JP2001181269A - 新規脂環式エポキシ化合物の製造方法 - Google Patents

新規脂環式エポキシ化合物の製造方法

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JP2001181269A JP36871799A JP36871799A JP2001181269A JP 2001181269 A JP2001181269 A JP 2001181269A JP 36871799 A JP36871799 A JP 36871799A JP 36871799 A JP36871799 A JP 36871799A JP 2001181269 A JP2001181269 A JP 2001181269A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 耐候性、耐熱性、及び耐水性等に優れる硬化
物を与える新規な特定構造を有する脂環式エポキシ化合
物の製造方法を提供する。 【解決手段】 下記一般式(1)で表される脂環式エス
テル化合物を酸化剤を用いてエポキシ化反応させること
を特徴とする、下記一般式(3)で表される脂環式エポ
キシ化合物の製造方法。 (式中、nは0または1である。Y1、Y2、Y3、及び
4はそれぞれ独立に、置換基を有してもよい炭素数1
2以下のアルキル基、アリル基、グリシジル基、上記一
般式(2)で表される不飽和脂環基、または下記一般式
(4)で表される脂環式エポキシ基、Y1、Y2、Y3
及びY4のうち、いずれか1つ以上が該脂環式エポキシ
基であり、且つ該脂環式エポキシ基とグリシジル基の数
の和が2以上4以下である。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な脂環式エポ
キシ化合物の製造方法に関する。さらに詳しくは、塗
料、電気部品、接着剤、複合材料等の架橋構造形成剤と
して好適に使用できる、新規な脂環式エポキシ化合物の
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、電気絶縁材、各種注型成型
材、塗料等に用いられる架橋構造形成剤として、熱や光
で架橋反応を起こす反応性官能基を有する化合物が広く
用いられており、近年、その種類及び用途はさらに拡大
の傾向にある。例えば、塗料分野においては、高い耐候
性を有する硬化物を形成する架橋構造形成剤が強く望ま
れており、また、電気絶縁材分野においては高い熱変形
温度と低い吸水率を有する硬化物を形成する架橋構造形
成剤が用いられている。
【0003】一般に、これら架橋構造形成剤と反応する
硬化剤等との架橋反応時に副成物がでない付加反応を行
うものが好ましく、且つその使用前においては一定の保
存安定性を有する架橋構造形成剤が必要とされている。
これら架橋構造形成剤としては、例えば、アリル基やグ
リシジル基を架橋に関わる反応性官能基として有してい
る化合物が好ましく、実際にこれらの反応性官能基を有
する化合物が広く利用されている。
【0004】例えば、グリシジル基を有する化合物とし
ては、ビスフェノールAから誘導されるジグリシジルエ
ーテル等のエポキシ樹脂が広く用いられている。しかし
ながら、ビスフェノールA等のフェノール系化合物から
誘導されるエポキシ樹脂は、紫外線により変色する等、
耐候性に関して低いレベルにあり、屋外での使用には制
限がある。
【0005】また、高い耐候性を有する硬化物を形成す
るグリシジル基を有する架橋構造形成剤として、例え
ば、トリグリシジルイソシアヌレート、テレフタル酸ジ
グリシジルエステル、さらにはトリメリット酸トリグリ
シジルエステル等、フェノール系以外の化合物から誘導
されるグリシジル化合物が提案されている。これらは、
硬化物の耐候性が高く、塗料分野において広く用いられ
ている。しかしながら、例えば耐水性に十分ではなく、
電気絶縁分野においては吸水性の点で十分ではない。ま
た、これらグリシジルエステル化合物は、一般的にはト
リメリット酸等のカルボン酸とエピクロルヒドリンによ
り製造されており、イオン性塩素、有機結合性塩素、さ
らにはクロルヒドリン構造となった加水分解性塩素を含
有しており、例えば電気絶縁材分野等に用いる場合は制
限がある。
【0006】本発明者らは、高い耐候性及び低い吸水性
を有する、塗料及び電気絶縁材に用いることができる架
橋構造形成剤に関する検討を行った。本発明者らは、3
官能以上の反応性置換基が結合する化合物に着目し、特
に高い耐候性を硬化物に付与するトリメリット酸トリグ
リシジルエステルのその硬化物の有する耐候性、及び耐
熱性を保持させ、吸水性を低下させるべく、鋭意検討を
行った。
【0007】その結果、トリメリット酸トリグリシジル
エステル等の3官能以上のグリシジルエステル化合物の
該グリシジル基を一部又はすべて下記一般式(4)で表
される特定の構造を有する脂環式エポキシ基に置換した
化合物は、その硬化物が、高い耐候性、耐熱性、及び低
吸水性を有することを見出し、塗料や電気絶縁材料等に
有用に用いられることを見出した。
【0008】
【化6】 (式中、mは1及び2から選ばれる整数。)
【0009】しかしながら、例えばトリメリット酸トリ
グリシジルエステル等のグリシジルエステル化合物はト
リメリット酸又は無水トリメリット酸に対し、例えばア
