JP2001207010A - 共連続構造を有する樹脂複合体及びその製造方法 - Google Patents

共連続構造を有する樹脂複合体及びその製造方法

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JP2001207010A
JP2001207010A JP2000018152A JP2000018152A JP2001207010A JP 2001207010 A JP2001207010 A JP 2001207010A JP 2000018152 A JP2000018152 A JP 2000018152A JP 2000018152 A JP2000018152 A JP 2000018152A JP 2001207010 A JP2001207010 A JP 2001207010A
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meth
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resin
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JP2000018152A
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English (en)
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Kazutaka Murata
一高 村田
Takanori Anazawa
孝典 穴澤
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Kawamura Institute of Chemical Research
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Kawamura Institute of Chemical Research
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 (a)一分子中に2〜6個の(メタ)アク
リル基を有するアルキル(メタ)アクリレートの硬化物
である架橋重合体と、(b)ポリカーボネート系重合体、
ポリエステル系重合体、フェノキシ樹脂、ビニルアセタ
ール系重合体、塩化ビニル系重合体、酢酸ビニル系重合
体、スチレン系重合体、ウレタン系重合体、未架橋ゴ
ム、及びセルロース誘導体からなる群から選ばれる熱可
塑性樹脂。 【効果】 活性エネルギー線架橋重合性化合物からなる
重合体と比較して、力学特性を改良されたものであり、
また、1つのガラス転移温度を示す樹脂複合体と比較し
ても、力学的特性に優れている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、保護フィルム、保
護膜、各種コーティング材、封止材などとして各種分野
で使用される樹脂複合体であって、破断強度、破断伸
度、弾性率、耐衝撃性、耐摩耗性などの力学特性に優れ
ると共に光学的透明性を有する樹脂複合体及びその製造
方法に関し、更に詳しくは、熱可塑性樹脂と架橋重合体
から成る、共連続ミクロ相分離構造を有する樹脂複合体
及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】活性エネルギー線硬化型組成物は、極め
て短時間で硬化し、作業効率が高く、溶剤の揮発による
環境汚染がないので、塗料、封止剤などに広く利用され
ている。しかしながら、該組成物からなる硬化物は、軟
質系で、表面硬度、耐熱性及び強度が不十分なものであ
るか、或いは、硬質系で、堅くて脆いために、クラック
が発生し易いものであるか、のどちらかの範疇に属し、
同程度の剛性を有する熱可塑性樹脂に比べて強靱性に劣
っていた。このような欠点を改良するために、活性エネ
ルギー線硬化型組成物を熱可塑性樹脂との樹脂複合体と
することにより、活性エネルギー線硬化型組成物を改良
する試みがなされている。
【0003】例えば、特開平11−80556号公報に
は、ビスフェノール型(メタ)アクリレートをアクリル
樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリイミド樹脂によって改良
する方法が開示されている。また、特開平7−3399
1号公報には、感光性組成物の硬化物と熱可塑性樹脂と
からなり、この両者が擬似的均一相溶構造を形成して成
る樹脂複合体及びその製造方法が開示されている。特開
平7−102175号公報には、感光性組成物と熱可塑
性樹脂とを溶剤に溶解し、冷却・相分離させた後に光照
射して感光性組成物を硬化させることからなる樹脂複合
体の製造方法、及びそれにより得られる共連続又は球状
ドメイン構造を有する樹脂複合体が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記特
開平11−80556号公報に方法では、樹脂の親和性
を向上させるためにN,N−ジメチルアクリルアミドな
どのアミド系の重合性化合物の併用が必須であるため、
雰囲気湿度により樹脂の水分吸収度が変化し、特性が大
きく変化するという問題があった。
【0005】また、上記特開平7−33991号公報に
記載の樹脂複合体は、疑似相溶系であるため、力学的特
性の向上の程度は、せいぜい感光性樹脂の硬化物と熱可
塑性樹脂との両者の特性の、組成の重み付き相加平均の
程度であり、構成素材の特性を十分に生かしたものとは
言えなかった。更に、当該公報に記載の樹脂複合体は、
塗料として重要な特性である表面硬度が低下しがちであ
るなどの問題もあった。
【0006】さらに、上記特開平7−102175号公
報に記載の方法は、熱可塑性樹脂として、一般的に感光
性組成物との親和性に乏しいポリスルホン系樹脂を使用
するために、感光性組成物が、ポリスルホンとの親和性
が良い部分アクリル化エポキシ系樹脂に限られるという
問題があった。また、その他の樹脂を用いる場合、熱可
塑性樹脂と感光性組成物とを均一な混合状態とするため
に、有機溶媒を添加して均一混合溶液とし、該均一混合
溶液の賦形物を急速に冷却したり、或いは溶媒を揮発さ
せる方法でミクロ相分離を発生させ、その状態で光照射
して急速に感光性樹脂を硬化させて該相分離構造を固定
する方法を採っている。このため、僅かな製造条件の違
いによって特性が大きく低下しがちであり、製造安定性
や製品の均一性に欠ける上、得られる樹脂複合体もボイ
ドが発生するなどの原因で特性向上の程度も十分なもの
ではなかった。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は上記問題を
解決するため鋭意検討した結果、特定の活性エネルギー
線架橋重合性化合物と特定の熱可塑性樹脂との均一混合
液を任意の形状に賦形し、活性エネルギー線を照射する
ことによって硬化させると同時に相分離を生じせしめる
ことにより、力学的特性の向上した樹脂複合体を安定し
て製造できること見いだし、本発明に到った。
【0008】即ち、本発明は上記課題を解決するため
に、(I)(a) 活性エネルギー線架橋重合性化合物の硬
化物である架橋重合体と、(b) 熱可塑性樹脂、とからな
る共連続構造を有する樹脂複合体であって、(1) 活性エ
ネルギー線架橋重合性化合物が、一分子中に2〜6個の
(メタ)アクリル基を有するアルキル(メタ)アクリレ
ートであり、(2) 熱可塑性樹脂が、ポリカーボネート系
重合体、ポリエステル系重合体、フェノキシ樹脂、ビニ
ルアセタール系重合体、塩化ビニル系重合体、酢酸ビニ
ル系重合体、スチレン系重合体、ウレタン系重合体、未
架橋ゴム、及びセルロース誘導体からなる群から選ばれ
る熱可塑性樹脂である樹脂複合体を提供する。
【0009】また、本発明は上記課題を解決するため
に、(II)共連続構造を有する樹脂複合体が、0.02
〜0.1μmの範囲にある大きさの網目状構造の熱可塑
性樹脂相を有するものである上記(I)項に記載の樹脂
複合体を提供する。
【0010】また、本発明は上記課題を解決するため
に、(III) 共連続構造を有する樹脂複合体が、2つの
ガラス転移温度(Tg)を有するものである上記(I)
又は(II)項に記載の樹脂複合体を提供する。
【0011】また、本発明は上記課題を解決するため
に、(IV)アルキル(メタ)アクリレートが、直鎖アル
キレンジオールジ(メタ)アクリレートである上記
(I)、(II)又は(III) 項に記載の樹脂複合体を提
供する。
【0012】また、本発明は上記課題を解決するため
に、(V)アルキル(メタ)アクリレートがネオペンチ
ルグリコールジ(メタ)アクリレートであり、熱可塑性
樹脂が、ポリカーボネート系重合体、ビニルアセタール
系重合体、塩化ビニル系重合体、酢酸ビニル系重合体、
スチレン系重合体、ウレタン系重合体、及び未架橋ゴム
なる群から選ばれる1以上の熱可塑性樹脂である
(I)、(II)又は(III) 項に記載の樹脂複合体を提
供する。
【0013】また、本発明は上記課題を解決するため
に、(VI)アルキル(メタ)アクリレートがテトラメチ
ロールメタンテトラ(メタ)アクリレートであり、熱可
塑性樹脂が、塩化ビニル系重合体、酢酸ビニル系重合
体、ビニルアセタール系重合体、スチレン系重合体、ウ
レタン系重合体、及び未架橋ゴムなる群から選ばれる1
以上の熱可塑性樹脂である上記(I)、(II)又は(II
I) 項に記載の樹脂複合体を提供する。
【0014】また、本発明は上記課題を解決するため
に、(VII) アルキル(メタ)アクリレートがトリメチ
ロールプロパントリ(メタ)アクリレートであり、熱可
塑性樹脂が、フェノキシ樹脂、塩化ビニル系重合体、酢
酸ビニル系重合体、ビニルアセタール系重合体、スチレ
ン系重合体、ウレタン系重合体、未架橋ゴム、セルロー
ス誘導体なる群から選ばれる1以上の熱可塑性樹脂であ
る上記(I)、(II)又は(III) 項に記載の樹脂複合
体を提供する。
【0015】また、本発明は上記課題を解決するため
に、(VIII)(1) 一分子中に2〜6個の(メタ)アクリ
ル基を有する活性エネルギー線硬化性アルキル(メタ)
アクリレート、及び(2) ポリカーボネート系重合体、ポ
リエステル系重合体、フェノキシ樹脂、ビニルアセター
ル系重合体、塩化ビニル系重合体、酢酸ビニル系重合
体、スチレン系重合体、ウレタン系重合体、未架橋ゴ
ム、及びセルロース誘導体からなる群から選ばれる熱可
塑性樹脂からなる均一混合液を賦形した後、活性エネル
ギー線を照射して均一混合液の賦形物を硬化させ、相分
離を誘発させるとともに、共連続構造を固定化する上記
(I)〜(VII) のいずれか1項に記載の樹脂複合体の
製造方法を提供する。
【0016】また、本発明は上記課題を解決するため
に、(IX)(1) 活性エネルギー線硬化性アルキル(メ
タ)アクリレート、(2)熱可塑性樹脂、及び(3)これらを
溶解する溶剤とからなる均一混合液を賦形した後、溶剤
を乾燥除去し、しかる後に活性エネルギー線を照射する
上記(VIII)項に記載の樹脂複合体の製造方法を提供す
る。
【0017】さらに、本発明は上記課題を解決するため
に、(X)均一混合液が光重合開始剤を含有し、活性エ
ネルギー線が紫外線である上記(VIII)又は(IX)項に
記載の樹脂複合体の製造方法を提供する。
【0018】さらにまた、本発明は上記課題を解決する
ために、(XI)活性エネルギー線照射温度が50〜20
0℃である上記(VIII)、(IX)又は(X)項に記載の
樹脂複合体の製造方法を提供する。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明の樹脂複合体は、熱可塑性
樹脂と、活性エネルギー線架橋重合性化合物の硬化物で
ある架橋重合体(以下、「活性エネルギー線架橋重合性
化合物の硬化物である架橋重合体」を「活性エネルギー
線架橋重合体」と称する場合がある)で構成される樹脂
複合体である。本発明の樹脂複合体は、相対的に熱可塑
性樹脂濃度の高い相(以下、熱可塑性樹脂相と称する)
と、相対的に活性エネルギー線架橋重合体濃度の高い相
(以下、架橋重合体相と称する)にミクロ相分離した樹
脂複合体であり、それぞれの相が3次元的に連続してい
る相分離構造、即ち、共連続構造を採っている。透過型
電子顕微鏡で観察した本発明の樹脂複合体の任意の方向
の断面には、網目状に連続した熱可塑性樹脂相が観察さ
れる。この網目は、部分的に途切れた箇所を有していて
もよい。また、本発明の樹脂複合体を、熱可塑性樹脂を
溶解する溶剤に浸漬しても、活性エネルギー線架橋重合
体相は、粉末に分解することはない。
【0020】これらのことから、本発明の樹脂複合体
は、活性エネルギー線架橋重合体相で構成された微小な
球形に近い細胞が、3次元網目状の連続相である熱可塑
性樹脂相によってほとんど包まれているが完全には包ま
れておらず、細胞同士が互いに接続している構造を採っ
ていると考えられる。
【0021】樹脂複合体中における熱可塑性樹脂相の網
目寸法は、0.01〜10μm の範囲が好ましく、0.
