JP4097455B2 - デジタルラジオグラフィー用酸硫化ガドリニウム蛍光体、放射線像変換スクリーン及び放射線像撮像装置 - Google Patents
デジタルラジオグラフィー用酸硫化ガドリニウム蛍光体、放射線像変換スクリーン及び放射線像撮像装置 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、X線、γ線等の放射線による励起下において、高輝度でかつ短残光の、主として緑色の発光を呈するデジタルラジオグラフィ用酸硫化ガドリニウム蛍光体、この蛍光体を蛍光膜とし、デジタルラジオグラフィ用を主用途とする高感度の放射線像変換スクリーン、及び被写体の放射線像を画質の良好な可視像に変換する放射線像の撮像装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
医療診断や工業用非破壊検査を目的として、被写体の放射線写真を撮影する場合、紙、プラスチック等の支持体上にX線、α線、γ線などの電離放射線、特にX線で励起されて発光する蛍光体(以下、「X線励起用蛍光体」という)からなる蛍光体層を形成した放射線像変換スクリーン(以下、「像変換スクリーン」という)が使用される。像変換スクリーンはX線写真フイルム(フイルム)と密着して使用される。放射線を被写体に照射し、透過した放射線は像変換スクリーンを介してフイルムに到達して放射線像を形成する。フイルムを用いて放射線写真撮影を行う場合に使用される、像変換スクリーンは特に放射線増感紙(増感紙)と呼ばれる。
【0003】
近年、このように増感紙とフィルムとを組み合わせた増感紙−フイルム系を利用した写真撮影によりアナログ的に放射線像を得る方法に代わって、像変換スクリーン上に形成された被写体の放射線像をフォトダイオード、光電子増倍管(PM),CCD光センサー、CCDカメラ等の光電変換素子を用いて光電的に検出してデジタル信号に変換した後、これを電気的に画像処理して再度可視像に変換する、いわゆるデジタルラジオグラフィ(以下、単にDRという)が実用化されるに至った。
【0004】
増感紙−フイルム系により放射線像を撮影する場合は、放射線像を形成・固定するフィルムの分光感度等の特性との関係で増感紙に用いる蛍光体が選択されるが、像変換スクリーン−光電変換素子系を用いたDRで放射線像を撮像する場合は、DR用光電変換素子との整合性が重要になる。即ち、DR用光電変換素子の分光感度に対応した波長域において高輝度の蛍光を発生させる蛍光体を選択することが重要になる。
【0005】
DRにより放射線像を撮像する場合、被写体である患者の被曝量低減及び撮像系のノイズ低減による画質向上のため、DR用の像変換スクリーンに用いる蛍光体もより高感度で低残光の蛍光体が望まれるが、従来、DR用の像変換スクリーンの蛍光体層に使用されるX線励起用蛍光体は、増感紙用の蛍光体がそのまま使用されてきた。テルビウム(Tb)で付活した酸硫化ガドリニウム(Gd2 O2 S:Tb)蛍光体は代表的な増感紙用蛍光体の1つである(特公昭55−25411号公報参照)。この蛍光体を蛍光体層とする像変換スクリーンをDR用として用いると撮像系の感度も残光の低減も必ずしも十分に得られず、その改良が望まれていた。
【0006】
他方、デイスプレイ用陰極線管に用いるTb付活酸硫化物系蛍光体は、Y、Gd、La、Lu等の酸硫化物をTbとDyで共付活することにより、高電流密度の電子線を照射した時に、高電流密度域での電流飽和による発光輝度の低下をDyの共付活により抑制し、発光輝度を向上させることが提案された(特開昭57−141482号公報)。
【0007】
また、デイスプレイ用陰極線管に用いるTb付活酸硫化物系蛍光体として、Y,Gd,La、Lu等の酸硫化物に、Tb、Pr、Dy、Tm等の希土類元素とCeを同時に含有させることにより、デイスプレイ用陰極線管の蛍光膜として使用して高電流密度の電子線照射下で長時間作動させるときに、蛍光膜のバーニングによる輝度劣化を抑制できる蛍光体が提案された(特開昭62−79284号公報参照)。しかし、TbとDyとCeを同時に含有させた蛍光体については具体的に何も記載されておらず、X線励起下での発光特性についても何も記載されていない。
【0008】
また、後述のように、本発明者等の確認するところによれば、これらGd2 O2 S:Tb蛍光体にDyを共付活した蛍光体を蛍光体層とする増感紙は、Dyを共付活していない従来のGd2 O2 S:Tb蛍光体を蛍光体層として用いた増感紙に比べ、オルソクロマティック(オルソ)タイプのフィルムと組み合わせて放射線像を撮影すると、写真感度は予想に反して低下することが分かった。即ち、Gd2 O2 S:TbにDyを共付活した蛍光体は、高電流密度の電子線を照射する場合はともかくとして、X線を照射して放射線像を形成しその像をホトダイオード等の光検出器で検出させるDR用像変換スクリーンに用いる蛍光体において、Dyを共付活することがX線励起下での発光輝度の向上に寄与するか、不明であった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の課題を解決し、X線励起下での発光輝度をより向上させ、残光を短くし、DR用検出器との整合性を有するGd2 O2 S:Tb系DR用蛍光体を提供することを目的とするものである。また、高感度でしかも残像等の影響による画質低下の少ないDR用像変換スクリーン、及び高画質の放射線像を形成しうる撮像装置を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、増感紙用蛍光体として従来から使用されてきたGd2 O2 S:Tb系蛍光体において、Tb付活剤に第2、第3の元素を加えて共付活した種々の蛍光体を製造し、これらの蛍光体にX線を照射し、その発光をフォトダイオード等のDR用光電変換素子で検出して、前記共付活剤の発光輝度向上効果と残光特性を詳細に検討した。その結果、Gd2 O2 S:Tbに特定量のDy及びCeを共付活するか、またはこれに更に特定量のZnを含有させることにより、高感度でしかも残像等の影響による画質低下の少ないDR用像変換スクリーンに適したGd2 O2 S:Tb系蛍光体の提供を可能とし、高感度化像変換スクリーン、及びDR用撮像装置の提供を可能とした。また、像変換スクリーンの蛍光体層を複数層とし、特定粒子径をもった微細蛍光体粒子からなる蛍光体層を支持体側に配する構成とすることにより、より高感度な像変換スクリーン及びDR用撮像装置の提供を可能とした。本発明の構成を記載すると次のとおりである。
【0011】
(1)下記組成式で表され、さらに10〜100ppmの亜鉛(Zn)を含有し、平均粒子径が1〜5μmの範囲にあり、放射線による励起下で主として緑色の蛍光を発生することを特徴とするデジタルラジオグラフィ用酸硫化ガドリニウム蛍光体。
