JP2004045248A - カラー発光シートおよびそれを用いたカラーレントゲン装置 - Google Patents

カラー発光シートおよびそれを用いたカラーレントゲン装置 Download PDF

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小柳津 英二
Akihisa Saito
斉藤 昭久
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Abstract

【課題】所定の放射線量で高精度の画像が得られ画像情報の検出感度を大幅に改善でき、少ない撮影回数で多くの情報を確実に、かつ有効に得ることを可能にしたカラー発光シートおよびそれを用いたカラーレントゲン装置(カラーレントゲン画像形成組体)を提供する。
【解決手段】放射線に対して発光する蛍光体を含有する蛍光体層9を有し、被検体を通過した放射線が照射されて発光するカラー発光シート4において、上記蛍光体層9は、蛍光体と、この蛍光体の主発光ピーク波長を含む発光スペクトルを有する蛍光色素とを含有することを特徴とするカラー発光シートである。また、上記蛍光体層9中の蛍光色素の含有量が蛍光体に対して0.01〜5.0質量%の範囲であることが好ましい。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、医療診断や各種非破壊検査などに適用されるカラー発光シートおよびそれを用いたカラーレントゲン装置に係り、特に所定の放射線量で高精度の画像が得られ画像情報の検出感度を大幅に改善でき、少ない撮影回数で多くの情報を確実に、かつ有効に得ることを可能にしたカラー発光シートおよびそれを用いたカラーレントゲン装置(カラーレントゲン画像形成組体)に関する。
【0002】
【従来の技術】
医療診断や工業用非破壊検査などに利用されるX線撮影装置では、通常、撮影系の感度を向上させるために、X線フィルムを放射線増感紙と組み合わせて使用している。上記X線撮影においては、被検体を透過したX線や増感紙で可視光に変換された光で、例えばX線用フィルムを感光させて被検体の透過画像を得ている。
【0003】
また近年では、撮像系としてCCD(電荷結合素子)やアモルファスシリコンなどの光検出素子を用い、光信号の強弱を電気信号に変換することにより、X線フィルムを使用することなく放射線の透過量の違いをデジタルに検出することも広く実施されている。
【0004】
一方、特開2001−209142号公報によれば、被検体を通過したX線などの放射線が照射されて複数色に発光するカラー発光シートと、カラー発光シートから放射された複数色の発光を色別に検出するカラーフィルムやカラーカメラなどの光検出手段とを具備し、異なる感度特性を持つ複数色の画像情報を得るように構成したカラーレントゲンシステムが提案されている。このシステムに使用されるカラー発光シートには、例えば可視光領域内の1つの発光色に対応する主発光成分と、この主発光成分と異なる発光色を有する副発光成分とを有し、かつこれら主発光成分と副発光成分の発光割合が撮影系のダイナミックレンジ(ラティチュード)に応じて調整された蛍光体が用いられている。
【0005】
図1は上記カラー発光シートにX線照射量を変化させてX線を照射し、その際の発光により露光させたカラーフィルムから得た画像濃度とX線強度との関係を示す特性曲線の一例である。
【0006】
上記した従来のカラーレントゲンシステムによれば、図1に示すような複数の特性曲線を利用して、X線の線量の違いに対応して発光した複数色の光(R:赤,G:緑,B:青)を各色毎に検出することで画像を得ている。得られた画像においては、低線量の部分では緑色(G)および青色(B)の情報はなく赤色(R)の情報として得られる一方、線量が増大すると赤色(R)の情報は飽和して緑色(G)の情報として得られ、さらに線量が多くなると赤色(R),緑色(G)の情報は飽和して青色(B)の情報として得られる。すなわち、比較的広い条件下で適切な濃度の写真像を得ると共に、得られた写真像から多くの情報を得ることを可能にしている。
【0007】
しかしながら、カラーレントゲンシステムではX線で発光した各色毎の光量をそれぞれ検出してしまうため、主発光成分での画像情報を適切な濃度で得ようとすると従来の増感紙/フィルム撮影方法に比べてX線被曝線量が増加してしまうことが予想される。すなわち、従来の増感紙/フィルム法では、X線フィルムは増感紙の発光ピーク波長にあわせた受光スペクトルを持っているが、発光ピーク波長以外の発光波長でも感度は低いが露光する。この露光分も含めて、増感紙/フィルム法によるX線感度,すなわちX線被爆線量が決定される。
【0008】
一方、特開平11−344599号公報によれば、特に感度および鮮鋭度を向上させるために、放射線増感スクリーンに蛍光体の発光光の一部を吸収して蛍光体の発光ピーク波長付近の発光を有する蛍光染料もしくは蛍光顔料を含有させることが報告されている。しかしながら、実質的な光検出は広い範囲で受光するX線フィルムであるため、蛍光体から発光した一部の光が蛍光染料によって吸収されるため一次的に感度が低下し、低下した感度を回復させるためには蛍光染料の発光によって吸収された分以上を補償する必要がある。したがって、上記従来技術は、感度を向上させるための手段として、効率が良い手法ではない。