ルカリの存在下でエピクロルヒドリンを反応させること
により、収率よく得られることができることは周知であ
るが、上記特定の構造を有する脂環式エポキシ基をエス
テル結合を介して有するエポキシ化合物の製造方法は知
られていなかった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
【化7】
【0011】本発明らは、上記に示した特定構造の脂環
式エポキシ基をエステル結合を介して含有する新規な脂
環式エポキシ化合物の製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記脂環
式エポキシ基を有するエステル化合物の製造方法に関し
鋭意検討した。その結果、上記グリシジル基等のエポキ
シ基を有しておらず、且つ炭素−炭素不飽和2重結合を
有する不飽和脂環基結合させた脂環式エステル化合物に
対して、酸化剤を用いて該2重結合をエポキシ化するこ
とにより、上記耐候性、耐熱性、及び低吸水性を有する
硬化物を形成することができる化合物が得られることを
見出し本発明に至った。さらに、2,3−エポキシシク
ロヘキサノール等のあらかじめエポキシ基を有したアル
コール化合物をトリメリット酸トリアルキルエステル等
に反応させる方法においても、上記脂環式エポキシ化合
物が得られることを見出し本発明に至った。
【0013】即ち、本発明は以下の通りである。1.下
記一般式(1)で表される脂環式エステル化合物を酸化
剤を用いてエポキシ化反応させることを特徴とする、下
記一般式(3)で表される脂環式エポキシ化合物の製造
方法。
【0014】
【化8】
【0015】(式中、nは0または1である。X1
2、X3、及びX4はそれぞれ独立に、置換基を有して
もよい炭素数12以下のアルキル基、アリル基、または
下記一般式(2)で表される不飽和脂環基であり、
1、X2、X3、及びX4のうち、いずれか1つ以上が該
不飽和脂環基であり、且つ該不飽和脂環基とアリル基の
数の和が2以上4以下である。)
【0016】
【化9】 (式中、mは1及び2から選ばれる整数を表す。)
【0017】
【化10】
【0018】(式中、nは0または1である。Y1
2、Y3、及びY4はそれぞれ独立に、置換基を有して
もよい炭素数12以下のアルキル基、アリル基、グリシ
ジル基、上記一般式(2)で表される不飽和脂環基、ま
たは下記一般式(4)で表される脂環式エポキシ基、Y
1、Y2、Y3、及びY4のうち、いずれか1つ以上が該脂
環式エポキシ基であり、且つ該脂環式エポキシ基とグリ
シジル基の数の和が2以上4以下である。)
【0019】
【化11】 (式中、mは1又は2から選ばれる整数を表す。)
【0020】2.酸化剤が過酸化水素であることを特徴
とする前記1.記載の脂環式エポキシ化合物の製造方
法。
【0021】3.酸化剤が過カルボン酸であることを特
徴とする前記1.記載の脂環式エポキシ化合物の製造方
法。
【0022】4.下記一般式(5)で表されるアルキル
エステル化合物と、2,3−エポキシシクロペンタノー
ル及び2,3−エポキシシクロヘキサノールから選ばれ
る少なくとも1種の脂環式エピノール化合物、又は該脂
環式エピノール化合物と2,3−エポキシプロパノール
を反応させることを特徴とする前記1.記載の脂環式エ
ポキシ化合物の製造方法。
【0023】
【化12】
【0024】(式中、nは0または1である。また、R
1、R2、R3、及びR4は、それぞれ独立に置換基を有し
てもよい炭素数12以下のアルキル基を表す。)
【0025】以下、本発明を詳細に説明する。本発明で
用いられる脂環式エステル化合物は、一般式(1)で表
され、該式中中のX1、X2、X3、及びX4はそれぞれ独
立に、置換基を有してもよい炭素数12以下のアルキル
基、アリル基、又は上記一般式(2)で表される不飽和
脂環基である。また、該式中のnは0または1である。
【0026】本発明においては、上記一般式(2)で表
される不飽和脂環基が1つ以上含まれることが必須であ
る。特に該不飽和脂環基が2以上が好ましく、例えば上
記一般式(1)においてnが0の場合は、X1、X2、及
びX3が該不飽和脂環基であることが好ましい。不飽和
脂環基の数が増加するに従い、誘導されるエポキシ化合
物を硬化してなる硬化物の耐熱性や耐水性及び機械的特
性が向上する傾向にある。また、上記一般式(2)中の
mは1の場合が、耐熱性や耐水性が向上する点で望まし
い。
【0027】また、本発明においては、上記一般式
(1)で表されるX1、X2、X3、及びX4のうち、不飽
和脂環基とアリル基の和が2以上4以下である。アリル
基は、本発明の製造方法において、通常グリシジル基に
変化し、該エポキシ化合物を硬化する際には架橋反応基
として作用する。しかしながら、上記に示したように、
不飽和脂環基の数が多い方が好ましく、従ってアリル基
は、上記一般式(1)中のnが0の場合は2以下であ
り、好ましくは0が好ましい。また、nが1の場合はア
リル基の数は3以下であり、好ましくは1以下が好まし
く、特に0が好ましい。
【0028】本発明においては、上記アルキル基の含ま
れる個数は、上記一般式(1)において、nが0の場合
には0又は1であり、nが1の場合は0〜2である。上
記一般式(1)において、例えばnが0の場合に該アル
キル基が1を越える場合には、本発明の製造方法により
