JP2008031046A - テトラヒドロピランを溶媒とするグリニャール試薬の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本芳香族塩化物、特にクロロベンゼン化合物とマグネシウムを用いてグリニャール試薬を製造する際に、芳香族塩化物の反応性の低さを改善し、反応時間の長さ及びグリニャール試薬の収率を改善する。
【解決手段】有機ジハロゲン化物をマグネシウムの活性化に用いることによりクロロベンゼン化合物を原料とするグリニャール試薬製造工程の溶媒にテトラヒドロピランを用いる。
【選択図】なし
【解決手段】有機ジハロゲン化物をマグネシウムの活性化に用いることによりクロロベンゼン化合物を原料とするグリニャール試薬製造工程の溶媒にテトラヒドロピランを用いる。
【選択図】なし
Description
本発明は有機ジハロゲン化物の存在下、クロロベンゼン化合物とマグネシウムをテトラヒドロピラン中で反応させてグリニャール試薬を製造する方法に関する。
グリニャール反応は炭素−炭素結合を生成する最も有用な方法である(Grignard Reactions of Non-Metallic Substances, Prentice Hall, Englewood, Cliffs, New Jersey(1954):非特許文献1)。
グリニャール反応は、高い反応性を有する有機金属反応剤(グリニャール試薬)により炭素−炭素結合を形成する反応であり、グリニャール試薬は有機ハロゲン化物とマグネシウムをエーテル系溶媒中で反応させることにより合成する。
グリニャール反応は、高い反応性を有する有機金属反応剤(グリニャール試薬)により炭素−炭素結合を形成する反応であり、グリニャール試薬は有機ハロゲン化物とマグネシウムをエーテル系溶媒中で反応させることにより合成する。
芳香族のグリニャール試薬の合成方法としては、反応性の高い芳香族臭化物または芳香族ヨウ化物とマグネシウムをエーテル系溶媒中で反応させて合成する方法、及び芳香族塩化物とマグネシウムをエーテル系溶媒中で反応させて合成する方法がある。
しかし、芳香族臭化物または芳香族ヨウ化物を用いる方法は、芳香族塩化物を用いる方法に比べ分子量が大きくなるので原料の使用量(質量)も多くなるうえ、原料の単価が高いので製造コストが高くなるというような問題がある。
しかし、芳香族臭化物または芳香族ヨウ化物を用いる方法は、芳香族塩化物を用いる方法に比べ分子量が大きくなるので原料の使用量(質量)も多くなるうえ、原料の単価が高いので製造コストが高くなるというような問題がある。
一方、芳香族塩化物を用いる方法は、芳香族臭化物または芳香族ヨウ化物を用いる方法に比べて、原料の使用量が少なく、また原料の単価が低いという利点があるが、芳香族塩化物はマグネシウムとの反応性が低いため、反応時間が長く、またグリニャール試薬の収率が低いなどの問題がある。
芳香族塩化物とマグネシウムからグリニャール試薬を合成する方法としては、塩化マグネシウムとカリウムから得られる活性化マグネシウムを使用する方法(特開平9−227575号公報:特許文献1)、エーテル系溶媒と炭化水素溶媒の混合溶媒を使用する方法(特開2003−96082号公報:特許文献2)などがある。
しかし、前者の活性化マグネシウムを使用する方法の場合は、カリウムを使用するので安全性に問題がある。
また、後者の混合溶媒を使用する方法の場合、エーテル系溶媒中でのみ生成するグリニャール試薬に炭化水素溶媒を加えるため、グリニャール試薬の安定性が低下し、かつ濃度が低くなるという問題がある。
しかし、前者の活性化マグネシウムを使用する方法の場合は、カリウムを使用するので安全性に問題がある。
また、後者の混合溶媒を使用する方法の場合、エーテル系溶媒中でのみ生成するグリニャール試薬に炭化水素溶媒を加えるため、グリニャール試薬の安定性が低下し、かつ濃度が低くなるという問題がある。
また、米国特許第776993号公報(特許文献3)、及び米国特許第2873275号公報(特許文献4)には、テトラヒドロピラン溶媒中、クロロベンゼンおよびp−ジクロロベンゼンとマグネシウムとの反応によるグリニャール試薬の製造方法が記載されている。
