JP2001130281A - 農用トラクタの走行変速装置 - Google Patents

農用トラクタの走行変速装置

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JP2001130281A
JP2001130281A JP31382699A JP31382699A JP2001130281A JP 2001130281 A JP2001130281 A JP 2001130281A JP 31382699 A JP31382699 A JP 31382699A JP 31382699 A JP31382699 A JP 31382699A JP 2001130281 A JP2001130281 A JP 2001130281A
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昌明 浜
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 オーバードライブ機構と超減速機構とに対す
る操作構造の簡素化を図ることを目的とする。 【解決手段】 オーバードライブ状態と超減速状態とに
切り換える操作具を単一の切換操作具29を設ける。超
減速状態よりオーバードライブ状態に切り換えるには切
換操作具29を超減速状態の中立位置に切り換えた状態
で、オーバードライブ切換操作域に移行させるように構
成してある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主変速機構より減
速比の大きな変速機構と、前段からの動力を増速して出
力するオーバードライブ機構とを設けてある農用トラク
タの走行変速装置に関する。
【0002】
【従来の技術】上記走行用変速装置としては、例えば特
開平10−287145号公報に開示されているよう
に、主変速機構より減速比の大きな変速機構としての超
減速状態に切り換える操作具と、前段からの動力を増速
して出力するオーバードライブ状態に切り換える操作具
とを、別個に設けていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】この場合には、操作具
が多くなり設置スペースの確保に苦慮することになると
ともに、両操作具の同時操作を規制する牽制機構も両操
作具に亘って設ける必要があり、牽制機構が大型化する
虞もあった。
【0004】本発明の目的は、主変速機構より減速比の
大きな変速機構を働かせる変速状態と、オーバードライ
ブ機構を働かせる状態とに切り換える操作具の簡素化を
図るとともに、前記変速機構とオーバードライブ機構と
の同時作動を規制する牽制機構の簡単化を達成できるも
のを提供する点にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】(構成)請求項1に係る
発明は、主変速機構より減速比の大きな変速機構と、前
段からの動力を増速して出力するオーバードライブ機構
とを設け、前記変速機構と前記オーバードライブ機構と
を入切操作する単一の切換操作具を設け、前記切換操作
具を、前記変速機構の中立操作位置より前記オーバード
ライブ機構に対するオーバードライブ操作域に切換でき
るように構成してある点にあり、その作用効果は次の通
りである。
【0006】(作用効果) 前記変速機構と前記オーバ
ードライブ機構とを入切操作する操作具として、単一の
切換操作具で対応することにしたので、操作具の簡素化
を達成することができた。変速機構に対する変速操作域
とオーバードライブ機構に対するオーバードライブ域と
に切り換えるのに、変速機構の中立位置でのみ行うこと
ができるので、オーバードライブ域の操作を行う際に、
必ず、変速操作域を中立位置にするので、変速操作域出
の操作を牽制する機構を必要とせず、変速操作域の中立
位置よりのみオーバードライブ域に移行する機構を設け
るだけでよく、機構の簡素化を図ることができる。しか
も、単一の操作具であっても、変速操作域よりオーバー
ドライブ域に切り換えるのに、中立位置に必ず設定しな
ければならないので、変速操作域での操作を行いなが
ら、誤って、オーバードライブ域への操作を行うことが
少なくなる。
【0007】(構成) 請求項2に係る発明は、請求項
