JP2021178811A - 芳香族エーテル化合物又は芳香族スルフヒドリル化合物の製造方法 - Google Patents

芳香族エーテル化合物又は芳香族スルフヒドリル化合物の製造方法 Download PDF

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佳亮 中尾
Yoshiaki Nakao
美勇斗 柏原
Myuto Kashihara
直樹 松下
Naoki Matsushita
壮史 岡田
Takeshi Okada
高則 宮崎
Takanori Miyazaki
武志 神原
Takeshi Kanbara
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Abstract

【課題】芳香族エーテル化合物と芳香族スルフィド化合物の製造に係る新規な技術を提供することを目的とする【解決手段】一般式(1a)、(1b)、又は(1c)で表されるホスフィン化合物とパラジウム化合物又はニッケル化合物である遷移金属化合物とを含む遷移金属触媒存在下、C−OHで表されるヒドロキシ化された炭素を有する化合物(A1)又はC−SHで表されるスルフヒドリル化された炭素を有する化合物(A2)と、ニトロ基(−NO2)を有する芳香族ニトロ化合物(B)とを反応させ、前記化合物(A1)と前記芳香族ニトロ化合物(B)のヘテロカップリング反応生成物である芳香族エーテル化合物(C1)又は前記化合物(A2)と前記芳香族ニトロ化合物(B)のヘテロカップリング反応生成物である芳香族スルフィド化合物(C2)を生成する工程を含むことを特徴とする、芳香族エーテル化合物又は芳香族スルフィド化合物の製造方法。【選択図】 なし

Description

本発明は、芳香族ニトロ化合物と、ヒドロキシ化された炭素(C−OH)を有する化合物又はスルフヒドリル化された炭素(C−SH)を有する化合物とを原料として、芳香族エーテル化合物又は芳香族スルフィド化合物を製造する方法に関する。
芳香族エーテル化合物や芳香族スルフィド化合物は、医農薬、天然物合成、液晶や有機エレクトロルミネッセンス等の電子材料として有用な化合物である。
芳香族エーテル化合物や芳香族スルフィド化合物の合成方法としては、ハロゲン原子等の脱離基を有する化合物にアルコキサイド化合物を反応させる方法が古典的に用いられており、この方法はウィリアムソンのエーテル合成法として広く知られている(非特許文献1)。また、触媒を用いた芳香族エーテル化合物の製造も報告されている。例えば、パラジウム触媒および適切な塩基存在下、ハロゲン化アリールおよびアルコール類を反応させることでアリールエーテル化合物を合成可能である。(特許文献1および2)。
特表2008−543960号公報 特表2001−501954号公報
J.Org.Chem.2005,Vol70,issue12,pages4695−4705.
ウィリアムソンのエーテル合成法においては、脱離基近傍にて立体障害の大きい置換基を有する(擬)ハロゲン化アルキルを反応させる場合、共存するアルコキサイド化合物または塩基により(擬)ハロゲン原子および隣接する水素原子が脱離し、アルケンなどの不飽和化合物が副生する。触媒を用いる方法では脱離基を有する化合物として(擬)ハロゲン化アリールを用いる場合、対応する(擬)ハロゲン化アリールは多工数を経て調製可能であるが、精製において高純度化が困難となる点や高価となる点に起因してエーテル化合物の効率的な構築幅が限られる。また、いずれの合成法においても、反応後に有害なハロゲン廃棄物が発生するという課題があった。
本発明は、芳香族エーテル化合物と芳香族スルフィド化合物の製造に係る新規な技術を提供することを目的とする。また、本発明は、当該芳香族エーテル化合物と芳香族スルフィド化合物の製造において、触媒成分の一つとして用いられる新規なホスフィン化合物を提供することを目的とする。
本発明者らは、遷移金属触媒存在下、ヒドロキシ化された炭素(C−OH)を有する化合物(A1)又はスルフヒドリル化された炭素(C−SH)を有する化合物(A2)と、ニトロ基(−NO)を有する芳香族ニトロ化合物(B)とを反応させることで、化合物(A1)と芳香族ニトロ化合物(B)のヘテロカップリング反応生成物である芳香族エーテル化合物(C1)又は化合物(A2)と芳香族ニトロ化合物(B)のヘテロカップリング反応生成物である芳香族スルフィド化合物(C2)を製造できることを見いだし、本発明を完成させた。
本発明の要旨は以下のとおりである。
[1] 下記一般式(1a)、(1b)、又は(1c)
Figure 2021178811

(一般式(1a)、(1b)、及び(1c)中、Rは、各々独立して、水素原子、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、炭素数1〜18のアルコキシ基、置換基を有してもよいアミノ基、又は置換基を有してもよい炭素数6〜24の単環、連結若しくは縮環の芳香族炭化水素基を表す。)で表されるホスフィン化合物とパラジウム化合物又はニッケル化合物である遷移金属化合物とを含む遷移金属触媒存在下、C−OHで表されるヒドロキシ化された炭素を有する化合物(A1)又はC−SHで表されるスルフヒドリル化された炭素を有する化合物(A2)と、ニトロ基(−NO)を有する芳香族ニトロ化合物(B)とを反応させ、前記化合物(A1)と前記芳香族ニトロ化合物(B)のヘテロカップリング反応生成物である芳香族エーテル化合物(C1)又は前記化合物(A2)と前記芳香族ニトロ化合物(B)のヘテロカップリング反応生成物である芳香族スルフィド化合物(C2)を生成する工程を含むことを特徴とする、芳香族エーテル化合物又は芳香族スルフィド化合物の製造方法。
[2] 前記化合物(A1)と前記化合物(A2)が、下記一般式(1)
Figure 2021178811

(一般式(1)中、Arは、置換基を有してもよい芳香族炭化水素基、置換基を有してもよいヘテロ芳香族基又は置換基を有してもよい脂肪族炭化水素基を表す。Xは、酸素原子又は硫黄原子を表す。)で表され、
前記芳香族ニトロ化合物(B)が、下記一般式(2)
Figure 2021178811

(一般式(2)中、Arは、置換基を有してもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有してもよいヘテロ芳香族基を表し、nは1〜5の整数を表す。)で表され、
前記芳香族エーテル化合物(C1)と前記芳香族スルフィド化合物(C2)が、下記一般式(3)
Figure 2021178811

(一般式(3)中、Ar、Ar、X及びnは前記と同じものを表す。)で表される、
ことを特徴とする、[1]に記載の製造方法。
[3] 前記一般式(1)において、Xが酸素原子であることを特徴とする、[2]に記載の製造方法。
[4] 前記化合物(A1)又は前記化合物(A2)と、前記芳香族ニトロ化合物(B)とを130℃以上で反応させることを特徴とする、[1]乃至[3]のいずれか一つに記載の製造方法。
[5] 前記ホスフィン化合物が、下記一般式(4)
Figure 2021178811

(一般式(4)中、Rは、メチル基、エチル基、又は炭素数3〜4の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基を表す。Rは、炭素数4〜15の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基を表す。Rは、各々独立して、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、炭素数1〜18のアルコキシ基、置換基を有してもよいアミノ基、又は置換基を有してもよい炭素数6〜24の単環、連結若しくは縮環の芳香族炭化水素基を表す。Rは、各々独立して、メチル基、エチル基、又は炭素数3〜4の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基を表す。)で表されるホスフィン化合物である、[1]乃至[4]のいずれか一つに記載の製造方法。
[6] 下記一般式(4)
Figure 2021178811

(一般式(4)中、Rは、メチル基、エチル基、又は炭素数3〜4の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基を表す。Rは、炭素数4〜15の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基を表す。Rは、各々独立して、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、炭素数1〜18のアルコキシ基、置換基を有してもよいアミノ基、又は置換基を有してもよい炭素数6〜24の単環、連結若しくは縮環の芳香族炭化水素基を表す。Rは、各々独立して、メチル基、エチル基、又は炭素数3〜4の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基を表す。)で表されるホスフィン化合物。
[7] 前記一般式(4)において、Rがメチル基であり、Rが3−ペンチル基又はシクロヘキシル基であり、Rがシクロヘキシル基であることを特徴とする、[6]に記載のホスフィン化合物。
[8] 下記式(1a−20)又は(1a−21)で表されるホスフィン化合物であることを特徴とする、[7]に記載のホスフィン化合物。
Figure 2021178811
本発明によれば、芳香族エーテル化合物と芳香族スルフィド化合物の製造に係る新規な技術を提供することができる。また、本発明の一実施形態によれば、有害なハロゲン廃棄物を副生させることがない、又は低減させることできる為、環境負荷を低減することができ、工業的に優れた製造プロセスを提供することができる。さらに、本発明によれば、前述した芳香族エーテル化合物と芳香族スルフィド化合物の製造において、触媒成分の一つとして用いられる新規なホスフィン化合物を提供することができる。
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明は、芳香族エーテル化合物(C1)又は芳香族スルフィド化合物(C2)の製造方法に関する。
本発明に係る芳香族エーテル化合物(C1)の製造方法は、遷移金属触媒存在下、C−OHで表されるヒドロキシ化された炭素を有する化合物(A1)と、ニトロ基(−NO)を有する芳香族ニトロ化合物(B)とを反応させ、化合物(A1)と芳香族ニトロ化合物(B)のヘテロカップリング反応生成物である芳香族エーテル化合物(C1)を生成する工程を含む。
また、本発明に係る芳香族スルフィド化合物(C2)の製造方法は、遷移金属触媒存在下、C−SHで表されるスルフヒドリル化された炭素を有する化合物(A2)と、ニトロ基(−NO)を有する芳香族ニトロ化合物(B)とを反応させ、化合物(A2)と芳香族ニトロ化合物(B)のヘテロカップリング反応生成物である芳香族スルフィド化合物(C2)を生成する工程を含む。
本発明の製造方法において、C−OHで表されるヒドロキシ化された炭素を有する化合物(A1)と、C−SHで表されるスルフヒドリル化された炭素を有する化合物(A2)は、特に限定するものではないが、例えば下記一般式(1)
Figure 2021178811

