JP4603116B2 - 乳酸菌含有組成物、医薬及び食品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、乳酸菌を含有する組成物、これを用いる医薬及び食品に関する。
【0002】
【従来の技術】
元来、乳酸菌を含有する製剤は、我が国では整腸薬として効能が認められ、長い間の使用経験から極めて安全性に優れた医薬品とされてきた。また、乳酸菌製剤の有効成分である局外規ビフィズス菌、局外規ラクトミンに含まれるラクトバシラス・アシドフィルス、ストレプトコッカス・フェカリス等はヒトの腸内細菌として腸内に生息し、健康維持及び増大に極めて重要な働きをしていることが判っている。
【0003】
このような乳酸菌に対して、その薬理効果が確実であること、副作用が少ないこと等から、現在、新しい開発研究が続けられている。
なかでも、近年、乳酸菌適用について目ざましい発展が期待されているのが、抗胃炎、抗潰瘍、及び、泌尿生殖器における抗感染症の分野である。
【0004】
消化性潰瘍の治療薬として、従来、シメチジン、ラニチジン、ファモチジン等のH2 −受容体拮抗薬、オメプラゾール等のプロトンポンプ阻害剤、更に胃粘膜保護剤が開発され、これらの薬剤は優れた治療成績をおさめてきた。しかしながら、完治したはずの潰瘍が再発・再燃を繰り返す症例が見受けられ、その原因が、胃粘膜の生検組織に存在するヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)であることが判明した。
【0005】
ヘリコバクター・ピロリは胃粘膜に感染するグラム陰性の微好気性、らせん状の桿菌である。本菌はその強いウレアーゼ活性によって、寄主由来の尿素をアンモニアに分解して胃酸を中和し、胃の中での生育を可能にしているものと考えられている。
【0006】
ヘリコバクター・ピロリの除菌療法が消化性潰瘍における新しい治療薬として世界中に認知されることになり、これまでペニシリンやアモキシシリン、アンピシリン等のβ−ラクタム剤、エリスロマイシンやクラリスロマイシン、アジスロマイシン、ロキシスロマイシン等のマクロライド剤、アルベカシンやゲンタミシン等のアミノ配糖体抗生物質、テトラサイクリン系抗生物質及び抗原虫薬として使用されているメトロニダゾール、更にはビスマス製剤を用いたヘリコバクター・ピロリの除菌効果が明らかにされ、実際に欧米では使用されている。
【0007】
また、近年H2 −受容体拮抗剤、プロトンポンプ阻害剤等の抗潰瘍剤において、ヘリコバクター・ピロリに対する抗菌活性を併せ持つ化合物の開発が行われ、製品化されつつある。以上のように、胃炎又は胃・十二指腸潰瘍の治療及び再発防止を目的としてヘリコバクター・ピロリに抗菌活性を有する抗生物質等で除菌する試みがなされてきた。
【0008】
しかしながら、これら従来の抗生物質の投与では通常の感染治療に使用する量よりはるかに多量の投与が必要であり、また投与期間も長くなるため、新たな耐性菌の発現のおそれがあり、また副作用併発の危惧があった。
【0009】
ヘリコバクター・ピロリの除菌のために用いられるこれら抗生物質に代わるものとして、乳酸菌等のプロバイオテクスによる方法が考えられた。特許第267247号公報には、ラクトバシラス・アシドフィルスの菌株が、腸及び胃細胞からヘリコバクター・ピロリを排除する効果を有する旨が開示されている。しかしながら、ラクトバシラス・アシドフィルスを実際に患者に投与した結果、期待した効果が得られないことが判った。
【0010】
特開平9−241173号公報には、ラクトバシラス・サリバリウス、ラクトバシラス・ブレビスの菌株が抗胃炎、抗潰瘍作用を有する旨が開示されている。
これらは一定の効果を有するものの、乳酸菌を経口投与した場合、速やかに胃や十二指腸から排出される可能性が高く、このためにヘリコバクター・ピロリを排除する効果は著しく減弱する欠点があった。
【0011】
乳酸菌適用についての目ざましい発展が期待されている二つめの分野は、腸管出血性大腸菌(Enterohemorrhagic Escherichia coli;EHEC)の除菌への適用である。
1977年に発見されたEHECは、その血清型の半数以上がO157:H7であるため、病原性大腸菌O157として知られる病原菌である。
【0012】
この病原菌の感染症は、汚染食物や水の摂取が原因となる集団食中毒事例が多く、下痢、腹痛等の初期症状に始まり、強い腹痛と血便を伴う出血性大腸炎を呈するうえ、重傷者は合併症として溶血性尿毒素症症候群、血栓性血小板減少性紫斑病、脳症を併発し、最悪の場合死に至る。本感染症の病原因子はEHECの産生するベロ毒素(Vero toxin:VT)である。VTは、志賀赤痢菌の産生する志賀毒素と同じVT1と、生物活性はVT1に似るが物理化学的性質や免疫学的性質の異なるVT2との、2種類に分類され、別名志賀毒素様毒素(Shiga−like toxin)とも呼ばれている。