【0009】
一般に、放射線は人体に有害であり、特に人体に放射線を照射する医療分野では上記X線被曝線量は可能な限り少量に削減することが要求されている。また、医療診断分野でのX線撮影に限らず、航空機や建築構造物を披検対象にした工業用非破壊検査においても同様であり、X線線量が増大すると撮影対象物やその周辺に装置本体などによる散乱X線が発生しやすくなり、周囲に対するX線被曝の影響が大きくなるおそれがある。また、X線発生装置の疲労にもつながる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、従来のカラーレントゲンシステムにおいては、X線で発光した各色毎の光量をそれぞれ検出してしまうため、主発光成分での画像情報を最適な濃度や鮮鋭度で得ようとすると従来の撮影方法に比べてX線被曝線量が増大してしまうという問題点があった。
【0011】
一方、放射線増感スクリーンに蛍光体の発光光の一部を吸収して蛍光体の発光ピーク波長付近の発光を有する蛍光染料もしくは蛍光顔料を含有させることも報告されている。しかしながら、この場合には実質的な光検出は広い範囲で受光するX線フィルムであるため、蛍光染料による発光光の吸収によって一次的な感度低下が起きる問題点があった。
【0012】
このような技術的背景に鑑みて、例えば被検体のX線被曝線量を削減することを可能にする、すなわちX線に対して高感度な放射線撮影システムが希求されている。このようなX線に対する高感度化は、被検体へのX線被曝線量を削減する共にX線撮影を実施する作業者や周辺の人間に対する放射線被曝も最小限に留めるなど被曝の影響低減に大きく寄与することになる。
【0013】
本発明はこのような課題に対処するためになされたもので、特に所定の放射線量で高精度の画像が得られ画像情報の検出感度を大幅に改善でき、少ない撮影回数で多くの情報を確実に、かつ有効に得ることを可能にしたカラー発光シートおよびそれを用いたカラーレントゲン装置(カラーレントゲン画像形成組体)を提供することを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係るカラー発光シートは、放射線に対して発光する蛍光体を含有する蛍光体層を有し、被検体を通過した放射線が照射されて発光するカラー発光シートにおいて、上記蛍光体層は、蛍光体と、この蛍光体の主発光ピーク波長を含む発光スペクトルを有する蛍光色素とを含有することを特徴とする。
【0015】
また本発明に係るカラーレントゲン装置は、被検体に放射線を照射する放射線源と、前記被検体を透過した放射線が照射されて複数の発光色を放射する蛍光体層を有するカラー発光シートと、前記放射線の照射に基づいて前記カラー発光シート蛍光体から放射された複数色の発光を検出する光検出手段とを具備するカラーレントゲン装置において、前記光検出手段は前記複数色の発光をRGBの発光色別に分離して検出する手段であり、かつ前記カラー発光シートの蛍光体層は、蛍光体と、この蛍光体の主発光ピーク波長を含む発光スペクトルを有する蛍光色素とを含有していることを特徴とする。
【0016】
さらに上記カラー発光シートおよびカラーレントゲン装置において、前記蛍光体層中の蛍光色素の含有量が蛍光体に対して0.01〜5.0質量%の範囲であることが好ましい。
【0017】
また、前記蛍光体がユーロピウム付活酸硫化ガドリニウムまたはユーロピウム付活酸硫化イットリウムであり、かつ前記蛍光色素が600〜700nmに発光ピーク波長を有することが好ましい。
【0018】
さらに、前記蛍光体がテルビウム付活酸硫化ガドリニウムあるいはテルビウム付活酸硫化イットリウムであり、かつ前記蛍光色素が500〜600nmに発光ピーク波長を有することが好ましい。
【0019】
また、前記蛍光体がタングステン酸カルシウムであり、かつ前記蛍光色素が400〜500nmに発光ピーク波長を有することが好ましい。さらに、前記カラー発光シートにおける前記蛍光体の塗布重量が固形乾燥重量基準で5〜200mg/cmであることが好ましい。
【0020】
本発明に係るカラー発光シートは、例えば図3に示すような層構成で形成される。すなわち、カラー発光シート4は、プラスチックフィルムや不織布などから成るシート基材8を有しており、このシート基材8上に蛍光体層9が設けられている。シート基材8の構成材としては、蛍光体から発光する光を吸収するように、カーボンブラックを練りこんだポリエチレンテレフタレートや、逆に蛍光体から発光する光を反射するように、白色の二酸化チタンを練りこんだポリエチレンテレフタレートなどが用いられる。また蛍光体層9の上部には、必要に応じて透明な保護膜10が形成される。例えば厚さ数μm程度のポリエチレンテレフタレートフィルムなどからなる保護膜10が一体に配置される。
【0021】
