JP2001329027A - 樹脂複合体、組成物及びその製造法 - Google Patents
樹脂複合体、組成物及びその製造法Info
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Abstract
度、破断伸度、弾性率、耐衝撃性等の力学特性に優れ、
且つ光学的透明性を有する、ポリサルホン系鎖状重合体
と活性エネルギー線硬化性架橋重合体から成る樹脂複合
体、組成物及びその製造法を提供することにある。 【解決手段】 (I)(a)1分子中に2個〜6個の(メ
タ)アクリル基を有する(メタ)アクリレートと、
(b)溶解度パラメーターが9.70〜10.45の範囲
にある、分子中に1個の(メタ)アクリル基を有する
(メタ)アクリレートとを含有する活性エネルギー線架
橋重合性化合物からなる架橋重合体と、(II)ポリスル
ホン系鎖状重合体からなる樹脂複合体、組成物、及びそ
の製造法。
Description
度、弾性率、耐衝撃性などの力学特性に優れると共に光
学的透明性を有し、保護フィルム、保護膜、各種コーテ
ィング材、封止材等の各種分野で有用な樹脂複合体及び
その製造法に関し、更に詳しくは、ポリサルホン系鎖状
重合体と活性エネルギー線硬化性架橋重合体から成る、
共連続ミクロ相分離構造或いは(疑似)相溶構造を有す
る樹脂複合体、その組成物及びその製造法に関する。
エネルギー線照射により、極めて短時間で硬化し、作業
効率が高く、溶剤揮発による環境汚染が少ないので、塗
料、封止剤などに広く利用されている。しかしながら、
該組成物からなる硬化物は、軟質系で、表面硬度、耐熱
性及び強度が不十分なものであるか、或いは、硬質系
で、堅くて脆く、塗膜等にした場合にクラックが発生し
易いものかのどちらかで、同程度の剛性を有する熱可塑
性樹脂に比べて強靱性に劣っていた。
ネルギー線硬化型組成物を熱可塑性樹脂との樹脂複合体
とすることにより、活性エネルギー線硬化型組成物を改
良する試みがなされている。なかでもポリサルホンは2
00℃近いガラス転移温度を有する非晶性樹脂であり、
高い耐熱性と靭性を兼ね備えたスーパーエンジニアリン
グプラスチックとして、各種分野で用いられている。こ
れらポリサルホンを活性エネルギー線硬化型組成物と複
合化することにより、活性エネルギー線硬化型組成物を
改良する試みがなされている。
特開平11−80556号公報には、ビスフェノール型
(メタ)アクリレートをアクリル樹脂、ポリサルホン樹
脂、ポリイミド樹脂によって改良する方法が開示されて
いる。また、特開平7−33991号公報には、感光性
組成物の硬化物とポリエーテルスルホンとからなり、こ
の両者が疑似的均質相溶構造を形成して成る樹脂複合体
及びその製造方法が開示されている。
感光性組成物とポリエーテルスルホンとを溶剤に溶解し
た後、溶剤キャスト過程等で相分離させた後に光照射し
て感光性組成物を硬化させることからなる樹脂複合体の
製造方法、及びそれにより得られる共連続又は球状ドメ
イン構造を有する樹脂複合体が開示されている。また、
1998年度川村理化学研究所報告には、エチレンオキ
サイド変性ビスフェノール型アクリレートをポリサルホ
ンと複合化する方法が開示されている。
は活性エネルギー線硬化型組成物との相溶性、親和性が
悪い為に複合化が難しく、且つ得られた樹脂複合体にも
種々の問題があった。例えば、上記の特開平11−80
556号公報に記載の方法では、ポリサルホンとの親和
性を向上させるためにN,N−ジメチルアクリルアミド
などのアミド系の重合性化合物を併用する方法をとって
いるために、雰囲気湿度により樹脂の水分吸収度が変化
し、特性が大きく変化、特に力学的特性が大きく低下す
るという問題があった。
特開平7−102175号公報に記載の方法も、熱可塑
性樹脂に親和性に乏しいポリサルホン系樹脂を使用する
ために、有機溶剤を添加することによって、ポリサルホ
ン系鎖状重合体と感光性組成物とを均質混合状態とする
方法を採っている。
て成る樹脂複合体を得る場合には、相分離が誘発するよ
り速く溶剤除去を行い、光照射して急速に感光性樹脂を
硬化させて構造を固定する方法をとり、共連続又は球状
ドメイン構造を有する樹脂複合体を得る場合には、該溶
剤混合溶液の賦形物の加熱或いは冷却、若しくは溶剤の
揮発といった方法で相分離を誘発させた後に、光照射し
て急速に感光性樹脂を硬化させて構造を固定する方法を
採っている。
特性が大きく低下しがちであり、製造安定性や製品の均
質性に欠ける上、残存溶剤などの影響で得られる樹脂複
合体もボイドが発生する等の問題があり、また特性向上
も必ずしも十分なものではなかった。
記載の方法は、ポリサルホンとの相溶性が良いエチレン
オキサイド変性ビスフェノール型アクリレート(BPE4)
に限られた方法である。ポリサルホンは一般のアクリレ
ートとは相溶性が悪く、エチレンオキサイド変性ビスフ
ェノール型アクリレートとポリサルホンとの組み合わせ
に限り適応可能な方法である。
ノール型アクリレートと極めて似たプロピレンオキサイ
ド変性ビスフェノール型アクリレートですら、相溶性が
悪く、良好な複合体は得られない。また、エチレンオキ
サイド変性ビスフェノール型アクリレートに対して、ポ
リサルホンの代わりに、ポリサルホンと極めて類似した
構造を有するポリエーテルサルホンを使用しても、相溶
性が悪いために良好な構造を持つ複合体は得られない。
ル型アクリレートは極めて粘度が高く、80℃以上でな
いと液体組成物として扱うことが困難であり、従って、
ポリサルホンとエチレンオキサイド変性ビスフェノール
型アクリレート(BPE4)との複合体の製造の操作性は好
ましいものではなかった。
する課題は、破断強度、破断伸度、弾性率、耐衝撃性等
の力学特性に優れ、且つ光学的透明性を有する、ポリサ
ルホン系鎖状重合体と活性エネルギー線硬化性架橋重合
体から成る樹脂複合体、組成物及びその製造法を提供す
ることにある。
解決するため鋭意検討した結果、特定の構造の単官能の
活性エネルギー線架橋重合性化合物を併用することによ
り、ポリサルホン鎖状系重合体との相溶性が改良され
て、力学的特性の向上した良好な樹脂複合体を安定して
製造できること見いだし、本発明を完成するに到った。
リル基を有する(メタ)アクリレートと、(b)溶解度
パラメーターが9.70〜10.45の範囲にある、分子
中に1個の(メタ)アクリル基を有する(メタ)アクリ
レートとを含有する活性エネルギー線架橋重合性化合物
からなる架橋重合体と、(II)ポリスルホン系鎖状重合
体からなる樹脂複合体と、
タ)アクリル基を有する(メタ)アクリレートが、ジシ
クロペンタジエン骨格を有するジ(メタ)アクリレー
ト、フェノキシグリセロール(メタ)アクリレート、ビ
スフェノールA型のエポキシ(メタ)アクリレート、直
鎖アルキレン基を有するジ(メタ)アクリレート及び
(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレートから
なる群から選ばれる1種以上の(メタ)アクリレートで
ある(1)に記載の樹脂複合体と、
〜10.45の範囲にある、分子中に1個の(メタ)ア
クリル基を有する(メタ)アクリレートが、グリシジル
(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコ
ール(メタ)アクリレート、ベンジルアルキル(メタ)
アクリレート、パラクミルフェノール(メタ)アクリレ
ート、クレゾール(メタ)アクリレート、及びテトラヒ
ドロフルフリル(メタ)アクリレートからなる群から選
ばれる1種以上の(メタ)アクリレートである(1)又
は(2)に記載の樹脂複合体と、
とを特徴とする(1)〜(3)のいずれか一つに記載の
樹脂複合体と、
(メタ)アクリル基を有する(メタ)アクリレートと、
(b)溶解度パラメーターが9.70〜10.45の範囲
にある、1分子中に1個の(メタ)アクリル基を有する
(メタ)アクリレートを含有する活性エネルギー線架橋
重合性化合物の混合物と、(II)ポリサルホン系鎖状重
合体とを含有する均質混合液を任意の形状に賦形した
後、活性エネルギー線を照射して(メタ)アクリレート
を重合させることを特徴とする、活性エネルギー線架橋
重合体とポリサルホン系鎖状重合体からなる樹脂複合体
の製造法と、
