JP2001181280A - 脂環基含有エポキシ化合物の製造方法 - Google Patents

脂環基含有エポキシ化合物の製造方法

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JP2001181280A
JP2001181280A JP36877499A JP36877499A JP2001181280A JP 2001181280 A JP2001181280 A JP 2001181280A JP 36877499 A JP36877499 A JP 36877499A JP 36877499 A JP36877499 A JP 36877499A JP 2001181280 A JP2001181280 A JP 2001181280A
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Akiyoshi Shimoda
晃義 下田
Nobuyuki Uematsu
信之 植松
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Asahi Kasei Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 特定の構造を有した脂環基含有エポキシ基
を有し、耐候性、耐熱性、及び低吸水性等の耐水性に優
れた、硬化物を形成する新規な構造を有する脂環基含有
エポキシ化合物の製造方法を提供すること。 【解決手段】 下記一般式(1)で表される脂環基含有
化合物を酸化剤を用いてエポキシ化反応させることを特
徴とする、下記一般式(2)で表される脂環基含有エポ
キシ化合物の製造方法。 【化1】 (式中、Rはイミノ基を2個以上有する有機化合物の該
イミノ基の水素原子を除く残基を表す。また、xは1以
上の正の整数、yは0又は1以上の正の整数を表し、x
+yは2以上である。また、mは1及び2から選ばれる
整数を表す。) 【化2】 (式中、m、nは1又は2から選ばれる整数である。ま
た、aは1以上の整数、cは0を含む正の整数を表し、
且つa+cが1以上である。また、b及びdは0を含む
正の整数を表す。Rはイミノ基を2個以上有する有機化
合物の該イミノ基の水素原子を除く残基を表す。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な脂環基含有
エポキシ化合物の製造方法に関する。さらに詳しくは、
塗料、電気部品、接着剤、複合材料等の架橋構造形成剤
として好適に使用できる、新規な構造を有する脂環基含
有エポキシ化合物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、電気絶縁材、各種注型成型
材、塗料等に用いられる架橋構造形成剤として、熱や光
で架橋反応を起こす反応性官能基を有する化合物が広く
用いられており、近年、その種類及び用途はさらに拡大
の傾向にある。例えば、塗料分野においては、高い耐候
性を有する硬化物を形成する架橋構造形成剤が強く望ま
れており、また、電気絶縁材分野においては高い熱変形
温度と低い吸水率を有する硬化物を形成する架橋構造形
成剤が用いられている。
【0003】一般に、これら架橋構造形成剤と反応する
硬化剤等との架橋反応時に副成物がでない付加反応を行
うものが好ましく、且つその使用前においては一定の保
存安定性を有する架橋構造形成剤が必要とされている。
これら架橋構造形成剤としては、例えば、アリル基やグ
リシジル基を架橋に関わる反応性官能基として有してい
る化合物が好ましく、実際にこれらの反応性官能基を有
する化合物が広く利用されている。
【0004】例えば、グリシジル基を有する化合物とし
ては、ビスフェノールAから誘導されるジグリシジルエ
ーテル等のエポキシ化合物が広く用いられている。しか
しながら、ビスフェノールA等のフェノール系化合物か
ら誘導されるエポキシ樹脂は、紫外線により変色する
等、耐候性に関して低いレベルにあり、屋外での使用に
は制限がある。
【0005】ところで、高い耐候性を有する硬化物を形
成するグリシジル基を有する架橋構造形成剤として、例
えば、トリグリシジルイソシアヌレート等のフェノール
系化合物以外の化合物から誘導されるグリシジル化合物
が塗料分野において広く用いられている。しかしなが
ら、その硬化物は、例えば耐水性に十分ではなく、電気
絶縁分野においては吸水性の点で十分ではない。また、
上記トリグリシジルイソシアヌレートは、工業的にはア