この方法では、クロロベンゼン化合物に対してマグネシウムを当モル量使用し、また、マグネシウムの活性化にはヨウ素を用いている。グリニャール試薬の収率は、クロロベンゼンを用いて還流下12時間で反応した場合96%、p−ジクロロベンゼンを用いて還流下8時間で反応した場合83%である。しかし、両者とも反応に長時間を要し、かつ反応が完結しないという問題がある。
この方法では、クロロベンゼン化合物に対してマグネシウムを当モル量使用し、また、マグネシウムの活性化にはヨウ素を用いている。グリニャール試薬の収率は、クロロベンゼンを用いて還流下12時間で反応した場合96%、p−ジクロロベンゼンを用いて還流下8時間で反応した場合83%である。しかし、両者とも反応に長時間を要し、かつ反応が完結しないという問題がある。
Grignard Reactions of Non-Metallic Substances, Prentice Hall, Englewood, Cliffs, New Jersey(1954)
特開平9−227575号公報
特開2003−96082号公報
米国特許第776993号公報
米国特許第2873275号公報
本発明は、芳香族塩化物、特にクロロベンゼン化合物とマグネシウムを用いてグリニャール試薬を製造する際に、芳香族塩化物の反応性の低さを改善し、反応時間の長さ及びグリニャール試薬の収率を改善することにある。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意努力した結果、有機ジハロゲン化物をマグネシウムの活性化に用いることによりクロロベンゼン化合物を原料とするグリニャール試薬製造工程の溶媒にテトラヒドロピランを用いることにより、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下のグリニャール試薬の製造方法に関するものである。
[1]有機ジハロゲン化物の存在下、クロロベンゼン化合物とマグネシウムをテトラヒドロピラン中で反応させることを特徴とするグリニャール試薬の製造方法。
[2]マグネシウムと有機ジハロゲン化物を反応させた後、クロロベンゼン化合物とマグネシウムをテトラヒドロピラン中で反応させるグリニャール試薬の製造方法。
[3]マグネシウムをクロロベンゼン化合物に対して過剰量用いる前記1または2に記載のグリニャール試薬の製造方法。
[4]クロロベンゼン化合物がクロロベンゼンである前記1〜4のいずれかに記載のグリニャール試薬の製造方法。
[5]前記1〜4のいずれかに記載された方法で製造されたグリニャール試薬を用いてテトラヒドロピラン中で求核付加反応を行うことを特徴とするグリニャール反応生成物の製造方法。
[6]グリニャール反応の後、水を加え、反応により生成した化合物をテトラヒドロピラン層へ抽出する前記5に記載のグリニャール反応生成物の製造方法。
[1]有機ジハロゲン化物の存在下、クロロベンゼン化合物とマグネシウムをテトラヒドロピラン中で反応させることを特徴とするグリニャール試薬の製造方法。
[2]マグネシウムと有機ジハロゲン化物を反応させた後、クロロベンゼン化合物とマグネシウムをテトラヒドロピラン中で反応させるグリニャール試薬の製造方法。
[3]マグネシウムをクロロベンゼン化合物に対して過剰量用いる前記1または2に記載のグリニャール試薬の製造方法。
[4]クロロベンゼン化合物がクロロベンゼンである前記1〜4のいずれかに記載のグリニャール試薬の製造方法。
[5]前記1〜4のいずれかに記載された方法で製造されたグリニャール試薬を用いてテトラヒドロピラン中で求核付加反応を行うことを特徴とするグリニャール反応生成物の製造方法。
[6]グリニャール反応の後、水を加え、反応により生成した化合物をテトラヒドロピラン層へ抽出する前記5に記載のグリニャール反応生成物の製造方法。
本発明によれば、原料単価が安価な芳香族塩化物、特にクロロベンゼン化合物とマグネシウムを用いてグリニャール試薬を製造する際に、芳香族塩化物の反応性の低さを改善し、反応時間の長さ及びグリニャール試薬の収率を改善することができる。
以下に本発明の具体的内容について詳細に説明する。
1.グリニャール試薬の製造方法
