JP4380866B2 - ニトリル化合物の製造法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は炭素環化合物または複素環化合物をアンモニアおよび酸素を含む混合ガスと反応させ芳香族ニトリルまたは複素環ニトリルを製造する方法に関する。芳香族ニトリルは、合成樹脂、農薬等の製造原料およびアミン、イソシアネート等の中間原料として有用である。一方、複素環ニトリルは、医薬品、飼料添加剤、食品添加剤等の中間原料として用いられる。
【0002】
【従来の技術】
ニトリル化合物は炭化水素化合物をアンモニアおよび酸素を含む混合ガスと反応させるアンモ酸化により製造される。炭素環化合物および複素環化合物のアンモ酸化による芳香族ニトリルおよび複素環ニトリルの合成反応はオレフィン類のアンモ酸化に比べ大きな発熱を伴う。したがって、気相接触流動反応が反応熱の除去が容易で局部加熱による副反応を回避できる面で有利である。
この気相接触流動反応には、金属酸化物または金属酸化物をシリカ、アルミナ等に担持させた種々の触媒系が提案されている。例えば、特公昭49−45860号は、V、CrおよびBを含有する触媒を用い、アルキル置換芳香族化合物のアンモ酸化により芳香族ニトリルを製造する方法である。特開昭63−190646号は、Fe〜Sb系触媒を用い、アルキル置換芳香族化合物またはアルキル置換脂環式化合物をアンモ酸化する方法である。
特開平1−275551号は、V〜Cr〜B〜Moを含有する触媒を用い、アルキル置換芳香族化合物またはアルキル置換複素環化合物をアンモ酸化する方法である。特開平5−170724号は、同様の反応に、Mo〜P系触媒を用いる方法である。特開平9−71561号は、Fe〜Sb〜V系触媒を用い、キシレンのアンモ酸化によりジシアノベンゼンを製造する方法である。
【0003】
これらの方法は、炭素環化合物または複素環化合物に対応するニトリルを高収率で得るためにアンモニアを理論量より過剰に使用し、通常は炭素環化合物または複素環化合物1モルに含まれるアルキル基1個に対して3〜5倍モルで行われる。その工業的規模の操業においては、経済的な理由から反応ガス中の未反応アンモニアは回収され、反応系に戻し、再使用することが好ましい。
日化協月報22巻 419〜451 頁 (昭和47年) にはメタキシレンのアンモ酸化によりイソフタロニトリルを製造するに際し、イソフタロニトリルを分離した後のガスから未反応のアンモニアを回収し、そのアンモニアを循環使用し、残余の廃ガスを無毒化して放出することが記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
一般的なアンモニアの回収方法として、反応ガスからニトリル化合物を、例えば生成物が析出するに充分な温度まで冷却、または適当な溶媒で吸収する方法で分離した後に、未反応アンモニアを水で吸収、捕集し、次に水溶液から蒸留操作によりアンモニアは青酸等の副生物と分離し反応系に戻すことが考えられる。
【0005】
発明者らがメタキシレンのアンモ酸化によるイソフタロニトリルの製造についてアンモニアの回収を検討した。その結果、フレッシュなアンモニアを原料に用いた場合にはニトリルを高収率で得ることができ、触媒活性の経時的な低下も少ないが、上記の方法で回収したアンモニアを用いた場合には、アンモ酸化反応が抑制され、目的生成物であるニトリルが減少すると共に、触媒のシンタリングが促進される為に触媒の活性低下が大きくなり、目的生成物を長期間、安定して得られないことが分かった。
【0006】
