JP2001152144A - 蛍光体の製造方法 - Google Patents

蛍光体の製造方法

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JP2001152144A
JP2001152144A JP34185599A JP34185599A JP2001152144A JP 2001152144 A JP2001152144 A JP 2001152144A JP 34185599 A JP34185599 A JP 34185599A JP 34185599 A JP34185599 A JP 34185599A JP 2001152144 A JP2001152144 A JP 2001152144A
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gas
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droplets
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Naoto Kijima
直人 木島
Taiichiro Miwa
泰一郎 三輪
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Kasei Optonix Ltd
Mitsubishi Chemical Corp
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Kasei Optonix Ltd
Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 蛍光体粒子の粒度分布が狭く、凝集粒子が少
なく、球状若しくはそれに近い形状を有し、高純度で化
学組成が均一で、発光特性の優れた蛍光体を簡便に製造
する方法を提供しようとするものである。 【解決手段】 蛍光体の構成金属元素を含有する溶液を
ガス雰囲気中に噴霧して微細な液滴となし、乾燥して固
体粒子となし、さらに加熱して熱分解合成して蛍光体を
製造する方法において、前記固体粒子に随伴する気体の
水蒸気濃度を1体積%以下に低減した後、前記熱分解合
成することを特徴とする蛍光体の製造方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ブラウン管、蛍光
ランプ、プラズマディスプレーパネル(PDP)などに
用いられる蛍光体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ブラウン管、蛍光ランプ、PDPなどに
用いる蛍光体は、従来、原料粉末を混合した後、坩堝な
どの焼成容器に入れて高温で長時間加熱して固相反応に
より蛍光体を生成し、ボールミルなどで微粉砕して用い
てきた。
【0003】しかし、この方法で製造された蛍光体は、
不規則形状の一次粒子の凝集体粉末からなっている。こ
の蛍光体を塗布して蛍光膜を形成すると、得られるブラ
ウン管、蛍光ランプ、PDPなどの蛍光膜は不均質で充
填密度が低くなるため、優れた発光特性を得ることがで
きなかった。また、固相反応後にボールミルなどで微粉
砕して所望の粒径の蛍光体を得るため、物理的及び化学
的な衝撃により蛍光体粒子内や表面に欠陥が発生して発
光強度が低下するという問題もあった。さらには、原料
粉末を坩堝などの焼成容器に入れて高温で長時間加熱す
るため、坩堝から不純物が混入して発光特性の低下を避
けることができず、また、原料粉末の粒度によっては固
相反応が十分に進行せず、不純物相が混在して発光特性
の低下を招くことがあった。また、高温で長時間加熱す
るため消費エネルギーが大きくなり、蛍光体の製造コス
トを押し上げる要因となっていた。
【0004】そこで、前記方法の欠点を解消し、熱分解
反応工程後の微粉砕工程を不要とし、球形に近い蛍光体
を製造する方法として、次のような方法が提案されてい
る。(特願平10−258007号)即ち、予め調製し
た蛍光体原料水溶液を超音波噴霧器等で微細な液滴とな
し、熱分解反応炉で加熱して蛍光体を製造する方法であ
る。しかし、熱分解反応炉内で液滴から多量の水蒸気が
発生し、さらに水が解離して酸素分圧を高くするため、
