JP2866254B2 - インクジェットヘッド、その製造方法及びそれを用いたインクジェット記録装置 - Google Patents

インクジェットヘッド、その製造方法及びそれを用いたインクジェット記録装置

Info

Publication number
JP2866254B2
JP2866254B2 JP4141791A JP14179192A JP2866254B2 JP 2866254 B2 JP2866254 B2 JP 2866254B2 JP 4141791 A JP4141791 A JP 4141791A JP 14179192 A JP14179192 A JP 14179192A JP 2866254 B2 JP2866254 B2 JP 2866254B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ink
ink jet
atomic
recording
jet head
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP4141791A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH05330054A (ja
Inventor
弘一 當麻
勲 木村
研二 長谷川
篤志 塩崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP4141791A priority Critical patent/JP2866254B2/ja
Publication of JPH05330054A publication Critical patent/JPH05330054A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2866254B2 publication Critical patent/JP2866254B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、キャビテーションの衝
撃に対する耐性、化学的安定性、耐酸化性、耐溶解性、
電気化学的安定性、耐熱性、耐熱衝撃性に優れた発熱抵
抗体を備えたインクジェットヘッド、その製造方法及び
それ用いたインクジェット記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】発熱抵抗体によりインクを加熱・発泡さ
せて、ノズルより液滴を噴出させ、記録を行うインクジ
ェット方式、即ちインクジェット方式は、高速高密度で
高精細高画質の記録が可能で、かつカラー化、コンパク
ト化に適しており、プリンターはもとより、複写機、フ
ァクシミリ、電卓等にも適用され、近年注目を集めてい
る。
【0003】この方式においては、記録用液体(インク
等)を熱エネルギーの利用で吐出させるため、液体に熱
を作用させる熱作用部が存在する。この熱作用部は、従
来のいわゆるサーマルヘッドの構成と類似しているが、
液体に直接接する点や、インクの発泡、消泡の繰り返し
による機械的衝撃(キャビテーションエロージョン)に
曝される点や、10-1〜10マイクロ秒というオーダー
の極めて短い時間に、1000℃近い温度の上昇及び下
降に曝されるという点などで、サーマルヘッドとはその
根本技術が大きく異なるものである。
【0004】そのため、従来のインクジェットヘッドに
おいては、発熱抵抗体上にSiO2,SiC,Si34
等による酸化防止兼電気絶縁層と、その上にTa等の耐
キャビテーションエロージョン層とを設ける構造とし、
使用環境から熱作用部を保護しているのが一般的であ
る。サーマルヘッドの耐摩耗層として一般的なTa25
等は、必ずしも耐キャビテーションエロージョン性に優
れておらず、特公昭59−43315号公報等に記載さ
れているキャビテーションエロージョンに対して強い材
料が使用されている。
【0005】これとは別に、熱作用部出は、消費電力を
低くし、入力信号に対する応答性を高めるために、発熱
抵抗体で発生させる熱ができるだけ効率良く、かつ速や
かにインクに作用することが従来より望まれている。そ
のため、保護膜を設けるタイプとは別に、発熱抵抗体が
直にインクに接している(以下、パッシベーションフリ
ーと略す)形態も、特開昭55−126462号公報に
提案されている。この形態は、熱効率の面から保護膜を
設ける形態に優っているものの、発熱抵抗体がキャビテ
ーションエロージョンや温度の上昇、下降に曝されるだ
けでなく、接するインクの導電性のため、電流がインク
中を流れ、その結果生じる電気化学反応にも曝されるこ
とになる。従って、発熱抵抗体としては、Ta2NやR
uO2の他、様々な金属、合金、金属化合物、サーメッ
