JP2004209751A - 発熱抵抗体薄膜、それを用いたインクジェットヘッド及びインクジェット装置、ならびにこれらの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】インクジェットヘッドやインクジェット装置の電気熱変換体の構成に好適な高耐久性でかつ高抵抗値を達成した発熱抵抗体を提供すること。
【解決手段】Cr:15〜30原子%、Si:40〜60原子%、O:1〜10原子%、N:10〜50原子%の組成を有し、これらで100原子%となる発熱抵抗体薄膜を発熱抵抗体として用いる。
【選択図】 なし
【解決手段】Cr:15〜30原子%、Si:40〜60原子%、O:1〜10原子%、N:10〜50原子%の組成を有し、これらで100原子%となる発熱抵抗体薄膜を発熱抵抗体として用いる。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット方式により、紙、プラスチックシート、布、各種物品等からなる記録媒体に対して、インクを吐出して文字、記号、画像等の記録、印刷等を行うインクジェット装置の吐出用の熱エネルギー発生手段としての電気熱変換体を構成するのに好適な発熱抵抗体膜、該発熱抵抗体膜を用いた電気熱変換体を有するインクジェットヘッド用基体及びインクジェット装置、ならびにこれらの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット装置は、吐出口から記録用等の機能性液体(以下「インク」と総称する。)を記録媒体に吐出させて文字、記号、画像等の記録やインクに含まれる成分の各種表面への付与を行うための構成を有するもので、インクを微小な液滴として吐出口から高速で吐出することにより、高精細な画像の高速記録を行うことができるという特徴を有している。特に、インクを吐出するために利用されるエネルギーを発生するエネルギー発生手段として電気熱変換体を用い、この電気熱変換体が発生する熱エネルギーによって生ずるインクの発泡を利用してインクを吐出する方式のインクジェット装置は、画像の高精細化、高速記録化、記録ヘッド及び装置の小型化やカラー化に適していることから近年注目されている。(例えば米国特許第4723129号明細書(特許文献1)及び米国特許第4740796号明細書(特許文献2)参照)。
【0003】
インクジェット装置の構成に使用されるヘッドの基板要部の一般的な構成を図1に示す。また、図2は、図1のインク流路に相当する部分のX−X’線で切断したインクジェット記録ヘッド用基体2000の模式的断面図である。
【0004】
図1に示すインクジェット記録ヘッドには複数の吐出口1001が設けられ、また、これからそれぞれインクを吐出するために利用される熱エネルギーを発生する電気熱変換体1002が各インク流路1003毎に基板1004上に設けられている。電気熱変換体1002は、少なくとも、発熱抵抗体1005と、これに接続されて電力を供給するための一対の電極配線1006と、を有して構成され、図1に示す装置では、発熱抵抗体1005の上部のインクへの熱作用面を形成する部分を少なくとも覆う保護層としての絶縁膜1007が設けられている。
【0005】
また、各インク流路1003は複数の流路壁1008が一体的に形成された天板を、基板1004上の電気熱変換体等との相対位置を画像処理等の手段により位置合わせしながら接合することで形成される。各インク流路1003は、その吐出口1001と反対側の端部が共通液室1009と連通しており、この共通液室1009にはインクタンク(図示せず)から供給されるインクが貯留される。
【0006】
共通液室1009に供給されたインクは、ここから各インク流路1003に導かれ、吐出口1001近傍でメニスカスを形成して保持される。この時、電気熱変換素子1002を選択的に駆動させることにより、その発生する熱エネルギーを利用して熱作用面上のインクを急激に加熱沸騰させ、この時の衝撃力によってインクを吐出させる。
【0007】
このインクジェットヘッドの有する基体部分は、図2に示すとおり、シリコン基板2001上に、シリコン基板表面の熱酸化膜からなる蓄熱層2002、蓄熱機能を兼ねるSiO膜、SiN膜等からなる層間膜2003、発熱抵抗層2004、Al、Al−Si、Al−Cu等の金属あるいは合金からなる電極層から構成される金属配線2005、SiO膜、SiN膜等からなる保護層2006及び耐キャビテーション膜2007を、この順に形成した構造を有する。また、なお耐キャビテーション膜2007は、発熱抵抗層2004の発熱に伴う化学的、物理的衝撃から保護膜2006を守るためのもので、インクとの接触面となる部分に熱作用部2008を形成している。図1に示した発熱抵抗体1005は、発熱抵抗層2004の所定部を電極層2005間に所定の形状で露出させた部分として形成される。
【0008】
このような構造を有するインクジェット装置の記録ヘッドに用いられる発熱抵抗体としては、以下のような特性が要求される。
(1)発熱抵抗体として熱応答性に優れ、瞬時にインクの吐出を可能とする。
(2)高速及び連続の駆動に対して、抵抗値変化が少なく、インクの発泡状態が安定している。
(3)耐熱性、熱応力性に優れ、寿命が長く信頼性が高い。
これらの要求を満たすインクジェットヘッドに使用される発熱抵抗層として特開平7−125218号公開公報(特許文献3)には、発熱抵抗体材料にTaN膜を用いる構成が開示されている。このTaN膜における特性安定性、特に長期繰り返し記録時の抵抗変化率は、TaN膜の組成と強い相関関係が有り、中でもTaN0.8hexを含む窒化タンタルで構成された発熱抵抗体は、上記長期繰り返し記録時の抵抗変化率が少なく吐出安定性に優れているものである。
【0009】
一方、CrSiO膜は、特公昭63−016272号公報(特許文献4)、特公平1−47871号公報(特許文献5)、特公平4−04721号公報(特許文献6)、特公平4−60835号公報(特許文献7)、米国特許第4343986号明細書(特許文献8)、米国特許第4460494号明細書(特許文献9)、米国特許第4517444号明細書(特許文献10)等に開示されている。また、CrSiN膜は、特公平2−18651号公報(特許文献11)、米国特許第4392992号明細書(特許文献12)、米国特許第4510178号明細書(特許文献13)、米国特許第459182号明細書(特許文献14)等により開示されている。
【0010】
【特許文献1】
米国特許第4723129号明細書
【特許文献2】
米国特許第4740796号明細書
【特許文献3】
特開平7−125218号公開公報
【特許文献4】
特公昭63−016272号公報
【特許文献5】
特公平1−47871号公報
【特許文献6】
特公平4−04721号公報
【特許文献7】
特公平4−60835号公報
【特許文献8】
米国特許第4343986号明細書
【特許文献9】
米国特許第4460494号明細書
【特許文献10】
米国特許第4517444号明細書
【特許文献11】
特公平2−18651号公報
【特許文献12】
米国特許第4392992号明細書
【特許文献13】
米国特許第4510178号明細書
【特許文献14】
米国特許第459182号明細書
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前述したように、インクジェット装置においては、近年、装置の高画質化、高速記録等の高機能化がますます要求されている。このうち、高画質化に対しては、発熱抵抗体の平面形状におけるサイズ(ヒーターサイズ)を小さくすることにより、1ドット当りの吐出量を少なくし小ドット化により画質を向上する方法がある。また、高速記録を行うためには、これまでよりさらに発熱抵抗体に印加する信号のパルス幅を短くした駆動を行うことにより、駆動周波数を上げる方法がある。
【0012】
一方、個人的使用のために小型化される傾向にあり、例えば、二次電池が組み込まれた小型のインクジェット装置が市販されている。このような小型のインクイジェット装置では、市販されている通常の二次電池はその電圧が10V前後であるので、駆動パルスの幅(駆動時間)を短くして高速駆動による高速記録を達成するために、所定のコンバーターを組み込む場合が多い。
【0013】
しかしながら、上述のように高画質化や小型化に対応するためヒーターサイズを更に小さくしていくと、高周波数での駆動時における十分な発熱量を確保するためには、発熱抵抗体のシート抵抗値を更に大きくする必要が生じてくる。
【0014】
図3により、このようなヒーターサイズの差異による各種駆動条件の関係を概略的に説明する。図3(a)は駆動電圧が一定の時にヒーターサイズが大きいもの(A)から、小さいもの(B)に変化した時の駆動パルス幅に対する発熱抵抗体のシート抵抗値および電流値の変化を示すものである。また、図3(b)は、同様にして駆動パルス幅が一定の時にヒーターサイズが変化した時の、駆動電圧に対する発熱抵抗体のシート抵抗値および電流値の関係を示すものである。これらの図における駆動条件と発熱抵抗体のサイズとの関係から明らかなとおり、ヒーターサイズを小さくした時に、従来と同一条件で駆動させるためにはシート抵抗値を大きくする必要がある。また、エネルギーの関係から、シート抵抗値を大きくし、駆動電圧を高くして駆動させる方法では消費される電流値が小さくなり、省エネが達成できる。特に、発熱抵抗体を複数配置した構成の場合はその効果は大きくなる。
【0015】
ところが、前述したように現在インクジェット記録ヘッドに用いられているHfB2、TaN、TaAlもしくはTaSiN等の発熱抵抗体の比抵抗値は、200〜800μΩ・cm程度である。発熱抵抗体の製造安定性、インクジェットヘッドに組み込んだ際のインク吐出の特性安定性等を考慮した場合に発熱抵抗体の膜厚の限界は400Å程度となり、これらの材料から構成される発熱抵抗体のシート抵抗値の上限は200Ω/□程度となると考えられる。従って、それ以上のシート抵抗値を得る場合により好適な発熱抵抗体材料を得ることは、ヒーターサイズの更なる微小化を進める上で重要となってきている。
【0016】
このように、従来、短パルス駆動による熱応答性に優れ、高いシート抵抗値を有することができ、かつヒーターサイズの更なる微小化に好適な発熱抵抗体材料が求められている。
【0017】
一方、記録画像の高精細化に伴い、ヒーターサイズを小さくすることにより小さなインク滴を記録するためには、従来の発熱抵抗体を使用する限りにおいては、電流値が増加し、発熱による問題が避けられない場合が多い。
【0018】
従って、本発明の主たる目的は、従来のインクジェット記録ヘッド用の発熱抵抗体材料にかかる上述した諸問題を解決し、高品位な記録画像を長期にわたって得ることを可能にする発熱抵抗体として好適な発熱抵抗体薄膜及びその製造方法を提供することにある。本発明の他の目的は、記録画像の高精細化に対応した小ドット化や高速記録に対応した高速駆動においても、安定したインクの吐出を可能とする発熱抵抗体薄膜を電気熱変換体の発熱抵抗体として有するインクジェット装置、その構成に用いるインクジェットヘッド用基体及びこれらの製造方法を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成し得る本発明にかかる発熱抵抗体膜は、Cr、Si、O及びNからなる発熱抵抗体薄膜であって、
以下の組成:
Cr:15〜30原子%
Si:40〜60原子%
O:1〜10原子%
N:10〜50原子%
を有し、これらで100原子%となることを特徴とするものである。
【0020】
前記発熱抵抗体薄膜は、窒素ガス、酸素ガス及びアルゴンガスを含む混合ガス雰囲気中でCrSi合金をターゲットとした反応性スパッタリング法により形成されたものであることが好ましい。
【0021】
本発明にかかるインクジェットヘッド用基体は、インクを吐出するために利用される熱エネルギーを通電により発生する発熱抵抗体を有する電気熱変換体を基板上に備えたインクジェットヘッド用基体において、
前記発熱抵抗体が、Cr、Si、O及びNからなり、以下の組成:
Cr:15〜30原子%
Si:40〜60原子%
O:1〜10原子%
N:10〜50原子%
を有し、これらで100原子%となる発熱抵抗体薄膜であることを特徴とするものである。
【0022】