(Gd1−x−y−z,Tbx,Dyy,Cez)2O2S(式中、x、y及びzはそれぞれ1.2×10−3≦x≦1.9×10−2、5×10−4≦y≦1.9×10−2及び10−8≦z≦8×10−7なる条件を満たす数である。)
(2)前記x、y及びzが、それぞれ2×10−3≦x≦7×10−3、1.8×10−3≦y≦1.4×10−2及び5×10−8≦z≦4×10−7なる条件を満たす数であることを特徴とする前記(1)記載のデジタルラジオグラフィ用酸硫化ガドリニウム蛍光体。
(3)前記蛍光体の発光スペクトルの最大ピーク波長が520〜580nmの波長域にあることを特徴とする前記(1)または(2)に記載のデジタルラジオグラフィ用酸硫化ガドリニウム蛍光体。
(4)前記亜鉛(Zn)の含有量が20〜70ppmであることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載のデジタルラジオグラフィ用酸硫化ガドリニウム蛍光体。
【0012】
(5)前記蛍光体の平均粒子径が2〜4μmの範囲にあることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載のデジタルラジオグラフィ用酸硫化ガドリニウム蛍光体。
(6)支持体上に結合剤と蛍光体との混合物からなる蛍光体層を形成してなる放射線像変換スクリーンにおいて、前記蛍光体が前記(1)〜(5)に記載のデジタルラジオグラフィ用酸硫化ガドリニウム蛍光体からなることを特徴とするデジタルラジオグラフィ用放射線像変換スクリーン。
(7)前記蛍光体層が複数層からなることを特徴とする前記(6)に記載のデジタルラジオグラフィ用放射線像変換スクリーン。
【0013】
(8)少なくとも前記支持体と接する前記蛍光体層が2〜4μmの範囲にあるにあるデジタルラジオグラフィ用酸硫化ガドリニウム蛍光体からなることを特徴とする前記(7)に記載のデジタルラジオグラフィ用放射線像変換スクリーン。
(9)前記蛍光体層の上に保護膜を有することを特徴とする前記(6)〜(8)のいずれかに記載のデジタルラジオグラフィ用放射線像変換スクリーン。
【0014】
(10)被写体を透過した放射線を吸収して前記被写体の放射線蛍光像を形成する放射線像変換スクリーンと、前記スクリーンをマトリックス状に2次元的に微細に分割した各領域毎に配置した複数の光電変換素子と、前記放射線蛍光像に対応する各光電変換素子からの配置信号及び検出信号を演算処理して2次元的に合成して前記放射線蛍光像に対応するデジタル画像信号を出力する演算処理手段と、前記演算処理手段からの前記デジタル画像信号を入力して前記放射線蛍光像を再生する画像再生手段とを少なくとも備えた放射線像の撮像装置において、前記放射線像変換スクリーンとして前記(6)〜(9)のいずれかに記載のデジタルラジオグラフィ用放射線像変換スクリーンを使用したことを特徴とする放射線像を撮像する装置。
【0015】
(11)前記デジタル画像信号が画像処理手段により画像処理されてから前記画像再生手段に入力されることを特徴とする前記(10)に記載の放射線像撮像装置。
(12)前記光電変換素子の分光感度のピークが450〜650nmの波長域にあることを特徴とする前記(10)又は(11)記載の放射線像撮像装置。
(13)前記光電変換素子がフォトダイオードであることを特徴とする前記(12)〜(16)のいずれかに記載の放射線像撮像装置。
(14)前記フォトダイオードが500〜600nmの波長域に分光感度のピークを有するアモルファスシリコンフォトダイオード又はシリコンフォトダイオードであることを特徴とする前記(13)記載の放射線像撮像装置。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の酸硫化ガドリニウム蛍光体を製造するには、[1]化学量論的に上記組成式の量比となる量のGd、Tb、Dy及びCe(組成中にZnを含有させる場合には、これに更にZn)の各酸化物、又は加熱によりこれらの各酸化物に変わり得るGd、Tb、Dy及びCe(必要に応じて更にZn)の各金属の硝酸塩、炭酸塩、硫酸塩、ハロゲン化物等の化合物と、[2]酸化物を硫化するための硫化剤である、硫黄(S)及び炭酸ナトリウム(Na2CO3)、並びに、[3]リン酸二水素カリウム(KH2PO4)、リン酸リチウム(Li3PO4)、リン酸水素二ナトリウム(Na2HPO4)、等のアルカリ金属のリン酸塩、硝酸ナトリウム(NaNO3)、硝酸カリウム(KNO3)などのアルカリ金属硝酸塩等の融剤を加え、十分に混合して蛍光体原料混合物を調製する。本発明のZnを含有する蛍光体を製造する際、融剤としてアルカリ金属硝酸塩を用いると体色が少なく、かつ粒子の小さい蛍光体が得られるので特に好ましい。
【0017】
次に、これらの蛍光体原料混合物をアルミナ等の蓋のついた耐熱容器に充填して、大気中900〜1300℃の温度で2〜10時間焼成する。焼成後、得られた焼成ケーキを水中等でほぐしながら洗浄して融剤を除去し、乾燥させてから篩い分け等の蛍光体製造における一般的な後処理を行って本発明の蛍光体粉体を得る。得られた蛍光体粉体が淡茶褐色の体色を呈している場合は、これを再度450〜500℃の温度で再加熱して体色を取り除くことが、蛍光体の粉体反射率を高め、自らの発光の吸収が抑制されるため、発光輝度をより向上させるために好ましい。なお、再加熱処理を施しても依然として淡黄色の体色の残る場合があり、この淡黄色の体色は粒子径が小さい程顕著であるが、その場合粒子径の小さい蛍光体中にZnを含有させることによって体色の白い粉体となる。但し、酸硫化物蛍光体の粒径が大きくなるに従って蛍光体母体中にZnを含有させることによる体色を低減させる効果は少なくなる。従って、蛍光体原料混合物中にZnの化合物を添加して焼成する際の焼成の温度、時間、雰囲気などの調整により、得られる蛍光体の平均粒子径がおよそ1〜5μmのZn含有蛍光体となるようにすれば、特に体色の白い高輝度の希土類酸硫化物蛍光体が得られる。
なお、微粒子蛍光体を製造するには、蛍光体原料混合物の焼成時における焼成温度、時間、雰囲気などの焼成条件の調整の外に、前記原料化合物[1]として希土類酸化物を用いる場合には、通常使用されている希土類酸化物原料より更に粒径が小さく、平均粒子径が1〜3μmの微細粒子の希土類酸化物を用いても良く、更に蛍光体原料にZnを含有させ、融剤としてアルカリ金属の硝酸塩を添加して焼成すると、平均粒子径が1〜5μmの体色の少ない微細粒子蛍光体が得られる。
【0018】
前記蛍光体原料中の複数の希土類元素化合物[1]は、予め一旦鉱酸等に溶解してから蓚酸を加えて蓚酸塩にするなど、希土類元素の共沈物を生成し、これを仮焼して混合酸化物を得た後、これに残りの前記原料化合物[2]及び[3]を添加して焼成してもよい。