(一般式(1)中、Arは、置換基を有してもよい芳香族炭化水素基、置換基を有してもよいヘテロ芳香族基又は置換基を有してもよい脂肪族炭化水素基を表す。Xは、酸素原子又は硫黄原子を表す。)で表される化合物を用いることができる。なお、上記一般式(1)で表される化合物は、Xとして酸素原子が用いられる場合、C−OHで表されるヒドロキシ化された炭素を有する化合物(A1)となり、Xとして硫黄原子が用いられる場合、C−SHで表されるスルフヒドリル化された炭素を有する化合物(A2)となる。
Arにおける置換基を有してもよい芳香族炭化水素基は、特に限定するものではなく、置換基を有してもよい単環式の芳香族炭化水素基であってもよく、置換基を有してもよい多環式の芳香族炭化水素基であってもよい。ここで、多環式の芳香族炭化水素基としては、縮環した芳香族炭化水素基や、連結した芳香族炭化水素基を用いることができる。具体的な置換基を有してもよい芳香族炭化水素基としては、例えば、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいビフェニル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいアントラセニル基、置換基を有してもよいピレニル基、置換基を有してもよいターフェニル基、置換基を有してもよいフェナントラセニル基、置換基を有してもよいペリレニル基、置換基を有してもよいトリフェニレニル基等を例示することができる。
Arにおける置換基を有してもよいヘテロ芳香族基は、特に限定するものではなく、置換基を有してもよい単環式のヘテロ芳香族基であってもよく、置換基を有してもよい多環式のヘテロ芳香族基であってもよい。ここで、多環式のヘテロ芳香族基は、少なくともその一つの芳香環に複素芳香族化合物が含まれていればよく、例えば、複素芳香族化合物と芳香族炭化水素が縮環したものであってもよい。具体的な置換基を有してもよいヘテロ芳香族基としては、例えば、置換基を有してもよいフラニル基、置換基を有してもよいベンゾフラニル基、置換基を有してもよいジベンゾフラニル基、置換基を有してもよいフェニルジベンゾフラニル基、置換基を有してもよいジベンゾフラニルフェニル基、置換基を有してもよいチエニレニル基、置換基を有してもよいベンゾチエニル基、置換基を有してもよいジベンゾチエニレニル基、置換基を有してもよいフェニルジベンゾチエニレニル基、置換基を有してもよいジベンゾチエニレニルフェニル基、置換基を有してもよいピリジル基、置換基を有してもよいピリミジル基、置換基を有してもよいピラジル基、置換基を有してもよいキノリル基、置換基を有してもよいイソキノリル基、置換基を有してもよいカルバゾリル基、置換基を有してもよい9−フェニルカルバゾリル基、置換基を有してもよいアクリジニル基、置換基を有してもよいベンゾチアゾリル基、置換基を有してもよいキナゾリル基、置換基を有してもよいキノキサリル基、置換基を有してもよい1,6−ナフチリジニル基、又は置換基を有してもよい1,8−ナフチリジニル基等を挙げることができる。
Arにおける置換基を有してもよい脂肪族炭化水素基としては、特に限定するものではなく、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルキル基、置換基を有していてもよいメチル基、置換基を有していてもよいエチル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルキル基を例示することができ、更に具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、プロピン基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ステアリル基、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基、シクロプロピル基、シクロヘキシル基、1,3−シクロヘキサジエニル基、2−シクロペンテン−1−イル基、置換基を有していてもよいメチル基、置換基を有していてもよいエチル基、置換基を有していてもよいプロピル基、置換基を有していてもよいイソプロピル基、置換基を有していてもよいブチル基、置換基を有していてもよいsec−ブチル基、置換基を有していてもよいtert−ブチル基、置換基を有していてもよいペンチル基、置換基を有していてもよいプロピン基、置換基を有していてもよいヘキシル基、置換基を有していてもよいヘプチル基、置換基を有していてもよいオクチル基、置換基を有していてもよいステアリル基、置換基を有していてもよいトリクロロメチル基、置換基を有していてもよいトリフルオロメチル基、置換基を有していてもよいシクロプロピル基、置換基を有していてもよいシクロヘキシル基、置換基を有していてもよい1,3−シクロヘキサジエニル基、置換基を有していてもよい2−シクロペンテン−1−イル基等を例示することができる。
また、上述の置換基を有してもよい芳香族炭化水素基上及び置換基を有してもよいヘテロ芳香族基上の置換基としては、特に限定するものではないが、例えば、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基(例えば、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロヘキサジエニル基、オクチル基、ベンジル基、又はフェネチル基等)、炭素数1〜18のハロゲン化アルキル基(例えば、トリフルオロメチル基等)、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルコキシ基(例えば、n−プロピルオキシ基、i−プロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘキサジエニルオキシ基、オクチルオキシ基、ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基等)、炭素数1〜18のハロゲン化アルコキシ基(例えば、トリフルオロメトキシ基等)、メトキシカルボニル基、ハロゲン基(例えば、フルオロ基)、シアノ基、フェニル基、トリル基、ピリジル基、ピリミジル基、カルバゾリル基、ジベンゾチエニル基、又はジベンゾフラニル基等が挙げられる。
また、上述の置換基を有してもよい脂肪族炭化水素基上の置換基としては、特に限定するものではないが、例えば、ヒドロキシ基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルコキシ基(例えば、n−プロピルオキシ基、i−プロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘキサジエニルオキシ基、オクチルオキシ基、ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基等)、炭素数1〜18のハロゲン化アルコキシ基(例えば、トリフルオロメトキシ基等)、ハロゲン基(例えば、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基等)、シアノ基、炭素数6〜20のアリール基(フェニル基、トリル基等)、又は炭素数6〜20のヘテロアリール基(ピリジル基、ピリミジル基、カルバゾリル基、ジベンゾチエニル基、ジベンゾフラニル基等)等が挙げられる。
Arについては、芳香族エーテル化合物や芳香族スルフィド化合物の製造効率に優れる点で、置換基を有してもよい炭素数6〜30の芳香族炭化水素基、置換基を有してもよい炭素数3〜30のヘテロ芳香族基、又は置換基を有してもよい炭素数1〜30脂肪族炭化水素基であることが好ましく、置換基を有してもよい炭素数6〜20の芳香族炭化水素基、置換基を有してもよい炭素数3〜20のヘテロ芳香族基、又は置換基を有してもよい炭素数1〜20脂肪族炭化水素基であることがより好ましい。さらに詳細には、Arは、メチル基、トリフルオロメチル基、ベンジル基、エチル基、ヒドロキシエチル基、エトキシエチル基、フェネチル基、プロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、プロピン基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ステアリル基、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基、シクロプロピル基、シクロヘキシル基、1,3−シクロヘキサジエニル基、2−シクロペンテン−1−イル基、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、ターフェニル基、ジベンゾフラニル基、フェニルジベンゾフラニル基、ジベンゾフラニルフェニル基、ジベンゾチエニレニル基、フェニルジベンゾチエニレニル基、ジベンゾチエニレニルフェニル基、ピリジル基、フェニルピリジル基、ピリジルフェニル基、ピリミジル基、ピラジル基、キノリル基、イソキノリル基、カルバゾリル基、又は9−フェニルカルバゾリル基(これらのうち脂肪族炭化水素基については、ヒドロキシ基、メトキシ基、ハロゲン基、フェニル基、トリル基、ピリジル基、ピリミジル基、カルバゾリル基、ジベンゾチエニル基、又はジベンゾフラニル基で置換されていてもよく、芳香族炭化水素基又はヘテロ芳香族基については、メチル基、トリフルオロメチル基、ブチル基(tert−ブチル基など)、ヘキシル基、オクチル基、メトキシ基、メトキシカルボニル基、フルオロ基、フェニル基、トリル基、ピリジル基、ピリミジル基、カルバゾリル基、ジベンゾチエニル基、又はジベンゾフラニル基で置換されていてもよい)であることがさらにより好ましく、ベンジル基、フェネチル基、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、ジベンゾフラニル基、フェニルジベンゾフラニル基、ジベンゾフラニルフェニル基、ジベンゾチエニル基、フェニルジベンゾチエニレニル基、ジベンゾチエニレニルフェニル基、ピリジル基、キノリル基、又はカルバゾリル基(これらのうち脂肪族炭化水素基については、ヒドロキシ基、メトキシ基、ハロゲン基、フェニル基、又はピリジル基で置換されていてもよく、芳香族炭化水素基又はヘテロ芳香族基については、メチル基、トリフルオロメチル基、ブチル基(tert−ブチル基など)、ヘキシル基、オクチル基、メトキシ基、メトキシカルボニル基、又はフルオロ基で置換されていてもよい)であることがさらにより一層好ましい。
また、一般式(1)において、反応収率を高める点で、Xは酸素原子であることが好ましい。
本発明の製造方法において、ニトロ基(−NO)を有する芳香族ニトロ化合物(B)としては、特に限定するものではないが、例えば下記一般式(2)
Figure 2021178811

