JP2001261758A - 共連続構造を有する樹脂複合体及びその製造方法 - Google Patents

共連続構造を有する樹脂複合体及びその製造方法

Info

Publication number
JP2001261758A
JP2001261758A JP2000075059A JP2000075059A JP2001261758A JP 2001261758 A JP2001261758 A JP 2001261758A JP 2000075059 A JP2000075059 A JP 2000075059A JP 2000075059 A JP2000075059 A JP 2000075059A JP 2001261758 A JP2001261758 A JP 2001261758A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polymer
meth
resin composite
acrylate
resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000075059A
Other languages
English (en)
Inventor
Kazutaka Murata
一高 村田
Takanori Anazawa
孝典 穴澤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kawamura Institute of Chemical Research
Original Assignee
Kawamura Institute of Chemical Research
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kawamura Institute of Chemical Research filed Critical Kawamura Institute of Chemical Research
Priority to JP2000075059A priority Critical patent/JP2001261758A/ja
Publication of JP2001261758A publication Critical patent/JP2001261758A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 【解決手段】 (a)一分子中に2〜6個の(メタ)アク
リロイル基を有するエポキシ(メタ)アクリレートの硬
化物である架橋重合体と、(b)ポリエステル系重合体、
フェノキシ樹脂、ビニルアセタール系重合体、ポリ塩化
ビニル系重合体、酢酸ビニル系重合体、スチレン系重合
体、ウレタン系重合体、未架橋ゴム、及びセルロース誘
導体からなる群から選ばれる熱可塑性樹脂、とからなる
共連続構造を有する樹脂複合体。 【効果】 活性エネルギー線架橋重合性化合物からなる
重合体と比較して、力学特性を改良されたものであり、
しかも、光学的に透明なものもある、さらに、1つのガ
ラス転移温度を示す樹脂複合体と比較して、力学的特性
に優れている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、保護フィルム、保
護膜、各種コーティング材、封止材などとして各種分野
で使用される樹脂複合体であって、破断強度、破断伸
度、弾性率、耐衝撃性、耐摩耗性などの力学特性に優れ
ると共に光学的透明性を有する樹脂複合体及びその製造
方法に関し、更に詳しくは、熱可塑性樹脂と架橋重合体
から成る、共連続ミクロ相分離構造を有する樹脂複合体
及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】活性エネルギー線硬化型組成物は、極め
て短時間で硬化し、作業効率が高く、溶剤の揮発による
環境汚染がないので、塗料、封止剤などに広く利用され
ている。しかしながら、該組成物からなる硬化物は、軟
質系で、表面硬度、耐熱性及び強度が不十分なものであ
るか、或いは、硬質系で、堅くて脆いために、クラック
が発生し易いものであるか、のどちらかの範疇に属し、
同程度の剛性を有する熱可塑性樹脂に比べて強靱性に劣
っていた。このような欠点を改良するために、活性エネ
ルギー線硬化型組成物を熱可塑性樹脂との樹脂複合体と
することにより、活性エネルギー線硬化型組成物を改良
する試みがなされている。
【0003】例えば、特開平11−80556号公報に
は、ビスフェノール型(メタ)アクリレートをアクリル
樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリイミド樹脂によって改良
する方法が開示されている。また、特開平7−3399
1号公報には、感光性組成物の硬化物と熱可塑性樹脂と
からなり、この両者が擬似的均一相溶構造を形成して成
る樹脂複合体及びその製造方法が開示されている。特開
平7−102175号公報には、感光性組成物と熱可塑
性樹脂とを溶剤に溶解し、冷却・相分離させた後に光照
射して感光性組成物を硬化させることからなる樹脂複合
体の製造方法、及びそれにより得られる共連続又は球状
ドメイン構造を有する樹脂複合体が開示されている。
【0004】また、1998年財団法人川村理化学研究
所報告には、エチレンオキサイド変性ビスフェノール型
アクリレートをポリカーボネートによって改良する方法
及びエチレンオキサイド変性ビスフェノール型アクリレ
ートとポリサルホンとからなり、この両者が共連続構造
を形成して成る樹脂複合体及びその製造方法が開示され
ている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記特
開平11−80556号公報に記載の方法では、樹脂の
親和性を向上させるために、N,N−ジメチルアクリル
アミドなどのアミド系の重合性化合物の併用が必須であ
るため、雰囲気湿度により樹脂の水分吸収度が変化し、
特性が大きく変化するという問題があった。
【0006】また、上記特開平7−33991号公報に
記載の樹脂複合体は、疑似相溶系であるため、力学的特
性の向上の程度は、せいぜい感光性樹脂の硬化物と熱可
塑性樹脂との両者の特性の、組成の重み付き相加平均の
程度であり、構成素材の特性を十分に生かしたものとは
言えなかった。更に、当該公報に記載の樹脂複合体は、
塗料として重要な特性である表面硬度が低下しがちであ
るなどの問題もあった。
【0007】さらに、上記特開平7−102175号公
報に記載の方法は、熱可塑性樹脂として、一般的に感光
性組成物との親和性に乏しいポリスルホン系樹脂を使用
するために、感光性組成物が、ポリスルホンとの親和性
が良い、部分アクリル化エポキシ系樹脂に限られるとい
う問題があった。また、その他の樹脂を用いる場合、熱
可塑性樹脂と感光性組成物とを均一な混合状態とするた
めに、有機溶媒を添加して均一混合溶液とし、該均一混
合溶液の賦形物を急速に冷却したり、或いは溶媒を揮発
させる方法でミクロ相分離を発生させ、その状態で光照
射して急速に感光性樹脂を硬化させて該相分離構造を固
定する方法を採っている。このため、僅かな製造条件の
違いによって特性が大きく低下しがちであり、製造安定
性や製品の均一性に欠ける上、得られる樹脂複合体もボ
イドが発生するなどの原因で特性向上の程度も十分なも
のではなかった。更に、相溶性の関係から、部分アクリ
ル化エポキシ樹脂に限られるために、十分な強度を発現
させるためには、未架橋部分の反応を促進するために高
温での熱処理が必要となり、その際に相分離が進行し界
面の密着性などが低下して、特性が低下するという問題
があった。
【0008】さらにまた、1998年財団法人川村理化
学研究所報告に記載のエチレンオキサイド変性ビスフェ
ノール型アクリレートとポリカーボネートとから成る樹
脂組成物は、共連続構造を示していないものであって、
力学的特性の向上の程度は、せいぜい紫外線硬化樹脂の
硬化物とポリカーボネートとの両者の特性の、組成の重
み付き相加平均の程度であり、構成素材の特性が十分に
生かされたものとは言えなかった。また、1998年財
団法人川村理化学研究所報告に記載のエチレンオキサイ
ド変性ビスフェノール型アクリレートとポリサルホンと
からなる樹脂複合体は、本発明と同様の共連続構造を有
するものではある。しかしながら、ポリサルホンはアク
リレート類との相溶性が悪く、同報告書に記載の方法
は、エチレンオキサイド変性ビスフェノール型アクリレ
ートとポリサルホンとの組み合わせに限り適用可能な極
めて限定された方法であった。例えば、エチレンオキサ
イド変性ビスフェノール型アクリレートと極めて似かよ
った構造を持つプロピレンオキサイド変性のビスフェノ
ール型アクリレートですら、相溶性が悪いために、共連
続構造を有する複合体は得られない。むろん、本発明の
ほぼ100%アクリル化させているエポキシ(メタ)ア
クリレート類との相溶性も悪く共連続構造を有する複合
体は得られない。つまり、ポリサルホンによって物性を
改良できるエネルギー線硬化性樹脂は、部分アクリル化
エポキシ樹脂又はエチレンオキサイド変性ビスフェノー
ル型アクリレートに限られていた。
【0009】本発明が解決しようとする課題は、1つの
ガラス転移温度を示す樹脂複合体に比べて力学的特性に
優れた活性エネルギー線架橋重合体の樹脂複合体、望ま
しくは、光学的に透明な樹脂複合体を提供することにあ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者等は上記問題を
解決するため鋭意検討した結果、活性エネルギー線架橋
重合性化合物と熱可塑性樹脂との特定の組み合わせによ
る均一な混合液を任意の形状に賦形し、活性エネルギー
線を照射することによって硬化させると同時に相分離を
生じせしめることにより、力学的特性の向上した樹脂複
合体を安定して製造できること見いだし、本発明を完成
するに到った。
【0011】即ち、本発明は上記課題を解決するため
に、(I)(a) 活性エネルギー線架橋重合性化合物の硬
化物である架橋重合体と、(b) 熱可塑性樹脂、とからな
る共連続構造を有する樹脂複合体であって、 (1) 活性
エネルギー線架橋重合性化合物が、一分子中に2〜6個
の(メタ)アクリロイル基を有するエポキシ(メタ)ア
クリレートであり、 (2) 熱可塑性樹脂が、ポリエステ
ル系重合体、フェノキシ樹脂、ビニルアセタール系重合
体、ポリ塩化ビニル系重合体、酢酸ビニル系重合体、ス
チレン系重合体、ウレタン系重合体、未架橋ゴム、及び
セルロース誘導体からなる群から選ばれる熱可塑性樹脂
である樹脂複合体を提供する。
【0012】また、本発明は上記課題を解決するため
に、(II)共連続構造を有する樹脂複合体が、0.02
〜0.1μmの範囲にある大きさの網目状構造の熱可塑
性樹脂相を有するものである上記(I)項記載の樹脂複
合体を提供する。
【0013】また、本発明は上記課題を解決するため
に、 (III)共連続構造を有する樹脂複合体が、2つの
ガラス転移温度(Tg)を有するものである上記(I)
又は(II)項記載の樹脂複合体を提供する。
【0014】また、本発明は上記課題を解決するため
に、(IV)エポキシ(メタ)アクリレートが、ヒドロキ
シアクリロキシプロピルジ(メタ)アクリレートである
上記(I)〜(III) 項のいずれか1項に記載の樹脂複
合体を提供する。
【0015】また、本発明は上記課題を解決するため
に、(V)エポキシ(メタ)アクリレートが、アルキル
ジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレートであり、
熱可塑性樹脂が、スチレン系重合体、フェノキシ樹脂、
酢酸ビニル系重合体、ビニルアセタール系重合体、ウレ
タン系重合体、未架橋ゴム、及びセルロース誘導体なる
群から選ばれる1以上の熱可塑性樹脂である上記(I)
〜(III) 項のいずれか1項に記載の樹脂複合体を提供
する。
【0016】また、本発明は上記課題を解決するため
に、(VI)エポキシ(メタ)アクリレートが、(ポリ)
エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)ア
クリレート又は(ポリ)プロピレングリコールジグリシ
ジルエーテルジ(メタ)アクリレートであり、熱可塑性
樹脂が、ポリエステル系重合体、酢酸ビニル系重合体、
ビニルアセタール系重合体、フェノキシ樹脂、スチレン
系重合体、ウレタン系重合体、未架橋ゴム、及びセルロ
ース誘導体なる群から選ばれる1以上の熱可塑性樹脂で
ある上記(I)〜(III) 項のいずれか1項に記載の樹
脂複合体を提供する。
【0017】また、本発明は上記課題を解決するため
に、(VII)エポキシ(メタ)アクリレートが、グリセ
リンジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレートであ
り、熱可塑性樹脂が、酢酸ビニル系重合体、ビニルアセ
タール系重合体、ウレタン系重合体、及び未架橋ゴムな
る群から選ばれる1以上の熱可塑性樹脂である上記
(I)〜(III) 項のいずれか1項に記載の樹脂複合体
を提供する。
【0018】また、本発明は上記課題を解決するため
に、(VIII)エポキシ(メタ)アクリレートが、ビスフ
ェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレー
トであり、熱可塑性樹脂が、ポリエステル系重合体、酢
酸ビニル系重合体、ビニルアセタール系重合体、塩素含
有重合体、スチレン系重合体、ウレタン系重合体、及び
未架橋ゴムなる群から選ばれる1以上の熱可塑性樹脂で
ある上記(I)〜(III) 項のいずれか1項に記載の樹
脂複合体を提供する。
【0019】また、本発明は上記課題を解決するため
に、(IX)エポキシ(メタ)アクリレートが、レゾルシ
ノールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレートで
ある上記(I)〜(III) 項のいずれか1項に記載の樹
脂複合体を提供する。
【0020】また、本発明は上記課題を解決するため
に、(X)エポキシ(メタ)アクリレートが、フタル酸
ジグリシジルエステルジ(メタ)アクリレート、及びヘ
キサヒドロフタル酸ジグリシジルエステルジ(メタ)ア
クリレートである上記(I)〜(III) 項のいずれか1
項に記載の樹脂複合体を提供する。
【0021】また、本発明は上記課題を解決するため
に、(XI)エポキシ(メタ)アクリレートが、アルキル
ジグリシジルエステルジ(メタ)アクリレートであり、
熱可塑性樹脂が、塩素含有重合体、酢酸ビニル系重合
体、ビニルアセタール系重合体、ウレタン系重合体、未
架橋ゴム、及びセルロース誘導体なる群から選ばれる1
以上の熱可塑性樹脂である上記(I)〜(III) 項のい
ずれか1項に記載の樹脂複合体を提供する。
【0022】さらに、本発明は上記課題を解決するため
に、(XII)(1) 一分子中に2〜6個の(メタ)アクリ
ロイル基を有する活性エネルギー線硬化性エポキシ(メ
タ)アクリレート、及び (2)ポリエステル系重合体、
フェノキシ樹脂、ビニルアセタール系重合体、ポリ塩化
ビニル系重合体、酢酸ビニル系重合体、スチレン系重合
体、ウレタン系重合体、未架橋ゴム、及びセルロース誘
導体からなる群から選ばれる熱可塑性樹脂からなる均一
混合液を賦形した後、活性エネルギー線を照射して均一
混合液の賦形物を硬化させ、相分離を誘発させるととも
に、共連続構造を固定化することを特徴とする上記
(I)項に記載の樹脂複合体の製造方法を提供する。
【0023】また、本発明は上記課題を解決するため
に、(XIII)(1) 活性エネルギー線硬化性エポキシ(メ
タ)アクリレート、(2) 熱可塑性樹脂及び(3)これらを
溶解する溶剤とからなる均質な混合溶液を賦形した後、
溶剤を乾燥除去して均一混合液の賦形物と成し、しかる
後に活性エネルギー線を照射することを特徴とする上記
(XII)項に記載の樹脂複合体の製造方法を提供する。
【0024】また、本発明は上記課題を解決するため
に、(XIV)均一混合液が光重合開始剤を含有し、活性
エネルギー線が紫外線である上記(XII)又は(XIII)
項に記載の樹脂複合体の製造方法を提供する。
【0025】また、本発明は上記課題を解決するため
に、(XV)活性エネルギー線照射温度が50〜200℃
である上記(XII)、(XIII)又は(XIV)項に記載の樹
脂複合体の製造方法を提供する。
【0026】
【発明の実施の形態】本発明の樹脂複合体は、熱可塑性
樹脂と、活性エネルギー線架橋重合性化合物の硬化物で
ある架橋重合体(以下、「活性エネルギー線架橋重合性
化合物の硬化物である架橋重合体」を「活性エネルギー
線架橋重合体」と称する場合がある)で構成される樹脂
複合体である。本発明の樹脂複合体は、相対的に熱可塑
性樹脂濃度の高い相(以下、熱可塑性樹脂相と称する)
と、相対的に活性エネルギー線架橋重合体濃度の高い相
(以下、架橋重合体相と称する)にミクロ相分離した樹
脂複合体であり、それぞれの相が3次元的に連続してい
る相分離構造、即ち、共連続構造を採っている。透過型
電子顕微鏡(TEM)で観察した本発明の樹脂複合体の
任意の方向の断面には、網目状に連続した熱可塑性樹脂
相を観察することができる。この網目は、部分的に途切
れた箇所を有していてもよい。一方、透過型電子顕微鏡
による断面観察では、架橋重合体相は、熱可塑性相によ
って囲まれている独立した細胞状に観察される場合があ
る。しかしながら、本発明の樹脂複合体を、熱可塑性樹
脂を溶解する溶剤に浸漬しても、架橋重合体相は、粉末
に分解することはない。また、熱可塑性樹脂を溶解させ
る溶剤で洗浄した樹脂複合体断面を走査型電子顕微鏡
(SEM)で観察すると、粒子が互いに接続した構造を
観察することができる。
【0027】これらのことから、本発明の樹脂複合体
は、架橋重合体相で構成された微小な球形に近い細胞
が、3次元網目状の連続相である熱可塑性樹脂相によっ
てほとんど包まれているが完全には包まれておらず、細
胞同士が互いに接続している構造を採っていると考えら
れる。
【0028】樹脂複合体中における熱可塑性樹脂相の網
目寸法は、0.01〜10μm の範囲が好ましく、0.