Tb付活酸硫化ガドリニウムに特定量のDyを共付活することによりX線励起下でのDR用光電変換素子で検出したときの発光輝度が向上するが、Dyと共に更に特定量のCeを共付活すると、得られる蛍光体の発光輝度を低下させることなく残光を低減させることができる。特に、Ceを含有させる場合は上記のようにして予めGdとDyとCeとを共沈させておくと、残光低減の効果をより一層向上させることができる。また、上記蛍光体原料[1]としてZnの化合物を用い、蛍光体中に特定量のZnを含有させると、上述のように得られる蛍光体の体色がほとんど認められず、X線励起下での発光輝度をより向上させることができる。
【0019】
図1は、Tb付活酸硫化ガドリニウム系蛍光体にX線を照射して発光させた時の発光スペクトルであり、曲線aは上述のようにして得られた本発明の酸硫化ガドリニウム蛍光体の1つである(Gd0.991 Tb0.004 Dy0.005 Ce0.0000001 )2 O2 S蛍光体の発光スペクトル、曲線bは(Gd0.996 Tb0.004 )2 O2 S蛍光体の発光スペクトルをそれぞれ例示した図である。
【0020】
図1から分かるように、本発明の酸硫化ガドリニウム蛍光体の発光スペクトル(曲線a)は、Dyを含有しない従来の酸硫化ガドリニウム蛍光体の発光スペクトル(曲線b)に比べ、スペクトルの各ピーク波長の位置はほとんど変わらないが、特に350〜450nmの波長域におけるピーク強度に対する480〜500nmの波長域におけるピーク波長の強度の相対強度比が従来の酸硫化ガドリニウム蛍光体の発光スペクトル(曲線b)に比べて高く、特に、545nm付近のピーク強度(緑色発光の強度)が相対的に高いことがわかる。
【0021】
次に、本発明の像変換スクリーンについて詳述する。
本発明の像変換スクリーンは、その蛍光体層を本発明にかかる酸硫化ガドリニウム蛍光体を使用すること以外は従来の像変換スクリーンと同様にして製造される。即ち、酸硫化ガドリニウム母体をTb、Dy及びCeで共付活し、必要に応じて更にZnを含有させて得た本発明の蛍光体を硝化綿等の結合剤と共に適当量混合し、さらに有機溶剤を加えて適当な粘度の蛍光体塗布液を調製する。この蛍光体塗布液をナイフコーターやロールコーター等によって後記する支持体上に塗布し、乾燥して蛍光体層を形成する。蛍光体塗布液は、乾燥後の蛍光体塗布重量が10〜200mg/cm2 となるように支持体上に塗布するのが適当であり、好ましくは30〜150mg/cm2 とするのが好ましい。
【0022】
本発明の像変換スクリーンの蛍光体層は、組成、粒子径、粒子径分布等の異なる蛍光体群から選択される2種以上の蛍光体層を支持体上に重畳して、複数層の蛍光体層とすることも可能である。特に、粒子径が異なる2種以上の蛍光体からなる複数の蛍光体層を設ける場合には、支持体側(最下層)の蛍光体層から発光を取り出す表面側(最上層)の蛍光体層に向かって各蛍光体層を構成する蛍光体粒子の平均粒子径が次第に大となるような順序に各蛍光体層を配置すると、像変換スクリーンとしての発光輝度をより向上させることができ、光電変換素子と組み合わせて放射線像を形成するときに、撮像系の感度や画像の鮮鋭度を向上させることができ、画質をより高め得るのでより好ましい。
上述のように、それぞれが粒子径の異なる蛍光体からなる複数層の蛍光体層を持った像変換スクリーンを製造するには、平均粒子径の異なる蛍光体粒子をそれぞれ分散させた複数の蛍光体塗布液を調製しておき、支持体上に平均粒子径の小さい蛍光体からなる蛍光体塗布液から順番に順次塗布し、乾燥させて複数の蛍光体層を積層する。
また、この方法とは別に、例えば、異なる平均粒子径の蛍光体を混合した混合蛍光体からなり、しかも比較的粘度の低い蛍光体塗布液を調製し、これを基盤上に塗布してから静置してストークスの法則に従って大きい粒子の蛍光体から順次基盤上に沈降させながらこれをゆっくり乾燥することにより、基盤上に該基盤に接する側から表面側に向かって次第に粒子径が小となるような順序で蛍光体粒子を配列させた蛍光体層を別途形成した後、この蛍光体層を基盤から剥離し、剥離した蛍光体層の該基盤と接していなかった側の面(表面側であった面)と製造しようとする像変換スクリーンの支持体とを接着することにより、蛍光体層内の蛍光体粒子が支持体側(最下層側)から発光を取り出す側(最上層側)に向かってその粒子径が連続的に大となるように蛍光体粒子を配列した蛍光体層(多重層構造の蛍光体層)を有する像変換スクリーンとしても良い。
なお、本発明の像変換スクリーンにおいては、異なる粒子径の蛍光体からなる複数の蛍光体層を積層した蛍光体層の外に、上述の多重層構造の蛍光体層も含めて複数層の蛍光体層ということにする。
この複数層の蛍光体層を有する像変換スクリーンの場合、少なくとも支持体と直接接する蛍光体層には、平均粒子径がおよそ1〜5μm、より好ましくは2〜4μmである微細粒子の本発明の酸硫化ガドリニウム蛍光体からなる蛍光体層を配するのが好ましい。支持体側(最下層側)の蛍光体層に本発明の微粒子の酸硫化ガドリニウム蛍光体を配置することにより、粒子径が小さく、体色が白くて粉体反射率や発光輝度の高い蛍光体からなる蛍光体層が支持体側(最下層側)に配置されることによって、表面に近い蛍光体層側(より上層側)からの発光をより効率的に反射してスクリーンの表面に取り出せるため、フォトダイオード等の光電変換素子で受光して測定した時の発光輝度及びX線画像の画質が更に向上するのでより好ましい。この場合、支持体と接する蛍光体層に用いる微粒子蛍光体として平均粒子径がおよそ1〜5μmであって、かつ、Znを含有する本発明の酸硫化ガドリニウム蛍光体を用いるのが反射率が高く発光輝度も高いので特に好ましい。
【0023】
上記の蛍光体塗布液に使用される結合剤としては、硝化綿の外に酢酸セルロース、エチルセルロース、ポリビニルブチラール、線状ポリエステル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニリデン・塩化ビニルコポリマー、塩化ビニル・酢酸ビニルコポリマー、ポリアルキル−(メタ)アクリレート、ポリカーボネート、ポリウレタン、セルロースアセテートブチレート、ポリビニルアルコール、ゼラチン、デキストリン等のポリサッカライド、アラビアゴムなど、従来より像変換スクリーンの蛍光体層製造時に使用されてきた結合剤であれば特に制限はない。なお、結合剤の使用量は、像変換スクリーンの鮮鋭度及び耐久性を低下させないために、蛍光体層中の蛍光体に対して2〜6重量%の範囲にするのが好ましい。
【0024】
蛍光体塗布液の調製に使われる有機溶剤としては、例えばエタノール、メチルエチルエーテル、酢酸ブチル、酢酸エチル、エチルエーテル、キシレンなどが用いられる。
また、蛍光体塗布液には必要に応じてフタル酸、ステアリン酸などの分散剤やリン酸トリフェニル、フタル酸ジエチルなどの可塑剤を添加してもよい。
【0025】