02〜5μm の範囲が特に好ましい。熱可塑性樹脂相の
網目寸法が0.01μm 未満であると、力学特性の向上
の程度が不十分となりがちであり、熱可塑性樹脂相の網
目寸法が10μm を超えると、力学特性の向上の程度が
不十分となるか、かえって低下しがちであるので、好ま
しくない。光学的に透明で、かつ、十分な力学特性を有
する樹脂複合体を得るためには、樹脂複合体中における
熱可塑性樹脂相の網目寸法は、0.02〜0.1μmの
範囲にあることが好ましい。熱可塑性樹脂相の網目寸法
は、透過型電子顕微鏡にて測定することができる。網目
寸法は、電子顕微鏡像における、網目で囲まれている相
の中心間距離の平均値として求めることができる。
【0022】本発明の樹脂複合体は、樹脂複合体を構成
する架橋重合体のガラス転移温度TgCと樹脂複合体を
構成する熱可塑性樹脂のガラス転移温度TgLとの間
に、2つのガラス転移温度Tg1びTg2(但し、Tg
1<Tg2とする)を有することが好ましい。2つのガ
ラス転移温度を有することで、本樹脂複合体を構成する
架橋重合体と熱可塑性樹脂の特性の、組成の重み付き相
加平均以上の特性を示すことができる。このとき、Tg
C<TgLであっても良いし、TgC>TgLであって
もよい。しかしながら、TgC=TgL(TgC≒Tg
Lを含む)の場合には、2つのガラス転移温度は縮退
し、本発明になる樹脂複合体であっても、Tgが2つ存
在することは判別できない。また、樹脂組成比に大きな
差がある非対称組成の場合や、熱可塑性樹脂が結晶性樹
脂である場合にも2つのガラス転移温度の存在が判別で
きなくなる場合がある。
【0023】ガラス転移温度(Tg)は、任意の測定方
法、例えば、動的粘弾性、示差熱量分析(DSC)など
で測定することができるが、高感度であることから動的
粘弾性測定によることが好ましい。動的粘弾性の測定周
波数や昇温速度は、試料の特性に合わせて任意に設定す
ることができる。動的粘弾性測定によるTgは、tan
δ(=損失弾性率/貯蔵弾性率)の温度依存性のグラフ
におけるピークとして与えられる。
【0024】一般に、架橋重合体のガラス転移温度Tg
Cと熱可塑性樹脂のガラス転移温度TgLとの間にTg
が1つ存在する場合には、この樹脂複合体は、(疑似)
相溶状態であることを示しており、力学特性は、一般的
に、それを構成する重合体の特性の、組成の重み付き相
加平均を示す。また、構成する重合体が、光学的に透明
である場合には、樹脂複合体も、通常、透明となる。
【0025】TgCとTgLとの間に、もしくはこれら
のTgとそれぞれ一致して、2つのTgを有する場合に
は、樹脂複合体を構成する重合体が相分離していること
を示しており、この樹脂複合体の力学特性は、一般的に
は、(疑似)相溶系に比べてより高くなる場合もあり、
より低い場合もあり、相分離の形状によって大きく変わ
りうることが知られている。また、光学的には、通常、
不透明である。
【0026】本発明の樹脂複合体の場合、(疑似)相溶
状態の樹脂複合体の力学特性を上回る特性を得ることが
可能である。また、透明性についても、本発明の樹脂複
合体は、相分離していながら、光学的に透明な成形物と
することができる。透明な成型物の場合、可視光域の平
行光透過率が70%以上であることが好ましく、80%
以上であることがさらに好ましい。
【0027】本発明の樹脂複合体は、任意の形状の成形
物に成形することができる。本発明の樹脂複合体からな
る成形物が取りうる形状としては、例えば、塗膜、フィ
ルム(シート、リボンなどを含む)、薄膜、繊維、注型
物、含浸物、その他複雑な形状でありうる。しかし、架
橋重合体として活性エネルギー線架橋重合体を使用する
都合上、活性エネルギー線が到達しうる厚みである必要
があり、厚みは5mm未満であることが好ましく、厚みは
薄く、一定であることが好ましい。従って、用途にもよ
るが、厚みが好ましくは300μm以下、さらに好まし
くは200μm以下のフィルム状又は塗膜状であること
が好ましい。また、特に高い透明度を必要とする場合に
は、膜厚10μm以下のフィルム状又は塗膜状が好まし
い。
【0028】本発明の樹脂複合体を構成する架橋重合体
は、活性エネルギー線架橋重合性化合物を活性エネルギ
ー線照射により硬化させた架橋重合体、即ち、活性エネ
ルギー線架橋重合体である。
【0029】本発明で使用する活性エネルギー線架橋重
合性化合物は、一分子中に2〜6個の(メタ)アクリル
基を有するアルキル(メタ)アクリレートである。該ア
ルキル(メタ)アクリレートは、光重合開始剤の存在下
でのみ硬化するものであっても良い。活性エネルギー線
架橋硬化性化合物は、単独で用いることもでき、該アル
キル(メタ)アクリレート同士あるいは他の種の活性エ
ネルギー線架橋重合性化合物と2種類以上を混合して用
いることもできる。
【0030】一分子中に2〜6個の(メタ)アクリル基
を有するアルキル(メタ)アクリレートは、アルキル多
価アルコール(アルキルポリオールとも言う)の(メ
タ)アクリル酸エステルであり、アルキル多価アルコー
ルのアルキレン基は、直鎖アルキレン基や分岐アルキレ
ン基であってよく、置換アルキレン基であってよい。活
性エネルギー線架橋重合性化合物としてこのような(メ
タ)アクリレートを使用することにより、容易に共連続
構造を有する樹脂複合体を得ることができ、高い力学特
性を実現することができる。
【0031】一分子中に2個の(メタ)アクリル基を有
するアルキル(メタ)アクリレートは、例えば、一般式
(1)
【0032】
【化1】
【0033】(式中、−Xは、水素原子又はメチル基を
表わし、R1 は置換基を有していても良いアルキレン
基を表わす。)で表わされる化合物が挙げられる。
【0034】上記一般式において、R1 が、直鎖アル
キレン基、ポリ(1−メチルエチレン)基、ポリ(1−
メチルプロピレン)基、ポリ(2−メチルプロピレン)
基、ポリ(2,2−ジメチルプロピレン)基、ポリ
(2,2−ジエチルプロピレン)基、ポリ(2−エチル
−2−メチルプロピレン)基、ポリ(3−メチルペンチ
ル)基、ポリ(2−メチルオクチル)基、ポリ(2−ヒ
ドロキシメチルプロピレン)基及びポリ(2−エチル−
2−ベンゾイルオキシメチルプロピレン)基からなる群
から選ばれる2価の基である化合物が好ましく、R1
が、炭素原子数2〜18の直鎖アルキレン基;繰り返し
数1〜3のポリ(1−メチルエチレン)基、ポリ(1−
メチルプロピレン)基、ポリ(2−メチルプロピレン)
基、ポリ(2,2−ジメチルプロピレン)基、ポリ
(2,2−ジエチルプロピレン)基及びポリ(2−エチ
ル−2−メチルプロピレン)基から選ばれる2価の基で
ある化合物が特に好ましく、R1 が、炭素原子数2〜
12の直鎖アルキレン基;繰り返し数1〜2のポリ(1
−メチルエチレン)基、ポリ(1−メチルプロピレン)
基、ポリ(2−メチルプロピレン)基、ポリ(2,2−
ジメチルプロピレン)基、ポリ(2,2−ジエチルプロ
ピレン)基及びポリ(2−エチル−2−メチルプロピレ
ン)基から選ばれる2価の基である化合物が更に好まし
い。
【0035】一般式(1)で表わされる化合物の中で
も、特に好ましい化合物としては、例えば、エチレング
リコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオ
ールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオー
ルジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ
(メタ)アクリレートの如き直鎖アルキレンジオール
(メタ)アクリレート;1,3−ブチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メ
タ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)
アクリレート、トリメチロールプロパンベンゾエートジ
アクリレート、などが挙げられる。
【0036】一分子中に3個の(メタ)アクリル基を有
するアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、
一般式(2)
【0037】
【化2】
【0038】(式中、−Xは、水素原子又はメチル基を
表わし、R2 は水素原子又は置換基を有していても良
いアルキル基を表わし、R3 は、置換基を有していて
も良いアルキレン基を表わし、k、l及びmは、それぞ
れ、ゼロ又は正の整数を表わす。)で表わされる化合物
が挙げられる。
【0039】一般式(2)において、R2 が、水素原
子、メチル基、エチル基又はヒドロキシメチル基である
化合物が好ましい。また、一般式(2)において、R3
が、メチレン基であって、かつ、k、l及びmが0〜
12の範囲にある化合物が好ましく、k、l及びmがす
べてゼロである化合物が特に好ましい。
【0040】一般式(2)で示される化合物の中でも、
特に好ましく用いることのできる化合物としては、トリ
メチロールプロパントリ(メタ)アクリレートが挙げら
れる。
【0041】一分子中に4個の(メタ)アクリル基を有
するアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、
テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレートが
挙げられる。
【0042】活性エネルギー線架橋重合体は、活性エネ
ルギー線架橋重合性化合物と、単独では架橋重合体を与
えない、一分子中に1個の活性エネルギー線重合性官能
基を有する化合物(以下、単官能の活性エネルギー線重
合性化合物という。)との共重合体とすることも可能で
ある。
【0043】単官能の活性エネルギー線重合性化合物と
して使用することができる単官能(メタ)アクリル系単
量体としては、例えば、メチルメタクリレート、アルキ
ル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリ
レート、アルコキシポリエチレングリコール(メタ)ア
クリレート、フェノキシジアルキル(メタ)アクリレー
ト、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリ
レート、アルキルフェノキシポリエチレングリコール
(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレ
ングリコール(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキ
ル(メタ)アクリレート、グリセロールアクリレートメ
タクリレート、ブタンジオールモノ(メタ)アクリレー
ト、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレ
ート、2−アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシ
プロピルアクリレート、エチレンオキサイド変性フタル
酸アクリレート、ω−アルコキシカプロラクトンモノア
クリレート、2−アクリロイルオキシプロピルハイドロ
ジェンフタレート、2−アクリロイルオキシエチルコハ
ク酸、アクリル酸ダイマー、2−アクリロイルオキシプ
ロピルヘキサヒドロハイドロジェンフタレート、フッ素
置換アルキル(メタ)アクリレート、塩素置換アルキル
(メタ)アクリレート、シラノ基を有する(メタ)アク
リレート、などが挙げられる。
【0044】単官能の活性エネルギー線重合性化合物と
して使用できる単官能マレイミド系単量体としては、例
えば、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、
N−ブチルマレイミド、N−ドデシルマレイミド、の如
きN−アルキルマレイミド;N−シクロヘキシルマレイ
ミドの如きN−脂環族マレイミド;N−ベンジルマレイ
ミド;N−フェニルマレイミド、N−(アルキルフェニ
ル)マレイミド、N−ジアルコキシフェニルマレイミ
ド、N−(2−クロロフェニル)マレイミド、2,3−
ジクロロ−N−(2,6−ジエチルフェニル)マレイミ
ド、2,3−ジクロロ−N−(2−エチル−6−メチル
フェニル)マレイミドの如きN−(置換又は非置換フェ
ニル)マレイミド;N−ベンジル−2,3−ジクロロマ
レイミド、N−(4’−フルオロフェニル)−2,3−
ジクロロマレイミドの如きハロゲンを有するマレイミ
ド;ヒドロキシフェニルマレイミドの如き水酸基を有す
るマレイミド;N−(4−カルボキシ−3−ヒドロキシ
フェニル)マレイミドの如きカルボキシ基を有するマレ
イミド;N−メトキシフェニルマレイミドの如きアルコ
キシ基を有するマレイミド;N−[3−(ジエチルアミ
ノ)プロピル]マレイミドの如きアミノ基を有するマレ
イミド;N−(1−ピレニル)マレイミドの如き多環芳
香族マレイミド;N−(ジメチルアミノ−4−メチル−
3−クマリニル)マレイミド、N−(4−アニリノ−1
−ナフチル)マレイミドの如き複素環を有するマレイミ
ド、などが挙げられる。
【0045】更に、樹脂複合体の特性を制御するため
に、活性エネルギー線架橋重合性化合物は、架橋重合性
の重合性オリゴマー(プレポリマーとも呼ばれる)と共
重合体とすることも可能である。プレポリマーとして
は、例えば、重量平均分子量が500〜50000のも
のが挙げられ、例えば、エポキシ樹脂の(メタ)アクリ
ル酸エステル、ポリエーテル樹脂の(メタ)アクリル酸
エステル、ポリブタジエン樹脂の(メタ)アクリル酸エ
ステル、分子末端に(メタ)アクリロイル基を有するポ
リウレタン樹脂、などが挙げられる。
【0046】本発明で使用する熱可塑性樹脂は、好まし
くは200℃以下の温度で、本発明で使用する活性エネ
ルギー線架橋重合性化合物と均一に混合するものであ
り、ポリカーボネート系重合体、ポリエステル系重合
体、フェノキシ樹脂、ビニルアセタール系重合体、塩化
ビニル系重合体、酢酸ビニル系重合体、スチレン系重合
体、ウレタン系重合体、未架橋ゴム及びセルロース誘導
体からなる群から選ばれる熱可塑性樹脂である。これら
の熱可塑性樹脂は、本発明で使用する活性エネルギー線
架橋重合性化合物と組み合わせて使用すると、良好な共
連続構造を形成しやすく、特性を向上させやすい。勿
論、熱可塑性樹脂は単独で用いることもできるし、二種
類以上を混合使用することもできる。
【0047】なお、本発明で言う熱可塑性樹脂は、架橋
重合体でない重合体をいい、直鎖状重合体と枝別れ重合
体を含む。従って、軟化点が分解温度より高く、熱可塑
性を示さない重合体も含む。本発明で使用する熱可塑性
樹脂は、非晶性であっても結晶性であってもよい。結晶