ルカリの存在下においてイソシアヌル酸とエピクロルヒ
ドリンにより製造されており、イオン性塩素、有機結合
性塩素、さらにはクロルヒドリン構造となった加水分解
性塩素を含有している場合があり、例えば電気絶縁材分
野等に用いる場合は制限がある。
【0006】本発明者らは、高い耐候性及び低い吸水性
を有する、塗料や電気絶縁材等に広くに用いることがで
きる架橋構造形成剤に関する検討を行った。特に、本発
明者らは、一般的に高い耐候性を有する硬化物を形成す
るトリグリシジルイソシヌレート等のイミノ基にグリシ
ジル基等の架橋性反応基が結合する化合物に着目し、該
化合物の硬化物に耐候性、及び耐熱性を保持させ、吸水
性を低下させるべく、鋭意検討を行った。
【0007】その結果、本発明者らは、例えばトリグリ
シジルイソシアヌレートルの有するグリシジル基の一部
又は全てを特定の構造を有した脂環基含有エポキシ基に
置換した場合に、その硬化物の耐水性が向上することを
見出し、特に、該グリシジル基全てを置換した場合の構
造である下式(4)で表される新規な構造を有する脂環
基含有エポキシ化合物が、高い耐候性、耐熱性、及び低
吸水性を有する硬化物を形成することを見出し、塗料や
電気絶縁材料等に有用に用いられることを見出した。
【0008】
【化4】
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記特定の
構造を有した脂環基含有エポキシ基を有する、耐候性、
耐熱性、及び低吸水性等の耐水性に優れた、新規な構造
を有する脂環基含有エポキシ化合物の製造方法を提供す
ることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記脂環
基含有エポキシ化合物の製造方法に関し鋭意検討した。
その結果、上記グリシジル基等のエポキシ基を有してお
らず、且つ炭素−炭素不飽和2重結合を有する不飽和脂
環基をイミノ基を含有する化合物に結合させた脂環基含
有化合物に対して、酸化剤を用いて該2重結合をエポキ
シ化することにより、上記耐候性、耐熱性、及び低吸水
性を有する硬化物を形成する化合物が収率よく得られる
ことを見出し本発明に至った。
【0011】即ち、本発明は以下の通りである。 1.下記一般式(1)で表される脂環基含有化合物を酸
化剤を用いてエポキシ化反応させることを特徴とする、
下記一般式(2)で表される脂環基含有エポキシ化合物
の製造方法。
【0012】
【化5】
【0013】(式中、Rはイミノ基を2個以上有する有
機化合物の該イミノ基の水素原子を除く残基を表す。ま
た、xは1以上の正の整数、yは0又は1以上の正の整
数を表し、x+yは2以上である。また、mは1及び2
から選ばれる整数を表す。)
【0014】
【化6】
【0015】(式中、m、nは1又は2から選ばれる整
数である。また、aは1以上の整数、cは0を含む正の
整数を表し、且つa+cが1以上である。また、b及び
dは0を含む正の整数を表す。Rはイミノ基を2個以上
有する有機化合物の該イミノ基の水素原子を除く残基を
表す。)
【0016】2.一般式(1)において、Rが下式
(3)で表される構造であり、yが0である化合物を酸
化剤を用いてエポキシ化反応をさせことにより、一般式
(2)において、aが3であり、且つb、c、及びdが
0である、上記1.記載の脂環基含有エポキシ化合物の
製造方法。
【0017】
【化7】
【0018】3.酸化剤が過酸化水素であることを特徴
とする上記1.または2.記載の脂環基含有エポキシ化
合物の製造方法。
【0019】4.酸化剤が過カルボン酸であることを特
徴とする上記1.または2.記載の脂環基含有エポキシ
化合物の製造方法。
【0020】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に
おいて、イミノ基は−NH−で表され、上記一般式
(1)におけるRは、該イミノ基を2個以上有する化合
物の該イミノ基の水素を除く残基を表す。該Rの構造と
しては、例えば、イソシアヌル酸のイミノ基の水素を除
いた上式(3)で表される構造や、下記一般式(5)で
表されるようなヒダントイン型化合物のイミノ基の水素
を除いた構造等が挙げられる。
【0021】
【化8】 (式中、R1及びR2は互いに独立に水素又はアルキル基
を表す。)
【0022】本発明においては、上記一般式(1)中の
Rはイソシアヌル酸のイミノ基の水素を除いた構造であ
る上記(3)式で示される構造である場合が、3官能性
で架橋させた場合の架橋密度が高く、また得られる硬化
