JP2000235078A - 放射線検出用構造体と、それを用いた放射線検出器および放射線検査装置 - Google Patents

放射線検出用構造体と、それを用いた放射線検出器および放射線検査装置

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JP2000235078A
JP2000235078A JP3625799A JP3625799A JP2000235078A JP 2000235078 A JP2000235078 A JP 2000235078A JP 3625799 A JP3625799 A JP 3625799A JP 3625799 A JP3625799 A JP 3625799A JP 2000235078 A JP2000235078 A JP 2000235078A
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phosphor
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scintillator
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Takeshi Takahara
武 高原
Akihisa Saito
昭久 斉藤
Eiji Koyaizu
英二 小柳津
Koyo Fukuda
幸洋 福田
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Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 蛍光体粒子を用いてシンチレータを構成する
際に、シンチレータ内部で発光した光を有効かつ容易に
光検出器まで導き、シンチレータ全体としての発光の有
効利用を可能にする。 【解決手段】 放射線を吸収して発光する蛍光体粉末の
粉体固化層からなる蛍光体層1に対して、蛍光体粉末か
らの発光を透過する材料からなる光ガイド層2を積層す
る。このような蛍光体層1と光ガイド層2を必要数積層
し、放射線検出用構造体3を構成する。放射線検出用構
造体3は、例えばシンチレータとして放射線検出器に用
いられる。放射線検出器は、放射線検出用構造体3から
なるシンチレータと、シンチレータからの光を受けて光
の出力を電気的出力に変換するフォトダイオードなどの
光電変換素子とを有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、X線などの放射線
を可視光線に変換して検出する放射線検出用構造体に係
り、特にX線断層写真撮影装置などの放射線検査装置の
シンチレータとして好適な放射線検出用構造体と、それ
を用いた放射線検出器および放射線検査装置に関する。
【0002】
【従来の技術】医療診断などの分野においては、X線断
層写真撮影装置(以下、X線CT装置と記す)やポジト
ロンカメラなどの放射線検査装置を用いた検査が行われ
ている。また、工業用非破壊検査などにおいても放射線
検査装置が用いられている。
【0003】例えば、X線CT装置は扇状のファンビー
ムX線を照射するX線管(X線源)と、X線管に対して
円弧状に1000個程度並設したX線検出器とを、被検査体
の断層面を中央として対向配置して構成されている。こ
のようなX線CT装置では、被検査体に対して回転しな
がらX線管からX線を照射し、被検査体を透過したX線
吸収データをX線検出器で収集する。この後、X線吸収
データをコンピュータで解析することによって、被検査
体の断層像が再構築される。
【0004】上述したようなX線CT装置の放射線検出
器としては、固体シンチレータとフォトダイオードとを
組み合わせたものが主流になりつつある。固体シンチレ
ータとしては、単結晶のタングステン酸カドミウム(C
dWO4 )、ユウロピウムで活性化した酸化ガドリニウ
ム・イットリウム((Gd,Y)2 3 :Eu)の多結
晶体(蛍光体セラミックス)、プラセオジムで活性化し
た酸硫化ガドリニウム(Gd2 2 S:Pr)の多結晶
体(例えば特開平6-145655号公報参照)などが用いられ
ている。
【0005】これらの固体シンチレータのうち、CdW
