JP2003238512A - ポリニトリル化合物の製造方法 - Google Patents

ポリニトリル化合物の製造方法

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JP2003238512A
JP2003238512A JP2002360606A JP2002360606A JP2003238512A JP 2003238512 A JP2003238512 A JP 2003238512A JP 2002360606 A JP2002360606 A JP 2002360606A JP 2002360606 A JP2002360606 A JP 2002360606A JP 2003238512 A JP2003238512 A JP 2003238512A
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reactor
reaction
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poly
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JP2002360606A
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Kenichi Nakamura
健一 中村
Hideji Ebata
秀司 江端
Fumio Tanaka
文生 田中
Takuji Shidara
琢治 設楽
Kazuhiko Amakawa
和彦 天川
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Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
Original Assignee
Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】複数個の有機置換基を有する炭素環化合物また
は複素環化合物(ポリ置換基有機化合物)を、アンモニ
アおよび酸素含有ガスとの気相接触反応によりアンモ酸
化させてポリニトリル化合物を製造する方法において、
生産性を損なうことなく副反応の燃焼反応を抑制して原
料ロスを低減し、目的とするニトリル化合物を高収率で
得る方法を提供する。 【解決手段】反応器より排出される反応ガスから未反応
ポリ置換有機化合物および中間生成物のモノニトリル化
合物の少なくとも一部を分離回収して該反応器に供給
し、かつ反応器より排出される反応ガス中のモノニトリ
ル化合物の流出量を特定の範囲内となるように反応を制
御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は複数個の有機置換基
を有する炭素環化合物または複素環化合物をアンモニア
および酸素含有ガスと反応させてポリニトリル化合物を
製造する方法に関する。特に有機置換基を2個有する炭
素環化合物または複素環化合物から炭素環ジニトリル化
合物または複素環ジニトリル化合物を製造する方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】ポリニトリル化合物、特に炭素環ジニト
リル化合物は、合成樹脂、農薬等の製造原料およびアミ
ン、イソシアネート等の中間原料として有用である。一
方、複素環ジニトリル化合物は、医薬品、飼料添加剤、
食品添加剤等の中間原料として有用である。有機置換基
を有する炭素環化合物または複素環化合物等の有機化合
物をアンモニアおよび酸素含有ガスと反応させる方法は
アンモ酸化と呼ばれ、一般に気相接触反応によりニトリ
ル化合物が製造される。
【0003】該アンモ酸化にはバナジウム、モリブデ
ン、鉄などを含む触媒が公知である。例えば、V〜Cr
〜B〜Mo系の酸化物を含有する触媒を用い、アルキル
置換の炭素環化合物や複素環化合物をアンモ酸化する方
法が提案されている(特許文献1参照。)。また、Fe
〜Sb〜V系の酸化物を含有する触媒を用い、キシレン
