JP2011051127A - 樹脂成形体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】セルロース誘導体(a)1〜80質量%及びビニル単量体(b)20〜99質量%(但し、セルロース誘導体(a)及びビニル単量体(b)の合計が100質量%)を含む混合物を注型重合して得られる樹脂成形体の製造方法であって、ビニル単量体(b)に対するセルロース誘導体(a)の膨潤率が2.0以上である樹脂成形体の製造方法。
【選択図】図8
Description
本発明の目的は、透明性、柔軟性、耐熱性、寸法安定性に優れる樹脂成形体を製造する方法を提供することにある。
これらのビニル単量体(b)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
尚、本発明において、(メタ)アクリレートは、アクリレート又はメタクリレートを示す。
(イ)セルロース誘導体(a)1g及びビニル単量体(b)25mlを混合して、「セルロース誘導体(a)及びビニル単量体(b)の混合物」を調製し、25℃で1時間放置する。
(ロ)金網(100メッシュ)の質量(W0)を秤量し、この金網を用いて、「セルロース誘導体(a)及びビニル単量体(b)の混合物」を濾過する。
(ハ)ビニル単量体(b)で膨潤したセルロース誘導体(a)が金網上に残った状態で質量(金網を含む)(W1)を秤量し、ビニル単量体(b)で膨潤したセルロース誘導体(a)の質量(W1−W0)を求める。
(ニ)ビニル単量体(b)で膨潤したセルロース誘導体(a)を乾燥した後、質量(金網を含む)(W2)を秤量し、ビニル単量体(b)を除去したセルロース誘導体(a)の質量(W2−W0)を求める。
(ホ)ビニル単量体(b)に対するセルロース誘導体(a)の膨潤率を、以下の式1により算出する。
膨潤率=((W1−W0)−(W2−W0))÷(W2−W0) (式1)
尚、この方法で求めたビニル単量体(b)で膨潤したセルロース誘導体(a)の質量は、セルロース誘導体(a)に付着したビニル単量体(b)の質量も含む。
重合時間としては、ビニル単量体(b)や重合開始剤の種類等によって適宜設定することができるが、一般に1〜10時間である。
これらの重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの連鎖移動剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの架橋剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
架橋剤の使用は、溶融成形では不可能であり、注型重合により樹脂成形体を得る本発明において非常に有効である。架橋剤を用いると、得られる樹脂成形体の耐熱性、寸法安定性に優れる。
架橋剤の使用量としては、ビニル単量体100質量部に対して、0.001〜10質量部であることが好ましく、0.1〜1質量部であることが好ましい。
架橋剤の使用量が0.001質量部以上であると、得られる樹脂成形体の耐熱性、寸法安定性に優れる。また、架橋剤の使用量が10質量部以下であると、得られる樹脂成形体の柔軟性に優れる。
実施例及び比較例における各種物性評価は、以下の方法による。
(イ)セルロース誘導体(a)1g及びビニル単量体(b)25mlを混合して、「セルロース誘導体(a)及びビニル単量体(b)の混合物」を調製し、25℃で1時間放置した。
(ロ)金網(100メッシュ)の質量(W0)を秤量し、この金網を用いて、「セルロース誘導体(a)及びビニル単量体(b)の混合物」を濾過した。
(ハ)ビニル単量体(b)で膨潤したセルロース誘導体(a)が金網上に残った状態で質量(金網を含む)(W1)を秤量し、ビニル単量体(b)で膨潤したセルロース誘導体(a)の質量(W1−W0)を求めた。
(ニ)ビニル単量体(b)で膨潤したセルロース誘導体(a)を乾燥した後、質量(金網を含む)(W2)を秤量し、ビニル単量体(b)を除去したセルロース誘導体(a)の質量(W2−W0)を求めた。
(ホ)ビニル単量体(b)に対するセルロース誘導体(a)の膨潤率を、以下の式1により算出した。
膨潤率=((W1−W0)−(W2−W0))÷(W2−W0) (式1)
得られた混合物の混合状態を目視し、以下の基準により判定した。
○:均一であった。
△:やや不均一であった。
×:不均一であった。
得られた樹脂成形体(厚み0.5mm)の全光線透過率を、JIS−K7261−1に準拠して測定した。
得られた樹脂成形体から試験片(厚み0.5mm、幅4mm、長さ15mm)を作製し、動的粘弾性測定装置(機種名「DMS200」、セイコーインスツル(株)製)を用い、引張モード、周波数1Hz、チャック間距離10mm、昇温速度5℃/分の条件で、貯蔵弾性率を測定した。
得られた樹脂成形体の柔軟性を、以下の基準により判定した。
◎:60℃での貯蔵弾性率が、0.1GPa以下。
○:60℃での貯蔵弾性率が、0.1GPaより高く2GPaより低い。
△:60℃での貯蔵弾性率が、2GPa以上。
得られた樹脂成形体の耐熱性を、以下の基準により判定した。