本発明は、第一に、有機ジハロゲン化物の存在下、クロロベンゼン化合物とマグネシウムをテトラヒドロピラン中で反応させることを特徴とするグリニャール試薬の製造方法に関する。
1.グリニャール試薬の製造方法
本発明は、第一に、有機ジハロゲン化物の存在下、クロロベンゼン化合物とマグネシウムをテトラヒドロピラン中で反応させることを特徴とするグリニャール試薬の製造方法に関する。
[クロロベンゼン化合物]
本発明で使用されるクロロベンゼン化合物は無置換であっても置換基があってもよい。置換基としてはフルオロ基、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アリル基、ビニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、ジアルキルアミノ基、ニトロ基などが用いられる。
本発明で使用されるクロロベンゼン化合物は無置換であっても置換基があってもよい。置換基としてはフルオロ基、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アリル基、ビニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、ジアルキルアミノ基、ニトロ基などが用いられる。
[マグネシウム]
本発明で用いられるマグネシウムは顆粒のマグネシウム、具体的にはマグネシウム削片、マグネシウムダスト、マグネシウム粉末などの形態のものが好ましい。
クロロベンゼン化合物に対してマグネシウムは少なくとも1mol当量使用される。
本発明においては、マグネシウムはクロロベンゼン化合物に対して過剰量用いる。マグネシウムの量がクロロベンゼン化合物に対して当モルでは反応が実質的に完結せず、また2倍モル量以上では反応を促進させるなどの利点がなくなってしまい、更に反応終了時に未反応のマグネシウムを除去しなければならないという問題がある。
好適には、クロロベンゼン化合物に対して1.01〜1.5mol当量用いる。さらに好ましくは、1.05〜1.35mol当量である。
本発明で用いられるマグネシウムは顆粒のマグネシウム、具体的にはマグネシウム削片、マグネシウムダスト、マグネシウム粉末などの形態のものが好ましい。
クロロベンゼン化合物に対してマグネシウムは少なくとも1mol当量使用される。
本発明においては、マグネシウムはクロロベンゼン化合物に対して過剰量用いる。マグネシウムの量がクロロベンゼン化合物に対して当モルでは反応が実質的に完結せず、また2倍モル量以上では反応を促進させるなどの利点がなくなってしまい、更に反応終了時に未反応のマグネシウムを除去しなければならないという問題がある。
好適には、クロロベンゼン化合物に対して1.01〜1.5mol当量用いる。さらに好ましくは、1.05〜1.35mol当量である。
[反応活性化剤]
本反応では、反応活性化剤として有機ジハロゲン化合物を用いることができる。反応活性化剤とはマグネシウムの表面を改質し、マグネシウムとクロロベンゼン化合物との反応性を向上させるものである。
このような有機ジハロゲン化合物としては、例えば、ジブロモメタン、ジヨードメタン、1,2−ジブロモエタン、1,2−ジヨードエタン、1−クロロ−2ブロモエタン、1−クロロ−2−ヨードエタン、1−ブロモ−2−ヨードエタンなどの低級炭化水素のジハロゲン化物などが用いられる。
有機ジハロゲン化合物の使用量はマグネシウムに対して0.01〜0.3mol当量使用され、好適には0.05〜0.15mol当量使用される。使用するハロゲン化合物が少ないと十分な反応開始効果が得られず、グリニャール試薬の生成速度が遅くなってしまう。また、使用するハロゲン化物の量が多いとマグネシウムが損失したり、副反応が起こるなどの可能性があり好ましくない。
本反応では、反応活性化剤として有機ジハロゲン化合物を用いることができる。反応活性化剤とはマグネシウムの表面を改質し、マグネシウムとクロロベンゼン化合物との反応性を向上させるものである。
このような有機ジハロゲン化合物としては、例えば、ジブロモメタン、ジヨードメタン、1,2−ジブロモエタン、1,2−ジヨードエタン、1−クロロ−2ブロモエタン、1−クロロ−2−ヨードエタン、1−ブロモ−2−ヨードエタンなどの低級炭化水素のジハロゲン化物などが用いられる。