本発明の像変換スクリーンに使用される支持体としては、ポリプロピレンやポリエチレンをはじめとするポリオレフィン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリエステル等の熱可塑性樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂などが用いられる。その中でも特に、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートなどのポリエステル樹脂を用いるのが耐久性、耐熱性、化学的安定性などの点から好ましい。
【0026】
このようにして支持体上に蛍光体層を形成した後、必要に応じて蛍光体層上に保護膜を形成することができる。保護膜は従来の像変換スクリーンと同様にして形成する。即ち、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミドなどの透明フィルムを蛍光体層上にラミネートするか、又は、酢酸セルロース、ニトロセルロース、セルロースアセテートブチレート等のセルロース誘導体、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、ポリカーボネート、ポリビニルブチラール、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルホルマール、ポリウレタンなどの樹脂を溶剤に溶解させて適当な粘度の保護膜塗布液を調製し、これを蛍光体層上に塗布し、乾燥して保護膜を形成する。なお、本発明の像変換スクリーンにおける蛍光体層の上の保護膜の厚みは1〜10μmの範囲が好ましい。
【0027】
図2は、Tb,Dy及びCeで共付活した酸硫化ガドリニウム蛍光体をX線で励起して発光させ、光電変換素子としてシリコンフォトダイオードを用いて測定した発光輝度とDy濃度(y値)との相関を示した図である。詳しくは、Ce濃度を0.00001モル%(z=1×10-7)とし、Tb濃度を増感紙用として従来から使用されている蛍光体と同様に0.4モル%(x=4×10-3)とし、Dy濃度(y値)を変化させた{(Gd0.995999-y, Tb0.004 , Dyy Ce0. 0000001 )2 O2 S}蛍光体を蛍光体層として用いた複数の像変換スクリーンを作製し、X線管の管電圧が80kVであるX線を照射した時のDyを含まない(y=0)蛍光体を蛍光体層として用いた像変換スクリーンの発光輝度に対する相対発光輝度と、像変換スクリーンの蛍光体の共付活剤であるDy濃度(y値)との関係を調べて図2に示した。発光輝度はSiフォトダイオード(浜松ホトニクス社製、型名S1133)を各像変換スクリーンの蛍光体層表面に密着させて測定した。
【0028】
図2から明らかなように、Dyを含まない(Gd0.9959999 , Tb0.004 , Ce0.0000001 )2 O2 Sに特定量のDyを共付活すると、共付活しないものに比べてその発光輝度は高まり、Dy濃度(y値)が0.05〜1.9モル%(y=5×10-4〜1.9×10-2)の範囲において本発明の所定の輝度を示し、特に、0.18〜1.4モル%(y=1.8×10-3〜1.4×10-2)の範囲で高い輝度を示している。
【0029】
図3は、図2に例示したデータと同様にして測定された、Tb,Dy及びCeで共付活した酸硫化ガドリニウム蛍光体のX線による励起下での発光輝度の、Tb濃度(x値)依存性を示した図である。詳しくは、Ce濃度を0.00001モル%(z=1×10-7)とし、Dy濃度を0.5モル%(x=5×10-3)とし、Tb濃度(x値)を変化させた{(Gd0.9949999-x , Tbx , Dy0.005 Ce0.0000001 )2 O2 S}蛍光体を蛍光体層として用いた複数の像変換スクリーンを作製し、X線を照射した時の発光輝度と、像変換スクリーンの蛍光体層中の蛍光体の共付活剤Tb濃度(x値)との関係を示した。発光輝度は図2に例示した像変換スクリーンの場合と同様に、光電変換素子としてシリコンフォトダイオードを用い、これを像変換スクリーンの蛍光体層に密着させ、Tb濃度(x値)が0.001である蛍光体を用いた像変換スクリーンの発光輝度に対する相対値で示した。
【0030】
図3から明らかなように{(Gd0.9949999-x , Tbx , Dy0.005 Ce0.00 00001 )2 O2 S}蛍光体において、Tb濃度(x値)が0.12〜1.9モル%(x=1.2×10-3〜1.9×10-2)の範囲において本発明の所定の輝度を示し、特に、0.2〜0.7モル%(x=2×10-3〜7×10-3)の範囲で高い輝度を示している。
【0031】
また、本発明のTb、Dy及びCeで共付活した酸硫化ガドリニウム蛍光体を蛍光体層として用いた像変換スクリーンにおいて、残光特性のCe濃度(z値)依存性を調べたところ、Ce濃度(z値)がz=10-8〜8×10-7の範囲が発光輝度にほとんど影響を与えずに残光特性が優れている。10-8を下回ると、残光が低減されず、動きのある被写体の放射線像を撮像する場合等に、残像による二重像ができるなどの不都合が生ずる。Ce濃度が増加すると共に残光は次第に減少するが、8×10-7を上回ると発光輝度が急激に低下する。特に、Ce濃度(z値)のより好ましい範囲はz=5×10-8〜4×10-7である。この範囲は、残光が十分に低減され、発光輝度の低下はほとんど認められない点でより優れている。
【0032】
このように、従来の蛍光体よりもX線励起下においてより高輝度であり、かつ、残光がより低減する点で、本発明の像変換スクリーンに使用されるDR用の酸硫化ガドリニウム(Gd1-x-y-z , Tbx , Dyy , Cez ) 2 O2 SのTb濃度(x値)及びDy濃度(y値)はそれぞれ1.2×10-3≦x≦1.9×10-2及び5×10-4≦y≦1.9×10-2の範囲にあるのが好ましく、それぞれ2×10-3≦x≦7×10-3及び1.8×10-3≦y≦1.4×10-2の範囲にあるのがより好ましく、3×10-3≦x≦6×10-3及び2.5×10-3≦y≦1.2×10-2の範囲にあるのがさらにより好ましい。また、Ceの付活量(z値)はx値及びy値がいずれの範囲にあっても残光を低減させるためにはおよそ10-8より大である必要があるが、8×10-7より多くなると蛍光体の発光輝度が次第に低下するところから、10-8≦z≦8× 10-7の範囲にあるのが好ましく、特に5×10-8≦z≦4×10-7の範囲にあるのがより好ましい。
