JP2001197871A - 練製品及びその製造方法 - Google Patents

練製品及びその製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 予め一口大に切断され、切断面が一様に綺麗
で外観品質もよく、力を加えない限り、各ピース同士の
対向面の結着力により連結状態が保持され、また、チー
ズ等の任意の異種材料が封入して趣向性を向上させるこ
とで、需要の拡大を図ることができる練製品及びその製
造方法を提供する。 【解決手段】 魚肉及び/又は畜肉のすり身を成形し、
該成形体の一定方向に沿って所要間隔毎に連結部分を残
さない状態で1乃至複数条の切れ目を熱処理前に入れた
後に、該成形体を加熱処理し、該加熱処理された練製品
の各ピースは、切れ目面相互の結着力により、離反方向
に力を作用させない状態では、結着状態を保持させ、上
記各ピース内には、チーズ等の異種材料が介装して練製
品を形成し、製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ちくわや薩摩揚
げ等の魚肉練製品や鶏肉等を原料とする畜肉練製品であ
って、調理するときや食するときに、包丁等を用いるこ
となく食べ易い大きさに引き離すことができるチーズ等
の異種材料入り練製品およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来技術とその課題】周知のように、ちくわ等の練製
品は、中心部分に孔が貫通した円筒状に成形されてお
り、このままの状態で包装され販売されているのが一般
的である。このため、消費者は、包装袋から取り出した
ちくわを包丁やナイフで所望の大きさに切断して切り分
けてから、これを皿に盛り、或は、煮物等の調理に用い
ているのが現状であり、かかる作業が非常に煩雑であ
り、また、包丁やナイフがない場合には、丸かじりを余
儀なくされ、非常に食べづらい、という不便さを有して
いた。
【0003】このような不便さを解消するため、従来で
は、例えば、予め一口大に切り分けられたピース状のち
くわや実用新案登録第3052643号に示されている
ようなスティック状練製品等が提案されている。
【0004】しかしながら、上記前者の一口大のちくわ
にあっては、包丁やナイフ等は不要になり利便性は向上
するものの、一口大に成形する製造ラインが必要とな
り、しかも、この切り分けられた一口大のちくわ同士が
ばらばらになった状態で包装されるため、押圧変形し易
いと共に、包装のときに、包装重量をその都度計量して
袋詰めしなければならないため、製造ラインが非常に複
雑化し、コスト高となるという課題を有していた。
【0005】また、上記後者のスティック状練製品にあ
っては、スティック形状体の側面の軸方向同一側に所定
の厚さの連結部分を残した状態で、連結部分の反対側か
ら軸方向に対して交差する方向に複数の切れ目を入れて
形成されており、包丁やナイフがない場合でも一口大に
容易に手で引き千切ることができ利便性が向上すると共
に、常態では各一口大の部分が連結部分で繋がっている
ため、計量する必要もなく、また、袋詰め作業も従来と
同様に行うことができる、という利点を有してはいる
が、この従来のスティック状練製品の場合には、引き千
切られた連結部分が不揃いの凸凹面となって外観品質が
損なわれると共に、該スティック状練製品の場合には、
必ず連結部分を残さなければならないため、切れ目を入
れる刃体の作動制御が非常に複雑となり、製造工程が複
雑化してコスト高となる、という課題を有していた。
【0006】また、上記従来の練製品にあっては、いず
れも魚肉や畜肉のすり身のみで形成されているため、趣
向性に乏しい、という課題を有していた。
【0007】この発明は、かかる現状に鑑み創案された
ものであって、その目的とするところは、包丁やナイフ
がなくても予め一口大に切断されており、しかも、切断
面が一様に綺麗で外観品質もよく、また、力を加えない
限り、各ピース同士の対向面の結着力により連結状態を
保持するので、包装も従来の自動包装ラインをそのまま
使用することができると共に、チーズ等の任意の異種材
料を封入できるので、趣向性を大幅に向上させることが
できて、需要の拡大を図ることができる衛生的で安全な
練製品及びその製造方法を提供しようとするものであ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、この発明にあっては、魚肉及び/又は畜肉のすり身
を成形し、該成形体の一定方向に沿って所要間隔毎に連
結部分を残さない状態で1乃至複数条の切れ目を熱処理
前に入れた後に、該成形体を加熱処理し、該加熱処理さ