(メタ)アクリル基を有する(メタ)アクリレートと、
(b)溶解度パラメーターが9.70〜10.45の範囲に
ある1分子中に1個の(メタ)アクリル基を有する(メ
タ)アクリレートとを含有する活性エネルギー線架橋重
合性化合物の混合物と、(II)ポリサルホン系鎖状重合
体と、(III)上記(I)成分及び上記(II)成分とを溶
解する溶剤とを含有する均質混合液を任意の形状に賦形
した後、(III)溶剤を乾燥除去し、次いで、活性エネ
ルギー線を照射して(メタ)アクリレートを重合させ
る、活性エネルギー線架橋重合体とポリサルホン系鎖状
重合体からなる樹脂複合体の製造法と、
クリル基を有する(メタ)アクリレートが、グリシジル
(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコ
ール(メタ)アクリレート、ベンジルアルキル(メタ)
アクリレート、パラクミルフェノール(メタ)アクリレ
ート、クレゾール(メタ)アクリレート及びテトラヒド
ロフルフリル(メタ)アクリレートからなる群から選ば
れる1種以上のアクリレートであることを特徴とする
(5)又は(6)に記載の樹脂複合体の製造法と、
し、活性エネルギー線として紫外線を用いることを特徴
とする、(5)〜(7)のいずれか一つに記載の樹脂複
合体の製造法と、
(メタ)アクリル基を有する(メタ)アクリレートと、
(b)溶解度パラメーターが9.70〜10.45の範囲
にある、1分子中に1個の(メタ)アクリル基を有する
(メタ)アクリレートとを含有する、活性エネルギー線
架橋重合性化合物の混合物、及び(II)ポリサルホン系
鎖状重合体を含有する液状の活性エネルギー線硬化性組
成物と、
0〜10.45の範囲にある1分子中に1個の(メタ)
アクリル基を有する(メタ)アクリレートが、グリシジ
ル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリ
コール(メタ)アクリレート、ベンジルアルキル(メ
タ)アクリレート、パラクミルフェノール(メタ)アク
リレート、クレゾール(メタ)アクリレート、及びテト
ラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートからなる群か
ら選ばれる1種以上の(メタ)アクリレートである
(9)に記載の液状の活性エネルギー線硬化性組成物
と、
溶解する溶剤を含有することを特徴とする(9)又は
(10)に記載の液状の活性エネルギー線硬化性組成物
とを含むものである。
ホン系鎖状重合体(以下、「ポリサルホン系鎖状重合
体」を単に「ポリサルホン」と称する場合がある)と、
活性エネルギー線架橋重合性化合物の混合物から成る架
橋重合体(以下、「活性エネルギー線架橋重合性化合物
の混合物から成る架橋重合体」を「活性エネルギー線架
橋重合体」と称する場合がある)で構成される樹脂複合
体である。
合性化合物の混合物は、(a)一分子中に2〜6個の
(メタ)アクリル基を有する(メタ)アクリレート(以
下、「一分子中に2〜6個の(メタ)アクリル基を有す
る(メタ)アクリレート」を「2〜6官能(メタ)アク
リレート」と称する場合がある)と、(b)溶解度パラ
メーターが9.70〜10.45の範囲にあり、一分子中
に1個の(メタ)アクリル基を有する(メタ)アクリレ
ート(以下、「一分子中に1個の(メタ)アクリル基を
有する(メタ)アクリレート」を「単官能(メタ)アク
リレート」と称する場合がある)との混合物である。該
混合物の成分である(メタ)アクリレートは光重合開始
剤の存在下でのみ活性エネルギー線により硬化するもの
であっても良い。
クリレートは、例えば、(ポリ)エチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコール
ジ(メタ)アクリレート、(ポリ)テトラメチレングリ
コールジ(メタ)アクリレート;ネオペンチルグリコー
ルジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ
(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ
(メタ)アクリレート、1,8−オクタンジオールジ
(メタ)アクリレート、
ルオキシポリエチレンオキシフェニル)プロパン、2,
2’−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシポリプロ
ピレンオキシフェニル)プロパン、ヒドロキシジピバリ
ン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、
ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、エチレン
オキサイド変性ビスフェノール型ジ(メタ)アクリレー
ト、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)
アクリレート、ビス(アクロキシエチル)ヒドロキシエ
チルイソシアヌレート、N−メチレンビスアクリルアミ
ドの如き2官能単量体;
リレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレ
ート、トリス(アクロキシエチル)イソシアヌレート、
カプロラクトン変性トリス(アクロキシエチル)イソシ
アヌレートの如き3官能単量体;ペンタエリスリトール
テトラ(メタ)アクリレートの如き4官能単量体;ジペ
ンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートの如き
6官能単量体等が挙げられる。
ートとしては、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレ
ートのようなジシクロペンタジエン骨格を有する(メ
タ)アクリレート;ビスフェノールAジグリシジルエー
テルジ(メタ)アクリレートのようなビスフェノールA
型のエポキシジ(メタ)アクリレート;エチレンオキサ
イド変性ビスフェノール型ジ(メタ)アクリレート、フ
ェノキシグリセロール(メタ)アクリレート、(ポリ)
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1.4−
ブタンジオールジ(メタ)アクリレート等の直鎖アルキ
レン基を有するジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
本発明に用いられる2〜6官能(メタ)アクリレート
は、モノマーであってもオリゴマーであっても良い。
レートは、溶解度パラメーターが9.70〜10.45の
範囲、好ましくは9.75〜10.40の範囲にあるもの
である。この範囲未満の溶解度パラメーターを有するも
のは、ポリサルホンとの相溶性に劣るため良好な物性を
示す樹脂複合体を形成し得ないものであるか、或いは親
水性の(メタ)アクリレートであって、得られる樹脂複
合体は耐水性や耐湿性に劣るものとなりがちである。ま
た、この範囲を越えるものは、ポリサルホンとの相溶性
に劣るため良好な物性を示す樹脂複合体を形成し得な
い。
度の平方根((ΔE/V)1/2)、(ΔEは凝集エネル
ギー、Vはモル体積を表わす)で表され、分子の親和性
を評価する場合によく用いられる。溶解度パラメーター
が近いものほど親和性がよくなることが知られている。
ら計算により求められることが知られており、本発明で
はフェドルスによる方法(ポリマーエンジニアリングサ
イエンス、14巻、147ページ、1974年、或いは
原崎勇次著「コーティングの基礎科学」第3章、35
頁、1977年、槙書店)により得られる25℃での値
を採用する。フェドルスの方法では、ΔE及びVがそれ
ぞれ化合物を構成する原子または原子団の蒸発エネルギ
ー及びモル体積の和とする方法である。
1.8程度であり、溶解度パラメーターに1以上の違い
がある溶解度パラメーター9.70〜10.45の化合物
とは、通常、均質に混合した液状組成物は得られない。
しかしながら、溶解度パラメーターが9.70〜10.4
5の範囲にある単官能(メタ)アクリレートは、驚くべ
きことに上記2〜6官能(メタ)アクリレートとポリサ
ルホンとの親和性を向上させ、本発明が目的とする相構
造を有する樹脂複合体を形成し得るようになる。