1記載の発明において、前記変速機構を超減速状態が現
出可能な超減速機構に構成し、前記切換操作具の操作移
動域を、超減速操作域と、その超減速操作域から分岐さ
れるオーバードライブ操作域とで形成してある点にあ
り、その作用効果は次の通りである。
【0008】(作用効果) 前記変速機構として超減速
機構を採用し、超減速機構とオーバードライブ機構とは
同時に操作されることのない点に着目し、超減速機構と
オーバードライブ機構とに対する操作具を単一の切換操
作具に纏めることができ、操作構造の簡素化を図ること
が容易になった。
【0009】(構成) 請求項3に係る発明は、請求項
1または2記載の発明において、前記切換操作具がオー
バードライブ機構に対する操作開始点に至ったことを検
出する操作開始検出手段を設けてある点にあり、その作
用効果は次の通りである。
【0010】(作用・効果) つまり、オーバードライ
ブ機構を入り状態にした後に副変速機構を中立状態にす
れば同時噛合いを防止できるのであるが、図2及び図3
に示すように、副変速機構と超減速機構とを直列に連結
するとともに、これらに並列してオーバードライブ機構
を設けてあるので、超減速機構を中立位置に切り換えた
段階で、副変速機構が無負荷状態となるので、副変速機
構を構成するギヤ等が高速回転を維持することになり、
できるだけ早期に副変速機構を中立状態に切り換える必
要がある。そこで、検出手段を、オーバードライブ入り
位置ではなく敢えてオーバードライブ操作開始位置に設
置することによって、副変速機構に対する対応を迅速に
行うことができる。
【0011】(構成) 請求項4に係る発明は、請求項
1ないし3のいずれか一項に記載の発明において、前記
操作開始検出手段が、前記切換操作具とともにオーバー
ドライブ操作域を移動する点にあり、その作用効果は次
の通りである。
【0012】(作用・効果) つまり、切換操作具が操
作域を移動する間においても、操作開始検出手段と切換
操作具との相対位置は変動しないので、操作開始検出手
段が固定側に設けられている場合のような問題がない。
つまり、切換操作具と操作開始検出手段とが相対移動す
る場合には、切換操作具に設けられた押え具と操作開始
検出手段に設けられた接触子とが、接当離脱を繰り替え
すことになる。そのために、接触子等の接触摩耗等を考
慮する必要があるが、本発明の場合は、そのような問題
点を考慮する必要性は少ない。
【0013】(構成) 請求項5に係る発明は、請求項
1から4に記載のうちいずれか一つに記載の発明におい
て、前記主変速機構に対する変速操作具を設け、前記変
速操作具の操作ガイド面に前記変速操作具に対する変速
段数表示とともにオーバードライブ用変速段数表示を設
けてある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0014】(作用・効果) 上記構成によると、切換
操作具によってオーバードライブ操作域を選択した後に
は、主変速操作具を操作することによって、オーバード
ライブ域においても変速が行え、かつ、その変速段数が
主変速段数表示とともに同じ操作ガイド面に設けたオー
バードライブ用変速段数表示によって確認できる。しか
も、変速段数表示とともにオーバードライブ用変速段数
表示を設けてあるので、変速段数間隔を変速段数表示の
ものとは別個のものに設定できるよさがあり、変速操作
具の操作ストロークを主変速操作機構に対する操作の場
合と、オーバードライブ機構に対する操作の場合とで異
なるものにでき、操作系の融通性を高めることができ
る。
【0015】
【発明の実施の形態】図1に、農用トラクタの全体側面
が示されている。この例の農用トラクタは、トラクタ本
機1の後部に外装式のリフトシリンダ3によって駆動昇
降可能にロータリ耕耘装置Kを連結して、乗用耕耘作業
を行う形態に構成されており、機体前部に搭載したエン
ジン4の出力が主クラッチ5を介してミッションケース
6に伝達され、ここで走行系とPTO系に分岐され、分
岐された走行系の動力は適宜変速された後、主推進車輪
である後輪7および操向車輪である前輪8が駆動される
ようになっている。また、分岐されたPTO系の動力も
適宜変速された後、機体後部のPTO軸9を介してロー
タリ耕耘装置Kに伝達されるようになっている。
【0016】図2に伝動系の概略を示すブロック図が、