本発明の目的は、炭素環化合物または複素環化合物を気相接触流動反応によりアンモ酸化し、対応するニトリル化合物を製造するに際し、反応ガスから未反応アンモニアを回収し反応系に戻しながら、目的生成物が高収率で、且つ、長期間に渡り安定して得られる経済的に有利な方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、バナジウム、モリブデン、鉄などを含む公知の触媒を用いてアンモ酸化を行い、反応ガスから未反応アンモニアを回収し反応系に戻す場合について更に検討した結果、触媒の活性低下の原因は回収したアンモニア中に含有する水分であり、回収アンモニア中の水分を蒸留操作で所定濃度に調整し、反応器への供給ガス中の水分を特定濃度に維持することにより、目的生成物を高収率で長期間に渡り安定して得られることを見出し、本発明に到達した。
【0008】
即ち本発明は、炭素環化合物または複素環化合物の気相接触流動アンモ酸化による芳香族ニトリルまたは複素環ニトリルの製造法において、バナジウム、モリブデンおよび鉄から選ばれる一種以上の金属酸化物を含む触媒を使用し、反応器供給ガス中の水分濃度を12容量%以下としてアンモ酸化を行い、反応生成ガスから未反応アンモニアを回収し、該回収アンモニアを反応系に循環使用することを特徴とするニトリル化合物の製造法である。
【0009】
【発明の実施の態様】
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明に用いられる触媒は、バナジウム、モリブデンおよび鉄から選ばれる一種以上の金属酸化物であり、目的生成物を高収率で得るために上記金属酸化物の他にMg,Ca,Ba,La,Ti,Zr,Cr,W,Co,Ni,B,Al、Ge、Sn、Pb、P、Sb、Bi、Li、Na、K、RbおよびCsの群から選ばれた少なくとも一種を含む金属酸化物を添加し修飾された金属酸化物触媒が好ましく、その組成式は下記の表される。
組成式:(V)a (Mo)b (Fe)c (X)d (Y)e (O)f
(但し、XはMg、Ca,Ba、La、Ti、Zr,Cr、W、CoおよびNiよりなる群から選ばれた少なくとも一種の元素、YはB,Al、Ge、Sn、Pb、P、Sb、Li、Na、K、RbおよびCsよりなる群から選ばれた少なくとも一種の元素である。添字のa,b,c,dおよびeは原子比を各々示し、aは0.01〜1(好ましくは0.1〜0.7)、bは0.01〜1(好ましくは0.05〜0.7)、cは0〜1、dは0〜1(好ましくは0.05〜0.7)eは0〜1(好ましくは0.05〜0.7)で、fは上記元素が結合して得られる酸化物の酸素数である。)
【0010】
本発明において上記の組成式で包含される種々の金属酸化物触媒を用いられるが、特にV〜Cr〜B〜Mo〜P〜Naおよび/またはKからなる金属酸化物触媒が好適に用いられる。これらの金属酸化物触媒は担体、例えばシリカ、アルミナ等に担持した形態で用いるのが好ましい。V源としては、例えばアンモニウム塩、硫酸塩等の無機酸塩およびシュウ酸、酒石酸等の有機酸のバナジウム塩を使用できる。Mo源としては、モリブデン酸アンモニウム、リンモリブデン酸、リンモリブデン酸アンモニウム、およびシュウ酸、酒石酸等の有機酸のモリブデン塩を使用できる。Cr源としては、クロム酸、硝酸塩、水酸化物、クロム酸アンモニウム、重クロム酸アンモニウム、およびシュウ酸、酒石酸等の有機酸のクロム塩を使用できる。ホウ素源としては、ホウ酸、ホウ酸アンモニウム等を使用できる。アルカリ金属源としては、Li、Na、K、Rb、およびCsであるが、特にNaおよび/またはKの水酸化物、炭酸塩、硝酸塩およびシュウ酸、酒石酸、酢酸等の有機酸塩が好適に用いられる。これら以外の金属酸化物の原料も空気中で加熱することにより容易に酸化物を形成する無機酸および有機酸の金属塩が使用できる。
【0011】
上記触媒は公知の担体に担持して使用できるが、特にシリカに担持した触媒が好適に使用される。担体に用いられるシリカは、例えば、化学便覧、応用化学編(丸善1986年発行)256〜258頁に記載のシリカゲル、コロイダルシリカ、無水シリカ等が使用できる。これらのシリカ担体中にアルカリ金属が含まれている場合は、その量を考慮して触媒調製を行う必要がある。シリカ担体の使用量は、触媒重量に対して20〜80重量%、好ましくは40〜70重量%の範囲である。