のアンモ酸化によりジシアノベンゼンを製造する方法が
提案されている(特許文献2参照。)。
【0004】
【特許文献1】特開平11−209332号公報
【特許文献2】特開平9−71561号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】アンモ酸化によりニト
リル化合物を製造する場合、通常はニトリル化合物の収
率が最大になる条件を選び、反応温度、アンモニア量、
酸素量、接触時間等を選択する。実際的には原料の炭素
環化合物や複素環化合物の反応率が大きくなるような比
較的厳しい条件を選択するが、このような条件において
は副反応である燃焼反応が増加し、原料のロスにつなが
る。従って、燃焼反応を抑制し、原料のロスが少ない製
造方法が求められている。燃焼反応の抑制のために、原
料の反応率を低く抑えて未反応原料をリサイクルする方
法が実施されうるが、ニトリル化合物の単流収率は低下
し、生産性が低下する問題がある。
【0006】本発明の目的は、複数個の有機置換基を有
する炭素環化合物または複素環化合物(以下、ポリ置換
基有機化合物と称す)を、アンモニアおよび酸素含有ガ
スとの気相接触反応によりアンモ酸化させてポリニトリ
ル化合物を製造する方法において、生産性を損なうこと
なく副反応の燃焼反応を抑制して原料ロスを低減し、目
的とするニトリル化合物を高収率で得る方法を提供する
ことである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の目的
を達成するために鋭意検討した結果、反応器より排出さ
れる反応ガスから未反応ポリ置換有機化合物および中間
生成物のモノニトリル化合物の少なくとも一部を分離回
収して該反応器に供給し、かつ反応器より排出される反
応ガス中のモノニトリル化合物の流出量を特定の範囲内
となるように反応を制御することにより、生産性を損な
うことなく副反応の燃焼反応による原料のロスを抑制し
て、高い収率と生産性をもって、極めて効率的にポリニ
トリル化合物を製造することが可能となることを見出
し、本発明に到達した。
【0008】すなわち本発明は、有機置換基を複数個有
する炭素環化合物または複素環化合物からなるポリ置換
有機化合物を、アンモニアおよび酸素含有ガスと共に反
応器に導入して触媒の存在下に反応させてポリニトリル
化合物を製造する方法において、反応器より排出される
反応ガスに含有される未反応ポリ置換有機化合物および
中間生成物のモノニトリル化合物の少なくとも一部を分
離回収して該反応器に再供給し、該反応器に供給される
ポリ置換有機化合物とモノニトリル化合物の合計流量に
対する、反応器出口におけるモノニトリル化合物の流量
のモル比が、2〜16モル%の範囲内となるように調節
することを特徴とするポリニトリル化合物の製造方法で
ある。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明に用いられる原料の有機置
換基を複数個有する炭素環化合物は、ベンゼン、ナフタ
レン、アントラセン、シクロヘキセン、シクロヘキサ
ン、ジヒドロナフタレン、テトラリン、デカリン等の炭
素環を有し、その側鎖にメチル基、エチル基、プロピル
基、ホルミル基、アセチル基、ヒドロキシメチル基、メ
トキシカルボニル基等の有機置換基を有する炭素環化合
物である。この複数個の有機置換基は同一でも互いに異
なっていても良い。また、この炭素環化合物には更にハ
ロゲン基、ヒドロキシル基、アミノ基、ニトロ基、アル
コキシ基、フェニル基等のアンモ酸化反応に関与しない
置換基を含んでいてもよい。具体例としては、キシレ
ン、ジメチルナフタレン、ジメチルテトラリン、クロロ
キシレン、ジメチルアニソール、プソイドクメン、メシ
チレン等が挙げられ、アンモ酸化によりポリニトリル化
合物が得られる。また、原料の有機置換基を有する複素
環化合物は、フラン、ピロール、インドール、チオフェ
ン、ピラゾール、イミアゾール、オキサゾール、ピラ
ン、ピリジン、キノリン、イソキノリン、ピロリン、ピ
ロリジン、イミドゾリン、イミダゾリジン、ピペリジ
ン、ピペラジン等の複素環に上記の有機置換基を複数個