得られる脂環式エポキシ化合物の反応基数が1以下とな
り、得られる硬化物の機械的強度が低くなる傾向にあ
る。また、該アルキル基の炭素数が12を越える場合に
は最終的に得られるエポキシ化合物の成型時の粘度が高
くなったり、また、得られる硬化物の耐熱性が低下する
傾向にある。
【0029】該アルキル基としては、メチル基、エチル
基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、
シクロヘキシル基、オクチル基等が挙げられる。また、
該アルキル基には、エポキシ化合物へ誘導する場合に阻
害効果を示したり、最終的に得られるエポキシ化合物か
らなる硬化物の耐候性や耐水性に影響を及ぼさない範囲
で置換基を有してもよい。これら置換基としては、例え
ばハロゲン基、ニトロ位、ニトリル基、アルコキシル
基、等が挙げられる。
【0030】本発明においては、上記説明した脂環式エ
ステル化合物に対して、酸化剤を用いてエポキシ化反応
させることにより、脂環式エポキシ化合物を製造するこ
と特徴とする。本発明で、用いられる酸化剤としては、
該脂環式エステル化合物に含有される不飽和脂環基中の
炭素−炭素不飽和2重結合をエポキシ化できるものであ
れば特に制限はない。これら酸化剤としては、例えば、
t−ブチルハイドロパーオキサイド、シクロヘキセンハ
イドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド
等の有機過酸化物、過蟻酸、過酢酸、過プロピオン酸、
トリフルオロ過酢酸、m−クロロ過安息香酸等の過カル
ボン酸類、過酸化水素及び分子状酸素等が挙げられる。
中でも、反応性、選択性、精製が容易等の点で、酸化剤
は過酸化水素、又は過カルボン酸類であることが好まし
い。
【0031】炭素−炭素不飽和2重結合をエポキシ化す
る他の方法として、例えば、該2重結合部にクロロヒド
リンを付加させたハロヒドリン化合物を一旦生成させ、
ついでアルカリで脱塩酸することによりエポキシ化合物
を得るハロヒドリン法が一般的に知られている。しかし
ながら、該ハロヒドリン法の場合、例えば後段の脱塩酸
工程後に未反応のハロヒドリン構造が得られるエポキシ
化合物中に残留し、加水分解性ハロゲンが生成物中に残
留する傾向にある。特に、本発明で得られる脂環式エポ
キシ化合物は沸点が高く、通常の蒸留操作が困難であ
り、上記ハロヒドリン構造が不純物として含有される場
合には精製が困難となる。
【0032】以下、該酸化剤が過酸化水素の場合の説明
をする。酸化剤が過酸化水素の場合は、通常、各種エポ
キシ化触媒が併用して用いられる。該エポキシ化触媒と
しては、上記2重結合に対するエポキシ化が過酸化水素
の存在下で十分に進行するものであれば、本発明では公
知のものが使用でき、特に制限はない。例えばチタノシ
リカライト等のチタン系化合物(例えば、当業者であれ
ば周知である、チタンをシリカに担持させた市販触媒T
S−1)、タングステン酸やその塩、燐タングステン酸
やその塩等のタングステン含有化合物、モリブデン酸や
その塩、燐モリブデン酸やその塩等のモリブデン含有化
合物、ヘテロポリ酸、バナジウム含有化合物、レニウム
含有化合物、コバルト含有化合物、砒素系化合物、硼素
系化合物、アンチモン系化合物、遷移金属ポルフィリン
錯体等が挙げられる。これらは単独で用いても2種以上
を混合して用いてもよく、また、タングステン酸やモリ
ブデン酸又はそれらの塩をエポキシ化触媒として用いる
場合は、燐酸等の酸類を併用して用いても良い。
【0033】これら触媒の使用量は、通常、本発明の脂
環基含有化合物100重量部に対し、0.001〜30
重量部、望ましくは0.01〜20重量部の範囲とする
ことが適当である。
【0034】本発明においては過酸化水素と上記触媒と
を用いたエポキシ化を行う場合は、溶媒を用いること
が、反応速度が速く、且つ反応液の取り扱いが容易であ
る点で望ましい。この際、用いる溶媒は、該前駆体や得
られるエポキシ化物に対し、通常約0.1重量%以上の
溶解度があり、副成物を発生させないものであれば特に
制限はなく、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等
の芳香族炭化水素化合物、ヘキサン、シクロヘキサン等
の脂肪族炭化水素化合物、クロロホルム、塩化メチレ
ン、四塩化炭素、ジクロロエタン、テトラクロロエタ
ン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化
炭化水素化合物、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸
ブチル等の酢酸エステル類、エチレングリコールジメチ
ルエーテル等のエーテル類が使用できる。これら溶媒の
使用量は特に制限はないが、通常、本発明の脂環基含有
化合物1gあたり、0.1〜200mlの範囲である。
【0035】また、用いる過酸化水素は、濃度が0.0
1〜100%の状態のものが好適に用いられるが、通
常、5〜80%、望ましくは25〜70%の水溶液の状
態のものが、工業的に容易に入手でき、また特殊な設備
等を必要としない点で最も好適に使用できる。該過酸化
水素の使用量は、原料として用いる脂環式エステル化合
物中の炭素−炭素2重結合に対し、理論的には1当量で
あるが、通常1.01〜1:10、望ましくは1:1.
