JP6980269B2 - キラルロジウム錯体、及び光学活性β−置換カルボニル化合物の製造方法 - Google Patents
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Description
[式(α)中、Aはポリスチレン−ポリエチレングリコール共重合樹脂を示す。]
上記式(α)で表されるキラルロジウム錯体は、例えば、実施例に記載の方法により製造することができる。ポリスチレン−ポリエチレングリコール共重合樹脂とは、例えば、ポリスチレン上に、ポリエチレングリコールがグラフト重合されたものであり、本発明のキラルロジウム錯体の原料としては、グラフト重合により導入されたポリエチレングリコール鎖の末端にアミノ基が導入されたポリスチレン−ポリエチレングリコールアミノレジンを用いることができる。ポリスチレンは架橋されていてもよい。
本発明の製造方法では、触媒量の上記キラルロジウム錯体の存在下、水溶媒中で、芳香族ボロン酸を共役エノンに反応させる、すなわち芳香族ボロン酸が共役エノンに1,4−付加することにより、光学活性β−置換カルボニル化合物を得る。
R1は、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基又は炭素数6〜10のアリール基を示す。R2は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基又は炭素数6〜10のアリール基を示す。R1及びR2は、その間の3つの炭素原子と一緒になって環を形成していてもよい。
下記スキーム1に基づいて、キラルロジウム錯体(4)を調製した。なお、スキーム1中、ポリスチレン−ポリエチレングリコールアミノレジン(1)としては、TentaGel S NH2(商品名、Rapp Polymere社製、アミノ基担持量:0.27mmol/g)を用い、(1R,4R,7R)−7−イソプロピル−5−メチルビシクロ[2.2.2]オクタ−2,5−ジエン−2カルボン酸(2)としては、Okamoto, K. et al. Org. Lett. 2008, 10, 4387-4389に記載の方法で調製したものを用いた。具体的な実験手順を以下に示す。
13C{1H} SR-MAS-NMR (100MHz, CDCl3); δ 164.27, 143.22, 142.25, 136.47,126.44, 122.93, 111.02, 69.10, 46.34, 42.13, 38.27, 37.90, 32.44, 30.46, 20.55,20.08, 17.63.
13C{1H} SR-MAS-NMR (100MHz, CDCl3); δ 168.05, 143.96, 126.67,105.83, 104.54, 69.06, 54.20, 50.02, 46.24, 44.48, 42.75, 38.15, 29.44, 19.50.
下記反応式(A)に従って、芳香族ボロン酸(6)を種々変更した他は同様の条件で、2−シクロヘキセン−1−オン(5a)に芳香族ボロン酸(6)を反応させて、光学活性β−置換カルボニル化合物(7a)を得た。具体的な操作を以下に示す。
なお、芳香族ボロン酸(6)としては、各実施例の1,4−付加体に対応するものを用いた。具体的には、芳香族ボロン酸(6)として、フェニルボロン酸(実施例1)、p−(ジメチルアミノ)フェニルボロン酸(実施例2)、p−メトキシフェニルボロン酸(実施例3)、p−tert−ブチルフェニルボロン酸(実施例4)、p−メチルフェニルボロン酸(実施例5)、p−フルオロフェニルボロン酸(実施例6)、p−クロロフェニルボロン酸(実施例7)、p−ブロモフェニルボロン酸(実施例8)、p−トリフルオロメチルフェニルボロン酸(実施例9)、p−ニトロフェニルボロン酸(実施例10)、o−メトキシフェニルボロン酸(実施例11)、m−メトキシフェニルボロン酸(実施例12)、p−(メトキシカルボニル)フェニルボロン酸(実施例13)、p−アセチルフェニルボロン酸(実施例14)、1−ナフタレンボロン酸(実施例15)、2−ナフタレンボロン酸(実施例16)及びTRANS−B−スチレンボロン酸(実施例17)をそれぞれ用いた。
また、上記振とうは、原料の消失が確認されるまで行い、実施例2の振とう時間は5時間であり、実施例4、10及び14の振とう時間は6時間であり、その他の実施例の振とう時間は3時間であった。
原料である2−シクロヘキセン−1−オン(5a)を同モル量の2−シクロペンテン−1−オン(実施例18)又は2−シクロヘプテン−1−オン(実施例19)に変更した他は、実施例1と同様にして、下記式(B)に示す反応を行い、目的とする光学活性β−置換カルボニル化合物(7)を得た。その結果を、以下に示す。具体的には、実施例毎に、得られた光学活性β−置換カルボニル化合物(7)の構造を単離収率(%)及び鏡像体過剰率(%ee)とともに示した。
なお、実施例18及び19の振とう時間は6時間であった。
原料である2−シクロヘキセン−1−オンを同モル量の共役エノン(5’)に変更し、且つ所定の芳香族ボロン酸(6)を用いた他は、実施例1と同様にして、下記式(C)に示す反応を行い、目的とする光学活性β−置換カルボニル化合物(7’)を得た。その結果を、以下に示す。具体的には、実施例毎に、得られた光学活性β−置換カルボニル化合物(7’)の構造を単離収率(%)及び鏡像体過剰率(%ee)とともに示した。
なお、共役エノン(5’)及び芳香族ボロン酸(6)としては、各実施例の光学活性β−置換カルボニル化合物(7’)に対応するものを用いた。具体的には、共役エノン(5’)として、1−フェニル−2−ブテン−1−オン(実施例21)、5−メチル−3−ヘキセン−2−オン(実施例22)、3−ノネン−2−オン(実施例23)、ベンジリデンアセトン(実施例24)を、芳香族ボロン酸(6)として、フェニルボロン酸(実施例21,22,23)及びp−メトキシフェニルボロン酸(実施例24)を、それぞれ用いた。
また、実施例21及び23の振とう時間は3時間であり、実施例22の振とう時間は6時間であり、実施例24の振とう時間は7時間であった。
反応温度及び振とう時間を表1に示すように変更した他は、実施例1と同様にして、目的とする光学活性β−置換カルボニル化合物を得た。その結果(単離収率及び鏡像体過剰率)を表1に示す。これらの実施例により、反応温度を室温(25℃付近)まで下げた場合でも問題なく反応が進行することが確認できた。
実施例1と同様の条件で反応を行った後に、触媒(キラルロジウム錯体(4))を回収し、回収した触媒を用いて繰り返し同様の反応を行うことに触媒のリサイクル性を評価した。
具体的には、実施例1と同様の条件で行った1回目の反応終了後、触媒を酢酸エチル(3mL)で5回洗浄した後に、触媒を減圧乾燥し、乾燥後の触媒を用いて同様の反応を行った。この操作を10回繰り返して(2〜11回目の反応)、収率及び鏡像体過剰率を評価した。
1回目の反応の収率及び鏡像体過剰率がそれぞれ91%及び95%eeであったのに対して、リサイクルした触媒を用いた2〜11回目の反応の収率及び鏡像体過剰率はそれぞれ89〜94%及び92〜95%eeであり、ほぼ遜色ない結果が得られた。この結果から、本発明のキラルロジウム錯体はリサイクル性に優れることが分かった。
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