【0012】
本発明の触媒は公知の方法を用いて製造することができる。例えば、V〜Cr〜B〜Mo〜P〜Naから金属酸化物をシリカ担体に担持させた触媒を調製する場合には、酸化バナジウムおよび酸化クロムをシュウ酸に溶かした溶液に、ホウ酸水溶液および酢酸ナトリウムを加え、次いでシリカゾルを加えてスラリー混合物を得る。この場合、もし必要ならばホウ酸の溶解助剤を使用する。ホウ酸の溶解助剤としては、多価アルコール、α−モノオキシカルボン酸、ジオキシカルボン酸を用いる。流動層触媒の場合には、この混合物を噴霧乾燥し、必要に応じ更に110〜150℃で乾燥後、焼成する。焼成は400〜700℃、好ましくは450〜650℃で数時間以上、空気を流通しながら実施する。なお、この焼成に先立って200〜400℃において予備焼成することが好ましい。
【0013】
本発明の目的とする気相接触流動反応は、炭素環化合物または複素環化合物と酸素含有ガスおよびアンモニアとの反応である。
原料の炭素環化合物は、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、シクロヘキセン、シクロヘキサン、ジヒドロナフタレン、テトラリン、デカリン等から選ばれる炭素環を有し、その側鎖にメチル基、エチル基、プロピル基、ホルミル基、アセチル基、ヒドロキシメチル基、メトキシカルボニル基等から選ばれた少なくとも一種を含有する炭素環化合物である。また、この炭素環化合物はハロゲン基、ヒドロキシル基、アルコキシル基、アミノ基、ニトロ基等を含んでいても使用できる。例えば、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、エチルベンゼン、メチルナフタレン、ジメチルナフタレン、メチルテトラリン、ジメチルテトラリン、クロロトルエン、ジクロロトルエン、メチルアミリン、クレゾール、メチルアニソール等が挙げられる。
【0014】
原料の複素環化合物は、フラン、ピロール、インドール、チオフェン、ピラゾール、イミアゾール、オキサゾール、ピラン、ピリジン、キノリン、イソキノリン、ピロリン、ピロリジン、イミドゾリン、イミダゾリジン、ペピリジン、ペピラジン等から選ばれた少なくとも一種を含有する複素環化合物であ。その側鎖には、上記した炭素環化合物と同様な置換基を含んでいても良い。例えば、フルフラール、2−メチルチオフェン、3−メチルチオフェン、2−ホルミルチオフェン、4−メチルチアゾール、メチルピリジン、ジメチルピリジン、トリメチルピリジン、メチルキノリン、メチルピラジン、ジメチルピラジン、メチルペピラジン等が挙げられる。これらの化合物は単独または混合物で使用できる。
【0015】
本発明に用いられる原料アンモニアは工業用グレードで良い。アンモニアの使用量は炭素環化合物または複素環化合物1モルに含まれるアルキル基1個に対して1〜10モル、好ましくは3〜5モルの範囲である。これより使用量が少ないと目的生成物の収率は低下し、一方、これより多いと空時収率が小さくなる。
本発明方法では、反応ガスに含まれる未反応アンモニアを回収し反応系に戻し再使用される。反応ガスから未反応アンモニアの回収方法は種々考えられるが、工業的には、前述のように、未反応アンモニアを水に吸収させた後、それを蒸留操作でアンモニアを他の副生物と分離するのが有利である。
【0016】
本発明においては反応器供給ガス中の水分濃度を12容量%以下、好ましくは10容量%以下とする。これより水分が多いとアンモ酸化反応が抑制され、目的生成物であるニトリルが減少すると共に、触媒のシンタリングが促進される為に触媒の活性低下が大きくなり、目的生成物を長期間、安定して得られない。
