JP2001166519A - 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置 - Google Patents

電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置

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JP2001166519A
JP2001166519A JP35334399A JP35334399A JP2001166519A JP 2001166519 A JP2001166519 A JP 2001166519A JP 35334399 A JP35334399 A JP 35334399A JP 35334399 A JP35334399 A JP 35334399A JP 2001166519 A JP2001166519 A JP 2001166519A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 保護層を形成しても感度が良好であり、残留
電位の上昇が少なく、環境変化による電位変動が小さ
く、安定した電子写真特性が得られる電子写真感光体、
その電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び
電子写真装置を提供することにある。 【解決手段】 導電性支持体、感光層及び保護層を有す
る電子写真感光体において、該保護層が同一分子内に2
つ以上の連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物を
重合した化合物を含有し、かつ該感光層が分子量350
以上の電荷輸送材料を含有することを特徴とする電子写
真感光体、その電子写真感光体を有するプロセスカート
リッジ及び電子写真装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真感光体、
プロセスカートリッジ及び電子写真装置に関し、詳しく
は、表面層に特定の化合物を含有し、かつ感光層に分子
量350以上の電荷輸送材料を含有する電子写真感光
体、その電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ
及び電子写真装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、電子写真感光体に、セレン、硫化
カドミウム及び酸化亜鉛等の無機光導電性材料が広く用
いられていた。一方、有機光導電性材料を用いた電子写
真感光体としては、ポリ−N−ビニルカリバゾールに代
表される光導電性ポリマーや2,5−ビス(p−ジエチ
ルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールの
ような低分子の有機光導電性材料を用いたもの、更に
は、かかる有機光導電性材料と各種染料や顔料を組み合
わせたもの等が知られている。
【0003】有機光導電性材料を用いた電子写真感光体
は成膜性が良く、塗工によって生産できるため、極めて
生産性が高く安価な電子写真感光体を提供できる利点を
有している。また、使用する染料や顔料等の選択によ
り、感光波長域を自在にコントロールできる等の利点を
有し、これまで幅広い検討がなされてきた。特に最近で
は、有機光導電性染料や顔料を含有した電荷発生層と光
導電性ポリマーや低分子の有機光導電性材料を含有した
電荷輸送層を積層した機能分離型の電子写真感光体の開
発により、従来の有機電子写真感光体の欠点とされてい
た感度や耐久性に著しい改善がなされてきており、これ
が有機電子写真感光体の主流となってきている。
【0004】一方、当然のことながら電子写真感光体に
は適用される電子写真プロセスに応じた感度、電気的特
性、更には光学的特性を備えていることが要求される。
特に、繰り返し使用される電子写真感光体にあっては、
その電子写真感光体表面には帯電、画像露光、トナー現
像、紙への転写、クリーニング処理といった電気的、機
械的外力が直接加えられるため、それらに対する耐久性
が要求される。具体的には、摺擦による表面の磨耗や傷
の発生に対する耐久性、帯電による表面劣化が挙げら
れ、より詳しくは転写効率や滑り性の低下、更には感度
低下、電位低下等の電気特性の劣化に対する耐久性も要
求される。
【0005】一般に電子写真感光体の表面は薄い樹脂層
であり、樹脂の特性が非常に重要である。上述の諸条件
をある程度満足する樹脂として、近年、アクリル樹脂や
ポリカーボネート樹脂等が実用化されているが、前述し
たような特性の全てがこれらの樹脂で満足されるわけで
はなく、特に電子写真感光体の高耐久化を図る上では該
樹脂の被膜硬度は十分高いとは言い難い。これらの樹脂
を表面層形成用の樹脂として用いた場合でも繰り返し使
用時において表面層の磨耗が起こり、更に傷が発生する
という問題点があった。
【0006】更に、近年の有機電子写真感光体の高感度
化に対する要求から電荷輸送材料等の低分子量化合物が
比較的大量に添加される場合が多いが、この場合それら
低分子量材料の可塑剤的な作用により膜強度が著しく低
下し、一層繰り返し使用時の表面層の磨耗や傷発生が問
題となっている。また、電子写真感光体を長期にわたっ
て保存する際に前述の低分子量成分が析出してしまい、
層分離するといった問題も発生している。
【0007】これらの問題点を解決する手段として、硬
化性の樹脂を電荷輸送層用の樹脂として用いる試みが、
例えば特開平2−127652号公報等に開示されてい
る。このように、電荷輸送層用の樹脂に硬化性の樹脂を
用い電荷輸送層を硬化、架橋することによって機械的強
度が増し、繰り返し使用時の耐削れ性及び耐傷性は大き
く向上する。しかしながら硬化性樹脂を用いても、低分
子量成分はあくまでも結着樹脂中において可塑剤として
作用するので、先に述べたような析出や層分離の問題は
根本的な解決にはなっていない。
【0008】また、有機電荷輸送材料と結着樹脂とで構
成される電荷輸送層においては、電荷輸送能の樹脂に対
する依存度が大きく、例えば硬度が十分に高い硬化性樹
脂では電荷輸送能が十分ではなく繰り返し使用時に残留
電位の上昇が見られる等、両者を満足させるまでには至
っていない。
【0009】また、特開平5−216249号公報、特
開平7−72640号公報等においては、電荷移動層に
炭素−炭素二重結合を有するモノマーを含有させ、電荷
移動材の炭素−炭素二重結合と熱あるいは光のエネルギ
ーによって反応させて電荷移動層硬化膜を形成した電子
写真感光体が開示されているが、電荷輸送材はポリマー
主骨格にペンダント状に固定化されているだけであり、
先の可塑的な作用を十分に排除できないため機械的強度
が十分ではない。また、電荷輸送能の向上のために電荷
輸送材の濃度を高くすると、架橋密度が低くなり十分な
機械的強度を確保することができない。更には、重合時
に必要とされる開始剤類の電子写真特性への影響も懸念
される。
【0010】また、別の解決手段として例えば特開平8
−248649号公報等においては、熱可塑性高分子主
鎖中に電荷輸送能を有する基を導入し電荷輸送層を形成
させた電子写真感光体が開示されているが、従来の分子
分散型の電荷輸送層と比較して析出や層分離に対しては
効果があり、機械的強度も向上するが、あくまでも熱可
塑性樹脂であり、その機械的強度には限界があり、樹脂
の溶解性等を含めたハンドリングや生産性の面で十分で
あるとは言い難い。
【0011】以上述べたことを背景にして、本発明者ら
は、高い機械的強度と電荷輸送能の両立を達成するため
の検討を重ねた。その結果、同一分子内に二つ以上の連
鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物を重合させた
化合物を含有した電子写真感光体によって機械的強度と
電荷輸送能の両立がほぼ達成されることが確認された。
【0012】しかしながら、これを保護層として用いた
場合においては、同一分子内に2つ以上の連鎖重合性官
能基を有する正孔輸送性化合物を使用することで機械的
強度は向上するが、感光層が有機系感光層である場合に
おいて感度が十分に得られなかったり、残留電位の上昇
がみられることもあった。また、環境の変化に伴い電位
が変動してしまい、安定した電位特性を得られないこと
もあった。
【0013】近年の高画質化、高耐久化に伴い、より優
れた電子写真感光体を提供するためにはこれらの問題を
ぜひ解決する必要があった。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、保護
層を形成しても感度が良好であり、残留電位の上昇が少
なく、環境変化による電位変動が小さく、安定した電子
写真特性が得られる電子写真感光体を提供することにあ
る。
【0015】本発明の別の目的は、上記電子写真感光体
を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供
することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明に従って、導電性
支持体、感光層及び保護層を有する電子写真感光体にお
いて、該保護層が同一分子内に2つ以上の連鎖重合性官
能基を有する正孔輸送性化合物を重合した化合物を含有