4 蛍光体はその主成分が有害物質であり、また発光効
率の点からも不十分であるというような難点を有してい
る。一方、(Gd,Y)2 3 :EuやGd2 2 S:
Prなどの蛍光体セラミックス(多結晶体)は発光効率
が高く、シンチレータに好適な特性を有しているもの
の、例えば(Gd,Y)2 3 :Euの蛍光体セラミッ
クスは透明性が低いことに加えて、発光の残光が長いと
いうような欠点を有している。また、Gd2 2S:P
rの蛍光体セラミックスは透明性の点で必ずしも十分で
はなかった。
【0006】蛍光体セラミックスの透明性が低いと、セ
ラミックス内部での発光の散乱により光路が長くなるた
め、光吸収確率が高くなり、たとえ蛍光体セラミックス
(シンチレータ)の発光効率が高くても、発光を効果的
にフォトダイオードに取り出すことができない。その結
果として信号出力が小さくなり、例えば出力感度のばら
つきが大きくなるというような問題が生じる。
【0007】さらに、蛍光体セラミックスは50〜 200μ
m 程度の単結晶グレーンで構成されており、局部的なグ
レーン構造の変化やセラミックス作製中に混入する異物
などによって、 1つのシンチレータの中での場所的な感
度のばらつきが生じやすいという難点を有する。これは
コンピュータで断層像を再構成した際にアーチファクト
(疑似画像)の原因となる。
【0008】一方、例えば特開昭57-70476号公報に記載
されているように、蛍光体粉末(蛍光体粒子)をシンチ
レータに使用することも試みられている。このような蛍
光体粉末を用いたシンチレータでは、上述した蛍光体セ
ラミックスのように焼結したものとは異なり、蛍光体粒
子の特性をそのまま利用することができ、また個々の蛍
光体粒子の特性に多少のばらつきが生じていたとして
も、 1つのシンチレータは例えば数万〜数10万個の蛍光
体粒子で構成されるため、シンチレータ間の特性のばら
つきを小さくすることができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た公報に記載されているように、蛍光体粒子を用いたシ
ンチレータにおいて、X線吸収による有効な発光は、シ
ンチレータの表面領域で発生したほとんど散乱を受けな
い光と、シンチレータ内部で発光し多数の散乱を経て一
部吸収により出力が低下した光のうち表面にまで到達し
た光となる。
【0010】このように、蛍光体粒子を用いたシンチレ
ータにおいては、その内部に存在する蛍光体粒子からの
発光は、多数の散乱を経て一部吸収により出力が低下し
た光となるため、シンチレータ全体としての蛍光体粒子
の発光を有効に取り出すことができず、その結果として
信号出力が小さくなるというような問題がある。
【0011】さらに、上述した公報に記載されている放
射線検出器では、シンチレータの表面領域で発生した光
と、シンチレータ内部で発光し多数の散乱を経て一部吸
収された光とが共存すると共に、吸収による出力低下が
シンチレータ内の各部において異なることが雑音の原因
になるという考えに基づいて、シンチレータと光検出器
との間の光路中に光散乱層を設けている。
【0012】この光散乱層はシンチレータの表面領域で
発生した光に対し散乱と吸収を与え、これによりシンチ
レータ内部で発光した光との出力差を小さくするという
効果を示したとしても、結果的に蛍光体粒子からフォト
ダイオードなどの光検出器に到達する光を減少させてし
まうため、より一層信号出力が小さくなってしまう。
【0013】本発明はこのような課題に対処するために
なされたもので、蛍光体粒子を用いてシンチレータを構
成する際に、シンチレータ内部で発光した光を有効かつ
容易に光検出器まで導き、シンチレータ全体としての発
光を有効に利用することを可能にした放射線検出用構造
体を提供することを目的としており、さらにはそのよう
な放射線検出用構造体を用いることで、信号出力の増大
やばらつきの低減などを図り、例えば医療診断能や非破
壊検査精度の向上を実現した放射線検出器および放射線
検査装置を提供するこを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の放射線検出用構
造体は、請求項1に記載したように、放射線を吸収して
発光する蛍光体粉末の粉体固化層からなる蛍光体層と、