02〜5μm の範囲が特に好ましい。熱可塑性樹脂相の
網目寸法が0.01μm 未満であると、力学特性の向上
の程度が不十分となりがちであり、熱可塑性樹脂相の網
目寸法が10μm を超えると、力学特性の向上の程度が
不十分となるか、かえって低下しがちであるので、好ま
しくない。光学的に透明で、かつ、十分な力学特性を有
する樹脂複合体を得るためには、樹脂複合体中における
熱可塑性樹脂相の網目寸法は、0.02〜0.1μmの
範囲にあることが好ましい。熱可塑性樹脂相の網目寸法
は、透過型電子顕微鏡にて測定することができる。網目
寸法は、電子顕微鏡像における、網目で囲まれている相
の中心間距離の平均値として求めることができる。
【0029】本発明の樹脂複合体は、樹脂複合体を構成
する架橋重合体のガラス転移温度TgCと樹脂複合体を
構成する熱可塑性樹脂のガラス転移温度TgLとの間
に、2つのガラス転移温度Tg1びTg2(但し、Tg
1<Tg2とする)を有することが好ましい。2つのガ
ラス転移温度を有することで、本樹脂複合体を構成する
架橋重合体と熱可塑性樹脂の特性の、組成の重み付き相
加平均以上の特性を示すことができる。このとき、Tg
C<TgLであっても良いし、TgC>TgLであって
もよい。但し、TgC<TgLの場合には、Tg1≦T
gCとなる場合がある。また、TgC=TgL(TgC
≒TgLを含む)の場合には、2つのガラス転移温度は
縮退し、本発明になる樹脂複合体であっても、Tgが2
つ存在することは判別できない。また、樹脂組成比に大
きな差がある非対称組成の場合や、熱可塑性樹脂が結晶
性樹脂である場合にも2つのガラス転移温度の存在が判
別できなくなる場合がある。
【0030】ガラス転移温度(Tg)は、任意の測定方
法、例えば、動的粘弾性、示差熱量分析(DSC)など
で測定することができるが、高感度であることから動的
粘弾性測定によることが好ましい。動的粘弾性の測定周
波数や昇温速度は、試料の特性に合わせて任意に設定す
ることができる。動的粘弾性測定によるTgは、tan
δ(=損失弾性率/貯蔵弾性率)の温度依存性のグラフ
におけるピークとして与えられる。
【0031】一般に、架橋重合体のガラス転移温度Tg
Cと熱可塑性樹脂のガラス転移温度TgLとの間にTg
が1つ存在する場合には、この樹脂複合体は、(疑似)
相溶状態であることを示しており、力学特性は、一般的
に、それを構成する重合体の特性の、組成の重み付き相
加平均を示す。また、構成する重合体が、光学的に透明
である場合には、樹脂複合体も、通常、透明となる。
【0032】TgCとTgLとの間に、もしくはこれら
のTgとそれぞれ一致して、2つのTgを有する場合に
は、樹脂複合体を構成する重合体が相分離していること
を示しており、この樹脂複合体の力学特性は、一般的に
は、(疑似)相溶系に比べてより高くなる場合もあり、
より低い場合もあり、相分離の形状によって大きく変わ
りうることが知られている。また、光学的には、通常、
不透明である。
【0033】本発明の樹脂複合体の場合、(疑似)相溶
状態の樹脂複合体の力学特性を上回る特性を得ることが
可能である。また、透明性についても、本発明の樹脂複
合体は、相分離していながら、光学的に透明な成形物と
することができる。透明な成型物の場合、可視光域の平
行光透過率が70%以上であることが好ましく、80%
以上であることがさらに好ましい。
【0034】本発明の樹脂複合体は、任意の形状の成形
物に成形することができる。本発明の樹脂複合体からな
る成形物が取りうる形状としては、例えば、塗膜、フィ
ルム(シート、リボンなどを含む)、薄膜、繊維、注型
物、含浸物、その他複雑な形状でありうる。しかし、架
橋重合体として活性エネルギー線架橋重合体を使用する
都合上、活性エネルギー線が到達しうる厚みである必要
があり、厚みは5mm未満であることが好ましく、厚みは
薄く、一定であることが好ましい。従って、用途にもよ
るが、厚みが好ましくは300μm以下、さらに好まし
くは200μm以下のフィルム状又は塗膜状であること
が好ましい。また、特に高い透明度を必要とする場合に
は、膜厚10μm以下のフィルム状又は塗膜状が好まし
い。
【0035】本発明の樹脂複合体を構成する架橋重合体
は、活性エネルギー線架橋重合性化合物、即ち、活性エ
ネルギー線により硬化して架橋重合体となる化合物を活
性エネルギー線照射により硬化させた架橋重合体であ
る。
【0036】本発明で使用する活性エネルギー線架橋重
合性化合物は、1分子中に2〜6個の(メタ)アクリロ
イル基を有するエポキシ(メタ)アクリレートである。
エポキシ(メタ)アクリレートとは、とは、1官能以上
のエポキシドと(メタ)アクリル酸を反応させて得られ
る(メタ)アクリレートの総称である。
【0037】エポキシ(メタ)アクリレートの原料とな
るエポキシドとしては、例えば、(メチル)エピクロル
ヒドリンと、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノー
ルS、水添ビスフェノールF、それらのエチレンオキシ
ド、プロピレンオキシド変性物などから合成されるエピ
クロルヒドリン変性水添ビスフェノール型エポキシ樹
脂;3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−
エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス−
(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペートの如き
脂環式エポキシ樹脂;トリグリシジルイソシアヌレート
の如きヘテロ環含有のエポキシ樹脂等の脂環式エポキシ
ド;(メチル)エピクロルヒドリンと、ビスフェノール
A、ビスフェノールS、ビスフェノールF、それらのエ
チレンオキシド、プロピレンオキシド変性物などから合
成されるエピクロルヒドリン変性ビスフェノール型のエ
ポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂;ク
レゾールノボラック型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジ
エンと各種フェノール類と反応させて得られる各種ジシ
クロペンタジエン変性フェノール樹脂のエポキシ化物;
2,2’,6,6’−テトラメチルビフェノールのエポ
キシ化物、フェニルグリシジルエーテルの如き芳香族エ
ポキシド;(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロ
ピレングリコール、(ポリ)ブチレングリコール、(ポ
リ)テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコー
ルなどのグリコール類の(ポリ)グリシジルエーテル;
グリコール類のアルキレンオキシド変性物の(ポリ)グ
リシジルエーテル;トリメチロールプロパン、トリメチ
ロールエタン、グリセリン、ジグリセリン、エリスリト
ール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、1,4−
ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールの如き脂肪
族多価アルコールの(ポリ)グリシジルエーテル;脂肪
族多価アルコールのアルキレンオキシド変性物の(ポ
リ)グリシジルエーテル、等のアルキレン型エポキシ
ド;アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、イタコン
酸、エイコサジエンジカルボン酸、などの飽和あるいは
不飽和多価カルボン酸のグリシジルエステル;多価アル
コールと多価カルボン酸とのポリエステルポリオールの
グリシジルエーテル;グリシジル(メタ)アクルレー
ト、メチルグリシジル(メタ)アクリレートの共重合
体;、エポキシ化高級脂肪酸、エポキシ化アマニ油、エ
ポキシ化大豆油、エポキシ化ひまし油、エポキシ化ポリ
ブタジエンの如き脂肪族エポキシ樹脂、などが挙げられ
るが、これに限定されるものではない。
【0038】本発明に好ましく用いられる、一分子中に
2個の(メタ)アクリロイル基を有するエポキシ(メ
タ)アクリレートとして、2−ヒドロキシ−3−アクリ
ロキシプロピルジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0039】一分子中に2個の(メタ)アクリロイル基
を有するエポキシ(メタ)アクリレートとしては、例え
ば、一般式(1)
【0040】
【化1】
【0041】(式中、Xは水素原子又はメチル基を表わ
し、R1 は置換基を有していてもよいアルキレン基を表
わす。)
【0042】で表わされる化合物が挙げられる。
【0043】上記一般式(1)において、R1は一般式
−(CH2i−(式中、iは正の整数を表わす。)で表
わされるアルキレン基が好ましく、iは好ましくは1〜
18、さらに好ましくは2〜10である。
【0044】また、R1 は、一般式−(C24O)j2
4−(式中、jは正の整数)で表わされるポリオキシア
ルキレン基であることが好ましく、jは好ましくは1〜1
1であり、さらに好ましくは1〜9である。
【0045】また、R1 は、繰り返し数1〜12、好ま
しくは1〜11のポリ(1−メチルエチレン)又はポリ
(2−ヒドロキシプロピレン)であることが好ましい。
【0046】また、R1 は、式
【0047】
【化2】
【0048】(式中、R2 は、単結合又は1−メチルエ
チレンを表わす。)で表わされる2価の基であることが
好ましい。
【0049】一分子中に2個の(メタ)アクリロイル基
を有するエポキシ(メタ)アクリレートの中でも、一般
式(3)
【0050】
【化3】
【0051】(式中、Xは水素原子又はメチル基を表わ
す。)で表わされる化合物、及び一般式(4)
【0052】
【化4】
【0053】(式中、Xは水素原子又はメチル基を表わ
す。)で表わされる化合物が好ましい。
【0054】また、一分子中に3個の(メタ)アクリロ
イル基を有するエポキシ(メタ)アクリレートの中で
も、一般式(5)
【0055】
【化5】
【0056】(式中、Xは水素原子又はメチル基を表わ
す。)で表わされる化合物が好ましい。
【0057】活性エネルギー線架橋重合性化合物は、こ
れらのエポキシ(メタ)アクリレート同士、及び/又は
これらと共重合可能な他の種の活性エネルギー線架橋重
合性化合物、例えば、他の種の(メタ)アクリレート、
と混合して使用することができる。また、樹脂複合体の
特性を制御するために、活性エネルギー線架橋重合体
は、活性エネルギー線架橋重合性化合物と、単独では架
橋重合体を与えない単官能の活性エネルギー線重合性化
合物との共重合体とすることも可能である。
【0058】単官能の活性エネルギー線重合性化合物と
して使用することができる単官能(メタ)アクリル系単
量体としては、例えば、メチルメタクリレート、アルキ
ル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリ
レート、アルコキシポリエチレングリコール(メタ)ア
クリレート、フェノキシジアルキル(メタ)アクリレー
ト、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリ
レート、アルキルフェノキシポリエチレングリコール
(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレ
ングリコール(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキ
ル(メタ)アクリレート、グリセロールアクリレートメ
タクリレート、ブタンジオールモノ(メタ)アクリレー
ト、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレ
ート、2−アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシ
プロピルアクリレート、エチレンオキサイド変性フタル
酸アクリレート、ω−アルコキシカプロラクトンモノア
クリレート、2−アクリロイルオキシプロピルハイドロ
ジェンフタレート、2−アクリロイルオキシエチルコハ
ク酸、アクリル酸ダイマー、2−アクリロイルオキシプ
ロピルヘキサヒドロハイドロジェンフタレート、フッ素
置換アルキル(メタ)アクリレート、塩素置換アルキル
(メタ)アクリレート、シラノ基を有する(メタ)アク
リレート、などが挙げられる。
【0059】単官能の活性エネルギー線重合性化合物と
して使用できる単官能マレイミド系単量体としては、例
えば、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、
N−ブチルマレイミド、N−ドデシルマレイミド、の如
きN−アルキルマレイミド;N−シクロヘキシルマレイ
ミドの如きN−脂環族マレイミド;N−ベンジルマレイ
ミド;N−フェニルマレイミド、N−(アルキルフェニ
ル)マレイミド、N−ジアルコキシフェニルマレイミ
ド、N−(2−クロロフェニル)マレイミド、2,3−
ジクロロ−N−(2,6−ジエチルフェニル)マレイミ
ド、2,3−ジクロロ−N−(2−エチル−6−メチル
フェニル)マレイミドの如きN−(置換又は非置換フェ
ニル)マレイミド;N−ベンジル−2,3−ジクロロマ
レイミド、N−(4’−フルオロフェニル)−2,3−
ジクロロマレイミドの如きハロゲンを有するマレイミ
ド;ヒドロキシフェニルマレイミドの如き水酸基を有す
るマレイミド;N−(4−カルボキシ−3−ヒドロキシ
フェニル)マレイミドの如きカルボキシ基を有するマレ
イミド;N−メトキシフェニルマレイミドの如きアルコ
キシ基を有するマレイミド;N−[3−(ジエチルアミ
ノ)プロピル]マレイミドの如きアミノ基を有するマレ
イミド;N−(1−ピレニル)マレイミドの如き多環芳
香族マレイミド;N−(ジメチルアミノ−4−メチル−
3−クマリニル)マレイミド、N−(4−アニリノ−1
−ナフチル)マレイミドの如き複素環を有するマレイミ
ド、などが挙げられる。
【0060】更に、樹脂複合体の特性を制御するため
に、活性エネルギー線架橋重合体は、架橋重合性の重合
性オリゴマー(プレポリマーとも呼ばれる)をその1成
分とする共重合体とすることも可能である。プレポリマ
ーとしては、例えば、重量平均分子量が500〜500
00のものが挙げられ、例えば、エポキシ樹脂の(メ
タ)アクリル酸エステル、ポリエーテル樹脂の(メタ)
アクリル酸エステル、ポリブタジエン樹脂の(メタ)ア
クリル酸エステル、分子末端に(メタ)アクリロイル基
を有するポリウレタン樹脂、などが挙げられる。
【0061】本発明に使用する熱可塑性樹脂は、ポリエ
ステル系重合体、フェノキシ樹脂、ビニルアセタール系
重合体、ポリ塩化ビニル系重合体、酢酸ビニル系重合
体、スチレン系重合体、ウレタン系重合体、未架橋ゴム
及びセルロース誘導体からなる群から選ばれる熱可塑性
樹脂であり、本発明で使用する活性エネルギー線架橋重
合性化合物と均一に混合するものである。均一に溶解す
る温度は200℃以下であることが好ましい。このよう
な熱可塑性樹脂は、本発明で使用する活性エネルギー線
架橋重合性化合物と組み合わせて使用すると、200℃
以下の温度で、本発明で使用する活性エネルギー線架橋
重合性化合物と均一に混合し易く、かつ良好な共連続構
造を形成して向上した特性を得やすい。勿論、熱可塑性
樹脂は単独で用いることもできるし、二種類以上を混合
使用することもできる。
【0062】なお、本発明で言う熱可塑性樹脂とは、架
橋重合体でない重合体をいい、直鎖状重合体と枝別れ重
合体を含む。従って、軟化点が分解温度より高く、熱可
塑性を示さない重合体も含む。本発明で使用する熱可塑
性樹脂は、非晶性であっても結晶性であってもよい。結
晶性重合体の場合には融点は好ましくは200℃以下、