反応器供給ガス中の水分は大部分が回収されるアンモニア中に含まれるので、回収アンモニア中の水分を調製することによって反応器供給ガス中の水分を調整することができる。回収アンモニア中の水分は蒸留の操作条件によって調整されるが、通常は30容量%以下、好ましくは5〜20容量%の範囲に調整する。これより水分が少ないと目的生成物の収率低下はないが、回収アンモニアの精製操作にコストが嵩み、経済面で不利となる。
【0017】
アンモ酸化に用いられる酸素含有ガスとしては、通常空気が用いられる。別法として、空気または酸素を不活性ガス、例えば窒素、炭酸ガス、排ガス等で希釈して用いることもできる。酸素の使用量は、炭素環化合物または複素環化合物1モルに含まれるアルキル基1個に対して1.5倍モル以上、好ましくは2〜50倍モルの範囲である。これより使用量が少ないと目的生成物の収率が低下し、一方、これより多いと空時収率が小さくなる。
【0018】
アンモ酸化の反応温度は300〜500℃であり、好ましくは330〜470℃の範囲である。これより反応温度が低いと転化率が低く、一方、これより高いと二酸化炭素、シアン化水素等の生成が増加するので、目的生成物の収率が低下する。反応圧力は、通常、常圧で行われるが、必要に応じて加圧または減圧で実施できる。反応ガスと触媒との接触時間は、原料の種類、原料、空気およびアンモニアの仕込み組成、反応温度等によって異なるが、通常0.5〜30秒の範囲である。
本発明において反応生成物の捕集は、公知の方法、例えば、生成物が析出するに充分な温度まで冷却し捕集する方法、水その他適当な溶媒などで反応生成ガスを洗浄、捕集する方法などが使用される。
【0019】
【実施例】
次に実施例および比較例により、本発明を更に具体的に説明する。但し本発明はこれらの実施例により制限されるものでない。
【0020】
実施例1
(触媒調製)五酸化バナジウムV2 O5 229gに水500mlを加え、80〜90℃に加熱し、よく攪拌しながらシュウ酸477gを加え溶解する。またシュウ酸963gに水400mlを加え50〜60℃に加熱し、これに無水クロム酸CrO3 252gを水200mlに加えた溶液を、良く攪拌しながら加え溶解する。こうして得られたシュウ酸バナジルの溶液にシュウ酸クロムの溶液を50〜60℃にて混合し、バナジウム−クロム溶液を得る。この溶液にリンモリブデン酸H3 〔PMo12O40〕・20H2 O41.1gを水100mlに溶解して加え、更に、酢酸カリウムCH3 COOK 4.0gを水100mlに溶解して加える。次いで20重量%水性シリカゾル(Na2 Oを0.02重量%含有)2500gを加える。このスラリー溶液にホウ酸H3 BO3 78gを加えてよく混合し液量が約3800gになるまで加熱、濃縮する。この触媒溶液を入口温度250℃、出口温度130℃に保ちながら噴霧乾燥した。噴霧乾燥した触媒は130℃の乾燥器で12時間乾燥後、400℃で0.5時間仮焼成し、その後、550℃で8時間空気気流下焼成した。
この触媒の原子比は、V:Cr:B:Mo:P:Na:Kが1:1:0.5:0.086:0.007:0.009:0.020の割合で含有され、その触媒濃度は50重量%である。
【0021】
(触媒の活性試験)抵抗発熱体にて加熱された内径23mmの反応器にこの触媒40mlを充填し、メタキシレン3.2容量%、空気71.5容量%、水分5.0容量%を含有する回収アンモニア25.5容量%の混合ガスを供給し、この触媒で最高のイソフタロニトリル収率を与える温度である420℃、空時速度SV850Hr-1の条件で流動接触反応させた。この時の反応器供給ガス中の水分は1.3容量%である。反応の結果、初期のメタキシレンに対するイソフタロニトリルの収率は86.4mol%であった。その後、反応に熱負荷として450℃で300時間を与え、再び420℃においても、イソフタロニトリルの収率は85.9mol%であり、水分を調整した回収アンモニアを供給した反応において高収率で、且つ、経時的に安定した成績が得られた。
