JP3938049B2 - 2−ハロゲノシクロアルカノンオキシムの製造方法 - Google Patents
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Description
技術分野
本発明は、白金担持触媒存在下、水素を接触させて2−ハロゲノシクロアルケノンオキシム化合物の炭素−炭素二重結合を選択的に還元し、2−ハロゲノシクロアルカノンオキシムを製造する方法に関する。本発明の方法により、例えば、2−ハロゲノシクロドデカジエノンオキシムから、1,10−ジシアノデカンや1,12−ジアミノドデカンの中間原料となる2−ハロゲノシクロドデカノンオキシムを収率良く得ることができる。1,10−ジシアノデカンあるいは1,12−ジアミノドデカンは12ナイロンの原料として有用な化合物である。
背景技術
本発明に関連する先行技術としては、例えば、ドイツ(DE)特許第1162359号、アンゲバンテ・ケミー・インターナショナル・エディション(Angew.Chem.Internat.Edit.),2688(1963)、Chim.Ind.(Milan),46,875(1964)、ドイツ(DE)特許第1205089号、ビルタン・ド・ラ・ソシエテ・シミック・ド・フランス(Bull.Soc.Chim.France),10,2833(1965)、イタリア(IT)特許第720514号、ジャーナル・フューア・プラクティッシェ・ケミー(J.Pract.Chem.),33,282(1966)、特公昭43−16124号公報及び特公昭44−3815号公報に、パラジウム触媒を用いた2−クロロシクロドデカジエノンオキシムをはじめとする2−ハロゲノシクロアルケノンオキシム化合物の水素還元についての記載がある。しかし、これらの反応における主成物は、炭素−炭素二重結合のみならずクロロ基も還元されたシクロアルカノンオキシムである。
また、Bull.Soc.Chim.France,10,2833(1965)には、酸化白金を用いて2−クロロシクロドデカジエノンオキシムから、2−クロロシクロドデカノンオキシムが得られた例が記載されているが、収率は10%と極めて低収率であり満足のいくものではない。また、酸化白金触媒は、反応中に溶解するので、その回収再使用が容易ではないという問題点がある。
このように、2−ハロゲノシクロアルケノンオキシム化合物のハロゲン基は非常に還元され易く、2−ハロゲノシクロアルケノンオキシム化合物の炭素−炭素二重結合のみを収率よく還元する方法については、これまでに知られていなかった。
本発明の目的は、上記の課題を解決し、2−ハロゲノシクロアルケノンオキシム化合物の炭素−炭素二重結合のみを効率よく還元し、2−ハロゲノシクロアルカノンオキシムを高収率で製造する方法を提供することである。
発明の開示
本発明は、白金担持触媒の存在下、2−ハロゲノシクロアルケノンオキシム化合物を水素還元することを特徴とする2−ハロゲノシクロアルカノンオキシムの製造方法に関するものである。
発明を実施するための最良の形態
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明は下式(1):
式中、Xはハロゲン原子を表し、Yは1つ以上の炭素−炭素二重結合を有する不飽和のアルキレン基を表し、Zは飽和のアルキレン基を表す、
で示すことができる。
本発明の原料化合物である2−ハロゲノシクロアルケノンオキシム化合物は、対応するアルケン化合物とニトロシルハライド等の反応等によって、合成することができる。例えば、2−クロロシクロドデカジエノンオキシムの製造はラ・キミカ・エ・インドブストリア(Chim.Ind.)(Milan),49(5),494(1967)に記載された方法で得ることができる。
本発明において使用される2−ハロゲノシクロアルケノンオキシム化合物としては、好ましくは、炭素数5〜12の環状炭化水素からなり、1つ以上の炭素−炭素二重結合を有するものが挙げられる。より好ましくは、炭素数12の2−ハロゲノシクロドデカジエノンオキシムであり、更に好ましくは2−ハロゲノ−5,9−シクロドデカジエノンオキシムである。