上述した蛍光体層9は複数色に発光する蛍光体、すなわち複数の発光波長領域を有する蛍光体を含有するものである。蛍光体層9用の蛍光体としては、例えばカラーCCDカメラなどの受光素子の光検出能力を考慮して、可視光領域(例えば波長400〜700nmの領域)内の広い波長範囲で発光する蛍光体を用いることが好ましい。具体的には、可視光領域内の少なくとも2つの発光色に対応する発光スペクトルを有する蛍光体を用いることが好ましい。すなわち、発光色が互いに異なる主発光成分と副発光成分とを含む発光スペクトルを有する蛍光体を用いることが好ましい。
【0022】
蛍光体の発光色としては、代表的には青色発光(B)、緑色発光(G)、赤色発光(R)のうち少なくとも2つの発光色が挙げられる。ただし、これらの発光色に限定されるものではなく、互いに区別できる発光色であれば種々の発光色を適用することができ、例えば紫外線に近い紫色発光や黄色発光などで構成してもよい。
【0023】
本発明に係るカラーレントゲン装置(カラーレントゲン画像形成組体)は、光検出をRGBに分離して個別に検出する手段を具備していることを特徴とし、かつカラー発光シートに蛍光色素を含有させることにより主発光波長のX線に対する高感度化を図るように構成したものである。本発明のカラー発光シートに含有させる蛍光色素の具体的な特性としては、蛍光色素が蛍光体の主発光成分の発光ピーク波長を含む発光スペクトルを有することである。蛍光体の発光を効率良く利用するためには、蛍光体の発光スペクトルと蛍光色素による吸収/発光の関係が重要である。すなわち、蛍光体の主発光成分の発光と蛍光色素の発光とが一致し、蛍光色素の励起波長が蛍光体の主発光成分以外に存在することが必要とされる。蛍光色素の励起スペクトルの一例を図4に示す。図4に示す励起スペクトルでは、蛍光色素が吸収する青(B),黄(Y)および赤(R)の波長域が例示されている。一方、図4に示す蛍光色素を含有する蛍光体層の発光スペクトルの一例が図5に示される。図5に示す発光スペクトルでは、上記蛍光色素の波長光を吸収して発光した青(B),黄(Y)および赤(R)の発光強度が例示されている。
【0024】
上述したカラー発光シートにおいて、蛍光体がユーロピウム付活酸硫化ガドリニウムあるいはユーロピウム付活酸硫化イットリウムであり、かつ蛍光色素が600〜700nmに発光ピーク波長を持つことが好ましい。
【0025】
また、カラー発光シートを構成する蛍光体がテルビウム付活酸硫化ガドリニウムあるいはテルビウム付活酸硫化イットリウムであり、かつ蛍光色素が500〜600nmに発光ピーク波長を持つことが好ましい。
【0026】
また、カラー発光シートを構成する蛍光体がタングステン酸カルシウムであり、かつ蛍光色素が400〜500nmに発光ピーク波長を持つことが好ましい。
【0027】
上記のような蛍光体と、特定波長範囲に発光ピーク波長を有する蛍光色素とを組み合わせることにより、X線などの放射線による蛍光体層の発光強度を大幅に高めることができ、カラーレントゲン撮影の感度を高めることができる。
【0028】
上述した蛍光色素としては、一般に蛍光染料もしくは蛍光顔料と呼ばれるものが使用され、さらには無機化合物蛍光体や有機化合物も使用でき、蛍光体の主発光ピーク波長を含む発光スペクトルを有するものである限り、特に限定されるものではない。ただし、蛍光体の発光を効率良く利用するためには蛍光色素の粒子径は小さい方が好ましい。特に有機化合物が好ましい。
【0029】
また、カラー発光シートを構成する蛍光体によって、その主発光成分に合わせた蛍光色素を選択することが好ましい。すなわち、蛍光体の主発光成分が赤色であれば蛍光色素の発光は赤色を、蛍光体の主発光成分が緑色であれば蛍光色素の発光は緑色を、蛍光体の主発光成分が青色であれば蛍光色素の発光は青色を発光するものが好ましい。蛍光色素の含有量は通常蛍光体量に対し0.01〜5.0%の範囲にあり、好ましくは0.1〜3.0%である。さらに好ましくは0.6〜2.0%である。なお蛍光体層中における蛍光色素の含有量は赤外分光光度計,ガスクロマトグラフ,X線分析装置,高速液体クロマトグラフにて分析定量が可能である。
【0030】
これらの蛍光色素は残光のないことが好ましい。また、経時的な自己分解、光による分解や熱による分解が起こり難い蛍光色素が好ましい。以下に蛍光色素の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0031】
上記蛍光色素の具体例としては、クマリン系色素、ペリレン系色素、フタロシアニン系色素、スチルベン系色素、シアニン系色素、ポリフェニレン系色素,キサンテン系色素,ピリジン系色素、オキサジン系色素、クリセン系色素、チオフラビン系色素、ペリレン系色素、ピレン系色素、アントラセン系色素、アクリドン系色素、アクリジン系色素、フルオレン系色素、ターフェニル系色素、エテン系色素、ブタジエン系色素、ヘキサトリエン系色素、オキサゾール系色素、クマリン系色素、スチルベン系色素、ジ−およびトリフェニルメタン系色素、チアゾール系色素、チアジン系色素、ナフタルイミド系色素、アントラキノン系色素等が好適に使用される。
【0032】
また近紫外から紫色光を青色光に変更する蛍光色素として、例えば、1,4−ビス(2−メチルスチリル)ベンゼン(Bis−MSB);トランス−4,4’−ジフェニルスチルベン(DPS)などのスチルベン系色素、7−アミノ−4−メチルクマリン(クマリン120)などのクマリン系色素が好適に使用される。