【0013】
VTの毒力は細胞毒素の中で最も強力で、そのRNA N−グリコシダーゼ活性が引き起こす蛋白合成阻害作用によって、強いマウス致死作用、細胞毒性、腸管毒性を発現する。EHEC感染症に対しては、ホスホマイシン、ノルフロキサシン、カナマイシン等の抗菌剤が使用されているが、現在適切な治療法がなく、新しい治療方法の開発が望まれている。
【0014】
乳酸菌適用についての目ざましい発展が期待されている三つめの分野は、食物アレルギー治療への適用である。
食物アレルギー羅患者の数は世界的規模で増加する傾向にあり、特に先進国において著しい。食物アレルギーの予防・治療には原因食物の除去や抗アレルギー剤の投与が行われていたが、原因食物の除去には、肉体的、精神的負担が大きく、家庭生活や集団生活上の制限等、多くの問題がある。抗アレルギー剤の長期投与には、副作用のおそれが大きい。
【0015】
先進国における近年の食物アレルギー患者数増加の原因として、ヒトが種々の病原微生物に感染する機会が減少したため、ヒトがこれら抗原刺激に対して過剰に反応する体質となってしまったとする説がある。実験的に作製された無菌動物における生体防御機構の特徴の一つとして、食物抗原の侵入に対して過剰に反応することが知られている。
【0016】
人工栄養で育った乳児は、母乳栄養の乳児に比較して、アレルギー患者の羅患率が有意に高く、高IgE血症の発症率も有意に高いことが判っているが、人工栄養児では母乳栄養児に比べ、糞便菌数を調べるとビフィズス菌の菌数が有意に低く、逆にクロストリジウム、シュードモナスの菌数及び検出率が高いことが判っている(乳児栄養と腸内フローラ、光岡和足編「腸内フローラと栄養」13頁、学会出版センター、1983年)。
【0017】
また、近年、アレルギーの発症にはTh1細胞とTh2細胞のバランスが関与しており、Th1細胞の比率が減少すると、アレルギーの発症につながること(最新医学、72−79頁、53巻、12号、1998年)、Th1細胞はIL−12により誘導されること(医学のあゆみ、85−89頁、180巻、1997年)、また、乳酸菌がIL−12産生促進作用を有すること(特開平10−139674号公報)等が報告されている。
そこで、乳酸菌、特にビフィズス菌を摂取させることにより、食物アレルギーを予防し治療することが期待されている。
【0018】
このように乳酸菌の新しい適用分野はますます広くかつ重要になりつつあるものの、乳酸菌を投与した場合、乳酸菌はすみやかに消化管から排出されてしまうので、これに抗して薬理作用を維持し増加させる有効な方法が存在しないことが、本質的な問題となっていた。
【0019】
ところで、乳酸菌についての目ざましい発展が期待されている四つめの分野は、泌尿生殖器における感染症の治療及び/又は予防への適用である。
正常で健康な女性の膣内には乳酸桿菌ラクトバシラスを主とするバランスのとれた細菌叢が形成されている。しかし、膣自浄作用の低下、子宮内避妊具の装着、化学的・機械的刺激、エストロゲン機能の失調、性交感染等により膣内細菌叢のバランスが崩れると、ラクトバシラスが多数の複数の菌種に置き代わり、細菌性膣症や真菌性膣炎の発症に到る。また、ラクトバシラスは、尿道末端においても防御バイオフィルムを形成すると考えられており、これにより、大腸菌等のグラム陰性桿菌が肛門周囲から上行し、尿道末端に感染するのを防いでいる。このため、ラクトバシラスによる防御バイオフィルムが破壊されると、再発性尿路感染症の発症に繋がる場合もある。
【0020】
これら細菌性膣症や再発性尿路感染症等を放置すると、骨盤内感染症や術後感染症、周産期感染症等の更に重篤な疾患に発展するおそれがあり、また、細菌性膣症に罹患している患者はHIVに感染しやすいという報告もある(AIDS、1699−1706頁、12巻、1998年)。
【0021】
これら泌尿生殖器における感染症に対して、乳酸菌のプロバイオテクスを使用する試みがなされている(The Japanese Journal of Antibiotics、51−12頁、759巻(39号)、1998年;FEMS Immnology and Medical Microbiology、251−264頁、6巻、1993年)。しかし、これらの泌尿生殖器における感染症は、沈静化しても再発を繰り返し、完治が困難であるという特徴を有する。
【0022】
