JP2001158743A - 乳酸菌含有組成物、医薬及び食品 - Google Patents
乳酸菌含有組成物、医薬及び食品Info
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Abstract
有する乳酸菌の当該薬理作用を増加させ、乳酸菌が消化
管及び/又は泌尿生殖器から排出されることに抗するこ
とができる乳酸菌含有組成物を提供する。 【解決手段】 消化管及び/又は泌尿生殖器に対する薬
理作用を有する乳酸菌を含有する乳酸菌含有組成物であ
って、前記薬理作用を増大させるために、無機ゲルを含
有させることにより乳酸菌の消化管及び/又は泌尿生殖
器への付着性を向上させた乳酸菌含有組成物。
Description
組成物、これを用いる医薬及び食品に関する。
では整腸薬として効能が認められ、長い間の使用経験か
ら極めて安全性に優れた医薬品とされてきた。また、乳
酸菌製剤の有効成分である局外規ビフィズス菌、局外規
ラクトミンに含まれるラクトバシラス・アシドフィル
ス、ストレプトコッカス・フェカリス等はヒトの腸内細
菌として腸内に生息し、健康維持及び増大に極めて重要
な働きをしていることが判っている。
が確実であること、副作用が少ないこと等から、現在、
新しい開発研究が続けられている。なかでも、近年、乳
酸菌適用について目ざましい発展が期待されているの
が、抗胃炎、抗潰瘍、及び、泌尿生殖器における抗感染
症の分野である。
ジン、ラニチジン、ファモチジン等のH2 −受容体拮抗
薬、オメプラゾール等のプロトンポンプ阻害剤、更に胃
粘膜保護剤が開発され、これらの薬剤は優れた治療成績
をおさめてきた。しかしながら、完治したはずの潰瘍が
再発・再燃を繰り返す症例が見受けられ、その原因が、
胃粘膜の生検組織に存在するヘリコバクター・ピロリ
(Helicobacter pylori)であるこ
とが判明した。
るグラム陰性の微好気性、らせん状の桿菌である。本菌
はその強いウレアーゼ活性によって、寄主由来の尿素を
アンモニアに分解して胃酸を中和し、胃の中での生育を
可能にしているものと考えられている。
性潰瘍における新しい治療薬として世界中に認知される
ことになり、これまでペニシリンやアモキシシリン、ア
ンピシリン等のβ−ラクタム剤、エリスロマイシンやク
ラリスロマイシン、アジスロマイシン、ロキシスロマイ
シン等のマクロライド剤、アルベカシンやゲンタミシン
等のアミノ配糖体抗生物質、テトラサイクリン系抗生物
質及び抗原虫薬として使用されているメトロニダゾー
ル、更にはビスマス製剤を用いたヘリコバクター・ピロ
リの除菌効果が明らかにされ、実際に欧米では使用され
ている。
ポンプ阻害剤等の抗潰瘍剤において、ヘリコバクター・
ピロリに対する抗菌活性を併せ持つ化合物の開発が行わ
れ、製品化されつつある。以上のように、胃炎又は胃・
十二指腸潰瘍の治療及び再発防止を目的としてヘリコバ
クター・ピロリに抗菌活性を有する抗生物質等で除菌す
る試みがなされてきた。
与では通常の感染治療に使用する量よりはるかに多量の
投与が必要であり、また投与期間も長くなるため、新た
な耐性菌の発現のおそれがあり、また副作用併発の危惧
があった。
いられるこれら抗生物質に代わるものとして、乳酸菌等
のプロバイオテクスによる方法が考えられた。特許第2
67247号公報には、ラクトバシラス・アシドフィル
スの菌株が、腸及び胃細胞からヘリコバクター・ピロリ
を排除する効果を有する旨が開示されている。しかしな
がら、ラクトバシラス・アシドフィルスを実際に患者に
投与した結果、期待した効果が得られないことが判っ
た。
トバシラス・サリバリウス、ラクトバシラス・ブレビス
の菌株が抗胃炎、抗潰瘍作用を有する旨が開示されてい
る。これらは一定の効果を有するものの、乳酸菌を経口
投与した場合、速やかに胃や十二指腸から排出される可
能性が高く、このためにヘリコバクター・ピロリを排除
する効果は著しく減弱する欠点があった。
待されている二つめの分野は、腸管出血性大腸菌(En
terohemorrhagic Escherich
iacoli;EHEC)の除菌への適用である。19
77年に発見されたEHECは、その血清型の半数以上
がO157:H7であるため、病原性大腸菌O157と
