JP2001138889A - ブレーキマスタシリンダ - Google Patents

ブレーキマスタシリンダ

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JP2001138889A
JP2001138889A JP32063199A JP32063199A JP2001138889A JP 2001138889 A JP2001138889 A JP 2001138889A JP 32063199 A JP32063199 A JP 32063199A JP 32063199 A JP32063199 A JP 32063199A JP 2001138889 A JP2001138889 A JP 2001138889A
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cap
piston
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master cylinder
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JP32063199A
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Kaoru Tsubouchi
坪内  薫
Toshihiro Nakano
利博 中野
Akisuke Okada
亜希資 岡田
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Aisin Corp
Original Assignee
Aisin Seiki Co Ltd
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  • Transmission Of Braking Force In Braking Systems (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ブレーキマスタシリンダにおいて、ボディと
キャップ間のシール構成を改善して、キャップの小径化
を図ること。 【解決手段】 第1圧力室R1が、第1ピストン31の
後退位置にて、ピストンポート31a、第1連通路(連
通溝26a)、キャップ12に設けた第2連通路(環状溝
12d、連通孔12e)を通して、リザーバ接続ポート
11bに連通するようにしたブレーキマスタシリンダに
おいて、リザーバ接続ポート11bの後方にて、ボディ
11に設けた環状溝11h(第1環状溝)に組付けたOリ
ング14(第1シール部材)によってボディ11とキャッ
プ12間がシールされて、大気との連通が遮断されるよ
うにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両のブレーキ装
置に使用されるマスタシリンダすなわちブレーキマスタ
シリンダに関する。
【0002】
【従来の技術】ブレーキマスタシリンダの一つとして、
後端にて開口する内孔を有したボディと、このボディの
内孔開口部に組付けられて前記ボディとによってシリン
ダハウジングを構成するキャップと、このキャップを通
して前記シリンダハウジング内に嵌挿されて軸方向へ摺
動可能な第1ピストンと、この第1ピストンに対して同
軸的に配置されて前記シリンダハウジング内にて軸方向
へ摺動可能な第2ピストンとを備えて、前記第1ピスト
ンと前記第2ピストン間に形成される第1圧力室が、前
記第1ピストンの後退位置にて、前記第1ピストンに設
けられて前記第1圧力室に連通するピストンポートと、
前記第1ピストンと前記キャップ間に介装したシールカ
ップの後方に設けられて前記ピストンポートに連通する
第1連通路と、前記キャップに設けられて前記第1連通
路に連通する第2連通路と、前記キャップと前記ボディ
間に形成されて前記第2連通路に連通する環状通路を通
して、前記ボディに設けたリザーバ接続ポートに連通す
るようにしたもの(タンデム式マスタシリンダ)があ
り、例えば特開平6−298072号公報に示されてい
る。
【0003】上記した公報に示されているブレーキマス
タシリンダにおいては、環状通路の後方にて環状通路と
大気との連通を遮断する第1シール部材(Oリング)がキ
ャップの外周に設けた第1環状溝に組付けられている。
また、環状通路の前方にて第1圧力室と環状通路の連通
を遮断する第2シール部材(第1シール部材より小径の
Oリング)がキャップの外周に設けた第2環状溝に組付
けられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記した公
報のキャップにおいては、第2連通路の一部を構成する
傾斜した連通孔が第1環状溝より内周側に設けられてい
て、傾斜連通孔と第1環状溝間には必要十分な肉厚を確
保する必要があるため、キャップの外周径が大きくな
り、これに起因してボディが大きくなって、当該ブレー
キマスタシリンダの小型・軽量化を阻害するおそれがあ
る。
【0005】また、上記した公報のキャップにおいて
は、ボディにねじ結合される際に、キャップの各環状溝
に組付けた各シール部材が外周にてボディの内孔内周に
接して回転摺動しながら前進する。このため、各シール
部材がよじれるおそれがあり、シール機能が低下するお
それがある。特に、第1シール部材は、第2シール部材
より大径であり、第2シール部材に比してよじれる可能
性が高い。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記した問題
に対処すべくなされたものであり、上記した形式のブレ
ーキマスタシリンダにおいて、前記リザーバ接続ポート
の後方にて、前記ボディに設けた第1環状溝に組付けた
第1シール部材によって前記ボディと前記キャップ間が
シールされて、前記第2連通路と大気との連通が遮断さ
れるようにしたこと(請求項1に係る発明)に特徴があ
る。
【0007】また、本発明の実施に際しては、前記リザ
ーバ接続ポートの前方にて、前記ボディに設けた第2環
状溝に組付けた第2シール部材によって前記ボディと前
記キャップ間がシールされて、前記第1圧力室と前記リ
ザーバ接続ポートの連通が遮断されるようにすること
(請求項2に係る発明)が望ましい。さらに、前記キャ
ップと前記ボディとの間に形成されるとともに前記第2
連通路と前記リザーバ接続ポートとの間に位置して前記
第2連通路と前記リザーバ接続ポートとを連通する環状
通路を備えること(請求項3に係る発明)が望ましい。
【0008】
【発明の作用・効果】本発明によるブレーキマスタシリ
ンダ(請求項1に係る発明)においては、ボディに第1
シール部材用の第1環状溝を設けるものであって、キャ
ップの外周にシール部材用の環状溝を設ける必要がない
ため、キャップの外周にシール部材用の環状溝を設ける
場合(この場合には、キャップに設けられる第2連通路
との間に必要十分な肉厚を確保した状態にてキャップの
外周にシール部材用の環状溝を設ける必要がある)のよ
うにはキャップの外径が大きくならなくて、キャップの
小径化が可能であり、これに起因してボディの小型化が
可能であって、当該ブレーキマスタシリンダの小型・軽
量化が可能である。
【0009】また、キャップがボディにねじ結合される
場合において、ボディの第1環状溝に組付けた第1シー
ル部材は、外周が固定側のボディに接しているため、内
周でキャップの外周に接してキャップの回転摺動を受け
ても、キャップによる回転力よりボディによる固定力が
勝っていてよじれ難く、シール機能の低下を抑制するこ
とができる。このため、シール部材の断面積(一般的に
使用されるOリングの線径)を小さくできて、同シール
部材のコスト低減を図ることができるとともに、当該ブ
レーキマスタシリンダの小型化を図ることができる。
【0010】また、本発明の実施に際して、前記リザー
バ接続ポートの前方にて、前記ボディに設けた第2環状
溝に組付けた第2シール部材によって前記ボディと前記
キャップ間がシールされて、前記第1圧力室と前記リザ
ーバ接続ポートの連通が遮断されるようにした場合(請
求項2に係る発明)においては、キャップがボディにね
じ結合される場合において、ボディの各環状溝に組付け
た第1シール部材及び第2シール部材は上述した理由に
よりよじれ難く、シール機能の低下を抑制することがで
きる。
【0011】このため、両シール部材の断面積(一般的
に使用されるOリングの線径)を小さくできて、両シー
ル部材のコスト低減を図ることができるとともに、当該
ブレーキマスタシリンダの小型化を図ることができる。
また、キャップのボディへの組付けに際して、キャップ
の回転を早く行っても、キャップとボディ間に介装され
る両シール部材によじれが生じ難いため、ボディに対し
てキャップを慎重にゆっくり回転して組付ける必要がな
くて、キャップのボディへの組付時間を短縮でき、生産
性を向上させることができる。
【0012】また、本発明の実施に際して、前記キャッ
プと前記ボディとの間に形成されるとともに前記第2連
通路と前記リザーバ接続ポートとの間に位置して前記第
