JP2020193181A - 芳香族ニトリル化合物の製造方法 - Google Patents

芳香族ニトリル化合物の製造方法 Download PDF

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Yoshiaki Nakao
佳亮 中尾
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美勇斗 柏原
萩原 秀樹
Hideki Hagiwara
秀樹 萩原
神原 武志
Takeshi Kanbara
武志 神原
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Abstract

【課題】芳香族ニトリル化合物の製造に係る新規な技術を提供する。【解決手段】遷移金属触媒の存在下、芳香族ニトロ化合物と、シアン化合物及び/又はニトリル化合物とを反応させ、前記芳香族ニトロ化合物のニトロ基をシアノ基に変換することを特徴とする、芳香族ニトリル化合物の製造方法。前記遷移金属触媒が、パラジウム化合物、又はニッケル化合物を含むことを特徴とする、製造方法。前記遷移金属触媒が、ホスフィン化合物を含むことを特徴とする、製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、芳香族ニトロ化合物を原料として、シアン化合物及び/又はニトリル化合物を反応させて、芳香族ニトリル化合物を製造する方法に関する。
芳香族ニトリル化合物は、医農薬、天然物合成、液晶や有機エレクトロルミネッセンス等の電子材料の合成中間体として有用な化合物である。
芳香族ニトリル化合物の合成方法としては、脱離基を有する芳香族化合物にシアノ化剤を反応させる方法が一般的に用いられている。脱離基としては、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等のハロゲン原子が最も良く利用されている(特許文献1)。また、ハロゲン原子等の脱離基を有さない芳香族化合物から直接シアノ化反応(炭素−水素結合活性化反応)を実施する方法も報告されている(特許文献2)。
特開2011−241196号公報 特開平6−293715号公報
上述のハロゲン化芳香族化合物のシアノ化においては、反応後に有害なハロゲン廃棄物が副生するため、廃液の処理が煩雑であり環境負荷が高いという課題があった。
脱離基としてハロゲン原子を必要としない炭素―水素結合活性化反応では、ハロゲン廃棄物を副生せず、末端材料に誘導した場合でもハロゲン不純物は残存しない。しかしながら、反応基質に多くの制約があり、依然として限定的な分子構築法に止まっているという課題があった。
本発明は、芳香族ニトリル化合物の製造に係る新規な技術を提供することを目的とする。
発明者らは、遷移金属触媒存在下、芳香族ニトロ化合物と、シアン化合物及び/又はニトリル化合物とを反応させることで芳香族ニトリル化合物を製造できることを見いだし、本発明を完成させた。
本発明の要旨は以下のとおりである。
[1] 遷移金属触媒の存在下、芳香族ニトロ化合物と、シアン化合物及び/又はニトリル化合物とを反応させ、前記芳香族ニトロ化合物のニトロ基をシアノ基に変換することを特徴とする、芳香族ニトリル化合物の製造方法。
[2] 前記遷移金属触媒が、パラジウム化合物、又はニッケル化合物を含むことを特徴とする、[1]に記載の製造方法。
[3] 前記遷移金属触媒が、ホスフィン化合物を含むことを特徴とする、[1]又は[2]に記載の製造方法。
[4] 前記ホスフィン化合物が、下記一般式(1a)、(1b)、又は(1c)
(一般式(1a)、(1b)、及び(1c)中、Rは、各々独立して、水素原子、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、炭素数1〜18のアルコキシ基、置換基を有してもよいアミノ基、又は置換基を有してもよい炭素数6〜24の単環、連結若しくは縮環の芳香族炭化水素基を表す。)
で表される化合物であることを特徴とする、[3]に記載の製造方法。
[5] 前記シアン化合物及び/又は前記ニトリル化合物が、金属シアン化物であることを特徴とする、[1]乃至[4]のいずれか一項に記載の製造方法。
[6] 前記金属シアン化物が、ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム、又はヘキサシアノ鉄(III)酸カリウムであることを特徴とする、[5]に記載の製造方法。
本発明によれば、芳香族ニトリル化合物の製造に係る新規な技術を提供することができる。
また、本発明の一実施形態によれば、有害なハロゲン廃棄物を副生させることがない、又は低減させることできる為、環境負荷を低減することができ、工業的に優れた製造プロセスを提供することができる。
また、芳香族ニトリル化合物は有機エレクトロルミネッセンス等の電子素子用材料として使用されているが、このような材料においては、不純物として微量含有するハロゲン化合物が当該電子素子の性能悪化や寿命低下の原因となっている。本発明の一実施形態によれば、ハロゲンフリープロセスを確立でき、ハロゲンフリーの電子素子用材料を提供できるようになる。従って、電子素子の性能向上や長寿命化への寄与が期待される。