このように乳酸菌の新しい適用分野はますます広くかつ重要になりつつあるものの、乳酸菌を投与した場合、乳酸菌はすみやかに泌尿生殖器から流出しててしまうので、これに抗して薬理作用を維持し増加させる有効な方法が存在しないことが、本質的な問題となっていた。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記現状に鑑み、消化管及び/又は泌尿生殖器への薬理作用を有する乳酸菌の当該薬理作用を増加させ、乳酸菌が消化管及び/又は泌尿生殖器から排出されることに抗することができる乳酸菌含有組成物を提供することを目的とするものである。
【0024】
【課題を解決するための手段】
本発明は、消化管及び/又は泌尿生殖器に対する薬理作用を有する乳酸菌を含有する乳酸菌含有組成物であって、上記薬理作用を増大させるために、無機ゲルを含有させることにより乳酸菌の消化管及び/又は泌尿生殖器への付着性を向上させた乳酸菌含有組成物である。
【0025】
本発明者らは、摂取又は投与された、薬理作用を有する乳酸菌を含有する乳酸菌含有組成物が、消化管及び/又は泌尿生殖器から排出されることに抗して、当該薬理作用を増大させるためには、消化管及び/又は泌尿生殖器に長期間滞留せしめることが有効であること、そのためには、消化管及び/又は泌尿生殖器への乳酸菌の付着性を向上せしめることが有効であることに想到し、本発明を完成させたものである。
【0026】
薬理作用の増加、消化管及び/又は泌尿生殖器への長期間滞留、消化管及び/又は泌尿生殖器への付着性向上、という一連の工夫は、机上では容易に考えられるものであるかも知れないが、乳酸菌に対してこのような発想を抱くことは、乳酸菌の消化管及び/又は泌尿生殖器への付着が技術的に困難な状況下においては、極めて困難なことであった。後に詳述する付着性向上効果を有する具体的物質を取得することにより、本発明者らは、初めて本発明に到達することができたものである。
【0027】
本明細書において消化管とは、消化・吸収を行う管の総称であり、例えば、口腔、食道、胃、小腸、大腸、直腸等を挙げることができる。本明細書において泌尿生殖器とは、尿の生成・排出に関与する器官、及び、生殖に関与する器官の総称であり、例えば、女性外陰、膣、男性性器、尿路等を挙げることができる。本明細書において消化管及び/又は泌尿生殖器とは、消化管のみ、泌尿生殖器のみ、並びに、消化管及び泌尿生殖器の両方の、いずれをも意味する。
【0028】
本明細書において乳酸菌含有組成物とは、乳酸菌を含有してなる組成物を意味する。本明細書において乳酸菌の消化管及び/又は泌尿生殖器への付着とは、乳酸菌が消化管及び/又は泌尿生殖器管粘膜上皮細胞表面に存在している状態が継続することを意味し、乳酸菌の消化管及び/又は泌尿生殖器への付着性の向上とは、消化管及び/又は泌尿生殖器粘膜上皮細胞表面に存在している状態が継続する乳酸菌の菌数が増加することを意味する。本発明においては、上記菌数(付着個数ともいう)の増加は、無処理の場合に対して最低でも5倍程度、通常10〜50倍という極めて多量に及ぶものである。
【0029】
乳酸菌の消化管及び/又は泌尿生殖器への付着性が向上することにより、乳酸菌が有する薬理作用が増加することは、本発明者らの実験により確認されている。従って、乳酸菌の消化管及び/又は泌尿生殖器への付着性の向上は、極めて有効な薬理作用の増加方法であることが明白である。また、薬理作用を増加させるためには、消化管及び/又は泌尿生殖器へ付着させる乳酸菌は、生菌であることが好ましいことも判明している。
【0030】
本発明の乳酸菌含有組成物は、乳酸菌を含有する。上記乳酸菌は、ヒト又は動物に有用な乳酸桿菌として、例えば、ラクトバシラス・サリバリウス、ラクトバシラス・アシドフィルス、ラクトバシラス・ブレビス、ラクトバシラス・ラムノーサス、ラクトバシラス・プランタラム、ラクトバシラス・ヘルベティカス、ラクトバシラス・ファーメンタム、ラクトバシラス・パラカゼイ、ラクトバシラス・カゼイ、ラクトバシラス・デルブリュッキイ、ラクトバシラス・ロイテリ、ラクトバシラス・ブルネリ、ラクトバシラス・ガッセリ、ラクトバシラス・ジョンソニイ、ラクトバシラス・ケフィア等を挙げることができる。
【0031】
また、乳酸球菌として、例えば、ラクトコッカス・ラクティス、ラクトコッカス・プランタラム、ラクトコッカス・ラフィノラクティス、エンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・フェシウム、ストレプトコッカス・サーモフィルス、ロイコノストック・ラクティス、ロイコノストック・メセンテロイデス等を挙げることができる。
【0032】
更に、ビフィズス菌として、例えば、ビフィドバクテリウム・アニマルズ、ビフィドバクテリウム・ビフィダム、ビフィドバクテリウム・ブレーベ、ビフィドバクテリウム・インファンティス、ビフィドバクテリウム・ロンガム、ビフィドバクテリウム・シュードロンガム、ビフィドバクテリウム・サーモフィラム、ビフィドバクテリウム・アドレセンティス等を挙げることができる。