なお、2−ハロゲノシクロアルケノンオキシム化合物の炭素−炭素二重結合の立体構造は、シス体又はトランス体等いかなる場合であっても構わない。また、これらの異性体は混合して使用してもよい。
2−ハロゲノシクロアルケノンオキシム化合物は、市販品あるいは合成品をそのまま使用することも、さらに結晶化等により精製したものを使用することもできる。
2−ハロゲノシクロアルケノンオキシム化合物におけるハロゲン原子は、好ましくはフッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子であり、より好ましくは塩素原子である。
2−ハロゲノシクロアルケノンオキシム化合物としては、具体的には2−クロロシクロペンテノンオキシム、2−クロロシクロヘキセノンオキシム、2−クロロシクロヘプテノンオキシム、2−クロロシクロオクテノンオキシム、2−クロロシクロノネノンオキシム、2−クロロシクロデセノンオキシム、2−クロロシクロウンデセノンオキシム、2−クロロシクロドデセノンオキシム、2−クロロシクロドデカジエノンオキシム等が挙げられる。好ましくは2−クロロシクロドデカジエノンオキシムであり、特に好ましくは、2−クロロ−5,9−シクロドデカジエノンオキシムである。これらは、単独でも2種以上を混合して使用してもよい。
本発明の反応において使用される白金担持触媒とは、白金元素または白金元素を含む化合物を不活性支持体に担持させた固体触媒などの不均一触媒であり、好ましくは粉末触媒、更に好ましくは平均粒径が数μm〜数百μm、更には1μm〜500μmの粉末触媒である。前記不活性支持体としては、活性炭、アルミナ、シリカ、シリカアルミナ、ゼオライト、スピネル等が挙げられるが、好ましくは、活性炭、アルミナ、シリカ、シリカアルミナ、より好ましくは活性炭である。本発明において使用される白金元素を含む化合物としては、例えば、塩化白金、塩化白金酸、水酸化白金、硫化白金、酸化白金などが挙げられる。本発明における白金担持触媒としては、白金元素を活性炭に担持させたものが好ましく使用される。また、白金元素の不活性支持体への担持量は、不活性支持体に対して0.1〜30重量%であることが好ましく、さらに好ましくは0.5〜10重量%である。触媒中の白金元素は、不活性支持体の表面又は内部、若しくは両方に担持されていても良い。
白金担持触媒の使用量については特に制限はないが、原料である2−ハロゲノシクロアルケノンオキシム化合物に対する白金元素のモル比が、1/3〜1/50000となる量を使用することが好ましい。
本発明での反応溶媒は、通常は有機溶媒を使用する。有機溶媒としては、本反応に不活性な溶媒であれば特に制限はないが、酢酸メチル、酢酸エチル等の脂肪族エステル類、メタノール、エタノール等の脂肪族アルコール類、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類、塩化メチレン、四塩化炭素等の脂肪族ハロゲン化炭化水素類、ジエチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、クロルベンゼン等の芳香族炭化水素類、酢酸、プロピオン酸などの脂肪族カルボン酸類等が挙げられる。好ましくは酢酸メチル、酢酸エチル等の脂肪族エステル類および酢酸、プロピオン酸などの脂肪族カルボン酸類である。これらの溶媒の使用量は、2−ハロゲノシクロアルケノンオキシム化合物に対し、通常、1〜100重量倍、好ましくは3〜50重量倍である。
本発明において、2−ハロゲノシクロアルケノンオキシム化合物を水素還元する方法は、通常、水素ガス雰囲気にて有機溶媒、2−ハロゲノシクロアルケノンオキシム化合物および白金担持触媒を混合して行われる。
反応水素圧は、通常、常圧下で実施されるが、加圧下で実施してもよい。加圧下での反応における圧力に特に制限はないが、反応装置の耐圧や目的物の収率から判断し、好ましくは100気圧以下、より好ましくは60気圧以下である。