の範囲にある単官能(メタ)アクリレートとしては、グ
リシジル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレ
ングリコール(メタ)アクリレート、ベンジルアルキル
(メタ)アクリレート、パラクミルフェノール(メタ)
アクリレート、クレゾール(メタ)アクリレート及びテ
トラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートから選ばれ
る1種以上の(メタ)アクリレートを挙げることができ
る。
特に好ましいものとして、フェノキシポリエチレングリ
コール(メタ)アクリレート、パラクミルフェノール
(メタ)アクリレート、クレゾール(メタ)アクリレー
ト、及びテトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート
が挙げられる。
タ)アクリレートと2〜6官能(メタ)アクリレートと
の配合の割合は、使用する単官能(メタ)アクリレート
や2〜6官能(メタ)アクリレートの種類、或いはポリ
サルホンの使用量、用途等により異なるが、通常、(単
官能(メタ)アクリレート/2〜6官能(メタ)アクリ
レート)の混合重量比が(5/95)〜(60/40)
の範囲が好ましく、(10/90)〜(50/50)の
範囲が特に好ましい。本発明の活性エネルギー線架橋重
合体は、上記2〜6官能(メタ)アクリレートと上記単
官能(メタ)アクリレートの共重合体であり、架橋構造
を有する共重合体である。
ン系鎖状重合体は、主鎖内にフェニルスルホン基を有す
るポリエーテル樹脂で、芳香族ジハライドとビスフェノ
ールとの重合物が好ましく、中でも、ジクロロジフェニ
ルスルホンとビスフェノールAから得られるポリサルホ
ンが特に好ましい。なお、本発明で言う鎖状重合体と
は、架橋重合体でないことを言い、鎖状重合体、枝分か
れ重合体、面状重合体を含む。
I)ポリサルホンとの配合の割合は、用いる活性エネル
ギー線架橋重合体の種類により異なるが、通常、(活性
エネルギー線架橋重合体/ポリサルホン)の混合重量比
が(98/2)〜(20/80)の範囲が好ましく、
(95/5)〜(30/70)の範囲が特に好ましい。
本発明の樹脂複合体では、上記の混合比の範囲とするこ
とで、ポリサルホンの特徴である靭性等の優れた力学特
性、或いは耐熱性が付与された良好な複合体を得ること
が可能となる。
るが、下記の2種の構造であることが好ましい。本発明
の樹脂複合体の好ましい第1の形態は、相対的にポリサ
ルホン濃度の高い相(以下、「ポリサルホン相」と称す
る場合がある)と、相対的に活性エネルギー線架橋重合
体濃度の高い相(以下、「架橋重合体相」と称する場合
がある)がミクロ相分離した樹脂複合体であり、それぞ
れの相が成形物全体にわたって連続した構造、即ち共連
続構造を採っているものである。
なポリサルホンである必要はなく、ポリサルホン濃度が
相対的に高い相であれば良い。また、架橋重合体相も必
ずしも純粋な架橋重合体である必要はなく、架橋重合体
濃度が相対的に高い相であれば良い。該樹脂複合体の断
面(切片)を透過型電子顕微鏡(TEM)で2次元的に
観察すると、該樹脂複合体中のポリサルホン相は網目状
に連続している。この網目は、部分的に途切れた箇所を
有していてもよい。
明の樹脂複合体を、ポリサルホンを溶解する溶剤に浸漬
しても、活性エネルギー線架橋重合体相は、粉末に分解
することがないことから、本発明の樹脂複合体の3次元
構造は、架橋重合体相が微小な球形に近い細胞セル、或
いは丸みを帯びたセルを形成し、このセルが結合して3
次元格子を作っている。ポリサルホン相は架橋重合体相
のセルの格子の残りの空間に充填された構造を採ってい
ると推察される。
は、活性エネルギー線架橋重合体とポリサルホンが明確
な相構造を持たないで(見かけ上)均質に混合した(疑
似)相溶構造を採っているものである。本発明の樹脂複
合体中におけるポリサルホン相の網目の径の寸法は、1
0μm以下(網目の直径の平均寸法の最小値の極限とし
て(疑似)相溶状態を含む)であることが好ましく、力
学特性を十分に向上させるためには0.02〜5μmの
範囲であることが特に好ましい。以下、「網目の直径の
平均寸法」を単に「網目寸法」と省略する場合がある。
性を有する樹脂複合体を得るためには、ポリサルホン相
の網目寸法は、0.02〜0.1μmの範囲にあること
が好ましい。ポリサルホン相の網目寸法が10μmを超
えると、力学特性の向上の程度が不十分となり、好まし
くない。ポリサルホン相の網目寸法は、透過型電子顕微
鏡或いは走査型電子顕微鏡にて測定することができる。
網目寸法は、電子顕微鏡像の網目で囲まれている相の中
心間距離の平均値として求めることができる。
構造を形成している場合には、電子顕微鏡で観察しても
明確な相構造は観察されない。架橋重合体の架橋網目内
にポリサルホンが分子レベルで均質に分散して取り込ま
れた相互侵入高分子網目構造(いわゆるIPN構造)
や、或いは相分離開始の初期段階で構造が固定されたた
めに両相の界面が不明瞭な状態の構造であると推測され
る。(疑似)相溶構造を形成している場合には、通常、
樹脂複合体は光学的に透明であるため、光学的透明性を
求める場合には、(疑似)相溶構造であることが好まし
い。
形成している場合には、樹脂複合体は1つガラス転移温
度(Tg)を有する。Tgは、樹脂複合体を構成する架
橋重合体のガラス転移温度TgCと樹脂複合体を構成す
るポリサルホンのガラス転移温度TgLの間に現れる場
合もあるが、TgCとTgLのうち低温側に現れるガラ
ス転移温度より更に低温側に樹脂複合体のTgが現れる
場合もある。TgCとTgLのいずれよりも更に低温側
に現れるのは、恐らく、架橋重合体の架橋網目の中にポ
リサルホンの分子鎖が(部分的に)侵入しているため
に、架橋度が低下するためであると推測される。
形成している場合、樹脂複合体を構成する架橋重合体の
ガラス転移温度TgCと樹脂複合体を構成するポリサル
ホンのガラス転移温度TgLとそれぞれ一致して又は一
致せずに、2つのガラス転移温度Tg1及びTg2(但
し、Tg1<Tg2とする)を有する。このとき、Tg
C<TgLであっても良いし、TgC>TgLであって
もよい。
TgLを含む)の場合には、2つのガラス転移温度(T
g)は縮退し、共連続構造を有する樹脂複合体であって
も、Tgが2つ存在することは判別できない。また、樹
脂組成比に大きな差がある非対称組成の場合にも2つの
ガラス転移温度の存在が判別できなくなる場合がある。
合にも、共連続構造を形成している場合と同じように2
つのガラス転移が発現するため、明確な相構造の形態を
知るためには電子顕微鏡などの直接観察法による確認を
併用することが好ましい。更に、本発明の樹脂複合体は
3つのTgを示す場合もある。これは、1つのTgを示
す構造と2つのTgを示す構造の中間の構造あるいは、
これらの構造が重なった構造であると推定される。
法、例えば、動的粘弾性、示差熱量分析(DSC)など
で測定することができるが、高感度であることから動的
粘弾性測定によることが好ましい。動的粘弾性の測定周
波数や昇温速度は、試料の特性に合わせて任意に設定す
ることができる。動的粘弾性測定によるTgは、tan
δ(=損失弾性率/貯蔵弾性率)の温度依存性のグラフ
におけるピークとして与えられる。
場合、この樹脂複合体は、(疑似)相溶状態であること
を示しており、力学特性は、一般的に、それを構成する
重合体の特性の、組成の重み付き相加平均を示す。本発
明の複合体が(疑似)相溶構造である場合、ポリサルホ
ン系樹脂は優れた力学的特性を有するために、活性エネ
ルギー線架橋重合体の特性を好ましく改良することがで
きる。
る場合には、樹脂複合体も、通常、透明となるため光学
的な透明性が求められる用途には特に好ましい。(疑
似)相溶構造である透明な樹脂複合体の場合、膜厚10
0μmでの可視光域の平行光透過率が80%以上である
ことが好ましく85%以上であることが更に好ましい。
のTgとそれぞれ一致して、2つのTgを有する場合に
は、一般に樹脂複合体を構成する重合体が相分離してい
ることを示しており、この樹脂複合体の力学特性は、
(疑似)相溶系に比べてより高くなる場合も、より低い