【0022】
実施例2
実施例1で調製した触媒で、メタキシレン2.9容量%、空気64.8容量%、水分25.0容量%を含有する回収アンモニア32.3容量%の混合ガスを反応器に供給し、この触媒で最高のイソフタロニトリル収率を与える温度である420℃、空時速度(SV)850Hr-1の条件で流動接触反応させた。この時の反応器供給ガス中の水分は8.1容量%である。反応の結果、初期のメタキシレンに対するイソフタロニトリルの収率は85.2mol%であった。その後、反応に熱負荷として450℃で300時間を与え、再び420℃においても、イソフタロニトリルの収率は83.1mol%であり、水分を調整した回収アンモニアを供給した反応において高収率で、且つ、経時的に安定した成績が得られた。
【0023】
実施例3
実施例1で調製した触媒で、3−メチルピリジン2.9容量%、空気64.8容量%、水分25.0容量%を含有する回収アンモニア32.3容量%の混合ガスを反応器に供給し、この触媒で最高の3−シアノピリジン収率を与える温度である390℃、空時速度(SV)810Hr-1の条件で反応された。この時の反応器供給ガス中の水分は8.1容量%である。反応の結果、初期の3−メチルピリジンに対する3―シアノピリジンの収率は85.3mol%であった。その後、反応に熱負荷として450℃で300時間を与え、再び390℃においても、3−シアノピリジンの収率は84.1mol%であり、水分を調整した回収アンモニアを供給した反応において高収率で、且つ、経時的に安定した成績が得られた。
【0024】
実施例4
実施例1で調製した触媒で、パラキシレン3.2容量%、空気71.5容量%、水分10.5容量%を含有する回収アンモニア25.3容量%の混合ガスを反応器に供給し、この触媒で最高のイソフタロニトリル収率を与える温度である410℃で反応した。この時の反応器供給ガス中の水分は2.7容量%である。反応の結果、初期のパラキシレンに対するテレフタロニトリルの収率は88.2mol%であった。その後、反応に熱負荷として450℃で300時間を与え、再び410℃においても、テレフタロニトリルの収率は87.7mol%であり、水分を調整した回収アンモニアを供給した反応において高収率で、且つ、経時的に安定した成績が得られた。
【0025】
実施例5
(触媒調製)実施例1の酢酸カリウムに代えて酢酸ナトリウムを用い、触媒を調製した。この触媒の原子比は、V:Cr:B:Mo:P:Naが1:1:0.5:0.086:0.007:0.021の割合で含有され、その触媒濃度は50重量%である。
【0026】
(触媒の活性試験)実施例1と同様に、メタキシレン3.2容量%、空気71.0容量%、水分5.2容量%を含有する回収アンモニア25.8容量%の混合ガスを反応器に供給し、この触媒で最高のイソフタロニトリル収率を与える温度である420℃、空時速度(SV)850Hr-1の条件で流動接触反応させた。この時の反応器供給ガス中の水分は1.3容量%である。反応の結果、初期のメタキシレンに対するイソフタロニトリルの収率は86.0mol%であった。その後、反応に熱負荷として450℃で300時間を与え、再び420℃においても、イソフタロニトリルの収率は84.7mol%であり、水分を調整した回収アンモニアを供給した反応において高収率で、且つ、経時的に安定した成績が得られた。
【0027】
実施例6