これらの乳酸菌は、一種又は二種以上の菌種を配合して用いることができる。
【0033】
これらの乳酸菌は、乳酸菌培養の常法に従って任意の条件で培養し、得られた培養物から遠心分離等の集菌手段によって分離されたものをそのまま本発明のために用いることができる。
【0034】
本発明に係る乳酸菌含有組成物は、上記薬理作用を増大させるために、無機ゲルを含有させることにより乳酸菌の消化管及び/又は泌尿生殖器への付着性を向上させたものである。
【0035】
上記無機ゲルとは、疎水性の無機コロイド溶液(ゾル)が、濃縮や粒子の成長等が原因となり、液中に分離してできる綿状又はのり状沈殿物である。
上記無機ゲルとしては特に限定されず、例えば、リン酸カルシウムゲル、水酸化アルミニウムゲル、水酸化鉄ゲル、水酸化亜鉛ゲル等を挙げることができる。
【0036】
上記リン酸カルシウムゲルは、例えば、カルシウムイオンを含む溶液とリン酸イオンを含む溶液とを混合することによって得られるものである。
上記リン酸カルシウムゲルは、吸着剤としてタンパク質の分離・精製に用いられており、更に、トリカルシウムフォスフェートやヒドロキシアパタイト等の歯科材料等の前駆体としても用いられている。
【0037】
本発明における乳酸菌に対するリン酸カルシウムゲルの使用量は、乳酸菌1×108 個に対して0.015mg以上が好ましい。より好ましくは0.05mg以上である。
上記リン酸カルシウムゲルの調製方法としては、例えば、リン酸生理緩衝液(以下、PBSという)に塩化カルシウム溶液を添加する方法等を挙げることができる。
【0038】
上記水酸化アルミニウムゲルは、例えば、アルミニウムイオンを含む溶液とヒドロキシイオンを含む溶液とを混合することによって得られるものであり、制酸剤、賦形剤、流動化剤等として医薬品の分野で使用されている。
【0039】
本発明における乳酸菌に対する水酸化アルミニウムゲルの使用量は、乳酸菌1×108 個に対して0.01mg以上が好ましい。より好ましくは0.1mg以上である。
上記水酸化アルミニウムゲルの調製方法としては、例えば、塩化アルミニウム溶液に水酸化ナトリウム溶液を添加する方法等を挙げることができる。
【0040】
上記水酸化鉄ゲルは、例えば、第二鉄イオンを含む溶液とヒドロキシイオンを含む溶液とを混合することによって得られるものであり、その加工品である水酸化鉄微粒子は、汚水処理の吸着剤等の原材料として使用されている。
本発明における乳酸菌に対する水酸化鉄ゲルの使用量は、乳酸菌1×108 個に対して0.1mg以上が好ましい。より好ましくは0.5mg以上である。
上記水酸化鉄ゲルの調製方法としては、例えば、塩化第二鉄溶液に水酸化ナトリウム溶液を添加する方法等を挙げることができる。
【0041】
上記水酸化亜鉛ゲルは、例えば、亜鉛イオンを含む溶液とヒドロキシイオンを含む溶液とを混合することによって得られるものであり、セラミックスの前駆物質として用いられている。
本発明における乳酸菌に対する水酸化亜鉛ゲルの使用量は、乳酸菌1×108 個に対して0.1mg以上が好ましい。より好ましくは0.5mg以上である。
上記水酸化亜鉛ゲルの調製方法としては、例えば、塩化亜鉛溶液に水酸化ナトリウム溶液を添加する方法等を挙げることができる。
【0042】
本発明においては、上記無機ゲルは、単独で、又は、2種以上を併用して用いることができる。
【0043】
本発明の乳酸菌含有組成物は、ヘリコバクター・ピロリの除菌のために用いることができる。既に述べたように乳酸菌はヘリコバクター・ピロリの除菌効果を有するが、本発明の消化管への付着性を向上させた乳酸菌含有組成物は、ヘリコバクター・ピロリの除菌に対して、乳酸菌を単独で含有する組成物に比較して極めて優れた効果を発現する。
【0044】
本発明の乳酸菌含有組成物は、腸管出血性大腸菌の除菌のために用いることができる。既に述べたように乳酸菌は腸管出血性大腸菌の除菌効果を有するが、本発明の消化管への付着性を向上させた乳酸菌含有組成物は、腸管出血性大腸菌の除菌に対して、乳酸菌を単独で含有する組成物に比較して極めて優れた効果を発現する。
【0045】
本発明の乳酸菌含有組成物は、食物アレルギー症治療のために用いることができる。既に述べたように乳酸菌は食物アレルギー症治療効果を有することが確認されているが、本発明の消化管への付着性を向上させた乳酸菌含有組成物は、食物アレルギー症治療に対して、乳酸菌を単独で含有する組成物に比較して極めて優れた効果を発現する。
【0046】
