JP3406921B2 - 液体噴射記録ヘッドの製造方法 - Google Patents

液体噴射記録ヘッドの製造方法

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JP3406921B2
JP3406921B2 JP15181093A JP15181093A JP3406921B2 JP 3406921 B2 JP3406921 B2 JP 3406921B2 JP 15181093 A JP15181093 A JP 15181093A JP 15181093 A JP15181093 A JP 15181093A JP 3406921 B2 JP3406921 B2 JP 3406921B2
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    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
    • B41J2/01Ink jet
    • B41J2/135Nozzles
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    • B41J2/14016Structure of bubble jet print heads
    • B41J2/14088Structure of heating means
    • B41J2/14112Resistive element
    • B41J2/14129Layer structure

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、液体をオリフィスから
噴射して液滴を形成する液体噴射記録ヘッドの製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、液体をオリフィスから噴射し
その液滴により記録を行う液体噴射記録法(インクジェ
ット記録法)が知られている。例えば特開昭54−51
837号公報には、熱エネルギーを液体に作用させて液
滴吐出の原動力を得るタイプの液体噴射記録法が記載さ
れている。この種の記録法は、熱エネルギーの作用を受
けた液体が加熱されて気泡を発生し、この気泡発生に基
づく作用力によって、記録ヘッド部先端のオリフィスか
ら液滴が形成され、この液滴が被記録部材に付着して情
報の記録が行われるということを特徴としている。
【0003】この記録法に適用される記録ヘッドの液吐
出部は、液体を吐出するためのオリフィスとこれに連通
する液流路とを有する。この液流路は、液滴を吐出する
ための熱エネルギーが液体に作用する部分である熱作用
部を構成の一部とする。更にこの記録ヘッドは、熱エネ
ルギーを発生する手段である、熱変換体としての発熱抵
抗層とそれをインクから保護する上部保護層を具備して
いる。
【0004】この種の記録法において効率よくインクを
発泡させるには、発泡面を非常に短いパルス間隔で30
0℃程度にし、その後μsecオーダーで室温に戻さな
ければならない。このため、発熱抵抗層自身の熱容量を
小さくする必要がある。また、同様の理由で発熱抵抗層
と発泡面との間の熱抵抗(具体的には電極及び上部保護
層の熱抵抗)も小さくする必要がある。一方、通常、発
熱抵抗層、電極、上部保護層は積層して設けられるため
発熱抵抗層と電極の幅を余り細くするとその部分の段差
が相対的にきつくなる。段差部がきつくなるとその部分
の上部保護層の膜質が劣化するため電極や発熱抵抗層の
電蝕等の問題が生じる。
【0005】したがって、発熱抵抗層の熱容量を小さく
する手段としては膜厚を薄くすることが好ましい。ま
た、電極、上部保護層においても膜厚を薄くすることに
よって熱抵抗を小さくすることができる。具体的な膜厚
としては0.1〜1μm程度が好ましい。従来、発熱抵
抗層、電極、保護層の材料として用いられる無機物をこ
のような膜厚として形成する場合、真空蒸着やスパッタ
法といった真空プロセスによって形成されていた。しか
しながら、この真空プロセスは、装置が大掛かりになる
だけでなく良好な薄膜の形成のためには環境条件が厳し