還元性雰囲気で原子価を保ちやすいEu2+等の付活イオ
ンの原子価が不安定になり、所望の発光特性が得られな
いという問題があった。また、熱分解反応炉内への多量
の水蒸気の混入は、熱エネルギーの浪費の原因となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
を解消し、蛍光体粒子の粒度分布が狭く、凝集粒子が少
なく、球状若しくはそれに近い形状を有し、高純度で化
学組成が均一で、発光特性の優れた蛍光体を簡便に製造
することができ、かつ、この蛍光体をブラウン管、蛍光
ランプ、PDPなどに適用する際に、均質で緻密な高輝
度蛍光膜を形成できる蛍光体の製造方法を提供しようと
するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、下記の構成を
採用することにより前記の課題の解決を可能にした。 (1) 蛍光体の構成金属元素を含有する溶液をガス雰囲気
中に噴霧して微細な液滴となし、乾燥して固体粒子とな
し、さらに加熱して熱分解合成して蛍光体を製造する方
法において、前記固体粒子に随伴する気体の水蒸気濃度
を1体積%以下に低減した後、前記熱分解合成すること
を特徴とする蛍光体の製造方法。 (2) 前記随伴気体の水蒸気濃度を0.1体積%以下に低
減することを特徴とする前記(1) 記載の蛍光体の製造方
法。
【0007】(3) 前記液滴を分級した後、乾燥し、熱分
解合成することを特徴とする前記(1) 又は(2) 記載の蛍
光体の製造方法。 (4) 前記分級を慣性分級器で行うことを特徴とする前記
(3) 記載の蛍光体の製造方法。 (5) 前記分級器で目的の液滴を分離した後の気体を冷却
して気体中の水分を除去し、低い水蒸気濃度の気体を回
収して前記液滴形成の雰囲気ガスとして用いることを特
徴とする前記(3) 又は(4) 記載の蛍光体の製造方法。
【0008】(6) 前記分級により、前記液滴の重量平均
粒子径を0.5〜20μmの範囲とし、かつ、それらの
90重量%が重量平均粒子径の2倍以下の粒径になるよ
うに調整することを特徴とする前記(5) 記載の蛍光体の
製造方法。 (7) 前記重量平均粒子径を1.0〜10μmの範囲と
し、かつ、それらの90重量%が重量平均粒子径の2倍
以下の粒径になるように調整することを特徴とする前記
(6) 記載の蛍光体の製造方法。
【0009】(8) 前記分級を行った後、前記随伴気体よ
り低い水蒸気濃度の気体を添加し、次いで熱分解合成す
ることを特徴とする前記(3) 〜(7) のいずれか1つに記
載の蛍光体の製造方法。 (9) 前記随伴気体に添加する気体として、水素、一酸化
炭素、少量の水素を含む窒素若しくはアルゴン、又は、
少量の一酸化炭素を含む窒素若しくはアルゴンを使用す
ることを特徴とする前記(8) 記載の蛍光体の製造方法。 (10)前記蛍光体が硫化物又は酸硫化物を主相とする蛍光
体の場合、前記随伴気体に添加する気体が、硫化水素又
は二硫化炭素を含有することを特徴とする前記(8) 又は
(9) 記載の蛍光体の製造方法。
【0010】(11)前記蛍光体の構成金属元素の金属塩を
溶解した水溶液を用いることを特徴とする前記(1) 〜(1
0)のいずれか1つに記載の酸化物蛍光体の製造方法。 (12)前記金属塩水溶液に溶解している金属塩の少なくと
も10重量%が硝酸塩又は酢酸塩であることを特徴とす
る前記(11)記載の酸化物蛍光体の製造方法。 (13)前記金属塩水溶液に溶解している金属塩の少なくと
も50重量%が硝酸塩又は酢酸塩であることを特徴とす
る前記(12)記載の酸化物蛍光体の製造方法。
【0011】(14)前記随伴気体として、酸化性ガス又は
還元性ガスを選択することを特徴とする前記(1) 〜(13)
のいずれか1項に記載の酸化物蛍光体の製造方法。 (15)前記酸化性ガスとして空気を用いることを特徴とす
る前記(14)記載の酸化物蛍光体の製造方法。
【0012】(16)前記還元性ガスとして、水素と窒素の
混合ガス、水素とアルゴンの混合ガス、一酸化炭素と窒
素の混合ガス、又は、一酸化炭素とアルゴンの混合ガス
を用いることを特徴とする前記(14)記載の酸化物蛍光体
の製造方法。 (17)前記乾燥工程後、乾燥粒子を100℃以上に保持し
た状態で前記熱分解合成工程に移行することを特徴とす