本発明の乳酸菌含有組成物は、泌尿生殖器における感染症の治療及び/又は予防のために用いることができる。既に述べたように乳酸菌は泌尿生殖器における感染症の治療及び/又は予防効果を有することが確認されているが、本発明の泌尿生殖器への付着性を向上させた乳酸菌含有組成物は、泌尿生殖器における感染症の治療及び/又は予防に対して、乳酸菌を単独で含有する組成物に比較して極めて優れた効果を発現する。
上記泌尿生殖器における感染症としては特に限定されず、例えば、細菌性膣症、真菌性膣炎、再発性尿路感染症等を挙げることができる。
【0047】
本発明の乳酸菌含有組成物は、各種の方法で製造することができる。
本発明の乳酸菌含有組成物の製造方法としては特に限定されず、例えば、無機ゲルと乳酸菌懸濁液や乳酸菌の濃縮菌体とを混合する方法、無機ゲルを水に懸濁した液と乳酸菌懸濁液や乳酸菌の濃縮菌体とを混合する方法、無機ゲルを水に懸濁した液と乳酸菌粉末とを混合する方法、無機ゲル粉末と乳酸菌粉末とを混合する方法等を挙げることができる。
更に、これらに適当な安定化剤を加えて凍結乾燥等の乾燥によって粉末化してもよい。
【0048】
乳酸菌、無機ゲル等を混合する際の条件としては、濃度は特に制限されないが、温度やpHは乳酸菌及び無機ゲルの安定性を考慮して設定することが望ましい。例えば、乳酸菌懸濁液及び無機ゲル懸濁液の温度は60℃以下、pHは5から9が好ましい。
【0049】
このようにして得られた本発明の乳酸菌含有組成物は、医薬又は食品としてヒト又は動物に対して投与又は摂取される。本発明の乳酸菌含有組成物からなる医薬もまた、本発明の一つであり、本発明の乳酸菌含有組成物からなる食品もまた、本発明の一つである。
【0050】
本発明の乳酸菌含有組成物を医薬又は食品とするためには、常法に従って種々の形態とされる。消化管に対する投与形態としては、例えば、散剤、細粒剤、顆粒剤、カプセル剤、錠剤、トローチ剤、シロップ剤、ゼリー剤等を挙げることができ、これらの投与形態をとることにより経口的に安全に投与又は摂取することができる。泌尿生殖器に対する投与形態としては、例えば、坐剤、錠剤、カプセル剤、クリーム剤、ゲル、軟膏、ローション、洗浄剤、潅注液等を挙げることができる。
【0051】
これらの各種製剤は、本発明の乳酸菌含有組成物に、賦形剤、結合剤、崩壊剤、コーティング剤、滑沢剤等の医薬又は食品の製造技術分野において通常使用しうる添加剤を加えて、常法に従って製剤化することができる。
【0052】
上記賦形剤としては、例えば、白糖、乳糖、マンニトール、グルコース等の糖類;トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、コメデンプン、部分α化デンプン等のデンプン類等を挙げることができる。
【0053】
上記結合剤としては、例えば、キトサン、デキストリン、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、グアーガム、アラビアゴム、寒天等の多糖類;トラガント、ゼラチン、グルテン等の天然高分子類;ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム等のセルロース誘導体;ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、酢酸ビニル樹脂等の合成高分子等を挙げることができる。
【0054】
上記崩壊剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース誘導体;カルボキシメチルスターチナトリウム、ヒドロキシプロピルスターチ、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、コメデンプン、部分α化デンプン等のデンプン類等を挙げることができる。
【0055】
上記滑沢剤としては、例えば、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、コロイダルシリカ、含水二酸化ケイ素、ワックス類、硬化油等を挙げることができる。
【0056】
上記コーティング剤としては、例えば、ジメチルアミノエチルメタアクリレート・メタアクリル酸共重合体、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、アクリル酸エチル・メタアクリル酸共重合体、アクリル酸エチル・メタアクリル酸メチル・メタアクリル酸塩化トリメチルアンモニウムエチル共重合体、エチルセルロース等の水不溶性高分子;メタアクリル酸・アクリル酸エチル共重合体、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート等の腸溶性高分子;メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール等の水溶性高分子等を挙げることができる。