いため生産性も余りよいものではなかった。また製造装
置の価格も高くコストの面でも必ずしも好ましいものと
は言えなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は,大気
中で印刷法や塗布法といった従来用いられている比較的
容易に製造が可能な方法で無機物の薄膜を形成できる液
体噴射記録ヘッドの製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は鋭意検討の末
まったく新規な方法を発見し、以下本発明により上記
目的を達成するに至った。
【0008】液体吐出用のオリフィスに連通し該液体中
に熱エネルギーを与えて気泡を形成する熱作用部と、該
熱エネルギーを発生する電気熱変換体と、該電気熱変換
体に含まれる発熱抵抗層と、前記電気熱変換体に含まれ
該発熱抵抗層に電圧を印加する電極層と、前記電気熱変
換体上に前記電気熱変換体を保護する上部保護層とを有
し、該上部保護層は、絶縁層である第1の保護層と、金
属材料からなる第2の保護層とを少なくとも含む保護層
である液体噴射記録ヘッドの製造方法において、前記電
極層および電気熱変換体上に第1の保護層を形成する工
程と、該第1の保護層上の少なくとも前記熱作用部とし
てインクに接する箇所に第2の保護層を形成するため
機レジネートを主材料とするペーストをスピンコート
により塗布する工程と、そのペーストの塗布膜を乾燥
し、焼成することで該有機レジネート中の有機成分を除
して第2の保護層を形成する工程と、該第2の保護層
をパターニングする工程を行うことを特徴とする液体噴
射記録ヘッドの製造方法。
【0009】本発明に用いられる有機レジネートとして
は、一般には、カルボン酸塩、カルボン酸エステル、ア
ルコキシド、ロジンエステル、多環式有機化合物、シロ
キサン類、ホウ酸化合物等が挙げられる。
【0010】
【作用】本発明によれば大気中で容易に所望の薄膜を形
成できるため、生産性が高く、低コストで信頼性の高い
液体噴射記録ヘッドを提供することができる
【0011】更に本発明者は上記効果以外に本発明がま
ったく別の効果を有することも発見した。すなわち、本
発明によれば従来スパッタ法等で見られた薄膜のピンホ
ール等の欠陥部が著しく減少するということである。こ
れは、薄膜にかかる高電圧や厳しい環境の影響を受けに
くいため膜自体がポーラスになりにくいことによると思
われる
【0012】このように、本発明は無機材料により薄膜
を形成する際に、有機材料と同様の膜の緻密さと作成に
おける容易性とを確保できるという画期的な発明であ
る。
【0013】以下、本発明を更に詳細に説明する。
【0014】発熱抵抗層に求められる性質としては上述
したように熱容量が小さいことが挙げられるが、これは
気泡の発泡安定性に係ってくるもので、特に駆動周波数
が高くなるとその影響が大きくなり、発泡ひいては吐出
が不安定となる。更に最近の傾向として記録ヘッドの長
尺化や装置の小型化に伴って熱発生部の省電力化が求め
られていることより発熱抵抗層の高抵抗化があげられ
る。
【0015】これらの性質を満たす材料としては、Zr
2 ,TiB2 ,Ta2 Si,Ti2 Si,TaAl等
があげられる。本発明では、所望により有機レジネート
を主材料として発熱抵抗層を形成することにより、従来
スパッタ法等の真空プロセスによって形成していた薄膜
とほぼ同等の性質を持つ薄膜を形成することができる。
また、大気中で薄膜を形成できるため従来より耐久性に
富み信頼性の高い記録ヘッドを作成することができる。
【0016】電極としては高導電性を持つAu,Alと
いった金属が用いられているが、本発明では、所望によ
有機レジネートを主材料として電極を形成することに
より従来スパッタ法等の真空プロセスによって形成して
いた薄膜とほぼ同等の性質を持つ薄膜を形成することが
できる。
【0017】一方、保護層の構成としては従来絶縁層、
耐液層、耐キャビテーション層とその機能ごとの多層構
成としているが、本発明の上部保護層は、絶縁層である
第1の保護層と、金属材料からなる第2の保護層とを少
なくとも含む保護層であり、まず電極層および電気熱変
換体上に第1の保護層を形成し、第1の保護層上の少な
くとも熱作用部としてインクに接する箇所に第2の保護