上記の基体における発熱抵抗体薄膜の厚さは、300Å以上、800Å以下であることが好ましい。上記電気熱変換体は、前記発熱抵抗体に通電するための一対の電極を有する構成とすることができる。上記のインクジェットヘッド用基体は前記熱エネルギーをインクに作用させる熱作用面を有し、該熱作用面が少なくとも前記発熱抵抗体を覆う保護層により構成されているものとすることができる。前記発熱抵抗体は複数設けることができる。上記の基体における発熱抵抗体薄膜としては、窒素ガス、酸素ガス及びアルゴンガスを含む混合ガス雰囲気中でCrSi合金をターゲットとした反応性スパッタリング法により形成されたものを用いることができる。
【0023】
本発明にかかるインクジェット装置の一態様は、インクを吐出するために利用される熱エネルギーを通電により発生する発熱抵抗体を有する電気熱変換体を基板上に備えたインクジェットヘッド用基体と、該発熱抵抗体から発生した熱エネルギーを作用させる熱作用面を有するインク流路と、該インク流路に連通し、該熱エネルギーの作用によりインクを吐出する吐出口と、を有するインクジェットヘッドにおいて、
前記インクジェット用基体が上記の発熱抵抗体薄膜を有することを特徴とするものである。
【0024】
本発明にかかるインクジェットヘッドの他の態様は、インクを吐出するインク吐出口と、該インク吐出口に連通し、該インク吐出口からのインクの吐出のために利用される熱エネルギーをインクに作用させるための熱作用面を有するインク流路と、通電により該熱エネルギーを発生する発熱抵抗体を有する電気熱変換体と、を有するインクジェットヘッドにおいて、
前記発熱抵抗体が、Cr、Si、O及びNからなり、以下の組成:
Cr:15〜30原子%
Si:40〜60原子%
O:1〜10原子%
N:10〜50原子%
を有し、これらで100原子%となる発熱抵抗体薄膜であることを特徴とするものである。
【0025】
本発明にかかるインクジェット装置は、インクを吐出するためのインクジェットヘッドと、該インクジェットヘッドに記録用の信号を付与する手段と、を有するインクジェット装置において、該インクジェットヘッドが、上記2つの態様のいずれかの構成のインクジェットヘッドであることを特徴とするものである。
【0026】
本発明にかかる上記組成の発熱抵抗体薄膜の製造方法は、基板の所定面に、窒素ガス、酸素ガス及びアルゴンガスを含む混合ガス雰囲気中でCrSi合金をターゲットとした反応性スパッタリング法により該発熱抵抗体薄膜を形成することを特徴とするものである。前記薄膜形成工程の後に、前記薄膜の熱処理工程を更に有することができる。
【0027】
本発明にかかるインクジェットヘッド用基体の製造方法は、上記構成のインクジェットヘッド用基体の製造方法であって、基板の所定面に、窒素ガス、酸素ガス及びアルゴンガスを含む混合ガス雰囲気中でCrSi合金をターゲットとした反応性スパッタリング法により前記発熱抵抗体薄膜を形成する工程を有することを特徴とするものである。この方法も、前記薄膜形成工程の後に、前記薄膜の熱処理工程を更に有することができる。
【0028】
本発明にかかるインクジェット装置の製造方法は、上記構成のインクジェット装置の製造方法であって、基板の所定面に、窒素ガス、酸素ガス及びアルゴンガスを含む混合ガス雰囲気中でCrSi合金をターゲットとした反応性スパッタリング法により前記発熱抵抗体薄膜を形成する工程を有することを特徴とするものである。この方法も、前記薄膜形成工程の後に、前記薄膜の熱処理工程を更に有することができる。
【0029】
CrSi系材料はサーマルヘッド用の発熱抵抗体の構成材料として公知であるが、この材料の元素構成及び原子数組成をどのようにすることで、先に挙げた本発明の目的を達成し得るインクジェットヘッドの電気熱変換体の発熱抵抗体として好適なものとなるかについての知見は従来においては得られていない。本発明は、Cr及びSiに対して更に、N及びOを元素成分として追加し、前記した特定の原子数組成とすることで先に挙げた目的を達成できるとの新たな知見を得るに至り、本発明を完成した。
【0030】
本発明によれば、短パルス駆動による熱応答性に優れ、高いシート抵抗値を有することができ、かつヒーターサイズの更なる微小化に好適な発熱抵抗体材料としての発熱抵抗体薄膜を提供することができる。そして、この発熱抵抗体薄膜を電気熱変換体の発熱抵抗体に用いることで、記録画像の高精細化に対応した小ドット化や高速記録に対応した高速駆動においても、安定したインクの吐出を可能とし、更に、駆動における消費電流値を小さくして省エネルギー化にも寄与できるインクジェット装置、該装置に用いるインクジェットヘッド及び該インクジェットヘッドを構成するための基体を提供することが可能となる。
【0031】
【発明の実施の形態】
本発明にかかる発熱抵抗体薄膜は、Cr、Si、O及びNからなり、以下の組成:
Cr:15〜30原子(at)%
Si:40〜60原子%
O:1〜10原子%
N:10〜50原子%
を有し、これらで100原子%となるものである。
【0032】
なお、この発熱抵抗体薄膜は、その所望とする特定が損なわれない範囲で、上記の原子以外の痕跡程度の他の元素を含有するもの、すなわち、Cr、Si、O及びNの合計量がほぼ100%となるものでもよい。例えば、材料を構成する全原子の数に対するCr、Si、O及びNの合計原子数(Cr+Si+O+N)の割合は、99.5原子%以上が好ましく、99.9原子%以上がより好ましい。
【0033】
すなわち、薄膜の表面や内部は大気に触れたり、あるいはスパッタ法等による作製の工程の中で酸化されたり、反応領域中のガスを取り込んだりすることがあるが、このような表面や内部のわずかな酸化やArなどガスの取込みによってその効果が低下するものではない。このような不純物としては、例えばArを始めとして、C、Si、B、Na、ClおよびFeから選択される少なくとも一つの元素を挙げることができる。
【0034】
インクジェットヘッドの電気熱変換体の発熱抵抗体として使用した場合における発熱抵抗体薄膜の膜厚は、例えば200Å以上、1000Å以下とされ、その下限は、300Åが、その上限は800Åがそれぞれ好ましい。
【0035】
この発熱抵抗体薄膜は、上記の原子%で規定される組成を有することで、シート抵抗値が格段に向上しており、また、インクジェットヘッドの電気熱変換体の発熱抵抗体として使用した場合における良好な駆動安定性を確保することができる。上記組成を有する発熱抵抗体膜は、更に、シート抵抗値が大きいことで、消費電力、特に、より小さな電流値で良好な駆動状態を得ることが可能であり、省エネルギーの観点や、小電流の電池を用いる小型のインクジェット装置への適用という観点において好適な特性を有するものである。
【0036】
また、電気熱変換体への入力信号(吐出指令信号)に対しての応答性が向上し、吐出に必要な発泡状態を安定して得ることができる。
【0037】
上記組成の発熱抵抗体薄膜を用いてインクジェットヘッド及びそれに用いる基体を構成することができ、更に、これらを用いたインクジェット装置を提供することができる。
【0038】
このようなインクジェットヘッドの構造の一例としては、先に図1及び2により説明した構造を挙げることができる。本発明にかかるインクジェットヘッド用基体及びそれを用いたインクジェットヘッド用基体では、図2で示す発熱抵抗体層2004に上記組成の発熱抵抗体薄膜が用いられる。
【0039】
ところで、このインクジェットヘッド用基体は、発熱抵抗体上に保護層が設けられた形態とすることが基本的構成である。その場合には、インクへの熱伝導効率は多少犠牲になるものの、電気熱変換体の耐久性や電気化学反応による発熱抵抗体の抵抗変化といった点では一層優れたインクジェットヘッドを得ることができる。このような観点から、保護層は、その全体の層厚を1000Å〜5μmの範囲に収めるのが好ましい。保護層として具体的には、発熱抵抗体の上に設けられたSiO2、SiN等からなるSi含有絶縁層と、その層の上に熱作用面を形成するように設けられたTa層とを有するものが好ましい例として挙げられる。
【0040】
なお、本発明にかかるインクジェットヘッド用基体は、インクを吐出するために利用される熱エネルギーを通電により発生する発熱抵抗体を有する電気熱変換体を基板上に備えた構成を少なくとも有するもので、必要に応じて、発熱抵抗体に接続する一対の電極及び少なくとも発熱抵抗体上を覆う保護層などの1種以上を更に有するものである。
【0041】
図2に示す構成では、発熱抵抗体層4004上に電極層2005が積層されて電極層2005の対向する一対の端部間に発熱抵抗体層4004の露出部が形成されて電気熱変換体が構成されており、この露出部を構成する発熱抵抗層が抵抗体としての機能を有するものである。発熱抵抗体層と電極層との位置関係は、発熱抵抗体層の下側に電極層の端部が位置する構成としてもよい。
【0042】
図2に示す基体の各熱作用面に対応した位置に、図1に示すように、少なくともインク流路を形成することで、インクジェットヘッドを得ることができる。なお、インク流路は公知の材料及び方法により形成することができる。
【0043】
更に、図1及び2に示す構造では、インク流路におけるインクの供給方向と吐出口からのインクの吐出方向がほぼ一致する吐出口とインク流路の位置関係を有するものであるが、本発明にかかるインクジェットヘッドはこの構造に限定されず、例えば図8(a)及び(b)に示すように、支持部材412により支持されて、インク流路の一部(天井部分)を構成する吐出口プレート410に吐出口108を複数設け、インク流路へのインク供給方向に対して角度をもって(図示した例では直交する方向)吐出口から吐出させる構造としてもよい。
【0044】
本発明のインクジェットヘッドは、吐出口、インク液路および発熱抵抗体を有するインク吐出構造単位が、図1に示されるように複数配置されている構造を有するものが好ましい。特に、発熱抵抗体に用いる発熱抵抗体薄膜はシート抵抗が高く、小型化に適するものであるので、インク吐出単位を例えば8本/mm以上、更には12本/mm以上といったように高密度に配置する場合に、本発明は特に有効である。このインク吐出構造単位を複数有するものの一例として、例えば被記録部材の印字領域の全幅にわたってインク吐出構造単位が配列されている構成を有するいわゆるフルラインタイプのインクジェットヘッドを挙げることができる。
【0045】
このような、吐出口が被記録部材の記録領域の幅に対応して複数設けられた形態のいわゆるフルラインインクジェットヘッドの場合、言い換えれば吐出口が1000以上あるいは2000以上配設されたインクジェットヘッドの場合、一つのインクジェットヘッドの中での発熱部毎の抵抗値のばらつきが、吐出口から吐出される滴の体積の均一性に影響を及ぼし、それが画像の濃度不均一の原因となることがある。しかし、本発明における発熱抵抗体では、所望の比抵抗値を制御性よく、一つのインクジェットヘッドの中での抵抗値のばらつきが極めて少ないように得ることができるので、前述した問題を格段に良好な状態をもって解消することができる。
【0046】
このように、本発明における発熱抵抗体は、記録の高速化(例えば30cm/sec以上、更には60cm/sec以上の印字速度)、高密度化が一層求められ、それに対応してインクジェットヘッドの吐出口の数が増加する傾向の中、ますます大きな意味をもつものである。
【0047】
さらに、米国特許第4,429,321号明細書に開示されているような、機能素子がインクジェットヘッド基体の表面内部に構造的に設けられている形態のインクジェットヘッドにおいては、インクジェットヘッド全体の電気回路を設計通りに正確に形成して、機能素子の機能が正常な状態に保たれやすくすることが重要な点の一つであるが、本発明における発熱抵抗体はこの意味でも極めて有効である。なぜならば、前述したように、本発明における発熱抵抗体では、所望の比抵抗を制御性よく、一つのインクジェットヘッドの中での抵抗値のばらつきが極めて少ないように得ることができるので、インクジェットヘッド全体の電気回路を設計通り正確に形成することができるからである。
【0048】
加えて、熱作用面に供給されるインクを貯留するインクタンクを、必要に応じて着脱自在として、一体的に具備するディスポーザブルカートリッジタイプのインクジェットヘッドに対しても、本発明における発熱抵抗体は極めて有効である。なぜならば、この形態のインクジェットヘッドには該インクジェットヘッドが装着されるインクジェット装置全体のランニングコストが低いことが要求されるが、前述したように、本発明における発熱抵抗体は、インクに直接接する構成とすることができるので、インクへの熱伝達効率を良好なものとすることができ、故に装置全体での消費電力を小さくできて前記の要求に沿うことが容易にできるからである。