01〜1:2の範囲で使用される。
【0036】上記触媒、溶媒、及び過酸化水素の水溶液
を用いてエポキシ化反応を行うことにより本発明の脂環
基含有化合物を得る上記反応は、通常、油相−水相から
なる2相系の反応であるため、攪拌効率がエポキシ化反
応速度に大きく影響する。本発明では、攪拌速度を速め
たり、バッフル付き反応器を用いる等により攪拌効率を
高めエポキシ化反応速度を速めることが有用である。
【0037】また、上記触媒として、燐タングステン
酸、タングステン酸ナトリウム等のタングステン含有化
合物や、モリブデン含有化合物を用いた場合には、エポ
キシ化の反応速度を速める目的でオニウム塩等の相間移
動触媒を併用することが望ましい。該オニウム塩として
は、例えば一般式R1234+-(R1〜R4は炭素
数1〜50の水酸基を有していても良いアルキル基であ
り、それぞれ同一又は異なっていてもよい。Mは窒素又
は燐を表し、Q-はハロゲンイオン又は無機アニオンを
示す。)で表される4級アンモニウム塩や4級ホスホニ
ウム塩が挙げられる。該オニウム塩中のアルキル基とし
ては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチ
ル基、オクチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
また該ハロゲンイオンとしては、塩素イオン、臭素イオ
ン、沃素イオン等を、さらに該無機イオンとしては水酸
イオン、亜硫酸イオン等が挙げられる。該4級アンモニ
ウム塩の具体例としては、セチルピリジニウム塩、トリ
オクチルメチルアンモニウム塩、テトラヘキシルアンモ
ニウム塩、テトラプロピルアンモニウム塩、テトラブチ
ルアンモニウム塩、アルキルピコリニウムアンモニウム
塩、アルキルイミダゾリン塩等が挙げられる。また、4
級ホスホニウム塩の具体例としては、テトラブチルホス
ホニウム塩、テトラプロピルホスホニウム塩、トリオク
チルメチルホスホニウム塩、トリオクチルエチルホスホ
ニウム塩、テトラヘキシルホスホニウム塩等を挙げるこ
とができる。これらは1種又は2種以上で用いられる。
これらオニウム塩は、用いる脂環基含有化合物に対し、
通常0.001〜30重量%、望ましくは0.01〜1
5重量%で用いられる。
【0038】また、上記タングステン酸ナトリウムや燐
タングステン酸等のエポキシ化触媒と上記相関移動触媒
とを混合することによりタングステン酸オニウム塩等を
調整しておき、ついで、反応系に添加する方法を用いて
もよい。
【0039】上記、油相−水相からなる2相系において
エポキシ化反応を行う場合、過酸化水素が含まれる水相
側は、pHが0.3〜6、さらには0.5〜5、特に
1.0〜4の範囲であることが望ましい。pHが6以上
の場合はエポキシ化反応速度が遅く、また、pHが0.
3以下の場合は、生成したエポキシ基が反応系内で開裂
する傾向にあるため望ましくない。上記水相のpHは、
例えば燐酸や塩酸により調整することができる。
【0040】上記過酸化水素を用いる反応は、過酸化水
素の自己分解速度が低く抑えられる温度範囲であれば特
に制限はないが、例えば、5〜80℃、特に10〜75
℃、さらには15〜70℃の範囲が望ましい。また、該
反応は常圧で行ってもよいし、例えばオートクレーブ中
で加圧下で行ってもよい。反応時間は、用いる本発明の
脂環式化合物や触媒量、過酸化水素濃度及び温度等の反
応条件によっても左右されるが、通常、0.5〜500
時間、望ましくは0.5〜100時間の範囲が適当であ
る。
【0041】以上説明した合成法により得られる反応生
成物は、濾過、溶媒抽出法、水洗浄、アルカリ水による
洗浄法、シリカゲル等を用いたカラム分離法、イオン交
換樹脂による精製法、冷却沈降法等の一般に周知の手段
を組み合わせることにより容易に精製できる。
【0042】また、本発明においては、上記一般式
(5)で表されるアルキルエステル化合物と、下式で表
される脂環式エピノール化合物である、2,3−エポキ
シシクロペンタノール及び2,3−エポキシシクロヘキ
サノールから選ばれる少なくとも1種の脂環式エピノー
ル化合物、又は該脂環式エピノール化合物と下式(6)
で表される2,3−エポキシプロパノール等のエピノー
ル化合物を用いてエステル交換反応させることにより、
上記一般式(1)で表される脂環式エポキシ化合物を得
る方法を提供できる。
【0043】
【化13】
【0044】
【化14】
【0045】上記一般式(5)中、R1、R2、R3、及
びR4は、炭素数12以下の該アルキル基としては、メ
チル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル
基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基等が挙
げられる。これらR1、R2、R3、及びR4で表されるア
ルキル基は、同一であってもよく、各々独立に異なって
いても良い。
【0046】上記エステル交換反応においては、該アル
キル基は反応後にアルコール化合物として脱離する。一
般的にエステル交換反応は平衡反応であり、平衡を生成
物側に有利にするために、原料として用いるエピノール
化合物の量を当量と比較し比較的多く用いたり、生成す
る該アルキル基由来のアルコール化合物を反応系外に除
去した場合に、反応速度やエステル化合物の収率が増加
する。従って、本発明においては、反応の結果生成する
該アルキル基由来のアルコール化合物が、例えば減圧法
等で反応系外へ除去できるものが望ましく、そのような
アルキル基としてメチル基、エチル基、プロピル基、ブ
チル基、ペンチル基、ヘキシル基が望まく、特にメチル
基、エチル基、プロピル基、及びブチル基が望ましい。
【0047】また、該アルキル基には、エステル交換反
応に際し反応の阻害効果を示さない範囲で置換基を有し
ていてもかまわない。これら置換基の例としては、例え
