JP2001115139A - 漏水防止剤及び漏水防止方法 - Google Patents

漏水防止剤及び漏水防止方法

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JP2001115139A
JP2001115139A JP30059299A JP30059299A JP2001115139A JP 2001115139 A JP2001115139 A JP 2001115139A JP 30059299 A JP30059299 A JP 30059299A JP 30059299 A JP30059299 A JP 30059299A JP 2001115139 A JP2001115139 A JP 2001115139A
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water
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JP30059299A
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Yuji Ito
裕二 伊藤
Chieko Yahagi
知恵子 矢作
Wakako Tamura
和佳子 田村
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Nippon Kayaku Co Ltd
Original Assignee
Nippon Kayaku Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】簡便で施工の手間がかからず、建造物の外観を
損なうことなく、漏水個所の閉塞能力に優れた、保存安
定性の良い漏水防止剤の開発。 【解決手段】高吸水性ポリマー、炭素数2以上の繰り返
し単位を有するアルキレングリコール誘導体、高吸水性
ポリマーのゲル化剤及び有機物分解防止剤を含有するこ
とを特徴とする漏水防止剤及びこれを紐、縄、フィル
ム、シート、布、不織布及び紙からなる群から選ばれた
少なくとも1種に塗布または含浸した漏水防止材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、良好な止水性能を
有する漏水防止剤及び漏水防止方法に関し、より詳しく
は漏水の原因となるひび割れ、又は穴に入り込み、その
間隙を埋めることにより漏水の浸入を阻止することが出
来る漏水防止剤及び、建造物の屋根、床、あるいは壁面
に該防水剤を散布、又は注入することによる漏水防止方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】屋根、床又は壁面からの漏水を止めるに
は、その原因となる穴、又はひび割れもしくは間隙など
の漏水浸入箇所にシーリング剤を塗布、充填するか、あ
るいは漏水浸入個所不明の場合は、屋根の全面吹き替
え、防水シートの全面張り替え、壁面にあっては全面吹
き付け塗装、タイルの全面張り替え等をしなくてはなら
ない。多くの場合、漏水の浸入個所を特定することは甚
だ困難なため、シーリング材の塗布、充填だけの簡単な
補修では直らない事が多い。雨漏りに関しては、その補
償期間は5年〜10年と長期間にわたることが多く、補
償期間内にあっては建築業者が、又補償期限切れの建築
業者あるいは、ときには施主がそれぞれ多額の費用負担
を余儀なくされている。コンクリート建造物の場合、コ
ンクリート接合部はアスファルトや、ウレタンの防水目
地が使用されることが多い。しかし施工時に接合面が濡
れていたり、湿っていたりすると、アスファルトやウレ
タンのコンクリートへの密着性が無くなる為、防水目地
としての漏水阻止能力が失われることになる。その為、
これら防水目地の施工時は接合面を完全に乾燥させてか
ら、行わなければならなかった。また、接合面の乾燥が
一部不完全であるとそこが漏水の原因となっていた。こ
れに関し、特公平7−96672では高吸水性ポリマー
及び水不溶性粉状物等と水を混合した散布用雨漏り防止
剤が開示されており、漏水が生じた箇所に該散布用雨漏
り防止剤を散布し、水不溶性粉状物で漏水の原因となる
ひび割れを閉塞させる方法が開示されている。しかし、
このような漏水防止剤は、長期間の保存中に分解され、
粘度変化を生じて、ひび割れへの閉塞性能が変化するお
それがあった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、漏水防止能
に優れ、しかも長期間の保存にも安定で粘度変化を生じ
難い漏水防止剤を開発することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は前記した様な
課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、本発明に至っ
た。即ち本発明は、(1)(a)高吸水性ポリマー
((a)成分)を炭素数2以上の繰り返し単位を有する
アルキレングリコール誘導体を必須成分とする分散媒
(b)成分)に分散させた分散体、高吸水性ポリマーの
ゲル化剤((c)成分)及び有機物分解防止剤((d)
成分)を含有する漏水防止剤、(2)(b)成分100
重量部に対して、(a)成分が0.1〜35重量部
(c)成分が0.1〜30重量部及び(d)成分が0.