(一般式(2)中、Arは、置換基を有してもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有してもよいヘテロ芳香族基を表し、nは1〜5の整数を表す。)
で表わされる芳香族ニトロ化合物を用いることができる。
Arにおける置換基を有してもよい芳香族炭化水素基としては、Arにおける置換基を有してもよい芳香族炭化水素基と同じものを例示することができる。同様に、Arにおける置換基を有してもよいヘテロ芳香族基としては、Arにおける置換基を有してもよいヘテロ芳香族基と同じものを例示することができる。なお、本発明の製造方法では、ArとArには、互いに同じ置換基を用いることもできるし、互いに異なる置換基を用いることもできる。
一般式(2)中におけるnは、1〜5の整数を表す。目的の芳香族エーテル化合物(C1)又は芳香族スルフィド化合物(C2)を高選択的に合成する観点から、一般式(2)中におけるnは、好ましくは1〜3の整数であり、更に好ましくは1又は2である。
本発明の製造方法では、化合物(A1)と芳香族ニトロ化合物(B)をヘテロカップリング反応させ、前記化合物(A1)と芳香族ニトロ化合物(B)のヘテロカップリング反応生成物である芳香族エーテル化合物(C1)を得る。又は、本発明の製造方法では、前記化合物(A2)と芳香族ニトロ化合物(B)をヘテロカップリング反応させ、前記化合物(A2)と芳香族ニトロ化合物(B)のヘテロカップリング反応生成物である芳香族スルフィド化合物(C2)を得る。
芳香族エーテル化合物(C1)と芳香族スルフィド化合物(C2)は、特に限定するものではないが、例えば、前記化合物(A1)と前記化合物(A2)として、前記一般式(1)で表される化合物を用い、芳香族ニトロ化合物(B)として、前記一般式(2)で表される化合物を用いた場合、芳香族エーテル化合物(C1)と芳香族スルフィド化合物(C2)としては、下記一般式(3)
Figure 2021178811

(一般式(3)中、Ar、Ar、X及びnは、前記と同じものを表す。)
で表される化合物が得られる。
本発明の製造方法では、芳香族ニトロ化合物(B)のニトロ基が脱離し、ニトロ基が結合してあった炭素上に、エーテル結合又はスルフィド結合が形成されることになる。ここで、エーテル結合を形成するための酸素原子は、ヒドロキシ化された炭素(C−OH)を有する化合物(A1)に由来し、スルフィド結合を形成するための硫黄原子は、スルフヒドリル化された炭素(C−SH)を有する化合物(A2)に由来する。
以下の説明では、化合物(A1)と化合物(A2)のいずれか一方に限定することなく、いずれか一方の化合物を指すときには、化合物(A)と呼ぶ。
本発明の製造方法において、化合物(A)と芳香族ニトロ化合物(B)の仕込み量比については、特に限定するものではないが、芳香族ニトロ化合物(B)のニトロ基(NO基)1個に対して、化合物(A)中のヒドロキシ基(C−OH)又はスルフヒドリル基(C−SH)の個数が、0.1〜30個の範囲となる量比とすることが好ましく、経済性の観点から、0.3〜10個の範囲となる量比とすることがより好ましく、0.5〜5個の範囲となる量比とするであることがさらにより一層好ましい。
本発明の製造方法において、化合物(A)と芳香族ニトロ化合物(B)との反応は、遷移金属触媒の存在下で行われる。
本発明における遷移金属触媒は、少なくとも、パラジウム化合物又はニッケル化合物である遷移金属化合物(以下、単に「遷移金属化合物」ともいう)と、下記一般式(1a)、(1b)、又は(1c)で表されるホスフィン化合物(以下、単に「ホスフィン化合物」ともいう)とを含む。
パラジウム化合物としては、特に限定するものではないが、例えば、2価パラジウム化合物又は0価パラジウム化合物が挙げられ、より具体的には、例えば、塩化パラジウム(II)、臭化パラジウム(II)、酢酸パラジウム(II)、パラジウムアセチルアセトナート(II)、ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム(II)、ジクロロビス(アセトニトリル)パラジウム(II)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、ジクロロテトラアンミンパラジウム(II)、ジクロロ(シクロオクタ−1、5−ジエン)パラジウム(II)、パラジウムトリフルオロアセテート(II)等の2価パラジウム化合物、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウムクロロホルム錯体(0)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)等の0価パラジウム化合物が挙げられる。また、ポリマー固定型パラジウム化合物、パラジウム炭素等の固定化パラジウム化合物も例示できる。
ニッケル化合物としては、特に限定するものではないが、例えば、0価ニッケル化合物、1価ニッケル化合物、又は2価のニッケル化合物が挙げられ、より具体的には、例えば、フッ化ニッケル(II)、塩化ニッケル(II)、臭化ニッケル(II)、ヨウ化ニッケル(II)、ニッケル(0)粉末、硫酸ニッケル(II)、硝酸ニッケル(II)、過塩素酸ニッケル(II)、蟻酸ニッケル(II)、シュウ酸ニッケル(II)、酢酸ニッケル(II)、又は安息香酸ニッケル(II)、ニッケルアセチルアセトナート(II)等が挙げられる。また、ポリマー固定型ニッケル化合物、ニッケル炭素等の固定化ニッケル化合物も例示できる。
これら遷移金属化合物は、目的の反応を進行させやすくなる観点から、パラジウム化合物であることがより好ましい。
本発明において、遷移金属触媒の使用量は、特に限定するものではないが、例えば、芳香族ニトロ化合物(B)1モルに対し、遷移金属触媒中の遷移金属原子換算で(遷移金属触媒に含まれる遷移金属原子が)0.001〜0.30モルの範囲が好ましい。遷移金属触媒が当該範囲内であれば、当該範囲外である場合と比較して、高い選択率でヘテロカップリング反応物(芳香族エーテル化合物(C1)又は芳香族スルフィド化合物(C2))を合成できる。一方、高価な遷移金属化合物の使用量を低減させる意味から、遷移金属触媒の使用量は、芳香族ニトロ化合物(B)1モルに対し、遷移金属触媒の遷移金属原子換算で0.01〜0.10モルの範囲がより好ましい。
本発明において、遷移金属触媒に含まれるホスフィン化合物は、遷移金属化合物に対して配位性を示すホスフィン化合物である。
本発明におけるホスフィン化合物は、下記一般式(1a)、(1b)、又は(1c)で表されるホスフィン化合物である。
Figure 2021178811

(一般式(1a)、(1b)、及び(1c)中、Rは、各々独立して、水素原子、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、炭素数1〜18のアルコキシ基、置換基を有してもよいアミノ基、又は置換基を有してもよい炭素数6〜24の単環、連結若しくは縮環の芳香族炭化水素基を表す。)
上述の炭素数3〜18の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基としては、特に限定するものはではないが、例えば、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、3−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロヘキサジエニル基、オクチル基、ベンジル基、1−アダマンチル基又はフェネチル基等が挙げられる。なお、環状のアルキル基とは、環状構造を含むアルキル基である。
上述の炭素数1〜18のアルコキシ基としては、特に限定するものはでないが、例えば、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルコキシ基(n−プロピルオキシ基、i−プロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、sec−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘキサジエニルオキシ基、オクチルオキシ基、ベンジルオキシ基、又はフェネチルオキシ基等)が挙げられる。
上述の置換基を有してもよいアミノ基上の置換基としては、特に限定するものではないが、例えば、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基(例えば、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロヘキサジエニル基、オクチル基、ベンジル基、又はフェネチル基等)、炭素数1〜18のハロゲン化アルキル基(例えば、トリフルオロメチル基等)、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18のアルコキシ基(例えば、n−プロピルオキシ基、i−プロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘキサジエニルオキシ基、オクチルオキシ基、ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基等)、炭素数1〜18のハロゲン化アルコキシ基(例えば、トリフルオロメトキシ基等)、フェニル基、トリル基、ピリジル基、ピリミジル基、カルバゾリル基、ジベンゾチエニル基、又はジベンゾフラニル基等が挙げられる。
すなわち、上述の置換基を有してもよいアミノ基としては、特に限定するものではないが、例えば、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ヒドロキシエチルアミノ基、ジ(ヒドロキシエチル)アミノ基、フェニルアミノ基、又はジフェニルアミノ基等を例示できる。
上述の置換基を有してもよい炭素数6〜24の単環、連結若しくは縮環の芳香族炭化水素基としては、特に限定するものではないが、例えば、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいビフェニル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいアントラセニル基、置換基を有してもよいピレニル基、置換基を有してもよいターフェニル基、置換基を有してもよいフェナントラセニル基、置換基を有してもよいペリレニル基、又は置換基を有してもよいトリフェニレニル基等を例示することができる。なお、本明細書において、縮環の芳香族炭化水素基とは、2個以上の芳香族環が2個以上の原子を共有して結合した芳香族炭化水素基をいう。また、本明細書において、連結の芳香族炭化水素基とは、2個以上の芳香族環が原子を共有することなく結合している芳香族炭化水素基であり、2個以上の芳香族環が芳香族環に含まれない他の原子や原子団を介して結合していてもよい。
上述の置換基を有してもよい炭素数6〜24の単環、連結若しくは縮環の芳香族炭化水素基上の置換基としては、特に限定するものではないが、例えば、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基(例えば、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、3−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロヘキサジエニル基、オクチル基、ベンジル基、又はフェネチル基等)、炭素数1〜18のハロゲン化アルキル基(例えば、トリフルオロメチル基等)、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルコキシ基(例えば、n−プロピルオキシ基、i−プロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘキサジエニルオキシ基、オクチルオキシ基、ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基等)、炭素数1〜18のハロゲン化アルコキシ基(例えば、トリフルオロメトキシ基等)、フェニル基、トリル基、ピリジル基、ピリミジル基、カルバゾリル基、ジベンゾチエニル基、又はジベンゾフラニル基等が挙げられる。
上述の一般式(1a)、(1b)、又は(1c)で表されるホスフィン化合物の具体例としては、特に限定するものではないが、例えば、それぞれ下記式(1a−1)〜(1a−22)、(1b−1)〜(1b−2)、又は(1c−1)で表されるものを挙げることができる。
Figure 2021178811