場合もあり、相分離の形状によって大きく変わりうるこ
とが知られている。また、光学的には、通常、不透明で
ある。
る場合、(疑似)相溶状態の樹脂複合体の力学特性を上
回る特性を得ることが可能であり、更に好ましい特性を
有する複合体を得ることができる。また、透明性につい
ても、本発明の樹脂複合体は、相分離していながら、光
学的に透明な成形物とすることもできる。共連続構造で
ある透明な樹脂複合体の場合、膜厚100μmでの可視
光域の平行光透過率が70%以上であることが好まし
く、80%以上であることが更に好ましい。
物に成形することができる。本発明の樹脂複合体からな
る成形物が取りうる形状としては、例えば、塗膜、フィ
ルム(シート、リボンなどを含む)、薄膜、繊維、注型
物、含浸物、その他複雑な形状でありうる。しかし、架
橋重合体として活性エネルギー線架橋重合体を使用する
都合上、活性エネルギー線が到達しうる厚みである必要
があり、厚みは5mm未満であることが好ましく、厚み
は薄く、一定であることが好ましい。
は300μm以下、更に好ましくは200μm以下のフ
ィルム状又は塗膜状であることが好ましい。また、特に
高い透明度を必要とする場合には、膜厚10μm以下の
フィルム状又は塗膜状が好ましい。
例えば、フッ素系化合物、シリコーンなどの滑剤;色
素、顔料、蛍光色素などの着色剤や紫外線吸収剤;酸化
防止剤;防黴剤;抗菌剤;無機や有機の粉末;強化繊維
等を混合あるいは共重合の形で含有することができる。
また、繊維強化プラスチック、ラミネートシートなどの
複合体とすることも可能である。
す本発明の製造方法により製造することができる。本発
明の液状の活性エネルギー線硬化性組成物は、活性エネ
ルギー線架橋重合性化合物の混合物(以下、「活性エネ
ルギー線架橋重合性化合物の混合物」を単に「活性エネ
ルギー線架橋重合性混合物」と称する場合がある)とポ
リサルホンとが均質に混合・溶解した液状組成物であ
る。但し、本発明の液状組成物は、該組成物を水系液体
に分散させたエマルジョンタイプにすることも可能であ
る。
エネルギー線硬化性組成物(以下、「本発明の液状組成
物」を単に「液状組成物」と称する場合がある)を賦形
した後(エマルジョンタイプの場合には、さらに水系液
体を揮発させた後)、活性エネルギー線を照射して、液
状組成物に含有される(メタ)アクリレートを重合させ
ることによって、本発明の樹脂複合体を形成させる。
ギー線架橋重合性混合物は、2〜6官能(メタ)アクリ
レートと溶解度パラメーターが9.70〜10.45の範
囲にある単官能(メタ)アクリレートの混合物であり、
本発明の液状組成物に使用するポリサルホン系鎖状重合
体と相溶し、液状組成物を形成することが可能なもので
ある。本発明の液状組成物に使用する2〜6官能(メ
タ)アクリレート、単官能(メタ)アクリレート、及び
ポリサルホン系鎖状重合体については、本発明の樹脂複
合体における2〜6官能(メタ)アクリレート、単官能
(メタ)アクリレート、及びポリサルホン系鎖状重合体
と同様である。
架橋重合性混合物とポリサルホンが均質に混合・溶解し
た混合液であるが、例えば高分子の分子量分布などに起
因する極少量の不溶部分が存在することは許容される。
本発明の液状組成物は、活性エネルギー線を照射する温
度域で流動性を示す液状ものであり、室温では流動性を
示さない固体状や半固体状であっても構わない。
脂複合体の微細構造決定するための重要な因子である
が、活性エネルギー線架橋重合性混合物の種類や組成、
活性エネルギー線架橋重合性混合物とポリサルホンとの
組成比、活性エネルギー線強度、反応温度などの違いに
より最適な粘度範囲が大きく異なる。そのため、液状組
成物の粘度は一概に規定できないが、活性エネルギー線
照射温度における粘度は0.01〜10000(Pa・
s)の範囲が好ましく、0.05〜5000(Pa・
s)の範囲が更に好ましい。
共連続構造は、活性エネルギー線を照射する温度での液
状組成物の粘度をコントロールすることにより作り分け
ることが可能である。通常、液状組成物の粘度が高い場
合には、(疑似)相溶構造となり易く、液状組成物の粘
度が低い場合には、共連続構造となり易い。
の範囲は、使用する活性エネルギー線架橋重合性混合物
の種類や組成、活性エネルギー線架橋重合性混合物とポ
リサルホンとの組成比、反応温度、活性エネルギー線強
度などにより大きく異なり、一概には規定できないが、
(疑似)相溶構造を得る場合の活性エネルギー線照射温
度における粘度は1〜10000(Pa・s)の範囲が
好ましく、5〜5000(Pa・s)の範囲が特に好ま
しい。一方、共連続構造を得る場合の活性エネルギー線
照射温度における粘度は0.01〜5000(Pa・
s)の範囲が好ましく、0.05〜3000(Pa・
s)の範囲が特に好ましい。
線架橋重合性混合物とポリサルホンの他に、例えば、光
重合開始剤;フッ素化合物やシリコーンなどの滑剤;色
素、顔料、蛍光色素などの着色剤や紫外線吸収剤;酸化
防止剤;無機や有機の粉末;強化繊維等を含有させるこ
ともできる。
ー線として、紫外線、可視光、赤外線などの光線を用い
る場合には、重合速度を速める目的で、液状組成物に光
重合開始剤を添加することが好ましい。
できる光重合開始剤は、本発明で使用する光線に対して
活性であり、活性エネルギー線架橋重合性混合物を架橋
重合させることが可能なものであれば、特に制限がな
く、例えば、ラジカル重合開始剤、アニオン重合開始
剤、カチオン重合開始剤であって良い。
ば、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、2,
2′−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2
−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンの如きアセ
トフェノン類;ベンゾフェノン、4,4′−ビスジメチ
ルアミノベンゾフェノン、2−クロロチオキサントン、
2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサント
ン、
トン類;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベン
ゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエ
ーテルの如きベンゾインエーテル類;ベンジルジメチル
ケタール、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンの
如きベンジルケタール類、マレイミド類等が挙げられ
る。
0〜330nmの波長に光吸収端を有する場合があり、
このようなポリサルホンを使用する場合、特に、ポリサ
ルホンの含有量を多くする場合や、厚みが大きな樹脂複
合体を必要とする場合には、330nm以上の波長で重
合を開始させる能力がある光開始剤が好ましい。
ば、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパ
ン−1−オン、1−(4’−ドデシルフェニル)−2−
ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、ベンゾフ
ェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケト
ン、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソ
ブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、ヒドロキ
シシクロヘキシルフェニルケトン、2−クロルチオキサ
ンソン、2−メチルチオキサンソン等が挙げられる。
は分散した状態で用いることができるが、液状組成物に
溶解するものであることが好ましい。光重合開始剤を用
いる場合の液状組成物中の光重合開始剤濃度は、0.0
1〜20重量%の範囲が好ましく、0.5〜10重量%
の範囲が特に好ましい。但し、活性エネルギー線架橋重
合性混合物が光重合開始剤を兼ねる場合や、活性エネル
ギー線架橋重合性混合物と共重合する光重合開始剤であ
る場合にはこの限りではない。
さらに好ましくは10〜180℃の温度範囲で製造され