物の耐熱性や耐水性、さらには機械強度が高い点で好ま
しい。
【0023】本発明で原料として用いられるこれら脂環
基含有化合物、上記一般式(1)において、xは1以上
であり、炭素−炭素不飽和2重結合を特定の位置に有す
る不飽和脂環基を1個以上有することを必須とする。ま
た、特に得られる硬化物に耐熱性や低吸水性を要求する
場合には、上記一般式(1)中のxは2以上が好まし
く、特にRがイソシアヌル酸のイミノ基の水素を除く構
造の場合は、xは3であることが好ましい。
【0024】また、本発明では、上記一般式(1)中の
アリル基の結合数を表すyは0又は1以上であり、x+
yは2以上である。特に、Rがイソシアヌル酸のイミノ
基の水素を除く構造である場合にはyは2以下であり、
上記不飽和脂環基の結合数が多い方が好ましい観点か
ら、yは特に1以下、さらには0であることが好まし
い。
【0025】本発明において、上記一般式(1)中のm
は1又は2から選ばれる整数を表す。本発明において
は、mの異なる不飽和脂環基が同一分子中に同時に存在
していても構わない。また、特にmが2の場合、本発明
の化合物から誘導されるエポキシ化合物を用いた硬化物
の耐熱性や低吸水性が向上する点で好ましい。
【0026】下式(6)に、本発明の製造方法におい
て、特に好ましく原料として用いられる脂環基含有化合
物の構造を表す。
【0027】
【化9】
【0028】本発明で原料として用いられる脂環基含有
化合物は、例えば、3−ハロゲノシクロヘキセン及び3
−ハロゲノシクロペンテンから選ばれる1種以上の化合
物からなるハロゲン化不飽和脂環式化合物、又は該ハロ
ゲン化不飽和脂環式化合物とアリルハライドを、イミノ
基を2個以上含有する有機化合物と反応させることによ
り得ることができる。
【0029】本発明の製造方法においては、上記説明し
た脂環基含有化合物に対して、酸化剤を用いてエポキシ
化反応をさせることにより、脂環基含有エポキシ化合物
を製造すること特徴とする。本発明で、用いられる酸化
剤としては、該脂環基含有化合物に含有される不飽和脂
環基中の炭素−炭素不飽和2重結合をエポキシ化できる
ものであれば特に制限はない。これら酸化剤としては、
例えば、t−ブチルハイドロパーオキサイド、シクロヘ
キセンハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオ
キサイド等の有機過酸化物、過蟻酸、過酢酸、過プロピ
オン酸、トリフルオロ過酢酸、m−クロロ過安息香酸等
の過カルボン酸類、過酸化水素及び分子状酸素等が挙げ
られる。
【0030】中でも、反応性、選択性、精製が容易等の
点で、酸化剤は過酸化水素、又は過カルボン酸類である
ことが好ましい。
【0031】炭素−炭素不飽和2重結合をエポキシ化す
る他の方法として、例えば、該2重結合部にクロロヒド
リンを付加させたハロヒドリン化合物を一旦生成させ、
ついでアルカリで脱塩酸することによりエポキシ化合物
を得るハロヒドリン法が一般的に知られている。しかし
ながら、該ハロヒドリン法の場合、例えば後段の脱塩酸
工程後に未反応のハロヒドリン構造が得られるエポキシ
化合物中に残留し、加水分解性ハロゲンが生成物中に残
留する傾向にあり、得られる化合物の純度が低く、目的
物質の収率が低い。
【0032】以下、該酸化剤が過酸化水素の場合の説明
をする。酸化剤が過酸化水素の場合は、通常、各種エポ
キシ化触媒が併用して用いられる。該エポキシ化触媒と
しては、上記2重結合に対するエポキシ化が過酸化水素
の存在下で十分に進行するものであれば、本発明では公
知のものが使用でき、特に制限はない。例えばチタノシ
リカライト等のチタン系化合物(例えば、当業者であれ
ば周知である、チタンをシリカに担持させた市販触媒T
S−1)、タングステン酸やその塩、燐タングステン酸
やその塩等のタングステン含有化合物、モリブデン酸や
その塩、燐モリブデン酸やその塩等のモリブデン含有化
合物、ヘテロポリ酸、バナジウム含有化合物、レニウム
含有化合物、コバルト含有化合物、砒素系化合物、硼素
系化合物、アンチモン系化合物、遷移金属ポルフィリン
錯体等が挙げられる。これらは単独で用いても2種以上
を混合して用いてもよく、また、タングステン酸やモリ
ブデン酸又はそれらの塩をエポキシ化触媒として用いる
場合は、燐酸等の酸類を併用して用いても良い。
【0033】これら触媒の使用量は、通常、本発明の脂
環基含有化合物100重量部に対し、0.001〜30
重量部、望ましくは0.01〜20重量部の範囲とする
ことが適当である。