【0049】
また、インクを吐出するために利用される熱エネルギーの発生のためのみに限らず、必要に応じて設けられるインクジェットヘッド内の所望の部分の加熱用のヒーターとして利用してもよく、そのようなヒーターがインクと直接接する場合に特に好適に用いられる。
【0050】
以上述べた構成のインクジェットヘッドを装置本体に装着して装置本体からインクジェットヘッドに信号を付与することにより、高速記録、高画質記録を行うことができるインクジェット記録装置を得ることができる。
【0051】
図9は本発明が適用されるインクジェット記録装置IJRAの一例を示す概観斜視図である。駆動モータ5013の正逆回転に連動して駆動力伝達ギア5011,5009を介して回転するリードスクリュー5005の螺旋溝5004に対して係合するキャリッジHCはピン(不図示)を有し、矢印a,b方向に往復移動される。5002は紙押え板であり、キャリッジ移動方向にわたって紙をプラテン5000に対して押圧する。5007,5008はフォトカプラでキャリッジのレバー5006のこの域での存在を確認してモータ5013の回転方向切換等を行うためのホームポジション検知手段である。5016はインクタンクが一体的に設けられたカートリッジタイプの記録インクジェットヘッドIJCの全面をキャップするキャップ部材5022を支持する部材で、5015はこのキャップ内を吸引する吸引手段でキャップ内開口5023を介して記録インクジェットヘッドの吸引回復を行う。5017はクリーニングブレードで、5019はこのブレードを前後方向に移動可能にする部材であり、本体支持板5018にこれらは支持されている。ブレードはこの形態に限らず、周知のクリーニングブレードを本例に適用できることは言うまでもない。また、5012は、吸引回復の吸引を開始するためのレバーで、キャリッジと係合するカム5020の移動に伴って移動し、駆動モータからの駆動力がクラッチ切換え等の公知の伝達手段で移動制御される。インクジェットヘッドIJCに設けられた電気熱変換体に信号を付与したり、前述した各機構の駆動制御を司ったりするCPUは、装置本体側に設けられている(不図示)。
【0052】
以上、インクジェットヘッドをキャリッジに搭載して記録媒体に対して走査させる形式の装置について説明したが、本発明のインクジェットヘッドおよびインクジェット装置はインクジェットヘッドとインクタンクとが一体化されたペンタイプの装置としてもよい。更に、インクジェットヘッドはインク流路に供給するインクを保持するインク室を必要に応じて複数のインク流路に共通に設けることができ、各インク室ごとに異なる色のインク、例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、必要に応じてブラックのインクをそれぞれ供給して、フルカラー画像の記録を行うことができる。また、インクを貯溜するインクタンクは、先に述べたとおりインクイジェットヘッドと一体化して、あるいはインクジェットヘッドと着脱自在に接続して用いることができる。あるいは、インクジェット装置のインクジェットヘッド以外の部分に対して、必要に応じて着脱自在に接続して設けることもできる。
【0053】
以上述べた各構成において発熱抵抗体以外の部分は、公知の材料および方法を用いて形成することができる。
【0054】
本発明にかかる発熱抵抗体薄膜は、先に示した組成を有する所定の特性を満たす薄膜として各種の成膜法で作製可能である。これらの中では、反応性スパッタリング法、特に、電源として高周波(RF)電源または直流(DC)電源を用いたマグネトロンスパッタリング法が好ましい。
【0055】
例えば、窒素ガス、酸素ガス及びアルゴンガスを含む混合ガス雰囲気中でCrSi合金をターゲットとした反応性スパッタリング法により基板上に発熱抵抗体薄膜を形成することができる。
【0056】
図4に反応性スパッタリング法による薄膜形成装置の概要の一例を示す。
【0057】
図4において、4001はあらかじめ所定の組成に作製されたCr−Siからなるターゲット、4002は平板マグネット、4011は基板への成膜を制御するシャッター、4003は基板ホルダー、4004は基板、4006はターゲット4001と基板ホルダー4003に接続された電源である。さらに、図4において、4008は成膜室4009の外周壁を囲んで設けられた外部ヒーターである。該外部ヒーター4008は、成膜室4009の雰囲気温度を調節するのに使用される。基板ホルダー4003の裏面には、基板の温度制御を行う内部ヒーター4005が設けられている。基板4004の温度制御は、外部ヒーター4008を併用して行うことが好ましい。
【0058】
図4の装置を用いた成膜は、以下の様に行われる。
【0059】
まず、不図示の排気ポンプを用いて排気用バルブ4007を用いて成膜室4009を1×10−5〜1×10−6Paまで排気する。次いで、アルゴンガスと窒素ガス及び酸素ガスからなる混合ガスを、マスフローコントローラー(不図示)を介してガス導入口4010から成膜室4009に導入する。この時、上記基板温度及び雰囲気温度が所定の温度になるように内部ヒーター4005、外部ヒーター4008を調節する。
次に、電源4006からターゲット4001にパワーを印加してスパッタリング放電を行い、シャッター4011を調節して、基板4004の上に薄膜を形成させる。
【0060】
その際の薄膜形成条件は、先に挙げた組成が得られるように設定されるが、アルゴンガスは必須である。すなわち、他のKr、Xe等の不活性ガスも利用可能であるが、経済的な観点からは通常はArを使用する。
【0061】
基板上に形成された発熱抵抗体薄膜は、更に加熱処理されることがこのましい。加熱処理はスパッタ装置内でそのまま行うこともでき、また、後工程で別の装置により熱処理してもよい。この加熱処理により、発熱抵抗体薄膜を構成するCrSiON中にCrSi2からなる金属間化合物が生成され、この金属間化合物が熱的に安定であることや、TCRが小さいことで耐久性の更なる向上を図ることができる。これらの事から、CrとSiの組成比としては、1:2に近いことが好ましい。この状態で、膜中に窒素と酸素が混入することで、比抵抗が上昇すると予想される。かかる発熱抵抗体薄膜からなる発熱抵抗体は、ヒーターサイズが小さいものにして短いパルスで連続的に駆動した場合にも、所望の耐久性が得られ、エネルギー効率が高く、発熱を抑制して省エネルギーを可能にするとともに、高品位の記録画像を提供することができる。なお、こうして形成された発熱抵抗体薄膜の形状は、隔週のパターニング方法、例えば、レジストによって残す部分を覆った状態でドライエッチングを行って不要部を基板上から除去する方法などを好適に用いることができる。
【0062】
【実施例】
以下に、本発明の実施の形態を実施例等に基づいて以下に説明する。但し、本発明は、以下に説明する各実施例のみに限定されるものでなく、本発明の目的を達成し得るものであれば他の用途に使用される抵抗体薄膜にも適用できることは勿論である。
【0063】
実験例1
(薄膜の基本特性の評価)
まず、CrSi系材料として代表的な材料であるCrSiO膜について評価を行った。ターゲット組成Cr30Si70(at%)、パワー350W、ガス圧0.5Paを主なスパッタ条件で酸素分圧を変化させて成膜して、酸素分圧と比抵抗の関係を求めた(スパッタ装置については図4参照)。その結果を図5に示す。この図からわかるように比抵抗は酸素分圧が2.5%以上になると急激に上昇している。インクジェット用のヒーター膜としては400A程度が膜厚として好適であり、シート抵抗500Ω/□を達成するためには比抵抗が2000μΩcm必要である。ところが図5からわかるようにこの領域での酸素分圧に対する比抵抗変化は非常に大きく実際の量産を考慮すると、酸素分圧変動に対するマージンが少なく、生産安定性の観点から好ましくないことがわかった。これらの条件で作成した膜をRBS組成分析した結果では、酸素分圧が2.5%では膜中の酸素濃度が20at%である事がわかった。すなわちCrSiO膜の場合、膜中の酸素濃度として20at%以下が実用領域であると考える。
【0064】
CrSiO膜は、特公昭63−016272号公報、特公平1−47871号公報、特公平4−04721号公報、特公平4−60835号公報、USP4343986、4460494、4517444等に開示されている。
【0065】
次に、CrSiN膜について評価を行った。ターゲット組成Cr30Si70(at%)、パワー350W、ガス圧0.5Paを主なスパッタ条件で窒素分圧を変化させて成膜して、窒素分圧と比抵抗の関係を求めた。(スパッタ装置については図4参照)その結果を図6に示す。この図からわかるように比抵抗は窒素分圧が15%(比抵抗値:〜1700μΩcm)までほぼ比例関係にあり、窒素分圧20%程度までほぼ単調に比抵抗が増加している。このような関係にあることから、比抵抗に対する窒素分圧の変動マージンが大きくなり量産時の生産安定性を考慮すると非常に優れた材料であることがわかった。
【0066】
ところで、我々はこのCrSiN膜について、窒素分圧が15%の条件で成膜した場合の特性再現性について検討した。その結果同一条件での成膜を30回連続で繰り返した結果、比抵抗値が最大+10%程度ばらつく事を見出した。この現象について原因究明を行ったところ、成膜した膜中から酸素が検出され、この酸素量のばらつきがそのまま比抵抗のばらつきになることが判明した。これは真空に排気した時のバックグランド中に存在しているH2Oが分解して膜中に取り込まれると考えられるが、このバックグランドが変動した場合このH2O量が変動してその結果として酸素量のばらつきとなる。そこで我々はCrSiN膜を成膜する時に1〜2%程度の酸素を添加することで、膜中の酸素量を制御できることを実験的に検証することが出来た。この結果を図7に示す。さらに、酸素を添加した条件で繰り返し成膜した場合の比抵抗値の再現性は、酸素を添加しない場合にくらべ向上して、ばらつきの程度が5%前後に改善することが分かった。
【0067】
CrSiN膜は、特公平2−18651号公報、USP4392992、4510178、459182等により開示されている。
<インクジェットヘッド用基体の評価>
実施例1
(図2に示す構成の基体の作製)
まず、シリコン基板2001上に熱酸化により膜厚1.8μmの蓄熱層2002を形成し、更に蓄熱層を兼ねる層間膜2003として、SiO2膜をプラズマCVD法により膜厚1.2μmに形成した。次に、図4に示す装置を用いて、発熱抵抗層2004としてCrSiON膜を膜厚400Å形成した。
【0068】
この時のガス流量は、Arガス68sccm、N2ガス11sccm、酸素ガス1sccmとし、ターゲットCr30Si70に投入するパワーは350Wとし、雰囲気温度200℃、基板温度200℃で行った。
【0069】
更に、熱作用部2008で発熱抵抗層2004を加熱するための金属配線2005として、Al−Cu膜を5500Åスパッタリング法により形成した。
【0070】
これを、フォトリソによりパターン形成し、Al−Cu層を取り除いた15μm×40μm(平面形状サイズ)の熱作用部2008を形成した。保護膜2006としては、プラズマCVD法によりSiN膜を1μmの膜厚に形成した。本実施例ではこの時基板温度400℃で約1時間保持することで熱処理を兼ねた。最後に耐キャビテーション層2007としてスパッタリング法によりTa膜を膜厚2000Å形成し、本発明の基体を得た。上記形状の発熱抵抗層のシート抵抗値は、550Ω/□であった。TCR特性は25ppm/℃程度である。T
また、RBS組成分析による(RBSは一般的な膜組成定量分析手法でラザフォード、バック、スキャッタリングの略)CrSiONの組成比はCr24at%,Si50at%,N22at%,O4at%であった。
【0071】
比較例1
