JP2001171127A - インクジェット記録ヘッド用基体、インクジェット記録ヘッド、インクジェット記録ユニットおよびインクジェット記録装置 - Google Patents

インクジェット記録ヘッド用基体、インクジェット記録ヘッド、インクジェット記録ユニットおよびインクジェット記録装置

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JP2001171127A
JP2001171127A JP2000301845A JP2000301845A JP2001171127A JP 2001171127 A JP2001171127 A JP 2001171127A JP 2000301845 A JP2000301845 A JP 2000301845A JP 2000301845 A JP2000301845 A JP 2000301845A JP 2001171127 A JP2001171127 A JP 2001171127A
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照夫 尾▲崎▼
Kinu Shirota
衣 城田
Takashi Katsuragi
隆司 葛城
Hidehiko Kanda
英彦 神田
Masahiko Kubota
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 インクジェット記録ヘッド用基体において、
特に熱作用部にインクの熱分解物が堆積することを防
ぎ、長寿命のインクジェット記録ヘッド用基体を提供す
ることを目的とする。 【解決手段】 基板2001上に蓄熱層2002を介して形成さ
れ、インクを吐出するために利用される熱エネルギーを
発生する複数の発熱抵抗体2004を有するインクジェット
記録ヘッド用基体において、前記発熱抵抗体2004で発生
した熱がインクに作用する熱作用部2008に対応する領域
に超親水化処理が施されており、該領域の水との接触角
が5°以下となっていることを特徴とするインクジェッ
ト記録ヘッド用基体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、紙、プラスチック
シート、布、物品等を包含する記録保持体に対して、例
えばインク等の機能性液体等を吐出することにより文
字、記号、画像等の記録、印刷等を行うインクジェット
記録ヘッド(以下、単に「インクジェットヘッド」とも
称する)を構成するための基体、この基体を用いて構成
されるインクジェットヘッド、このインクジェットヘッ
ドに対して供給されるインクを貯溜するためのインク貯
溜部を含むインクジェットペン等の記録ユニット、及び
インクジェットヘッドが装着されるインクジェット装置
に関する。
【0002】なお、本発明におけるインクジェットペン
等の記録ユニットは、インクジェットヘッドとインク貯
溜部とを一体としたカートリッジ形態のものも、それら
を互いに別体として取り外し可能に組み合わせた形態の
ものも包含する。このインクジェットペン等の記録ユニ
ットは、装置本体側のキャリッジ等の搭載手段に対して
着脱自在に構成されている。また、本発明におけるイン
クジェット記録装置は、ワードプロセッサー、コンピュ
ーター等の情報処理機器の出力端末として一体的に、ま
たは別体として設けられるものの他、情報読み取り機器
等と組み合わされた複写装置、情報送受信機能を有する
ファクシミリ装置、布への捺染を行う機械等の種々の形
態を包含する。
【0003】
【従来の技術】インクジェット記録装置は、インクを微
小な液滴として吐出口から高速で吐出することにより、
高精細な画像の高速記録を行うことができるという特徴
を有している。特に、インクを吐出するために利用され
るエネルギーを発生するエネルギー発生手段として電気
変換体を用い、この電気変換体が発生するエネルギー、
特に熱エネルギーによって生ずるインクの発泡を利用し
てインクを吐出する方式のインクジェット記録装置は、
例えば米国特許第4723129号および米国特許第4
740796号に記載があるように画像の高精細性、高
速記録性、記録ヘッド及び装置の小型化やカラー化に適
していることから注目されている。
【0004】上記インクジェットヘッド用基体要部の一
般的な構成を図1に示す。
【0005】また、図2は、図1のインク流路に相当す
る部分のX−X'線切断のインクジェット記録ヘッド用
基体2000の模式的断面図である。
【0006】図1において、このインクジェット記録ヘ
ッドには、複数の吐出口1001が設けられ、また、こ
れからそれぞれインクを吐出するために利用される熱エ
ネルギーを発生する電気熱変換素子1002が各インク
流路1003ごとに基板1004上に設けられている。
【0007】電気熱変換素子1002は、主に発熱抵抗
体1005及びこれに電力を供給するための電極配線1
006並びにこれらを保護する絶縁膜1007により構
成される。また、各インク流路1003は複数の流路壁
1008が一体的に形成された天板を、基板1004上
の電気熱変換素子等との相対位置を画像処理等の手段に
より位置合わせしながら接合することで形成される。各
インク流路1003は、その吐出口1001と反対側の
端部が共通液室1009と連通しており、この共通液室
1009にはインクタンク(不図示)から供給されるイ
ンクが貯溜される。共通液室1009に供給されたイン
クは、ここから各インク流路1003に導かれ、吐出口
1001近傍でメニスカスを形成して保持される。この
とき電気熱変換素子1002を選択的に駆動させること
により、その発生する熱エネルギーを利用して熱作用面
上のインクを急激に加熱沸騰させ、この時の衝撃力によ
ってインクを吐出させる。
【0008】図2において、2001はシリコン基板、
2002はSiO2膜(熱酸化膜)、SiN膜等からな
る蓄熱層(層間膜)である。2003はヒーター部分、
2004は発熱抵抗体層、2005はAl、Al−S
i、Al−Cu等の金属配線、2006はSiO2膜、
SiN膜等からなる少なくとも1層の保護層を示す。2
010は、発熱抵抗体層2004の発熱に伴う化学的、
物理的衝撃から保護層2006を守るためのTa膜等か
らなる耐キャビテーション層である。また、2008は
発熱抵抗体層2004の熱作用部である。
【0009】この2008の熱作用部は、インクの発泡
のためのパルスの印加によって、発熱し、約300℃以
上の温度に達すると、その面に接していたインクが急激
に加熱沸騰する。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】このように熱作用部は
インクを発泡させるため、高温になっており、さらにヘ
ッドの製造バラツキや、本体の駆動バラツキを抑え、安
定して発泡をさせるためにインクの必要発泡エネルギー
より過剰にエネルギーを加える必要がありその結果、熱
作用部の温度はさらに上昇する。通常の駆動条件では、
この熱作用部の温度は瞬間的には450〜550℃まで
達していると考えられる。
【0011】このことによって、ヘッドの寿命に影響を
およぼす重大な問題が生じる場合がある。この問題と
は、インク中の染料あるいは顔料が高温にさらされるこ