性重合体の場合には、その融点が200℃以下のものが
好ましく、融点が150℃以下のものが特に好ましい。
熱可塑性樹脂として用いる結晶性重合体の融点が高いも
のは、200℃以下の温度では活性エネルギー線架橋重
合性化合物との相溶性に劣る傾向にあるので、好ましく
ない。
【0048】本発明で使用できるポリカーボネート系重
合体としては、例えば、ビスフェノール-A型、ビスフ
ェノール-F型、ビスフェノール−Z型のポリカーボネ
ート及びその共重合体やこれらの置換体、などが挙げら
れる。
【0049】本発明で使用できるポリエステル系重合体
としては、例えば、多価カルボン酸と多価アルコールの
縮合重合体、その共重合体やそれらの置換体が挙げられ
る。
【0050】本発明で使用できるポリエステル系重合体
を構成する多価アルコールとしては、例えば、ビスフェ
ノール-A、ビスフェノール-F、ビスフェノール−Z、
テトラメチルビフェノール、エチレングリコール、プロ
ピレングリコール、ブチレングリコール、ペンタンジオ
ール、ヘキサメチレンジオール、オクタンジオール、ネ
オペンチルグリコール、シクロヘキサンジオール、ジエ
チレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピ
レングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピ
レングリコール、ポリテトタメチレングリコールなどが
挙げられる。これらの多価アルコールは2種類以上を併
用することもできる。これらの多価アルコールの中で
も、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチ
レングリコール、ヘキサメチレンジオール、ネオペンチ
ルグリコールが特に好ましい。
【0051】本発明で使用できるポリエステル系重合体
を構成する多価カルボン酸としては、例えば、テレフタ
ル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸の如き芳
香族カルボン酸;コハク酸、アジピン酸、アゼライン
酸、セバシン酸、ブラシル酸、シクロヘキサンジカルボ
ン酸の如き炭素原子数4〜14の脂肪族ジカルボン酸;
ダイマー酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、無水ト
リメリット酸、無水ピロメリット酸、などが挙げられ
る。これらの多価カルボン酸は2種類以上を併用するこ
ともできる。これらの多価カルボン酸の中でも、テレフ
タル酸、イソフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシ
ン酸、シクロヘキサンジカルボン酸が特に好ましい。こ
れらの他、多価カルボン酸成分として、ポリε−カプロ
ラクトン、ポリブチロラクトンの如きラクトン系ポリエ
ステルも使用できる。
【0052】本発明で使用できるフェノキシ樹脂は、エ
ピクロルヒドリンとビスフェノール系化合物の反応物で
あり、末端にエポキシ基を有しないものである。そのよ
うなフェノキシ樹脂の中でも、エピクロルヒドリンとビ
スフェノールAから得られるフェノキシ樹脂が特に好ま
しい。
【0053】本発明で使用できるビニルアセタール系重
合体としては、ポリビニルフォルマール、ポリビニルア
セタール及びその共重合体やこれらの置換体が挙げられ
る。これらのビニルアセタール系重合体の中でも、ポリ
ビニルフォルマール、ポリビニルアセタールが特に好ま
しい。
【0054】本発明で使用できる塩化ビニル系重合体と
しては、塩化ビニル、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリ
プロピレンを挙げることができる。塩素化ポリエチレン
及び塩素化ポリプロピレンは、その塩素含有量が50%
以上の高塩素化タイプの重合体が好ましい。
【0055】本発明で使用できる酢酸ビニル系重合体と
しては、酢酸ビニル及びその共重合体やこれらの置換体
が挙げられる。これらの酢酸ビニル系重合体の中でも、
酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)
が特に好ましい。
【0056】本発明で使用できるスチレン系重合体とし
ては、ポリスチレン、その共重合体やこれらの置換体が
挙げられる。これらのスチレン系重合体の中でも、ポリ
スチレン(PS)、ポリα−メチルスチレン、スチレン
−メチルメタクリレート共重合体(MS)、スチレン−
アクリロニトリル共重合体(AS)、スチレン−無水マ
レイン酸共重合体(SMAA)、スチレン−マレイン酸
共重合体が特に好ましい。
【0057】本発明で使用できるウレタン系重合体とし
ては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジ
イソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシ
アネート、トリジンジイソシアネート、ナフタリンジイ
ソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソ
ホロンジイソアネート、キシリレンジイソシアネート、
ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートなどのイソシ
アネートと、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンア
ジペート、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリカプロ
ラクトンなどのポリエステルポリオールやポリオキシプ
ロピレンジオール、ポリテトラメチレングリコールエー
テル、ポリオキシエチレンジオールなどのポリエーテル
ポリオールの重合物である熱可塑性ポリウレタン、など
が挙げられる。これらのウレタン系重合体の中でも、イ
ソシアネートとして、トリレンジイソシアネート又はジ
フェニルメタンジイソシアネートを用い、ポリオールと
して、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオ
ール、ネオペンチルグリコールとアジピン酸のポリエス
テルポリオールを用いたウレタン系重合体が好ましい。
【0058】本発明で使用できる未架橋ゴムとしては、
ブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリル−ブタジエ
ンゴム(NBR)、スチレン-ブタジエンゴム(SB
R)などのジエン系ゴム;クロロプレンゴム、イソプレ
ンゴムなどのイソプレン系ゴム;及びアクリルゴム(A
R)が挙げられる。これらの未架橋ゴムの中でも、NB
R、SBR、ARが特に好ましい。
【0059】本発明で使用できるセルロース誘導体とし
ては、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸プロ
ピオン酸セルロースなどの有機酸セルロース;メチルセ
ルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロ
キシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチ
ルセルロース、エチルセルロース、エチルヒドロキシエ
チルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボ
キシメチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメ
チルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロ
ースなどのセルロースエーテル類;ニトロセルロース、
硫酸セルロース、リン酸セルロースなどの無機セルロー
スが挙げられる。これらのセルロース誘導体の中でも、
エチルセルロース、ニトロセルロースが特に好ましい。
【0060】なお、熱可塑性樹脂の中でも、ポリエーテ
ルスルホンやポリスルホンは、本発明で使用する活性エ
ネルギー線架橋重合性化合物との相溶性が過度に低く、
共連続構造を有する樹脂複合体を得ることが相当に困難
であるため、好ましいものとはいえない。
【0061】これら熱可塑性樹脂は、本発明で使用する
活性エネルギー線架橋重合性化合物と組み合わせて使用
すると、良好な共連続構造を形成しやすく、特性を向上
させるが、特に好ましい組み合わせとしては、例えば、 (1)(1-a) 直鎖アルキレンジオール(メタ)アクリレ
ート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレ
ート、及びトリメチロールプロパンベンゾエートジアク
リレートからなる群から選ばれる活性エネルギー線架橋
重合性化合物と、(1-b) ポリカーボネート系重合体、ポ
リエステル系重合体、フェノキシ樹脂、ビニルアセター
ル系重合体、塩化ビニル系重合体、酢酸ビニル系重合
体、スチレン系重合体、ウレタン系重合体、未架橋ゴム
及びセルロース誘導体からなる群から選ばれる熱可塑性
樹脂との組み合わせ、
【0062】(2)(2-a) ネオペンチルグリコールジ
(メタ)アクリレートと、(2-b) ポリカーボネート系重
合体、ポリエステル系重合体、ビニルアセタール系重合
体、塩化ビニル系重合体、酢酸ビニル系重合体、スチレ
ン系重合体、ウレタン系重合体及び未架橋ゴムからなる
群から選ばれる熱可塑性樹脂との組み合わせ、
【0063】(3)(3-a) トリメチロールプロパントリ
(メタ)アクリレートと、(3-b) ポリエステル系重合
体、フェノキシ樹脂、ビニルアセタール系重合体、塩化
ビニル系重合体、酢酸ビニル系重合体、スチレン系重合
体、ウレタン系重合体、未架橋ゴム及びセルロース誘導
体からなる群から選ばれる熱可塑性樹脂との組み合わ
せ、
【0064】(4)(4-a) テトラメチロールメタンテト
ラ(メタ)アクリレートと、(4-b) ビニルアセタール系
重合体、塩化ビニル系重合体、酢酸ビニル系重合体、ス
チレン系重合体、ウレタン系重合体、未架橋ゴム及びセ
ルロース誘導体からなる群から選ばれる熱可塑性樹脂と
の組み合わせ、が特に好ましい。
【0065】活性エネルギー線架橋重合性化合物と熱可
塑性樹脂との配合の割合は、用いる樹脂の種類により異
なるが、通常、(活性エネルギー線架橋重合物:熱可塑
性樹脂)の混合重量比が(98:2)〜(10:90)
の範囲が好ましく、(95:5)〜(20:80)の範
囲が特に好ましい。
【0066】本発明の樹脂複合体では、熱可塑性樹脂の
特徴である靭性が付与された力学特性に優れた複合体を
得ることが可能となるが、それに加えて、使用する熱可
塑性樹脂の種類に依存して、それぞれの樹脂が有する特
徴が付与される。例えば、熱可塑性樹脂として芳香族ポ
リエステル系重合体や塩化ビニル系重合体を用いた場合
には、高弾性率や表面硬度を樹脂複合体に効果的に付与
することができ、また、熱可塑性樹脂として、ポリカー
ボネート、ウレタン系重合体、酢酸ビニル系重合体或い
は未架橋ゴムを用いた場合には、破断伸度や耐衝撃性を
樹脂複合体に効果的に付与することができ、さらに、熱
可塑性樹脂として、フェノキシ樹脂やセルロース誘導体
を用いた場合には、高い表面親和性を樹脂複合体に効果
的に付与することができる。
【0067】本発明の樹脂複合体には、その他の成分、
例えば、フッ素系化合物、シリコーンなどの滑剤;色
素、顔料、蛍光色素などの着色剤や紫外線吸収剤;酸化
防止剤;防黴剤;抗菌剤;無機や有機の粉末;エポキシ
樹脂などの熱硬化性樹脂;強化繊維等を混合あるいは共
重合の形で含有させることができる。また、本発明の樹
脂複合体は、繊維強化プラスチック、ラミネートシート
などの複合体とすることもできる。
【0068】本発明の樹脂複合体は、例えば、以下に示
す製造方法により製造することができる。
【0069】即ち、活性エネルギー線架橋重合性化合物
と熱可塑性樹脂とを混合し、相溶した均一混合液(以
下、この均一混合液を単に「均一混合液」と称する場合
がある)を調製する。この均一混合液を賦形した後、活
性エネルギー線を照射して、均一混合液の賦形物を硬化
させ、相分離を誘発させるとともに、共連続構造を固定
化する方法。
【0070】本発明の製造方法で使用する活性エネルギ
ー線架橋重合性化合物は、一分子中に2〜6個の(メ
タ)アクリル基を有するアルキル(メタ)アクリレート
であり、本発明の製造方法で使用する熱可塑性樹脂と均
一混合液を形成することが可能なものである。本発明の
製造方法で使用する活性エネルギー線架橋重合性化合物
については、本発明の樹脂複合体における活性エネルギ
ー線架橋重合性化合物の説明と同様である。
【0071】活性エネルギー線架橋重合性化合物と熱可
塑性樹脂の相溶性を増したり、均一混合液の反応性を制
御するなどの目的で、均一混合液に、単独では架橋重合
体を与えない単官能の活性エネルギー線重合性化合物を
併用することもできる。単官能の活性エネルギー線重合
性化合物は、活性エネルギー線の照射により活性エネル
ギー線架橋重合性化合物と共重合して架橋重合体を与え
るものであれば、任意である。単官能の活性エネルギー
線重合性化合物についても、本発明の樹脂複合体におけ
る単官能の活性エネルギー線重合性化合物組成物の説明
と同様である。
【0072】本発明の製造方法で使用する熱可塑性樹脂
は、ポリカーボネート系重合体、ポリエステル系重合
体、フェノキシ樹脂、ビニルアセタール系重合体、塩化
ビニル系重合体、酢酸ビニル系重合体、スチレン系重合
体、ウレタン系重合体、未架橋ゴム、及びセルロース誘
導体からなる群から選ばれる熱可塑性樹脂であり、好ま
しくは200℃以下の温度で、使用する活性エネルギー
線架橋重合性化合物と均一混合液を形成することが可能
なものである。本発明の製造方法で使用する熱可塑性樹
脂は、本発明の樹脂複合体に使用可能な熱可塑性樹脂と
して例示したものの中から選択使用できる。勿論、熱可
塑性樹脂は、単独で用いることもでき、2種類以上を混
合して用いることもできる。
【0073】本発明の製造方法で使用する均一混合液
は、活性エネルギー線架橋重合性化合物と熱可塑性樹脂
が均一に混合した混合液である。但し、例えば、鎖状高
分子の分子量分布などに起因する極少量の不溶部分が存
在することは許容される。
【0074】本発明の製造方法で使用する均一混合液の
粘度は、本発明の相分離構造を得るための製造条件に影
響する重要な要因と考えられるが、活性エネルギー線架
橋重合性化合物と熱可塑性樹脂との組み合わせ、これら
の組成比、活性エネルギー線強度、反応温度などの違い
により最適な粘度範囲が大きく異なる。そのため、均一