(触媒調製)濃硝酸700mlに水900mlを加え50〜60℃に加熱し、これに電解鉄92gを加え溶解する。そこに20重量%水性シリカゾル(Na2 Oを0.02重量%含有)1460gを加える。これに三酸化二アンチモンSb2 O3 359g及びホウ酸H3 BO3 39gを混合し、更に、酢酸カリウムCH3 COOK2.53gを水100mlに溶解して加える。その混合液を15%アンモニア水でpHを2に調整した後、100℃、3時間の熟成を行った。このスラリー溶液に硝酸クロム・9水和物Cr(NO3 )3 ・9H2 O33gを水400mlで溶解させたクロム液を加えスラリーを調製した。一方、五酸化バナジウムV2 O5 60gに水130mlを加え、80〜90℃に加熱し、よく攪拌しながらシュウ酸125gを加え溶解し、シュウ酸バナジル溶液を調製した。このシュウ酸バナジル溶液を先程のスラリーに加えよく攪拌し、触媒溶液を調製した。該触媒溶液を入口温度250℃、出口温度130℃に保ちながら噴霧乾燥した。噴霧乾燥した触媒は130℃の乾燥器で12時間乾燥後、400℃で0.5時間仮焼成し、その後、800℃で8時間空気気流下焼成した。この触媒のアルカリ金属濃度は0.21重量%であり、原子比はFe:Sb:V:Cr:B:Na:Kが1:1.5:0.4:0.5:0.77:0.011:0.031の割合で含有され、その触媒濃度は50重量%である。
【0028】
(触媒の活性試験)実施例1と同様に、メタキシレン3.2容量%、空気71.5容量%、水分5.0容量%を含有する回収アンモニア25.5容量%の混合ガスを反応器に供給し、この触媒で最高のイソフタロニトリル収率を与える温度である440℃、空時速度(SV)850Hr-1の条件で流動接触反応させた。この時の反応器供給ガス中の水分は1.3容量%である。反応の結果、初期のメタキシレンに対するイソフタロニトリルの収率は79.8mol%であった。その後、反応に熱負荷として450℃で300時間を与え、再び440℃においても、イソフタロニトリルの収率は79.7mol%であり、水分を調整した回収アンモニアを供給した反応において、経時的に安定した成績が得られた。
【0029】
比較例1
実施例1で調製した触媒で、メタキシレン2.6容量%、空気57.6容量%、水分39.2容量%を含有する回収アンモニア39.8容量%の混合ガスを反応器に供給し、この触媒で最高のイソフタロニトリル収率を与える温度である420℃、空時速度(SV)850Hr-1の条件で流動接触反応させた。この時の反応器供給ガス中の水分は15.6容量%である。反応の結果、初期のメタキシレンに対するイソフタロニトリルの収率は79.1mol%であった。その後、反応に熱負荷として450℃で300時間を与え、再び420℃におけるイソフタロニトリルの収率は75.3mol%であり、水分の高い回収アンモニアを原料に用いた反応においては、目的生成物のイソフタロニトリルの収率は低く、経時低下も大きいものであった。
【0030】
比較例2
実施例1で調製した触媒で、3−メチルピリジン2.6容量%、空気60.1容量%、水分35.0容量%を含有する回収アンモニア37.3容量%の混合ガスを反応器に供給し、この触媒で最高の3−シアノピリジン収率を与える温度である390℃、SV810Hr-1の条件で反応させた。この時の反応器供給ガス中の水分は13.0容量%である。反応の結果、初期の3−メチルピリジンに対する3―シアノピリジンの収率は80.1mol%であった。その後、反応に熱負荷として450℃で300時間を与え、再び390℃とした時の3−シアノピリジンの収率は75.3mol%であり、水分の高い回収アンモニアを供給した反応においては、目的生成物の3−シアノピリジンの収率は低く、経時低下も大きいものであった。
【0031】
比較例3
実施例1で調製した触媒で、パラキシレン2.7容量%、空気58.5容量%、水分40.1容量%を含有する回収アンモニア37.8容量%の混合ガスを反応器に供給し、この触媒で最高のテレフタロニトリル収率を与える温度である410℃、空時速度(SV)850Hr-1の条件で流動接触反応させた。この時の反応器供給ガス中の水分は15.2容量%である。反応の結果、初期のパラキシレンに対するテレフタロニトリルの収率は、78.1mol%であった。その後、反応に熱負荷として450℃で300時間を与え、再び410℃におけるイソフタロニトリルの収率は75.3mol%であり、水分の高い回収アンモニアを供給した反応においては、目的生成物のテレフタロニトリルの収率は低く、経時低下も大きいものであった。