し、かつ該感光層が分子量350以上の電荷輸送材料を
含有することを特徴とする電子写真感光体が提供され
る。
【0017】また本発明に従って、上記電子写真感光体
を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置が提供
される。
【0018】
【発明の実施の形態】次に、本発明の電子写真感光体の
構成を詳細に説明する。
【0019】まず、本発明における保護層について説明
する。はじめに、連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性
化合物について説明する。
【0020】本発明における連鎖重合とは、高分子物の
生成反応を大きく連鎖重合と逐次重合に分けた場合の前
者の重合反応形態を示し、詳しくは例えば技報堂出版
三羽忠広著の「基礎 合成樹脂の化学(新版)」199
5年7月25日(1版8刷)P.24に説明されている
ように、その形態が主にラジカルあるいはイオン等の中
間体を経由して反応が進行する不飽和重合、開環重合そ
して異性化重合等のことをいう。前記一般式(1)にお
ける連鎖重合性官能基P1及びP2とは、前述の反応形態
が可能な官能基を意味するが、ここではその大半を占め
応用範囲の広い不飽和重合あるいは開環重合性官能基の
具体例を示す。
【0021】不飽和重合とは、ラジカル、イオン等によ
って不飽和基、例えばC=C、C≡C、C=O、C=
N、C≡N等が重合する反応であるが、主にはC=Cで
ある。不飽和重合性官能基の具体例を表1に示すがこれ
らに限定されるものではない。
【0022】
【表1】
【0023】表中、Rは置換基を有してもよいメチル
基、エチル基、プロピル基及びブチル基等のアルキル
基、置換基を有しても良いベンジル基、フェネチル基、
ナフチルメチル基、フルフリル基及びチエニル基等のア
ラルキル基、置換基を有しても良いフェニル基、ナフチ
ル基及びアンスリル基等のアリール基又は水素原子を示
す。
【0024】開環重合とは、炭素環、オクソ環及び窒素
ヘテロ環等のひずみを有した不安定な環状構造が触媒の
作用で活性化され、開環すると同時に重合を繰り返し鎖
状高分子物を生成する反応であるが、この場合、基本的
にはイオンが活性種として作用するものが大部分であ
る。開環重合性官能基の具体例を表2に示すがこれらに
限定されるものではない。
【0025】
【表2】
【0026】表中、Rは置換基を有してもよいメチル
基、エチル基、プロピル基及びブチル基等のアルキル
基、置換基を有しても良いベンジル基、フェネチル基、
ナフチルメチル基、フルフリル基及びチエニル基等のア
ラルキル基、置換基を有しても良いフェニル基、ナフチ
ル基及びアンスリル基等のアリール基又は水素原子を示
す。
【0027】上記で説明したような本発明に係わる連鎖
重合性官能基の中でも、下記の一般式(6)、(14)
及び(15)で示されるものが好ましい。
【0028】
【化8】
【0029】式中、Eは水素原子、フッ素、塩素及び臭
素等のハロゲン原子、置換基を有してもよいメチル基、
エチル基、プロピル基及びブチル基等のアルキル基、置
換基を有してもよいベンジル基、フェネチル基、ナフチ
ルメチル基、フルフリル基及びチエニル基等のアラルキ
ル基、置換基を有してもよいフェニル基、ナフチル基、
アンスリル基、ピレニル基、チオフェニル基及びフリル
基等のアリール基、メトキシ基、エトキシ基及びプロポ
キシ基等のアルコキシ基、CN基、ニトロ基、−COO
13又は−CONR1415を示す。
【0030】Wは置換基を有しても良いフェニレン基、
ナフチレン基及びアントラセニレン基等のアリーレン
基、置換基を有しても良いメチレン基、エチレン基及び
ブチレン等のアルキレン基、−COO−、−CH2−、
−O−、−OO−、−S−又は−CONR16−で示され
る。
【0031】R13、R14、R15及びR16は水素原子、フ
ッ素、塩素、臭素及びヨウ素等のハロゲン原子、置換基
を有してもよいメチル基、エチル基、プロピル基及びブ
チル基等のアルキル基、置換基を有してもよいベンジル
基及びフェネチル基等のアラルキル基又は置換基を有し
てもよいフェニル基、ナフチル基及びアンスリル基等の
アリール基を示し、R14とR15は互いに同一であっても
異なっても良い。また、fは0又は1を示す。
【0032】E及びW中で有してもよい置換基として
は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素等のハロゲン原子;
ニトロ基、シアノ基、水酸基;メチル基、エチル基、プ
ロピル基及びブチル基等のアルキル基;メトキシ基、エ
トキシ基及びプロポキシ基等のアルコキシ基;フェノキ
シ基及びナフトキシ基等のアリールオキシ基;ベンジル
基、フェネチル基、ナフチルメチル基、フルフリル基及
びチエニル基等のアラルキル基;又はフェニル基、ナフ
チル基、アンスリル基及びピレニル基等のアリール基等
が挙げられる。
【0033】
【化9】
【0034】式中、R17及びR18は水素原子、置換基を
有してもよいメチル基、エチル基、プロピル基及びブチ
ル基等のアルキル基、置換基を有してもよいベンジル基
及びフェネチル基等のアラルキル基、又は置換基を有し
てもよいフェニル基及びナフチル基等のアリール基を示
し、nは1〜10の整数を示す。
【0035】
【化10】 式中、R19及びR20は水素原子、置換基を有してもよい
メチル基、エチル基、プロピル及びブチル基等のアルキ
ル基、置換基を有してもよいベンジル基及びフェネチル
基等のアラルキル基、又は置換基を有してもよいフェニ
ル基及びナフチル基等のアリール基を示し、nは0〜1
0の整数を示す。
【0036】なお、上記一般式の(14)及び(15)
のR17、R18、R19及びR20が有してもよい置換基とし
てはフッ素、塩素、臭素及びヨウ素等のハロゲン原子;
メチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基等のアル
キル基;メトキシ基、エトキシ基及びプロポキシ基等の
アルコキシ基;フェノキシ基及びナフトキシ基等のアリ
ールオキシ基;ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメ
チル基、フルフリル基及びチエニル基等のアラルキル
基;又はフェニル基、ナフチル基、アンスリル基及びピ
レニル基等のアリール基等が挙げられる。
【0037】また、上記一般式(6)、(14)及び
(15)の中でも、更に好ましい連鎖重合性官能基とし
ては、下記一般式(7)〜一般式(13)で示されるも
のが挙げられる。
【0038】
【化11】
【0039】更に、上記一般式(7)〜一般式(13)
の中でも、一般式(7)のアクリロイルオキシ基及び一
般式(8)のメタクリロイルオキシ基が、重合特性等の
点から特に一番好ましい。
【0040】次に、本発明における正孔輸送性材料につ
いて説明する。
【0041】本発明で『連鎖重合性官能基を有する正孔
輸送性化合物』とは、上記で説明した連鎖重合性官能基
が下記で説明する正孔輸送性化合物に官能基として好ま
しくは2つ以上の化学結合している化合物を示す。この
場合、それらの連鎖重合性官能基は、全て同一でも異な
ったものであってもよい。
【0042】それらの連鎖重合性官能基を2つ以上有す
る正孔輸送性化合物としては、下記一般式(1)である
場合が好ましい。
【0043】
【化12】
【0044】式中、Aは正孔輸送性基を示す。P1及び
2は連鎖重合性官能基を示す。P1とP2は同一でも異
なっても良い。Zは置換基を有しても良い有機基を示
す。a、b及びdは0以上の整数を示し、a+b×dは
2以上の整数を示す。また、aが2以上の場合P1は同
一でも異なってもよく、d が2以上の場合、Z及びP2
は同一でも異なってもよい。
【0045】なおここで、『aが2以上の場合P1は同
一でも異なっても良く』とは、それぞれ異なるn種類の
連鎖重合性官能基をP11、P12、P13、P14、P15・・
・・P1nと示した場合、例えばa=3のとき正孔輸送性
化合物Aに直接結合する重合性官能基P1は3つとも同
じものでも、2つ同じで1つは違うもの(例えば、P1 1
とP11とP12とか)でも、それぞれ3つとも異なるもの
(例えば、P12とP15とP17とか)でも良いということ
を意味するものである(『dが2以上の場合P 2は同一
でも異なっても良く』というのも、『bが2以上の場
合、Z及びP2は同一でも異なっても良い』というのも
これと同様なことを意味するものである)。
【0046】上記一般式(1)のAとP1やZとの結合
部位を水素原子に置き換えた正孔輸送化合物は、例え
ば、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イ
ミダゾール誘導体、トリフェニルアミン等のトリアリー
ルアミン誘導体、9−(p−ジエチルアミノスチリル)
アントラセン、1,1−ビス−(4−ジベンジルアミノ
フェニル)プロパン、スチリルアントラセン、スチリル
ピラゾリン、フェニルヒドラゾン類、チアゾール誘導
体、トリアゾール誘導体、フェナジン誘導体、アクリジ
ン誘導体、ベンゾフラン誘導体、ベンズイミダゾール誘
導体、チオフェン誘導体及びN−フェニルカルバゾール
誘導体等が挙げられる。
【0047】更に、上記正孔輸送化合物の中でも、下記
一般式(4)、(5)、(16)、(17)及び(1