混合液の粘度は一概には規定できないが、活性エネルギ
ー線照射温度における粘度は1〜1000000cps
(10−3〜102 Pa・s)の範囲が好ましく、5
〜10000cps(5×10−3〜10Pa・s)の
範囲がさらに好ましい。
【0075】本発明の製造方法で使用する均一混合液に
は、活性エネルギー線架橋重合性化合物と熱可塑性樹脂
の他に、例えば、光重合開始剤;色素、顔料、蛍光色素
などの着色剤や紫外線吸収剤;酸化防止剤;無機や有機
の粉末;強化繊維等を含有させることもできる。
【0076】本発明の製造方法で使用する活性エネルギ
ー線として、紫外線、可視光、赤外線などの光線を用い
る場合には、重合速度を速める目的で、均一混合液に光
重合開始剤を添加することが好ましい。
【0077】均一混合液に必要に応じて添加することが
できる光重合開始剤は、本発明で使用する光線に対して
活性であり、活性エネルギー線架橋重合性化合物を架橋
重合させることが可能なものであれば、特に制限がな
く、例えば、ラジカル重合開始剤、アニオン重合開始
剤、カチオン重合開始剤であって良い。
【0078】そのような光重合開始剤としては、例え
ば、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、2,
2′−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2
−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンの如きアセ
トフェノン類;ベンゾフェノン、4,4′−ビスジメチ
ルアミノベンゾフェノン、2−クロロチオキサントン、
2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサント
ン、2−イソプロピルチオキサントンの如きケトン類;
ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイ
ソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルの
如きベンゾインエーテル類;ベンジルジメチルケター
ル、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンの如きベ
ンジルケタール類、マレイミド類、などが挙げられる。
【0079】光重合開始剤は、均一混合液に溶解あるい
は分散した状態で用いることができるが、均一混合液に
溶解するものであることが好ましい。光重合開始剤を用
いる場合の均一混合液中の光重合開始剤濃度は、0.0
1〜20重量%の範囲が好ましく、0.5〜10重量%
の範囲が特に好ましい。但し、活性エネルギー線架橋重
合性化合物が光重合開始剤を兼ねる場合や、活性エネル
ギー線架橋重合性化合物と共重合する光重合開始剤であ
る場合にはこの限りではない。
【0080】均一混合液は、好ましくは0〜200℃、
さらに好ましくは10〜180℃の温度範囲で調製され
る。均一混合液の調製は、加熱などの方法で熱可塑性樹
脂を架橋重合性化合物に溶解させる方法が可能である
が、熱可塑性樹脂及び架橋重合性化合物を両者が可溶な
溶媒に溶解させた後、溶媒を除去し、均一混合液を得る
ことも好ましい。溶剤を使用することで、熱可塑性樹脂
と架橋重合性化合物の混合に要する時間時間を大幅に短
縮することができ、また、粘度の高い均一混合液を得る
ことができる。
【0081】均一混合液を調製する際に溶剤を用いる場
合には、使用する溶剤は、蒸発、抽出など、何らかの方
法で除去可能なものであれば任意であるが、揮発性溶剤
であることが好ましい。N−メチルピロリドンやジメチ
ルスルホキシドのような高沸点溶剤を用いることも可能
であるが、溶剤の沸点は150℃以下であることが好ま
しく、120℃以下であることがさらに好ましい。
【0082】そのような溶剤としては、例えば、塩化メ
チレン、クロロホルム、トリクロロエタン、テトラクロ
ロエタン等のような塩素系溶剤;アセトン、2−ブタノ
ンなどのケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチルなどの
エステル系溶剤;ジエチルエーテル、ジブチルエーテ
ル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶剤;トルエ
ン、シクロヘキサンなどの炭化水素系溶剤;ジメチルホ
ルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド系溶
剤;蟻酸などの酸;クロロフェノールなどのフェノール
類;エチルセロソルブ、ブチルセロソルブなどの、1分
子中に2種類以上の官能基を有する溶剤;液化二酸化炭
素、液化アンモニアなどの液化ガス;超臨界二酸化炭素
等の超臨界流体、等が挙げられる。
【0083】溶剤除去方法も任意であるが、揮発による
除去が好ましい。揮発方法も任意であり、例えば、風
乾、熱風乾燥、赤外線乾燥、真空乾燥等であり得る。溶
剤は、その後の賦形及び活性エネルギー線照射よって形
成される相分離構造に大きな影響を与えない程度である
ならば、残存していても良い。多少の粘度変化や相溶性
の変化は、活性エネルギー線照射条件で補正可能であ
る。
【0084】均一混合液は、塗膜状、フィルム状(シー
ト状、リボン状などを含む)、繊維状、注型物、含浸物
などの任意の形状に賦形される。但し、活性エネルギー
線により硬化可能な形状であることが必要である。例え
ば、活性エネルギー線が到達可能な厚みである必要があ
り、賦形物が被覆物で被われている場合には、被覆物は
使用する活性エネルギー線を透過させるものである必要
がある。賦形方法も任意であり、例えば、塗布、流延、
浸漬、スプレー、注型、含浸、押し出し等であり得る。
均一混合液の調製が溶媒を使用する方法である場合に
は、賦形は溶媒除去の前であっても後であっても、一部
除去の後であっても良い。均一混合液の粘度が高い場合
や、賦形物が塗膜やフィルムのような厚みの小さいもの
である場合には、賦形後に溶剤除去を行なうことも好ま
しい。
【0085】次いで、均一混合液の賦形物に、所定温度
において活性エネルギー線を照射する。活性エネルギー
線の照射温度は、均一混合液が相溶状態を保っている温
度、即ち、照射前に相分離しない温度である必要があ
る。この時、均一混合液が過冷却状態であっても良い。
混合液の相溶状態の判別は、目視による透明性の確認、
或いは、光学顕微鏡観察により行なうことができる。
【0086】均一混合液に活性エネルギー線を照射する
と架橋重合性化合物の重合の進行に伴ってミクロ相分離
が進行するが、活性エネルギー線架橋重合性化合物が重
合により架橋構造を形成するため、相分離の進行過程の
いずれかの段階で構造が固定化される。本発明の樹脂複
合体は、均一混合液成分の相溶性の良否、均一混合液の
粘度、活性エネルギー線照射温度、活性エネルギー線強
度を制御することにより得られる。本発明の樹脂複合体
の形成条件は、活性エネルギー線架橋重合性化合物体と
熱可塑性樹脂の組み合わせにより異なり、一概には規定
できない。しかしながら、良相溶性、高粘度、低照射温
度、高活性エネルギー線強度の条件が過剰であると、相
分離が進行する前に構造が固体化されてしまい、共連続
構造が観察されず、1つのTgを示す(疑似)相溶構造
となる。反対に、貧相溶性、低粘度、高温、低強度の条
件が過剰であると、相分離が過度に進行して海島型の相
分離構造となり、力学的特性の低下をもたらす。通常、
相溶性と粘度は系により決定されるから、系が固定され
た場合には、主として制御するパラメーターは照射温度
と活性エネルギー線強度、及びこれらの時間プログラム
である。これらを適宜調節することで、目的の構造や特
性に最適化することができる。樹脂複合体の構造に変化
を与えずに完全硬化するまでの時間を短縮するために、
硬化工程の後半の段階で温度を上昇させることも好まし
い。
【0087】本発明の製造方法で使用する活性エネルギ
ー線としては、均一混合液を硬化させることが可能なも
のであれば任意であり、例えば、紫外線、可視光線、赤
外線の如き光線;エックス線、ガンマ線の如き電離放射
線;電子線、ベータ線、中性子線、重粒子線の如き粒子
線が挙げられる。これらの中でも、取り扱い性や装置価
格の面から光線が好ましく、紫外線が特に好ましい。全
面照射の場合、紫外線強度は0.1〜1000mW/cm
2であることが好ましい。紫外線はレーザー光であるこ
とも好ましい。照射は、必要に応じ、パターニング照射
であって良い。
【0088】また、硬化速度を速め、硬化を完全に行う
目的で、活性エネルギー線の照射を低酸素濃度雰囲気で
行うことが好ましい。低酸素濃度雰囲気としては、窒素
気流中、二酸化炭素気流中、アルゴン気流中、真空又は
減圧雰囲気が好ましい。
【0089】硬化した本発明の樹脂複合体は、必要に応
じて熱処理することも可能である。熱処理により、特性
をさらに向上させたり、熱安定性を増すことができる。
【0090】
【実施例】以下、実施例を用いて本発明を更に詳細に説
明する。しかしながら、本発明は以下の実施例の範囲に
限定されるものではない。
【0091】なお、以下の実施例において、紫外線源と
して、160Wのメタルハライドランプ(アイグラフィ
ックス製)を用いた。紫外線照射強度は約70mW/c
m2であった。また、紫外線照射時間は90秒間とし
た。
【0092】次に、以下の実施例におけるガラス転移温
度の測定方法、引張破壊試験方法、光透過率の測定方
法、相分離構造の観察方法について説明する。
【0093】(ガラス転移温度の測定)ガラス転移温度
(Tg)は、動的粘弾性測定法で1Hzでの複素弾性率
の温度変化を測定し、tanδ (損失弾性率/貯蔵弾性
率)のピーク温度で評価した。動的粘弾性測定は、レオ
メトリックス株式会社製の「RSA−II」を使用し
た。昇温速度は毎分2℃とした。サンプルが塗膜の場合
には、基材から剥離したフィルム状のものを測定した。
【0094】(引張破壊試験)引張破壊試験は、島津製
作所製の引張試験機(オートグラフAGS−H)を使用
した。サンプルが塗膜の場合には、基材から剥離したフ
ィルム状のものを用いた。幅3mm、厚み約0.1mm
の試験片として、サンプル長10mm、引張速度を毎分
5mmで試験を行った。
【0095】(光透過率の測定)日本電色工業株式会社
製の濁度計「NDH−300A」を用いて、塗膜又はフ
ィルムの平行光透過率を測定した。フィルムの厚みは1
00±20μm とした。
【0096】(相分離構造の観察)相分離構造の観察
は、透過型電子顕微鏡(日本電子工業株式会社製の「J
EM−200」;以下、「TEM」と省略する。)を用
いた。フィルム断面及び塗膜断面の超薄切片(約50n
m)を作成しサンプルとした。使用する樹脂によって、
コントラストを上げるために、四酸化ルテニウム、四酸
化オスミウム、ヨウ素などで染色を施した。
【0097】[実施例1]活性エネルギー線架橋重合性
化合物として、「カヤラッドHDDA」(日本化薬株式
会社製の1,6−ヘキサンジオールジアクリレート;以
下、「HDDA」と省略する。)5g、光重合開始剤と
して、「イルガキュア184」(チバ・ガイギー社製の
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)0.1
g及び熱可塑性樹脂として、「ユーピロン Z−20
0」(三菱瓦斯化学株式会社製のビスフェノール−Z型
ポリカーボネート;以下、「PCz」と省略する。)5
gを塩化メチレン50gに溶解させて均質混合溶液
(1)を得た。
【0098】このようにして得た均質混合溶液(1)を
ガラス板上に塗布した後、溶媒を揮発させ、均一混合液
の未硬化の塗膜を得た。次いで、この塗膜にガラス板の
カバーを密着装着して、未硬化の賦形物を2枚のガラス
板に挟まれた状態とした。
【0099】該賦形物をガラス板ごと温度調節したステ
ージ上で昇温したところ、賦形物は室温(25℃)では
白濁していたが、50℃以上の温度では無色透明となっ
た。賦形物を120℃に保持した状態で紫外線を照射し
て架橋重合性化合物を重合させて、賦形物を硬化させ
た。
【0100】得られた硬化物をガラス板から剥離して得
たフィルム(膜厚=約100μm )は、室温で無色透明
で、塗膜の光透過率は90%であった。このフィルム
は、約72℃と約140℃に2つのTgを観察すること
ができた。フィルム断面のTEMを用いて観察したとこ
ろ、径の大きさが30〜50nmの網目状の相分離構造
を観察することがされた。また、フィルムを塩化メチレ
ンに1時間浸漬したが、若干膨潤したこと以外は、フィ
ルムの形状に変化は見られなかった。更に、フィルムを
1時間浸漬した塩化メチレンをガラス板に塗布し、乾燥
物を走査型電子顕微鏡(SEM:日立製作所株式会社
製、S−800型)で観察したが、粒子は実質的に認め
られなかった。
【0101】このフィルム状硬化物の強度、破断伸度、
弾性率、破断エネルギーの測定結果を表1に示した。そ
の結果、実施例1で得た樹脂複合体からなるフィルム状
硬化物は、後述する参考例1及び比較例1の硬化物と比
較して、いずれの評価項目においても、大きく向上して
いることが分かる。
【0102】[比較例1]実施例1で調製した、未硬化
の賦形物を2枚のガラス板に挟まれた状態のものを温度
調節したステージ上で昇温して50℃に加熱した後、2
5℃に冷却した。25℃に冷却した後、さらに10分経
過後に、紫外線を照射して架橋重合性化合物を重合させ
て、賦形物を硬化させた。なお、50℃から25℃に冷
却した未硬化の賦形物は4時間以上透明な状態を保持し
ていた。
【0103】得られた硬化物をガラス板から剥離して得
たフィルム(膜厚=約100μm )は、室温で無色透明
であった。このフィルムのTgを測定したところ、10
0℃付近にtanδピークを1つ観察することができ
た。(疑似)相溶状態であると推測される。比較例1で
得たフィルム状硬化物の強度、破断伸度、弾性率、破断
エネルギーの測定結果を表1に示した。
【0104】[参考例1]実施例1において、熱可塑性
樹脂を使用しなかったこと、溶剤を使用しなかったこ
と、ガラス板のカバーを装着しなかったこと、及び、照
射温度を25℃としたこと、以外は、実施例1と同様に
して、フィルム状のHDDA単独硬化物(膜厚=約11
0μm )を得た。参考例1で得たフィルム状硬化物の強
度、破断伸度、弾性率、破断エネルギーの測定結果を表
1に示した。
【0105】[実施例2]実施例1において、HDD
A、「イルガキュア184」及びPCzの使用量をそれ
ぞれ8g、0.16g及び2gに変更し、かつ、紫外線