トが知られているが、耐久性、安定性が十分ではなく、
パッシベーションフリーなインクジェットヘッド用とし
て特開昭59−96971号公報等に記載のあるTa基
合金などが提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前述のような保護膜を
設けるタイプのインクジェットヘッドでは、耐久性や抵
抗変化の点で実用上満足のいくものが得られているが、
保護膜形成時に生ずる欠陥の発生を完全に防止すること
は非常に困難であり、それが量産時に歩留まりを下げる
大きな要因になる。記録の高速化、高密度化が一層求め
られ、一つのヘッド当りのノズル数が増加する傾向にあ
る中、このことはますます大きな問題となってきてい
る。
【0007】また、発熱抵抗体からインクへの熱伝達効
率が悪いと、必要となる全体の消費電力が増し、駆動時
におけるヘッド全体の温度変化が大きくなる。ヘッドの
温度変化は、吐出液滴の体積変化につながり、画像での
濃度むらの原因となり得る。また、記録の高速化に対応
するため、時間当りの吐出回数を増やせば、ヘッドでの
消費電力が上昇し、温度変化による画像の濃度むらが一
層顕著になって来る。これは、記録画像の高画質化の要
求に反するものであり、解決すべき問題となっている。
【0008】このような問題を解決するため、発熱抵抗
体とインクが直に接する、保護膜の欠陥に左右されない
熱効率の良いインクジェットヘッドの実用化が望まれて
きている。しかしながら、既に述べたように、パッシベ
ーションフリータイプのインクジェットヘッドにおいて
は、発熱抵抗体がキャビテーションエロージョンや温度
の上昇、下降に曝されるだけでなく、電気化学反応にも
曝されることになり、従来のTa2N、RuO2、HfB
2等の発熱抵抗体では、機械的に破壊されたり、容易に
腐蝕、溶解されてしまうなどの耐久性に問題を残してい
た。特公昭59−43315号公報等に記載されている
キャビテーションエロージョンに対して強い材料も、前
述のような保護膜として用いられた場合にその効果を発
揮するものであるが、パッシベーションフリーなインク
ジェットヘッドの発熱抵抗体として用いられた場合に
は、電気化学反応などによって容易に溶解あるいは腐蝕
されてしまい、十分な耐久性を得ることはできない。
【0009】また、高精細、高画質の記録にとって、吐
出の安定性は不可欠であるが、そのためには、発熱抵抗
体の抵抗変化が小さいことが必要であり、実用的には5
%以下であることが望ましい。特開昭59−96971
号公報等に記載のあるTa基合金は、パッシベーション
フリーな発熱抵抗体として用いた場合に、抵抗体が破断
しないという点での耐久性において比較的優れている。
しかしながら、発泡を繰り返す間の抵抗変化という点に
おいては、例えばTaやTa−Al合金で7〜10%程
度というように未だ不十分なものであった。
【0010】このように従来既知の材料でパッシベーシ
ョンフリーな発熱抵抗体を形成した場合には、耐キャビ
テーションエロージョン性などの機械的耐久性、電気化
学的安定性、抵抗安定性、耐熱酸化性、耐熱溶解性、さ
らに耐熱衝撃性の全てを満足するものはなかった。
【0011】本発明者らは、先にTaやIr、或いはA
l、Ta、及びIrを主要成分とする合金材料がパッシ
ベーションフリータイプのインクジェットヘッド用発熱
体として優れたものであることを見出した。これらの合
金材料を用いることによって、高い耐久性を持ったパッ
シベーションフリータイプのインクジェットヘッドを得
ることができる。しかしながら、一方で駆動用ICのコ
ストダウンや、配線での電力ロスの低減などの目的か
ら、発熱体の抵抗を高くしてより高電圧低電流で駆動し
たいという要求が高まってきており、このような場合に
は、より高電圧の駆動ということで電気化学的にさらに
厳しい条件となり、その条件によっては、上述の合金材
料を用いた場合であっても十分な耐久性が得られないこ
とがあることが分かってきた。
【0012】発熱体の抵抗を高くする手段として、例え
ば、抵抗体膜厚を薄くする方法があるが、実際に要求さ
れる抵抗値に設定するためには、数百オングストローム
程度になり、その製造安定性や耐久性が十分に得られな
い。また、本出願人により、先に金属硼化物、珪素及び
窒素を含む複合化合物を発熱抵抗体とする提案がなされ
ているが、パッシベーションフリーにした厳しい条件下
では、機械的耐久性、電気化学的安定性、抵抗安定性、
耐熱酸化性、耐熱溶解性、さらに耐熱衝撃性の全てを満
足するものではなかった。
【0013】本発明の目的は、抵抗値を高く設定でき、
保護膜を設けた時はもとより、インクに直に接するパッ
シベーションフリーな場合でも駆動電力の増加に伴う抵
抗値変化が少なく、耐久性においても優れた発熱抵抗体
を有するインクジェットヘッドを提供することにある。