9)から選ばれる式で示される化合物、あるいは下記一
般式(18)で示される基を有する縮合環炭化水素又は
下記一般式(18)で示される基を有する縮合複素環で
あるものが好ましい。更に、その中でも、一般式(4)
及び(5)で示される化合物である場合が特に好まし
い。
【0048】
【化13】
【0049】上記一般式(4)中、R6、R7及びR8
置換基を有してもよいメチル基、エチル基、プロピル基
及びブチル基等の炭素数10以下のアルキル基、置換基
を有してもよいベンジル基、フェネチル基、ナフチルメ
チル基、フルフリル基及びチエニル基等のアラルキル基
又は置換基を有してもよいフェニル基、ナフチル基、ア
ンスリル基、フェナンスリル基、ピレニル基、チオフェ
ニル基、フリル基、ピリジル基、キノリル基、ベンゾキ
ノリル基、カルバゾリル基、フェノチアジニル基、ベン
ゾフリル基、ベンゾチオフェニル基、ジベンゾフリル基
及びジベンゾチオフェニル基等のアリール基を示す。
【0050】但し、R6、R7及びR8のうち少なくとも
2つはアリール基を示し、R6、R7及びR8はそれぞれ
同一であっても異なっていてもよい。更に、その中でも
6、R7及びR8の全てがアリール基であるものが特に
好ましい。また、上記一般式(4)のR6又はR7又はR
8のうち任意の2つはそれぞれ直接もしくは結合基を介
して結合しても良く、その結合基としては、メチレン
基、エチレン基及びプロピレン基等のアルキレン基、酸
素原子及び硫黄原子等のヘテロ原子又はCH=CH基等
が挙げられる。
【0051】
【化14】
【0052】上記一般式(5)中、m4は0又は1を示
し、m4=1である場合が好ましい。R9〜R12は置換基
を有してもよいメチル基、エチル基、プロピル基及びブ
チル基等の炭素数10以下のアルキル基、置換基を有し
てもよいベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル
基、フルフリル基及びチエニル基等のアラルキル基又は
置換基を有してもよいフェニル基、ナフチル基、アンス
リル基、フェナンスリル基、ピレニル基、チオフェニル
基、フリル基、ピリジル基、キノリル基、ベンゾキノリ
ル基、カルバゾリル基、フェノチアジニル基、ベンゾフ
リル基、ベンゾチオフェニル基、ジベンゾフリル基及び
ジベンゾチオフェニル基等のアリール基を示し、R9
12はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
【0053】Ar4は置換基を有しても良いアリーレン
基(ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナンス
レン、ピレン、チオフェン、フラン、ピリジン、キノリ
ン、ベンゾキノリン、カルバゾール、フェノチアジン、
ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、ジ
ベンゾチオフェン等より2個の水素原子を取り除いた
基)を示し、Ar5はm4=0の場合、フェニル基、ナフ
チル基、アンスリル基、フェナンスリル基、ピレニル
基、チオフェニル基、フリル基、ピリジル基、キノリル
基、ベンゾキノリル基、カルバゾリル基、フェノチアジ
ニル基、ベンゾフリル基、ベンゾチオフェニル基、ジベ
ンゾフリル基及びジベンゾチオフェニル基等のアリール
基を示し、m4=1の場合は上記Ar1と同様なアリーレ
ン基を示す。なお、m4=1の場合は、Ar4とAr5
同一であっても異なっても良い。
【0054】更にその中でも、上記一般式(5)中のR
9〜R12が4つとも全てアリール基である場合が特に好
ましい。また、上記一般式(5)のR9とR10又はR11
とR1 2又はAr4とAr5は、それぞれ直接もしくは結合
基を介して結合しても良く、その結合基としては、メチ
レン基、エチレン基及びプロピレン基等のアルキレン
基、カルボニル基、酸素原子及び硫黄原子等のヘテロ原
子又はCH=CH基等が挙げられるが、これらの中では
アルキレン基が好ましい。
【0055】
【化15】
【0056】上記一般式(16)中、R21、R22、R23
及びR24は置換基を有してもよいメチル基、エチル基、
プロピル基及びブチル基等の炭素数10以下のアルキル
基、置換基を有してもよいベンジル基、フェネチル基、
ナフチルメチル基、フルフリル基及びチエニル基等のア
ラルキル基又は置換基を有してもよいフェニル基、ナフ
チル基、アンスリル基、フェナンスリル基、ピレニル
基、チオフェニル基、フリル基、ピリジル基、キノリル
基、ベンゾキノリル基、カルバゾリル基、フェノチアジ
ニル基、ベンゾフリル基、ベンゾチオフェニル基、ジベ
ンゾフリル基及びジベンゾチオフェニル基等のアリール
基を示し、R21、R22、R23及びR24はそれぞれ同一で
も異なっていてもよい。R25及びR26は置換基を有して
も良いメチレン基、エチレン基及びプロピレン基等の炭
素数10以下のアルキレン基、又は置換基を有しても良
いアリーレン基(ベンゼン、ナフタレン、アントラセ
ン、フェナンスレン、ピレン、チオフェン、フラン、ピ
リジン、キノリン、ベンゾキノリン、カルバゾール、フ
ェノチアジン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ジベ
ンゾフラン、ジベンゾチオフェン等より2個の水素原子
を取り除いた基)を示し、R25及びR26は同一であって
も異なっていても良い。Qは置換基を有しても良い有機
基を示す。
【0057】更にその中でも、上記一般式(16)中の
21、R22、R23及びR24のうち少なくとも2つが置換
基を有しても良いアリール基であり、かつR25及びR26
が置換基を有しても良いアリーレン基である場合が好ま
しく、更にR21、R22、R23及びR24が4つとも全て置
換基を有しても良いアリール基である場合が特に好まし
い。また、上記一般式(16)のR21、R22及びR25
うち任意の2つあるいはR23、R24及びR26のうち任意
の2つはそれぞれ直接もしくは結合基を介して結合して
も良く、その結合基としては、メチレン基、エチレン基
及びプロピレン基等のアルキレン基、酸素原子及び硫黄
原子等のヘテロ原子又はCH=CH基等が挙げられる。
【0058】
【化16】
【0059】但し上記一般式(17)中、R27、R28
びAr6のうち少なくとも一つは、下記一般式(18)
で示される基を少なくとも一つ有する。
【0060】
【化17】
【0061】上記一般式(17)及び(18)中、Ar
6及びAr7は置換基を有してもよいフェニル基、ナフチ
ル基、アンスリル基、フェナンスリル基、ピレニル基、
チオフェニル基、フリル基、ピリジル基、キノリル基、
ベンゾキノリル基、カルバゾリル基、フェノチアジニル
基、ベンゾフリル基、ベンゾチオフェニル基、ジベンゾ
フリル基及びジベンゾチオフェニル基等のアリール基を
示し、R27、R28、R 29及びR30は置換基を有してもよ
いメチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基等の炭
素数10以下のアルキル基、置換基を有してもよいベン
ジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、フルフリル
基及びチエニル基等のアラルキル基、置換基を有しても
よいフェニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナン
スリル基、ピレニル基、チオフェニル基、フリル基、ピ
リジル基、キノリル基、ベンゾキノリル基、カルバゾリ
ル基、フェノチアジニル基、ベンゾフリル基、ベンゾチ
オフェニル基、ジベンゾフリル基及びジベンゾチオフェ
ニル基等のアリール基を示し、R29及びR30はこれらの
アルキル基、アラルキル基及びアリール基に加え水素原
子を示す。更に、R27とR28及びR29とR30はそれぞれ
同一であっても異なっていてもよい。
【0062】また、R27又はR28又はAr6のうち任意
の2つ、又はAr7及びR30はそれぞれ直接もしくは結
合基を介して結合しても良く、その結合基としては、メ
チレン基、エチレン基及びプロピレン基等のアルキレン
基、酸素原子及び硫黄原子等のヘテロ原子又はCH=C
H基等が挙げられる。n1は0〜2の整数を示す。な
お、その中でもR30がアリール基である場合が好まし
く、更にR27とR28がアリール基である場合が特に好ま
しい。
【0063】更に、上記一般式(18)で示される基を
有する化合物としては、置換基を有してもよい、ナフタ
レン基、アントラセン基、フェナンスレン基、ペレン
基、フルオレン基、フルオランセン基、アズレン基、イ
ンデン基、ペリレン基、クリセン基及びコロネン基等の
縮合環炭化水素又は置換基を有しても良いベンゾフラン
基、インドール基、カルバゾール基、ベンズカルバゾー
ル基、アクリジン基、フェノチアジン基及びキノリン基
等の縮合複素環が挙げられる。
【0064】
【化18】
【0065】但し、上記一般式(19)は、下記一般式
(20)で示される基を少なくとも一つ有する。
【0066】
【化19】
【0067】上記一般式(19)及び(20)中、Ar
8、Ar9及びAr10は置換基を有してもよいフェニル
基、ナフチル基、アンスリル基、フェナンスリル基、ピ
レニル基、チオフェニル基、フリル基、ピリジル基、キ
ノリル基、ベンゾキノリル基、カルバゾリル基、フェノ