して知られる病原菌である。
取が原因となる集団食中毒事例が多く、下痢、腹痛等の
初期症状に始まり、強い腹痛と血便を伴う出血性大腸炎
を呈するうえ、重傷者は合併症として溶血性尿毒素症症
候群、血栓性血小板減少性紫斑病、脳症を併発し、最悪
の場合死に至る。本感染症の病原因子はEHECの産生
するベロ毒素(Vero toxin:VT)である。
VTは、志賀赤痢菌の産生する志賀毒素と同じVT1
と、生物活性はVT1に似るが物理化学的性質や免疫学
的性質の異なるVT2との、2種類に分類され、別名志
賀毒素様毒素(Shiga−like toxin)と
も呼ばれている。
そのRNA N−グリコシダーゼ活性が引き起こす蛋白
合成阻害作用によって、強いマウス致死作用、細胞毒
性、腸管毒性を発現する。EHEC感染症に対しては、
ホスホマイシン、ノルフロキサシン、カナマイシン等の
抗菌剤が使用されているが、現在適切な治療法がなく、
新しい治療方法の開発が望まれている。
待されている三つめの分野は、食物アレルギー治療への
適用である。食物アレルギー羅患者の数は世界的規模で
増加する傾向にあり、特に先進国において著しい。食物
アレルギーの予防・治療には原因食物の除去や抗アレル
ギー剤の投与が行われていたが、原因食物の除去には、
肉体的、精神的負担が大きく、家庭生活や集団生活上の
制限等、多くの問題がある。抗アレルギー剤の長期投与
には、副作用のおそれが大きい。
数増加の原因として、ヒトが種々の病原微生物に感染す
る機会が減少したため、ヒトがこれら抗原刺激に対して
過剰に反応する体質となってしまったとする説がある。
実験的に作製された無菌動物における生体防御機構の特
徴の一つとして、食物抗原の侵入に対して過剰に反応す
ることが知られている。
に比較して、アレルギー患者の羅患率が有意に高く、高
IgE血症の発症率も有意に高いことが判っているが、
人工栄養児では母乳栄養児に比べ、糞便菌数を調べると
ビフィズス菌の菌数が有意に低く、逆にクロストリジウ
ム、シュードモナスの菌数及び検出率が高いことが判っ
ている(乳児栄養と腸内フローラ、光岡和足編「腸内フ
ローラと栄養」13頁、学会出版センター、1983
年)。
細胞とTh2細胞のバランスが関与しており、Th1細
胞の比率が減少すると、アレルギーの発症につながるこ
と(最新医学、72−79頁、53巻、12号、199
8年)、Th1細胞はIL−12により誘導されること
(医学のあゆみ、85−89頁、180巻、1997
年)、また、乳酸菌がIL−12産生促進作用を有する
こと(特開平10−139674号公報)等が報告され
ている。そこで、乳酸菌、特にビフィズス菌を摂取させ
ることにより、食物アレルギーを予防し治療することが
期待されている。
ます広くかつ重要になりつつあるものの、乳酸菌を投与
した場合、乳酸菌はすみやかに消化管から排出されてし
まうので、これに抗して薬理作用を維持し増加させる有
効な方法が存在しないことが、本質的な問題となってい
た。
展が期待されている四つめの分野は、泌尿生殖器におけ
る感染症の治療及び/又は予防への適用である。正常で
健康な女性の膣内には乳酸桿菌ラクトバシラスを主とす
るバランスのとれた細菌叢が形成されている。しかし、
膣自浄作用の低下、子宮内避妊具の装着、化学的・機械
的刺激、エストロゲン機能の失調、性交感染等により膣
内細菌叢のバランスが崩れると、ラクトバシラスが多数
の複数の菌種に置き代わり、細菌性膣症や真菌性膣炎の
発症に到る。また、ラクトバシラスは、尿道末端におい
ても防御バイオフィルムを形成すると考えられており、
これにより、大腸菌等のグラム陰性桿菌が肛門周囲から
上行し、尿道末端に感染するのを防いでいる。このた
め、ラクトバシラスによる防御バイオフィルムが破壊さ
れると、再発性尿路感染症の発症に繋がる場合もある。
放置すると、骨盤内感染症や術後感染症、周産期感染症
等の更に重篤な疾患に発展するおそれがあり、また、細
菌性膣症に罹患している患者はHIVに感染しやすいと
いう報告もある(AIDS、1699−1706頁、1
2巻、1998年)。
て、乳酸菌のプロバイオテクスを使用する試みがなされ
ている(The Japanese Journal
of Antibiotics、51−12頁、759