有機ジハロゲン化合物の使用量はマグネシウムに対して0.01〜0.3mol当量使用され、好適には0.05〜0.15mol当量使用される。使用するハロゲン化合物が少ないと十分な反応開始効果が得られず、グリニャール試薬の生成速度が遅くなってしまう。また、使用するハロゲン化物の量が多いとマグネシウムが損失したり、副反応が起こるなどの可能性があり好ましくない。
[溶媒]
反応溶媒としては、テトラヒドロピランを用いる。
テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)などのエーテル系溶媒、トルエン、キシレンなどの炭化水素系溶媒との混合溶媒も使用することができるが、回収、再利用をする観点からテトラヒドロピラン単独で用いることが望ましい。テトラヒドロピランは通常、蒸留、脱水剤処理をして使用され、マグネシウムに対して2〜50倍重量、好適には5〜30倍重量用いられる。
反応溶媒としては、テトラヒドロピランを用いる。
テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)などのエーテル系溶媒、トルエン、キシレンなどの炭化水素系溶媒との混合溶媒も使用することができるが、回収、再利用をする観点からテトラヒドロピラン単独で用いることが望ましい。テトラヒドロピランは通常、蒸留、脱水剤処理をして使用され、マグネシウムに対して2〜50倍重量、好適には5〜30倍重量用いられる。
[グリニャール試薬の生成]
本反応は、通常窒素、アルゴンなどの不活性雰囲気下でおこなわれる。
通常、テトラヒドロピランとマグネシウムからなる溶液に有機ジハロゲン化合物を添加した後、クロロベンゼン化合物を一度または時間をかけて添加する方法、テトラヒドロピランとマグネシウムからなる溶液に有機ジハロゲン化合物とクロロベンゼン化合物を同時に添加する方法、またはテトラヒドロピラン、マグネシウム、クロロベンゼン化合物からなる溶液に有機ジハロゲン化合物を添加する方法がある。反応温度は通常0℃から添加する反応液の還流温度以下で行われ、好ましくは25℃から反応液の還流温度である。
本反応は、通常窒素、アルゴンなどの不活性雰囲気下でおこなわれる。
通常、テトラヒドロピランとマグネシウムからなる溶液に有機ジハロゲン化合物を添加した後、クロロベンゼン化合物を一度または時間をかけて添加する方法、テトラヒドロピランとマグネシウムからなる溶液に有機ジハロゲン化合物とクロロベンゼン化合物を同時に添加する方法、またはテトラヒドロピラン、マグネシウム、クロロベンゼン化合物からなる溶液に有機ジハロゲン化合物を添加する方法がある。反応温度は通常0℃から添加する反応液の還流温度以下で行われ、好ましくは25℃から反応液の還流温度である。
2.グリニャール反応生成物の製造方法
本発明は、第二に、このようにして得られたグリニャール試薬を、次工程で増炭素反応するために用いたグリニャール反応生成物の製造方法に関する。
本発明は、第二に、このようにして得られたグリニャール試薬を、次工程で増炭素反応するために用いたグリニャール反応生成物の製造方法に関する。
[被求核付加剤]
本発明により得られるグリニャール試薬は、以下の被求核付加剤と反応させて増炭生成物であるグリニャール生成物を与える。
このような被求核付加剤としては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ブチルアルデヒド、クロトンアルデヒド、3−フェニルプロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、アニスアルデヒド、p−クロロベンズアルデヒド、p−メチルベンズアルデヒド、テレフタルアルデヒドなどのアルデヒド化合物、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、シクロヘキサノン、アセトフェノン、ベンゾフェノンなどのケトン化合物、蟻酸メチル、酢酸メチル、安息香酸エチル、アニス酸メチルなどのエステル化合物、蟻酸、酢酸、安息香酸、アニス酸、などのカルボン酸化合物、蟻酸クロライド、酢酸クロライド、安息香酸クロライド、アニス酸クロライドなどの酸クロライド化合物、N,N‘−ジメチル酢酸アミド、N,N‘−ジエチルベンズアミドなどのアミド化合物、アセトニトリル、アクリロニトリル、ベンゾニトリル、テレフタロニトリルなどのニトリル化合物、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、ε−カプロラクトンなどのラクトン化合物、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、イソブチレンオキシドスチレンオキシド、ビスフェノールAなどのエポキシ化合物、オキセタンなどの4員環状化合物などを用いることができる。また、二酸化炭素、二硫化炭素などのC1化合物、酸素、硫黄などの分子状化合物、含硫黄有機化合物として、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、ジフェニルスルホンなどのスルホン化合物、含窒素有機化合物として、メチルイソシアネート、フェニルエソシアネートなどのイソシアネート化合物、ニトロソベンゼン、p−ジニトロベンゼン、p−ニトロソトルエンなどのニトロソ化合物などを用いることができる。
本発明により得られるグリニャール試薬は、以下の被求核付加剤と反応させて増炭生成物であるグリニャール生成物を与える。
このような被求核付加剤としては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ブチルアルデヒド、クロトンアルデヒド、3−フェニルプロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、アニスアルデヒド、p−クロロベンズアルデヒド、p−メチルベンズアルデヒド、テレフタルアルデヒドなどのアルデヒド化合物、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、シクロヘキサノン、アセトフェノン、ベンゾフェノンなどのケトン化合物、蟻酸メチル、酢酸メチル、安息香酸エチル、アニス酸メチルなどのエステル化合物、蟻酸、酢酸、安息香酸、アニス酸、などのカルボン酸化合物、蟻酸クロライド、酢酸クロライド、安息香酸クロライド、アニス酸クロライドなどの酸クロライド化合物、N,N‘−ジメチル酢酸アミド、N,N‘−ジエチルベンズアミドなどのアミド化合物、アセトニトリル、アクリロニトリル、ベンゾニトリル、テレフタロニトリルなどのニトリル化合物、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、ε−カプロラクトンなどのラクトン化合物、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、イソブチレンオキシドスチレンオキシド、ビスフェノールAなどのエポキシ化合物、オキセタンなどの4員環状化合物などを用いることができる。また、二酸化炭素、二硫化炭素などのC1化合物、酸素、硫黄などの分子状化合物、含硫黄有機化合物として、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、ジフェニルスルホンなどのスルホン化合物、含窒素有機化合物として、メチルイソシアネート、フェニルエソシアネートなどのイソシアネート化合物、ニトロソベンゼン、p−ジニトロベンゼン、p−ニトロソトルエンなどのニトロソ化合物などを用いることができる。
上記の中でも、アルデヒド化合物、ケトン化合物、エステル化合物、カルボン酸化合物、クロライド化合物、アミド化合物、ニトリル化合物、ラクトン化合物およびエポキシ化合物は工業的に特に有用であり、本発明でも好適に使用できる。
通常、アルデヒド、ケトンなどのカルボニル化合物、またはエステル化合物などの反応原料のテトラヒドロピラン溶液に、前工程で製造したグリニャール試薬を添加し、求核付加反応によりアルキル基を導入させる。逆に、グリニャール試薬の中に反応原料を添加してもよい。
[溶媒]
本工程においても、溶媒としてはテトラヒドロピランと、テトラヒドロフラン、ジオキサンまたはジグライムなどのエーテル系溶媒、トルエン、キシレンなどの炭化水素系溶媒との混合溶媒を使用することもできるが、回収、再利用をする観点からテトラヒドロピラン単独で用いることが望ましい。
