JP2001181253A - ニトリル化合物の製造法 - Google Patents
ニトリル化合物の製造法Info
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Abstract
動反応によりアンモ酸化し、対応するニトリル化合物を
製造するに際し、反応ガスから未反応アンモニアを回収
し反応系に戻しながら、目的生成物が高収率で、長期間
に渡り安定して得られる経済的に有利な方法を提供す
る。 【解決手段】バナジウム、モリブデンおよび鉄から選ば
れる一種以上の金属酸化物を含む触媒を使用し、反応器
供給ガス中の水分濃度を12容量%以下としてアンモ酸
化を行う。
Description
複素環化合物をアンモニアおよび酸素を含む混合ガスと
反応させ芳香族ニトリルまたは複素環ニトリルを製造す
る方法に関する。芳香族ニトリルは、合成樹脂、農薬等
の製造原料およびアミン、イソシアネート等の中間原料
として有用である。一方、複素環ニトリルは、医薬品、
飼料添加剤、食品添加剤等の中間原料として用いられ
る。
モニアおよび酸素を含む混合ガスと反応させるアンモ酸
化により製造される。炭素環化合物および複素環化合物
のアンモ酸化による芳香族ニトリルおよび複素環ニトリ
ルの合成反応はオレフィン類のアンモ酸化に比べ大きな
発熱を伴う。したがって、気相接触流動反応が反応熱の
除去が容易で局部加熱による副反応を回避できる面で有
利である。この気相接触流動反応には、金属酸化物また
は金属酸化物をシリカ、アルミナ等に担持させた種々の
触媒系が提案されている。例えば、特公昭49−458
60号は、V、CrおよびBを含有する触媒を用い、ア
ルキル置換芳香族化合物のアンモ酸化により芳香族ニト
リルを製造する方法である。特開昭63−190646
号は、Fe〜Sb系触媒を用い、アルキル置換芳香族化
合物またはアルキル置換脂環式化合物をアンモ酸化する
方法である。特開平1−275551号は、V〜Cr〜
B〜Moを含有する触媒を用い、アルキル置換芳香族化
合物またはアルキル置換複素環化合物をアンモ酸化する
方法である。特開平5−170724号は、同様の反応
に、Mo〜P系触媒を用いる方法である。特開平9−7
1561号は、Fe〜Sb〜V系触媒を用い、キシレン
のアンモ酸化によりジシアノベンゼンを製造する方法で
ある。
環化合物に対応するニトリルを高収率で得るためにアン
モニアを理論量より過剰に使用し、通常は炭素環化合物
または複素環化合物1モルに含まれるアルキル基1個に
対して3〜5倍モルで行われる。その工業的規模の操業
においては、経済的な理由から反応ガス中の未反応アン
モニアは回収され、反応系に戻し、再使用することが好
ましい。日化協月報22巻 419〜451 頁 (昭和47年) には
メタキシレンのアンモ酸化によりイソフタロニトリルを
製造するに際し、イソフタロニトリルを分離した後のガ
スから未反応のアンモニアを回収し、そのアンモニアを
循環使用し、残余の廃ガスを無毒化して放出することが
記載されている。
回収方法として、反応ガスからニトリル化合物を、例え
ば生成物が析出するに充分な温度まで冷却、または適当
な溶媒で吸収する方法で分離した後に、未反応アンモニ
アを水で吸収、捕集し、次に水溶液から蒸留操作により
アンモニアは青酸等の副生物と分離し反応系に戻すこと
が考えられる。
るイソフタロニトリルの製造についてアンモニアの回収
を検討した。その結果、フレッシュなアンモニアを原料
に用いた場合にはニトリルを高収率で得ることができ、
