JP2001170034A - 医療用x線撮影システムとそれに用いる医療撮影用x線増感紙 - Google Patents

医療用x線撮影システムとそれに用いる医療撮影用x線増感紙

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JP2001170034A
JP2001170034A JP36178099A JP36178099A JP2001170034A JP 2001170034 A JP2001170034 A JP 2001170034A JP 36178099 A JP36178099 A JP 36178099A JP 36178099 A JP36178099 A JP 36178099A JP 2001170034 A JP2001170034 A JP 2001170034A
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medical
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phosphor
rays
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Takeshi Takahara
武 高原
Akihisa Saito
昭久 斉藤
Eiji Koyaizu
英二 小柳津
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Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 医療診断に利用する物理量を増やすことによ
って、X線撮影による医療診断能の向上を図る。さら
に、X線撮影時の条件を緩和することで撮影ミスの抑制
や医療診断精度の向上などを図る。 【解決手段】 発光色が異なる複数の蛍光体層(積層型
蛍光体層8)を有し、被検体1を通過したX線が照射さ
れた際に、複数の蛍光体層の各発光色に基づいて複数色
に発光するX線増感紙5と、このX線増感紙5からの発
光を受けて、複数の蛍光体層の各発光色に基づく複数色
の画像が一括して形成されるカラーフィルム4とを使用
した医療用X線撮影システムであり、カラーフィルム4
上に形成された画像の色相情報を検出する。色相情報は
被検体を通過したX線の強度に基づく色差として利用す
る。あるいは、カラーフィルム上に形成された画像を複
数の発光色に応じて分離し、各発光色毎の画像を検出す
ると共に、これら複数色の画像からX線のエネルギー領
域の違いに基づく複数の画像情報を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、医療診断に利用さ
れる新規な医療用X線撮影システム、およびそれに用い
られる医療撮影用X線増感紙に関する。
【0002】
【従来の技術】医療診断に利用されるX線撮影において
は、通常、撮影系の感度を向上させるために、X線フィ
ルムをX線増感紙(放射線増感紙)と組合せて使用して
いる。X線増感紙としては、紙やプラスチックなどから
なる支持体上に、X線フィルムに応じた発光ピークを有
する蛍光体層とこれを保護する保護膜とを順に形成した
ものが一般的である。
【0003】医療診断用のX線撮影は人体の各部に対し
て適用されており、各種病巣やけがの部位などの発見に
貢献している。例えば、骨折や骨粗しょう症などに関し
ては、骨内部の微細部分(例えば微細クラックなど)ま
で良好に撮影することが重要である。このため、四肢部
のX線撮影においては、骨内部の微細構造を高い分解能
と適切なコントラストで撮影する必要がある。
【0004】また、腹部のX線撮影は例えば消化器系の
癌の早期発見に有効であり、胸部のX線撮影は例えば肺
癌などの早期発見に有効である。これらを実現するため
には、例えば腹部のX線撮影では腹部内の石灰化や異常
軟部組織などを、また胸部のX線撮影では肺部内の石灰
化や異常軟部組織などを、高い分解能と適切なコントラ
ストで撮影する必要がある。
【0005】さらに、近年、女性の乳癌による死亡数が
増加しており、乳癌の早期発見が不可欠な状況になって
いる。X線による乳房撮影(以下、マンモグラフィーと
称する)は乳癌の早期発見に寄与しているが、そのため
には乳房内の石灰化や異常軟部組織などを高い分解能と
適切なコントラストで撮影する必要がある。
【0006】上述したような各部のX線撮影条件を満足
させるために、それぞれ撮影装置とスクリーン/フィル
ムシステムに工夫がなされている。例えば、四肢部のX
線撮影においては、骨内部組織をコントラストよく撮影
するために、 100kV程度の管電圧のタングステン陽極を
用いたX線管が使用されている。また、腹部のX線撮影
では80kV程度の管電圧のタングステン陽極を用いたX線
管が、胸部のX線撮影では 120kV程度の管電圧のタング
ステン陽極を用いたX線管が使用されている。さらに、
マンモグラフィーではX線吸収差の少ない乳腺内部をコ
ントラストよく撮影するために、30kV程度の管電圧のモ
リブデン陽極を用いたX線管が使用されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
医療診断用のX線撮影において、病巣やけがの部位など
の判読は、X線フィルム上の写真濃度を細かく観察する
ことのみによって行っており、画像情報としてはフィル
ムの濃淡情報という一つの物理量だけである。従って、
従来の医療用X線撮影においては、病巣やけがなどの患
部の発見や診断を極めて慎重に行わなければならないと
いう難点があった。
【0008】さらに、被検体である人体の個体差や撮影
時の条件設定などによっては、適切な濃度の写真像が得
られないおそれがあり、このような場合には適切な医療
診断を行うことができなくなってしまう。また、撮影対
象部位とその周囲に存在する臓器などとのX線吸収差が
大きい場合、撮影対象部位しか明瞭に撮影することがで
きない。例えば、胸部には肺野部と気管、気管支などの