とによって、分子鎖が切断されて生じた分解物が熱作用
部に堆積して「コゲ」として付着する現象すなわち「コ
ゲーション」が発生することである。
【0012】このコゲーションによって熱作用部に徐々
に分解物が堆積し、ついにはインクを安定的に発泡させ
ることが困難になり、ヘッドの寿命を左右することにな
る。
【0013】従来はこのコゲーションを防止するため
に、インク中の成分の改良、例えば染料や、インク中の
コゲ防止用成分の追加等の様々な対策が採られてきた。
【0014】しかしながら、現状のインクジェットプリ
ンターにおいては、インクを吐出して描いた画像に対す
る様々な要求が出されている。例えば、印字物の耐水
性、あるいは色間のブリード防止、さっか性の改善等で
ある。これらの要求を満たすためにインクの成分をさら
に改良する必要が生じてきた。ところがこれらの改良に
よって、過去に採られてきたコゲ防止対策が通用しなく
なる場合もあり、再びコゲに対する問題が生じているも
のもある。本発明は、このようなインクを用いた場合に
おいても、熱作用部のコゲの堆積を防止し、記録ヘッド
の寿命を延ばずことを課題とする。
【0015】特開平11-240156号公報には、熱
作用部に対応する領域に撥水膜を形成することにより、
熱作用部にコゲが固着しにくくし、それにより発泡の効
率低下を抑え、かつインクの安定した発泡を可能にする
ことが記載されている。
【0016】また、特開平11-42798号公報に
は、インク流路内に吐出するためのインクを充填する前
に、吐出するためのインクとは異なる表面張力及び揮発
性の低い液体を充填することにより、インク流路の内壁
面の疎水性薄膜を破壊し、それにより、インク流路の内
壁面をインクで濡れやすくして、インク流路内へのイン
クの充填を容易にすることが記載されている。しかし、
熱作用部におけるコゲの堆積防止については記載されて
おらず、また、コゲの堆積を防止する十分な効果が得ら
れるほど強い親水化が達成されるとは考えられない。
【0017】一方、「化学と工業」(48、1995、
1256−1258)には親水化処理によって汚れが自
然に落ちるガラスの記載があり、さらに「化学と工業」
(49(6)、1996、764−767)には光触媒
の効果の記述がある。
【0018】また、「応用物理」(64(8)、199
5、803−807)には材料物性についての記述があ
る。
【0019】これらはいずれも親水化処理、あるいは光
触媒親水化層を基材表面に形成することによって基材表
面への汚れの付着防止、あるいは汚れの分解を目ざして
いる。
【0020】本発明の目的はこれら親水化効果あるいは
光触媒親水化効果をさらに強力にした超親水化効果を熱
作用部に応用することによって、熱作用部におけるコゲ
の堆積を防止することができるインクジェット記録ヘッ
ド用基体、インクジェット記録ヘッド、インクジェット
記録ユニットおよびインクジェット記録装置を提供する
ことにある。
【0021】さらに本発明のもう一つの目的は、熱作用
部を超親水化することによって、熱作用部の熱を効率よ
く、インク中に伝えることができるインクジェット記録
ヘッド用基体、インクジェット記録ヘッド、インクジェ
ット記録ユニットおよびインクジェット記録装置を提供
することにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】本発明のインクジェット
記録ヘッド用基体は、基板上に絶縁層を介して形成さ
れ、インクを吐出するために利用される熱エネルギーを
発生する複数の発熱抵抗体を有するインクジェット記録
ヘッド用基体において、前記発熱抵抗体で発生した熱が
インクに作用する熱作用部に対応する領域に超親水化処
理がされており、該領域の水との接触角が5°以下とな
っていることを特徴とする。
【0023】さらに本発明のインクジェット記録ヘッド
用基体は、上記構成のインクジェット記録ヘッド用基体
において、前記発熱抵抗体上に、少なくとも1層からな
る保護層を介して耐キャビテーション性を有する上部保
護層として下記組成式(1): TaαFeβNiγCrδ…(1) (但し、10原子%≦α≦30原子%、且つ、α+β<
80原子%、且つ、α<β、且つ、δ>γ、且つ、α+
β+γ+δ=100原子%である。)のアモルファス化合
金層を有し、前記超親水化処理は、前記アモルファス化
合金層上に施されたものであることを特徴とする。
【0024】さらに本発明のインクジェット記録ヘッド
は、インクを吐出する吐出口と、該吐出口に連通し、前
記液体を吐出するための熱エネルギーを前記液体に作用
させる部分を有するインク流路と、該熱エネルギーを発
生させるための発熱抵抗体と、を備えるインクジェット
記録ヘッドにおいて、前記発熱抵抗体で発生した熱がイ
ンクに作用する熱作用部に対応する領域に超親水化処理
がされており、該領域の水との接触角が5°以下となっ
ていることを特徴とする。
【0025】さらに本発明のインクジェット記録ヘッド
は、上記構成のインクジェット記録ヘッドにおいて、前
記発熱抵抗体上に、少なくとも1層からなる保護層を介
して耐キャビテーション性を有する上部保護層として下
記組成式(1): TaαFeβNiγCrδ…(1) (但し、10原子%≦α≦30原子%、且つ、α+β<
80原子%、且つ、α<β、且つ、δ>γ、且つ、α+
β+γ+δ=100原子%である。)のアモルファス化合
金層を有し、前記超親水化処理は、前記アモルファス化
合金層上に施されたものであることを特徴とする。
【0026】さらに本発明のインクジェット記録ユニッ
トは、上記インクジェット記録ヘッドと、該インクジェ
ット記録ヘッドに供給されるインクを貯溜したインク貯
溜部とを有することを特徴とする。
【0027】さらに本発明のインクジェット記録装置
は、上記のインクジェット記録ヘッドと、該インクジェ
ット記録ヘッドを駆動するための記録信号を供給するた
めの記録信号供給手段とを備え、前記記録信号に基づい
て前記インクジェット記録ヘッドからインクを吐出して
記録を行うことを特徴とする。
【0028】以上のような本発明の構成により、熱作用
部におけるコゲの堆積が防止され、インク吐出性能が安
定するのみならず、インク中の成分に左右されにくい長
寿命のインクジェットヘッドを供給することが出来る。
さらに本発明の構成によって熱変換効率の向上したイン
クジェットヘッドを供給することができる。
【0029】特に、インクジェットヘッドの熱作用部を
超親水化することで熱作用面がインクに十分濡れやすく
なり、熱の伝わり方が向上し、発泡の効率が向上する。
【0030】また、本発明の構成において、キャビテー
ション衝撃により、超親水化処理を施した、熱作用部に
対応する領域が部分的に削られる場合があっても、この
領域に上部保護層として上述のアモルファス化合金層が
形成されていることにより、多様なインクを使用した場
合でも、インクによって上部保護層が腐食されにくく、
発熱抵抗体の発熱に伴う化学的、物理的衝撃から発熱抵
抗体を守ることができるため、インクジェットヘッドの
超寿命化を計ることができる。
【0031】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を図
面を用いて詳細に説明する。
【0032】図3(a)、図3(b)及び図9は本発明