01〜5重量部となる割合で各成分を含有した前項
(1)に記載の漏水防止剤、(3)高吸水性ポリマーが
ポリ(メタ)アクリル酸誘導体、アルギン酸誘導体、デ
ンプン誘導体、ポリ−N−ビニルアセトアミド誘導体、
ポリビニルアルコール誘導体及びセルロース誘導体から
なる群から選ばれた少なくとも1種である前項(1)〜
(2)のいずれか1項に記載の漏水防止剤、(4)アル
キレングリコール誘導体がエチレングリコール誘導体、
プロピレングリコール誘導体及びブチレンングリコール
誘導体からなる群から選ばれた少なくとも1種である前
項(1)〜(3)のいずれか1項に記載の漏水防止剤、
(5)アルキレングリコール誘導体が、ポリエチレング
リコール、ポリプロピレングリコール及びポリブチレン
グリコールからなる群から選ばれた少なくとも1種であ
る前項(1)〜(4)のいずれか1項に記載の漏水防止
剤、(6)高吸水性ポリマーのゲル化剤が水中で2価以
上の金属陽イオンを生じる化合物、又は陽イオン交換機
能を有する化合物である前項(1)〜(5)のいずれか
1項に記載の漏水防止剤、(7)有機物分解防止剤が紫
外線吸収剤、酸化防止剤、抗菌剤及び抗カビ剤からなる
群から選ばれた少なくとも1種である前項(1)〜
(6)のいずれか1項に記載の漏水防止剤、(8)水を
含有する前項(1)〜(7)のいずれか1項に記載の漏
水防止剤、(9)(b)成分と水を混合し、(b)成分
を水に溶解させた後、これに(a)成分を分散させ更に
(c)成分及び(d)成分を加えることを特徴とする前
項(8)記載の漏水防止剤の製造方法、(10)コンク
リート構造物に漏水防止剤注入口を設けて前項(1)〜
(8)のいずれか1項に記載の漏水防止剤を注入するこ
とを特徴とする漏水防止方法、(11)前項(1)〜
(8)のいずれか1項に記載の漏水防止剤を紐、縄、フ
ィルム、シート、布、不織布及び紙からなる群から選ば
れた少なくとも1種に塗布するかまたは含浸せしめた漏
水防止材、(12)前項(11)に記載の漏水防止材を
漏水浸入経路に設置することを特徴とする漏水防止方法
に関する。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の漏水防止剤が含有する高吸水性ポリマー
((a)成分)は他の成分と共に、粒子状態で漏水浸入
個所へ入り込んだ後、吸水、膨潤し、穴、又はひび割れ
もしくは間隙などの漏水浸入箇所を閉塞する働きがあ
る。本発明において用いる高吸水性ポリマーは、短時間
で吸水、膨潤し、最大では自己の重量の数百倍程度まで
膨潤するような物質が用いられ、架橋型であっても非架
橋型であってもかまわない。又、架橋型と非架橋型を混
合して用いても良い。使用しうる高吸水性ポリマーの具
体例としてはポリ(メタ)アクリル酸ナトリウム等のポ
リアクリル酸のアルカリ金属塩、(メタ)アクリル酸ナ
トリウム−ビニルアルコール共重合体((メタ)アクリ
ル酸メチル−酢酸ビニル共重合体ケン化物)、ポリ(メ
タ)アクリロニトリル系重合体ケン化物、ヒドロキシエ
チルメタクリレートポリマー又はポリ(メタ)アクリル
アミド等のポリ(メタ)アクリル酸誘導体、アルギン酸
ナトリウム塩又はアルギン酸プロピレングリコールエス
テル等のアルギン酸誘導体、澱粉グリコール酸のナトリ
ウム塩、澱粉リン酸エステルのナトリウム塩又は澱粉−
アクリル酸塩グラフト共重合体等のデンプン誘導体、ポ
リアクリルアミド並びにN−ビニルアセトアミド重合体
等のポリ−N−ビニルアセトアミド誘導体、ポリビニル
アルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルアセタ
ール等のポリビニルアルコール誘導体、カルボキシメチ
ルセルロースのアルカリ金属塩、メチルセルロース、エ
チルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒド
ロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメ
チルセルロース等のセルロース誘導体、等があげられ
る。これら高吸水性ポリマーのうちポリ(メタ)アクリ
ル酸誘導体又はセルロース誘導体が好ましく、ポリ(メ