発熱抵抗層2004を、次のように変更する以外は、実施例1と同様に作製することにより比較例1の基体を得た。すなわち、図4に示す装置により、Taターゲットを用いた反応性スパッタリング法により膜厚1000ÅのTaN0.8膜を形成した。この時のガス流量は、Arガス64sccm、N2ガス16sccm、窒素ガス分圧20%とし、Taターゲットへの投入パワー350W、雰囲気温度200℃、基板温度200℃で行った。発熱抵抗層のシート抵抗値は25Ω/□であった。
【0072】
以上に実施例1及び比較例1で得られた基体について以下の項目に関する評価を行った。
【0073】
(発泡電圧、電流)
上記実施例1及び比較例1として作製された基体を用いて、インクを吐出する発泡電圧Vthを求めた。このVthに対して、1.2Vth(発泡電圧の1.2倍)を駆動電圧として、駆動パルス幅2μsec.で駆動させた時の電流値を測定した。
【0074】
すなわち、実施例1では、Vth=30V、電流値は30mAであったのに対し、比較例1ではVth=9.9V、電流値は120mAであった。この結果から、本発明の実施例1と比較例1の基体を比較すると、電流値は比較例に比べ約1/4となっている。実際のヘッド形態では、同時に駆動させる発熱抵抗体数は複数あるので、比較例に比べてはるかに消費電力が少なくなり、省エネ効果が得られることが理解されよう。
【0075】
(熱ストレス耐久性)
更に、以下の条件で発熱抵抗体を駆動させ、破断パルスによる熱ストレス耐久評価をおこなった。
【0076】
主な試験条件
駆動周波数:15KHz、駆動パルス幅:1μsec.駆動電圧:発泡電圧×1.2
その結果、比較例では6.0×107パルスで破断したのに対し、実施例1では5.0×109パルスまで破断しなかった。このように、本発明の実施例の基体では短いパルス駆動に対しても十分耐えられることがわかる。
【0077】
実施例2
発熱抵抗層2004を、次のように変更する以外は、前記実施例1と同様に作製することにより、図1で示される基体2000を得た。すなわち、成膜時に導入するガスの分圧を変更した。Arガス64sccm,N2ガス15sccm、酸素ガス1sccmに変えて導入し、反応性スパッタリング法により膜厚400ÅのCrSiON膜を形成した。ターゲット投入パワーは、Cr30Si70ターゲットに350Wとし、雰囲気温度200℃、基板温度200℃で行った。発熱抵抗層のシート抵抗値は970Ω/□であった。TCR特性は30ppm/℃である。また、RBS組成分析によるCrSiONの組成比はCr21at%、Si43at%、N30at%、O6at%であった。RBSについては述べた。
【0078】
得られた基体について上記と同様の項目について評価した。その結果、実施例2の基体ではVth=35V、電流値は18mAであった。また、破断パルスによる熱ストレス耐久評価では、6.0×109パルスまで破断しなかった。実施例1と同じように、実施例2の基体は、電流値が少なく省エネ効果に優れた基体であることがわかる。また、短いパルス駆動を行った場合でも耐久性に優れているものである。
【0079】
以上の結果を表1に示す。
【0080】
【表1】
【0081】
<インクジェット用特性評価>
さらに、インクジェット記録ヘッド用基体の発熱抵抗体としての特性を評価するため、上述の実施例と同様にして図4に示した装置を使用し、上述した成膜方法により実施例1及び2ともう1つ異なる成膜条件でCrSiON膜を有する図1及び2に示す構造の基体の各発熱抵抗体に対応した位置にインク流路を形成したインクジェット記録ヘッドを作成し、その特性を評価した。
【0082】
実施例3
本実施例によるインクジェット特性としての評価を行う試料の基板は、Si基板あるいは既に駆動用のICを作り込んだSi基板を用いる。
【0083】
Si基板の場合は、熱酸化法、スパッタ法、CVD法などによって膜厚1.8μmのSiO2の蓄熱層2002(図2)を形成し、ICを作り込んだSi基板も同様にその製造プロセス中で、SiO2の蓄熱層を形成しておく。
【0084】
次に、スパッタ法、CVD法などによってSiO2成る膜厚1.2μmの層間絶縁膜2003を形成した。次いで、CrSiターゲットを用いたスパッタリング法により発熱抵抗層2004を形成した。ターゲットに投入するパワーは100Wとし、ガス流量は実施例1の条件で、基板温度400℃で行った。これは、成膜速度を非常に遅くして膜の結晶化を促進するためである。また基板温度もこのため400℃と高く設定した。
【0085】
電極配線2005としてAl膜を5500Åスパッタリング法により形成した。次に、フォトリソ法を用いてパターン形成し、Al膜を取り除いた20μm×30μmの熱作用部2008を形成した。次に保護膜2006としてプラズマCVD法によって、SiNから成る膜厚1μmの絶縁体を形成した。次に耐キャビテーション層2007としてスパッタリング法によりTa膜を膜厚2300Å形成し、フォトリソ法により図1に示すような本発明のインクジェット用基体を作製した。
【0086】
このようにして作製された基体を用いてSST試験を行った。このSST試験とは、駆動周波数15KHz、駆動パルス幅1μsec.のパルス信号を与え、吐出を開始する発泡開始電圧Vthを求める。その後、印加電圧をVthから0.05V毎に上げていきながら、駆動周波数15KHzでそれぞれ1×105パルスを断線するまで印加し、この断線した時の破断電圧Vbを求める。この発泡開始電圧Vthと破断電圧Vbとの比を破断電圧比Kb(=Vb/Vth)と呼ぶ。この破断電圧比Kbが大きいほど発熱抵抗体の耐熱性に優れていることを示す。評価の結果、Kb=1.5が得られた。
【0087】
次に、駆動電圧Vop=1.3・Vthにおいて、駆動周波数15KHz、駆動パルス幅1μsec.、1.0×109パルスの連続したパルスを印加し、初期の発熱抵抗体の抵抗値R0、パルス印加後の抵抗値Rとした時、抵抗値変化率(R−R0)/R0を求めた(CST試験)。その結果、抵抗値変化率ΔR/R0=+2.5%(ΔR=R−R0)が得られた。
【0088】
実施例4
本実施例によるインクジェット特性としての評価を行う試料の基板は、実施例3と同様にSi基板あるいは既に駆動用のICを作り込んだSi基板を用いる。
【0089】
Si基板の場合は、熱酸化法、スパッタ法、CVD法などによって膜厚1.8μmのSiO2の蓄熱層2002(図2)を形成し、ICを作り込んだSi基板も同様にその製造プロセス中で、SiO2の蓄熱層を形成しておく。
【0090】
次に、スパッタ法、CVD法などによってSiO2成る膜厚1.2μmの層間絶縁膜2003を形成した。次いで、CrSiターゲットを用いたスパッタリング法により発熱抵抗層2004を形成した。ターゲットに投入するパワーは350Wとし、ガス流量は実施例1の条件で、基板温度200℃で行った。
【0091】
電極配線2005としてAl−Si膜を5500Åスパッタリング法により形成した。次に、フォトリソ法を用いてパターン形成し、Al−Si膜を取り除いた20μm×30μmの熱作用部2008を形成した。次に保護膜2006としてプラズマCVD法によって、SiNから成る膜厚1μmの絶縁体を形成した。この場合も基板温度を400℃で約1時間保持することで熱処理を兼ねた。次に耐キャビテーション層2007としてスパッタリング法によりTa膜を膜厚2300Å形成し、フォトリソ法により図1に示すような本発明のインクジェット用基体を作製した。
【0092】
このようにして作製された基体を用いてSST試験を行った。このSST試験とは、駆動周波数15KHz、駆動パルス幅1μsec.のパルス信号を与え、吐出を開始する発泡開始電圧Vthを求める。その後、印加電圧をVthから0.05V毎に上げていきながら、駆動周波数15KHzでそれぞれ1×105パルスを断線するまで印加し、この断線した時の破断電圧Vbを求める。この発泡開始電圧Vthと破断電圧Vbとの比を破断電圧比Kb(=Vb/Vth)と呼ぶ。この破断電圧比Kbが大きいほど発熱抵抗体の耐熱性に優れていることを示す。評価の結果、Kb=1.7が得られた。
【0093】
次に、駆動電圧Vop=1.3・Vthにおいて、駆動周波数15KHz、駆動パルス幅1μsec.、1.0×109パルスの連続したパルスを印加し、初期の発熱抵抗体の抵抗値R0、パルス印加後の抵抗値Rとした時、抵抗値変化率(R−R0)/R0を求めた(CST試験)。その結果、抵抗値変化率ΔR/R0=+1.5%(ΔR=R−R0)が得られた。
【0094】
実施例5
発熱抵抗層2004を実施例2に示すような条件で形成する以外は実施例4と同様にしてインクジェットヘッド用基体を作製した。また、この基体を用いて実施例4と同様にしてSST試験、CST試験を行った。
【0095】
その結果、Kb=1.5が得られた。次に、駆動電圧Vop=1.3・Vthにおいて、駆動周波数15KHz、駆動パルス幅1μsec.、1.0×109パルスの連続したパルスを印加し、初期の発熱抵抗体の抵抗値R0、パルス印加後の抵抗値Rとした時、抵抗値変化率(R−R0)/R0を求めた(CST試験)。その結果、抵抗値変化率ΔR/R0=+3.3%(ΔR=R−R0)が得られた。
以上の結果を表2に示す。
【0096】
【表2】
【0097】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、薄膜抵抗体薄膜、特にインクを吐出するために利用される熱エネルギーを発生する複数の発熱抵抗体を、CrSiONで表わされる材料からなる薄膜でかつCr:15〜30at%、Si:35〜60at%、O:1〜10at%及びN:10〜50at%(全体として100at%から構成されている。
【0098】
本発明によるインクジェット記録ヘッドの発熱抵抗体は、短いパルスで駆動した場合にも、所望の耐久性が維持され、高品位の記録画像を長期にわたって提供することが可能となった。これはTCR特性が正でかつ非常に小さい値であることが大きく寄与していると考えられる。
【0099】
本発明によるインクジェット記録ヘッドは、小ドット化に対応した高抵抗の発熱抵抗特性を可能とし、インクジェット記録ヘッドに用いた場合にはエネルギー効率が高い、つまり発熱を抑えることができ、省エネを可能にすることができる効果がある。
【0100】
本発明によるインクジェット記録ヘッドの製造方法によると、上記効果を有する液体吐出ヘッド用基体および液体吐出ヘッドを製造することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】インクジェットヘッドの基体を示す概略平面図である。
【図2】図1のX−X’の一点鎖線で基体を垂直に切断したときの基板の断面図である。
【図3】ヒーターサイズの違いによる各種駆動条件を説明する図である。
【図4】本発明のインクジェット記録ヘッド用基体の各層を成膜する成膜装置である。
【図5】CrSiO発熱抵抗体を形成する抵抗層の酸素分圧に対する比抵抗値を示す図である。
【図6】CrSiN発熱抵抗体を形成する抵抗層の窒素分圧に対する比抵抗値を示す図である。
【図7】CrSiN発熱抵抗体を形成する抵抗層の窒素分圧に対する膜組成比を示す図である。
【図8】インクジェットヘッドの他の態様を示す図である。
【図9】インクジェット装置の一例を示す図である。
【符号の説明】
1001 吐出口
1002 電気熱変換素子
1003 インク流路
1004 基板
1005 発熱抵抗体
1006 電極配線
1007 絶縁膜
1008 流路壁
1009 共通液室
2000 基体
2001 シリコン基板
2002 蓄熱層
2003 層間膜
2004 発熱抵抗層
2005 金属配線
2006 保護層
2007 耐キャビテーション膜
2008 熱作用部
4001 ターゲット
4002 平板マグネット
4003 基板ホルダー
4004 基板
4005 内部ヒーター
4006 電源
4007 排気ポンプ
4008 外部ヒーター
4009 成膜室
4010 ガス導入口
4011 シャッター