れた練製品の各ピースは、切れ目面相互の結着力によ
り、離反方向に力を作用させない状態では、結着状態を
保持することができるように形成されてなる練製品の上
記各ピース内に、チーズ等の異種材料を介装して構成す
ることで、例えば、チーズ入りちくわ等を容易に形成す
ることができるように構成したことを特徴とするもので
ある。
【0009】そして、この発明に係る練製品は、断面が
円筒形や円形に限定されるものではなく、多少扁平させ
たり、角形や角筒形、多角形状であってもよく、このた
め、ちくわに限定されず、笹かまぼこを初めとして薩摩
揚げや魚肉ソーセージ等に適用してもよい。
【0010】また、この発明にあっては、上記練製品を
製造するため、魚肉及び/又は畜肉のすり身を成形し、
シート状に成形されたすり身を第一層として串軸に巻き
付け、次に、第二層としてチーズ等のペースト化された
異種材料を第一層の魚肉及び/又は畜肉からなるすり身
上に巻き付け、この後、第三層としてのシート状の魚肉
及び/又は畜肉からなるすり身を巻き付けて成形した後
に、該成形体の加熱処理前に該成形体の一定方向に沿っ
て所要間隔毎に連結部分を残さない状態で1乃至複数条
の切れ目を入れる工程と、この切れ目が入れられた成形
体を加熱処理してゲル化させる工程と、で処理すること
を特徴とするものである。
【0011】この場合、上記切れ目は、刃体またはピア
ノ線によって入れるのが望ましく、その切れ目の幅寸法
は、1〜3mm程度、好ましくは略2mm前後が望まし
い。通常の練製品のすり身は、その1mm以下の細い切
れ目を入れた場合には、加熱後に強固に結着してしまい
手で引き離すことができない。反対に、この種のすり身
は、その特性上結着力が強いため、切れ目が3mm以上
太くした場合には、切れ目を入れた時点で各ピースが離
れてしまい、加熱後串を抜いたときに各ピースがばらば
らに離れてしまうためである。
【0012】また、この場合のペースト化された異種材
料は、層状又は帯状に密着させた状態で前記第一層に巻
き付けることで製造するのが望ましい。
【0013】勿論、この発明に係る練製品の製造方法に
あっては、上記練製品の熱処理が終了した後に、該練製
品を結着した状態のまま包装袋に密封する工程を付加す
るのが望ましい。
【0014】
【発明の実施の形態例】以下、添付図面に示す実施の形
態例に基き、この発明を詳細に説明する。
【0015】図1に示すように、この発明の実施の第1
形態例に係るチーズ入りちくわTは、解凍後、すり潰し
た魚肉を棒状に成形する工程において、シート状に成形
されたすり身状原料t1の上面であって、後記する切れ
目が入れられる部位から離れた位置に、ペースト化され
たチーズVを短冊状に所要本数並べて載せ(塗り付けて
もよい)、この後、シート状に成形されたすり身状原料
2を上記すり身状原料t1とチーズVとの上に重合し、
この後、上記重合されたシート状のすり身状原料を棒状
に巻き取り成形した後、竹や金属製の串軸Bに直径2.
5〜4.0cm、長さ約15cmに巻き付ける。
【0016】次に、加熱処理工程前に、図2に示すよう
に、複数本の刃体w1,w2,w3…wnで、長軸方向に沿
って所要間隔毎に切れ目を垂直方向(或は斜め方向であ
ってもよい。)に入れて、図3に示すように、2mmの
間隔(これは各刃体の厚さ寸法に相当する)の複数個の
ピース部分P1,P2,P3〜Pnを形成する。
【0017】このようにして切れ目が入れられた棒筒状
体は、次に、蒸したり焼いたりして加熱処理すること
で、図4に示すように、各ピース部分P1,P2,P3
Pnは膨張して各対向面部が結着し、この後、上記串軸
Bを引き抜き、串軸Bを引き抜いた部分が、図5に示す
ように、長軸方向の空洞部Cとして残った円筒状に形成
されて製造される。勿論、上記チーズに代えて、シート
状に形成されたキューリやペースト状のたらこ等のちく
わと適合する異種材料を介装させてもよい。尚、この形
態例に係るチーズ入りちくわTの使用材料は、従来のも
のと同様であるので、その詳細な説明をここでは省略す
る。
【0018】上記切れ目は、上記串軸Bに巻き付けられ
た夫々の材料が重合されたすり身原料を、その円周方向
に巻回させることで、全周に切れ目を入れることができ
る。切れ目の幅が1mm以下では加熱後に強固に結着し
てしまい手で引き離すことができなくなり、反対に、切
れ目が3mm以上太い場合には、切れ目を入れた時点で
各ピース部分P1,P2,P3〜Pnが離れてしまい、加
熱後に串軸Bを抜いたときに各ピース部分P1,P2,P
3〜Pnがばらばらに離れてしまうためである。勿論、
上記切れ目は、特に図示はしないが、ピアノ線で入れて
もよい。