前記蛍光体層と積層され、前記蛍光体粉末からの発光を
透過する材料からなる光ガイド層とを具備することを特
徴としている。
【0015】本発明の放射線検出用構造体において、蛍
光体層と光ガイド層の積層数は特に限定されるものでは
なく、例えば目的とするシンチレータの幅に応じて蛍光
体層と光ガイド層とを交互に積層するなど、複数の蛍光
体層を光ガイド層を介して積層した構成を採用すること
ができる。
【0016】本発明の放射線検出器は、請求項6に記載
したように、放射線の入射により発光する蛍光発生手段
と、前記蛍光発生手段からの光を受け、前記光の出力を
電気的出力に変換する光検出手段とを具備する放射線検
出器において、前記蛍光発生手段は上述した本発明の放
射線検出用構造体を有することを特徴としている。
【0017】本発明の放射線検出器において、請求項7
に記載したように、放射線検出用構造体は例えば光ガイ
ド層が放射線の入射方向に対して略平行となるように配
置される。同様に、請求項8に記載したように、放射線
検出用構造体は光ガイド層が光検出手段の受光面に対し
て略垂直となるように配置される。
【0018】本発明の放射線検査装置は、請求項9に記
載したように、被検査体に向けて放射線を照射する放射
線源と、前記被検査体を透過した放射線を検出する、上
述した本発明の放射線検出器とを具備することを特徴と
している。本発明の放射線検査装置の具体例としては、
請求項10に記載したようにX線断層写真撮影装置が挙
げられる。
【0019】本発明においては、放射線を吸収して発光
する蛍光体粉末の粉体固化層を蛍光体層として利用して
いると共に、この蛍光体層に対して蛍光体粉末からの発
光を透過する材料からなる光ガイド層を積層している。
蛍光体粉末の粉体固化層からなる蛍光体層によれば、多
数の蛍光体粒子の特性をそのまま利用することができ、
また従来の蛍光体セラミックスのように透明性の低下に
よる信号出力の劣化などを招くことがない。さらに、蛍
光体層内部の発光も光ガイド層により容易にかつ多くの
散乱を経ることなく取り出すことができる。従って、蛍
光体層全体として多数の蛍光体粒子からの発光を有効か
つ容易に光検出器まで導くことができ、これによりシン
チレータとしての信号出力の増大およびばらつきの低減
を図ることが可能となる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施するための形
態について説明する。
【0021】図1は本発明の放射線検出用構造体の一実
施形態の構造を模式的に示す断面図である。同図におい
て、1は放射線を吸収して発光する蛍光体粉末の粉体固
化層からなる蛍光体層であり、この蛍光体層1に対して
光ガイド層2が積層されている。これら蛍光体層1と光
ガイド層2とによって、本発明の放射線検出用構造体3
が構成されている。
【0022】蛍光体層1は蛍光体粉末に圧力を加えた
り、あるいは蛍光体粉末に結合剤や有機溶剤などを加え
て調製した塗布液を塗布・乾燥させるなどによって、蛍
光体粉末(蛍光体粒子)の特性や形状などを維持して固
めた粉体固化層からなるものである。なお、前述した蛍
光体セラミックスは蛍光体粉末を焼結したものであり、
本発明で用いる蛍光体粉末の粉体固化層は異なるもので
ある。
【0023】このような蛍光体粉末の粉体固化層からな
る蛍光体層1には、通常の放射線を吸収して発光する蛍
光体粉末を使用することができるが、特に蛍光体を構成
する元素として原子番号の大きい元素を含む蛍光体を用
いることが好ましい。このような蛍光体としては、ユウ
ロピウムで活性化した酸化ガドリニウム・イットリウム
蛍光体((Gd,Y)2 3 :Eu)、プラセオジム、
テルビウムおよびユウロピウムから選ばれる少なくとも
1種の元素で活性化した酸硫化ガドリニウム蛍光体(G
2 2 S:Pr、Gd2 2 S:Tb、Gd2
2 S:Euなど)、タンタル酸イットリウム蛍光体(Y
TaO4 )、酸化臭化ランタン蛍光体(LaOBr)な
どの希土類蛍光体が挙げられる。
【0024】上述したような希土類蛍光体は放射線を吸
収した際の発光効率に優れることから、本発明の蛍光体
層1に好ましく用いられる。ただし、本発明の蛍光体層
1は希土類蛍光体粉末に限らず、タングステン酸カドミ