【0032】
比較例4
実施例5で調製した触媒で、メタキシレン2.5容量%、空気56.9容量%、水分40.5容量%を含有する回収アンモニア40.6容量%の混合ガスを反応器に供給し、この触媒で最高のイソフタロニトリル収率を与える温度である420℃、空時速度(SV)850Hr-1の条件で流動接触反応させた。この時の反応器に供給ガス中の水分は16.5容量%である。反応の結果、初期のメタキシレンに対するイソフタロニトリルの収率は、76.7mol%であった。その後、反応に熱負荷として450℃で300時間を与え、再び420℃におけるイソフタロニトリルの収率は71.3mol%であり、水分を調整しない回収アンモニアを供給した反応においては、目的生成物のイソフタロニトリルの収率は低く、経時低下も大きいものであった。
【0033】
比較例5
実施例6で調製した触媒で、メタキシレン2.5容量%、空気56.9容量%、水分40.5容量%を含有する回収アンモニア40.6容量%の混合ガスを反応器に供給し、この触媒で最高のイソフタロニトリル収率を与える温度である440℃、空時速度(SV)850Hr-1の条件で流動接触反応させた。この時の原料ガス中の水分は16.4容量%である。反応の結果、初期のメタキシレンに対するイソフタロニトリルの収率は、76.7mol%であった。その後、反応に熱負荷として450℃で300時間を与え、再び440℃におけるイソフタロニトリルの収率は72.3mol%であり、水分を調整しない回収アンモニアを供給した反応においては、目的生成物のイソフタロニトリルの収率は低く、経時低下も大きいものであった。
【0034】
【発明の効果】
以上の実施例からも明らかなように、本発明により、バナジウム、モリブデンおよび鉄から選ばれる一種以上の金属酸化物を含む触媒を使用し、炭素環化合物または複素環化合物を気相接触流動反応によりアンモ酸化させた後、反応ガスから未反応アンモニアを回収し反応系に戻し再使用する場合に、反応器供給ガス中の水分濃度を12容量%以下とすることにより、ニトリル化合物を高収率で、長期間に渡り安定して得ることができる。
本発明の方法によれば、アンモ酸化において反応ガスから未反応アンモニアを回収して有効に用いることができるので、原料アンモニアの使用量を著しく削減することができ、工業的に極めて有利に芳香族ニトリルや複素環ニトリルを製造することができる。
Claims (3)
- 側鎖にメチル基を有する芳香族化合物または側鎖にメチル基を有する複素環化合物の気相接触流動アンモ酸化による芳香族ニトリルまたは複素環ニトリルの製造法において、バナジウム、モリブデンおよび鉄から選ばれる一種以上の金属酸化物を含む触媒を使用し、反応器供給ガス中の水分濃度を12容量%以下としてアンモ酸化を行い、反応生成ガスから未反応アンモニアを回収し、該回収アンモニアを反応系に循環使用することを特徴とするニトリル化合物の製造法。
- 触媒が(i)V、Moおよび鉄から選ばれる一種以上と(ii)Mg、Ca、Ba、La、Ti、Zr、Cr、W、Co、Ni、B、Al、Ge、Sn、Pb、P、Sb、Bi、Li、Na、K、RbおよびCsよりなる群から選ばれた少なくとも一種の元素を含有する金属酸化物をシリカに坦持させた触媒である請求項1記載のニトリル化合物の製造法。
- V、Cr、B、MoおよびPの金属酸化物とアルカリ金属をシリカに担持させた触媒を用いる請求項1記載のニトリル化合物の製造法。
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