ばハロゲン基、ニトロ位、ニトリル基、アルコキシル
基、等が挙げられる。
【0048】本発明の脂環式エポキシ化合物の製造方法
において、用いられる上記原料となるアルコール化合物
の使用量は、量論的には原料エステル化合物に対し3倍
モルであるが、エステル交換反応の平衡を生成系に有利
にするため、通常3倍モル以上100倍モル以下が好ま
しく、さらには3.3倍モル以上60倍モル以下、特に
6倍モル以上24倍モル以下が好ましい。しかしなが
ら、例えば、グリシジル基と脂環式エポキシ基を同時に
含有するような本発明の脂環式エポキシ化合物を製造す
る場合には、2,3−エポキシプロパノール及び脂環式
エピノールを所望の比率となるように同時に仕込んでも
よいし、一方の原料のみでエステル交換反応をしてお
き、後工程としてもう一方の原料エピノール化合物を用
いてエステル交換をして製造してもよく、このように2
段で反応させる場合には、所望の構造の脂環式エポキシ
化合物が得られれば、上記エピノール化合物の使用量に
限定されるものではない。
【0049】また、本発明の製造方法で用いられる上記
一般式(3)で表される化合物は、酸価が0.1当量/
100g以下であることが好ましく、さらに好ましくは
0.005当量/100g以下、特に好ましくは0.0
01当量/100g以下である。本発明では該酸価が0
である場合が最も好ましいが、上記一般式(3)で表さ
れる化合物は、通常、未反応の残留カルボン酸基や加水
分解して生成したカルボン酸基を含有する化合物が不純
物として含有されており、該カルボン酸に由来する酸価
を有している場合が殆どである。該酸価が0.1当量/
100gを越えるような高い値の場合には、原料に用い
るエピノール化合物のエポキシ環が、開裂、さらには重
合し、分離困難な高沸物が生成する傾向にある。
【0050】上記本発明でいう酸価とは、化合物100
g中に含有される含有酸当量であり、「官能基別有機化
合物定量法の実際」(ヴァイス著、江島昭訳、廣川書店
発行、初版)第1部第5章記載の方法で定量される。具
体的には、本発明で用いられる酸価は、フェノールフタ
レインエタノール溶液を指示薬として用い、試料Wgを
2−プロパノール25mlに溶解し、氷水で冷却しなが
ら、予め規定度を求めたN規定の水酸化ナトリウムアル
コール性溶液(2−プロパノールの体積:水の体積=
1:1)により滴定を行い、終点における該水酸化ナト
リウムアルコール性溶液の滴定量Amlから、下式によ
り求める。 酸価(当量/100g)=(A×N)/(10×W))
【0051】本発明の上記エステル交換による製造方法
においては、一般に使用される公知のエステル交換触媒
が好適に使用できる。
【0052】そのような触媒としては、例えばアルカリ
金属類の水素化物類、酸化物類、水酸化物類、アルコレ
ート類、アミド類又は塩類が挙げられる。該アルカリ金
属類としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビ
ジウム及びセシウムが挙げられ、特にリチウム、ナトリ
ウム、及びカリウムが好適に使用できる。本発明におい
ては、用いるエピノール化合物によるアルコレート類を
用いてもよい。また、アルカリ金属類の塩類としては有
機酸類又は無機酸類のものであり、例えば、酢酸塩、プ
ロピオン酸塩、安息香酸塩、ステアリン酸塩、炭酸塩
類、炭酸水素塩類、リン酸塩、硼酸塩、C1〜C4の第
一錫酸塩類又はアンチモン酸塩類、第二錫酸塩等が挙げ
られる。本発明においては、これらの中で、アルカリ金
属類の水酸化物類、酸化物類、アルコレート類、炭酸塩
類、炭酸水素塩類が特に好適に使用でき、アルコレート
類、水酸化物類、がさらに好適に使用できる。これら触
媒は、本発明においては、反応させる反応混合物に対
し、通常、0.0001〜20重量%、好適には0.0
01〜10重量%、特に好適には0.005〜5重量%
の量で使用される。
【0053】また、クラウンエーテル類やポリエチレン
グリコール類等のアルカリ金属化合物を錯体にさせる物
質を加えて用いてもよい。このような錯体形成剤はアル
カリ金属化合物に対し、0.1〜200モル%の範囲で
使用できる。
【0054】また、本発明の製造方法でにおいて、チタ
ン、錫またはジルコニウムの塩類又は錯体類を触媒とし
て好適に使用することもできる。このような触媒系の例
としては、チタンアルコキシド類、酢酸チタン、アセチ
ルアセトン酸チタン、ブチル錫酸、錫アルコキシド類、
ジメチル錫、酸化ジブチル錫、ジラウリン酸ジブチル
錫、水素化トリブチル錫、塩化トリブチル錫、ジルコニ
ウムアルコキシド類、ジルコニウム(IV)ハライド類、
硝酸ジルコニウム類、アセチルアセトン酸ジルコニウ
ム、等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、又
は一種以上の混合物で用いても構わない。上記各アルコ
キシド類としては、メトキシド、エトキシド、プロポキ
シド、ブトキシド等が挙げられる。本発明においては、
チタンアルコキシド類、、錫アルコキシド類、酸化ジブ
チル錫、ジルコニウムアルコキシド、が特に好適に使用
でき、チタンアルコキシド類、酸化ジブチル錫がさらに
好適に使用できる。本発明においては、これら触媒の使
用量は反応混合物に対し、0.01〜20重量%、好適
には0.1〜10重量%の範囲である。
【0055】また、本発明の製造方法で使用できる触媒
として、米国特許第4062884号に記載されている
ような、窒素含有塩類を使用しても良よい。これらの例
としては、トリエチルアミン、トリブチルアミン、メチ
ルベンジルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン等で
ある。これらは、本発明においては、反応混合物に対し
0.0001〜10重量%の範囲で使用できる。
【0056】さらに、本発明の製造方法において使用で
