JPH10237019A - トリメチルカテコールジエステルおよびその製造方法 - Google Patents

トリメチルカテコールジエステルおよびその製造方法

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JPH10237019A
JPH10237019A JP33965897A JP33965897A JPH10237019A JP H10237019 A JPH10237019 A JP H10237019A JP 33965897 A JP33965897 A JP 33965897A JP 33965897 A JP33965897 A JP 33965897A JP H10237019 A JPH10237019 A JP H10237019A
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JP
Japan
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acid
trimethylcatechol
reaction
group
diester
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JP33965897A
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English (en)
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Ikuo Takahashi
郁夫 高橋
Masaaki Ito
雅章 伊藤
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Daicel Corp
Original Assignee
Daicel Chemical Industries Ltd
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  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い収率で新規なトリメチルカテコールジエ
ステルを得る。 【解決手段】 酸触媒の存在下に、2,6,6−トリメ
チルシクロヘキセ−2−エン−1,4−ジオンとアシル
化剤を反応させ、3,4,5−トリメチルカテコールジ
エステルを得る。アシル化剤には、C2-4カルボン酸無
水物(無水酢酸など),C2-4カルボン酸ハライド(ア
セチルクロライドなど)が含まれ、触媒には、プロトン
酸やルイス酸が含まれる。反応溶媒として極性溶媒(ハ
ロゲン化炭化水素類など)を用いると、目的化合物の生
成効率を向上できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、3,4,5−トリ
メチルカテコールジエステル、および2,6,6−トリ
メチルシクロヘキセ−2−エン−1,4−ジオン(ケト
イソホロン:KIP)を、酸触媒の存在下、アシル化剤
と反応させて、3,4,5−トリメチルカテコールジエ
ステルを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】3,4,5−トリメチルカテコールジエ
ステルやその加水分解により生成するトリメチルカテコ
ールは、樹脂、高級脂肪酸,高級アルコールや油脂の酸
化防止剤や添加剤、高分子のモノマー,香料、医薬の原
料として有用である。米国特許3,624,134号明
細書には、酸触媒の存在下、α−イソホロンをアセチル
化剤と反応させることにより、3,5,6−トリメチル
カテコールジアセテートが20%が生成することが開示
されている。しかし、この方法では、副生物が多く、収
率が低下するとともに、分離精製が困難である。また、
この文献にも、3,4,5−トリメチルカテコールジエ
ステルについては報告されていない。
【0003】特開昭47−7632号公報には、2,
6,6−トリメチルシクロヘキセ−2−エン−1,4−