にかかるインクジェット記録装置のヘッド部における発
熱抵抗体を有する電気熱変換体が基板上に形成された基
体のインク流路に沿った部分の模式的断面図である。す
なわち、図3(a)、図3(b)及び図9における電極
配線を構成する電極層2005の2つの対向する端部間に位
置する発熱抵抗体層2004の電極層で覆われていない部分
が発熱抵抗体を形成する。
【0033】図3(a)において、2001はシリコン基
板、2002はSiO2膜(熱酸化膜)、SiN膜等からな
る蓄熱層(層間膜)、2004は発熱抵抗体層、2005はA
l、Al−Si、Al−Cu等の金属材料からなる配線
としての電極層、2006はSiO2膜、SiN膜等からな
る絶縁層としても機能する保護層を示す。2007は、発熱
抵抗体の発熱に伴う化学的、物理的衝撃から保護層2006
を守るための上部保護層である。また、2008は発熱抵抗
体層2004の発熱抵抗体で発生した熱がインクに作用する
熱作用部である。この図3(a)の構成における保護層
2006の膜厚は通常、0.1〜2.0μmから選択され
る。
【0034】インクジェットヘッドにおける熱作用部
は、発熱抵抗体での熱発生により高温にさらされると共
に、インクの発泡、収縮に伴い、キャビテーション衝撃
や、インクによる化学的作用を主に受ける部分である。
よって、熱作用部には、このキャビテーション衝撃や、
インクによる化学的作用から電気熱変換素子を保護する
ために上部保護層2007が設けられる。
【0035】さらに、上部保護層には超親水化処理が施
されており、図3(a)では、超親水化処理として超親
水性を示す超親水化層2009が形成されている。この超親
水化層が形成された熱作用部の水との接触角は5°以下
となる。これは、熱作用部の水との接触角が0°以上5
°以下となることを意味し、さらには、本発明において
用いられるインクは水系のインクであるため、熱作用部
2008のインクとの接触角が0°以上5°以下となること
を意味する。
【0036】このような超親水化処理により、「コゲ」
と呼ばれる分解物が熱作用部2008に堆積することを防止
し、インクを安定的に発泡させることができるため、ヘ
ッドの寿命を延ばすことができる。また、熱作用部の超
親水化を行うことによって、「コゲ」防止の他、発泡の
熱効率を上げるという効果もある。すなわち、超親水化
することにより、インクが熱作用部を充分に濡らし、そ
れによって、インクへ熱が効率良く伝わり、発泡効率が
向上するのである。
【0037】超親水化処理としては、上記のように超親
水化層2009を形成することの他、フッ素プラズマ処理ま
たはエキシマUVオゾン処理のような超親水化表面処理
が好適に適用できる。
【0038】図3(a)、図3(b)及び図9におい
て、超親水化処理の一形態として形成された超親水化層
2009は、超親水化材料を用いて形成されており、超親水
性化材料の単層構造または超親水化材料と蓄水性材料と
の積層構造を有するものである。
【0039】超親水性材料としては、酸化チタン、酸化
亜鉛、酸化錫、酸化ニオブ、酸化タングステン、酸化モ
リブデン、酸化ジルコニウム、チタン酸ストロンチウム
等の金属酸化物、硫化カリウム、硫化カドミウム、硫化
亜鉛等の金属硫化物等が適用できる。
【0040】また、蓄水性材料としては、Ta25、S
iO2等が適用できる。超親水化材料と蓄水性材料との
積層構造を有する超親水化層としては、上記の超親水化
材料のいずれかと、上記の蓄水性材料のいずれかとのど
のような組み合わせの積層構造を有するものであっても
よい。
【0041】また、上記の超親水性材料には、光触媒作
用があり、光照射化における光触媒反応によって、熱作
用部表面に付着している微量の疎水分子が分解され、物
理吸着水の層が薄く形成されるため、超親水性を示すよ
うになる。上記の超親水化材料と蓄水性材料との積層構
造を有する超親水化層では、一度光の照射すればその後
は光を照射しなくても、蓄水性材料に物理吸着水が取り
込まれることより、超親水性が安定化しより長期間維持
される。
【0042】また、吐出特性の観点からすると、超親水
化処理は、図9に示すように熱作用部2008に対応する領
域にのみ行うことが好ましい。ここで、熱作用部に対応
する領域は、一対の電極間に位置する発熱抵抗体層とそ
の近傍領域とに対応する領域をも含むものである。
【0043】また、上部保護層2007として後述するアモ
ルファス化合金膜を形成せずに、超親水化材料である酸
化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、酸化ニオブ、酸化タング
ステン、酸化モリブデン、酸化ジルコニウム、チタン酸
ストロンチウム等からなる金属酸化物膜を形成すること
により、上部保護層2007と超親水化層2009を兼用するこ
ともできる。さらに、アモルファス合金膜ばかりでな
く、保護層2006としてのSiO2膜、SiN膜等も形成
せずに、これらの金属酸化物膜を形成することにより、
保護層2006、上部保護層2007及び超親水化層2009を兼用
することもできる。
【0044】また、図1において、発熱抵抗体1005
のうち、1005aは発熱抵抗体の周辺から内側に向か
って4μm程度の内側の、インクを吐出するための発泡
に寄与する領域、所謂、有効発泡領域であり、1005
bは有効発泡領域の周辺の発泡に寄与しない領域であ
る。
【0045】ここで、通常、コゲは主に有効発泡領域の
中央部分1010及び有効発泡領域の周辺領域1005
bの近傍に堆積し易いため、これらの領域にコゲが堆積
しないようにすることが重要である。有効発泡領域10
05aの中央部分1010はキャビテーション衝撃を受
け易いものの、この部分がキャビテーション衝撃によっ
て削られてしまう場合でも、そのように超親水化層が削
られることによって、この部分のコゲは除去されること
になる。無論、超親水化層の有効発泡領域1005aの
中央部分1010がキャビテーション衝撃によって削ら
れない場合には、この部分へのコゲの堆積は防止され
る。また、有効発泡領域の周辺領域1005bは、キャ
ビテーション衝撃を受けにくく超親水化層が削られにく
いため、この領域へのコゲの堆積は防止される。
【0046】したがって、キャビテーション衝撃によっ
て超親水化層が削られる場合でも削られない場合でも、
いずれにしてもコゲの堆積は効果的に防止される。上部
保護層2007は、上述したように高温にさらされると共
に、キャビテーション衝撃やインクによる化学的作用か
ら保護層、延いては発熱抵抗体を保護するためのもので
あるため、耐熱性、機械的特性、化学安定性、耐酸化
性、耐アルカリ性等に優れた膜特性が要求される。
【0047】そのため、この上部保護層2007の形成材料
として、下記組成式(1)で示される組成を有するアモ
ルファス化合金膜を用いることが好ましい。 TaαFeβNiγCrδ…(1) (但し、10原子%≦α≦30原子%、且つ、α+β<
80原子%、且つ、α<β、且つ、δ>γ、且つ、α+
β+γ+δ=100原子%である。)なお、上記組成式
(1)におけるαは、10原子%(at.%)≦α≦20a
t.%であることが好ましい。また、γ≧7at.%、且つ、
δ≧15at.%であることが好ましく、更に、γ≧8at.