有する複素環化合物である。その側鎖には、上記の炭素
環化合物と同様にアンモ酸化反応に関与しない置換基を
含んでもよい。具体例としてはジメチルピリジン、ジメ
チルピラジン等が挙げられる。
【0010】これらのポリ置換基有機化合物は単独で
も、混合物でも使用できる。これらの中でベンゼン環に
メチル基を2個有するメタキシレンからイソフタロニト
リルを製造する方法に本発明が特に好適に適用される。
【0011】本発明においては以上のポリ置換基有機化
合物をアンモニアおよび酸素含有ガスとの気相接触反応
によりポリニトリル化合物を製造する。アンモ酸化反応
の反応形式としては固定床、移動床、流動床等の形式が
例示されるが、反応温度の制御や装置コスト等の面から
流動床形式が好適に用いられる。本発明で用いる触媒は
気相接触反応に適したアンモ酸化用触媒であれば特に制
限されない。例えば、バナジウム、モリブテン、鉄から
選ばれた少なくとも一種の元素の酸化物を含む触媒が好
適に用いられる。
【0012】流動層触媒の場合、触媒の粒径は10〜3
00μmの範囲、平均粒径は30〜200μm、好まし
くは40〜100μmの範囲である。触媒の嵩密度は
0.5〜2g/cm3、好ましくは0.7〜1.5g/
cm3の範囲である。
【0013】アンモ酸化のための酸素含有ガスとして
は、通常、空気が好適に用いられ、これに酸素を富化し
ても良い。また、窒素、炭酸ガス等の希釈剤を併用する
こともできる。酸素の使用量は、ポリ置換基有機化合物
に含まれる有機置換基に対する酸素のモル比(O/有
機置換基)として、0.75倍モル以上、好ましくは1〜25
倍モルの範囲であり、さらに好ましくは1.5〜5倍モルの
範囲である。これより使用量が少ないとニトリル化合物
の収率は低下し、一方、これより多いと空時収率が小さ
くなる。
【0014】本発明において原料のアンモニアには工業
用グレードのものを用いることができる。アンモニアの
使用量はポリ置換基有機化合物に含まれる有機置換基に
対するアンモニアのモル比(NH3/有機置換基)とし
て、1〜10倍モル、好ましくは3〜7倍モルの範囲であ
る。これより使用量が少ないとニトリル化合物の収率が
低下し、一方、これより多いと未反応アンモニアのロス
または回収コスト増大により工業的に不利となる。
【0015】アンモ酸化の反応圧力は常圧、加圧或いは
減圧のいずれでも良いが、常圧付近から0.2MPaの
範囲が好ましい。反応ガスと触媒の接触時間は、原料の
種類、原料に対するアンモニアおよび酸素含有ガスの仕
込みモル比、反応温度等の条件に依存するが、通常は0.
5〜30秒の範囲である。
【0016】反応温度は300〜500℃、好ましくは330〜4
70℃の範囲である。この範囲より反応温度が低いと十分
な反応速度が得られず、一方、この範囲反応温度が高い
と炭酸ガス、シアン化水素等の副生が増加し、ニトリル
化合物の収率が低下する。
【0017】本発明においては反応器より排出される反
応ガスに含有される未反応ポリ置換有機化合物および中
間生成物のモノニトリル化合物の少なくとも一部、好ま
しくは全量を分離回収して該反応器に再供給し、該反応
器に供給されるポリ置換有機化合物とモノニトリル化合
物の合計流量に対する、反応器出口におけるモノニトリ
ル化合物の流量のモル比が、2〜16モル%、好ましく
は3〜14モル%の範囲内となるように調節する。
【0018】反応器に供給されるポリ置換有機化合物と
モノニトリル化合物の合計流量に対する反応器出口にお
けるモノニトリル化合物の流量のモル比が2モル%より
小さい条件においては燃焼反応が多くなり収率が低下す
ると共に、未反応ポリ置換有機化合物およびモノニトリ
ル化合物の回収と反応器への再供給による収率向上の効
果が十分に得られない。また、該モル比が、16モル%
より大きい条件においては空時収率が低下してリサイク
ル供給流量が極端に増大し、生産性を損なう。反応器に
供給されるポリ置換有機化合物とモノニトリル化合物の
流量に対する、反応器出口におけるモノニトリル化合物
の流量のモル比が、2〜16モル%の範囲内となるよう
に、反応温度、アンモニア量、酸素量、接触時間等を適
宜変更して決定される。
