばN−メチルモルホリン、N−ブチルモル
ホリンなど;P原子を含有する3級アミンの具体例とし
ては、2−フリル テトラメチルホスホロジアミデート
など;S原子を含有する3級アミンの具体例としては、
チアゾール、4−ヒドロキシ−2−メルカプト−6−メ
チルピリミジンなどが挙げられる。
【0015】芳香複素環を有する3級アミン(ウ)とし
ては、例えば、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジ
ン、テトラメチルピラジン、ピコリン類、N−メチルイ
ミダゾール、N−メチルベンズイミダゾール、キノリ
ン、4,4'−ジピリジル、ピリミジン、ピリダジン、1,
10−フェナントロリン、ヒドララジン、キナゾリン、
キノキサリンなどが挙げられる。
【0016】3級アミノ基含有ポリエステル〔重量平均
分子量(以下Mwと略記、測定法はGPC法による)2
00〜100,000、3級アミノ基当たりの分子量1
02〜50,000〕(エ)としては、3級アミノ基含
有モノ−もしくはポリオールを含有するアルコール成分
とジカルボン酸成分から得られるポリエステルが挙げら
れる。アルコール成分のうち3級アミノ基含有モノ−も
しくはポリオールとしては、炭素数2以上の非環状アミ
ンもしくは環状アミンのアルキレンオキシド付加物が挙
げられる。
【0017】炭素数2以上の非環状アミンとしてはアル
キレンオキシドが付加されるための活性水素を有する炭
素数2〜24またはそれ以上の非環状アミンで、アルキ
レンオキシド付加後3級アミノ基が形成されるものであ
れば特に制限はない。活性水素はアミノ基から由来して
もよいし、水酸基などアルキレンオキシドが付加し得る
基であればいずれから由来してもよい。
【0018】たとえば、脂肪族2級アミン[ジメチルア
ミン、メチルブチルアミン、メチルイソブチルアミン、
メチルターシャリブチルアミン、メチルペンチルアミ
ン、メチルヘキシルアミン、メチル(2−エチルヘキシ
ル)アミン、メチルオクチルアミン、メチルノニルアミ
ン、メチルイソデシルアミン、エチルプロピルアミン、
エチルイソプロピルアミン、エチルブチルアミン、エチ
ルイソブチルアミン、エチルターシャリブチルアミン、
エチルペンチルアミン、エチルヘキシルアミン、エチル
(2−エチルヘキシル)アミン、エチルオクチルアミ
ン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、プロピ
ルブチルアミン、プロピルイソブチルアミン、プロピル
ターシャリブチルアミン、プロピルペンチルアミン、プ
ロピルヘキシルアミン、プロピル(2−エチルヘキシ
ル)アミン、プロピルオクチルアミン、イソプロピルブ
チルアミン、イソプロピルイソブチルアミン、イソプロ
ピルターシャリブチルアミン、イソプロピルペンチルア
ミン、イソプロピルヘキシルアミン、イソプロピル(2
−エチルヘキシル)アミン、イソプロピルオクチルアミ
ン、ジブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジターシャ
リブチルアミン、ブチルペンチルアミン、ジペンチルア
ミンなど]などが挙げられる。
【0019】環状アミンとしては、炭素数2〜50の非
芳香族ヘテロサイクリックアミン[炭素数2〜50のア
ジリジン環を有するもの(アジリジン、2−メチルアジ
リジン、2−エチルアジリジンなど)、炭素数4〜50
のピロリジン環を有するもの(ピロリジン、2−メチル
ピロリジン、2−エチルピロリジン、2−ピロリドン、
スクシンイミド、1,2−シクロヘキサンジカルボキシ
イミドなど)、炭素数5〜50のピペリジン環を有する
もの(ピペリジン、2−メチルピペリジン、3,5−ジ
メチルピペリジン、2−エチルピペリジン、4−ピペリ
ジノピペリジン、2−メチル−4−ピロリジノピペリジ
ン、エチルピコリコネートなど)、炭素数4〜50のピ
ペラジン環を有するもの(1−メチルピペラジン、1−
メチル−3−エチルピペラジンなど)、炭素数4〜50
のモルホリン環を有するもの(モルホリン、2−メチル
モルホリン、3,5−ジメチルモルホリン、チオモルホ
リンなど)、炭素数4〜50のピロリン化合物(3−ピ
ロリン、2,5−ジメチル−3−ピロリン、2−フェニ
ル−2−ピロリンなど)、炭素数3〜50のピラゾリン
化合物(ピラゾリンなど)、炭素数3〜50のイミダゾ
ール化合物(2−メチルイミダゾール、2−エチル−4
−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾールな
ど)、炭素数3〜50のピラゾール化合物(ピラゾー
ル、ピラゾールカルボン酸など)、炭素数6〜50のカ
プロラクタム化合物(ε−カプロラクタムなど)、炭素
数4〜50のピリダジノン化合物(4−ピリダジノンな
ど)および炭素数12〜50のピリドイン化合物(α−
ピリドインなど)など];炭素数4〜50の芳香族ヘテ
ロサイクリックアミン[炭素数5〜50のピリジン化合