層を形成する。そして本発明では、有機レジネートを主
材料として第2の保護層を形成することにより従来特に
問題とされていたピンホール等の欠陥部からの電蝕をよ
り確実に防止することができる。特に熱作用部としてイ
ンクに接する箇所である耐キャビテーション層(第2の
保護層)は耐機械衝撃性に優れた材料を用いる必要があ
るためTa,W,Pt等の熱的及び化学的にも安定な金
属材料を用いているが、有機レジネートを主材料として
耐キャビテーション層を形成することにより、高温にお
いても安定した耐機械衝撃性を有する保護層を形成する
ことができる。
【0018】本発明によれば薄膜の形成コストが真空成
膜法に比べ保護層で約1/12と格段に低くなる。更
に従来印刷法や塗布法等で用いられていた無機物とガラ
スの分散系の材料によって形成する場合に比べても安価
に形成が可能で、しかも信頼性も高いものである。
【0019】本発明の有機レジネートを主材料として
成される薄膜は、有機レジネートを主材料とするペース
トをスピンコートにより基板に被覆し、その後ペースト
中の溶剤を除去するために乾燥、更にペースト中の樹脂
成分を除去するために350℃以上、好ましくは600
℃以上の充分な酸素を含む雰囲気中で焼成することによ
って形成される。
【0020】図は本発明により得られた記録ヘッドを
インクジェットヘッドカートリッジ(IJC)として装
着したインクジェット記録装置(IJRA)の一例を示
す外観斜視図である。
【0021】図において、20はプラテン24上に送紙
されてきた記録紙の記録面に対向してインク吐出を行な
うノズル群を具えたインクジェットヘッドカートリッジ
(IJC)である。16はIJC20を保持するキャリ
ッジHCであり、駆動モータ17の駆動力を伝達する駆
動ベルト18の一部と連結し、互いに平行に配設された
2本のガイドシャフト19Aおよび19Bと摺動可能と
することにより、IJC20の記録紙の全幅にわたる往
復移動が可能となる。
【0022】26はヘッド回復装置でありIJC20の
移動経路の一端、例えばホームポジションと対向する位
置に配設される。伝動機構23を介したモータ22の駆
動力によって、ヘッド回復装置26を動作せしめ、IJ
C20のキャッピングを行なう。このヘッド回復装置2
6のキャップ部26AによるIJC20のキャッピング
に関連させて、ヘッド回復装置26内に設けた適宜の吸
引手段によるインク吸引もしくはIJC20へのインク
供給経路に設けた適宜の加圧手段によるインク圧送を行
ない、インクを吐出口より強制的に排出させることによ
りノズル内の増粘インクを除去する等の吐出回復処理を
行なう。また、記録終了時等にキャッピングを施すこと
によりIJCが保護される。
【0023】30はヘッド回復装置26の側面に配置さ
れ、シリコンゴムで形成されるワイピング部材としての
ブレードである。ブレード31は、ブレード保持部材3
1Aにカンチレバー形態で保持され、ヘッド回復装置2
6と同様、モータ22および伝導機構23によって動作
し、IJC20の吐出面との係合が可能となる。これに
より、IJC20の記録動作における適切なタイミング
で、あるいはヘッド回復装置26を用いた吐出回復処理
後に、ブレード31をIJC20の移動経路中に突出さ
せ、IJC20の移動動作に伴ってIJC20の吐出面
における結露、濡れあるいは塵埃等をふきとるものであ
る。
【0024】
【実施例】以下、実施例に即して本発明を詳細に説明す
る。
【0025】図1は、この実施例1〜11において作製
する記録ヘッドのヒータボードの層構成を示す模式的部
分断面図である。このヒータボードの断面の位置は、図
2に示す模式的部分平面図の断面線X−Yにより示す。
この図においてヒータボードは、基板101上の所定の
位置に蓄熱層102、発熱抵抗層103、電極層10
4、第1の保護層105、第2の保護層106、第3の
保護層107が順次積層された構成を有する。この電極
間における発熱抵抗層103が発熱部分201となる。
【0026】<実施例> 基板101としてシリコンを用い、この基板101上を
熱酸化しSiO2 を厚さ2.0μm形成して蓄熱層10
2とした。この上に、HfB2 をスパッタ法で膜厚0.