また、図3にミッションケース6に内蔵された変速装置
の概略が示されている。主クラッチ5を介してミッショ
ンケース5に伝達されたエンジン出力は、カウンター軸
10を介して走行系とPTO系に分岐される。走行系に
は、4段の変速を行う主変速機構11、多板式の変速用
油圧クラッチ12、前後進切換え機構13、小さい伝動
比で高低2段の変速を行う高低変速機構14、大きい伝
動比で高低2段の変速を行う副変速機構15、および、
超減速機構16が直列に配備されており、この副変速機
構15と超減速機構16とに対して並列状態でオーバードラ
イブ機構45が配備されている。各変速機構で変速され
た動力が後部デフ機構17を介して後輪7に伝達される
とともに、伝動軸18および前部デフ機構19を介して
前輪8に伝達されるようになっている。また、PTO系
には、カウンター軸10で分岐された動力を、正転3
段、逆転1段に変速してPTO軸9に伝達するPTO変
速機構20が配備されている。
【0017】図3に示すように、主変速機構11は、2
つのシフトスリーブS1 ,S2 を択一的にシフト操作し
て4段の変速を行うように構成されている。シフトスリ
ーブS2 を中立に維持した状態でシフトスリーブS1 を
後方にシフトすることで1速が、シフトスリーブS1 を
前方にシフトすることで2速が得られ、シフトスリーブ
S1 を中立に維持した状態でシフトスリーブS2 を後方
にシフトすることで3速が、シフトスリーブS2 を前方
にシフトすることで4速が得られる。各シフトスリーブ
S1 ,S2 がそれぞれシーケンス弁を兼用した油圧シリ
ンダC1 ,C2によってシフト操作されるようになって
いる。
【0018】前後進切換え機構13は、シフトスリーブ
S3 を前方にシフトすることで前進が、後方にシフトす
ることで後進が得られるものであり、ステアリングハン
ドル21の左横側に設けた前後進切換えレバー22にシ
フトスリーブS3 が連係されている。そして、前後進切
換え機構13が前進に切り換えられると、変速用油圧ク
ラッチ12の出力側伝動軸23の動力が中間遊転軸24
を介して高低変速機構14に伝達される。高低変速機構
14で変速された動力は変速軸25を介して副変速機構
15に伝達される。また、前後進切換え機構13が後進
に切り換えられると、出力側伝動軸23の動力が高低変
速機構14を介することなく直接に変速軸25に伝達さ
れる。
【0019】高低変速機構14は、シフトスリーブS4
を前方にシフトすることで低速「Lo」が得られ、後方
にシフトすることで高速「Hi」が得られるものであ
り、その高低変速による伝動比は、主変速機構11にお
ける各変速段の間での伝動比より小さく設定されてい
る。また、シフトスリーブS4 は、シーケンス弁を兼用
した油圧シリンダC4 によってシフト操作されるように
なっている。
【0020】副変速機構15は、シフトスリーブS5 を
前方にシフトすることで低速「L」が得られ、後方にシ
フトすることで高速「H」が得られるものであり、その
高低変速による伝動比は、主変速機構11における各変
速段の間での伝動比より大きく設定されている。また、
シフトスリーブS5 は、シーケンス弁を兼用した油圧シ
リンダC5 によってシフト操作されるようになってい
る。
【0021】超減速機構16は、シフトスリーブS6 を
前方にシフトすることで「超減速切り状態」がもたらさ
れて、副変速機構15で変速された出力が直接に最終変
速軸26に伝達され、また、シフトスリーブS6 を後方
にシフトすることで「超減速入り状態」がもたらされ
て、副変速機構15で変速された出力が減速軸27を迂
回する間に大きく減速されて最終変速軸26に伝達され
るようになっている。「超減速切り状態」 と「 超減速入
り状態」 との中間位置に「 中立位置」 が設けてある。そ
して、シフトスリーブS6 は、運転席28の左側後方に
配備された切換操作具29によって操作されるようにな
っている。
【0022】オーバードライブ機構45は、シフトスリ
ーブS7 を前方にシフトすることで「オーバードライブ
切り状態」がもたらされ、副変速機構15で変速された
動力はオーバードライブ機構45を迂回して最終変速軸
26に伝達される。シフトスリーブS7を後方にシフト
すると「オーバードライブ入り状態」がもたらされ、オ