本工程においても、溶媒としてはテトラヒドロピランと、テトラヒドロフラン、ジオキサンまたはジグライムなどのエーテル系溶媒、トルエン、キシレンなどの炭化水素系溶媒との混合溶媒を使用することもできるが、回収、再利用をする観点からテトラヒドロピラン単独で用いることが望ましい。
反応終了後に反応液に水を加え、生成物を抽出分離する。テトラヒドロピランは水と分離するので、容易に生成物を取得することができる。
また、テトラヒドロピランは蒸留回収後、脱水処理をして再使用することができ、これにより溶媒の使用量を低減することができる。
また、テトラヒドロピランは蒸留回収後、脱水処理をして再使用することができ、これにより溶媒の使用量を低減することができる。
以下に本発明について代表的な例を示し具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら制限されるものではない。
なお、実施例における各成分の分析はガスクロマトグラフ装置(アジレント製,6890N)を用い、分析カラムとしてJ&W製DB−1カラム(長さ30m,直径0.32mm,膜厚1μm)を用いた。また、難揮発物質の分析には高速液体クロマトグラフ装置(SHIMADZU製,LC−2010HT)を用い、分析カラムとしてRP−18(ODS),フルエンドキャップ処理済(関東化学製)を用いた。
なお、実施例における各成分の分析はガスクロマトグラフ装置(アジレント製,6890N)を用い、分析カラムとしてJ&W製DB−1カラム(長さ30m,直径0.32mm,膜厚1μm)を用いた。また、難揮発物質の分析には高速液体クロマトグラフ装置(SHIMADZU製,LC−2010HT)を用い、分析カラムとしてRP−18(ODS),フルエンドキャップ処理済(関東化学製)を用いた。
[実施例1]
アルゴン雰囲気下、容量300mlのナスフラスコに撹拌子、マグネシウム2.91g(120mmol)、テトラヒドロピラン20mlを加え室温で緩やかに撹拌した。さらに1,2−ジブロモエタン1.13g(6mmol)を加え5分加熱撹拌した。還流下クロロベンゼン11.3g(100mmol)のテトラヒドロピラン80ml溶液を添加した。還流下にて6時間撹拌した後、室温に冷却し、フェニルマグネシウムクロライド(PhMgCl;グリニャール試薬)のテトラヒドロピラン溶液を得た。
反応液を一部サンプリングし、メタノール中に加え、GCで定量したところ、クロロベンゼン0.5%、ベンゼン99%、ビフェニル0.2%であった。反応により生成したPhMgCl(グリニャール試薬)はメタノールと反応しベンゼンとなる。
アルゴン雰囲気下、容量300mlのナスフラスコに撹拌子、マグネシウム2.91g(120mmol)、テトラヒドロピラン20mlを加え室温で緩やかに撹拌した。さらに1,2−ジブロモエタン1.13g(6mmol)を加え5分加熱撹拌した。還流下クロロベンゼン11.3g(100mmol)のテトラヒドロピラン80ml溶液を添加した。還流下にて6時間撹拌した後、室温に冷却し、フェニルマグネシウムクロライド(PhMgCl;グリニャール試薬)のテトラヒドロピラン溶液を得た。
反応液を一部サンプリングし、メタノール中に加え、GCで定量したところ、クロロベンゼン0.5%、ベンゼン99%、ビフェニル0.2%であった。反応により生成したPhMgCl(グリニャール試薬)はメタノールと反応しベンゼンとなる。
[実施例2]
アルゴン雰囲気下、容量300mlナスフラスコに撹拌子、マグネシウム2.91g(120mmol)、テトラヒドロピラン100ml、1,2−ジブロモエタン1.13g(6mmol)、クロロベンゼン11.3g(100mmol)を加え室温で加えた後、緩やかに撹拌した。還流下にて6時間撹拌した後、室温に冷却しフェニルマグネシウムクロライド(PhMgCl;グリニャール試薬)のテトラヒドロピラン溶液を得た。
反応液を一部サンプリングし、メタノール中に加え、GCで定量したところ、クロロベンゼン0.3%、ベンゼン99.2%、ビフェニル0.2%であった。