また、本発明の蛍光体の中、上述の組成で特に平均粒子径がおよそ5μmより小さい微粒子径の蛍光体に、更に蛍光体に対しておよそ10ppm以上のZnを含有させた酸硫化ガドリニウム蛍光体はZnを含有しない酸硫化ガドリニウム蛍光体に比べてその体色の程度が著しく減少して発光輝度が向上し、シリコンフォトダイオードを用いて測定した時のX線励起下での発光輝度がZnを含有しない本発明の酸硫化ガドリニウム蛍光体に比べてより向上する。但し、その場合Znの含有量が蛍光体に対しておよそ100ppmより多くなると逆にZnが蛍光体結晶中に入らないで析出し、Znを含有しない本発明の酸硫化ガドリニウム蛍光体よりも発光輝度がかえって低下するので好ましくなく、従って、本発明のDR用酸硫化ガドリニウム蛍光体に含有させるZnの量は発光輝度の点で蛍光体に対しておよそ10〜100ppmとするのが好ましく、20〜70ppmの範囲とするのがより好ましい。但し、得られる酸硫化物蛍光体の平均粒子径がおよそ5μmよりも大である場合には蛍光体中にZnが十分に導入されず、また、Znを含有させたことによる発光輝度の向上はほとんど認められない。
なお、本発明のDR用酸硫化ガドリニウム蛍光体において、母体組成中に10〜100ppmのZnを含有させてもその発光スペクトルにほとんど変化は認められず、また、発光輝度の点で好ましいのTb及びDyの含有量(x及びy値)範囲並びに残光低減の観点からみた時の好ましいCeの含有量(z値)範囲もZnを含有しない場合とほとんど差は認められなかった。
【0033】
図4はCeを0.00001モル%(z=0.0000001)含み、Tbの濃度が増感紙用として従来から使用されている蛍光体と同様に0.4モル%(x=0.004)であり、Dyの濃度(y値)の異なる酸硫化ガドリニウム蛍光体{(Gd0.9959999-y , Tb0.004 , Dyy Ce0.0000001 )2 O2 S}からなる蛍光体層を有する像変換スクリーン、即ち、図2に示した測定のために使用した各像変換スクリーンをフィルムと組み合わせて増感紙として用いた場合の、蛍光膜として使用される蛍光体のDy濃度(y値)と像変換スクリーンの写真感度との関係を示した図である。像変換スクリーンの写真感度の測定は、普通の増感紙の感度測定と同様に、各像変換スクリーンの蛍光体層面にフイルムを密着させ、これに一定量のX線を照射した後フィルムを現像してその黒化度から求めた。図4において縦軸の写真感度は、Dyを含まない(y=0)酸硫化ガドリニウム蛍光体を蛍光体層とする像変換スクリーンを用いたときの黒化度に対する、Dy濃度(y値)の異なる酸硫化ガドリニウム蛍光体を蛍光体層とする像変換スクリーンを用いたときの黒化度の相対値であり、横軸は蛍光体中のDy濃度(y値)である。なお、この時に使用したフィルムは、いずれも緑色発光増感紙と組み合わせて使用されるオルソタイプのX線用フィルム(富士写真フイルム社製、タイプSuper−HR−S30)を使用した。
【0034】
図4から分かるように、本発明の像変換スクリーンをフィルムと組み合わせて増感紙として使用した場合、フォトダイオード等の光電変換素子と組み合わせて使用した場合(図2)とは異なり、その蛍光体層としてDy及びCeで共付活した酸硫化ガドリニウム蛍光体を使用した像変換スクリーンは蛍光体中のDyの共付活濃度を増加させても写真感度は向上せず、むしろ次第に低下することが分かる。
【0035】
図5は、本発明の放射線像撮像装置の1例のブロック図である。基本的には、被写体を透過した放射線を吸収して前記被写体の放射線像を蛍光像に変換する像変換スクリーン2と、像変換スクリーン2の蛍光体層表面をマトリックス状に2次元的に微細に分割した領域毎に配置した複数の光電変換素子3とからなる像変換部1と、各光電変換素子3の検出信号をそれぞれ増幅する増幅部5と、増幅された各検出信号をデジタル信号に変換するAD変換部6と、デジタル化された各光電変換素子3からの検出信号を演算処理して得たデジタル画像信号を2次元的に合成する演算記憶部7とからなる演算処理部4と、演算記憶部7からの合成信号で可視像を表示する画像表示部8とからなる。なお、従来の放射線像撮像装置と同様に、演算・記憶部7ではデジタル化された各光電変換素子3からの検出信号を演算処理して2次元的に合成する際、若しくは合成後にノイズ除去、データ圧縮、画像の階調調整などの画像処理手段が講じられ、その後に陰極線管等のディスプレイを有する画像表示部8に入力されて被写体の放射線像が表示・観察される。
【0036】
図6は、上記放射線像撮像装置の像変換部1の概念図である。被写体を透過したX線は像変換部1の像変換スクリーン2の蛍光体層面上で放射線蛍光像を形成する。複数の光電変換素子3は、像変換スクリーンの蛍光体層面をマトリックス状に2次元的に微細に分割した領域毎に対向して配置し、前記領域毎に蛍光体層表面上の各放射線蛍光像を電気信号に光電変換する。像変換スクリーン2は支持体(図示せず)上に本発明の酸硫化ガドリニウム蛍光体からなる蛍光体層を形成したものである。本例の場合、光電変換素子3は、支持体(図示せず)上に微細な光半導体受光素子31をマトリックス状に2次元的に配列し、薄膜トランジスター(TFT)等のスイッチング素子32と組み合わせた平面光センサーであり、これと像変換スクリーン2と対峙させて配置される。像変換スクリーン2と光電変換素子3とは、光に透明な接着剤で両者を密着させる。本発明では、光電変換素子3として500〜600nmの波長域に分光感度ピークを有するフォトダイオード、例えばシリコン又はアモルファスシリコンフォトダイオードを使用することが好ましい。
【0037】
本発明の放射線像撮像装置は、上記構成を採用することにより、高感度で残光特性の優れた放射線像を得ることができ、医療における放射線診断や、食品中の異物検査、金属溶接物等の工業製品を被写体とする非破壊検査の分野に利用することができる。
【0038】
【実施例】
〔参考例1〕
酸化ガドリニウム(Gd2O3、平均粒径3.5μm) 718.7g
酸化セリウム(CeO2) 0.07mg
酸化テルビウム(Tb4O7) 3.0g
酸化ジスプロシウム(Dy2O3) 3.7g
上記成分を十分に混合した後、この蛍光体原料にさらに下記の融剤兼硫化剤である、
リン酸二水素カリウム(KH2PO4 ) 36.3g
炭酸ナトリウム(Na2CO3) 280.0g
硫黄(S) 220.0g
を加えて十分に混合し、これをアルミナルツボに充填して蓋をし、大気中1200℃で3時間焼成した。得られた焼成物を水中において撹拌しながら水洗し、上澄み液を除去してからさらに0.5Nの塩酸と水で順次洗浄し、脱水し乾燥してから490℃で2時間空気中でベーキングした後、篩いをかけて分散させ、参考例1の蛍光体を得た。
【0039】
得られた蛍光体をX線回折装置で結晶構造を同定し、グロー放電質量分析装置(GDMAS)及び蛍光分析法による元素分析を行った。その結果、その組成式は(Gd0.991 ,Tb0.004,Dy0.005,Ce0.0000001 )2 O2 Sであることが分かった。また、この蛍光体の粒子径及び粒子径分布は、コールターカウンターで測定したところ、平均粒径は5.0μm、四分偏差値(Q.D.)で表した標準偏差値は0.25であった。
【0040】