2μm成膜し発熱抵抗層103とした。この上に、Al
を0.6μm蒸着により成膜し、フォトリソグラフィー
技術により図2の点線にて示すような回路パターンを形
成し電極層104とした。また、この電極層104の形
成により電極間に発熱部分201が30μm×150μ
mのサイズで形成されることともなる。この上に、第1
の保護層105としてSiO2 をスパッタで膜厚1.0
μm成膜した。この上に第2の保護層106(熱作用部
のインクに接する上部保護層)を、表に示す条件およ
び材料でスピンコートによって形成した。なお、この層
の材料としての有機レジネートは、エンゲルトハード社
製のメタルレジネート(商品名は表に記載)を使用し
た。また、このスピンコートの際には、材料を所定粘度
にするために有機レジネートはクロロメタンで希釈して
用いた。そしてこの層を、フォトリソグラフィー技術に
より図2の実線に示すようなバー状パターンに形成し第
2の保護層106とした。更にこの上に感光性ポリイミ
ドを塗布し、図1に示すような形状パターンにして第3
の保護層107とし、ヒータボードを完成した。
【0027】更にこのヒータボード上に、所定のノズル
流路、インク液室、インク供給口、吐出口(40μm×
40μm)を通常の操作により形成して液体噴射記録ヘ
ッドを完成した。
【0028】<比較例> 第2の保護層106の形成には有機レジネートは用い
ず、Taをスパッタで膜厚0.5μm成膜して第2の保
護層106とした。それ以外は実施例と同様にして液
体噴射記録ヘッドを作製した。
【0029】<比較例> 第2の保護層106の形成には有機レジネートは用い
ず、Taとガラスの分散系を用いて印刷法で約2μm厚
の第2の保護層106を形成した。それ以外は実施例
と同様にして液体噴射記録ヘッドを作製した。
【0030】
【表1】
【0031】<発泡特性の評価> 実施例および比較例で作製した各記録ヘッ
ドに関し、10Hz〜50kHzの駆動周波数の記録信
号に対するインクの発泡状態を目視にて観察し評価し
た。その結果を表に示す。
【0032】表に示す様に、比較例の記録ヘッドで
は、10Hzの駆動周波数の場合に発泡が不安定であ
り、100Hz以上の駆動周波数の場合には非常に不安
定となる。一方、実施例の記録ヘッドでは、第2
の保護層106の熱伝導率が大きく膜厚も薄いので、駆
動周波数が高くともインクの発泡は安定している。
【0033】
【表2】
【0034】<吐出耐久性の評価> 実施例および比較例で作製した各記録ヘッドに
対し、駆動周波数=2.0kHz、矩型パルス巾=10
μsec、駆動電圧=発泡電圧×1.15、駆動セグメ
ント=500ビットの条件下で記録信号を印加し、その
破断セグメント数により吐出耐久性を評価した。その結
果を表に示す。
【0035】表に示す様に、実施例の記録ヘッ
ドも比較例の記録ヘッドも、1×109 でも破断セグ
メントが無く、吐出耐久性について同等である。すなわ
ち、塗布により形成した上部保護層であっても、真空薄
膜プロセスにより形成したものに耐久性で劣るものでは
ない。
【0036】
【表3】
【0037】<実施例11> 基板101としてシリコンを用い、この基板101上を
熱酸化しSiO2 を厚さ2.0μm形成して蓄熱層10
2とした。この上に表に示す条件および材料でスピン
コートにより発熱抵抗層103を形成した。なお、この
発熱抵抗層103の材料としての有機レジネートは、エ
ンゲルトハード社製のメタルレジネート(商品名は表
に記載)を使用した。また、このスピンコートの際に
は、材料を所定粘度にするために有機レジネートはクロ
ロメタンで希釈して用いた。
【0038】この上に、Al用有機レジネート材料とし
てエンゲルトハード社製のメタルレジネート(商品名:
A−3808、カルボン酸塩が主成分)をクロロメタン
を用いて粘度11cpに調整しスピンナーで塗布した。
塗布条件は、1st:500rpm×5sec、2n
d:3000rpm×30secとした。塗布した膜を
室温10分120℃、10分550℃の条件で焼結し
た。そして最終膜厚0.7μmでシート抵抗0.05Ω
/□の電極層のためのAl薄膜を形成した。そしてこの
Al薄膜を、フォトリソグラフィー技術により図2の点
線にて示すような回路パターンを形成し電極層104と
した。また、この電極層104の形成により電極間に発
熱部分201が30μm×150μmのサイズで形成さ
れることともなる。
【0039】この上に、第1の保護層105としてSi
2 をスパッタで膜厚1.0μm成膜した。この上に第