肺門部というように、X線吸収量が大きく異なる臓器が
共存しており、これらを 1枚のX線写真にそれぞれ明瞭
に撮影することは極めて困難であった。
【0009】このようなことから、X線フィルム上の画
像情報としての物理量を増やすことによって、X線撮影
による医療診断能の向上を図ることが求められている。
さらに、X線撮影時の条件を緩和することによって、撮
影ミスの抑制や医療診断精度の向上などを図ると共に、
X線吸収量が異なる複数の臓器などの撮影能を高めるこ
とが望まれている。
【0010】本発明はこのような課題に対処するために
なされたもので、医療診断に利用する物理量を増やすこ
とによって、X線撮影による医療診断能の向上を図るこ
とを可能にした医療用X線撮影システム、およびそれに
用いる医療撮影用X線増感紙を提供することを目的とし
ている。さらに、X線撮影時の条件を緩和することで撮
影ミスの抑制や医療診断精度の向上などを図ると共に、
X線吸収量が異なる複数の臓器などの撮影能を高めた医
療用X線撮影システム、およびそれに用いる医療撮影用
X線増感紙を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の医療用X線撮影
システムは、請求項1に記載したように、発光色が異な
る複数の蛍光体層を有し、被検体を通過したX線が照射
された際に、前記複数の蛍光体層の各発光色に基づいて
複数色に発光するX線増感紙と、前記X線増感紙からの
発光を受けて、前記複数の蛍光体層の各発光色に基づく
複数色の画像が一括して形成されるカラーフィルムとを
具備し、前記カラーフィルム上に形成された画像の色相
情報を検出することを特徴としている。
【0012】本発明の医療用X線撮影システムにおい
て、カラーフィルム上に形成された画像の色相情報の具
体的な利用方法としては、次の 2つに大別することがで
きる。まず第1に、請求項2に記載したように、カラー
フィルム上に形成された画像から被検体を通過したX線
の強度に基づく色差を検出することが挙げられる。第2
に、請求項3に記載したように、カラーフィルム上に形
成された画像を複数の発光色に応じて分離し、各発光色
毎の画像を検出すると共に、これら複数色の画像からX
線のエネルギー領域の違いに基づく複数の画像情報を得
ることが挙げられる。
【0013】本発明においては、発光色が異なる複数の
蛍光体層(積層構造の蛍光体層)でX線を受け、複数の
蛍光体層の各発光色に基づく複数色の画像を一括してカ
ラーフィルム上に形成するようにしている。ここで、X
線源から放射されるX線は、通常10〜30kV程度の幅で連
続したスペクトルを有している。また、蛍光体層に入射
したX線はそのエネルギー領域が低いほど、あるいは被
検体によるX線吸収量の違いに基づく強度が低いほど吸
収係数が大きい。
【0014】被検体を通過したX線全体を考えると、被
検体による吸収量が多い低強度のX線は最表面側の蛍光
体層でほとんど吸収され、また被検体による吸収量が少
ない高強度のX線は入射表面から遠い蛍光体層まで達す
る。被検体を通過したX線の強度は局所毎に変化してい
るため、カラーフィルム上にはX線の到達蛍光体層の違
いに基づく色相の画像(色差を有する画像)が形成され
る。すなわち、カラーフィルム上には、従来のX線撮影
と同様な濃淡情報に加えて、被検体を通過したX線の強
度差を示す色相情報を有する画像が形成される。このよ
うな色相情報(色差)を医療診断に利用することことに
よって、X線撮影による医療診断能の向上を図ることが
可能となる。
【0015】また、被検体を通過したX線を微視的に見
ると、上述したようにX線のエネルギーは10〜 30keV程
度の幅で連続したスペクトルを有しているため、微視的
にはエネルギー領域の違いに基づく複数の線質のX線が
照射されていることになる。このような複数のエネルギ
ー領域を有するX線(複数の線質のX線)が積層構造の
蛍光体層に入射したとき、例えば低エネルギー領域のX
線は最表面側の蛍光体層でほとんど吸収され、高エネル
ギー領域のX線は入射表面から遠い蛍光体層まで達する
ことになる。
【0016】従って、これら各蛍光体層からの発光に基
づく画像は、それぞれX線のエネルギー領域に応じたも
のとなる。このような複数色の画像を分離して検出する
ことによって、X線写真の濃淡情報に加えて、色相情報
を医療診断に利用することができる。このように、医療
診断に利用する物理量を増やすことによって、X線撮影
による医療診断能の向上を図ることが可能となる。
【0017】さらに、上記した色相情報はX線のエネル
ギー領域に応じたものであるため、例えばX線撮影時の
条件(例えばX線の照射条件)が適切な範囲から多少ず
れていたとしても、エネルギー領域が異なるX線(複数
の線質のX線)に応じた複数の画像情報(色相情報)に
基づいて、医療診断などに使用し得る適切な濃度の写真
像を得ることが可能となる。また、X線吸収量が異なる
複数の臓器などを撮影する場合においても、各種臓器を
適切な写真濃度で撮影することができる。
【0018】本発明の医療撮影用X線増感紙は、請求項
6に記載したように、支持体と、前記支持体上に形成さ
れた発光色が異なる複数の蛍光体層と、前記蛍光体層上
に設けられた保護膜とを具備し、カラーフィルムと組合
せて使用されることを特徴としている。
【0019】本発明の医療撮影用X線増感紙において、
複数の蛍光体層は例えば請求項7に記載したように、被
検体を通過したX線の強度を色差により検出する層であ
る。あるいは、請求項9に記載したように、複数の蛍光
体層はX線のエネルギー領域の違いに基づく複数の線質
のX線を吸収する層であり、それぞれ検出対象となるX
線のエネルギー領域に応じた厚さを有するものである。
【0020】本発明の医療撮影用X線増感紙の具体的な
構造としては、請求項11に記載したように、青色発光
の蛍光体層、緑色発光の蛍光体層、および赤色発光の蛍
光体層から選ばれる少なくとも 2層の積層蛍光体層を有