触媒活性の経時的な低下も少ないが、上記の方法で回収
したアンモニアを用いた場合には、アンモ酸化反応が抑
制され、目的生成物であるニトリルが減少すると共に、
触媒のシンタリングが促進される為に触媒の活性低下が
大きくなり、目的生成物を長期間、安定して得られない
ことが分かった。
環化合物を気相接触流動反応によりアンモ酸化し、対応
するニトリル化合物を製造するに際し、反応ガスから未
反応アンモニアを回収し反応系に戻しながら、目的生成
物が高収率で、且つ、長期間に渡り安定して得られる経
済的に有利な方法を提供することにある。
ム、モリブデン、鉄などを含む公知の触媒を用いてアン
モ酸化を行い、反応ガスから未反応アンモニアを回収し
反応系に戻す場合について更に検討した結果、触媒の活
性低下の原因は回収したアンモニア中に含有する水分で
あり、回収アンモニア中の水分を蒸留操作で所定濃度に
調整し、反応器への供給ガス中の水分を特定濃度に維持
することにより、目的生成物を高収率で長期間に渡り安
定して得られることを見出し、本発明に到達した。
化合物の気相接触流動アンモ酸化による芳香族ニトリル
または複素環ニトリルの製造法において、バナジウム、
モリブデンおよび鉄から選ばれる一種以上の金属酸化物
を含む触媒を使用し、反応器供給ガス中の水分濃度を1
2容量%以下としてアンモ酸化を行い、反応生成ガスか
ら未反応アンモニアを回収し、該回収アンモニアを反応
系に循環使用することを特徴とするニトリル化合物の製
造法である。
る。本発明に用いられる触媒は、バナジウム、モリブデ
ンおよび鉄から選ばれる一種以上の金属酸化物であり、
目的生成物を高収率で得るために上記金属酸化物の他に
Mg,Ca,Ba,La,Ti,Zr,Cr,W,C
o,Ni,B,Al、Ge、Sn、Pb、P、Sb、B
i、Li、Na、K、RbおよびCsの群から選ばれた
少なくとも一種を含む金属酸化物を添加し修飾された金
属酸化物触媒が好ましく、その組成式は下記の表され
る。 組成式:(V)a (Mo)b (Fe)c (X)d (Y)
e (O)f (但し、XはMg、Ca,Ba、La、Ti、Zr,C
r、W、CoおよびNiよりなる群から選ばれた少なく
とも一種の元素、YはB,Al、Ge、Sn、Pb、
P、Sb、Li、Na、K、RbおよびCsよりなる群
から選ばれた少なくとも一種の元素である。添字のa,
b,c,dおよびeは原子比を各々示し、aは0.01
〜1(好ましくは0.1〜0.7)、bは0.01〜1
(好ましくは0.05〜0.7)、cは0〜1、dは0
〜1(好ましくは0.05〜0.7)eは0〜1(好ま
しくは0.05〜0.7)で、fは上記元素が結合して
得られる酸化物の酸素数である。)
種々の金属酸化物触媒を用いられるが、特にV〜Cr〜
B〜Mo〜P〜Naおよび/またはKからなる金属酸化
物触媒が好適に用いられる。これらの金属酸化物触媒は
担体、例えばシリカ、アルミナ等に担持した形態で用い
るのが好ましい。V源としては、例えばアンモニウム
塩、硫酸塩等の無機酸塩およびシュウ酸、酒石酸等の有
機酸のバナジウム塩を使用できる。Mo源としては、モ
リブデン酸アンモニウム、リンモリブデン酸、リンモリ
ブデン酸アンモニウム、およびシュウ酸、酒石酸等の有
機酸のモリブデン塩を使用できる。Cr源としては、ク
ロム酸、硝酸塩、水酸化物、クロム酸アンモニウム、重
クロム酸アンモニウム、およびシュウ酸、酒石酸等の有
機酸のクロム塩を使用できる。ホウ素源としては、ホウ
