JP3536231B2 - 結束可能な練製品及び結束食品 - Google Patents

結束可能な練製品及び結束食品

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば複数本の棒
状又は紐状の具材を束ねることのできる結束可能な練製
品及びそれによって得られた結束食品に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】食品を結んだり、束ねたりする食材とし
ては「かんぴょう(干瓢)」が代表的なものである。か
んぴょうは結んだり、口を閉じたりする素材としては優
れた素材であるが、紐状であるため、結ばなければなら
ない。このため、多少の不便を有していた。
【0003】一方、食品以外では、束ねたものをばらば
らにしないもの、絞ったものがほどけることがないよう
にするものとしては、輪ゴムがあり、様々な場面で便利
に使用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら食品素材
で輪ゴム状の結束素材はこれまでに見当たらない。
【0005】本発明は、複数本の棒状又は紐状の具材を
束ねてばらばらにならないようにしたり、1枚又は2枚
以上の帯状の具材を巻き込んだり、絞ったものがほどけ
ることがないように結束できる結束可能な練製品及びそ
れによって結束された結束食品を得ることを目的とす
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本請求項1に記載された
発明に係る結束可能な練製品では、練製品の長さがその
長さ方向に直交する平面外形の最大径の長さよりも短い
練製品において、魚肉塩摺り身を加熱及び成型して得た
弾力性と伸縮性とを有する練製品成形体からなり、複
本の束ねた棒状又は紐状の具材又は1枚以上の帯状の具
材を嵌める一つ以上の穴が前記成形体の長さ方向に貫通
して設けられているものである。
【0007】具体的な結束可能な練製品の形状として
は、平面形状が円,多角形の柱状でその平面形状の垂線
方向の長さ(即ち、練製品の長さ)が平面形状の最大外
径の長さよりも短いものがあげられる。穴は長さ方向に
沿った方向に1つ以上貫通される。穴の大きさは少なく
とも平面形状内に収まるように形成される。穴の形状は
平面形状内に収まるのであれば円形,矩形,星形等の種
々の形状が選択される。特に星形のように穴内部に突設
する突設片を備えたものでは、突設片の弾力性によって
良好に具材を保持することができる。また、備えた穴の
数は、平面形状の平面内に広く一つ形成させても良い
が、結束される具材の種類や数に応じて、2つ以上を形
成させても良い。
【0008】また、本請求項2に記載された発明に係る
結束食品では、請求項1に記載された結束可能な練製品
を用いた結束食品において、前記穴に、複数本に束ねら
れた棒状又は紐状の具材、又は、巻き込まれて又は絞ら
れて束ねられた1枚以上の帯状の具材が嵌められている
ものである。
【0009】具体的には、具材として、ニンジンやゴボ
ウなど野菜を拍子切りした棒状の具材、茹でたホウレン
草等の紐状の具材を複数本束ねたものを練製品の穴に嵌
めてばらばらにならないように止めたり、1枚以上の湯
葉を巻き込んで、又は油揚げのような袋ものの口が広が
らないように口を絞って束ねた帯状の具材を練製品の穴
に嵌めて止めて結束食品を得る。得られた結束食品は、
そのままで食卓に供しても、結束後にてんぷらや煮付け
等の調理を行っても良い。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明においては、練製品の長さ
がその長さ方向に直交する平面外形の最大径の長さより
も短い練製品の長さ方向に具材を嵌める一つ以上の穴を
貫通したものであるため、練製品は適度の弾力性があ
り、輪ゴムほどではないが、輪ゴムのように径内部に束
ねた具材を嵌めて結束することができる。ここで、「結
束」とは、例えば輪ゴムで止める場合のように、束ねて
ばらばらにならないようにすること、及び、絞ったもの
がほどけることがないようにすることであり、紐で結ん
で束ねることではない。
【0011】例えば、輪ゴムのように使用できるこの結
束可能な練製品は、ニンジンやゴボウなど野菜の拍子切
りした具材を複数本束ねたものを練製品の穴に嵌めてば
らばらにならないように止めたり、油揚げのような袋も
のの口が広がらないように口を絞って練製品の穴に嵌め
て止めたりできる。
【0012】この結束可能な練製品の穴の大きさや数は
用途により、任意の数に、また大きさも変えることがで
きる。穴を取り巻く練製品の幅厚は用途、求める強度に
