JP2008174519A - テトラヒドロピランを溶媒とする対称ビフェニル化合物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】反応性の低い芳香族塩化物を原料として製造された置換芳香族グリニャール試薬を遷移金属化合物の存在下で反応させて対称ビフェニル化合物を製造する際におけるビフェニル化合物の収率を改善し、生成物の取得を容易にすること。
【解決手段】置換芳香族芳香族化合物からなるグリニャール試薬を遷移金属化合物と反応させてビフェニル化合物を製造する溶媒にテトラヒドロピランを用いる。
【選択図】なし
【解決手段】置換芳香族芳香族化合物からなるグリニャール試薬を遷移金属化合物と反応させてビフェニル化合物を製造する溶媒にテトラヒドロピランを用いる。
【選択図】なし
Description
本発明は、クロロベンゼン化合物と金属マグネシウムを原料とし、テトラヒドロピラン溶媒中にて合成した置換芳香族グリニャール試薬を、さらにテトラヒドロピラン溶媒中、遷移金属化合物の存在下において反応させて、対称なビフェニル化合物を製造する方法に関する。
ビフェニル化合物は医農薬、電子材料、液晶、染料、耐熱性高分子などの原料として産業上重要な化合物であり、その一般的な製法は公知である。
古典的な方法としては、金属銅による芳香族ハロゲン化物のカップリング反応(ウルマン反応:Synthesis, 9 (1974):非特許文献1)が公知である。ウルマン反応では、芳香族ハロゲン化物として活性な芳香族ヨウ化物または芳香族臭化物が用いられ、反応溶媒としてジメチルホルムアミドのような高沸点、高極性溶媒が用いられる。
古典的な方法としては、金属銅による芳香族ハロゲン化物のカップリング反応(ウルマン反応:Synthesis, 9 (1974):非特許文献1)が公知である。ウルマン反応では、芳香族ハロゲン化物として活性な芳香族ヨウ化物または芳香族臭化物が用いられ、反応溶媒としてジメチルホルムアミドのような高沸点、高極性溶媒が用いられる。
他のビフェニル化合物の合成方法としては、芳香族ハロゲン化物のグリニャール試薬をテトラヒドロフラン溶媒中において塩化銅の存在下でカップリングさせる方法(グリニャール反応:特開昭61−22045号公報:特許文献1)、また、芳香族化合物を酸化剤の存在下でパラジウム触媒を用いて酸化的にカップリングさせる方法が知られている(J. Organomet. Chem., 151 381 (1973):非特許文献2)。
上述したウルマン反応およびグリニャール反応では、原料として芳香族臭化物、芳香族ヨウ化物または芳香族塩化物が用いられる。これらの中でも、芳香族臭化物及び芳香族ヨウ化物は金属銅との反応性が高く、好適に用いられるが、芳香族塩化物を用いる場合に比べて分子量が大きくなるので原料の使用量(質量)も多くなるうえ、原料の単価が高いので製造コストが高くなるというような問題がある。
一方、芳香族塩化物を用いる場合は、芳香族臭化物または芳香族ヨウ化物を用いる場合に比べて原料の使用量が少なく、また原料の単価が低いという利点があるが、金属銅との反応性が低いため、反応時間が長く、最終生成物のビフェニル化合物の収率が低くなるなどの問題がある。
また、上述の反応のための溶媒としては一般的に高極性のジメチルホルムアミドやテトラヒドロフランが使用されているが、この場合には、反応後に生成物を抽出分離するために水を加える必要があるが、これらの溶媒は水と混和するため、生成物の分離工程が煩雑化したり、収率が低下してしまうという問題がある。
また、酸化的カップリング反応によるビフェニル化合物の合成では、触媒として用いるパラジウムが高価なこと、原料の芳香族化合物として置換芳香族化合物を用いた場合には分離困難な異性体が副生する場合があることが問題となっている。
Synthesis, 9 (1974)
J. Organomet. Chem., 151 381 (1973)
特開昭61−22045号公報
