JP2002371073A - エポキシ含有脂環式エステルの製法 - Google Patents

エポキシ含有脂環式エステルの製法

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JP2002371073A JP2001176528A JP2001176528A JP2002371073A JP 2002371073 A JP2002371073 A JP 2002371073A JP 2001176528 A JP2001176528 A JP 2001176528A JP 2001176528 A JP2001176528 A JP 2001176528A JP 2002371073 A JP2002371073 A JP 2002371073A
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Akiyoshi Shimoda
晃義 下田
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英城 伊達
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、有機カルボン酸エステルと
2,3−エポキシシクロアルカノール、特に2,3−エ
ポキシシクロヘキサノールとのエステル交換反応を速
め、効率的に且つ高選択的にエポキシ含有脂環式エステ
ルを製造する方法を提供することにある。 【解決手段】 有機カルボン酸エステル化合物と2,3
−エポキシシクロアルカノールとのエステル交換反応に
よりエポキシ含有脂環式エステル化合物を製造する方法
において、触媒としてカリウム、ナトリウム、ルビジウ
ム、セシウム、またはアルカリ土類金属から選ばれる金
属イオンの水酸化物、炭酸水素化物、炭酸塩、シアン化
物、シアン酸塩、アルコラート、または有機酸塩を用い
ることを特徴とするエポキシ含有脂環式エステルの製法
を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機カルボン酸エ
ステル化合物と2,3−エポキシシクロアルカノールと
のエステル交換反応により、各種架橋剤やその原料とし
て有用に用いることができるエポキシ含有脂環式エステ
ル化合物を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】グリシジル基を有するエポキシ化合物
は、電気絶縁材、接着剤、塗料、複合材料のマトリック
ス樹脂等の有用な架橋剤として、従来より広く用いられ
ている。中でも、グリシジル基をエステル結合を介して
有するグリシジルエステル系化合物が、硬化反応性が高
いことが知られており、例えば、グリシジルメタクリレ
ート、トリメリット酸トリグリシジル等のグリシジルエ
ステル化合物が上記各分野で多く用いられている。
【0003】近年、グリシジル基をエステル結合を介し
て有するエポキシ化合物の耐水性、耐候性、又は耐熱性
を改善する目的で、脂環基内部にエポキシ環を有するエ
ポキシ含有脂環式化合物が提案されている。これらは、
エポキシ基として3,4−エポキシシクロヘキサンメタ
ノールをエステル結合を介して結合した、下記一般式
(1)に示される化合物であり、一部実用化されている
(式中、nは1以上の整数、Rは炭化水素基を表
す。)。
【0004】
【化2】
【0005】上式(1)で表される化合物は、例えばメ
タクリル酸のような有機カルボン酸と3,4−エポキシ
シクロヘキサンメタノールとを硫酸、p−トルエンスル
ホン酸等の酸触媒の存在下でエステル化を行う方法、又
はメタクリル酸メチル等の有機カルボン酸エステルと
3,4−エポキシシクロヘキサンメタノールとを、上記
酸触媒や水酸化リチウム、ナトリウムアルコラート、ア
ルミニウムアルコラート、テトラブトキシチタン等のエ
ステル交換触媒の存在下で反応させる方法が提案されて
いる(特開平4−283575号公報)。
【0006】ところで、本発明者らは、脂環基内部にエ
ポキシ基を有するエポキシ含有脂環式化合物として、下
式(2)で表されるようなエポキシ基を有するエポキシ
含有脂環式化合物を提案した(特願00−09352
号)。
【0007】
【化3】
【0008】従来、2,3−位にエポキシ基を有するシ
クロアルカノールをエステル交換反応を行うことによ
り、エステル化を行う技術は報告されていない。本発明
者らは、上記特願00−09352において、有機アル
キルエステルと2,3−エポキシシクロヘキサノールと
を水酸化リチウムの存在下でエステル交換反応させるこ
とにより得ることができることを提案した。しかしなが
ら、用いる2,3−エポキシシクロヘキサノールが2級
のアルコールであることから、3,4−エポキシシクロ