る。即ち、本発明の製造方法は、活性エネルギー線架橋
重合性混合物とポリサルホンとを混合し、均質に混合し
た液状組成物を調製する。各成分の混合の順序は任意で
ある。この液状組成物(以下、「活性エネルギー線架橋
重合性混合物とポリサルホンを含有し、均質に混合した
液状組成物」を単に「液状組成物」と称する場合があ
る)を賦形した後、活性エネルギー線を照射して、(メ
タ)アクリレートを重合させることによって、本発明の
樹脂複合体を形成する方法である。
リサルホンを活性エネルギー線架橋重合性混合物に溶解
させる方法が可能であるが、ポリサルホン及び活性エネ
ルギー線架橋重合性混合物の各成分が可溶な溶剤に溶解
させた後、溶剤を除去し、又は除去せずに、液状組成物
を得ることも好ましい。
性エネルギー線架橋重合性混合物の混合に要する時間を
短縮することができ、また混合溶解時に溶剤を使用し、
その後、除去することで、粘度の高い液状組成物をも得
ることができる。或いは又、液状組成物が溶剤を含有す
ることで、粘度の低い状態で賦形することが出来る。
或いは溶解の順序は任意である。しかしながら、溶剤を
用いない場合には、まずポリスルホンを単官能(メタ)
アクリレートに溶解させ、その後に2〜6官能(メタ)
アクリレートを混合する方法が好適であり、溶剤を使用
する場合には、これらの成分を一度に混合する方法が好
適である。
は、使用する溶剤は、蒸発、抽出など、何らかの方法
で、活性エネルギー線照射の前に除去可能なものであれ
ば任意であるが、揮発性溶剤であることが好ましい。N
−メチルピロリドンやジメチルスホキシドのような高沸
点溶剤を用いることも可能であるが、溶剤は沸点が15
0℃以下であることが好ましく、120℃以下であるこ
とがさらに好ましい。
ロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、トリクロロ
エタン、テトラクロロエタン、クロロベンゼン等のよう
な塩素系溶剤;テトラヒドロフラン等のエーテル系溶
剤;アセトン、シクロヘキサノンの如きケトン類;トル
エン、キシレンなどの炭化水素;ジメチルホルムアミ
ド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶剤;エチルセ
ロソルブ、ブチルセロソルブなどの、1分子中に2種類
以上の官能基を有する溶剤;ニトロメタン、ニトロベン
ゼン等のニトロ系溶剤;アニソール等を好ましく用いる
ことができる。
前に除去する。溶剤除去方法も任意であるが、揮発によ
る除去が好ましい。揮発方法も任意であり、溶剤除去が
賦形の前である場合には、例えば、充填塔、濡れ壁塔、
薄膜蒸留、真空脱揮などの方法が採用できるし、溶剤除
去が賦形の後である場合には、例えば、風乾、熱風乾
燥、赤外線乾燥、真空乾燥等であり得る。溶剤は、活性
エネルギー線照射よって形成される相分離構造に大きな
影響を与えない程度であるならば、残存していても良
い。多少の粘度変化や相溶性の変化は、活性エネルギー
線照射条件で補正可能である。
ト状、リボン状などを含む)、繊維状、注型物、含浸物
などの任意の形状に賦形される。但し、活性エネルギー
線により硬化可能な形状であることが必要である。例え
ば、活性エネルギー線が到達可能な厚みである必要があ
り、賦形物が被覆物で被われている場合には、被覆物は
使用する活性エネルギー線を透過させるものである必要
がある。
延、浸漬、スプレー、注型、含浸、押し出し等であり得
る。液状組成物の調製が溶剤を使用する方法である場合
には、賦形は溶剤除去の前であっても後であっても、一
部除去の後であっても良い。液状組成物の粘度が高い場
合や、賦形物が塗膜やフィルムのような厚みの小さいも
のである場合には、賦形後に溶剤除去を行なうことも好
ましい。
において活性エネルギー線を照射する。活性エネルギー
線の照射温度は、液状組成物が相溶状態を保っている温
度、即ち、照射前に相分離しない温度である必要があ
る。この時、液状組成物が過冷却状態であっても良い。
混合液の相溶状態の判別は、目視による透明性の確認、
或いは、光学顕微鏡観察により行なうことができる。
と活性エネルギー線架橋重合性混合物の重合が進行す
る。重合の進行に伴い活性エネルギー線架橋重合性混合
物とポリサルホンの親和性が低下するため、相分離が誘
発される。しかし、活性エネルギー線架橋重合性化合物
は重合により架橋構造を形成するため、相分離過程の途
中の段階、或いは相分離を開始する前に相構造が固定さ
れる。
相溶性の良否、液状組成物の粘度、活性エネルギー線照
射温度、活性エネルギー線強度を制御することによりそ
の相構造を作り分けることが出来る。一般に、良相溶
性、高粘度、低照射温度、高活性エネルギー線強度の条
件を用いた場合は、相分離が進行する前に構造が固体化
されて、1つのTgを示す(疑似)相溶構造が得られ
る。
条件が過剰であると、相分離が過度に進行して海島型の
相分離構造となり、力学的特性の低下をもたらし、好ま
しくない。共連続構造を得るためには、(疑似)相溶構
造が得られる条件と海島構造が形成される条件の中間の
条件が選択される。通常、系によって相溶性と粘度は決
定される。
るパラメーターは照射温度と活性エネルギー線強度、及
びこれらの時間プログラムである。これらを適宜調節す
ることで、目的の構造や特性に最適化することができ
る。樹脂複合体の構造に変化を与えずに完全硬化するま
での時間を短縮するために、硬化工程の後半の段階で温
度を上昇させることも好ましい。
ー線としては、液状組成物を硬化させることが可能なも
のであれば任意であり、例えば、紫外線、可視光線、赤
外線の如き光線;エックス線、ガンマ線の如き電離放射
線;電子線、ベータ線、中性子線、重粒子線の如き粒子
線が挙げられる。これらの中でも、取り扱い性や装置価
格の面から光線が好ましく、紫外線が特に好ましい。
0mW/cm2であることが好ましい。この強度範囲内
の紫外線を使用する場合、通常、活性エネルギー線架橋
重合性混合物は少なくとも数分でポリサルホンの分子鎖
の相分離運動を凍結するに十分な架橋構造が形成され
る。そのため、上記範囲内の紫外線強度を使用する場
合、通常では、上記の液状組成物の粘度範囲では海島構
造まで相分離が進行することはなく、(疑似)相溶構造
若しくは共連続構造が形成される。紫外線はレーザー光
であることも好ましい。
あって良い。また、硬化速度を速め、硬化を完全に行う
目的で、活性エネルギー線の照射を低酸素濃度雰囲気で
行うことが好ましい。低酸素濃度雰囲気としては、窒素
気流中、二酸化炭素気流中、アルゴン気流中、真空又は
減圧雰囲気が好ましい。硬化した本発明の樹脂複合体
は、必要に応じて熱処理することも可能である。熱処理
により、特性を更に向上させたり、熱安定性を増すこと
ができる。
明する。しかしながら、本発明は以下の実施例の範囲に
限定されるものではない。
160Wのメタルハライドランプ(アイグラフィックス
製)を用いた。紫外線照射強度は約70mW/cm2 、
紫外線照射時間は90秒間とした。以下に実施例におけ
る引張破壊試験方法、光透過率の測定方法、相分離構造
の観察方法について説明する。
作所製の引張試験機(オートグラフAGS−H)を使用
した。サンプルが塗膜の場合には、基材から剥離したフ
ィルム状のものを用い、幅3mm、厚み約0.1mmの
試験片として、サンプル長10mm、引張速度を毎分5
mmで試験を行った。
製の濁度計「NDH−300A」を用いて、塗膜又はフ
ィルムの平行光透過率を測定した。フィルムの厚みは1
00μmとした。
は、透過型電子顕微鏡(日本電子工業株式会社製の「J
EM−200」;以下、「TEM」と省略する。)を用
いた。フィルム断面及び塗膜断面の超薄切片(約50n
m)を作成しサンプルとした。尚、染色は施していな
い。
て、「カヤラッド R−684」(日本化薬株式会社製
のジシクロペンタニルジアクリレート(以下、「R68
4」と省略する。)、溶解度パラメーター=10.8
3)6g、単官能アクリレートとして、「ライトアクリ
レート THF−A」(共栄社化学株式会社製のテトラ
ヒドロフルフリルアクリレート、溶解度パラメーター=
9.99)2g、光重合開始剤として、「イルガキュア
184」(チバ・ガイギー社製の1−ヒドロキシシクロ