反応温度は、使用する反応溶媒の沸点以下である限り、特に制限されないが、通常、0〜100℃、好ましくは10〜80℃、より好ましくは10〜50℃で行うことができる。
反応水素圧および反応温度があまりに低いと反応に長時間を要すること、さらに目的物の収量が低下する為に好ましくない。また、反応水素圧および反応温度があまりに高いと還元が進み、やはり目的物の収量が低下する傾向が生じる為好ましくない。
反応装置も、特に制限はなく通常の攪拌装置を備えた反応器で実施することができる。
反応時間は、前記濃度、温度等の反応条件によって変化するが、通常、0.5〜24時間で行うことができる。
本発明で得られた2−ハロゲノシクロアルカノンオキシムは、蒸留・結晶化等により分離・精製することができる。
実施例
次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
実施例1
2−クロロ−5,9−シクロドデカジエノンオキシム1.0g(4.4mmol)、2wt%白金/C触媒(含水52.71%)0.46g(0.022mmol)を酢酸エチル10mlに溶解し、水素雰囲気下、常圧、室温(25℃)にて6時間攪拌した。
ここで、2wt%白金/C触媒とは、2wt%白金/活性炭担持触媒である。
反応終了後、触媒を濾別し、得られた反応溶媒を液体クロマトグラフィー(HPLC)によって定量分析した。その結果、2−クロロシクロドデカノンオキシムが0.88g(3.8mmol,収率86%)生成していることが判った。結果を表1に示す。
溶媒留去後、白色固体として得られた2−クロロシクロドデカノンオキシムの各種機器分析結果は、以下のとおりである。
(1)質量分析(MS)
m/z(EI):231,196
m/z(CI):232(MH+)
(2)水素核磁気共鳴分析(1H−NMR)
1H−NMR(300MHz,CDCl3)δ:1.22〜1.45(14H,m),1.59〜1.70(2H,m),1.88〜1.96(1H,m)2.29〜2.45(2H,m),2.76〜2.86(1H,m)4.56〜4.62(1H,m),8.00〜8.58(1H,m)
(3)融点
106.6〜107.2℃
比較例1および2
2wt%白金/C触媒(含水52.71%)(2wt%Pt/Cと表に記載)の代わりにPtO2・3H2O0.0062g(0.022mmol)(比較例1)および2wt%Pd/C触媒0.117g(0.022mmol)(比較例2)を用いた以外は、実施例1に準じて反応を行った。結果を表1に併せて示す。
いずれも転化率は低く目的物は得られなかった。
実施例2
実施例1の反応後に濾別し、回収した2wt%白金/C触媒を用いて実施例1と同様の反応を行い、触媒の寿命を検討した。その結果、2−クロロシクロドデカノンオキシムが収率95%で得られた。
これらの結果を表2に示す。
実施例3および4
反応溶媒を酢酸(実施例3)およびトルエン(実施例4)に変えた以外は、実施例1に準じて反応を行った。結果を表3にまとめて示す。
実施例5および6
触媒と2−クロロ−5,9−シクロドデカジエノンオキシムのモル比を1/1000とし、水素圧力を60kg/cm2、反応温度を60℃(実施例5)および80℃(実施例6)とした以外は、実施例1に準じて反応を行った。結果を表4に示す。
産業上の利用可能性
本発明により、高収率で2−ハロゲノシクロアルカノンオキシムを得ることができる。また、触媒が反応中に溶解することがないために、反応終了後、濾別などの手段により容易に回収できるので、触媒の回収・再使用も容易に行なうことができる。
本発明は、白金担持触媒存在下、水素を接触させて2−ハロゲノシクロアルケノンオキシム化合物の炭素−炭素二重結合を選択的に還元し、2−ハロゲノシクロアルカノンオキシムを製造する方法に関する。本発明の方法により、例えば、2−ハロゲノシクロドデカジエノンオキシムから、1,10−ジシアノデカンや1,12−ジアミノドデカンの中間原料となる2−ハロゲノシクロドデカノンオキシムを収率良く得ることができる。1,10−ジシアノデカンあるいは1,12−ジアミノドデカンは12ナイロンの原料として有用な化合物である。