【0033】
青色または青緑色光を緑色光に変更する蛍光色素として、例えば、2,3,5,6−1H,4H−テトラヒドロ−8−トリフルオロメチルキノリジン(9,9a,1−gh)クマリン(クマリン153);3−(2’−ベンゾチアゾリル)−7−ジエチルアミノクマリン(クマリン6);3−(2’−N−ベンズイミダゾリル)−7−N,N−ジエチルアミノクマリン(クマリン7);3−(2’−メチルベンズイミダゾリル)−7−N,N−ジエチルアミノクマリン(クマリン30)などのクマリン系色素、あるいはクマリン色素系染料であるベーシックイエロー51、さらにはソルベントイエロー11,ソルベントイエロー116などのナフタルイミド系色素などが好適に使用される。
青色ないし青緑色光を橙色光ないし赤色光に変更する蛍光色素として、例えば、4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラン(DCM)等のシアニン系色素、1−エチル−2−〔4−(p−ジメチルアミノフェニル)−1,3−ブタジエニル−ピリジウム−パークロレート〕(ピジリン1)等のピジリン系色素、ローダミンB、ローダミン6Gなどのキサンテン系色素またはオキサジン系色素などが好適に使用される。これらの蛍光色素は樹脂中に予め練り込んで固化し顔料化したものであってもよい。
【0034】
前記蛍光体層に含有される蛍光体としては、例えば各発光色に対応した複数の発光波長領域にそれぞれシャープな発光スペクトルを有する蛍光体や、複数の発光波長領域にまたがる幅広いブロードな発光スペクトルを有する蛍光体などが使用される。前者の蛍光体の具体例としては、ユーロピウム不活酸硫化ガドリニウム(GdS:Eu)蛍光体、テルビウム不活酸硫化ガドリニウム(GdS:Tb)蛍光体などの希土類蛍光体が挙げられる。また、後者の蛍光体の具体例としては、タングステン酸カルシウム(CaWO)蛍光体などが挙げられる。
【0035】
図6は上記GdS:Eu蛍光体の発光スペクトルの一例であり、赤色波長領域(波長が約600〜700nmの領域)に主発光成分が存在すると共に、緑色波長領域(波長が約500〜600nmの領域)に副発光成分が存在していることが分かる。上記GdS:Eu蛍光体やYS:Eu蛍光体は付活剤としてのEuの添加量により各成分の発光割合を調整することができる。また特に赤色発光成分の蛍光色素の励起波長を含むことにより本発明に好適な蛍光体を構成できる。このようなGdS:Eu蛍光体やYS:Eu蛍光体において、被検体の写真像を的確に得るために、Eu濃度は0.01〜5mol%の範囲とし、蛍光色素の発光ピーク波長が600〜700nmの範囲とすることが特に好ましい。
【0036】
図6はGdS:Tb蛍光体の発光スペクトルの一例をも示し、緑色波長領域に主発光成分が存在すると共に、青色波長領域(波長が約400〜500nmの領域)に副発光成分が存在していることが分かる。GdS:Tb蛍光体やYS:Tb蛍光体は付活剤としてのTbの添加量により各成分の発光割合を調整することができ、また特に緑色成分発光の蛍光色素の励起波長を含むことにより本発明に好適な蛍光体を構成できる。このようなGdS:Tb蛍光体やYS:Tb蛍光体において、被検体の写真像を的確に得るために、Tb濃度は0.005〜1mol%の範囲とし、蛍光色素の発光ピーク波長が500〜600nmの範囲にあることが好ましい。
【0037】
また前記CaWO蛍光体は青色波長領域から緑色波長領域に至るブロードな発光スペクトルを有している。この場合には、発光スペクトルのピークが存在している青色発光が主発光成分となる一方、緑色発光成分が副発光成分となる。Caの一部をMgで置換した(Ca,Mg)WO蛍光体を用いることにより、発光波長範囲が広くなり、また特に青色成分発光の蛍光色素の励起波長を含むことにより本発明に好適な蛍光体を構成できる。このような(Ca,Mg)WO蛍光体においては、感度などの観点からMgによるCaの置換量を5mol%以下とするとともに、蛍光色素の発光ピーク波長を400〜500nmの範囲にすることが好ましい。
【0038】
本発明で用いられるカラー発光シート4においては、上述したような蛍光体粒子が複数色に発光する1種の蛍光体に限らず、例えば主に青色に発光する青色発光蛍光体、主に緑色に発光する緑色発光蛍光体、および主に赤色に発光する赤色発光蛍光体から選択される少なくとも2種類の蛍光体を混合した混合蛍光体を用いることもできる。この場合、各蛍光体の混合比は、主発光成分と副発光成分との発光割合が上述したような範囲となるように適宜設定することが好ましい。なお、前述したように場合によっては主発光成分と副発光成分との発光割合がほぼ同一である混合蛍光体を用いることも可能である。
【0039】
また赤色発光蛍光体(GdS:EuやYS:Eu)と緑色発光蛍光体(GdS:TbやYS:Tb)と青色発光蛍光体(CaWOやBaFCl:Eu)を、適当な比率で混合した混合蛍光体でもよい。これら2種類以上の蛍光体の混合比を適宜設定することによって、主発光成分と副発光成分の発光割合を調整することができる。
【0040】