【0019】また、焙焼処理工程で焙焼処理されたすり
身原料は、この後、冷却されて包装袋(図示せず)へと
収納され出荷される。
【0020】以下に、本形態例に係るチーズ入りちくわ
Tのより具体的な製造工程を説明する。
【0021】先ず、第1工程では、原料受入検査後、魚
肉を解凍し、サイレントカッターによって解凍された魚
肉と添加物とを混合攪拌した後、この攪拌原料を裏ごし
したものをシート状第一層t1として成形し、次の第2
工程では、このシート状に成形された第一層t1の上面
であって、後記する切れ目が入れられる部位から離れた
位置に、第二層としてペースト化されたチーズVを載せ
た後、第3工程では、該チーズVが載せられた第二層V
の上面に第三層t2として、上記第一層t1と同じ材料か
らなる魚肉すり身をシート状に載せた後、第4工程とし
て、これらを串軸Bに巻き付けて成形し、第5工程の坐
り工程で、刃体w1,w2,w3…wnで複数条の切れ目を
所要間隔毎に入れた後、所要温度で焙焼し、第6工程で
は焙焼したチーズ入りちくわTを自然放冷し、一定温度
まで冷却された後、第7工程では串軸抜きが行われ、第
8工程で39℃〜41℃まで強制的に冷却された後、該
チーズ入りちくわTは、第9工程で公知の自動包装装置
へと送られて包装袋に入れられて密封される。勿論、こ
の包装体に密封されたチーズ入りちくわTは、この後、
従来のちくわ包装工程と同様に、先ず、金属検出器で異
物混入検査が行われると共に、ウエイトチェッカーで計
量された後に、最終的に冷却され、この後、所要数のチ
ーズ入りちくわ入り包装袋が集められて梱包され出荷さ
れる。
【0022】このように、本製造方法では、焙焼工程前
の坐り工程で切れ目を入れることで、すり身が本来有す
る強い結着性を加熱後も保持するようにすることがで
き、また、各ピースP1,P2,P3〜Pnの対向面、即
ち、切断面は刃体w1,w2,w3…wnで綺麗な平面に形
成されるため、両ピースの対向面は、適度な太さの切れ
込みを入れることで、加熱後、ゲル化した各ピース
1,P2,P3〜Pnが密着し結着状態を保持して一体
性を保つことができ、チーズ入りちくわTの棒状態を保
持できるので、製品の包装を従来と同様の自動包装装置
で行うことができ、製造コストの上昇を確実に防止する
ことができる。
【0023】さらに、本製造方法では、上記切れ目を途
中までで中止して切り残し部分を高精度に形成する必要
がないので、該切れ目を入れる作業を非常に簡略化する
ことができ、製造ラインのコントロールが複雑化せず製
造コストの上昇を低く抑えることができる。
【0024】また、本製造方法により製造されたチーズ
入りちくわTは、包装されている状態では、ばらばらに
ならず、従来の切れ目が入っていないちくわと同じ形態
を保持しているため、商品としての違和感がないばかり
か、チーズ入りちくわという新しい製品を提供すること
ができるので、新たな需要を喚起することができ、ま
た、包装袋から取り出した後は、包丁やナイフを用いる
ことなく、各ピースを離反方向に引き離すように力を加
えるだけで、一口大に分離させることができ、家庭では
勿論、旅行やキャンプ等の行楽時にも手軽に食すること
ができ、また、調理も容易であり、さらには、各ピース
の両面、即ち、切れ目部分が平坦で綺麗で大きさも揃っ
ているため、見た目にも美味しい見える。
【0025】図6は、この発明の第2製造例を示してお
り、この形態例では、チーズVを第1形態例のように、
第一層すりみ原料t1の上に、第三層すり身原料t2と別
々に巻き付けるのではなく、予めシート状に成形すると
きに、上記第二層すりみ原料t2の上にチーズV層を複
数条並設するように構成してもチーズ入りちくわは製造
することができる。この製法は、製造工程を簡略化した
他は、他の構成・作用・効果は第1形態例と同様である
ので、図面には第1形態例で使用した符号と同一の符号
を付して、その詳細な説明をここでは省略する。
【0026】尚、上記各形態例では、この発明をチーズ
入りちくわTに適用した場合を例にとり説明したが、こ
の発明にあってはこれに限定されるものではなく、笹か
まぼこや薩摩揚げ、ソーセージ等の他の食品にも適用す
ることができることは勿論、異種材料も前記したものの
他に、ペースト化できるものであれば、適宜選択して用
いることができる。
【0027】
【発明の効果】以上説明したように、この発明に係る練
製品にあっては、包装されている状態では、ばらばらに
ならず、従来の切れ目が入っていないちくわと同じ形態
を保持しているため、商品としての違和感がなないばか
りか、チーズ入りちくわという新しい製品を提供するこ
とができるので、新たな需要を喚起することができ、ま