Figure 2021178811


Figure 2021178811

Figure 2021178811


Figure 2021178811


Figure 2021178811

Figure 2021178811



Figure 2021178811


Figure 2021178811
遷移金属触媒に含まれるホスフィン化合物には、下記一般式(4)で表されるホスフィン化合物を用いてもよい。一般式(4)で表されるホスフィン化合物は、上記一般式(1a)で表されるホスフィン化合物のうちの一部のホスフィン化合物であり、上記式(1a−20)や(1a−21)で表されるホスフィン化合物を含んでいる。一般式(4)で表されるホスフィン化合物は、新規物質であり、(1a)、(1b)、又は(1c)で表されるホスフィン化合物のうちの公知物質と比較して、同一原料(化合物(A)と芳香族ニトロ化合物(B))から目的の物質(芳香族エーテル化合物(C1)又は芳香族スルフィド化合物(C2))を製造したときに、その収率を向上させることができる。
Figure 2021178811

(一般式(4)中、Rは、メチル基、エチル基、又は炭素数3〜4の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基を表す。Rは、炭素数4〜15の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基を表す。Rは、各々独立して、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、炭素数1〜18のアルコキシ基、置換基を有してもよいアミノ基、又は置換基を有してもよい炭素数6〜24の単環、連結若しくは縮環の芳香族炭化水素基を表す。Rは、各々独立して、メチル基、エチル基、又は炭素数3〜4の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基を表す。)
上述の炭素数3〜4の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基(R、R)は、一般式(1a)中のRとして挙げた炭素数3〜18の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基のうち、炭素数が3〜4のもの用いることができる。同様に、上述の炭素数4〜15の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基(R)は、一般式(1a)中のRとして挙げた炭素数3〜18の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基のうち、炭素数が4〜15のもの用いることができる。また、上述の炭素数3〜18の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基(R)は、一般式(1a)中のRとして挙げた炭素数3〜18の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基と同じものを用いることができる。
上述の炭素数1〜18のアルコキシ基(R)、置換基を有してもよいアミノ基(R)、及び置換基を有してもよい炭素数6〜24の単環、連結若しくは縮環の芳香族炭化水素基(R)は、それぞれ、一般式(1a)中のRとして挙げた、炭素数1〜18のアルコキシ基、置換基を有してもよいアミノ基、及び置換基を有してもよい炭素数6〜24の単環、連結若しくは縮環の芳香族炭化水素基と同じものを用いることができる。
一般式(4)で表されるホスフィン化合物のうち、目的の反応を進行させやすくなる観点からは、一般式(4)における、Rがメチル基であり、Rが3−ペンチル基又はシクロヘキシル基であり、Rがシクロヘキシル基であるホスフィン化合物を用いることが好ましい。一般式(4)で表されるホスフィン化合物のうち、より好ましいホスフィン化合物は、上記式(1a−20)又は(1a−21)で表されるホスフィン化合物である。
一般式(4)で表されるホスフィン化合物は、特に限定するものではないが、下記反応式
Figure 2021178811