【0014】本発明の他の目的は、上述のインクジェッ
トヘッドを有するインクジェット装置を提供することに
ある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、通
電によって発生する熱エネルギーによりインクを発泡吐
出させるインクジェットヘッドの発熱抵抗体が、酸素
(O)、珪素(Si)、白金(Pt)を構成要素とし、
それぞれについて5≦Si≦55原子%、5≦O≦55
原子%,かつ40≦Si+O≦60原子%、及び10≦
Pt≦60原子%の組成よりなるものであることによっ
て達成される。
【0016】本発明になる発熱抵抗体は、各構成要素を
供給し得る原料を用いた蒸着法、スパッタ法等の各種薄
膜形成技術によって支持体上に所望の膜厚で形成でき
る。
【0017】以下本発明を図面を参照しつつ詳細に説明
する。
【0018】図1は本発明による前記発熱抵抗体を有す
るインクジェットヘッドの基本構成を示す図である。
(a)はヘッドの主要部をオリフィス側から見た正面部
分図、(b)は(a)の一点鎖線XYでの切断面部分図
を示すものである。この例のインクジェットヘッドは、
基板1の表面に下部層2を設けた支持体上に所定の形状
を有する発熱抵抗体層3及び電極4,5を有する電気熱
変換体を形成し、さらに該電気熱変換体の少なくとも電
極4,5を覆う電極保護層6を積層し、さらにその上に
少なくとも吐出口8及び液路11を設けるための溝付き
板7を接合した構成を有する。この例における電気熱変
換体は電極4,5と発熱抵抗体3のこれら電極にはさま
れた部分(熱発生部)を有して構成されており、また、
インクジェットヘッド用基体は、基板1と下部層2とか
らなる支持体と該電気熱変換体及び保護層6を有して構
成されている。
【0019】インクへ熱を伝える熱作用部9は、前記熱
発生部の保護層6で覆われていない部分である。下部層
2は必要に応じて設けられ、基板1側へ逃げる熱の量を
調整し、熱発生部で発生する熱を効率よくインクへ伝え
る機能を有する。電極4,5は熱発生部から発熱を行わ
せるために、発熱抵抗体3に通電するためのものであ
り、この例では電極4が各熱発生部での共通電極であ
り、電極5は各熱発生部に個別に通電するための選択電
極である。電極保護層6は電極4,5がインクに接触し
て化学的に侵されたり、電極間にインクを通して短絡が
起こることを防止するためのものである。尚、電極4,
5を設けた段階での平面図を図2(a)に示す。また、
電極保護層6を設けた段階の平面図を図2(b)に示
す。本発明における発熱抵抗体3の厚さは、望ましい電
流或いは電圧において適切な熱エネルギーが効果的に発
生されるよう適宜決められるが、好ましくは500〜2
0000Å、より好ましくは1000〜10000Åで
ある。
【0020】発熱抵抗体3は上述したように蒸着法、ス
パッタ法等で薄膜形成されるが、例えば蒸着法では蒸着
源である材料の組成を予め何種類か用意し、いかにした
ら所望の膜組成を得られるか見極めておき、それに従い
成膜する。
【0021】スパッタ法では蒸着法と同様に組成を変え
たターゲットを数種用意して成膜しても良いが、例え
ば、酸化珪素(SiO2)ターゲット上にPt小片を乗
せることによっても良い。この場合、ターゲット上の面
積比率を変えることにより膜組成比を変えることができ
る。さらに、酸素源として酸素ガス(O2)を用いても
良く、例えば、Siターゲット上にPtの小片を乗せ、
所定量のO2ガスをスパッタ装置内に導き、リアクティ
ブスパッタを行っても良い。
【0022】前記発熱抵抗体3は、SiとOを同時に含
有するが、これらの元素は抵抗値を高くする意味で含有
されており、理由は不明であるが、Siのみ或いはOの
みの場合、抵抗値は上がるものの、発熱抵抗体の耐久性
が低下してしまう。従って、本発明ではSiとOとを同
時に含むことが、高抵抗で優れた発熱抵抗体を得る上で
必須である。本発明の発熱抵抗体におけるSiとOの組
成比は、5≦Si≦55原子%、5≦O≦55原子%で
あり、かつ40≦Si+O≦60原子%であることが好
ましく、さらに好ましくは5≦Si≦50原子%、5≦
O≦50原子%であり、かつ45≦Si+O≦55原子
%である。
【0023】また、本発明の発熱抵抗体のもう一つの構
成要素であるPtは、耐熱性及び耐酸化性に富み、かつ
化学的に安定な物質であるため、発熱抵抗体の熱衝撃、
酸化、化学的及び電気化学的反応を抑制する効果がある
ものと推測される。本発明の発熱抵抗体における該Pt
の組成比は10≦Pt≦60原子%が好ましく、さらに
好ましくは45≦Pt≦55原子%である。Ptの含有
量は耐久性の点で多い方が好ましいが、高抵抗化元素で
あるSiとOの含有量との関係から、上記範囲が設定さ
れる。