る前記(1) 〜(16)のいずれか1つに記載の蛍光体の製造
方法。
【0013】(18)熱分解合成の加熱温度を500〜19
00℃、加熱時間を0.5秒〜10分の範囲で調整する
ことを特徴とする前記(1) 〜(17)のいずれか1つに記載
の蛍光体の製造方法。 (19)前記蛍光体が酸化物を主相とする蛍光体の場合、熱
分解合成の加熱温度を1200〜1900℃、加熱時間
を0.5秒〜10分の範囲で調整することを特徴とする
前記(18)記載の蛍光体の製造方法。 (20)前記蛍光体が酸化物を主相とする蛍光体の場合、熱
分解合成の加熱温度を1400〜1900℃、加熱時間
を0.5秒〜10分の範囲で調整することを特徴とする
前記(19)記載の蛍光体の製造方法。
【0014】(21)前記蛍光体が硫化物を主相とする蛍光
体の場合、熱分解合成の加熱温度を500〜1100
℃、加熱時間を0.5秒〜10分の範囲で調整すること
を特徴とする前記(18)記載の蛍光体の製造方法。 (22)前記蛍光体が硫化物を主相とする蛍光体の場合、熱
分解合成の加熱温度を600〜1050℃、加熱時間を
0.5秒〜10分の範囲で調整することを特徴とする前
記(21)記載の蛍光体の製造方法。
【0015】(23)前記蛍光体が酸硫化物を主相とする蛍
光体の場合、熱分解合成の加熱温度を700〜1300
℃、加熱時間を0.5秒〜10分の範囲で調整すること
を特徴とする前記(18)記載の蛍光体の製造方法。 (24)前記蛍光体が酸硫化物を主相とする蛍光体の場合、
熱分解合成の加熱温度を800〜1200℃、加熱時間
を0.5秒〜10分の範囲で調整することを特徴とする
前記(23)記載の蛍光体の製造方法。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の蛍光体の製造方法におい
て、蛍光体の構成金属元素を含有する水溶液は、金属元
素を含有する塩や有機金属化合物など、水に可溶であ
り、しかも高温に加熱するときに酸化物や硫化物、酸硫
化物に分解反応する原料ならば、いずれのものでも使用
することができる。また、蛍光体の構成金属元素の酸化
物を酸に溶解して金属塩水溶液として使用することも可
能である。その中でも、蛍光体の合成を容易にするため
に、蛍光体の構成金属元素の硝酸塩水溶液や酢酸塩水溶
液を使用することが好ましい。硝酸塩水溶液や酢酸塩水
溶液は、微細な液滴状態で噴霧され、乾燥されて硝酸塩
粒子や酢酸塩粒子が形成され、加熱により容易に分解し
て酸化物や硫化物、酸硫化物を主相とする蛍光体が生成
される。
【0017】本発明では、金属塩水溶液に溶解されてい
る金属塩の少なくとも10重量%が硝酸塩又は酢酸塩で
あることが好ましく、少なくとも50重量%であること
がさらに好ましい。この金属塩水溶液には、種々の目的
で、蛍光体の構成金属元素以外の金属元素や添加物を含
有させることができる。硫化物や酸硫化物を主相とする
蛍光体を合成するときには、チオ尿素やチオアセトアミ
ドなどの硫黄を含有する化合物を含有させることが好ま
しい。
【0018】また、水溶液中に少量のフラックスを添加
すると、熱分解反応を比較的低温で短時間で結晶性の高
い蛍光体球状粒子を生成することができる。フラックス
の具体例としては、ハロゲン化アルカリ金属塩、ハロゲ
ン化アルカリ土類金属塩、ハロゲン化アンモニウム塩、
ホウ酸などを挙げることができる。なお、良好な発光特
性を得るためには、キラーセンターとなる鉄やニッケル
などの不純物元素の含有量の少ない原料を使用すること
が大切である。
【0019】蛍光体原料は水や酸に投入して攪拌して完
全に溶解させることが望ましい。溶液内の各元素濃度
は、蛍光体粒子の直径に対する微細な液滴の直径にした
がって調整される。即ち、蛍光体粒子直径に対する液滴
直径の比が大きければ、溶液内の溶質濃度を低くし、そ
の比が小さければ溶質濃度を高く調整するのがよい。良
好な蛍光体を合成するためには、水溶液内の金属元素の
溶質濃度C(重量モル濃度で、水溶液1kg中に含有さ
れる全ての金属元素の合計モル数)は0.01≦C≦
5.0の範囲が適当である。
【0020】金属塩又は金属錯体水溶液から微細な液滴
を形成する方法としては、例えば、 加圧空気で溶液を吸い上げながら噴霧して平均粒径1
〜50μmの液滴を形成する方法、圧電結晶からの2
MHz程度の超音波を加えて平均粒径4〜10μmの液