さらに好ましくは150℃以下である。これより融点が
高いものは、200℃以下の温度では活性エネルギー線
架橋重合性化合物との相溶性に劣る傾向にあるので、好
ましくない。
【0063】本発明で使用できるポリエステル系重合体
としては、多価カルボン酸と多価アルコールの縮合重合
体、その共重合体やそれらの置換体が挙げられる。
【0064】多価アルコールとしては、例えば、エチレ
ングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコ
ール、ペンタンジオール、ヘキサメチレンジオール、オ
クタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキ
サンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレング
リコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリ
コール、ポリプロピレングリコール、ポリテトタメチレ
ングリコールなどが挙げられる。これらの多価アルコー
ルは、2種類以上使用することもできる。これらの中で
も、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチ
レングリコール、ヘキサメチレンジオール、ネオペンチ
ルグリコールが特に好ましい。
【0065】多価カルボン酸としては、例えば、テレフ
タル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳
香族カルボン酸、炭素原子数4〜14のコハク酸、アジ
ピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ブラシル酸、シク
ロヘキサンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸、そ
の他にダイマー酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、
無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等が挙げら
れ、これらは2種類以上使用しても構わない。これらの
中でも特に、テレフタル酸、イソフタル酸、コハク酸、
アジピン酸、セバシン酸、シクロヘキサンジカルボン酸
が好ましく用いられる。
【0066】本発明で使用できるポリエステル系重合体
として、ポリε−カプロラクトン、ポリブチロラクトン
のごときラクトン系ポリエステルも使用することができ
る。
【0067】本発明で使用できるフェノキシ樹脂として
は、エピクロルヒドリンとビスフェノール系化合物の反
応物であり、末端にエポキシ基を持たないものである。
そのようなフェノキシ樹脂の中でも、エピクロルヒドリ
ンとビスフェノールAから得られるフェノキシ樹脂が特
に好ましい。
【0068】本発明で使用できるビニルアセタール系重
合体としては、例えば、ポリビニルフォルマール、ポリ
ビニルアセタール及びその共重合体やこれらの置換体が
挙げられる。これらのビニルアセタール系樹脂の中で
も、ポリビニルホルマールましく使用できるビニルアセ
タール系重合体として、ポリビニルアセタールが特に好
ましい。
【0069】好ましく使用できるポリ塩化ビニル系重合
体としては、塩化ビニル、塩素化ポリエチレン、塩素化
ポリプロピレンを挙げることができる。塩素化ポリエチ
レン、塩素化ポリプロピレンは、その塩素含有量が50
%以上の高塩素化タイプの重合体が好ましい。
【0070】本発明で使用できる酢酸ビニル系重合体と
しては、酢酸ビニル及びその共重合体やこれらの置換体
が挙げられる。これらの酢酸ビニル系重合体の中でも、
ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EV
A)が特に好ましい。
【0071】本発明で使用できるスチレン系重合体とし
ては、ポリスチレン、その共重合体やこれらの置換体が
挙げられる。これらのスチレン系重合体の中でも、ポリ
α−メチルスチレン、スチレン−メチルメタクリレート
共重合体(MS)、スチレン−アクリロニトリル共重合
体(AS)、スチレン−無水マレイン酸共重合体(SM
AA)、スチレン−マレイン酸共重合体が特に好まし
い。
【0072】本発明に使用できるウレタン系重合体とし
ては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジ
イソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシ
アネート、トリジンジイソシアネート、ナフタリンジイ
ソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソ
ホロンジイソアネート、キシリレンジイソシアネート、
ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートなどのイソシ
アネートと、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンア
ジペート、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリカプロ
ラクトンなどのポリエステルポリオールやポリオキシプ
ロピレンジオール、ポリテトラメチレングリコールエー
テル、ポリオキシエチレンジオールなどのポリエーテル
ポリオールの重合物である熱可塑性ポリウレタンなどが
挙げられる。これらのウレタン系重合体の中でも、イソ
シアネートとして、トリレンジイソシアネート又はジフ
ェニルメタンジイソシアネートを用い、ポリオールとし
て、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオー
ル、ネオペンチルグリコールとアジピン酸のポリエステ
ルポリオールを用いたウレタン系重合体が好ましい。
【0073】本発明に使用できる未架橋ゴムとしては、
ブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリル−ブタジエ
ンゴム(NBR)、スチレン−ブタジエンゴム(SB
R)などのジエン系ゴム;クロロプレンゴム、イソプレ
ンゴムなどのイソプレン系ゴム;及びアクリルゴム(A
R)が挙げられる。これらの中でも、NBR、SBR、
ARが特に好ましい。
【0074】本発明に使用できるセルロース誘導体とし
ては、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸プロ
ピオン酸セルロースなどの有機酸セルロース;メチルセ
ルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロ
キシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチ
ルセルロース、エチルセルロース、エチルヒドロキシエ
チルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボ
キシメチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメ
チルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロ
ースなどのセルロースエーテル類;ニトロセルロース、
硫酸セルロース、リン酸セルロースなどの無機セルロー
スが挙げられる。これらのセルロース誘導体の中でも、
エチルセルロースやニトロセルロースが特に好ましい。
【0075】なお、熱可塑性樹脂の中でも、ポリエーテ
ルスルホンやポリスルホンは、本発明に使用する活性エ
ネルギー線架橋重合性化合物との相溶性が過度に低く、
共連続構造を有する樹脂複合体を得ることが相当に困難
であるため、好ましいものとはいえない。
【0076】これら熱可塑性樹脂は、本発明で使用する
活性エネルギー線架橋重合性化合物と組み合わせて使用
すると、良好な共連続構造を形成しやすく、特性を向上
させるが、特に好ましい組み合わせとしては、例えば、 (1)アルキルジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリ
レートと、スチレン系重合体、フェノキシ樹脂、酢酸ビ
ニル系重合体、ビニルアセタール系重合体、ウレタン系
重合体、未架橋ゴム及びセルロース誘導体からなる群か
ら選ばれる熱可塑性樹脂との組み合わせ、
【0077】(2)(ポリ)エチレングリコールジグリ
シジルエーテルジ(メタ)アクリレート又は(ポリ)プ
ロピレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)ア
クリレートと、ポリエステル系重合体、酢酸ビニル系重
合体、ビニルアセタール系重合体、フェノキシ樹脂、ス
チレン系重合体、ウレタン系重合体、未架橋ゴム及びセ
ルロース誘導体からなる群から選ばれる熱可塑性樹脂と
の組み合わせ、
【0078】(3)グリセリンジグリシジルエーテルジ
(メタ)アクリレートと、酢酸ビニル系重合体、ビニル
アセタール系重合体、ウレタン系重合体及び未架橋ゴム
からなる群から選ばれる熱可塑性樹脂との組み合わせ、
【0079】(4)ビスフェノールAジグリシジルエー
テルジ(メタ)アクリレートと、ポリエステル系重合
体、酢酸ビニル系重合体、ビニルアセタール系重合体、
塩化ビニル系重合体、スチレン系重合体、ウレタン系重
合体及び未架橋ゴムからなる群から選ばれる熱可塑性樹
脂との組み合わせ、
【0080】(5)フタル酸ジグリシジルエステルジ
(メタ)アクリレート又はヘキサヒドロフタル酸ジグリ
シジルエステルジ(メタ)アクリレートと、ポリエステ
ル系重合体、酢酸ビニル系重合体、ビニルアセタール系
重合体、フェノキシ樹脂、スチレン系重合体、ウレタン
系重合体、未架橋ゴム及びセルロース誘導体からなる群
から選ばれる熱可塑性樹脂との組み合わせ、
【0081】(6)アルキルジグリシジルエステルジ
(メタ)アクリレートと、塩化ビニル系重合体、酢酸ビ
ニル系重合体、ビニルアセタール系重合体、ウレタン系
重合体、未架橋ゴム及びセルロース誘導体からなる群か
ら選ばれる熱可塑性樹脂との組み合わせ、が好ましい。
【0082】本発明の樹脂複合体では、熱可塑性樹脂の
特徴である靭性が付与された、力学特性に優れた複合体
を得ることが可能となるが、それに加えて、使用する熱
可塑性樹脂の種類に依存して、それぞれの樹脂が持つ特
徴が付与される。例えば、芳香族ポリエステル系重合体
やポリ塩化ビニル系重合体などでは高弾性率や表面硬度
などが、ウレタン系重合体、酢酸ビニル系重合体、或い
は未架橋ゴムなどでは破断伸度や耐衝撃性などが、フェ
ノキシ樹脂やセルロース誘導体などでは高い表面親和性
などが効果的に付与される。
【0083】本発明の樹脂複合体には、その他の成分、
例えば、フッ素系化合物、シリコーンなどの滑剤;色
素、顔料、蛍光色素などの着色剤や紫外線吸収剤;酸化
防止剤;防黴剤;抗菌剤;無機や有機の粉末;エポキシ
樹脂などの熱硬化性樹脂;強化繊維等を混合あるいは共
重合の形で含有することができる。また、本発明の樹脂
複合体には、繊維強化プラスチック、ラミネートシート
などの複合体とすることもできる。
【0084】本発明の樹脂複合体は、例えば、以下に示
す本発明の製造方法により製造することができる。
【0085】本発明の製造方法は、まず、活性エネルギ
ー線架橋重合性化合物と熱可塑性樹脂とを混合し、相溶
した均一混合液(以下、この均一混合液を単に「均一混
合液」と称する場合がある)を調製する。この均一混合
液を賦形した後、活性エネルギー線を照射して、均一混
合液の賦形物を硬化させ、相分離を誘発させるととも
に、共連続構造を固定化する方法である。
【0086】本発明の製造方法で使用する活性エネルギ
ー線架橋重合性化合物は、一分子中に2〜6個の(メ
タ)アクリロイル基を有するエポキシ(メタ)アクリレ
ートであり、本発明で使用する熱可塑性樹脂と均一混合
液を形成することが可能なものである。本発明の製造方
法で使用する活性エネルギー線架橋重合性化合物につい
ては、本発明の樹脂複合体における説明と同様である。
【0087】活性エネルギー線架橋重合性化合物と熱可
塑性樹脂の相溶性を増したり、均一混合液の反応性を制
御するなどの目的で、活性エネルギー線架橋重合性化合
物は、活性エネルギー線架橋重合性化合物と、単独では
架橋重合体を与えない単官能の活性エネルギー線重合性
化合物との混合物とすることも可能である。単官能の活
性エネルギー線重合性化合物は、活性エネルギー線の照
射により活性エネルギー線架橋重合性化合物と共重合し
て架橋重合体を与えるものであれば任意であり、本発明
の樹脂組成物に使用できるものが使用できる。
【0088】本発明の製造方法で使用する熱可塑性樹脂
は、本発明で使用する活性エネルギー線架橋重合性化合
物と均一に混合するものであり、ポリエステル系重合
体、フェノキシ樹脂、ビニルアセタール系重合体、ポリ
塩化ビニル系重合体、酢酸ビニル系重合体、スチレン系
重合体、ウレタン系重合体、未架橋ゴム及びセルロース
誘導体からなる群から選ばれる熱可塑性樹脂である。熱
可塑性樹脂は、200℃以下の温度で、本発明で使用す
る活性エネルギー線架橋重合性化合物と均一に混合する
ものであることが好ましい。本発明の熱可塑性樹脂と活
性エネルギー線架橋重合性化合物との混合物は、特開平
7−102175号公報に記載されているような、低温
で相溶し、高温で分離する系とは、全く異なり、分離す
る場合には、低温で分離し、高温で相溶化する。
【0089】これらの熱可塑性樹脂は、本発明で使用す
る活性エネルギー線架橋重合性化合物と組み合わせて使
用すると、良好な共連続構造を形成しやすく、特性を向
上させやすい。勿論、熱可塑性樹脂は単独で用いること
もできるし、二種類以上を混合使用することもできる。
【0090】均一混合液は、活性エネルギー線架橋重合
性化合物と熱可塑性樹脂が均一に混合した混合液であ
る。但し、例えば鎖状高分子の分子量分布などに起因す
る極少量の不溶部分が存在することは許容される。
【0091】均一混合液の粘度は、本発明の相分離構造
を得るための製造条件に影響する重要な要因と考えられ
るが、活性エネルギー線架橋重合性化合物と熱可塑性樹
脂との組み合わせ、これらの組成比、活性エネルギー線
強度、反応温度などの違いにより最適な粘度範囲が大き
く異なる。そのため、均一混合液の粘度は一概には規定
できないが、活性エネルギー線照射温度における粘度は
1〜1000000cps(10-3〜102Pa・s)
の範囲が好ましく、5〜10000cps(5×10-3
〜10Pa・s)の範囲がさらに好ましい。
【0092】本発明の製造方法で使用する均一混合液に
は、活性エネルギー線架橋重合性化合物と熱可塑性樹脂
の他に、例えば、光重合開始剤;色素、顔料、蛍光色素
などの着色剤や紫外線吸収剤;酸化防止剤;無機や有機
の粉末;強化繊維等を含有させることもできる。
【0093】本発明で使用する活性エネルギー線とし
て、紫外線、可視光、赤外線などの光線を用いる場合に
は、重合速度を速める目的で、均一混合液に光重合開始
剤を添加することが好ましい。
【0094】均一混合液に必要に応じて添加することが
できる光重合開始剤は、本発明で使用する光線に対して
活性であり、活性エネルギー線架橋重合性化合物を架橋
重合させることが可能なものであれば、特に制限がな
く、例えば、ラジカル重合開始剤、アニオン重合開始
剤、カチオン重合開始剤であって良い。
【0095】そのような光重合開始剤としては、例え
ば、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、2,
2′−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2