【0034】本発明においては過酸化水素と上記触媒と
を用いたエポキシ化を行う場合は、溶媒を用いること
が、反応速度が速く、且つ反応液の取り扱いが容易であ
る点で望ましい。この際、用いる溶媒は、該前駆体や得
られるエポキシ化物に対し、通常約0.1重量%以上の
溶解度があり、副成物を発生させないものであれば特に
制限はなく、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等
の芳香族炭化水素化合物、ヘキサン、シクロヘキサン等
の脂肪族炭化水素化合物、アセトン、メチルエチルケト
ン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、クロロホル
ム、塩化メチレン、四塩化炭素、ジクロロエタン、テト
ラクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等
のハロゲン化炭化水素化合物、酢酸エチル、酢酸イソプ
ロピル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類、エチレングリ
コールジメチルエーテル等のエーテル類が使用できる。
これら溶媒の使用量は特に制限はないが、通常、本発明
の脂環基含有化合物1gあたり、0.1〜200mlの
範囲である。
【0035】また、用いる過酸化水素は、濃度が0.0
1〜100%の状態のものが好適に用いられるが、通
常、5〜80%、望ましくは25〜70%の水溶液の状
態のものが、工業的に容易に入手でき、また特殊な設備
等を必要としない点で最も好適に使用できる。該過酸化
水素の使用量は、原料として用いる脂環基含有化合物中
の炭素−炭素2重結合に対し、理論的には1当量である
が、通常1.01〜1:10、望ましくは1:1.01
〜1:2の範囲で使用される。
【0036】上記触媒、溶媒、及び過酸化水素の水溶液
を用いてエポキシ化反応を行うことにより本発明の脂環
基含有化合物を得る上記反応は、通常、油相−水相から
なる2相系の反応であるため、攪拌効率がエポキシ化反
応速度に大きく影響する。本発明では、攪拌速度を速め
たり、バッフル付き反応器を用いる等により攪拌効率を
高めエポキシ化反応速度を速めることが有用である。
【0037】また、上記触媒として、燐タングステン
酸、タングステン酸ナトリウム等のタングステン含有化
合物や、モリブデン含有化合物を用いた場合には、エポ
キシ化の反応速度を速める目的でオニウム塩等の相間移
動触媒を併用することが望ましい。該オニウム塩として
は、例えば一般式R1R2R3R4M+Q−(R1〜R
4は炭素数1〜50の水酸基を有していても良いアルキ
ル基であり、それぞれ同一又は異なっていてもよい。M
は窒素又は燐を表し、Q−はハロゲンイオン又は無機ア
ニオンを示す。)で表される4級アンモニウム塩や4級
ホスホニウム塩が挙げられる。該オニウム塩中のアルキ
ル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル
基、ブチル基、オクチル基、シクロヘキシル基等が挙げ
られる。また該ハロゲンイオンとしては、塩素イオン、
臭素イオン、沃素イオン等を、さらに該無機イオンとし
ては水酸イオン、亜硫酸イオン等が挙げられる。該4級
アンモニウム塩の具体例としては、セチルピリジニウム
塩、トリオクチルメチルアンモニウム塩、テトラヘキシ
ルアンモニウム塩、テトラプロピルアンモニウム塩、テ
トラブチルアンモニウム塩、アルキルピコリニウムアン
モニウム塩、アルキルイミダゾリン塩等が挙げられる。
また、4級ホスホニウム塩の具体例としては、テトラブ
チルホスホニウム塩、テトラプロピルホスホニウム塩、
トリオクチルメチルホスホニウム塩、トリオクチルエチ
ルホスホニウム塩、テトラヘキシルホスホニウム塩等を
挙げることができる。これらは1種又は2種以上で用い
られる。これらオニウム塩は、用いる脂環基含有化合物
に対し、通常0.001〜30重量%、望ましくは0.
01〜15重量%で用いられる。
【0038】また、上記タングステン酸ナトリウムや燐
タングステン酸等のエポキシ化触媒と上記相関移動触媒
とを混合することによりタングステン酸オニウム塩等を
調整しておき、ついで、反応系に添加する方法を用いて
もよい。
【0039】上記、油相−水相からなる2相系において
エポキシ化反応を行う場合、過酸化水素が含まれる水相
側は、pHが0.3〜6、さらには0.5〜5、特に
1.0〜4の範囲であることが望ましい。pHが6以上
の場合はエポキシ化反応速度が遅く、また、pHが0.