また、ニトロ基を脱離基とするシアノ化反応は過去に例がないため、本発明の製造方法を用いることによって、従来にない新規な分子骨格構築プロセスを提供できる。
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明は、遷移金属触媒存在下、芳香族ニトロ化合物と、シアン化合物及び/又はニトリル化合物とを反応させ、前記芳香族ニトロ化合物のニトロ基をシアノ基に変換することを特徴とする芳香族ニトリル化合物の製造方法である。なお、本発明で製造する芳香族ニトリル化合物は、シアノ基を一個以上有する芳香族化合物(芳香族炭化水素及び複素芳香族化合物)を指し、例えば、アニソニトリル、ベンゾニトリル、トルニトリルを例示することができる。
本発明の製造方法において、原料として用いられる芳香族ニトロ化合物としては、特に限定するものではないが、例えば下記一般式(2)
(一般式(2)中、Arは、置換基を有してもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有してもよいヘテロ芳香族基を表し、nは1〜5の整数を表す。)
で表わされる芳香族ニトロ化合物を用いることができる。
Arにおける置換基を有してもよい芳香族炭化水素基としては、特に限定するものではないが、例えば、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいビフェニル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいアントラセニル基、置換基を有してもよいピレニル基、置換基を有してもよいターフェニル基、置換基を有してもよいフェナントラセニル基、置換基を有してもよいペリレニル基、置換基を有してもよいトリフェニレニル基等を例示することができる。
Arにおける置換基を有してもよいヘテロ芳香族基としては、特に限定するものではないが、例えば、置換基を有してもよいフラニル基、置換基を有してもよいベンゾフラニル基、置換基を有してもよいジベンゾフラニル基、置換基を有してもよいフェニルジベンゾフラニル基、置換基を有してもよいジベンゾフラニルフェニル基、置換基を有してもよいチエニレニル基、置換基を有してもよいベンゾチエニル基、置換基を有してもよいジベンゾチエニレニル基、置換基を有してもよいフェニルジベンゾチエニレニル基、置換基を有してもよいジベンゾチエニレニルフェニル基、置換基を有してもよいピリジル基、置換基を有してもよいピリミジル基、置換基を有してもよいピラジル基、置換基を有してもよいキノリル基、置換基を有してもよいイソキノリル基、置換基を有してもよいカルバゾリル基、置換基を有してもよい9−フェニルカルバゾリル基、置換基を有してもよいアクリジニル基、置換基を有してもよいベンゾチアゾリル基、置換基を有してもよいキナゾリル基、置換基を有してもよいキノキサリル基、置換基を有してもよい1,6−ナフチリジニル基、又は置換基を有してもよい1,8−ナフチリジニル基等を挙げることができる。
また、上述の置換基を有してもよい芳香族炭化水素基上及び置換基を有してもよいヘテロ芳香族基上の置換基としては、特に限定するものではないが、例えば、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基(例えば、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロヘキサジエニル基、オクチル基、ベンジル基、又はフェネチル基等)、炭素数1〜18のハロゲン化アルキル基(例えば、トリフルオロメチル基等)、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルコキシ基(例えば、n−プロピルオキシ基、i−プロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘキサジエニルオキシ基、オクチルオキシ基、ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基等)、炭素数1〜18のハロゲン化アルコキシ基(例えば、トリフルオロメトキシ基等)、ハロゲン基(例えば、フルオロ基)、フェニル基、トリル基、ピリジル基、ピリミジル基、カルバゾリル基、ジベンゾチエニル基、又はジベンゾフラニル基等が挙げられる。