タ)アクリル酸ナトリウム又はヒドロキシプロピルメチ
ルセルロースが特に好ましい。尚、前記において、アル
カリ金属としては、Li、Na又はKがあげられ、ま
た、(メタ)アクリルはメタクリル又はアクリルを意味
するものとする。高吸水性ポリマーの配合量は(b)成
分100重量部に対して通常0.1〜35重量部、好ま
しくは0.4〜10重量部である。
【0006】本発明の漏水防止剤が含有する(b)成分
は炭素数2以上の繰り返し単位を有するアルキレングリ
コール誘導体であり、高吸水性ポリマーの膨潤を防ぎ、
漏水防止剤の粘度を低くする役割と漏水防止剤が漏水経
路を移動する際の摩擦抵抗を減少させる働きがある。即
ち、未膨潤の状態で高吸水性ポリマーを漏水経路に充填
させる役割を持つ。この結果、降水等により漏水個所に
浸入した水分により高吸水性ポリマーが膨潤し、漏水個
所を閉塞せしめて充分な漏水効果を発揮する。
【0007】炭素数2以上の繰り返し単位を有するアル
キレングリコール誘導体の分子量は特に限定されない
が、分子量1000以上のものが好ましい。用いうるア
ルキレングリコール誘導体の具体例としてはポリエチレ
ングリコール、ポリエチレングリコールジグリシジルエ
ーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、高級
アルコールエチレンオキサイド付加物、アルファフェノ
ールエチレンオキサイド付加物、脂肪酸エチレンオキサ
イド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルエチレンオ
キサイド付加物、高級アルコールアミンエチレンオキサ
イド付加物、油脂のエチレンオキサイド付加物又はポリ
プロピレングリコールエチレンオキサイド付加物などの
エチレングリコール誘導体並びにポリプロピレングリコ
ール又はポリプロピレングリコールポリエチレングリコ
ールブロック重合物等のプロピレングリコール誘導体、
並びにポリブチレングリコール等のブチレングリコール
誘導体等があげられ、中でもポリエチレングリコール、
ポリプロピレングリコール又はポリブチレングリコール
が好ましい。尚、これらは単独で、又は2種以上を混合
して用いても良い。
【0008】高吸水性ポリマーのゲル化剤((c)成
分)は、水中で高吸水性ポリマーと化学的もしくは物理
的に結合して、該高吸水性ポリマーをゲル化するもので
あれば特に制限はないが、通常水中で2価以上の金属陽
イオンを生じる化合物が好ましい。該ゲル化剤となりう
るか否かは、高吸水性ポリマーを水に溶解させ、その化
合物を加え、溶液の粘度が上昇するかどうかで容易に判
別することができる。用いうる(c)成分の具体例とし
ては、ゲル化能を有する程度に金属イオンを水中で生じ
る珪酸多価金属塩、水溶性アルカリ土類金属塩、明礬、
水溶性アルミニウム塩、水溶性鉄塩、水溶性マンガン
塩、水溶性亜鉛塩またはアルカリ土類金属酸化物等があ
げられる。前記において、珪酸多価金属塩としては珪酸
のアルミニウム塩、珪酸のカルシウム塩等であり、具体
的にはベントナイト、モンモリロナイトまたはスメクタ
イト等の珪酸塩のCa型のもの(珪酸塩鉱物)があげら
れる。尚、本発明においてベントナイト、モンモリロナ
イトまたはスメクタイト等のCa型とはカルシウム含有
量の比較的多いものを意味し、これらの珪酸塩中のカル
シウム含量をCaOに換算した場合、ベントナイト、モ
ンモリロナイトまたはスメクタイト等の総重量に対する
重量割合で、1〜2%程度もしくはそれ以上のものが好
ましい。水溶性アルカリ土類金属塩としては、炭素数1
〜3の有機酸のアルカリ土類金属塩または無機酸のアル
カリ土類金属塩等があげられ、具体的には、酢酸カルシ
ウム、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、酢酸マグネシ
ウム、塩化マグネシウム、硝酸マグネシウム、硫酸マグ
ネシウム等であり、明礬としてはアルミニウムカリウム
明礬、鉄明礬等があげられ、水溶性アルミニウム塩とし
ては、乳酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、塩化アル
ミニウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム等があ
げられ、水溶性鉄塩としては酢酸鉄、塩化鉄、硫酸鉄、
硝酸鉄等があげられ、水溶性マンガン塩としては酢酸マ
ンガン、塩化マンガン、硫酸マンガン等があげられ、水
溶性亜鉛塩としては酢酸亜鉛、塩化亜鉛、硝酸亜鉛、硫
酸亜鉛があげられ、アルカリ土類金属酸化物としては酸
化マグネシウム、酸化カルシウム等があげられる。これ
らゲル化剤のうち好ましいものとしてはベントナイト、
モンモリロナイト、スメクタイト、酢酸マグネシウム、
酢酸カルシウム、乳酸アルミニウム、酢酸アルミニウ
ム、硫酸アルミニウムがあげられる。
【0009】これらゲル化剤により生じたゲルは水に不
溶性のため、穴、又はひび割れもしくは間隙などの漏水
浸入箇所を閉塞したものは再び水に溶解して流失するこ
とが無くなる。本発明の漏水防止剤では、アルキレング
リコール誘導体により、高吸水性ポリマーの膨潤とゲル
化反応が抑制されている。ところが漏水個所に到達後、
雨水等の漏水により高吸水性ポリマーの膨潤が始まると
ゲル化剤との反応により水に不溶性のゲルが形成され
る。即ち、漏水個所に充分な量の高吸水性ポリマーを充
填した後、高吸水性ポリマーの膨潤とゲル化により漏水
個所を閉塞することが可能になる。
【0010】高吸水性ポリマーのゲル化剤の配合量は、
(b)成分100重量部に対して通常0.1〜30重量
部であるが、そのゲル化能力は個々の物質により異なる
ので、珪酸塩鉱物以外は高吸水性ポリマーの使用量以下
であることが好ましい。
【0011】本発明において使用する有機物分解防止剤
((d)成分)は、本発明の漏水防止剤の粘度変化を抑
制し、保存安定性を高める働きがある。本発明の漏水防
止剤が保存中に粘度変化する原因としては、紫外線の吸
収、酸化又は菌やカビにより漏水防止剤中の有機物が分
解することが考えられる。本発明に使用する有機物分解
防止剤としては、その防止効果のあるもの等があげられ
るが、これら以外にも本発明の漏水防止剤を通常の状態
で保存しておいた場合に生じうる有機物の分解を防止す
る機能のある物質であれば特に制限はない。
【0012】例えば、紫外線吸収剤としてはサリチル酸
系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾー
ル系化合物、シアノアクリレート系化合部等の紫外線吸
収剤があげられる。酸化防止剤としては、ジブチルヒド
ロキシトルエン、エリソルビン酸、エリソルビン酸ナト
リウム、クエン酸イソプロピル、α−トコフェロール、
ノルジヒドログアヤレチック酸、ブチルヒドロキシアニ
ソール没食子酸プロピル等があげられる。抗菌及び抗カ
ビ剤としてはソルビン酸、ソルビン酸カリウム、安息香
酸ナトリウム、デヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸ナトリウ
ム、プロピオン酸カルシウム、プロピオン酸ナトリウ
ム、p−オキシ安息香酸イソブチル、p−オキシ安息香
酸イソプロピル、p−オキシ安息香酸エチル、p−オキ
シ安息香酸ブチル、p−オキシ安息香酸プロピル等があ
げられる。これらは単独若しくは2種以上を混合して使
用することができるが、漏水防止剤の粘度や性能に影響
を及ぼさないものが好ましい。分解防止剤の配合量は
(b)成分100重量部に対して通常0.01〜5重量
部、好ましくは0.1〜2重量部である。
【0013】本発明の漏水防止剤において必要であれば
水不溶性の粉状物、繊維状物または鱗片状物を混合して
も良い。水不溶性の粉状物、繊維状物または鱗片状物は
有機物粉体、無機物粉体、有機物繊維、無機物繊維等何
れでも良く、粉状物の場合粒径0.1μm〜1mmに幅
広くかつ均等に分布しているものが好ましい。また、繊
維状物の場合繊維長1μm〜2mm程度のものが好まし
い。鱗片状物の場合直径0.5〜3mm程度が好まし
い。具体例としては、ロジン粉末、樹脂粒子、粘土、木
粉、パルプ繊維、繊維状酸化亜鉛、バーミキュライト、
パーライト、雲母等があげられる。これらは単独若しく