ヘキサンメタノール等の1級のアルコール化合物と比較
してエステル交換速度が遅い傾向にある。本発明者ら
は、水酸化リチウムを触媒として用いて反応を実施し、
目的とするエポキシ含有脂環式エステルを得たが、反応
速度的に十分満足いくものではなかった。また、反応を
完結させるため反応温度を高くしたり、反応時間を長く
した場合には、目的物の選択性が低下する傾向にある。
【0009】また、上記3,4−エポキシシクロヘキサ
ンメタノールのエステル交換触媒として提案されている
テトラブトキシチタンを用いた場合には、反応の選択性
が低下する傾向にある。
【0010】また、上記3,4−エポキシシクロヘキサ
ンメタノールと有機カルボン酸化合物とからエステル化
合物を得る際に用いられる、硫酸やp−トルエンスルホ
ン酸等の酸触媒を用いて、有機カルボン酸と2,3−エ
ポキシシクロヘキサノールを反応させた場合には、用い
る2,3−エポキシシクロヘキサノール自身のエポキシ
環の開裂や重合により、目的物の選択性が大きく低下す
る傾向にある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、有機カルボ
ン酸エステルと2,3−エポキシシクロアルカノール、
特に2,3−エポキシシクロヘキサノールとのエステル
交換反応を速め、効率的に且つ高選択的にエポキシ含有
脂環式エステルを製造する方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、2,3−
エポキシシクロアルカノールを用いたエステル交換反応
速度を速める目的で、各種触媒を検討した。その結果、
触媒としてカリウム、ナトリウム、ルビジウム、セシウ
ム又はアルカリ土類金属から選ばれる金属イオンの水酸
化物、炭酸水素化物、炭酸塩、シアン化物、シアン酸
塩、アルコラート、又は有機カルボン酸塩を用いた場合
に、飛躍的に反応速度が向上し、さらに、副反応も抑制
され、効率的に高収率でエポキシ含有脂環式エステル化
合物が得られることを見出した。
【0013】即ち、本発明は、以下の通りである。 1.有機カルボン酸エステル化合物と2,3−エポキシ
シクロアルカノールとのエステル交換反応によりエポキ
シ含有脂環式エステル化合物を製造する方法において、
触媒としてカリウム、ナトリウム、ルビジウム、セシウ
ム、またはアルカリ土類金属から選ばれる金属イオンの
水酸化物、炭酸水素化物、炭酸塩、シアン化物、シアン
酸塩、アルコラート、または有機酸塩を用いることを特
徴とするエポキシ含有脂環式エステルの製法。
【化4】 (式中、nは0〜8の整数を表す)
【0014】2.2,3−エポキシシクロアルカノール
が2,3−エポキシシクロヘキサノールである上記1記
載の製法。
【0015】3.オニウム塩及び/又は三級アミン化合
物を共存させることを特徴とする上記1または2記載の
製法。
【0016】以下、本発明を詳細に説明する。本発明で
用いる2,3−エポキシシクロアルカノールとしては、
下式(3)で表される、エポキシ基含有アルコールであ
る。本発明では、nが1または2から選ばれる整数が好
ましい。
【0017】
【化5】 (式中、nは0〜8の整数を表す)
【0018】本発明の製法においては、目的とする化合
物の構造にも左右されるが、上記一般式で表される2,
3−エポキシシクロヘキサノールを1種類で、又は2種
類以上の混合物として、さらには水酸基を有する他のア
ルコール性化合物と混合して用いることができる。
【0019】本発明においては、2,3−エポキシシク
ロアルカノールとして、2,3−エポキシシクロヘキサ
ノールが、得られるエポキシ含有脂環式エステル化合物
の耐熱性が高いため、特に好ましく使用できる。
【0020】ところで、2,3−エポキシシクロアルカ
ノールは、一般に下式(4)および(5)で表されるc
is体(式(4))、及びtrans体(式(5))が
立体異性体として存在する。
【0021】
【化6】
【0022】
【化7】
【0023】本発明においては、上記構造で表される
2,3−エポキシシクロアルカノールをどちらか一方を
単独で用いてもよく、又は両者の混合物を用いても構わ
ない。
【0024】本発明の原料に用いられる、上記2,3−
エポキシシクロアルカノールは、例えば、2−ヒドロキ
シシクロアルケンを有機過酸、過酸化水素、酸素、等の
公知の酸化剤でエポキシ化する方法や、シクロアルケン
を例えばモリブデン系やバナジウム系の触媒の存在下で
酸化する方法により容易に得ることができる。
【0025】以下、本発明に用いることのできる有機カ
ルボン酸エステルに関し説明する。本発明の製法で用い
られる有機カルボン酸エステルとしては、下記一般式
(6)で表される有機カルボン酸の低級アルコールとの
エステルが好ましい。
【0026】
【化8】
【0027】上式(6)中、R2は炭素数1〜6の不飽
和結合を有してもよい、直鎖状、または側鎖のある脂肪
族炭化水素、又は炭素数3〜6の脂環式炭化水素基を表
す。これら脂肪族炭化水素基としては、例えばメチル
基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、アリ
ル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル
基、n−ペンチル基、等が挙げられ、また脂環式炭化水
素基としては、例えばシクロブチル基、シクロペンチル
基、シクロヘキシル基、等が挙げられる。本発明におい
ては、これらアルキル基が1種類の有機カルボン酸エス
テルを用いてもよく、2種以上のアルキル基を同時に有
したエステルを用いてもよい。さらには、これらアルキ
ル基を有した、2種類以上の有機カルボン酸エステルを
用いてもよい。本発明においては、エステル交換反応に
より、これらアルキル基は低級アルコールとしてを反応
系外に除去しやすい点で、R2の炭素数は1〜4、さら
には、メチル基やエチル基が望ましい。
【0028】また、上式(6)中のnは1〜25の整数
である。
【0029】また、R1は炭素数1〜50の酸素原子、
窒素原子及びハロゲン原子からなる群から選ばれる少な
くとも1種のヘテロ原子を含んでもよい、炭化水素基で
ある。該炭化水素基は、芳香族炭化水素基、直鎖状、ま
たは分岐状の芳香環や炭素−炭素不飽和二重結合を含ん
でもよい脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基である。
【0030】また、本発明で用いられる有機カルボン酸
エステルは、上式(6)のCOOR 1基が、上記炭化水
素基の炭素原子に結合している。
【0031】本発明で用いられる有機カルボン酸エステ
ルは、以上説明した構造を有した有機カルボン酸の低級
アルコールとのエステルであるが、具体的には、以下に
例示するような、芳香族炭化水素基からなる有機カルボ
ン酸、脂肪族炭化水素基からなる有機カルボン酸、脂環
式炭化水素基からなる有機カルボン酸、またはヘテロ原
子を有する炭化水素基からなる有機カルボン酸と低級ア
ルコールとのエステルである。
【0032】芳香族炭化水素基からなる有機カルボン酸
としては、安息香酸、及びその核置換誘導体、ナフタレ
ンモノまたはジカルボン酸及びその核置換誘導体、フタ
ル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、
トリメシン酸、ヘミメリット酸、ピロメリット酸、ベン
ゾフェノンポリカルボン酸、ビフェニルポリカルボン酸
等が挙げられる。
【0033】また、脂肪族炭化水素基からなる有機カル
ボン酸としては、酢酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、カプ
ロン酸、ステアリン酸、等の飽和炭化水素のモノカルボ
ン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、ア
ジピン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、ヘキサン
トリカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸等のポリカル
ボン酸、等の飽和炭化水素のポリカルボン酸等が挙げら
れる。
【0034】また、脂肪族炭化水素基からなる有機カル
ボン酸において、炭素−炭素不飽和結合を有する化合物
として、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソ
クロトン酸、ビニル酢酸、フマル酸、マレイン酸、イタ
コン酸、グルタコン酸等が挙げられる。
【0035】また、脂環式炭化水素基としては、シクロ
プロパンカルボン酸、シクロブタンカルボン酸、シクロ
ブタンテトラカルボン酸、シクロペンタンカルボン酸、
シクロヘキサンカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン
酸、シクロヘキセンジカルボン酸及びその核置換体、等
が挙げられる。
【0036】また、酸素原子、窒素原子、及びハロゲン
原子等のヘテロ原子を有する炭化水素基からなる有機カ
ルボン酸の例として、クロロ酢酸、クロロ酪酸、トリス
(2−カルボキシエチル)イソシアヌレート、ビス(2
−カルボキシエチル)イソシアヌレート、等が挙げられ
る。
【0037】以下、本発明で用いられる触媒に関して説
明する。本発明の方法において用いる触媒は、カリウ
ム、ナトリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウ
ム、カルシウム、ストロンチウム、及びバリウムから選
ばれるアルカリ又はアルカリ土類金属の金属イオンの水
酸化物、炭酸水素化物、炭酸塩、シアン化物、シアン酸
塩、アルコラート、または有機酸塩である。
【0038】上記アルコラートとしては炭素数1〜20
の水酸基を有するアルコール性化合物の上記金属イオン
からなるアルコレートであり、例えば、上記アルカリ金
属又はアルカリ土類金属のメトキシド、エトシキド、プ
ロポキシド、ブトキシド、等が挙げられる。また、本発
明の製法の原料として用いる2,3−エポキシシクロア
ルカノールとナトリウムやカリウムからなるアルコラー
トを用いてもよい。
【0039】また、有機酸塩としては、上記アルカリ金
属又はアルカリ土類金属と炭素数1〜20の芳香環を含
んでもよい炭化水素からなるカルボン酸塩、炭素数6〜
20のフェノール性OHを有する芳香族化合物との塩が
挙げられる。
【0040】本発明で用いられる触媒は、具体的には、
水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウ
ム、水酸化セシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カル
シウム、水酸化ストロンチウムである水酸化物、炭酸水
素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素セシウム、
等の炭酸水素化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭
酸ルビジウム、炭酸セシウム、炭酸マグネシウム、炭酸
カルシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウムである
炭酸塩、シアン化ナトリウム、シアン化カリウム等のシ
アン化物、シアン酸ナトリウム、シアン酸カリウム等の
シアン酸塩、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸ルビ
ジウム、酢酸セシウム、酢酸マグネシウム、酢酸カルシ
ウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、ナトリ
ウムフェノラート、カリウムフェノラート等の有機酸
塩、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナ
トリウムブトキシド、カリウムメトキシド、カリウムブ
トキシド等のアルコラートが挙げられる。
【0041】本発明においては、反応速度が速く、工業
的に入手が容易であるナトリウム及びカリウムから選ば
れる金属イオンの水酸化物、炭酸水素化物、炭酸塩、シ
アン化物、シアン酸塩、アルコラート、または有機酸塩
が好ましく、中でも、反応速度が速いことからカリウム
の水酸化物、炭酸水素化物、炭酸塩、アルコラート、ま
たは有機酸塩が好ましい。
【0042】本発明の製法において、原料として用いる
有機カルボン酸エステルと2,3−エポキシシクロアル
カノールとの使用量比に特に制限はなく、通常、2,3
−エポキシシクロアルカノールを用いる有機カルボン酸
アルキルエステルのアルキルエステル基に対し、0.0
1〜20倍モル用いる。本発明においては、これら原料
を同時に仕込むことにより反応を行ってもよいし、どち
らか一方を添加しつつ反応を行ってもよい。
【0043】また上記触媒の使用量は、原料として用い
る2,3−エポキシシクロアルカノールに対し、0.0
0001〜1倍モル、望ましくは0.0001〜0.5
倍モル、さらに望ましくは0.0001〜0.2倍モル
である。0.00001倍モル未満の場合は、反応速度
が低下し、生産性が低い。また、1倍モルを越える場合
には、副反応が併発する傾向にあるとともに、例えば触
媒が反応系内で固形状で不均一層を成す場合に、撹拌効
率が低下する。これら触媒は反応系に最初から全量加え
ておいてもよいし、分割して添加してもよい。さらに
は、有機カルボン酸エステル及び2,3−エポキシシク
ロアルカノールのどちらか一方と前もって混合し、さら
にはそれを例えば20℃〜150℃の範囲で加熱した後
に、もう一方の原料と混合することにより反応を行って
もよい。
【0044】本発明の製法は、無溶媒で実施してもよい
し、有機溶媒を用いて実施してもよい。特に、用いる有
機カルボン酸エステルと2,3−エポキシシクロアルカ
ノールが均一に溶解しない場合には、有機溶媒を用いる
ことが望ましい。また、両者が均一に溶解する場合にお
いても、例えば反応により生成するエポキシ含有脂環式
エステルが反応中に反応温度において析出し、反応が完
結しないような場合には、有機溶媒を用いることが望ま
しい。本反応において用いる溶媒は、原料、生成物、そ
の他添加剤に対し不活性な物であれば特に制限はない。
例えば反応により生成するアルコールよりも沸点の高い
ものを用いて、安定的に系内に保ってもよいし、該アル
コールと共沸で流出させて、反応中に溶媒を添加しつつ
実施してもよい。これらの溶媒の例としては、ヘキサ
ン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジメチルホルムア
ミド、クロロベンゼン、ジブチルエーテル、ジエチレン
グリコールジメチルエーテル、アセトニトリル、プロピ
オニトリル、ジオキサン、アニソール等が挙げられるが
この限りでない。また、これら溶媒を使用する場合、そ
の使用量は、通常、原料として用いる有機カルボン酸ア
ルキルエステルと2,3−エポキシシクロアルカノール
の合計重量に対し、0.01〜100倍の重量である。
【0045】本発明の製法において、重合しやすい有機
カルボン酸エステルを原料として用いる場合には、重合
禁止剤を添加することが望ましい。該重合禁止剤は一般
に用いられているものが使用でき、例えば、ハイドロキ
ノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、フェノール
のtert−ブチル基等のアルキル基による核置換体、
フェノチアジン、カテコール等が挙げられる。該重合禁
止剤の添加量は、原料として用いる有機カルボン酸エス
テルと2,3−エポキシシクロアルカノールの合計重量
に対し、10〜3000ppmが適当である。
【0046】本発明においては、反応系にオニウム塩及
び/又は三級アミン化合物を共存させた場合、反応速度
の向上とともに、反応の目的生成物に対する選択性が向
上する点で好ましい。本発明においては、オニウム塩及
び三級アンモニウム塩のどちらか一方を用いてもよい
し、両者を同時に用いてもよい。
【0047】本発明で言う該オニウム塩とは、一般式A
1234M+Q−(A1〜A4は炭素数1〜50の酸
素、窒素から選ばれる少なくとも一種のヘテロ原子を含
んでもよい炭化水素基であり、それぞれ同一又は異なっ
ていてもよい。Mは窒素又は燐を表し、Q−はハロゲン
イオン又は無機アニオンを示す。)で表される4級アン
モニウム塩や4級ホスホニウム塩である。該オニウム塩
中の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル
基、プロピル基、ブチル基、オクチル基、シクロヘキシ
ル基等が挙げられる。また該ハロゲンイオンとしては、
塩素イオン、臭素イオン、沃素イオン等を、さらに該無
機イオンとしては水酸イオン、亜硫酸イオン等が挙げら
れる。該4級アンモニウム塩の具体例としては、セチル
ピリジニウム塩、トリオクチルメチルアンモニウム塩、
テトラヘキシルアンモニウム塩、テトラメチルアンモニ
ウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、テトラプロピル
アンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、アルキ
ルピコリニウムアンモニウム塩、アルキルイミダゾリン
塩等が挙げられる。また、4級ホスホニウム塩の具体例
としては、テトラブチルホスホニウム塩、テトラプロピ
ルホスホニウム塩、トリオクチルメチルホスホニウム
塩、トリオクチルエチルホスホニウム塩、テトラヘキシ
ルホスホニウム塩等を挙げることができる。これらは単
独で、又は2種以上用いてもよい。また、これらオニウ
ム塩の使用量は、原料として用いる有機カルボン酸エス
テルと2,3−エポキシシクロアルカノールの合計重量
に対し、0.0001〜10倍の重量である。
【0048】また、本発明で言う該三級アミン化合物と
は、一般式B123N(B1、B2、及びB3は炭素数1
〜20の、酸素、窒素から選ばれる少なくとも一種のヘ
テロ原子を含んでもよい炭化水素基であり、それぞれ同
一又は異なっていてもよい。また、Nは窒素原子を表
す。)で表される化合物を意味する。該アルキル基とし
ては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチ
ル基、オクチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
該三級アミン化合物の具体的な例としては、トリメチル
アミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリ
ブチルアミン、トリフェニルアミン、ベンジルジメチル
アミン等が挙げられる。これらは単独で、又は2種以上
用いてもよい。また、これら三級アミン化合物の使用量
は、原料として用いる有機カルボン酸エステルと2,3
−エポキシシクロアルカノールの合計重量に対し、0.
0001〜10倍の重量である。
【0049】本発明の製法において、反応温度は通常1
0〜180℃の範囲、望ましくは30〜140℃、特に
望ましくは50〜120℃の範囲である。また、反応圧
力は加圧、常圧、または減圧のいずれでもよいが、反応
を有利に進行させるためには生成するアルコールを反応
系外に留出しつつ反応を行うことが好ましい。従って、
例えば0.1〜700torrの範囲での減圧下で行う
方法や、常圧下で反応液面、又は反応液中に窒素等の不
活性ガスを導入しつつ反応を行う方法により、生成する
アルコールを反応系外に流出させる方法が好ましい。
【0050】本発明の製法により、得られた反応液から
目的物を取り出す場合には、該目的物の室温での性状
や、沸点等の物理的性質にも左右されるが、蒸留や晶析
等、一般的な精製法により容易に得ることができる。以
下、実施例にて本発明を説明する。
【0051】
【実施例】1.ガスクロマトグラフィー 以下の装置、及び条件で行った。 装置:島津製作所社製GC−14B カラム:GL Science Inc.社製 キャピ
ラリーカラム TC−1(0.25mmI.D.、長さ30m) キャリアガス:He 検出:FID カラム温度条件:60℃で2分間保持後、20℃/mi
nで300℃まで昇温し、300℃で15分間保持 試料溶解溶媒:トルエン
【0052】2.GPC測定 各化合物2.0mgをテトラヒドロフラン2.0gで溶
解し、0.5μmフィルターで濾過を行い、下記の条件
で展開、検出することにより分析を行った。 測定装置:東ソー社製 HLC−8120GPC 検出器 :RI 展開液 :テトラヒドロフラン 展開液流速:1.0ml/min カラム :東ソー社製 TSKgel GMHHR−N
1本及びG1000HXL2本を直列に設置 カラム温度:40℃
【0053】
【実施例1〜11】外径18mm、長さ180mm、肉
厚1.1mmの硼珪酸ガラス製試験管に、テフロンによ
りコートされた回転子、安息香酸メチル0.816g
(6mmol)、2,3−エポキシシクロヘキサノール
(cis体95%、及びtrans体5%からなる混合
物)を2.052g(18mmol)、2,6−ジ−t
ert−ブチルフェノールを0.0026g、ハイドロ
キノンを0.0013g、及び触媒を0.06mmol
を加えて、オイルバスを用いて85℃に加熱し、マグネ
ティックスターラーで撹拌しつつ、2時間、開放形で反
応させた。
【0054】反応液をガスクロマトグラフィーで分析し
て得た原料転化率、及びGPCで分析して得た選択率の
結果を表1に示す。
【0055】
【表1】
【0056】
【比較例1〜3】比較例として、実施例1〜11と同一
の条件で、触媒としてリチウムの水酸化物(無水物)、
炭酸塩、酢酸塩を用いた場合の実験を行った。
【0057】反応液をガスクロマトグラフィーで分析し
て得た原料転化率、及びGPCで分析して得た選択率の
結果を表2に示す。
【0058】
【表2】
【0059】
【比較例4〜9】比較例として、実施例1〜11と同一
の条件で、触媒としてナトリウム、及びカリウムの硝酸
塩、臭化物、ヨウ化物を用いた場合の実験を行った。
【0060】反応液をガスクロマトグラフィーで分析し
て得た原料転化率、及びGPCで分析して得た選択率の
結果を表3に示す。
【0061】
【表3】
【0062】
【実施例12】撹拌装置、温度計、窒素ガス導入管、及
び蒸留用冷却管付きト字管を付した200mlの4つ口
フラスコに、アジピン酸ジメチル34.8g(0.2m
ol)、実施例1で用いたものと同様の2,3−エポキ
シシクロヘキサノール91.2g(0.8mol)、及
び触媒として炭酸カリウム0.276g(2mmol)
を仕込んだ。ついで、上記窒素導入管の先端を反応液内
に入るように設置し、窒素ガスを流すことにより液をバ
ブリングした。
【0063】撹拌しながら、反応液温度が90℃になる
ようにフラスコを加熱し、90℃において4時間反応さ
せた。この間、蒸留用冷却管を通じ、2,3−エポキシ
シクロヘキサノールを含有するメタノールが流出した。
【0064】反応液をガスクロマトグラフィーで分析し
た結果、アジピン酸ジメチルの転化率は98%であっ
た。また、GPCで分析して得た選択率(GPCチャー
トにより得られる生成物全体の面積に対する、アジピン
酸ジメチルへの2,3−エポキシシクロヘキサノールの
1置換体及び2置換体の合計の面積の割合)は、89%
であった。
【0065】
【比較例10】触媒として乾燥させた水酸化リチウム
0.048g(2mmol)を炭酸カリウムの代わりに
用いた以外は実施例12と同様の操作を行った。
【0066】反応液をガスクロマトグラフィーで分析し
た結果、アジピン酸ジメチルの転化率は69%であっ
た。また、GPCで分析して得た選択率(GPCチャー
トにより得られる生成物全体の面積に対する、アジピン
酸ジメチルへの2,3−エポキシシクロヘキサノールの
1置換体及び2置換体の合計の面積の割合)は、82%
であった。
【0067】
【実施例13】実施例10の仕込みにおいて、新たに4
級アンモニウム塩であるテトラメチルアンモニウムクロ
ライド0.119g(1mmol)を添加し、また反応
温度を85℃とした以外は、実施例9と同様の操作を行
った。
【0068】反応液をガスクロマトグラフィーで分析し
た結果、アジピン酸ジメチルの転化率は99%であっ
た。また、GPCで分析して得た選択率(GPCチャー
トにより得られる生成物全体の面積に対する、アジピン
酸ジメチルへの2,3−エポキシシクロヘキサノールの
1置換体及び2置換体の合計の面積の割合)は、89%
であった。
【0069】
【実施例14】実施例10の仕込みにおいて、新たにト
リエチルアミン0.101g(1mmol)を添加し、
また反応温度を85℃、反応時間を4時間30分とた以
外は、実施例9と同様の操作を行った。
【0070】反応液をガスクロマトグラフィーで分析し
た結果、アジピン酸ジメチルの転化率は98%であっ
た。また、GPCで分析して得た選択率(GPCチャー
トにより得られる生成物全体の面積に対する、アジピン
酸ジメチルへの2,3−エポキシシクロヘキサノールの
1置換体及び2置換体の合計の面積の割合)は、88%
であった。
【0071】
【発明の効果】本発明の方法による製法は、触媒が高活
性で反応が速く、また、副反応も低減でき、効率的にエ
ポキシ含有脂環式エステルを製造することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4C048 AA04 BB01 BC06 CC01 CC02 UU03 XX02 4H039 CA66 CD30 CD90

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機カルボン酸エステル化合物と下記一
    般式で表される2,3−エポキシシクロアルカノールと
    のエステル交換反応によりエポキシ含有脂環式エステル
    化合物を製造する方法において、触媒としてカリウム、
    ナトリウム、ルビジウム、セシウム、またはアルカリ土
    類金属から選ばれる金属イオンの水酸化物、炭酸水素化
    物、炭酸塩、シアン化物、シアン酸塩、アルコラート、
    または有機酸塩を用いることを特徴とするエポキシ含有
    脂環式エステルの製法。 【化1】 (式中、nは0〜8の整数を表す)
  2. 【請求項2】 2,3−エポキシシクロアルカノールが
    2,3−エポキシシクロヘキサノールである請求項1記
    載の製法。
  3. 【請求項3】 オニウム塩及び/又は三級アミン化合物
    を共存させることを特徴とする請求項1または2記載の
    製法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007510772A (ja) * 2003-11-03 2007-04-26 ユニオン・カーバイド・ケミカルズ・アンド・プラスティックス・テクノロジー・コーポレイション より強靱な脂環式エポキシ樹脂

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JPH03240781A (ja) * 1990-02-15 1991-10-28 Daicel Chem Ind Ltd 水酸基を有するエポキシ化合物の製造方法
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JP2001181269A (ja) * 1999-12-27 2001-07-03 Asahi Kasei Corp 新規脂環式エポキシ化合物の製造方法

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