Arについては、芳香族ニトリル化合物の製造効率に優れる点で、置換基を有してもよい炭素数6〜30の芳香族炭化水素基、又は置換基を有してもよい炭素数3〜30のヘテロ芳香族基であることが好ましく、置換基を有してもよい炭素数6〜20の芳香族炭化水素基、又は置換基を有してもよい炭素数3〜20のヘテロ芳香族基であることがより好ましい。さらに詳細には、Arは、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、ターフェニル基、ジベンゾフラニル基、フェニルジベンゾフラニル基、ジベンゾフラニルフェニル基、ジベンゾチエニレニル基、フェニルジベンゾチエニレニル基、ジベンゾチエニレニルフェニル基、ピリジル基、フェニルピリジル基、ピリジルフェニル基、ピリミジル基、ピラジル基、キノリル基、イソキノリル基、カルバゾリル基、又は9−フェニルカルバゾリル基(これらの基は、メチル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、メトキシ基、フェニル基、トリル基、ピリジル基、ピリミジル基、カルバゾリル基、ジベンゾチエニル基、又はジベンゾフラニル基で置換されていてもよい)であることがさらにより好ましく、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、ジベンゾフラニル基、フェニルジベンゾフラニル基、ジベンゾフラニルフェニル基、ジベンゾチエニル基、フェニルジベンゾチエニレニル基、ジベンゾチエニレニルフェニル基、ピリジル基、キノリル基、又はカルバゾリル基(これらの基は、メチル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、又はメトキシ基で置換されていてもよい)であることがさらにより一層好ましい。
一般式(2)中におけるnは、1〜5の整数を表す。目的の芳香族ニトリル化合物を高選択的に合成する観点から、一般式(2)中におけるnは、好ましくは1〜3の整数であり、更に好ましくは1〜2の整数である。
本発明の製造方法では、上述した芳香族ニトロ化合物を、シアン化合物とニトリル化合物の少なくとも一方の化合物と反応させる。なお、シアン化合物は、シアン化物イオンをアニオンとして持つ塩を指し、ニトリル化合物は、シアノ基を持つ有機化合物を指す。
シアン化合物及び/又はニトリル化合物としては、ニトリル化合物の製造に一般的に用いられるシアノ化剤から適宜選択して用いることができ、特に限定するものではないが、例えば、シアン化カリウム、シアン化ナトリウム、シアン化リチウム等のアルカリ金属シアン化物、シアン化カルシウム等のアルカリ土類金属シアン化物、シアン化銅(I)、ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム、ヘキサシアノ鉄(III)酸カリウム、p−トルエンスルホニルメチルイソシアナイド、アセトンシアノヒドリン、トリメチルシリルシアナイド、ジエチルシアノフォスホナート、tert−ブチルイソシアナイド、ベンジルチオシアナート、シアノ酢酸エチル、又はシアン化テトラアルキルアンモニウム等を挙げることができる。これらのうち、安価であり、取扱いが容易であることから、アルカリ金属シアン化物、アルカリ土類金属シアン化物、シアン化銅(I)、ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム、ヘキサシアノ鉄(III)酸カリウムなどの金属シアン化物であることが好ましく、シアン化ナトリウム、シアン化カリウム、シアン化リチウム、ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム、又はヘキサシアノ鉄(III)酸カリウムであることがより好ましく、ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム、又はヘキサシアノ鉄(III)酸カリウムであることがより好ましい。なお、シアン化テトラアルキルアンモニウム中のアルキル基の炭素数は、入手容易性の観点から、各々独立して、2以上、4以下が好ましい。
本発明の製造方法では、シアノ化反応によって、芳香族ニトロ化合物のニトロ基が脱離し、ニトロ基が結合してあった炭素上にシアノ基が結合されることになる。言い換えれば、芳香族ニトロ化合物のニトロ基がシアノ基に変換(置換)されることになる。ここで、芳香族ニトロ化合物のニトロ基と変換されるシアノ基は、シアン化合物のシアン化物イオンや、ニトリル化合物のシアノ基に由来する。
本発明の製造方法において、芳香族ニトロ化合物とシアン化合物及び/又はニトリル化合物の仕込み量比については、特に限定するものではないが、例えば、芳香族ニトロ化合のニトロ基(NO基)1個に対して、シアン化合物及び/又はニトリル化合物中のCN基の個数が、0.5〜50個の範囲となる量比とすることが好ましく、経済性の観点から、1〜20個の範囲となる量比とすることがより好ましく、1〜10個の範囲となる量比とすることがより好ましく、1〜5の範囲となる量比とすることがさらにより一層好ましい。
特に限定するものではないが、例えば、モノニトロ化合物(芳香族ニトロ化合物)とモノシアノ化合物(シアン化合物及び/又はニトリル化合物)を反応させる場合は、モノニトロ化合物1.0モルに対して、モノシアノ化合物を0.5〜50モルの範囲で仕込むことが好ましく、経済性の観点から、1.0〜20モルの範囲で仕込むことがより好ましく、1.0〜10モルの範囲で仕込むことがより好ましく、1.0〜5の範囲で仕込むことがさらにより一層好ましい。