2連通路と前記リザーバ接続ポートとを連通する環状通
路を備える場合(請求項3に係る発明)においては、キ
ャップとボディ間に形成される環状通路によってキャッ
プに設けた第2連通路とボディに設けたリザーバ接続ポ
ートを容易かつ的確に連通させることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の一実施形態を図
面に基づいて説明する。図1に示した本発明によるブレ
ーキマスタシリンダは、ボディ11とキャップ12(カ
バーと言うこともある)によって構成されるシリンダハ
ウジング10と、このシリンダハウジング10に組付け
たシールカップ21、スペーサ22、スリーブ23、シ
ールカップ24、スペーサ25、ガイド26と、第1ピ
ストン31、第2ピストン32とを備えている。
【0014】ボディ11は、金属製で後端(図1の右
端)にて開口する段付の内孔11aを有するとともに、
リザーバ(図示省略)にコネクタ19を介して接続され
るリザーバ接続ポート11b,11cと、ブレーキ配管
を介してホイールシリンダ(共に図示省略)に接続され
る送出ポート11d,11eを有していて、内孔11a
の開口端部にはめねじ部11fが形成されている。ま
た、ボディ11の内孔11aには、ボディ11と第2ピ
ストン32間に形成されて送出ポート11eが連通する
第2圧力室R2を液密的にシールする環状のシールカッ
プ21がスペーサ22とともに組付けられている。スペ
ーサ22は、環状に形成されていて、シールカップ21
とスリーブ23間に介装されており、内外周にて軸方向
の液流通を許容するとともに、第2圧力室R2に圧力が
発生したときにシールカップ21の一部が後述するスリ
ーブ23の連通溝23aに食い込むことを抑制する。
【0015】キャップ12は、金属製でボディ11のめ
ねじ部11fに螺合するおねじ部12aを中間部外周に
有するとともに、ボディ11の内孔11aに嵌合してス
リーブ23の小径部を収容する筒部12bを有してい
る。また、キャップ12は、Oリング13,14を介し
てボディ11に液密的に組付けられていて、シールカッ
プ21,スペーサ22及びスリーブ23を筒部12bの
端面にて抜け止めするとともに、環状のシールカップ2
4,スペーサ25及びガイド26を段付内孔12cの右
端段部12c1にて抜け止めしている。スペーサ25
は、環状に形成されていて、シールカップ24とガイド
26間に介装されており、内外周にて軸方向の液流通を
許容するとともに、第1圧力室R1に圧力が発生したと
きにシールカップ24の一部が後述するガイド26の連
通溝26aに食い込むことを抑制する。
【0016】また、キャップ12の右端部内周には環状
のシールカップ15が組付けられ、キャップ12の右端
部外周にはOリング16が組付けられている。Oリング
13はボディ11に設けた環状溝11gに組付けられて
ボディ11とキャップ12間を液密的にシールしてお
り、Oリング14はOリング13より後方にてボディ1
1に設けた環状溝11hに組付けられてボディ11とキ
ャップ12間を気密かつ液密的にシールしている。シー
ルカップ15はキャップ12と第1ピストン31間を気
密かつ液密的にシールしており、Oリング16はブレー
キブースタのハウジング(図示省略)とキャップ12間
を気密的にシールするものである。なお、キャップ12
の右端外周は六角形状に形成されていて、この部位を工
具にて回転することにより、キャップ12がボディ11
に脱着される。
【0017】スリーブ23は、外周に段部を有した円筒
状の樹脂成形品であって、左端部内周には環状のシール
カップ27が組付けられ、左端部外周にはOリング28
が組付けられており、ボディ11の内孔段部とキャップ
12の筒部12b端面によって挟持されている。シール
カップ27はスリーブ23と第2ピストン32間を液密
的にシールしており、Oリング28はスリーブ23とボ
ディ11間を液密的にシールしている。
【0018】また、スリーブ23には、連通溝23a,
23b,23cが設けられるとともに、突起23dと開
口部23eが設けられている。連通溝23aは、スリー
ブ23の大径左端部に傾斜して形成されていて、周方向
にて所定の間隔で複数個設けられており、ボディ11と
スリーブ23間に形成される環状通路P1を通してリザ
ーバ接続ポート11cに常に連通するとともに、スペー
サ22と第2ピストン32間の隙間を通して第2ピスト
ン32に設けたピストンポート32aに連通している。
【0019】連通溝23bは、スリーブ23の内周に軸
方向に沿って直線状に設けられていて、周方向にて所定