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット方式により、紙、プラスチックシート、布、各種物品等からなる記録媒体に対して、インクを吐出して文字、記号、画像等の記録、印刷等を行うインクジェット装置の吐出用の熱エネルギー発生手段としての電気熱変換体を構成するのに好適な発熱抵抗体膜、該発熱抵抗体膜を用いた電気熱変換体を有するインクジェットヘッド用基体及びインクジェット装置、ならびにこれらの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット装置は、吐出口から記録用等の機能性液体(以下「インク」と総称する。)を記録媒体に吐出させて文字、記号、画像等の記録やインクに含まれる成分の各種表面への付与を行うための構成を有するもので、インクを微小な液滴として吐出口から高速で吐出することにより、高精細な画像の高速記録を行うことができるという特徴を有している。特に、インクを吐出するために利用されるエネルギーを発生するエネルギー発生手段として電気熱変換体を用い、この電気熱変換体が発生する熱エネルギーによって生ずるインクの発泡を利用してインクを吐出する方式のインクジェット装置は、画像の高精細化、高速記録化、記録ヘッド及び装置の小型化やカラー化に適していることから近年注目されている。(例えば米国特許第4723129号明細書(特許文献1)及び米国特許第4740796号明細書(特許文献2)参照)。
【0003】
インクジェット装置の構成に使用されるヘッドの基板要部の一般的な構成を図1に示す。また、図2は、図1のインク流路に相当する部分のX−X’線で切断したインクジェット記録ヘッド用基体2000の模式的断面図である。
【0004】
図1に示すインクジェット記録ヘッドには複数の吐出口1001が設けられ、また、これからそれぞれインクを吐出するために利用される熱エネルギーを発生する電気熱変換体1002が各インク流路1003毎に基板1004上に設けられている。電気熱変換体1002は、少なくとも、発熱抵抗体1005と、これに接続されて電力を供給するための一対の電極配線1006と、を有して構成され、図1に示す装置では、発熱抵抗体1005の上部のインクへの熱作用面を形成する部分を少なくとも覆う保護層としての絶縁膜1007が設けられている。
【0005】
また、各インク流路1003は複数の流路壁1008が一体的に形成された天板を、基板1004上の電気熱変換体等との相対位置を画像処理等の手段により位置合わせしながら接合することで形成される。各インク流路1003は、その吐出口1001と反対側の端部が共通液室1009と連通しており、この共通液室1009にはインクタンク(図示せず)から供給されるインクが貯留される。
【0006】
共通液室1009に供給されたインクは、ここから各インク流路1003に導かれ、吐出口1001近傍でメニスカスを形成して保持される。この時、電気熱変換素子1002を選択的に駆動させることにより、その発生する熱エネルギーを利用して熱作用面上のインクを急激に加熱沸騰させ、この時の衝撃力によってインクを吐出させる。
【0007】
このインクジェットヘッドの有する基体部分は、図2に示すとおり、シリコン基板2001上に、シリコン基板表面の熱酸化膜からなる蓄熱層2002、蓄熱機能を兼ねるSiO膜、SiN膜等からなる層間膜2003、発熱抵抗層2004、Al、Al−Si、Al−Cu等の金属あるいは合金からなる電極層から構成される金属配線2005、SiO膜、SiN膜等からなる保護層2006及び耐キャビテーション膜2007を、この順に形成した構造を有する。また、なお耐キャビテーション膜2007は、発熱抵抗層2004の発熱に伴う化学的、物理的衝撃から保護膜2006を守るためのもので、インクとの接触面となる部分に熱作用部2008を形成している。図1に示した発熱抵抗体1005は、発熱抵抗層2004の所定部を電極層2005間に所定の形状で露出させた部分として形成される。
【0008】
このような構造を有するインクジェット装置の記録ヘッドに用いられる発熱抵抗体としては、以下のような特性が要求される。
(1)発熱抵抗体として熱応答性に優れ、瞬時にインクの吐出を可能とする。
(2)高速及び連続の駆動に対して、抵抗値変化が少なく、インクの発泡状態が安定している。
(3)耐熱性、熱応力性に優れ、寿命が長く信頼性が高い。
これらの要求を満たすインクジェットヘッドに使用される発熱抵抗層として特開平7−125218号公開公報(特許文献3)には、発熱抵抗体材料にTaN膜を用いる構成が開示されている。このTaN膜における特性安定性、特に長期繰り返し記録時の抵抗変化率は、TaN膜の組成と強い相関関係が有り、中でもTaN0.8hexを含む窒化タンタルで構成された発熱抵抗体は、上記長期繰り返し記録時の抵抗変化率が少なく吐出安定性に優れているものである。
【0009】
一方、CrSiO膜は、特公昭63−016272号公報(特許文献4)、特公平1−47871号公報(特許文献5)、特公平4−04721号公報(特許文献6)、特公平4−60835号公報(特許文献7)、米国特許第4343986号明細書(特許文献8)、米国特許第4460494号明細書(特許文献9)、米国特許第4517444号明細書(特許文献10)等に開示されている。また、CrSiN膜は、特公平2−18651号公報(特許文献11)、米国特許第4392992号明細書(特許文献12)、米国特許第4510178号明細書(特許文献13)、米国特許第459182号明細書(特許文献14)等により開示されている。
【0010】
【特許文献1】
米国特許第4723129号明細書
【特許文献2】
米国特許第4740796号明細書
【特許文献3】
特開平7−125218号公開公報
【特許文献4】
特公昭63−016272号公報
【特許文献5】
特公平1−47871号公報
【特許文献6】
特公平4−04721号公報
【特許文献7】
特公平4−60835号公報
【特許文献8】
米国特許第4343986号明細書
【特許文献9】
米国特許第4460494号明細書
【特許文献10】
米国特許第4517444号明細書
【特許文献11】
特公平2−18651号公報
【特許文献12】
米国特許第4392992号明細書
【特許文献13】
米国特許第4510178号明細書
【特許文献14】
米国特許第459182号明細書
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前述したように、インクジェット装置においては、近年、装置の高画質化、高速記録等の高機能化がますます要求されている。このうち、高画質化に対しては、発熱抵抗体の平面形状におけるサイズ(ヒーターサイズ)を小さくすることにより、1ドット当りの吐出量を少なくし小ドット化により画質を向上する方法がある。また、高速記録を行うためには、これまでよりさらに発熱抵抗体に印加する信号のパルス幅を短くした駆動を行うことにより、駆動周波数を上げる方法がある。
【0012】
一方、個人的使用のために小型化される傾向にあり、例えば、二次電池が組み込まれた小型のインクジェット装置が市販されている。このような小型のインクイジェット装置では、市販されている通常の二次電池はその電圧が10V前後であるので、駆動パルスの幅(駆動時間)を短くして高速駆動による高速記録を達成するために、所定のコンバーターを組み込む場合が多い。
【0013】
しかしながら、上述のように高画質化や小型化に対応するためヒーターサイズを更に小さくしていくと、高周波数での駆動時における十分な発熱量を確保するためには、発熱抵抗体のシート抵抗値を更に大きくする必要が生じてくる。
【0014】
図3により、このようなヒーターサイズの差異による各種駆動条件の関係を概略的に説明する。図3(a)は駆動電圧が一定の時にヒーターサイズが大きいもの(A)から、小さいもの(B)に変化した時の駆動パルス幅に対する発熱抵抗体のシート抵抗値および電流値の変化を示すものである。また、図3(b)は、同様にして駆動パルス幅が一定の時にヒーターサイズが変化した時の、駆動電圧に対する発熱抵抗体のシート抵抗値および電流値の関係を示すものである。これらの図における駆動条件と発熱抵抗体のサイズとの関係から明らかなとおり、ヒーターサイズを小さくした時に、従来と同一条件で駆動させるためにはシート抵抗値を大きくする必要がある。また、エネルギーの関係から、シート抵抗値を大きくし、駆動電圧を高くして駆動させる方法では消費される電流値が小さくなり、省エネが達成できる。特に、発熱抵抗体を複数配置した構成の場合はその効果は大きくなる。
【0015】
ところが、前述したように現在インクジェット記録ヘッドに用いられているHfB2、TaN、TaAlもしくはTaSiN等の発熱抵抗体の比抵抗値は、200〜800μΩ・cm程度である。発熱抵抗体の製造安定性、インクジェットヘッドに組み込んだ際のインク吐出の特性安定性等を考慮した場合に発熱抵抗体の膜厚の限界は400Å程度となり、これらの材料から構成される発熱抵抗体のシート抵抗値の上限は200Ω/□程度となると考えられる。従って、それ以上のシート抵抗値を得る場合により好適な発熱抵抗体材料を得ることは、ヒーターサイズの更なる微小化を進める上で重要となってきている。
【0016】
このように、従来、短パルス駆動による熱応答性に優れ、高いシート抵抗値を有することができ、かつヒーターサイズの更なる微小化に好適な発熱抵抗体材料が求められている。
【0017】
一方、記録画像の高精細化に伴い、ヒーターサイズを小さくすることにより小さなインク滴を記録するためには、従来の発熱抵抗体を使用する限りにおいては、電流値が増加し、発熱による問題が避けられない場合が多い。
【0018】
従って、本発明の主たる目的は、従来のインクジェット記録ヘッド用の発熱抵抗体材料にかかる上述した諸問題を解決し、高品位な記録画像を長期にわたって得ることを可能にする発熱抵抗体として好適な発熱抵抗体薄膜及びその製造方法を提供することにある。本発明の他の目的は、記録画像の高精細化に対応した小ドット化や高速記録に対応した高速駆動においても、安定したインクの吐出を可能とする発熱抵抗体薄膜を電気熱変換体の発熱抵抗体として有するインクジェット装置、その構成に用いるインクジェットヘッド用基体及びこれらの製造方法を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成し得る本発明にかかる発熱抵抗体膜は、Cr、Si、O及びNからなる発熱抵抗体薄膜であって、
以下の組成:
Cr:15〜30原子%
Si:40〜60原子%
O:1〜10原子%
N:10〜50原子%
を有し、これらで100原子%となることを特徴とするものである。
【0020】
前記発熱抵抗体薄膜は、窒素ガス、酸素ガス及びアルゴンガスを含む混合ガス雰囲気中でCrSi合金をターゲットとした反応性スパッタリング法により形成されたものであることが好ましい。
【0021】
本発明にかかるインクジェットヘッド用基体は、インクを吐出するために利用される熱エネルギーを通電により発生する発熱抵抗体を有する電気熱変換体を基板上に備えたインクジェットヘッド用基体において、
前記発熱抵抗体が、Cr、Si、O及びNからなり、以下の組成:
Cr:15〜30原子%
Si:40〜60原子%
O:1〜10原子%
N:10〜50原子%
を有し、これらで100原子%となる発熱抵抗体薄膜であることを特徴とするものである。
【0022】
上記の基体における発熱抵抗体薄膜の厚さは、300Å以上、800Å以下であることが好ましい。上記電気熱変換体は、前記発熱抵抗体に通電するための一対の電極を有する構成とすることができる。上記のインクジェットヘッド用基体は前記熱エネルギーをインクに作用させる熱作用面を有し、該熱作用面が少なくとも前記発熱抵抗体を覆う保護層により構成されているものとすることができる。前記発熱抵抗体は複数設けることができる。上記の基体における発熱抵抗体薄膜としては、窒素ガス、酸素ガス及びアルゴンガスを含む混合ガス雰囲気中でCrSi合金をターゲットとした反応性スパッタリング法により形成されたものを用いることができる。
【0023】
本発明にかかるインクジェット装置の一態様は、インクを吐出するために利用される熱エネルギーを通電により発生する発熱抵抗体を有する電気熱変換体を基板上に備えたインクジェットヘッド用基体と、該発熱抵抗体から発生した熱エネルギーを作用させる熱作用面を有するインク流路と、該インク流路に連通し、該熱エネルギーの作用によりインクを吐出する吐出口と、を有するインクジェットヘッドにおいて、
前記インクジェット用基体が上記の発熱抵抗体薄膜を有することを特徴とするものである。
【0024】
本発明にかかるインクジェットヘッドの他の態様は、インクを吐出するインク吐出口と、該インク吐出口に連通し、該インク吐出口からのインクの吐出のために利用される熱エネルギーをインクに作用させるための熱作用面を有するインク流路と、通電により該熱エネルギーを発生する発熱抵抗体を有する電気熱変換体と、を有するインクジェットヘッドにおいて、