(反応式中、R、R、R、及びRは、それぞれ一般式(4)中のR、R、R、及びRと同じ定義である。)で示す各工程から合成することができる。
即ち、第一工程(ビアリール化及び臭素化)、第二工程(脱保護工程)、第三工程(エーテル化工程)、第四工程(ホスフィン化工程)によって、一般式(4)で表されるホスフィン化合物を合成することができる。
一般式(A)及び(B)で表される化合物は、一般式(A)〜(E)で表される化合物のうち最も入手容易な化合物である。これら一般式(A)及び(B)で表される化合物を出発原料として用い、当業者に公知の方法によって、一般式(C)で表される化合物、一般式(D)で表される化合物、一般式(E)で表される化合物、一般式(4)で表される化合物を合成することができる。
第一工程〜第四工程の各反応条件は、公知の条件を用いることができ、特に限定されるものではないが、一例として非特許文献2(Angewandte Chemie International Edition 2017年、56巻、35号、10569−10572頁、及びそのサポーティングインフォメーション)の条件を例示することができ、より具体的な一例としては、非特許文献2に記載される化合物L14の反応条件を例示することができる。非特許文献2などに記載される公知の反応条件を用いた第一工程〜第四工程において、一般式(A)及び(B)で表される化合物を原料とすることで、一般式(4)で表される化合物を合成することができる。ただし、上記反応式に示す各化合物(一般式(A)〜(E)で表される化合物)の置換基などを考慮して、当業者が通常行い得る範囲内で用いる原材料を変更してもよく、使用する設備に応じて、当業者が通常行い得る範囲内で当該反応条件を変更することもできる。また、第三工程及び第四工程の反応条件の一例としては、後述する実施例の条件を挙げることができる。なお、一般式(C)、(D)、又は(E)で表される化合物の市販品を用いる場合には、第一工程〜第四工程の全ての工程を行う必要は無く、第一工程〜第四工程のうち、その化合物から一般式(4)で表される化合物を得るまでの工程のみ行えばよい。
なお、一般式(1a)、(1b)、又は(1c)で表されるホスフィン化合物の内では、反応性が良い点において、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピル−3−メトキシ−6−メチルビフェニル(1a−17)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピル−3−エトキシ−6−メチルビフェニル(1a−18)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−3−イソプロポキシ−2’,4’,6’トリイソプロピル−6−メチルビフェニル(1a−19)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピル−3−(3−ペンチロキシ)−6−メチルビフェニル(1a−20)、又は3−シクロヘキシロキシ−2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピル−6−メチルビフェニル(1a−21)を用いることが好ましく、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピル−3−(3−ペンチロキシ)−6−メチルビフェニル(1a−20)、又は3−シクロヘキシロキシ−2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピル−6−メチルビフェニル(1a−21)を用いることがより好ましい。
本発明において、ホスフィン化合物の使用量は、特に限定するものではないが、遷移金属触媒中の遷移金属原子1モルに対し、0.1〜20モルの範囲であることが好ましい。ホスフィン化合物が当該範囲内であれば、当該範囲外である場合と比較して、高い選択率で芳香族エーテル化合物(C1)や芳香族スルフィド化合物(C2)を合成できる。一方、経済性の観点で、ホスフィン化合物の使用量は、遷移金属触媒中の遷移金属原子1モルに対し、0.5〜10モルの範囲であることがより好ましい。
本発明において、遷移金属触媒は、少なくとも、上述の遷移金属化合物(パラジウム化合物又はニッケル化合物)及びホスフィン化合物を含むものであり、本発明の製造方法を触媒するものである。当該触媒については、予め系外で遷移金属化合物(パラジウム化合物又はニッケル化合物)とホスフィン化合物を混合して形成させてもよいし、製造方法の途中で遷移金属化合物(パラジウム化合物又はニッケル化合物)とホスフィン化合物を同時又は別々に添加して系内で形成させてもよい。
以上説明した、化合物(A1)と芳香族ニトロ化合物(B)とを遷移金属触媒の存在下で反応させれば、芳香族ニトロ化合物のニトロ基がエーテル結合に変換された芳香族エーテル化合物(C1)を製造することができ、化合物(A2)と芳香族ニトロ化合物(B)とを遷移金属触媒の存在下で反応させれば、芳香族ニトロ化合物のニトロ基がスルフィド結合に変換された芳香族スルフィド化合物(C2)を製造することができる。
本発明の製造方法において、転化率及び収率に優れる点で、塩基の存在下で行われることが好ましい。当該塩基としては、無機塩基及び/又は有機塩基から選択すればよく、特に限定するものではないが、好ましくは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウム、燐酸カリウム、燐酸ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム等の無機塩基、ナトリウム−メトキシド、ナトリウム−エトキシド、カリウム−メトキシド、カリウム−エトキシド、リチウム−tert−ブトキシド、ナトリウム−tert−ブトキシド、カリウム−tert−ブトキシド等のようなアルカリ金属アルコキシド、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、ジアザビシクロウンデセン、ジアザビシクロノネン等の有機塩基が挙げられる。目的の化合物(C)の選択率を向上させる観点から、より好ましくは、炭酸ルビジウム、炭酸セシウム、燐酸カリウム、燐酸ナトリウム、フッ化セシウム等の無機塩基である。また塩基は単一でも2種類以上を組合せて用いてもよい。
塩基の使用量は、使用する芳香族ニトロ化合物(B)1.0モルに対し1.0モル以上とするのが好ましい。使用する芳香族ニトロ化合物(B)1.0モルに対し、塩基の使用量が1.0モル未満では、1.0モル以上である場合と比較して、目的の化合物(芳香族エーテル化合物(C1)や芳香族スルフィド化合物(C2))の収率が低くなる場合がある。塩基を大過剰に加えても目的の化合物の収率が変化しにくいが、反応終了後の後処理操作が煩雑になることから、より好ましい塩基の使用量は、使用する芳香族ニトロ化合物(B)1.0モルに対し1.0〜5.0モルの範囲である。
本発明の製造方法において、反応工程については、特に限定するものではないが、通常、不活性溶媒の存在下で行うことが好ましい。当該溶媒としては、本反応を著しく阻害しない溶媒であることが好ましく、特に限定するものではないが、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系有機溶媒や、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラハイドロフラン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル系有機溶媒、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホトリアミド等を挙げることができる。これらのうちより好ましくは、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラハイドロフラン、1,4−ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系有機溶媒を挙げることができる。また溶媒は単一でも2種以上を混合して用いてもよい。
本発明の製造方法において、反応工程については、特に限定するものではないが、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行うことができる。反応工程は、常圧下で行うこともできるし、加圧下(自生圧を含む)でも行うことができる。
本発明の製造方法において、反応工程については、特に限定するものではないが、0〜300℃の範囲で行うことが好ましい。なお、目的の化合物(芳香族エーテル化合物(C1)や芳香族スルフィド化合物(C2))の収率を上げるため、50〜250℃の範囲がより好ましく、130〜200℃の範囲がさらにより好ましい。
本発明の製造方法において、反応工程については、製造効率向上や生成物の純度向上の目的で、相関移動触媒等の添加剤を添加してもよい。相間移動触媒としては、特に限定されるものではないが、具体的には、24−クラウン−8、18−クラウン−6、15−クラウン−5、12−クラウン−4等のクラウンエーテル類、テトラ(n−ブチル)アンモニウムクロライド、テトラ(n−ブチル)アンモニウムブロマイド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド、トリエチル−n−ドデシルアンモニウムクロライド、トリエチル−n−ドデシルアンモニウムブロマイド、トリメチル−n−ヘキサデシルアンモニウムクロライド、又はトリメチル−n−ヘキサデシルアンモニウムブロマイド等の4級アンモニウム塩を挙げることができる。
本発明の製造方法にかかる反応時間については、化合物(A)、芳香族ニトロ化合物(B)、遷移金属化合物、ホスフィン化合物、塩基、溶媒、添加剤の量、種類及び反応温度等の条件によって一定ではないが、数分〜72時間の範囲から選択することが好ましい。
本発明の製造方法については、生成物(芳香族エーテル化合物(C1)や芳香族スルフィド化合物(C2))の精製工程を含んでいてもよい。当該精製工程としては、特に限定するものではないが、一般に公知の手段を用いることができる。特に限定するものではないが、具体的な精製手段としては、例えば、酸又は塩基処理による精製、分液操作による精製、膜分離による精製、再沈殿処理による精製、再結晶による精製、蒸留による精製、昇華による精製、イオン交換処理による精製、又はクロマトグラフィーによる精製等が挙げられる。
本発明の製造方法では、ハロゲンを使用することなく、又は、ハロゲンの使用を抑えて芳香族エーテル化合物を製造することができるため、従来技術の課題であったハロゲン廃棄物の副生を抑えることができる。また、本発明の製造方法によれば、芳香族エーテル化合物は、遷移金属触媒存在下で、ヒドロキシ化された炭素(C−OH)を有する化合物(A1)又はスルフヒドリル化された炭素(C−SH)を有する化合物(A2)と、ニトロ基(−NO)を有する芳香族ニトロ化合物(B)とをヘテロカップリング反応するだけで製造することができる。このため、反応基質としてハロゲン化物の使用が必要であった従来の製造方法と比較し、反応基質の選択の自由度に優れる芳香族エーテル化合物の製造方法を提供することができる。
また、芳香族エーテル化合物や芳香族スルフィド化合物は、有機エレクトロルミネッセンス等の電子素子用材料として使用されているが、このような材料においては、不純物として微量含有するハロゲン化合物やホウ素化合物等が当該電子素子の性能悪化や寿命低下の原因となっている。本発明の一実施形態によれば、ハロゲンフリープロセスやボロンフリープロセスを確立でき、ハロゲンフリーの電子素子用材料を提供できるようになる。従って、電子素子の性能向上や長寿命化への寄与が期待される。
そして、本発明の製造方法を利用することによって、従来にない新規な分子骨格構築プロセスを提供できる。
以下、本発明を実施例によって具体的に記述する。しかし、これらによって本発明は何ら限定して解釈されるものではない。
GC測定: 島津製作所社製ガスクロマトグラフィー GC2014(分析条件 使用カラム:SGE社製BP−1、検出器:FID@290℃)。
NMR測定: 日本電子株式会社製ECS−400(H NMR、400MHz; 13C NMR、101 MHz、19F NMR、376MHz)。
HR−MS測定:Thermo Fisher Scientific社製MS:Exactive Plus,HPLC:UltiMate 3000(ESI)。
実施例1
窒素下において、4mLスクリューバイアル管に、撹拌子、芳香族ニトロ化合物(B)としての4−ニトロアニソール 15mg(0.10mmol)、化合物(A1)としてのフェノール 14mg(0.15mmol)、遷移金属化合物としてのパラジウムアセチルアセトナート(II) 1.5mg(5.0μmol)、ホスフィン化合物としての2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピル−3−メトキシ−6−メチルビフェニル 10mg(0.020mmol)、塩基としてのリン酸三カリウム 64mg(0.30mmol)、不活性溶媒としての1,4−ジオキサン 1mLを加えた。バイアル管にしっかりと蓋をした後、160℃で24時間加熱撹拌した。次いで、反応液を室温まで冷却した。この反応液に酢酸エチルを添加し、セライトを通じて濾過した。濃縮して得られた残渣に内部標準物質として1,3,5−トリメチルベンゼン 16mg(0.14mmol)を加え、重クロロホルム中でH−NMR分析を行ったところ、芳香族エーテル化合物(C1)としての4−フェノキシアニソールが収率5%で検出された。
実施例2
実施例1において、ホスフィン化合物として用いた2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピル−3−メトキシ−6−メチルビフェニル 10mg(0.020mmol)の代わりにホスフィン化合物としての2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピル−3−エトキシ−6−メチルビフェニル 11mg(0.020mmol)を用いた以外は実施例1と同様の実験操作を行い、内部標準物質として1,3,5−トリメチルベンゼン 18mg(0.15mmol)を用い、重クロロホルム中でH−NMR分析を行ったところ、芳香族エーテル化合物(C1)としての4−フェノキシアニソールが収率23%で検出された。
実施例3
実施例1において、ホスフィン化合物として用いた2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピル−3−メトキシ−6−メチルビフェニル 10mg(0.020mmol)の代わりにホスフィン化合物としての2−ジシクロヘキシルホスフィノ−3−イソプロポキシ−2’,4’,6’トリイソプロピル−6−メチルビフェニル 11mg(0.020mmol)を用いた以外は実施例1と同様の実験操作を行い、内部標準物質として1,3,5−トリメチルベンゼン 16mg(0.13mmol)を用い、重クロロホルム中でH−NMR分析を行ったところ、芳香族エーテル化合物(C1)としての4−フェノキシアニソールが収率32%で検出された。
実施例4
実施例1において、ホスフィン化合物として用いた2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピル−3−メトキシ−6−メチルビフェニル 10mg(0.020mmol)の代わりにホスフィン化合物としての3−シクロヘキシロキシ−2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピル−6−メチルビフェニル 12mg(0.020mmol)を用いた以外は実施例1と同様の実験操作を行い、内部標準物質として1,3,5−トリメチルベンゼン 17mg(0.14mmol)を用い、重クロロホルム中でH−NMR分析を行ったところ、芳香族エーテル化合物(C1)としての4−フェノキシアニソールが収率45%で検出された。
実施例5
実施例3において、芳香族ニトロ化合物(B)として用いた4−ニトロアニソール 15mg(0.10mmol)の代わりに芳香族ニトロ化合物(B)としての1−tert−ブチル−4−ニトロベンゼン 18mg(0.10mmol)を用いた以外は実施例3と同様の実験操作を行い、内部標準物質として1,3,5−トリメチルベンゼン 16mg(0.13mmol)を用い、重クロロホルム中でH−NMR分析を行ったところ、芳香族エーテル化合物(C1)としての1−tert−ブチル−4−フェノキシベンゼンが収率59%で検出された。
実施例6
実施例3において、芳香族ニトロ化合物(B)として用いた4−ニトロアニソール 15mg(0.10mmol)を用いる代わりに芳香族ニトロ化合物(B)としての1−ニトロナフタレン 17mg(0.10mmol)を用いた以外は実施例3と同様の実験操作を行い、内部標準物質として1,3,5−トリメチルベンゼン 17mg(0.14mmol)を用い、重クロロホルム中でH−NMR分析を行ったところ、芳香族エーテル化合物(C1)としての1−フェノキシナフタレンが収率67%で検出された。
実施例7
実施例3において、化合物(A1)として用いたフェノール 14mg(0.15mmol)の代わりに化合物(A1)としての4−メトキシフェノール 24mg(0.15mmol)を用いた以外は実施例3と同様の実験操作を行い、内部標準物質として1,3,5−トリメチルベンゼン 16mg(0.14mmol)を用い、重クロロホルム中でH−NMR分析を行ったところ、芳香族エーテル化合物(C1)としてのビス(4−メトキシフェニル)エーテルが収率52%で検出された。
実施例8
実施例3において、化合物(A1)として用いたフェノール 14mg(0.15mmol)の代わりに化合物(A1)としてのベンジルアルコール 16mg(0.15mmol)を用いた以外は実施例3と同様の実験操作を行い、内部標準物質として1,3,5−トリメチルベンゼン 17mg(0.14mmol)を用い、重クロロホルム中でH−NMR分析を行ったところ、芳香族エーテル化合物(C1)としての4−ベンジロキシアニソールが収率6%で検出された。
実施例9
実施例6において、化合物(A1)として用いたフェノール 14mg(0.15mmol)の代わりに化合物(A1)としての2−ナフトール 22mg(0.15mmol)を用いた以外は実施例6と同様の実験操作を行い、内部標準物質として1,3,5−トリメチルベンゼン 17.1mg(0.14mmol)を用い、重クロロホルム中でH−NMR分析を行ったところ、芳香族エーテル化合物(C1)としての1−(2−ナフトキシ)ナフタレンが収率20%で検出された。
実施例10
実施例6において、化合物(A1)として用いたフェノール 14mg(0.15mmol)の代わりに、化合物(A1)としてのベンジルアルコール 16mg(0.15mmol)を用いた以外は実施例6と同様の実験操作を行い、内部標準物質として1,3,5−トリメチルベンゼン 18.3mg(0.15mmol)を用い、重クロロホルム中でH−NMR分析を行ったところ、芳香族エーテル化合物(C1)としてのベンジル−1−ナフチルエーテルが収率33%で検出された。
実施例11
実施例4において、塩基として用いたリン酸三カリウム 64mg(0.30mmol)の代わりに塩基としての炭酸セシウム 98mg(0.30mmol)を用いた以外は実施例4と同様の実験操作を行い、内部標準物質として1,3,5−トリメチルベンゼン 13.7mg(0.11mmol)を用い、重クロロホルム中でH−NMR分析を行ったところ、芳香族エーテル化合物(C1)としての4−フェノキシアニソールが収率35%で検出された。
実施例12
窒素下において、15mLスクリューバイアル管に、撹拌子、芳香族ニトロ化合物(B)としての4−ニトロアニソール 138mg(0.90mmol)、化合物(A1)としてのp−クレゾール 65mg(0.60mmol)、遷移金属化合物としてのパラジウムアセチルアセトナート(II) 9.1mg(0.030mmol)、ホスフィン化合物としての3−シクロヘキシロキシ−2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピル−6−メチルビフェニル 71mg(0.12mmol)、塩基としてのリン酸三カリウム 382mg(1.8mmol)、不活性溶媒としての1,4−ジオキサン 6mLを加えた。バイアル管にしっかりと蓋をした後、160℃で24時間加熱撹拌した。次いで、反応液を室温まで冷却した。この反応液に酢酸エチルを添加し、セライトを通じて濾過した。濃縮して得られた残渣を中圧カラムクロマトグラフィー(バイオタージSNAP Ultraカラム(粒径25μm)使用、展開溶媒=ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、芳香族エーテル化合物(C1)としての1−メトキシ−4−(p−トリロキシ)ベンゼンを白色粉末として115mg得た(収率90%)。目的物の同定は1H及び13C−NMRで実施した。
1H−NMR(CDCl3)=δ 7.10(d,J = 7.7 Hz,2H),6.95(d,J = 9.3 Hz,2H),6.90−6.81(m,4H),3.80(s,3H),2.31(s,3H)
13C−NMR(CDCl3)=δ 156.1,155.6,150.7,132.0,130.1,120.3,117.8,114.8,55.6,20.6
実施例13
実施例12において、芳香族ニトロ化合物(B)として用いた4−ニトロアニソール 138mg(0.90mmol)の代わりに芳香族ニトロ化合物(B)としての3―ニトロアニソール 138mg(0.90mmol)を用いた以外は実施例12と同様の実験操作を行い、芳香族エーテル化合物(C1)としての1−メトキシ−3−(p−トリロキシ)ベンゼンを液体として99mg得た(収率78%)。目的物の同定は1H及び13C−NMRで実施した。
1H−NMR(CDCl3)=δ 7.21(t,J = 8.4 Hz,1H),7.15 (d,J = 7.8 Hz,2H),6.95(d,J = 7.3 Hz,2H),6.64(d,J = 8.3 Hz,1H),6.60−6.54(m,2H),3.78(s,3H),2.35(s,3H)
13C−NMR(CDCl3)=δ 160.9,159.1,154.4,133.0,130.2,130.0,119.3,110.4,108.4,104.3,55.3,20.7
実施例14
実施例12において、芳香族ニトロ化合物(B)として用いた4−ニトロアニソール 138mg(0.90mmol)の代わりに芳香族ニトロ化合物(B)としての2―ニトロアニソール 138mg(0.90mmol)を用いた以外は実施例12と同様の実験操作を行い、芳香族エーテル化合物(C1)としての1−メトキシ−2−(p−トリロキシ)ベンゼンを白色粉末として92mg得た(収率72%)。目的物の同定は1H及び13C−NMRで実施した。
1H−NMR(CDCl3)=δ 7.10(d,J = 8.0 Hz,3H),7.00(d,J = 8.0 Hz,1H),6.97−6.84(m,4H),3.86(s,3H),2.32(s,3H)
13C−NMR(CDCl3)=δ 155.4,151.2,145.7,132.0,130.0,124.3,121.0,120.3,117.5,112.7,56.0,20.6
実施例15
実施例12において、芳香族ニトロ化合物(B)として用いた4−ニトロアニソ−ル 138mg(0.90mmol)の代わりに芳香族ニトロ化合物(B)としての1−ニトロナフタレン 156mg(0.90mmol)を用いた以外は実施例12と同様の実験操作を行い、芳香族エ−テル化合物(C1)としての1−(p−トリロキシ)ナフタレンを白色粉末として125mg得た(収率89%)。目的物の同定は1H及び13C−NMRで実施した。
1H−NMR(CDCl3)=δ 8.37(d,J = 7.6 Hz,1H),7.95 (d,J = 7.5 Hz,1H),7.67(d,J = 8.2 Hz,1H),7.64−7.54(m,2H),7.44(t,J = 8.0 Hz,1H),7.24(d,J = 7.9 Hz,2H),7.07(d,J = 7.8 Hz,2H),7.00(d,J = 7.5 Hz,1H),2.43(s,3H)
13C−NMR(CDCl3)=δ 155.3,153.6,134.9,132.8,130.3,127.7,126.7,126.5,125.8,125.7,122.8,122.1,118.8,112.5,20.7
実施例16
実施例12において、芳香族ニトロ化合物(B)として用いた4−ニトロアニソ−ル 138mg(0.90mmol)の代わりに芳香族ニトロ化合物(B)としての1−ニトロ−4−(トリフルオロメチル)ベンゼン 172mg(0.90mmol)を用いた以外は実施例12と同様の実験操作を行い、芳香族エ−テル化合物(C1)としての1−メチル−4−(4−(トリフルオロメチル)フェノキシ)ベンゼンを白色粉末として91mg得た(収率53%)。目的物の同定は1H及び13C−NMRで実施した。
1H−NMR(CDCl3)=δ 7.56(d,J = 8.3 Hz,2H),7.20(d,J = 8.0 Hz,2H),7.02(d,J = 8.4 Hz,2H),6.97(d,J = 8.0 Hz,2H),2.38(s,3H)
13C−NMR(CDCl3)=δ 161.0,153.2,134.4,130.5,127.0(q,J = 4.6 Hz),124.4(q,J = 32.5 Hz),124.2(d,J = 273.0 Hz),120.0,117.3,20.7
実施例17
実施例12において、芳香族ニトロ化合物(B)として用いた4−ニトロアニソ−ル 138mg(0.90mmol)の代わりに芳香族ニトロ化合物(B)としての3−ニトロ安息香酸メチル 163mg(0.90mmol)を用いた以外は実施例12と同様の実験操作を行い、芳香族エ−テル化合物(C1)としての3−(p−トリロキシ)安息香酸メチルを液体として52mg得た(収率36%)。目的物の同定は1H及び13C−NMRで実施した。
1H−NMR(CDCl3)=δ 7.75(d,J = 7.6 Hz,1H),7.64(s,1H),7.38(t,J = 7.9 Hz,1H),7.22−7.13(m,3H),6.92(d,J = 6.7 Hz,2H),3.89(s,3H),2.35(s,3H)
13C−NMR(CDCl3)= δ 166.5,158.0,154.1,133.4,131.8,130.4,129.6,123.9,122.8,119.2,118.9,52.2,20.7
実施例18
実施例12において、芳香族ニトロ化合物(B)として用いた4−ニトロアニソ−ル 138mg(0.90mmol)の代わりに芳香族ニトロ化合物(B)としての2−メトキシ−3−ニトロピリジン 139mg(0.90mmol)を用いた以外は実施例12と同様の実験操作を行い、芳香族エ−テル化合物(C1)としての2−メトキシ−3−(p−トリロキシ)ピリジンを白色粉末として86mg得た(収率67%)。目的物の同定は1H、13C−NMR及び高分解能質量分析(HR−MS)で実施した。
1H−NMR(CDCl3)=δ 7.90(d,J = 4.8 Hz,1H),7.13(d,J = 8.0 Hz,2H),7.09(d,J = 7.7 Hz,1H),6.88(d,J = 8.0 Hz,2H),6.82(t,J = 6.2 Hz,1H),4.01(s,3H),2.33(s,3H)
13C−NMR(CDCl3)=δ 156.0,154.1,141.5,140.4,133.2,130.3,125.7,118.3,116.9,53.7,20.7
HRMS−ESI(+)(m/z):[M+Na]+計算値(C13H13NONa)=238.0847,実測値=238.0838
実施例19
実施例12において、化合物(A1)として用いたp−クレゾ−ル 65mg(0.60mmol)の代わりに化合物(A1)としてのо−クレゾ−ル 65mg(0.60mmol)を用いた以外は実施例12と同様の実験操作を行い、芳香族エ−テル化合物(C1)としての1−(4−メトキシフェノキシ)−2−メチルベンゼンを液体として104mg得た(収率81%)。目的物の同定は1H及び13C−NMRで実施した。
1H−NMR(CDCl3)=δ 7.18(t,J = 7.7 Hz,1H),6.98(d,J = 8.6 Hz,2H),6.92−6.83(m,3H),6.75(d,2H),3.81(s,3H),2.31(s,3H)
13C−NMR(CDCl3)=δ 158.5,155.8,150.2,139.8,129.3,123.2,120.8,118.2,114.8,114.6,55.6,21.4
実施例20
実施例12において、化合物(A1)として用いたp−クレゾ−ル 65mg(0.60mmol)の代わりに化合物(A1)としてのm−クレゾ−ル 65mg(0.60mmol)を用いた以外は実施例12と同様の実験操作を行い、芳香族エ−テル化合物(C1)としての1−(4−メトキシフェノキシ)−3−メチルベンゼンを白色粉末として96mg得た(収率74%)。目的物の同定は1H及び13C−NMRで実施した。
1H−NMR(CDCl3)=δ 7.24(d,J = 7.5 Hz,1H),7.13(t,J = 7.8 Hz,1H),7.02(t,J = 7.4 Hz,1H),6.94−6.84(m,4H),6.81(d,J = 8.0 Hz,1H),3.80(s, 3H),2.29(s,3H)
13C−NMR(CDCl3)=δ 155.8,155.3,151.1,131.3,129.0,126.9,123.0,119.3,118.0,114.8,55.6,16.2
実施例21
実施例12において、化合物(A1)として用いたp−クレゾ−ル 65mg(0.60mmol)の代わりに化合物(A1)としての4−tert−ブチルフェノ−ル 90mg(0.60mmol)を用いた以外は実施例12と同様の実験操作を行い、芳香族エ−テル化合物(C1)としての1−tert−ブチル−4−(4−メトキシフェノキシ)ベンゼンを無色液体として136mg得た(収率90%)。目的物の同定は1H及び13C−NMRで」実施した。
1H−NMR(CDCl3)=δ 7.31(d,J = 8.7 Hz,2H),6.98(d,J = 9.2 Hz,2H),6.88(d,J = 8.0 Hz,4H),3.80(s,3H),1.31(s,9H)
13C−NMR(CDCl3)=δ 156.0,155.7,150.5,145.2,126.4,120.6,117.1,114.8,55.6,34.2,31.5
実施例22
実施例12において、化合物(A1)として用いたp−クレゾ−ル 65mg(0.60mmol)の代わりに化合物(A1)としての4−フェニルフェノール 102mg(0.60mmol)を用いた以外は実施例12と同様の実験操作を行い、芳香族エ−テル化合物(C1)としての4−(4−メトキシフェノキシ)−1,1’−ビフェニルを白色粉末として98mg得た(収率59%)。目的物の同定は1H及び13C−NMRで実施した。
1H−NMR(CDCl3)=δ 7.59−7.49(m,4H),7.42(t,J = 7.5 Hz,2H),7.36−7.28(m,1H),7.06−6.98(m,4H),6.91(d,J = 8.0 Hz,2H),3.82(s,3H)
13C−NMR(CDCl3)=δ 158.1,156.0,150.0,140.6,135.5,128.7,128.3,126.9,126.8,120.9,117.7,114.9,55.7
実施例23
実施例12において、化合物(A1)として用いたp−クレゾ−ル 65mg(0.60mmol)の代わりに化合物(A1)としての3,5−ジメチルフェノ−ル 73mg(0.60mmol)を用いた以外は実施例12と同様の実験操作を行い、芳香族エ−テル化合物(C1)としての1−(4−メトキシフェノキシ)−3,5−ジメチルベンゼンを白色粉末として105mg得た(収率77%)。目的物の同定は1H及び13C−NMRで実施した。
1H−NMR(CDCl3)=δ 7.01−6.93(m,2H),6.91−6.85(m,2H),6.69(s,1H),6.56(s,2H),3.81(s,3H),2.27(s,6H)
13C−NMR(CDCl3)=δ 158.5,155.7,150.3,139.4,124.2,120.8,115.3,114.8,55.6,21.3
実施例24
実施例12において、化合物(A1)として用いたp−クレゾ−ル 65mg(0.60mmol)の代わりに化合物(A1)としての4−フルオロフェノ−ル 67mg(0.60mmol)を用いた以外は実施例12と同様の実験操作を行い、芳香族エ−テル化合物(C1)としての1−フルオロ−4−(4−メトキシフェノキシ)ベンゼンを液体として61mg得た(収率47%)。目的物の同定は1H及び13C−NMRで実施した。
1H−NMR(CDCl3)=δ 7.02−6.82(m,8H),3.79(s,3H)13C−NMR(CDCl3)=δ 158.3(d,J = 240.4 Hz),155.8,154.2(d,J = 2.0 Hz),150.6,120.2,119.1(d,J = 8.1 Hz),116.1(d,J = 23.2 Hz),114.9,55.6
実施例25
実施例1において、ホスフィン化合物として用いた2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピル−3−メトキシ−6−メチルビフェニル 10mg(0.020mmol)の代わりにホスフィン化合物としての2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピル−3−(3−ペンチロキシ)−6−メチルビフェニル 12mg(0.020mmol)を用いた以外は実施例1と同様の実験操作を行い、内部標準物質として1,3,5−トリメチルベンゼン 18mg(0.15mmol)を用い、重クロロホルム中でH−NMR分析を行ったところ、芳香族エーテル化合物(C1)としての4−フェノキシアニソールが収率38%で検出された。
Figure 2021178811