する構造が挙げられる。これらのうち、青色発光の蛍光
体層には請求項12に記載したように、例えばタングス
テン酸カルシウム蛍光体およびユーロピウム付活弗化塩
化バリウムから選ばれる少なくとも 1種が用いられる。
緑色発光の蛍光体層には請求項13に記載したテルビウ
ム付活酸硫化ガドリニウム蛍光体、赤色発光の蛍光体層
には請求項14に記載したユーロピウム付活酸硫化ガド
リニウム蛍光体などが用いられる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施するための形
態について説明する。
【0022】図1は本発明の医療用X線撮影システムを
適用したX線撮影装置の一実施形態の構成を模式的に示
す図である。同図において、1は被検体としての人体で
あり、この被検体1に対してX線管などのX線源2から
X線3が照射される。被検体(人体)1を通過したX線
3は、カラーフィルム4とX線増感紙5とを組合せた撮
像系6に照射される。
【0023】カラーフィルム4とX線増感紙5とは重ね
合わされて、撮像系6を構成している。図1ではカラー
フィルム4が被検体1側(X線源側)に位置するよう
に、カラーフィルム4とX線増感紙5とを重ね合わせた
状態を示している。このような場合、X線増感紙5には
反射型のものが用いられる。透過型のX線増感紙5を用
いる場合には、X線増感紙5が被検体1側(X線源側)
に位置するように、カラーフィルム4と重ね合わせて使
用する。
【0024】図1に示すX線増感紙5は、プラスチック
フィルムや不織布などからなる可撓性を有するシート状
の支持体(基材)7を有しており、この支持体7上に蛍
光体層8が設けられている。蛍光体層8はその上部に配
置された透明な保護膜9、例えば厚さ数μm 程度のポリ
エチレンテレフタレートフィルムなどからなる保護膜9
により覆われている。
【0025】上述した蛍光体層8は、図2および図3に
示すように、発光色が異なる複数の蛍光体層を積層形成
した構造を有している。すなわち、X線増感紙5の蛍光
体層8は積層型蛍光体層である。図2および図3はそれ
ぞれ本発明の医療撮影用X線増感紙の実施形態の要部構
造を示す図であり、図2は 2層の蛍光体層を有するX線
増感紙5A、図3は 3層の蛍光体層を有するX線増感紙
5Bである。なお、本発明のX線増感紙は、蛍光体層を
2層または 3層積層した構造に限られるものではなく、
蛍光体層の積層数は測定対象のX線のエネルギー領域な
どに応じて適宜設定することができる。
【0026】図2に示すX線増感紙5Aの積層型蛍光体
層8は、X線源2(X線入射面側)から見て第1の蛍光
体層(第1層)8aおよび第2の蛍光体層(第2層)8
bが順に積層された構造を有している。言い換えると、
支持体7上には第2の蛍光体層8bが設けられ、その上
に第1の蛍光体層8aが設けられている。
【0027】また、図3に示すX線増感紙5Bの積層型
蛍光体層8は、X線源2(X線入射面側)から見て第1
の蛍光体層(第1層)8a、第2の蛍光体層8b(第2
層)および第3の蛍光体層(第3層)8cが順に積層さ
れた構造を有している。最表面の第1の蛍光体層8a上
には、それぞれ厚さ数μm 程度のポリエチレンテレフタ
レートフィルムなどからなる透明な保護膜9が設けられ
ている。
【0028】各蛍光体層8a、8b、8cは、それぞれ
検出対象とする強度もしくはエネルギー領域のX線を吸
収し、吸収したX線強度もしくはX線のエネルギー領域
に応じて発光するものであり、それぞれ発光色が異なる
ように構成されている。これら各単位蛍光体層8a、8
b、8cは、例えば青色発光の蛍光体層、緑色発光の蛍
光体層、赤色発光の蛍光体層により構成される。これら
各色発光の単位蛍光体層の積層順などは特に限定される
ものではなく、それぞれ発光色が異なっていればよい。
【0029】また、単位蛍光体層8a、8b、8cを構
成する蛍光体は、上記した青色、緑色、赤色発光の蛍光
体に限られるものではなく、互いに発光色が区別できる
ものであれば種々の発光色の蛍光体を用いることができ
る。例えば、青色発光の蛍光体に代えて紫外線に近い紫
色発光の蛍光体を用いたり、また緑色発光の蛍光体に代
えて黄色発光の蛍光体などを用いることができる。
【0030】本発明で使用する蛍光体は、特に限定され
るものではない。例えば、青色発光の蛍光体としては、
CaWO4 、CdWO4 、ZnWO4 、MgWO4 、B
aFCl:Eu、ZnS:Ag、YAlO3 :Ce、Y
2 SiO5 :Ce、Gd2 SiO5 :Ce、YTa
4 :Nb、Sr5 (PO4 3 Cl:Eu、YP
4 :Clなどが挙げられ、これらのうち特にCaWO
4 やBaFCl:Euが実用的である。
【0031】緑色発光の蛍光体としては、Gd2
2 S:Tb、Gd2 2 S:Pr、Gd 2 3 :Tb、
Gd3 Ga5 12:Tb、Gd3 Al5 12:Tb、Y
2 3 :Tb、Y2 2 S:Tb、Y2 2 S:Tb,
Dy、La2 2 S:Tb、ZnS:Cu、ZnS:C
u,Au、Zn2 SiO4 :Mn、InBO3 :Tb、
MgGa2 4 :Mnなどが挙げられ、これらのうち特
にGd2 2 S:Tbが実用的である。
【0032】また、赤色発光の蛍光体としては、Gd2
2 S:Eu、Gd2 3 :Eu、GdBO3 :Eu、
Gd3 Al5 12:Eu、Gd3 Ga5 12:Eu、G
dVO4 :Eu、Gd3 Ga5 12:Ce,Cr、Y2
3 :Eu、La2 3 :Eu、La2 2 S:Eu、
InBO3 :Eu、(Y,In)BO3 :Euなどが挙
げられ、これらのうち特にGd2 2 S:Euが実用的
である。
【0033】上述したような積層型蛍光体層8は、例え
ば以下のようにして作製される。すなわち、各色発光の
蛍光体粒子を結合剤と共に適当量混合し、これらに有機
溶剤を加えて適当な粘度の蛍光体塗布液をそれぞれ調製
する。これら蛍光体塗布液をナイフコータやロールコー
タなどにより支持体7上に順に塗布、乾燥して、2層も
しくは 3層以上の積層構造を有する蛍光体層8、例えば