の間隔で複数個設けられており、両ピストン31,32
間に形成される第1圧力室R1と各シールカップ24,
27のカップ凹部を常に連通させている。連通溝23c
は、スリーブ23の小径部外周に軸方向に沿って形成さ
れるととともにスリーブ23の外周段部に径方向に沿っ
て形成されてL字状となっていて、周方向にて所定の間
隔で複数個設けられており、一端にてボディ11とスリ
ーブ23間に形成される環状通路P2を通して送出ポー
ト11dに常に連通し他端にてシールカップ24のカッ
プ凹部に常に連通している。
【0020】突起23dは、スリーブ23の小径右端部
に形成されていて、軸方向に突出しており、シールカッ
プ24のカップ凹部に突入している。開口部23eは、
スリーブ23の小径部の全部と大径部の一部にわたって
形成されていて、軸方向に延びており、径方向にて開口
して第1圧力室R1を送出ポート11dに常に連通させ
るとともに、小径右端部(第1ピストン31側端部)に
て軸方向にも開口している。
【0021】ガイド26は、樹脂製で円筒状に形成され
ていて、キャップ12の内孔12cに組付けられてお
り、外周から両端にまで延びる連通溝26aが設けられ
ている。連通溝26aは、ガイド26の外周に軸方向に
沿って形成されるととともにガイド26の両端部に径方
向に沿って形成されてコ字状となっていて、周方向にて
所定の間隔で複数個設けられており、シールカップ24
の背面に近接してスペーサ25とにより第1連通路を形
成している。
【0022】また、連通溝26aは、前端部分にてキャ
ップ12に設けた環状溝12d及び連通孔12e(周方
向にて所定の間隔で複数個設けられている)からなる第
2連通路と、ボディ11とキャップ12間に形成される
環状通路P3とを通して、リザーバ接続ポート11bに
常に連通するとともに、スペーサ25と第1ピストン3
1間の隙間を通して、第1ピストン31に設けたピスト
ンポート31aに連通し、後端部分にてキャップ12と
第1ピストン31間の隙間を通してシールカップ15の
カップ凹部に常に連通している。
【0023】キャップ12に設けた環状溝12dは、シ
ールカップ24の外径より大径で、シールカップ24の
背面に近接して形成されていて、その外周壁の後方部位
が前方に向けて大径となるテーパー形状に形成されてお
り、キャップ12の内周に向けて開口してガイド26の
連通溝26aに連通している。また、連通孔12eは、
キャップ12の外周から環状溝12dの前方外周部位に
向けて穿設されていて、環状溝12dと環状通路P3を
連通させており、環状通路P3に向けて上方に傾斜して
いる。なお、連通孔12eは、リザーバ接続ポート11
bをガイド26より前方に配置させるために有効な構成
であり、かかる構成によれば当該ブレーキマスタシリン
ダの車両への搭載性が良好となる。
【0024】環状通路P3は、その前方にて、ボディ1
1に設けた環状溝11gに組付けたOリング13によっ
てボディ11とキャップ12間をシールされて、第1圧
力室R1との連通を遮断され、その後方にて、ボディ1
1に設けた環状溝11hに組付けたOリング14(Oリ
ング13より大径である)によってボディ11とキャッ
プ12間をシールされて、大気との連通を遮断されてい
る。
【0025】第1ピストン31は、金属製でキャップ1
2を通してシリンダハウジング10内に嵌挿されてい
て、スリーブ23とガイド26によって軸方向へ摺動可
能に支持されている。また、第1ピストン31は、第2
ピストン32との間に介装した第1スプリングS1によ
って図1の右方に向けて付勢されていて、第1ロッド3
3と第1リテーナ34と第1スプリングリテーナ35に
よって第2ピストン32に対する後退量(第1スプリン
グS1の取付長でもある)が規定されている。
【0026】第1ロッド33は、金属製で右端部にて第
1リテーナ34を介して第1ピストン31に一体的に組
付けられていて、第1ピストン31と一体的に軸方向へ
移動する。第1リテーナ34は、金属製で第1スプリン
グS1のスプリングリテーナを兼ねていて、第1ロッド
33の右端部に嵌着固定されるとともに、第1ピストン
31の内孔31bに圧入によって嵌合固定されている。
【0027】第1スプリングリテーナ35は、金属製で
第1スプリングS1と第2ピストン32間に介装されて
いて、右端部にて第1ロッド33の頭部33aと左方に
向けて離脱可能に係合しており、左端に径外方に向けて
延びる突起35aを有している。突起35aは、中間部
が図示右方(軸方向)に折れ曲がった形状であり、スリ