巻(39号)、1998年;FEMS Immnolo
gy and Medical Microbiolo
gy、251−264頁、6巻、1993年)。しか
し、これらの泌尿生殖器における感染症は、沈静化して
も再発を繰り返し、完治が困難であるという特徴を有す
る。
ます広くかつ重要になりつつあるものの、乳酸菌を投与
した場合、乳酸菌はすみやかに泌尿生殖器から流出して
てしまうので、これに抗して薬理作用を維持し増加させ
る有効な方法が存在しないことが、本質的な問題となっ
ていた。
鑑み、消化管及び/又は泌尿生殖器への薬理作用を有す
る乳酸菌の当該薬理作用を増加させ、乳酸菌が消化管及
び/又は泌尿生殖器から排出されることに抗することが
できる乳酸菌含有組成物を提供することを目的とするも
のである。
又は泌尿生殖器に対する薬理作用を有する乳酸菌を含有
する乳酸菌含有組成物であって、上記薬理作用を増大さ
せるために、無機ゲルを含有させることにより乳酸菌の
消化管及び/又は泌尿生殖器への付着性を向上させた乳
酸菌含有組成物である。
作用を有する乳酸菌を含有する乳酸菌含有組成物が、消
化管及び/又は泌尿生殖器から排出されることに抗し
て、当該薬理作用を増大させるためには、消化管及び/
又は泌尿生殖器に長期間滞留せしめることが有効である
こと、そのためには、消化管及び/又は泌尿生殖器への
乳酸菌の付着性を向上せしめることが有効であることに
想到し、本発明を完成させたものである。
殖器への長期間滞留、消化管及び/又は泌尿生殖器への
付着性向上、という一連の工夫は、机上では容易に考え
られるものであるかも知れないが、乳酸菌に対してこの
ような発想を抱くことは、乳酸菌の消化管及び/又は泌
尿生殖器への付着が技術的に困難な状況下においては、
極めて困難なことであった。後に詳述する付着性向上効
果を有する具体的物質を取得することにより、本発明者
らは、初めて本発明に到達することができたものであ
る。
を行う管の総称であり、例えば、口腔、食道、胃、小
腸、大腸、直腸等を挙げることができる。本明細書にお
いて泌尿生殖器とは、尿の生成・排出に関与する器官、
及び、生殖に関与する器官の総称であり、例えば、女性
外陰、膣、男性性器、尿路等を挙げることができる。本
明細書において消化管及び/又は泌尿生殖器とは、消化
管のみ、泌尿生殖器のみ、並びに、消化管及び泌尿生殖
器の両方の、いずれをも意味する。
乳酸菌を含有してなる組成物を意味する。本明細書にお
いて乳酸菌の消化管及び/又は泌尿生殖器への付着と
は、乳酸菌が消化管及び/又は泌尿生殖器管粘膜上皮細
胞表面に存在している状態が継続することを意味し、乳
酸菌の消化管及び/又は泌尿生殖器への付着性の向上と
は、消化管及び/又は泌尿生殖器粘膜上皮細胞表面に存
在している状態が継続する乳酸菌の菌数が増加すること
を意味する。本発明においては、上記菌数(付着個数と
もいう)の増加は、無処理の場合に対して最低でも5倍
程度、通常10〜50倍という極めて多量に及ぶもので
ある。
付着性が向上することにより、乳酸菌が有する薬理作用
が増加することは、本発明者らの実験により確認されて
いる。従って、乳酸菌の消化管及び/又は泌尿生殖器へ
の付着性の向上は、極めて有効な薬理作用の増加方法で
あることが明白である。また、薬理作用を増加させるた
めには、消化管及び/又は泌尿生殖器へ付着させる乳酸
菌は、生菌であることが好ましいことも判明している。
有する。上記乳酸菌は、ヒト又は動物に有用な乳酸桿菌
として、例えば、ラクトバシラス・サリバリウス、ラク
トバシラス・アシドフィルス、ラクトバシラス・ブレビ
ス、ラクトバシラス・ラムノーサス、ラクトバシラス・
プランタラム、ラクトバシラス・ヘルベティカス、ラク
トバシラス・ファーメンタム、ラクトバシラス・パラカ
ゼイ、ラクトバシラス・カゼイ、ラクトバシラス・デル
ブリュッキイ、ラクトバシラス・ロイテリ、ラクトバシ
ラス・ブルネリ、ラクトバシラス・ガッセリ、ラクトバ
シラス・ジョンソニイ、ラクトバシラス・ケフィア等を
挙げることができる。
ッカス・ラクティス、ラクトコッカス・プランタラム、
ラクトコッカス・ラフィノラクティス、エンテロコッカ
ス・フェカリス、エンテロコッカス・フェシウム、スト
レプトコッカス・サーモフィルス、ロイコノストック・
