JP3569697B2 - 肉の加工食材、串揚げ、肉の加工食材の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、肉の加工食材に関するものであり、特に、串揚げ等に使用される肉の加工食材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、竹串等の串に、所定の大きさのブロック状にカットされた豚肉等の肉を任意数突き通して形成された、所謂「肉串」が用いられている。この肉串は、焼き鳥器などによって焼かれて串焼きとするか、或いは衣を塗して揚げられて串揚げとして調理されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、そのような肉串においては、複数のブロック状にカットされた肉片の中心に串を突き通しているだけであるので、肉が串から容易に抜け落ちたりズレたりし易いものであった。そのため、衣を塗す作業で不具合となったり、型崩れが生じてしまうという課題があった。
【0004】
また、ブロック状の塊であるので、突き通すのに強い力が必要で、誤って串が手などに刺さってしまう虞があるとともに、肉の内部まで熱が通りにくいものであった。
【0005】
そこで、本発明は、肉が串から抜け落ちたりズレてしまうことがなく、また、串に肉を突き通すのも容易で安全性が高く、さらに、肉の内部まで容易に熱を通すことが可能な肉の加工食材を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記問題点を解決するために創作されたものであって、第1には、肉の加工食材であって、細巾帯状にスライスされたスライス肉を、任意の方向へ巻き付けて略一巻き毎に串に刺し通し、全体としてスライス肉が串に螺旋状に巻装して形成されていることを特徴とする。
【0007】
この第1の構成の肉の加工食材においては、細巾帯状にスライスされたスライス肉を、任意の方向へ巻き付けて略一巻き毎に串に刺し通し、全体としてスライス肉が串に螺旋状に巻装して形成されているため、スライス肉と串との一体性が高くなって作業時等に肉が串から抜け落ちたりズレてしまうことがなく、作業性を向上させることができる。また、外観が略こん棒状となるため、見栄えがよく、型くずれも生じにくい。また、薄く細巾帯状にスライスされた肉であるので、ブロック状の肉の場合に比較して串に肉を突き通すのも容易で安全性が高く、さらに、肉の内部まで容易に熱を通すことが可能となる。
【0008】
また、第2には、上記第1の構成において、上記スライス肉の巻装方向が右巻きであることを特徴とする。また、第3には、上記第1の構成において、上記スライス肉の巻装方向が左巻きであることを特徴とする。また、第4には、上記第1又は2又は3の構成において、上記スライス肉が豚肉であることを特徴とする。 また、第5には、串揚げであって、上記構成1又は2又は3又は4に記載の肉の加工食材表面に衣を塗して油揚げしてなされたことを特徴とする。
【0009】
この第5の構成の肉の串揚げにおいては、上記構成1又は2又は3又は4に記載の肉の加工食材表面に衣を塗して油揚げしてなされている。そのため、衣を塗す作業時などに肉が串から抜け落ちたりズレてしまうことがないため、衣塗しの作業性を向上させることができる。また、肉の内部まで容易に熱を通すことができるため、揚げ時間の短縮を図ることができる。さらに、揚げ上がりの状態がふっくらした略こん棒状となって食べやすいとともに、手作り風の旨味感を醸し出すことができる。
【0010】
また、第6には、肉の加工食材の製造方法であって、スライスしてなるスライス肉の一端側を串に刺し通して、その状態で他端側の上記スライス肉を任意の方向へ略一周巻き付けた後に串に刺し通し、さらに、他端側の上記スライス肉を串に略一周巻き付けた後に串に刺し通すのを何周か連続して行って、全体として上記スライス肉が串に螺旋状に巻装された状態に形成することを特徴とする。
【0011】
この第6の構成の肉の加工食材の製造方法においては、スライスしてなるスライス肉の一端側を串に刺し通して、その状態で他端側の上記スライス肉を任意の方向へ略一周巻き付けた後に串に刺し通し、さらに、他端側の上記スライス肉を串に略一周巻き付けた後に串に刺し通すのを何周か連続して行って、全体として上記スライス肉が串に螺旋状に巻装された状態に形成しているため、スライス肉と串との一体性が高くなって作業時等に肉が串から抜け落ちたりズレてしまうことがなく、作業性を向上させることができる。また、外観が略こん棒状となるため、見栄えがよく型くずれも生じにくい。また、薄く細巾帯状にスライスされた肉であるので、ブロック状の肉の場合に比較して串に肉を突き通すのも容易で安全性が高く、さらに、肉の内部まで容易に熱を通すことが可能となる。
【0012】
また、第7には、上記第6の構成において、上記スライス肉を串に装着した後に、上記スライス肉の両端部の形を整えることを特徴とする。
【0013】