−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンの如きアセ
トフェノン類;ベンゾフェノン、4,4′−ビスジメチ
ルアミノベンゾフェノン、2−クロロチオキサントン、
2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサント
ン、2−イソプロピルチオキサントンの如きケトン類;
ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイ
ソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルの
如きベンゾインエーテル類;ベンジルジメチルケター
ル、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンの如きベ
ンジルケタール類、マレイミド類、などが挙げられる。
【0096】光重合開始剤は、均一混合液に溶解あるい
は分散した状態で用いることができるが、均一混合液に
溶解するものであることが好ましい。光重合開始剤を用
いる場合の均一混合液中の光重合開始剤濃度は、0.0
1〜20重量%の範囲が好ましく、0.5〜10重量%
の範囲が特に好ましい。但し、活性エネルギー線架橋重
合性化合物が光重合開始剤を兼ねる場合や、活性エネル
ギー線架橋重合性化合物と共重合する光重合開始剤であ
る場合にはこの限りではない。
【0097】均一混合液は、好ましくは0〜200℃、
さらに好ましくは10〜180℃の温度範囲で調製され
る。均一混合液の調製は、加熱などの方法で熱可塑性樹
脂を架橋重合性化合物に溶解させる方法が可能である
が、熱可塑性樹脂及び架橋重合性化合物を両者が可溶な
溶媒に溶解させた後、溶媒を除去し、均一混合液を得る
ことも好ましい。溶剤を使用することで、熱可塑性樹脂
と架橋重合性化合物の混合に要する時間を大幅に短縮す
ることができ、また、粘度の高い均一混合液を得ること
ができる。
【0098】均一混合液を調整する際に溶剤を用いる場
合には、使用する溶剤は、蒸発、抽出など、何らかの方
法で除去可能なものであれば任意であるが、揮発性溶剤
であることが好ましい。N−メチルピロリドンやジメチ
ルスルホキシドのような高沸点溶剤を用いることも可能
であるが、溶剤は沸点が150℃以下であることが好ま
しく、120℃以下であることがさらに好ましい。
【0099】そのような溶剤としては、例えば、塩化メ
チレン、クロロホルム、トリクロロエタン、テトラクロ
ロエタンの如き塩素系溶剤;アセトン、2−ブタノンの
如きケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチルの如きエス
テル系溶剤;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テ
トラヒドロフランの如きエーテル系溶剤;トルエン、シ
クロヘキサンの如き炭化水素系溶剤;ジメチルホルムア
ミド、ジメチルアセトアミドの如きアミド系溶剤;蟻酸
の如き有機酸;クロロフェノールの如きフェノール類;
エチルセロソルブ、ブチルセロソルブの如き1分子中に
2種類以上の官能基を有する溶剤;液化二酸化炭素、液
化アンモニアの如き液化ガス;超臨界二酸化炭素の如き
超臨界流体、などを挙げられる。
【0100】溶剤除去方法も任意であるが、揮発による
除去が好ましい。揮発方法も任意であり、例えば、風
乾、熱風乾燥、赤外線乾燥、真空乾燥等であり得る。溶
剤は、その後の賦形及び活性エネルギー線照射よって形
成される相分離構造に大きな影響を与えない程度である
ならば、残存していても良い。多少の粘度変化や相溶性
の変化は、活性エネルギー線照射条件で補正可能であ
る。
【0101】均一混合液は、塗膜状、フィルム状(シー
ト状、リボン状などを含む)、繊維状、注型物、含浸物
などの任意の形状に賦形される。但し、活性エネルギー
線により硬化可能な形状であることが必要である。例え
ば、活性エネルギー線が到達可能な厚みである必要があ
り、賦形物が被服物で被われている場合には、被服物は
使用する活性エネルギー線を透過させるものである必要
がある。賦形方法も任意であり、例えば、塗布、流延、
浸漬、スプレー、注型、含浸、押し出し等であり得る。
均一混合液の調製が溶媒を使用する方法である場合に
は、賦形は溶媒除去の前であっても後であっても、一部
除去の後であっても良い。均一混合液の粘度が高い場合
や、賦形物が塗膜やフィルムのような厚みの小さいもの
である場合には、賦形後に溶剤除去を行なうことも好ま
しい。
【0102】次いで、均一混合液の賦形物に、所定温度
において活性エネルギー線を照射する。活性エネルギー
線の照射温度は、均一混合液が相溶状態を保っている温
度、即ち、照射前に相分離しない温度である必要があ
る。この時、均一混合液が過冷却状態であっても良い。
混合液の相溶状態の判別は、目視による透明性の確認、
或いは、光学顕微鏡観察により行なうことができる。
【0103】均一混合液に活性エネルギー線を照射する
と架橋重合性化合物の重合の進行に伴ってミクロ相分離
が進行するが、活性エネルギー線架橋重合性化合物が重
合により架橋構造を形成するため、相分離の進行過程の
いずれかの段階で構造が固定化される。本発明の樹脂複
合体は、均一混合液成分の相溶性の良否、均一混合液の
粘度、活性エネルギー線照射温度、活性エネルギー線強
度を制御することにより得られる。本発明の樹脂複合体
の形成条件は、活性エネルギー線架橋重合性化合物体と
熱可塑性樹脂の組み合わせにより異なり、一概には規定
できない。しかしながら、良相溶性、高粘度、低照射温
度、高活性エネルギー線強度の条件が過剰であると、相
分離が進行する前に構造が固体化されてしまい、共連続
構造が観察されず、1つのTgを示す(疑似)相溶構造
となる。反対に、貧相溶性、低粘度、高温、低強度の条
件が過剰であると、相分離が過度に進行して海島型の相
分離構造となり、力学的特性の低下をもたらす。通常、
相溶性と粘度は系により決定されるから、系が固定され
た場合には、主として制御するパラメーターは照射温度
と活性エネルギー線強度、及びこれらの時間プログラム
である。これらを適宜調節することで、目的の構造や特
性に最適化することができる。樹脂複合体の構造に変化
を与えずに完全硬化するまでの時間を短縮するために、
硬化工程の後半で温度を上昇させることも好ましい。
【0104】本発明の製造方法で使用する活性エネルギ
ー線としては、均一混合液を硬化させることが可能なも
のであれば任意であり、例えば、紫外線、可視光線、赤
外線の如き光線;エックス線、ガンマ線の如き電離放射
線;電子線、ベータ線、中性子線、重粒子線の如き粒子
線が挙げられる。これらの中でも、取り扱い性や装置価
格の面から光線が好ましく、紫外線が特に好ましい。全
面照射の場合、紫外線強度は0.1〜1000mW/cm2
であることが好ましい。紫外線はレーザー光であること
も好ましい。照射は、必要に応じ、パターニング照射で
あって良い。
【0105】また、硬化速度を速め、硬化を完全に行う
目的で、活性エネルギー線の照射を低酸素濃度雰囲気で
行うことが好ましい。低酸素濃度雰囲気としては、窒素
気流中、二酸化炭素気流中、アルゴン気流中、真空又は
減圧雰囲気が好ましい。
【0106】硬化した本発明の樹脂複合体は、必要に応
じて熱処理することも可能である。熱処理により、特性
をさらに向上させたり、熱安定性を増すことができる。
【0107】
【実施例】以下、実施例を用いて本発明を更に詳細に説
明する。しかしながら、本発明は以下の実施例の範囲に
限定されるものではない。
【0108】なお、以下の実施例において、紫外線源と
して、160Wのメタルハライドランプ(アイグラフィ
ックス製)を用いた。紫外線照射強度は約70mW/c
2であった。また、紫外線照射時間は90秒間とし
た。
【0109】次に、以下の実施例におけるガラス転移温
度の測定方法、引張破壊試験方法、光透過率の測定方
法、相分離構造の観察方法について説明する。
【0110】(ガラス転移温度の測定)ガラス転移温度
(Tg)は、動的粘弾性測定法で1Hzでの複素弾性率
の温度変化を測定し、tanδ (損失弾性率/貯蔵弾性
率)のピーク温度で評価した。動的粘弾性測定は、レオ
メトリックス株式会社製の「RSA−II」を使用し
た。昇温速度は毎分2℃とした。サンプルが塗膜の場合
には、基材から剥離したフィルム状のものを測定した。
【0111】(引張破壊試験)引張破壊試験は、島津製
作所製の引張試験機(オートグラフAGS−H)を使用
した。サンプルが塗膜の場合には、基材から剥離したフ
ィルム状のものを用いた。幅3mm、厚み約0.1mm
の試験片として、サンプル長10mm、引張速度を毎分
5mmで試験を行った。
【0112】(光透過率の測定)日本電色工業株式会社
製の濁度計「NDH−300A」を用いて、塗膜又はフ
ィルムの平行光透過率を測定した。フィルムの厚みは1
00±20μm とした。
【0113】(相分離構造の観察)相分離構造の観察
は、透過型電子顕微鏡(日本電子工業株式会社製の「J
EM−200」;以下、「TEM」と省略する。)を用
いた。フィルム断面及び塗膜断面の超薄切片(約50n
m)を作成しサンプルとした。使用する樹脂によって、
コントラストを上げるために、四酸化ルテニウム、四酸
化オスミウム、ヨウ素などで染色を施した。
【0114】[実施例1]活性エネルギー線架橋重合性
化合物として、「エポキシアクリレート 70PA」
(共栄社化学株式会社製のプロピレングリコールジグリ
シジルエーテルのジアクリレート;以下、「70PA」
と省略する。)5g、光重合開始剤として、「イルガキ
ュア184」(チバ・ガイギー社製の1−ヒドロキシシ
クロヘキシルフェニルケトン)0.1g及び熱可塑性樹
脂として、ポリビニルブチラール(サイエンテフィック
・ポリマー株式会社製;以下、「PVB」と省略す
る。)5gを塩化メチレン80gに溶解させて均質混合
溶液(1)を得た。
【0115】このようにして得た均質混合溶液(1)を
ガラス板上に塗布した後、溶媒を揮発させ、均一混合液
の未硬化の塗膜を得た。次いで、この塗膜にガラス板の
カバーを密着装着して、未硬化の賦形物を2枚のガラス
板に挟まれた状態とした。
【0116】該賦形物をガラス板ごと温度調節したステ
ージ上で昇温したところ、賦形物は室温(25℃)〜1
20℃で無色透明であった。賦形物を120℃に保持し
た状態で紫外線を照射して架橋重合性化合物を重合させ
て、賦形物を硬化させた。
【0117】得られた硬化物をガラス板から剥離して得
たフィルム(膜厚=約100μm )は、室温で無色透明
で、塗膜の光透過率は90%であった。このフィルム
は、約42℃と約70℃に2つのTgを観察することが
できた。フィルム断面のTEMを用いて観察したとこ
ろ、径の大きさが40〜60nmの網目状の相分離構造
を観察することがされた。また、フィルムを塩化メチレ
ンに1時間浸漬したが、若干膨潤したこと以外は、フィ
ルムの形状に変化は見られなかった。更に、フィルムを
1時間浸漬した塩化メチレンをガラス板に塗布し、乾燥
物を走査型電子顕微鏡(SEM:日立製作所株式会社
製、S−800型)で観察したが、粒子は実質的に認め
られなかった。
【0118】このフィルム状硬化物の強度、破断伸度、
弾性率、破断エネルギーの測定結果を表1に示した。そ
の結果、実施例1で得た樹脂複合体からなるフィルム状
硬化物は、後述する参考例1及び比較例1の硬化物と比
較して、強度、弾性率、破断伸度、破断エネルギーが大
きく向上していることが分かる。
【0119】[比較例1]実施例1で調製した、未硬化
の賦形物を2枚のガラス板に挟まれた状態のものを室温
(25℃)で紫外線を照射して架橋重合性化合物を重合
させて、賦形物を硬化させた。
【0120】得られた硬化物をガラス板から剥離して得
たフィルム(膜厚=約100μm )は、室温で無色透明
であった。このフィルムのTgを測定したところ、60
℃付近にtanδピークを1つ観察することができた。
また、TEMを用いてフィルム断面を観察したが、均質
であり相分離構造を観察することができなかった。(疑
似)相溶状態であると推測される。比較例1で得たフィ
ルム状硬化物の強度、破断伸度、弾性率、破断エネルギ
ーの測定結果を表1に示した。後述する70PA単独硬
化物に比べて、優れた特性を示すが、実施例1に比べ、
特性が劣る。
【0121】[参考例1]実施例1において、熱可塑性
樹脂を使用しなかったこと、溶剤を使用しなかったこ
と、ガラス板のカバーを装着しなかったこと、及び、照
射温度を25℃としたこと、以外は、実施例1と同様に
して、フィルム状の70PA単独硬化物(膜厚=約11
0μm )を得た。参考例1で得たフィルム状硬化物の強
度、破断伸度、弾性率、破断エネルギーの測定結果を表
1に示した。
【0122】[実施例2]実施例1において、「70P
A」、「イルガキュア184」及びPVBの使用量をそ
れぞれ8g、0.16g及び2gに変更し、かつ、紫外
線照射温度を80℃とした以外は、実施例1と同様にし
てフィルムを作製した。紫外線照射温度における未硬化
の賦形物は、透明であったが、硬化後のフィルムは、白
濁していた。
【0123】このフィルムについて、TEM観察を行っ
たところ、径の大きさが0.3〜0.6μm の網目状の
相分離構造を観察することができた。また、実施例1と
同様に実施した溶剤抽出試験の結果も実施例1と同様で
あった。
【0124】実施例2で得たフィルム状硬化物の強度、
破断伸度、弾性率、破断エネルギーの測定結果を表1に
示した。その結果、実施例2で得た樹脂複合体からなる
フィルム状硬化物は、「70PA」の単独硬化物(参考
例1)と比較して、全ての項目が大きく向上しているこ
とが分かる。
【0125】[実施例3]実施例1において、「70P
A」、「イルガキュア184」及びPVBの使用量をそ
れぞれ3g、0.06g及び7gに変更し、かつ、紫外
線照射温度を160℃とした以外は、実施例1と同様に
してフィルムを作製した。紫外線照射温度における未硬
化の賦形物は、透明であったが、硬化後のフィルムは、
無色透明であり、光透過率は90%であった。
【0126】このフィルムについて、TEM観察を行っ
たところ、径の大きさが30〜50nmの網目状の相分
離構造を観察することができた。また、実施例1と同様
に実施した溶剤抽出試験の結果も実施例1と同様であっ
た。
【0127】実施例3で得たフィルム状硬化物の強度、
破断伸度、弾性率、破断エネルギーの測定結果を表1に
示した。その結果、実施例3で得た樹脂複合体からなる
フィルム状硬化物は、70PA単独硬化物(参考例1)
と比較して、強度、弾性率、破断伸度、破断エネルギー
が大きく向上していることが分かる。
【0128】
【表1】
【0129】[実施例4]活性エネルギー線架橋重合性
化合物として、70PA 8g、光重合開始剤として、
「イルガキュア184」0.16g及び熱可塑性樹脂と
して、スチレン−無水マレイン酸共重合体(サイエンテ
ィフィック・ポリマー株式会社製;以下、「SMAA」
と省略する。)2gをテトラヒドロフラン(THF)5
0gに溶解させて均質混合溶液(4)を得た。
【0130】実施例1において、均質混合溶液(1)に
代えて、均質混合溶液(4)を使用し、かつ、紫外線照
射温度を80℃とした以外は、実施例1と同様にしてフ
ィルムを作製した。未硬化の賦形物は、室温〜80℃で
無色透明であったが、硬化後のフィルムは、薄く白濁し
ていた。
【0131】このフィルムについて、TEM観察を行っ
たところ、径の大きさが0.2〜0.5μm の網目状の
相分離構造を観察することができた。また、実施例1に
おいて、塩化メチレンに代えて、THFを用いた以外
は、実施例1と同様に実施した溶剤抽出試験の結果も実
施例1と同様であった。
【0132】実施例4で得たフィルム状硬化物の強度、
破断伸度、弾性率、破断エネルギーの測定結果を表2に
示した。その結果、「70PA」の単独硬化物(参考例