物(2−ヒドロキシピリジン、2−ヒドロキシ−3,5
−ジ−ターシャリブチルピリジン、2−カルボキシルピ
リジン、4−ピリジルカルビノールなど)、炭素数4〜
50のピリミジン化合物(2−ヒドロキシピリミジンな
ど)、炭素数4〜50のピラジン化合物(2−ヒドロキ
シピラジンなど)、炭素数4〜50のピリダジン化合物
(4−ヒドロキシピリダジンなど)および炭素数4〜5
0のピロール化合物(ピロール、2−フェニルピロール
など)など];炭素数6〜50の芳香族アミン[炭素数
6〜50のアニリン化合物(3−メチルアニリン、N−
メチルアニリン、N−イソプロピルアニリンなど)な
ど];炭素数3〜24の脂環式アミン[2級アミン(ジ
シクロヘキシルアミンなど)など]などが挙げられる。
【0020】アルキレンオキシドとしては、炭素数2〜
4の、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、
ブチレンオキシドなどが挙げられる。これらのうち好ま
しいのはエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオ
キシドである。アルキレンオキシドの付加モル数は、通
常1〜50モル、好ましくは1〜20モルであり、付加
形式に限定はなく、ブロック付加、ランダム付加のいず
れでもよい。
【0021】上記3級アミノ基含有モノ−もしくはポリ
オール以外のアルコール成分としてはジオールが挙げら
れる。ジオールとしては、脂肪族ジオール(炭素数2〜
12、例えばエチレングリコール、プロピレングリコー
ル、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオー
ル、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコー
ル)、脂環式ジオール(炭素数6〜20、例えばシクロ
ヘキサン−1,2−、1,3−および1,4−ジオー
ル、シクロペンタン−1,2−および1,3−ジオー
ル、水素添加ビスフェノールA)、芳香脂肪族ジオール
(炭素数8〜16、例えばジヒドロキシメチルベンゼ
ン)など〕、並びにこれらのジオールおよび2価フェノ
ールのアルキレンオキシド1〜50モル付加物が挙げら
れる。前記2価フェノールとしては、単環フェノール
(炭素数6〜16、例えばハイドロキノン、レゾルシ
ン)および多環フェノール(炭素数13〜20、例えば
ビスフェノールF、ビスフェノールA、ビスフェノール
S)などが挙げられる。
【0022】前記カルボン酸成分としては、飽和もしく
は不飽和の脂肪族、脂環式および芳香族ジカルボン酸が
挙げられる。飽和もしくは不飽和の脂肪族ジカルボン酸
(炭素数2〜32)としては、コハク酸、アジピン酸、
アゼライン酸、フマル酸、イタコン酸、オキシカルボン
酸(グリセリン酸、酒石酸、リンゴ酸など)などが挙げ
られる。飽和もしくは不飽和の脂環式ジカルボン酸(炭
素数6〜50)としては、1,4−シクロヘキサンジカ
ルボン酸、ダイマー酸などが挙げられる。芳香族ジカル
ボン酸(炭素数7〜16)としては、フタル酸、イソフ
タル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン
酸などが挙げられる。
【0023】アルコール成分とカルボン酸成分の当量比
は通常(2/1)〜(1/1)、好ましくは(2/1)
〜(1.5/1)である。
【0024】3級アミノ基含有ポリエステル(エ)の具
体例としては下記一般式(3)
【0025】
【化3】
【0026】または、下記一般式(4)
【0027】
【化4】
【0028】[式中、R6、R7は炭素数1〜20(好ま
しくは1〜6)のアルキル基、アルケニル基または炭素
数6〜20(好ましくは6〜12)のアリール基;Aは
炭素数1〜12(好ましくは2〜6)のアルキレン基;
A’は炭素数2〜50(好ましくは3〜20)のジカル
ボン酸の残基;Xはジオールの残基;nは1〜20の整
数、mは0〜20の整数を表す]で示されるものが挙げ
られる。
【0029】R6、R7のアルキル基、アルケニル基とし
ては、メチル基、エチル基、オクチル基、ラウリル基、
オレイル基などが挙げられ、アリール基としては、フェ
ニル基などが挙げられる。一般式(3)で示される3級
アミノ基含有ポリエステルとしては、例えば、N−メチ
ルジエタノールアミンとアジピン酸の縮合物(Mw30
0〜5,000)、一般式(4)で示される3級アミノ
基含有ポリエステルとしては、例えば、N,N’−ジメ
チルエタノールアミンとアジピン酸の縮合物などが挙げ
られる。
【0030】本発明で用いられる3級アミン塩基を分子
内に有する化合物としては、上記3級アミノ基を有する
化合物の無機酸(硫酸、塩酸、硝酸、リン酸など)塩、
有機酸(カルボン酸、スルホン酸、フェノール類など)
塩が挙げられる。これらの塩は上記3級アミノ基含有化
合物を中和するか、相当する2級アミノ基を含有する化