きる触媒として、タリウム化合物、例えば、酸化物類、
水酸化物類、炭酸塩類、臭化物類、塩化物類、フッ化物
類、シアン酸塩類、ホスホン酸塩類、酢酸塩類、硝酸塩
類、タリウムメチレート、タリウムエチレート、等が使
用できる。これらの使用量は、一般的に反応混合物に対
し0.0001〜10重量%である。
【0057】さらに、本発明で使用できる触媒として、
第3級アミン類や第4級アンモニウム基を官能基として
有するイオン交換樹脂や、酸化アンチモン等のアンチモ
ン系化合物類、酢酸マンガン等のマンガン系化合物類、
トリブチルホスフィンやトリフェニルホスフィン等のホ
スフィン類、トリメチルアルシン、トリブチルアルシ
ン、トリフェニルアルシン等のアルシン類、トリフェニ
ルスチビン等のスチビン類、ジフェニルスルフィド、ジ
フェニルジスルフィド等の硫黄化合物類、ジフェニルセ
レニド等のセレン化合物類、トリフェニルホスホニウム
ハライド(塩素又は臭素)、テトラフェニルホスホニウ
ムハライド(塩素、臭素、又は沃素)、テトラフェニル
アルソニウムハライド(塩素、臭素、及び沃素)等のオ
ニウム塩が挙げられる。
【0058】本発明のエステル交換による製造方法、反
応温度は、通常、50〜200℃の範囲である。好適な
温度範囲は70〜170℃、特に好適には80〜150
℃の範囲である。温度が200℃を越える場合には、エ
ピノール化合物のエポキシ環が開裂する等の副反応が起
こる傾向にあり収率が低下する。また、50℃以下では
反応速度が遅く、工業的生産性が低い。該反応温度は、
一定で行っても構わないし、段階的又は連続的に温度を
変化させる方法で温度制御を行ってもよい。
【0059】また、本発明の反応系は加圧系、常圧系、
又は減圧系である。特に本発明の望ましい方法は常圧又
は減圧系であり、例えば常圧から徐々に減圧状態にする
ことにより、エステル交換により生成するアルキルアル
コール類を反応系から除去することにより平衡反応を生
成系に有利にする方法が望ましい。
【0060】また、常圧系で反応を行う際には、反応雰
囲気下や反応液中に窒素等の不活性ガスをバブリングし
たり、反応雰囲気下に対する液面積を増加させる等、公
知の方法により反応液中からエステル交換により生成す
るアルキルアルコール類を除去することが、反応生成速
度及び収率を向上させる点で望ましい。また、本発明に
おいては、原料に用いる上記一般式(5)で表されるエ
ステル化合物の転化率が30%以上、さらには50%以
上、特に70%以上まで常圧で反応させ、ついで減圧に
することにより転化率を向上させる方法を行ってもよ
い。
【0061】また、減圧で反応を実施する際は、原料と
して用いるエピノール化合物が、反応の結果生じるアル
キルアルコール類と同時に反応系から除去される傾向と
なる場合には、反応系内に原料エピノール化合物が不足
しないように注意する必要がある。
【0062】減圧時の真空度は、該エステル交換により
生成するアルキルアルコールの蒸気圧や原料として用い
るエピノール化合物、さらには反応温度にも左右される
が、通常、0.01torr〜常圧、の範囲であり、特
に1torr以上が好適である。
【0063】また、本発明においては、上記減圧法を実
施した場合には、特に反応後期もしくは反応終了後に最
も高真空にすることにより、反応系に残留する原料に用
いた過剰のアルコール化合物の余剰分やエステル交換の
結果生じたアルキルアルコール類を反応系から除去して
もよい。
【0064】さらに、本発明においては上記エステル交
換反応時に、反応を阻害したり、生成物に影響を及ぼさ
ない範囲で、溶媒を用いても構わない。このような溶媒
としては、例えばトルエン、キシレン、エチルベンゼン
等の炭化水素類やこれらのハロゲン化物等である。
【0065】本発明においては、上記エステル交換反応
において得られる本発明の化合物がその用途において悪
影響を及ぼさない範囲で、原料エピノール化合物やエス
テル交換で生じるアルキルアルコール類、及び触媒が残
留していても構わない。また、触媒は水等の各種溶剤で
の洗浄、液−液抽出法、不均一触媒の場合は濾過法、イ
オン交換樹脂法、シリカゲル等による吸着法等の公知の
方法により除去することができる。また、これら触媒の
除去を行う際には、反応生成物を溶媒で希釈して実施し
てもよい。該溶媒は、生成物を変性させないものであれ
ば特に制限はなく、ヘキサン、トルエン、キシレン等の
炭化水素類や、アセトン等のケトン類、酢酸エチル等の
エステル類、塩化メチレンやクロロホルム等のハロゲン
化炭化水素等が好適に使用できる。
【0066】以上説明した方法により、新規な構造を有
する脂環式エポキシ化合物を高収率で得ることができ
る。以下、本発明を実施例により説明する。
【0067】
【実施例】1.核磁気共鳴スペクトル 反応生成物の核磁気共鳴スペクトルは、テトラメチルシ
ランを基準物質とし、重クロロホルムを溶媒として用い
て、日本電子製JNM−α400(400MHz)で1
H−NMRスペクトルのデータを得た。
【0068】2.赤外吸収スペクトルの測定(IR) 反応生成物を臭化カリウム板に塗布し、Nicolet
Instrument Corporation社製F
T−IRスペクトロメーター、Impact400Dで
測定した。
【0069】3.液体クロマトグラフィーの測定 試料をメタノールに溶解した溶液を、下記条件で展開・
検出することにより分析を行った。 検出器 :島津製作所社製SPD−6A 検出波長 :254nm 展開液 :メタノール/水=8/2(体積比) 展開液流速:1ml/分 カラム :日本分光社製Finepak SIL C
18S カラム温度:40℃
【0070】4.エポキシ当量の測定 化合物0.5000g、n−プロピルアルコールを50
ml、ベンジルアルコール3ml、及びヨウ化カリウム
0.2gを蒸留水に溶解した溶液をを混合し、加熱する
ことにより還流させ、ついで、指示薬としてBTB溶液
を添加し、0.1Nの塩酸を用いて、滴定を行うことで