チアジニル基、ベンゾフリル基、ベンゾチオフェニル
基、ジベンゾフリル基及びジベンゾチオフェニル基等の
アリール基を示し、R31、R32及びR33は置換基を有し
てもよいメチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基
等の炭素数10以下のアルキル基、置換基を有してもよ
いベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、フル
フリル基及びチエニル基等のアラルキル基、置換基を有
してもよいフェニル基、ナフチル基、アンスリル基、フ
ェナンスリル基、ピレニル基、チオフェニル基、フリル
基、ピリジル基、キノリル基、ベンゾキノリル基、カル
バゾリル基、フェノチアジニル基、ベンゾフリル基、ベ
ンゾチオフェニル基、ジベンゾフリル基及びジベンゾチ
オフェニル基等のアリール基を示し、R32及びR33はこ
れらのアルキル基、アラルキル基及びアリール基に加え
水素原子を示す。なお、Ar8及びAr9とR32とR33
それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
【0068】その中でも、R31及びR32がアリール基で
ある場合が好ましい。また、R31、Ar8又はAr9のう
ち任意の2つ、又はAr10及びR33はそれぞれ直接もし
くは結合基を介して結合しても良く、その結合基として
は、メチレン基、エチレン基及びプロピレン基等のアル
キレン基、酸素原子及び硫黄原子等のヘテロ原子又はC
H=CH基等が挙げられる。n2は0〜2の整数を示
す。
【0069】また、上記一般式(1)中のZ及び上記一
般式(16)中のQは置換基を有してもよいアルキレン
基、置換基を有してもよいアリーレン基、CR1=CR2
(R 1及びR2はアルキル基、アリール基又は水素原子を
示し、R1及びR2は同一でも異なっても良い)、C=
O、S=O、SO2、酸素原子又は硫黄原子より一つあ
るいは任意に組み合わされた有機基を示す。その中でも
下記一般式(2)で示されるものが好ましく、下記一般
式(3)で示されるものが特に好ましい。
【0070】
【化20】
【0071】
【化21】
【0072】上記一般式(2)中、X1〜X3は置換基を
有してもよいメチレン基、エチレン基及びプロピレン基
等の炭素数20以下のアルキレン基、(CR3=CR4
m1、C=O、S=O、SO2、酸素原子又は硫黄原子を
示し、Ar1及びAr2は置換基を有してもよいアリーレ
ン基(ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナン
スレン、ピレン、チオフェン、フラン、ピリジン、キノ
リン、ベンゾキノリン、カルバゾール、フェノチアジ
ン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ジベンゾフラ
ン、ジベンゾチオフェン等より2個の水素原子を取り除
いた基)を示す。R 3及びR4は置換基を有してもよいメ
チル基、エチル基、プロピル基及びブチル基等のアルキ
ル基、置換基を有してもよいフェニル基、ナフチル基及
びチオフェニル基等のアリール基又は水素原子を示し、
3及びR4は同一でも異なっても良い。m1は1〜5の
整数、p〜tは0〜10の整数を示す(但し、p〜tは
同時に0であることはない)。
【0073】上記一般式(3)中、X4及びX5は(CH
2m2、(CH=CR5m3、C=O、又は酸素原子を示
し、Ar3は置換基を有してもよいアリーレン基(ベン
ゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナンスレン、ピ
レン、チオフェン、フラン、ピリジン、キノリン、ベン
ゾキノリン、カルバゾール、フェノチアジン、ベンゾフ
ラン、ベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、ジベンゾチ
オフェン等より2個の水素原子を取り除いた基)を示
す。R5は置換基を有してもよいメチル基、エチル基、
プロピル基及びブチル基等のアルキル基、置換基を有し
ても良いフェニル基、ナフチル基及びチオフェニル基等
のアリール基又は水素原子を示す。m2は1〜10の整
数、m3は1〜5の整数、u〜wは0〜10の整数を示
す(特に、0〜5の整数の時が特に好ましい。但し、u
〜wは同時に0であることはない)。
【0074】なお、上述の一般式(1)〜(3)、
(5)、(6)及び(14)〜(20)のR1〜R5、R
9〜R33、Ar1〜Ar10、X1〜X5、Z及びQがそれぞ
れ有してもよい置換基としてはフッ素、塩素、臭素及び
ヨウ素等のハロゲン原子;ニトロ基、シアノ基、水酸
基;メチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基等の
アルキル基;メトキシ基、エトキシ基及びプロポキシ基
等のアルコキシ基;フェノキシ基、ナフトキシ基等のア
リールオキシ基;ベンジル基、フェネチル基、ナフチル
メチル基、フルフリル基及びチエニル基等のアラルキル
基;フェニル基、ナフチル基、アンスリル基及びピレニ
ル基等のアリール基が挙げられる。また、一般式(4)
のR6〜R8が有しても良い置換基としてはアリール基を
除いた上記置換基及びジフェニルアミノ基及びジ(p−
トリル)アミノ基等のジアリールアミノ基が挙げられ
る。
【0075】また、本発明における同一分子内に1つ以
上の連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物は、酸
化電位が1.2(V)以下であることが好ましく、特に
は0.4〜1.2(V)であることが好ましい。それ
は、酸化電位が1.2(V)超えると電荷発生材料から
の電荷(正孔)の注入が起こり難く残留電位の上昇、感
度悪化及び繰り返し使用時の電位変動が大きくなる等の
問題が生じ易く、また0.4(V)未満では帯電能の低
下等の問題の他に、化合物自体が容易に酸化されるため
に劣化し易く、それに起因した感度悪化、画像ボケ及び
繰り返し使用時の電位変動が大きくなる等の問題が生じ
易くなるためである。
【0076】なお、ここで述べている酸化電位は、以下
の方法によって測定される。
【0077】(酸化電位の測定法)飽和カロメル電極を
参照電極とし、電解液に0.1N(n−Bu)4+ClO
4 -アセトニトリル溶液を用い、ポテンシャルスイーパに
よって作用電極(白金)に印加する電位をスイープし、
得られた電流−電位曲線がピークを示したときの電位を
酸化電位とした。詳しくは、サンプルを0.1N(n−
Bu)4+ClO4 -アセトニトリル溶液に5〜10mm
ol%程度の濃度になるように溶解する。そしてこのサ
ンプル溶液に作用電極によって電圧を加え、電圧を低電
位(0V)から高電位(+1.5V)に直線的に変化さ
せた時の電流変化を測定し、電流−電位曲線を得る。こ
の電流−電位曲線において、電流値がピーク(ピークが
複数ある場合には最初のピーク)を示したときのピーク
トップの位置の電位を酸化電位とした。
【0078】また更に、上記連鎖重合性官能基を有する
正孔輸送性化合物は、正孔輸送能として1×10-7(c
2/V.sec)以上のドリフト移動度を有しているも
のが好ましい(但し、印加電界:5×104V/c
m)。1×10-7(cm2/V.sec)未満では電子写
真感光体として露光後現像までに正孔が十分に移動でき
ないため見かけ上感度が低減し、残留電位も高くなって
しまう問題が発生する場合がある。
【0079】以下に本発明に係わる、連鎖重合性官能基
を有する正孔輸送性化合物の代表例を挙げるがこれらに
限定されるものではない。
【0080】
【化22】
【0081】
【化23】
【0082】
【化24】
【0083】
【化25】
【0084】
【化26】
【0085】
【化27】
【0086】
【化28】
【0087】
【化29】
【0088】
【化30】
【0089】
【化31】
【0090】
【化32】
【0091】
【化33】
【0092】
【化34】
【0093】
【化35】
【0094】
【化36】
【0095】
【化37】
【0096】
【化38】
【0097】
【化39】
【0098】
【化40】
【0099】
【化41】
【0100】
【化42】
【0101】
【化43】
【0102】
【化44】
【0103】
【化45】
【0104】
【化46】
【0105】
【化47】
【0106】
【化48】
【0107】
【化49】
【0108】
【化50】
【0109】
【化51】
【0110】
【化52】
【0111】
【化53】
【0112】
【化54】
【0113】
【化55】
【0114】
【化56】
【0115】
【化57】
【0116】
【化58】
【0117】
【化59】
【0118】
【化60】
【0119】
【化61】
【0120】
【化62】
【0121】
【化63】
【0122】
【化64】
【0123】
【化65】
【0124】
【化66】
【0125】
【化67】
【0126】
【化68】
【0127】
【化69】
【0128】
【化70】
【0129】
【化71】
【0130】
【化72】
【0131】
【化73】
【0132】
【化74】
【0133】
【化75】
【0134】
【化76】
【0135】
【化77】
【0136】
【化78】
【0137】
【化79】
【0138】
【化80】