即ち、特に限定するものではないが、例えば、モノニトロ化合物(芳香族ニトロ化合物)とヘキサシアノ化合物(シアン化合物及び/又はニトリル化合物)を反応させる場合は、モノニトロ化合物1.0モルに対して、モノシアノ化合物を0.083〜8.3モル仕込むことが好ましく、経済性の観点から、0.17〜3.3モルの範囲であることがより好ましく、0.17〜1.7モルの範囲であることがより好ましく、0.17〜0.83モルの範囲であることがさらにより一層好ましい。
本発明の製造方法において、芳香族ニトロ化合物と、シアン化合物及び/又はニトリル化合物との反応は、遷移金属触媒の存在下で行われる。遷移金属触媒は、芳香族ニトロ化合物のニトロ基をシアノ基に変換する反応を進行させる。
本発明における遷移金属触媒については、遷移金属化合物を含むものであればよく、特に限定するものではない。遷移金属触媒は、例えば、遷移金属化合物としてパラジウム化合物又はニッケル化合物を含むものであることが好ましい。
パラジウム化合物としては、特に限定するものではないが、例えば、2価パラジウム化合物又は0価パラジウム化合物が挙げられ、より具体的には、例えば、塩化パラジウム(II)、臭化パラジウム(II)、酢酸パラジウム(II)、パラジウムアセチルアセトナート(II)、ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム(II)、ジクロロビス(アセトニトリル)パラジウム(II)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、ジクロロテトラアンミンパラジウム(II)、ジクロロ(シクロオクタ−1、5−ジエン)パラジウム(II)、パラジウムトリフルオロアセテート(II)等の2価パラジウム化合物、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウムクロロホルム錯体(0)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)等の0価パラジウム化合物が挙げられる。また、ポリマー固定型パラジウム化合物、パラジウム炭素等の固定化パラジウム化合物も例示できる。
ニッケル化合物としては、特に限定するものではないが、例えば、0価ニッケル化合物、1価ニッケル化合物、又は2価のニッケル化合物が挙げられ、より具体的には、例えば、フッ化ニッケル(II)、塩化ニッケル(II)、臭化ニッケル(II)、ヨウ化ニッケル(II)、ニッケル(0)粉末、硫酸ニッケル(II)、硝酸ニッケル(II)、過塩素酸ニッケル(II)、蟻酸ニッケル(II)、シュウ酸ニッケル(II)、酢酸ニッケル(II)、又は安息香酸ニッケル(II)、ニッケルアセチルアセトナート(II)等が挙げられる。また、ポリマー固定型ニッケル化合物、ニッケル炭素等の固定化ニッケル化合物も例示できる。
これら遷移金属化合物の内、目的の反応を進行させやすくなる観点から、パラジウム化合物であることがより好ましい。
本発明において、遷移金属触媒の使用量は、特に限定するものではないが、例えば、芳香族ニトロ化合物1モルに対し、遷移金属触媒中の遷移金属原子換算で(遷移金属触媒に含まれる遷移金属原子が)0.001〜0.30モルの範囲が好ましい。遷移金属触媒が当該範囲内であれば、当該範囲外である場合と比較して、高い選択率で芳香族カップリング反応物(芳香族ニトリル化合物)を合成できる。一方、高価な遷移金属化合物の使用量を低減させる意味から、遷移金属触媒の使用量は、芳香族ニトロ化合物1モルに対し、遷移金属触媒の遷移金属原子換算で0.01〜0.10モルの範囲がより好ましい。
本発明において、遷移金属触媒については、遷移金属化合物に加えて、遷移金属化合物に対して配位性を示すホスフィン化合物を含むものであることが好ましい。
ホスフィン化合物としては、特に限定するものではないが、例えば、下記一般式(1a)、(1b)、又は(1c)で表されるホスフィン化合物を例示することができる。
(一般式(1a)、(1b)、及び(1c)中、Rは、各々独立して、水素原子、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、炭素数1〜18のアルコキシ基、置換基を有してもよいアミノ基、又は置換基を有してもよい炭素数6〜24の単環、連結若しくは縮環の芳香族炭化水素基を表す。)
上述の炭素数3〜18の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基としては、特に限定するものはではないが、例えば、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロヘキサジエニル基、オクチル基、ベンジル基、1−アダマンチル基又はフェネチル基等が挙げられる。なお、環状のアルキル基とは、環状構造を含むアルキル基である。
上述の炭素数1〜18のアルコキシ基としては、特に限定するものはでないが、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、i−プロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘキサジエニルオキシ基、オクチルオキシ基、ベンジルオキシ基、又はフェネチルオキシ基等が挙げられる。