は2種以上を混合して使用することができる。2種以上
を混合して使用する場合、粒度分布が広くなる組合せが
好ましい。水不溶性粉状物、繊維状物または鱗片状物の
配合量は、(b)成分100重量部に対して通常1〜2
0重量部である。
【0014】本発明の漏水防止剤は炭素数2以上の繰り
返し単位を有するアルキレングリコール誘導体を分散媒
として、それに高吸水性ポリマーを攪拌しながら加え、
高吸水性ポリマーを分散させ、さらに高吸水性ポリマー
ゲル化剤を攪拌しながら加え、高吸水性ポリマーゲル化
剤を分散させて得られる。尚、アルキレングリコール誘
導体が、粘調な液体、又はワックス状等の固体である場
合は、水を加えて粘度を調整することが出来る。この場
合、各成分の混合順序は水を攪拌しながら、これにアル
キレングリコール誘導体を加え、アルキレングリコール
誘導体を溶解させたあと、高吸水性ポリマーと高吸水性
ポリマーゲル化剤を攪拌しながら加えて行う。このと
き、水の配合割合は得られる漏水防止剤の粘度が300
0cP以下になるようにするのが好ましい。上記以外の
順序で製造した場合は、高吸水性ポリマーの膨潤や溶解
が起こり、極めて粘調な液体となる場合があり好ましく
ない。尚、上記の任意成分を使用する場合、必須成分の
混合が終了してから任意成分を添加するのが好ましい。
【0015】本発明の漏水防止剤の使用方法としては漏
水浸入口に見当がつくところではその浸入口付近に注入
口を設けて注入すればよい。漏水浸入個所が不明な場合
は漏水のする屋根、床または壁に全面に均一に散布、ま
たは注入口を設けて注入すればよい。その際、屋根、床
または壁を全面的に塗る必要は全くない。
【0016】本発明の漏水防止剤を適用するのに好まし
い屋根は鉄筋コンクリート造陸屋根であり、これは通常
コンクリート目地防水と、アスファルト防水、シート防
水、塗膜防水等のメンブレン防水を組み合わせてある
が、防水層の上から散布、または目地に注入すれば良
い。本発明の漏水防止剤を適用するのに好ましい床はコ
ンクリート打ち放し素地であるが、その上にモルタル、
塗料、シート等があっても構わず、その上から散布、ま
たはひび割れへ注入すれば良い。本発明の漏水防止剤を
適用するのに好ましい壁体はコンクリート素地である
が、セメントモルタル、アクリルリシン吹き付け、タイ
ル貼り、煉瓦等があって構わず、その上から散布、また
はひび割れへ注入すれば良い。
【0017】本発明の漏水防止剤は紐、縄、フィルム、
シート、布、不織布及び紙等に塗布または含浸して漏水
防止材としても使用できる。この場合は漏水防止剤の粘
度や流動性を考慮する必要は少ないので、上記各成分を
所定の割合で均一に混合することによって得られた漏水
防止剤を使用することができる。従って、各成分の混合
順序は任意である。漏水防止剤を紐、縄、フィルム、シ
ート、布、不織布及び紙に塗布または含浸させる方法は
如何なる方法であっても良く、予め塗布機を使って塗布
してから乾燥させても良く、あるいはコンクリートに
紐、縄、フィルム、シート、布、不織布及び紙を設置し
てから漏水防止剤を塗布または含浸させても良い。
【0018】漏水防止剤を塗布または含浸させる紐、
縄、フィルム、シート、布、不織布及び紙の種類は如何
なる物であっても良く、漏水防止剤を保持または含浸で
きるものであれば特に制限はないが、漏水防止剤により
速やかに濡れるものが好ましい。また、フィルムや、シ
ート自体の材質は耐水性のあるものが好ましい。使用し
うる物の具体例としては、ポリエステル、ポリプロピレ
ン、ポリエチレン、塩化ビニル、ポリウレタン、ゴムシ
ート等があげられる。紐、縄、布及び不織布の場合も同
じく浸透性防水剤が濡れやすいものが含浸が容易で好ま
しい。使用しうる物の具体例としては、麻縄、綿縄、ポ
リエステルロープ、綿布、ポリエステル不織布、レーヨ
ン不織布等があげられる。紙は濡れても形状を保持でき
る丈夫なものが好ましい。こうして得られた本発明の漏
水防止材の使用方法としては漏水浸入口の見当がつくと
ころではその浸入口付近に漏水防止材を設置すればよ
い。漏水浸入箇所が不明な場合は漏水のする屋根、床ま
たは壁等に漏水防止材を広範囲に設置すればよい。その