背景技術
本発明に関連する先行技術としては、例えば、ドイツ(DE)特許第1162359号、アンゲバンテ・ケミー・インターナショナル・エディション(Angew.Chem.Internat.Edit.),2688(1963)、Chim.Ind.(Milan),46,875(1964)、ドイツ(DE)特許第1205089号、ビルタン・ド・ラ・ソシエテ・シミック・ド・フランス(Bull.Soc.Chim.France),10,2833(1965)、イタリア(IT)特許第720514号、ジャーナル・フューア・プラクティッシェ・ケミー(J.Pract.Chem.),33,282(1966)、特公昭43−16124号公報及び特公昭44−3815号公報に、パラジウム触媒を用いた2−クロロシクロドデカジエノンオキシムをはじめとする2−ハロゲノシクロアルケノンオキシム化合物の水素還元についての記載がある。しかし、これらの反応における主成物は、炭素−炭素二重結合のみならずクロロ基も還元されたシクロアルカノンオキシムである。
また、Bull.Soc.Chim.France,10,2833(1965)には、酸化白金を用いて2−クロロシクロドデカジエノンオキシムから、2−クロロシクロドデカノンオキシムが得られた例が記載されているが、収率は10%と極めて低収率であり満足のいくものではない。また、酸化白金触媒は、反応中に溶解するので、その回収再使用が容易ではないという問題点がある。
このように、2−ハロゲノシクロアルケノンオキシム化合物のハロゲン基は非常に還元され易く、2−ハロゲノシクロアルケノンオキシム化合物の炭素−炭素二重結合のみを収率よく還元する方法については、これまでに知られていなかった。
本発明の目的は、上記の課題を解決し、2−ハロゲノシクロアルケノンオキシム化合物の炭素−炭素二重結合のみを効率よく還元し、2−ハロゲノシクロアルカノンオキシムを高収率で製造する方法を提供することである。
発明の開示
本発明は、白金担持触媒の存在下、2−ハロゲノシクロアルケノンオキシム化合物を水素還元することを特徴とする2−ハロゲノシクロアルカノンオキシムの製造方法に関するものである。
発明を実施するための最良の形態
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明は下式(1):
式中、Xはハロゲン原子を表し、Yは1つ以上の炭素−炭素二重結合を有する不飽和のアルキレン基を表し、Zは飽和のアルキレン基を表す、
で示すことができる。
本発明の原料化合物である2−ハロゲノシクロアルケノンオキシム化合物は、対応するアルケン化合物とニトロシルハライド等の反応等によって、合成することができる。例えば、2−クロロシクロドデカジエノンオキシムの製造はラ・キミカ・エ・インドブストリア(Chim.Ind.)(Milan),49(5),494(1967)に記載された方法で得ることができる。
本発明において使用される2−ハロゲノシクロアルケノンオキシム化合物としては、好ましくは、炭素数5〜12の環状炭化水素からなり、1つ以上の炭素−炭素二重結合を有するものが挙げられる。より好ましくは、炭素数12の2−ハロゲノシクロドデカジエノンオキシムであり、更に好ましくは2−ハロゲノ−5,9−シクロドデカジエノンオキシムである。
なお、2−ハロゲノシクロアルケノンオキシム化合物の炭素−炭素二重結合の立体構造は、シス体又はトランス体等いかなる場合であっても構わない。また、これらの異性体は混合して使用してもよい。
2−ハロゲノシクロアルケノンオキシム化合物は、市販品あるいは合成品をそのまま使用することも、さらに結晶化等により精製したものを使用することもできる。
2−ハロゲノシクロアルケノンオキシム化合物におけるハロゲン原子は、好ましくはフッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子であり、より好ましくは塩素原子である。