ヘキシルフェニルケトン)0.16g及びポリサルホン
として、「ユーデル P3703」(アムコ株式会社製
(以下、「PSF」と省略する。)、溶解度パラメータ
ー=11.83)2gをジクロロメタン50gに溶解さ
せて溶剤混合溶液(1)を得た。
ガラス板上に塗布した後、溶剤を揮発させ、液状組成物
の未硬化の塗膜を得た。次いで、この塗膜にガラス板の
カバーを密着装着して、未硬化の賦形物を2枚のガラス
板に挟まれた状態とした。該賦形物は室温25℃で無色
透明の流動性のある粘調液であった。賦形物を25℃に
保持した状態で紫外線を照射して架橋重合性混合物を重
合させて、賦形物を硬化させた。
たフィルム(膜厚=約100μm)は、室温で白濁化し
ていた。フィルム断面のTEMを用いて観察したとこ
ろ、径の大きさが0.4〜0.7μmの網目状の相分離
構造が観察された。また、フィルムをジクロロメタンに
1時間浸漬したが、若干膨潤したこと以外は、フィルム
の形状に変化は見られなかった。更に、フィルムを1時
間浸漬したジクロロメタンをガラス板に塗布し、乾燥物
を走査型電子顕微鏡(SEM:日立製作所株式会社製、
S−800型)で観察したが、実質的に粒子は認められ
なかった。
弾性率、破断エネルギーの測定結果を表1に示した。一
般的に、単官能アクリレートを2〜6官能アクリレート
に併用すると、引張強度などの力学的特性は低下するこ
とが知られているが、実施例1で得た樹脂複合体からな
るフィルム状硬化物は、単官能アクリレートを併用した
にも係わらず、後述する参考例1の硬化物と比較して、
強度、弾性率、破断伸度、破断エネルギーの全ての項目
が大きく向上していることが分かる。
ガキュア184」0.16g及び「PSF」2gをジク
ロロメタン50gに溶解させて溶剤混合溶液(2)を得
た。このようにして得た溶剤混合溶液(2)をガラス板
上に塗布した後、溶剤を揮発させたが、得られた混合液
は白濁状態であり、マクロに相分離していた。このマク
ロに相分離した混合液を0〜200℃の温度範囲で温度
変化させたが、混合液はいずれの温度域でも均質に混合
することはなかった。
ルガキュア184」0.2gを均質に混合し、無色透明
な均質液を得た。この均質液をガラス板上に塗布し、実
施例1と同じ条件で、フィルム状の「R684」の単独
硬化物(膜厚=約110μm)を得た。参考例1で得た
フィルム状硬化物の強度、破断伸度、弾性率、破断エネ
ルギーの測定結果を表1に示した。
て、「R−684」5g、単官能アクリレートとして、
「アロニックス M−102」(東亜合成株式会社製の
フェノキシジエチレングリコールアクリレート、溶解度
パラメーター=9.83)2g、光重合開始剤として、
「イルガキュア184」0.14g及び「PSF」3g
をジクロロメタン60gに溶解させて溶剤混合溶液
(3)を得た。
代えて、溶剤混合溶液(3)を使用し、且つ、実施例1
と同様にしてフィルムを作製した。未硬化の賦形物は、
室温で無色透明で流動性のある粘調液であったが、硬化
後のフィルムは、薄く白濁しており、フィルムの光透過
率は82%であった。
たところ、径の大きさが80〜150nmの網目状の相
分離構造を観察することができた。また、実施例1にお
いて、実施例1と同様に実施した溶剤抽出試験の結果も
実施例1と同様であった。
破断伸度、弾性率、破断エネルギーの測定結果を表1に
示した。その結果、「R684」の単独硬化物(参考例
1)と比較して、弾性率が低下するものの、強度、破断
伸度、破断エネルギーが大きく向上していることが分か
る。
て、「R−684」6g、単官能メタクリレートとし
て、「ライトエステルG」(共栄社化学株式会社製のグ
リシジルメタクリレート、溶解度パラメーター=10.
23)2g、光重合開始剤として、「イルガキュア18
4」0.16g及び「PSF」2gをジクロロメタン6
0gに溶解させて溶剤混合溶液(4)を得た。
代えて、溶剤混合溶液(4)を使用し、かつ、実施例1
と同様にしてフィルムを作製した。未硬化の賦形物は、
室温で無色透明で流動性のある粘調液であったが、硬化
後のフィルムは、白濁していた。
たところ、径の大きさが0.5〜0.8μmの網目状の
相分離構造を観察することができた。また、実施例1に
おいて、実施例1と同様に実施した溶剤抽出試験の結果
も実施例1と同様であった。
破断伸度、弾性率、破断エネルギーの測定結果を表1に
示した。その結果、「R684」の単独硬化物(参考例
1)と比較して、弾性率が低下するものの、強度、破断
伸度、破断エネルギーが大きく向上していることが分か
る。
て、「NKエステル A−200」(新中村化学株式会
社製のポリエチレングリコールジアクリレート(以下、
「A200」と省略する。)、溶解度パラメーター=
9.80)5g、単官能アクリレートとして、「アロニ
ックス M−110」(東亜合成株式会社製のパラクミ
ルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(以
下、「M−110」と省略する。)、溶解度パラメータ
ー=10.12)3g、「イルガキュア184」0.1
6g及び「PSF」2gをジクロロメタン60gに溶解
させて溶剤混合溶液(5)を得た。
代えて、溶剤混合溶液(5)を使用し、かつ、実施例1
と同様にしてフィルムを作製した。未硬化の賦形物は、
室温で無色透明で流動性のある粘調液であったが、硬化
後のフィルムは、白濁していた。フィルム断面のTEM
を用いて観察したところ、径の大きさが0.3〜0.6
μmの網目状の相分離構造が観察された。また、実施例
1において、実施例1と同様に実施した溶剤抽出試験の
結果も実施例1と同様であった。
弾性率、破断エネルギーの測定結果を表2に示した。そ
の結果、実施例4で得た樹脂複合体からなるフィルム状
硬化物は、後述する参考例2の硬化物と比較して、強
度、弾性率、破断伸度、破断エネルギーの全ての項目が
大きく向上していることが分かる。
キュア184」0.16g及び「PSF」2gをジクロ
ロメタン80gに溶解させて溶剤混合溶液の作製を試み
たが、溶液には沈殿が生じて溶剤混合溶液すら調製でき
なかった。
ガキュア184」0.2gを均質に混合し、無色透明な
均質液を得た。この均質液をガラス板上に塗布し、実施
例1と同じ条件で、フィルム状の「A200」の単独硬
化物(膜厚=約110μm)を得た。参考例2で得たフ
ィルム状硬化物の強度、破断伸度、弾性率、破断エネル
ギーの測定結果を表2に示した。
て、「ビスコート 195」(大阪有機株式会社製の
1.4−ブタンジオールジアクリレート(以下、「19
5」と省略する。)、溶解度パラメーター=9.73)
4.5g、単官能アクリレートとして、「ライトアクリ
レート PO−A」(共栄社化学株式会社製のフェノキ
シエチルアクリレート(以下、「PO−A」と省略す
る。)、溶解度パラメーター=10.12)3.5g、
「イルガキュア184」0.16g及び「PSF」2g
をジクロロメタン60gに溶解させて溶剤混合溶液
(6)を得た。
代えて、溶剤混合溶液(6)を使用し、かつ、実施例1
と同様にしてフィルムを作製した。未硬化の賦形物は、
室温で無色透明で流動性のある粘調液であったが、硬化
後のフィルムは、白濁していた。フィルム断面のTEM
を用いて観察したところ、径の大きさが0.4〜0.7
μmの網目状の相分離構造が観察された。また、実施例
1において、実施例1と同様に実施した溶剤抽出試験の
結果も実施例1と同様であった。
弾性率、破断エネルギーの測定結果を表3に示した。そ
の結果、実施例5で得た樹脂複合体からなるフィルム状
硬化物は、後述する参考例3の硬化物と比較して、弾性
率はほぼ同じであるが、強度、破断伸度、破断エネルギ
ーが大きく向上していることが分かる。
ュア184」0.16g及び「PSF」2gをジクロロ
メタン80gに溶解させて溶剤混合溶液の作製を試みた
が、溶液には沈殿が生じて溶剤混合溶液を調製できなか
った。
キュア184」0.2gを均質に混合し、無色透明な均
質液を得た。この均質液をガラス板上に塗布し、実施例
1と同じ条件で、フィルム状の「195」の単独硬化物
(膜厚=約110μm)を得た。参考例3で得たフィル
ム状硬化物の強度、破断伸度、弾性率、破断エネルギー
の測定結果を表3に示した。
て、「エポキシエステル 3000A」(共栄社化学株