【0057】
本発明の医薬のヒトに対する投与量は、対象疾患、疾病の程度によって異なるが、例えば、成人に対して生菌数で1日1×106 個以上を、好ましくは1×108 〜1×1012個を必要に応じて1日1回又は数回に分けて投与することができる。
【0058】
本発明の乳酸菌含有組成物はあらかじめ食品に添加してもよく、摂取時に食品に添加してもよい。上記食品としては特に制限されず、例えば、ヨーグルト等の発酵乳等を挙げることができる。
【0059】
【実施例】
以下に、実施例、試験例及び処方例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
なお、本発明の効果の検討では、細胞のモデルとしては、常法で用いられているようにヒト胃癌細胞MKN45(JCRB 0254、山口晴之ら、感染症学雑誌、72巻、487頁、1998年)を用いているが、これはin vitroでの検討を容易にするためである。
【0060】
実施例1
乳酸菌をMRSブロス(ディフコ社製)、又は、1%となるようにグルコースを添加したGAMブイヨン(日水製薬社製)に接種後、37℃、16時間、又は、37℃、24時間液体培養を行った。培養終了後、3000rpm、5分間遠心分離を行い培養液の濃縮菌体を得た。更に、得られた菌体に、リン酸緩衝生理食塩液(以下「PBS」という、日水製薬社製)を加えて乳酸菌を3×108 個/mL含む懸濁液を得た。
【0061】
塩化カルシウム11.1gを蒸留水に溶解して100mLとし、1M塩化カルシウム溶液とした。更に、この溶液を蒸留水にて適宜希釈し、0.5Mおよび0.25Mの塩化カルシウム溶液とした。続いて、乳酸菌懸濁液10mLに対して上記の塩化カルシウム溶液を0.1mL加え、0.04〜0.16mg/mLのリン酸カルシウムゲルを含む乳酸菌含有組成物を得た。
【0062】
得られた乳酸菌含有組成物の効果は次のようにして検討した。胃癌細胞MKN45を細胞濃度が5×104 個/mLになるように10%牛胎児血清を含むRPM11640培地に懸濁させ、96穴マイクロプレート1穴あたり100μL分注した。37℃で3日間培養後、マイクロプレートに付着した胃癌細胞MKN45をPBSで3回洗浄し胃癌細胞MKN45の単層を調製した。乳酸菌含有組成物懸濁液又は乳酸菌懸濁液0.1mLを胃癌細胞MKN45の単層に加えて、37℃、10分間インキュベートした後、胃癌細胞MKN45をPBSで洗浄した。次に、乳酸菌をグラム染色し、光学顕微鏡を用いて細胞に付着した乳酸菌をカウントした。その結果、本発明の乳酸菌含有組成物は胃癌細胞MKN45への高い付着性を示した。結果は表1に示した。
【0063】
【表1】
【0064】
実施例2
塩化アルミニウム六水和物を蒸留水60mLに溶かし、更に、塩化ナトリウム0.9gを加えて溶解させた。続いて、1N水酸化ナトリウムを添加してpHを7.0に調整し、更に、蒸留水を加えて100mLとし、0.15〜0.6mg/mLの水酸化アルミニウムゲルを得た。
【0065】
実施例1と同様の方法で得られた乳酸菌懸濁液を3000rpmで10分間遠心分離し、上清を除いて濃縮菌体とした。この菌体に、水酸化アルミニウムゲルを加えて混合し乳酸菌含有組成物を得た。
【0066】
得られた乳酸菌含有組成物の効果は次のようにして検討した。胃癌細胞MKN45を細胞濃度が5×104 個/mLになるように10%牛胎児血清を含むRPM11640培地に懸濁させ、96穴マイクロプレート1穴あたり100μL分注した。37℃で3日間培養後、マイクロプレートに付着した胃癌細胞MKN45をPBSで3回洗浄し胃癌細胞MKN45の単層を調製した。乳酸菌含有組成物懸濁液又は乳酸菌懸濁液0.1mLを胃癌細胞MKN45の単層に加えて、37℃、10分間インキュベートした後、胃癌細胞MKN45を生理食塩水で洗浄した。次に、乳酸菌をグラム染色し、光学顕微鏡を用いて細胞に付着した乳酸菌をカウントした。その結果、本発明の乳酸菌含有組成物は胃癌細胞MKN45への高い付着性を示した。結果は表2に示した。
【0067】
【表2】
【0068】
実施例3
塩化第二鉄を蒸留水60mLに溶かし、更に、塩化ナトリウム0.9gを加えて溶解させた。続いて、1N水酸化ナトリウムを添加してpHを7.0に調整し、更に、蒸留水を加えて100mLとし、0.4〜6.4mg/mLの水酸化鉄ゲルを得た。
【0069】
実施例1と同様の方法で得られた乳酸菌(ラクトバシラス・サリバリウスWB1004)懸濁液を3000rpmで10分間遠心分離し、上清を除いて濃縮菌体とした。この菌体に、水酸化鉄ゲルを加えて混合し乳酸菌含有組成物を得た。
【0070】
得られた乳酸菌含有組成物の効果を実施例2と同様の方法にて検討した結果、本発明の乳酸菌含有組成物は胃癌細胞MKN45への高い付着性を示した。結果は表3に示した。