この第7の構成の肉の加工食材の製造方法においては、上記スライス肉を串に装着した後に、上記スライス肉の両端部の形を整えるため、さらに見栄えが向上し、型くずれも生じにくくなる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態としての実施例を図面を利用して説明する。
【0015】
本発明の肉の加工食材につき説明する。即ち、肉串(肉の加工食材)1は、図1に示されるように、スライス肉10、竹串20を有している。
【0016】
上記スライス肉10は、豚肉の肉塊をスライスカッターなどによって細巾帯状にスライスしたものである。上記竹串20は、一般的な市販の竹串である。
【0017】
そして、上記竹串20に、上記スライス肉10が時計回り(右巻き)方向に巻き付けられて、全体として上記スライス肉10が上記竹串20に螺旋状に巻装されることによって上記肉串1が形成されている。そのため、外観が略こん棒状となって、ブロック状の肉を何個か串刺しにした肉串に比較して見栄えがよく、脂肪などの分布も均一化することができる。
【0018】
次に、上記肉串1における上記竹串20への上記スライス肉10の巻装方法について説明する。図2に示すように、スライスしてなるスライス肉10の一端側を竹串20に刺し通して、その状態で他端側の上記スライス肉10を時計回り方向へ略一周巻き付ける。そして、図3に示すように、その状態で上記スライス肉10を上記竹串20に刺し通す。
【0019】
そして、図4及び図5に示すように、そのように他端側の上記スライス肉10を竹串20に略一周巻き付けた後に、竹串20に刺し通すのを何周か連続して行って、図6に示すように、全体として上記スライス肉10が竹串20に螺旋状に巻装された状態に形成する。
【0020】
更に、図6の矢印に示すように、上記スライス肉10の上下両端部を手で潰すようにして形を整え、図1に示す状態の肉串1とする。
【0021】
なお、このうような一連の作業は、従前のブロック状の肉に突き通す場合に比べて作業時間はそれほどの違いはなく、大量に製造することが可能である。
【0022】
このように構成することによって、本実施例によれば、スライスしてなるスライス肉10の一端側を竹串20に刺し通して、その状態で他端側の上記スライス肉10を略一周巻き付けた後に竹串20に刺し通し、さらに、他端側の上記スライス肉10を竹串20に略一周巻き付けた後に竹串20に刺し通すのを何周か連続して行って、全体として上記スライス肉10が竹串20に螺旋状に巻装された状態に形成している。そのため、スライス肉10が竹串20に巻き付いて装着されるため一体性を高めることができる。従って、作業時等に肉が串から抜け落ちたりズレてしまうことがなく、作業性を向上させることができる。
【0023】
また、上記スライス肉10が薄く細巾帯状にスライスされた肉であるので、ブロック状の肉の場合に比較して竹串20で突き通すのも容易である。そのため、力を入れすぎて誤って手等を刺してしまうのを防止することができ安全性が高い。さらに、上記スライス肉10が薄く細巾帯状にスライスされた肉であることによって、肉の内部まで容易に熱を通すことが可能となるため、調理時間も短縮することができる。
【0024】
また、上記スライス肉10を竹串20に装着した後に、上記スライス肉10の上下両端部の形を整えているため、上記肉串1の見栄えが向上し、型くずれも生じにくいものとすることができる。
【0025】
次に、本実施例により製造された上記肉串1の調理方法について説明する。具体的な調理方法としては、衣を塗して油揚げされた串カツや唐揚げ、天ぷら等の串揚げ、或いは衣を塗さないで焼き鳥のように直火で焼く串焼き、或いは鍋物やおでん等の種として調理する等多様な態様がある。なお、串焼きとする場合には、上記竹串20の先端部を更に突出させて、焼き鳥器で両端部を支持できるようにする。
【0026】
ここで、上記肉串1を、串カツとして調理する場合の例について説明する。まず、上述した方法で上記肉串1を形成する。そして、メリケン粉、卵、山芋等が混ぜ合わされた所謂バッタにどぶ付けして、さらにパン粉を塗して油で揚げる。そのため、図7に示すように、肉串1の回りに上記衣30が塗された串カツ40が形成される。
【0027】
この場合に、上記串カツ40は、上記肉串1が全体として上記スライス肉10が上記竹串20に螺旋状に巻装されることによって形成されているため、揚げ上がりの状態がふっくらした略こん棒状となって食べやすいとともに、手作り風の旨味感を醸し出すことができる。
【0028】
また、上記肉串1が全体として上記スライス肉10が上記竹串20に螺旋状に巻装されることによって形成されているため、上記衣30の塗し作業時に肉が竹串20から抜け落ちたりズレてしまうことがなく、衣塗しの作業性を向上させることができる。
【0029】
なお、この場合に、上記肉串1は、衣30が塗されるため、若干小さ目に形成されている。具体的には、上記竹串20の全長が15cmであり、巻装後の上記スライス肉10の長さ(図1のL寸法)が7〜8cm程度、上記スライス肉10の直径(図1のD寸法)が1〜1.5cm程度である。串焼きなどにする場合には、それよりも若干大き目にするのが好ましい。
【0030】