図2に示した第1の蛍光体層8aと第2の蛍光体層8b
を有する積層型蛍光体層8、あるいは図3に示した第1
の蛍光体層8aと第2の蛍光体層8bと第3の蛍光体層
8cを有する積層型蛍光体層8などを形成する。
【0034】蛍光体塗布液の調製に使用する結合剤とし
ては、硝化綿、酢酸セルロース、エチルセルロース、ポ
リビニルブチラール、綿状ポリエステル、ポリ酢酸ビニ
ル、塩化ビニリデン−塩化ビニルコポリマー、塩化ビニ
ル−酢酸ビニルコポリマー、ポリアルキル(メタ)アク
リレート、ポリカーボネート、ポリウレタン、セルロー
スアセテートブチレート、ポリビニルアルコールなどが
例示される。有機溶剤としては、例えばエタノール、メ
チルエチルエーテル、酢酸ブチル、酢酸エチル、エチル
エーテル、キシレンなどが用いられる。なお、蛍光体塗
布液には必要に応じて、フタル酸、ステアリン酸などの
分散剤や燐酸トリフェニル、フタル酸ジエチルなどの可
塑剤を添加してもよい。
【0035】また、支持体7としては、例えば酢酸セル
ロース、プロピオン酸セルロース、酢酸酪酸セルロー
ス、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、
ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリアミ
ド、ポリイミド、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、
ポリカーボネートなどの樹脂をフィルム状に成形したも
のが用いられる。反射型のX線増感紙5を作製する場合
には、カーボンブラックなどを練り込んだ光反射性の樹
脂フィルムなどが用いられる。
【0036】さらに、保護膜9には各種の透明樹脂が用
いられる。具体的には、ポリエチレンテレフタレート、
ポリエチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミドなどか
らなる透明樹脂フィルムを蛍光体層8上にラミネートし
たり、あるいは酢酸セルロース、エチルセルロース、セ
ルロースアセテートブチレートなどのセルロース誘導
体、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢
酸ビニルコポリマー、ポリカーボネート、ポリビニルブ
チラール、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルホル
マール、ポリウレタンなどの透明樹脂を溶剤に溶解させ
て適当な粘度の保護膜塗布液を調製し、これを蛍光体層
8上に塗布、乾燥させることによって、保護膜9を形成
する。
【0037】上述した複数の蛍光体層を有する積層型蛍
光体層8は、各単位蛍光体層の発光色に基づいて複数色
に発光するものである。カラーフィルム4には、X線増
感紙5からの複数色の発光を受けて複数色の画像、例え
ば青色画像、緑色画像および赤色画像を撮像することが
できる、通常のカラー写真フィルムを用いることが好ま
しい。図4はカラーフィルム4の分光感度曲線の一例を
示すものである。
【0038】このようなX線増感紙5とカラーフィルム
4とを用いた撮像系6には、X線管2から照射されたX
線3が被検体1としての人体を透過した後に入射する。
X線増感紙5は被検体1を透過したX線3により発光
し、カラーフィルム4には被検体1としての人体に基づ
く画像が形成される。すなわち、カラーフィルム4はX
線増感紙5からの複数色の発光により露光され、カラー
フィルム4には各発光色に基づく複数色の写真画像が一
括して形成される。
【0039】上述した複数の単位蛍光体層を有する積層
型蛍光体層8は、まず第1に被検体1を通過したX線3
の強度に基づく色差を検出する層として利用される。こ
のような場合、各単位蛍光体層(8a、8b、8cな
ど)は、検出しようとするX線3の強度範囲などに応じ
た厚さに設定される。
【0040】積層型蛍光体層8に入射するX線3は被検
体1により強度差が生じており、強度が低いX線ほど吸
収係数が大きい。すなわち、被検体1による吸収量が多
い低強度のX線は最表面側の蛍光体層8aでほとんど吸
収され、被検体1による吸収量が少ない高強度のX線は
入射表面から遠い蛍光体層(8bや8c)まで達する。
被検体1を通過したX線3の強度は局所毎に変化してい
るため、このX線の強度分布を色差として検出すること
ができる。
【0041】X線3の強度分布を色差として検出する方
法について詳述する。ここでは、図2に示した 2層構造
の積層型蛍光体層8において、第1の蛍光体層8aに緑
色発光蛍光体を用いると共に、第2の蛍光体層8bに赤
色発光蛍光体を用いたX線増感紙5Aを使用した場合を
例として述べる。また、説明を簡単にするために、X線
3が高強度X線と低強度X線の混合X線であると仮定
し、かつ低強度X線は第1の蛍光体層8aで完全に吸収
されるものとする。
【0042】図5に示すように、被検体1を透過したX
線3(高強度X線3aと中強度X線3bと低強度X線3
cの混合X線)はX線増感紙5(蛍光体層8)に入射
し、このX線3により緑色および赤色に発光する。これ
ら緑色発光および赤色発光によって、カラーフィルム4
にはカラー画像が形成される。カラーフィルム4には緑
色画像と赤色画像との混合データとして像が形成され
る。
【0043】この際、高強度X線3aは緑色発光の第1
の蛍光体層8aを発光させた後に、赤色発光の第2の蛍
光体層8bに達して、この第2の蛍光体層8bを発光さ
せる。従って、高強度X線3aによる発光10aは緑色
発光と赤色発光の混合発光となる。中強度X線3bは緑
色発光の第1の蛍光体層8aを発光させた後に、赤色発
光の第2の蛍光体層8bに達して、この第2の蛍光体層
8bを僅かに発光させる。従って、中強度X線3bによ
る発光10bは緑色発光を主とし、これに赤色発光が僅
かに混ざった混合発光となる。低強度X線3cは緑色発
光の第1の蛍光体層8aを発光させて吸収される。従っ