%、且つ、δ≧17at.%であることがより好ましい。一
方、この上部保護層2007の膜厚は例えば10〜500n
m、さらには50〜200nmにすることが好ましい。
【0048】このアモルファス化合金膜ではTaの量が
10〜20at.%の範囲と、従来のTa系合金のものより
も低く設定してある。このような低Ta比を採用するこ
とで、合金に適度なアモルファス領域を付与して不動態
膜化し、腐食反応の起点となる結晶界面の存在個所を有
意に減少させ、耐キャビテーション性を良好なレベルに
維持しつつ、耐インク性を向上させることができる。
【0049】更に、アモルファス化合金膜の表面にその
構成成分の酸化物が存在する、好ましくはかかる酸化物
の膜でその表面が被覆されていることで、耐インク性が
更に向上したものとなっている。すなわち、このアモル
ファス化合金膜からなる上部保護層2007の少なくともイ
ンクとの接触面の表面は、上部保護層2007の構成成分の
酸化物膜で被覆されていることが好ましく、その酸化物
膜の膜厚は5nm以上30nm以下であることが好まし
い。
【0050】このように、上部保護層の表面にCrを主
体とする酸化膜を形成することにより、各種のインク、
特にCaやMgなどの2価金属塩やキレート錯体を形成
する成分が含有されたインクにおいても、不働態膜とし
ての効果が発揮され、各部からのインクによる侵食を防
止することができる。
【0051】上記Crを主体とする酸化膜の形成方法と
しては、上部保護層が形成された後に、大気中かあるい
は酸素雰囲気中で熱処理する方法を挙げることができ
る。例えば、オーブン中で50℃〜200℃に加熱処理
することにより行なわれる。あるいは、上部保護層をス
パッタリング装置で形成した後に、同装置に酸素ガスを
導入して加熱することにより酸化膜を形成してもよい。
または、インクジェットヘッド形態に構成した後に、パ
ルス印加の駆動を行うことにより酸化膜を形成してもよ
い。
【0052】また、図3(b)は、図3(a)の保護層
の構成を改良し、熱作用部における発熱抵抗体層2004か
らの熱エネルギーをインクにより有効に作用するよう
に、保護層を2層構成にし、かつ熱作用部下方領域での
保護層の厚さ(熱作用部表面から発熱抵抗体層までの距
離)を小さくしたものである。すなわち、SiO2膜、
SiN膜等からなる第1保護層2006を形成した後、パタ
ーニング等により熱作用部のみ第1保護層2006が形成さ
れないようにし、次に、同様にしてSiO2膜、SiN
膜等からなる第2保護層2006'を形成することにより熱
作用部の保護層の膜厚を薄くし、最後に上部保護層2007
を形成したものである。このように、熱作用部における
保護層をさらに薄膜化することにより、発熱抵抗体層20
04からの熱エネルギーは第2保護層2006'、上部保護層2
007を介してインクに伝達できるため、熱エネルギーを
一層有効に利用することができる。
【0053】上記構成における各部分は、周知の膜形成
方法に従って形成できる。なお、アモルファス化合金か
らなる上部保護層2007は、各種成膜法で作製可能である
が一般的には電源として高周波(RF)電源、または直流(D
C)電源を用いたマグネトロンスパッタリング法により形
成することができる。
【0054】図8は、アモルファス化合金膜からなる上
部保護層を成膜するスパッタリング装置の概要を示すも
のである。図8において、4001はあらかじめ所定の組
成、すなわち上記組成式(1)を満たすアモルファス化
合金層を得るために必要な組成に作製されたTa-Fe-Cr-N
iからなるターゲット、4002は平板マグネット、4011は
基板への成膜を制御するシャッター、4003は基板ホルダ
ー、4004は基板、4006はターゲット4001と基板ホルダー
4003に接続された電源である。さらに、図13におい
て、4008は成膜室4009の外周壁を囲んで設けられた外部
ヒーターである。外部ヒーター4008は、成膜室4009の雰
囲気温度を調節するのに使用される。基板ホルダー4003
の裏面には、基板の温度制御を行う内部ヒーター4005が
設けられている。基板4004の温度制御は、外部ヒーター
4008を併用して行うことが好ましい。
【0055】図8の装置を用いた成膜は、以下の様に行
われる。まず、排気ポンプ4007を用いて成膜室4009を1
ラ10-5〜1ラ10-6Paまで排気する。次いで、アルゴン
ガスを、マスフローコントローラー(不図示)を介して
ガス導入口4010から成膜室4009に導入される。この時、
基板温度及び雰囲気温度が所定の温度になるように内部
ヒーター4005、外部ヒーター4008を調節する。次に、電
源4006からターゲット4001にパワーを印加してスパッタ
リング放電を行い、シャッター4011を調節して、基板40
04の上に薄膜を形成させる。
【0056】アモルファス化合金からなる上部保護層の
成膜は、上記のTa-Fe-Cr-Niからなる合金ターゲットを
用いたスパッタリング法に限定されるばかりでなく、別
々のTaターゲットとFe-Cr-Niターゲットを用い、それぞ
れに接続された2台の電源からパワーを印加する、2元
同時反応性スパッタリング法により形成することも可能
である。この場合は、各々のターゲットに印加するパワ
ーを単独に制御することが可能となる。
【0057】また、上述したように、アモルファス化合
金膜からなる上部保護層の成膜の際には、基板の温度を
100〜300℃に加熱することにより強い膜付着力を
得ることができる。また、上述したような比較的運動エ
ネルギーの大きな粒子を形成できるスパッタリング法に
より成膜することにより、強い膜付着力を得ることがで
きる。
【0058】更に、上部保護層の膜応力としては、少な
くとも圧縮応力を有し、1.0ラ1010dyne/cm2以下にするこ
とにより同様に強い膜付着力を得ることができる。この
膜応力は、成膜装置に導入するArガス流量やターゲッ
トに印加するパワー、基板加熱温度を適宜設定すること
により調整すればよい。上述したアモルファス化合金膜
からなる上部保護層は、その下部に設けられる保護層が
厚い場合でも、薄い場合にも好適に適用できる。また、
本実施形態のインクジェットヘッド用基体は、シリコン
基板上に図5に示すような集積回路を組み込んだ構成と
してもよい。なお、図5の集積回路は、以下のような手
順で形成した。
【0059】P導電体のシリコン基板2401にAsな
どのドーパントをイオンインプランテーションおよび拡
散の手段により導入し、N型埋込層2402を形成し、
上層にN型エピタキシャル層2403を8μmの厚さに
形成した。
【0060】また、前記エピタキシャル層2403にB
などの不純物を導入し、P型ウエル領域2404を形成
した。その後、フォトリソグラフィと酸化拡散およびイ
オンインプランテーションなどの不純物導入を繰り返し
てN型エピタキシャル領域にP−MOS2450、P型
ウエル領域にN−MOS2451を構成した。
【0061】P−MOS2450およびN−MOS24
51はそれぞれ厚さ50nmのゲート絶縁膜を介して6
00nmの厚さにCVD法で堆積したpoly−Siに
よるゲート配線2415およびN型あるいはP型の不純
物を導入したソース領域2405、ドレイン領域240
6などで構成した。また、パワートランジスタとなるN
PN型トランジスタ部2452は、やはり不純物導入お
よび拡散などの工程によりN型エピタキシャル層中にコ
レクタ領域2411、ベース領域2412、エミッタ領
域2413などで構成した。
【0062】また、各素子間は、1000nmの厚さの
フィールド酸化膜により、酸化膜分離領域2453を形
成し、素子分離されている。このフィールド酸化膜は、
熱作用部2455下においては一層目蓄熱層2414と
して作用する。各素子が形成された後に、層間絶縁膜2
416が約700nmの厚さにCVD法によるPSG、
BPSGなどで溜され、熱処理により平坦化処理などを
されてからコンタクトホールを介し、一層目Al電極2
417により配線が行われた。
【0063】その後プラズマCVD法によってSiO2
の層間絶縁膜2418を約1.4μmの厚さに形成し
た。その後層間絶縁膜にフォトリソおよびドライエッチ