上記混合蛍光体に用いられる各蛍光体は特に限定されるものではなく、下記の蛍光体が使用できる。すなわち、赤色発光の蛍光体としては、GdBO:Eu、Gd:Eu、GdS:Eu、GdAl12:Eu、GdGa12:Eu、GdVO:Eu、GdGa12:Ce,Cr、Y:Eu、La:Eu、LaS:Eu、InBO:Eu、(Y,In)BO:Euなどが用いられる。
【0041】
また緑色発光の蛍光体としては、Gd:Tb、GdS:Tb、GdS:Pr、GdAl12:Tb、GdGa12:Tb、Y:Tb、YS:Tb、YS:Tb,Dy、LaS:Tb、ZnS:Cu、ZnS:Cu,Au、ZnSiO:Mn、InBO:Tb、MgGa:Mnなどが用いられる。
【0042】
さらに青色発光の蛍光体としては、YAlO:Ce、YSiO:Ce、GdSiO:Ce、YTaO:Nb、BaFCl:Eu、ZnS:Ag、CaWO、CdWO、ZnWO、MgWO、Sr(POCl:Eu、YPO:Clなどが用いられる。
【0043】
図3に示す層構造を有する上述したようなカラー発光シート4は例えば以下のような手順で作製することができる。すなわち、蛍光体粒子(混合蛍光体を含む)及び蛍光色素を結合剤と共に適当量混合し、これに有機溶剤を加えて適当な粘度を有する蛍光体塗布液を調製する。この蛍光体塗布液をナイフコータやロールコータなどによりシート基材8上に塗布した後に乾燥して蛍光体層9を一体に形成する。また、蛍光体塗布重量を場所ごとに変化させた蛍光体層を得るには、場所ごとに蛍光体塗布液の塗布回数を変化させることで可能である。また、シート基材の代わりに、ポリエステルフィルム(厚さ250μm程度)にラミネートされた保護膜上に蛍光体塗布液を塗布した後に、乾燥して蛍光体層を一体に形成してもよい。
【0044】
上記蛍光体塗布液の調製に際して使用する結合剤としては、硝化綿、酢酸セルロース、エチルセルロース、ポリビニルブチラール、綿状ポリエステル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニリデン−塩化ビニルポリマー、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、ポリアルキル(メタ)アクリレート、ポリカーボネート、ポリウレタン、セルロースアセテートブチレート、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。
【0045】
また有機溶剤としては、例えばエタノール、メチルエチルエーテル、酢酸ブチル、酢酸エチル、エチルエーテル、キシレンなどが用いられる。なお、蛍光体塗布液には必要に応じて、フタル酸、ステアリン酸などの分散剤や燐酸トリフェニル、フタル酸ジエチルなどの可塑剤を添加してもよい。
【0046】
シート基材8としては、例えば酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリスチレン、ポリメタクリレート、ポリアミド、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、ポリカーボネートなどの樹脂をフィルム状に成形したもの、紙やアルミニウム板などが用いられる。なお、本発明のカラー発光シート4のシート基材として、上述のようなプラスチックフィルムや紙に二酸化チタン,炭酸カルシウムなどの光反射性物質またはカーボンブラックなどの光吸収性物質を練りこんだものや、気泡を含有したものも使用することができる。
【0047】
さらに、保護膜10の構成材としては各種の透明樹脂が使用できる。具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミドなどからなる透明樹脂フィルムを蛍光体層9上にラミネートして保護膜10を形成することが可能である。あるいは、酢酸セルロース、エチルセルロース、セルロースアセテートブチレートなどのセルロース誘導体、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、ポリカーボネート、ポリビニルブチラール、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルホルマール、ポリウレタンなどの透明樹脂を溶解させて適度な粘度を有する保護膜塗布液を調製し、これを蛍光体層9上に塗布した後に、乾燥させることによって保護膜10を形成することも可能である。また、場合によっては酸化チタンなどの光散乱剤を適当な量を練りこんで保護膜10を形成してもよい。
【0048】
なお、シート基材の代わりに、ポリエステルフィルム(厚さ250μm程度)にラミネートされた保護膜上に蛍光体塗布液を塗布した後に乾燥して蛍光体層を一体に形成してもよい。その場合は、接着剤等を塗布された支持体と保護膜付き蛍光体層とを貼り合せることにより、カラー発光シートが形成される。
【0049】
以下、本発明に係るカラーレントゲン装置(カラーレントゲン画像形成組体)の構成について説明する。
【0050】
図2は本発明に係るカラーレントゲン装置、すなわち放射線撮影装置の構成を模式的に示す図である。この装置は人体や各種被検査対象物品などの被検体1を透過したX線などの放射線による影像を撮影する装置であり、この被検体1に対してX線管2などの放射線源からX線3などの放射線が照射される。なお撮影に使用する放射線としては、X線(もしくはγ線)に限られるものではなく、β線や熱中性子線などを用いることも可能である。