合物〔前記一般式(1)〜(4)において、R2、R4
6がHに置き換わったもの〕をアルキル化剤〔ジアル
キル硫酸(例えばジメチル硫酸など)、アルキルハライ
ド(例えば、メチルクロライドなど)〕と反応させるこ
とにより製造することができる。
【0031】上記カルボン酸としては、脂肪族カルボン
酸、脂環式カルボン酸および芳香族カルボン酸などが挙
げられる。脂肪族カルボン酸としては、モノカルボン酸
(炭素数1〜30、例えばギ酸、酢酸、オクチル酸、オ
レイン酸など);ポリカルボン酸〔ジカルボン酸(炭素
数2〜30、例えばシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グ
ルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、フマ
ル酸、マレイン酸など)、トリカルボン酸(炭素数3〜
30、例えばクエン酸など)、4価以上のポリカルボン
酸(炭素数4〜30、例えばEDTAなど)〕が挙げら
れる。脂環式カルボン酸としては、モノカルボン酸(炭
素数4〜30、例えばシクロヘキサンカルボン酸な
ど);ジカルボン酸(炭素数5〜30、例えば1,2−
シクロヘキサンジカルボン酸など)などが挙げられる。
芳香族カルボン酸としては、モノカルボン酸(炭素数7
〜50、例えば安息香酸など);ポリカルボン酸〔ジカ
ルボン酸(炭素数7〜50、例えばフタル酸、テレフタ
ル酸、イソフタル酸など)、トリカルボン酸(炭素数8
〜50、例えばトリメリト酸など)、4価以上のポリカ
ルボン酸(炭素数9〜50、例えばピロメリト酸な
ど)〕が挙げられる。
【0032】上記スルホン酸としては、脂肪族スルホン
酸(炭素数1〜20、例えばメタンスルホン酸、エタン
スルホン酸など)および芳香族スルホン酸(炭素数6〜
50、例えばベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン
酸、ナフタリンスルホン酸など)が挙げられる。上記フ
ェノール類としては、単環フェノール(炭素数6〜3
0)および多環フェノール(炭素数10〜50)が挙げ
られ、それぞれ1価フェノールおよび多価フェノールが
挙げられる。単環の1価フェノールとしては、フェノー
ル、クレゾール、キシレノール、カルバクロール、トモ
ールなどが挙げられ、多価フェノールとしては、カテコ
ール、レゾルシン、ヒドロキノン、ピロガロール、フロ
ログルシンなどが挙げられる。多環の1価フェノールと
しては、ナフトールなどが挙げられ、多価フェノールと
しては、アントラロビンなどが挙げられる。
【0033】本発明で用いられる4級アンモニウム塩基
を分子内に有する化合物は、上記の3級アミノ基を有す
る化合物をアルキル化剤〔ジアルキル硫酸(例えばジメ
チル硫酸など)、アルキルハライド(例えば、メチルク
ロライドなど)など〕と反応させることにより製造する
ことができる。
【0034】上記例示した3級アミノ基、3級アミン塩
基および4級アンモニウム塩基からなる群から選ばれる
1種以上の官能基を分子内に有する化合物のうちでは、
フィルター用繊維もしくは繊維製品との相溶性の観点か
ら、好ましくはポリエステルである。
【0035】本発明で用いられる3級アミノ基、3級ア
ミン塩基および4級アミン塩基からなる群から選ばれる
少なくとも1種以上の官能基を分子内に有する化合物の
窒素原子含量は通常0.1〜50重量%であり、ダスト
捕集性能の観点から好ましくは1〜30重量%さらに好
ましくは3〜20重量%である。
【0036】本発明で用いられるダスト捕集性向上剤は
単一組成の化合物であってもよいが、2種以上の化合物
の混合物であってもよい。またダスト捕集性向上剤を1
種または2種以上の高分子化合物に混合して用いてもよ
く、繊維もしくは繊維製品との相溶性の観点から高分子
化合物に混合して用いるのが好ましい。高分子化合物と
しては特に限定はなく、熱可塑性高分子化合物(Mw
5,000〜500,000、例えばポリエチレン、ポ
リプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ナイロ
ン、ABS、ポリカーボネート、PMMAなど)、熱硬
化性高分子化合物(Mw5,000〜500,000、
例えば、エポキシ樹脂、ポリウレタンなど)、水溶性
(溶解度;水に対して通常0.1〜80重量%)高分子
(Mw5,000〜20,000,000、例えば、ポ
リアクリルアミド、ポリアクリル酸Na、(メタ)アク
リロイルオキシエチルアンモニウムクロリド重合体な
ど)が使用できるが、ダスト捕集性向上剤との相溶性の
観点から、好ましくはポリエチレンまたはポリプロピレ
ンであり、より好ましくはポリエチレンまたはポリプロ
ピレンと低分子量(Mw10,000〜50,000)
の酸変性ポリエチレンまたは酸変性ポリプロピレンとの
混合物〔混合重量比=(100/1)〜(100/3
0)〕であり、特に好ましくはポリプロピレンと低分子