式会社製のビスフェノールA型ジアクリレート(以下、
「3000A」と省略する。)、溶解度パラメーター=
12.07)4g、単官能アクリレートとして、「M1
10」3g、「イルガキュア184」0.14g及び
「PSF」3gをジクロロメタン60gに溶解させて溶
剤混合溶液(7)を得た。
代えて、溶剤混合溶液(7)を使用し、実施例1と同じ
ように賦形物を作製した。未硬化の賦形物は、室温で白
濁していたが、80℃以上に加熱すると無色透明で流動
性のある粘調液となった。ガラス板に挟まれた賦形物を
80℃に加熱したポットプレート上に載せ、賦形物を8
0℃に保持した状態で紫外線を照射して架橋重合性混合
物を重合させて、賦形物を硬化させた。硬化後のフィル
ムは薄く白濁化していた。フィルム断面のTEMを用い
て観察したところ、径の大きさが80〜200nmの網
目状の相分離構造が観察された。
に実施した溶剤抽出試験の結果も実施例1と同様であっ
た。このフィルム状硬化物の強度、破断伸度、弾性率、
破断エネルギーの測定結果を表4に示した。その結果、
実施例6で得た樹脂複合体からなるフィルム状硬化物
は、後述する参考例4の硬化物と比較して、強度と弾性
率はほぼ同じであるが、破断伸度、破断エネルギーが大
きく向上していることが分かる。
ガキュア184」0.14g及び「PSF」3gをジク
ロロメタン80gに溶解させて溶剤混合溶液の作製を試
みたが、溶液には沈殿が生じて溶剤混合溶液すら調製で
きなかった。
ルガキュア184」0.2gを均質に混合し、無色透明
な均質液を得た。この均質液をガラス板上に塗布し、実
施例1と同じ条件で、フィルム状の「3000A」の単
独硬化物(膜厚=約110μm)を得た。参考例4で得
たフィルム状硬化物の強度、破断伸度、弾性率、破断エ
ネルギーの測定結果を表4に示した。
て、「NKエステル 701」(共栄社化学株式会社製
の2−ヒドロキシ−1,3−ジメタクリロキシプロパン
(以下、「701」と省略する。)、溶解度パラメータ
ー=11.95)4g、単官能アクリレートとして、
「PO−A」3g、「イルガキュア184」0.4g及
び「PSF」3gをジクロロメタン60gに溶解させて
溶剤混合溶液(8)を得た。
代えて、溶剤混合溶液(8)を使用し、実施例1と同じ
ように賦形物を作製した。未硬化の賦形物は、室温で白
濁していたが、80℃以上に加熱すると無色透明で流動
性のある粘調液となった。実施例6において、溶剤混合
溶液(7)の代わりに、溶剤混合溶液(8)を用いて、
同様な方法で硬化フィルムを得た。硬化後のフィルムは
薄く白濁化していた。フィルムの光透過率は80%であ
った。フィルム断面のTEMを用いて観察したところ、
径の大きさが90〜200nmの網目状の相分離構造が
観察された。また、実施例1において、実施例1と同様
に実施した溶剤抽出試験の結果も実施例1と同様であっ
た。
弾性率、破断エネルギーの測定した。その結果、実施例
7で得た樹脂複合体からなるフィルム状硬化物は、引張
強度が30MPa、弾性率が1.3GPa、破断伸度が
4.8%、破断エネルギーが12mJ/cm2である、
後述する参考例5に比べて大きく特性が向上しているこ
とが分かる。
ュア184」0.14g及び「PSF」3gをジクロロ
メタン80gに溶解させて溶剤混合溶液の作製を試みた
が、溶液には沈殿が生じて溶剤混合溶液すら調製できな
かった。
キュア184」0.2gを均質に混合し、無色透明な均
質液を得た。この均質液をガラス板上に塗布し、実施例
1と同じ条件で、フィルム状の「701」の単独硬化物
(膜厚=約110μm)を得た。参考例5で得たフィル
ム状硬化物は非常に脆く引張破壊試験を行うことができ
なかった。
て、「ウレタンアクリレート AT600」(共栄社化
学株式会社製のフェニルグリシジルエーテルアクリレー
トトリレンジイソシアネートウレタンプレポリマー(以
下、「AT600」と省略する。)、溶解度パラメータ
ー=12.09)5g、単官能アクリレートとして、
「M110」3g、「イルガキュア184」0.16g
及び「PSF」2gをジクロロメタン60gに溶解させ
て溶剤混合溶液(9)を得た。
代えて、溶剤混合溶液(9)を使用し、実施例1と同じ
ように賦形物を作製した。未硬化の賦形物は、室温で無
色透明で流動性のある粘調液となった。実施例1と同様
にフィルムを作製した。硬化後のフィルムは薄く白濁化
していた。フィルム断面のTEMを用いて観察したとこ
ろ、径の大きさが0.3〜0.5μmの網目状の相分離
構造が観察された。また、実施例1において、実施例1
と同様に実施した溶剤抽出試験の結果も実施例1と同様
であった。
弾性率、破断エネルギーの測定結果を表5に示した。そ
の結果、実施例8で得た樹脂複合体からなるフィルム状
硬化物は、後述する参考例6の硬化物と比較して、弾性
率はほぼ同じであるが、強度、破断伸度、破断エネルギ
ーが大きく向上していることが分かる。
ガキュア184」0.16g及び「PSF」2gをジク
ロロメタン80gに溶解させて溶剤混合溶液の作製を試
みたが、溶液は白濁化し溶剤混合溶液すら作製できなか
った。白濁化した溶液を用いて、実施例1と同じように
賦形物を作製したが、塗膜状の賦形物は不均質に白濁化
して、マクロ相分離していた。この賦形物を0〜200
℃の範囲で温度変化させ、賦形物の状態を観察したが、
どの温度でも不均質に白濁化した状態に変化なく、液状
組成物は得られなかった。
ルガキュア184」0.2gを均質に混合し、無色透明
な均質液を得た。この均質液をガラス板上に塗布し、実
施例1と同じ条件で、フィルム状の「AT600」の単
独硬化物(膜厚=約110μm)を得た。参考例6で得
たフィルム状硬化物の強度、破断伸度、弾性率、破断エ
ネルギーの測定結果を表5に示した。
て、「R−684」6g、単官能メタクリレートとし
て、「M110」1g、光重合開始剤として、「イルガ
キュア184」0.14g及び「PSF」3gをジクロ
ロメタン60gに溶解させて溶剤混合溶液(10)を得
た。
代えて、溶剤混合溶液(10)を使用し、かつ、実施例
1と同様にしてフィルムを作製した。未硬化の賦形物
は、室温で無色透明で粘度の高い粘調液であったが、硬
化後のフィルムは、無色透明であった。フィルムの光透
過率は90%であった。このフィルムについて、TEM
観察を行ったが、相構造は観察されなかった。(疑似)
相溶構造を形成しているものと推測される。
破断伸度、弾性率、破断エネルギーの測定した。引張強
度が38MPa、弾性率が1.2GPa、破断伸度が1
0%、破断エネルギーが31mJ/mm2であった。参
考例1と比較して、強度はほぼ同じで、弾性率が低下し
ているが、破断伸度と破断エネルギーが大きく向上して
いることが分かる。
キュア184」0.16g、「アロニックス M?57
00」(東亜合成株式会社製の2−ヒドロキシ−3−フ
ェノキシプロピルアクリレート(以下、「M5700」
と省略する)、溶解度パラメーター=11.72)3
g、及び「PSF」2gをジクロロメタン80gに溶解
させて溶剤混合溶液の作製を試みたが、溶液は白濁化し
溶剤混合溶液すら作製できなかった。
ように賦形物を作製したが、塗膜状の賦形物は不均質に
白濁化して、マクロ相分離していた。この賦形物を0〜
200℃の範囲で温度変化させ、賦形物の状態を観察し
たが、どの温度でも不均質に白濁化した状態に変化な
く、液状組成物は得られなかった。「M5700」の溶
解度パラメーターは「PSF」とほぼ等しいが、相溶性
改良効果は見られない。
キュア184」0.16g、「アロニックス M?54
00」(東亜合成株式会社製のフタル酸モノヒドロキシ
エチルアクリレート(以下、「M5400」と省略す
る。)、溶解度パラメーター=11.75)3g、及び
「PSF」2gをジクロロメタン80gに溶解させて溶
剤混合溶液の作製を試みたが、溶液は白濁化し溶剤混合
溶液すら作製できなかった。
ように賦形物を作製したが、塗膜状の賦形物は不均質に
白濁化して、マクロ相分離していた。この賦形物を0〜
200℃の範囲で温度変化させ、賦形物の状態を観察し
たが、どの温度でも不均質に白濁化した状態に変化な
く、液状組成物は得られなかった。「M5400」の溶
解度パラメーターは「PSF」とほぼ等しいが、相溶性
改良効果は見られない。
キュア184」0.16g、「ニューフロンティアN?