次に、参考例1の蛍光体16重量部と、ポリビニルブチラール1重量部及び有機溶剤を十分に混合して蛍光体塗布液を調製した。この蛍光体塗布液を、酸化チタン粉末が練り込まれた、光反射効果を有するポリエチレンテレフタレートの支持体表面上に、乾燥後の蛍光体塗布重量がおよそ70mg/cm2となるようにナイフコーターを用いて均一に塗布し、乾燥させて蛍光体層を作製した。そして、この蛍光体層の表面に膜厚がおよそ6μmの透明なポリエチレンテレフタレートフイルムからなる保護層をラミネートして参考例1の像変換スクリーンを得た。
【0041】
参考例1の像変換スクリーンに管電圧80kVのX線を照射し、発光輝度を分光感度のピーク波長がおよそ550nmであるSiフォトダイオード(浜松ホトニクス社製、型名S1133)を用いて測定した。その結果、参考施例1の像変換スクリーンは、同一条件で測定された下記比較例1の像変換スクリ−ンの発光輝度の約110%であった(表2参照)。
【0042】
また、参考例1の像変換スクリーンに暗所で50cm離れた位置から、管電圧80kV、管電流3mAの条件で発生させたX線を3分間照射し、X線の照射を停止してから1秒後にこのスクリーンの蛍光体層面にオルソタイプのX線用フィルムを密着させ、そのまま30分間放置した後、そのフィルムを取り出してこれを現像し、この間における残光量の積算値に相当するフィルムの黒化度から像変換スクリーンの残光の程度を評価した。その結果、参考例1の像変換スクリーンの残光量は、これと同一条件で測定した下記比較例1の像変換スクリーンの残光量の十分の一であった(表2参照)。
【0043】
〔参考例2〕
Gd、Tb、Dy及びCeのモル比が化学量論的に(Gd0.99,Tb0.005,Dy0.005,Ce0.0000001)2O2Sとなる割合で酸化ガドリニウム(Gd2O3)、酸化テルビウム(Tb4 O7 )、酸化ジスプロシウム(Dy2 O3 )及び酸化セリウム(CeO2 )を配合して蛍光体原料を調製した以外は参考例1の蛍光体と同様にして、組成式(Gd0.99,Tb0.005,Dy0.005,Ce0.0000001)2O2Sである参考例2の蛍光体を製造した。この蛍光体の粒子径及び粒子径分布は、コールターカウンターで測定したところ、平均粒子径は5.2μm、四分偏差値(Q.D.)で表した標準偏差値は0.25であった。
次に、参考例2の蛍光体を用いた以外は参考例1と同様にして参考例2の像変換スクリーンを製作した。
【0044】
〔参考例3〕
Gd、Tb、Dy及びCeのモル比が化学量論的に(Gd0.99,Tb0.003,Dy0.007,Ce0.0000003)2O2Sとなる割合で酸化ガドリニウム(Gd2O3)、酸化テルビウム(Tb4O7)、酸化ジスプロシウム(Dy2O3)及び酸化セリウム(CeO2)を配合して蛍光体原料を調製した以外は参考例1の蛍光体と同様にして、組成式(Gd0.99,Tb0.003,Dy0.007,Ce0.0000003)2O2Sである参考例3の蛍光体を製造した。この蛍光体の粒子径及び粒子径分布は、コールターカウンターで測定したところ、平均粒子径は5.1μm、四分偏差値(Q.D.)で表した標準偏差値は0.25であった。
次に、参考例3の蛍光体を用いた以外は参考例1と同様にして参考例3の像変換スクリーンを製作した。
【0045】
〔参考例4〕
Gd、Tb、Dy及びCeのモル比が化学量論的に(Gd0.99,Tb0.005,Dy0.005,Ce0.0000001)2O2Sとなる割合で酸化ガドリニウム(Gd2O3)、酸化テルビウム(Tb4O7)、酸化ジスプロシウム(Dy2O3)及び酸化セリウム(CeO2)を配合して蛍光体原料を調製し、参考例1の蛍光体における融剤のリン酸二水素カリウム(KH2PO4)36.3gの代わりに、リン酸リチウム(Li3PO4)70.0g及びリン酸水素二ナトリウム(Na2HPO4)30.0gを用い、蛍光体原料の焼成条件を1200℃で4時間に変更した以外は参考例2の蛍光体と同様にして、組成式(Gd0.99,Tb0.005,Dy0.005,Ce0.0000001)2O2Sである参考例4の蛍光体を製造した。この蛍光体の粒子径及び粒子径分布は、コールターカウンターで測定したところ、平均粒子径は8.0μm、四分偏差値(Q.D.)で表した標準偏差値は0.23であった。
次に、参考例4の蛍光体を用いた以外は参考例1と同様にして参考例4の像変換スクリーンを製作した。
【0046】
〔参考例5〕
参考例2の蛍光体において、融剤のリン酸二水素カリウム(KH2PO4)の配合量を36.3gから30.0gに変更し、蛍光体原料の焼成条件を1100℃で3時間に変更した以外は参考例1の蛍光体と同様にして、組成式(Gd0.99,Tb0.005,Dy0.005,Ce0.0000001)2O2Sである参考例5の蛍光体を製造した。この蛍光体の粒子径及び粒子径分布は、コールターカウンターで測定したところ、平均粒子径は3.0μm、四分偏差値(Q.D.)で表した標準偏差値は0.26であった。
次に、参考例5の蛍光体を用いた以外は参考例1と同様にして参考例5の像変換スクリーンを製作した。
【0047】
〔参考例6〕
Gd、Tb、Dy及びCeのモル比が化学量論的に(Gd0.990,Tb0.005,Dy0.005,Ce0.0000001)2O2Sとなる割合で酸化ガドリニウム(Gd2O3)、酸化テルビウム(Tb4O7)、酸化ジスプロシウム(Dy2O3)及び酸化セリウム(CeO2 )を配合して蛍光体原料を調製したこと、融剤兼硫化剤の中、リン酸二水素カリウム(KH2PO4)の使用量を36.3gではなく15gとし、更にこれと100gのリン酸リチウム(Li3 PO4 )とを用いたこと及び蛍光体原料と融剤兼硫化剤との混合物の焼成を3時間ではなく4時間とした以外は参考例2の蛍光体と同様にして、組成式(Gd0.990,Tb0.005,Dy0.005,Ce0.0000001)2O2Sである参考例6の蛍光体を製造した。この蛍光体の粒子径及び粒子径分布は、コールターカウンターで測定したところ、平均粒子径は9.0μm、四分偏差値(Q.D.)で表した標準偏差値は0.22であった。
次に、参考例6の蛍光体を用いた以外は参考例1と同様にして参考例6の像変換スクリーンを製作した。
【0048】
〔実施例1〕
酸化ガドリニウム(Gd2 O3 、平均粒径2.0μm) 718.0g
酸化セリウム(CeO2 ) 0.07mg
酸化テルビウム(Tb4 O7 ) 3.74g
酸化ジスプロシウム(Dy2 O3 ) 3.73g
酸化亜鉛(ZnO) 181.0mg
上記成分を十分に混合した後、この蛍光体原料にさらに下記の融剤兼硫化剤である、
リン酸二水素カリウム(KH2 PO4 ) 30.0g
炭酸ナトリウム(Na2 CO3 ) 280.0g
硫黄(S) 220.0g
を加えて十分に混合し、これをアルミナルツボに充填して蓋をし、大気中1050℃で3時間焼成した。得られた焼成物を水中において撹拌しながら水洗し、上澄み液を除去してからさらに0.5Nの塩酸と水で順次洗浄し、脱水し乾燥してから490℃で2時間空気中でベーキングした後、篩いをかけて分散させ、実施例1の蛍光体を得た。