際、屋根、床または壁等に全面的に設置させる必要は全
くない。
【0019】本発明の漏水防止材を適用するのに好まし
い屋根は鉄筋コンクリート造陸屋根であり、これは通常
コンクリート防水目地と、アスファルト防水、シート防
水、塗膜防水等のメンブレン防水を組み合わせてある
が、防水目地に接して漏水防止材を設置するのが良い。
本発明の漏水防止材を適用するのに好ましい床はコンク
リート打ち放し素地であるが、ひび割れ部または接合防
水目地に接して漏水防止材を設置するのが良い。本発明
の漏水防止材を適用するのに好ましい壁体はコンクリー
ト素地であり、コンクリートどうしの接合部に設置する
のが良い。
【0020】
【実施例】次に本発明を実施例によって更に詳細に説明
する。
【0021】 実施例1 (1)ポリエチレングリコール 100g (試薬 関東化学株式会社製 分子量7400〜9000) (2)水 100g (3)ベントナイト 25g (商品名ベンクレイ 水澤化学工業(株)製) (4)ポリアクリル酸ナトリウム 2.5g (商品名パナカヤク−CP 日本化薬株式会社製) (5)ソルビン酸(抗カビ剤) 0.5g (2)の水に(1)のポリエチレングリコールを少量ず
つ撹拌しながら加え、溶解させた。この溶液を更に撹拌
しながら(4)の高吸水性ポリマーを少量ずつ撹拌しな
がら加え、分散させ、さらに、(3)の高吸水性ポリマ
ーゲル化剤を加え撹拌しA液を得た。別に、同様に製造
したA液に、(5)の抗カビ剤を加え撹拌し本発明の漏
水防止剤としてB液を得た。これらの漏水防止剤をB型
粘度計(東京計器(株)製)を用いて25℃で測定した
ところ、A液、B液共に粘度は1540cPであった。
【0022】上記のA液を室温で3ヶ月保存しておいた
ところ、上層部にカビと予想される黒い斑点状の物質が
生成し、430cPに粘度低下していた。一方、B液は
室温で3ヶ月保存していたが、外観上異常はなく粘度も
1580cPであった。
【0023】別に市販の砂配合済みセメント(商品名:
家庭セメント、東京サンホーム株式会社製)1.0Kg
を用意し、これに水200gを加えてよく混練した後、
型枠に入れて図1の形状物として固化させた。このコン
クリート容器を二つに割った後(図2)再び合わせて針
金で補強し、図3の状態にして容器に水を注いだが、水
は合わせ目から直ぐに漏れ出た。この容器に本発明の漏
水防止剤(上記B液)を満杯になるまで注ぎ、30分間
放置した後、容器から本発明の漏水防止剤を取り出して
から水を満杯になるまで注いだが合わせ目から水が漏れ
出ることはなかった。水を張った状態で3日間放置した
が、合わせ目から水が漏れ出ることはなかった。また、
B液で処理した容器から水を空け、60℃で3日間乾燥
した。再び容器に満杯になるまで水を張ったが、水が合
わせ目から漏れ出ることはなかった。
【0024】 実施例2 (1)ポリエチレングリコール 70g (試薬 関東化学株式会社製 分子量7400〜9000) (2)水 100g (3)乳酸アルミニウム 10g (試薬 和光純薬工業株式会社製) (4)ポリアクリル酸ナトリウム 2.5g (商品名パナカヤク−CP 日本化薬株式会社製) (5)ジブチルヒドロキシトルエン(酸化防止剤) 0.3g (2)の水に(1)のポリエチレングリコールを少量ず
つ撹拌しながら加え、溶解させた。この溶液を更に撹拌
しながら(4)の高吸水性ポリマーを少量ずつ撹拌しな
がら加え、分散させ、さらに(3)の高吸水性ポリマー
ゲル化剤を加え溶解させてC液を得た。別に、同様に製
造したC液に(5)の酸化防止剤を加え撹拌し本発明の
漏水防止剤としてD液を得た。これら漏水防止剤をB型
粘度計(東京計器(株)製)を用いて25℃で測定した
ところ、C液、D液共に粘度は870cPであった。
【0025】別に市販の砂配合済みセメント(商品名:
家庭セメント、東京サンホーム株式会社製)1.0Kg
を用意し、これに水200gを加えてよく混練した後、
型枠に入れて図1の形状物として固化させた。このコン
クリート容器を二つに割り、割れ目の底部を更に切り欠
いた後(図2)合わせて針金で補強し、図3の状態にし