より数mmの幅から数センチの幅にできるが、練製品の
長さ(即ち、貫通される穴の長さ)は少なくとも平面外
形の最大径の長さよりも短くなければならない。これは
貫通される穴の長さが長くなるほど穴の内部に束ねる具
材を嵌めづらくなるためである。
【0013】この結束可能な練製品は、前述のように練
製品自身が持っている適度の弾力性で束ねた状態で結束
する。従って、結束可能な練製品の素材は、弾力性を阻
害しないような製造を行うのが肝要である。練製品の弾
力性は、所謂「足」が強いほど良好である。従って、魚
種としては、足の強い練製品を作ることのできる、例え
ばスケソウダラの冷凍すり身,グチ,クロカワカジキ,
オキギス,エソ,ワラズカなど通常の練製品に使用され
る原料であれば良い。
【0014】この原料に3%程度の食塩を添加して塩ズ
リし、更に調味料、その他の副原料を添加して塩ズリ身
を作成する。塩ズリ身を得る場合には、食塩以外の副原
料は通常の練製品に使用できるものが使われる。例え
ば、澱粉は3〜7%を添加することにより、足を補強す
ることができる。また、塩ズリ身の作成の際に、添加す
る水の量を調整することにより、弾力性,伸縮性の高い
製品を得ることができる。更に、塩ズリ身作成時に、肉
温を15℃以上に上げないことも弾力のある練製品を作
るのに重要である。通常に練製品を作るのと同様の副原
料、添加水、作成方法と大きく異なることはない。
【0015】出来上がった塩ズリ身を成型して結束可能
な練製品を得るが、この場合、竹輪と同様に、筒状に成
型・加熱して得られた練製品を所定の厚さに切断しても
良いし、所定の厚さに圧延成型したシート状のものを加
熱前又は加熱後に1つの穴を打ち抜いてリング状にした
り、3〜4個の穴を打ち抜いても良い。所定の厚さは練
製品の最大径の長さよりも短くなければならないが、厚
さが薄ければ具材を束ねる弾力性に欠けるので、実質的
には3cm以下、好ましくは2cm以下、1mm以上、
更に好ましくは3mm〜1cm程度の厚さが良い。ま
た、結束可能な練製品自体に色素で色付けをすれば結束
時の装飾的な効果も出せる。
【0016】成型された結束可能な練製品は通常の練製
品と同様に加熱される。加熱する前に、通常行われてい
るように坐りを行うことも弾力性のある練製品を作るの
に重要である。坐り加熱は、40℃前後で約30〜60
分間放置すればよい。加熱の際は、中心温度が75℃以
上に加熱する。この加熱には、焼成加熱,油揚げ加熱,
蒸し加熱,茹で加熱等によって行うことができる。
【0017】特に、焼成加熱では、外側から熱せられて
焼かれるため、内側の組織とは相違する外皮が形成され
る。この外皮は例えば竹輪の外皮のようなものであり、
柔軟で引っ張り強度に強い皮膜で外側が覆われることに
なる。従って、穴が形成された内側組織が外側の外皮で
覆われることになり、具材を穴に嵌めた場合も穴が外側
まで割れて輪が破断することも少ない。
【0018】図1は本発明の結束可能な練製品の種々の
平面形状及び貫通された穴の形状数を示す平面図であ
る。a図〜d図に示す通り、結束可能な練製品は平面形
状に垂直な練製品の長さ方向に貫通された穴を1つ以上
備えている。
【0019】具体的には、a図の練製品(1a)は平面形状
が円形の中心に円形の穴(2a)を貫通したものである。b
図の練製品(1b)は平面形状が円形の内部に3つの円形の
穴(2b)を貫通したものである。c図の練製品(1c)は平面
形状が角丸四角形の内部に厚さが一定となるように相似
形の角丸四角形の穴(2c)を貫通したものである。d図の
練製品(1d)は平面形状が五角形の中心に星形の穴(2d)を
貫通したものである。尚、何れの練製品(1a)〜(1d)の平
面形状に垂直な長さは平面外形の最大径の長さよりも短
くなっている。
【0020】特にd図の星形の穴(1d)のように、穴内部
に突設する突設片(3d)を備えたものでは、少なくとも嵌
められる具材の束が5つの突設片(3d)の頂点を結ぶ形状
よりも大きければ、突設片(3d)の弾力性によって良好に
保持される。
【0021】このようにして得られた結束可能な練製品
は、束ねた具材を穴に嵌めて結束食品を作成するのに使
用する。即ち、この結束食品は、練製品の長さがその長
さ方向に直交する平面外形の最大径の長さよりも短い練
製品の長さ方向に貫通された穴に、複数本の束ねられた
棒状又は紐状の具材が、又は、巻き込まれるか絞られて
束ねられた1枚以上の帯状の具材が嵌められているもの
である。
【0022】この結束食品は、そのままで食卓に供して
も、結束後にてんぷらや煮付け等の調理を行っても良
い。結束された具材はバラバラになることがなく、特に
具材を多種のものにするといろいろな味が楽しめる食品
となる。
【0023】