得られた蛍光体をX線回折装置で結晶構造を同定し、グロー放電質量分析装置(GDMAS)及びICPによる元素分析を行った。その結果、その組成式は(Gd0.990,Tb0.005,Dy0.005,Ce0.0000001)2O2Sであり、Znを20ppm含有していることが分かった。また、この蛍光体の粒子径及び粒子径分布は、コールターカウンターで測定したところ、平均粒子径は2.9μm、四分偏差値(Q.D.)で表した標準偏差値は0.26であった。この実施例1の蛍光体の波長550nmにおける拡散反射率を分光光度計により測定したところ、同一条件で測定した参考例5の蛍光体の102%であった。
次に、実施例1の蛍光体を用いた以外は参考例1と同様にして実施例1の像変換スクリーンを製作した。
【0049】
〔実施例2〕
181mgの酸化亜鉛(ZnO)の代わりに450mgの塩化亜鉛(ZnCl2)を用いた以外は実施例1の蛍光体と同じ蛍光体原料を調製し、これに実施例で使用した融剤兼硫化剤と36.0gの硝酸ナトリウム(NaNO3)とを融剤兼硫化剤として加えた混合物を焼成した以外は実施例1の蛍光体と同様にして、組成式(Gd0.990,Tb0.005,Dy0.005,Ce0.0000001)2O2Sであり、Znの含有量が蛍光体に対して30ppmである実施例2の蛍光体を製造した。この蛍光体の粒子径及び粒子径分布は、コールターカウンターで測定したところ、平均粒子径は2.7μm、四分偏差値(Q.D.)で表した標準偏差値は0.27であった。この蛍光体の波長550nmにおける拡散反射率は、これと同一条件で測定した参考例5蛍光体の104%であった。
次に、実施例2の蛍光体を用いた以外は実施例1と同様にして実施例2の像変換スクリーンを製作した。
【0050】
〔実施例3〕
平均粒子径が、1.8μmのGd2 O3 を用い、30.0gのリン酸二水素カリウム(KH2PO4)に代えて36gのリン酸リチウム(Li3 PO4 )と36.0gの硝酸ナトリウム(NaNO3)とを用いた以外は実施例1の蛍光体に用いた融剤兼硫化剤と同様の融剤兼硫化剤を用い、蛍光体原料と融剤兼硫化剤との混合物の焼成を1050℃で3時間ではなく、950℃で2.5時間焼成した以外は実施例1の蛍光体と同様にして、組成式(Gd0.990,Tb0.005,Dy0.005,Ce0.0000001)2O2Sであり、Znの含有量が蛍光体に対して45ppmである実施例3の蛍光体を製造した。この蛍光体の粒子径及び粒子径分布は、コールターカウンターで測定したところ、平均粒子径は2.4μm、四分偏差値(Q.D.)で表した標準偏差値は0.27であった。
次に、実施例3の蛍光体を用いた以外は実施例1と同様にして実施例3の像変換スクリーンを製作した。この蛍光体の波長550nmにおける拡散反射率は、これと同一条件で測定した参考例5の蛍光体の103%であった。
【0051】
〔比較例1〕
酸化ガドリニウム(Gd2O3) 722.2 g
酸化テルビウム (Tb4O7) 3.0 g
上記成分を十分に混合した後、次の成分を加えてさらに十分に混合して蛍光体原料を調製した。
リン酸二水素カリウム(KH2PO4) 36.3 g
炭酸ナトリウム (Na2CO3) 280.0 g
硫黄 (S) 220.0 g
その後は、参考例1の蛍光体と同様にして組成式が(Gd0.996,Tb0.004)2O2Sである比較例1の蛍光体を製造した。この蛍光体の粒子径及び粒子径分布は、コールターカウンターで測定したところ、平均粒子径は5.0μm、四分偏差値(Q.D.)で表した標準偏差値は0.25であった。
次に、比較例1の蛍光体を用い、その他の条件は実施例1と同様にして比較例1の像変換スクリーンを製作した。
【0052】
〔比較例2〕
Gd及びTbのモル比が化学量論的に(Gd0.995,Tb0.005)2O2Sとなる割合で酸化ガドリニウム(Gd2O3)及び酸化テルビウム(Tb4O7)を配合して蛍光体原料を調製し、参考例1の蛍光体における融剤のリン酸二水素カリウム(KH2PO4)36.3gの代わりに、リン酸リチウム(Li3PO4)70.0g及びリン酸水素二ナトリウム(Na2HPO4)30.0gを用い、蛍光体原料の焼成条件を1200℃で4時間に変更した以外は参考例1の蛍光体と同様にして、組成式(Gd0.995,Tb0.005)2O2Sである比較例2の蛍光体を製造した。この蛍光体の粒子径及び粒子径分布は、コールターカウンターで測定したところ、平均粒子径は8.0μm、四分偏差値(Q.D.)で表した標準偏差値は0.25であった。
次に、比較例2の蛍光体を用いた以外は実施例1と同様にして比較例2の像変換スクリーンを製作した。
【0053】
〔比較例3〕
比較例2において、融剤をリン酸二水素カリウム(KH2 PO4 )単独で30.0g使用し、蛍光体原料の焼成条件を1100℃で3時間に変更した以外は比較例2と同様にして、組成式(Gd0.995 ,Tb0.005 )2 O2 Sである比較例3の蛍光体を製造した。この蛍光体の粒子径及び粒子径分布は、コールターカウンターで測定したところ、平均粒子径は3.0μm、四分偏差値(Q.D.)で表した標準偏差値は0.25であった。
次に、比較例3の蛍光体を用いた以外は実施例1と同様にして比較例3の像変換スクリーンを製作した。
【0054】
〔参考例7〕
酸化チタン粉末が練り込まれた光反射効果を有するポリエチレンテレフタレートの支持体表面上に、参考例5の像変換スクリーン作製時に調製された蛍光体塗布液を、乾燥後の蛍光体塗布重量がおよそ20mg/cm2 となるようにナイフコーターを用いて均一に塗布した。次いで、支持体上に塗布された蛍光体塗布液が乾燥しないうちにその上に参考例4の像変換スクリーン作製時に調製された蛍光体塗布液を、乾燥後の蛍光体塗布重量がおよそ50mg/cm2 となるようにナイフコーターを用いて均一に塗布し乾燥し、さらに、その表面に膜厚約6μmのポリエチレンテレフタレートフィルムからなる保護層をラミネートして、蛍光体層を2層に積層して参考例7の像変換スクリーンを作製した。
【0055】
〔実施例4〕
酸化チタン粉末が練り込まれた光反射効果を有するポリエチレンテレフタレートの支持体表面上に、実施例2の像変換スクリーン作製時に調製された蛍光体塗布液を、乾燥後の蛍光体塗布重量がおよそ20mg/cm2 となるようにナイフコーターを用いて均一に塗布した。次いで、支持体上に塗布された蛍光体塗布液が乾燥しないうちにその上に参考例4の像変換スクリーン作製時に調製された蛍光体塗布液を、乾燥後の蛍光体塗布重量がおよそ50mg/cm2 となるようにナイフコーターを用いて均一に塗布し乾燥し、さらに、その表面に膜厚約6μmのポリエチレンテレフタレートフィルムからなる保護層をラミネートして、蛍光体層を2層に積層して実施例4の像変換スクリーンを作製した。