上述の置換基を有してもよいアミノ基上の置換基としては、特に限定するものではないが、例えば、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基(例えば、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロヘキサジエニル基、オクチル基、ベンジル基、又はフェネチル基等)、炭素数1〜18のハロゲン化アルキル基(例えば、トリフルオロメチル基等)、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18のアルコキシ基(例えば、n−プロピルオキシ基、i−プロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘキサジエニルオキシ基、オクチルオキシ基、ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基等)、炭素数1〜18のハロゲン化アルコキシ基(例えば、トリフルオロメトキシ基等)、フェニル基、トリル基、ピリジル基、ピリミジル基、カルバゾリル基、ジベンゾチエニル基、又はジベンゾフラニル基等が挙げられる。
上述の置換基を有してもよい炭素数6〜24の単環、連結若しくは縮環の芳香族炭化水素基としては、特に限定するものではないが、例えば、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいビフェニル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいアントラセニル基、置換基を有してもよいピレニル基、置換基を有してもよいターフェニル基、置換基を有してもよいフェナントラセニル基、置換基を有してもよいペリレニル基、又は置換基を有してもよいトリフェニレニル基等を例示することができる。なお、縮環の芳香族炭化水素基とは、2個以上の芳香族環が2個以上の原子を共有して結合した芳香族炭化水素基をいう。また、連結の芳香族炭化水素基とは、2個以上の芳香族環が原子を共有することなく結合している芳香族炭化水素基であり、2個以上の芳香族環が芳香族環に含まれない他の原子や原子団を介して結合していてもよい。
上述の置換基を有してもよい炭素数6〜24の単環、連結若しくは縮環の芳香族炭化水素基上の置換基としては、特に限定するものではないが、例えば、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基(例えば、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロヘキサジエニル基、オクチル基、ベンジル基、又はフェネチル基等)、炭素数1〜18のハロゲン化アルキル基(例えば、トリフルオロメチル基等)、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルコキシ基(例えば、n−プロピルオキシ基、i−プロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘキサジエニルオキシ基、オクチルオキシ基、ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基等)、炭素数1〜18のハロゲン化アルコキシ基(例えば、トリフルオロメトキシ基等)、フェニル基、トリル基、ピリジル基、ピリミジル基、カルバゾリル基、ジベンゾチエニル基、又はジベンゾフラニル基等が挙げられる。
上述の一般式(1a)、(1b)、又は(1c)で表されるホスフィン化合物の具体例としては、特に限定するものではないが、例えば、それぞれ下記式(1a−1)〜(1a−17)、(1b−1)〜(1b−2)、又は(1c−1)で表されるものを挙げることができる。
これらの内、反応性が良い点において、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル(1a−1)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジイソプロポキシビフェニル(1a−6)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニル(1a−7)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジ−(N,N−ジメチルアミノ)ビフェニル(1a−9)、又は2−ジシクロヘキシルホスフィノ−3,6−ジメトキシ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル(1a−15)を用いることが好ましい。
本発明において、ホスフィン化合物の使用量は、特に限定するものではないが、遷移金属触媒中の遷移金属原子1モルに対し、0.1〜20モルの範囲であることが好ましい。ホスフィン化合物が当該範囲内であれば、当該範囲外である場合と比較して、高い選択率で芳香族ニトリル化合物を合成できる。一方、経済性の観点で、ホスフィン化合物の使用量は、遷移金属触媒中の遷移金属原子1モルに対し、0.5〜10モルの範囲であることがより好ましい。