【0139】
【化81】
【0140】
【化82】
【0141】
【化83】
【0142】
【化84】
【0143】
【化85】
【0144】
【化86】
【0145】
【化87】
【0146】
【化88】
【0147】
【化89】
【0148】
【化90】
【0149】
【化91】
【0150】
【化92】
【0151】
【化93】
【0152】
【化94】
【0153】
【化95】
【0154】
【化96】
【0155】
【化97】
【0156】
【化98】
【0157】
【化99】
【0158】
【化100】
【0159】
【化101】
【0160】
【化102】
【0161】
【化103】
【0162】
【化104】
【0163】
【化105】
【0164】
【化106】
【0165】
【化107】
【0166】
【化108】
【0167】
【化109】
【0168】
【化110】
【0169】本発明においては、前記同一分子内に二つ
以上の連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物を重
合することで、保護層中において、正孔輸送能を有する
化合物は二つ以上の架橋点をもって3次元架橋構造を形
成する。前記正孔輸送性化合物はそれのみを重合させ
る、あるいは他の連鎖重合性官能基を有する化合物と混
合させることのいずれもが可能であり、その種類/比率
は全て任意である。ここでいう他の連鎖重合性官能基を
有する化合物とは、連鎖重合性官能基を有する単量体あ
るいはオリゴマー/ポリマーのいずれもが含まれる。
【0170】正孔輸送性化合物の官能基とその他の連鎖
重合性化合物の官能基が同一の基あるいは互いに重合可
能な基である場合には、両者は共有結合を介した共重合
3次元架橋構造をとることが可能である。両者の官能基
が互いに重合しない官能基である場合には、保護層は二
つ以上の3次元硬化物の混合物あるいは主成分の3次元
硬化物中に他の連鎖重合性化合物単量体あるいはその硬
化物を含んだものとして構成されるが、その配合比率/
製膜方法をうまくコントロールすることで、IPN(I
nter Penetrating Network)
すなわち相互進入網目構造を形成することも可能であ
る。
【0171】また、前記正孔輸送性化合物と連鎖重合性
官能基以外の重合性基を有する単量体あるいはオリゴマ
ー/ポリマー等から保護層を形成してもよい。また、そ
の他の各種添加剤、フッ素原子含有樹脂微粒子等の潤剤
その他を含有してもよい。
【0172】本発明において、連鎖重合性官能基を有す
る正孔輸送性化合物は熱、可視光や紫外線等の光、更に
放射線により重合することができる。従って、本発明に
おける保護層の形成は、保護層用の塗工液に前記連鎖重
合性官能基を有する正孔輸送性化合物と必要によっては
重合開始剤を含有させ、該塗工液を用いて形成した塗工
膜に光又は放射線を照射することによって該連鎖重合性
官能基を有する正孔輸送性化合物を重合させる。なお、
本発明においては、その中でも放射線によって該連鎖重
合性官能基を有する正孔輸送性化合物を重合することが
好ましい。放射線による重合の最大の利点は、重合開始
剤を必要としない点であり、これにより非常に高純度な
3次元保護層の作製が可能となり、良好な耐久性が確保
される点である。また、短時間でかつ効率的な重合反応
であるがゆえに生産性も高く、更には放射線の透過性の
良さから、厚膜時や添加剤等の遮蔽物質が膜中に存在す
る際の硬化阻害の影響が非常に小さいこと等が挙げられ
る。但し、連鎖重合性官能基の種類や中心骨格の種類に
よっては重合反応が進行しにくい場合があり、その際に
は影響のない範囲内での重合開始剤の添加は可能であ
る。この際、使用する放射線とは電子線及びγ線である
が、特には電子線が好ましい。
【0173】電子線照射をする場合、加速器としてはス
キャニング型、エレクトロカーテン型、ブロードビーム
型、パルス型及びラミナー型等いずれの形式も使用する
ことができる。電子線を照射する場合に、本発明の電子
写真感光体においては電気特性を発現させる上で照射条
件が非常に重要である。本発明において、加速電圧は2
50KV以下が好ましく、最適には150KV以下であ
る。また、線量は好ましくは1Mrad〜100Mra
dの範囲、より好ましくは3Mrad〜50Mradの
範囲である。加速電圧が250KVを超えると感光体特
性に対する電子線照射のダメージが増加する傾向にあ
る。また、照射線量が1Mradよりも少ない場合には
硬化が不十分となり易く、線量100Mradより多い
場合には感光体特性の劣化が起こり易いので注意が必要
である。
【0174】前記正孔輸送性化合物の量は、重合硬化後
の保護層膜の全質量に対して、前記一般式(1)で示さ
れる連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性基Aの水素付
加物が20質量%以上が好ましく、特には40質量%以
上含有されていることが好ましい。20質量%未満であ
ると電荷輸送能が低下し、感度低下及び残留電位の上昇
等の問題点が生じ易い。この場合の保護層としての膜厚
は0.1〜10μmが好ましく、特には0.5〜7μm
が好ましい。
【0175】次に、感光層について説明する。
【0176】前述の如く、保護層として同一分子内に2
つ以上の連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物を
使用することで機械的強度は飛躍的に向上するが、感光
層が有機系感光層である場合に感度が十分に得られなか
ったり、残留電位の上昇がみられることもあった。ま
た、環境の変化に伴い電位が変動してしまい、十分に安
定した電位特性を得られないこともあった。
【0177】本発明者らは鋭意検討した結果、保護層と
接する感光層中の電荷輸送材料の分子量と感度、残電、
及び環境電位変動との間に関係があることを見いだし本
発明に至った。すなわち、保護層と接する感光層の電荷
輸送材料の分子量を350以上にすることで感度の低
下、及び残留電位の上昇を抑えることができ、また環境
電位変動も抑えることができた。
【0178】本発明のメカニズムは定かではないが以下
のように考えられる。保護層として同一分子内に2つ以
上の連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物を、光
及び放射線を照射することによって重合するに際し、保
護層下にある感光層にも光及び放射線は到達している。
この光及び放射線が、感光層中の電荷発生材料及び電荷
輸送材料を劣化させ、感光体特性が低下すると考えられ
る。分子量の小さい電荷輸送材料は、吸収した光及び放
射線エネルギーを分散できずに分子の切断による劣化が
生じるが、分子量の大きい電荷輸送材料は吸収した光及
び放射線エネルギーを非局在下させることができ、熱エ
ネルギーに変換することで安定化が可能になり劣化が抑
えられると思われる。また、電荷輸送材料が光及び放射
線エネルギーを熱エネルギーに変換させることで、電荷
発生材料の劣化も抑えられると思われる。よって、分子
量の大きい電荷輸送材料を用いた場合、光及び放射線に
よる電荷発生材料及び電荷輸送材料の劣化を抑制できる
と考えられる。
【0179】本発明においては、電荷輸送材料の分子量
が350以上700以下であることが好ましい。700
を超えると溶解性が低下するためか、電位特性及び環境
変動が悪化する傾向がみられるからである。
【0180】本発明における感光層が含有する電荷輸送
材料は、分子量350以上であればいずれのものでもよ
い。例えば、ポリ−N−ビニルカルバゾール及びポリス
チリルアントラセン等の複素環や縮合多環芳香族を有す
る高分子化合物や、ピラゾリン、イミダゾール、オキサ
ゾール、トリアゾール及びカルバゾール等の複素環化合
物、トリフェニルメタン等のトリアリールアルカン誘導
体、トリフェニルアミン等のトリアリールアミン誘導
体、フェニレンジアミン誘導体、N−フェニルカルバゾ
ール誘導体、スチルベン誘導体、ヒドラゾン誘導体及び
ブタジエン誘導体等が挙げられる。
【0181】以下に電荷輸送材料の化合物例とその分子
量を示す。化合物例No.1〜No.11は、分子量3
50未満なので本発明外の化合物である。もちろん本発
明に用いられる電荷輸送材料はこれらに限られるもので
はない。
【0182】
【化111】
【0183】
【化112】
【0184】
【化113】
【0185】
【化114】
【0186】
【化115】
【0187】
【化116】
【0188】
【化117】
【0189】
【化118】
【0190】
【化119】
【0191】
【化120】
【0192】本発明において、分子量が350以上であ
る電荷輸送材料以外の電荷輸送材料を更に添加すること
ができる。但し、本発明の効果を十分に得るためには分
子量が350以上である電荷輸送材料が感光層中の全電
荷輸送材料の50質量%以上であることが好ましく、更
に70質量%以上であることがより好ましい。
【0193】本発明の電子写真感光体の構成は、保護層
下に感光層として電荷発生材料を含有する電荷発生層及
び電荷輸送材料と結着樹脂を含有する電荷輸送層をこの
順に積層した積層型、また電荷発生材料と電荷輸送材料
と結着樹脂を同一層中に有する単層からなる単層型のい
ずれの構成をとることも可能である。
【0194】以下、積層型の感光層について説明する。