1)と比較して、強度、弾性率、破断伸度、破断エネル
ギーが向上していることが分かる。
【0133】[比較例2]実施例4で調製した、未硬化
の賦形物を2枚のガラス板に挟まれた状態のものを室温
で紫外線を照射して架橋重合性化合物を重合させて、賦
形物を硬化させた。
【0134】得られたフィルムは無色透明であった。こ
のフィルムについて、TEM観察を行ったが、均質で相
分離構造は観察されなかった。
【0135】比較例2で得たフィルム状硬化物の強度、
破断伸度、弾性率、破断エネルギーの測定結果を表2に
まとめて示した。その結果、比較例2のフィルム状硬化
物は、70PA単独硬化物(参考例1)と比較して、破
断伸度と破断エネルギーが大きく向上しているが、実施
例4で得たフィルム状硬化物と比較して劣る。
【0136】[実施例5]活性エネルギー線架橋重合性
化合物として、「70PA」8g、光重合開始剤とし
て、「イルガキュア184」0.16g及び熱可塑性樹
脂として、「N200」(ハーキュレス社製のエチルセ
ルロース)2gを塩化メチレン/アセトン(3/7)混
合溶媒80gに溶解させて均質混合溶液(5)を得た。
【0137】実施例1において、均質混合溶液(1)に
代えて、均質混合溶液(5)を使用し、かつ、紫外線照
射温度を100℃とした以外は、実施例1と同様にして
フィルムを作製した。未硬化の賦形物は、室温以上で無
色透明であったが、硬化後のフィルムは、薄く白濁して
いた。
【0138】このフィルムについて、TEM観察を行っ
たところ、径の大きさが0.2〜0.6μm の網目状の
相分離構造を観察することができた。また、塩化メチレ
ンに代えて、塩化メチレン/アセトン(3/7)混合溶
媒を用いた以外は実施例と同様に実施した溶剤抽出試験
の結果も実施例1と同様であった。
【0139】実施例5で得たフィルム状硬化物の強度、
破断伸度、弾性率、破断エネルギーの測定結果を表2に
示した。その結果、実施例5で得た樹脂複合体からなる
フィルム状硬化物は、「70PA」の単独硬化物(参考
例1)と比較して、引張破壊試験の全ての項目が大きく
向上していることが分かる。
【0140】[実施例6]実施例4において、「SMA
A」に代えて、「PKHH」(ユニオン・カーバイド株
式会社製のフェノキシ樹脂)を用いた以外は、実施例4
と同様にして、均質混合溶液(6)を得た。
【0141】実施例1において、均質混合溶液(1)に
代えて、均質混合溶液(6)を使用し、紫外線照射温度
を100℃とした以外は、実施例1と同様にしてフィル
ムを作製した。未硬化の賦形物は、室温以上で無色透明
であった。また、硬化後のフィルムは、薄く白濁してい
た。
【0142】このフィルムについて、TEM観察を行っ
たところ、径の大きさが0.3〜0.6μm の網目状の
相分離構造を観察することができた。また、塩化メチレ
ンに代えてTHFを用いた以外は実施例1と同様に実施
した溶剤抽出試験の結果も実施例1と同様であった。
【0143】実施例6で得たフィルム状硬化物の強度、
破断伸度、弾性率、破断エネルギーの測定結果を表2に
示した。その結果、実施例6で得た樹脂複合体からなる
フィルム状硬化物は、70PA単独硬化物(参考例1)
と比較して、引張破壊試験の全ての項目が大きく向上し
ていることが分かる。
【0144】
【表2】
【0145】[実施例7]活性エネルギー線架橋重合性
化合物として、「エポキシアクリレート 80MFA」
(共栄社化学株式会社製のグリセリンジグリシジルエ
ーテルのジアクリレート;以下、「80MFA」と省略
する。)8g、光重合開始剤として、「イルガキュア1
84」0.16g及び熱可塑性樹脂として、ポリビニル
フォルマール(サイエンテフィック・ポリマー株式会社
製;以下、「PVF」と省略する。)2gを塩化メチレ
ン50gに溶解させて均質混合溶液(7)を得た。
【0146】実施例1において、均質混合溶液(1)に
代えて、均質混合溶液(7)を使用し、かつ、紫外線照
射温度を80℃とした以外は、実施例1と同様にしてフ
ィルムを作製した。未硬化の賦形物は、室温〜80℃で
無色透明であったが、硬化後のフィルムは、薄く白濁し
ていた。
【0147】このフィルムについて、TEM観察を行っ
たところ、径の大きさが0.2〜0.5μm の網目状の
相分離構造を観察することができた。また、実施例1と
同様に実施した溶剤抽出試験の結果も実施例1と同様で
あった。
【0148】実施例7で得たフィルム状硬化物の強度、
破断伸度、弾性率、破断エネルギーの測定結果を表3に
示した。その結果、後述する「80MFA」の単独硬化
物(参考例2)や比較例3と比較して、引張破壊試験の
全ての項目が著しく向上していることが分かる。
【0149】[比較例3]実施例7で調製した、未硬化
の賦形物を2枚のガラス板に挟まれた状態のものを室温
で紫外線を照射して架橋重合性化合物を重合させて、賦
形物を硬化させた。
【0150】得られたフィルムは無色透明であった。こ
のフィルムについて、TEM観察を行ったが、均質で相
分離構造は観察されなかった。
【0151】比較例3で得たフィルム状硬化物の強度、
破断伸度、弾性率、破断エネルギーの測定結果を表3に
まとめて示した。その結果、比較例3のフィルム状硬化
物は、後述する「80MFA」の単独硬化物(参考例
2)と比較して、若干特性が向上しているが、実施例7
で得たフィルム状硬化物ほど大きな向上は見られなかっ
た。
【0152】[参考例2]実施例7において、熱可塑性
樹脂を使用しなかったこと、溶剤を使用しなかったこ
と、ガラス板のカバーを装着しなかったこと、及び、照
射温度を25℃としたこと、以外は、実施例7と同様に
して、フィルム状の80MFA単独硬化物(膜厚=約1
50μm )を得た。参考例2で得たフィルム状硬化物の
強度、破断伸度、弾性率、破断エネルギーの測定結果を
表3に示した。
【0153】[実施例8]実施例7において、PVFに
代えて、「パンデックス−T5205」(大日本インキ
化学工業株式会社製の熱可塑性ポリウレタン;以下、
「T5205」と省略する。)を用いた以外は、実施例
7と同様にして、均質混合溶液(8)を得た。
【0154】実施例1において、均質混合溶液(1)に
代えて、均質混合溶液(8)を使用し、かつ、紫外線照
射温度を80℃とした以外は、実施例1と同様にしてフ
ィルムを作製した。未硬化の賦形物は、室温以上で無色
透明であったが、硬化後のフィルムは、白濁していた。
【0155】このフィルムについて、TEM観察を行っ
たところ、径の大きさが0.3〜0.6μm の網目状の
相分離構造を観察することができた。また、溶剤抽出試
験の結果も実施例1と同様であった。
【0156】実施例8で得たフィルム状硬化物の強度、
破断伸度、弾性率、破断エネルギーの測定結果を表3に
示した。その結果、実施例8で得た樹脂複合体からなる
フィルム状硬化物は、「80MFA」の単独硬化物(参
考例2)と比較して、強度と弾性率が若干低下している
が、破断伸度、破断エネルギーが著しく向上して、靭性
が大きく向上した。
【0157】[実施例9]実施例7において、PVFに
代えて、ポリ酢酸ビニル(サイエンティフィック・ポリ
マー株式会社製)を用いた以外は、実施例7と同様にし
て、均質混合溶液(9)を得た。
【0158】実施例1において、均質混合溶液(1)に
代えて、均質混合溶液(9)を使用し、かつ、紫外線照
射温度を80℃とした以外は、実施例1と同様にしてフ
ィルムを作製した。未硬化の賦形物は、室温以上で無色
透明であったが、硬化後のフィルムは、薄く白濁してい
た。
【0159】このフィルムについて、TEM観察を行っ
たところ、径の大きさが0.2〜0.6μm の網目状の
相分離構造を観察することができた。また、溶剤抽出試
験の結果も実施例1と同様であった。
【0160】実施例9で得たフィルム状硬化物の強度、
破断伸度、弾性率、破断エネルギーの測定結果を表3に
示した。その結果、実施例9で得た樹脂複合体からなる
フィルム状硬化物は、「80MFA」の単独硬化物(参
考例2)と比較して、強度と弾性率が若干低下している
が、破断伸度、破断エネルギーが著しく向上して、靭性
が大きく向上した。
【0161】
【表3】
【0162】[実施例10]活性エネルギー線架橋重合
性化合物として、「NK−エステル 701」 (新中
村化学株式会社製の2−ヒドロキシ1,3ジメタクリロ
キシプロパン;以下、「701」と省略する。)7g、
光重合開始剤として、「イルガキュア184」0.14
g及び熱可塑性樹脂として、「T5205」3gを塩化
メチレン50gに溶解させて均質混合溶液(10)を得
た。
【0163】実施例1において、均質混合溶液(1)に
代えて、均質混合溶液(10)を使用し、かつ、紫外線
照射温度を80℃とした以外は、実施例1と同様にして
フィルムを作製した。未硬化の賦形物は、室温〜80℃
で無色透明であり、硬化後のフィルムも透明であった。
光透過率は89%であった。
【0164】このフィルムについて、TEM観察を行っ
たところ、径の大きさが0.08〜0.2μm の網目状
の相分離構造を観察することができた。また、実施例1
と同様に実施した溶剤抽出試験の結果も実施例1と同様
であった。
【0165】実施例10で得たフィルム状硬化物の強
度、破断伸度、弾性率、破断エネルギーの測定結果を表
4に示した。その結果、後述する「701」の単独硬化
物(参考例3)及び比較例4と比較して、特性が著しく
向上していることが分かる。
【0166】[比較例4]実施例10で調製した、未硬
化の賦形物を2枚のガラス板に挟まれた状態のものを室
温で紫外線を照射して架橋重合性化合物を重合させて、
賦形物を硬化させた。
【0167】得られたフィルムは無色透明であった。こ
のフィルムについて、TEM観察を行ったが、均質で相
分離構造は観察されなかった。
【0168】比較例4で得たフィルム状硬化物の強度、
破断伸度、弾性率、破断エネルギーの測定結果を表4に
まとめて示した。その結果、比較例4のフィルム状硬化
物は、後述する「701」の単独硬化物(参考例3)と
比較して、特性は優れるが、実施例10で得たフィルム
状硬化物に比べるといずれの評価項目も劣っている。
【0169】[参考例3]実施例10において、熱可塑
性樹脂を使用しなかったこと、溶剤を使用しなかったこ
と、ガラス板のカバーを装着しなかったこと、及び、照
射温度を25℃としたこと、以外は、実施例10と同様
にして、フィルム状の701単独硬化物(膜厚=約10
0μm )を得た。参考例3で得たフィルム状硬化物は非
常に脆く、引張破壊試験を行うことができなかった。
【0170】[実施例11]実施例10において、「T
5205」に代えて、「バイロン500」(東洋紡績株
式会社製の芳香族ポリエステル樹脂)を用いて、実施例
10と同様に均質混合溶液(11)を得た。
【0171】実施例1において、均質混合溶液(1)に
代えて、均質混合溶液(11)を使用し、かつ、紫外線
照射温度を80℃とした以外は、実施例1と同様にして
フィルムを作製した。未硬化の賦形物は、室温以上で無
色透明であった。硬化後のフィルムは、かすかに白濁し
ていた。
【0172】このフィルムについて、TEM観察を行っ
たところ、径の大きさが0.08〜0.2μm の網目状
の相分離構造を観察することができた。また、実施例1
と同様に行った溶剤抽出試験の結果も実施例1と同様で
あった。
【0173】実施例11で得たフィルム状硬化物の強
度、破断伸度、弾性率、破断エネルギーの測定結果を表
4に示した。その結果、実施例11で得た樹脂複合体か
らなるフィルム状硬化物は、「701」の単独硬化物
(参考例3)と比較して、優れた特性を示すことが分か
る。
【0174】[実施例12]活性エネルギー線架橋重合
性化合物として、「701」8g、光重合開始剤とし
て、「イルガキュア184」0.16g及び熱可塑性樹
脂として、エチレン−酢酸ビニル共重合体(サイエンチ
フィック・ポリマー株式会社製;以下、「EVA」と省
略する。)2gを塩化メチレン60gに溶解させて均質
混合溶液(12)を得た。
【0175】実施例1において、均質混合溶液(1)に
代えて、均質混合溶液(12)を使用し、かつ、紫外線
照射温度を30℃とした以外は、実施例1と同様にして
フィルムを作製した。未硬化の賦形物は、室温以上で無
色透明であった。硬化後のフィルムは、白濁していた。
【0176】このフィルムについて、TEM観察を行っ
たところ、径の大きさが0.3〜0.7μm の網目状の
相分離構造を観察することができた。また、実施例1と
同様に実施した溶剤抽出試験の結果も実施例1と同様で
あった。
【0177】実施例12で得たフィルム状硬化物の強
度、破断伸度、弾性率、破断エネルギーの測定結果を表
4に示した。その結果、実施例12で得た樹脂複合体か
らなるフィルム状硬化物は、「701」の単独硬化物
(参考例3)と比較して、優れた特性を示すことが分か
る。
【0178】[実施例13]活性エネルギー線架橋重合
性化合物として、「701」8.5g、光重合開始剤と
して、「イルガキュア184」0.17g及び熱可塑性
樹脂として、「ニッポール NBR−1042」(日本
ゼオン株式会社製のアクリロニトリル−ブタジエンゴ
ム;以下、「NBR」と省略する。)1.5gを塩化メ
チレン80gに溶解させて均質混合溶液(13)を得
た。
【0179】実施例1において、均質混合溶液(1)に
代えて、均質混合溶液(13)を使用し、かつ、紫外線
照射温度を80℃とした以外は、実施例1と同様にして
フィルムを作製した。未硬化の賦形物は、室温以上で無
色透明であった。硬化後のフィルムは、白濁していた。
【0180】このフィルムについて、TEM観察を行っ
たところ、径の大きさが0.3〜0.7μm の網目状の
相分離構造を観察することができた。また、実施例1と
同様に実施した溶剤抽出試験の結果も実施例1と同様で
あった。
【0181】実施例13で得たフィルム状硬化物の強
度、破断伸度、弾性率、破断エネルギーの測定結果を表
4に示した。その結果、実施例13で得た樹脂複合体か
らなるフィルム状硬化物は、「701」の単独硬化物
(参考例3)と比較して、優れた特性を示すことが分か
る。
【0182】[実施例14]実施例12において、「E
VA」に代えて、「PKHH」を用いて、実施例12と
同様に均質混合溶液(14)を得た。
【0183】実施例1において、均質混合溶液(1)に
代えて、均質混合溶液(14)を使用し、かつ、紫外線
照射温度を80℃とした以外は、実施例1と同様にして
フィルムを作製した。未硬化の賦形物は、室温以上で無
色透明であった。硬化後のフィルムは、薄く白濁してい
た。
【0184】このフィルムについて、TEM観察を行っ
たところ、径の大きさが0.2〜0.5μm の網目状の
相分離構造を観察することができた。また、実施例1と
同様に行った溶剤抽出試験の結果も実施例1と同様であ
った。
【0185】実施例14で得たフィルム状硬化物の強
度、破断伸度、弾性率、破断エネルギーの測定結果を表
4に示した。その結果、実施例14で得た樹脂複合体か
らなるフィルム状硬化物は、「701」の単独硬化物
(参考例3)と比較して、引張破壊試験を行うことがで
き、優れた特性を示すことが分かる。
【0186】
【表4】
【0187】[実施例15]活性エネルギー線架橋重合
性化合物として、「エポキシアクリレート 200E
A」(共栄社化学株式会社製のポリエチレングリコール
ジグリシジルエーテルのジアクリレート;以下、「20
0EA」と省略する。)8g、光重合開始剤として、
「イルガキュア184」0.16g及び熱可塑性樹脂と
して、「SMAA」2gをTHF50gに溶解させて均
質混合溶液(15)を得た。
【0188】実施例1において、均質混合溶液(1)に
代えて、均質混合溶液(15)を使用し、かつ、紫外線
照射温度を80℃とした以外は、実施例1と同様にして
フィルムを作製した。未硬化の賦形物は、室温以上で無
色透明であったが、硬化後のフィルムは、薄く白濁して
いた。