【0051】
被検体1により吸収もしくは散乱されたX線3は、カラー発光手段としてのカラー発光シート4に照射される。カラー発光シート4はX線3などの放射線に対して複数色に発光する蛍光体層9を有している(図3)。このカラー発光シート4から発光されたB,G,Rなどの複数色の発光は、被検体1で吸収もしくは散乱されたX線3の分布に応じた輝度分布を有するものである。また、カラー発光シート4は被検体1の放射線吸収散乱特性に応じて少なくとも1つが用意されており、自動または手動にてカラー発光シート4を選択し適宜交換できる構造となっている。
【0052】
カラー発光シート4の2次側には、カラー発光シート4からの複数色の発光を一括して受光し検出する手段としてカラーCCDカメラ5が配置されている。このカラーCCDカメラ5では、被検体1で吸収もしくは散乱されたX線3の分布情報に基づく発光分布を有する複数色の発光(複数色の画像情報)が一括して受光される。
【0053】
カラーCCDカメラ5で受光、検出された複数の色信号を含む画像情報は、演算処理装置6でRGB信号毎に分離され、各色の単独画像情報としてそれぞれ検出される。これらの各色の画像情報はそれぞれデジタル信号として記録される。この際、白色成分を分離した後にRGB信号の割合を変化させることによって、ダイナミックレンジを調整することができる。RGBの各色の画像情報は表示装置7によって直接表示することが可能なように構成されている。
【0054】
さらに、色別に分離した各信号をそれぞれの信号で相互に演算して、その結果を記録することもできる。例えば、ある物質で密度の違いが赤色成分で確認でき、別な物質で密度の違いが緑色成分で見える場合には、それぞれの色成分で視認判別し易いように擬似カラーで表示することができる。また、特定の被検体部分のみを切り出して別に表示することもできる。さらに、赤色成分中のノイズを緑色成分や青色成分で補正したり、一部データが欠落して白色になっている部分を補正したりすることができる。
【0055】
さらに、複数色の発光を一括して受光検出する手段として、カラー写真フィルムを用いることもできる。カラー写真フィルムで受光した場合には、カラー写真フィルム上に形成された画像(赤色と緑色と青色の混合画像)からフィルムスキャナなどを用いてRGB信号を分離し、赤色画像と緑色画像と青色画像とをそれぞれ単独画像として得ることができる。
【0056】
上記構成に係るカラー発光シートおよびカラーレントゲン装置によれば、カラー発光シートの蛍光体層が、蛍光体と、この蛍光体の主発光ピーク波長を含む発光スペクトルを有する蛍光色素とを含有しているため、カラーレントゲン撮影の感度を高めることが可能であり、さらに感度の上昇に伴って所定の画像を得るための放射線量を低減できるため、被検体の放射線被曝量及び周辺への放射線被曝量の影響を大幅に低減することが可能となる。
【0057】
またカラーレントゲン装置において、放射線により発光した各色をRGBの色別に分離して検出する手段を設けて光検出を行っているため、鮮明な画像を得るために最適な波長光を適宜選択可能であり、放射線の吸収散乱特性が異なる部品の集合体からなる被検体であっても、波長光の選択により常に鮮明な画像を得ることができる。
【0058】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態について以下の実施例に基づいて具体的に説明する。
【0059】
実施例1
平均粒子径が10μmのGdS:Eu蛍光体を用意した。このGdS:Eu蛍光体は赤色発光成分を主発光成分とし、それ以外に緑色発光成分,青色発光成分を有するものである。
【0060】
上記のように用意したGdS:Eu蛍光体粉末に対して、結合剤としてポリビニルブチラール樹脂を10質量%と、蛍光色素として発光ピーク波長630nmを有する蛍光色素(DCM)粉末を0.01質量%と、有機溶剤として適当量のメチルエチルケトンとを混合して蛍光体塗布液を調製した。この蛍光体塗布液を厚さ250μmの白色ポリエチレンテレフタレートフィルムからなるシート基材上に、乾燥後の蛍光体塗布重量が60mg/cmとなるようにナイフコータで均一に塗布した後に乾燥させて蛍光体層を一体に形成した。この蛍光体層上に厚さ9μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムからなる保護膜をラミネートして、図3に示すような実施例1に係るカラー発光シート4を作製した。
【0061】
このようにして作製したカラー発光シート4を用いて図2に示すようなカラーレントゲン撮影システム(カラーレントゲン装置)を構成した。この撮影システムを用いてX線照射を行い、カラーCCDカメラで受光した信号をRGBの色成分に分離してデータを取り出した。
【0062】
各X線強度に対するRGBの色成分毎に得られる画像の密度の関係を図1に示す。図1に示す結果から明らかなように、同一の強度でX線を照射した場合においてもRGBの色成分によって得られる画像の密度(鮮明度)が異なっており、適宜色成分を選択することにより、被検体のX線吸収散乱特性に応じた最も鮮明な画像が得られることになる。