照射温度を80℃とした以外は、実施例1と同様にして
フィルムを作製した。紫外線照射温度における未硬化の
賦形物は、透明であったが、硬化後のフィルムは、白濁
していた。
【0106】このフィルムについて、TEM観察を行っ
たところ、径の大きさが0.4〜0.6μm の網目状の
相分離構造を観察することができた。また、溶剤抽出試
験の結果も実施例1と同様であった。
【0107】実施例2で得たフィルム状硬化物の強度、
破断伸度、弾性率、破断エネルギーの測定結果を表1に
示した。その結果、実施例2で得た樹脂複合体からなる
フィルム状硬化物は、HDDA単独硬化物(参考例1)
と比較して、いずれの評価項目においても、大きく向上
していることが分かる。
【0108】[実施例3]実施例1において、HDD
A、「イルガキュア184」及びPCzの使用量をそれ
ぞれ3g、0.06g及び7gに変更し、かつ、紫外線
照射温度を160℃とした以外は、実施例1と同様にし
てフィルムを作製した。紫外線照射温度における未硬化
の賦形物は、透明であったが、硬化後のフィルムは、無
色透明であり、光透過率は90%であった。
【0109】このフィルムについて、TEM観察を行っ
たところ、径の大きさが30〜50nmの網目状の相分
離構造を観察することができた。また、溶剤抽出試験の
結果も実施例1と同様であった。
【0110】実施例3で得たフィルム状硬化物の強度、
破断伸度、弾性率、破断エネルギーの測定結果を表1に
示した。その結果、実施例3で得た樹脂複合体からなる
フィルム状硬化物は、HDDA単独硬化物(参考例1)
と比較して、いずれの評価項目においても、大きく向上
していることが分かる。
【0111】[比較例2]実施例2で調製した、未硬化
の賦形物を2枚のガラス板に挟まれた状態のものを温度
調節したステージ上で昇温して50℃に加熱した後、2
5℃に冷却することにより相分離を誘発させた後、さら
に5分経過後に、紫外線を照射して架橋重合性化合物を
重合させて、賦形物を硬化させた。
【0112】得られたフィルムは白濁していた。このフ
ィルムについて、TEM観察を行ったところ、海島構造
を観察することができた。島相の粒径は、サブミクロン
からミクロンオーダーに渡る広い分布を示していた。
【0113】比較例1で得たフィルム状硬化物の強度、
破断伸度、弾性率、破断エネルギーの測定結果を表1に
まとめて示した。その結果、比較例2のフィルム状硬化
物は、HDDA単独硬化物(参考例1)と比較して、特
性は多少向上しているが、実施例2のような大幅な向上
は見られなかった。
【0114】[実施例4]活性エネルギー線架橋重合性
化合物として、HDDA 8g、光重合開始剤として、
「イルガキュア184」0.16g及び熱可塑性樹脂と
して、ポリ塩化ビニル(和光純薬工業株式会社製)2g
をテトラヒドロフラン(THF)50gに溶解させて均
質混合溶液(4)を得た。
【0115】実施例1において、均質混合溶液(1)に
代えて、均質混合溶液(4)を使用し、かつ、紫外線照
射温度を80℃とした以外は、実施例1と同様にしてフ
ィルムを作製した。未硬化の賦形物は、室温〜80℃で
無色透明であったが、硬化後のフィルムは、薄く白濁し
ており、フィルムの光透過率は78%であった。
【0116】このフィルムについて、TEM観察を行っ
たところ、径の大きさが0.2〜0.5μm の網目状の
相分離構造を観察することができた。また、実施例1に
おいて、塩化メチレンに代えて、THFを用いた以外
は、実施例1と同様に実施した溶剤抽出試験の結果も実
施例1と同様であった。また、このフィルムの鉛筆硬度
はHであり、HDDA単独硬化物(参考例1)の鉛筆硬
度がFであったのと比較して、塗膜硬度が向上している
ことが分かる。
【0117】実施例4で得たフィルム状硬化物の強度、
破断伸度、弾性率、破断エネルギーの測定結果を表1に
示した。その結果、HDDA単独硬化物(参考例1)と
比較して、いずれの評価項目においても、大きく向上し
ていることが分かる。
【0118】[比較例3]実施例4において、紫外線照
射温度を80℃から室温(25℃)に変更した以外は、
実施例4と同様にして、フィルム状硬化物を得た。この
フィルム状硬化物は、無色透明であり、フィルムの光透
過率は90%であった。このフィルムについて、TEM
観察を行ったところ、相分離構造を確認することができ
ず、均質であったので、(擬似)相溶状態のフィルムと
考えられた。また、このフィルムの鉛筆硬度はFであっ
た。
【0119】比較例3で得たフィルム状硬化物の強度、
破断伸度、弾性率、破断エネルギーの測定結果を表1に
示した。その結果、HDDA単独硬化物(参考例1)と
比較して、特性は向上しているが、実施例ほど大きな改
善は見られなかった。
【0120】[実施例5]活性エネルギー線架橋重合性
化合物として、HDDA 8g、光重合開始剤として、
「イルガキュア184」0.16g及び熱可塑性樹脂と
して、「バイロン−200」(東洋紡績株式会社製の芳
香族ポリエステル)2gを塩化メチレン50gに溶解さ
せて均質混合溶液(5)を得た。
【0121】実施例1において、均質混合溶液(1)に
代えて、均質混合溶液(5)を使用し、かつ、紫外線照
射温度を80℃とした以外は、実施例1と同様にしてフ
ィルムを作製した。未硬化の賦形物は、室温で白濁して
いたが、50℃以上で無色透明となった。硬化後のフィ
ルムは、薄く白濁していた。
【0122】このフィルムについて、TEM観察を行っ
たところ、径の大きさが0.2〜0.6μm の網目状の
相分離構造を観察することができた。また、溶剤抽出試
験の結果も実施例1と同様であった。
【0123】実施例5で得たフィルム状硬化物の強度、
破断伸度、弾性率、破断エネルギーの測定結果を表1に
示した。その結果、実施例5で得た樹脂複合体からなる
フィルム状硬化物は、HDDA単独硬化物(参考例1)
と比較して、いずれの評価項目においても、大きく向上
していることが分かる。
【0124】[実施例6]実施例5において、「バイロ
ン−200」に代えて、ポリ酢酸ビニル(Mw=約26
万;サイエンテフィック・ポリマー株式会社製)を用い
た以外は、実施例5と同様にして、均質混合溶液(6)
を得た。
【0125】実施例1において、均質混合溶液(1)に
代えて、均質混合溶液(6)を使用し、かつ、紫外線照
射温度を80℃とした以外は、実施例1と同様にしてフ
ィルムを作製した。未硬化の賦形物は、室温以上で無色
透明であったが、硬化後のフィルムは、薄く白濁してい
た。
【0126】このフィルムについて、TEM観察を行っ
たところ、径の大きさが0.2〜0.6μm の網目状の
相分離構造を観察することができた。また、溶剤抽出試
験の結果も実施例1と同様であった。
【0127】実施例6で得たフィルム状硬化物の強度、
破断伸度、弾性率、破断エネルギーの測定結果を表1に
示した。その結果、実施例6で得た樹脂複合体からなる
フィルム状硬化物は、HDDA単独硬化物(参考例1)
と比較して、いずれの評価項目においても、大きく向上
していることが分かる。
【0128】[実施例7]実施例5において、「バイロ
ン−200」に代えて、「パンデックス T5205」
(大日本インキ化学工業株式会社製のポリウレタン)を
用いた以外は、実施例5と同様にして、均質混合溶液
(7)を得た。
【0129】実施例1において、均質混合溶液(1)に
代えて、均質混合溶液(7)を使用し、かつ、紫外線照
射温度を80℃とした以外は、実施例1と同様にしてフ
ィルムを作製した。未硬化の賦形物は、室温以上で無色
透明であったが、硬化後のフィルムは、薄く白濁してい
た。
【0130】このフィルムについて、TEM観察を行っ
たところ、径の大きさが0.2〜0.6μm の網目状の
相分離構造を観察することができた。また、溶剤抽出試
験の結果も実施例1と同様であった。
【0131】実施例7で得たフィルム状硬化物の強度、
破断伸度、弾性率、破断エネルギーの測定結果を表1に
示した。その結果、実施例7で得た樹脂複合体からなる
フィルム状硬化物は、HDDA単独硬化物(参考例1)
と比較して、いずれの評価項目においても、大きく向上
していることが分かる。
【0132】[実施例8]実施例5において、「バイロ
ン−200」に代えて、ポリビニルホルマール(ホルマ
ール82%、アセテート12%、Mw=約7万;サイエ
ンテフィック・ポリマー株式会社製;以下、「PVF」
と省略する。)を用いた以外は、実施例5と同様にし
て、均質混合溶液(8)を得た。
【0133】実施例1において、均質混合溶液(1)に
代えて、均質混合溶液(8)を使用し、かつ、紫外線照
射温度を80℃とした以外は、実施例1と同様にしてフ
ィルムを作製した。未硬化の賦形物は、室温以上で無色
透明であったが、硬化後のフィルムは、薄く白濁してい
た。
【0134】このフィルムについて、TEM観察を行っ
たところ、径の大きさが0.2〜0.6μm の網目状の
相分離構造を観察することができた。また、溶剤抽出試
験の結果も実施例1と同様であった。
【0135】実施例8で得たフィルム状硬化物の強度、
破断伸度、弾性率、破断エネルギーの測定結果を表1に
示した。その結果、実施例8で得た樹脂複合体からなる
フィルム状硬化物は、HDDA単独硬化物(参考例1)
と比較して、いずれの評価項目においても、大きく向上
していることが分かる。
【0136】[実施例9]実施例1において、PCzに
代えて、フェノキシ樹脂(ユニオンカーバイド株式会社
製;以下、「PKHH」と省略する。)を使用し、塩化
メチレンに代えて、THFを使用した以外は、実施例1
と同様にして、均質混合溶液(9)を得た。
【0137】実施例1において、均質混合溶液(1)に
代えて、均質混合溶液(9)を使用した以外は、実施例
1と同様にしてフィルムを作製した。未硬化の賦形物
は、室温〜120℃で無色透明であり、また、硬化後の
フィルムも、無色透明であり、フィルムの光透過率は9
0%であった。
【0138】このフィルムは、約60℃と約92℃に2
つのTgを観察することができた。このフィルムについ
て、TEM観察を行ったところ、径の大きさが30〜5
0nmの網目状の相分離構造を観察することができた。
また、実施例1において、塩化メチレンに代えて、TH
Fを用いた以外は、実施例1と同様に実施した溶剤抽出
試験の結果も実施例1と同様であった。
【0139】実施例9で得たフィルム状硬化物の強度、
破断伸度、弾性率、破断エネルギーの測定結果を表1に
示した。その結果、実施例9で得た樹脂複合体からなる
フィルム状硬化物は、HDDA単独硬化物(参考例1)
と比較して、いずれの評価項目においても、大きく向上
していることが分かる。
【0140】
【表1】
【0141】[実施例10]活性エネルギー線架橋重合
性化合物として、「サートマー C2000」(ソマー
ル株式会社製の長鎖脂肪族ジアクリレート;以下、「C
2000」と省略する。)5g、光重合開始剤として
「イルガキュア184」0.1g及び熱可塑性樹脂とし
て、ポリ塩化ビニル(和光純薬工業株式会社製)5gを
THF50gに溶解させて、均質混合溶液(10)を得
た。
【0142】このようにして得た均質混合溶液(10)
をガラス板上に塗布した後、溶媒を揮発させ、均一混合
液の未硬化の塗膜を得た。次いで、この塗膜にガラス板
のカバーを密着装着して、未硬化の賦形物を2枚のガラ
ス板に挟まれた状態とした。未硬化の液膜状賦形物は、
室温(25℃)でも120℃でも無色透明であった。
【0143】該賦形物をガラス板ごと温度調節したステ
ージ上で120℃まで昇温し、同温度に保持した状態で
紫外線を照射して架橋重合性化合物を重合させて、賦形
物を硬化させた。得られたフィルム(膜厚=約100μ
m )は無色透明であり、フィルムの光透過率は90%で
あった。
【0144】フィルム断面のTEM観察を行った結果、
径の大きさが30〜50nmの網目状の相分離構造を観
察することができた。また、実施例1において、塩化メ
チレンに代えて、THFを用いた以外は、実施例1と同
様に実施した溶剤抽出試験の結果は、実施例1と同様で
あった。
【0145】実施例10で得たフィルム状硬化物の強
度、破断伸度、弾性率、破断エネルギーの測定結果を表
2に示した。その結果、実施例10で得た樹脂複合体か
らなるフィルム状硬化物は、後述するC2000単独硬
化物(参考例2)と比較して、いずれの評価項目におい
ても、大きく向上していることが分かる。
【0146】[比較例4]実施例10において、紫外線
照射温度を25℃とした以外は、実施例10と同様にし
て、フィルムを作製した。
【0147】このようにして得たフィルムは無色透明
で、フィルムの光透過率は90%であった。このフィル
ムについて、TEM観察を行ったところ、相分離構造を
確認することができなかった。また、このフィルムの鉛
筆硬度は2Bであった。
【0148】比較例4で得たフィルム状硬化物の強度、
破断伸度、弾性率、破断エネルギーの測定結果を表2に
示した。その結果、後述するC2000単独硬化物(参
考例2)と比較して、特性は向上しているが、実施例1
0ほど大きな改善は見られなかった。また、実施例10
の鉛筆硬度がBであるのに対して、比較例の鉛筆硬度は
2Bであり、表面硬度に劣ったものであった。
【0149】[参考例2]実施例10において、熱可塑
性樹脂を使用しなかったこと、溶剤を使用しなかったこ
と、ガラス板のカバーを装着しなかったこと、及び、照
射温度を25℃としたこと、以外は、実施例10と同様
にして、フィルム状のC2000単独硬化物(膜厚=約
110μm )を得た。参考例2で得たフィルム状硬化物
の強度、破断伸度、弾性率、破断エネルギーの測定結果
を表2に示した。
【0150】
【表2】
【0151】[実施例11]活性エネルギー線架橋重合
性化合物として、C2000 8g、光重合開始剤とし
て「イルガキュア184」0.16g及び熱可塑性樹脂
として、「DICスチレン−GR4500」(大日本イ
ンキ化学工業株式会社製のポリスチレン)2gを塩化メ
チレン50gに溶解させて、均質混合溶液(11)を得
た。
【0152】実施例1において、均質混合溶液(1)に
代えて、均質混合溶液(11)を使用し、紫外線照射温
度を50℃とした以外は、実施例1と同様にしてフィル
ムを作製した。未硬化の賦形物は、室温〜50℃で無色
透明であり、また、硬化後のフィルムは、室温〜50℃
で白濁していた。
【0153】このフィルムについて、TEM観察を行っ
たところ、径の大きさが0.4〜0.6μm の網目状の
相分離構造を観察することができた。また、実施例1と
同様に実施した溶剤抽出試験の結果も実施例1と同様で
あった。
【0154】実施例11で得たフィルム状硬化物の強
度、破断伸度、弾性率、破断エネルギーの測定結果を表