本発明の課題は、反応性の低い芳香族塩化物を原料として製造された置換芳香族グリニャール試薬を遷移金属化合物の存在下で反応させて対称ビフェニル化合物を製造する際の、ビフェニル化合物の収率を改善すること、及び生成物の取得を容易にすることにある。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意努力した結果、置換芳香族化合物からなるグリニャール試薬を遷移金属化合物と反応させてビフェニル化合物を製造する溶媒にテトラヒドロピランを用いることにより、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下のビフェニル化合物の製造方法に関するものである。
[1]クロロベンゼン化合物と金属マグネシウムを原料として用い、テトラヒドロピラン中で合成したグリニャール試薬をカップリングさせることを特徴とするビフェニル化合物の製造方法。
[2]下記式(1)
(式中、Xは水素原子、フルオロ基、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アリル基、ビニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、ジアルキルアミノ基、ニトロ基を表わし、nは1〜5の整数を表す。)で示される置換芳香族グリニャール試薬を遷移金属化合物の存在下、テトラヒドロピラン中で反応させて
下記式(2)
(式中のX及びnは前記と同じ意味を表す。)で示される対称ビフェニル化合物を製造することを特徴とするビフェニル化合物の製造方法。
[3]遷移金属触媒がニッケル化合物である前記1または2に記載のビフェニル化合物の製造方法。
[4]ニッケル化合物が塩化ニッケルまたは臭化ニッケルである前記3に記載のビフェニル化合物の製造方法。
[5]反応後に水を加え、反応により生成した化合物をテトラヒドロピラン層へ抽出する前記1〜4のいずれかに記載のビフェニル化合物の製造方法。
[1]クロロベンゼン化合物と金属マグネシウムを原料として用い、テトラヒドロピラン中で合成したグリニャール試薬をカップリングさせることを特徴とするビフェニル化合物の製造方法。
[2]下記式(1)
下記式(2)
[3]遷移金属触媒がニッケル化合物である前記1または2に記載のビフェニル化合物の製造方法。
[4]ニッケル化合物が塩化ニッケルまたは臭化ニッケルである前記3に記載のビフェニル化合物の製造方法。
[5]反応後に水を加え、反応により生成した化合物をテトラヒドロピラン層へ抽出する前記1〜4のいずれかに記載のビフェニル化合物の製造方法。
本発明のビフェニル化合物の製造方法によれば、芳香族塩化物を用いて合成したグリニャール試薬を原料としているため原料単価が安価となり、またビフェニル化合物の収率を改善することができる。また、反応生成物の単離を容易にすることができる。
以下に本発明の具体的内容について詳細に説明する。
本発明に用いる置換芳香族グリニャール試薬は前駆体の芳香族化合物、特にクロロベンゼン化合物と金属マグネシウムとの反応によりテトラヒドロピラン溶媒中で合成する。
本発明に用いる置換芳香族グリニャール試薬は前駆体の芳香族化合物、特にクロロベンゼン化合物と金属マグネシウムとの反応によりテトラヒドロピラン溶媒中で合成する。
1.置換芳香族グリニャール試薬の合成
[クロロベンゼン化合物]
本発明で使用されるクロロベンゼン化合物は無置換であっても置換されていてもよい。置換基としては水素原子、フルオロ基、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アリル基、ビニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、ジアルキルアミノ基、ニトロ基などが用いられる。
[クロロベンゼン化合物]
本発明で使用されるクロロベンゼン化合物は無置換であっても置換されていてもよい。置換基としては水素原子、フルオロ基、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アリル基、ビニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、ジアルキルアミノ基、ニトロ基などが用いられる。
[マグネシウム]
