JP7081698B2 - カップリング化合物の製造方法 - Google Patents
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Description
このようなことから、これらに代わる新たなクロスカップリング反応の基質が求められていた。
すなわち、本発明は以下を要旨とする。
R2-B(OR3)2 (2-1)
(式(2-1)中、R2は式(1)におけると同義であり、R3は、水素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基を表し、2個のR3は、互いに同一であってもよく異なるものであってもよく、2個のR3が互いに結合して環を形成していてもよい。)
R2-Sn(R4)3 (2-2)
(式(2-2)中、R2は式(1)におけると同義であり、R4は、置換基を有していてもよいアルキル基を表し、3個のR4は、互いに同一であってもよく異なるものであってもよい。)
R2-Zn-R5 (2-3)
(式(2-3)中、R2は式(1)におけると同義であり、R5は、ハロゲン原子又はアルキル基を表す。)
R2-Mg-X (2-4)
(式(2-4)中、R2は式(1)におけると同義であり、Xは、ハロゲン原子を表す。)
本発明で用いる-SF5基を有する基質(A)は、安定性に優れ、従来の多ハロゲン化物のように分解による減量の問題や、毒性の強い副生物を生成させる問題もなく、-SF5基の高い反応性から、目的のカップリング化合物を高選択率かつ高収率で得ることができる。
本発明で用いる遷移金属触媒Mは、遷移金属単体又は、遷移金属と配位子が結合してなる触媒である。
トリアルキルホスフィンの例としては、トリ(n-ブチル)ホスフィン、トリ(t-ブチル)ホスフィン、トリ(シクロヘキシル)ホスフィン等が挙げられる。
ジアルキルアリールホスフィンの例としては、下記表1に示すXPhos、SPhos、BrettPhos、RuPhos、tBuXphos、MePhos等が挙げられる。
また、遷移金属触媒としては、1種を単独で用いてもよく、遷移金属や配位子の異なるものの2種以上を混合して用いてもよい。
基質(A)はR1-SF5によって表され、R1は1価の原子団基であり、特に限定はされない。好ましくは炭素数1~60の有機基であり、特に好ましくは炭素数1~40の有機基である。
なお、R1が置換基を有する場合、R1の炭素数は、この置換基の炭素数を含めた合計の炭素数として1~60、特に1~40であることが好ましい。
基質(B)はZ-R2によって表され、脱離基Zは以下の通りである。
R2としては基質(A)におけるR1として例示したものが挙げられ、好ましいものも同様である。ただし、R2はR1と同一である必要はなく、異なっていてもよい。
好ましくは、下記に示す(2-1)’~(2-4)’で表される脱離基が挙げられる。
(式(2-1)’中、R3は、水素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基を表し、2個のR3は、互いに同一であってもよく異なるものであってもよく、2個のR3が互いに結合して環を形成していてもよい。)
上記式(2-1)’におけるR3は、好ましくは、各々独立に水素原子、又は炭素数1~10のアルキル基、或いはこれらが結合して-O-B-O-を含む環を形成するものであり、環を形成するものとしては、例えば、*-C(CH3)2-C(CH3)2-*、*-CH2-C(CH3)2-CH2-*(*は酸素原子に対しての結合手を表す)等が挙げられる。
また、R3が置換基を有する場合、置換基としては芳香族炭化水素基が挙げられる。
(式(2-2)’中、R4は、置換基を有していてもよいアルキル基を表し、3個のR4は、互いに同一であってもよく異なるものであってもよい。)
上記式(2-2)’におけるR4としては、各々独立に炭素数1~10のアルキル基が好ましい。
(式(2-3)’中、R5は、ハロゲン原子又はアルキル基を表す。)
上記式(2-3)’におけるR5としては、塩素原子、臭素原子、沃素原子、又は炭素数1~10のアルキル基が好ましい。
(式(2-4)’中、Xは、ハロゲン原子を表す。)
上記式(2-4)’におけるXとしては、塩素原子、臭素原子、又は沃素原子が好ましい。
R2-B(OR3)2 (2-1)
(式(2-1)中、R2は式(1)におけると同義であり、R3は、式(2-1)’におけると同義である。)
R2-Sn(R4)3 (2-2)
(式(2-2)中、R2は式(1)におけると同義であり、R4は、式(2-2)’におけると同義である。)
R2-Zn-R5 (2-3)
(式(2-3)中、R2は式(1)におけると同義であり、R5は、式(2-3)’におけると同義である。)
R2-Mg-X (2-4)
(式(2-4)中、R2は式(1)におけると同義であり、Xは、式(2-4)’におけると同義である。)
H2C=CH-R6 (2-5)
(式(2-5)中、R6は式(1)におけるR2と同義である。)
H≡CH-R7 (2-6)
(式(2-6)中、R7は式(1)におけるR2と同義である。)
即ち、式(2-5)で表される末端に二重結合を有するオレフィン系化合物は、遷移金属触媒と結合し安定な中間体を形成し、βヒドリド脱離により水素原子が脱離基として機能し、また、末端に三重結合を有するアセチレン系化合物は、金属触媒により、アセチリド形成しやすいため、水素原子が脱離基として機能することから、基質(B)として用いることができる。