ウム蛍光体(CdWO4 )、弗化塩化バリウム蛍光体
(BaFCl)、弗化臭化バリウム蛍光体(BaFB
r)などの蛍光体粉末を用いて構成してもよい。
【0025】蛍光体層1を構成する蛍光体粉末は 5〜15
μm の範囲の平均粒子径を有することが好ましい。蛍光
体粉末の平均粒子径が15μm を超えると、例えばシンチ
レータとしての特性にばらつきが生じやすくなる。一
方、蛍光体粉末の平均粒子径が5μm 未満であると、発
光出力の低下などを招くおそれがある。
【0026】蛍光体粉末の粉体固化層からなる蛍光体層
1には、その面方向に対して平行な方向からX線、γ線
などの放射線が照射される。そして、このような放射線
の照射方向と平行となるように、蛍光体層1に対して光
ガイド層2が積層されている。光ガイド層2の構成材料
には、蛍光体粉末からの発光(可視光)を透過する光学
的に透明な材料が用いられる。なお、光ガイド層2の構
成材料は無色透明な材料に限られるものではなく、蛍光
体粉末の発光色との兼ね合いで、蛍光体粉末からの発光
を吸収することなく透過させるものであれば、有色透明
な材料を用いることもできる。
【0027】光ガイド層2は可撓性を有することが好ま
しいことから、例えば透明なプラスチックフィルムなど
が構成材料として使用される。透明プラスチックフィル
ムとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、
ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル、ポリエ
チレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミドなどを使用す
ることができる。中でも安価で透明性に優れるPETフ
ィルムなどのポリエステルフィルムは、光ガイド層2の
構成材料として好適である。
【0028】図1では、 3層の蛍光体層1、1、1と 2
層の光ガイド層2、2とを交互に積層した放射線検出用
構造体3を示したが、これらの積層数は特に限定される
ものではなく、例えば光検出器の受光面の大きさなどに
応じて積層数を適宜設定することができる。言い換える
と、本発明の放射線検出用構造体3は、目的とするシン
チレータの厚さに応じて、必要数の蛍光体層1を光ガイ
ド層2を介して積層して構成することができる。放射線
検出用構造体3の厚さ(放射線照射面の幅)は、通常
0.5〜 1.5mm程度に設定される。
【0029】蛍光体層1および光ガイド層2の各層厚
は、例えば蛍光体層1については50〜200μm の範囲、
光ガイド層2については 3〜50μm の範囲とすることが
好ましい。蛍光体層1の厚さが50μm 未満であると、相
対的に蛍光体粒子の数が減少して出力の低下やばらつき
が生じるおそれがあり、一方 200μm を超えると光ガイ
ド層2により発光を取り出す際の効率が低下する。ま
た、光ガイド層2の厚さが3μm 未満であると強度が不
十分になるおそれがあり、一方50μm を超えると相対的
に蛍光体層1の厚さが減少して、例えば出力の低下やば
らつきが生じる。
【0030】上述したような蛍光体粉末の粉体固化層か
らなる蛍光体層1では、多数の蛍光体粒子をそれぞれ発
光体として利用しているため、例えば従来の蛍光体セラ
ミックスのように透明性の低下による信号出力の劣化な
どを招くことがないと共に、焼結により生じる歪などで
残光が長くなるというような問題を招くこともなく、さ
らにはコンピュータで断層像などを再構成した際にアー
チファクトの出現を抑制することができる。加えて、個
々の蛍光体粒子の特性に多少のばらつきが生じていたと
しても、例えば 1つのシンチレータは数万〜数10万個の
蛍光体粒子で構成されるため、シンチレータ間の特性の
ばらつきを小さくすることができる。
【0031】そして、本発明の放射線検出用構造体3で
は、上述したような蛍光体層1に対して蛍光体粉末から
の発光(可視光)を透過する材料からなる光ガイド層2
を積層しているため、蛍光体層1の内部に存在する蛍光
体粒子からの発光も光ガイド層2により容易にかつ多く
の散乱を経ることなく取り出すことができる。従って、
蛍光体層1全体として多数の蛍光体粒子からの発光を有
効かつ容易に光検出器まで導くことができ、これにより