本発明で用いられるマグネシウムは薄板または小粒径のマグネシウム、具体的にはマグネシウム削片、マグネシウムダスト、マグネシウム粉末、顆粒などの形態のものが好ましい。
本発明で用いられるマグネシウムは薄板または小粒径のマグネシウム、具体的にはマグネシウム削片、マグネシウムダスト、マグネシウム粉末、顆粒などの形態のものが好ましい。
本発明においては、マグネシウムはクロロベンゼン化合物に対して過剰量用いる。マグネシウムの量がクロロベンゼン化合物に対して当モルでは反応が実質的に完結せず、また、2倍モル量以上用いても反応を促進させるなどの効果はなく、更に反応終了時に未反応のマグネシウムを除去しなければならないという問題がある。
すなわち、クロロベンゼン化合物に対してマグネシウムは少なくとも1mol当量、好ましくは2mol当量以下用いる。好適には、クロロベンゼン化合物に対して1.01〜1.5mol当量用いる。さらに好ましくは、1.05〜1.35mol当量用いる。
すなわち、クロロベンゼン化合物に対してマグネシウムは少なくとも1mol当量、好ましくは2mol当量以下用いる。好適には、クロロベンゼン化合物に対して1.01〜1.5mol当量用いる。さらに好ましくは、1.05〜1.35mol当量用いる。
[反応活性化剤]
本反応では、金属マグネシウムの反応活性化剤としてヨウ素、ハロゲン化合物などを用いることができる。反応活性化剤とはマグネシウムの表面を改質し、マグネシウムとクロロベンゼン化合物との反応性を向上させる目的で添加するものである。
無機ハロゲン化合物としてはヨウ素、臭素、ヨウ化臭素、ヨウ化塩素などを用いることができ、これらの中でもヨウ素が好適である。
有機ハロゲン化物の例としては、ジブロモメタン、ジヨードメタン、1,2−ジブロモエタン、1,2−ジヨードエタン、1−クロロ−2−ブロモエタン、1−クロロ−2−ヨードエタンまたは1−ブロモ−2−ヨードエタンなどが挙げられ、これらの中でも1,2−ジブロモエタンが好適である。
本反応では、金属マグネシウムの反応活性化剤としてヨウ素、ハロゲン化合物などを用いることができる。反応活性化剤とはマグネシウムの表面を改質し、マグネシウムとクロロベンゼン化合物との反応性を向上させる目的で添加するものである。
無機ハロゲン化合物としてはヨウ素、臭素、ヨウ化臭素、ヨウ化塩素などを用いることができ、これらの中でもヨウ素が好適である。
有機ハロゲン化物の例としては、ジブロモメタン、ジヨードメタン、1,2−ジブロモエタン、1,2−ジヨードエタン、1−クロロ−2−ブロモエタン、1−クロロ−2−ヨードエタンまたは1−ブロモ−2−ヨードエタンなどが挙げられ、これらの中でも1,2−ジブロモエタンが好適である。
活性化剤の使用量はマグネシウムに対して0.01〜0.3mol当量使用され、好適には0.05〜0.15mol当量使用される。使用するハロゲン化合物が少ないと十分な反応開始効果が得られず、グリニャール試薬の生成速度が遅くなってしまう。また、使用するハロゲン化物の量が多いとマグネシウムが損失したり、副反応が起こるなどの可能性があり好ましくない。
[溶媒]
反応溶媒としては、テトラヒドロピランを用いる。
テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)などのエーテル系溶媒、トルエン、キシレンなどの炭化水素系溶媒との混合溶媒も使用することができるが、回収、再利用をする観点からテトラヒドロピラン単独で用いることが望ましい。テトラヒドロピランは通常、蒸留、脱水剤処理をして使用され、マグネシウムに対して2〜50倍重量、好適には5〜30倍重量用いられる。
反応溶媒としては、テトラヒドロピランを用いる。
テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)などのエーテル系溶媒、トルエン、キシレンなどの炭化水素系溶媒との混合溶媒も使用することができるが、回収、再利用をする観点からテトラヒドロピラン単独で用いることが望ましい。テトラヒドロピランは通常、蒸留、脱水剤処理をして使用され、マグネシウムに対して2〜50倍重量、好適には5〜30倍重量用いられる。
[グリニャール試薬の生成]
本反応は、通常窒素、アルゴンなどの不活性雰囲気下でおこなわれる。