2の保護層106(熱作用部のインクに接する上部保護
層)を、表に示す条件および材料でスピンコートによ
って形成した。なお、この層の材料としての有機レジネ
ートは、エンゲルトハード社製のメタルレジネート(商
品名は表に記載)を使用した。また、このスピンコー
トの際には、材料を所定粘度にするために有機レジネー
トはクロロメタンで希釈して用いた。そしてこの層を、
フォトリソグラフィー技術により図2の実線に示すよう
なバー状パターンに形成し第2の保護層106とした。
更にこの上に感光性ポリイミドを塗布し、図1に示すよ
うな形状パターンにして第3の保護層107とし、ヒー
タボードを完成した。
【0040】更にこのヒータボード上に、所定のノズル
流路、インク液室、インク供給口、吐出口(40μm×
40μm)を通常の操作により形成して液体噴射記録ヘ
ッドを完成した。
【0041】<比較例> 発熱抵抗層103、電極層104および第2の保護層1
06の形成には有機レジネートは用いず、Ta2 Nをス
パッタ法で0.2μm成膜して発熱抵抗層103とし、
Alを蒸着で膜厚0.6μm成膜して電極層104と
し、Taをスパッタで膜厚0.5μm成膜して第2の保
護層106とした。それ以外は実施例と同様にして液
体噴射記録ヘッドを作製した。
【0042】<比較例> 発熱抵抗層103、電極層104および第2の保護層1
06の形成には有機レジネートは用いず、酸化ルチニウ
ムとガラスの分散系を用いて印刷法で約2μm厚の発熱
抵抗層103を形成し、金とガラスの分散系を用いて印
刷法で約2μm厚の電極層104を形成し、Taとガラ
スの分散系を用いて印刷法で約2μm厚の第2の保護層
106を形成した。また、第1の保護層105はインク
遮断性のために4μmの膜厚とした。それ以外は実施例
と同様にして液体噴射記録ヘッドを作製した。
【0043】
【表4】
【0044】
【表5】
【0045】<発泡特性の評価> 実施例11および比較例で作製した各記録ヘ
ッドに関し、10Hz〜50kHzの駆動周波数の記録
信号に対するインクの発泡状態を目視にて観察し評価し
た。その結果を表に示す。
【0046】表に示す様に、比較例の記録ヘッドで
は、10Hzの駆動周波数の場合に発泡が不安定であ
り、100Hz以上の駆動周波数の場合には非常に不安
定となる。一方、実施例11の記録ヘッドでは、発
熱層抵抗層103の熱容量が小さく、第2の保護層10
6の熱伝導率が大きく膜厚も薄く、第1の保護層105
が薄くてもよいので、駆動周波数が高くともインクの発
泡は安定している。
【0047】
【表6】
【0048】<吐出耐久性の評価> 実施例11および比較例で作製した各記録ヘッド
に対し、駆動周波数=2.0kHz、矩型パルス巾=1
0μsec、駆動電圧=発泡電圧×1.15、駆動セグ
メント=500ビットの条件下で記録信号を印加し、そ
の破断セグメント数により吐出耐久性を評価した。その
結果を表に示す。
【0049】表に示す様に、実施例11の記録ヘ
ッドも比較例の記録ヘッドも1×109 でも破断セグ
メントが無く、吐出耐久性について同等である。すなわ
ち、塗布により形成した上部保護層等であっても、真空
薄膜プロセスにより形成したものに耐久性で劣るもので
はない。
【0050】
【表7】
【0051】本発明は、特にインクジェット記録方式の
中でも、熱エネルギーを利用して飛翔液滴を形成し、記
録を行うインクジェット記録方式の記録ヘッド、記録装
置に於いて、優れた効果をもたらすものである。
【0052】その代表的な構成や原理については、例え
ば、米国特許第4723129号明細書、同第4740
796号明細書に開示されており、本発明はこれらの基
本的な原理を用いて行うものが好ましい。この記録方式
は所謂オンデマンド型、コンティニュアス型のいずれに
も適用可能である。
【0053】この記録方式を簡単に説明すると、液体
(インク)が保持されているシートや液路に対応して配
置されている電気熱変換体に、記録情報に対応して液体
(インク)に核沸騰現象を越え、膜沸騰現象を生じる様
な急速な温度上昇を与えるための少なくとも一つの駆動
信号を印加することによって、熱エネルギーを発生せし
め、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさせる。この
様に液体(インク)から電気熱変換体に付与する駆動信
号に一対一対応した気泡を形成出来るため、特にオンデ
マンド型の記録法には有効である。この気泡の成長、収
縮により吐出孔を介して液体(インク)を吐出させて、
少なくとも一つの滴を形成する。この駆動信号をパルス