【0189】このフィルムについて、TEM観察を行っ
たところ、径の大きさが0.2〜0.5μm の網目状の
相分離構造を観察することができた。また、実施例1に
おいて、塩化メチレンに代えて、THFを用いた以外
は、実施例1と同様に実施した溶剤抽出試験の結果も実
施例1と同様であった。
【0190】実施例15で得たフィルム状硬化物の強
度、破断伸度、弾性率、破断エネルギーの測定結果を表
5に示した。その結果、後述する「200EA」の単独
硬化物(参考例4)及び比較例5と比較して、いずれの
評価項目もが向上していることが分かる。
【0191】[比較例5]実施例15で調製した、未硬
化の賦形物を2枚のガラス板に挟まれた状態のものを室
温で紫外線を照射して架橋重合性化合物を重合させて、
賦形物を硬化させた。
【0192】得られたフィルムは無色透明であった。こ
のフィルムについて、TEM観察を行ったが、均質で相
分離構造は観察されなかった。
【0193】比較例5で得たフィルム状硬化物の強度、
破断伸度、弾性率、破断エネルギーの測定結果を表5に
まとめて示した。その結果、比較例5のフィルム状硬化
物は、「200EA」の単独硬化物(参考例4)と比較
して、特性が大きく向上しているが、実施例15で得た
フィルム状硬化物に比べ劣る。
【0194】[参考例4]実施例15において、熱可塑
性樹脂を使用しなかったこと、溶剤を使用しなかったこ
と、ガラス板のカバーを装着しなかったこと、及び、照
射温度を25℃としたこと、以外は、実施例15と同様
にして、フィルム状の「200EA」の単独硬化物(膜
厚=約150μm )を得た。参考例4で得たフィルム状
硬化物の強度、破断伸度、弾性率、破断エネルギーの測
定結果を表5に示した。
【0195】[実施例16]活性エネルギー線架橋重合
性化合物として、「200EA」8g、光重合開始剤と
して、「イルガキュア184」0.16g及び熱可塑性
樹脂として、「PVF」2gを塩化メチレン50gに溶
解させて均質混合溶液(16)を得た。
【0196】実施例1において、均質混合溶液(1)に
代えて、均質混合溶液(16)を使用し、かつ、紫外線
照射温度を80℃とした以外は、実施例1と同様にして
フィルムを作製した。未硬化の賦形物は、室温では白濁
化していたが、50以上で無色透明であった。硬化後の
フィルムは、薄く白濁していた。
【0197】このフィルムについて、TEM観察を行っ
たところ、径の大きさが0.2〜0.5μm の網目状の
相分離構造を観察することができた。また、実施例1と
同様に行った溶剤抽出試験の結果も実施例1と同様であ
った。
【0198】実施例16で得たフィルム状硬化物の強
度、破断伸度、弾性率、破断エネルギーの測定結果を表
5に示した。その結果、実施例16で得た樹脂複合体か
らなるフィルム状硬化物は、200EA単独硬化物(参
考例4)と比較して、引張破壊試験の全ての項目が大き
く向上していることが分かる。
【0199】[実施例17]実施例15において、「S
MAA」に代えて、「PKHH」を用いた以外は、実施
例15と同様にして、均質混合溶液(17)を得た。
【0200】実施例1において、均質混合溶液(1)に
代えて、均質混合溶液(17)を使用し、紫外線照射温
度を80℃とした以外は、実施例1と同様にしてフィル
ムを作製した。未硬化の賦形物は、室温以上で無色透明
であった。また、硬化後のフィルムは、薄く白濁してい
た。
【0201】このフィルムについて、TEM観察を行っ
たところ、径の大きさが0.3〜0.6μm の網目状の
相分離構造を観察することができた。また、塩化メチレ
ンに代えて、THFを用いた以外は、実施例1と同様に
実施した溶剤抽出試験の結果も実施例1と同様であっ
た。
【0202】実施例17で得たフィルム状硬化物の強
度、破断伸度、弾性率、破断エネルギーの測定結果を表
5に示した。その結果、実施例17で得た樹脂複合体か
らなるフィルム状硬化物は、「200EA」の単独硬化
物(参考例4)と比較して、引張破壊試験の全ての項目
が大きく向上していることが分かる。
【0203】[実施例18]活性エネルギー線架橋重合
性化合物として、「200EA」5g、光重合開始剤と
して、「イルガキュア184」0.1g及び熱可塑性樹
脂として、「PKHH」5gを塩化メチレン50gに溶
解させて均質混合溶液(18)を得た。
【0204】実施例1において、均質混合溶液(1)に
代えて、均質混合溶液(18)を使用し、紫外線照射温
度を80℃とした以外は、実施例1と同様にしてフィル
ムを作製した。未硬化の賦形物は、室温以上で無色透明
であった。また、硬化後のフィルムは、微かに白濁して
いた。尚、フィルムの光透過率は82%であった。
【0205】このフィルムは、約13℃と約65℃に2
つのTgを観察することができた。このフィルムについ
て、TEM観察を行ったところ、径の大きさが0.05
〜0.15μm の網目状の相分離構造を観察することが
できた。また、塩化メチレンに代えて、THFを用いて
実施例1と同様に実施した溶剤抽出試験の結果も実施例
1と同様であった。
【0206】実施例18で得たフィルム状硬化物の強
度、破断伸度、弾性率、破断エネルギーの測定結果を表
5に示した。その結果、実施例18で得た樹脂複合体か
らなるフィルム状硬化物は、200EA単独硬化物(参
考例4)と比較して、引張破壊試験の全ての項目が大き
く向上していることが分かる。
【0207】
【表5】
【0208】[実施例19]活性エネルギー線架橋重合
性化合物として、「デナコールアクリレート DA?7
21」(ナガセ化成工業株式会社製のジグリシジルエス
テルフタレートのジアクリレート;以下、「DA72
1」と省略する。)8g、光重合開始剤として、「イル
ガキュア184」0.16g及び熱可塑性樹脂として、
「PVF」2gを塩化メチレン50gに溶解させて均質
混合溶液(19)を得た。
【0209】実施例1において、均質混合溶液(1)に
代えて、均質混合溶液(19)を使用し、かつ、紫外線
照射温度を100℃とした以外は、実施例1と同様にし
てフィルムを作製した。未硬化の賦形物は、室温以上で
無色透明であったが、硬化後のフィルムは、薄く白濁し
ていた。
【0210】このフィルムについて、TEM観察を行っ
たところ、径の大きさが0.3〜0.5μm の網目状の
相分離構造を観察することができた。また、実施例1と
同様に実施した溶剤抽出試験の結果も実施例1と同様で
あった。
【0211】実施例19で得たフィルム状硬化物の強
度、破断伸度、弾性率、破断エネルギーの測定結果を表
6に示した。その結果、後述する「DA721」の単独
硬化物(参考例5)と比較して、いずれの評価項目もが
向上していることが分かる。
【0212】[比較例6]実施例19で調製した、未硬
化の賦形物を2枚のガラス板に挟まれた状態のものを室
温で紫外線を照射して架橋重合性化合物を重合させて、
賦形物を硬化させた。
【0213】得られたフィルムは無色透明であった。こ
のフィルムについて、TEM観察を行ったが、均質で相
分離構造は観察されなかった。
【0214】比較例6で得たフィルム状硬化物の強度、
破断伸度、弾性率、破断エネルギーの測定結果を表6に
まとめて示した。その結果、比較例6のフィルム状硬化
物は、「DA721」の単独硬化物(参考例5)と比較
して、特性が大きく向上しているが、実施例19で得た
フィルム状硬化物に比べ劣る。
【0215】[参考例5]実施例19において、熱可塑
性樹脂を使用しなかったこと、溶剤を使用しなかったこ
と、ガラス板のカバーを装着しなかったこと、及び、照
射温度を25℃としたこと、以外は、実施例19と同様
にして、フィルム状のDA721単独硬化物(膜厚=約
150μm )を得た。参考例5で得たフィルム状硬化物
の強度、破断伸度、弾性率、破断エネルギーの測定結果
を表6に示した。
【0216】[実施例20]実施例19において、PV
Fの代わりに、「バイロン500」を用いて、実施例1
9と同様に均質混合溶液(20)を得た。
【0217】実施例1において、均質混合溶液(1)に
代えて、均質混合溶液(20)を使用し、かつ、紫外線
照射温度を80℃とした以外は、実施例1と同様にして
フィルムを作製した。未硬化の賦形物は、室温以上で無
色透明であった。硬化後のフィルムは、薄く白濁してい
た。
【0218】このフィルムについて、TEM観察を行っ
たところ、径の大きさが0.2〜0.5μm の網目状の
相分離構造を観察することができた。また、実施例1と
同様に行った溶剤抽出試験の結果も実施例1と同様であ
った。
【0219】実施例20で得たフィルム状硬化物の強
度、破断伸度、弾性率、破断エネルギーの測定結果を表
6に示した。その結果、実施例20で得た樹脂複合体か
らなるフィルム状硬化物は、「DA721」の単独硬化
物(参考例5)と比較して、破断伸度はほぼ同じである
が、強度と破断エネルギーが大きく向上していることが
分かる。
【0220】[実施例21]実施例19において、PV
Fの代わりに、ポリ酢酸ビニル(サイエンティフィック
・ポリマー株式会社製)を用いて、実施例19と同様に
均質混合溶液(21)を得た。
【0221】実施例1において、均質混合溶液(1)に
代えて、均質混合溶液(21)を使用し、かつ、紫外線
照射温度を80℃とした以外は、実施例1と同様にして
フィルムを作製した。未硬化の賦形物は、室温以上で無
色透明であった。硬化後のフィルムは、薄く白濁してい
た。
【0222】このフィルムについて、TEM観察を行っ
たところ、径の大きさが0.2〜0.5μm の網目状の
相分離構造を観察することができた。また、実施例1と
同様に行った溶剤抽出試験の結果も実施例1と同様であ
った。
【0223】実施例21で得たフィルム状硬化物の強
度、破断伸度、弾性率、破断エネルギーの測定結果を表
6に示した。その結果、実施例21で得た樹脂複合体か
らなるフィルム状硬化物は、「DA721」の単独硬化
物(参考例5)と比較して、弾性率はほぼ同じである
が、強度、破断伸度、破断エネルギーが大きく向上して
いることが分かる。
【0224】[実施例22]実施例19において、PV
Fの代わりに、「T5205」を用いて、実施例19と
同様に均質混合溶液(22)を得た。
【0225】実施例1において、均質混合溶液(1)に
代えて、均質混合溶液(22)を使用し、かつ、紫外線
照射温度を80℃とした以外は、実施例1と同様にして
フィルムを作製した。未硬化の賦形物は、室温以上で無
色透明であった。硬化後のフィルムは、白濁していた。
【0226】このフィルムについて、TEM観察を行っ
たところ、径の大きさが0.3〜0.6μm の網目状の
相分離構造を観察することができた。また、実施例1と
同様に行った溶剤抽出試験の結果も実施例1と同様であ
った。
【0227】実施例22で得たフィルム状硬化物の強
度、破断伸度、弾性率、破断エネルギーの測定結果を表
6に示した。その結果、実施例22で得た樹脂複合体か
らなるフィルム状硬化物は、「DA721」の単独硬化
物(参考例5)と比較して、弾性率と強度が若干低下し
ているが、破断伸度と破断エネルギーが著しく向上し、
靭性が大きく向上していることが分かる。
【0228】
【表6】
【0229】[実施例23]活性エネルギー線架橋重合
性化合物として、「デナコールアクリレート DA−7
22」(ナガセ化成工業株式会社製のヘキサヒドロフタ
ル酸ジグリシジルエステルのジアクリレート;以下、
「DA722」と省略する。)8g、光重合開始剤とし
て、「イルガキュア184」0.16g及び熱可塑性樹
脂として、「PVF」2gを塩化メチレン50gに溶解
させて均質混合溶液(23)を得た。
【0230】実施例1において、均質混合溶液(1)に
代えて、均質混合溶液(23)を使用し、かつ、紫外線
照射温度を100℃とした以外は、実施例1と同様にし
てフィルムを作製した。未硬化の賦形物は、室温以上で
無色透明であったが、硬化後のフィルムは、薄く白濁し
ていた。
【0231】このフィルムについて、TEM観察を行っ
たところ、径の大きさが0.2〜0.4μm の網目状の
相分離構造を観察することができた。また、実施例1に
おいて、実施例1と同様に実施した溶剤抽出試験の結果
も実施例1と同様であった。
【0232】実施例23で得たフィルム状硬化物の強
度、破断伸度、弾性率、破断エネルギーの測定結果を表
7に示した。その結果、後述する「DA722」の単独
硬化物(参考例6)と比較して、弾性率はほぼ同じであ
るが、強度、破断伸度、破断エネルギーが向上している
ことが分かる。
【0233】[参考例6]実施例23において、熱可塑
性樹脂を使用しなかったこと、溶剤を使用しなかったこ
と、ガラス板のカバーを装着しなかったこと、及び、照
射温度を25℃としたこと、以外は、実施例23と同様
にして、フィルム状のDA722単独硬化物(膜厚=約
150μm )を得た。参考例6で得たフィルム状硬化物
の強度、破断伸度、弾性率、破断エネルギーの測定結果
を表7に示した。
【0234】
【表7】
【0235】[実施例24]活性エネルギー線架橋重合
性化合物として、「エポキシエステル 3000A」
(共栄社化学株式会社製のビスフェノールAジグリシジ
ルエーテルジアクリレート;以下、「3000A」と省
略する。)8g、光重合開始剤として、「イルガキュア
184」0.16g及び熱可塑性樹脂として、「PV
F」2gを塩化メチレン50gに溶解させて均質混合溶
液(24)を得た。
【0236】実施例1において、均質混合溶液(1)に
代えて、均質混合溶液(24)を使用し、かつ、紫外線
照射温度を100℃とした以外は、実施例1と同様にし
てフィルムを作製した。未硬化の賦形物は、室温以上で
無色透明であったが、硬化後のフィルムは、薄く白濁し
ていた。
【0237】このフィルムについて、TEM観察を行っ
たところ、径の大きさが0.3〜0.5μm の網目状の
相分離構造を観察することができた。また、実施例1に
おいて、実施例1と同様に実施した溶剤抽出試験の結果
も実施例1と同様であった。
【0238】実施例24で得たフィルム状硬化物の強
度、破断伸度、弾性率、破断エネルギーの測定結果を表
8に示した。その結果、後述する「3000A」の単独
硬化物(参考例7)と比較して、弾性率が若干低下して
いるが、強度、破断伸度、破断エネルギーが向上し、靭
性が大きく向上していることが分かる。
【0239】[比較例7]実施例24で調製した、未硬
化の賦形物を2枚のガラス板に挟まれた状態のものを室
温で紫外線を照射して架橋重合性化合物を重合させて、
賦形物を硬化させた。
【0240】得られたフィルムは無色透明であった。こ
のフィルムについて、TEM観察を行ったが、均質で相
分離構造は観察されなかった。
【0241】比較例7で得たフィルム状硬化物の強度、
破断伸度、弾性率、破断エネルギーの測定結果を表8に
まとめて示した。その結果、比較例7のフィルム状硬化
物は、「3000A」の単独硬化物(参考例7)と比較
して、破断伸度と破断エネルギーが大きく向上している
が、実施例24に比べ劣る。
【0242】[参考例7]実施例24において、熱可塑
性樹脂を使用しなかったこと、溶剤を使用しなかったこ
と、ガラス板のカバーを装着しなかったこと、及び、照
射温度を25℃としたこと、以外は、実施例24と同様
にして、フィルム状の3000A単独硬化物(膜厚=約
150μm )を得た。参考例7で得たフィルム状硬化物
の強度、破断伸度、弾性率、破断エネルギーの測定結果
を表8に示した。
【0243】[実施例25]実施例24において、PV
Fの代わりに、「バイロン500」を用いて、実施例2
4と同様に均質混合溶液(25)を得た。
【0244】実施例1において、均質混合溶液(1)に
代えて、均質混合溶液(25)を使用し、かつ、紫外線
照射温度を80℃とした以外は、実施例1と同様にして
フィルムを作製した。未硬化の賦形物は、室温以上で無
色透明であった。硬化後のフィルムは、白濁していた。
【0245】このフィルムについて、TEM観察を行っ