前記発熱抵抗体が、Cr、Si、O及びNからなり、以下の組成:
Cr:15〜30原子%
Si:40〜60原子%
O:1〜10原子%
N:10〜50原子%
を有し、これらで100原子%となる発熱抵抗体薄膜であることを特徴とするものである。
【0025】
本発明にかかるインクジェット装置は、インクを吐出するためのインクジェットヘッドと、該インクジェットヘッドに記録用の信号を付与する手段と、を有するインクジェット装置において、該インクジェットヘッドが、上記2つの態様のいずれかの構成のインクジェットヘッドであることを特徴とするものである。
【0026】
本発明にかかる上記組成の発熱抵抗体薄膜の製造方法は、基板の所定面に、窒素ガス、酸素ガス及びアルゴンガスを含む混合ガス雰囲気中でCrSi合金をターゲットとした反応性スパッタリング法により該発熱抵抗体薄膜を形成することを特徴とするものである。前記薄膜形成工程の後に、前記薄膜の熱処理工程を更に有することができる。
【0027】
本発明にかかるインクジェットヘッド用基体の製造方法は、上記構成のインクジェットヘッド用基体の製造方法であって、基板の所定面に、窒素ガス、酸素ガス及びアルゴンガスを含む混合ガス雰囲気中でCrSi合金をターゲットとした反応性スパッタリング法により前記発熱抵抗体薄膜を形成する工程を有することを特徴とするものである。この方法も、前記薄膜形成工程の後に、前記薄膜の熱処理工程を更に有することができる。
【0028】
本発明にかかるインクジェット装置の製造方法は、上記構成のインクジェット装置の製造方法であって、基板の所定面に、窒素ガス、酸素ガス及びアルゴンガスを含む混合ガス雰囲気中でCrSi合金をターゲットとした反応性スパッタリング法により前記発熱抵抗体薄膜を形成する工程を有することを特徴とするものである。この方法も、前記薄膜形成工程の後に、前記薄膜の熱処理工程を更に有することができる。
【0029】
CrSi系材料はサーマルヘッド用の発熱抵抗体の構成材料として公知であるが、この材料の元素構成及び原子数組成をどのようにすることで、先に挙げた本発明の目的を達成し得るインクジェットヘッドの電気熱変換体の発熱抵抗体として好適なものとなるかについての知見は従来においては得られていない。本発明は、Cr及びSiに対して更に、N及びOを元素成分として追加し、前記した特定の原子数組成とすることで先に挙げた目的を達成できるとの新たな知見を得るに至り、本発明を完成した。
【0030】
本発明によれば、短パルス駆動による熱応答性に優れ、高いシート抵抗値を有することができ、かつヒーターサイズの更なる微小化に好適な発熱抵抗体材料としての発熱抵抗体薄膜を提供することができる。そして、この発熱抵抗体薄膜を電気熱変換体の発熱抵抗体に用いることで、記録画像の高精細化に対応した小ドット化や高速記録に対応した高速駆動においても、安定したインクの吐出を可能とし、更に、駆動における消費電流値を小さくして省エネルギー化にも寄与できるインクジェット装置、該装置に用いるインクジェットヘッド及び該インクジェットヘッドを構成するための基体を提供することが可能となる。
【0031】
【発明の実施の形態】
本発明にかかる発熱抵抗体薄膜は、Cr、Si、O及びNからなり、以下の組成:
Cr:15〜30原子(at)%
Si:40〜60原子%
O:1〜10原子%
N:10〜50原子%
を有し、これらで100原子%となるものである。
【0032】
なお、この発熱抵抗体薄膜は、その所望とする特定が損なわれない範囲で、上記の原子以外の痕跡程度の他の元素を含有するもの、すなわち、Cr、Si、O及びNの合計量がほぼ100%となるものでもよい。例えば、材料を構成する全原子の数に対するCr、Si、O及びNの合計原子数(Cr+Si+O+N)の割合は、99.5原子%以上が好ましく、99.9原子%以上がより好ましい。
【0033】
すなわち、薄膜の表面や内部は大気に触れたり、あるいはスパッタ法等による作製の工程の中で酸化されたり、反応領域中のガスを取り込んだりすることがあるが、このような表面や内部のわずかな酸化やArなどガスの取込みによってその効果が低下するものではない。このような不純物としては、例えばArを始めとして、C、Si、B、Na、ClおよびFeから選択される少なくとも一つの元素を挙げることができる。
【0034】
インクジェットヘッドの電気熱変換体の発熱抵抗体として使用した場合における発熱抵抗体薄膜の膜厚は、例えば200Å以上、1000Å以下とされ、その下限は、300Åが、その上限は800Åがそれぞれ好ましい。
【0035】
この発熱抵抗体薄膜は、上記の原子%で規定される組成を有することで、シート抵抗値が格段に向上しており、また、インクジェットヘッドの電気熱変換体の発熱抵抗体として使用した場合における良好な駆動安定性を確保することができる。上記組成を有する発熱抵抗体膜は、更に、シート抵抗値が大きいことで、消費電力、特に、より小さな電流値で良好な駆動状態を得ることが可能であり、省エネルギーの観点や、小電流の電池を用いる小型のインクジェット装置への適用という観点において好適な特性を有するものである。
【0036】
また、電気熱変換体への入力信号(吐出指令信号)に対しての応答性が向上し、吐出に必要な発泡状態を安定して得ることができる。
【0037】
上記組成の発熱抵抗体薄膜を用いてインクジェットヘッド及びそれに用いる基体を構成することができ、更に、これらを用いたインクジェット装置を提供することができる。
【0038】
このようなインクジェットヘッドの構造の一例としては、先に図1及び2により説明した構造を挙げることができる。本発明にかかるインクジェットヘッド用基体及びそれを用いたインクジェットヘッド用基体では、図2で示す発熱抵抗体層2004に上記組成の発熱抵抗体薄膜が用いられる。
【0039】
ところで、このインクジェットヘッド用基体は、発熱抵抗体上に保護層が設けられた形態とすることが基本的構成である。その場合には、インクへの熱伝導効率は多少犠牲になるものの、電気熱変換体の耐久性や電気化学反応による発熱抵抗体の抵抗変化といった点では一層優れたインクジェットヘッドを得ることができる。このような観点から、保護層は、その全体の層厚を1000Å〜5μmの範囲に収めるのが好ましい。保護層として具体的には、発熱抵抗体の上に設けられたSiO2、SiN等からなるSi含有絶縁層と、その層の上に熱作用面を形成するように設けられたTa層とを有するものが好ましい例として挙げられる。
【0040】
なお、本発明にかかるインクジェットヘッド用基体は、インクを吐出するために利用される熱エネルギーを通電により発生する発熱抵抗体を有する電気熱変換体を基板上に備えた構成を少なくとも有するもので、必要に応じて、発熱抵抗体に接続する一対の電極及び少なくとも発熱抵抗体上を覆う保護層などの1種以上を更に有するものである。
【0041】
図2に示す構成では、発熱抵抗体層4004上に電極層2005が積層されて電極層2005の対向する一対の端部間に発熱抵抗体層4004の露出部が形成されて電気熱変換体が構成されており、この露出部を構成する発熱抵抗層が抵抗体としての機能を有するものである。発熱抵抗体層と電極層との位置関係は、発熱抵抗体層の下側に電極層の端部が位置する構成としてもよい。
【0042】
図2に示す基体の各熱作用面に対応した位置に、図1に示すように、少なくともインク流路を形成することで、インクジェットヘッドを得ることができる。なお、インク流路は公知の材料及び方法により形成することができる。
【0043】
更に、図1及び2に示す構造では、インク流路におけるインクの供給方向と吐出口からのインクの吐出方向がほぼ一致する吐出口とインク流路の位置関係を有するものであるが、本発明にかかるインクジェットヘッドはこの構造に限定されず、例えば図8(a)及び(b)に示すように、支持部材412により支持されて、インク流路の一部(天井部分)を構成する吐出口プレート410に吐出口108を複数設け、インク流路へのインク供給方向に対して角度をもって(図示した例では直交する方向)吐出口から吐出させる構造としてもよい。
【0044】
本発明のインクジェットヘッドは、吐出口、インク液路および発熱抵抗体を有するインク吐出構造単位が、図1に示されるように複数配置されている構造を有するものが好ましい。特に、発熱抵抗体に用いる発熱抵抗体薄膜はシート抵抗が高く、小型化に適するものであるので、インク吐出単位を例えば8本/mm以上、更には12本/mm以上といったように高密度に配置する場合に、本発明は特に有効である。このインク吐出構造単位を複数有するものの一例として、例えば被記録部材の印字領域の全幅にわたってインク吐出構造単位が配列されている構成を有するいわゆるフルラインタイプのインクジェットヘッドを挙げることができる。
【0045】
このような、吐出口が被記録部材の記録領域の幅に対応して複数設けられた形態のいわゆるフルラインインクジェットヘッドの場合、言い換えれば吐出口が1000以上あるいは2000以上配設されたインクジェットヘッドの場合、一つのインクジェットヘッドの中での発熱部毎の抵抗値のばらつきが、吐出口から吐出される滴の体積の均一性に影響を及ぼし、それが画像の濃度不均一の原因となることがある。しかし、本発明における発熱抵抗体では、所望の比抵抗値を制御性よく、一つのインクジェットヘッドの中での抵抗値のばらつきが極めて少ないように得ることができるので、前述した問題を格段に良好な状態をもって解消することができる。
【0046】
このように、本発明における発熱抵抗体は、記録の高速化(例えば30cm/sec以上、更には60cm/sec以上の印字速度)、高密度化が一層求められ、それに対応してインクジェットヘッドの吐出口の数が増加する傾向の中、ますます大きな意味をもつものである。
【0047】
さらに、米国特許第4,429,321号明細書に開示されているような、機能素子がインクジェットヘッド基体の表面内部に構造的に設けられている形態のインクジェットヘッドにおいては、インクジェットヘッド全体の電気回路を設計通りに正確に形成して、機能素子の機能が正常な状態に保たれやすくすることが重要な点の一つであるが、本発明における発熱抵抗体はこの意味でも極めて有効である。なぜならば、前述したように、本発明における発熱抵抗体では、所望の比抵抗を制御性よく、一つのインクジェットヘッドの中での抵抗値のばらつきが極めて少ないように得ることができるので、インクジェットヘッド全体の電気回路を設計通り正確に形成することができるからである。
【0048】
加えて、熱作用面に供給されるインクを貯留するインクタンクを、必要に応じて着脱自在として、一体的に具備するディスポーザブルカートリッジタイプのインクジェットヘッドに対しても、本発明における発熱抵抗体は極めて有効である。なぜならば、この形態のインクジェットヘッドには該インクジェットヘッドが装着されるインクジェット装置全体のランニングコストが低いことが要求されるが、前述したように、本発明における発熱抵抗体は、インクに直接接する構成とすることができるので、インクへの熱伝達効率を良好なものとすることができ、故に装置全体での消費電力を小さくできて前記の要求に沿うことが容易にできるからである。
【0049】
また、インクを吐出するために利用される熱エネルギーの発生のためのみに限らず、必要に応じて設けられるインクジェットヘッド内の所望の部分の加熱用のヒーターとして利用してもよく、そのようなヒーターがインクと直接接する場合に特に好適に用いられる。
【0050】
以上述べた構成のインクジェットヘッドを装置本体に装着して装置本体からインクジェットヘッドに信号を付与することにより、高速記録、高画質記録を行うことができるインクジェット記録装置を得ることができる。
【0051】