【0071】
【表3】
【0072】
実施例4
塩化亜鉛を蒸留水60mLに溶かし、更に、塩化ナトリウム0.9gを加えて溶解させた。続いて、1N水酸化ナトリウムを添加してpHを7.0に調整し、更に、蒸留水を加えて100mLとし、0.4〜6.4mg/mLの水酸化亜鉛ゲルを得た。
【0073】
実施例1と同様の方法で得られた乳酸菌(ラクトバシラス・サリバリウスWB1004)懸濁液を3000rpmで10分間遠心分離し、上清を除いて濃縮菌体とした。この菌体に、水酸化亜鉛ゲルを加えて混合し乳酸菌含有組成物を得た。
【0074】
得られた乳酸菌含有組成物物の効果を実施例2と同様の方法にて検討した結果、本発明の乳酸菌含有組成物は胃癌細胞MKN45への高い付着性を示した。結果は表4に示した。
【0075】
【表4】
【0076】
実施例5
本発明の乳酸菌含有組成物による薬理作用の増大効果を調べるため、薬理作用物質の一つである乳酸に着目し、細胞に付着した乳酸菌の産生する乳酸量を、以下の方法により測定した。
【0077】
実施例1と同様の方法で得た乳酸菌(ラクトバシラス・サリバリウスWB1004及びラクトバシラス・ガッセリJCM1131)含有組成物を、実施例1と同様の方法で胃癌細胞MKN45に添加した。PBSで3回洗浄した後、ハンクス平衡塩溶液(ギブコ社製)0.1mLを添加して、37℃で6時間インキュベートした。上清中に産生した乳酸をメタノール硫酸によりメチルエステル化した後、クロロホルムにより抽出し、ガスクロマトグラフィーで定量した。その結果、無機ゲル存在下で細胞に付着した乳酸菌は高い乳酸産生量を示した。結果は表5に示した。
【0078】
【表5】
【0079】
実施例6
実施例2と同様の方法で得た乳酸菌(ラクトバシラス・サリバリウスWB1004及びラクトバシラス・ガッセリJCM1131)含有組成物を、実施例2と同様の方法で胃癌細胞MKN45に添加した。生理食塩水で3回洗浄した後、ハンクス平衡塩溶液(ギブコ社製)0.1mLを添加して、37℃で6時間インキュベートした。上清中に産生した乳酸をメタノール硫酸によりメチルエステル化した後、クロロホルムにより抽出し、ガスクロマトグラフィーで定量した。その結果、無機ゲル存在下で細胞に付着した乳酸菌は高い乳酸産生量を示した。結果は表6に示した。
【0080】
【表6】
【0081】
実施例7
本発明の乳酸菌含有組成物による薬理作用の増大効果を調べるため、乳酸菌のマウス胃壁への付着性を以下の方法により測定した。実施例1と同様の方法で得られた乳酸菌(ラクトバシラス・サリバリウスWB1004)懸濁液を2000rpmで10分間遠心分離し、上清を除いて濃縮菌体とした。
別に塩化カルシウム11.1gを蒸留水に溶解して100mLとし、1M塩化カルシウム溶液とした。更に、この溶液を蒸留水にて適宜希釈し、0.5Mおよび0.25Mの塩化カルシウム溶液とした。
続いて上記濃縮菌体に、リン酸水素二ナトリウム溶液を加えて混合し、乳酸菌懸濁液とした。得られた乳酸菌懸濁液10mLに対して、上記の塩化カルシウム溶液を0.1mL加え、2.0〜8.0mg/mLのリン酸カルシウムゲルを含む乳酸菌含有組成物を得た。
【0082】
アモキシシリンを200μg/mL、バンコマイシンを10μg/mL、ナリジキシ酸を10μg/mLとなるように飲水に添加し、ICRマウス(雄、6週齢)を4日間飼育し、胃内の菌を除菌した。続いて、飲水を滅菌水に変え、一晩(15時間)絶食させた後に試料懸濁液0.5mL(1.6〜2.4×109 CFU/mL)を経口投与した。投与30分後、マウスの胃を摘出し、胃内容物を除去した後、更にPBSで洗浄した。胃重量の9倍量の0.5M塩化ナトリウムを加えてガラスホモジナイザーでホモジナイズし、得られたホモジネートを0.5M塩化ナトリウムで適宜希釈した後、変法LBS寒天培地のシャーレに塗布した。シャーレを37℃、24時間嫌気培養して出現したコロニー数により胃に付着した菌数を求めた。結果、無機ゲル存在下で乳酸菌はマウス胃壁への高い付着性を示した。結果は表7に示した。
【0083】
【表7】
【0084】
処方例1
実施例1と同様の操作で得られたラクトバシラス・サリバリウスWB1004含有組成物100mLに白糖50g、アスコルビン酸1g、香料を加えて、シロップ剤を得た。
【0085】
処方例2
実施例1と同様の操作で得られたラクトバシラス・サリバリウスWB1004含有組成物100mLに白糖50g、アスコルビン酸1g、ゼラチン10gを溶解した液と香料を加えて、冷却し、ゼリー剤を得た。
【0086】
処方例3
実施例1と同様の操作で得られたラクトバシラス・サリバリウスWB1004含有組成物100mLを凍結乾燥して粉末化し、市販のヨーグルト100g(明治ブルガリアヨーグルト、明治乳業社製)に添加してラクトバシラス・サリバリウスWB1004含有組成物入りのヨーグルトを得た。