たところ合わせ目底部の隙間間隔は0.4〜2mmであ
った。再び容器を割れた状態にしてからこの容器の合わ
せ目に不織布(商品名:ベンコット、旭化成株式会社
製)0.85gを挟み、合わせて針金で補強し、図3の
状態に戻してから水を注いだところ、容器の合わせ目か
ら水が直ちに流れ出た。再び容器を割れた状態にしてか
ら、この容器の合わせ目の内側に、不織布(商品名:ベ
ンコット、旭化成株式会社製)0.85gに上記のD液
5gを含浸したものを張り付け、図3の状態に戻した。
1時間後に水を満杯になるまで注いだが漏水しなかっ
た。30分間放置した後、容器から水をあけ、容器を6
0℃で5日間乾燥させた。容器を室温まで冷却した後、
再び水を満杯になるまで注いだが合わせ目から水が漏れ
ることはなかった。また、これに水を張った状態で5日
間放置したが、合わせ目から水が漏れることはなかっ
た。
【0026】上記のC液とD液の2種類を、それぞれ含
浸させた不織布を密封せず、そのまま放置した。3ヶ月
後、C液を含浸した不織布はべたべたした状態になり、
施工性が悪くなっていた。一方、本発明のD液を含浸し
た不織布は含浸後に乾燥した時の形状を保持しており、
施工も問題はなかった。
【0027】 実施例3 (1)ポリエチレングリコール 60g (試薬 関東化学株式会社製 分子量7400〜9000) (2)水 100g (3)スメクタイト 20g (商品名スメクトン クニミネ工業株式会社製) (4−1)ポリアクリル酸ナトリウム 2.5g (商品名パナカヤク−CP 日本化薬株式会社製) (4−2)ヒドロキシプロピルメチルセルロース 0.3g (商品名メトローズ 信越化学工業株式会社製) (5)2、4ージヒドロキシベンゾフェノン 0.2g (紫外線吸収剤:商品名シーソーブー100 白石カルシウム株式会社 製) (2)の水に(1)のポリエチレングリコールを少量ず
つ撹拌しながら加え、溶解させた。この溶液を更に撹拌
しながら(4−1)(4−2)の順序で高吸水性ポリマ
ーを少量ずつ撹拌しながら加え、分散させ、さらに
(3)の高吸水性ポリマーゲル化剤を加え溶解させてE
液を得た。別に、同様に製造したE液に、(5)の紫外
線吸水剤を加え撹拌し本発明の漏水防止剤としてF液を
得た。これら漏水防止剤をB型粘度計(東京計器(株)
製)を用いて25℃で測定したところ、E液、F液共に
粘度は1070cPであった。
【0028】上記のE液とF液を、それぞれガラス容器
に入れて太陽光が射し込む部屋で3ヶ月保存しておい
た。その結果、E液は分離しており、粘度は640cP
と低下していた。一方、本発明のF液は、外観上異常は
なく粘度も1130cPであった。
【0029】別に市販の砂配合済みセメント(商品名:
家庭セメント、東京サンホーム株式会社製)1.0Kg
を用意し、これに水200gを加えてよく混練した後、
型枠に入れて図1の形状物として固化させた。このコン
クリート容器を二つに割り、割れ目の底部を更に切り欠
いた後(図2)合わせて針金で補強し、図3の状態にし
たところ合わせ目底部の隙間間隔は0.2〜3mmであ
った。上記のF液を長さ40cm,巾3cm、厚み16
ミクロンのポリエステルフィルム(商品名:東洋紡エス
テルフィルム、東洋紡績株式会社製)の親水性処理面に
厚さ約0.5mmで塗布し乾燥せずに上記コンクリート
容器内部の合わせ目の上に貼った。容器は3日間室温に
放置して、乾燥させた後に水を満杯になるまで注いだが
漏水しなかった。30分間放置した後、容器から水をあ
け、容器を60℃で3日間乾燥させた。容器を室温まで
冷却した後、再び水を満杯になるまで注いだが合わせ目
から水が漏れ出ることはなかった。また、これに水を張
った状態で3日間放置したが、合わせ目から水が漏れ出
ることはなかった。
【0030】
【発明の効果】本発明の漏水防止剤または漏水防止材は
モルタル又はコンクリート製品中に適用することによ
り、それらに生じたひび割れを通して浸入してくる水を
利用して、ひび割れ部が速やかに漏水防止剤により充填
されるため、浸入水の内部への浸入を防ぐ事が出来る。
従ってモルタル及びコンクリート製品の劣化を防ぐため