量の酸変性ポリプロピレンとの混合物〔混合重量比=
(100/1)〜(100/30)〕である。酸変性ポ
リエチレンまたは酸変性ポリプロピレンとは、(無水)
マレイン酸などの不飽和カルボン酸を用いて、ポリエチ
レンまたはポリプロピレンの分子をグラフト変性または
末端変性したものであり、変性の程度は酸価で通常5〜
100である。ダスト捕集性向上剤と高分子化合物を混
合して用いる場合のダスト捕集性向上剤の高分子化合物
に対する割合は、通常10〜90重量%であり、好まし
くは20〜50重量%である。
【0037】上記の3級アミノ基、3級アミン塩基およ
び4級アミン塩基からなる群から選ばれる少なくとも1
種以上の官能基を分子内に有する化合物は、通常水また
は有機溶剤中に分散させた処理分散液として使用され
る。高分子化合物を混合して用いる場合は、該化合物を
水または有機溶剤に分散する前に予め該化合物と高分子
化合物を溶融混練などの方法で均一に混練して用いる。
該化合物を水に分散させる方法としては、例えば該化合
物と非イオン界面活性剤(a)、カチオン界面活性剤
(b)、アニオン界面活性剤(c)、両性界面活性剤
(d)などの界面活性剤と有機溶剤とを配合して均一に
溶解し、徐々に湯(温度40〜60℃)を加えて乳化分
散させる方法、予めジェットミルなどで該化合物を微粉
砕し、これに界面活性剤と水を加えて分散させる方法な
どが挙げられる。これらのうち好ましくは微粉砕した後
に分散させる方法である。界面活性剤の使用量は、ダス
ト捕集性向上剤を単独で用いる場合はダスト捕集性向上
剤の重量に対して通常0.1〜30重量%、またダスト
捕集性向上剤を高分子化合物と混合して用いる場合は該
混合物の重量に対して通常0.1〜30重量%である
が、アニオン界面活性剤の場合は、通常は等電点の95
%以下、好ましくは90%以下、さらに好ましくは80
%以下となる量である。
【0038】非イオン界面活性剤(a)としては、アル
キレンオキシド付加型非イオン界面活性剤(a1)およ
び多価アルコ−ル型非イオン界面活性剤(a2)などが
挙げられる。(a1)としては、ポリオキシアルキレン
(炭素数2〜3)アルキル(炭素数8〜18)エ−テ
ル、ポリオキシアルキレン(炭素数2〜3)高級脂肪酸
(炭素数12〜24)エステル、(a1−3)ポリオキ
シアルキレン(炭素数2〜3)多価(2〜12価)アル
コ−ル高級脂肪酸(炭素数12〜24)エステル、(a
1−4)ポリオキシアルキレン(炭素数2〜3)アルキ
ル(炭素数8〜12)フェニルエ−テル、(a1−5)
ポリオキシアルキレン(炭素数2〜3)アルキル(炭素
数8〜24)アミノエ−テルおよび(a1−6)ポリオ
キシアルキレン(炭素数2〜3)アルキル(炭素数12
〜24)アルカノ−ルアミドが挙げられる。
【0039】(a1)の具体例としては、オクチルアル
コールエチレンオキサイド付加物、ステアリル酸エチレ
ンオキサイド付加物、ポリエチレングリコールのラウリ
ン酸ジエステル、ノニルフェノールエチレンオキサイド
付加物、ラウリルアミンエチレンオキサイド付加物、ヒ
ドロキシエチルラウリン酸アミドのエチレンオキサイド
付加物などが挙げられる。
【0040】(a2)としては、多価(2〜12価)ア
ルコール脂肪酸(炭素数1〜24)エステル、多価(2
〜12価)アルコール脂肪酸(炭素数1〜24)エステ
ルアルキレン(炭素数2〜3)オキサイド付加物、多価
(2〜3価)アルコールアルキル(炭素数1〜24)エ
ーテル、多価(2〜3価)アルコールアルキル(炭素数
1〜24)エーテルアルキレン(炭素数2〜3)オキサ
イド付加物などが挙げられる。
【0041】(a2)の具体例としては、ペンタエリス
リトールモノラウレート、エチレングリコールモノオレ
ートエチレンオキサイド付加物、ペンタエリスリトール
モノブチルエーテル、ソルビタンモノステアリルエーテ
ルエチレンオキサイド付加物などが挙げられる。
【0042】本発明で用いるカチオン系界面活性剤
(b)としては、第4級アンモニウム塩型、アミン塩型
などが挙げられる。第4級アンモニウム塩型としては、
3級アミン類と4級化剤(メチルクロライド、メチルブ
ロマイド、エチルクロライド、ベンジルクロライド、ジ
メチル硫酸などのアルキル化剤;エチレンオキサイドな
ど)との反応で得られ、例えば、ラウリルトリメチルア
ンモニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウム
クロライド、ジオクチルジメチルアンモニウムブロマイ
ド、ステアリルトリメチルアンモニウムブロマイド、ラ
ウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド(塩化
ベンザルコニウム)、セチルピリジニウムクロライド、
ポリオキシエチレントリメチルアンモニウムクロライ
ド、ステアラミドエチルジエチルメチルアンモニウムメ
トサルフェートなどが挙げられる。
【0043】アミン塩型としては、1〜3級アミン類を