【0019】本発明においては反応器出口より排出され
る反応ガスから、目的物であるポリニトリル化合物と、
未反応ポリ置換有機化合物および中間生成物のモノニト
リル化合物を分離回収し、アンモ酸化反応器に再供給す
る。反応ガスから未反応原料およびモノニトリル化合物
を分離回収する方法としては、以下(1)〜(3)のよ
うな方法が挙げられる。(1)反応ガスを有機溶媒と接
触させて冷却して、ポリニトリル化合物、未反応ポリ置
換有機化合物、モノニトリル化合物を溶媒中に捕集した
後、捕集液から蒸留等により未反応ポリ置換有機化合物
およびモノニトリル化合物を分離する方法。(2)反応
ガスを水と接触させて冷却し、ポリニトリル化合物の水
スラリーおよび未反応ポリ置換有機化合物およびモノニ
トリル化合物を含有する有機溶媒液相を生成せしめたの
ち、有機溶媒液相と水相を分液分離して、未反応ポリ置
換有機化合物およびモノニトリル化合物を分離する方
法。(3)反応ガスを冷却してポリニトリル化合物の固
体を析出させてこの固体を分離した後、さらに反応ガス
を深冷して未反応ポリ置換有機化合物およびモノニトリ
ル化合物を凝縮液化せしめて分離する方法。
【0020】(1)の方法の場合、有機溶媒としては、
アルキルベンゼン、複素環化合物、炭素環ニトリル、複
素環ニトリル等の有機溶媒が用いられるが、アンモ酸化
反応の副生成物(モノニトリル化合物等)を用いると取
扱い物質が増加せず有利である。例えば、メタキシレン
からイソフタロニトリルを得る場合には、メタトルニト
リルが好適に使用できる。反応ガスと有機溶媒の接触方
法としては、反応ガス流に噴霧等の方法で有機溶媒を直
接添加する方法、反応ガス流を有機溶媒が張り込まれた
容器中に導き直接接触させる方法等が挙げられる。反応
ガスに含有されるポリニトリル化合物、未反応ポリ置換
有機化合物、モノニトリル化合物は溶媒中に捕集され、
溶液として回収される。
【0021】回収された捕集溶液からは蒸留や晶析等公
知の分離手段によって、未反応ポリ置換有機化合物およ
びモノニトリル化合物が、ポリニトリル化合物や有機溶
媒等のその他の成分から分離される。分離された未反応
ポリ置換有機化合物およびモノニトリル化合物は、少な
くともその一部を反応器に再供給してアンモ酸化反応に
供する。捕集溶液から未反応ポリ置換有機化合物および
モノニトリル化合物が分離された残成分にはポリニトリ
ル化合物、有機溶媒、高沸点成分等が含有されるがこれ
らは必要に応じてさらに蒸留や晶析等公知の分離手段に
よって適宜分離回収される。
【0022】一方、反応ガスを有機溶媒と接触させたあ
との残ガスとして、有機溶媒に不溶のガス成分や有機溶
媒蒸気が含有されるオフガスが排出される。オフガスに
含有される有機溶媒のロスを避けるため、オフガスを深
冷する等の公知の方法で有機溶媒をさらに分離回収する
ことも可能である。
【0023】溶媒としてモノニトリル化合物を用いた場
合には捕集溶液からポリニトリル化合物を分離した後
の、未反応ポリ置換有機化合物とモノニトリル化合物を
主成分とする残液を直接アンモ酸化反応に供することが
できる。また該残液を反応ガスと接触させる捕集溶媒と
して利用することもできる。
【0024】図1は本発明の実施態様の一例を示すフロ
ー図であり、アンモ酸化反応を流動層反応で行い、反応
器から排出される反応ガスをモノニトリル化合物溶媒と
接触させて捕集を行い、得られた捕集液から未反応ポリ
置換有機化合物およびモノニトリル化合物を蒸留により
回収する態様である。図1において1はアンモ酸化反応
器、2は捕集部、3は蒸留塔である。図1においてアン
モ酸化反応器1には流動層触媒が充填されている。該反
応器には酸素含有ガス、アンモニア、ポリ置換有機化合
物(新たに供給されるフレッシュ供給流)、リサイクル
される未反応ポリ置換有機化合物およびモノニトリル
(リサイクル供給流)が供給され、アンモ酸化反応が行
われる。反応器の内部には冷却管が設置されており、該
冷却管の上端の下部に流動触媒層界面を存在させる。反
応ガスは触媒サイクロンで触媒粒子が分離され戻し管か
ら流動触媒層に戻された後、排出管より排出される。反