て、低強度X線3cによる発光10cは緑色発光のみと
なる。
【0044】カラーフィルム4には、上述したような各
発光10a、10b、10cによりカラー画像が形成さ
れる。従って、カラー画像の各部の色調は、各部のX線
3の強度(例えば高強度X線3aと中強度X線3bと低
強度X線3c)に基づく各発光10a、10b、10c
の色調差、すなわち到達蛍光体層の違いに応じた各発光
(図5では緑色発光と赤色発光)の混合程度に応じたも
のとなる。
【0045】被検体1を通過したX線3を全体的にとら
えると、X線3の強度は被検体1に応じて局所毎に変化
しているため、カラーフィルム4上にはX線3の到達蛍
光体層の違いに基づく色相の画像、すなわち色差を有す
る画像が形成される。このように、カラーフィルム4上
には、従来のX線撮影と同様な濃淡情報に加えて、被検
体1を通過したX線3の強度差を示す色相情報を有する
画像が形成される。このような色相情報(色差)を医療
診断に利用することことによって、X線撮影による医療
診断能の向上を図ることが可能となる。
【0046】積層型蛍光体層8は、第2にX線3のエネ
ルギー領域の違いに基づく複数の線質のX線、例えば高
エネルギー領域のX線と低エネルギー領域のX線を検出
吸収する層として利用される。このような場合、各単位
蛍光体層(8a、8b、8cなど)は、それぞれ検出対
象となるX線のエネルギー領域に応じた厚さに設定され
る。
【0047】すなわち、X線源2から放射されるX線3
のエネルギーは、通常10〜 30keV程度の幅で連続したス
ペクトルを有している。また、蛍光体層8に入射したX
線3はエネルギーが低い領域ほど吸収係数が大きい。こ
のようなX線3のエネルギー領域の違いに基づく吸収量
の差を利用することによって、X線3を各エネルギー領
域毎に検出することができる。
【0048】言い換えると、微視的に見た場合にはX線
3のエネルギー領域に基づいて、高エネルギー領域のX
線と低エネルギー領域のX線というように、エネルギー
領域が異なる複数の線質のX線として扱うことができ
る。これらエネルギー領域が異なる複数の線質のX線の
うち、例えば低エネルギー領域のX線は最表面側の蛍光
体層8aでほとんど吸収され、高エネルギー領域のX線
は入射表面から遠い蛍光体層(8bや8c)まで達する
ため、これら各単位蛍光体層からの複数色の発光に基づ
いて、エネルギー領域が異なる複数の線質のX線による
各画像情報をそれぞれ色相情報として得ることができ
る。
【0049】このようなことから、例えば図2に示した
2層構造の積層型蛍光体層8においては、第1層として
の蛍光体層8aを低エネルギー領域のX線を主として検
出吸収する層とし、第2層としての蛍光体層8bを高エ
ネルギー領域のX線を主として検出吸収する層とする。
また、図3に示した 3層構造の積層型蛍光体層8では、
低エネルギー領域のX線、中エネルギー領域のX線、高
エネルギー領域のX線をそれぞれ検出吸収するよう構成
することができる。
【0050】なお、これら各エネルギー領域のX線を検
出吸収する蛍光体層の具体的な厚さは、それぞれX線の
エネルギー領域に応じて適宜設定するものとする。例え
ば、図2に示した 2層構造の積層型蛍光体層8において
は、X線エネルギーの範囲が10〜 100keV 程度の場合、
第1層の蛍光体層8aの厚さは塗布重量換算で 100〜30
0g/m2 (10〜 30mg/cm2 )、第2層の蛍光体層8bの厚
さは 300〜2000g/m2(30〜200mg/cm2 )の範囲とするこ
とが好ましい。
【0051】次に、図2に示した 2層構造の積層型蛍光
体層8において、第1の蛍光体層8aに緑色発光蛍光体
を用いると共に、第2の蛍光体層8bに赤色発光蛍光体
を用いたX線増感紙5Aを使用して、低エネルギー領域
のX線による画像情報と高エネルギー領域のX線による
画像情報を検出する方法について述べる。ここでは説明
を簡単にするために、X線3が高電圧X線と低電圧X線
の混合X線であると仮定し、かつ低電圧X線は第1の蛍
光体層8aで完全に吸収されるものとする。
【0052】図6に示すように、被検体を透過したX線
3(低電圧X線3Aと高電圧X線3B)はX線増感紙5
に入射し、このX線3により緑色および赤色に発光す
る。これら緑色発光および赤色発光によって、カラーフ
ィルム4にはカラー画像が形成される。カラーフィルム
4には、緑色画像と赤色画像との混合データとして像が
形成されるため、これをフィルムスキャナなどを用いて
RGB信号に分離する。すなわち、各単位蛍光体層の発
光波長に応じて分離する。
【0053】このようにして緑色画像と赤色画像とを分
離し、各画像をそれぞれ単独画像として得る。これら緑
色画像および赤色画像は低電圧X線3Aによる画像と高
電圧X線3Bによる画像の合成像である。これらのX線
は前述したように連続したスペクトルを有しており、各
電圧領域(エネルギー領域)により吸収係数が異なるた
め、微視的に見た場合には、緑色画像(LGREEN )と赤
色画像(LRED )はそれぞれ低電圧X線3Aによる画像
(LL )と高電圧X線3Bによる画像(LH )とを適当
な割合で加えたものとして表される。
【0054】すなわち、微視的に見た場合、第1の蛍光
体層8aからの緑色画像LGREEN は、低電圧X線3Aの
画像情報LL と高電圧X線3Bの画像情報LH を共に含
んでいる。一方、低電圧X線3Aは第1の蛍光体層8a
で完全に吸収されるため、赤色画像LRED は実質的に高
電圧X線3Bの画像情報LH のみを含むことになる。こ
れを式に表すと、 LGREEN =aLL +bLH ……(1) LRED =cLH ……(2) となる。
【0055】係数a、b、cは各蛍光体層のX線のエネ
ルギー領域に応じた発光の寄与率を表すものであるた
め、これら寄与率を考慮して (1)式と (2)式を解くこと
によって、低電圧X線3Aによる画像情報LL と高電圧
X線3Bによる画像情報LH を同時に求めることができ
る。例えば、第2の蛍光体層(赤色発光層)8bの厚さ