シンチレータとしての信号出力の増大およびばらつきの
低減を図ることが可能となる。
【0032】上述した本発明の放射線検出用構造体3
は、例えば蛍光体粉末を一軸加圧や冷間静水圧プレス
(CIP)などにより層状に固めて蛍光体層1を形成
し、これと透明プラスチックフィルムなどからなる光ガ
イド層2とを積層したり、あるいは以下に示す塗布法に
より製造することができる。
【0033】すなわち、蛍光体粉末を適当な結合剤と共
に適当量混合し、これに有機溶剤を加えて適当な粘度の
蛍光体塗布液を調製する。この蛍光体塗布液をナイフコ
ータやロールコータなどによって、光ガイド層2となる
透明プラスチックフィルムなどの上に塗布し、これを乾
燥させて蛍光体層1を形成する。
【0034】蛍光体塗布液の調製に使用する結合剤とし
ては、硝化綿、酢酸セルロース、エチルセルロース、ポ
リビニルブチラール、綿状ポリエステル、ポリ酢酸ビニ
ル、塩化ビニリデン−塩化ビニルコポリマー、塩化ビニ
ル−酢酸ビニルコポリマー、ポリアルキル(メタ)アク
リレート、ポリカーボネート、ポリウレタン、セルロー
スアセテートブチレート、ポリビニルアルコールなどの
従来から知られているものを使用することができる。
【0035】上述したような方法で作製した蛍光体層1
(光ガイド層2上に形成された蛍光体層1)を、必要な
厚さとなるように適当数重ね合せ、これを加熱しながら
加圧して圧着することにより一体化させる。このような
板状体を適当な寸法に切断することによって、シンチレ
ータなどとして用いられる放射線検出用構造体3を得る
ことができる。
【0036】上述したような本発明の放射線検出用構造
体3は、シンチレータとして放射線検出器などに使用さ
れる。図2は本発明の放射線検出器の一実施形態の構成
を模式的に示す図である。同図に示す放射線検出器10
は、蛍光発生手段として上述した本発明の放射線検出用
構造体3からなるシンチレータ11と、このシンチレー
タ11からの光を受け、光の出力を電気的出力に変換す
る光検出手段としての光電変換素子(例えばフォトダイ
オード)12とを有している。そして、シンチレータ1
1に入射された放射線量(例えばX線量)に基づいて発
光する光の出力を、フォトダイオードなどの光電変換素
子12で電気的出力に変換することによって、入射放射
線量(例えば入射X線量)が測定される。
【0037】上述した放射線検出器10において、シン
チレータ11としての放射線検出用構造体3は、その放
射線照射面となる端面(蛍光体層1および光ガイト層2
の積層方向に平行な端面)が入射放射線Xと対向するよ
うに配置される。より具体的には、光ガイド層2の例え
ばフィルム面が入射放射線Xの入射方向(図中矢印方
向)に対して略平行となるように配置される。この際、
光ガイド層2の配置位置は、入射放射線Xの入射方向
(図中矢印方向)に対する光ガイド層2の例えばフィル
ム面の位置が± 5°以内であれば許容される。
【0038】また、シンチレータ11としての放射線検
出用構造体3とフォトダイオードなどの光電変換素子1
2との位置関係は、光電変換素子12の受光面12aに
対して光ガイド層2の例えばフィルム面が略垂直となる
ように配置される。この際、光ガイド層2の配置位置
は、光電変換素子12の受光面12aに対する光ガイド
層2の例えばフィルム面の角度が85〜95°の範囲内であ
れば許容される。
【0039】上述した本発明の放射線検出器10は、例
えばX線CT装置やポジトロンカメラなどの医療診断用
放射線検査装置、あるいは工業用途の非破壊検査用放射
線検査装置に用いられる。例えば、X線CT装置は、被
検査体に向けて回転しながらファンビームX線を照射す
るX線源(例えばX線管)と、被検査体を透過したX線
を検出する多数のX線検出器と、X線検出器で収集した
X線吸収データを解析して断層像を再生する解析制御装
置とを具備し、X線検出器として上記した本発明の放射
線検出器10が用いられる。
【0040】本発明の放射線検出用構造体3からなるシ
ンチレータ11は、前述したように入射放射線に対する
出力信号が大きいと共にそのばらつきが少なく、かつシ
ンチレータ11間の特性のばらつきが小さいというよう
な特性を有する。従って、このようなシンチレータ11