【0087】
処方例4
実施例1と同様の操作で得られたラクトバシラス・サリバリウスWB1004含有組成物100mLを凍結乾燥して粉末化した後にアルミ袋に分包し、市販のヨーグルトと服用時に用時混合するラクトバシラス・サリバリウスWB1004含有組成物を得た。得られたラクトバシラス・サリバリウスWB1004含有組成物と市販のヨーグルト(明治ブルガリアヨーグルト、明治乳業社製)とを混合して、乳酸菌含有組成物入りのヨーグルトを得た。
【0088】
処方例5
実施例1と同様の操作で得られたラクトバシラス・サリバリウスWB1004含有組成物100mLを凍結乾燥して粉末化し、得られた粉末に乳糖100g、コーンスターチ10g、ヒドロキシプロピルセルロース10g、硬化油5gを加えて混合した後、打錠機を用いて圧縮成型し、1錠240mgの錠剤を得た。
【0089】
処方例6
実施例1と同様の方法で得られたラクトバシラス・サリバリウスWB1004含有組成物100mLを凍結乾燥して粉末化し、得られた粉末に乳糖100g、コーンスターチ10g、ヒドロキシプロピルセルロース10gを加えて混合した後、流動層造粒機を用いて造粒及び乾燥した。更に、30メッシュふるいを用いて整粒し、細粒剤を得た。
【0090】
処方例7
実施例1と同様の方法で得られたラクトバシラス・サリバリウスWB1004含有組成物100mLを凍結乾燥して粉末化し、得られた粉末に流動パラフィン5gを加えて混和した。別に、白色ワセリン75gをあらかじめ溶融しておき、混和物に少量ずつ加えながら混合した。容器のまわりを水で冷やしながら混合しつつ固め、軟膏型坐剤を得た。
【0091】
処方例8
実施例1と同様の方法で得られたラクトバシラス・サリバリウスWB1004含有組成物100mLを凍結乾燥して粉末化し、得られた粉末とマクロゴール1500 9gとマクロゴール4000 2gの混練物を放冷し、10個に分割した後、坐剤型にかけて成型し、坐剤を得た。
【0092】
処方例9
実施例1と同様の方法で得られたラクトバシラス・サリバリウスWB1004含有組成物100mLを凍結乾燥して粉末化し、得られた粉末に乳糖100g、コーンスターチ10g、ステアリン酸マグネシウム5gを加えて混合した後、打錠機にて圧縮成型し、錠剤型坐剤を得た。
【0093】
【発明の効果】
本発明は、上述の構成よりなるので、消化管及び/又は泌尿生殖器への薬理作用を有する乳酸菌の当該薬理作用を増加させ、乳酸菌が消化管及び/又は泌尿生殖器から排出されることに抗することができるため、極めて有効なヘリコバクター・ピロリ除菌、腸管出血性大腸菌除菌、食物アレルギー治療、泌尿生殖器における感染症の治療及び/又は予防のための医薬及び食品を提供することができる。
Claims (6)
- 消化管及び/又は泌尿生殖器に対する薬理作用を有する乳酸菌を含有する乳酸菌含有組成物であって、前記薬理作用を増大させるために、無機ゲルを含有させることにより乳酸菌の消化管及び/又は泌尿生殖器への付着性を向上させたことを特徴とする乳酸菌含有組成物であって、
乳酸菌は、ラクトバシラス・アシドフィルスであり、
無機ゲルは、水酸化鉄ゲルまたは水酸化亜鉛ゲルであり、
薬理作用は、ヘリコバクター・ピロリの除菌である乳酸菌含有組成物。 - 消化管及び/又は泌尿生殖器に対する薬理作用を有する乳酸菌を含有する乳酸菌含有組成物であって、前記薬理作用を増大させるために、無機ゲルを含有させることにより乳酸菌の消化管及び/又は泌尿生殖器への付着性を向上させたことを特徴とする乳酸菌含有組成物であって、
乳酸菌は、ラクトバシラス・サリバリウスまたはラクトバシラス・ブレビスであり、
無機ゲルは、水酸化鉄ゲルまたは水酸化亜鉛ゲルであり、
薬理作用は、抗胃炎作用または抗潰瘍作用である乳酸菌含有組成物。 - 消化管及び/又は泌尿生殖器に対する薬理作用を有する乳酸菌を含有する乳酸菌含有組成物であって、前記薬理作用を増大させるために、無機ゲルを含有させることにより乳酸菌の消化管及び/又は泌尿生殖器への付着性を向上させたことを特徴とする乳酸菌含有組成物であって、
乳酸菌は、ラクトバシラスであり、
無機ゲルは、水酸化鉄ゲルまたは水酸化亜鉛ゲルであり、
薬理作用は、泌尿生殖器における感染症の治療及び/又は予防作用である乳酸菌含有組成物。 - 泌尿生殖器は、膣である請求項3記載の乳酸菌含有組成物。
- 請求項1、2、3、又は4記載の乳酸菌含有組成物からなることを特徴とする医薬。
- 請求項1又は2記載の乳酸菌含有組成物からなることを特徴とする食品。
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