ーバードライブ機構45で増速された動力は最終変速軸
26に伝達される。そして、シフトスリーブS7は、運
転席28の左側後方に配備された切換操作具29によっ
て操作されるようになっている。つまり、切換操作具2
9は超減速とオーバードライブ変速を切り換える操作具
に兼用されている。この切換操作具29の構成について
は後記する。
【0023】主変速機構11を操作する油圧シリンダC
1,C2 、副変速機構15を操作する油圧シリンダC5、
高低変速機構14を操作する油圧シリンダC4、およ
び、変速用油圧クラッチ12に対する油圧制御回路の構
成が図3に示されている。図4において、V1 〜V7は
電磁式アンロード弁、V8は電磁比例制御弁、V9はパ
イロット式アンロード弁であり、30は運転席28の左
横側に前後揺動可能に配備された変速レバー、31はこ
の変速レバー30の操作位置を検出するポテンショメー
タであり、電磁式アンロード弁V1 〜V6 、電磁比例制
御弁V7 、とともに制御装置32に接続されている。
【0024】変速レバー30は、図5、図6、および、
図7に示すように、左側後輪フェンダ33の内側に固定
されたレバーガイド34のガイド溝35から突設されて
おり、その操作ストロークの最後端が中立Nに設定され
るとともに、これより前方に前進12段、後進8段の変
速位置が設定されている。
【0025】後輪フェンダ33の内側には板金製の支持
ブラケット36が固着されるとともに、この支持ブラケ
ット36に回転自在に横架した支軸37にレバー支点部
材38が固着され、レバー支点部材38に変速レバー3
0の基端が支軸37と直交する前後向き支点xを介して
左右揺動可能に枢支連結されている。また、図8に示す
ように、支持ブラケット36に連設した支持辺36aに
はポテンショメータ31が取付けられ、その操作軸31
aと支軸37とが同芯状に連結され、変速レバー30の
前後揺動位置がポテンショメータ31によって検出可能
となっている。変速レバー30は、その左右揺動支点x
に装備されたねじりバネ39によって常に左側に揺動付
勢されており、段差状に形成されたガイド溝35の左側
縁に沿って案内移動されるようになっている。
【0026】また、支持ブラケット36には側方から見
て扇形の位置決めプレート部36bが起立連設されてい
る。この位置決めプレート部36bの外周縁には、中立
および12段の変速位置に相当する位置決め凹部41が
形成されるとともに、レバー支点部材38には、支点y
回りに上下揺動可能かつバネ42によって下向きに揺動
付勢されたデテントアーム43が装着され、このデテン
トアーム43に備えたローラ44が位置決めプレート部
36bの外周縁の位置決め凹部41に弾性係入されるこ
とで、変速レバー30を中立および12段の変速位置に
安定保持することができるように構成されている。
【0027】変速レバー30による前進12段の変速
と、主変速機構11、副変速機構15、および、高低変
速機構14の切り換え状態との関係は図15に示す図表
のようになる。すなわち、前進第1速では、主変速機構
11が1速、副変速機構15が低速「L」、高低変速機
構14が低速「Lo」にそれぞれ切り換えられ、前進第
2速では、主変速機構11が1速、副変速機構15が低
速「L」のままで高低変速機構14が高速「Hi」に切
り換えられ、前進第3速では、主変速機構11が2速、
副変速機構15が低速「L」、高低変速機構14が低速
「Lo」にそれぞれ切り換えられ、前進第4速では、主
変速機構11が2速、副変速機構15が低速「L」のま
まで高低変速機構14が高速「Hi」に切り換えられ、
前進第5速では、主変速機構11が3速、副変速機構1
5が低速「L」、高低変速機構14が低速「Lo」にそ
れぞれ切り換えられ、前進第6速では、主変速機構11
が3速、副変速機構15が低速「L」のままで高低変速
機構14が高速「Hi」に切り換えられ、前進第7速で
は、主変速機構11が4速、副変速機構15が低速
「L」、高低変速機構14が低速「Lo」にそれぞれ切
り換えられ、前進第8速では、主変速機構11が4速、
副変速機構15が低速「L」のままで高低変速機構14
が高速「Hi」に切り換えられる。また、前進第9速か
ら前進第12速までは、副変速機構15が高速「H」、
高低変速機構14が高速「Hi」にそれぞれ維持された