【0195】本発明における電荷輸送層は、電荷輸送材
料を結着樹脂と共に溶剤に分散/溶解した溶液を塗布
し、乾燥して形成することができる。
【0196】上記電荷輸送材料と共に用いる結着樹脂と
しては、従来用いられる電荷輸送層用の樹脂を用いるこ
とができ、例えば、ポリエステル、ポリカーボネート、
ポリアリレート、ポリメタクリル酸エステル及びポリス
チレン等が挙げられる。電荷輸送層の厚さは1〜50μ
mであることが好ましく、特には5〜30μmであるこ
とが好ましい。
【0197】この場合の電荷輸送材料と上記結着樹脂の
比率は、両者の全質量を100とした場合に電荷輸送材
料の質量が10〜100が好ましく、好ましくは20〜
100の範囲で適宜選択される。
【0198】本発明における電荷発生層は、電荷発生材
料を結着樹脂に分散した溶液を塗布し、乾燥することに
よって形成することが好ましいが、電荷発生材料のみを
蒸着することによって形成してもよい。
【0199】電荷発生材料としては、セレン−テルル、
ピリリウム、チアピリリウム系染料、また各種の中心金
属及び結晶系、具体的には例えばα、β、γ、ε及びX
型等の結晶型を有するフタロシアニン化合物、アントア
ントロン顔料、ジベンズピレンキノン顔料、ピラントロ
ン顔料、トリスアゾ顔料、ジスアゾ顔料、モノアゾ顔
料、インジゴ顔料、キナクリドン顔料、非対称キノシア
ニン顔料、キノシアニン及び特開昭54−143645
号公報に記載のアモルファスシリコン等が挙げられる。
【0200】電荷発生層は、前記電荷発生材料を0.3
〜4倍量の結着樹脂及び溶剤と共にホモジナイザー、超
音波分散、ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、
アトライター及びロールミル等の方法で良く分散し、分
散液を塗布し、乾燥されて形成されるか、又は前記電荷
発生材料の蒸着膜等、単独組成の膜として形成される。
その膜厚は5μm以下であることが好ましく、特に0.
1〜2μmの範囲であることが好ましい。
【0201】結着樹脂を用いる場合の例は、スチレン、
酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸エステル、メタク
リル酸エステル、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチ
レン、等のビニル化合物の重合体及び共重合体、ポリビ
ニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリカーボネ
ート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオ
キサイド、ポリウレタン、セルロース樹脂、フェノール
樹脂、メラミン樹脂、ケイ素樹脂及びエポキシ樹脂等が
挙げられる。
【0202】感光層が単層である場合は、上記電荷発生
材料及び分子量350以上の電荷輸送材料を上記結着樹
脂に分散及び溶解した溶液を塗布し、乾燥することによ
って形成することができる。
【0203】本発明における感光層には、各種添加剤を
添加することができる。該添加剤とは、酸化防止剤及び
紫外線吸収剤等の劣化防止剤や、フッ素原子含有樹脂微
粒子等の潤剤その他である。
【0204】電子写真感光体の支持体としては導電性を
有するものであればよく、例えばアルミニウム、銅、ク
ロム、ニッケル、亜鉛及びステンレス等の金属や合金を
ドラム又はシート状に成形したもの、アルミニウム及び
銅等の金属箔をプラスチックフィルムにラミネートした
もの、アルミニウム、酸化インジウム及び酸化錫等をプ
ラスチックフィルムに蒸着したもの、導電性物質を単独
又は結着樹脂と共に塗布して導電層を設けた金属、また
プラスチックフィルム及び紙等が挙げられる。
【0205】本発明においては、導電性支持体表面を化
成処理すなわち酸又はアルカリ水溶液との反応によって
化学的に処理して不溶性の皮膜を形成してもよい。
【0206】導電性支持体の上には、バリアー機能と接
着機能をもつ下引き層を設けることができる。下引き層
は、感光層の接着性改良、塗工性改良、支持体の保護、
支持体上の欠陥の被覆、支持体からの電荷注入性改良、
また感光層の電気的破壊に対する保護等のために形成さ
れる。
【0207】下引き層の材料としては、例えば、ポリエ
チレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアミ
ド樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール
樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ
イミド樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアセター
ル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニル
アルコール樹脂、水溶性ポリエステル樹脂、アルコール
可溶性ナイロン樹脂、ニトロセルロース、カゼイン、ゼ
ラチン、ポリグルタミン酸、澱粉、スターチアセテー
ト、アミノ澱粉、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド
等の樹脂、又はシランカップリング剤やジルコニウム、
チタニウム、アルミニウム、マンガン等を含有する有機
金属化合物等の金属有機化合物を、単独又は2種以上を
混合して用いることができる。これらは、それぞれに適
した溶剤に溶解されて支持体上に塗布される。その際の
膜厚としては、0.1〜5μmが好ましい。
【0208】これら各層の塗布方法としては、例えば、
浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、カーテ
ンコーティング法及びスピンコーティング法等が知られ
ているが、効率性/生産性の点からは浸漬コーティング
法が好ましい。また、蒸着、プラズマその他の公知の製
膜方法が適宜選択できる。
【0209】図1に本発明の電子写真感光体を有するプ
ロセスカートリッジを用いた電子写真装置の概略構成を
示す。
【0210】図において、1はドラム状の本発明の電子
写真感光体であり、軸2を中心に矢印方向に所定の周速
度で回転駆動される。電子写真感光体1は、回転過程に
おいて、一次帯電手段3によりその周面に正又は負の所
定電位の均一帯電を受け、次いで、スリット露光やレー
ザービーム走査露光等の露光手段(不図示)から出力さ
れる目的の画像情報の時系列電気デジタル画像信号に対
応して強調変調された露光光4を受ける。こうして電子
写真感光体1の周面に対し、目的の画像情報に対応した
静電潜像が順次形成されていく。
【0211】形成された静電潜像は、次いで現像手段5
によりトナー現像され、不図示の給紙部から電子写真感
光体1と転写手段6との間に電子写真感光体1の回転と
同期して取り出されて給紙された転写材7に、電子写真
感光体1の表面に形成担持されているトナー画像が転写
手段6により順次転写されていく。
【0212】トナー画像の転写を受けた転写材7は、電
子写真感光体面から分離されて像定着手段8へ導入され
て像定着を受けることにより画像形成物(プリント、コ
ピー)として装置外へプリントアウトされる。
【0213】像転写後の電子写真感光体1の表面は、ク
リーニング手段9によって転写残りトナーの除去を受け
て清浄面化され、更に前露光手段(不図示)からの前露
光光10により除電処理された後、繰り返し画像形成に
使用される。なお、一次帯電手段3が帯電ローラー等を
用いた接触帯電手段である場合は、前露光は必ずしも必
要ではない。
【0214】本発明においては、上述の電子写真感光体
1、一次帯電手段3、現像手段5及びクリーニング手段
9等の構成要素のうち、複数のものを容器11に納めて
プロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、こ
のプロセスカートリッジを複写機やレーザービームプリ
ンター等の電子写真装置本体に対して着脱自在に構成し
てもよい。例えば、一次帯電手段3、現像手段5及びク
リーニング手段9の少なくとも一つを電子写真感光体1
と共に一体に支持してカートリッジ化して、装置本体の
レール等の案内手段12を用いて装置本体に着脱自在な
プロセスカートリッジとすることができる。
【0215】また、露光光4は、電子写真装置が複写機
やプリンターである場合には、原稿からの反射光や透過
光、あるいは、センサーで原稿を読取り、信号化し、こ
の信号に従って行われるレーザービームの走査、LED
アレイの駆動及び液晶シャッターアレイの駆動等により
照射される光である。
【0216】本発明の電子写真感光体は、電子写真複写
機に利用するのみならず、レーザービームプリンター、
CRTプリンター、LEDプリンター、FAX、液晶プ
リンター及びレーザー製版等の電子写真応用分野にも広
く用いることができる。
【0217】
【実施例】以下、実施例に従って本発明を更に詳細に説
明する。なお、実施例中の「部」は質量部を表す。
【0218】(実施例1)まず導電層用の塗料を以下の
手順で調製した。10質量%の酸化アンチモンを含有す
る酸化スズで被覆した導電性酸化チタン粉体50部、フ
ェノール樹脂25部、メチルセロソルブ20部、メタノ
ール5部及びシリコーンオイル(ポリジメチルシロキサ