に極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】コンクリート製容器
【図2】図1のコンクリート製容器を2分割したもの
【図3】図2の容器を合わせて復元したもの
【符号の説明】
1;コンクリート製容器 2;合わせ目 3;針金
フロントページの続き Fターム(参考) 2E176 AA01 BB14 4H017 AA04 AA12 AA31 AB17 AC04 AC06 AC07 AC14 AD05 AE03 4J002 AB012 AB042 BE022 BG012 BJ002 CH021 CH051 DD066 DE076 DE086 DF036 DG046 DJ006 EE037 EF038 EF048 EF068 EG028 EG036 EG046 EG058 EH128 EJ028 EJ067 ET007 EU177 FD057 FD078 FD206 GL00

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】高吸水性ポリマー((a)成分)を炭素数
    2以上の繰り返し単位を有するアルキレングリコール誘
    導体((b)成分)を必須成分とする分散媒に分散させ
    た分散体、高吸水性ポリマーのゲル化剤((c)成分)
    及び有機物分解防止剤((d)成分)を含有する漏水防
    止剤。
  2. 【請求項2】(b)成分100重量部に対して、(a)
    成分が0.1〜35重量部(c)成分が0.1〜30重
    量部及び(d)成分が0.01〜5重量部となる割合で
    各成分を含有する請求項1に記載の漏水防止剤。
  3. 【請求項3】高吸水性ポリマーがポリ(メタ)アクリル
    酸誘導体、アルギン酸誘導体、デンプン誘導体、ポリ−
    N−ビニルアセトアミド誘導体、ポリビニルアルコール
    誘導体及びセルロース誘導体からなる群から選ばれた少
    なくとも1種である請求項1〜2のいずれか1項に記載
    の漏水防止剤。
  4. 【請求項4】アルキレングリコール誘導体がエチレング
    リコール誘導体、プロピレングリコール誘導体及びブチ
    レンングリコール誘導体からなる群から選ばれた少なく
    とも1種である請求項1〜3のいずれか1項に記載の漏
    水防止剤。
  5. 【請求項5】アルキレングリコール誘導体が、ポリエチ
    レングリコール、ポリプロピレングリコール及びポリブ
    チレングリコールからなる群から選ばれた少なくとも1
    種である請求項1〜4のいずれか1項に記載の漏水防止
    剤。
  6. 【請求項6】高吸水性ポリマーのゲル化剤が水中で2価
    以上の金属陽イオンを生じる化合物、又は陽イオン交換
    機能を有する化合物である請求項1〜5のいずれか1項
    に記載の漏水防止剤。
  7. 【請求項7】有機物分解防止剤が紫外線吸収剤、酸化防
    止剤、抗菌剤及び抗カビ剤からなる群から選ばれた少な
    くとも1種である請求項1〜6のいずれか1項に記載の
    漏水防止剤。
  8. 【請求項8】水を含有する請求項1〜7のいずれか1項
    に記載の漏水防止剤。
  9. 【請求項9】(b)成分と水を混合し、(b)成分を水
    に溶解させた後、これに(a)成分を分散させ更に
    (c)成分及び(d)成分を加えることを特徴とする請
    求項8記載の漏水防止剤の製造方法。
  10. 【請求項10】コンクリート構造物に漏水防止剤注入口
    を設けて請求項1〜8のいずれか1項に記載の漏水防止
    剤を注入することを特徴とする漏水防止方法。
  11. 【請求項11】請求項1〜8のいずれか1項に記載の漏
    水防止剤を紐、縄、フィルム、シート、布、不織布及び
    紙からなる群から選ばれた少なくとも1種に塗布するか
    または含浸せしめた漏水防止材。
  12. 【請求項12】請求項11に記載の漏水防止材を漏水浸
    入経路に設置することを特徴とする漏水防止方法。
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