応器から排出される反応ガス中には、未反応ポリ置換有
機化合物、ポリニトリル化合物、モノニトリル化合物、
アンモニア、シアン化水素、炭酸ガス、水、一酸化炭
素、窒素、酸素等が含まれ、次工程の捕集部2に送られ
る。捕集部2では反応ガスと捕集溶媒モノニトリル化合
物を接触させ、反応ガスに含有されるポリニトリル化合
物、未反応ポリ置換有機化合物、モノニトリル化合物を
捕集し、捕集液として回収する。一部蒸発したモノニト
リルと未反応ポリ置換有機化合物は冷却されシアン化水
素、アンモニア、炭酸ガス、水等と分離し、捕集液の一
部として回収される。未反応ポリ置換有機化合物やモノ
ニトリル化合物が十分に分離された窒素、酸素、一酸化
炭素等からなるオフガスは捕集部のガス排出部から排出
される。捕集液は蒸留塔3に導かれ、蒸留により塔頂か
ら未反応ポリ置換有機化合物およびモノニトリル化合物
が回収され、塔底からポリニトリル化合物含有流が回収
される。塔頂から得られる未反応ポリ置換有機化合物お
よびモノニトリル化合物は捕集部2に供給して捕集溶媒
として使用する共に、アンモ酸化反応器1にリサイクル
供給流として供給し、反応に供する。以下に示す実施例
からも明らかなように、本発明を実施することで生産性
を損なうことなく副反応の燃焼反応を抑制して原料のポ
リ置換有機化合物のロスを低減し、目的とするニトリル
化合物を高収率で得ることが可能となる。
【0025】
【実施例】次に実施例および比較例により、本発明を更
に具体的に説明する。但し、本発明はこれらの実施例に
より制限されるものではない。
【0026】<触媒調製>五酸化バナジウムV2522
9gに水500mlを加え、80〜90℃に加熱しよく
撹拌しながらシュウ酸477gを加え溶解する。またシ
ュウ酸963gに水400mlを加え50〜60℃に加
熱し、これに無水クロム酸CrO3252gを水200
mlに加えた溶液を、良く撹拌しながら加え溶解する。
こうして得られたシュウ酸バナジウムの溶液にシュウ酸
クロムの溶液を50〜60℃にて混合し、バナジウム−
クロム溶液を得る。この溶液にリンモリブデン酸H
3(PMo 1240)・20H2O41.1gを水100m
lに溶解して加え、更に、酢酸カリウムCH3COOK
4.0gを水100mlに溶解して加える。次いで20
重量%水性シリカゾル(Na2Oを0.02重量%含
有)2500gを加える。このスラリ−溶液にホウ酸H
3BO378gを加えて良く混合し液量が約3800gに
なるまで加熱、濃縮する。この触媒溶液を入口温度25
0℃、出口温度130℃に保ちながら噴霧乾燥した。噴
霧乾燥した触媒は130℃の乾燥器で12時間乾燥後、
400℃で0.5時間焼成し、その後、550℃で8時
間空気流通下焼成し、流動触媒を製造した。触媒成分の
原子比は、V:Cr:B:Mo:P:Na:Kが1:
1:0.5:0.086:0.007:0.009:
0.020であり、流動触媒における触媒成分の濃度は
50重量%である。
【0027】比較例 図1に示したアンモ酸化反応器を用いてメタキシレンの
アンモ酸化反応を行った。アンモ酸化反応器に上記で調
製した流動触媒2.3tonを充填し、空気、メタキシレン
(MX)、アンモニアガスを温度180℃に予熱し該反
応器に供給した。供給量はMX供給量 242kg/hr、アン
モニア供給量 333kg/hr、空気 1280Nm3/hrである。反応
圧力を0.08MPaで反応を行い、イソフタロニトリル
(IPN)を得た。反応温度を調節したところ、反応温
度432℃においてIPN収率は最大値82.0モル%を与え
た。この時のモノニトリル(MTN)の収率は0.9%であ
った。この条件において反応ガス中に含有される未反応
MXおよびMTNの全量を分離回収してアンモ酸化反応
器に再供給した。このとき供給量はMX供給量 242.3kg
/hr、MTN供給量 2.4kg/hr、アンモニア供給量 333kg
/hr、空気 1280Nm3/hrである。新たに供給されるMX
(フレッシュ供給流)は242kg/hであり、リサイクル供
給流はMX 0.3kg/h, MTN 2.4kg/hであった。反応器
に供給されるポリ置換有機化合物とモノニトリル化合物