本発明において、遷移金属触媒は、上述のパラジウム化合物又はニッケル化合物及びホスフィン化合物を含むものであることが好ましく、本発明の製造方法を触媒するものである。当該触媒については、予め系外で遷移金属化合物(パラジウム化合物又はニッケル化合物)とホスフィン化合物を混合して形成させてもよいし、製造方法の途中で遷移金属化合物(パラジウム化合物又はニッケル化合物)とホスフィン化合物を同時又は別々に添加して系内で形成させてもよい。
以上説明した、芳香族ニトロ化合物と、シアン化合物及び/又はニトリル化合物とを遷移金属触媒の存在下で反応させれば、芳香族ニトロ化合物のニトロ基がシアノ基に変換され、芳香族ニトリル化合物を製造することができる。ここで、芳香族ニトロ化合物と、シアン化合物及び/又はニトリル化合物との反応(以下、単に「シアノ化反応」ともいう)は、遷移金属触媒の存在下で行われればよく、例えば、芳香族ニトロ化合物と、シアン化合物及び/又はニトリル化合物と、遷移金属触媒を含む混合物中で行うことができる。
本発明の製造方法において、シアノ化反応は、転化率及び収率に優れる点で、塩基の存在下で行われることが好ましい。当該塩基としては、無機塩基及び/又は有機塩基から選択すればよく、特に限定するものではないが、好ましくは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウム、燐酸カリウム、燐酸ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム等の無機塩基、ナトリウム−メトキシド、ナトリウム−エトキシド、カリウム−メトキシド、カリウム−エトキシド、リチウム−tert−ブトキシド、ナトリウム−tert−ブトキシド、カリウム−tert−ブトキシド等のようなアルカリ金属アルコキシド、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、ジアザビシクロウンデセン、ジアザビシクロノネン等の有機塩基が挙げられる。目的の芳香族ニトリル化合物の選択率を向上させる観点から、より好ましくは、炭酸ルビジウム、炭酸セシウム、燐酸カリウム、燐酸ナトリウム、フッ化セシウム等の無機塩基である。また塩基は単一でも2種類以上を組合せて用いてもよい。
塩基の使用量は、使用する芳香族ニトロ化合物1.0モルに対し1.0モル以上とするのが好ましい。使用する芳香族ニトロ化合物1.0モルに対し、塩基の使用量が1.0モル未満では、1.0モル以上である場合と比較して、目的の芳香族ニトリル化合物の収率が低くなる場合がある。塩基を大過剰に加えても目的の芳香族ニトリル化合物の収率が変化しにくいが、反応終了後の後処理操作が煩雑になることから、より好ましい塩基の使用量は、使用する芳香族ニトロ化合物1.0モルに対し1.0〜5.0モルの範囲である。
本発明の製造方法において、シアノ化反応については、特に限定するものではないが、通常、不活性溶媒存在下で行うことが好ましい。当該溶媒としては、本反応を著しく阻害しない溶媒であることが好ましく、特に限定するものではないが、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系有機溶媒や、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラハイドロフラン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル系有機溶媒、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホトリアミド等を挙げることができる。これらのうちより好ましくは、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラハイドロフラン、1,4−ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系有機溶媒を挙げることができる。また溶媒は単一でも2種以上を混合して用いてもよい。
本発明の製造方法において、シアノ化反応については、特に限定するものではないが、ケトン化合物の存在下で行ってもよい。当該ケトン化合物としては、本反応を著しく阻害しないものであればよく、特に限定するものではないが、例えば、アセトン、シクロヘキサノン、ベンゾフェノン、tert−ブチルメチルケトン、ジシクロヘキシルケトン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、3,3’−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾフェノン、シクロヘキシルフェニルケトン、ベンジルフェニルケトン、2−ナフチルフェニルケトン、ベンジル、1−インダノン、9−フルオレノン、アントロン、キサントン、1,4−ベンゾキノン、シクロブタノン、2’−アセトナフトン等を挙げることができる。これらのうちより好ましくは、ベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ナフチルフェニルケトン、ベンジル、9−フルオレノン、2’−アセトナフトンを挙げることができる。