たところ、径の大きさが0.3〜0.6μm の網目状の
相分離構造を観察することができた。また、実施例1と
同様に行った溶剤抽出試験の結果も実施例1と同様であ
った。
【0246】実施例25で得たフィルム状硬化物の強
度、破断伸度、弾性率、破断エネルギーの測定結果を表
8に示した。その結果、実施例25で得た樹脂複合体か
らなるフィルム状硬化物は、「3000A」の単独硬化
物(参考例7)と比較して、強度と弾性率が若干低下し
ているが、破断伸度と破断エネルギーが著しく向上し、
靭性が大きく向上していることが分かる。
【0247】[実施例26]実施例24において、PV
Fの代わりに、ポリ酢酸ビニル(サイエンティフィック
・ポリマー株式会社製)を用いて、実施例24と同様に
均質混合溶液(26)を得た。
【0248】実施例1において、均質混合溶液(1)に
代えて、均質混合溶液(26)を使用し、かつ、紫外線
照射温度を80℃とした以外は、実施例1と同様にして
フィルムを作製した。未硬化の賦形物は、室温以上で無
色透明であった。硬化後のフィルムは、薄く白濁してい
た。
【0249】このフィルムについて、TEM観察を行っ
たところ、径の大きさが0.2〜0.5μm の網目状の
相分離構造を観察することができた。また、実施例1と
同様に行った溶剤抽出試験の結果も実施例1と同様であ
った。
【0250】実施例26で得たフィルム状硬化物の強
度、破断伸度、弾性率、破断エネルギーの測定結果を表
8に示した。その結果、実施例26で得た樹脂複合体か
らなるフィルム状硬化物は、「3000A」の単独硬化
物(参考例7)と比較して、弾性率が若干低下している
が、強度、破断伸度、破断エネルギーが向上し、靭性が
大きく向上していることが分かる。
【0251】[実施例27]実施例24において、PV
Fの代わりに、「T5205」を用いて、実施例24と
同様に均質混合溶液(27)を得た。
【0252】実施例1において、均質混合溶液(1)に
代えて、均質混合溶液(27)を使用し、かつ、紫外線
照射温度を90℃とした以外は、実施例1と同様にして
フィルムを作製した。未硬化の賦形物は、室温以上で無
色透明であった。硬化後のフィルムは、白濁していた。
【0253】このフィルムについて、TEM観察を行っ
たところ、径の大きさが0.3〜0.6μm の網目状の
相分離構造を観察することができた。また、実施例1と
同様に行った溶剤抽出試験の結果も実施例1と同様であ
った。
【0254】実施例27で得たフィルム状硬化物の強
度、破断伸度、弾性率、破断エネルギーの測定結果を表
8に示した。その結果、実施例27で得た樹脂複合体か
らなるフィルム状硬化物は、「3000A」の単独硬化
物(参考例7)と比較して、強度と弾性率が低下してい
るが、破断伸度と破断エネルギーが著しく向上し、靭性
が大きく向上していることが分かる。
【0255】
【表8】
【0256】[実施例28]活性エネルギー線架橋重合
性化合物として、「カヤラッド R167」(日本化薬
株式会社製の1.6ヘキサンジオールジグリシジルエー
テルジアクリレート;以下、「R167」と省略す
る。)8g、光重合開始剤として、「イルガキュア18
4」0.16g及び熱可塑性樹脂として、「SMAA」
2gをTHF 50gに溶解させて均質混合溶液(2
8)を得た。
【0257】実施例1において、均質混合溶液(1)に
代えて、均質混合溶液(28)を使用し、かつ、紫外線
照射温度を60℃とした以外は、実施例1と同様にして
フィルムを作製した。未硬化の賦形物は、室温以上で無
色透明であったが、硬化後のフィルムは、薄く白濁して
いた。
【0258】このフィルムについて、TEM観察を行っ
たところ、径の大きさが0.2〜0.5μm の網目状の
相分離構造を観察することができた。また、実施例1に
おいて、塩化メチレンに代えて、THFを用いた以外
は、実施例1と同様に実施した溶剤抽出試験の結果も実
施例1と同様であった。
【0259】実施例28で得たフィルム状硬化物の強
度、破断伸度、弾性率、破断エネルギーの測定結果を表
9に示した。その結果、後述する「R167」の単独硬
化物(参考例8)と比較して、強度、弾性率、破断伸
度、破断エネルギーが向上していることが分かる。
【0260】[参考例8]実施例28において、熱可塑
性樹脂を使用しなかったこと、溶剤を使用しなかったこ
と、ガラス板のカバーを装着しなかったこと、及び、照
射温度を25℃としたこと、以外は、実施例28と同様
にして、フィルム状の「R167」の単独硬化物(膜厚
=約150μm )を得た。参考例8で得たフィルム状硬
化物の強度、破断伸度、弾性率、破断エネルギーの測定
結果を表9に示した。
【0261】[実施例29]活性エネルギー線架橋重合
性化合物として、「R167」8g、光重合開始剤とし
て、「イルガキュア184」0.16g及び熱可塑性樹
脂として、「N200」(ハーキュレス社製のエチルセ
ルロース)2gを塩化メチレン/アセトン(3/7)混
合溶媒80gに溶解させて均質混合溶液(29)を得
た。
【0262】実施例1において、均質混合溶液(1)に
代えて、均質混合溶液(29)を使用し、かつ、紫外線
照射温度を30℃とした以外は、実施例1と同様にして
フィルムを作製した。未硬化の賦形物は、室温以上で無
色透明であったが、硬化後のフィルムは、白濁してい
た。
【0263】このフィルムについて、TEM観察を行っ
たところ、径の大きさが0.4〜0.8μm の網目状の
相分離構造を観察することができた。また、塩化メチレ
ンに代えて、塩化メチレン/アセトン(3/7)混合溶
媒を用いて行った溶剤抽出試験の結果も実施例1と同様
であった。
【0264】実施例29で得たフィルム状硬化物の強
度、破断伸度、弾性率、破断エネルギーの測定結果を表
2に示した。その結果、実施例29で得た樹脂複合体か
らなるフィルム状硬化物は、「R167」の単独硬化物
(参考例8)と比較して、引張破壊試験の全ての項目が
大きく向上していることが分かる。
【0265】
【表9】
【0266】[実施例30]活性エネルギー線架橋重合
性化合物として、「ULB−20GE」(岡本製油株式
会社製のエイコサジエンジグリシジルエステルのジアク
リレート)8g、光重合開始剤として、「イルガキュア
184」0.16g及び熱可塑性樹脂として、「PV
F」2gを塩化メチレン50gに溶解させて均質混合溶
液(30)を得た。
【0267】実施例1において、均質混合溶液(1)に
代えて、均質混合溶液(30)を使用し、かつ、紫外線
照射温度を90℃とした以外は、実施例1と同様にして
フィルムを作製した。未硬化の賦形物は、室温以上で無
色透明であったが、硬化後のフィルムは、薄く白濁して
いた。
【0268】このフィルムについて、TEM観察を行っ
たところ、径の大きさが0.2〜0.5μm の網目状の
相分離構造を観察することができた。また、実施例1と
同様に実施した溶剤抽出試験の結果も実施例1と同様で
あった。
【0269】実施例30で得たフィルム状硬化物の強
度、破断伸度、弾性率、破断エネルギーの測定結果を表
10に示した。その結果、後述する「ULB−20G
E」の単独硬化物(参考例9)と比較して、強度、弾性
率、破断伸度、破断エネルギーが向上していることが分
かる。
【0270】[参考例9]実施例30において、熱可塑
性樹脂を使用しなかったこと、溶剤を使用しなかったこ
と、ガラス板のカバーを装着しなかったこと、及び、照
射温度を25℃としたこと、以外は、実施例30と同様
にして、フィルム状の「ULB−20GE」の単独硬化
物(膜厚=約150μm )を得た。参考例9で得たフィ
ルム状硬化物の強度、破断伸度、弾性率、破断エネルギ
ーの測定結果を表10に示した。
【0271】[実施例31]活性エネルギー線架橋重合
性化合物として、「ULB−20GE」8g、光重合開
始剤として、「イルガキュア184」0.16g及び熱
可塑性樹脂として、ポリ酢酸ビニル(サイエンティフィ
ック・ポリマー株式会社製)2gを塩化メチレン50g
に溶解させて均質混合溶液(31)を得た。
【0272】実施例1において、均質混合溶液(1)に
代えて、均質混合溶液(31)を使用し、かつ、紫外線
照射温度を30℃とした以外は、実施例1と同様にして
フィルムを作製した。未硬化の賦形物は、室温以上で無
色透明であったが、硬化後のフィルムは、白濁してい
た。
【0273】このフィルムについて、TEM観察を行っ
たところ、径の大きさが0.3〜0.5μm の網目状の
相分離構造を観察することができた。また、実施例1と
同様に行った溶剤抽出試験の結果も実施例1と同様であ
った。
【0274】実施例31で得たフィルム状硬化物の強
度、破断伸度、弾性率、破断エネルギーの測定結果を表
10に示した。その結果、実施例31で得た樹脂複合体
からなるフィルム状硬化物は、「ULB−20GE」の
単独硬化物(参考例9)と比較して、引張破壊試験の全
ての項目が大きく向上していることが分かる。
【0275】
【表10】
【0276】[実施例32]活性エネルギー線架橋重合
性化合物として、「IPS−22GA」(岡本製油株式
会社製の長鎖アルキルジグリシジルエステルのジアクリ
レート)8g、光重合開始剤として、「イルガキュア1
84」0.16g及び熱可塑性樹脂として、ポリ塩化ビ
ニル(和光純薬工業株式会社製)2gをTHF60gに
溶解させて均質混合溶液(32)を得た。
【0277】実施例1において、均質混合溶液(1)に
代えて、均質混合溶液(32)を使用し、かつ、紫外線
照射温度を90℃とした以外は、実施例1と同様にして
フィルムを作製した。未硬化の賦形物は、室温以上で無
色透明であったが、硬化後のフィルムは、薄く白濁して
いた。
【0278】このフィルムについて、TEM観察を行っ
たところ、径の大きさが0.2〜0.5μm の網目状の
相分離構造を観察することができた。また、実施例1に
おいて、塩化メチレンに代えて、THFを用いた以外
は、実施例1と同様に実施した溶剤抽出試験の結果も実
施例1と同様であった。
【0279】実施例32で得たフィルム状硬化物の強
度、破断伸度、弾性率、破断エネルギーの測定結果を表
11に示した。その結果、後述する「IPS−22G
A」の単独硬化物(参考例10)と比較して、強度、弾
性率、破断伸度、破断エネルギーが向上していることが
分かる。
【0280】[参考例10]実施例32において、熱可
塑性樹脂を使用しなかったこと、溶剤を使用しなかった
こと、ガラス板のカバーを装着しなかったこと、及び、
照射温度を25℃としたこと、以外は、実施例32と同
様にして、フィルム状の「IPS−22GA」の単独硬
化物(膜厚=約150μm )を得た。参考例10で得た
フィルム状硬化物の強度、破断伸度、弾性率、破断エネ
ルギーの測定結果を表11に示した。
【0281】[実施例33]活性エネルギー線架橋重合
性化合物として、「IPS−22GA」8g、光重合開
始剤として、「イルガキュア184」0.16g及び熱
可塑性樹脂として、ポリ酢酸ビニル(サイエンティフィ
ック・ポリマー株式会社製)2gを塩化メチレン50g
に溶解させて均質混合溶液(33)を得た。
【0282】実施例1において、均質混合溶液(1)に
代えて、均質混合溶液(33)を使用し、かつ、紫外線
照射温度を30℃とした以外は、実施例1と同様にして
フィルムを作製した。未硬化の賦形物は、室温以上で無
色透明であったが、硬化後のフィルムは、白濁してい
た。
【0283】このフィルムについて、TEM観察を行っ
たところ、径の大きさが0.3〜0.5μm の網目状の
相分離構造を観察することができた。また、実施例1と
同様に行った溶剤抽出試験の結果も実施例1と同様であ
った。
【0284】実施例33で得たフィルム状硬化物の強
度、破断伸度、弾性率、破断エネルギーの測定結果を表
11に示した。その結果、実施例33で得た樹脂複合体
からなるフィルム状硬化物は、「IPS−22GA」の
単独硬化物(参考例10)と比較して、引張破壊試験の
全ての項目が大きく向上していることが分かる。
【0285】[実施例34]活性エネルギー線架橋重合
性化合物として、「IPS−22GA」8g、光重合開
始剤として、「イルガキュア184」0.16g及び熱
可塑性樹脂として、「スーパークロン HE−505」
(日本製紙株式会社製の塩素化ポリエチレン)2gを塩
化メチレン50gに溶解させて均質混合溶液(33)を
得た。
【0286】実施例1において、均質混合溶液(1)に
代えて、均質混合溶液(33)を使用し、かつ、紫外線
照射温度を30℃とした以外は、実施例1と同様にして
フィルムを作製した。未硬化の賦形物は、室温以上で無
色透明であったが、硬化後のフィルムは、白濁してい
た。
【0287】このフィルムについて、TEM観察を行っ
たところ、径の大きさが0.3〜0.5μm の網目状の
相分離構造を観察することができた。また、実施例1と
同様に行った溶剤抽出試験の結果も実施例1と同様であ
った。
【0288】実施例33で得たフィルム状硬化物の強
度、破断伸度、弾性率、破断エネルギーの測定結果を表
11に示した。その結果、実施例33で得た樹脂複合体
からなるフィルム状硬化物は、「IPS−22GA」の
単独硬化物(参考例10)と比較して、引張破壊試験の
全ての項目が大きく向上していることが分かる。
【0289】
【表11】
【0290】
【発明の効果】本発明の樹脂複合体は、活性エネルギー
線架橋重合性化合物からなる重合体と比較して、力学特
性が改良されたものであり、しかも、光学的に透明なも
のも製造可能である。また、本発明の樹脂複合体は、1
つのガラス転移温度を示す樹脂複合体と比較して、力学
的特性に優れている。また、本発明の樹脂複合体の製造
方法は、製造安定性が高く、特性の制御が容易で、製品
の品質変動が少ない上に、生産性が高い、という利点を
有する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 55/00 C08L 55/00 101/00 101/00 Fターム(参考) 4J002 AB01X AC02X BC02X BD03X BE06X BF02X BQ00W CF00X CH08X CK02X GH00 GJ02 4J011 PA53 PA54 PA65 PA66 PA67 PA68 PA88 PA90 PA95 PB40 PC02 PC08 QA03 QA04 QA06 QA07 QA32 QA33 QA34 QA35 QA38 QA39 QA43 QA45 QA46 QB05 QB16 QB19 QB20 QB22 SA02 SA07 SA12 SA14 SA16 SA19 SA22 SA32 SA34 SA54 SA58 SA64 TA07 UA01 UA02 UA03 UA04 UA06 VA08 VA09 WA02 4J027 AA04 AC01 AC03 AC04 AC06 AE01 AE02 AE03 AE04 AE05 BA07 BA08 BA13 CA02 CA04 CA05 CA06 CA08 CA10 CC04 CC05 CC06 CC07 CC08 CD06 CD08

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a) 活性エネルギー線架橋重合性化合物
    の硬化物である架橋重合体と、(b) 熱可塑性樹脂、とか
    らなる共連続構造を有する樹脂複合体であって、 (1) 活性エネルギー線架橋重合性化合物が、一分子中に
    2〜6個の(メタ)アクリロイル基を有するエポキシ
    (メタ)アクリレートであり、 (2) 熱可塑性樹脂が、ポリエステル系重合体、フェノキ
    シ樹脂、ビニルアセタール系重合体、ポリ塩化ビニル系
    重合体、酢酸ビニル系重合体、スチレン系重合体、ウレ
    タン系重合体、未架橋ゴム、及びセルロース誘導体から
    なる群から選ばれる熱可塑性樹脂であることを特徴とす
    る樹脂複合体。
  2. 【請求項2】 共連続構造を有する樹脂複合体が、0.