◎:200℃での貯蔵弾性率が、60℃での貯蔵弾性率の1/10以下であった。
○:150℃での貯蔵弾性率が、60℃での値の1/10以下であったが、200℃での貯蔵弾性率は、低過ぎて測定不能であった。
×:150℃での貯蔵弾性率は、低過ぎて測定不能であった。
得られた樹脂成形体から試験片(厚み0.5mm、幅4mm、長さ15mm)を作製し、熱機械的分析装置(機種名「TMA/SS6100」、セイコーインスツル(株)製)を用い、引張モード、引張応力49mN、チャック間距離10mm、温度20〜150℃、昇温速度5℃/分の条件で、以下の式2により線膨張係数を算出した。
線膨張係数(ppm)= {チャック間距離変化(mm)÷チャック間距離初期値(mm)}÷温度変化(℃)×106 (式2)
尚、チャック間距離変化は、温度変化50℃での最大値をとした。
フラスコ内にメチルアクリレート75部を加え、50℃に昇温し、攪拌を行いながらセルロースジアセテート(商品名「L−20」、ダイセル化学工業(株)製、アセチル化度55%)25部を少量ずつ加えていき、均一な混合物を調製した。更に、フラスコ内にエチレングリコールジメタクリレート0.5部、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.5部を加え、攪拌した後、減圧下で脱泡し、二枚のガラス製平面板の間(間隔0.5mm)に封入し、加熱装置内で内容物が発泡しないように徐々に昇温し、加熱装置内の温度が60℃に到達後、4時間保持した。その後、80℃に昇温し、4時間保持して、重合を完了し、樹脂成形体(厚み0.5mmのフィルム)を得た。
混合物を表1のようにした以外は、実施例1と同様に行った。
混合物を表1のようにした以外は、実施例1と同様に混合物の調製を試みたが、均一な混合物は得られず、注型重合を行うことができなかった。
混合物を表1のようにした以外は、実施例1と同様に行った。
攪拌装置、冷却管、加熱装置、温度センサー及び定量供給装置を備えた反応容器に、イオン交換水700部、メタクリル酸とメチルメタクリレートの共重合体のカリウム塩0.1部、セルロースジアセテート25部(商品名「L−20」、ダイセル化学工業(株)製、アセチル化度55%)を仕込んだ。攪拌を行いながら、60℃に昇温し、メチルアクリレート75部、エチレングリコールジメタクリレート0.5部、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.3部、t−ブチルパーオキシベンゾエート0.15部の混合物を、反応容器内に6時間かけて加えた。更に、1時間攪拌を行い、90℃に昇温し2時間攪拌を行った後、冷却し、固形物をろ過、洗浄、乾燥し、重合体を得た。
得られた重合体について、溶融成形により成形を試みたが、メルトフローレートが0.1g/10分未満(JIS K7210準拠、荷重10kg、温度280℃)であり溶融流動性が低く、樹脂成形体を得ることができなかった。尚、成形温度を280℃以上とすると、重合体が著しく劣化するため、280℃以上に温度を上げることができなかった。
参考例として、市販の軟質アクリルフィルム(商品名「HBS010」、三菱レイヨン(株)製、厚み500μm)及び市販のポリエステルフィルム(商品名「E5000」、東洋紡(株)製、厚み500μm)を樹脂成形体として用いた。
尚、比較例4で得られた樹脂成形体は、機械強度に劣り、熱機械的分析ができなかった。また、比較例5で得られた樹脂成形体は、機械強度、柔軟性に劣り、動的粘弾性測定、熱機械的分析ができなかった。
CDA:セルロースジアセテート(商品名「L−20」、ダイセル化学工業(株)製、アセチル化度55%)
CTA:セルローストリアセテート(商品名「LT−35」、ダイセル化学工業(株)製、アセチル化度61%)
MA :メチルアクリレート
MMA:メチルメタクリレート
ST :スチレン
セルロース誘導体(a)の含有率が高過ぎる比較例1及びビニル単量体(b)に対するセルロース誘導体(a)の膨潤率が低過ぎる比較例2〜3において、混合状態が不均一となり、注型重合を行うことができなかった。
セルロース誘導体(a)を含まない比較例4〜5で得られた樹脂成形体は、柔軟性、耐熱性に劣った。
比較例6で得られた懸濁重合で作製した重合体は、溶融流動性が低く溶融成形ができず、樹脂成形体を得ることができなかった。
市販のアクリルフィルムである参考例1の樹脂成形体は、耐熱性に劣った。市販のポリエステルフィルムである参考例2の樹脂成形体は、透明性、柔軟性に劣った。
Claims (2)
- セルロース誘導体(a)1〜80質量%及びビニル単量体(b)20〜99質量%(但し、セルロース誘導体(a)及びビニル単量体(b)の合計が100質量%)を含む混合物を注型重合して得られる樹脂成形体の製造方法であって、
ビニル単量体(b)に対するセルロース誘導体(a)の膨潤率が2.0以上である樹脂成形体の製造方法。 - 混合物に、更に架橋剤を添加して注型重合して得られる請求項1記載の樹脂成形体の製造方法。
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