3以下の場合は、生成したエポキシ基が反応系内で開裂
する傾向にあるため望ましくない。上記水相のpHは、
例えば燐酸や塩酸により調整することができる。
【0040】上記過酸化水素を用いる反応は、過酸化水
素の自己分解速度が低く抑えられる温度範囲であれば特
に制限はないが、例えば、5〜80℃、特に10〜75
℃、さらには15〜70℃の範囲が望ましい。また、該
反応は常圧で行ってもよいし、例えばオートクレーブ中
で加圧下で行ってもよい。反応時間は、用いる本発明の
脂環式化合物や触媒量、過酸化水素濃度及び温度等の反
応条件によっても左右されるが、通常、0.5〜500
時間、望ましくは0.5〜100時間の範囲が適当であ
る。
【0041】以上説明した合成法により得られる反応生
成物は、濾過、溶媒抽出法、水洗浄、アルカリ水による
洗浄法、シリカゲル等を用いたカラム分離法、イオン交
換樹脂による精製法、冷却沈降法、再結晶法(目的物質
が結晶性の場合)等の一般に周知の手段を組み合わせる
ことにより容易に精製できる。以下、実施例により本発
明を説明する。
【0042】
【実施例】1.核磁気共鳴スペクトル 反応生成物の核磁気共鳴スペクトルは、テトラメチルシ
ランを基準物質とし、重ジメチルスルホキシドを溶媒と
して用いて、日本電子製JNM−α400(400MH
z)で1H−NMRスペクトルのデータを得た。
【0043】2.赤外吸収スペクトルの測定(IR) 反応生成物を臭化カリウム板に塗布し、Nicolet
Instrument Corporation社製F
T−IRスペクトロメーター、Impact400Dで
測定した。
【0044】3.ガスクロマトグラフィーの測定 下記実施例で得られる精製物純度等を求めるための、ガ
スクロマトグラフィーの測定は、以下の装置及び条件で
行った。 装置 :島津製作所社製GC−14B カラム:GL Science Inc.社製 キャピ
ラリーカラム TC−1(0.25mmI.D.、長さ30m) キャリアガス:He 検出:FID カラム温度条件:60℃で2分間保持後、20℃/mi
nで300℃まで昇温し、300℃で25分間保持 試料溶解溶媒:クロロホルム
【0045】4.エポキシ当量の測定 化合物0.5000g、n−プロピルアルコールを50
ml、ベンジルアルコール3ml、及びヨウ化カリウム
0.2gを蒸留水に溶解した溶液をを混合し、加熱する
ことにより還流させ、ついで、指示薬としてBTB溶液
を添加し、0.1Nの塩酸を用いて、滴定を行うことで
当量点を求める、指示薬滴定法によりエポキシ当量を測
定した。
【0046】実施例1 <原料脂環基含有化合物の合成>攪拌装置、及び温度計
の付いた1リットルの丸底フラスコに、水素化ナトリウ
ム51.2g(1.280モル、油分40重量%含有
品)を入れ、100gの脱水n−ヘキサンを添加し、2
0分攪拌し該ヘキサンを除去する操作を3回行うことに
より、該水素化ナトリウム付着の油分を洗浄除去した。
ついで、N−メチル−2−ピロリドン600mlを添加
し、その後、上記フラスコを水で冷却しながら、約1時
間かけてイソシアヌル酸を50.0g(0.388モ
ル)を添加し、その後1時間攪拌した。さらに、調整し
た溶液を100℃に昇温し、2時間攪拌した。
【0047】100℃で上記溶液を攪拌しながら、3−
クロロシクロヘキセン149.1g(1.280モル)
を約1時間かけて滴下し、さらに4時間攪拌を続けた。
【0048】反応終了後、減圧にすることによりN−メ
チル−2−ピロリドンと過剰の3−クロロシクロヘキセ
ンを除去した。 そして、クロロホルム700mlを添
加し、不溶の固形分を濾過除去した。得られた濾液に水
200mlを加え、クロロホルム層を分取し、無水硫酸
マグネシウムで乾燥後、シリカゲルクロマトグラフィー
で精製し、クロロホルムを減圧除去することにより、白
色固体91.6gを得た。ガスクロマトグラフィーによ
る分析の結果、主生成物はリテンションタイムが約18
〜20分に検出され、純度94%であった。
【0049】得られた化合物のIRスペクトルの測定の
結果、カルボニル基の吸収に相当する1698cm-1
吸収スペクトルが存在した。得られたIRスペクトルを
図1に示した。
【0050】また、得られた化合物のGC−マススペク
トルの測定結果、369の分子量を観測した。得られた