ーブ23に設けた開口部23eを通してキャップ12の
段付内孔12cの大径部にまで延びていて、キャップ1
2の段付内孔12cに設けた大径段部12c2に対して
所定の隙間で対向しており、両ピストン31,32の後
退方向にて大径段部12c2と係合可能となっている。
【0028】第2ピストン32は、金属製で第1ピスト
ン31に対して同軸的に配置されていて、シリンダハウ
ジング10内にてスリーブ23によって軸方向へ摺動可
能に支持されている。また、第2ピストン32は、ボデ
ィ11との間に介装した第2スプリングS2によって図
1の右方に向けて付勢されていて、第2ロッド36と第
2リテーナ37と第2スプリングリテーナ38によって
図1右方への後退量(第2スプリングS2の取付長でも
ある)が規定されている。
【0029】第2ロッド36は、金属製で右端部にて第
2リテーナ37を介して第2ピストン32に一体的に組
付けられていて、第2ピストン32と一体的に軸方向へ
移動する。第2リテーナ37は、金属製で第2スプリン
グS2のスプリングリテーナを兼ねていて、第2ロッド
36の右端部に嵌着固定されるとともに、第2ピストン
32の内孔32bに圧入によって嵌合固定されている。
【0030】第2スプリングリテーナ38は、金属製で
第2スプリングS2とボディ11間に介装されていて、
右端部にて第2ロッド36の頭部36aに所定の隙間
(第1スプリングリテーナ35の突起35aとキャップ
12の大径段部12c2間の隙間より小さい隙間)で対
向している。このため、第2スプリングS2が第2ロッ
ド36と第2リテーナ37と第2スプリングリテーナ3
8によって規定される取付長にまで延びる間では、第1
スプリングリテーナ35の突起35aがキャップ12の
大径段部12c2に係合しないように設定されている。
【0031】第1スプリングリテーナ35の突起35a
がキャップ12の大径段部12c2に係合(当接)する
のは、図1に示したように、当該ブレーキマスタシリン
ダが組み立てられた状態で搬送される場合において、第
1ピストン31、第2ピストン32、第1ロッド33、
第1リテーナ34、第1スプリングリテーナ35、第2
ロッド36、第2リテーナ37及び第2スプリングリテ
ーナ38等が自重等により一体的に右方へ移動する場合
であって、当該ブレーキマスタシリンダが車両に組付け
られた状態では、第1ピストン31及び第2ピストン3
2が図1に示した位置を後退限とするように調整され
る。
【0032】上記のように構成した本実施形態において
は、環状通路P3の後方にてボディ11に環状溝11h
を設けて、この環状溝11hにOリング14を組付けて
いるため、キャップ12の外周にOリング用の環状溝
(環状溝11hに相当するもの)を設ける必要がなく、
キャップ12の外周にOリング用の環状溝を設ける場合
(この場合には、キャップ12に設けられる連通孔12
eとの間に必要十分な肉厚を確保した状態にてキャップ
12の外周にOリング用の環状溝を設ける必要がある)
のようにはキャップ12の外径が大きくならなくて、キ
ャップ12の小径化が可能であり、これに起因してボデ
ィ11の小型化が可能であって、当該ブレーキマスタシ
リンダの小型・軽量化が可能である。
【0033】また、キャップ12がボディ11にねじ結
合される場合において、ボディ11の各環状溝11g,
11hに組付けた各Oリング13,14は、外周が固定
側のボディ11に接しているため、内周でキャップ12
の外周に接してキャップ12の回転摺動を受けても、キ
ャップ12による回転力よりボディ11による固定力が
勝っていてよじれ難く、シール機能の低下を抑制するこ
とができる。このため、各Oリング13,14の線径
(特に、環状通路P3と大気との連通を遮断するOリン
グ14の線径すなわち断面積)を小さくできて、各Oリ
ング13,14のコスト低減を図ることができるととも
に、当該ブレーキマスタシリンダの小型化を図ることが
できる。
【0034】また、各Oリング13,14がボディ11
の各環状溝11g,11hにそれぞれ組付けられてい
て、キャップ12のボディ11への組付けに際して、キ
ャップ12の回転を早く行っても、キャップ12とボデ
ィ11間に介装された両Oリング13,14によじれが
生じ難いため、ボディ11に対してキャップ12を慎重
にゆっくり回転して組付ける必要がなくて、キャップ1
2のボディ11への組付時間を短縮でき、生産性を向上
させることができる。
【0035】また、キャップ12とボディ11との間に
環状通路P3を形成して、この環状通路P3を通して連
通孔12eとリザーバ接続ポート11bとを連通させる