を適当な値に選択すれば、 (1)式の係数bと (2)式の係
数cをほぼ等しくすることができる。すなわち、 (2)式
は、 LRED =cLH =bLH ……(3) となる。
【0056】従って、 (1)式と (3)式から、 LL =(LRED −LGREEN )/a ……(4) に基づいて、低電圧X線3Aによる画像情報LL を得る
ことができる。また、高電圧X線3Bによる画像情報L
H は (3)式から、 LH =LGREEN /b ……(5) に基づいて得ることができる。
【0057】このように、微視的に見た場合には、各色
の画像(LGREEN とLRED )からエネルギー領域の異な
るX線に基づく画像情報(LL とLH )を得ることがで
きる。言い換えると、X線のエネルギー領域の違い(線
質が異なる複数のX線)に基づいて、複数の画像情報を
色相情報として得ることができる。すなわち、X線写真
の濃淡情報に加えて、色相情報を医療診断に利用するこ
とができ、医療診断に利用する物理量を増やすことが可
能となる。これによって、X線撮影による医療診断能の
向上を図ることができる。
【0058】さらに、上記した色相情報はX線3のエネ
ルギー領域(線質)に応じたものであるため、例えばX
線撮影時の条件(例えばX線の照射条件)が適切な範囲
から多少ずれていたとしても、エネルギー領域が異なる
X線3(複数の線質のX線3A、3B)に応じた色相情
報による複数の画像情報に基づいて、医療診断などに使
用し得る適切な濃度の写真像を得ることが可能となる。
【0059】また、X線吸収量が異なる複数の臓器など
を撮影する場合においても、撮影対象の臓器などに応じ
てX線の線質を選択することによって、 1回の撮影で複
数の臓器などをそれぞれ適切な写真濃度で撮影すること
が可能となる。
【0060】上述した本発明の医療用X線撮影システム
および医療撮影用X線増感紙は、人体の各部のX線撮影
に適用することができる。例えば、四肢部、腹部、胸
部、乳房などのX線撮影に対して有効である。
【0061】
【実施例】次に、本発明の放射線検出用蛍光体シートの
具体的な実施例について述べる。 実施例1 まず、平均粒子径が 2.0μm のGd2 2 S:Eu蛍光
体粉末10重量部に、結合剤として塩化ビニル−酢酸ビニ
ルコポリマー 1重量部と有機溶剤として適当量の酢酸エ
チルとを混合して、蛍光体塗布液(第2の蛍光体層用)
を調製した。この蛍光体塗布液を厚さ 250μm のポリエ
チレンテレフタレートフィルムからなるシート基材上
に、乾燥後の蛍光体塗布重量が150g/m2 (15mg/cm2 )と
なるようにナイフコータで均一に塗布し、乾燥させるこ
とによって、赤色発光の蛍光体層(第2の蛍光体層)を
形成した。
【0062】次いで、平均粒子径が 2.0μm のGd2
2 S:Tb蛍光体粉末10重量部に、結合剤として塩化ビ
ニル−酢酸ビニルコポリマー 1重量部と有機溶剤として
適当量の酢酸エチルとを混合して、蛍光体塗布液(第1
の蛍光体層用)を調製した。この蛍光体塗布液を上記し
た赤色発光の蛍光体層上に乾燥後の蛍光体塗布重量が15
0g/m2 (15mg/cm2 )となるようにナイフコータで均一に
塗布し、乾燥させることによって、緑色発光の蛍光体層
(第1の蛍光体層)を形成した。
【0063】この後、上記した 2層構造の蛍光体層上
に、厚さ 9μm のポリエチレンテレフタレートフィルム
からなる保護膜をラミネートして、目的とするX線増感
紙を作製した。
【0064】このようにして得たX線増感紙とカラーフ
ィルム・センチュリア800(商品名、コニカ社製)とを組
合せて図1に示したように配置して、X線撮影を実施し
たところ、カラーフィルムには緑色画像と赤色画像の混
合画像が得られた。この画像は濃淡情報に加えて色相情
報(色差情報)を含んでいるため、異常部をより容易に
発見することが可能となる。
【0065】さらに、カラーフィルムに形成された像
を、フィルムスキャナを用いてRGB信号に分離し、赤
色画像と緑色画像とを得た。これら赤色画像と緑色画像
をデジタルデータとして取り込み、前述した (1)式〜
(5)式に基づいて画像処理することによって、十分鮮明
な低エネルギー領域のX線画像と高エネルギー領域のX
線画像を得ることができた。
【0066】実施例2 まず、平均粒子径が 2.0μm のBaFCl:Eu蛍光体
粉末10重量部に、結合剤として塩化ビニル−酢酸ビニル
コポリマー 1重量部と有機溶剤として適当量の酢酸エチ
ルとを混合して、蛍光体塗布液(第2の蛍光体層用)を
調製した。この蛍光体塗布液を厚さ 250μm のポリエチ
レンテレフタレートフィルムからなるシート基材上に、
乾燥後の蛍光体塗布重量が150g/m2 (15mg/cm2 )となる
ようにナイフコータで均一に塗布し、乾燥させることに
よって、青色発光の蛍光体層(第2の蛍光体層)を形成
した。
【0067】次いで、平均粒子径が 2.0μm のGd2
2 S:Tb蛍光体粉末10重量部に、結合剤として塩化ビ
ニル−酢酸ビニルコポリマー 1重量部と有機溶剤として
適当量の酢酸エチルとを混合して、蛍光体塗布液(第1
の蛍光体層用)を調製した。この蛍光体塗布液を上記し
た青色発光の蛍光体層上に乾燥後の蛍光体塗布重量が15
0g/m2 (15mg/cm2 )となるようにナイフコータで均一に
塗布し、乾燥させることによって、緑色発光の蛍光体層
(第1の蛍光体層)を形成した。
【0068】この後、上記した 2層構造の蛍光体層上
に、厚さ 9μm のポリエチレンテレフタレートフィルム
からなる保護膜をラミネートして、目的とするX線増感
紙を作製した。
【0069】このようにして得たX線増感紙とカラーフ
ィルム・センチュリア800(商品名、コニカ社製)とを組
合せて図1に示したように配置して、X線撮影を実施し
たところ、カラーフィルムには青色画像と緑色画像の混
合画像が得られた。この画像は濃淡情報に加えて色相情
報(色差情報)を含んでいるため、異常部をより容易に
発見することが可能となる。