マススペクトルを図2に示した。図2中、分子量28
9、209はそれぞれ、シクロヘキセニル基が1つ及び
2つはずれたフラグメントに相当する。
【0051】また、得られた化合物の1H−核磁気共鳴
スペクトルの分析を行い、下記の結果を得た。また、得
られたスペクトルを図3に示した。
【0052】<1H−NMRスペクトル> δ(ppm):5.60〜5.80(6H、脂環基中の
炭素−炭素不飽和結合部の炭素原子上にあるプロトン) δ(ppm):5.15〜5.30(3H、窒素原子に
結合する脂環基中の炭素原子上のプロトン) δ(ppm):1.20〜2.20(18H、脂環基上
の窒素原子に結合せず、且つ炭素−炭素不飽和2重結合
を形成していない炭素原子上にあるプロトン) δ(ppm):3.28〜3.40(溶媒に用いたジメ
チルスルホキシドに由来するプロトン)
【0053】また、得られた化合物の13C−核磁気共鳴
スペクトルの分析を行い、下記の結果を得た。得られた
スペクトル図を図4に示した。
【0054】<13C−NMRスペクトル> δ(ppm):147〜150(カルボニル基を形成す
る炭素) δ(ppm):125〜130(脂環基中の炭素−炭素
不飽和2重結合を形成する炭素) δ(ppm):56〜58(窒素原子に結合する脂環基
中の炭素。) δ(ppm):21〜27(脂環基中の窒素原子に結合
せず、且つ炭素−炭素不飽和2重結合を形成していない
炭素) δ(ppm):37〜41(溶媒に用いたジメチルスル
ホキシドに由来する炭素) 以上の結果から、本実施例で得られた化合物は、上式
(6)で表される脂環基含有化合物である。
【0055】<過カルボン酸による脂環基含有エポキシ
化合物の合成>上記で得られた化合物3.69gを10
0mlのクロロホルムに溶解し、該溶液を水で冷却しな
がら、乾燥m−クロロ過安息香酸1.90gを添加し、
室温中で、12時間攪拌した。
【0056】反応終了後、上記反応液に1.1gの水酸
化カルシウムを添加し、1時間攪拌後、該溶液を濾過処
理し、ついでクロロホルムを減圧除去することにより、
淡黄色の高粘性液体4.14gを得た。
【0057】該化合物のエポキシ当量を測定したとこ
ろ、145g/当量であり(理論値139g/当量)、
高純度のエポキシ化合物が生成していた。
【0058】また、得られた化合物のIR測定結果を図
5に示した。さらに溶媒として重クロロホルムを用いた
1H及び13C−核磁気共鳴スペクトルの測定を行い、以
下の結果を得た。また、得られたスペクトルを図6(1
H)及び図7(13C)に示した。
【0059】<1H−NMRスペクトル> δ(ppm):4.80〜5.00(3H、窒素原子に
結合する脂環基中の炭素原子上のプロトン) δ(ppm):3.10〜3.50(6H、エポキシ基
の酸素に結合する脂環基中の炭素原子上のプロトン) δ(ppm):1.10〜2.25(18H、脂環基上
の窒素原子に結合せず、且つエポキシ基の酸素原子に結
合していない炭素原子上にあるプロトン) δ(ppm):7.20〜7.40(溶媒に用いたクロ
ロホルムに由来するプロトン)
【0060】<13C−NMRスペクトル> δ(ppm):145〜150(カルボニル基を形成す
る炭素) δ(ppm):50〜58(窒素原子に結合する脂環基
中の炭素、及びエポキシ基の酸素原子に結合する炭素) δ(ppm):15〜25(脂環基中の窒素原子に結合
せず、且つ炭素−炭素不飽和2重結合を形成していない
炭素) δ(ppm):75〜80(溶媒に用いたクロロホルム
に由来する炭素) 以上の結果から、上記エポキシ化反応により下式(4)
の化合物が高純度で得られた。
【0061】
【化10】
【0062】実施例2 <過酸化水素による脂環基含有エポキシ化合物の合成>
攪拌装置、温度計を付した500mlの三口フラスコ
に、タングステン酸ナトリウム(Na2WO4・2H
2O)を1.649g(5ミリモル)、30%過酸化水
素水51.0gを入れ、黄色溶液を作成した。ついで、
85%リン酸水溶液を添加し、該水溶液のpHを1.8
に調整した。
【0063】一方、トルエン400ml、CH3
[(CH27CH33Cl(アルドリッチ社製、Ali
quat336)1.617g(4ミリモル)、及び実
施例1で得られた脂環式エステル化合物36.9g