【0063】
実施例1−2
蛍光体がGdS:Tbであり、蛍光色素として540nmの発光ピーク波長を有する蛍光色素(クマリン6)粉末を蛍光体層に含有させた点以外は実施例1と同様に処理して実施例1−2に係るカラー発光シートを作製した。
【0064】
実施例1−3
蛍光体がCaWOであり、蛍光色素として430nmの発光ピーク波長を有する蛍光色素(クマリン120)粉末を蛍光体層に含有させた点以外は実施例1と同様に処理して実施例1−3に係るカラー発光シートを作製した。
【0065】
実施例2
蛍光色素として540nmの発光ピーク波長を有する蛍光色素(クマリン6)粉末を蛍光体層に含有させた点以外は実施例1と同様に処理して実施例2に係るカラー発光シートを作製した。
【0066】
実施例3
蛍光色素の含有量を0.1質量%に設定した点以外は実施例1と同様に処理して実施例3に係るカラー発光シートを作製した。
【0067】
実施例4
蛍光色素の含有量を2.0質量%に設定した点以外は実施例1と同様に処理して実施例4に係るカラー発光シートを作製した。
【0068】
実施例5
蛍光色素の含有量を5.0質量%に設定した点以外は実施例1と同様に処理して実施例5に係るカラー発光シートを作製した。
【0069】
実施例6
蛍光体塗布重量を90mg/cmにした点以外は実施例1と同様に処理して実施例6に係るカラー発光シートを作製した。
【0070】
比較例1
蛍光色素を含有させない点以外は実施例1と同様に処理して比較例1に係るカラー発光シートを作製した。
【0071】
比較例1−2
蛍光色素を含有させない点以外は実施例1−2と同様に処理して比較例1−2に係るカラー発光シートを作製した。
【0072】
比較例1−3
蛍光色素を含有させない点以外は実施例1−3と同様に処理して比較例1−3に係るカラー発光シートを作製した。
【0073】
比較例2
蛍光色素として430nmの発光ピーク波長を有する有機化合物粉末を蛍光体層に含有させた点以外は実施例1と同様のカラー発光シートを作製した。
【0074】
比較例3
蛍光色素の含有量を8質量%に設定した点以外は実施例1と同様に処理して比較例3に係るカラー発光シートを作製した。
【0075】
比較例4
蛍光体としてGdS:Tbを使用した点以外は実施例1と同様に処理して比較例4に係るカラー発光シートを作製した。
【0076】
比較例5
蛍光体塗布重量について本発明で規定する好ましい範囲を超えて250mg/cmに設定した点以外は実施例1と同様に処理して比較例5に係るカラー発光シートを作製した。
【0077】
上記のように作製した各実施例および比較例に係るカラー発光シート4を用いて、実施例1と同様にして図2に示すようなカラーレントゲン撮影システム(カラーレントゲン装置)を構成した。この撮影システムを用いてX線照射を行い、カラーCCDカメラで受光した信号の大小を測定することにより各カラー発光シートの相対感度の評価を実施して下記表1〜5に示す結果を得た。なお各表において、各実施例に係るカラー発光シートの感度値は組み合わせて評価した比較例のカラー発光シートの感度を基準にして相対的に求めた値である。
【0078】
【表1】
Figure 2004045248
【0079】
【表2】
Figure 2004045248
【0080】
【表3】
Figure 2004045248
【0081】
【表4】
Figure 2004045248
【0082】
【表5】
Figure 2004045248
【0083】
上記表1に示す結果から明らかなように、蛍光体と、この蛍光体の主発光ピーク波長を含む発光スペクトルを有する蛍光色素とを含有する蛍光体層を形成した各実施例1に係るカラー発光シートによれば、蛍光色素を全く含有しない蛍光体層を形成した各比較例1に係るカラー発光シートと比較して、相対感度を15%から18%まで大幅に改善することが可能であることが判明した。
【0084】
また、上記表2に示す結果から明らかなように、蛍光体の主発光ピーク波長を含む発光スペクトルを有する蛍光色素を含有する蛍光体層を形成した実施例1、2に係るカラー発光シートによれば、蛍光色素の発光ピーク波長が本発明で規定する好ましい範囲外となる傾向色素を含有する蛍光体層を形成した比較例2に係るカラー発光シートと比較して、相対感度が5%から15%まで改善されることも確認された。
【0085】
さらに、上記表3に示す結果から明らかなように、蛍光色素の含有量が蛍光体に対して0.01〜5.0質量%の範囲である場合に高い相対感度が得られており、特に0.1〜2.0質量%の範囲でより高い相対感度が得られることが判明した。一方、蛍光色素の含有量が、本発明で規定する好ましい範囲を超えて過量となる比較例3では相対感度が大幅に低下していることが確認できた。
【0086】
また、上記表4に示す結果から明らかなように、蛍光体の付活剤の種類によっては蛍光色素を添加しても感度特性の改善効果は少なく、比較例4のように逆に大幅に低下してしまうことも判明した。
【0087】