の合計流量に対する、反応器出口におけるモノニトリル
化合物の流量のモル比は0.9モル%であった。反応器か
ら排出される反応ガスを分析したところ、反応ガス中に
はMXが 0.3kg/hr、IPNが 242kg/hr、MTNが 2.4
kg/hr含有されていた。これはリサイクルMX 0.3モル
部、新供給MX 100モル部、リサイクルMTN2.4モル
部でバランスしたことを示している。新供給MXを基準
としたIPN収率は82.8モル%、IPNの空時収量は24
2kg/hである。
【0028】実施例1 図1に示したアンモ酸化反応器を用いてメタキシレンの
アンモ酸化反応を行った。アンモ酸化反応器に上記で調
製した流動触媒2.3tonを充填し、空気、メタキシレン
(MX)、アンモニアガスを温度180℃に予熱し該反
応器に供給した。供給量はMX供給量 266kg/hr、MT
N供給量 40.0kg/hr、アンモニア供給量 412kg/hr、空
気 1570Nm3/hrである。反応圧力を0.08MPaで反応を
行い、イソフタロニトリル(IPN)を得た。反応温度
は 427℃とした。新たに供給されるMX(フレッシュ供
給流)は比較例とほぼ同量の241.8kg/hであり、リサイ
クル供給流はMX 24.2kg/h, MTN 40.0kg/hであっ
た。反応器に供給されるポリ置換有機化合物とモノニト
リル化合物の流量に対する、反応器出口におけるモノニ
トリル化合物の流量のモル比は12.0モル%であった。反
応ガスを分析したところ、MXが 24.2kg/hr、IPNが
257.2kg/hr、MTNが 40.0kg/hr得られた。これはリ
サイクルMX 10モル部、新供給MX 100モル部、リサ
イクルMTN15モル部でバランスしたことを示してい
る。新供給MXを基準としたIPN収率は88.1モル%、
IPNの空時収量は257.2kg/hであり、比較例と比べて
空時収率を損なうことなく収率が著しく増大した。
【0029】実施例2 図1に示したアンモ酸化反応器を用いてメタキシレンの
アンモ酸化反応を行った。アンモ酸化反応器に上記で調
製した流動触媒2.3tonを充填し、空気、メタキシレン
(MX)、アンモニアガスを温度180℃に予熱し該反
応器に供給した。供給量はMX供給量 245.6kg/hr、M
TN供給量 10.7kg/hr、アンモニア供給量350kg/hr、空
気 1320Nm3/hrである。反応圧力を0.08MPaで反応を
行い、イソフタロニトリル(IPN)を得た。反応温度
は 427℃とした。新たに供給されるMX(フレッシュ供
給流)は比較例と同量の242kg/hであり、リサイクル供
給流はMX 3.6kg/h, MTN 10.7kg/hであった。反応
器に供給されるMXポリ置換有機化合物とモノニトリル
化合物の流量に対する、反応器出口におけるモノニトリ
ル化合物の流量のモル比は3.8モル%であった。反応ガ
スを分析したところ、MXが 3.6kg/hr、IPNが 247k
g/hr、MTNが10.7kg/hr得られた。これはリサイクル
MX 1.5モル部、新供給MX 100モル部、リサイクルM
TN4モル部でバランスしたことを示している。新供給
MXを基準としたIPN収率は84.5モル%、IPNの空
時収量は247kg/hであり、比較例と比べて空時収率を損
なうことなく収率が著しく増大した。
【0030】
【発明の効果】本発明により生産性を損なうことなく副
反応の燃焼反応を抑制して原料のポリ置換有機化合物ロ
スを低減し、目的とするニトリル化合物を高収率で得る
ことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明のポリニトリルの製造方法の実施
態様の一例を示すフロー図であり、アンモ酸化反応を流
動層反応で行い、反応器から排出される反応ガスをモノ
ニトリル化合物溶媒と接触させて捕集を行い、得られた
捕集液から未反応ポリ置換有機化合物およびモノニトリ
ル化合物を蒸留により回収する態様である。
【符号の説明】