まま、主変速機構11が1速から4速に切り換えられる
ようになっている。
【0028】図14に、前進での変速分布特性の一例が
示されている。ここで、図中の(A)は、超減速機構1
6を「切り」にして通常走行を行う場合の特性、(B)
は、超減速機構16を「入り」にして極低速作業を行う
場合の特性であり、通常の耕耘作業では、特性(A)に
おいて低速域の前進第1速から前進第8速までが選択さ
れ、移動走行時には、特性(A)において高速域の前進
第9速から前進第12速までが選択される。又、(C)
は、オーバードライブ機構45を「入り」にして高速走
行を行う場合の特性であり、前進第1速から前進第6速
までが選択される。オーバードライブ機構45の構成及
び操作構造については後記する。従って、作業走行時に
は低速域で細かく速度設定できるとともに、移動走行時
には不必要に細かくない適度の粗さで走行速度を選択す
ることができる。
【0029】なお、前後進変速レバー22が「後進」に
切り換えられると、主変速機構11からの変速動力は高
低変速機構14を介することなく副変速機構15に伝達
されることになり、主・副両変速機構11,15の組み
合わせ選択によって8段の変速が実行される。つまり、
この「後進」状態では、図9中に示されるように、前進
第1速位置と前進第2速位置とが後進第1速位置に、前
進第3速位置と前進第4速位置とが後進第2速位置に、
前進第5速位置と前進第6速位置とが後進第3速位置
に、前進第7速位置と前進第8速位置とが後進第4速位
置になり、前進第9速位置から前進第12速位置までが
後進第5速位置から後進第8速位置になるのである。
【0030】変速レバー30の変速操作位置が検出され
ると、電磁アンロード弁V1 〜V6を作動制御すること
で、変速に必要なシフトスリーブS1 〜S5 を油圧シリ
ンダC1 〜 C5 によってシフト操作するとともに、電
磁制御弁V7 を作動制御することになり、以下にその変
速制御動作の一例を説明する。
【0031】図4は、主変速機構11が1速、副変速機
構15が低速「L」、高低変速機構14が高速「Hi」
の状態、つまり、前進第2速の状態が示されており、ポ
ンプPからの圧油によって変速用クラッチ12はクラッ
チ入り状態にある。ここで変速レバー30を前進第2速
位置から前進第3速位置に移動させると、主変速機構1
1を1速から2速に切り換えるとともに、高低変速機構
14を高速「Hi」から低速「Lo」に切り換えるため
に、電磁アンロード弁V1 ,V2 ,V5 が逆状態に駆動
され、油圧シリンダC1 およびC4 が短縮作動を開始す
る。
【0032】油圧シリンダC1 ,C4 がシフト操作を開
始すると、これによってチェック弁46が機械的に開放
されて油路47の圧力が低下し、この油路の圧力をパイ
ロット圧としているパイロット式アンロード弁V9が復
帰バネによって切り換え操作されて、走行用油圧クラッ
チ12からの圧油排出が行われ、自動的にクラッチ切り
状態となりシフトスリーブS1,S4 のシフト作動が円滑
に行われる。
【0033】シフトスリーブS1,S4 が所定の変速位置
にまでシフトされると、油圧シリンダC1 ,C4 による
チェック弁46の強制開放作用がなくなって、チェック
弁46が再び閉じ、油路47の圧力が上昇開始してアン
ロード弁V9が走行用油圧クラッチ12への圧油供給位
置に切り換えられる。この場合、油路47の圧力上昇が
圧力センサPSで検知されることで、電磁比例制御弁V
8の開度制御が開始され、走行用油圧クラッチ12に供
給される圧油の昇圧が所定の特性で除々に行われ、ショ
ックのないクラッチ入り制御が実行される。
【0034】次に、オーバードライブ機構45を入り切
り操作して、変速レバー30による前進6段・ 後進4段
のオーバードライブ変速について説明する。主変速機構
11、副変速機構15、および、高低変速機構14の切
り換え状態は、図15に示す図表のようになる。但し、
副変速機構15は常に中立位置である。
【0035】すなわち、前進オーバードライブ第1速で
は、主変速機構11が1速、高低変速機構14が高速
「Hi」にそれぞれ切り換えられる。前進オーバードラ
イブ第2速では、主変速機構11が2速、高低変速機構
14が高速「Hi」に維持される。前進オーバードライ
ブ第3速では、主変速機構11が3速、高低変速機構1