【0024】図5に一例としてO−Si−Pt合金中の
SiとOの総量と比抵抗ρ(μΩ・cm)との関係を示
す。SiとOの総量が多くなるにつれて、比抵抗は40
原子%から徐々に上昇し始め、60原子%を越えると1
4(μΩ・cm)以上となり、発熱抵抗体として使用
し得る範囲ではなくなる。従って、有効な抵抗値を得る
にはSiとOの総量が40〜60原子%であることが望
ましい。
【0025】本発明の発熱抵抗体においては、下部層2
との密着性、応力、靱性を調節するために、Taを1〜
30原子%含ませることが好ましく、3〜10原子%が
さらに好ましい。
【0026】本発明の発熱抵抗体中に含有される物質
は、上記したSi,O,Pt及びTaのみに限定される
ことはなく、その強度、密着性、応力、靱性を調節する
目的でAl,Ti,V,Cr,Ga,Zr,Nb,Hf
等を含んでいても良い。
【0027】更に、一般的に層の表面や内部は大気に触
れたり或いは作製の工程中で酸化されたり、ガスを取り
込んだりすることがあるが、本発明に係わる材料におい
ては、このような表面や、内部のわずかな酸化やArガ
ス等の取り込みによって効果が低下するものではない。
即ち、本発明においてはこのような不純物、例えば、A
rを始めとして、C,B,Na,Cl,Feなどの上記
必須構成要素の組成に影響を与えない範囲での含有も許
容される。
【0028】本発明における電気熱変換体の構成として
は図1の例に限定されず、例えば、図3のような構成と
するなど、種々の態様を採り得る。図3の構成では、電
極4,5が発熱抵抗体層3で覆われているため、電極の
保護層6は必ずしも必要とはしなくなる。また、液滴の
吐出口8及び液路11の構成も図1(a),(b)に示
したように、熱作用部9上へインクが供給される方向
と、吐出口8から飛翔させる液滴の吐出方向とがほぼ同
一のものに限定されず、図4(a),(b)の例に見ら
れるような、インクの供給方向と液滴の吐出方向がほぼ
直角である構成なども可能である。尚、(a)はヘッド
のオリフィス側から見た正面部分図、(b)は(a)の
一点鎖線ABでの切断面部分図を示すものである。同図
において、10は吐出口8を設けた適当な厚みの板(オ
リフィスプレート)であり、12はこのオリフィスプレ
ートを支持する支持壁である。
【0029】吐出口、液路及び熱発生部からなるインク
の吐出構造単位は図1及び図4に示すように複数配置さ
れても良く、例えば被記録材の印字幅全幅にわたって配
列されている構成も挙げることができ、この場合は駆動
用のICの数も増えることから駆動用ICのコストダウ
ンはヘッドの価格を下げるのに有効である。
【0030】ところで、本発明のインクジェットヘッド
は発熱抵抗体上に保護層が設けられた形態とすることも
可能である。その場合には、インクへの熱伝導効率は多
少犠牲になるものの、電気熱変換体の耐久性や電気化学
反応による発熱抵抗体の抵抗変化といった点では一層優
れたインクジェットヘッドを得ることができる。このよ
うな観点から保護層を設ける場合には、その全体の層厚
を1〜100μmの範囲内に収めるのが好ましい。
【0031】保護層として具体的には、SiO2,Si
C,あるいはSiNなどの絶縁性材料等から形成するこ
とができる。尚、保護層は単一材料で構成する必要は必
ずしもなく、前記材料の多層構成、或いは液体(インク
等)と接する最表面にTaなどの耐キャビテーション用
金属薄膜層を設けた構造を有するものでもよい。
【0032】本発明は、特にインクジェット記録方式の
中でも、熱エネルギーを利用してインクを吐出させる方
式の記録ヘッド、記録装置において、優れた効果をもた
らすものである。
【0033】その代表的な構成や原理については、例え
ば、米国特許第4,723,129号明細書、同第4,
740,796号明細書に開示されている基本的な原理
を用いて行なうものが好ましい。この方式はいわゆるオ
ンデマンド型、コンティニュアス型のいずれにも適用可
能であるが、特に、オンデマンド型の場合には、液体
(インク)が保持されているシートや液路に対応して配
置されている電気熱変換体に、記録情報に対応していて
核沸騰を越える急速な温度上昇を与える少なくとも一つ
の駆動信号を印加することによって、電気熱変換体に熱
エネルギーを発生せしめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸
騰させて、結果的にこの駆動信号に一対一対応し液体
(インク)内の気泡を形成出来るので有効である。この
気泡の成長、収縮により吐出用開口を介して液体(イン
ク)を吐出させて、少なくとも一つの滴を形成する。こ
の駆動信号をパルス形状とすると、即時適切に気泡の成
長収縮が行なわれるので、特に応答性に優れた液体(イ
ンク)の吐出が達成でき、より好ましい。このパルス形