酸、ホウ酸アンモニウム等を使用できる。アルカリ金属
源としては、Li、Na、K、Rb、およびCsである
が、特にNaおよび/またはKの水酸化物、炭酸塩、硝
酸塩およびシュウ酸、酒石酸、酢酸等の有機酸塩が好適
に用いられる。これら以外の金属酸化物の原料も空気中
で加熱することにより容易に酸化物を形成する無機酸お
よび有機酸の金属塩が使用できる。
るが、特にシリカに担持した触媒が好適に使用される。
担体に用いられるシリカは、例えば、化学便覧、応用化
学編(丸善1986年発行)256〜258頁に記載の
シリカゲル、コロイダルシリカ、無水シリカ等が使用で
きる。これらのシリカ担体中にアルカリ金属が含まれて
いる場合は、その量を考慮して触媒調製を行う必要があ
る。シリカ担体の使用量は、触媒重量に対して20〜8
0重量%、好ましくは40〜70重量%の範囲である。
ることができる。例えば、V〜Cr〜B〜Mo〜P〜N
aから金属酸化物をシリカ担体に担持させた触媒を調製
する場合には、酸化バナジウムおよび酸化クロムをシュ
ウ酸に溶かした溶液に、ホウ酸水溶液および酢酸ナトリ
ウムを加え、次いでシリカゾルを加えてスラリー混合物
を得る。この場合、もし必要ならばホウ酸の溶解助剤を
使用する。ホウ酸の溶解助剤としては、多価アルコー
ル、α−モノオキシカルボン酸、ジオキシカルボン酸を
用いる。流動層触媒の場合には、この混合物を噴霧乾燥
し、必要に応じ更に110〜150℃で乾燥後、焼成す
る。焼成は400〜700℃、好ましくは450〜65
0℃で数時間以上、空気を流通しながら実施する。な
お、この焼成に先立って200〜400℃において予備
焼成することが好ましい。
炭素環化合物または複素環化合物と酸素含有ガスおよび
アンモニアとの反応である。原料の炭素環化合物は、ベ
ンゼン、ナフタレン、アントラセン、シクロヘキセン、
シクロヘキサン、ジヒドロナフタレン、テトラリン、デ
カリン等から選ばれる炭素環を有し、その側鎖にメチル
基、エチル基、プロピル基、ホルミル基、アセチル基、
ヒドロキシメチル基、メトキシカルボニル基等から選ば
れた少なくとも一種を含有する炭素環化合物である。ま
た、この炭素環化合物はハロゲン基、ヒドロキシル基、
アルコキシル基、アミノ基、ニトロ基等を含んでいても
使用できる。例えば、トルエン、キシレン、トリメチル
ベンゼン、エチルベンゼン、メチルナフタレン、ジメチ
ルナフタレン、メチルテトラリン、ジメチルテトラリ
ン、クロロトルエン、ジクロロトルエン、メチルアミリ
ン、クレゾール、メチルアニソール等が挙げられる。
ル、インドール、チオフェン、ピラゾール、イミアゾー
ル、オキサゾール、ピラン、ピリジン、キノリン、イソ
キノリン、ピロリン、ピロリジン、イミドゾリン、イミ
ダゾリジン、ペピリジン、ペピラジン等から選ばれた少
なくとも一種を含有する複素環化合物であ。その側鎖に
は、上記した炭素環化合物と同様な置換基を含んでいて
も良い。例えば、フルフラール、2−メチルチオフェ
ン、3−メチルチオフェン、2−ホルミルチオフェン、
4−メチルチアゾール、メチルピリジン、ジメチルピリ
ジン、トリメチルピリジン、メチルキノリン、メチルピ
ラジン、ジメチルピラジン、メチルペピラジン等が挙げ
られる。これらの化合物は単独または混合物で使用でき
る。
用グレードで良い。アンモニアの使用量は炭素環化合物
または複素環化合物1モルに含まれるアルキル基1個に
対して1〜10モル、好ましくは3〜5モルの範囲であ
る。これより使用量が少ないと目的生成物の収率は低下
し、一方、これより多いと空時収率が小さくなる。本発