2−ハロゲノシクロアルケノンオキシム化合物としては、具体的には2−クロロシクロペンテノンオキシム、2−クロロシクロヘキセノンオキシム、2−クロロシクロヘプテノンオキシム、2−クロロシクロオクテノンオキシム、2−クロロシクロノネノンオキシム、2−クロロシクロデセノンオキシム、2−クロロシクロウンデセノンオキシム、2−クロロシクロドデセノンオキシム、2−クロロシクロドデカジエノンオキシム等が挙げられる。好ましくは2−クロロシクロドデカジエノンオキシムであり、特に好ましくは、2−クロロ−5,9−シクロドデカジエノンオキシムである。これらは、単独でも2種以上を混合して使用してもよい。
本発明の反応において使用される白金担持触媒とは、白金元素または白金元素を含む化合物を不活性支持体に担持させた固体触媒などの不均一触媒であり、好ましくは粉末触媒、更に好ましくは平均粒径が数μm〜数百μm、更には1μm〜500μmの粉末触媒である。前記不活性支持体としては、活性炭、アルミナ、シリカ、シリカアルミナ、ゼオライト、スピネル等が挙げられるが、好ましくは、活性炭、アルミナ、シリカ、シリカアルミナ、より好ましくは活性炭である。本発明において使用される白金元素を含む化合物としては、例えば、塩化白金、塩化白金酸、水酸化白金、硫化白金、酸化白金などが挙げられる。本発明における白金担持触媒としては、白金元素を活性炭に担持させたものが好ましく使用される。また、白金元素の不活性支持体への担持量は、不活性支持体に対して0.1〜30重量%であることが好ましく、さらに好ましくは0.5〜10重量%である。触媒中の白金元素は、不活性支持体の表面又は内部、若しくは両方に担持されていても良い。
白金担持触媒の使用量については特に制限はないが、原料である2−ハロゲノシクロアルケノンオキシム化合物に対する白金元素のモル比が、1/3〜1/50000となる量を使用することが好ましい。
本発明での反応溶媒は、通常は有機溶媒を使用する。有機溶媒としては、本反応に不活性な溶媒であれば特に制限はないが、酢酸メチル、酢酸エチル等の脂肪族エステル類、メタノール、エタノール等の脂肪族アルコール類、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類、塩化メチレン、四塩化炭素等の脂肪族ハロゲン化炭化水素類、ジエチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、クロルベンゼン等の芳香族炭化水素類、酢酸、プロピオン酸などの脂肪族カルボン酸類等が挙げられる。好ましくは酢酸メチル、酢酸エチル等の脂肪族エステル類および酢酸、プロピオン酸などの脂肪族カルボン酸類である。これらの溶媒の使用量は、2−ハロゲノシクロアルケノンオキシム化合物に対し、通常、1〜100重量倍、好ましくは3〜50重量倍である。
本発明において、2−ハロゲノシクロアルケノンオキシム化合物を水素還元する方法は、通常、水素ガス雰囲気にて有機溶媒、2−ハロゲノシクロアルケノンオキシム化合物および白金担持触媒を混合して行われる。
反応水素圧は、通常、常圧下で実施されるが、加圧下で実施してもよい。加圧下での反応における圧力に特に制限はないが、反応装置の耐圧や目的物の収率から判断し、好ましくは100気圧以下、より好ましくは60気圧以下である。
反応温度は、使用する反応溶媒の沸点以下である限り、特に制限されないが、通常、0〜100℃、好ましくは10〜80℃、より好ましくは10〜50℃で行うことができる。
反応水素圧および反応温度があまりに低いと反応に長時間を要すること、さらに目的物の収量が低下する為に好ましくない。また、反応水素圧および反応温度があまりに高いと還元が進み、やはり目的物の収量が低下する傾向が生じる為好ましくない。
反応装置も、特に制限はなく通常の攪拌装置を備えた反応器で実施することができる。
反応時間は、前記濃度、温度等の反応条件によって変化するが、通常、0.5〜24時間で行うことができる。
本発明で得られた2−ハロゲノシクロアルカノンオキシムは、蒸留・結晶化等により分離・精製することができる。
実施例
次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