無機酸(塩酸、硝酸、硫酸、ヨウ化水素酸など)または
有機酸(酢酸、ギ酸、蓚酸、乳酸、グルコン酸、アジピ
ン酸、アルキル燐酸など)で中和することにより得られ
る。例えば、第1級アミン塩型のものとしては、脂肪族
高級アミン(ラウリルアミン、ステアリルアミン、セチ
ルアミン、硬化牛脂アミン、ロジンアミンなどの高級ア
ミン)の無機酸塩または有機酸塩;低級アミン類の高級
脂肪酸(ステアリン酸、オレイン酸など)塩などが挙げ
られる。第2級アミン塩型のものとしては、例えば脂肪
族アミンのエチレンオキサイド付加物などの無機酸塩ま
たは有機酸塩が挙げられる。また、第3級アミン塩型の
ものとしては、例えば、脂肪族アミン(トリエチルアミ
ン、エチルジメチルアミン、N,N,N’,N’−テト
ラメチルエチレンジアミンなど)、脂環式アミン(N−
メチルピロリジン、N−メチルピペリジン、N−メチル
ヘキサメチレンイミン、N−メチルモルホリン、1,8
−ジアザビシクロ(5,4,0)−7−ウンデセンな
ど)、含窒素ヘテロ環芳香族アミン(4−ジメチルアミ
ノピリジン、N−メチルイミダゾール、4,4’−ジピ
リジルなど)の無機酸塩または有機酸塩;トリエタノー
ルアミンモノステアレート、ステアラミドエチルジエチ
ルメチルエタノールアミンなどの3級アミン類の無機酸
塩または有機酸塩などが挙げられる。
【0044】アニオン界面活性剤(c)としては、カル
ボン酸またはその塩(c1)、硫酸エステル塩(c
2)、カルボキシメチル化物の塩(c3)、スルホン酸
塩(c4)及びリン酸エステル塩(c5)が挙げられ
る。
【0045】カルボン酸またはその塩(c1)として
は、炭素数8〜22の飽和または不飽和脂肪酸またはそ
の塩が挙げられ、具体的にはカプリン酸,ラウリン酸,
ミリスチン酸,パルミチン酸,ステアリン酸,アラキジ
ン酸,ベヘン酸,オレイン酸,リノール酸,リシノール
酸およびヤシ油,パーム核油,米ぬか油,牛脂などをケ
ン化して得られる高級脂肪酸の混合物があげられる。塩
としてはそれらのナトリウム,カリウム,アンモニウ
ム,アルカノールアミンなどの塩が挙げられる。
【0046】硫酸エステル塩(c2)としては、高級ア
ルコール硫酸エステル塩(炭素数8〜18の脂肪族アル
コールの硫酸エステル塩)、高級アルキルエーテル硫酸
エステル塩(炭素数8〜18の脂肪族アルコールのエチ
レンオキサイド1〜10モル付加物の硫酸エステル
塩)、硫酸化油(天然の不飽和油脂または不飽和のロウ
をそのまま硫酸化して中和したもの)、硫酸化脂肪酸エ
ステル(不飽和脂肪酸の低級アルコールエステルを硫酸
化して中和したもの)及び硫酸化オレフィン(炭素数1
2〜18のオレフィンを硫酸化して中和したもの)が挙
げられる。塩としては、ナトリウム塩,カリウム塩,ア
ンモニウム塩,アルカノールアミン塩が挙げられる。
【0047】(c2)の具体例としては、オクチルアル
コール硫酸エステル塩、ラウリルアルコールエチレンオ
キサイド2モル付加物硫酸エステル塩、ヒマシ油,落花
生油,オリーブ油,ナタネ油,牛脂,羊脂などの硫酸化
物のナトリウム塩、オレイン酸ブチルなどの硫酸化物の
ナトリウム塩、ティーポール(シェル社製)などが挙げ
られる。
【0048】カルボキシメチル化物の塩(c3)として
は、炭素数8〜16の脂肪族アルコールのカルボキシメ
チル化物の塩および炭素数8〜16の脂肪族アルコール
のエチレンオキサイド1〜10モル付加物のカルボキシ
メチル化物の塩が挙げられる。
【0049】(c3)の具体例としては、オクチルアル
コールカルボキシメチル化ナトリウム塩、オクチルアル
コールエチレンオキサイド3モル付加物カルボキシメチ
ル化ナトリウム塩などが挙げられる。
【0050】スルホン酸塩(c4)としては、アルキル
ベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸
塩、スルホコハク酸ジエステル型、α−オレフィンスル
ホン酸塩、イゲポンT型が挙げられる。
【0051】(c4)の具体例としては、ドデシルベン
ゼンスルホン酸ナトリウム塩、ドデシルナフタレンスル
ホン酸ナトリウム塩、スルホコハク酸ジ−2−エチルヘ
キシルエステルナトリウム塩などが挙げられる。
【0052】リン酸エステル塩(c5)としては、高級
アルコールリン酸エステル塩及び高級アルコールエチレ
ンオキサイド付加物リン酸エステル塩が挙げられる。
【0053】(c5)の具体例としては、ラウリルアル
コールリン酸モノエステルジナトリウム塩、オレイルア
ルコールエチレンオキサイド5モル付加物リン酸モノエ
ステルジナトリウム塩などが挙げられる。
【0054】本発明で用いる両性界面活性剤(d)とし
ては、(d1)カルボン酸塩型両性界面活性剤、(d
2)硫酸エステル塩型両性界面活性剤、(d3)スルホ
ン酸塩型両性界面活性剤、(d4)リン酸エステル塩型
両性界面活性剤などが挙げられ、(d1)カルボン酸塩
型両性界面活性剤は、さらにアミノ酸型両性界面活性