【0070】さらに、カラーフィルムに形成された像
を、フィルムスキャナを用いてRGB信号に分離し、青
色画像と緑色画像とを得た。これら青色画像と緑色画像
をデジタルデータとして取り込み、前述した (1)式〜
(5)式に基づいて画像処理することによって、十分鮮明
な低エネルギー領域のX線画像と高エネルギー領域のX
線画像を得ることができた。
【0071】実施例3 まず、平均粒子径が 2.0μm のGd2 2 S:Eu蛍光
体粉末10重量部に、結合剤として塩化ビニル−酢酸ビニ
ルコポリマー 1重量部と有機溶剤として適当量の酢酸エ
チルとを混合して、蛍光体塗布液(第2の蛍光体層用)
を調製した。この蛍光体塗布液を厚さ 250μm のポリエ
チレンテレフタレートフィルムからなるシート基材上
に、乾燥後の蛍光体塗布重量が150g/m2 (15mg/cm2 )と
なるようにナイフコータで均一に塗布し、乾燥させるこ
とによって、赤色発光の蛍光体層(第2の蛍光体層)を
形成した。
【0072】次いで、平均粒子径が 2.0μm のYTaO
4 :Nb蛍光体粉末10重量部に、結合剤として塩化ビニ
ル−酢酸ビニルコポリマー 1重量部と有機溶剤として適
当量の酢酸エチルとを混合し、蛍光体塗布液(第1の蛍
光体層用)を調製した。この蛍光体塗布液を上記した赤
色発光の蛍光体層上に乾燥後の蛍光体塗布重量が150g/m
2 (15mg/cm2 )となるようにナイフコータで均一に塗布
し、乾燥させることによって、青色発光の蛍光体層(第
1の蛍光体層)を形成した。
【0073】この後、上記した 2層構造の蛍光体層上
に、厚さ 9μm のポリエチレンテレフタレートフィルム
からなる保護膜をラミネートして、目的とするX線増感
紙を作製した。
【0074】このようにして得たX線増感紙とカラーフ
ィルム・センチュリア800(商品名、コニカ社製)とを組
合せて図1に示したように配置して、X線撮影を実施し
たところ、カラーフィルムには赤色画像と青色画像の混
合画像が得られた。この画像は濃淡情報に加えて色相情
報(色差情報)を含んでいるため、異常部をより容易に
発見することが可能となる。
【0075】さらに、カラーフィルムに形成された像
を、フィルムスキャナを用いてRGB信号に分離し、青
色画像と赤色画像とを得た。これら青色画像と赤色画像
をデジタルデータとして取り込み、前述した (1)式〜
(5)式に基づいて画像処理することによって、十分鮮明
な低エネルギー領域のX線画像と高エネルギー領域のX
線画像を得ることができた。
【0076】実施例4 まず、平均粒子径が 9.0μm のGd2 2 S:Eu蛍光
体粉末10重量部に、結合剤として塩化ビニル−酢酸ビニ
ルコポリマー 1重量部と有機溶剤として適当量の酢酸エ
チルとを混合して、蛍光体塗布液(第2の蛍光体層用)
を調製した。この蛍光体塗布液を厚さ 250μm のポリエ
チレンテレフタレートフィルムからなるシート基材上
に、乾燥後の蛍光体塗布重量が800g/m2 (80mg/cm2 )と
なるようにナイフコータで均一に塗布し、乾燥させるこ
とによって、赤色発光の蛍光体層(第2の蛍光体層)を
形成した。
【0077】次いで、平均粒子径が 9.0μm のGd2
2 S:Tb蛍光体粉末10重量部に、結合剤として塩化ビ
ニル−酢酸ビニルコポリマー 1重量部と有機溶剤として
適当量の酢酸エチルとを混合して、蛍光体塗布液(第1
の蛍光体層用)を調製した。この蛍光体塗布液を上記し
た赤色発光の蛍光体層上に乾燥後の蛍光体塗布重量が80
0g/m2 (80mg/cm2 )となるようにナイフコータで均一に
塗布し、乾燥させることによって、緑色発光の蛍光体層
(第1の蛍光体層)を形成した。
【0078】この後、上記した 2層構造の蛍光体層上
に、厚さ 9μm のポリエチレンテレフタレートフィルム
からなる保護膜をラミネートして、目的とするX線増感
紙を作製した。
【0079】このようにして得たX線増感紙とカラーフ
ィルム・センチュリア800(商品名、コニカ社製)と組合
せて図1に示したように配置して、X線撮影を実施した
ところ、カラーフィルムには赤色画像と緑色画像の混合
画像が得られた。この画像は濃淡情報に加えて色相情報
(色差情報)を含んでいるため、異常部をより容易に発
見することが可能となる。
【0080】さらに、カラーフィルムに形成された像
を、フィルムスキャナを用いてRGB信号に分離し、赤
色画像と緑色画像とを得た。これら赤色画像と緑色画像
をデジタルデータとして取り込み、前述した (1)式〜
(5)式に基づいて画像処理することによって、十分鮮明
な低エネルギー領域のX線画像と高エネルギー領域のX
線画像を得ることができた。
【0081】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の医療用X
線撮影システムによれば、医療診断に利用する物理量と
して、濃淡情報に加えて色相情報を得ることができるた
め、X線撮影による医療診断能の向上を図ることが可能
となる。さらに、X線撮影時の条件を緩和することで撮
影ミスの抑制や医療診断精度の向上などを図ると共に、
X線吸収量が異なる複数の臓器などの撮影能を高めるこ
とができる。また、本発明の医療撮影用X線増感紙によ
れば、そのような医療用X線撮影を実現することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の医療用X線撮影システムを適用した
X線撮影装置の一実施形態の構成を模式的に示す図であ
る。
【図2】 本発明の医療撮影用X線増感紙の具体的な構
造の一例を模式的に示す断面図である。
【図3】 本発明の医療撮影用X線増感紙の具体的な構
造の他の例を模式的に示す断面図である。
【図4】 本発明の医療用X線撮影システムで使用され
るカラーフィルムの分光感度曲線の一例を示す図であ
る。
【図5】 本発明の医療用X線撮影システムによるX線
の強度分布を色差として検出する方法を説明するための
図である。
【図6】 本発明の医療用X線撮影システムによるX線