た、包装袋から取り出した後は、包丁やナイフを用いる
ことなく、各ピースを離反方向に引き離すように力を加
えるだけで、一口大に分離させることができ、家庭では
勿論、旅行やキャンプ等の行楽時にも手軽に食すること
ができ、また、調理も容易であり、利便性に優れている
と共に、各ピースの両面、即ち、切れ目部分が平坦で綺
麗で大きさも揃っているため、見た目にも美味しい見え
る、という優れた効果を奏する。
【0028】また、この発明に係る練製品の製造方法に
あっては、熱処理前に切れ目を入れることで、すり身が
本来有する強い結着性を加熱後も保持するようにするこ
とができ、また、各ピースの対向面、即ち、切断面は刃
体やピアノ線で綺麗な平面に形成されるため、両ピース
の対向面は、適度な太さの切れ込みを入れることで、加
熱後、ゲル化した各ピースが密着し結着状態を保持して
一体性を保つことができ、成形体の成形状態を保持でき
るので、製品の包装を従来と同様の自動包装装置で行う
ことができ、製造コストの上昇を確実に防止することが
できる。
【0029】さらに、本製造方法では、上記切れ目を途
中までで中止して切り残し部分を形成する必要がないの
で、該切れ目を入れる作業を非常に簡略化することがで
き、製造ラインのコントロールが複雑化せず製造コスト
の上昇を低く抑えることができる等、幾多の優れた効果
を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の第1形態例に係るチーズ入り
ちくわの成形前の状態を分解して示す斜視図である。
【図2】同チーズ入りちくわに刃体で切れ目を入れる工
程を示す斜視図である。
【図3】同チーズ入りちくわの切れ目を入れた直後の状
態を示す正面説明図である。
【図4】同切れ目が入れられたチーズ入りちくわを焙焼
処理した後の状態を示す正面説明図である。
【図5】同チーズ入りちくわの1ピースの断面図であ
る。
【図6】この発明の実施の第2形態例に係るチーズ入り
ちくわの成形前の状態を分解して示す斜視図である。
【符号の説明】
1,P2,P3〜Pn ピース T チーズ入りちくわ t1 第一層すり身原料 2 第二層すり身原料 V チーズ w1,w2,w3…wn 刃体

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 魚肉及び/又は畜肉のすり身を成形し、
    該成形体の一定方向に沿って所要間隔毎に連結部分を残
    さない状態で1乃至複数条の切れ目を熱処理前に入れた
    後に、該成形体を加熱処理し、該加熱処理された練製品
    の各ピースは、切れ目面相互の結着力により、離反方向
    に力を作用させない状態では、結着状態を保持すること
    ができるように形成されてなる練製品であって、上記各
    ピース内には、チーズ等の異種材料が介装されてなる練
    製品。
  2. 【請求項2】 魚肉及び/又は畜肉のすり身を成形し、
    シート状に成形されたすり身を第一層として串軸に巻き
    付け、次に、第二層としてチーズ等のペースト化された
    異種材料を第一層の魚肉及び/又は畜肉からなるすり身
    上に巻き付け、この後、第三層としてのシート状の魚肉
    及び/又は畜肉からなるすり身を巻き付けて成形した後
    に、該成形体の加熱処理前に該成形体の一定方向に沿っ
    て所要間隔毎に連結部分を残さない状態で1乃至複数条
    の切れ目を入れる工程と、この切れ目が入れられた成形
    体を加熱処理してゲル化させる工程と、を有して構成さ
    れてなる練製品の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記切れ目は、刃体またはピアノ線によ
    って入れられることを特徴とする請求項2に記載の練製
    品の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記刃体またはピアノ線によって入れら
    れる切れ目の幅寸法は、1〜3mm程度、好ましくは略
    2mm前後であることを特徴とする請求項3に記載の練
    製品の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記ペースト化された異種材料は、層状
    又は帯状に密着させた状態で前記第一層に巻き付けられ
    ることを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれかに
    記載された練製品の製造方法。
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