を用いた放射線検出器10および放射線検査装置によれ
ば、検査精度の高精度化を図ることができると共に、各
シンチレータ毎の出力感度のばらつきなどに基づくアー
チファクト(疑似画像)の出現などを抑制することがで
きる。従って、医療診断能や工業用途の非破壊検査精度
を向上させることが可能となる。
【0041】
【実施例】次に、本発明の具体的な実施例について説明
する。
【0042】実施例1 まず、平均粒子径が64μm のGd2 2 S:Pr蛍光体
粉末 100重量部に、結合剤としてポリビニルブチラール
5重量部と有機溶剤として適当量の酢酸ブチルとを添加
し、これを十分に混合して蛍光体塗布液を調製した。
【0043】この蛍光体塗布液を厚さ 9μm の透明なP
ETフィルム上に、乾燥後の蛍光体層の厚さが 100μm
となるようにナイフコータで均一に塗布し、これを乾燥
させて蛍光体層を形成した。なお、PETフィルムの両
面には、予め軟性のポリエチレンテレフタレート樹脂50
% とポリ塩化ビニル樹脂50% の混合軟性樹脂を塗布して
接着剤層を形成しておき、このようなPETフィルムを
用いた。
【0044】上記のようにして作製した蛍光体層を有す
るPETフィルムを10枚重ね合せ、これを80〜 100℃に
加熱しながら0.2MPaの圧力を加えて圧着した。このよう
にして得た厚さ 1mmの板状体(放射線検出用構造体)か
ら長さ30mm×幅 2mmの試料を切り出し、これをシンチレ
ータとして用いて後述する特性評価に供した。
【0045】比較例1 実施例1と同一のGd2 2 S:Pr蛍光体粉末を用
い、これをラバープレスにより成形し、タンタル製のカ
プセル中に密閉した後、これを高温等方加圧装置にセッ
トした。高温等方加圧装置にアルゴンガスを加圧媒体と
して封入し、蛍光体粉末の成形体を150MPa、1500℃の条
件で 5時間処理した。このようにして得た蛍光体セラミ
ックス(焼結体)から長さ30mm×幅 2mm×厚さ 1mmの試
料を切り出し、これをシンチレータとして用いて後述す
る特性評価に供した。
【0046】上記した実施例1および比較例1によるシ
ンチレータの特性を以下のようにして評価した。まず、
各試料の 1×30mmの面に対して垂直に管電圧 120kVのX
線を照射すると共に、背面に 1×30mmにほぼ等しい面積
の受光面を持つフォトダイオードを配置し、各シンチレ
ータで可視光線に変換された発光を電気信号として取り
出す。感度はこの電気信号の大きさで表す。また、残光
はX線を照射した後の100msec後の信号の維持率で示
す。これらの測定結果を表1に示す。さらに、各試料の
30mmの長さ方向にフォトダイオードアレイを配して、各
シンチレータの発光ばらつきを測定した。その結果を図
3に示す。
【0047】
【表1】 表1から明らかなように、本発明の放射線検出用構造体
からなるシンチレータは、感度が高くかつ残光が小さい
ことが分かる。また、図1からは 1個のシンチレータ中
の感度ばらつき(感度の変化)が小さく、良好な特性を
有していることが分かる。
【0048】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の放射線検
出用構造体によれば、蛍光体粉末の特性をシンチレータ
などとして利用できることに加えて、蛍光体層の内部に
存在する蛍光体粒子からの発光も有効かつ容易に光検出
器まで導くことができ、蛍光体層全体としての発光を有
効に利用することが可能となる。従って、このような放
射線検出用構造体を用いた本発明の放射線検出器および
放射線検出装置によれば、信号出力の増大やばらつきの
低減などを実現することができるため、例えば医療診断
能や非破壊検査精度の向上を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の放射線検出用構造体の一実施形態の
構造を模式的に示す断面図である。
【図2】 本発明の放射線検出器の一実施形態の概略構
造を示す図である。
【図3】 本発明の実施例によるシンチレータの発光ば
らつきを従来の蛍光体セラミックスからなるシンチレー
タの発光ばらつきと比較して示す図である。
【符号の説明】