Figure 2021178811
実施例26
実施例25で使用したホスフィン化合物、すなわち、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピル−3−(3−ペンチロキシ)−6−メチルビフェニル(上記式(1a−20)で表される化合物)を合成した例を以下に示す。
2−ブロモ−2’,4’,6’−トリイソプロピル−6−メチル−3−(3−ペンチロキシ)ビフェニルの合成
空気下において、20mLシュレンクフラスコに、撹拌子、2−ブロモ−2’,4’,6’−トリイソプロピル−6−メチル−[1,1’−ビフェニル]−3−オール 582mg(1.5mmol)、炭酸カリウム 662mg(4.5mmol)を加え、セプタムを取り付けた。反応容器内をアルゴンで置換し、3−ブロモペンタン 1.1mL(9.0mmol)、N,N−ジメチルホルムアミド 3.0mLを加え、100℃で15時間加熱撹拌した。室温まで冷却した反応液に水 20mLを加え、ジエチルエーテル 60mLで抽出した。集めた有機相を飽和食塩水 50mLで洗浄し、無水硫酸マグネシウムを加えて乾燥した後、ろ過により固体を取り除き、濃縮した。得られた残渣を中圧カラムクロマトグラフィー(展開溶媒=ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、2−ブロモ−2’,4’,6’−トリイソプロピル−6−メチル−3−(3−ペンチロキシ)ビフェニルを白色固体として499mg得た(収率72%)。目的物の同定は1H、13C−NMR及び高分解能質量分析で実施した。
1H−NMR(CDCl3)=δ 7.14(d,J = 8.3 Hz,1H),7.09(s,2H),6.85(d,J = 8.3 Hz,1H),4.20(quint,J = 4.6 Hz,1H),2.98(hept,J = 6.9 Hz,1H),2.41(hept,J = 6.9 Hz,2H),1.94(s,3H),1.77(quint,J = 7.3 Hz,4H),1.33(d,J = 6.9 Hz,6H),1.17(d,J = 7.0 Hz,6H),1.09(d,J = 6.9 Hz,6H),1.02(t,J = 7.5 Hz,6H)。
13C−NMR(CDCl3)=δ 153.6,148.1,145.4,142.5,135.0,130.7,128.7,120.9,117.2,113.9,82.8,34.1,30.6,26.1,24.4,24.3,24.1,20.6,9.7
HRMS−ESI(+)(m/z):[M+Na]+計算値(C27H39BrONa)=481.2099,実測値=481.2076
2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピル−3−(3−ペンチロキシ)−6−メチルビフェニル (上記式(1a−20))の合成
空気下において、20mLシュレンクフラスコに、撹拌子、合成例1で合成した2−ブロモ−2’,4’,6’−トリイソプロピル−6−メチル−3−(3−ペンチロキシ)ビフェニル 229mg(0.50mmol)を加え、セプタムを取り付けた。反応容器内をアルゴンで置換し、テトラヒドロフラン 2.0mLを加え、アセトン/ドライアイスを用いて−78℃まで冷却した。1.52Mのtert−ブチルリチウム ペンタン溶液 0.70mLをゆっくりと滴下し,−78℃で30分撹拌した後、クロロジシクロヘキシルホスフィン 121μL(0.55mmol)をゆっくりと加えた。反応容器を室温まで戻して4時間撹拌した後、ろ過により固体を除いた。濃縮して得られた残渣を,熱アセトンを用いた再結晶によって精製し、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピル−3−(3−ペンチロキシ)−6−メチルビフェニルを無色固体として258mg得た(収率90%)。目的物の同定は1H、13C−NMR及び高分解能質量分析で実施した。
1H−NMR(CDCl3)=δ 7.14(d,J = 8.4 Hz,1H),6.98 (s,2H),6.68(d,J = 8.6 Hz,1H),4.20(quint,J = 6.0 Hz,1H),2.92(hept,J = 7.5 Hz,1H),2.45(hept,J = 6.7 Hz,2H),2.35−2.28(m,2H),1.83(q,J = 7.1 Hz,4H),1.75−1.69(m,7H),1.65−1.58(m,4H),1.46(d,J = 13.2 Hz,2H),1.29(d,J = 6.4 Hz,6H),1.26−1.10(m,13H),1.10−1.01(m,7H),1.00−0.93(m,8H)。
13C−NMR(CDCl3)=δ 158.7(d,J = 2.0 Hz),150.4(d,J = 36.7 Hz),147.0,145.1,136.4(d,J = 8.5 Hz),131.7,129.4(d,J = 7.8 Hz),123.7(d,J = 26.8 Hz),120.8,108.9,78.8,37.6,37.5,33.9,33.6,33.3,30.1,30.1,27.8,27.7,27.7,27.5,26.4,25.4,25.1,24.9,24.0,21.0,10.2
HRMS−ESI(+)(m/z):[M+H]+計算値(C39H62OP)=571.4553,実測値=571.4533。
実施例27
実施例4及び12で使用したホスフィン化合物、すなわち、3−シクロヘキシロキシ−2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピル−6−メチルビフェニル(上記式(1a−21)で表される化合物)を合成した例を以下に示す。
2−ブロモ−3−シクロヘキシロキシ−2’,4’,6’−トリイソプロピル−6−メチルビフェニルの合成
空気下において、80mLシュレンクフラスコに、撹拌子、2−ブロモ−2’,4’,6’−トリイソプロピル−6−メチル−[1,1’−ビフェニル]−3−オール 3.5g(9.1mmol)、炭酸カリウム 3.7g(27mmol)を加え、セプタムを取り付けた。反応容器内をアルゴンで置換し、ブロモシクロヘキサン 6.7mL(55mmol)、N,N−ジメチルホルムアミド 25mLを加え、100℃で13時間加熱撹拌した。室温まで冷却した反応液に水 30mLを加え、ジエチルエーテル 100mLで抽出した。集めた有機相を飽和食塩水 50mLで洗浄し、無水硫酸マグネシウムを加えて乾燥した後、ろ過により固体を取り除き、濃縮した。得られた残渣を中圧カラムクロマトグラフィー(展開溶媒=ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、2−ブロモ−3−シクロヘキシロキシ−2’,4’,6’−トリイソプロピル−6−メチルビフェニルを白色固体として1.4g得た(収率30%)。目的物の同定は1H、13C−NMR及び高分解能質量分析で実施した。
1H−NMR(CDCl3)=δ 7.13(d,J = 8.2 Hz,1H),7.08(s,2H),6.88(d,J = 8.2 Hz,1H),4.32(quint,J = 4.4 Hz,1H),2.97(hept,J = 7.1 Hz,1H),2.39(hept,J = 7.0 Hz,2H),2.07−1.79(m,7H),1.75−1.67(m,2H),1.45−1.25(m,10H),1.16(d,J = 6.9 Hz,6H),1.08(d,J = 6.9 Hz,6H)。
13C−NMR(CDCl3)=δ 152.6,148.1,145.4,142.5,135.0,131.1,128.7,120.9,117.6,114.8,77.6,34.1,31.7,30.6,25.6,24.4,24.3,24.1,23.5,20.6
HRMS−ESI(+)(m/z):[M+Na]+計算値(C28H39BrONa)=493.2098,実測値=493.2076
3−シクロヘキシロキシ−2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピル−6−メチルビフェニル (上記式(1a−21)で表される化合物)の合成
空気下において、80mLシュレンクフラスコに、撹拌子、合成例2で合成した2−ブロモ−3−シクロヘキシロキシ−2’,4’,6’−トリイソプロピル−6−メチルビフェニル 2.6g(5.5mmol)を加え、セプタムを取り付けた。反応容器内をアルゴンで置換し、テトラヒドロフラン 40mLを加え、アセトン/ドライアイスを用いて−78℃まで冷却した。1.61Mのtert−ブチルリチウム ペンタン溶液 6.8mLをゆっくりと滴下し,−78℃で30分撹拌した後、クロロジシクロヘキシルホスフィン 1.7mL(7.7mmol)をゆっくりと加えた。反応容器を80℃まで加熱して4日間撹拌した後、室温に戻し、ろ過により固体を除いた。濃縮して得られた残渣を,熱アセトンを用いた再結晶によって精製し、3−シクロヘキシロキシ−2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピル−6−メチルビフェニルを無色固体として2.5g得た(収率77%)。目的物の同定は1H、13C−NMR及び高分解能質量分析で実施した。
1H−NMR(CDCl3)=δ 7.14(d,J = 8.2 Hz,1H),6.99(s,2H),6.72(d,J = 8.7 Hz,1H),4.30(quint,J = 5.0 Hz,1H),2.93(hept,J = 7.1 Hz,1H),2.45(hept,J = 7.1 Hz,2H),2.38−2.24(m,2H),2.20−2.12(m,2H),2.00−1.76(m,4H),1.79−1.52(m,11H),1.52−1.08(m,26H),0.98(d,J = 6.9 Hz,8H)。
13C−NMR(CDCl3)=δ 158.2(d,J = 2.9 Hz),150.2(d,J = 35.9 Hz),147.0,145.1,136.4(d,J = 8.1 Hz),131.7,129.3(d,J = 7.2 Hz),123.5(d,J = 26.4 Hz),120.8,108.5,74.4,38.2,38.1,33.9,33.6,33.4,32.1,30.2,30.1,30.0,28.1,28.0,27.7,27.6,26.4,25.7,25.0,24.9,24.3,24.0,21.0
HRMS−ESI(+)(m/z):[M+H]+計算値(C40H62OP)=589.4554,実測値=589.4533
以上説明した試験結果から、実施例1〜25の製造方法によれば、芳香族エーテル化合物を製造できることが説明できた。また、実施例1〜25の製造方法から、ヒドロキシ化された炭素(C−OH)を有する化合物(A1)に代えてスルフヒドリル化された炭素(C−SH)を有する化合物(A2)を用いることで、芳香族スルフィド化合物が製造できると考えられる。