滴を形成する方法、孔径が10〜20μmのオリフィ
スを振動子により振動させ平均粒径5〜50μmの液滴
を形成する方法、回転円板上に溶液を一定速度で落下
させて遠心力によって平均粒径20〜100μmの液滴
を形成する方法、液体表面に高い電圧を引加して平均
粒径0.5〜10μmの液滴を発生する方法などを採用
することができる。
【0021】前記の微細な液滴は、気体流に随伴されて
乾燥器に導入され、加熱されて金属塩粒子や金属錯体粒
子となる。微細な液滴を形成する時の雰囲気ガスは、空
気、酸素、窒素、水素、少量の水素を含む窒素やアルゴ
ンなどを使用できるが、硫化物を主相とする蛍光体や酸
硫化物を主相とする蛍光体を製造するときには、液滴を
形成するときの雰囲気ガスに、硫化水素や二硫化炭素な
どの硫黄を含有する硫化性ガスを添加することが好まし
い。このようなガスを用いて、液滴の微細化、乾燥、熱
分解合成などを連続的に行うことも可能である。
【0022】良好な発光特性を得るためには、発光に関
与する付活剤イオンの種類により気体を選択することが
重要である。例えば酸化雰囲気で原子価を保ちやすいE
3+等を付活イオンとする場合は、空気や酸素などの酸
化性ガスが好ましく、また還元雰囲気で原子価を保ちや
すいEu2+等を付活イオンとする場合は、水素や、少量
の水素や一酸化炭素を含む窒素やアルゴンなどの還元性
ガスが好ましい。
【0023】微細な液滴を乾燥して金属塩粒子や金属錯
体粒子を形成する前に分級して、重量平均粒子径を0.
5〜20μmで、90重量%の微細な液滴が重量平均粒
子径の2倍以下の粒径になるように調整するすることが
望ましい。このように粒度分布の狭い液滴から蛍光体粒
子を製造すると、平均粒子径が0.1〜15μmの範囲
の蛍光体粒子を得ることができ、蛍光膜形成時の塗布特
性を良好にすることができる。乾燥前に除かれた微細な
液滴は、回収して原料の金属塩水溶液として再使用する
ことができる。
【0024】微細な液滴の重量平均粒子径が0.5μm
より小さな液滴が増えると、得られる蛍光体が極端に小
さくなり、蛍光体スラリーを調製するときに、粘度が高
くなって蛍光膜の塗布特性が低下する。20μmより大
きな液滴が増えると、得られる蛍光体が極端に大きくな
って、緻密で高精細の蛍光膜を形成しにくくなる。より
好ましくは、分級により重量平均粒子径を1〜10μm
で、90重量%の微液滴が重量平均粒子径の2倍以下の
粒径になるように調製するのがよい。
【0025】熱分解合成炉における酸化物蛍光体の生産
効率を上げるためには、分級時に液滴同伴気体の単位体
積当たりの液滴体積を2倍以上に濃縮することが好まし
い。分級器としては、重力分級器、遠心分級器、慣性分
級器などを使用できるが、その中でも慣性分級器が好適
である。慣性分級器は同伴する気体の一部と共に、粒子
径範囲の下限未満の液滴を除去するのに適している。
【0026】微細な液滴の乾燥方法としては、凍結乾燥
や減圧乾燥なども可能であるが、加熱乾燥が好適であ
る。例えば、前記の液滴形成手段を円筒容器の上方に配
置し、下方に乾燥用の加熱帯を設け、下方に流れる随伴
気体中に微細な液滴を放出し、降下する間に乾燥させる
ことができる。
【0027】加熱乾燥した金属塩粒子や金属錯体粒子
は、100℃以上に加温された状態で熱分解合成炉に移
行することが望ましい。100℃を下回ると、乾燥時に
発生した水蒸気が凝縮して金属塩粒子を部分的に溶解し
て凝集し、所望の形状や粒径の酸化物蛍光体粒子が得ら
れなくなる恐れがある。
【0028】本発明では、乾燥工程で得た金属塩粒子や
金属錯体粒子を随伴する気体は、水蒸気濃度を1体積%
以下、好ましくは0.1体積%以下に低減した後、熱分
解合成することが重要である。熱分解工程に先立つ液滴
の乾燥工程で水蒸気が発生するため、随伴する気体をそ
のまま熱分解合成炉に導入すると、多量の水蒸気を含有
し、熱分解合成炉で高温に加熱されて水が解離して酸素
分圧を高める。還元性雰囲気で原子価を保ちやすいEu
2+等の付活イオンを含有する蛍光体は、随伴する気体の
水蒸気濃度が1体積%を超えると、付活イオンが不安定
になり所望の発光特性を得ることができなくなる。熱分
解合成炉に多量の水蒸気が混入すると、熱エネルギーの
浪費の要因となる。
【0029】前記の水蒸気濃度を低減する方法は、重量