4が低速「Lo」にそれぞれ切り換えられる。前進オー
バードライブ第4速では、主変速機構11が3速に維持
され、高低変速機構14が高速「Hi」に切り換えられ
る。前進オーバードライブ第5速では、主変速機構11
が4速に切り換えられ、高低変速機構14が低速「L
o」にそれぞれ切り換えられる。前進オーバードライブ
第6速では、主変速機構11が4速に維持され、高低変
速機構14が高速「Hi」に切り換えられる。
【0036】次にオーバードライブでの後進操作につい
ては図16に示す図表のようになる。すなわち、副変速
機構15は中立位置に維持され、高低変速機構14は変
速に無関係となり、オバードライブ機構45を入り状態
にして、後進オーバードライブ変速操作は主変速機構1
1を4段に変速して行われる。
【0037】説明は省略するが、他の変速段での作動に
ついても基本的には上記と同様であり、シフトスリーブ
の作動の間は走行変速用クラッチを切り、シフト完了後
に所定の昇圧特性で走行変速用クラッチを入り制御する
ことになる。
【0038】切換操作具29の取付構造について説明す
る。図6、図10及び図11に示すように、ミッション
ケース6の側面にブラケット51を立設するとともに、
ブラケット51より横向き支軸52を突設し、横向き支
軸52に揺動ブロック53とこの揺動ブロック53を挟
む込むように二つの連動フレーム54A,54Bを遊転
支持させてある。二つの連動フレーム54A,54Bの
うちミッションケース6側に位置するものをオーバード
ライブ用のもの54Aとして、横向き支軸52の先端側
のもの54Bを超減速用として使用する。横向き支軸5
2の下方に、ミッションケース6の側面に平行に枢支軸
55を配置し、揺動ブロック53に枢支軸55を差込み
支持させてある。枢支軸55に枢支軸55の軸心周りで
左右揺動自在に基端フレーム56を取付け、基端フレー
ム56の上面に操作フレーム57を取り付けて、切換操
作具29を構成してある。上記構成になる切換操作具2
9は、横向き支軸52の軸心周りに前後揺動可能であ
り、かつ、枢支軸55周りで左右揺動可能に構成してあ
る。
【0039】オーバードライブ用及び超減速用の操作連
係構造について説明する。図6及び図10に示すよう
に、オーバードライブ用の連動フレーム54Aより下向
きに連係ロッド58を延出し、連係ロッド58の延出端
をシフトスリーブS7駆動用のアーム59に連動連結し
てある。その駆動用のアーム59は、軸59A周りで揺
動可能に支持されている。超減速用の連動フレーム54
Bと超減速用のシフトスリーブS6駆動用のアーム60
とを、連係ロッド61で連係してある。
【0040】次に、オーバードライブ用及び超減速用の
操作連係構造としての、切換操作具29と二つの連動フ
レーム54A,54Bとの連係構造について説明する。
図11に示すように、切換操作具29より二つの連動フ
レーム54A,54Bに向けて連係ピン62を突設す
る。一方、二つの連動フレーム54A,54Bの上端に
は係合用の凹入部54a,54bが連係ピン62と係合
可能に形成されている。連係ピン62の長さは、両連動
フレーム54Aと連動フレーム54Bとの間隔よりも短
い長さではあるが、切換操作具29を連動フレーム側に
傾動させた状態で連係ピン62が凹入部54a又は54
bに係合する長さに設定してある。
【0041】ここに、切換操作具29は巻きバネ63に
よって、超減速用の連動フレーム54B側に傾くように
付勢されており、連動フレーム54B側に付勢されてい
る状態で切換操作具29を横向き支軸52周りで前後方
向に操作すると、超減速操作が行えるようになってい
る。後記するように、超減速機構を中立位置に設定した
状態で、巻きバネ63の付勢力に抗して切換操作具29
を反対側に揺動操作すると、連係ピン62が凹入部54
aに係合し、オーバードライブ用の連動フレーム54A
と連係させることができ、オーバードライブ操作が可能
になる。切換操作具29は変速レバー30の後方に配置
されており、レバーガイド34に操作ガイド溝34Bを
形成するに、図13に示すように、超減速用の直線溝3
4aの中間点つまり中立位置よりオーバードライブ用の
ガイド溝34bを分岐している。したがって、超減速状
態が中立状態に設定されなければ、オーバードライブ用