なお、本発明は、本実施例の構成のみに限定されるものではなく、多様な態様が可能である。具体的には、本実施例では、上記スライス肉10は豚肉としているが、牛肉や鶏肉等の他の肉であってもよい。
【0031】
また、本実施例では、串として竹串20を使用したものとしているが、他の木材の串やスチール串などであってもよい。
【0032】
また、本実施例では、上記竹串20に上記スライス肉10を時計回り(右巻き)方向に巻き付けているが、左右どちら巻きであっても構わない。
【0033】
また、上記竹串20への上記スライス肉10の巻装時に、ネギやニラ等の他の食材を共巻きしたり、また、塩、コショウ等の任意の香辛料を添加すれば、一層風味感を向上させることができる。
【0034】
【発明の効果】
本発明に基づく請求項1に記載の肉の加工食材においては、細巾帯状にスライスされたスライス肉を、任意の方向へ巻き付けて略一巻き毎に串に刺し通し、全体としてスライス肉が串に螺旋状に巻装して形成されているため、スライス肉と串との一体性が高くなって作業時等に肉が串から抜け落ちたりズレてしまうことがなく、作業性を向上させることができる。また、外観が略こん棒状となるため、見栄えがよく、型くずれも生じにくい。また、薄く細巾帯状にスライスされた肉であるので、ブロック状の肉の場合に比較して串に肉を突き通すのも容易で安全性が高く、さらに、肉の内部まで容易に熱を通すことが可能となる。
【0035】
また、特に、請求項5に記載の串揚げにおいては、上記請求項1又は2又は3又は4に記載の肉の加工食材表面に衣を塗して油揚げしてなされている。そのため、衣を塗す作業時などに肉が串から抜け落ちたりズレてしまうことがないため、衣塗しの作業性を向上させることができる。また、肉の内部まで容易に熱を通すことができるため、揚げ時間の短縮を図ることができる。さらに、揚げ上がりの状態がふっくらした略こん棒状となって食べやすいとともに、手作り風の旨味感を醸し出すことができる。
【0036】
また、特に、請求項6に記載の肉の加工食材の製造方法においては、スライスしてなるスライス肉の一端側を串に刺し通して、その状態で他端側の上記スライス肉を任意の方向へ略一周巻き付けた後に串に刺し通し、さらに、他端側の上記スライス肉を串に略一周巻き付けた後に串に刺し通すのを何周か連続して行って、全体として上記スライス肉が串に螺旋状に巻装された状態に形成しているため、スライス肉と串との一体性が高くなって作業時等に肉が串から抜け落ちたりズレてしまうことがなく、作業性を向上させることができる。また、外観が略こん棒状となるため、見栄えがよく型くずれも生じにくい。また、薄く細巾帯状にスライスされた肉であるので、ブロック状の肉の場合に比較して串に肉を突き通すのも容易で安全性が高く、さらに、肉の内部まで容易に熱を通すことが可能となる。
【0037】
また、特に、請求項7に記載の肉の加工食材の製造方法においては、上記スライス肉を串に装着した後に、上記スライス肉の両端部の形を整えるため、さらに見栄えが向上し、型くずれも生じにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に基づく肉の加工食材の全体構成を示す斜視図である。
【図2】串へのスライス肉の巻装方法を示す説明図である。
【図3】串へのスライス肉の巻装方法を示す説明図である。
【図4】串へのスライス肉の巻装方法を示す説明図である。
【図5】串へのスライス肉の巻装方法を示す説明図である。
【図6】串へのスライス肉の巻装方法を示す説明図である。
【図7】本発明の実施例に基づく串揚げの全体構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 肉の加工食材
10 スライス肉
20 串
30 衣
40 串揚げ
Claims (7)
- 細巾帯状にスライスされたスライス肉を、任意の方向へ巻き付けて一巻き毎に串に刺し通し、全体としてスライス肉が串に螺旋状に巻装して形成されていることを特徴とする肉の加工食材。
- 上記スライス肉の巻装方向が右巻きであることを特徴とする請求項1に記載の肉の加工食材。
- 上記スライス肉の巻装方向が左巻きであることを特徴とする請求項1に記載の肉の加工食材。
- 上記スライス肉が豚肉であることを特徴とする請求項1又は2又は3に記載の肉の加工食材。
- 上記請求項1又は2又は3又は4に記載の肉の加工食材表面に衣を塗して油揚げしてなされたことを特徴とする串揚げ。
- スライスしてなるスライス肉の一端側を串に刺し通して、その状態で他端側の上記スライス肉を任意の方向へ略一周巻き付けた後に串に刺し通し、
さらに、他端側の上記スライス肉を串に略一周巻き付けた後に串に刺し通すのを何周か連続して行って、
全体として上記スライス肉が串に螺旋状に巻装された状態に形成することを特徴とする肉の加工食材の製造方法。 - 上記スライス肉を串に装着した後に、上記スライス肉の両端部の形を整えることを特徴とする上記請求項6に記載の肉の加工食材の製造方法。
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