分級器、遠心分級器、慣性分級器などの分級器を使用し
て随伴気体の一部を除去して随伴気体の体積当たりの金
属塩粒子や金属錯体粒子の体積を増加させ、その後、水
蒸気濃度の低い気体を添加する方法がある。その際に、
硫化物や酸硫化物を主相とする蛍光体の製造において
は、水蒸気の濃度の低い、硫化水素ガス、二硫化炭素ガ
ス、又は硫黄を構成元素に含むガスを用いることが好ま
しい。なお、前記分級器において除去した気体は、一旦
冷却して水蒸気を凝縮して水として分離した後、液滴形
成工程に戻すことが好ましい。
【0030】熱分解合成では、蛍光体の種類により加熱
温度を500〜1900℃で、加熱時間を0.5秒間〜
10分間の範囲に調整することが好ましい。加熱温度が
低すぎるか加熱時間が短すぎると、金属塩や金属錯体が
熱分解せず、また結晶性が低くなる上、付活剤イオンが
結晶内部で十分に付活できず、発光輝度が低くなる。他
方、加熱温度が高すぎるか加熱時間が長すぎると、不要
なエネルギーを消費することになる。
【0031】本発明の蛍光体が酸化物を主相とする蛍光
体の場合は、熱分解合成を酸化性ガス又は還元性ガス雰
囲気下で加熱温度を1200〜1900℃、加熱時間を
0.5秒〜10分の範囲、好ましくは、加熱温度を14
00〜1900℃、加熱時間を0.5秒〜10分の範囲
で調整することにより、結晶性が優れ発光特性の良好な
蛍光体を得ることができる。Eu3+等の付活剤イオンで
付活した蛍光体を製造する場合は酸化性ガス雰囲気が好
ましく、また、Eu2+等の付活剤イオンで付活した蛍光
体を製造する場合は、還元性雰囲気が好ましい。
【0032】本発明の蛍光体が硫化物を主相とする蛍光
体の場合は、熱分解合成を硫化性ガス雰囲気下で加熱温
度を500〜1100℃、加熱時間を0.5秒〜10分
の範囲、好ましくは、加熱温度を600〜1050℃、
加熱時間を0.5秒〜10分の範囲で調整することによ
り、結晶性が優れ発光特性の良好な蛍光体を得ることが
できる。
【0033】本発明の蛍光体が酸硫化物を主相とする蛍
光体の場合は、熱分解合成を硫化性ガス雰囲気下で加熱
温度を700〜1300℃、加熱時間を0.5秒〜10
分の範囲、好ましくは、加熱温度を800〜1200
℃、加熱時間を0.5秒〜10分の範囲で調整すること
により、結晶性が優れ発光特性の良好な蛍光体を得るこ
とができる。
【0034】
【実施例】以下、本発明を実施例でさらに詳しく説明す
る。 (実施例1)蛍光体の化学組成が(Ba0.9 Eu0.1
O・MgO・5Al2 3 となるように硝酸バリウム、
硝酸ユーロピウム、硝酸マグネシウム、硝酸アルミニウ
ムをそれぞれ水に溶解し、少量の硝酸を添加して溶質濃
度Cが0.3(金属元素の合計モル数/水溶液1kg)
の均質な溶液を作成して原料溶液とした。
【0035】随伴気体として水素を2体積%含有する窒
素を使用し、1.7MHzで振動する振動子を備えた超
音波噴霧器で原料溶液を微細な液滴となし、前記随伴気
体中に放出した。この液滴を慣性分級器を使用して分級
して、液滴の重量平均粒子径が5μmで90重量%の液
滴が10μm以下の粒径になるように調整すると共に、
随伴気体の単位体積当たりの液滴体積を5倍に濃縮し
た。
【0036】分級された液滴は200℃で加熱して金属
塩粒子を得た。この金属塩粒子を200℃に保持したま
ま、別の慣性分級器に搬送して随伴気体の90体積%を
除去し、随伴気体の単位体積当たりの液滴体積を10倍
に濃縮した。随伴気体から除去された気体は、室温まで
冷却して水分を除去した後、前記金属塩粒子含有気体に
添加して水蒸気濃度を1/10に低減した。この操作を
2回繰り返すことにより、水蒸気濃度を0.05体積%
に低減した。
【0037】水蒸気濃度を調整した金属塩粒子含有気体
は、200℃に保温しながら熱分解合成炉に搬送して、
最高温度が1600℃の熱分解合成炉内で10秒間熱分
解合成して酸化物蛍光体粒子を得た。得られた蛍光体粒
子のX線回折パターンを調べたところ、不純物相の存在
しない単相の蛍光体が生成していることが分かった。ま
た、蛍光体表面は滑らかで粒径の揃った球状をなし、そ
の平均粒径は1μmだった。この蛍光体に対して波長2
54nm紫外線を照射して発光スペクトルを測定したと
ころ、良好な青色発光を示した。
【0038】(実施例2)ZnSを主相とする硫化物蛍