    02〜0.1μmの範囲にある大きさの網目状構造の熱
    可塑性樹脂相を有するものである請求項1記載の樹脂複
    合体。
  3. 【請求項3】 共連続構造を有する樹脂複合体が、2つ
    のガラス転移温度(Tg)を有するものである請求項1
    又は2記載の樹脂複合体。
  4. 【請求項4】 エポキシ(メタ)アクリレートが、ヒド
    ロキシアクリロキシプロピルジ(メタ)アクリレートで
    ある請求項1〜3のいずれか1項記載の樹脂複合体。
  5. 【請求項5】 エポキシ(メタ)アクリレートが、アル
    キルジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレートであ
    り、熱可塑性樹脂が、スチレン系重合体、フェノキシ樹
    脂、酢酸ビニル系重合体、ビニルアセタール系重合体、
    ウレタン系重合体、未架橋ゴム、及びセルロース誘導体
    なる群から選ばれる1以上の熱可塑性樹脂である請求項
    1〜3のいずれか1項記載の樹脂複合体。
  6. 【請求項6】 エポキシ(メタ)アクリレートが、(ポ
    リ)エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メ
    タ)アクリレート又は(ポリ)プロピレングリコールジ
    グリシジルエーテルジ(メタ)アクリレートであり、熱
    可塑性樹脂が、ポリエステル系重合体、酢酸ビニル系重
    合体、ビニルアセタール系重合体、フェノキシ樹脂、ス
    チレン系重合体、ウレタン系重合体、未架橋ゴム、及び
    セルロース誘導体なる群から選ばれる1以上の熱可塑性
    樹脂である請求項1〜3のいずれか1項記載の樹脂複合
    体。
  7. 【請求項7】 エポキシ(メタ)アクリレートが、グリ
    セリンジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレートで
    あり、熱可塑性樹脂が、酢酸ビニル系重合体、ビニルア
    セタール系重合体、ウレタン系重合体、及び未架橋ゴム
    なる群から選ばれる1以上の熱可塑性樹脂である請求項
    1〜3のいずれか1項記載の樹脂複合体。
  8. 【請求項8】 エポキシ(メタ)アクリレートが、ビス
    フェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレ
    ートであり、熱可塑性樹脂が、ポリエステル系重合体、
    酢酸ビニル系重合体、ビニルアセタール系重合体、塩素
    含有重合体、スチレン系重合体、ウレタン系重合体、及
    び未架橋ゴムなる群から選ばれる1以上の熱可塑性樹脂
    である請求項1〜3のいずれか1項記載の樹脂複合体。
  9. 【請求項9】 エポキシ(メタ)アクリレートが、レゾ
    ルシノールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレー
    トである請求項1〜3のいずれか1項記載の樹脂複合
    体。
  10. 【請求項10】 エポキシ(メタ)アクリレートが、フ
    タル酸ジグリシジルエステルジ(メタ)アクリレート、
    及びヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステルジ(メ
    タ)アクリレートである請求項1〜3のいずれか1項記
    載の樹脂複合体。
  11. 【請求項11】 エポキシ(メタ)アクリレートが、ア
    ルキルジグリシジルエステルジ(メタ)アクリレートで
    あり、熱可塑性樹脂が、塩素含有重合体、酢酸ビニル系
    重合体、ビニルアセタール系重合体、ウレタン系重合
    体、未架橋ゴム、及びセルロース誘導体なる群から選ば
    れる1以上の熱可塑性樹脂である請求項1〜3のいずれ
    か1項記載の樹脂複合体。
  12. 【請求項12】 (1) 一分子中に2〜6個の(メタ)ア
    クリロイル基を有する活性エネルギー線硬化性エポキシ
    (メタ)アクリレート、及び(2)ポリエステル系重合
    体、フェノキシ樹脂、ビニルアセタール系重合体、ポリ
    塩化ビニル系重合体、酢酸ビニル系重合体、スチレン系
    重合体、ウレタン系重合体、未架橋ゴム、及びセルロー
    ス誘導体からなる群から選ばれる熱可塑性樹脂、からな
    る均一混合液を賦形した後、活性エネルギー線を照射し
    て均一混合液の賦形物を硬化させ、相分離を誘発させる
    とともに、共連続構造を固定化することを特徴とする請
    求項1記載の樹脂複合体の製造方法。
  13. 【請求項13】 (1) 活性エネルギー線硬化性エポキシ
    (メタ)アクリレート、(2) 熱可塑性樹脂及び(3)これ
    らを溶解する溶剤とからなる均質な混合溶液を賦形した
    後、溶剤を乾燥除去して均一混合液の賦形物と成し、し
    かる後に活性エネルギー線を照射することを特徴とする
    請求項12記載の樹脂複合体の製造方法。
  14. 【請求項14】 均一混合液が光重合開始剤を含有し、
    活性エネルギー線が紫外線である請求項12又は13記
    載の樹脂複合体の製造方法。
  15. 【請求項15】 活性エネルギー線照射温度が50〜2
    00℃である、請求項12、13又は14記載の樹脂複
    合体の製造方法。
JP2000075059A 2000-03-17 2000-03-17 共連続構造を有する樹脂複合体及びその製造方法 Pending JP2001261758A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000075059A JP2001261758A (ja) 2000-03-17 2000-03-17 共連続構造を有する樹脂複合体及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000075059A JP2001261758A (ja) 2000-03-17 2000-03-17 共連続構造を有する樹脂複合体及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001261758A true JP2001261758A (ja) 2001-09-26

Family

ID=18593006

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000075059A Pending JP2001261758A (ja) 2000-03-17 2000-03-17 共連続構造を有する樹脂複合体及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001261758A (ja)

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002057344A1 (en) * 2001-01-18 2002-07-25 Polymerat Pty Ltd Polymers having co-continuous architecture
JP2009091434A (ja) * 2007-10-05 2009-04-30 Sekisui Chem Co Ltd 中間膜用重合性組成物、中間膜及び透明積層体
US7881871B2 (en) 2003-12-12 2011-02-01 Bio-Layer Pty Limited Method for designing surfaces
US8168445B2 (en) 2004-07-02 2012-05-01 Bio-Layer Pty Limited Use of metal complexes
WO2012099231A1 (ja) * 2011-01-21 2012-07-26 日本合成化学工業株式会社 活性エネルギー線硬化性樹脂組成物及びコーティング剤
US8273403B2 (en) 2002-05-10 2012-09-25 Bio-Layer Pty Ltd. Generation of surface coating diversity
WO2014050746A1 (ja) * 2012-09-28 2014-04-03 積水化学工業株式会社 ポリビニルアセタール系樹脂組成物
WO2021006163A1 (ja) * 2019-07-08 2021-01-14 Dic株式会社 樹脂組成物、プリプレグ、積層板、多層プリント配線板及び半導体パッケージ
US20210115258A1 (en) * 2017-04-21 2021-04-22 Ares Materials Inc. Polymer substrate design parameters for electronic microfabrication
CN114602386A (zh) * 2022-04-02 2022-06-10 山推建友机械股份有限公司 一种沥青混合料搅拌系统及方法

Cited By (17)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002057344A1 (en) * 2001-01-18 2002-07-25 Polymerat Pty Ltd Polymers having co-continuous architecture
US8273403B2 (en) 2002-05-10 2012-09-25 Bio-Layer Pty Ltd. Generation of surface coating diversity
US7881871B2 (en) 2003-12-12 2011-02-01 Bio-Layer Pty Limited Method for designing surfaces
US8168445B2 (en) 2004-07-02 2012-05-01 Bio-Layer Pty Limited Use of metal complexes
JP2009091434A (ja) * 2007-10-05 2009-04-30 Sekisui Chem Co Ltd 中間膜用重合性組成物、中間膜及び透明積層体
WO2012099231A1 (ja) * 2011-01-21 2012-07-26 日本合成化学工業株式会社 活性エネルギー線硬化性樹脂組成物及びコーティング剤
KR20150063019A (ko) * 2012-09-28 2015-06-08 세키스이가가쿠 고교가부시키가이샤 폴리비닐아세탈계 수지 조성물
JP5629393B2 (ja) * 2012-09-28 2014-11-19 積水化学工業株式会社 ポリビニルアセタール系樹脂組成物
WO2014050746A1 (ja) * 2012-09-28 2014-04-03 積水化学工業株式会社 ポリビニルアセタール系樹脂組成物
JPWO2014050746A1 (ja) * 2012-09-28 2016-08-22 積水化学工業株式会社 ポリビニルアセタール系樹脂組成物
US9512310B2 (en) 2012-09-28 2016-12-06 Sekisui Chemical Co., Ltd. Polyvinyl acetal-based resin composition
KR102070011B1 (ko) * 2012-09-28 2020-01-29 세키스이가가쿠 고교가부시키가이샤 폴리비닐아세탈계 수지 조성물
US20210115258A1 (en) * 2017-04-21 2021-04-22 Ares Materials Inc. Polymer substrate design parameters for electronic microfabrication
WO2021006163A1 (ja) * 2019-07-08 2021-01-14 Dic株式会社 樹脂組成物、プリプレグ、積層板、多層プリント配線板及び半導体パッケージ
JPWO2021006163A1 (ja) * 2019-07-08 2021-09-13 Dic株式会社 樹脂組成物、プリプレグ、積層板、多層プリント配線板及び半導体パッケージ
CN113950507A (zh) * 2019-07-08 2022-01-18 Dic株式会社 树脂组合物、预浸体、层叠板、多层印刷配线板及半导体封装
CN114602386A (zh) * 2022-04-02 2022-06-10 山推建友机械股份有限公司 一种沥青混合料搅拌系统及方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101318093B1 (ko) 에폭시 수지 조성물, 프리프레그 및 섬유 강화 복합 재료
KR101396031B1 (ko) 에폭시 수지 조성물, 프리프레그, 섬유 강화 복합 재료
EP3216812B1 (en) Photocurable composition, cured product formed from photocurable composition, and method for manufacturing said cured product
KR101714798B1 (ko) 방사선-경화성 수지 조성물 및 이를 이용한 쾌속 3차원 이미지화 방법
CN107880223B (zh) 一种快速固化、低收缩率的3d打印树脂
JP2001261758A (ja) 共連続構造を有する樹脂複合体及びその製造方法
JP5510092B2 (ja) 修飾セルロース繊維分散液の製造方法及びセルロース複合材料の製造方法
Dong et al. Preparation and properties of green UV‐curable itaconic acid cross‐linked modified waterborne polyurethane coating
CN109982829A (zh) 热固性组合物以及由其形成三维物体
JP2004217809A (ja) 活性エネルギー線硬化樹脂シート
JP2002275205A (ja) 表面に周期性の皺模様を有する樹脂成形物の製造方法
JP2001220515A (ja) 共連続構造を有する樹脂複合体及びその製造方法
Pruksawan et al. Toughened hydrogels for 3D printing of soft auxetic structures
JP2001261916A (ja) 共連続構造を有する樹脂複合体及びその製造方法
JP2001207010A (ja) 共連続構造を有する樹脂複合体及びその製造方法
JP2001214070A (ja) 共連続構造を有する樹脂複合体及びその製造法
JP2002200623A (ja) 樹脂複合体の製造法
JP2001240718A (ja) 共連続構造を有する樹脂複合体及びその製造方法
JP2001234074A (ja) 共連続構造を有する樹脂複合体及びその製造法
JP2001247774A (ja) ポリマーアロイ及びその製造方法
JP2001329027A (ja) 樹脂複合体、組成物及びその製造法
JP2784339B2 (ja) 光ファイバー
JP2009091586A (ja) 活性エネルギー線硬化樹脂シート
JP2001329133A (ja) 樹脂複合体、組成物及びその製造方法
JP2002097216A (ja) 深さ方向に変化した相構造を有する樹脂複合体とその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070215

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20070215

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20081217

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20081225

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20090507