ジオン(ケトイソホロン,KIP)を、プロトン酸又は
ルイス酸触媒の存在下、アシル化剤と反応させることに
より、トリメチルハイドロキノンジエステルを製造する
方法が開示されている。この文献にも、3,4,5−ト
リメチルカテコールジエステルについては報告されてい
ない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、新規なトリメチルカテコールジエステルである3,
4,5−トリメチルカテコールジエステルおよびそ製造
方法を提供することにある。本発明の他の目的は、3,
4,5−トリメチルカテコールジエステルを高い収率で
製造できる方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前記課題を
解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに
至った。すなわち、本発明は、下記式(1)
【0006】
【化3】 (式中、Rはアルキル基、シクロアルキル基、アリール
基又は複素環基を示す)で表される新規な3,4,5−
トリメチルカテコールジエステルを提供する。さらに、
本発明は、酸触媒の存在下、2,6,6−トリメチルシ
クロヘキセ−2−エン−1,4−ジオンとアシル化剤を
反応させ、前記式(1)で表される3,4,5−トリメ
チルカテコールジエステルを製造する。
【0007】
【発明の実施の形態】前記式(1)において、Rで規定
されるアルキル基の具体例としては、直鎖又は分岐鎖状
1-10アルキル基(メチル,エチル,ブチル,イソブチ
ル,tert−ブチル,ペンチル,ヘキシル基などのC1-8
アルキル基など)、シクロアルキル基としては、C3-10
シクロアルキル基(シクロヘキシル基など)、アリール
基としては、C6-12アリール基(フェニル基,p−メチ
ルフェニル基など)、複素環基としては、窒素,酸素お
よび硫黄原子から選択された少なくとも1つのヘテロ原
子を有する芳香族性又は非芳香族性5又は6員複素環基
(フリル基,チエニル基,ニコチニル基,ピリジル基な
ど)などが例示できる。Rは、通常、C1-6アルキル
基、好ましくはC1-4アルキル基、さらに好ましくはC
1-3アルキル基(特にメチル基)である。
【0008】前記(1)で表される3,4,5−トリメ
チルカテコールジエステルは、種々の方法で製造するこ
とが可能である。好ましい一例として、酸触媒の存在
下、2,6,6−トリメチルシクロヘキセ−2−エン−
1,4−ジオン(ケトイソホロン,KIP)とアシル化
剤を反応させることにより前記式(1)で表される3,
4,5−トリメチルカテコールジエステルを製造する方
法が挙げられる。
【0009】この方法において、触媒としては、プロト
ン酸,ルイス酸のいずれも使用できる。プロトン酸とし
ては、無機酸(例えば、硫酸,塩酸,リン酸,フッ化ホ
ウ素酸,フッ化水素酸など)、有機酸(例えば、p−ト
ルエンスルホン酸,ベンゼンスルホン酸,メタンスルホ
ン酸,エタンスルホン酸などのスルホン酸、クロロ酢
酸,トリクロロ酢酸,トリフルオロ酢酸などのハロゲン
カルボン酸,ピクリン酸など)、ハメット(Hammett)
の酸度関数H0 が−11.93よりも小さな超強酸(例
えば、H2 SO4 −SO3 ,HF−NbF5 ,HF−T
aF5 ,SbF5,HF−SbF5 ,SbF5 −FSO
3 H,FSO3 H−TaF5 ,SbF5 −CF3 SO3
Hなど)などが使用できる。ルイス酸としては、例え
ば、BF3 ,BF3 OEt2 ,A1C13 ,FeC
3 ,ZnCl2 ,TiC14 ,SnC1 2 などが例示
できる。
【0010】触媒の使用量は、反応条件に応じて有効量
であればよく、例えば、前記基質(KIP)100重量
部に対して0.001〜100重量部、好ましくは0.
01〜10重量部(例えば、0.05〜10重量部)、
さらに好ましくは0.1〜5重量部程度である。触媒の
使用量は、通常、基質(KIP)に対して、0.001
〜20モル%、好ましくは0.01〜15モル%程度の
範囲から選択できる。
【0011】触媒は固体触媒(特に固体酸触媒)として