本発明のカップリング化合物の製造方法では、反応活性を高めるために、反応系に塩基性化合物を存在させて反応を行ってもよい。
塩基性化合物としては、プロトンを受容する又は塩基対を与える化学種であって、溶媒に溶解又は懸濁させて使用できるものであればよく、特に限定されない。
本発明のカップリング反応は、溶媒の存在下に行うことが好ましい。
溶媒としては、基質(A)を溶解させ、前述の塩基性化合物により著しく分解されるようなものでなければよく、特に限定されない。基質(A)、塩基性化合物又は基質(B)を溶媒として用いてもよい。
芳香族系溶媒の例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられる。
アルコール系溶媒の例としては、メタノール、エタノール、ブタノール等が挙げられる。
エーテル系溶媒の例としては、テトラヒドロフラン、アニソール、エチレングリコールジメチルエーテル等が挙げられる。
アミド系溶媒の例としては、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジエチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等が挙げられる。
ケトン系溶媒の例としては、アセトン、メチルエチルケトン、アセトフェノン等が挙げられる。
アミン系溶媒の例としては、トリエチルアミン、N,N-ジエチルアニリン等が挙げられる。
ハロゲン系溶媒としては、トリフルオロメチルベンゼン等が挙げられる。
エステル系溶媒の例としては、酢酸エチル、安息香酸ブチル等が挙げられる。
スルホキシド系溶媒の例としては、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
本発明のカップリング化合物の製造方法の手順としては特に制限されず、遷移金属触媒もしくは遷移金属錯体と配位子、必要に応じて用いられる塩基性化合物、溶媒、基質(A)、及び基質(B)を混合し反応させる。
反応の仕込み例としては、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下に、基質(A)、基質(B)、溶媒を混合した後、塩基性化合物を添加した混合溶液に、別の容器に遷移金属錯体、配位子、溶媒を添加して得られる遷移金属触媒溶液を添加して反応させる方法が挙げられる。
反応時間は、特に制限されないが、生成物の収率がより優れる点で、0.5時間~7日が好ましく、より好ましくは0.5時間~24時間、特に好ましくは1時間~12時間である。
本発明におけるカップリング反応の具体例を以下に示すが、本発明のカップリング化合物の製造方法は、何ら以下のカップリング反応に限定されるものではない。
化合物3はLC及びNMRにより標準品と比較し、同定した。
この結果から、本発明によれば、-SF5基を有する反応基質を用いて、遷移金属触媒の存在下のカップリング反応で、カップリング化合物を高選択率かつ高収率で得ることができることが分かる。
Claims (8)
- 下記式(1)で示されるカップリング反応で、化合物(A)と化合物(B)から化合物(C)を製造するカップリング化合物の製造方法であって、化合物(B)が下記式(2-2)~(2-4)のいずれかで表されることを特徴とするカップリング化合物の製造方法。
R2-Sn(R4)3 (2-2)
(式(2-2)中、R2は式(1)におけると同義であり、R4は、炭素数1~10のアルキル基を表し、3個のR4は、互いに同一であってもよく異なるものであってもよい。)
R2-Zn-R5 (2-3)
(式(2-3)中、R2は式(1)におけると同義であり、R5は、ハロゲン原子又は炭素数1~10のアルキル基を表す。)
R2-Mg-X (2-4)
(式(2-4)中、R2は式(1)におけると同義であり、Xは、ハロゲン原子を表す。) - 下記式(1)で示されるカップリング反応で、化合物(A)と化合物(B)から化合物(C)を製造するカップリング化合物の製造方法であって、化合物(B)が下記式(2-1)で表されることを特徴とするカップリング化合物の製造方法。
R2-B(OR3)2 (2-1)
(式(2-1)中、R2は式(1)におけると同義であり、R3は、水素原子又は炭素数1~10のアルキル基を表し、2個のR3は、互いに同一であってもよく異なるものであってもよく、2個のR3が互いに結合して環を形成していてもよい。) - Mが長周期型周期表第8族~第10族元素を含む請求項1又は2に記載のカップリング化合物の製造方法。
- 反応温度が0℃から200℃である請求項1ないし3のいずれかに記載のカップリング化合物の製造方法。
- Mが長周期型周期表第8族~第10族元素とリン原子を含む請求項1ないし4のいずれか1項に記載のカップリング化合物の製造方法。
- Mが長周期型周期表第10族元素を含む請求項1ないし5のいずれか1項に記載のカップリング化合物の製造方法。
- 長周期型周期表第10族元素がパラジウムである請求項6に記載のカップリング化合物の製造方法。
- 前記遷移金属触媒の使用量が、前記化合物(A)に対する遷移金属換算の使用量として0.1~30モル%である請求項1ないし7のいずれか1項に記載のカップリング化合物の製造方法。
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