3に示した。その結果、実施例11で得た樹脂複合体か
らなるフィルム状硬化物は、C2000単独硬化物(参
考例2)と比較して、いずれの評価項目においても、大
きく向上していることが分かる。
【0155】[実施例12]実施例11において、「D
ICスチレン−GR4500」に代えて、「クリアパク
ト−TS50」(大日本インキ化学工業株式会社製のス
チレン−メチルメタクリレート共重合体;以下、「M
S」と省略する。)を用いた以外は、実施例11と同様
にして、均質混合溶液(12)を得た。
【0156】実施例1において、均質混合溶液(1)に
代えて、均質混合溶液(12)を使用し、紫外線照射温
度を100℃とした以外は、実施例1と同様にしてフィ
ルムを作製した。未硬化の賦形物は、室温で白濁してお
り、50℃以上で無色透明であった。また、硬化後のフ
ィルムは、白濁していた。
【0157】このフィルムについて、TEM観察を行っ
たところ、径の大きさが0.3〜0.5μm の網目状の
相分離構造を観察することができた。また、実施例1と
同様に実施した溶剤抽出試験の結果も実施例1と同様で
あった。
【0158】実施例12で得たフィルム状硬化物の強
度、破断伸度、弾性率、破断エネルギーの測定結果を表
3に示した。その結果、実施例12で得た樹脂複合体か
らなるフィルム状硬化物は、C2000単独硬化物(参
考例2)と比較して、いずれの評価項目においても、大
きく向上していることが分かる。
【0159】[実施例13]実施例11において、「D
ICスチレン−GR4500」に代えて、「スーパーク
ロンHP205」(日本製紙株式会社製の塩素化ポリプ
ロピレン)を用いた以外は、実施例11と同様にして、
均質混合溶液(13)を得た。
【0160】実施例1において、均質混合溶液(1)に
代えて、均質混合溶液(13)を使用し、紫外線照射温
度を80℃とした以外は、実施例1と同様にしてフィル
ムを作製した。未硬化の賦形物は、室温〜80℃で無色
透明であり、また、硬化後のフィルムは、白濁してい
た。
【0161】このフィルムについて、TEM観察を行っ
たところ、径の大きさが0.3〜0.5μm の網目状の
相分離構造を観察することができた。また、実施例1と
同様に実施した溶剤抽出試験の結果も実施例1と同様で
あった。
【0162】実施例13で得たフィルム状硬化物の強
度、破断伸度、弾性率、破断エネルギーの測定結果を表
3に示した。その結果、実施例13で得た樹脂複合体か
らなるフィルム状硬化物は、C2000単独硬化物(参
考例2)と比較して、いずれの評価項目においても、大
きく向上していることが分かる。
【0163】
【表3】
【0164】[実施例14]活性エネルギー線架橋重合
性化合物として、「ライトアクリレート NP−A」
(共栄社化学株式会社製のネオペンチルグリコールジア
クリレート;以下、「NP−A」と省略する。)8g、
光重合開始剤として「イルガキュア184」0.16g
及び熱可塑性樹脂として、スチレン−アクリロニトリル
共重合体(サイエンテフィック・ポリマー株式会社製、
Mw=165000の共重合体、共重合体を構成する全
モノマーの内のアクリロニトリルの割合=32%);以
下、「AS」と省略する。)2gを塩化メチレン50g
に溶解して、均質混合溶液(14)を得た。
【0165】実施例1において、均質混合溶液(1)に
代えて、均質混合溶液(11)を使用し、紫外線照射温
度を100℃とした以外は、実施例1と同様にしてフィ
ルム(膜厚=約100μm )を作製した。未硬化の賦形
物は、室温(25℃)〜100℃で無色透明であり、ま
た、硬化後のフィルムは、白濁していた。
【0166】このフィルムについて、TEM観察を行っ
たところ、径の大きさが0.3〜0.5μm の網目状の
相分離構造を観察することができた。また、実施例1と
同様に実施した溶剤抽出試験の結果も実施例1と同様で
あった。
【0167】実施例14で得たフィルム状硬化物の強
度、破断伸度、弾性率、破断エネルギーの測定結果を表
4に示した。その結果、実施例14で得た樹脂複合体か
らなるフィルム状硬化物は、比較例5で得たフィルム状
硬化物と比較して、いずれの評価項目においても、大き
く向上していることが分かる。
【0168】[比較例5]実施例14において、紫外線
照射温度を25℃とした以外は、実施例14と同様にし
て、フィルムを作製した。
【0169】このようにして得たフィルムは無色透明
で、フィルムの光透過率は90%であった。このフィル
ムについて、TEM観察を行ったところ、相分離構造を
確認することができなかった。
【0170】比較例5で得たフィルム状硬化物の強度、
破断伸度、弾性率、破断エネルギーの測定結果を表4に
示した。その結果、実施例14と比較して、いずれの評
価項目においても、劣ったものであった。
【0171】[参考例3]実施例14において、熱可塑
性樹脂を使用しなかったこと、溶剤を使用しなかったこ
と、ガラス板のカバーを装着しなかったこと、及び、照
射温度を25℃としたこと、以外は、実施例14と同様
にして、フィルム状のNP−A単独硬化物(膜厚=約1
10μm )を得た。参考例3で得たフィルム状硬化物
は、非常に脆く引張破壊試験を行なうことができなかっ
た。
【0172】[実施例15]実施例14において、AS
樹脂に代えて、PCzを用いた以外は、実施例14と同
様にして、均質混合溶液(15)を得た。
【0173】実施例1において、均質混合溶液(1)に
代えて、均質混合溶液(15)を使用し、紫外線照射温
度を60℃とした以外は、実施例1と同様にしてフィル
ムを作製した。未硬化の賦形物は、室温で白濁していた
が、50℃以上で無色透明であった。また、硬化後のフ
ィルムは、白濁していた。
【0174】このフィルムについて、TEM観察を行っ
たところ、径の大きさが0.3〜0.5μm の網目状の
相分離構造を観察することができた。また、実施例1と
同様に実施した溶剤抽出試験の結果も実施例1と同様で
あった。
【0175】実施例15で得たフィルム状硬化物の強
度、破断伸度、弾性率、破断エネルギーの測定結果を表
4に示した。その結果、実施例15で得た樹脂複合体か
らなるフィルム状硬化物は、比較例5で得たフィルム状
硬化物と比較して、いずれの評価項目においても、大き
く向上していることが分かる。
【0176】[実施例16]実施例14において、AS
樹脂に代えて、「パンデックス T5205」(大日本
インキ化学工業株式会社製の熱可塑性ポリウレタン)を
用いた以外は、実施例14と同様にして、均質混合溶液
(16)を得た。
【0177】実施例1において、均質混合溶液(1)に
代えて、均質混合溶液(16)を使用し、紫外線照射温
度を80℃とした以外は、実施例1と同様にしてフィル
ムを作製した。未硬化の賦形物は、室温〜80℃で無色
透明であった。また、硬化後のフィルムは、白濁してい
た。
【0178】このフィルムについて、TEM観察を行っ
たところ、径の大きさが0.3〜0.5μm の網目状の
相分離構造を観察することができた。また、実施例1と
同様に実施した溶剤抽出試験の結果も実施例1と同様で
あった。
【0179】実施例16で得たフィルム状硬化物の強
度、破断伸度、弾性率、破断エネルギーの測定結果を表
4に示した。その結果、実施例16で得た樹脂複合体か
らなるフィルム状硬化物は、比較例5で得たフィルム状
硬化物と比較して、いずれの評価項目においても、大き
く向上していることが分かる。
【0180】[実施例17]活性エネルギー線架橋重合
性化合物として、「ライトアクリレート NP−A」9
g、光重合開始剤として、「イルガキュア184」0.
18g及び熱可塑性樹脂として、エチレン−酢酸ビニル
共重合体(サイエンテフィック・ポリマー株式会社製、
共重合体を構成する全モノマーの内の酢酸ビニルの割合
=18%;以下、「EVA」と省略する。)1gを塩化
メチレン50gに溶解して、均質混合溶液(17)を得
た。
【0181】実施例1において、均質混合溶液(1)に
代えて、均質混合溶液(17)を使用し、紫外線照射温
度を80℃とした以外は、実施例1と同様にしてフィル
ムを作製した。未硬化の賦形物は、室温〜80℃で無色
透明であった。また、硬化後のフィルムは、白濁してい
た。
【0182】このフィルムについて、TEM観察を行っ
たところ、径の大きさが0.6〜0.8μm の網目状の
相分離構造を観察することができた。また、実施例1と
同様に実施した溶剤抽出試験の結果も実施例1と同様で
あった。
【0183】実施例17で得たフィルム状硬化物の強
度、破断伸度、弾性率、破断エネルギーの測定結果を表
4に示した。その結果、実施例17で得た樹脂複合体か
らなるフィルム状硬化物は、NP−A単独硬化物(参考
例3)と比較して、いずれの評価項目においても、大き
く向上していることが分かる。
【0184】
【表4】
【0185】[実施例18]活性エネルギー線架橋重合
性化合物として、「カヤラッド PET−40」(日本
化薬株式会社製のテトラメチロールメタンテトラアクリ
レート)8g、光重合開始剤として、「イルガキュア1
84」0.16g及び熱可塑性樹脂として、「AR−7
1」(日本ゼオン株式会社製のアクリルゴム;以下、
「AR」と省略する。)2gを塩化メチレン80gに溶
解させて、均質混合溶液(18)を得た。
【0186】均質混合溶液(18)をガラス板上に塗布
した後、溶媒を除去し、均一混合液からなる未硬化の液
膜状賦形物を得た。この未硬化の液膜状賦形物は室温〜
80℃で無色透明であった。80℃に保持した状態で、
2枚の紫外線カットフィルター(東芝製、UV−D36
B)を用いて、紫外線強度を17mW/cm2 まで低下
させた紫外線を液膜状賦形物に照射し硬化させた。さら
に、塗膜中の未反応モノマーの反応を進行させる目的
で、上記80℃での紫外線照射した後、室温で強度70
mW/cm2 の紫外線を90秒間照射して、硬化塗膜
(膜厚=約100μm )を得た。
【0187】このようにして得た硬化塗膜は白濁してい
たが、クラックもなく良好な状態であった。塗膜断面の
TEM観察を行ったところ、径の大きさが0.4〜0.
7μm の網目状の相分離構造を観察することができた。
また、実施例1と同様に実施した溶剤抽出試験の結果も
実施例1と同様であった。さらに、硬化塗膜の表面硬度
は5H以上であった。
【0188】[比較例6]実施例18において、紫外線
強度を17mW/cm2 まで低下させた紫外線の照射温
度を室温(25℃)とした以外は、実施例18と同様に
して、硬化塗膜を作成した。硬化塗膜は無色透明で、ク
ラックもなく良好であった。しかし、硬化塗膜の表面硬
度は4Hであり、実施例18と比較して劣るものであっ
た。
【0189】[参考例4]実施例18において、熱可塑
性樹脂を使用しなかったこと、溶剤を使用しなかったこ
と、ガラス板のカバーを装着しなかったこと、及び、照
射温度を25℃としたこと、以外は、実施例18と同様
にして、フィルム状のPET−40単独硬化物(膜厚=
約110μm )を得たが、硬化後の塗膜には無数のクラ
ックが発生しており、良好な塗膜は得られなかった。
【0190】[実施例19]実施例18において、「A
R−71」に代えて、「NBR−1042」(日本ゼオ
ン株式会社製のアクリロニトリロ−ブタジエンゴム;以
下、NBRと省略する。)を用いた以外は、実施例18
と同様にして、均質混合溶液(19)を得た。
【0191】実施例18において、均質混合溶液(1
8)に代えて、均質混合溶液(19)を用い、紫外線強
度を17mW/cm2 まで低下させた紫外線の照射温度
を100℃とした以外は、実施例18と同様にして、硬
化塗膜を得た。
【0192】なお、この未硬化の液膜状賦形物は、室温
(25℃)〜100℃の範囲で無色透明であった。紫外
線照射後の硬化塗膜は白濁していたが、クラックもなく
良好な状態であった。塗膜断面のTEM観察を行ったと
ころ、径の大きさが0.7〜1.0μm の網目状の相分
離構造を観察することができた。また、実施例1と同様
に実施した溶剤抽出試験の結果も実施例1と同様であっ
た。さらに、硬化塗膜の表面硬度は5H以上であった。
【0193】[実施例20]実施例18において、「A
R−71」に代えて、ポリ酢酸ビニル(Mw=約26
万;サイエンテフィック・ポリマー株式会社製)を用い
た以外は、実施例18と同様にして、均質混合溶液(2
0)を得た。
【0194】実施例18において、均質混合溶液(1
8)に代えて、均質混合溶液(20)を用い、紫外線強
度を17mW/cm2 まで低下させた紫外線の照射温度
を100℃とした以外は、実施例18と同様にして、硬
化塗膜を得た。
【0195】なお、この未硬化の液膜状賦形物は、室温
(25℃)〜100℃の範囲で無色透明であった。紫外
線照射後の硬化塗膜は白濁していたが、クラックもなく
良好な状態であった。塗膜断面のTEM観察を行ったと
ころ、径の大きさが0.3〜0.7μm の網目状の相分
離構造を観察することができた。また、実施例1と同様
に実施した溶剤抽出試験の結果も実施例1と同様であっ
た。さらに、硬化塗膜の表面硬度は5H以上であった。
【0196】[実施例21]実施例18において、「A
R−71」に代えて、「パンデックス T5205」
(大日本インキ化学工業株式会社製のポリウレタン)を
用いた以外は、実施例18と同様にして、均質混合溶液
(21)を得た。
【0197】実施例18において、均質混合溶液(1
8)に代えて、均質混合溶液(21)を用い、紫外線強
度を17mW/cm2 まで低下させた紫外線の照射温度
を100℃とした以外は、実施例18と同様にして、硬
化塗膜を得た。
【0198】なお、この未硬化の液膜状賦形物は、室温
(25℃)〜100℃の範囲で無色透明であった。紫外
線照射後の硬化塗膜は白濁していたが、クラックもなく
良好な状態であった。塗膜断面のTEM観察を行ったと
ころ、径の大きさが0.2〜0.6μm の網目状の相分
離構造を観察することができた。また、実施例1と同様
に実施した溶剤抽出試験の結果も実施例1と同様であっ
た。さらに、硬化塗膜の表面硬度は5H以上であった。
【0199】[実施例22]実施例18において、「A
R−71」に代えて、ポリビニルブチラール(サイエン
テフィック・ポリマー株式会社製;以下、PVBと省略
する。)を用い、塩化メチレンに代えて、THFを用い
た以外は、実施例18と同様にして、均質混合溶液(2
2)を得た。
【0200】実施例18において、均質混合溶液(1
8)に代えて、均質混合溶液(22)を用い、紫外線強
度を17mW/cm2 まで低下させた紫外線の照射温度
を70℃とした以外は、実施例18と同様にして、硬化
塗膜を得た。
【0201】なお、この未硬化の液膜状賦形物は、室温