明方法では、反応ガスに含まれる未反応アンモニアを回
収し反応系に戻し再使用される。反応ガスから未反応ア
ンモニアの回収方法は種々考えられるが、工業的には、
前述のように、未反応アンモニアを水に吸収させた後、
それを蒸留操作でアンモニアを他の副生物と分離するの
が有利である。
濃度を12容量%以下、好ましくは10容量%以下とす
る。これより水分が多いとアンモ酸化反応が抑制され、
目的生成物であるニトリルが減少すると共に、触媒のシ
ンタリングが促進される為に触媒の活性低下が大きくな
り、目的生成物を長期間、安定して得られない。反応器
供給ガス中の水分は大部分が回収されるアンモニア中に
含まれるので、回収アンモニア中の水分を調製すること
によって反応器供給ガス中の水分を調整することができ
る。回収アンモニア中の水分は蒸留の操作条件によって
調整されるが、通常は30容量%以下、好ましくは5〜
20容量%の範囲に調整する。これより水分が少ないと
目的生成物の収率低下はないが、回収アンモニアの精製
操作にコストが嵩み、経済面で不利となる。
ては、通常空気が用いられる。別法として、空気または
酸素を不活性ガス、例えば窒素、炭酸ガス、排ガス等で
希釈して用いることもできる。酸素の使用量は、炭素環
化合物または複素環化合物1モルに含まれるアルキル基
1個に対して1.5倍モル以上、好ましくは2〜50倍
モルの範囲である。これより使用量が少ないと目的生成
物の収率が低下し、一方、これより多いと空時収率が小
さくなる。
であり、好ましくは330〜470℃の範囲である。こ
れより反応温度が低いと転化率が低く、一方、これより
高いと二酸化炭素、シアン化水素等の生成が増加するの
で、目的生成物の収率が低下する。反応圧力は、通常、
常圧で行われるが、必要に応じて加圧または減圧で実施
できる。反応ガスと触媒との接触時間は、原料の種類、
原料、空気およびアンモニアの仕込み組成、反応温度等
によって異なるが、通常0.5〜30秒の範囲である。
本発明において反応生成物の捕集は、公知の方法、例え
ば、生成物が析出するに充分な温度まで冷却し捕集する
方法、水その他適当な溶媒などで反応生成ガスを洗浄、
捕集する方法などが使用される。
に具体的に説明する。但し本発明はこれらの実施例によ
り制限されるものでない。
00mlを加え、80〜90℃に加熱し、よく攪拌しな
がらシュウ酸477gを加え溶解する。またシュウ酸9
63gに水400mlを加え50〜60℃に加熱し、こ
れに無水クロム酸CrO3 252gを水200mlに加
えた溶液を、良く攪拌しながら加え溶解する。こうして
得られたシュウ酸バナジルの溶液にシュウ酸クロムの溶
液を50〜60℃にて混合し、バナジウム−クロム溶液
を得る。この溶液にリンモリブデン酸H3 〔PMo12O
40〕・20H2 O41.1gを水100mlに溶解して
加え、更に、酢酸カリウムCH3 COOK 4.0gを
水100mlに溶解して加える。次いで20重量%水性
シリカゾル(Na2 Oを0.02重量%含有)2500
gを加える。このスラリー溶液にホウ酸H3 BO3 78
gを加えてよく混合し液量が約3800gになるまで加
熱、濃縮する。この触媒溶液を入口温度250℃、出口
温度130℃に保ちながら噴霧乾燥した。噴霧乾燥した
触媒は130℃の乾燥器で12時間乾燥後、400℃で
0.5時間仮焼成し、その後、550℃で8時間空気気
流下焼成した。この触媒の原子比は、V:Cr:B:M
o:P:Na:Kが1:1:0.5:0.086:0.