ラクティス、ロイコノストック・メセンテロイデス等を
挙げることができる。
ィドバクテリウム・アニマルズ、ビフィドバクテリウム
・ビフィダム、ビフィドバクテリウム・ブレーベ、ビフ
ィドバクテリウム・インファンティス、ビフィドバクテ
リウム・ロンガム、ビフィドバクテリウム・シュードロ
ンガム、ビフィドバクテリウム・サーモフィラム、ビフ
ィドバクテリウム・アドレセンティス等を挙げることが
できる。これらの乳酸菌は、一種又は二種以上の菌種を
配合して用いることができる。
って任意の条件で培養し、得られた培養物から遠心分離
等の集菌手段によって分離されたものをそのまま本発明
のために用いることができる。
理作用を増大させるために、無機ゲルを含有させること
により乳酸菌の消化管及び/又は泌尿生殖器への付着性
を向上させたものである。
溶液(ゾル)が、濃縮や粒子の成長等が原因となり、液
中に分離してできる綿状又はのり状沈殿物である。上記
無機ゲルとしては特に限定されず、例えば、リン酸カル
シウムゲル、水酸化アルミニウムゲル、水酸化鉄ゲル、
水酸化亜鉛ゲル等を挙げることができる。
ルシウムイオンを含む溶液とリン酸イオンを含む溶液と
を混合することによって得られるものである。上記リン
酸カルシウムゲルは、吸着剤としてタンパク質の分離・
精製に用いられており、更に、トリカルシウムフォスフ
ェートやヒドロキシアパタイト等の歯科材料等の前駆体
としても用いられている。
シウムゲルの使用量は、乳酸菌1×108 個に対して
0.015mg以上が好ましい。より好ましくは0.0
5mg以上である。上記リン酸カルシウムゲルの調製方
法としては、例えば、リン酸生理緩衝液(以下、PBS
という)に塩化カルシウム溶液を添加する方法等を挙げ
ることができる。
アルミニウムイオンを含む溶液とヒドロキシイオンを含
む溶液とを混合することによって得られるものであり、
制酸剤、賦形剤、流動化剤等として医薬品の分野で使用
されている。
ミニウムゲルの使用量は、乳酸菌1×108 個に対して
0.01mg以上が好ましい。より好ましくは0.1m
g以上である。上記水酸化アルミニウムゲルの調製方法
としては、例えば、塩化アルミニウム溶液に水酸化ナト
リウム溶液を添加する方法等を挙げることができる。
ンを含む溶液とヒドロキシイオンを含む溶液とを混合す
ることによって得られるものであり、その加工品である
水酸化鉄微粒子は、汚水処理の吸着剤等の原材料として
使用されている。本発明における乳酸菌に対する水酸化
鉄ゲルの使用量は、乳酸菌1×108 個に対して0.1
mg以上が好ましい。より好ましくは0.5mg以上で
ある。上記水酸化鉄ゲルの調製方法としては、例えば、
塩化第二鉄溶液に水酸化ナトリウム溶液を添加する方法
等を挙げることができる。
ンを含む溶液とヒドロキシイオンを含む溶液とを混合す
ることによって得られるものであり、セラミックスの前
駆物質として用いられている。本発明における乳酸菌に
対する水酸化亜鉛ゲルの使用量は、乳酸菌1×108 個
に対して0.1mg以上が好ましい。より好ましくは
0.5mg以上である。上記水酸化亜鉛ゲルの調製方法
としては、例えば、塩化亜鉛溶液に水酸化ナトリウム溶
液を添加する方法等を挙げることができる。
で、又は、2種以上を併用して用いることができる。
ター・ピロリの除菌のために用いることができる。既に
述べたように乳酸菌はヘリコバクター・ピロリの除菌効
果を有するが、本発明の消化管への付着性を向上させた
乳酸菌含有組成物は、ヘリコバクター・ピロリの除菌に
対して、乳酸菌を単独で含有する組成物に比較して極め
て優れた効果を発現する。
大腸菌の除菌のために用いることができる。既に述べた
ように乳酸菌は腸管出血性大腸菌の除菌効果を有する
が、本発明の消化管への付着性を向上させた乳酸菌含有
組成物は、腸管出血性大腸菌の除菌に対して、乳酸菌を
単独で含有する組成物に比較して極めて優れた効果を発
現する。
ギー症治療のために用いることができる。既に述べたよ
うに乳酸菌は食物アレルギー症治療効果を有することが
確認されているが、本発明の消化管への付着性を向上さ
せた乳酸菌含有組成物は、食物アレルギー症治療に対し
て、乳酸菌を単独で含有する組成物に比較して極めて優
れた効果を発現する。
における感染症の治療及び/又は予防のために用いるこ