剤とベタイン型両性界面活性剤が挙げられる。
【0055】カルボン酸塩型両性界面活性剤は、アミノ
酸型両性界面活性剤、ベタイン型両性界面活性剤、イミ
ダゾリン型両性界面活性剤などが挙げられ、これらのう
ち、アミノ酸型両性界面活性剤は、分子内にアミノ基と
カルボキシル基を持っている両性界面活性剤で、例え
ば、下記一般式(5)で示される化合物が挙げられる。
【0056】
【化5】
【0057】[式中、Rは1価の炭化水素基;nは通常
1または2;mは1または2;Mは水素原子、アルカリ
金属原子、アルカリ土類金属原子、アンモニウムカチオ
ン、アミンカチオン、アルカノールアミンカチオンなど
を表す。] 具体的には、例えば、アルキルアミノプロピオン酸型両
性界面活性剤(ステアリルアミノプロピオン酸ナトリウ
ム、ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウムなど);ア
ルキルアミノ酢酸型両性界面活性剤(ラウリルアミノ酢
酸ナトリウムなど)などが挙げられる。
【0058】ベタイン型両性界面活性剤は、分子内に第
4級アンモニウム塩型のカチオン部分とカルボン酸型の
アニオン部分を持っている両性界面活性剤で、例えば、
下記一般式(6)で示されるアルキルジメチルベタイン
(ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジ
メチルアミノ酢酸ベタインなど)、アミドベタイン(ヤ
シ油脂肪酸アミドプロピルベタインなど)、アルキルジ
ヒドロキシアルキルベタイン(ラウリルジヒドロキシエ
チルベタインなど)などが挙げられる。
【0059】
【化6】
【0060】[式中、Q1はアルキル基、高級脂肪酸ア
ミドなど;Q2は水素原子、アルキル基、ヒドロキシア
ルキル基などを表す。]
【0061】さらに、イミダゾリン型両性界面活性剤と
しては、例えば、2−ウンデシル−N−カルボキシメチ
ル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインな
どが挙げられる。
【0062】有機溶剤としては、トルエン、キシレン、
アルキル(炭素数0〜20)ナフタレンなどの芳香族炭
化水素;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン;
ジオキサン、エチルセロソルブなどのエーテル;ジメチ
ルホルムアミドなどのアミド;ジメチルスルホキシドな
どのスルホキシド;メチレンクロライド、クロロホルム
などのハロゲン系炭化水素およびこれらの二種以上の混
合物が挙げられる。
【0063】本発明において、該ダスト捕集性向上剤の
分散液で処理される繊維または繊維製品としては、通常
ガラス繊維、PPS繊維、ポリイミド繊維、PBO繊
維、PTFE繊維およびナイロン繊維からなる群から選
ばれる1種あるいは2種以上の繊維または該繊維からな
る綿、糸、編織物もしくは不織布が挙げられ、好ましく
はガラス繊維、PPS繊維、ポリイミド繊維、PBO繊
維およびPTFE繊維からなる群から選ばれる1種ある
いは2種以上の繊維(太さは通常0.1〜3デニール、
好ましくは0.5〜2デニール)または該繊維からなる
綿、糸、編織物もしくは不織布(通気度は通常3〜30
cm3/s/cm2、好ましくは5〜20cm3/s/c
2)である。
【0064】本発明のダスト捕集性向上剤は、通常、水
または有機溶剤に分散させた処理液の形で用いられる。
該処理液中の固形分(ダスト捕集性向上剤、高分子化合
物および界面活性剤を含む)濃度は、通常5〜70重量
%であり、好ましくは10〜50重量%である。ダスト
捕集性向上剤の繊維に対する付着量は繊維製品の種類や
用途によって異なるが、固形分で通常0.05〜30重
量%、捕集効率および通気圧力損失の観点から好ましく
は、0.1〜20重量%である。
【0065】該ダスト捕集性向上剤の平均粒径(高分子
化合物混合の場合を含む重量平均粒径であり、音響分光
法で測定される値)は通常100μm以下であり、好ま
しくは0.1〜10μmである。平均粒径が100μm
を超えると、繊維または繊維製品に該処理分散液で処理
した際に表面で連続層を形成し、捕集効率の向上効果が
得られない。
【0066】本発明の処理分散液を繊維もしくは繊維製
品に付着させる方法としては、高温加圧下で吸尽させる
吸尽法、パディング法、スプレー法などの通常の方法が
挙げられる。吸尽法以外では、処理温度は常温でよく、
処理分散液を付着した後、通常の方法で、乾燥および熱
処理される。これらの付着方法のうち、ダスト捕集性向
上剤の付着量を一定量に調整し易い点からパディング法
が好ましい。また、付着処理のし易さの観点から、処理
分散液は繊維製品に付着させる方が好ましい。
【0067】本発明の処理方法で処理された繊維などに
本発明のダスト捕集性向上剤が非連続的に付着している
状態はSEM(走査型電子顕微鏡)などの方法により確
認することができ、倍率は通常50〜200倍である。
【0068】本発明が対象とする集塵もしくはろ過用製
品としては、薬液フィルター、食品用フィルター、エン
ジンオイルフィルター、ドライヤーカンバス、エアフィ
ルター、マスクなどの医療衛生用フィルター、都市ゴミ
焼却炉排ガス処理用バグフィルター、カーボンブラック
製品の捕集用フィルター、石炭燃焼ボイラー用フィルタ
ーなどが挙げられるが、これらのうち好ましいものは、
エアフィルター、都市ゴミ焼却炉排ガス処理用バグフィ
ルター、カーボンブラック製品の捕集用フィルター、石
炭燃焼ボイラー用フィルターである。
【0069】
【実施例】以下実施例をもって本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれら実施例に限定されるものではな
い。なお、実施例中の%は重量%を示す。
【0070】製造例1 攪拌器、凝縮器、水分離器および温度計を付した四つ口
フラスコに、N−メチルジエタノールアミン357部と
アジピン酸ジメチル348部およびエステル化触媒とし
てジブチル錫オキサイド0.7部を仕込んで攪拌下、1
20℃まで昇温し、メタノールを留去しながら12時間
エステル交換反応を行い、N−メチルジエタノールアミ
ン:アジピン酸ジメチルのモル比が3:2の3級アミノ
基含有ポリエステル(A)を得た。該(A)にジメチル
硫酸378部を40〜50℃で滴下した。さらに70℃
まで昇温し、2時間熟成した。トルエンを加えて分液し
て未反応のジメチル硫酸を除き、4級アンモニウム塩基
含有ポリエステル(B)を得た。
【0071】製造例2 製造例1で得られた(A)に硫酸294部を40〜50
℃で滴下した。さらに70℃まで昇温し、2時間熟成し
た。トルエンを加えて分液して未反応の硫酸を除き、3
級アミン塩基含有ポリエステル(C)を得た。
【0072】製造例3 熱減成法で得られた数平均分子量12,000、密度
0.89の低分子量ポリプロピレン95部と無水マレイ
ン酸5部とを、窒素雰囲気下180℃で溶融し、ついで
これにジクミルパーオキサイド1.5部を溶かしたキシ
レン50%溶液を15分かけて滴下し、その後1時間反
応を行った後、溶剤を留去して酸変性低分子量ポリプロ
ピレンを得た。
【0073】製造例4 製造例1で得られた(A)20部と製造例3で得られた
酸変性ポリプロピレン10部とポリプロピレン〔宇部興
産(株)製、商品名[ウべポリプロJ609]〕70部
をヘンシェルミキサーにて3分間ブレンドした後、ベン
ト付き2軸押出機にて、240℃、100rpm、滞留
時間5分の条件で溶融混練し混合物を得た。該混合物を
室温まで冷却した後、ジェットミルで微粉砕し、混合物
(A’)を得た。該混合物(A’)150部とノニルフ
ェノールエチレンオキサイド15モル付加物5部を均一
混合した後、水845部を徐々に加えて粒子化し、常温
まで冷却後、横型湿式微粉分散機(アイメックス製ビス
コミル)にて連続的に30分間粉砕し、本発明のダスト
捕集性向上剤の分散液(1)1,000部を得た。該
(1)は、乳白色の分散液で、粘度450cp(25
℃)、平均粒径1.0μm、pHは6.5であった。
【0074】製造例5 製造例1で得られた(A)の代わりに製造例1で得られ
た(B)を用いた以外は、製造例4と同様にして本発明
のダスト捕集性向上剤の分散液(2)1,000部を得
た。該(2)は、乳白色の分散液で、粘度480cp
(25℃)、平均粒径0.9μm、pHは6.3であっ
た。
【0075】製造例6 製造例1で得られた(A)の替わりに製造例2で得られ
た(C)を用いた以外は、製造例4と同様にして本発明
のダスト捕集性向上剤の分散液(3)1,000部を得
た。該(3)は、乳白色の分散液で、粘度430cp
(25℃)、平均粒径1.1μm、pHは6.2であっ
た。
【0076】製造例7 攪拌器、凝縮器、水分離器および温度計を付した四つ口
フラスコに、N,N’−ジメチルエタノールアミン17
8部とアジピン酸ジメチル174部を用いる以外は製造
例1と同様にして、N,N’−ジメチルエタノールアミ
ン:アジピン酸ジメチルのモル比が2:1の3級アミノ
基含有ポリエステル(D)を得た。該(D)にジメチル
硫酸252部を40〜50℃で滴下した。さらに70℃
まで昇温し、2時間熟成した。トルエンを加えて分液し
て未反応のジメチル硫酸を除き、4級アンモニウム塩基
含有ポリエステル(E)を得た。
【0077】製造例8 製造例1で得られた(A)の替わりに製造例7で得られ
た(E)を用いた以外は、製造例4と同様にして本発明
のダスト捕集性向上剤の分散液(4)1,000部を得
た。該(4)は、乳白色の分散液で、粘度480cp
(25℃)、平均粒径0.9μm、pHは6.3であっ
た。
【0078】比較製造例1 製造例1で得られた(A)の替わりに製造例7で得られ
た(D)を用いた以外は、製造例4と同様にして比較処
理剤(1)の分散液1,000部を得た。該(1)は、
乳白色の分散液で、粘度440cp(25℃)、平均粒
径1.0μm、pHは6.2であった。
【0079】比較製造例2 製造例7で得られた(D)に硫酸196部を40〜50
℃で滴下した。さらに70℃まで昇温し、2時間熟成し
た。トルエンを加えて分液して未反応の硫酸を除き、2
級アミン塩基含有ポリエステル化合物(F)を得た。
【0080】比較製造例3 製造例1で得られた(A)の替わりに比較製造例2で得
られた(F)を用いた以外は、製造例4と同様にして比
較処理剤(2)の分散液1,000部を得た。該(2)
は、乳白色の分散液で、粘度490cp(25℃)、平
均粒径0.9μm、pHは6.2であった。
【0081】比較製造例4 製造例4で得られた(A’)150部、ノニルフェノー
ルエチレンオキサイド15モル付加物5部を均一混合し
た後、水845部を加え、ホモジナイザー(特殊機化工
業(株)製)を用いて分散し、比較処理剤(3)の分散
液1,000部を得た。該(3)は、淡黄白色の分散液
で、粘度200cp(25℃)、平均粒径150μm、
pHは6.5であった。
【0082】〈ダスト捕集性能試験〉ダスト捕集性向上
剤の分散液(1)〜(4)および比較処理剤の分散液
(1)〜(3)を用いて下記の試験方法に従いガラス繊
維織布に常温処理し、ダスト捕集性能試験をした結果を
表1に示す。
【0083】試験方法 500g/m2のガラス繊維織布を下記の処理浴(水溶
液)中でパディング処理(絞り率80%)後、乾燥(1
00℃×5分間)し、ヒートセット処理(190℃×5
0秒)した。 (処理浴) アルギン酸ソーダ 2g/l 本発明のダスト捕集性向上剤または比較処理剤の分散液(有効成分15%) 200g/l
【0084】これをJIS10種(Z8901)〔中位
径(質量基準)の範囲 4.8〜5.7μm)のフライ
アッシュを用いて、ダスト離脱性評価装置(風速3.0
m/min、パルス 7回(6.0kgf/cm2×0.
1sec)、圧力損失150mmAq)で1000秒
後、2000秒後、4000秒後の捕集効率(重量%)
を評価した。
【0085】
【表1】
【0086】
【発明の効果】本発明の製造方法によりガラス繊維、P
PS繊維、ポリイミド繊維、PBO繊維、PTFE繊維
およびナイロン繊維などに本発明のダスト捕集性向上剤
を付着させることでダスト捕集性能に優れたフィルター
用の繊維または繊維製品を得ることができる。上記効果
を奏することから本発明のダスト捕集性向上剤は、都市
ゴミ焼却炉で使用されるバグフィルター用などのダスト
捕集性向上剤として極めて有用である。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維もしくは繊維製品の表面にダスト捕
    集性向上剤が100μm以下の平均粒径で非連続的に付
    着処理されてなるフィルター用繊維もしくは繊維製品。
  2. 【請求項2】 繊維もしくは繊維製品がガラス繊維、P
    PS繊維、ポリイミド繊維、PBO繊維およびPTFE
    繊維からなる群から選ばれる1種あるいは2種以上の繊
    維または該繊維からなる綿、糸、編織物もしくは不織布
    からなるものである請求項1記載のフィルター用繊維も
    しくは繊維製品。
  3. 【請求項3】 ダスト捕集性向上剤が3級アミノ基、3
    級アミン塩基および4級アンモニウム塩基からなる群か
    ら選ばれる1種以上の官能基を分子内に有する化合物か
    らなる請求項1または2記載のフィルター用繊維もしく
    は繊維製品。
  4. 【請求項4】 ダスト捕集性向上剤が3級アミノ基、3
    級アミン塩基および4級アンモニウム塩基からなる群か
    ら選ばれる1種以上の官能基を分子内に有するポリエス
    テルからなる請求項1〜3いずれか記載のフィルター用
    繊維もしくは繊維製品。
  5. 【請求項5】 さらに高分子化合物がダスト捕集性向上
    剤と混合されてなる請求項1〜4いずれか記載のフィル
    ター用繊維もしくは繊維製品。
  6. 【請求項6】 水および/または有機溶剤中に予め分散
    させた状態のダスト捕集性向上剤またはダスト捕集性向
    上剤および高分子化合物でフィルター用繊維もしくは繊
    維製品を処理してなることを特徴とする請求項1〜5い
    ずれか記載のフィルター用繊維もしくは繊維製品。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6いずれか記載の繊維もしく
    は繊維製品からなるフィルター。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003080016A (ja) * 2001-09-13 2003-03-18 Nicca Chemical Co Ltd 塵埃捕集材用処理剤及び塵埃捕集材
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