上記のケトン化合物の使用量は、特に限定するものではないが、使用する芳香族ニトロ化合物1.0モルに対し、0.1〜10モルの範囲であることが好ましい。ケトン化合物を大過剰に加えても目的の芳香族ニトリル化合物の収率は変化しにくいが、反応終了後の後処理操作が煩雑になることから、より好ましいケトン化合物の使用量は、使用する芳香族ニトロ化合物1.0モルに対し1.0〜5.0モルの範囲である。
本発明の製造方法において、シアノ化反応については、特に限定するものではないが、常圧下、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行うこともできるし、加圧下でも行うことができる。
本発明の製造方法において、シアノ化反応については、特に限定するものではないが、0〜300℃の範囲で行うことが好ましい。なお、目的の芳香族ニトリル化合物の収率を上げるため、50〜250℃の範囲がより好ましく、130〜200℃の範囲がさらにより好ましい。
本発明の製造方法において、シアノ化反応については、製造効率向上や生成物の純度向上の目的で、相関移動触媒等の添加剤を添加してもよい。相間移動触媒としては、特に限定されるものではないが、具体的には、24−クラウン−8、18−クラウン−6、15−クラウン−5、12−クラウン−4等のクラウンエーテル類、テトラ(n−ブチル)アンモニウムクロライド、テトラ(n−ブチル)アンモニウムブロマイド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド、トリエチル−n−ドデシルアンモニウムクロライド、トリエチル−n−ドデシルアンモニウムブロマイド、トリメチル−n−ヘキサデシルアンモニウムクロライド、又はトリメチル−n−ヘキサデシルアンモニウムブロマイド等の4級アンモニウム塩を挙げることができる。
本発明の製造方法にかかる反応時間については、芳香族ニトロ化合物、シアノ化剤、金属化合物、ホスフィン化合物、塩基、溶媒、添加剤の量、種類及び反応温度等の条件によって一定ではないが、数分〜72時間の範囲から選択することが好ましい。なお、本発明の製造方法において、塩基、溶媒、添加剤等を用いる場合、シアノ化反応は、例えば、これらの物質と、芳香族ニトロ化合物と、シアン化合物及び/又はニトリル化合物と、遷移金属触媒の混合物中で行うことができる。
本発明の製造方法については、生成物(芳香族ニトリル化合物)の精製工程を含んでいてもよい。当該精製工程としては、特に限定するものではないが、一般に公知の手段を用いることができる。特に限定するものではないが、具体的な精製手段としては、例えば、酸又は塩基処理による精製、分液操作による精製、膜分離による精製、再沈殿処理による精製、再結晶による精製、蒸留による精製、昇華による精製、イオン交換処理による精製、又はクロマトグラフィーによる精製等が挙げられる。
本発明の製造方法では、ハロゲンを使用することなく、又は、ハロゲンの使用を抑えて芳香族ニトリル化合物を製造することができるため、従来技術の課題であったハロゲン廃棄物の副生を抑えることができる。また、本発明の製造方法によれば、芳香族ニトリル化合物は、遷移金属触媒存在下で、芳香族ニトロ化合物と、シアン化合物及び/又はニトリル化合物とをクロスカップリング反応するだけで製造することができる。このため、反応基質の選択の自由度に優れる芳香族ニトリル化合物の製造方法を提供することができる。
以下、本発明を実施例によって具体的に記述する。しかし、これらによって本発明は何ら限定して解釈されるものではない。
GC測定: 島津製作所社製ガスクロマトグラフィー GC2014(分析条件 使用カラム:SGE社製BP−1、検出器:FID@290 °C)。
NMR測定: 日本電子株式会社製ECS−400(1H NMR、400MHz; 13C NMR、101 MHz、19F NMR、376MHz)。
以下の実施例全てにおいて,ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウムはヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム三水和物を60℃,1mmHg未満(<1mmHg)の圧力条件下で8時間乾燥させて得たものを使用した。
実施例1
窒素下において、4mLスクリューバイアル管に、撹拌子、4−ニトロアニソール 31mg(0.20mmol)、ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム 25mg(0.033mmol)、酢酸パラジウム(II) 2.2mg(0.010mmol)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジイソプロポキシビフェニル 9.3mg(0.020mol)、リン酸三カリウム 53mg(0.25mmol)、9−フルオレノン 72mg(0.40mmol)、1,4−ジオキサン 1mL,及び内標準物質としてn−デカン 20μLを加えた。バイアル管にしっかりと蓋をした後、160℃で12時間加熱撹拌した。次いで、反応液を室温まで冷却してこの反応液の一部を採取し、酢酸エチルで希釈してガスクロマトグラフィー分析を行ったところ、アニソニトリルが収率24%で検出された。