(25℃)〜100℃の範囲で無色透明であった。紫外
線照射後の硬化塗膜は白濁していたが、クラックもなく
良好な状態であった。塗膜断面のTEM観察を行ったと
ころ、径の大きさが0.2〜0.5μm の網目状の相分
離構造を観察することができた。また、塩化メチレンに
代えて、THFを用いた以外は、実施例1と同様に実施
した溶剤抽出試験の結果も実施例1と同様であった。さ
らに、硬化塗膜の表面硬度は5H以上であった。
【0202】[実施例23]実施例18において、「A
R−71」に代えて、「N200」(ハーキュレス社製
のエチルセルロース)を用い、塩化メチレンに代えて、
アセトンを用いた以外は、実施例18と同様にして、均
質混合溶液(23)を得た。
【0203】実施例18において、均質混合溶液(1
8)に代えて、均質混合溶液(23)を用い、紫外線強
度を17mW/cm2 まで低下させた紫外線の照射温度
を40℃とした以外は、実施例18と同様にして、硬化
塗膜を得た。
【0204】なお、この未硬化の液膜状賦形物は、室温
(25℃)〜100℃の範囲で無色透明であった。紫外
線照射後の硬化塗膜は白濁していたが、クラックもなく
良好な状態であった。塗膜断面のTEM観察を行ったと
ころ、径の大きさが0.3〜0.6μm の網目状の相分
離構造を観察することができた。また、塩化メチレンに
代えて、アセトンを用いた以外は、実施例1と同様に実
施した溶剤抽出試験の結果も実施例1と同様であった。
さらに、硬化塗膜の表面硬度は5H以上であった。
【0205】[実施例24]活性エネルギー線架橋重合
性化合物として、「カヤラッド TMPTA」(日本化
薬株式会社製のトリメチロールプロパントリアクリレー
ト)8g、光重合開始剤として、「イルガキュア18
4」0.16g及び熱可塑性樹脂として、「NBR−1
042」2gを塩化メチレン80gに溶解させて、均質
混合溶液(24)を得た。
【0206】実施例18において、均質混合溶液(1
8)に代えて、均質混合溶液(24)を用いた以外は、
実施例18と同様にして、硬化塗膜(膜厚=100μm
)を得た。
【0207】なお、未硬化の液膜状賦形物は、室温(2
5℃)〜80℃の範囲で無色透明であった。紫外線照射
後の硬化塗膜は白濁していたが、クラックもなく良好な
状態であった。塗膜断面のTEM観察を行ったところ、
径の大きさが0.4〜0.8μm の網目状の相分離構造
を観察することができた。また、実施例1と同様に実施
した溶剤抽出試験の結果も実施例1と同様であった。さ
らに、硬化塗膜の表面硬度は5H以上であった。
【0208】[比較例7]実施例24において、紫外線
強度を17mW/cm2 まで低下させた紫外線の照射温
度を室温(25℃)とした以外は、実施例24と同様に
して、硬化塗膜を得た。
【0209】なお、得られた硬化塗膜は無色透明で、ク
ラックもなく良好なものであった。また、TEM観察で
は相分離構造を観察することができなかった。一方、硬
化塗膜の鉛筆硬度は4Hであり、実施例24と比較し
て、劣るものであった。
【0210】[参考例5]実施例24において、熱可塑
性樹脂を使用しなかったこと、溶剤を使用しなかったこ
と、及び、照射温度を25℃としたこと、以外は、実施
例24と同様にして、フィルム状のTMPTA単独硬化
物の塗膜を作成したが、硬化後の塗膜には無数のクラッ
クが発生しており、良好な塗膜は得られなかった。
【0211】[実施例25]実施例24において、「N
BR−1042」に代えて、「AR−71」を用いた以
外は、実施例24と同様にして、均質混合溶液(25)
を得た。
【0212】実施例18において、均質混合溶液(1
8)に代えて、均質混合溶液(25)を用い、紫外線強
度を17mW/cm2 まで低下させた紫外線の照射温度
を100℃とした以外は、実施例18と同様にして、硬
化塗膜(膜厚=100μm )を得た。
【0213】なお、未硬化の液膜状賦形物は、室温(2
5℃)〜100℃の範囲で無色透明であった。紫外線照
射後の硬化塗膜は白濁していたが、クラックもなく良好
な状態であった。塗膜断面のTEM観察を行ったとこ
ろ、径の大きさが0.4〜0.6μm の網目状の相分離
構造を観察することができた。また、実施例1と同様に
実施した溶剤抽出試験の結果も実施例1と同様であっ
た。さらに、硬化塗膜の表面硬度は5H以上であった。
【0214】[実施例26]実施例24において、「N
BR−1042」に代えて、「N−200」を用い、塩
化メチレンに代えて、アセトンを使用した以外は、実施
例24と同様にして、均質混合溶液(26)を得た。
【0215】実施例18において、均質混合溶液(1
8)に代えて、均質混合溶液(26)を用い、紫外線強
度を17mW/cm2 まで低下させた紫外線の照射温度
を80℃とした以外は、実施例18と同様にして、硬化
塗膜(膜厚=100μm )を得た。
【0216】なお、未硬化の液膜状賦形物は、室温(2
5℃)〜100℃の範囲で無色透明であった。紫外線照
射後の硬化塗膜は白濁していたが、クラックもなく良好
な状態であった。塗膜断面のTEM観察を行ったとこ
ろ、径の大きさが0.2〜0.5μm の網目状の相分離
構造を観察することができた。また、実施例1と同様に
実施した溶剤抽出試験の結果も実施例1と同様であっ
た。さらに、硬化塗膜の表面硬度は5H以上であった。
【0217】[実施例27]実施例24において、「N
BR−1042」に代えて、ポリビニルブチラール(サ
イエンテフィック・ポリマー株式会社製)を用いた以外
は、実施例24と同様にして、均質混合溶液(27)を
得た。
【0218】実施例18において、均質混合溶液(1
8)に代えて、均質混合溶液(27)を用い、紫外線強
度を17mW/cm2 まで低下させた紫外線の照射温度
を100℃とした以外は、実施例18と同様にして、硬
化塗膜(膜厚=100μm )を得た。
【0219】なお、未硬化の液膜状賦形物は、室温(2
5℃)で均質に白濁していたが、100℃で無色透明で
あった。紫外線照射後の硬化塗膜は白濁していたが、ク
ラックもなく良好な状態であった。塗膜断面のTEM観
察を行ったところ、径の大きさが0.4〜0.6μm の
網目状の相分離構造を観察することができた。また、実
施例1と同様に実施した溶剤抽出試験の結果も実施例1
と同様であった。さらに、硬化塗膜の表面硬度は5H以
上であった。
【0220】[実施例28]実施例24において、「N
BR−1042」に代えて、ポリ酢酸ビニル(Mw=約
26万;サイエンテフィック・ポリマー株式会社製)を
用いた以外は、実施例24と同様にして、均質混合溶液
(28)を得た。
【0221】実施例18において、均質混合溶液(1
8)に代えて、均質混合溶液(28)を用い、紫外線強
度を17mW/cm2 まで低下させた紫外線の照射温度
を80℃とした以外は、実施例18と同様にして、硬化
塗膜(膜厚=100μm )を得た。
【0222】なお、未硬化の液膜状賦形物は、室温(2
5℃)〜100℃の範囲で無色透明であった。紫外線照
射後の硬化塗膜は白濁していたが、クラックもなく良好
な状態であった。塗膜断面のTEM観察を行ったとこ
ろ、径の大きさが0.2〜0.5μm の網目状の相分離
構造を観察することができた。また、実施例1と同様に
実施した溶剤抽出試験の結果も実施例1と同様であっ
た。さらに、硬化塗膜の表面硬度は5H以上であった。
【0223】[実施例29]実施例24において、「N
BR−1042」に代えて、スチレン−アクリロニトリ
ル共重合体(サイエンテフィック・ポリマー株式会社
製、Mw=165000の共重合体、アクリロニトリル
32%含有。)を用いた以外は、実施例24と同様にし
て、均質混合溶液(29)を得た。
【0224】実施例18において、均質混合溶液(1
8)に代えて、均質混合溶液(29)を用い、紫外線強
度を17mW/cm2 まで低下させた紫外線の照射温度
を80℃とした以外は、実施例18と同様にして、硬化
塗膜(膜厚=100μm )を得た。
【0225】なお、未硬化の液膜状賦形物は、室温(2
5℃)〜100℃の範囲で無色透明であった。紫外線照
射後の硬化塗膜は白濁していたが、クラックもなく良好
な状態であった。塗膜断面のTEM観察を行ったとこ
ろ、径の大きさが0.2〜0.5μm の網目状の相分離
構造を観察することができた。また、実施例1と同様に
実施した溶剤抽出試験の結果も実施例1と同様であっ
た。さらに、硬化塗膜の表面硬度は5H以上であった。
【0226】[実施例30]活性エネルギー線架橋重合
性化合物として、「ライトアクリレート BA−13
4」(共栄社化学株式会社製のトリメチロールプロパン
ベンゾエートジアクリレート)8g、光重合開始剤とし
て、「イルガキュア184」0.16g及び熱可塑性樹
脂として、「ユーピロン Z−200」2gを塩化メチ
レン80gに溶解させて、均質混合溶液(30)を得
た。
【0227】実施例1において、均質混合溶液(1)に
代えて、均質混合溶液(30)を使用し、かつ、紫外線
照射温度を80℃とした以外は、実施例1と同様にして
フィルムを作製した。未硬化の賦形物は、室温〜80℃
で無色透明であったが、硬化後のフィルムは、薄く白濁
していた。塗膜断面のTEM観察を行ったところ、径の
大きさが0.2〜0.5μm の網目状の相分離構造を観
察することができた。また、実施例1と同様に実施した
溶剤抽出試験の結果も実施例1と同様であった。
【0228】実施例30で得たフィルム状硬化物の強
度、破断伸度、弾性率、破断エネルギーの測定結果を表
5に示した。その結果、実施例30で得た樹脂複合体か
らなるフィルム状硬化物は、比較例8及び参考例6で得
たフィルム状硬化物と比較して、いずれの評価項目にお
いても、大きく向上していることが分かる。
【0229】[比較例8]実施例30において、紫外線
照射温度を80℃から室温(25℃)に変更した以外
は、実施例30と同様にして、フィルム状硬化物を得
た。このフィルム状硬化物は、無色透明であり、フィル
ムの光透過率は90%であった。このフィルムについ
て、TEM観察を行ったところ、相分離構造を確認する
ことができなかった。
【0230】比較例8で得たフィルム状硬化物の強度、
破断伸度、弾性率、破断エネルギーの測定結果を表5に
示した。その結果、後述のBA134単独硬化物(参考
例6)と比較して、特性は向上しているが、実施例30
で得たフィルム状硬化物ほど大きな特性向上は見られな
かった。
【0231】[参考例6]実施例30において、熱可塑
性樹脂を使用しなかったこと、溶剤を使用しなかったこ
と、ガラス板のカバーを装着しなかったこと、及び、照
射温度を25℃としたこと、以外は、実施例30と同様
にして、フィルム状のBA134の単独硬化物(膜厚=
約110μm )を得た。参考例6で得たフィルム状硬化
物の強度、破断伸度、弾性率、破断エネルギーの測定結
果を表5に示した。
【0232】[実施例31]実施例30において、「ユ
ーピロン Z−200」に代えて、ポリ塩化ビニル(和
光純薬工業株式会社製)を用い、塩化メチレンに代え
て、THFを用いた以外は、実施例30と同様にして、
均質混合溶液(31)を得た。
【0233】実施例1において、均質混合溶液(1)に
代えて、均質混合溶液(31)を使用し、かつ、紫外線
照射温度を100℃とした以外は、実施例1と同様にし
てフィルムを作製した。未硬化の賦形物は、室温〜10
0℃で無色透明であったが、硬化後のフィルムは、薄く
乳白濁化していた。塗膜断面のTEM観察を行ったとこ
ろ、径の大きさが0.2〜0.4μm の網目状の相分離
構造を観察することができた。また、塩化メチレンに代
えて、THFを用いた以外は、実施例1と同様に実施し
た溶剤抽出試験の結果も実施例1と同様であった。
【0234】実施例31で得たフィルム状硬化物の強
度、破断伸度、弾性率、破断エネルギーの測定結果を表
5に示した。その結果、実施例31で得た樹脂複合体か
らなるフィルム状硬化物は、参考例6で得たフィルム状
硬化物と比較して、いずれの評価項目においても、大き
く向上していることが分かる。
【0235】[実施例32]実施例30において、「ラ
イトアクリレート BA−134」及び「イルガキュア
184」の使用量を、それぞれ、9g及び0.18gと
し、「ユーピロンZ−200」に代えて、「パンデック
ス T5205」(大日本インキ化学工業株式会社製の
ポリウレタン)1gを用いた以外は、実施例30と同様
にして、均質混合溶液(32)を得た。
【0236】実施例1において、均質混合溶液(1)に
代えて、均質混合溶液(32)を使用し、かつ、紫外線
照射温度を80℃とした以外は、実施例1と同様にして
フィルムを作製した。未硬化の賦形物は、室温〜80℃
で無色透明であったが、硬化後のフィルムは、薄く乳白
濁化していた。塗膜断面のTEM観察を行ったところ、
径の大きさが0.2〜0.5μm の網目状の相分離構造
を観察することができた。また、実施例1と同様に実施
した溶剤抽出試験の結果も実施例1と同様であった。さ
らに、硬化塗膜の表面硬度は5H以上であった。
【0237】実施例32で得たフィルム状硬化物の強
度、破断伸度、弾性率、破断エネルギーの測定結果を表
5に示した。その結果、実施例32で得た樹脂複合体か
らなるフィルム状硬化物は、参考例6で得たフィルム状
硬化物と比較して、特に破断伸度が大きく向上している
ことが分かる。
【0238】
【表5】
【0239】[実施例33]活性エネルギー線架橋重合
性化合物として、「ライトエステル 1,4BG」(共
栄社化学株式会社製の1,4−ブタンジオールジメタク
リレート;以下、「1,4BG」と省略する。)8g、
光重合開始剤として、「イルガキュア184」0.16
g及び熱可塑性樹脂として、「N200」(ハーキュレ
ス社製のエチルセルロース)2gをアセトン80gに溶
解させて、均質混合溶液(33)を得た。
【0240】実施例1において、均質混合溶液(1)に
代えて、均質混合溶液(33)を使用し、かつ、紫外線
照射温度を80℃とした以外は、実施例1と同様にして
フィルムを作製した。未硬化の賦形物は、室温〜80℃
で無色透明であったが、硬化後のフィルムは、薄く乳白
濁化していた。塗膜断面のTEM観察を行ったところ、
径の大きさが0.2〜0.5μm の網目状の相分離構造
を観察することができた。また、塩化メチレンに代え
て、アセトンを用いた以外は、実施例1と同様に実施し
た溶剤抽出試験の結果も実施例1と同様であった。
【0241】実施例33で得たフィルム状硬化物の強
度、破断伸度、弾性率、破断エネルギーの測定結果を表
6に示した。実施例33で得たフィルム状硬化物は、後
述する比較例9及び参考例7で得たフィルム状硬化物と
比較して、いずれの評価項目においても、大きく向上し
ていることが分かる。