【0056】
〔実施例5〕酸化チタン粉末が練り込まれた光反射効果を有するポリエチレンテレフタレートの支持体表面上に、実施例3の像変換スクリーン作製時に調製された蛍光体塗布液を、乾燥後の蛍光体塗布重量がおよそ20mg/cm2 となるようにナイフコーターを用いて均一に塗布した。次いで、支持体上に塗布された蛍光体塗布液が乾燥しないうちにその上に参考例6の像変換スクリーン作製時に調製された蛍光体塗布液を、乾燥後の蛍光体塗布重量がおよそ50mg/cm2 となるようにナイフコーターを用いて均一に塗布し乾燥し、さらに、その表面に膜厚約6μmのポリエチレンテレフタレートフィルムからなる保護層をラミネートして、蛍光体層を2層に積層して実施例5の像変換スクリーンを作製した。
【0057】
〔比較例4〕
参考例7において、参考例5の像変換スクリーン用の蛍光体塗布液に代えて、比較例3の像変換スクリーン用の蛍光体塗布液を使用し、参考例4の像変換スクリーン用の蛍光体塗布液に代えて、比較例2の像変換スクリーン用の蛍光体塗布液を使用した以外は参考例7の像変換スクリーンと同様にして比較例4の像変換スクリーンを作製した。
【0058】
上述のようにして得られた実施例1〜3及び参考例1〜6の蛍光体、並びに比較例1〜3の蛍光体について、コールターカウンターにより測定した平均粒子径並びに四分偏差値(Q.D.)で表した粒子径分布の標準偏差値を、蛍光体中のZnの含有量を含む各蛍光体の組成と共に表1に示す。
また、表2に各像変換スクリーンの蛍光体層に用いた蛍光体の組成と共に、上述のようにして得た実施例1〜5及び参考例1〜7の像変換スクリーン、並びに比較例1〜4の像変換スクリーンについて、実施例1の像変換スクリーンと同じ測定条件で測定した発光輝度並びに残光量をそれぞれ比較例1の像変換スクリーンの発光輝度並びに残光量に対する相対値で示した。
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】
表1及び表2から分かるように、発光輝度の点では粒子径のほぼ等しい蛍光体を用いた像変換スクリーン同士で比較すると、参考例1〜3の蛍光体を蛍光体層として用いた参考例1〜3の像変換スクリーンは従来の蛍光体を蛍光体層として用いた比較例1の像変換スクリーンに比べ、また、参考例5の蛍光体を蛍光体層として用いた参考例5の像変換スクリーンは従来の蛍光体を蛍光体層として用いた比較例3の像変換スクリーンに比べて、それぞれ発光輝度の著しい向上が見られた。
そして、蛍光体層を2層構造とした像変換スクリーンにおいても、参考例7の像変換スクリーンは比較例4の従来の像変換スクリーンに比べて発光輝度が著しく向上していた。また、下層側にZnを含有し、体色が白く粉体反射率の高い本発明の小粒子蛍光体からなる蛍光体層を配した実施例4及び5の像変換スクリーンも比較例4の従来の像変換スクリーンに比べて発光輝度が著しく向上していた。
一方、残光の程度も各実施例と比較例との比較から分かるように、本発明の像変換スクリーンの残光は、従来の像変換スクリーンの残光に比べて、1/10〜1/20程度低下していた。
【0062】
【発明の効果】
本発明の蛍光体は、上記の構成を採用することによって、緑色系の波長領域に分光感度を有する光半導体等の光電変換素子の受光感度に合致し、かつ短残光の発光を示すので、光電変換素子と組み合わせることにより、高感度の発光を呈する放射線像変換スクリーンの提供を可能にし、これを用いた本発明の撮像装置では、撮像系の感度が向上するため撮影時の患者など被写体の被曝線量を低減させることができ、残像等の影響による画質低下のない高画質の放射線像を得ることができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のTb、Dy、Ce共付活酸硫化ガドリニウム蛍光体(曲線a)、及び従来のTb付活酸硫化ガドリニウム蛍光体(曲線b)にX線を照射して発光させた時の発光スペクトルを示した図である。
【図2】酸硫化ガドリニウム蛍光体を用いた放射線像変換スクリーンにおいて、Siフォトダイオードで測定した発光輝度の、Dyの含有量依存性を示した図である。
【図3】酸硫化ガドリニウム蛍光体を用いた放射線像変換スクリーンにおいて、Siフォトダイオードで測定した発光輝度の、Tbの含有量依存性を示した図である。
【図4】酸硫化ガドリニウム蛍光体を用いた増感紙において、写真感度のDyの含有量依存性を示した図である。
【図5】本発明の放射線像撮像装置のブロック図である。
【図6】本発明の放射線像撮像装置の像変換部の概念図である。
【符号の説明】
1 像変換部、2 像変換スクリーン、3 光電変換素子、31 光半導体素子、32 スイッチング素子、4 演算処理部、5 増幅部、6 AD変換部、7 演算・記憶部、8 画像表示部。
Claims (5)
- 下記組成式で表され、さらに10〜100ppmの亜鉛(Zn)を含有し、平均粒子径が1〜5μmの範囲にあり、放射線による励起下で主として緑色の蛍光を発生することを特徴とするデジタルラジオグラフィ用酸硫化ガドリニウム蛍光体。
(Gd1−x−y−z,Tbx,Dyy,Cez)2O2S(式中、x、y及びzはそれぞれ1.2×10−3≦x≦1.9×10−2、5×10−4≦y≦1.9×10−2及び10−8≦z≦8×10−7なる条件を満たす数である。) - 前記蛍光体の発光スペクトルの最大ピーク波長が520〜580nmの波長域にあることを特徴とする請求項1に記載のデジタルラジオグラフィ用酸硫化ガドリニウム蛍光体。
- 支持体上に結合剤と蛍光体との混合物からなる蛍光体層を形成してなる放射線像変換スクリーンにおいて、前記蛍光体が請求項1又は2に記載のデジタルラジオグラフィ用酸硫化ガドリニウム蛍光体からなることを特徴とするデジタルラジオグラフィ用放射線像変換スクリーン。
- 前記蛍光体層が複数層からなることを特徴とする請求項3に記載のデジタルラジオグラフィ用放射線像変換スクリーン。
- 被写体を透過した放射線を吸収して前記被写体の放射線蛍光像を形成する放射線像変換スクリーンと、前記スクリーンをマトリックス状に2次元的に微細に分割した各領域毎に配置した複数の光電変換素子と、前記放射線蛍光像に対応する各光電変換素子からの配置信号及び検出信号を演算処理して2次元的に合成して前記放射線蛍光像に対応するデジタル画像信号を出力する演算処理手段と、前記演算処理手段からの前記デジタル画像信号を入力して前記放射線蛍光像を再生する画像再生手段とを少なくとも備えた放射線像の撮像装置において、前記放射線像変換スクリーンとして請求項3又は4に記載のデジタルラジオグラフィ用放射線像変換スクリーンを使用したことを特徴とする放射線像を撮像する装置。
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