実施例2
実施例1において9−フルオレノン 72mg(0.40mmol)を用いる代わりに2’−アセトナフトン 68mg(0.40mmol)を用いた以外は同様の実験操作を行ったところ、アニソニトリルが収率34%で検出された。
実施例3
実施例1において9−フルオレノン 72mg(0.40mmol)を用いる代わりに4,4’−ジメトキシベンゾフェノン 97mg(0.40mmol)を用いた以外は実施例1と同様の実験操作を行ったところ、アニソニトリルが収率9%で検出された。
実施例4
実施例1において9−フルオレノン 72mg(0.40mmol)を用いない以外は実施例1と同様の実験操作を行ったところ,アニソニトリルが収率8%で検出された。
実施例5
実施例1において2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジイソプロポキシビフェニル 9.3mg(0.020mol)を用いる代わりに2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジ−(N,N−ジメチルアミノ)ビフェニル 8.7mg(0.020mol)を用いた以外は実施例1と同様の実験操作を行ったところ、アニソニトリルが収率13%で検出された。
実施例6
実施例1において2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジイソプロポキシビフェニル 9.3mg(0.020mol)を用いる代わりに2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニル 8.2mg(0.020mol)を用いた以外は実施例1と同様の実験操作を行ったところ、アニソニトリルが収率6%で検出された。
実施例7
実施例1において2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジイソプロポキシビフェニル 9.3mg(0.020mol)を用いる代わりに2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル 9.5mg(0.020mol)を用いた以外は実施例1と同様の実験操作を行ったところ、アニソニトリルが収率19%で検出された。
実施例8
実施例1において2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジイソプロポキシビフェニル 9.3mg(0.020mol)を用いる代わりに2−ジシクロヘキシルホスフィノ−3,6−ジメトキシ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル 11mg(0.020mol)を用いた以外は実施例1と同様の実験操作を行ったところ、アニソニトリルが収率17%で検出された。
上述した実施例における反応を、下記反応式及び下記表1に纏めた
以上説明した試験結果から、実施例1〜8の製造方法によれば、芳香族ニトリル化合物(アニソニトリル)を製造できることが理解できた。

Claims (6)

  1. 遷移金属触媒の存在下、芳香族ニトロ化合物と、シアン化合物及び/又はニトリル化合物とを反応させ、前記芳香族ニトロ化合物のニトロ基をシアノ基に変換することを特徴とする、芳香族ニトリル化合物の製造方法。
  2. 前記遷移金属触媒が、パラジウム化合物、又はニッケル化合物を含むことを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記遷移金属触媒が、ホスフィン化合物を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記ホスフィン化合物が、下記一般式(1a)、(1b)、又は(1c)
    (一般式(1a)、(1b)、及び(1c)中、Rは、各々独立して、水素原子、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、炭素数1〜18のアルコキシ基、置換基を有してもよいアミノ基、又は置換基を有してもよい炭素数6〜24の単環、連結若しくは縮環の芳香族炭化水素基を表す。)
    で表される化合物であることを特徴とする、請求項3に記載の製造方法。
  5. 前記シアン化合物及び/又は前記ニトリル化合物が、金属シアン化物であることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の製造方法。
  6. 前記金属シアン化物が、ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム、又はヘキサシアノ鉄(III)酸カリウムであることを特徴とする、請求項5に記載の製造方法。
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