光体に含有される銀と塩素の濃度が0.01重量%とな
るように硝酸亜鉛水溶液に硝酸銀水溶液と塩化ナトリウ
ム水溶液、及びチオ尿素水溶液を添加し、溶質濃度Cが
0.3(金属元素の合計モル数/水溶液1kg)の均質
な溶液を作成して原料溶液とした。
【0039】随伴気体として窒素を使用し、1.7MH
zで振動する振動子を備えた超音波噴霧器で原料溶液を
微細な液滴となし、前記随伴気体中に放出した。この液
滴を慣性分級器を使用して分級して、液滴の重量平均粒
子径が5μmで90重量%の液滴が10μm以下の粒径
になるように調整すると共に、随伴気体の単位体積当た
りの液滴体積を5倍に濃縮した。
【0040】分級された微液滴は200℃で加熱して金
属塩粒子を得た。この金属塩粒子を200℃に保温しな
がら、別の慣性分級器に搬送して随伴気体の90体積%
を除去し、随伴気体の単位体積当たりの液滴体積を10
倍に濃縮した。随伴気体から除去された気体は、室温ま
で冷却して水分を除去した後、前記の金属塩粒子含有気
体に添加して水蒸気濃度を1/10に低減した。この操
作を2回繰り返すことにより、水蒸気濃度を0.05体
積%に低減した。
【0041】水蒸気濃度を調整した金属塩粒子含有気体
は、200℃に保温しながら熱分解合成炉に搬送して、
最高温度が1000℃の熱分解合成炉内で10秒間熱分
解合成して硫化物蛍光体粒子を得た。得られた蛍光体粒
子のX線回折パターンを調べたところ、不純物相の存在
しない単相の蛍光体が生成していることが分かった。ま
た、蛍光体表面は滑らかで粒径の揃った球状をなし、そ
の平均粒径は1μmだった。この蛍光体に対して加速電
圧25kVの電子線を照射して発光スペクトルを測定し
たところ、良好な青色発光を示した。
【0042】(実施例3)蛍光体の化学組成が(Y0.94
Eu0.062 3 となるように硝酸イットリウムと硝酸
ユーロピウムをそれぞれ水に溶解し、さらにチオ尿素水
溶液と微量のリン酸カリウム水溶液を添加して溶質濃度
Cが0.3(金属元素の合計モル数/水溶液1kg)の
均質な溶液を作成して原料溶液とした。
【0043】随伴気体として窒素を使用し、1.7MH
zで振動する振動子を備えた超音波噴霧器で原料溶液を
微細な液滴となし、前記随伴気体中に放出した。この液
滴を慣性分級器を使用して分級して、液滴の重量平均粒
子径が5μmで90重量%の液滴が10μm以下の粒径
になるように調整すると共に、随伴気体の単位体積当た
りの液滴体積を5倍に濃縮した。
【0044】分級された液滴は200℃で加熱して金属
塩粒子を得た。この金属錯体粒子を200℃に保持した
まま、別の慣性分級器に搬送して随伴気体の90体積%
を除去し、随伴気体の単位体積当たりの液滴体積を10
倍に濃縮した。随伴気体から除去された気体は、室温ま
で冷却して水分を除去した後、前記の金属錯体粒子含有
気体に添加して水蒸気濃度を1/10に低減した。この
操作を2回繰り返すことにより、水蒸気濃度を0.05
体積%に低減した。
【0045】水蒸気濃度を調整した金属錯体粒子を随伴
した気体に、硫化水素ガスを含有する窒素ガスを添加混
合して気体中の硫化水素濃度が5体積%になるように調
整した後、200℃に保温しながら熱分解合成炉に搬送
して、最高温度が1150℃の熱分解合成炉内で10秒
間熱分解合成して酸硫化物蛍光体粒子を得た。得られた
蛍光体粒子のX線回折パターンを調べたところ、不純物
相の存在しない単相の蛍光体が生成していることが分か
った。また、蛍光体表面は滑らかで粒径の揃った球状を
なし、その平均粒径は1μmだった。この蛍光体に対し
て加速電圧25kVの電子線を照射して発光スペクトル
を測定したところ、良好な赤色発光を示した。
【0046】
【発明の効果】本発明は、上記の構成を採用することに
より、粒度分布が狭く、凝集粒子が少なく、球状で、か
つ高純度で化学組成が均一で、発光特性の優れた蛍光体
を簡便に製造することができ、ブラウン管、蛍光ラン
プ、PDPなどに適した均質で緻密な高輝度蛍光膜の形
成を可能にした。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 三輪 泰一郎 神奈川県小田原市成田1060番地 化成オプ トニクス株式会社内 Fターム(参考) 4G076 AA02 AA18 AB07 AC02 AC04 AC07 BA31 BA39 BB01 BB06 BB08 BC01 BD02 CA03 CA26 CA36 DA11 4H001 CA06 CA07 CF02 XA08 XA12 XA13 XA16 XA30 XA39 XA56 YA63