形状とすると、即時適切に気泡の成長収縮が行なわれる
ので、特に応答性に優れた液体(インク)の吐出が達成
でき、より好ましい。このパルス形状の駆動信号として
は、米国特許第4463359号明細書、同第4345
262号明細書に記載されているようなものが適してい
る。尚、上記熱作用面の温度上昇率に関する発明の米国
特許第4313124号明細書に記載されている条件を
採用すると、更に優れた記録を行なうことができる。
【0054】記録ヘッドの構成としては、上述の各明細
書に開示されているような吐出孔、液流路、電気熱変換
体の組み合わせた構成(直線状液流路又は直角液流路)
の他に、米国特許第4558333号明細書、米国特許
第4459600号明細書に開示されている様に、熱作
用部が屈曲する領域に配置された構成を持つものも本発
明に含まれる。
【0055】加えて、複数の電気熱変換体に対して、共
通するスリットを電気熱変換体の吐出孔とする構成を開
示する特開昭59年第123670号公報や熱エネルギ
ーの圧力波を吸収する開孔を吐出部に対応させる構成を
開示する特開昭59年第138461号公報に基づいた
構成においても本発明は有効である。
【0056】更に、本発明が有効に利用される記録ヘッ
ドとしては、記録装置が記録できる記録媒体の最大幅に
対応した長さのフルラインタイプの記録ヘッドがある。
このフルラインヘッドは、上述した明細書に開示されて
いるような記録ヘッドを複数組み合わせることによって
フルライン構成にしたものや、一体的に形成された一個
のフルライン記録ヘッドであっても良い。
【0057】加えて、装置本体に装着されることで、装
置本体との電気的な接続や装置本体からのインクの供給
が可能になる交換自在のチップタイプの記録ヘッド、あ
るいは記録ヘッド自体に一体的に設けられたカートリッ
ジタイプの記録ヘッドを用いた場合にも本発明は有効で
ある。
【0058】又、本発明の記録装置に、記録ヘッドに対
する回復手段や、予備的な補助手段等を付加すること
は、本発明の記録装置を一層安定にすることができるの
で好ましいものである。これらを具体的に挙げれば、記
録ヘッドに対しての、キャッピング手段、クリーニング
手段、加圧或は吸引手段、電気熱変換体或はこれとは別
の加熱素子、或はこれらの組み合わせによる予備加熱手
段、記録とは別の吐出を行なう予備吐出モードを行なう
手段を付加することも安定した記録を行なうために有効
である。
【0059】更に、記録装置の記録モードとしては黒色
等の主流色のみを記録するモードだけではなく、記録ヘ
ッドを一体的に構成したものか、複数個の組み合わせて
構成したものかのいずれでも良いが、異なる色の複色カ
ラー又は、混色によるフルカラーの少なくとも一つを備
えた装置にも本発明は極めて有効である。
【0060】以上説明した本発明実施例においては、液
体インクを用いて説明しているが、本発明では室温で固
体状であるインクであっても、室温で軟化状態となるイ
ンクであっても用いることができる。上述のインクジェ
ット装置ではインク自体を30℃以上70℃以下の範囲
内で温度調整を行ってインクの粘性を安定吐出範囲にあ
るように温度制御するものが一般的であるから、使用記
録信号付与時にインクが液状をなすものであれば良い。
【0061】加えて、熱エネルギーによるヘッドやイン
クの過剰な昇温をインクの固形状態から液体状態への状
態変化のエネルギーとして使用せしめることで積極的に
防止するか又は、インクの蒸発防止を目的として放置状
態で固化するインクを用いることも出来る。いずれにし
ても熱エネルギーの記録信号に応じた付与によってイン
クが液化してインク液状として吐出するものや記録媒体
に到達する時点ではすでに固化し始めるもの等のよう
な、熱エネルギーの付与によって初めて液化する性質を
持つインクの使用も本発明には適用可能である。
【0062】このようなインクは、特開昭54−568
47号公報あるいは特開昭60−71260号公報に記
載されているような、多孔質シートの凹部又は貫通孔に
液状又は固形物として保持された状態で、電気熱変換体
に対して対向するような形態としても良い。
【0063】本発明において、上述した各インクにたい
して最も有効なものは、上述した膜沸騰方式を実行する
ものである。
【0064】
【発明の効果】以上説明した様に本発明によれば、大気
中で容易に所望の薄膜を形成できるため、生産性が高
く、低コストで信頼性の高い液体噴射記録ヘッドを提供
することができる。また、従来印刷法や塗布法で用いら
れていた無機物とガラスの分散系の材料で形成した膜の