ンポリオキシアルキレン共重合体、平均分子量300
0)0.002部をφ1mmガラスビーズを用いたサン
ドミル装置で2時間分散して調製した。この塗料をφ3
0mmのアルミニウムシリンダー上に浸漬塗布方法で塗
布し、140℃で30分間乾燥することによって、膜厚
が20μmの導電層を形成した。
【0219】次に、N−メトキシメチル化ナイロン5部
をメタノール95部中に溶解し、中間層用塗料を調製し
た。この塗料を前記の導電層上に浸漬コーティング法に
よって塗布し、100℃で20分間乾燥することによっ
て、膜厚が0.6μmの中間層を形成した。
【0220】次に、CuKαの特性X線回折におけるブ
ラッグ角(2θ±0.2度)が9.0度、14.2度、
23.9度及び27.1度に強いピ−クを有するオキシ
チタニウムフタロシアニンを3部、ポリビニルブチラー
ル(商品名:エスレックBM2、積水化学(株)製)3
部及びシクロヘキサノン35部をφ1mmガラスビーズ
を用いたサンドミル装置で2時間分散して、その後に酢
酸エチル60部を加えて電荷発生層用塗料を調製した。
この塗料を前記の中間層の上に浸漬塗布方法で塗布し、
50℃で10分間乾燥することによって、膜厚が0.2
μmの電荷発生層を形成した。
【0221】次いで、電荷輸送材料として化合物例N
o.54を10部及び下記構造式(21)の繰り返し単
位を有するポリカーボネート樹脂10部を
【0222】
【化121】 モノクロロベンゼン50部/ジクロロメタン30部の混
合溶媒中に溶解し、電荷輸送層用塗布液を調製した。こ
の塗布液を前記の電荷発生層上に浸漬コーティングし、
110℃で1時間乾燥することによって、膜厚が20μ
mの電荷輸送層を形成した。
【0223】次いで、化合物例No.6の正孔輸送性化
合物60部をモノクロロベンゼン50部/ジクロロメタ
ン50部の混合溶媒中に溶解し保護層用塗料を調製し
た。この塗料をスプレーコーティング法により、先の電
荷輸送層上に塗布し、加速電圧150KV、線量30M
radの条件で電子線を照射し樹脂を硬化することによ
って、膜厚が5μmの保護層を形成し、電子写真感光体
を得た。
【0224】作製した電子写真感光体をキヤノン(株)
製LBP−SXに装着して初期電子写真特性を評価し
た。初期の感光体特性[光減衰感度(暗部電位−700
V設定で−200Vに光減衰させるために必要な光量)
及び残留電位Vsl(光減衰感度の光量の3倍の光量を
照射したときの電位)]を常温常湿環境下(23℃/5
0%RH)の環境で測定して求めた。その後、環境を高
温高湿下(32℃/85%RH)(H/H)に変え、V
lの常温常湿環境下からの変動量(ΔVl)を測定し
た。結果を表3に示す。
【0225】(実施例2〜22及び比較例1〜4)実施
例1の保護層中の正孔輸送性化合物、あるいは感光層中
の電荷輸送材料を表3の様に代えた以外は、実施例1と
同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。その結
果を表3に示す。
【0226】(実施例23)実施例1の電荷輸送材料の
化合物例No.54 10部を化合物例No.198部
及び化合物例No.54 2部に代えた以外は、実施例
1と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結
果を表4に示す。
【0227】(実施例24)実施例1の電荷輸送材料の
化合物例No.54 10部を化合物例No.53部及
び化合物例No.54 7部に代えた以外は、実施例1
と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果
を表4に示す。
【0228】(実施例25)実施例1の電荷輸送材料の
化合物例No.54 10部を化合物例No.57部及
び化合物例No.54 3部に代えた以外は、実施例1
と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果
を表4に示す。
【0229】(実施例26)まず、電子写真用感光体支
持体を以下の手順で得た。φ30mmアルミニウムシリ
ンダーを用意し、有機りん酸としてフィチン酸及び金属
としてチタニウムを含有するノンクロメート化成処理剤
液(商品名:パルコ−ト3753、日本パーカライジン
グ株式会社製 )を40℃の温度に保ち、この液中に上
記のアルミニウムシリンダーを浸漬し、1分間化成処理
を行った後、純水で洗浄し、自然乾燥させて支持体とし
た。
【0230】上記支持体上に実施例1と同様にして電荷
発生層、電荷輸送層、保護層を形成し、評価した。結果
を表4に示す。
【0231】(実施例27及び28)実施例26の電荷
輸送材料の化合物例No.54を化合物例No.29及
び化合物例No.68に代えた以外は、実施例26と同
様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表
4に示す。
【0232】(実施例29)φ30mmアルミニウムシ
リンダーをホーニング処理し、超音波水洗浄したものを
導電性支持体とした。
【0233】次に、メトキシエタノール160部にジル
コニウムテトラ−n−ブトキサイドの85%ブタノール
溶液(関東化学社製)64部(0.06mol)及びチ
タニウムテトラ−n−ブトキサイド(キシダ化学社製)
22部(0.14mol)を滴下し、メトキシエタノー
ル/純水=160部/11部の混合溶液を更に加える。
更に、アセチルアセトン20部をメタノール200部に
加えた溶液を滴下した後、ヒドロキシプロピルセルロー
ス(東京化成工業社製)の10質量%メタノール液55
部を混合して得た中間層塗布液をアルミニウムシリンダ
ー支持体上に浸漬塗布し、120℃で15分間加熱乾燥
させることによって、膜厚が0.3μmの中間層を形成
した。
【0234】上記中間層上に実施例1と同様にして電荷
発生層、電荷輸送層、保護層を形成し、評価した。結果
を表4に示す。
【0235】(実施例30及び31)実施例29の電荷
輸送材料の化合物例No.54を化合物例No.32及
び化合物例No.40に代えた以外は、実施例29と同
様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表
4に示す。
【0236】(実施例32)電荷輸送層用塗布液を以下
のように調製した以外は、実施例2と同様にして電子写
真感光体を作製し、評価した。結果を表4に示す。
【0237】電荷輸送材料の化合物例No.54 16
部、前記構造式(21)の繰り返し単位を有するポリカ
ーボネート樹脂4部及び酸化防止剤(商品名:イルガノ
ックス1330、チバガイギー社製)1部をモノクロロ
ベンゼン50部/ジクロロメタン30部の混合溶媒中に
溶解し、電荷輸送層用塗布液を調製した。
【0238】(実施例33)電荷輸送層用塗布液を以下
のように調製した以外は、実施例1と同様にして電子写
真感光体を作製し、評価した。結果を表4に示す。
【0239】電荷輸送材料の化合物例No.98 3部
と化合物例No.89 1部、前記構造式(21)の繰
り返し単位を有するポリカーボネート樹脂16部、酸化
防止剤(商品名:SumilizerGS、住友化学
(株)製)0.5部及び酸化防止剤(商品名:IRGA
FOS−168、日本チバガイギー社製)0.5部をモ
ノクロロベンゼン50部/ジクロロメタン30部の混合
溶媒中に溶解し、電荷輸送層用塗布液を調製した。
【0240】表3及び表4の実施例に示すように、分子
量350以上の電荷輸送材料を用いると電位特性及び環
境特性が良好であるのに対し、比較例に示すように分子
量350未満の電荷輸送材料を用いると感度低下、残留
電位の上昇を生じたものもあったり、また環境変動の大
きなものもあった。
【0241】
【表3】
【0242】
【表4】
【0243】
【発明の効果】本発明によれば、感度が良好であり、残
留電位の上昇が少なく、環境による電位変動が小さい等
の電子写真特性が非常に良好であり常に安定した性能を
発揮することができる電子写真感光体を提供することが
できた。
【0244】また、上記電子写真感光体の効果は、その
電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子
写真装置においても当然に発揮され、長期間高画質が維
持される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子写真感光体を有するプロセスカー
トリッジを用いる電子写真装置の概略構成の例を示す図
である。
【符号の説明】
1 電子写真感光体 2 軸 3 帯電手段 4 露光光 5 現像手段 6 転写手段 7 転写材 8 定着手段 9 クリーニング手段 10 前露光光 11 プロセスカートリッジ容器 12 案内手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 丸山 晶夫 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 雨宮 昇司 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 植松 弘規 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 田中 博幸 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 大地 敦 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 2H068 AA02 AA03 AA20 BB04 BB05 BB10 BB14 BB30 BB44 BB52 BB60 FA03