さらに、上記表5に示す結果から明らかなように、蛍光体の塗布重量が60〜90mg/cmの範囲である実施例1、6に係るカラー発光シートによれば高い相対感度が得られることが判明した。一方、蛍光体の塗布重量が、本発明で規定する好ましい範囲を超えて過量とした比較例5では相対感度が大幅に低下することが確認できた。
【0088】
【発明の効果】
以上説明の通り、本発明に係るカラー発光シートおよびカラーレントゲン装置によれば、カラー発光シートの蛍光体層が、蛍光体と、この蛍光体の主発光ピーク波長を含む発光スペクトルを有する蛍光色素とを含有しているため、カラーレントゲン撮影の感度を高めることが可能であり、さらに感度の上昇に伴って所定の画像を得るための放射線量を低減できるため、被検体の放射線被曝量及び周辺への放射線被曝量の影響を大幅に低減することが可能となる。
【0089】
またカラーレントゲン装置において、放射線により発光した各色をRGBの色別に分離して検出する手段を設けて光検出を行っているため、鮮明な画像を得るために最適な波長光を適宜選択可能であり、放射線の吸収散乱特性が異なる部品の集合体からなる被検体であっても、波長光の選択により常に鮮明な画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のカラーレントゲン装置を使用して得られる画像濃度と受光量(X線強度)との関係を示す特性曲線の一例を示す図。
【図2】本発明のカラーレントゲン装置を適用した放射線撮影装置の実施形態の要部構成を模式的に示す図。
【図3】図2に示すカラーレントゲン装置(放射線撮影装置)で使用するカラー発光シートの構成例を示す断面図。
【図4】蛍光色素の励起スペクトルの一例を示す図。
【図5】蛍光色素の発光スペクトルの一例を示す図。
【図6】GdS:Eu蛍光体およびGdS:Tb蛍光体の発光スペクトルを示す図。
【符号の説明】
1 被検体
2 X線管(放射線源)
3 X線(放射線)
4 カラー発光シート
5 カラーCCDカメラ
6 演算処理装置
7 表示装置
8 シート基材
9 蛍光体層
10 保護膜

Claims (10)

  1. 放射線に対して発光する蛍光体を含有する蛍光体層を有し、被検体を通過した放射線が照射されて発光するカラー発光シートにおいて、上記蛍光体層は、蛍光体と、この蛍光体の主発光ピーク波長を含む発光スペクトルを有する蛍光色素とを含有することを特徴とするカラー発光シート。
  2. 前記蛍光体層中の蛍光色素の含有量が蛍光体に対して0.01〜5.0質量%の範囲であることを特徴とする請求項1記載のカラー発光シート。
  3. 前記蛍光体がユーロピウム付活酸硫化ガドリニウムまたはユーロピウム付活酸硫化イットリウムであり、かつ前記蛍光色素が600〜700nmに発光ピーク波長を有することを特徴とする請求項1または2記載のカラー発光シート。
  4. 前記蛍光体がテルビウム付活酸硫化ガドリニウムあるいはテルビウム付活酸硫化イットリウムであり、かつ前記蛍光色素が500〜600nmに発光ピーク波長を有することを特徴とする請求項1または2記載のカラー発光シート。
  5. 前記蛍光体がタングステン酸カルシウムであり、かつ前記蛍光色素が400〜500nmに発光ピーク波長を有することを特徴とする請求項1または2記載のカラー発光シート。
  6. 前記カラー発光シートにおける前記蛍光体の塗布重量が固形乾燥重量基準で5〜200mg/cmであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のカラー発光シート。
  7. 被検体に放射線を照射する放射線源と、前記被検体を透過した放射線が照射されて複数の発光色を放射する蛍光体層を有するカラー発光シートと、前記放射線の照射に基づいて前記カラー発光シート蛍光体から放射された複数色の発光を検出する光検出手段とを具備するカラーレントゲン装置において、前記光検出手段は前記複数色の発光をRGBの発光色別に分離して検出する手段であり、かつ前記カラー発光シートの蛍光体層は、蛍光体と、この蛍光体の主発光ピーク波長を含む発光スペクトルを有する蛍光色素とを含有していることを特徴とするカラーレントゲン装置。
  8. 請求項7記載のカラーレントゲン装置において、前記カラー発光シートの蛍光体層を構成する蛍光体がユーロピウム付活酸硫化ガドリニウムまたはユーロピウム付活酸硫化イットリウムであり、かつ前記蛍光色素が600〜700nmに発光ピーク波長を有することを特徴とするカラーレントゲン装置。
  9. 請求項7記載のカラーレントゲン装置において、前記カラー発光シートの蛍光体層を構成する蛍光体がテルビウム付活酸硫化ガドリニウムまたはテルビウム付活酸硫化イットリウムであり、かつ前記蛍光色素が500〜600nmに発光ピーク波長を有することを特徴とするカラーレントゲン装置。
  10. 請求項7記載のカラーレントゲン装置において、前記カラー発光シートの蛍光体層を構成する蛍光体がタングステン酸カルシウムであり、かつ前記蛍光色素が400〜500nmに発光ピーク波長を有することを特徴とするカラーレントゲン装置。
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