007:0.009:0.020の割合で含有され、そ
の触媒濃度は50重量%である。
れた内径23mmの反応器にこの触媒40mlを充填
し、メタキシレン3.2容量%、空気71.5容量%、
水分5.0容量%を含有する回収アンモニア25.5容
量%の混合ガスを供給し、この触媒で最高のイソフタロ
ニトリル収率を与える温度である420℃、空時速度S
V850Hr-1の条件で流動接触反応させた。この時の
反応器供給ガス中の水分は1.3容量%である。反応の
結果、初期のメタキシレンに対するイソフタロニトリル
の収率は86.4mol%であった。その後、反応に熱
負荷として450℃で300時間を与え、再び420℃
においても、イソフタロニトリルの収率は85.9mo
l%であり、水分を調整した回収アンモニアを供給した
反応において高収率で、且つ、経時的に安定した成績が
得られた。
%、空気64.8容量%、水分25.0容量%を含有す
る回収アンモニア32.3容量%の混合ガスを反応器に
供給し、この触媒で最高のイソフタロニトリル収率を与
える温度である420℃、空時速度(SV)850Hr
-1の条件で流動接触反応させた。この時の反応器供給ガ
ス中の水分は8.1容量%である。反応の結果、初期の
メタキシレンに対するイソフタロニトリルの収率は8
5.2mol%であった。その後、反応に熱負荷として
450℃で300時間を与え、再び420℃において
も、イソフタロニトリルの収率は83.1mol%であ
り、水分を調整した回収アンモニアを供給した反応にお
いて高収率で、且つ、経時的に安定した成績が得られ
た。
容量%、空気64.8容量%、水分25.0容量%を含
有する回収アンモニア32.3容量%の混合ガスを反応
器に供給し、この触媒で最高の3−シアノピリジン収率
を与える温度である390℃、空時速度(SV)810
Hr-1の条件で反応された。この時の反応器供給ガス中
の水分は8.1容量%である。反応の結果、初期の3−
メチルピリジンに対する3―シアノピリジンの収率は8
5.3mol%であった。その後、反応に熱負荷として
450℃で300時間を与え、再び390℃において
も、3−シアノピリジンの収率は84.1mol%であ
り、水分を調整した回収アンモニアを供給した反応にお
いて高収率で、且つ、経時的に安定した成績が得られ
た。
%、空気71.5容量%、水分10.5容量%を含有す
る回収アンモニア25.3容量%の混合ガスを反応器に
供給し、この触媒で最高のイソフタロニトリル収率を与
える温度である410℃で反応した。この時の反応器供
給ガス中の水分は2.7容量%である。反応の結果、初
期のパラキシレンに対するテレフタロニトリルの収率は
88.2mol%であった。その後、反応に熱負荷とし
て450℃で300時間を与え、再び410℃において
も、テレフタロニトリルの収率は87.7mol%であ
り、水分を調整した回収アンモニアを供給した反応にお
いて高収率で、且つ、経時的に安定した成績が得られ
た。
リウムを用い、触媒を調製した。この触媒の原子比は、
V:Cr:B:Mo:P:Naが1:1:0.5:0.
086:0.007:0.021の割合で含有され、そ
の触媒濃度は50重量%である。
タキシレン3.2容量%、空気71.0容量%、水分
5.2容量%を含有する回収アンモニア25.8容量%
の混合ガスを反応器に供給し、この触媒で最高のイソフ
タロニトリル収率を与える温度である420℃、空時速
度(SV)850Hr-1の条件で流動接触反応させた。
この時の反応器供給ガス中の水分は1.3容量%であ
る。反応の結果、初期のメタキシレンに対するイソフタ
ロニトリルの収率は86.0mol%であった。その
後、反応に熱負荷として450℃で300時間を与え、
再び420℃においても、イソフタロニトリルの収率は
84.7mol%であり、水分を調整した回収アンモニ
アを供給した反応において高収率で、且つ、経時的に安
定した成績が得られた。
0〜60℃に加熱し、これに電解鉄92gを加え溶解す
る。そこに20重量%水性シリカゾル(Na2 Oを0.