ように厚膜になることや膜の表面性良好でないといった
ことがなくなる
【0065】更に本発明によれば、従来スパッタ法等で
見られた薄膜のピンホール等の欠陥部が著しく減少す
る。このことにより、インクによる電蝕を一層減少させ
ることができる。
【0066】このように、本発明は無機材料により薄膜
を形成する際に、有機材料と同様の膜の緻密さと作成に
おける容易性とを確保できるという画期的な発明であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1〜11において作成した記録ヘッドの
ヒーターボードの層構成を示す模式的部分断面図であ
る。
【図2】図1における断面図の断面線X−Yの位置等を
示す模式的平面図である。
【図3】本発明の記録ヘッドをインクジェットヘッドカ
ートリッジとして装着したインクジェット記録装置の一
例を示す外観斜視図である。
【符号の説明】
101 基板 102 蓄熱層 103 発熱抵抗層 104 電極層 105 第1の保護層 106 第2の保護層 107 第3の保護層 201 発熱部分
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (31)優先権主張番号 特願平4−165015 (32)優先日 平成4年6月23日(1992.6.23) (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平4−165016 (32)優先日 平成4年6月23日(1992.6.23) (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平4−165017 (32)優先日 平成4年6月23日(1992.6.23) (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平4−165018 (32)優先日 平成4年6月23日(1992.6.23) (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平4−165019 (32)優先日 平成4年6月23日(1992.6.23) (33)優先権主張国 日本(JP) (56)参考文献 特開 平4−65246(JP,A) 特開 平3−62901(JP,A) 特開 昭60−63174(JP,A) 特開 平2−33902(JP,A) 特開 昭62−292453(JP,A) 特開 平1−152074(JP,A) 特開 平1−1338(JP,A) 特公 平4−15100(JP,B2)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液体吐出用のオリフィスに連通し該液体
    中に熱エネルギーを与えて気泡を形成する熱作用部と、
    該熱エネルギーを発生する電気熱変換体と、該電気熱変
    換体に含まれる発熱抵抗層と、前記電気熱変換体に含ま
    れ該発熱抵抗層に電圧を印加する電極層と、前記電気熱
    変換体上に前記電気熱変換体を保護する上部保護層とを
    し、該上部保護層は、絶縁層である第1の保護層と、
    金属材料からなる第2の保護層とを少なくとも含む保護
    層である液体噴射記録ヘッドの製造方法において、前記電極層および電気熱変換体上に第1の保護層を形成
    する工程と、該第1の保護層上の少なくとも前記熱作用
    部としてインクに接する箇所に第2の保護層 を形成する
    ために、有機レジネートを主材料とするペーストをスピ
    ンコートにより塗布する工程と、そのペーストの塗布膜
    を乾燥し、焼成することで該有機レジネート中の有機成
    分を除去して第2の保護層を形成する工程と、該第2の
    保護層をパターニングする工程を行うことを特徴とする
    液体噴射記録ヘッドの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記発熱抵抗層及び前記電極層を形成す
    るために、有機レジネートを主材料とするペーストをス
    ピンコートにより塗布する工程と、そのペーストの塗布
    膜を乾燥し、焼成することで該有機レジネート中の有機
    成分を除去する工程と、その焼成された膜をパターニン
    グする工程を行うことを特徴とする請求項に記載の液
    体噴射記録ヘッドの製造方法。
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