【0242】[比較例9]実施例33において、紫外線
照射温度を80℃から室温(25℃)に変更した以外
は、実施例33と同様にして、フィルム状硬化物を得
た。このフィルム状硬化物は、無色透明であった。この
フィルムについて、TEM観察を行ったところ、相分離
構造を確認することができなかった。
【0243】比較例9で得たフィルム状硬化物の強度、
破断伸度、弾性率、破断エネルギーの測定結果を表5に
示した。その結果、後述の1,4BG単独硬化物(参考
例7)と比較して、特性は向上しているが、実施例33
で得たフィルム状硬化物ほど大きな特性向上は見られな
かった。
【0244】[参考例7]実施例33において、熱可塑
性樹脂を使用しなかったこと、溶剤を使用しなかったこ
と、ガラス板のカバーを装着しなかったこと、及び、照
射温度を25℃としたこと、以外は、実施例33と同様
にして、フィルム状の1,4BGの単独硬化物(膜厚=
約110μm )を得た。参考例7で得たフィルム状硬化
物の強度、破断伸度、弾性率、破断エネルギーの測定結
果を表6に示した。
【0245】
【表6】
【0246】[実施例34]活性エネルギー線架橋重合
性化合物として、「NKエステル−BG」(新中村化学
工業株式会社製の1,3−ブチレングリコールジメタク
リレート)9g、光重合開始剤として、「イルガキュア
184」0.18g及び熱可塑性樹脂として、エチレン
−酢酸ビニル共重合体(サイエンテフィック・ポリマー
株式会社製、共重合体を構成する全モノマーの内の酢酸
ビニルの割合=18%)1gを塩化メチレン80gに溶
解させて、均質混合溶液(34)を得た。
【0247】実施例1において、均質混合溶液(1)に
代えて、均質混合溶液(34)を使用し、かつ、紫外線
照射温度を80℃とした以外は、実施例1と同様にして
フィルムを作製した。未硬化の賦形物は、室温〜80℃
で無色透明であったが、硬化後のフィルムは、薄く乳白
濁化していた。塗膜断面のTEM観察を行ったところ、
径の大きさが0.3〜0.6μm の網目状の相分離構造
を観察することができた。また、実施例1と同様に実施
した溶剤抽出試験の結果も実施例1と同様であった。
【0248】実施例34で得たフィルム状硬化物の強
度、破断伸度、弾性率、破断エネルギーの測定結果を表
7に示した。実施例34で得たフィルム状硬化物は、後
述する参考例8で得たフィルム状硬化物と比較して、い
ずれの評価項目においても、大きく向上していることが
分かる。
【0249】[実施例35]実施例34において、エチ
レン−酢酸ビニル共重合体に代えて、「パンデックス
T5205」を用いた以外は、実施例34と同様にし
て、均質混合溶液(35)を得た。
【0250】実施例1において、均質混合溶液(1)に
代えて、均質混合溶液(35)を使用し、かつ、紫外線
照射温度を80℃とした以外は、実施例1と同様にして
フィルムを作製した。未硬化の賦形物は、室温〜80℃
で無色透明であったが、硬化後のフィルムは、薄く乳白
濁化していた。塗膜断面のTEM観察を行ったところ、
径の大きさが0.2〜0.5μm の網目状の相分離構造
を観察することができた。また、実施例1と同様に実施
した溶剤抽出試験の結果も実施例1と同様であった。
【0251】実施例35で得たフィルム状硬化物の強
度、破断伸度、弾性率、破断エネルギーの測定結果を表
7に示した。実施例35で得たフィルム状硬化物は、後
述する参考例8で得たフィルム状硬化物と比較して、い
ずれの評価項目においても、大きく向上していることが
分かる。
【0252】[参考例8]実施例34において、熱可塑
性樹脂を使用しなかったこと、溶剤を使用しなかったこ
と、ガラス板のカバーを装着しなかったこと、及び、照
射温度を25℃としたこと、以外は、実施例34と同様
にして、フィルム状の1,4BGの単独硬化物(膜厚=
約110μm )を得た。参考例8で得たフィルム状硬化
物の強度、破断伸度、弾性率、破断エネルギーの測定結
果を表7に示した。
【0253】
【表7】
【0254】[実施例36]活性エネルギー線架橋重合
性化合物として、「カヤラッドHDDA」9g、光重合
開始剤として、「イルガキュア184」0.18g及び
熱可塑性樹脂として、「NBR−1042」1gを塩化
メチレン80gに溶解させて、均質混合溶液(36)を
得た。
【0255】実施例1において、均質混合溶液(1)に
代えて、均質混合溶液(36)を使用し、かつ、紫外線
照射温度を80℃とした以外は、実施例1と同様にして
フィルムを作製した。未硬化の賦形物は、室温〜80℃
で無色透明であったが、硬化後のフィルムは、薄く白濁
化していた。塗膜断面のTEM観察を行ったところ、径
の大きさが0.5〜0.8μm の網目状の相分離構造を
観察することができた。また、実施例1と同様に実施し
た溶剤抽出試験の結果も実施例1と同様であった。
【0256】実施例36で得たフィルム状硬化物の強
度、破断伸度、弾性率、破断エネルギーの測定結果を表
8に示した。実施例36で得たフィルム状硬化物は、破
断伸度がHDDA単独硬化物(参考例1)と比較して5
%程度から18%と大きく向上し、破断エネルギーも1
4mJ/mm2 と大きく向上していることが分かる。ま
た、HDDA単独硬化物からなるフィルム(110μ
m)は、鋏で切るとフィルムが砕けてしまうが、実施例
36で得たフィルムは、柔軟性に富み、鋏で切っても砕
けることはなく、カット断面も滑らかであった。
【0257】[実施例37]活性エネルギー線架橋重合
性化合物として、「カヤラッドHDDA」4g、「V4
263」(大日本インキ化学工業株式会社製のウレタン
系アクリレートのオリゴマー)4g、光重合開始剤とし
て、「イルガキュア184」0.16g及び熱可塑性樹
脂として、ポリ塩化ビニル(和光純薬工業株式会社製)
2gをTHF50gに溶解させて均質混合溶液(37)
を得た。
【0258】実施例1において、均質混合溶液(1)に
代えて、均質混合溶液(37)を使用し、かつ、紫外線
照射温度を100℃とした以外は、実施例1と同様にし
てフィルムを作製した。未硬化の賦形物は、室温〜10
0℃で無色透明であったが、硬化後のフィルムは、薄く
乳白濁化していた。塗膜断面のTEM観察を行ったとこ
ろ、径の大きさが0.3〜0.5μm の網目状の相分離
構造を観察することができた。また、塩化メチレンに代
えてTHFを用いた以外は、実施例1と同様に実施した
溶剤抽出試験の結果も実施例1と同様であった。
【0259】実施例37で得たフィルム状硬化物の強
度、破断伸度、弾性率、破断エネルギーの測定結果を表
8に示した。実施例37で得たフィルム状硬化物は、後
述する参考例9で得たフィルム状硬化物と比較して、い
ずれの評価項目においても、大きく向上していることが
分かる。
【0260】[実施例38]実施例38において、ポリ
塩化ビニルに代えて、フェノキシ樹脂(ユニオンカーバ
イド株式会社製)を用いた以外は、実施例37と同様に
して、均質混合溶液(38)を得た。
【0261】実施例1において、均質混合溶液(1)に
代えて、均質混合溶液(37)を使用し、かつ、紫外線
照射温度を100℃とした以外は、実施例1と同様にし
てフィルムを作製した。未硬化の賦形物は、室温〜10
0℃で無色透明であったが、硬化後のフィルムは、薄く
乳白濁化していた。塗膜断面のTEM観察を行ったとこ
ろ、径の大きさが0.3〜0.5μm の網目状の相分離
構造を観察することができた。また、塩化メチレンに代
えてTHFを用いた以外は、実施例1と同様に実施した
溶剤抽出試験の結果も実施例1と同様であった。
【0262】実施例38で得たフィルム状硬化物の強
度、破断伸度、弾性率、破断エネルギーの測定結果を表
8に示した。実施例38で得たフィルム状硬化物は、後
述する参考例9で得たフィルム状硬化物と比較して、い
ずれの評価項目においても、大きく向上していることが
分かる。
【0263】[参考例9]実施例37において、熱可塑
性樹脂を使用しなかったこと、溶剤を使用しなかったこ
と、ガラス板のカバーを装着しなかったこと、及び、照
射温度を25℃としたこと、以外は、実施例37と同様
にして、「カヤラッドHDDA」と「V4263」との
均等重量部からなるフィルム状の硬化物(膜厚=約11
0μm )を得た。参考例9で得たフィルム状硬化物の強
度、破断伸度、弾性率、破断エネルギーの測定結果を表
8に示した。
【0264】
【表8】
【0265】
【発明の効果】本発明の樹脂複合体は、活性エネルギー
線架橋重合性化合物からなる重合体と比較して、力学特
性を改良されたものであり、しかも、光学的に透明なも
のもある。また、本発明の樹脂複合体は、1つのガラス
転移温度を示す樹脂複合体と比較して、力学的特性に優
れている。また、本発明の樹脂複合体の製造方法は、製
造安定性が高く、特性の制御が容易で、製品の品質変動
が少ない上、生産性が高い、という利点を有する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08F 291/00 C08F 291/00 C08L 1/02 C08L 1/02 9/00 9/00 25/06 25/06 27/06 27/06 29/14 29/14 31/04 31/04 C 33/10 33/10 67/02 67/02 69/00 69/00 73/00 73/00 75/04 75/04 Fターム(参考) 4J002 AB01X AC02X BC02X BD03X BE06X BF02X BG04W BG05W CF03X CF18X CG00X CH08X CK02X GH00 GQ05 4J011 PA53 PA54 PA65 PA66 PA68 PA88 PA89 PA95 PB40 PC02 QA12 QA13 QA24 SA04 SA14 SA18 SA22 SA25 SA28 SA32 SA34 SA38 SA54 SA58 SA61 SA64 UA01 UA02 UA03 UA04 VA01 VA05 VA06 VA08 VA09 WA02 4J026 AA02 AA17 AA25 AA28 AA38 AA67 AB07 AB17 BA28 DB06 DB32 DB36 FA05 GA07 4J100 AL62P AL63P CA01 CA04 CA23 EA05 FA02 JA01 JA46

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)活性エネルギー線架橋重合性化合物
    の硬化物である架橋重合体と、(b)熱可塑性樹脂、とか
    らなる共連続構造を有する樹脂複合体であって、 (1) 活性エネルギー線架橋重合性化合物が、一分子中に
    2〜6個の(メタ)アクリル基を有するアルキル(メ
    タ)アクリレートであり、 (2) 熱可塑性樹脂が、ポリカーボネート系重合体、ポリ
    エステル系重合体、フェノキシ樹脂、ビニルアセタール
    系重合体、塩化ビニル系重合体、酢酸ビニル系重合体、
    スチレン系重合体、ウレタン系重合体、未架橋ゴム、及
    びセルロース誘導体からなる群から選ばれる熱可塑性樹
    脂であることを特徴とする樹脂複合体。
  2. 【請求項2】 共連続構造を有する樹脂複合体が、0.
    02〜0.1μmの範囲にある大きさの網目状構造の熱
    可塑性樹脂相を有するものである請求項1記載の樹脂複
    合体。
  3. 【請求項3】 共連続構造を有する樹脂複合体が、2つ
    のガラス転移温度(Tg)を有するものである請求項1
    又は2記載の樹脂複合体。
  4. 【請求項4】 アルキル(メタ)アクリレートが、直鎖
    アルキレンジオールジ(メタ)アクリレートである請求
    項1、2又は3記載の樹脂複合体。
  5. 【請求項5】 アルキル(メタ)アクリレートがネオペ
    ンチルグリコールジ(メタ)アクリレートであり、熱可
    塑性樹脂が、ポリカーボネート系重合体、ビニルアセタ
    ール系重合体、塩化ビニル系重合体、酢酸ビニル系重合
    体、スチレン系重合体、ウレタン系重合体、及び未架橋
    ゴムなる群から選ばれる1以上の熱可塑性樹脂である請
    求項1、2又は3記載の樹脂複合体。
  6. 【請求項6】 アルキル(メタ)アクリレートがテトラ
    メチロールメタンテトラ(メタ)アクリレートであり、
    熱可塑性樹脂が、塩化ビニル系重合体、酢酸ビニル系重
    合体、ビニルアセタール系重合体、スチレン系重合体、
    ウレタン系重合体、及び未架橋ゴムなる群から選ばれる
    1以上の熱可塑性樹脂である請求項1、2又は3記載の
    樹脂複合体。
  7. 【請求項7】 アルキル(メタ)アクリレートがトリメ
    チロールプロパントリ(メタ)アクリレートであり、熱
    可塑性樹脂が、フェノキシ樹脂、塩化ビニル系重合体、
    酢酸ビニル系重合体、ビニルアセタール系重合体、スチ
    レン系重合体、ウレタン系重合体、未架橋ゴム、セルロ
    ース誘導体なる群から選ばれる1以上の熱可塑性樹脂で
    ある請求項1、2又は3記載の樹脂複合体。
  8. 【請求項8】 (1) 一分子中に2〜6個の(メタ)アク
    リル基を有する活性エネルギー線硬化性アルキル(メ
    タ)アクリレート、及び(2) ポリカーボネート系重合
    体、ポリエステル系重合体、フェノキシ樹脂、ビニルア
    セタール系重合体、塩化ビニル系重合体、酢酸ビニル系
    重合体、スチレン系重合体、ウレタン系重合体、未架橋
    ゴム、及びセルロース誘導体からなる群から選ばれる熱
    可塑性樹脂からなる均一混合液を賦形した後、活性エネ
    ルギー線を照射して均一混合液の賦形物を硬化させ、相
    分離を誘発させるとともに、共連続構造を固定化するこ
    とを特徴とする請求項1〜7のいずれか1記載の樹脂複
    合体の製造方法。
  9. 【請求項9】 (1) 活性エネルギー線硬化性アルキル
    (メタ)アクリレート、(2) 熱可塑性樹脂、及び(3)こ
    れらを溶解する溶剤とからなる均一混合液を賦形した
    後、溶剤を乾燥除去し、しかる後に活性エネルギー線を
    照射する請求項8記載の樹脂複合体の製造方法。
  10. 【請求項10】 均一混合液が光重合開始剤を含有し、
    活性エネルギー線が紫外線である請求項8又は9記載の
    樹脂複合体の製造方法。
  11. 【請求項11】 活性エネルギー線照射温度が50〜2
    00℃である請求項8、9又は10記載の樹脂複合体の
    製造方法。
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