通常、テトラヒドロピランとマグネシウムからなる溶液に、反応活性化剤であるハロゲン化合物を添加した後、クロロベンゼン化合物を一度または時間をかけて添加する方法、テトラヒドロピランとマグネシウムからなる溶液にハロゲン化合物とクロロベンゼン化合物を同時に添加する方法、またはテトラヒドロピラン、マグネシウム、クロロベンゼン化合物からなる溶液にハロゲン化合物を添加する方法から適宜選択される。
本反応は、通常窒素、アルゴンなどの不活性雰囲気下でおこなわれる。
通常、テトラヒドロピランとマグネシウムからなる溶液に、反応活性化剤であるハロゲン化合物を添加した後、クロロベンゼン化合物を一度または時間をかけて添加する方法、テトラヒドロピランとマグネシウムからなる溶液にハロゲン化合物とクロロベンゼン化合物を同時に添加する方法、またはテトラヒドロピラン、マグネシウム、クロロベンゼン化合物からなる溶液にハロゲン化合物を添加する方法から適宜選択される。
反応温度は、通常0℃から添加する反応液の還流温度以下で行われ、好ましくは25℃から反応液の還流温度以下である。
2.ビフェニル化合物の合成
本発明は、第二に、このようにして得られたグリニャール試薬を遷移金属化合物の存在下で反応させてビフェニル化合物を製造する方法に関する。
[遷移金属化合物]
反応触媒としては遷移金属化合物が用いられ、具体的には、パラジウム化合物、ニッケル化合物、鉄化合物、コバルト化合物、銅化合物などが用いられる。これらの中でも、特にニッケル化合物が好適である。
ニッケル化合物としては、フッ化ニッケル、塩化ニッケル、臭化ニッケル、ヨウ化ニッケル、酢酸ニッケル、ビス(2,4−ペンタンジオナト)ジアクアニッケルなどを用いることができる。
本発明は、第二に、このようにして得られたグリニャール試薬を遷移金属化合物の存在下で反応させてビフェニル化合物を製造する方法に関する。
[遷移金属化合物]
反応触媒としては遷移金属化合物が用いられ、具体的には、パラジウム化合物、ニッケル化合物、鉄化合物、コバルト化合物、銅化合物などが用いられる。これらの中でも、特にニッケル化合物が好適である。
ニッケル化合物としては、フッ化ニッケル、塩化ニッケル、臭化ニッケル、ヨウ化ニッケル、酢酸ニッケル、ビス(2,4−ペンタンジオナト)ジアクアニッケルなどを用いることができる。
本反応の機構の詳細は不明であるが、例えば下記化学反応式のように推定される。
グリニャール試薬としてフェニルマグネシウムクロライド(下記化学式中(3))を用い、遷移金属化合物として塩化ニッケル(下記化学式中(4))を用いて両者を反応させるとジフェニルニッケル(下記化学式中(5))と塩化マグネシウムが生成する。ジフェニルニッケルは速やかに還元的脱離反応を起こし、ビフェニル(下記化学式中(6))と金属ニッケルが生成する。
グリニャール試薬としてフェニルマグネシウムクロライド(下記化学式中(3))を用い、遷移金属化合物として塩化ニッケル(下記化学式中(4))を用いて両者を反応させるとジフェニルニッケル(下記化学式中(5))と塩化マグネシウムが生成する。ジフェニルニッケルは速やかに還元的脱離反応を起こし、ビフェニル(下記化学式中(6))と金属ニッケルが生成する。
遷移金属化合物の使用量は、グリニャール試薬に対して理論量は0.5mol当量であり、実際には0.6〜0.4mol量の間で用いる。特に好適には0.55〜0.45mol量用いる。
遷移金属化合物の使用量が0.6mol量より多すぎても、0.4mol量よりも少なすぎても、ビフェニル化合物の収率が低下するため好ましくない。
遷移金属化合物の使用量が0.6mol量より多すぎても、0.4mol量よりも少なすぎても、ビフェニル化合物の収率が低下するため好ましくない。
[溶媒]
反応溶媒としては、グリニャール試薬合成工程と同様にテトラヒドロピランを用いる。
テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)などのエーテル系溶媒、トルエン、キシレンなどの炭化水素系溶媒との混合溶媒も使用することができるが、回収、再利用をする観点からテトラヒドロピラン単独で用いることが望ましい。テトラヒドロピランは通常、蒸留、脱水剤処理をして使用され、グリニャール試薬に対して2〜50倍重量、好適には5〜30倍重量用いられる。