ようにしたため、仮に連通孔12eとリザーバ接続ポー
ト11bの位置が周方向において変位していても、環状
通路P3によってキャップ12に設けた連通孔12eと
ボディ11に設けたリザーバ接続ポート11bを容易か
つ的確に連通させることができる。
【0036】また、上記のように構成した本実施形態に
おいては、当該ブレーキマスタシリンダが車両に組付け
られ、シリンダハウジング10内にブレーキ液が充填さ
れた状態にて、第1ピストン31が図1の左方に押し込
まれて軸方向移動すると、第1ピストン31のピストン
ポート31aがシールカップ24を通過することによ
り、第1圧力室R1とリザーバ接続ポート11bとの連
通が遮断されて第1圧力室R1内に圧力が生じる。
【0037】また、このときには、第2ピストン32が
図1の左方に押し込まれて軸方向移動し、第2ピストン
32のピストンポート32aがシールカップ21を通過
することにより、第2圧力室R2とリザーバ接続ポート
11cとの連通が遮断されて第2圧力室R2内に圧力が
生じる。このため、第1圧力室R1から送出ポート11
d(ホイールシリンダに接続されるポート)に向けて圧液
が押し出されるとともに、第2圧力室R2から送出ポー
ト11e(ホイールシリンダに接続されるポート)に向け
て圧液が押し出されて制動作用が得られる。
【0038】また、本実施形態においては、スペーサ2
5とガイド26の連通溝26aにより形成される第1連
通路をシールカップ24の背面に近接して設けるととも
に、この第1連通路を環状通路P3に連通させる第2連
通路をキャップ12に設けた環状溝12dと連通孔12
eによって構成したため、当該ブレーキマスタシリンダ
を車両に組付ける際に行われる周知のエアー抜き作業に
おいては、ブレーキ液が連通孔12eと環状溝12d及
びシールカップ24の背面に近接して設けた連通溝26
aを通して第1圧力室R1に向けて流れる。
【0039】ところで、キャップ12に設けた環状溝1
2dはシールカップ24の外径より大径でキャップ12
の内周に向けて開口しガイド26の連通溝26aに連通
するものであり、またキャップ12に設けた連通孔12
eはキャップ12の外周から環状溝12dの前方外周部
位に向けて穿設されたものであるため、周知のエアー抜
き作業が行われるときには、ブレーキ液がキャップ12
の連通孔12e及び環状溝12dとガイド26の連通溝
26aにて澱みなく的確に流れる。したがって、周知の
エアー抜き作業によってキャップ12の連通孔12e及
び環状溝12dとガイド26の連通溝26aに残留する
エアーを的確に抜き取ることができる。
【0040】また、キャップ12に設けた連通孔12e
が環状通路P3(ボディ11の上部に設けたリザーバ接
続ポート11bに連通する通路)に向けて上方に傾斜し
ているため、仮にエアーがキャップ12の連通孔12e
及び環状溝12dとガイド26の連通溝26aのブレー
キ液中に混入していても、そのエアーはその浮力によっ
てガイド26の連通溝26aからキャップ12の環状溝
12dと連通孔12eを通して環状通路P3に至り、こ
の環状通路P3からリザーバ接続ポート11bを通して
リザーバ(図示省略)へと排出されて、当該ブレーキマス
タシリンダ内に残留することはない。したがって、当該
ブレーキマスタシリンダの性能が良好に維持される。
【0041】また、本実施形態においては、キャップ1
2に形成される通路が環状溝12dと連通孔12eによ
って構成されていて、環状溝12dは旋盤加工等によっ
て容易に加工でき、また連通孔12eはドリル加工等に
よって容易に加工できる。また、連通孔12eは環状溝
12dの前方外周部位に向けて穿設されるものであっ
て、周方向の加工精度は全く要求されないため、低コス
トにて生産することができる。
【0042】また、本実施形態においては、シールカッ
プ24の背部にてキャップ12に組付けられて第1ピス
トン31を軸方向へ摺動可能に支持するガイド26を樹
脂成形する際に、連通溝26aを一体的に成形すること
ができて、低コストにて生産することができる。
【0043】また、本実施形態の構成では、キャップ1
2に設けた環状溝12dの内周開口部からシールカップ
24の背面までの長さを短くし得る。したがって、当該
ブレーキマスタシリンダが車両に組付けられて使用され
る場合において、第1ピストン31が後退位置に向けて
急激に戻されて第1圧力室R1が負圧となるときの第1
圧力室R1へのブレーキ液の吸い込み性(シールカップ
24のリップ部を通して第1圧力室R1にブレーキ液が
補充されるときの性能)を良好とすることができて、当