当量点を求める、指示薬滴定法によりエポキシ当量を測
定した。
【0071】実施例1 <原料脂環式エステル化合物の合成>攪拌装置、温度
計、窒素ガス導入管、及び蒸留用冷却管付きト字管を付
した500mlの4つ口フラスコに、酸価0.0000
4当量/100gであるトリメリット酸トリメチルを1
26g(0.50モル)、3−ヒドロキシシクロヘキセ
ンを294g(3.0モル)、水酸化リチウムを0.6
g(0.025モル)を仕込んだ。ついで、上記窒素導
入管の先端を反応液内に入るように設定し、窒素ガスを
流すことにより液をバブリングした。
【0072】攪拌しながら、反応液温度が95℃になる
ようにフラスコを加熱し、95℃において6時間、10
5℃で3時間、115℃で3時間反応させた。この間、
蒸留用冷却管を通じ、3−ヒドロキシシクロヘキセンを
含有するメタノールが留出した。ついで、窒素のバブリ
ングを停止し、蒸留用冷却管の先端からトラップを介
し、減圧ラインを設置し、温度を115℃に保持したま
ま、10torrまで約4時間かけて真空度を低下さ
せ、10torrにおいて2時間保持した。
【0073】反応終了後、フラスコ温度を室温に冷却
し、ヘキサン200mlを添加し、生成物を溶解後、1
リットルの分液ロートへ移し、さらにヘキサン150m
lを添加した。そして、蒸留水300mlで加えヘキサ
ン層を洗浄する操作を5回行った。得られたヘキサン層
を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、エバポレートするこ
とによりヘキサンを除去した結果、淡黄色の粘性液体を
224g得た。
【0074】液体クロマトグラフィーの測定の結果、原
料のトリメリット酸トリメチルは全く観測されず、転化
率は100%であった。さらに、検出されたピーク全体
の面積に対する主生成物ピークの面積比は96%であっ
た。
【0075】上記得られた化合物のIR測定結果を図1
に示した。さらに、各磁気共鳴スペクトルの測定を行
い、下記に示す結果を得た。また、得られたスペクトル
を図2に示した。参考に、原料に用いたトリメリット酸
トリメチルの核磁気共鳴スペクトルを図3に示した。
【0076】<1H−NMRスペクトル> δ(ppm):7.70〜8.60(3H、芳香環中の
炭素原子上にあるプロトン) δ(ppm):5.80〜6.15(6H、脂環基中の
炭素−炭素不飽和2重結合を形成する炭素上のプロト
ン) δ(ppm):5.45〜5.60(3H、脂環基中の
エステル酸素原子に結合する炭素上のプロトン) δ(ppm):0.80〜2.25(18H、脂環基中
の炭素−炭素不飽和2重結合を形成しておらず且つエス
テル酸素原子に結合していない炭素原子上のプロトン) δ(ppm):7.25〜7.30(測定時に用いた溶
媒クロロホルムに由来するプロトン) 以上の結果から、上記反応で得られた粘性液体は下式
(7)で得られる脂環式エステル化合物である。
【0077】
【化15】
【0078】<過カルボン酸による脂環式エポキシ化合
物の合成>上記得られた化合物4.50gを100ml
のクロロホルムに溶解し、該溶液を水で冷却しながら、
乾燥m−クロロ過安息香酸1.90gを添加し、室温中
で、12時間攪拌した。
【0079】反応終了後、上記反応液に1.1gの水酸
化カルシウムを添加し、1時間攪拌後、該溶液を濾過処
理し、ついでクロロホルムを減圧除去することにより、
無色透明な高粘性液体4.92gを得た。
【0080】該化合物のエポキシ当量を測定したとこ
ろ、171g/当量であり、エポキシ化合物が生成して
いた。
【0081】また、得られた化合物のIR測定結果を図
4に示した。さらに核磁気共鳴スペクトルの測定を行
い、以下の結果を得た。また、得られたスペクトルを図
5に示した。
【0082】<1H−NMRスペクトル> δ(ppm):7.70〜8.60(3H、芳香環中の
炭素原子上にあるプロトン) δ(ppm):5.25〜5.50(3H、脂環基中の
エステル酸素原子に結合する炭素上のプロトン) δ(ppm):3.20〜3.55(6H、脂環基中の
エポキシ酸素に結合する炭素上のプロトン) δ(ppm):0.90〜2.20(18H、脂環基中
のエポキシ酸素に結合しておらず且つエステル酸素原子
に結合していない炭素原子上のプロトン) δ(ppm):7.25〜7.30(測定時に用いた溶
媒クロロホルムに由来するプロトン) 以上の結果から、上記反応で得られた粘性液体は下式
(8)で得られる脂環式エステル化合物である。
【0083】
【化16】
【0084】実施例2 <過酸化水素による脂環式エポキシ化合物の合成>攪拌
装置、温度計を付した500mlの三口フラスコに、タ
ングステン酸ナトリウム(Na2WO4・2H2O)を
1.649g(5ミリモル)、30%過酸化水素水5
1.0gを入れ、黄色溶液を作成した。ついで、85%
リン酸水溶液を添加し、該水溶液のpHを1.8に調整
した。
【0085】一方、トルエン400ml、CH3
[(CH27CH33Cl(アルドリッチ社製、Ali
quat336)1.617g(4ミリモル)、及び実
施例1で得られた脂環式エステル化合物45.0g
(0.1モル)からなる均一溶液を調整した。これを上
記水溶液に滴下ロートを用いて、約30分かけて滴下し
た。滴下終了後、42℃の高温槽中で攪拌し、約36時
間かけて反応を終了させた。
【0086】反応終了後、分液ロートを用いてトルエン
層を分離し、1Nのチオ硫酸ナトリウム水溶液100m
l、蒸留水300ml、1Nの炭酸水素ナトリウム水溶
液100ml、蒸留水400mlの順で該トルエン溶液
を洗浄した。
【0087】この用にして得られたトルエン溶液を無水
硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過により無水硫酸マグネ
シウムを除去し、該溶液に200mlのトルエンを加え