図9は本発明が適用されるインクジェット記録装置IJRAの一例を示す概観斜視図である。駆動モータ5013の正逆回転に連動して駆動力伝達ギア5011,5009を介して回転するリードスクリュー5005の螺旋溝5004に対して係合するキャリッジHCはピン(不図示)を有し、矢印a,b方向に往復移動される。5002は紙押え板であり、キャリッジ移動方向にわたって紙をプラテン5000に対して押圧する。5007,5008はフォトカプラでキャリッジのレバー5006のこの域での存在を確認してモータ5013の回転方向切換等を行うためのホームポジション検知手段である。5016はインクタンクが一体的に設けられたカートリッジタイプの記録インクジェットヘッドIJCの全面をキャップするキャップ部材5022を支持する部材で、5015はこのキャップ内を吸引する吸引手段でキャップ内開口5023を介して記録インクジェットヘッドの吸引回復を行う。5017はクリーニングブレードで、5019はこのブレードを前後方向に移動可能にする部材であり、本体支持板5018にこれらは支持されている。ブレードはこの形態に限らず、周知のクリーニングブレードを本例に適用できることは言うまでもない。また、5012は、吸引回復の吸引を開始するためのレバーで、キャリッジと係合するカム5020の移動に伴って移動し、駆動モータからの駆動力がクラッチ切換え等の公知の伝達手段で移動制御される。インクジェットヘッドIJCに設けられた電気熱変換体に信号を付与したり、前述した各機構の駆動制御を司ったりするCPUは、装置本体側に設けられている(不図示)。
【0052】
以上、インクジェットヘッドをキャリッジに搭載して記録媒体に対して走査させる形式の装置について説明したが、本発明のインクジェットヘッドおよびインクジェット装置はインクジェットヘッドとインクタンクとが一体化されたペンタイプの装置としてもよい。更に、インクジェットヘッドはインク流路に供給するインクを保持するインク室を必要に応じて複数のインク流路に共通に設けることができ、各インク室ごとに異なる色のインク、例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、必要に応じてブラックのインクをそれぞれ供給して、フルカラー画像の記録を行うことができる。また、インクを貯溜するインクタンクは、先に述べたとおりインクイジェットヘッドと一体化して、あるいはインクジェットヘッドと着脱自在に接続して用いることができる。あるいは、インクジェット装置のインクジェットヘッド以外の部分に対して、必要に応じて着脱自在に接続して設けることもできる。
【0053】
以上述べた各構成において発熱抵抗体以外の部分は、公知の材料および方法を用いて形成することができる。
【0054】
本発明にかかる発熱抵抗体薄膜は、先に示した組成を有する所定の特性を満たす薄膜として各種の成膜法で作製可能である。これらの中では、反応性スパッタリング法、特に、電源として高周波(RF)電源または直流(DC)電源を用いたマグネトロンスパッタリング法が好ましい。
【0055】
例えば、窒素ガス、酸素ガス及びアルゴンガスを含む混合ガス雰囲気中でCrSi合金をターゲットとした反応性スパッタリング法により基板上に発熱抵抗体薄膜を形成することができる。
【0056】
図4に反応性スパッタリング法による薄膜形成装置の概要の一例を示す。
【0057】
図4において、4001はあらかじめ所定の組成に作製されたCr−Siからなるターゲット、4002は平板マグネット、4011は基板への成膜を制御するシャッター、4003は基板ホルダー、4004は基板、4006はターゲット4001と基板ホルダー4003に接続された電源である。さらに、図4において、4008は成膜室4009の外周壁を囲んで設けられた外部ヒーターである。該外部ヒーター4008は、成膜室4009の雰囲気温度を調節するのに使用される。基板ホルダー4003の裏面には、基板の温度制御を行う内部ヒーター4005が設けられている。基板4004の温度制御は、外部ヒーター4008を併用して行うことが好ましい。
【0058】
図4の装置を用いた成膜は、以下の様に行われる。
【0059】
まず、不図示の排気ポンプを用いて排気用バルブ4007を用いて成膜室4009を1×10−5〜1×10−6Paまで排気する。次いで、アルゴンガスと窒素ガス及び酸素ガスからなる混合ガスを、マスフローコントローラー(不図示)を介してガス導入口4010から成膜室4009に導入する。この時、上記基板温度及び雰囲気温度が所定の温度になるように内部ヒーター4005、外部ヒーター4008を調節する。
次に、電源4006からターゲット4001にパワーを印加してスパッタリング放電を行い、シャッター4011を調節して、基板4004の上に薄膜を形成させる。
【0060】
その際の薄膜形成条件は、先に挙げた組成が得られるように設定されるが、アルゴンガスは必須である。すなわち、他のKr、Xe等の不活性ガスも利用可能であるが、経済的な観点からは通常はArを使用する。
【0061】
基板上に形成された発熱抵抗体薄膜は、更に加熱処理されることがこのましい。加熱処理はスパッタ装置内でそのまま行うこともでき、また、後工程で別の装置により熱処理してもよい。この加熱処理により、発熱抵抗体薄膜を構成するCrSiON中にCrSi2からなる金属間化合物が生成され、この金属間化合物が熱的に安定であることや、TCRが小さいことで耐久性の更なる向上を図ることができる。これらの事から、CrとSiの組成比としては、1:2に近いことが好ましい。この状態で、膜中に窒素と酸素が混入することで、比抵抗が上昇すると予想される。かかる発熱抵抗体薄膜からなる発熱抵抗体は、ヒーターサイズが小さいものにして短いパルスで連続的に駆動した場合にも、所望の耐久性が得られ、エネルギー効率が高く、発熱を抑制して省エネルギーを可能にするとともに、高品位の記録画像を提供することができる。なお、こうして形成された発熱抵抗体薄膜の形状は、隔週のパターニング方法、例えば、レジストによって残す部分を覆った状態でドライエッチングを行って不要部を基板上から除去する方法などを好適に用いることができる。
【0062】
【実施例】
以下に、本発明の実施の形態を実施例等に基づいて以下に説明する。但し、本発明は、以下に説明する各実施例のみに限定されるものでなく、本発明の目的を達成し得るものであれば他の用途に使用される抵抗体薄膜にも適用できることは勿論である。
【0063】
実験例1
(薄膜の基本特性の評価)
まず、CrSi系材料として代表的な材料であるCrSiO膜について評価を行った。ターゲット組成Cr30Si70(at%)、パワー350W、ガス圧0.5Paを主なスパッタ条件で酸素分圧を変化させて成膜して、酸素分圧と比抵抗の関係を求めた(スパッタ装置については図4参照)。その結果を図5に示す。この図からわかるように比抵抗は酸素分圧が2.5%以上になると急激に上昇している。インクジェット用のヒーター膜としては400A程度が膜厚として好適であり、シート抵抗500Ω/□を達成するためには比抵抗が2000μΩcm必要である。ところが図5からわかるようにこの領域での酸素分圧に対する比抵抗変化は非常に大きく実際の量産を考慮すると、酸素分圧変動に対するマージンが少なく、生産安定性の観点から好ましくないことがわかった。これらの条件で作成した膜をRBS組成分析した結果では、酸素分圧が2.5%では膜中の酸素濃度が20at%である事がわかった。すなわちCrSiO膜の場合、膜中の酸素濃度として20at%以下が実用領域であると考える。
【0064】
CrSiO膜は、特公昭63−016272号公報、特公平1−47871号公報、特公平4−04721号公報、特公平4−60835号公報、USP4343986、4460494、4517444等に開示されている。
【0065】
次に、CrSiN膜について評価を行った。ターゲット組成Cr30Si70(at%)、パワー350W、ガス圧0.5Paを主なスパッタ条件で窒素分圧を変化させて成膜して、窒素分圧と比抵抗の関係を求めた。(スパッタ装置については図4参照)その結果を図6に示す。この図からわかるように比抵抗は窒素分圧が15%(比抵抗値:〜1700μΩcm)までほぼ比例関係にあり、窒素分圧20%程度までほぼ単調に比抵抗が増加している。このような関係にあることから、比抵抗に対する窒素分圧の変動マージンが大きくなり量産時の生産安定性を考慮すると非常に優れた材料であることがわかった。
【0066】
ところで、我々はこのCrSiN膜について、窒素分圧が15%の条件で成膜した場合の特性再現性について検討した。その結果同一条件での成膜を30回連続で繰り返した結果、比抵抗値が最大+10%程度ばらつく事を見出した。この現象について原因究明を行ったところ、成膜した膜中から酸素が検出され、この酸素量のばらつきがそのまま比抵抗のばらつきになることが判明した。これは真空に排気した時のバックグランド中に存在しているH2Oが分解して膜中に取り込まれると考えられるが、このバックグランドが変動した場合このH2O量が変動してその結果として酸素量のばらつきとなる。そこで我々はCrSiN膜を成膜する時に1〜2%程度の酸素を添加することで、膜中の酸素量を制御できることを実験的に検証することが出来た。この結果を図7に示す。さらに、酸素を添加した条件で繰り返し成膜した場合の比抵抗値の再現性は、酸素を添加しない場合にくらべ向上して、ばらつきの程度が5%前後に改善することが分かった。
【0067】
CrSiN膜は、特公平2−18651号公報、USP4392992、4510178、459182等により開示されている。
<インクジェットヘッド用基体の評価>
実施例1
(図2に示す構成の基体の作製)
まず、シリコン基板2001上に熱酸化により膜厚1.8μmの蓄熱層2002を形成し、更に蓄熱層を兼ねる層間膜2003として、SiO2膜をプラズマCVD法により膜厚1.2μmに形成した。次に、図4に示す装置を用いて、発熱抵抗層2004としてCrSiON膜を膜厚400Å形成した。
【0068】
この時のガス流量は、Arガス68sccm、N2ガス11sccm、酸素ガス1sccmとし、ターゲットCr30Si70に投入するパワーは350Wとし、雰囲気温度200℃、基板温度200℃で行った。
【0069】
更に、熱作用部2008で発熱抵抗層2004を加熱するための金属配線2005として、Al−Cu膜を5500Åスパッタリング法により形成した。
【0070】
これを、フォトリソによりパターン形成し、Al−Cu層を取り除いた15μm×40μm(平面形状サイズ)の熱作用部2008を形成した。保護膜2006としては、プラズマCVD法によりSiN膜を1μmの膜厚に形成した。本実施例ではこの時基板温度400℃で約1時間保持することで熱処理を兼ねた。最後に耐キャビテーション層2007としてスパッタリング法によりTa膜を膜厚2000Å形成し、本発明の基体を得た。上記形状の発熱抵抗層のシート抵抗値は、550Ω/□であった。TCR特性は25ppm/℃程度である。T
また、RBS組成分析による(RBSは一般的な膜組成定量分析手法でラザフォード、バック、スキャッタリングの略)CrSiONの組成比はCr24at%,Si50at%,N22at%,O4at%であった。
【0071】
比較例1
発熱抵抗層2004を、次のように変更する以外は、実施例1と同様に作製することにより比較例1の基体を得た。すなわち、図4に示す装置により、Taターゲットを用いた反応性スパッタリング法により膜厚1000ÅのTaN0.8膜を形成した。この時のガス流量は、Arガス64sccm、N2ガス16sccm、窒素ガス分圧20%とし、Taターゲットへの投入パワー350W、雰囲気温度200℃、基板温度200℃で行った。発熱抵抗層のシート抵抗値は25Ω/□であった。
【0072】
以上に実施例1及び比較例1で得られた基体について以下の項目に関する評価を行った。
【0073】
(発泡電圧、電流)
上記実施例1及び比較例1として作製された基体を用いて、インクを吐出する発泡電圧Vthを求めた。このVthに対して、1.2Vth(発泡電圧の1.2倍)を駆動電圧として、駆動パルス幅2μsec.で駆動させた時の電流値を測定した。
【0074】
すなわち、実施例1では、Vth=30V、電流値は30mAであったのに対し、比較例1ではVth=9.9V、電流値は120mAであった。この結果から、本発明の実施例1と比較例1の基体を比較すると、電流値は比較例に比べ約1/4となっている。実際のヘッド形態では、同時に駆動させる発熱抵抗体数は複数あるので、比較例に比べてはるかに消費電力が少なくなり、省エネ効果が得られることが理解されよう。
【0075】
(熱ストレス耐久性)
更に、以下の条件で発熱抵抗体を駆動させ、破断パルスによる熱ストレス耐久評価をおこなった。
【0076】
主な試験条件
駆動周波数:15KHz、駆動パルス幅:1μsec.駆動電圧:発泡電圧×1.2