(0.1モル)からなる均一溶液を調整した。これを上
記水溶液に滴下ロートを用いて、約40分かけて滴下し
た。滴下終了後、40℃の高温槽中で攪拌し、約34時
間かけて反応を終了させた。
【0064】反応終了後、分液ロートを用いてトルエン
槽を分離し、1Nのチオ硫酸ナトリウム水溶液100m
l、蒸留水300ml、1Nの炭酸水素ナトリウム水溶
液100ml、蒸留水400mlの順で該トルエン溶液
を洗浄した。
【0065】この用にして得られたトルエン溶液を無水
硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過により無水硫酸マグネ
シウムを除去し、該溶液に200mlのトルエンを加え
て希釈し、さらに乾燥シリカゲルを400g加えた。1
時間攪拌後、濾過により該シリカゲルを除去し、濾液と
して得られたトルエン溶液をエバポレートすることによ
りトルエンを除去し、ほぼ白色固体状の化合物を41.
2g得た。
【0066】上記得られた化合物のエポキシ当量を測定
したところ、143g/当量であり(理論値139g/
当量)、高純度のエポキシ化合物が生成していた。
【0067】また、得られた化合物のIR測定、核磁気
共鳴スペクトルの測定を行った結果、実施例1で得られ
た脂環基含有化合物と同等のスペクトルを示した。
【0068】
【発明の効果】本発明により、特定構造を有する新規な
脂環基含有エポキシ化合物の製造方法を提供することが
できる。得られる脂環基含有エポキシ化合物は、耐候
性、耐熱性、及び耐水性に優れた硬化物を形成すること
ができる。例えば電気部品、接着剤、塗料、複合材料等
の架橋構造形成剤として好適に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた脂環基含有化合物の赤外吸
収スペクトル図である。
【図2】実施例1で得られた脂環基含有化合物のマスス
ペクトル図である。
【図3】実施例1で得られた脂環基含有化合物の1H−
核磁気共鳴スペクトル図である。
【図4】実施例1で得られた脂環基含有化合物の13C
−核磁気共鳴スペクトル図である。
【図5】実施例1で得られた脂環基含有エポキシ化合物
の赤外吸収スペクトル図である。
【図6】実施例1で得られた脂環基含有エポキシ化合物
の1H−核磁気共鳴スペクトル図である。
【図7】実施例1で得られた脂環基含有エポキシ化合物
の13C−核磁気共鳴スペクトル図である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1)で表される脂環基含有
    化合物を酸化剤を用いてエポキシ化反応させることを特
    徴とする、下記一般式(2)で表される脂環基含有エポ
    キシ化合物の製造方法。 【化1】 (式中、Rはイミノ基を2個以上有する有機化合物の該
    イミノ基の水素原子を除く残基を表す。また、xは1以
    上の正の整数、yは0又は1以上の正の整数を表し、x
    +yは2以上である。また、mは1及び2から選ばれる
    整数を表す。) 【化2】 (式中、m、nは1又は2から選ばれる整数である。ま
    た、aは1以上の整数、cは0を含む正の整数を表し、
    且つa+cが1以上である。また、b及びdは0を含む
    正の整数を表す。Rはイミノ基を2個以上有する有機化
    合物の該イミノ基の水素原子を除く残基を表す。)
  2. 【請求項2】 一般式(1)において、Rが下式(3)
    で表される構造であり、yが0である化合物を酸化剤を
    用いてエポキシ化反応をさせことにより、一般式(2)
    において、aが3であり、且つb、c、及びdが0であ
    る、請求項1記載の脂環基含有エポキシ化合物の製造方
    法。 【化3】
  3. 【請求項3】 酸化剤が過酸化水素であることを特徴と
    する請求項1または2記載の脂環基含有エポキシ化合物
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 酸化剤が過カルボン酸であることを特徴
    とする請求項1または2記載の脂環基含有エポキシ化合
    物の製造方法。
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