て希釈し、さらに乾燥シリカゲルを400g加えた。1
時間攪拌後、濾過により該シリカゲルを除去し、濾液と
して得られたトルエン溶液をエバポレートすることによ
りトルエンを除去し、ほぼ無色に近い透明な高粘性液状
の化合物を48.8g得た。液体クロマトグラフィーの
分析の結果、主生成物の純度は95.1%であった。ま
た、エポキシ当量の測定の結果、172g/当量であっ
た。
【0088】また、得られた液体のIRスペクトルの測
定、及び核磁気共鳴スペクトルの測定結果、実施例1で
得られたエポキシ化合物と同じスペクトルを示した。
【0089】実施例3 <脂環式エピノールによるエポキシ化合物の合成>攪拌
装置、温度計、窒素ガス導入管、及び蒸留用冷却管付き
ト字管を付した500mlの4つ口フラスコに、酸価
0.00002当量/100gであるトリメリット酸ト
リメチルを126g(0.50モル)、2,3−エポキ
シシクロヘキサノールを342g(3.0モル)、水酸
化リチウムを1.2g(0.05モル)を仕込んだ。つ
いで、上記窒素導入管の先端を反応液内に入るように設
定し、窒素ガスを流すことにより液をバブリングした。
【0090】攪拌しながら、反応液温度が90℃になる
ようにフラスコを加熱し、90℃において2時間、10
0℃で1時間、110℃で2時間反応させた。
【0091】ついで、窒素のバブリングを停止し、蒸留
用冷却管の先端からトラップを介し、減圧ラインを設置
し、温度を110℃に保持したまま、10torrまで
約1時間かけて真空度を低下させ、10torrにおい
て30時間保持した。
【0092】反応終了後、フラスコ温度を室温に冷却
し、ヘキサ300mlを添加し、生成物を溶解後、1リ
ットルの分液ロートへ移し、さらにヘキサン150ml
を添加した。そして、蒸留水300mlで加えヘキサン
層を洗浄する操作を5回行った。得られたヘキサン層を
無水硫酸マグネシウムで乾燥し、エバポレートすること
によりヘキサンを除去した結果、淡黄色の粘性液体を2
47g得た。
【0093】液体クロマトグラフィーの測定の結果、原
料のトリメリット酸トリメチルは全く観測されず、転化
率は100%であった。さらに、検出されたピーク全体
の面積に対する主生成物ピークの面積比は97%であっ
た。また、エポキシ当量の測定の結果、176g/当量
であった。また、得られた液体のIRスペクトルの測
定、及び核磁気共鳴スペクトルの測定結果、実施例1で
得られたエポキシ化合物と同じスペクトルを示した。
【0094】
【発明の効果】本発明により、特定構造を有する新規な
脂環式エポキシ化合物の製造方法を提供することができ
る。得られる脂環式エポキシ化合物は、その硬化物に優
れた耐候性、耐熱性、及び耐水性を付与することがで
き、例えば電気部品、接着剤、塗料、複合材料等の架橋
構造形成剤として好適に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた脂環式エステル化合物の赤
外吸収スペクトル図である。
【図2】実施例1で得られた脂環式エステル化合物の核
磁気共鳴スペクトル図である。
【図3】実施例1で原料として用いたトリメリット酸ト
リメチルの核磁気共鳴スペクトル図である。
【図4】実施例1で得られた脂環式エポキシ化合物の赤
外吸収スペクトル図である。
【図5】実施例1で得られた脂環式エポキシ化合物の核
磁気共鳴スペクトル図である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1)で表される脂環式エス
    テル化合物を酸化剤を用いてエポキシ化反応させること
    を特徴とする、下記一般式(3)で表される脂環式エポ
    キシ化合物の製造方法。 【化1】 (式中、nは0または1である。X1、X2、X3、及び
    4はそれぞれ独立に、置換基を有してもよい炭素数1
    2以下のアルキル基、アリル基、または下記一般式
    (2)で表される不飽和脂環基であり、X1、X2
    3、及びX4のうち、いずれか1つ以上が該不飽和脂環
    基であり、且つ該不飽和脂環基とアリル基の数の和が2
    以上4以下である。) 【化2】 (式中、mは1及び2から選ばれる整数を表す。) 【化3】 (式中、nは0または1である。Y1、Y2、Y3、及び
    4はそれぞれ独立に、置換基を有してもよい炭素数1
    2以下のアルキル基、アリル基、グリシジル基、上記一
    般式(2)で表される不飽和脂環基、または下記一般式
    (4)で表される脂環式エポキシ基、Y1、Y2、Y3
    及びY4のうち、いずれか1つ以上が該脂環式エポキシ
    基であり、且つ該脂環式エポキシ基とグリシジル基の数
    の和が2以上4以下である。) 【化4】 (式中、mは1又は2から選ばれる整数を表す。)
  2. 【請求項2】 酸化剤が過酸化水素であることを特徴と
    する請求項1記載の脂環式エポキシ化合物の製造方法。
  3. 【請求項3】 酸化剤が過カルボン酸であることを特徴
    とする請求項1記載の脂環式エポキシ化合物の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 下記一般式(5)で表されるアルキルエ
    ステル化合物と、2,3−エポキシシクロペンタノール
    及び2,3−エポキシシクロヘキサノールから選ばれる
    少なくとも1種の脂環式エピノール化合物、又は該脂環
    式エピノール化合物と2,3−エポキシプロパノールを
    反応させることを特徴とする請求項1記載の脂環式エポ
    キシ化合物の製造方法。 【化5】 (式中、nは0または1である。また、R1、R2
    3、及びR4は、それぞれ独立に置換基を有してもよい
    炭素数12以下のアルキル基を表す。)
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