反応溶媒としては、グリニャール試薬合成工程と同様にテトラヒドロピランを用いる。
テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)などのエーテル系溶媒、トルエン、キシレンなどの炭化水素系溶媒との混合溶媒も使用することができるが、回収、再利用をする観点からテトラヒドロピラン単独で用いることが望ましい。テトラヒドロピランは通常、蒸留、脱水剤処理をして使用され、グリニャール試薬に対して2〜50倍重量、好適には5〜30倍重量用いられる。
[ビフェニル化反応]
本反応は、通常窒素、アルゴンなどの不活性雰囲気下でおこなわれる。
通常、ビフェニル化反応は遷移金属化合物を固体のままテトラヒドロピランに溶解または分散させ、グリニャール試薬を添加することによりビフェニルを生成させる方法、またはテトラヒドロピラン溶媒のグリニャール試薬に遷移金属化合物を添加することによりビフェニルを生成させる方法のどちらでも良い。
本反応は、通常窒素、アルゴンなどの不活性雰囲気下でおこなわれる。
通常、ビフェニル化反応は遷移金属化合物を固体のままテトラヒドロピランに溶解または分散させ、グリニャール試薬を添加することによりビフェニルを生成させる方法、またはテトラヒドロピラン溶媒のグリニャール試薬に遷移金属化合物を添加することによりビフェニルを生成させる方法のどちらでも良い。
反応温度は通常−20℃から添加する反応液の還流温度以下で行われ、好ましくは−5〜50℃である。反応時間は0.5〜8時間が好ましい。
[ビフェニル化合物の別離]
上述したビフェニル化反応後、水を加えて生成した無機塩を水に、ビフェニル化合物をテトラヒドロピラン層に抽出する。
遷移金属化合物は還元されて金属として析出するので、ろ過により分離するが、ビフェニル化反応で生成した金属は微粒子でろ過性が悪い場合がある。遷移金属化合物としてニッケル、鉄化合物などのように酸に溶解する金属を用いた場合には、酸を加えて析出した金属を溶解させ、生成した塩を水への抽出、ろ過などで分離することができる。
テトラヒドロピラン層に抽出されたビフェニル化合物は、テトラヒドロピランを留去し、得られた粗生成物を再結晶するなどして精製する。
上述したビフェニル化反応後、水を加えて生成した無機塩を水に、ビフェニル化合物をテトラヒドロピラン層に抽出する。
遷移金属化合物は還元されて金属として析出するので、ろ過により分離するが、ビフェニル化反応で生成した金属は微粒子でろ過性が悪い場合がある。遷移金属化合物としてニッケル、鉄化合物などのように酸に溶解する金属を用いた場合には、酸を加えて析出した金属を溶解させ、生成した塩を水への抽出、ろ過などで分離することができる。
テトラヒドロピラン層に抽出されたビフェニル化合物は、テトラヒドロピランを留去し、得られた粗生成物を再結晶するなどして精製する。
以下に本発明について代表的な例を示し具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら制限されるものではない。
なお、実施例における各成分の分析はガスクロマトグラフ装置(アジレント製,6890N)を用い、分析カラムとしてJ&W製DB−1カラム(長さ30m,直径0.32mm,膜厚1μm)を用いた。また、難揮発物質の分析には高速液体クロマトブラフ装置(SHIMADZU社製,LC−2010HT)を用い、分析カラムとしてRP−18(ODS)フルエンドキャップ処理済(関東化学製)を用いた。
なお、実施例における各成分の分析はガスクロマトグラフ装置(アジレント製,6890N)を用い、分析カラムとしてJ&W製DB−1カラム(長さ30m,直径0.32mm,膜厚1μm)を用いた。また、難揮発物質の分析には高速液体クロマトブラフ装置(SHIMADZU社製,LC−2010HT)を用い、分析カラムとしてRP−18(ODS)フルエンドキャップ処理済(関東化学製)を用いた。
[実施例1]グリニャール試薬の調製