02重量%含有)1460gを加える。これに三酸化二
アンチモンSb2O3 359g及びホウ酸H3 BO3 3
9gを混合し、更に、酢酸カリウムCH3COOK2.
53gを水100mlに溶解して加える。その混合液を
15%アンモニア水でpHを2に調整した後、100
℃、3時間の熟成を行った。このスラリー溶液に硝酸ク
ロム・9水和物Cr(NO3 )3 ・9H2 O33gを水
400mlで溶解させたクロム液を加えスラリーを調製
した。一方、五酸化バナジウムV2 O5 60gに水13
0mlを加え、80〜90℃に加熱し、よく攪拌しなが
らシュウ酸125gを加え溶解し、シュウ酸バナジル溶
液を調製した。このシュウ酸バナジル溶液を先程のスラ
リーに加えよく攪拌し、触媒溶液を調製した。該触媒溶
液を入口温度250℃、出口温度130℃に保ちながら
噴霧乾燥した。噴霧乾燥した触媒は130℃の乾燥器で
12時間乾燥後、400℃で0.5時間仮焼成し、その
後、800℃で8時間空気気流下焼成した。この触媒の
アルカリ金属濃度は0.21重量%であり、原子比はF
e:Sb:V:Cr:B:Na:Kが1:1.5:0.
4:0.5:0.77:0.011:0.031の割合
で含有され、その触媒濃度は50重量%である。
タキシレン3.2容量%、空気71.5容量%、水分
5.0容量%を含有する回収アンモニア25.5容量%
の混合ガスを反応器に供給し、この触媒で最高のイソフ
タロニトリル収率を与える温度である440℃、空時速
度(SV)850Hr-1の条件で流動接触反応させた。
この時の反応器供給ガス中の水分は1.3容量%であ
る。反応の結果、初期のメタキシレンに対するイソフタ
ロニトリルの収率は79.8mol%であった。その
後、反応に熱負荷として450℃で300時間を与え、
再び440℃においても、イソフタロニトリルの収率は
79.7mol%であり、水分を調整した回収アンモニ
アを供給した反応において、経時的に安定した成績が得
られた。
%、空気57.6容量%、水分39.2容量%を含有す
る回収アンモニア39.8容量%の混合ガスを反応器に
供給し、この触媒で最高のイソフタロニトリル収率を与
える温度である420℃、空時速度(SV)850Hr
-1の条件で流動接触反応させた。この時の反応器供給ガ
ス中の水分は15.6容量%である。反応の結果、初期
のメタキシレンに対するイソフタロニトリルの収率は7
9.1mol%であった。その後、反応に熱負荷として
450℃で300時間を与え、再び420℃におけるイ
ソフタロニトリルの収率は75.3mol%であり、水
分の高い回収アンモニアを原料に用いた反応において
は、目的生成物のイソフタロニトリルの収率は低く、経
時低下も大きいものであった。
容量%、空気60.1容量%、水分35.0容量%を含
有する回収アンモニア37.3容量%の混合ガスを反応
器に供給し、この触媒で最高の3−シアノピリジン収率
を与える温度である390℃、SV810Hr-1の条件
で反応させた。この時の反応器供給ガス中の水分は1
3.0容量%である。反応の結果、初期の3−メチルピ
リジンに対する3―シアノピリジンの収率は80.1m
ol%であった。その後、反応に熱負荷として450℃
で300時間を与え、再び390℃とした時の3−シア
ノピリジンの収率は75.3mol%であり、水分の高
い回収アンモニアを供給した反応においては、目的生成
物の3−シアノピリジンの収率は低く、経時低下も大き
いものであった。
%、空気58.5容量%、水分40.1容量%を含有す
る回収アンモニア37.8容量%の混合ガスを反応器に
供給し、この触媒で最高のテレフタロニトリル収率を与
える温度である410℃、空時速度(SV)850Hr
-1の条件で流動接触反応させた。この時の反応器供給ガ
ス中の水分は15.2容量%である。反応の結果、初期