Claims (8)

  1. 下記一般式(1a)、(1b)、又は(1c)
    Figure 2021178811

    (一般式(1a)、(1b)、及び(1c)中、Rは、各々独立して、水素原子、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、炭素数1〜18のアルコキシ基、置換基を有してもよいアミノ基、又は置換基を有してもよい炭素数6〜24の単環、連結若しくは縮環の芳香族炭化水素基を表す。)
    で表されるホスフィン化合物とパラジウム化合物又はニッケル化合物である遷移金属化合物とを含む遷移金属触媒存在下、C−OHで表されるヒドロキシ化された炭素を有する化合物(A1)又はC−SHで表されるスルフヒドリル化された炭素を有する化合物(A2)と、ニトロ基(−NO)を有する芳香族ニトロ化合物(B)とを反応させ、前記化合物(A1)と前記芳香族ニトロ化合物(B)のヘテロカップリング反応生成物である芳香族エーテル化合物(C1)又は前記化合物(A2)と前記芳香族ニトロ化合物(B)のヘテロカップリング反応生成物である芳香族スルフィド化合物(C2)を生成する工程を含むことを特徴とする、芳香族エーテル化合物又は芳香族スルフィド化合物の製造方法。
  2. 前記化合物(A1)と前記化合物(A2)が、下記一般式(1)
    Figure 2021178811

    (一般式(1)中、Arは、置換基を有してもよい芳香族炭化水素基、置換基を有してもよいヘテロ芳香族基又は置換基を有してもよい脂肪族炭化水素基を表す。Xは、酸素原子又は硫黄原子を表す。)で表され、
    前記芳香族ニトロ化合物(B)が、下記一般式(2)
    Figure 2021178811

    (一般式(2)中、Arは、置換基を有してもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有してもよいヘテロ芳香族基を表し、nは1〜5の整数を表す。)で表され、
    前記芳香族エーテル化合物(C1)と前記芳香族スルフィド化合物(C2)が、下記一般式(3)
    Figure 2021178811

    (一般式(3)中、Ar、Ar、X及びnは前記と同じものを表す。)で表される、
    ことを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記一般式(1)において、Xが酸素原子であることを特徴とする、請求項2に記載の製造方法。
  4. 前記化合物(A1)又は前記化合物(A2)と、前記芳香族ニトロ化合物(B)とを130℃以上で反応させることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の製造方法。
  5. 前記ホスフィン化合物が、下記一般式(4)
    Figure 2021178811

    (一般式(4)中、Rは、メチル基、エチル基、又は炭素数3〜4の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基を表す。Rは、炭素数4〜15の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基を表す。Rは、各々独立して、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、炭素数1〜18のアルコキシ基、置換基を有してもよいアミノ基、又は置換基を有してもよい炭素数6〜24の単環、連結若しくは縮環の芳香族炭化水素基を表す。Rは、各々独立して、メチル基、エチル基、又は炭素数3〜4の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基を表す。)
    で表されるホスフィン化合物である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の製造方法。
  6. 下記一般式(4)
    Figure 2021178811

    (一般式(4)中、Rは、メチル基、エチル基、又は炭素数3〜4の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基を表す。Rは、炭素数4〜15の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基を表す。Rは、各々独立して、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、炭素数1〜18のアルコキシ基、置換基を有してもよいアミノ基、又は置換基を有してもよい炭素数6〜24の単環、連結若しくは縮環の芳香族炭化水素基を表す。Rは、各々独立して、メチル基、エチル基、又は炭素数3〜4の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基を表す。)
    で表されるホスフィン化合物。
  7. 前記一般式(4)において、Rがメチル基であり、Rが3−ペンチル基又はシクロヘキシル基であり、Rがシクロヘキシル基であることを特徴とする、請求項6に記載のホスフィン化合物。
  8. 下記式(1a−20)又は(1a−21)で表されるホスフィン化合物であることを特徴とする、請求項7に記載のホスフィン化合物。
    Figure 2021178811

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