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性支持体、感光層及び保護層を有す
    る電子写真感光体において、該保護層が同一分子内に二
    つ以上の連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物を
    重合した化合物を含有し、かつ該感光層が分子量350
    以上の電荷輸送材料を含有することを特徴とする電子写
    真感光体。
  2. 【請求項2】 前記感光層が分子量350以上700以
    下の電荷輸送材料を含有する請求項1に記載の電子写真
    感光体。
  3. 【請求項3】 前記電荷輸送材料の割合が、前記感光層
    が含有する全電荷輸送材料に対し50質量%以上である
    請求項1又は2に記載の電子写真感光体。
  4. 【請求項4】 前記連鎖重合性官能基を有する正孔輸送
    性化合物が、下記一般式(1)である請求項1〜3のい
    ずれかに記載の電子写真感光体。 【化1】 (式中、Aは正孔輸送性基を示す。P1及びP2は連鎖重
    合性官能基を示す。P1とP2は同一でも異なっても良
    い。Zは置換基を有しても良い有機基を示す。a、b及
    びdは0以上の整数を示し、a+b×dは2以上の整数
    を示す。また、aが2以上の場合P1は同一でも異なっ
    てもよく、d が2以上の場合、Z及びP2は同一でも異
    なってもよい)
  5. 【請求項5】 上記一般式(1)のZが置換基を有して
    もよいアルキレン基、置換基を有してもよいアリーレン
    基、CR1=CR2(R1及びR2は置換基を有してもよい
    アルキル基、置換基を有してもよいアリール基又は水素
    原子を示し、R1及びR2は同一でも異なっても良い)、
    C=O、S=O、SO2、酸素原子又は硫黄原子より一
    つあるいは任意に組み合わされた有機基を示す請求項4
    のいずれかに記載の電子写真感光体。
  6. 【請求項6】 上記一般式(1)のZが下記一般式
    (2)で示される請求項4に記載の電子写真感光体。 【化2】 (式中、X1〜X3は置換基を有しても良いアルキレン
    基、(CR3=CR4m1、C=O、S=O、SO2、酸
    素原子又は硫黄原子を示し、Ar1〜Ar2は置換基を有
    しても良いアリーレン基を示す。R3及びR4は置換基を
    有しても良いアルキル基、置換基を有しても良いアリー
    ル基又は水素原子を示し、R3及びR4は同一でも異なっ
    ても良い。m1は1〜5の整数、p〜tは0〜10の整
    数を示す。但し、p〜tは同時に0であることはな
    い。)
  7. 【請求項7】 上記一般式(1)のZが下記一般式
    (3)で示される請求項4に記載の電子写真感光体。 【化3】 (式中、Ar3は置換基を有してもよいアリーレン基を
    示す。X4及びX5は(CH2m2、(CH=CR5m3
    C=O、又は酸素原子を示す。R5は置換基を有しても
    よいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基又は
    水素原子を示し、m2は1〜10の整数、m3は1〜5の
    整数、u〜wは0〜10の整数を示す。但し、u〜wは
    同時に0であることはない)
  8. 【請求項8】 同一分子内に二つ以上の連鎖重合性官能
    基を有する正孔輸送性化合物の化合物の酸化電位が0.
    4〜1.2(V)である請求項1〜7のいずれかに記載
    の電子写真感光体。
  9. 【請求項9】 上記一般式(1)で、AとP1及びZと
    の結合部位を水素原子に置き換えた正孔輸送性化合物が
    下記一般式(4)で示される請求項4〜8のいずれかに
    記載の電子写真感光体。 【化4】 (式中、R6、R7及びR8は置換基を有しても良いアル
    キル基、置換基を有しても良いアラルキル基又は置換基
    を有しても良いアリール基を示す。但し、少なくともそ
    のうち2つはアリール基を示す。また、R6、R7及びR
    8はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい)
  10. 【請求項10】 上記一般式(4)のR6、R7及びR8
    が置換基を有しても良いアリール基である請求項9に記
    載の電子写真感光体。
  11. 【請求項11】 上記一般式(1)で、AとP1及びZ
    との結合部位を水素原子に置き換えた正孔輸送性化合物
    が下記一般式(5)で示される請求項4〜8のいずれか
    に記載の電子写真感光体。 【化5】 (式中、R9〜R12は置換基を有しても良いアルキル
    基、置換基を有しても良いアラルキル基又は置換基を有
    しても良いアリール基を示す。また、R9〜R12はそれ
    ぞれ同一であっても異なっていてもよい。Ar4及びA
    5は置換基を有しても良いアリーレン基を示し、それ
    ぞれ同一でも異なっても良い。m4は0又は1を示す)
  12. 【請求項12】 上記一般式(5)のm4が1であり、
    かつR9〜R12が置換基を有しても良いアリール基であ
    る請求項11に記載の電子写真感光体。
  13. 【請求項13】 連鎖重合性官能基P1、P2の一方又は
    両方が下記一般式(6)で示される不飽和重合性官能基
    である請求項4〜12のいずれかに記載の電子写真感光
    体。 【化6】 (式中、Eは水素原子、ハロゲン原子、置換基を有して
    もよいアルキル基及び置換基を有してもよいアリール
    基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、−COOR13
    {R13は水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよ
    いアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基又は
    置換基を有してもよいアリール基)又は−CONR14
    15{R14及びR15は水素原子、ハロゲン原子、置換基を
    有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラル
    キル基又は置換基を有してもよいアリール基を示し、互
    いに同一であっても異なっていてもよい)を示し、Wは
    置換基を有してもよいアリーレン基、置換基を有しても
    よいアルキレン基、−COO−、−CH2−、−O−、
    −OO−、−S−又は−CONR16−{R16は水素原
    子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、
    置換基を有してもよいアラルキル基又は置換基を有して
    もよいアリール基}を示す。fは0又は1を示す。)
  14. 【請求項14】 連鎖重合性官能基P1、P2の一方又は
    両方が下記一般式(7)〜一般式(13)の何れかであ
    る請求項4〜12のいずれかに記載の電子写真感光体。 【化7】
  15. 【請求項15】 連鎖重合性官能基P1、P2の一方又は
    両方が上記一般式(7)あるいは一般式(8)である請
    求項14に記載の電子写真感光体。
  16. 【請求項16】 重合が電子線により行われる請求項1
    〜15のいずれかに記載の電子写真感光体。
  17. 【請求項17】 電子線の加速電圧が250KV以下で
    ある請求項16に記載の電子写真感光体。
  18. 【請求項18】 電子線の線量が1〜100Mradで
    ある請求項16又は17に記載の電子写真感光体。
  19. 【請求項19】 請求項1〜18のいずれかに記載の電
    子写真感光体を、該電子写真感光体を帯電させる帯電手
    段、静電潜像の形成された電子写真感光体をトナーで現
    像する現像手段、及び転写工程後の電子写真感光体上に
    残余するトナーを回収するクリーニング手段からなる群
    より選ばれた少なくとも一つの手段と共に一体に支持
    し、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とす
    るプロセスカートリッジ。
  20. 【請求項20】 請求項1〜18のいずれかに記載の電
    子写真感光体、該電子写真感光体を帯電させる帯電手
    段、帯電した電子写真感光体に対し露光を行い静電潜像
    を形成する露光手段、静電潜像の形成された電子写真感
    光体にトナーで現像する現像手段、及び電子写真感光体
    上のトナー像を転写材上に転写する転写手段を備えるこ
    とを特徴とする電子写真装置。
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