使用してもよい。固体酸触媒には、例えば、強酸性イオ
ン交換樹脂(スルホン酸基を含有する非多孔質又は多孔
質イオン交換樹脂など)、超強酸性イオン交換樹脂(−
CF2 CF2 SO3 Hなどの超強酸基を有する非多孔質
又は多孔質イオン交換樹脂)、硫酸塩(CaSO4 ,F
2 (SO4 3 ,CuSO4 ,NiSO4 ,AlSO
4 ,MnSO4 ,BaSO4 ,CoSO4 ,ZnS
4 ,(NH4 2 SO4 など)、金属酸化物(SiO
2 ,Al2 3 ,TiO2 ,Fe2 3 ,ZrO2 ,S
nO2 など)、複合酸化物(SiO2 −Al2 3 ,S
iO2 −TiO2 ,TiO2 −ZrO2 ,SiO2 −Z
rO2 など)、ゼオライト(酸性OH基を有するY型,
X型,A型,ZSM5,モルデナイト,VPI5,Al
PO4 −5,AlPO4 −11など)、カオリン、ヘテ
ロポリ酸(P,Mo,V,W,Siなどの元素を含有す
るポリ酸など)などが含まれる。固体酸触媒のうち、強
酸性イオン交換樹脂としては、例えば、スチレンジビニ
ルベンゼンスルホン酸系イオン交換樹脂「アンバーリス
ト15」(オルガノ社製)などが例示でき、超強酸性イ
オン交換樹脂としては、例えば、フッ素化スルホン酸系
樹脂「ナフィオンNR50」(アルドリッチ社製),
「ナフィオンH」(デュポン社製)などが例示できる。
【0012】固体酸触媒は、担体または多孔質担体に、
プロトン酸(前記超強酸などのプロトン酸,強酸など)
やルイス酸を担持した固体触媒であってもよい。担持物
(酸触媒)としては、前記例示の酸触媒、例えば、Sb
5 ,TaF5,BF3 ,A1C13 ,A1Br3 ,S
bF5 −HF,SbF5 −FSO3 H,SbF5 −CF
3 SO3 H,SO4 2-,タングステン酸などが例示でき
る。担体は非多孔質又は多孔質のいずれであってもよ
く、例えば、金属酸化物(SiO2 ,Al2 3 ,Ti
2 ,Fe2 3 ,ZrO2 ,SnO2 など)、複合酸
化物(SiO2 −Al2 3 ,SiO2 −TiO2 ,T
iO2 −ZrO2 ,SiO2 −ZrO2 など)、ゼオラ
イト、グラファイト、Pt−グラファイト、イオン交換
樹脂、金属硫酸塩、金属塩化物、金属(Pt,Auな
ど)、合金(Pt−Au,Ni−Mo,Al−Mgな
ど)、ポリマー、塩(SbF3 ,AlF3 など)、ボー
キサイト、活性炭、木炭などが例示できる。多孔質担体
の表面積(例えば、10〜5000m2/g)、細孔容
積、平均細孔径には特に制限はない。酸成分の担持量
は、例えば、0.1〜50重量%、好ましくは1〜25
重量%程度である。
【0013】具体的には、例えば、SbF5 /Si
2 ,SbF5 /Al2 3 ,SbF5/TiO2 ,S
bF5 /Fe2 3 ,SbF5 /ZrO2 ,SbF5
SnO2,SbF5 /SiO2 −Al2 3 ,SbF5
/SiO2 −TiO2 ,SbF5/TiO2 −Zr
2 ,SbF5 /SiO2 −ZrO2 ,A1C13 /C
uSO 4 ,SbF5 −HF/Al2 3 ,SbF5 −H
F/SiO2 −Al2 3 ,SbF5 −HF/活性炭,
SbF5 −FSO3 H/Al2 3 ,SbF5 −FSO
3 H/SiO2 −Al2 3 ,SbF5 −FSO3 H/
活性炭,SO4 2-/ZrO2 (硫酸ジルコニア),SO
4 2-/TiO2 (硫酸チタニア),SO4 2-/Fe2
3 ,SO4 2-/TiO2 −ZrO2 ,WO3 /ZrO2
(タングステン酸ジルコニア),Pt/SO4 2-/Zr
2 などが挙げられる。
【0014】固体酸触媒の使用量は反応条件に応じて有
効量であればよく、例えば、前記基質(KIP)100
重量部に対して0.1〜1000重量部、好ましくは1
〜100重量部(例えば、5〜100重量部)、さらに
好ましくは2〜50重量部(例えば、5〜25重量部)
程度である。固体触媒は、反応系において分散体(スラ
リー)として使用してもよく、反応成分が流動可能なカ
ラムに充填して使用してもよい。
【0015】アシル化剤としては、前記式(1)のRに