実施例1
2−クロロ−5,9−シクロドデカジエノンオキシム1.0g(4.4mmol)、2wt%白金/C触媒(含水52.71%)0.46g(0.022mmol)を酢酸エチル10mlに溶解し、水素雰囲気下、常圧、室温(25℃)にて6時間攪拌した。
ここで、2wt%白金/C触媒とは、2wt%白金/活性炭担持触媒である。
反応終了後、触媒を濾別し、得られた反応溶媒を液体クロマトグラフィー(HPLC)によって定量分析した。その結果、2−クロロシクロドデカノンオキシムが0.88g(3.8mmol,収率86%)生成していることが判った。結果を表1に示す。
溶媒留去後、白色固体として得られた2−クロロシクロドデカノンオキシムの各種機器分析結果は、以下のとおりである。
(1)質量分析(MS)
m/z(EI):231,196
m/z(CI):232(MH+)
(2)水素核磁気共鳴分析(1H−NMR)
1H−NMR(300MHz,CDCl3)δ:1.22〜1.45(14H,m),1.59〜1.70(2H,m),1.88〜1.96(1H,m)2.29〜2.45(2H,m),2.76〜2.86(1H,m)4.56〜4.62(1H,m),8.00〜8.58(1H,m)
(3)融点
106.6〜107.2℃
比較例1および2
2wt%白金/C触媒(含水52.71%)(2wt%Pt/Cと表に記載)の代わりにPtO2・3H2O0.0062g(0.022mmol)(比較例1)および2wt%Pd/C触媒0.117g(0.022mmol)(比較例2)を用いた以外は、実施例1に準じて反応を行った。結果を表1に併せて示す。
いずれも転化率は低く目的物は得られなかった。
実施例2
実施例1の反応後に濾別し、回収した2wt%白金/C触媒を用いて実施例1と同様の反応を行い、触媒の寿命を検討した。その結果、2−クロロシクロドデカノンオキシムが収率95%で得られた。
これらの結果を表2に示す。
実施例3および4
反応溶媒を酢酸(実施例3)およびトルエン(実施例4)に変えた以外は、実施例1に準じて反応を行った。結果を表3にまとめて示す。
実施例5および6
触媒と2−クロロ−5,9−シクロドデカジエノンオキシムのモル比を1/1000とし、水素圧力を60kg/cm2、反応温度を60℃(実施例5)および80℃(実施例6)とした以外は、実施例1に準じて反応を行った。結果を表4に示す。
産業上の利用可能性
本発明により、高収率で2−ハロゲノシクロアルカノンオキシムを得ることができる。また、触媒が反応中に溶解することがないために、反応終了後、濾別などの手段により容易に回収できるので、触媒の回収・再使用も容易に行なうことができる。
Claims (4)
- 白金担持触媒存在下、2−ハロゲノシクロアルケノンオキシム化合物を水素還元することを特徴とする2−ハロゲノシクロアルカノンオキシムの製造方法。
- 白金担持触媒が、白金元素または白金元素を含む化合物を、活性炭、アルミナ、シリカ及びシリカアルミナより選ばれる不活性支持体に担持させた不均一系触媒である請求の範囲第1項記載の2−ハロゲノシクロアルカノンオキシムの製造方法。
- 白金担持触媒が、白金元素を活性炭に担持させた触媒である請求の範囲第1項又は第2項に記載の2−ハロゲノシクロアルカノンオキシムの製造方法。
- 2−ハロゲノシクロアルケノンオキシム化合物が2−ハロゲノシクロドデカジエノンオキシムである請求の範囲第1項〜第3項のいずれか一項に記載の2−ハロゲノシクロアルカノンオキシムの製造方法。
Applications Claiming Priority (3)
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JP2001044566 | 2001-02-21 | ||
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Publications (2)
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