ングによって、下層のAlと層間絶縁膜をはさんで位置
する上層のAl/TaN層とコンタクトするためのスル
ーホールを形成した。スルーホール形成後は上述したシ
リコン基板の場合と同様にTaN層以降の工程を進めて
インクジェット用基体を完成させた。図4(a)は、本
発明のインクジェットヘッド用基体6001が適用され
たインクジェット記録ヘッドの一構成例を示す模式的断
面図である。
【0064】図4(a)においてインクタンク(不図
示)から共通液室2012を通ってインク流路2011に供給さ
れた各種インクは、図4(b)に示すように配線の
部、部に接続された駆動手段に電気的なパルス(図4
(b)においては、例えば2μ秒の信号)を与えられる
ことにより発熱抵抗体の熱作用部において加熱されて発
泡し、インクの吐出が行なわれる構造となっている。
【0065】図6は、本発明の一実施形態のインクジェ
ット記録ヘッド6000を示す模式的斜視図である。
【0066】本実施形態のインクジェット記録ヘッド6
000は、インクに気泡を発生させるための熱エネルギ
ーを与える複数個の発熱体(図4における熱作用部20
08。以下同様)が並列に設けられたインクジェットヘ
ッド用基体6001と、この基体上に接合された天板6
004とを有する。
【0067】また、インクジェットヘッド用基体600
1には、各発熱抵抗体を駆動するための電気信号を外部
から入力するための複数の電極パッド6009が設けら
れている。
【0068】天板6004には、各発熱抵抗体に対応し
た複数の液流路(図4(a)のインク流路2011。以
下同様)および各液流路にインクを供給するための共通
液室(図4(a)の共通液室2012。以下同様)を構
成するための溝が形成されており、天板6004は、イ
ンクジェットヘッド用基体6001と接合されることで
液流路および共通液室が構成される。インクジェットヘ
ッド用基体6001と天板6004との接合時には、液
流路を構成する溝が発熱抵抗体と一致するように両者が
位置合わせされ、これにより、それぞれ発熱抵抗体を有
する液流路が構成される。
【0069】また、天板6004には、インクを吐出す
るために各液流路にそれぞれ連通する複数の吐出口60
07、および外部から共通液室にインクを供給するため
のインク供給口6008が開口している。上記構成に基
づき、インク供給口6008から共通液室6006に供
給されて一時的に貯えられたインクは、毛管現象により
液流路に侵入し、吐出口6007でメニスカスを形成し
て液流路を満たした状態を保つ。このとき、電極(不図
示)を介して発熱抵抗体が通電されて発熱すると、発熱
抵抗体上のインクが急激に加熱されて液流路内には膜沸
騰に基づく気泡が発生し、この気泡の成長により吐出口
6007からインクが吐出される。
【0070】次に、上述したインクジェット記録ヘッド
6000が搭載されるインクジェット記録装置につい
て、図7を参照して説明する。
【0071】図7は、本発明のインクジェット記録装置
の一例を示す模式的斜視図である。図7において、本体
フレーム7551には、螺旋溝7553が刻まれたリー
ドスクリュー7552が回転自在に軸支されている。リ
ードスクリュー7552は、駆動モータ7559の正逆
回転に連動し、駆動力伝達ギア7560、7561を介
して回転駆動される。
【0072】さらに、本体フレーム7551には、キャ
リッジ7555を摺動自在に案内する案内レール755
4が固定されている。キャリッジ7555には、螺旋溝
7553に係合するピン(不図示)が設けられており、
駆動モータ7559の回転によりリードスクリュー75
52を回転させることで、キャリッジ7555が図示矢
印a、b方向に往復移動できるようになっている。紙押
え板7572は、キャリッジ7555の移動方向にわた
って、被記録媒体7590をプラテンローラ7573に
対して押圧する。
【0073】キャリッジ7555には、インクジェット
記録ユニット7580が搭載される。インクジェット記
録ユニット7580は、上述したインクジェット記録ヘ
ッドをインクタンクと一体化したカートリッジ形態のも
のであっても、それらを互いに別体として取り外し可能
に組み合わせた形態のものであってもよい。また、この
インクジェット記録ユニット7580は、キャリッジ7
555に設けられている位置決め手段および電気的接点
によってキャリッジ7555に固定支持されるととも
に、キャリッジ7555に対して着脱可能に設けられて
いる。
【0074】フォトカプラ7557、7558は、キャ
リッジ7555のレバー7556のこの域での存在を確
認して駆動モータ7559の回転方向の逆転等を行うた
めのホームポジション検知手段を構成する。インクジェ
ット記録ヘッドの前面(吐出口が開口した面)をキャッ
プするキャップ部材7567は、支持部材7562によ
って支持され、さらに吸引手段7566を備え、キャッ
プ内開口7568を介してインクジェット記録ヘッドの
吸引回復を行う。本体支持板7564には支持板756
5が取り付けられており、この支持板7565に摺動自
在に支持されたクリーニングプレード7563は、図示
しない駆動手段によって前後方向に移動される。クリー
ニングプレード7563の形態は図示するものに限られ
ず、公知のものが適用できることはいうまでもない。レ
バー7570は、インクジェット記録ヘッドの吸引回復
動作を開始するためのもので、キャリッジ7555と当
接するカム7571の移動に伴って移動し、駆動モータ
7559から駆動力がギア7569やラッチ切換え等の
公知の伝達手段によって移動制御される。
【0075】これらのキャッピング、クリーニング、吸
引回復の各処理は、キャリッジ7555がホームポジシ
ョン側領域に移動したときにリードスクリュー7552
の作用によって、それぞれの対応位置で行われるように
なっている。周知のタイミングで所望の動作を行うよう
にすれば、本例にはいずれも適用できる。
【0076】以上説明したインクジェット記録装置にお
いては、搭載したインクジェット記録ヘッドの電気熱変
換体を駆動するための記録信号をインクジェット記録ヘ
ッドに与える記録信号供給手段を有し、インクジェット
記録装置の動作を司る制御部を備えている。本実施形態
のインクジェット記録装置は、上述したインクジェット
記録ヘッドを搭載しているのでインクの吐出が安定し、
その結果、画像品位の劣化が少ない記録装置を達成する
ことができる。
【0077】
【実施例】以下に、本発明の実施の形態を複数の実施例
に基づいて詳細に説明する。但し、本発明は、以下に説
明する各実施例のみに限定されるものでなく、各実施例
の構成の組み合わせ等、本発明の目的を達成し得るもの
であれば良いことは勿論である。
【0078】(実施例1)以下に、図3(a)の断面図
を用いて実施例1を説明する。まず、シリコン基板2001
を1150℃のスチーム熱酸化によって6時間処理し、
約2μm程度のSiO2膜2002aを形成した。さらに、
CVD法により約1μmのSiN膜2002bを成膜した。
次にN2ガスを用いた反応性スパッタリング法によって
発熱抵抗体層2004としてTaN膜を約100nm形成し
た。次にスパッタリング法によって約600nmのAl
膜2005を形成した。次にAlはフォトリソ法によって配
線および電極パッドを形成し、TaNによりヒーター部
分の形成を行った。次に、CVD法により約1μmのS
iN膜を保護層2006として形成した。
【0079】次にスパッタリング法によって超親水化材
料であるTiO2を100nm、次いでスパッタリング
法によって蓄水性材料であるTa25を50nm形成
し、フォトリソ法によって所定の形状とすることによ
り、上部保護層2007と超親水化層2009を兼ねたTiO2
/Ta25層を形成した。最後にフォトリソ法によって
SiN膜を部分的に除去してAl電極パッド(不図示)
を露出させ、インクジェットヘッド用基体を完成させ
た。本実施例において、熱作用部の水との接触角は5°
以下であった。
【0080】このようにして作製したインクジェットヘ
ッド用基体と、各発熱抵抗体に対応した液流路及び各液
流路にインクを供給するための共通液室を構成するため
の溝が形成されたポリサルフォンからなる天板6004