【実施例】助宗すり身SA級100部に、食塩3部を加
え、塩ズリを行った。塩ズリの済んだところで、砂糖3
部,グルタミン酸ナトリウム0.8部,グルコース2
部,馬鈴薯澱粉7部,水30部を加え、良く混合した。
このすり身を常法通り、竹輪製造ラインに載せ、15m
mφの串に塩ズリ身を7mmの厚さに付け、焼成して竹
輪を製造した。この竹輪を幅5mmに切断しリング状と
した。
【0024】図2は得られた結束可能な練製品の一実施
例の構成を示す説明図であり、a図は平面図,b図は側
面図である。図に示す通り、口径15mmφの穴(22)を
有するリング状練製品(21)を得られた。このリング状練
製品(21)は、適度の弾力性を有するものであった。ま
た、焼成によって外皮が形成され、この外皮が破断し難
いリング状練製品(21)を形成する。
【0025】図3は結束食品の一実施例の構成を示す説
明図であり、a図は平面図,b図は側面図である。図に
示す通り、図2のリング状練製品(21)の穴(22)に7mm
角の拍子切りにした、ニンジン(23),さつまいも(24),
ゴボウ(25)の各1本を嵌めて、結束食品(26)を得た。
【0026】結束食品(26)は、常法通り、小麦粉の衣を
付けて、てんぷらとした。当然、バラバラになることが
なく、3種の色合、味が楽しめるてんぷらとなった。
【0027】前述の実施例では、筒状の練製品を作成後
に、これを切断してリング状練製品を作成したが、例え
ば、5mm程度の厚さに圧延成型したシート状のものを
リング状に打ち抜いて加熱してもよいし、5mm程度の
厚さに圧延成型したシート状のものを加熱した後にリン
グ状に打ち抜いてもよい。
【0028】また、結束食品も、棒状のものだけでな
く、茹でたホウレン草を4cm程度に切断して束ねたも
のをリング状練製品の穴に嵌めたり、1枚又は複数枚の
湯葉などの帯体を絞ったり巻いたりしたものをリング状
練製品の穴に嵌めても良い。更に、袋状にした油揚げの
内部に具を詰め、口を絞ってリング状練製品の穴に嵌め
て、具材が出ないようにしてもよい。
【0029】
【発明の効果】本発明は以上説明したとおり、練製品の
長さがその長さ方向に直交する平面外形の最大径の長さ
よりも短い練製品の長さ方向に具材を嵌める一つ以上の
穴を貫通したものであるため、練製品は適度の弾力性と
伸縮性とがあり、輪ゴムほどではないが、輪ゴムのよう
に径内部に束ねた具材を嵌めて結束することができる。
【0030】製品の長さがその長さ方向に直交する平面
外形の最大径の長さよりも短い練製品の長さ方向に貫通
された穴に、複数本の束ねられた棒状又は紐状の具材
が、又は、巻き込まれるか絞られて束ねられた1枚以上
の帯状の具材が嵌められている結束食品は、そのままで
食卓に供しても、結束後にてんぷらや煮付け等の調理を
行っても良い。結束された具材はバラバラになることが
なく、特に具材を多種のものにするといろいろな味が楽
しめる食品となるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の結束可能な練製品の種々の平面形状及
び貫通された穴の形状数を示す平面図である。
【図2】リング状練製品の一実施例の構成を示す説明図
であり、a図は平面図,b図は側面図である。
【図3】結束食品の一実施例の構成を示す説明図であ
り、a図は平面図,b図は側面図である。
【符号の説明】
(1a)(1b)(1c)(1d)(21)…リング状練製品(結束可能な練
製品)、 (2a)(2b)(2c)(2d)(22)…穴、 (23)…ニンジンの拍子ぎり、 (24)…さつまいもの拍子ぎり、 (25)…ゴボウの拍子ぎり、 (26)…結束食品

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】練製品の長さがその長さ方向に直交する平
    面外形の最大径の長さよりも短い練製品において、魚肉塩摺り身を加熱及び成型して得た弾力性と伸縮性と
    を有する練製品成形体からなり、 数本の束ねた棒状又は紐状の具材又は1枚以上の帯状
    の具材を嵌める一つ以上の穴が前記成形体の長さ方向に
    貫通して設けられていることを特徴とする結束可能な練
    製品。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載された結束可能な練製品
    を用いた結束食品において、 前記穴に、複数本に束ねられた棒状または紐状の具材、
    又は、巻き込まれて又は絞られて束ねられた1枚以上の
    帯状の具材が嵌められていることを特徴とする結束食
    品。
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