のエネルギー領域の違いに基づて色相情報を得る方法を
説明するための図である。
【符号の説明】
1……被検体 2……X線管 3……X線 4……カラーフィルム 5……X線増感紙 6……撮像系 7……支持体 8……積層型蛍光体層 8a…第1の蛍光体層 8b…第2の蛍光体層 8c…第3の蛍光体層 9……保護膜
フロントページの続き (72)発明者 小柳津 英二 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内 Fターム(参考) 2G083 AA02 BB03 BB05 CC02 CC07 DD02 DD11 DD13 DD16 DD17 EE01 2H013 AA30 4C093 CA31 CA50 DA06 DA10 EB04 FD01 FD20 FF09 FF33 FF41

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 発光色が異なる複数の蛍光体層を有し、
    被検体を通過したX線が照射された際に、前記複数の蛍
    光体層の各発光色に基づいて複数色に発光するX線増感
    紙と、 前記X線増感紙からの発光を受けて、前記複数の蛍光体
    層の各発光色に基づく複数色の画像が一括して形成され
    るカラーフィルムとを具備し、 前記カラーフィルム上に形成された画像の色相情報を検
    出することを特徴とする医療用X線撮影システム。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の医療用X線撮影システム
    において、 前記カラーフィルム上に形成された画像から、前記被検
    体を通過したX線の強度に基づく色差を検出することを
    特徴とする医療用X線撮影システム。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の医療用X線撮影システム
    において、 前記カラーフィルム上に形成された画像を前記複数の発
    光色に応じて分離し、各発光色毎の画像を検出すると共
    に、これら複数色の画像から前記X線のエネルギー領域
    の違いに基づく複数の画像情報を得ることを特徴とする
    医療用X線撮影システム。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし請求項4のいずれか1項
    記載の医療用X線撮影システムにおいて、 前記複数の蛍光体層は、青色発光の蛍光体層、緑色発光
    の蛍光体層、および赤色発光の蛍光体層から選ばれる少
    なくとも 2層の蛍光体層を有することを特徴とする医療
    用X線撮影システム。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし請求項5のいずれか1項
    記載の医療用X線撮影システムにおいて、 四肢部、腹部、胸部または乳房のX線撮影に適用される
    ことを特徴とする医療用X線撮影システム。
  6. 【請求項6】 支持体と、前記支持体上に形成された発
    光色が異なる複数の蛍光体層と、前記蛍光体層上に設け
    られた保護膜とを具備し、カラーフィルムと組合せて使
    用されることを特徴とする医療撮影用X線増感紙。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の医療撮影用X線増感紙に
    おいて、 前記複数の蛍光体層は、前記被検体を通過したX線の強
    度を色差により検出する層であることを特徴とする医療
    用X線撮影システム。
  8. 【請求項8】 請求項7記載の医療撮影用X線増感紙に
    おいて、 前記複数の蛍光体層のうち、X線源から見て第1層は主
    として低強度のX線を検出吸収する層であり、かつ第2
    層は主として高強度のX線を検出吸収する層であること
    を特徴とする医療撮影用X線増感紙。
  9. 【請求項9】 請求項6記載の医療撮影用X線増感紙に
    おいて、 前記複数の蛍光体層は、前記X線のエネルギー領域の違
    いに基づく複数の線質のX線を吸収する層であり、それ
    ぞれ検出対象となるX線のエネルギー領域に応じた厚さ
    を有することを特徴とする医療撮影用X線増感紙。
  10. 【請求項10】 請求項9記載の医療撮影用X線増感紙
    において、 前記複数の蛍光体層のうち、X線源から見て第1層は主
    として低エネルギー領域のX線を検出吸収する層であ
    り、かつ第2層は主として高エネルギー領域のX線を検
    出吸収する層であることを特徴とする医療撮影用X線増
    感紙。
  11. 【請求項11】 請求項6ないし請求項10のいずれか
    1項記載の医療撮影用X線増感紙において、 前記蛍光体層は、青色発光の蛍光体層、緑色発光の蛍光
    体層、および赤色発光の蛍光体層から選ばれる少なくと
    も 2層の蛍光体層を有することを特徴とする医療撮影用
    X線増感紙。
  12. 【請求項12】 請求項11記載の医療撮影用X線増感
    紙において、 前記青色発光の蛍光体層は、タングステン酸カルシウム
    蛍光体およびユーロピウム付活弗化塩化バリウムから選
    ばれる少なくとも 1種を含有することを特徴とする医療
    撮影用X線増感紙。
  13. 【請求項13】 請求項11記載の医療撮影用X線増感
    紙において、 前記緑色発光の蛍光体層は、テルビウム付活酸硫化ガド
    リニウム蛍光体を含有することを特徴とする医療撮影用
    X線増感紙。
  14. 【請求項14】 請求項11記載の医療撮影用X線増感
    紙において、 前記赤色発光の蛍光体層は、ユーロピウム付活酸硫化ガ
    ドリニウム蛍光体を含有することを特徴とする医療撮影
    用X線増感紙。
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