とを接合してインクジェットヘッドを作製した。
【0081】さらに、このインクジェットヘッドを搭載
する上述したようなインクジェット記録装置を作製し
た。このようにして作製したインクジェット記録装置を
使用し、アゾ染料を用いた水系のインクを用いて吐出耐
久試験を行ったところ、吐出パルス数が1×108回の
とき、熱作用部にコゲはほとんど堆積していなかった。
【0082】(比較例1)それに対して、比較例とし
て、実施例1においてTiO2/Ta25層からなる超
親水化層を形成せず、熱作用部がSiN膜からなる保護
層であるヘッドであって、特開平11−42798号公
報に記載されるようにプロパノールとグリセリンの容積
率各50%の混合液をインク流路内に充填する処理を行
うことにより熱作用部を含むインク流路内壁の表面の疎
水性薄膜を破壊したヘッドでは、熱作用部の水との接触
角は20°程度であった。このヘッドを搭載したインク
ジェット記録装置を使用して、実施例1と同様に吐出耐
久試験を行ったところ、吐出パルス数が1×108回の
ときに、熱作用部に多量のコゲが堆積していた。
【0083】(実施例2)実施例1において、SiN膜
からなる保護層2006とTiO2/Ta25層との間に上
部保護層2007としてアモルファス化合金であるTa18Fe57
Ni8Cr17膜を形成してインクジェットヘッド用基体を作
製した。その他の構成は実施例1の構成と同一とした。
この上部保護層2007は、図8に示した装置で以下の条件
でのスパッタリング法により形成した。
【0084】まず、実施例1と同様の工程でSiNから
なる保護層2006形成する工程まで行ったシリコン基板20
01(図8における4004)を図8の装置の成膜室4009内の
基板ホルダー4003上にセットした。次いで、排気ポンプ
4007により成膜室4009内を8ラ10-6Paまで排気した。その
後、アルゴンガスをガス導入口4010から成膜室4009に導
入し、成膜室4009内の条件を以下のようにした。 [成膜条件] 基板温度:200℃ 成膜室内ガス雰囲気温度:200℃ 成膜室内混合ガス圧力:0.3Pa 次いで、TaターゲットとFe-Ni-Cr合金 (Fe74Ni8Cr18)タ
ーゲットを用いて、各ターゲットに投入するパワーを、
Taターゲットは300Wと固定し、Fe-Ni-Cr合金ターゲット
のパワーを可変とした2元スパッタリング法により保護
層2006上に200nmの膜厚でTa18Fe57Ni8Cr17膜を形成し
た。本実施例においても、熱作用部2008の水との接触角
は5°以下であった。
【0085】(実施例3)実施例1において、保護層20
06としてのSiN膜を形成せずに、TiO2を300n
mの膜厚で形成し、次いでTa25を100nmの膜厚
で形成することにより、保護層2006、上部保護層2007及
び超親水化層2009を兼ねたTiO2/Ta2 5層を形成
してインクジェットヘッド用基体を作製した。その他の
構成は実施例1の構成と同一とした。本実施例において
も、熱作用部2008の水との接触角は5°以下であった。 (実施例4)実施例1において、TiO2/Ta25
を形成する代わりに、SiN膜からなる保護層2006の表
面にフッ素プラズマ処理を行ってインクジェットヘッド
用基体を作製した。その他の構成については実施例1の
構成と同一とした。本実施例においても、熱作用部2008
の水との接触角は5°以下であった。
【0086】また、本実施例において、フッ素プラズマ
処理を行う代わりに、エキシマUVオゾン処理を行って
も同様であった。 (実施例5)実施例2において、TiO2/Ta25
を形成する代わりに、Ta18Fe57Ni8Cr 17膜からなる上部
保護層2007の表面にフッ素プラズマ処理を行ってインク
ジェットヘッド用基体を作製した。その他の構成につい
ては実施例1の構成と同一とした。本実施例において
も、熱作用部2008の水との接触角は5°以下であった。
また、本実施例において、フッ素プラズマ処理を行う代
わりに、エキシマUVオゾン処理を行っても同様であっ
た。
【0087】(実施例6)図9に示すように、実施例1
において、TiO2/Ta25層からなる超親水化層200
9を熱作用部に対応する領域のみに形成してインクジェ
ットヘッド用基体を作製した。その他の構成は実施例1
の構成と同一とした。本実施例において、超親水化層20
09は、実施例1と同様に形成した後、熱作用部2008に対
応する領域以外の部分をエッチングで除去することによ
り形成した。
【0088】本実施例においても、熱作用部2008の水と
の接触角は5°以下であった。
【0089】(実施例7)図9に示すように、実施例2
において、熱作用部2008に対応する領域のみにTiO2
/Ta25層からなる超親水化層2009を形成してインク
ジェットヘッド用基体を作製した。その他の構成は実施
例2の構成と同一とした。本実施例において、超親水化
層2009は、実施例1と同様に形成した後、熱作用部2008
に対応する領域以外の部分をエッチングで除去すること
により形成した。
【0090】本実施例においても、熱作用部2008の水と
の接触角は5°以下であった。 (実施例8)図9に示すように、実施例3において、熱
作用部2008に対応する領域のみにTiO2/Ta25
からなる超親水化層を形成してインクジェットヘッド用
基体を作製した。その他の構成は実施例3の構成と同一
とした。本実施例において、超親水化層2009は、実施例
3と同様に形成した後、熱作用部2008に対応する領域以
外の部分をエッチングで除去することにより形成した。
本実施例においても、熱作用部2008の水との接触角は5
°以下であった。
【0091】(実施例9)実施例4において、熱作用部
2008に対応する領域のみにフッ素プラズマ処理を行って
インクジェットヘッド用基体を作製した。その他の構成
は実施例4の構成と同一とした。本実施例において、フ
ッ素プラズマ処理は、熱作用部2008に対応する領域以外
の部分をマスクした後、実施例4と同様に行った。
【0092】本実施例においても、熱作用部2008の水と
の接触角は5°以下であった。
【0093】また、本実施例において、フッ素プラズマ
処理を行う代わりに、エキシマUVオゾン処理を行って
も同様であった。
【0094】(実施例10)実施例5において、熱作用
部2008に対応する領域のみにエキシマUVオゾン処理を
行ってインクジェットヘッド用基体を作製した。その他
の構成は実施例5の構成と同一とした。本実施例におい
て、フッ素プラズマ処理は、熱作用部2008に対応する領
域以外の部分をマスクした後、実施例5と同様に行っ
た。
【0095】本実施例においても、熱作用部2008の水と
の接触角は5°以下であった。また、本実施例におい
て、フッ素プラズマ処理を行う代わりに、エキシマUV
オゾン処理を行っても同様であった。
【0096】なお、実施例2〜10についても、実施例
1と同様の評価を行ったところ、実施例1と同様に良好
な結果が得られた。
【0097】
【発明の効果】本発明によれば、インクジェット記録ヘ
ッド用基体の熱作用部のインクに直接接触する部分を超
親水化することにより、熱作用部にインクの熱分解物が
堆積することを防ぐことが可能となる。
【0098】このことにより、インクを安定的に発泡さ
せることが可能となり、インク吐出性能が安定するのみ
ならず、インクジェットヘッドの寿命をのばすことが可
能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】インクジェット記録ヘッド用基体要部の一般的
な構成を示す模式的断面図である。
【図2】図1のインク流路に相当する部分のX−X'線
切断のインクジェット記録ヘッド用基体を示す模式的断
面図である。
【図3】本発明のインクジェット記録ヘッド用基体を示
す模式的断面図である。
【図4】(a)本発明のインクジェット記録ヘッド用基
体を適用したインクジェット記録ヘッドの一構成例を示
す模式的断面図である。(b)図4(a)のインクジェ
ット記録ヘッドの電気熱変換体を駆動するための駆動手
段を示す模式図である。
【図5】本発明のインクジェット記録ヘッド用基体を示
す模式的断面図であり、特に集積回路を組み込んだ基体