状の駆動信号としては、米国特許第4,463,359
号明細書、同第4,345,262号明細書に記載され
ているようなものが適している。なお、上記熱作用面の
温度上昇率に関する発明の米国特許第4,313,12
4号明細書に記載されている条件を採用すると、さらに
優れた記録を行なうことができる。
【0034】記録ヘッドの構成としては、上述の各明細
書に開示されているような吐出口、液路、電気熱変換体
の組み合わせ構成(直線状液流路または直角液流路)の
他に熱作用部が屈曲する領域に配置されている構成を開
示する米国特許第4,558,333号明細書、米国特
許第4,459,600号明細書を用いた構成も本発明
に含まれるものである。加えて、複数の電気熱変換体に
対して、共通するスリットを電気熱変換体の吐出部とす
る構成を開示する特開昭59−123670号公報や熱
エネルギーの圧力波を吸収する開口を吐出部に対応させ
る構成を開示する特開昭59−138461号公報に基
づいた構成としても本発明は有効である。
【0035】さらに、記録装置が記録できる最大記録媒
体の幅に対応した長さを有するフルラインタイプの記録
ヘッドとしては、上述した明細書に開示されているよう
な複数記録ヘッドの組み合わせによって、その長さを満
たす構成や一体的に形成された一個の記録ヘッドとして
の構成のいずれでもよい。
【0036】加えて、装置本体に装着されることで、装
置本体との電気的な接続や装置本体からのインクの供給
が可能になる交換自在のチップタイプの記録ヘッド、あ
るいは記録ヘッド自体に一体的に設けられたカートリッ
ジタイプの記録ヘッドを用いた場合にも本発明は有効で
ある。
【0037】また、本発明の記録装置の構成として設け
られる、記録ヘッドに対しての回復手段、予備的な補助
手段などを付加することは本発明の効果を一層安定化で
きるので好ましいものである。これらを具体的に挙げれ
ば、記録ヘッドに対しての、キャッピング手段、クリー
ニング手段、加圧あるいは吸引手段、電気熱変換体ある
いはこれとは別の加熱素子あるいはこれらの組み合わせ
による予備加熱手段、記録とは別の吐出を行なう予備吐
出モードを行なうことも安定した記録を行なうために有
効である。
【0038】さらに、記録装置の記録モードとしては黒
色等の主流色のみの記録モードだけではなく、記録ヘッ
ドを一体的に構成するか複数個の組み合わせによってで
もよいが、異なる色の複色カラーまたは、混色によるフ
ルカラーの少なくとも一つを備えた装置にも本発明は極
めて有効である。
【0039】以上の説明においては、インクを液体とし
て説明しているが、室温やそれ以下で固化するインクで
あって、室温で軟化もしくは液体あるいは、上述のイン
クジェットではインク自体を30℃以上70℃以下の範
囲内で温度調整を行なってインクの粘性を安定吐出範囲
にあるように温度制御するものが一般的であるから、使
用記録信号付与時にインクが液状をなすものであればよ
い。加えて、積極的に熱エネルギーによる昇温をインク
の固形状態から液体状態への態変化のエネルギーとして
使用せしめることで防止するかまたは、インクの蒸発防
止を目的として放置状態で固化するインクを用いるかし
て、いずれにしても熱エネルギーの記録信号に応じた付
与によってインクが液化してインク液状として吐出する
ものや記録媒体に到達する時点ではすでに固化し始める
ものなどのような、熱エネルギーによって初めて液化す
る性質のインク使用も本発明には適用可能である。この
ような場合インクは、特開昭54−56847号公報あ
るいは特開昭60−71260号公報に記載されるよう
な、多孔質シート凹部または貫通孔に液状または固形物
として保持された状態で、電気熱変換体に対して対向す
るような形態としてもよい。本発明においては、上述し
た各インクに対して最も有効なものは、上述した膜沸騰
方式を実行するものである。
【0040】図6は上記処理のための機構を備えたイン
クジェット記録装置の一例を示す外観斜視図である。
【0041】図において、501はプラテン507上に
送紙されてきた記録紙の記録面に対向してインク吐出を
行うノズル群を備えたインクジェットヘッドカートリッ
ジ(IJC)である。502はIJC501を保持する
キャリッジ(HC)であり、駆動モーター503の駆動
力を伝達する駆動ベルト504の一部と連結し、互いに
平行に配設された2本のガイドシャフト505及び50
6と摺動可能とすることにより、IJC501の記録紙
の全幅にわたる往復移動が可能となる。
【0042】508はヘッド回復装置であり、IJC5
01の移動経路の一端、例えばホームポジションと対向
する位置に配設される。伝動機構509を介したモータ
ー510の駆動力によって、ヘッド回復装置508を動
作せしめ、IJC501のキャッピングを行う。このヘ