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 蛍光体の構成金属元素を含有する溶液を
    ガス雰囲気中に噴霧して微細な液滴となし、乾燥して固
    体粒子となし、さらに加熱して熱分解合成して蛍光体を
    製造する方法において、前記固体粒子に随伴する気体の
    水蒸気濃度を1体積%以下に低減した後、前記熱分解合
    成することを特徴とする蛍光体の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記液滴を分級した後、乾燥し、熱分解
    合成することを特徴とする請求項1記載の蛍光体の製造
    方法。
  3. 【請求項3】 前記分級を行った後、前記随伴気体より
    低い水蒸気濃度の気体を添加し、次いで熱分解合成する
    ことを特徴とする請求項2記載の蛍光体の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記随伴気体に添加する気体として、水
    素、一酸化炭素、少量の水素を含む窒素若しくはアルゴ
    ン、又は、少量の一酸化炭素を含む窒素若しくはアルゴ
    ンを使用することを特徴とする請求項3記載の蛍光体の
    製造方法。
  5. 【請求項5】 前記蛍光体が硫化物又は酸硫化物を主相
    とする蛍光体の場合、前記随伴気体に添加する気体が硫
    化水素又は二硫化炭素を含有することを特徴とする請求
    項3又は4記載の蛍光体の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記蛍光体の構成金属元素の金属塩を溶
    解した水溶液中の金属塩の少なくとも10重量%が硝酸
    塩又は酢酸塩であることを特徴とする請求項1〜5のい
    ずれか1項に記載の蛍光体の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記随伴気体として、酸化性ガス又は還
    元性ガスを選択することを特徴とする請求項1〜6のい
    ずれか1項に記載の蛍光体の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記液滴の乾燥方法が加熱乾燥であり、
    該乾燥の加熱速度を毎秒400℃以下に調整することを
    特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の蛍光体
    の製造方法。
  9. 【請求項9】 熱分解合成を加熱温度500〜1900
    ℃、加熱時間0.5秒〜10分の範囲で調整することを
    特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の蛍光体
    の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記蛍光体が酸化物を主相とする蛍光
    体の場合、熱分解合成の加熱温度を1200〜1900
    ℃、加熱時間を0.5秒〜10分の範囲で調整すること
    を特徴とする請求項9記載の蛍光体の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記蛍光体が硫化物を主相とする蛍光
    体の場合、熱分解合成の加熱温度を500〜1100
    ℃、加熱時間を0.5秒〜10分の範囲で調整すること
    を特徴とする請求項9記載の蛍光体の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記蛍光体が酸硫化物を主相とする蛍
    光体の場合、熱分解合成の加熱温度を700〜1300
    ℃、加熱時間を0.5秒〜10分の範囲で調整すること
    を特徴とする請求項9記載の蛍光体の製造方法。
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