を示す模式的断面図である。
【図6】本発明の一実施形態のインクジェット記録ヘッ
ドを示す模式的斜視図である。
【図7】本発明の一実施形態のインクジェット記録ヘッ
ドが搭載されたインクジェット記録装置を示す模式的斜
視図である。
【図8】アモルファス化合金膜を成膜するためのマグネ
トロンスパッタリング装置の模式的断面図である。
【図9】本発明のインクジェット記録ヘッド用基体を示
す模式的断面図である。
【符号の説明】
1001 吐出口 1002 電気熱変換素子 1003 インク流路 1004 基体 1005 発熱抵抗体 1006 電極配線 1007 絶縁膜 1008 流路壁 1009 共通液室 2000 インクジェット記録ヘッド用基体 2001 シリコン基板 2002 蓄熱層 2003 ヒータ部分 2004 発熱抵抗体層 2005 金属配線 2006 保護層 2007 上部保護層 2008 熱作用部 2009 超親水化層 2010 耐キャビテーション層 2011 インク流路 2012 共通液室 2401 シリコン基板 2402 N型埋込層 2403 N型エピタキシャル層 2404 P型ウエル領域 2405 ソース領域 2406 ドレイン領域 2411 コレクタ領域 2412 ベース領域 2413 エミッタ領域 2414 蓄熱層 2415 ゲート配線 2416 層間絶縁膜 2417 Al電極 2418 層間絶縁膜 2450 P−MOS 2451 N−MOS 2452 NPN型トランジスタ部 2453 酸化膜分離領域 2455 熱作用部 6000 インクジェット記録ヘッド 6001 インクジェット記録ヘッド用基体 6004 天板 6007 吐出口 6008 インク供給口 6009 電極パッド 7551 本体フレーム 7552 リードスクリュー 7553 螺旋溝 7554 案内レール 7555 キャリッジ 7556 レバー 7557 フォトカプラ 7558 フォトカプラ 7559 駆動モータ 7560 駆動力伝達ギア 7561 駆動力伝達ギア 7562 支持部材 7563 クリーニングブレード 7564 本体支持板 7565 支持板 7566 吸引手段 7567 キャップ部材 7568 キャップ内開口 7569 ギア 7570 レバー 7571 カム 7572 紙押え板 7573 プラテンローラ 7580 インクジェット記録ユニット 7590 被記録媒体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 葛城 隆司 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤノ ン株式会社内 (72)発明者 神田 英彦 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤノ ン株式会社内 (72)発明者 久保田 雅彦 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤノ ン株式会社内 Fターム(参考) 2C057 AF66 AG05 AG12 AG39 AG46 AG83 AG88 AN01 AP02 AP52 AP53 AP56 AP59 AP61 AQ02 BA03 BA13

Claims (51)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に絶縁層を介して形成され、イン
    クを吐出するために利用される熱エネルギーを発生する
    発熱抵抗体を有するインクジェット記録ヘッド用基体に
    おいて、 前記発熱抵抗体で発生した熱がインクに作用する熱作用
    部に対応する領域に超親水化処理が施されており、該領
    域の水との接触角が5°以下となっていることを特徴と
    するインクジェット記録ヘッド用基体。
  2. 【請求項2】 前記超親水化処理は、前記熱作用部に対
    応する領域のみに施されている請求項1に記載のインク
    ジェット記録ヘッド用基体。
  3. 【請求項3】 前記熱作用部に対応する領域は、一対の
    電極間に位置する発熱抵抗体層とその近傍領域とに対応
    する領域である請求項1または2に記載のインクジェッ
    ト記録ヘッド用基体。
  4. 【請求項4】 前記超親水化処理は、前記熱作用部に対
    応する領域に超親水化層が形成されることである請求項
    1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録ヘッ
    ド用基体。
  5. 【請求項5】 前記超親水化層は、超親水性材料による
    単層構造で形成されている請求項4に記載のインクジェ
    ット記録ヘッド用基体。
  6. 【請求項6】 前記超親水化層は、超親水性材料と蓄水
    性材料との積層構造を有する請求項4に記載のインクジ
    ェット記録ヘッド用基体。
  7. 【請求項7】 前記蓄水性材料は、Ta25またはSi
    2である請求項6に記載のインクジェット記録ヘッド
    用基体。
  8. 【請求項8】 前記超親水性材料は、光触媒作用を有す
    る請求項5〜7のいずれか1項に記載のインクジェット
    記録ヘッド用基体。
  9. 【請求項9】 前記超親水性材料は、酸化チタン、酸化
    亜鉛、酸化錫、酸化ニオブ、酸化タングステン、酸化モ
    リブデン、酸化ジルコニウム、チタン酸ストロンチウ
    ム、硫化カリウム、硫化カドミウム、硫化亜鉛のいずれ
    かである請求項5〜8のいずれか1項に記載のインクジ
    ェット記録ヘッド用基体。
  10. 【請求項10】 前記超親水性材料は、耐キャビテーシ
    ョン性を有する請求項5〜8のいずれか1項に記載のイ
    ンクジェット記録ヘッド用基体。
  11. 【請求項11】 前記耐キャビテーション性を有する超
    親水性材料は、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、酸化ニ
    オブ、酸化タングステン、酸化モリブデン、酸化ジルコ
    ニウム、チタン酸ストロンチウムのいずれかである請求
    項10に記載のインクジェット記録ヘッド用基体。
  12. 【請求項12】 前記超親水化処理は、超親水化表面処
    理である請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジ
    ェット記録ヘッド用基体。
  13. 【請求項13】 前記超親水化表面処理は、フッ素プラ
    ズマ処理またはエキシマUVオゾン処理である請求項1
    2に記載のインクジェット記録ヘッド用基体。
  14. 【請求項14】 前記発熱抵抗体上に、少なくとも1層
    からなる保護層を介して耐キャビテーション性を有する
    上部保護層として下記組成式(1): TaαFeβNiγCrδ…(1) (但し、10原子%≦α≦30原子%、且つ、α+β<
    80原子%、且つ、α<β、且つ、δ>γ、且つ、α+
    β+γ+δ=100原子%である。)のアモルファス化合
    金層を有し、前記超親水化処理は、前記アモルファス化
    合金層上に施されたものである請求項1〜13のいずれ
    か1項に記載のインクジェット記録ヘッド用基体。
  15. 【請求項15】 前記組成式(1)において10原子%
    ≦α≦20原子%である請求項14に記載のインクジェ
    ット記録ヘッド用基体。
  16. 【請求項16】 前記組成式(1)においてγ≧7原子
    %、且つ、δ≧15原子%である請求項14または15
    に記載のインクジェット記録ヘッド用基体。
  17. 【請求項17】 前記組成式(1)においてγ≧8原子
    %、且つ、δ≧17原子%である請求項14〜16のい
    ずれか1項に記載のインクジェット記録ヘッド用基体。
  18. 【請求項18】 前記上部保護層の表面を、該上部保護
    層の構成成分の酸化物膜が被覆している請求項14〜1
    7のいずれか1項に記載のインクジェット記録ヘッド用
    基体。
  19. 【請求項19】 前記酸化物膜はCrを主体とする酸化