とができる。既に述べたように乳酸菌は泌尿生殖器にお
ける感染症の治療及び/又は予防効果を有することが確
認されているが、本発明の泌尿生殖器への付着性を向上
させた乳酸菌含有組成物は、泌尿生殖器における感染症
の治療及び/又は予防に対して、乳酸菌を単独で含有す
る組成物に比較して極めて優れた効果を発現する。上記
泌尿生殖器における感染症としては特に限定されず、例
えば、細菌性膣症、真菌性膣炎、再発性尿路感染症等を
挙げることができる。
で製造することができる。本発明の乳酸菌含有組成物の
製造方法としては特に限定されず、例えば、無機ゲルと
乳酸菌懸濁液や乳酸菌の濃縮菌体とを混合する方法、無
機ゲルを水に懸濁した液と乳酸菌懸濁液や乳酸菌の濃縮
菌体とを混合する方法、無機ゲルを水に懸濁した液と乳
酸菌粉末とを混合する方法、無機ゲル粉末と乳酸菌粉末
とを混合する方法等を挙げることができる。更に、これ
らに適当な安定化剤を加えて凍結乾燥等の乾燥によって
粉末化してもよい。
しては、濃度は特に制限されないが、温度やpHは乳酸
菌及び無機ゲルの安定性を考慮して設定することが望ま
しい。例えば、乳酸菌懸濁液及び無機ゲル懸濁液の温度
は60℃以下、pHは5から9が好ましい。
有組成物は、医薬又は食品としてヒト又は動物に対して
投与又は摂取される。本発明の乳酸菌含有組成物からな
る医薬もまた、本発明の一つであり、本発明の乳酸菌含
有組成物からなる食品もまた、本発明の一つである。
とするためには、常法に従って種々の形態とされる。消
化管に対する投与形態としては、例えば、散剤、細粒
剤、顆粒剤、カプセル剤、錠剤、トローチ剤、シロップ
剤、ゼリー剤等を挙げることができ、これらの投与形態
をとることにより経口的に安全に投与又は摂取すること
ができる。泌尿生殖器に対する投与形態としては、例え
ば、坐剤、錠剤、カプセル剤、クリーム剤、ゲル、軟
膏、ローション、洗浄剤、潅注液等を挙げることができ
る。
組成物に、賦形剤、結合剤、崩壊剤、コーティング剤、
滑沢剤等の医薬又は食品の製造技術分野において通常使
用しうる添加剤を加えて、常法に従って製剤化すること
ができる。
糖、マンニトール、グルコース等の糖類;トウモロコシ
デンプン、バレイショデンプン、コメデンプン、部分α
化デンプン等のデンプン類等を挙げることができる。
デキストリン、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、
グアーガム、アラビアゴム、寒天等の多糖類;トラガン
ト、ゼラチン、グルテン等の天然高分子類;ヒドロキシ
プロピルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプ
ロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキ
シプロピルエチルセルロース、カルボキシメチルセルロ
ースナトリウム等のセルロース誘導体;ポリビニルピロ
リドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテー
ト、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸、ポリメ
タクリル酸、酢酸ビニル樹脂等の合成高分子等を挙げる
ことができる。
メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシ
ウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等のセル
ロース誘導体;カルボキシメチルスターチナトリウム、
ヒドロキシプロピルスターチ、トウモロコシデンプン、
バレイショデンプン、コメデンプン、部分α化デンプン
等のデンプン類等を挙げることができる。
テアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マ
グネシウム、コロイダルシリカ、含水二酸化ケイ素、ワ
ックス類、硬化油等を挙げることができる。
メチルアミノエチルメタアクリレート・メタアクリル酸
共重合体、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテ
ート、アクリル酸エチル・メタアクリル酸共重合体、ア
クリル酸エチル・メタアクリル酸メチル・メタアクリル
酸塩化トリメチルアンモニウムエチル共重合体、エチル
セルロース等の水不溶性高分子;メタアクリル酸・アク
リル酸エチル共重合体、ヒドロキシプロピルメチルセル
ロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロー
スアセテートサクシネート等の腸溶性高分子;メチルセ
ルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリ
ビニルピロリドン、ポリエチレングリコール等の水溶性
高分子等を挙げることができる。
象疾患、疾病の程度によって異なるが、例えば、成人に
対して生菌数で1日1×106 個以上を、好ましくは1
×10 8 〜1×1012個を必要に応じて1日1回又は数
回に分けて投与することができる。
品に添加してもよく、摂取時に食品に添加してもよい。
上記食品としては特に制限されず、例えば、ヨーグルト
等の発酵乳等を挙げることができる。
本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらのみに
限定されるものではない。なお、本発明の効果の検討で
は、細胞のモデルとしては、常法で用いられているよう
にヒト胃癌細胞MKN45(JCRB 0254、山口
晴之ら、感染症学雑誌、72巻、487頁、1998
年)を用いているが、これはin vitroでの検討
を容易にするためである。
なるようにグルコースを添加したGAMブイヨン(日水
製薬社製)に接種後、37℃、16時間、又は、37
℃、24時間液体培養を行った。培養終了後、3000
rpm、5分間遠心分離を行い培養液の濃縮菌体を得
た。更に、得られた菌体に、リン酸緩衝生理食塩液(以
下「PBS」という、日水製薬社製)を加えて乳酸菌を
3×108 個/mL含む懸濁液を得た。
して100mLとし、1M塩化カルシウム溶液とした。
更に、この溶液を蒸留水にて適宜希釈し、0.5Mおよ
び0.25Mの塩化カルシウム溶液とした。続いて、乳
酸菌懸濁液10mLに対して上記の塩化カルシウム溶液
を0.1mL加え、0.04〜0.16mg/mLのリ
ン酸カルシウムゲルを含む乳酸菌含有組成物を得た。
うにして検討した。胃癌細胞MKN45を細胞濃度が5
×104 個/mLになるように10%牛胎児血清を含む
RPM11640培地に懸濁させ、96穴マイクロプレ
ート1穴あたり100μL分注した。37℃で3日間培
養後、マイクロプレートに付着した胃癌細胞MKN45
をPBSで3回洗浄し胃癌細胞MKN45の単層を調製
した。乳酸菌含有組成物懸濁液又は乳酸菌懸濁液0.1
mLを胃癌細胞MKN45の単層に加えて、37℃、1
0分間インキュベートした後、胃癌細胞MKN45をP
BSで洗浄した。次に、乳酸菌をグラム染色し、光学顕
微鏡を用いて細胞に付着した乳酸菌をカウントした。そ
の結果、本発明の乳酸菌含有組成物は胃癌細胞MKN4
5への高い付着性を示した。結果は表1に示した。
更に、塩化ナトリウム0.9gを加えて溶解させた。続
いて、1N水酸化ナトリウムを添加してpHを7.0に
調整し、更に、蒸留水を加えて100mLとし、0.1
5〜0.6mg/mLの水酸化アルミニウムゲルを得
た。
濁液を3000rpmで10分間遠心分離し、上清を除
いて濃縮菌体とした。この菌体に、水酸化アルミニウム
ゲルを加えて混合し乳酸菌含有組成物を得た。
うにして検討した。胃癌細胞MKN45を細胞濃度が5
×104 個/mLになるように10%牛胎児血清を含む
RPM11640培地に懸濁させ、96穴マイクロプレ
ート1穴あたり100μL分注した。37℃で3日間培
養後、マイクロプレートに付着した胃癌細胞MKN45
をPBSで3回洗浄し胃癌細胞MKN45の単層を調製
した。乳酸菌含有組成物懸濁液又は乳酸菌懸濁液0.1
mLを胃癌細胞MKN45の単層に加えて、37℃、1
0分間インキュベートした後、胃癌細胞MKN45を生
理食塩水で洗浄した。次に、乳酸菌をグラム染色し、光
学顕微鏡を用いて細胞に付着した乳酸菌をカウントし
た。その結果、本発明の乳酸菌含有組成物は胃癌細胞M
KN45への高い付着性を示した。結果は表2に示し
た。