その結果、比較例では6.0×107パルスで破断したのに対し、実施例1では5.0×109パルスまで破断しなかった。このように、本発明の実施例の基体では短いパルス駆動に対しても十分耐えられることがわかる。
【0077】
実施例2
発熱抵抗層2004を、次のように変更する以外は、前記実施例1と同様に作製することにより、図1で示される基体2000を得た。すなわち、成膜時に導入するガスの分圧を変更した。Arガス64sccm,N2ガス15sccm、酸素ガス1sccmに変えて導入し、反応性スパッタリング法により膜厚400ÅのCrSiON膜を形成した。ターゲット投入パワーは、Cr30Si70ターゲットに350Wとし、雰囲気温度200℃、基板温度200℃で行った。発熱抵抗層のシート抵抗値は970Ω/□であった。TCR特性は30ppm/℃である。また、RBS組成分析によるCrSiONの組成比はCr21at%、Si43at%、N30at%、O6at%であった。RBSについては述べた。
【0078】
得られた基体について上記と同様の項目について評価した。その結果、実施例2の基体ではVth=35V、電流値は18mAであった。また、破断パルスによる熱ストレス耐久評価では、6.0×109パルスまで破断しなかった。実施例1と同じように、実施例2の基体は、電流値が少なく省エネ効果に優れた基体であることがわかる。また、短いパルス駆動を行った場合でも耐久性に優れているものである。
【0079】
以上の結果を表1に示す。
【0080】
【表1】
【0081】
<インクジェット用特性評価>
さらに、インクジェット記録ヘッド用基体の発熱抵抗体としての特性を評価するため、上述の実施例と同様にして図4に示した装置を使用し、上述した成膜方法により実施例1及び2ともう1つ異なる成膜条件でCrSiON膜を有する図1及び2に示す構造の基体の各発熱抵抗体に対応した位置にインク流路を形成したインクジェット記録ヘッドを作成し、その特性を評価した。
【0082】
実施例3
本実施例によるインクジェット特性としての評価を行う試料の基板は、Si基板あるいは既に駆動用のICを作り込んだSi基板を用いる。
【0083】
Si基板の場合は、熱酸化法、スパッタ法、CVD法などによって膜厚1.8μmのSiO2の蓄熱層2002(図2)を形成し、ICを作り込んだSi基板も同様にその製造プロセス中で、SiO2の蓄熱層を形成しておく。
【0084】
次に、スパッタ法、CVD法などによってSiO2成る膜厚1.2μmの層間絶縁膜2003を形成した。次いで、CrSiターゲットを用いたスパッタリング法により発熱抵抗層2004を形成した。ターゲットに投入するパワーは100Wとし、ガス流量は実施例1の条件で、基板温度400℃で行った。これは、成膜速度を非常に遅くして膜の結晶化を促進するためである。また基板温度もこのため400℃と高く設定した。
【0085】
電極配線2005としてAl膜を5500Åスパッタリング法により形成した。次に、フォトリソ法を用いてパターン形成し、Al膜を取り除いた20μm×30μmの熱作用部2008を形成した。次に保護膜2006としてプラズマCVD法によって、SiNから成る膜厚1μmの絶縁体を形成した。次に耐キャビテーション層2007としてスパッタリング法によりTa膜を膜厚2300Å形成し、フォトリソ法により図1に示すような本発明のインクジェット用基体を作製した。
【0086】
このようにして作製された基体を用いてSST試験を行った。このSST試験とは、駆動周波数15KHz、駆動パルス幅1μsec.のパルス信号を与え、吐出を開始する発泡開始電圧Vthを求める。その後、印加電圧をVthから0.05V毎に上げていきながら、駆動周波数15KHzでそれぞれ1×105パルスを断線するまで印加し、この断線した時の破断電圧Vbを求める。この発泡開始電圧Vthと破断電圧Vbとの比を破断電圧比Kb(=Vb/Vth)と呼ぶ。この破断電圧比Kbが大きいほど発熱抵抗体の耐熱性に優れていることを示す。評価の結果、Kb=1.5が得られた。
【0087】
次に、駆動電圧Vop=1.3・Vthにおいて、駆動周波数15KHz、駆動パルス幅1μsec.、1.0×109パルスの連続したパルスを印加し、初期の発熱抵抗体の抵抗値R0、パルス印加後の抵抗値Rとした時、抵抗値変化率(R−R0)/R0を求めた(CST試験)。その結果、抵抗値変化率ΔR/R0=+2.5%(ΔR=R−R0)が得られた。
【0088】
実施例4
本実施例によるインクジェット特性としての評価を行う試料の基板は、実施例3と同様にSi基板あるいは既に駆動用のICを作り込んだSi基板を用いる。
【0089】
Si基板の場合は、熱酸化法、スパッタ法、CVD法などによって膜厚1.8μmのSiO2の蓄熱層2002(図2)を形成し、ICを作り込んだSi基板も同様にその製造プロセス中で、SiO2の蓄熱層を形成しておく。
【0090】
次に、スパッタ法、CVD法などによってSiO2成る膜厚1.2μmの層間絶縁膜2003を形成した。次いで、CrSiターゲットを用いたスパッタリング法により発熱抵抗層2004を形成した。ターゲットに投入するパワーは350Wとし、ガス流量は実施例1の条件で、基板温度200℃で行った。
【0091】
電極配線2005としてAl−Si膜を5500Åスパッタリング法により形成した。次に、フォトリソ法を用いてパターン形成し、Al−Si膜を取り除いた20μm×30μmの熱作用部2008を形成した。次に保護膜2006としてプラズマCVD法によって、SiNから成る膜厚1μmの絶縁体を形成した。この場合も基板温度を400℃で約1時間保持することで熱処理を兼ねた。次に耐キャビテーション層2007としてスパッタリング法によりTa膜を膜厚2300Å形成し、フォトリソ法により図1に示すような本発明のインクジェット用基体を作製した。
【0092】
このようにして作製された基体を用いてSST試験を行った。このSST試験とは、駆動周波数15KHz、駆動パルス幅1μsec.のパルス信号を与え、吐出を開始する発泡開始電圧Vthを求める。その後、印加電圧をVthから0.05V毎に上げていきながら、駆動周波数15KHzでそれぞれ1×105パルスを断線するまで印加し、この断線した時の破断電圧Vbを求める。この発泡開始電圧Vthと破断電圧Vbとの比を破断電圧比Kb(=Vb/Vth)と呼ぶ。この破断電圧比Kbが大きいほど発熱抵抗体の耐熱性に優れていることを示す。評価の結果、Kb=1.7が得られた。
【0093】
次に、駆動電圧Vop=1.3・Vthにおいて、駆動周波数15KHz、駆動パルス幅1μsec.、1.0×109パルスの連続したパルスを印加し、初期の発熱抵抗体の抵抗値R0、パルス印加後の抵抗値Rとした時、抵抗値変化率(R−R0)/R0を求めた(CST試験)。その結果、抵抗値変化率ΔR/R0=+1.5%(ΔR=R−R0)が得られた。
【0094】
実施例5
発熱抵抗層2004を実施例2に示すような条件で形成する以外は実施例4と同様にしてインクジェットヘッド用基体を作製した。また、この基体を用いて実施例4と同様にしてSST試験、CST試験を行った。
【0095】
その結果、Kb=1.5が得られた。次に、駆動電圧Vop=1.3・Vthにおいて、駆動周波数15KHz、駆動パルス幅1μsec.、1.0×109パルスの連続したパルスを印加し、初期の発熱抵抗体の抵抗値R0、パルス印加後の抵抗値Rとした時、抵抗値変化率(R−R0)/R0を求めた(CST試験)。その結果、抵抗値変化率ΔR/R0=+3.3%(ΔR=R−R0)が得られた。
以上の結果を表2に示す。
【0096】
【表2】
【0097】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、薄膜抵抗体薄膜、特にインクを吐出するために利用される熱エネルギーを発生する複数の発熱抵抗体を、CrSiONで表わされる材料からなる薄膜でかつCr:15〜30at%、Si:35〜60at%、O:1〜10at%及びN:10〜50at%(全体として100at%から構成されている。
【0098】
本発明によるインクジェット記録ヘッドの発熱抵抗体は、短いパルスで駆動した場合にも、所望の耐久性が維持され、高品位の記録画像を長期にわたって提供することが可能となった。これはTCR特性が正でかつ非常に小さい値であることが大きく寄与していると考えられる。
【0099】
本発明によるインクジェット記録ヘッドは、小ドット化に対応した高抵抗の発熱抵抗特性を可能とし、インクジェット記録ヘッドに用いた場合にはエネルギー効率が高い、つまり発熱を抑えることができ、省エネを可能にすることができる効果がある。
【0100】
本発明によるインクジェット記録ヘッドの製造方法によると、上記効果を有する液体吐出ヘッド用基体および液体吐出ヘッドを製造することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】インクジェットヘッドの基体を示す概略平面図である。
【図2】図1のX−X’の一点鎖線で基体を垂直に切断したときの基板の断面図である。
【図3】ヒーターサイズの違いによる各種駆動条件を説明する図である。
【図4】本発明のインクジェット記録ヘッド用基体の各層を成膜する成膜装置である。
【図5】CrSiO発熱抵抗体を形成する抵抗層の酸素分圧に対する比抵抗値を示す図である。
【図6】CrSiN発熱抵抗体を形成する抵抗層の窒素分圧に対する比抵抗値を示す図である。
【図7】CrSiN発熱抵抗体を形成する抵抗層の窒素分圧に対する膜組成比を示す図である。
【図8】インクジェットヘッドの他の態様を示す図である。
【図9】インクジェット装置の一例を示す図である。
【符号の説明】
1001 吐出口
1002 電気熱変換素子
1003 インク流路
1004 基板
1005 発熱抵抗体
1006 電極配線
1007 絶縁膜
1008 流路壁
1009 共通液室
2000 基体
2001 シリコン基板
2002 蓄熱層
2003 層間膜
2004 発熱抵抗層
2005 金属配線
2006 保護層
2007 耐キャビテーション膜
2008 熱作用部
4001 ターゲット
4002 平板マグネット
4003 基板ホルダー
4004 基板
4005 内部ヒーター
4006 電源
4007 排気ポンプ
4008 外部ヒーター
4009 成膜室
4010 ガス導入口
4011 シャッター
Claims (1)
- Cr、Si、O及びNからなる発熱抵抗体薄膜であって、
以下の組成:
Cr:15〜30原子%
Si:40〜60原子%
O:1〜10原子%
N:10〜50原子%
を有し、これらで100原子%となることを特徴とする発熱抵抗体薄膜。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2002380488A JP2004209751A (ja) | 2002-12-27 | 2002-12-27 | 発熱抵抗体薄膜、それを用いたインクジェットヘッド及びインクジェット装置、ならびにこれらの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2002380488A JP2004209751A (ja) | 2002-12-27 | 2002-12-27 | 発熱抵抗体薄膜、それを用いたインクジェットヘッド及びインクジェット装置、ならびにこれらの製造方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2004209751A true JP2004209751A (ja) | 2004-07-29 |
Family
ID=32816705
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2002380488A Pending JP2004209751A (ja) | 2002-12-27 | 2002-12-27 | 発熱抵抗体薄膜、それを用いたインクジェットヘッド及びインクジェット装置、ならびにこれらの製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2004209751A (ja) |
-
2002
- 2002-12-27 JP JP2002380488A patent/JP2004209751A/ja active Pending
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