    膜である請求項18に記載のインクジェット記録ヘッド
    用基体。
  20. 【請求項20】 前記酸化物膜の膜厚が、5nm以上3
    0nm以下である請求項18または19に記載のインク
    ジェット記録ヘッド用基体。
  21. 【請求項21】 前記上部保護層の膜厚が、10nm以
    上500nm以下である請求項14〜20のいずれか1
    項に記載のインクジェット記録ヘッド用基体。
  22. 【請求項22】 前記上部保護層の膜厚が、50nm以
    上200nm以下である請求項14〜21のいずれか1
    項に記載のインクジェット記録ヘッド用基体。
  23. 【請求項23】 前記上部保護層の膜応力が、圧縮応力
    であって、1.0×1010dyne/cm2以下である
    請求項14〜22のいずれか1項に記載のインクジェッ
    ト記録ヘッド用基体。
  24. 【請求項24】 インクを吐出する吐出口と、該吐出口
    に連通し、前記液体を吐出するための熱エネルギーを前
    記液体に作用させる部分を有するインク流路と、該熱エ
    ネルギーを発生させるための発熱抵抗体と、を備えるイ
    ンクジェット記録ヘッドにおいて、 前記発熱抵抗体で発生した熱がインクに作用する熱作用
    部に対応する領域に超親水化処理が施されており、該領
    域の水との接触角が5°以下となっていることを特徴と
    するインクジェット記録ヘッド。
  25. 【請求項25】 前記超親水化処理は、前記熱作用部に
    対応する領域のみに施されている請求項24に記載のイ
    ンクジェット記録ヘッド。
  26. 【請求項26】 前記熱作用部に対応する領域は、一対
    の電極間に位置する発熱抵抗体層とその近傍領域とに対
    応する領域である請求項24または25に記載のインク
    ジェット記録ヘッド。
  27. 【請求項27】 前記超親水化処理は、前記熱作用部に
    対応する領域に超親水化層が形成されることである請求
    項24〜26のいずれか1項に記載のインクジェット記
    録ヘッド。
  28. 【請求項28】 前記超親水化層は、超親水性材料によ
    る単層構造で形成されている請求項27に記載のインク
    ジェット記録ヘッド。
  29. 【請求項29】 前記超親水化層は、超親水性材料と蓄
    水性材料との積層構造を有する請求項27に記載のイン
    クジェット記録ヘッド。
  30. 【請求項30】 前記蓄水性材料は、Ta25またはS
    iO2である請求項29に記載のインクジェット記録ヘ
    ッド。
  31. 【請求項31】 前記超親水性材料は、光触媒作用を有
    する請求項28〜30のいずれか1項に記載のインクジ
    ェット記録ヘッド。
  32. 【請求項32】 前記超親水性材料は、酸化チタン、酸
    化亜鉛、酸化錫、酸化ニオブ、酸化タングステン、酸化
    モリブデン、酸化ジルコニウム、チタン酸ストロンチウ
    ム、硫化カリウム、硫化カドミウム、硫化亜鉛のいずれ
    かである請求項28〜31のいずれか1項に記載のイン
    クジェット記録ヘッド。
  33. 【請求項33】 前記超親水性材料は、耐キャビテーシ
    ョン性を有する請求項28〜31のいずれか1項に記載
    のインクジェット記録ヘッド。
  34. 【請求項34】 前記耐キャビテーション性を有する超
    親水性材料は、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、酸化ニ
    オブ、酸化タングステン、酸化モリブデン、酸化ジルコ
    ニウム、チタン酸ストロンチウムのいずれかである請求
    項33に記載のインクジェット記録ヘッド。
  35. 【請求項35】 前記超親水化処理は、超親水化表面処
    理である請求項24〜26のいずれか1項に記載のイン
    クジェット記録ヘッド。
  36. 【請求項36】 前記超親水化表面処理は、フッ素プラ
    ズマ処理またはエキシマUVオゾン処理である請求項3
    5に記載のインクジェット記録ヘッド。
  37. 【請求項37】 前記発熱抵抗体上に、少なくとも1層
    からなる保護層を介して耐キャビテーション性を有する
    上部保護層として下記組成式(1): TaαFeβNiγCrδ…(1) (但し、10原子%≦α≦30原子%、且つ、α+β<
    80原子%、且つ、α<β、且つ、δ>γ、且つ、α+
    β+γ+δ=100原子%である。)のアモルファス化合
    金層を有し、前記超親水化処理は、前記アモルファス化
    合金層上に施されたものである請求項24〜36のいず
    れか1項に記載のインクジェット記録ヘッド。
  38. 【請求項38】 前記組成式(1)において10原子%
    ≦α≦20原子%である請求項37に記載のインクジェ
    ット記録ヘッド。
  39. 【請求項39】 前記組成式(1)においてγ≧7原子
    %、且つ、δ≧15原子%である請求項37または38
    に記載のインクジェット記録ヘッド。
  40. 【請求項40】 前記組成式(1)においてγ≧8原子
    %、且つ、δ≧17原子%である請求項37〜39のい
    ずれか1項に記載のインクジェット記録ヘッド。
  41. 【請求項41】 前記上部保護層の表面を、該上部保護
    層の構成成分の酸化物膜が被覆している請求項37〜4
    0のいずれか1項に記載のインクジェット記録ヘッド。
  42. 【請求項42】 前記酸化物膜はCrを主体とする酸化
    膜である請求項41に記載のインクジェット記録ヘッ
    ド。
  43. 【請求項43】 前記酸化物膜の膜厚が、5nm以上3
    0nm以下である請求項41または42に記載のインク
    ジェット記録ヘッド。
  44. 【請求項44】 前記上部保護層の膜厚が、10nm以
    上500nm以下である請求項37〜43のいずれか1
    項に記載のインクジェット記録ヘッド。
  45. 【請求項45】 前記上部保護層の膜厚が、50nm以
    上200nm以下である請求項37〜44のいずれか1
    項に記載のインクジェット記録ヘッド。
  46. 【請求項46】 前記上部保護層の膜応力が、圧縮応力
    であって、1.0×1010dyne/cm2以下である
    請求項37〜45のいずれか1項に記載のインクジェッ
    ト記録ヘッド。
  47. 【請求項47】 請求項24〜46のいずれか1項に記
    載のインクジェット記録ヘッドと、該インクジェット記
    録ヘッドに供給されるインクを貯溜したインク貯溜部と
    を有することを特徴とするインクジェット記録ユニッ
    ト。
  48. 【請求項48】 前記インクジェット記録ヘッドとイン
    ク貯溜部とが一体化されたカートリッジの形態を有する
    請求項47に記載のインクジェット記録ユニット。
  49. 【請求項49】 前記インクジェット記録ヘッドとイン
    ク貯溜部とが互いに着脱自在に接続されている請求項4
    7に記載のインクジェット記録ユニット。
  50. 【請求項50】 請求項24〜46のいずれか1項に記
    載のインクジェット記録ヘッドと、該インクジェット記
    録ヘッドを駆動するための記録信号を供給するための記
    録信号供給手段とを備え、前記記録信号に基づいて前記
    インクジェット記録ヘッドからインクを吐出して記録を
    行うインクジェット記録装置。
  51. 【請求項51】 請求項47〜49のいずれか1項に記
    載のインクジェット記録ユニットを着脱可能に保持する
    ための保持手段と、前記インクジェット記録ヘッドを駆
    動するための記録信号を供給するための記録信号供給手
    段とを備え、前記記録信号に基づいて前記インクジェッ
    ト記録ヘッドからインクを吐出して記録を行うインクジ
    ェット記録装置。
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