アルゴン雰囲気下、容量300mlナスフラスコに撹拌子、マグネシウム2.91g(120mmol)、テトラヒドロピラン100ml、1,2−ジブロモエタン1.13g(6mmol)、クロロベンゼン11.3g(100mmol)を加え室温で加えた後、緩やかに撹拌した。還流下にて6時間撹拌した後、室温に冷却しフェニルマグネシウムクロライド(PhMgCl;グリニャール試薬)のテトラヒドロピラン溶液を得た。
反応液を一部サンプリングし、メタノール中に加え、GCで定量したところ、クロロベンゼン0.3%、ベンゼン99.2%、ビフェニル0.2%であった。
[比較例1]
実施例1において、溶媒のテトラヒドロピランをテトラヒドロフランに変えた以外は実施例1と同様におこなった。反応液をGCで定量したところ、ベンゼン、ビフェニル共未検出であった。
実施例1において、溶媒のテトラヒドロピランをテトラヒドロフランに変えた以外は実施例1と同様におこなった。反応液をGCで定量したところ、ベンゼン、ビフェニル共未検出であった。
[比較例2]
実施例1において、溶媒のテトラヒドロピランをエーテルに変えた以外は実施例1と同様におこなった。反応液をGCで定量したところ、ベンゼン、ビフェニル共未検出であった。
実施例1において、溶媒のテトラヒドロピランをエーテルに変えた以外は実施例1と同様におこなった。反応液をGCで定量したところ、ベンゼン、ビフェニル共未検出であった。
[実施例3]
実施例1で調製したPhMgCl溶液(99mmol換算)をアルデヒド、ケトン、エステルに添加し、1時間室温で反応させた後、GCまたはHPLCで定量した。結果を表1に示す。
実施例1で調製したPhMgCl溶液(99mmol換算)をアルデヒド、ケトン、エステルに添加し、1時間室温で反応させた後、GCまたはHPLCで定量した。結果を表1に示す。
Claims (6)
- 有機ジハロゲン化物の存在下、クロロベンゼン化合物とマグネシウムをテトラヒドロピラン中で反応させることを特徴とするグリニャール試薬の製造方法。
- マグネシウムと有機ジハロゲン化物を反応させた後、クロロベンゼン化合物とマグネシウムをテトラヒドロピラン中で反応させるグリニャール試薬の製造方法。
- マグネシウムをクロロベンゼン化合物に対して過剰量用いる請求項1または2に記載のグリニャール試薬の製造方法。
- クロロベンゼン化合物がクロロベンゼンである請求項1〜4のいずれかに記載のグリニャール試薬の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれかに記載された方法で製造されたグリニャール試薬を用いてテトラヒドロピラン中で求核付加反応を行うことを特徴とするグリニャール反応生成物の製造方法。
- グリニャール反応の後、水を加え、反応により生成した化合物をテトラヒドロピラン層へ抽出する請求項5に記載のグリニャール反応生成物の製造方法。
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JP2006202933A Pending JP2008031046A (ja) | 2006-07-26 | 2006-07-26 | テトラヒドロピランを溶媒とするグリニャール試薬の製造方法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN106397464A (zh) * | 2016-08-22 | 2017-02-15 | 邹城千禾生物科技有限公司 | 一种氯苯格氏试剂晶体产品的制备方法 |
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2006
- 2006-07-26 JP JP2006202933A patent/JP2008031046A/ja active Pending
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CN106397464A (zh) * | 2016-08-22 | 2017-02-15 | 邹城千禾生物科技有限公司 | 一种氯苯格氏试剂晶体产品的制备方法 |
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