アルゴン雰囲気下、容量50mlのナスフラスコに撹拌子、マグネシウム0.29g(12mmol)、テトラヒドロピラン10ml、1,2−ジブロモエタン0.11g(0.6mmol)、及びクロロベンゼン1.13g(10mmol)を室温で加えた後、緩やかに撹拌した。還流下にて8時間撹拌した後、室温に冷却し、フェニルマグネシウムクロライド(PhMgCl:グリニャール試薬)のテトラヒドロピラン溶液を得た。反応液を一部サンプリングし、メタノール中に加え、GCで定量したところPhMgCl(ベンゼンとして定量)の収率は99%であった。
アルゴン雰囲気下、容量50mlのナスフラスコに撹拌子、マグネシウム0.29g(12mmol)、テトラヒドロピラン10ml、1,2−ジブロモエタン0.11g(0.6mmol)、及びクロロベンゼン1.13g(10mmol)を室温で加えた後、緩やかに撹拌した。還流下にて8時間撹拌した後、室温に冷却し、フェニルマグネシウムクロライド(PhMgCl:グリニャール試薬)のテトラヒドロピラン溶液を得た。反応液を一部サンプリングし、メタノール中に加え、GCで定量したところPhMgCl(ベンゼンとして定量)の収率は99%であった。
[実施例2]ビフェニル化
アルゴン雰囲気氷冷下、容量50mlナスフラスコに撹拌子、塩化ニッケル0.65g(5mmol)のテトラヒドロピラン10mlの溶液に実施例1で調製したPhMgClのテトラヒドロピラン溶液を30分かけて添加した。添加終了後室温まで30分かけて昇温し、さらに室温で2時間反応させた。反応液を一部サンプリングし、GCで定量したところ、ビフェニルの収率は88%であった。
アルゴン雰囲気氷冷下、容量50mlナスフラスコに撹拌子、塩化ニッケル0.65g(5mmol)のテトラヒドロピラン10mlの溶液に実施例1で調製したPhMgClのテトラヒドロピラン溶液を30分かけて添加した。添加終了後室温まで30分かけて昇温し、さらに室温で2時間反応させた。反応液を一部サンプリングし、GCで定量したところ、ビフェニルの収率は88%であった。
[実施例3]ビフェニル化
実施例1と同様の方法でPhMgClを調製し、アルゴン気流中氷冷下、塩化ニッケル0.65g(5mmol)を1/10量ずつ5分おきに添加した。添加終了後、室温まで30分かけて昇温し、さらに室温で2時間反応させた。反応液を一部サンプリングし、GCで定量したところ、ビフェニルの収率は82%であった。
実施例1と同様の方法でPhMgClを調製し、アルゴン気流中氷冷下、塩化ニッケル0.65g(5mmol)を1/10量ずつ5分おきに添加した。添加終了後、室温まで30分かけて昇温し、さらに室温で2時間反応させた。反応液を一部サンプリングし、GCで定量したところ、ビフェニルの収率は82%であった。
[実施例4]
アルゴン雰囲気下、容量50mlのナスフラスコに撹拌子、マグネシウム0.29g(12mmol)、テトラヒドロピラン10ml、1,2−ジブロモエタン0.11g(0.6mmol)、及びクロロベンゼン1.42g(10mmol)を室温で加えた後、緩やかに撹拌した。還流下にて24時間撹拌した後、室温に冷却し、p−メトキシフェニルマグネシウムクロライド(p−MeOPhMgCl:グリニャール試薬)のテトラヒドロピラン溶液を得た。反応液を一部サンプリングし、メタノール中に加え、GCで定量したところp−MeOPhMgCl(アニソールとして定量)の収率は99%であった。
アルゴン雰囲気下、容量50mlのナスフラスコに撹拌子、マグネシウム0.29g(12mmol)、テトラヒドロピラン10ml、1,2−ジブロモエタン0.11g(0.6mmol)、及びクロロベンゼン1.42g(10mmol)を室温で加えた後、緩やかに撹拌した。還流下にて24時間撹拌した後、室温に冷却し、p−メトキシフェニルマグネシウムクロライド(p−MeOPhMgCl:グリニャール試薬)のテトラヒドロピラン溶液を得た。反応液を一部サンプリングし、メタノール中に加え、GCで定量したところp−MeOPhMgCl(アニソールとして定量)の収率は99%であった。