のパラキシレンに対するテレフタロニトリルの収率は、
78.1mol%であった。その後、反応に熱負荷とし
て450℃で300時間を与え、再び410℃における
イソフタロニトリルの収率は75.3mol%であり、
水分の高い回収アンモニアを供給した反応においては、
目的生成物のテレフタロニトリルの収率は低く、経時低
下も大きいものであった。
%、空気56.9容量%、水分40.5容量%を含有す
る回収アンモニア40.6容量%の混合ガスを反応器に
供給し、この触媒で最高のイソフタロニトリル収率を与
える温度である420℃、空時速度(SV)850Hr
-1の条件で流動接触反応させた。この時の反応器に供給
ガス中の水分は16.5容量%である。反応の結果、初
期のメタキシレンに対するイソフタロニトリルの収率
は、76.7mol%であった。その後、反応に熱負荷
として450℃で300時間を与え、再び420℃にお
けるイソフタロニトリルの収率は71.3mol%であ
り、水分を調整しない回収アンモニアを供給した反応に
おいては、目的生成物のイソフタロニトリルの収率は低
く、経時低下も大きいものであった。
%、空気56.9容量%、水分40.5容量%を含有す
る回収アンモニア40.6容量%の混合ガスを反応器に
供給し、この触媒で最高のイソフタロニトリル収率を与
える温度である440℃、空時速度(SV)850Hr
-1の条件で流動接触反応させた。この時の原料ガス中の
水分は16.4容量%である。反応の結果、初期のメタ
キシレンに対するイソフタロニトリルの収率は、76.
7mol%であった。その後、反応に熱負荷として45
0℃で300時間を与え、再び440℃におけるイソフ
タロニトリルの収率は72.3mol%であり、水分を
調整しない回収アンモニアを供給した反応においては、
目的生成物のイソフタロニトリルの収率は低く、経時低
下も大きいものであった。
発明により、バナジウム、モリブデンおよび鉄から選ば
れる一種以上の金属酸化物を含む触媒を使用し、炭素環
化合物または複素環化合物を気相接触流動反応によりア
ンモ酸化させた後、反応ガスから未反応アンモニアを回
収し反応系に戻し再使用する場合に、反応器供給ガス中
の水分濃度を12容量%以下とすることにより、ニトリ
ル化合物を高収率で、長期間に渡り安定して得ることが
できる。本発明の方法によれば、アンモ酸化において反
応ガスから未反応アンモニアを回収して有効に用いるこ
とができるので、原料アンモニアの使用量を著しく削減
することができ、工業的に極めて有利に芳香族ニトリル
や複素環ニトリルを製造することができる。
Claims (3)
- 【請求項1】炭素環化合物または複素環化合物の気相接
触流動アンモ酸化による芳香族ニトリルまたは複素環ニ
トリルの製造法において、バナジウム、モリブデンおよ
び鉄から選ばれる一種以上の金属酸化物を含む触媒を使
用し、反応器供給ガス中の水分濃度を12容量%以下と
してアンモ酸化を行い、反応生成ガスから未反応アンモ
ニアを回収し、該回収アンモニアを反応系に循環使用す
ることを特徴とするニトリル化合物の製造法。 - 【請求項2】触媒が(i)V、Moおよび鉄から選ばれ
る一種以上と(ii)Mg、Ca、Ba、La、Ti、
Zr、Cr、W、Co、Ni、B、Al、Ge、Sn、
Pb、P、Sb、Bi、Li、Na、K、RbおよびC
sよりなる群から選ばれた少なくとも一種の元素を含有
する金属酸化物をシリカに坦持させた触媒である請求項
1記載のニトリル化合物の製造法。 - 【請求項3】V、Cr、B、MoおよびPの金属酸化物
とアルカリ金属をシリカに担持させた触媒を用いる請求
項1記載のニトリル化合物の製造法。
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