の操作に移行できない構成となっている。
【0042】上記したように、オーバードライブと超減
速の操作とが同時に行えない構成を採用しているが、こ
のような同時操作を牽制する機構としては操作レバー側
においても設けてある。つまり、図10に示すように、
横向き支軸52に対して切換操作具29の横向き支軸5
2周りで前後揺動自在な牽制アーム65を設けるととも
に、超減速用の駆動アーム60の回転軸60Aに被牽制
アーム66を設ける。牽制アーム65は連係フレーム5
4Aと一体形成されている。牽制アーム65には先端部
に係合ピン65Aを設けてあり、被牽制アーム66には
十字状の係合溝66Aが設けてあり、図示するように係
合ピン65Aが十字状の係合溝66Aの中心位置にある
と、超減速が中立位置にある状態を示しており、係合ピ
ン65Aが矢印方向に移動できるようになっている。つ
まり、切換操作具29のオーバードライブ操作が可能に
なっている。係合ピン65Aが中心位置以外の位置にあ
ると、牽制アーム66の回動が規制される。
【0043】図11に示すように、連動フレーム54A
には接触式センサ67が設けてあり、切換操作具29を
オーバードライブ操作側に傾動させると、操作アーム5
7が接触式センサ67に作用し、オーバードライブ操作
における中立位置に操作されたことがわかる。そして、
切換操作具29は連動アーム54Aと連係ピン62を介
して係合されており、切換操作具29をオーバードライ
ブ用の係合溝34bに沿って操作すると、切換操作具2
9と連動アーム54Aとが一体で揺動する。連動アーム
54Aに取付けられている接触式センサ67も一体で揺
動し、操作アーム57との接触状態が維持されている。
この接触式センサ67は切換操作具29がオーバードラ
イブ機構45に対する操作開始点に至ったことを検出す
るもので操作開始検出手段を構成するが、切換操作具2
9がオーバードライブの中立位置に操作された状態から
検出するように連動アーム54Aに取り付けてある。こ
れは、オーバードライブ機構45の入力軸48と副変速
機構15との変速軸25とが共通軸となっており、副変
速機構15を中立位置に操作する為である。又、図11
及び図12に示すように、オーバードライブ操作時に副
変速機構15の操作を行えない牽制機構49を設ける必
要があるが、牽制機構49はつぎのようなものである。
図6及び図11に示すように、オーバードライブ用駆動
アーム59と同一回転軸59Aに取付けられたミッショ
ンケース内にある変速シフトアーム68と、副変速機構
15のシフトスリーブS5を操作する副変速シフトアー
ム69とを近接して配置し、変速シフトアーム68に係
合ピン68Aを、副変速シフトアーム69に係合ピン6
8Aを係入する十字状の係合溝69Aを形成してある。
図12に示すように、副変速機構15が中立位置にある
と、係合ピン68Aが十字状の係合溝69Aの中心位置
にあり、オーバードライブ機構45に対する操作が可能
になる。係合ピン68Aが係合溝69Aの中心位置より
はずれると牽制アーム68が揺動できず、オーバードラ
イブ機構15に対する操作は行えない。
【0044】切換操作具29によってオーバードライブ
状態が選択されると、選択された後は、変速レバー30
によって複数段に変速される。変速レバー30によって
オーバードライブ状態での変速操作を行うので、オーバ
ードライブ状態での変速段数の表示は変速レバー30の
レバーガイド34における操作ガイド面の案内溝34A
に沿って施してある。このオーバードライブ状態では、
切換操作具29をオーバードライブ状態に切り換えて、
変速レバー30で前進6段後進4段の変速を行えるよう
になっている。この場合の変速速度は、図14に示すよ
うに、特性(C)によって現される。つまり、図9に示
すように、主変速の変速段数表示aとオーバードライブ
状態での変速段数表示bとを並べて設けてある。変速レ
バ- 30の左側が後進状態での変速表示であり、右側が
前進状態での変速表示である。上記構成においては、主
変速等の変速段数表示aとオーバードライブ状態での変
速段数表示bとを左右方向に並設したが、主変速等の変
速段数表示aを前方に、オーバードライブ状態での変速
段数表示bを後方に位置させる等、前後に配置して構成
してもよい。
【0045】〔別実施形態〕本発明は以下のような形態