アルゴン雰囲気氷冷下、容量50mlナスフラスコに撹拌子、塩化ニッケル0.65g(5mmol)のテトラヒドロピラン10mlの溶液に先に調製したp−PhMgClのテトラヒドロピラン溶液を30分かけて添加した。添加終了後、室温まで30分かけて昇温し、さらに室温で2時間反応させた。反応液を一部サンプリングし、GCで定量したところ、p,p’−ジメトキシビフェニルの収率は74%であった。
[実施例5]
アルゴン雰囲気下、容量100mlのナスフラスコに撹拌子、マグネシウム0.58g(24mmol)、テトラヒドロピラン20ml、1,2−ジブロモエタン0.22g(1.2mmol)、及びp−フルオロクロロベンゼン2.60g(20mmol)を室温で加え、緩やかに撹拌した。還流下にて8時間撹拌した後、室温に冷却し、p−フルオロフェニルマグネシウムクロライド(p−FPhMgCl:グリニャール試薬)のテトラヒドロピラン溶液を得た。反応液を一部サンプリングし、メタノール中に加え、GCで定量したところp−FPhMgCl(p−フルオロベンゼンとして定量)の収率は98%であった。
アルゴン雰囲気下、容量100mlのナスフラスコに撹拌子、マグネシウム0.58g(24mmol)、テトラヒドロピラン20ml、1,2−ジブロモエタン0.22g(1.2mmol)、及びp−フルオロクロロベンゼン2.60g(20mmol)を室温で加え、緩やかに撹拌した。還流下にて8時間撹拌した後、室温に冷却し、p−フルオロフェニルマグネシウムクロライド(p−FPhMgCl:グリニャール試薬)のテトラヒドロピラン溶液を得た。反応液を一部サンプリングし、メタノール中に加え、GCで定量したところp−FPhMgCl(p−フルオロベンゼンとして定量)の収率は98%であった。
アルゴン雰囲気氷冷下、容量50mlナスフラスコに撹拌子、塩化ニッケル1.3g(10mmol)のテトラヒドロピラン20mlの溶液に先に調製したp−FPhMgClのテトラヒドロピラン溶液を30分かけて添加した。添加終了後、室温まで30分かけて昇温し、さらに室温で2時間反応させた。水5mlを加え、さらに激しく撹拌しながら溶液が緑色になるまで10%硫酸溶液を添加した。反応終了後、反応溶液を分液し、水30mlで2回、飽和食塩水30mlでテトラヒドロピラン層を洗い、テトラヒドロピラン層を分液した後硫酸マグネシウムで乾燥させた。テトラヒドロピランを濃縮しp,p’−ジフルオロビフェニル1.27g(収率67%)を得た。
本発明のビフェニル化合物の製造方法によれば、芳香族塩化物を用いて合成したグリニャール試薬を原料としているため原料単価が安価となり、またビフェニル化合物の収率を改善することができる。また、反応生成物の単離を容易にすることができる。
Claims (5)
- クロロベンゼン化合物と金属マグネシウムを原料として用い、テトラヒドロピラン中で合成したグリニャール試薬をカップリングさせることを特徴とするビフェニル化合物の製造方法。
- 遷移金属触媒がニッケル化合物である請求項1または2に記載のビフェニル化合物の製造方法。
- ニッケル化合物が塩化ニッケルまたは臭化ニッケルである請求項3に記載のビフェニル化合物の製造方法。
- 反応後に水を加え、反応により生成した化合物をテトラヒドロピラン層へ抽出する請求項1〜4のいずれかに記載のビフェニル化合物の製造方法。
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JP2007011344A JP2008174519A (ja) | 2007-01-22 | 2007-01-22 | テトラヒドロピランを溶媒とする対称ビフェニル化合物の製造方法 |
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CN115286493A (zh) * | 2022-08-26 | 2022-11-04 | 北京格林凯默科技有限公司 | 4,4′-二乙氧基联苯的制备方法 |
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2007
- 2007-01-22 JP JP2007011344A patent/JP2008174519A/ja active Pending
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