リウム0.9gを加えて溶解させた。続いて、1N水酸
化ナトリウムを添加してpHを7.0に調整し、更に、
蒸留水を加えて100mLとし、0.4〜6.4mg/
mLの水酸化鉄ゲルを得た。
(ラクトバシラス・サリバリウスWB1004)懸濁液
を3000rpmで10分間遠心分離し、上清を除いて
濃縮菌体とした。この菌体に、水酸化鉄ゲルを加えて混
合し乳酸菌含有組成物を得た。
2と同様の方法にて検討した結果、本発明の乳酸菌含有
組成物は胃癌細胞MKN45への高い付着性を示した。
結果は表3に示した。
ウム0.9gを加えて溶解させた。続いて、1N水酸化
ナトリウムを添加してpHを7.0に調整し、更に、蒸
留水を加えて100mLとし、0.4〜6.4mg/m
Lの水酸化亜鉛ゲルを得た。
(ラクトバシラス・サリバリウスWB1004)懸濁液
を3000rpmで10分間遠心分離し、上清を除いて
濃縮菌体とした。この菌体に、水酸化亜鉛ゲルを加えて
混合し乳酸菌含有組成物を得た。
例2と同様の方法にて検討した結果、本発明の乳酸菌含
有組成物は胃癌細胞MKN45への高い付着性を示し
た。結果は表4に示した。
調べるため、薬理作用物質の一つである乳酸に着目し、
細胞に付着した乳酸菌の産生する乳酸量を、以下の方法
により測定した。
トバシラス・サリバリウスWB1004及びラクトバシ
ラス・ガッセリJCM1131)含有組成物を、実施例
1と同様の方法で胃癌細胞MKN45に添加した。PB
Sで3回洗浄した後、ハンクス平衡塩溶液(ギブコ社
製)0.1mLを添加して、37℃で6時間インキュベ
ートした。上清中に産生した乳酸をメタノール硫酸によ
りメチルエステル化した後、クロロホルムにより抽出
し、ガスクロマトグラフィーで定量した。その結果、無
機ゲル存在下で細胞に付着した乳酸菌は高い乳酸産生量
を示した。結果は表5に示した。
サリバリウスWB1004及びラクトバシラス・ガッセ
リJCM1131)含有組成物を、実施例2と同様の方
法で胃癌細胞MKN45に添加した。生理食塩水で3回
洗浄した後、ハンクス平衡塩溶液(ギブコ社製)0.1
mLを添加して、37℃で6時間インキュベートした。
上清中に産生した乳酸をメタノール硫酸によりメチルエ
ステル化した後、クロロホルムにより抽出し、ガスクロ
マトグラフィーで定量した。その結果、無機ゲル存在下
で細胞に付着した乳酸菌は高い乳酸産生量を示した。結
果は表6に示した。
調べるため、乳酸菌のマウス胃壁への付着性を以下の方
法により測定した。実施例1と同様の方法で得られた乳
酸菌(ラクトバシラス・サリバリウスWB1004)懸
濁液を2000rpmで10分間遠心分離し、上清を除
いて濃縮菌体とした。別に塩化カルシウム11.1gを
蒸留水に溶解して100mLとし、1M塩化カルシウム
溶液とした。更に、この溶液を蒸留水にて適宜希釈し、
0.5Mおよび0.25Mの塩化カルシウム溶液とし
た。続いて上記濃縮菌体に、リン酸水素二ナトリウム溶
液を加えて混合し、乳酸菌懸濁液とした。得られた乳酸
菌懸濁液10mLに対して、上記の塩化カルシウム溶液
を0.1mL加え、2.0〜8.0mg/mLのリン酸
カルシウムゲルを含む乳酸菌含有組成物を得た。
コマイシンを10μg/mL、ナリジキシ酸を10μg
/mLとなるように飲水に添加し、ICRマウス(雄、
6週齢)を4日間飼育し、胃内の菌を除菌した。続い
て、飲水を滅菌水に変え、一晩(15時間)絶食させた
後に試料懸濁液0.5mL(1.6〜2.4×109 C
FU/mL)を経口投与した。投与30分後、マウスの
胃を摘出し、胃内容物を除去した後、更にPBSで洗浄
した。胃重量の9倍量の0.5M塩化ナトリウムを加え
てガラスホモジナイザーでホモジナイズし、得られたホ
モジネートを0.5M塩化ナトリウムで適宜希釈した
後、変法LBS寒天培地のシャーレに塗布した。シャー
レを37℃、24時間嫌気培養して出現したコロニー数
により胃に付着した菌数を求めた。結果、無機ゲル存在
下で乳酸菌はマウス胃壁への高い付着性を示した。結果
は表7に示した。
バリウスWB1004含有組成物100mLに白糖50
g、アスコルビン酸1g、香料を加えて、シロップ剤を
得た。
バリウスWB1004含有組成物100mLに白糖50
g、アスコルビン酸1g、ゼラチン10gを溶解した液
と香料を加えて、冷却し、ゼリー剤を得た。