で実施することもできる。 ・ 上記実施形態では、主変速機構11、副変速機構1
5、および、高低変速機構14を単一の変速レバー30
で操作するようにしているが、主変速機構11と副変速
機構15を単一の変速レバーで操作し、高低変速機構1
4をこの変速レバーのグリップに備えたスイッチで操作
する形態にすることもできる。 ・ 変速機構自体の形態も上記のように油圧シリンダで
駆動シフトする形式のものの他に、各変速段ごとに油圧
クラッチを備えて、そのクラッチ群の選択によって所望
の変速段での伝動を行う形式のものに適用することも容
易である。 ・ 高低変速機構14としては、シフト形式のものの他
に遊星ギヤ式のものであってもよい。 ・ 操作開始検出手段67としては、リミットスイッチ
のように接触子を揺動させてスイッチ動作を行わせるも
のや、圧電素子等の圧接式等のものが使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】農用トラクタの全体側面図
【図2】伝動系のブロック図
【図3】伝動系の概略構成図
【図4】変速制御用の油圧回路図
【図5】運転部の正面図
【図6】変速レバー及び切換操作具の側面図
【図7】変速レバー部分の側面図
【図8】変速レバー部分の背面図
【図9】変速用レバーガイド部の平面図
【図10】切換操作具の側面図
【図11】切換操作具の背面図
【図12】オーバードライブ機構と副変速機構との同時
噛合いを防止する機構を示す図
【図13】切換操作具のガイド溝を示す平面図
【図14】変速分布特性を示す線図
【図15】前進変速段と変速機構の作動状態の関係を示
す図表
【図16】後進変速段と変速機構の作動状態の関係を示
す図表
【符号の説明】
11 主変速機構 16 超減速機構 29 切換操作具 30 変速操作具 45 オーバードライブ機構 67 操作開始検出手段 N 中立操作位置 a 変速段数表示 b オーバードライブ用変速段数表示
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山西 勇 大阪府堺市石津北町64番地 株式会社クボ タ堺製造所内 Fターム(参考) 3D040 AA10 AA14 AA23 AB04 AC04 AC55 AC66 3J052 AA02 BA22 BB03 BB15 EA08 GA16 GA17 GA18 GC04 HA04 HA17 LA07 3J070 AA03 BA46 BA51 CC71 DA03 EA02

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主変速機構より減速比の大きな変速機構
    と、前段からの動力を増速して出力するオーバードライ
    ブ機構とを設け、前記変速機構と前記オーバードライブ
    機構とを入切操作する単一の切換操作具を設け、前記切
    換操作具を、前記変速機構の中立操作位置より前記オー
    バードライブ機構に対するオーバードライブ操作域に切
    換できるように構成してある農用トラクタの走行変速装
    置。
  2. 【請求項2】 前記変速機構を超減速状態が現出可能な
    超減速機構に構成し、前記切換操作具の操作移動域を、
    超減速操作域と、その超減速操作域から分岐されるオー
    バードライブ操作域とで形成してある請求項1記載の農
    用トラクタの走行変速装置。
  3. 【請求項3】 前記切換操作具がオーバードライブ機構
    に対する操作開始点に至ったことを検出する操作開始検
    出手段を設けてある請求項1又は2記載の農用トラクタ
    の走行変速装置。
  4. 【請求項4】 前記操作開始検出手段が、前記切換操作
    具とともにオーバードライブ操作域を移動する請求項1
    ないし3のいずれか一項に記載の農用トラクタの走行変
    速装置。
  5. 【請求項5】 前記主変速機構に対する変速操作具を設
    け、前記変速操作具の操作ガイド面に前記変速操作具に
    対する変速段数表示とともにオーバードライブ用変速段
    数表示を設けてある請求項1ないし4のいずれか1項に
    記載の農用トラクタの走行変速装置。
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