1:アンモ酸化反応器 2:捕集部 3:蒸留塔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田中 文生 新潟県新潟市松浜町3500番地 三菱瓦斯化 学株式会社新潟工業所内 (72)発明者 設楽 琢治 新潟県新潟市松浜町3500番地 三菱瓦斯化 学株式会社新潟工業所内 (72)発明者 天川 和彦 新潟県新潟市松浜町3500番地 三菱瓦斯化 学株式会社新潟工業所内 Fターム(参考) 4H006 AA02 AC54 BA02 BA12 BA14 BA31 BA34 BA81 BA85 BC10 BC31 BD33 BD52 BE14 BE30 QN28 4H039 CA70 CL50

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】有機置換基を複数個有する炭素環化合物ま
    たは複素環化合物からなるポリ置換有機化合物を、アン
    モニアおよび酸素含有ガスと共に反応器に導入して触媒
    の存在下に反応させてポリニトリル化合物を製造する方
    法において、反応器より排出される反応ガスに含有され
    る未反応ポリ置換有機化合物および中間生成物のモノニ
    トリル化合物の少なくとも一部を分離回収して該反応器
    に再供給し、該反応器に供給されるポリ置換有機化合物
    とモノニトリル化合物の合計流量に対する、反応器出口
    におけるモノニトリル化合物の流量のモル比が、2〜1
    6モル%の範囲内となるように調節することを特徴とす
    るポリニトリルの製造方法。
  2. 【請求項2】反応器より排出される反応ガスに含有され
    る未反応ポリ置換有機化合物および中間生成物のモノニ
    トリル化合物を、実質的に全量分離回収して該反応器に
    再供給する請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】反応器より排出される反応ガスを溶媒に接
    触させてポリニトリル化合物を捕集する請求項1又は請
    求項2に記載の方法。
  4. 【請求項4】反応ガスに接触させる溶媒がモノニトリル
    化合物である請求項3に記載の方法。
  5. 【請求項5】ポリ置換基有機化合物が有機置換基を2個
    有する炭素環化合物または複素環化合物であり、ポリニ
    トリル化合物がジニトリル化合物である請求項1〜4の
    いずれかに記載の方法。
  6. 【請求項6】ポリ置換基有機化合物がメタキシレンであ
    り、モノニトリル化合物がメタトルニトリルであり、ポ
    リニトリル化合物がイソフタロニトリルであることを特
    徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
  7. 【請求項7】バナジウム、モリブテン、鉄から選ばれた
    少なくとも一種の元素の酸化物を含む触媒を用いること
    を特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
  8. 【請求項8】アンモ酸化反応を流動層で行うことを特徴
    する請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007505068A (ja) * 2003-09-10 2007-03-08 ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト キシリレンジアミン(xda)の製造法
JP2007505067A (ja) * 2003-09-10 2007-03-08 ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト キシリレンジアミン(xda)の製造法
JP2014533682A (ja) * 2011-11-23 2014-12-15 コリア インスティチュート オブ サイエンス アンド テクノロジーKorea Institute Of Science And Technology フタロニトリルの製造方法

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