バリウスWB1004含有組成物100mLを凍結乾燥
して粉末化し、市販のヨーグルト100g(明治ブルガ
リアヨーグルト、明治乳業社製)に添加してラクトバシ
ラス・サリバリウスWB1004含有組成物入りのヨー
グルトを得た。
バリウスWB1004含有組成物100mLを凍結乾燥
して粉末化した後にアルミ袋に分包し、市販のヨーグル
トと服用時に用時混合するラクトバシラス・サリバリウ
スWB1004含有組成物を得た。得られたラクトバシ
ラス・サリバリウスWB1004含有組成物と市販のヨ
ーグルト(明治ブルガリアヨーグルト、明治乳業社製)
とを混合して、乳酸菌含有組成物入りのヨーグルトを得
た。
バリウスWB1004含有組成物100mLを凍結乾燥
して粉末化し、得られた粉末に乳糖100g、コーンス
ターチ10g、ヒドロキシプロピルセルロース10g、
硬化油5gを加えて混合した後、打錠機を用いて圧縮成
型し、1錠240mgの錠剤を得た。
バリウスWB1004含有組成物100mLを凍結乾燥
して粉末化し、得られた粉末に乳糖100g、コーンス
ターチ10g、ヒドロキシプロピルセルロース10gを
加えて混合した後、流動層造粒機を用いて造粒及び乾燥
した。更に、30メッシュふるいを用いて整粒し、細粒
剤を得た。
バリウスWB1004含有組成物100mLを凍結乾燥
して粉末化し、得られた粉末に流動パラフィン5gを加
えて混和した。別に、白色ワセリン75gをあらかじめ
溶融しておき、混和物に少量ずつ加えながら混合した。
容器のまわりを水で冷やしながら混合しつつ固め、軟膏
型坐剤を得た。
バリウスWB1004含有組成物100mLを凍結乾燥
して粉末化し、得られた粉末とマクロゴール1500
9gとマクロゴール4000 2gの混練物を放冷し、
10個に分割した後、坐剤型にかけて成型し、坐剤を得
た。
バリウスWB1004含有組成物100mLを凍結乾燥
して粉末化し、得られた粉末に乳糖100g、コーンス
ターチ10g、ステアリン酸マグネシウム5gを加えて
混合した後、打錠機にて圧縮成型し、錠剤型坐剤を得
た。
化管及び/又は泌尿生殖器への薬理作用を有する乳酸菌
の当該薬理作用を増加させ、乳酸菌が消化管及び/又は
泌尿生殖器から排出されることに抗することができるた
め、極めて有効なヘリコバクター・ピロリ除菌、腸管出
血性大腸菌除菌、食物アレルギー治療、泌尿生殖器にお
ける感染症の治療及び/又は予防のための医薬及び食品
を提供することができる。
Claims (12)
- 【請求項1】 消化管及び/又は泌尿生殖器に対する薬
理作用を有する乳酸菌を含有する乳酸菌含有組成物であ
って、前記薬理作用を増大させるために、無機ゲルを含
有させることにより乳酸菌の消化管及び/又は泌尿生殖
器への付着性を向上させたことを特徴とする乳酸菌含有
組成物。 - 【請求項2】 無機ゲルは、リン酸カルシウムゲルであ
る請求項1記載の乳酸菌含有組成物。 - 【請求項3】 無機ゲルは、水酸化アルミニウムゲルで
ある請求項1記載の乳酸菌含有組成物。 - 【請求項4】 無機ゲルは、水酸化鉄ゲルである請求項
1記載の乳酸菌含有組成物。 - 【請求項5】 無機ゲルは、水酸化亜鉛ゲルである請求
項1記載の乳酸菌含有組成物。 - 【請求項6】 薬理作用は、ヘリコバクター・ピロリの
除菌である請求項1、2、3、4又は5記載の乳酸菌含
有組成物。 - 【請求項7】 薬理作用は、腸管出血性大腸菌の除菌で
ある請求項1、2、3、4又は5記載の乳酸菌含有組成
物。 - 【請求項8】 薬理作用は、食物アレルギー症治療作用
である請求項1、2、3、4又は5記載の乳酸菌含有組
成物。 - 【請求項9】 薬理作用は、泌尿生殖器における感染症
の治療及び/又は予防作用である請求項1、2、3、4
又は5記載の乳酸菌含有組成物。 - 【請求項10】 泌尿生殖器は、膣である請求項9記載
の乳酸菌含有組成物。 - 【請求項11】 請求項1、2、3、4、5、6、7、
8、9又は10記載の乳酸菌含有組成物からなることを
特徴とする医薬。 - 【請求項12】 請求項1、2、3、4、5、6、7又
は8記載の乳酸菌含有組成物からなることを特徴とする
食品。
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