ッド回復装置508のキャップ部511によるIJC5
01へのキャッピングに関連させて、ヘッド回復装置5
08内に設けた適宜の吸引手段によるインク吸引もしく
はIJC501へのインク供給経路に設けた適宜の加圧
手段によるインク圧送を行い、インクを吐出口より強制
的に排出させることによりノズル内の増粘インクを除去
する等の吐出回復処理を行う。また、記録終了時等にキ
ャッピングを施すことにより記録ヘッドが保護される。
【0043】512はヘッド回復装置508の側面に配
設されるクリーニングブレードである。ブレード512
はブレード保持部材513にカンチレバー形態で保持さ
れ、ヘッド回復装置508と同様、モーター510及び
伝動機構509によって作動し、IJC501の吐出面
との係合が可能となる。これにより、IJC501の記
録動作における適切なタイミングで、あるいはヘッド回
復装置508を用いた吐出回復処理後に、ブレード51
2をIJC501の移動経路中に突出させ、IJC50
1の移動動作に伴ってIJC501の吐出面における結
露、濡れあるいは塵埃等を拭き取るものである。
【0044】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳細に説明する
が、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
【0045】実施例1 A)ヘッドの作製 支持体としてのSi基板に熱酸化処理を行い、厚さ2.
5μmのSiO2を下部層として形成した。次に、この
下部層が設けられた支持体を高周波スパッタリング装置
(徳田製作所製、CFS−8EP)にセットし、純度9
9.9重量%以上のSiO2ターゲット上に同程度の純
度のPtシートを置いたもの用い、下表の条件でスパッ
タリングを行い、約2300Åの厚さの発熱抵抗体層を
下部層上に形成した。
【0046】
【表1】 更に続けてAuだけのターゲットに切り替え、上記膜の
上層にAuを6000Åの厚みに形成し、スパッタリン
グを終了した。この後、フォトリソグラフィ技術により
フォトレジストを所定のパターンに2度形成し、一度は
Au層のドライエッチング、2度目は発熱抵抗体層をイ
オンミリングにてドライエッチングし、図2(a)で示
された形状の発熱抵抗体3と電極4,5を形成した。熱
発生部の寸法は30μm×170μm、熱発生部のピッ
チは125μm、24個の熱発生部を一列に並べて形成
した。次にスパッタリングによりSiO2膜をこの上層
に形成し、その後、このSiO2膜をフォトリソグラフ
ィ技術とリアクティブイオンエッチングを用いて、熱発
生部の両側10μmずつと電極を覆うようにパターニン
グした。従って熱作用部の寸法は30μm×150μm
となった。さらに次に、図1(a),(b)に示す吐出
口8及び液路11を形成するため、ガラス製溝付き板7
を接合し、目的とするインクジェットヘッドを得た。こ
のようなヘッドを多数作製し、評価試験を行った。
【0047】B)発熱抵抗体の組成の測定 A)で得られたヘッドにおいて、ガラス製溝付き板を接
合する前の段階で、熱作用部の発熱抵抗体組成をEPM
A(エレクトロンプローブマイクロアナリシス、島津製
作所製、EPM-810を用いた。)法によって測定した。
【0048】C)吐出耐久試験 A)で得られたヘッドの液路に、インクが供給されるよ
うにして、外部電源から電極4,5に幅7μsec、周
波数2kHzの矩形パルス電圧を徐々に高くしながら印
加し、吐出口8からインクが吐出を開始する吐出閾値電
圧(Vth)を求めた。次に1.2Vthの電圧のパルスを
印加して連続的に吐出を行い、熱作用部9が破断して不
吐出に至るまでの印加パルス数を測定した。尚、使用し
たインクの組成は、水68重量部、ジエチレングリコー
ル30重量部、黒色染料2重量部、pH調整剤0.1重
量部であった。
【0049】D)膜厚の測定 触針式表面形状測定器(TENCOR INSTRUMENTS社製、alph
a-step 200)による段差測定によって行った。
【0050】E)比抵抗の測定 4探針抵抗計(共和理研製のK-705RL)にて測定したシ
ート抵抗値と膜厚から算出した。
【0051】以上の結果を下表に示す。
【0052】実施例2〜6、比較例1〜4 ターゲット面積比を下表のごとく変更した以外は実施例
1と同様にしてインクジェットヘッドを作製し、同様の
評価を行った。但し、実施例5及び比較例4では、スパ
ッタ時にArガス中に表に示すようにO2ガスを導入し
て成膜を行った。
【0053】
【表2】 *吐出耐久は比較例1を1.0とした時の相対比で示し
た。また、比較例2では耐久性は充分であったが、抵抗
値が低いため、駆動用ICのコストを低く抑えることが
できなかった。
【0054】また、実施例で得られたヘッドを公知の構