対応する脂肪族炭化水素基,脂環族炭化水素基,芳香族
炭化水素基又は複素環基を有するアシル化剤が使用でき
る。アシル化剤としては、酸無水物,アシルハライド,
エノールエステル類などが使用できる。酸無水物として
は、カルボン酸無水物、例えば、直鎖又は分岐鎖状C
1-10アルキル−カルボン酸(酢酸,プロピオン酸,酪
酸,イソ酪酸,吉草酸などのC1-8アルキル−カルボン
酸、特にC1-6アルキル−カルボン酸など)、脂環族カ
ルボン酸(シクロヘキサンカルボン酸などのC3-10シク
ロアルキル−カルボン酸など)、芳香族カルボン酸(安
息香酸,トルイル酸などのC6-12アリール−カルボン酸
など)、ハロゲン含有カルボン酸(クロロ酢酸,トリク
ロロ酢酸,トリフルオロ酢酸など)、複素環式カルボン
酸(フランカルボン酸,チオフェンカルボン酸,ニコチ
ン酸,ピリジンカルボン酸など)などの無水物が例示で
き、特にC1-4アルキル−カルボン酸無水物(無水酢
酸,プロピオン酸無水物などのC2-4カルボン酸無水物
など)が好ましい。
【0016】アシルハライドとしては、前記酸無水物に
対応するアシルハライド、例えば、C1-10アルキル−カ
ルボン酸ハライド(アセチルクロライド,プロピオニル
クロライド,ブチリルクロライドなどのC1-8アルキル
−カルボン酸ハライドなど)、脂環族カルボン酸ハライ
ド(シクロヘキサンカルボン酸ハライドなど)、芳香族
カルボン酸ハライド(安息香酸ハライドなど)、複素環
式カルボン酸ハライド(フランカルボン酸ハライドな
ど)などが例示でき、C1-4アルキル−カルボン酸ハラ
イド(アセチルクロライド,プロピオニルクロライドな
どのC2-4カルボン酸ハライドなど)が好ましい。
【0017】エノールエステルとしては、例えば、イソ
プロペニルアセテート,イソプロペニルプロピオネー
ト,イソプロペニルイソブチレート,イソプロペニルブ
チレート,シクロヘキセニルベンゾエートなどが例示で
きる。
【0018】これらアシル化剤の使用量は、基質KIP
に対して、少なくとも約2倍モル(例えば、2〜10倍
モル)、好ましくは3〜10倍モル程度である。過剰の
アシル化剤を溶媒として用いることもできる。
【0019】本発明の反応は、溶媒の非存在下又は溶媒
の存在下で行ってもよい。反応に不活性な溶媒として
は、直鎖状又は分岐鎖状の飽和又は不飽和炭化水素系溶
媒(例えば、ヘキサン,ヘプタン,オクタンなどの脂肪
族炭化水素類、シクロヘキサンなどの脂環族炭化水素
類、オクテン,シクロヘキセンなどの不飽和脂肪族又は
脂環族炭化水素類、ベンゼン,トルエン,キシレンなど
の芳香族炭化水素類など)、有機酸溶媒(例えば、酢
酸,プロピオン酸,酪酸,乳酸,トリクロロ酢酸,トリ
フルオロ酢酸など)、エステル系溶剤(酢酸メチル,酢
酸エチル,酢酸ブチルなど)、ハロゲン系溶媒(例え
ば、塩化メチレン,クロロホルム,四塩化炭素,1,2
−ジクロロエタン,クロロベンゼン,ジクロロベンゼン
など)、エーテル系溶媒(例えば、ジエチルエーテル,
ジイソプロピルエーテル,ジブチルエーテル,テトラヒ
ドロフラン,ジオキサン,エチレングリコールジメチル
エーテル,ジエチレングリコールジメチルエーテルな
ど)、ケトン系溶媒(例えば、アセトン,メチルエチル
ケトン,メチルイソブチルケトン,ジイソブチルケト
ン,シクロヘキサノンなど)、非プロトン性極性溶媒
[アミド系溶媒(例えば、ジメチルホルムアミド,ジメ
チルアセトアルデヒドアミドなど)、アミン系溶媒(例
えば、N−メチルピロリドンなど)、スルホキシド系溶
媒(例えば、ジメチルスルホキシドなど)、ニトリル類
(例えば、アセトニトリル,ベンゾニトリルなど)、ニ
トロ類(例えば、ニトロメタン,ニトロエタン,ニトロ
ベンゼンなど)など]などを挙げることができる。溶媒
は単独で又は二種以上混合して使用してもよい。
【0020】前記式(1)で表される化合物を高い転化
率および選択率で得るためには、反応に不活性な極性溶
媒の存在下で反応させるのが有利である。極性溶媒の双
極子モーメント(Debye=3.3356×10-30Cm)は1.0以