該ブレーキマスタシリンダの性能を向上させることがで
きる。
【0044】また、本実施形態においては、キャップ1
2に設けた環状溝12dの外周壁を前方に向けて大径と
なるテーパー形状としたため、環状溝12dにおけるテ
ーパー形状の外周壁が誘導機能を発揮し得て、キャップ
12の連通孔12eからガイド26の連通溝26aへの
ブレーキ液の流動性およびガイド26の連通溝26aと
キャップ12の環状溝12dからキャップ12の連通孔
12eへのエアーの排出性を良好とすることができる。
【0045】上記実施形態においては、図1に示したよ
うに、環状通路P3の前方にて、ボディ11とキャップ
12間に介装されて第1圧力室R1と環状通路P3との
連通を遮断するOリング13がボディ11に設けた環状
溝11gに組付けられるようにして実施したが、Oリン
グ13はOリング14より外径が小さくてよじれが発生
し難いため、図2に示したように、Oリング13がキャ
ップ12に設けた環状溝12fに組付けられるようにし
て実施することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明によるブレーキマスタシリンダの一実
施形態を示す断面図である。
【図2】 本発明によるブレーキマスタシリンダの他の
実施形態を示す断面図である。
【符号の説明】
10…シリンダハウジング、11…ボディ、11a…内
孔、11b…ボディに設けたリザーバ接続ポート、11
g…ボディに設けた環状溝(第2環状溝)、11h…ボ
ディに設けた環状溝(第1環状溝)、12…キャップ、
13…Oリング(第2シール部材)、14…Oリング
(第1シール部材)、12d,12e…環状溝,連通孔
(第2連通路)、24…シールカップ、26…ガイド、2
6a…連通溝(第1連通路)、31…第1ピストン、31
a…ピストンポート、32…第2ピストン、R1…第1
圧力室、R2…第2圧力室、P3…環状通路。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岡田 亜希資 愛知県刈谷市朝日町2丁目1番地 アイシ ン精機株式会社内 Fターム(参考) 3D047 BB41 CC13 CC17

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 後端にて開口する内孔を有したボディ
    と、このボディの内孔開口部に組付けられて前記ボディ
    とによってシリンダハウジングを構成するキャップと、
    このキャップを通して前記シリンダハウジング内に嵌挿
    されて軸方向へ摺動可能な第1ピストンと、この第1ピ
    ストンに対して同軸的に配置されて前記シリンダハウジ
    ング内にて軸方向へ摺動可能な第2ピストンとを備え
    て、前記第1ピストンと前記第2ピストン間に形成され
    る第1圧力室が、前記第1ピストンの後退位置にて、前
    記第1ピストンに設けられて前記第1圧力室に連通する
    ピストンポートと、前記第1ピストンと前記キャップ間
    に介装したシールカップの後方に設けられて前記ピスト
    ンポートに連通する第1連通路と、前記キャップに設け
    られて前記第1連通路に連通する第2連通路とを通し
    て、前記ボディに設けたリザーバ接続ポートに連通する
    ようにしたブレーキマスタシリンダにおいて、前記リザ
    ーバ接続ポートの後方にて、前記ボディに設けた第1環
    状溝に組付けた第1シール部材によって前記ボディと前
    記キャップ間がシールされて、前記第2連通路と大気と
    の連通が遮断されるようにしたことを特徴とするブレー
    キマスタシリンダ。
  2. 【請求項2】 前記リザーバ接続ポートの前方にて、前
    記ボディに設けた第2環状溝に組付けた第2シール部材
    によって前記ボディと前記キャップ間がシールされて、
    前記第1圧力室と前記リザーバ接続ポートの連通が遮断
    されるようにしたことを特徴とする請求項1に記載のブ
    レーキマスタシリンダ。
  3. 【請求項3】 前記キャップと前記ボディとの間に形成
    されるとともに前記第2連通路と前記リザーバ接続ポー
    トとの間に位置して前記第2連通路と前記リザーバ接続
    ポートとを連通する環状通路を備えることを特徴とする
    請求項1または請求項2に記載のブレーキマスタシリン
    ダ。
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