1……蛍光体粉末の粉体固化層からなる蛍光体層 2……光ガイド層 3……放射線検出用構造体 10……放射線検出器 11……シンチレータ 12……光電変換素子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小柳津 英二 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内 (72)発明者 福田 幸洋 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内 Fターム(参考) 2G088 EE02 EE27 FF02 GG10 GG14 JJ01 JJ09 JJ37

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 放射線を吸収して発光する蛍光体粉末の
    粉体固化層からなる蛍光体層と、 前記蛍光体層と積層され、前記蛍光体粉末からの発光を
    透過する材料からなる光ガイド層とを具備することを特
    徴とする放射線検出用構造体。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の放射線検出用構造体にお
    いて、 複数の前記蛍光体層が前記光ガイド層を介して積層され
    ていることを特徴とする放射線検出用構造体。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2記載の放射線検
    出用構造体において、 前記蛍光体粉末は、ユウロピウムで活性化した酸化ガド
    リニウム・イットリウム蛍光体、プラセオジム、テルビ
    ウムおよびユウロピウムから選ばれる少なくとも 1種の
    元素で活性化した酸硫化ガドリニウム蛍光体、タングス
    テン酸カドミウム蛍光体、タンタル酸イットリウム蛍光
    体、酸化臭化ランタン蛍光体、弗化塩化バリウム蛍光体
    および弗化臭化バリウム蛍光体から選ばれる少なくとも
    1種からなることを特徴とする放射線検出用構造体。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし請求項3のいずれか1項
    記載の放射線検出用構造体において、 前記光ガイド層は、透明なプラスチックフィルムからな
    ることを特徴とする放射線検出用構造体。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし請求項4のいずれか1項
    記載の放射線検出用構造体において、 前記蛍光体層は50〜 200μm の範囲の厚さを有し、かつ
    前記光ガイド層は 3〜50μm の範囲の厚さを有すること
    を特徴とする放射線検出用構造体。
  6. 【請求項6】 放射線の入射により発光する蛍光発生手
    段と、前記蛍光発生手段からの光を受け、前記光の出力
    を電気的出力に変換する光検出手段とを具備する放射線
    検出器において、 前記蛍光発生手段は、請求項1ないし請求項5のいずれ
    か1項記載の放射線検出用構造体を有することを特徴と
    する放射線検出器。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の放射線検出器において、 前記放射線検出用構造体は、前記光ガイド層が前記放射
    線の入射方向に対して略平行となるように配置されるこ
    とを特徴とする放射線検出用構造体。
  8. 【請求項8】 請求項6または請求項7記載の放射線検
    出器において、 前記放射線検出用構造体は、前記光ガイド層が前記光検
    出手段の受光面に対して略垂直となるように配置される
    ことを特徴とする放射線検出用構造体。
  9. 【請求項9】 被検査体に向けて放射線を照射する放射
    線源と、 前記被検査体を透過した放射線を検出する、請求項6な
    いし請求項8のいずれか1項記載の放射線検出器とを具
    備することを特徴とする放射線検査装置。
  10. 【請求項10】 請求項9記載の放射線検査装置におい
    て、 X線断層写真撮影装置であることを特徴とする放射線検
    査装置。
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