成の記録装置に装着し、キャラクターなどの印字を行っ
たところ、得られた印字物は極めて良好なものだった。
【0055】
【発明の効果】以上説明したように、本発明ではPtと
Si及びOを構成要素として形成される、高抵抗で優れ
た耐久性能を持った発熱抵抗体を有するインクジェット
ヘッドであり、特にインクが発熱抵抗体に直に接する場
合においても耐久性能がよく、高品位で高速な記録を得
ることができるものである。また、発熱抵抗体が高抵抗
化されているため、駆動電流を小さくすることができ、
駆動用のICのコストを低くすることができるため、イ
ンクジェットヘッドのコストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のヘッドの主要部の一例を示すもので、
(a)は吐出口側から見た正面部分図、(b)は(a)
のX−Yでの切断面部分図である。
【図2】(a)は電極を設けた段階での基板の部分平面
図、(b)は(a)の上に電極保護層を設けた段階の部
分平明図である。
【図3】本発明に係わるインクジェットヘッドに用いら
れる基体の他の例を示す模式的断面図である。
【図4】本発明に係わるインクジェットヘッドの主要部
の他の例を示すもので、(a)は吐出口側から見た正面
部分図、(b)は(a)のA−Bでの切断面部分図であ
る。
【図5】本発明に係わるO−Si−Pt複合材料からな
る発熱抵抗体のSiとOの総含有量と比抵抗の関係を示
すグラフである。
【図6】本発明のインクジェットヘッドを備えたインク
ジェット記録装置の一例を示す外観斜視図である。
【符号の説明】
1 基板 2 下部層 3 発熱抵抗体 4,5 電極 6 保護層 7 溝付き板 8 吐出口 9 熱作用部 10 オリフィスプレート 11 液路 12 支持壁
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 塩崎 篤志 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B41J 2/05 B41J 2/16 H01C 7/00

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 通電によって発生する熱エネルギーによ
    りインクを発泡吐出させるインクジェットヘッドにおい
    て、熱を発生する発熱抵抗体が以下の組成 5原子%≦Si≦55原子% 5原子%≦O≦55原子% かつ40原子%≦Si+O≦60原子%であり、 10原子%≦Pt≦60原子% であることを特徴とするインクジェットヘッド。
  2. 【請求項2】 請求項1において、発熱抵抗体中に、T
    aを1原子%≦Ta≦30原子%含有してなるインクジ
    ェットヘッド。
  3. 【請求項3】 請求項1または2において、前記発熱抵
    抗体の表面層がインクと直に接触するインクジェットヘ
    ッド。
  4. 【請求項4】 請求項1、2または3において、記録媒
    体の記録領域の全幅にわたって吐出口が複数設けられて
    いるフルラインタイプのものであるインクジェットヘッ
    ド。
  5. 【請求項5】 通電によって発生する熱エネルギーによ
    りインクを発泡吐出させるインクジェットヘッドを作製
    するにあたり、熱を発生する発熱抵抗体を以下の組成 5原子%≦Si≦55原子% 5原子%≦O≦55原子% かつ40原子%≦Si+O≦60原子%であり、 10原子%≦Pt≦60原子% となるように形成することを特徴とするインクジェット
    ヘッドの製造方法。
  6. 【請求項6】 記録媒体の被記録面に対向してインクを
    吐出するインク吐出口が設けられている請求項1に記載
    のインクジェットヘッドと、該ヘッドを載置するための
    部材とを少なくとも具備することを特徴とするインクジ
    ェット記録装置。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載のインクジェット記録装
    置において、カラー記録を行うことを特徴とするインク
    ジェット記録装置。
JP4141791A 1992-06-02 1992-06-02 インクジェットヘッド、その製造方法及びそれを用いたインクジェット記録装置 Expired - Fee Related JP2866254B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4141791A JP2866254B2 (ja) 1992-06-02 1992-06-02 インクジェットヘッド、その製造方法及びそれを用いたインクジェット記録装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4141791A JP2866254B2 (ja) 1992-06-02 1992-06-02 インクジェットヘッド、その製造方法及びそれを用いたインクジェット記録装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH05330054A JPH05330054A (ja) 1993-12-14