上(例えば、1〜5)、好ましくは1.2〜4(例え
ば、1.3〜3.5)程度である。
【0021】このような極性溶媒には、前記ハロゲン化
炭化水素類,有機酸類、エステル類,エーテル類,ケト
ン類,アミド又はアミン類,スルホキシド類,ニトリル
類,ニトロ化合物などが含まれる。これらの極性溶媒は
単独で又は二種以上組み合わせて使用でき、非極性溶媒
と組合わせて使用してもよい。
【0022】本発明の反応系において、基質である2,
6,6−トリメチルシクロヘキセ−2−エン−1,4−
ジオンの濃度は、特に制限されず、例えば、5〜50重
量%(例えば、5〜40重量%)、好ましくは10〜4
5重量%(例えば、10〜35重量%)程度であっても
よい。反応温度は、0〜150℃、好ましくは10〜1
20℃(例えば、10〜100℃)程度の範囲から選択
でき、通常、50〜110℃程度である。反応温度が高
過ぎると着色及び収率の低下を引き起こす傾向があり、
低過ぎると反応の進行が極端に遅くなる傾向がある。
【0023】反応終了後、慣用の方法(濾過,濃縮,蒸
留,晶析,抽出やこれらを組合わせた方法)で分離精製
することにより3,4,5−トリメチルカテコールジエ
ステルを得ることができる。なお、トリメチルカテコー
ルジエステルを含む反応混合物を、加水分解工程に供す
ることにより、3,4,5−トリメチルカテコールを生
成させてもよい。
【0024】
【発明の効果】本発明では、新規な3,4,5−トリメ
チルカテコールジエステルを得ることができる。本発明
では、2,6,6−トリメチルシクロヘキセ−2−エン
−1,4−ジオンのエステル化反応により、3,4,5
−トリメチルカテコールジエステルを高い収率で製造で
きる。
【0025】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明を詳細に説
明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるも
のではない。 実施例1 触媒としての強酸性イオン交換樹脂「アンバーリスト1
5」(オルガノ社製)10g、ケトイソホロン30g
(0.197モル)、アセチルクロライド46.4g
(0.591モル)、1,2−ジクロロエタン160m
lを容積300mlの三つ口フラスコに仕込み、85℃
で6時間反応させた。反応終了後、ガスクロマトグラフ
ィーで分析した結果、原料のケトイソホロンは完全に消
費されており(転化率100%)、3,4,5−トリメ
チルカテコールジアセテートが収率65%で生成してい
ることが確認された。ろ過により反応液から触媒を分離
し、濾液を濃縮し、酢酸エチル/ヘキサン(容積比1/
4)混合溶媒により再結晶し、3,4,5−トリメチル
カテコールジアセテートを36%の収率で白色針状結晶
(融点119〜120℃)として得た。
【0026】得られた化合物の構造解析は、13C−NM
R(CDCl3 )、赤外線吸収スペクトル分析IR、質
量分析で行った。使用機器は、NMRについてはJEO
L製の「JNM−A500NMR測定装置」、IRにつ
いては島津製作所製の「FTIR−8100M測定装
置」、質量分析についてはヒューレットパッカード製の
「HP5989B測定装置」を用いた。
【0027】13C−NMRの測定結果、アセトキシ基が
結合した1位の芳香族性の炭素に由来するシグナルは1
39.7ppm、アセトキシ基が結合した2位の炭素に
由来するシグナルは138.9ppm、メチル基が結合
した3位、4位および5位の炭素に由来するシグナルは
それぞれ130.1ppm、133.8ppm、13
4.6ppm、水素を有する6位の炭素に由来するシグ
ナルは121.5ppmに観測された。また、アセチル
基のカルボニルの炭素に由来するシグナルは168.2
ppm、168.5ppmに観測された。3,4,5−
トリメチルカテコールジアセテートの13C−NMR分析
のチャートを図1に、IR分析のチャートを図2に、質
量分析のマススペクトルのチャートのうち図3にはCI
、図4にはEIの測定結果を示す。
【0028】実施例2 アセチルクロライドに代えて無水酢酸80.4g(0.
788モル)を用い、85℃で8時間反応させる以外は
実施例1と同様に反応を行った。反応終了後、ガスクロ
マトグラフィーで分析した結果、原料のケトイソホロン
は完全に消費されており、3,4,5−トリメチルカテ
コールジアセテートが収率32%で生成していることが
確認された。ろ過により反応液から触媒と分離し、濾液
を濃縮し、酢酸エチル/ヘキサン(容積比1/4)混合
溶媒により再結晶し、3,4,5−トリメチルカテコー
ルジアセテートを17%の収率で白色針状結晶(融点1
19〜120℃)として得た。13C−NMR(CDCl
3 )、IR、質量分析により構造解析したところ、実施
例1と同様の結果であった。
【0029】実施例3 強酸性イオン交換樹脂「アンバーリスト15」に代えて
硫酸5.0g(9.2モル)を用い、80℃で8時間反
応させる以外は実施例1と同様に反応を行った。反応終
了後、ガスクロマトグラフィーで分析した結果、原料の
ケトインホロンは完全に消費されており、3,4,5−
トリメチルカテコールジアセテートが収率28%で生成
していることが確認された。反応液を1N−NaOH水
溶液で中和し、抽出分離し、濃縮後、酢酸エチル/ヘキ
サン(容積比1/3)混合溶媒により再結晶し、3,
4,5−トリメチルカテコールジアセテートを15%の
収率で白色針状結晶(融点119〜120℃)として得
た。13C−NMR(CDCl 3 )、IRおよび質量分析
により構造解析したところ、実施例1と同様の結果が得
られた。
【0030】実施例4 実施例1で用いた触媒を濾過により反応液から分離した
後、メタノールで洗浄乾燥し、繰り返し用いた。実施例
1と同様に反応させたところ、反応終了後、ガスクロマ
トグラフィーで分析した結果、原料のケトインホロンは
完全に消費されており、3,4,5−トリメチルカテコ
ールジアセテートが収率61%で生成していることが確
認された。
【0031】実施例5 触媒としての超強酸性イオン交換樹脂「ナフィオンNR
50」(アルドリッチ社製)5g、ケトイソホロン10
g(0.066モル)、アセチルクロライド19.6g
(0.25モル)、1,2−ジクロロエタン40mlを
容積100mlの三つ口フラスコに仕込み、85℃で1
0時間反応させた。反応終了後、ガスクロマトグラフィ
ーで分析した結果、原料のケトイソホロンは完全に消費
されており、3,4,5−トリメチルカテコールジアセ
テートが収率51%で生成していることが確認された。
ろ過により反応液から触媒を分離し、濾液を濃縮し、酢
酸エチル/ヘキサン(容積比1/4)混合溶媒により再
結晶し、3,4,5−トリメチルカテコールジアセテー
トを31%の収率で白色針状結晶(融点119〜120
℃)として得た。
【0032】実施例6 触媒としてのプロトンタイプY型ゼオライト(Si/A
l=5)1g、ケトイソホロン10g(0.066モ
ル)、アセチルクロライド19.6g(0.25モ
ル)、ジクロロベンゼン40mlを容積100mlの三
つ口フラスコに仕込み、100℃で16時間反応させ
た。反応終了後、反応液の処理を実施例1と同様に行
い、再結晶により3,4,5−トリメチルカテコールジ
アセテートを9%の収率で得られた。
【0033】実施例7 触媒としての硫酸ジルコニア1g、ケトイソホロン5g
(0.033モル)、無水酢酸30g(0.293モ
ル)、クロロベンゼン30mlを容積100mlの三つ
口フラスコに仕込み、90℃で10時間反応させた。反
応終了後、ガスクロマトグラフィーで分析した結果、原
料のケトイソホロンは48%消費されており、3,4,
5−トリメチルカテコールジアセテートが収率27%で
生成していることが確認された。
【0034】実施例8 実施例1と同様の反応を行い、原料のケトイソホロンが
完全に消費されていることを確認した後、水50gを添
加し、90℃で12時間加水分解反応させた。反応終了
後、ガスクロマトグラフィーで分析したところ、3,
4,5−トリメチルカテコールジアセテートが完全に消
失し、3,4,5−トリメチルカテコールが収率60%
で生成していることが確認された。ろ過により反応液か
ら触媒を分離し、濾液を濃縮し、エタノール/水で再結
晶したところ33%の収率で3,4,5−トリメチルカ
テコールが得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、3,4,5−トリメチルカテコールジ
アセテートの13C−NMRスペクトルを示すチャートで
ある。
【図2】図2は、3,4,5−トリメチルカテコールジ
アセテートの赤外線吸収スペクトルを示すチャートであ
る。
【図3】図3は、3,4,5−トリメチルカテコールジ
アセテートのマススペクトル(CI)を示すチャート
である。
【図4】図4は、3,4,5−トリメチルカテコールジ
アセテートのマススペクトル(EI)を示すチャート
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C07C 69/773 C07C 69/773 // C07B 61/00 300 C07B 61/00 300

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式(1) 【化1】 (式中、Rはアルキル基、シクロアルキル基、アリール
    基又は複素環基を示す)で表される3,4,5−トリメ
    チルカテコールジエステル。
  2. 【請求項2】 RがC1-3アルキル基である請求項1記
    載のジエステル。
  3. 【請求項3】 Rがメチル基である請求項1記載のジエ
    ステル。
  4. 【請求項4】 酸触媒の存在下、2,6,6−トリメチ
    ルシクロヘキセ−2−エン−1,4−ジオンとアシル化
    剤を反応させ、下記式(1) 【化2】 (式中、Rはアルキル基、シクロアルキル基、アリール
    基又は複素環基を示す)で表される3,4,5−トリメ
    チルカテコールジエステルを製造する方法。
  5. 【請求項5】 極性溶媒の存在下で反応させる請求項4
    記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 双極子モーメント(Debye)1.0以上
    の反応に不活性な溶媒の存在下で反応させる請求項4記
    載の製造方法。
  7. 【請求項7】 ハロゲン化炭化水素類,有機酸類,エス
    テル類,エーテル類,ケトン類,アミド又はアミン類,
    スルホキシド類,およびニトリル類から選択された少な
    くとも一種の溶媒の存在下で反応させる請求項4記載の
    製造方法。
  8. 【請求項8】 酸触媒が、プロトン酸又はルイス酸であ
    る請求項4記載の製造方法。
  9. 【請求項9】 アシル化剤が、C2-4カルボン酸無水物
    又はC2-4カルボン酸ハライドである請求項4記載の製
    造方法。
  10. 【請求項10】 アシル化剤が、無水酢酸又はアセチル
    クロライドである請求項4記載の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009079024A (ja) * 2007-09-27 2009-04-16 Air Water Inc 2−ナフトール誘導体の製造方法
JP2010083782A (ja) * 2008-09-30 2010-04-15 Dic Corp 2−ナフトール誘導体の製造方法
JP2010540646A (ja) * 2007-10-01 2010-12-24 コルゲート・パーモリブ・カンパニー 抗菌ピロカテコール類及び関連する方法

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