177E」(第一工業製薬株式会社製のエチレンオキサ
イド変性ノニルフェノールアクリレート(以下、「N1
77E」と省略する。)、溶解度パラメーター=9.4
0)3g、及び「PSF」2gをジクロロメタン80g
に溶解させて溶剤混合溶液の作製を試みたが、溶液は白
濁化し溶剤混合溶液すら作製できなかった。
ように賦形物を作製したが、塗膜状の賦形物は不均質に
白濁化して、マクロ相分離していた。この賦形物を0〜
200℃の範囲で温度変化させ、賦形物の状態を観察し
たが、どの温度でも不均質に白濁化した状態に変化な
く、液状組成物は得られなかった。
コーティング材、封止材等の各種分野で有用な、破断強
度、破断伸度、弾性率、耐衝撃性等の力学特性に優れ、
且つ光学的透明性を有する、ポリサルホン系鎖状重合体
と活性エネルギー線硬化性架橋重合体から成る樹脂複合
体、組成物及びその製造法を提供できる。
Claims (11)
- 【請求項1】 (I)(a)1分子中に2個〜6個の(メ
タ)アクリル基を有する(メタ)アクリレートと、
(b)溶解度パラメーターが9.70〜10.45の範囲
にある、分子中に1個の(メタ)アクリル基を有する
(メタ)アクリレートとを含有する活性エネルギー線架
橋重合性化合物からなる架橋重合体と、(II)ポリスル
ホン系鎖状重合体からなる樹脂複合体。 - 【請求項2】 (a)1分子中に2個〜6個の(メタ)
アクリル基を有する(メタ)アクリレートが、ジシクロ
ペンタジエン骨格を有するジ(メタ)アクリレート、フ
ェノキシグリセロール(メタ)アクリレート、ビスフェ
ノールA型のエポキシ(メタ)アクリレート、直鎖アル
キレン基を有するジ(メタ)アクリレート及び(ポリ)
エチレングリコール(メタ)アクリレートからなる群か
ら選ばれる1種以上の(メタ)アクリレートである請求
項1に記載の樹脂複合体。 - 【請求項3】 (b)溶解度パラメーターが9.70〜1
0.45の範囲にある、分子中に1個の(メタ)アクリ
ル基を有する(メタ)アクリレートが、グリシジル(メ
タ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール
(メタ)アクリレート、ベンジルアルキル(メタ)アク
リレート、パラクミルフェノール(メタ)アクリレー
ト、クレゾール(メタ)アクリレート、及びテトラヒド
ロフルフリル(メタ)アクリレートからなる群から選ば
れる1種以上の(メタ)アクリレートである請求項1又
は2に記載の樹脂複合体。 - 【請求項4】 樹脂複合体が共連続構造を有することを
特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の樹脂複
合体。 - 【請求項5】 (I)(a)一分子中に2個〜6個の(メ
タ)アクリル基を有する(メタ)アクリレートと、
(b)溶解度パラメーターが9.70〜10.45の範囲
にある、1分子中に1個の(メタ)アクリル基を有する
(メタ)アクリレートを含有する活性エネルギー線架橋
重合性化合物の混合物と、(II)ポリサルホン系鎖状重
合体とを含有する均質混合液を任意の形状に賦形した
後、活性エネルギー線を照射して(メタ)アクリレート
を重合させることを特徴とする、活性エネルギー線架橋
重合体とポリサルホン系鎖状重合体からなる樹脂複合体
の製造法。 - 【請求項6】 (I)(a)一分子中に2〜6個の(メ
タ)アクリル基を有する(メタ)アクリレートと(b)溶
解度パラメーターが9.70〜10.45の範囲にある1
分子中に1個の(メタ)アクリル基を有する(メタ)ア
クリレートとを含有する活性エネルギー線架橋重合性化
合物の混合物と、(II)ポリサルホン系鎖状重合体と、
(III)上記(I)成分及び上記(II)成分とを溶解する
溶剤とを含有する均質混合液を任意の形状に賦形した
後、(III)溶剤を乾燥除去し、次いで、活性エネルギ
ー線を照射して(メタ)アクリレートを重合させる、活
性エネルギー線架橋重合体とポリサルホン系鎖状重合体
からなる樹脂複合体の製造法。 - 【請求項7】 (a)1分子中に1個の(メタ)アクリ
ル基を有する(メタ)アクリレートが、グリシジル(メ
タ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール
(メタ)アクリレート、ベンジルアルキル(メタ)アク
リレート、パラクミルフェノール(メタ)アクリレー
ト、クレゾール(メタ)アクリレート、及びテトラヒド
ロフルフリル(メタ)アクリレートからなる群から選ば
れる1種以上のアクリレートであることを特徴とする請
求項5又は6に記載の樹脂複合体の製造法。 - 【請求項8】 均質混合液中に光重合開始剤を含有し、
活性エネルギー線として紫外線を用いることを特徴とす
る、請求項5〜7のいずれか一つに記載の樹脂複合体の
製造法。 - 【請求項9】 (I)(a)一分子中に2〜6個の(メ
タ)アクリル基を有する(メタ)アクリレートと、
(b)溶解度パラメーターが9.70〜10.45の範囲
にある、1分子中に1個の(メタ)アクリル基を有する
(メタ)アクリレートとを含有する、活性エネルギー線
架橋重合性化合物の混合物、及び(II)ポリサルホン系
鎖状重合体を含有する、液状の活性エネルギー線硬化性
組成物。 - 【請求項10】 (b)溶解度パラメーターが9.70〜
10.45の範囲にある1分子中に1個の(メタ)アク
リル基を有する(メタ)アクリレートが、グリシジル
(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコ
ール(メタ)アクリレート、ベンジルアルキル(メタ)
アクリレート、パラクミルフェノール(メタ)アクリレ
ート、クレゾール(メタ)アクリレート、及びテトラヒ
ドロフルフリル(メタ)アクリレートからなる群から選
ばれる1種以上の(メタ)アクリレートである請求項9
に記載の液状の活性エネルギー線硬化性組成物。 - 【請求項11】上記(I)成分と(II)成分とを溶解す
る溶剤を含有することを特徴とする請求項9又は10に
記載の液状の活性エネルギー線硬化性組成物。
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---|---|---|---|
JP2000147940A JP2001329027A (ja) | 2000-05-19 | 2000-05-19 | 樹脂複合体、組成物及びその製造法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
2000
- 2000-05-19 JP JP2000147940A patent/JP2001329027A/ja active Pending
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