JP2866254B2 true JP2866254B2 (ja) 1999-03-08

Family

ID=15300238

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP4141791A Expired - Fee Related JP2866254B2 (ja) 1992-06-02 1992-06-02 インクジェットヘッド、その製造方法及びそれを用いたインクジェット記録装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2866254B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JPH05330054A (ja) 1993-12-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3402618B2 (ja) インクジェット記録ヘッドの製造方法および記録装置
JP2865943B2 (ja) インクジェットヘッド、その製造方法及びそれを用いたインクジェット記録装置
JP2933429B2 (ja) 液体噴射記録ヘッド用基板、液体噴射記録ヘッドおよび液体噴射記録装置
JP2866256B2 (ja) インクジェットヘッド、その製造方法及びそれを用いたインクジェット記録装置
JP2959690B2 (ja) 液体噴射記録ヘッドの製造方法
JP2865947B2 (ja) インクジェットヘッド、その製造方法及びそれを用いたインクジェット記録装置
JP2865945B2 (ja) インクジェットヘッド、その製造方法及びそれを用いたインクジェット記録装置
JP2866254B2 (ja) インクジェットヘッド、その製造方法及びそれを用いたインクジェット記録装置
JP3285601B2 (ja) 液体噴射記録ヘッドおよびその製造方法
JP2866253B2 (ja) インクジェットヘッド、その製造方法及びそれを用いたインクジェット記録装置
JP2865946B2 (ja) インクジェットヘッド、その製造方法及びそれを用いたインクジェット記録装置
JP2865944B2 (ja) インクジェットヘッド、その製造方法及びそれを用いたインクジェット記録装置
JP2866255B2 (ja) インクジェットヘッド、その製造方法及びそれを用いたインクジェット記録装置
JP2002046278A (ja) インクジェットヘッド用基体、インクジェットヘッド、およびインクジェット記録装置
JPH05301345A (ja) インクジェットヘッド
JP3188524B2 (ja) インクジェットヘッド用基体、該基体を用いたインクジェットヘッドおよび該ヘッドを具備するインクジェット装置
JP2004216889A (ja) 発熱抵抗体薄膜、これを用いたインクジェットヘッド用基体、インクジェットヘッド及びインクジェット装置
JPS59135169A (ja) インク噴射記録ヘッド
JPH05254122A (ja) インクジェット記録ヘッド及び記録ヘッドを用いた記録装置
JP3406921B2 (ja) 液体噴射記録ヘッドの製造方法
JPH0531903A (ja) インクジエツトヘツド用基体、これを用いたインクジエツトヘツドおよび該インクジエツトヘツドを具備するインクジエツト装置
JP3904972B2 (ja) インクジェットヘッド
JP2828525B2 (ja) 液体噴射記録ヘッドの製造方法、該方法により製造された液体噴射記録ヘッドおよび該液体噴射記録ヘッドを装着した液体噴射記録装置
JPH05345418A (ja) インクジェット記録ヘッド
US6547372B1 (en) Ink jet head

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081218

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081218

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091218

Year of fee payment: 11

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees