JP2004182869A - 漏水防止剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡便で、施工の手間がかからず、建造物の外観を損なうことなく、漏水個所への剤の注入性及び止水能力に優れた漏水防止剤の開発。
【解決の手段】カオリン系鉱物((a)成分)、3種以上の親水性ポリマー((b)成分)及びコロイド状シリカの水分散体((d)成分)を炭素数2以上の繰り返し単位を有するアルキレングリコール誘導体((c)成分)を含む分散媒に分散させた漏水防止剤。
【選択図】なし
【解決の手段】カオリン系鉱物((a)成分)、3種以上の親水性ポリマー((b)成分)及びコロイド状シリカの水分散体((d)成分)を炭素数2以上の繰り返し単位を有するアルキレングリコール誘導体((c)成分)を含む分散媒に分散させた漏水防止剤。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、良好な防止性能を有する漏水防止剤に関し、より詳しくは漏水の原因となるひび割れ、又は穴に入り込み、その間隙を埋めることにより漏水の浸入を阻止することが出来る漏水防止剤及びその製法に関する。
【0002】
【従来の技術】
屋根、床又は壁面からの漏水を止めるには、その原因となる穴、又はひび割れもしくは間隙などの漏水浸入箇所にシーリング剤を塗布、充填するか、あるいは漏水浸入個所不明の場合は、屋根の全面吹き替え、防水シートの全面張り替え、壁面にあっては全面吹き付け塗装、タイルの全面張り替え等をしなくてはならない。多くの場合、漏水の浸入個所を特定することは甚だ困難なため、シーリング材の塗布、充填だけの簡単な補修では直らない事が多い。
雨漏りに関しては、その補償期間は5年〜10年と長期間にわたることが多く、補償期間内にあっては建築業者が、又補償期限切れの建築業者あるいは、ときには施主がそれぞれ多額の費用負担を余儀なくされている。
コンクリート建造物の場合、コンクリート接合部はアスファルトや、ウレタンの防水目地が使用されることが多い。しかし施工時に接合面が濡れていたり、湿っていたりすると、アスファルトやウレタンのコンクリートへの密着性が無くなる為、防水目地としての漏水阻止能力が失われることになる。その為、これら防水目地の施工時は接合面を完全に乾燥させてから、行わなければならなかった。また、接合面の乾燥が一部不完全であるとそこが漏水の原因となっていた。また、これらに使用する漏水防止剤は、通常平均粒径が10μm以上の無機充填剤を含有するため、これが注入施行における注入ポンプの磨耗の原因となっている。
【0003】
【特許文献2】特開平2002−285142号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、施工の手間がかからず、ひび割れ箇所への注入が容易で、ポンプの磨耗が少なくしかも優れた止水効果を発揮する漏水防止剤を開発することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は前記した様な課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、本発明に至った。即ち本発明は、
(1)カオリン系鉱物((a)成分)、3種以上の親水性ポリマー((b)成分)及びコロイド状シリカの水分散体((d)成分)を炭素数2以上の繰り返し単位を有するアルキレングリコール誘導体((c)成分)を含む分散媒に分散させた漏水防止剤、
(2)成分(b)がポリ(メタ)アクリル酸誘導体、アルギン酸誘導体及びセルロース誘導体並びに必要によりポリビニルアルコール誘導体からなる上記(1)記載の漏水防止剤、
(3)漏水防止剤中でセルロース誘導体が3.0〜6.0重量%、ポリビニルアルコール誘導体が0.5〜3.0重量%、アルギン酸誘導体が0.2〜1.0重量%、ポリ(メタ)アクリル酸誘導体が0〜0.2重量%を占める割合でそれぞれ含有される上記(2)記載の漏水防止剤、
(4)(a)成分が、焼成カオリンまたは半焼成カオリンである上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の漏水防止剤、
(5)(a)成分が漏水防止剤中で5〜40重量%を占める割合で含有される上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の漏水防止剤、
(6)アルキレングリコール誘導体が、漏水防止剤中で10〜35重量%を占める割合で含有される上記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の漏水防止剤、
(7)シリカ微粒子の水分散体中の固形分が、漏水防止剤中で4〜10重量%を占める割合で含有される上記(1)〜(6)のいずれか1項に記載の漏水防止剤、
(8)漏水防止剤の最高粒度が10μm以下である上記(1)〜(7)のいずれか1項に記載の漏水防止剤、
(9)成分(d)及び(c)成分を混合して得た混合物に、(a)成分と(b)成分を混合することを特徴とする上記(1)〜(8)のいずれか1項に記載の漏水防止防止剤の製造方法
に関する。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において用いるカオリン系鉱物((a)成分)は、カオリナイト、ナクライト、デイッカイト、ハロサイトなどの1種または2種以上の粘土鉱物が挙げられ、通常これらの混合物がカオリンとして入手可能である。本発明の漏水防止剤ではこのカオリンを焼成した焼成カオリンまたは半焼成カオリンが好ましく、中でも半焼成カオリンが好ましい。
半焼成カオリンはクラックへの注入性などの観点から出来るだけ粒度の細かいものが好ましい。また半焼成カオリンはコンクリート中のシリカ成分と反応し水に不溶性のシリケート化合物を生成することから防止性能にとって好ましい。
(a)成分は、漏水防止剤中で通常5〜40重量%、好ましくは15〜30重量%を占める割合で使用する。
【0007】
本発明において用いる親水性ポリマー((b)成分)は他の成分と共に、粒子状態で漏水浸入個所へ入り込んだ後、吸水、膨潤し、穴、又はひび割れもしくは間隙などの漏水浸入箇所を閉塞する働きがある。本発明において用いる親水性ポリマーは、短時間で吸水、膨潤し、最大では自己の重量の数百倍程度まで膨潤するような高吸水性ポリマーや水に溶解するポリマーがあげられ、架橋型であっても非架橋型であってもかまわない。又、架橋型と非架橋型を混合して用いても良い。
使用しうる親水性ポリマーの具体例としては、ポリアクリル酸アルカリ金属塩、(メタ)アクリル酸ナトリウム−ビニルアルコール共重合体((メタ)アクリル酸メチル−酢酸ビニル共重合体ケン化物)、ポリ(メタ)アクリロニトリル系重合体ケン化物、ヒドロキシエチルメタクリレートポリマー又はポリ(メタ)アクリルアミド等のポリ(メタ)アクリル酸誘導体;カルボキシメチルセルロースアルカリ金属塩等のセルロース誘導体;ポリアクリルアミド、アルギン酸ナトリウム塩又はアルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸誘導体;澱粉グリコール酸ナトリウム塩、澱粉リン酸エステルナトリウム塩又は澱粉−アクリル酸塩グラフト共重合体等のデンプン誘導体;N−ビニルアセトアミド重合体等のポリ−N−ビニルアセトアミド誘導体;ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール又はポリビニルアセタール等のポリビニルアルコール誘導体等が挙げられる。上記において、アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。
これら親水性ポリマーは、単独でも使用可能だが3種以上を組み合わせて使用する。中でもポリ(メタ)アクリル酸誘導体、アルギン酸誘導体及びセルロース誘導体を必須の組み合わせとして使用することが好ましいが、これら3者に加えて更にポリビニルアルコール誘導体を使用するのが特に好ましい。親水性ポリマーを3種以上組み合わせて使用する場合、ポリアクリル酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルローズ、ポリビニルアセタールを同時に使用することが特に好ましい。
(b)成分は、漏水防止剤中で通常3〜15重量%を占める割合で使用する。また、3種以上の親水性ポリマー使用する場合であって、その好ましい実施態様での各親水性ポリマーの配合割合は、漏水防止剤中でセルロース誘導体が3.0〜6.0重量%、ポリビニルアルコール誘導体が0.5〜3.0重量%、アルギン酸誘導体が0.2〜1.0重量%、ポリ(メタ)アクリル酸誘導体が0〜0.2重量%を占める割合となるようにするのが好ましい。
【0008】
本発明の漏水防止剤が含有する分散媒((c)成分)は炭素数2以上の繰り返し単位を有するアルキレングリコール誘導体を必須の構成成分とする。アルキレングリコール誘導体は、親水性ポリマーの膨潤を防ぎ、漏水防止剤の粘度を低くする役割がある。即ち、未膨潤の状態で親水性ポリマーを漏水経路に充填させる役割を持つ。この結果、降水等により漏水個所に浸入した水分により親水性ポリマーが膨潤し、漏水個所を閉塞せしめて充分な漏水効果を発揮する。
炭素数2以上の繰り返し単位を有するアルキレングリコール誘導体の分子量は特に限定されないが、分子量1000以上の界面活性効果がないものが好ましい。用いうるアルキレングリコール誘導体の具体例としては、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、高級アルコールエチレンオキサイド付加物、アルファフェノールエチレンオキサイド付加物、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルエチレンオキサイド付加物、高級アルコールアミンエチレンオキサイド付加物、油脂のエチレンオキサイド付加物又はポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物などのエチレングリコール誘導体並びにポリプロピレングリコール又はポリプロピレングリコールポリエチレングリコールブロック重合物などのプロピレングリコール誘導体、並びにポリブチレングリコール等のブチレングリコール誘導体等があげられ、中でもエチレングリコール誘導体が好ましい。尚、これらは単独で、又は2種以上を混合して用いても良い。
アルキレングリコール誘導体は、漏水防止剤中で10〜35重量%、好ましくは15〜20重量%を占める割合で使用するのが好ましい。
(c)成分の使用量が、含有量が少ない場合は剤の粘度の制御が難しく、多い場合はクラック内で水と接触した場合の親水性ポリマーの膨潤が遅くなり、止水効果に悪影響が出る。
【0009】
本発明で用いるシリカ微粒子の水分散体((d)成分)は、コンクリート中のアルカリ成分や塩分等によりゲル状物質となる性質があるため、親水性ポリマーの膨潤と共に止水耐久性を向上させる効果がある。(d)成分は粒径8〜20nm程度のシリカ微粒子が水に分散しているもので、コロイド状シリカとしてスノーテック30、スノーテックスS、スノーテックスC(商品名;いずれも日産化学株式会社製)、シリカドール(商品名;日本化学工業株式会社製)等の市販品が入手可能である。(d)成分はシリカ微粒子の表面が修飾してあっても特に支障はないが、pH2〜11の範囲でゲル化し難いものが好ましい。
(d)成分の配合量は、漏水防止剤中で固形分が2〜10重量%を占める割合となるようにするのが好ましい。なお、上記市販品の固形分濃度は通常20〜30重量%である。
(d)成分の使用量が、少量では塩分の多い漏水箇所での止水効果が劣り、増量すると漏水防止剤の耐乾燥耐久性に影響がある場合がある。
【0010】
本発明の漏水防止剤は、上記各成分を所定の割合で混合して得ることができる。本発明の漏水防止剤は、まずコロイド状シリカの水分散体をアルキレングリコール誘導体と混合して水性媒体を調製し、これにカオリン系鉱物及び親水性ポリマーの混合粉体を攪拌しながらゆっくり加え分散体を作ることにより得られる。上記の方法は水性材料と粉体材料を区別して別々に仕込むことで再現性の良い、安定な漏水防止剤を得る製造法であり好ましい。なお、水性材料を得る際に混合に適した量の水を添加してもよい。また、親水性ポリマーの一部を水溶液として水性材料を得る際に添加してもよい。
【0011】
本発明の漏水防止剤の粒度は漏水部位のコンクリートクラックへの剤の注入性に影響する。また漏水防止剤をポンプで注入する場合は粒度の大きい剤はポンプのシリンダー部位を磨耗することが知られている。シリンダー部の磨耗を防ぐには10μm以下の粒度の剤が望ましいとされている。このことからポンプで注入するのを目的とする場合、粒度の出来るだけ細かいカオリン系鉱物を使用するのが好ましく、例えばメタマックスEF(土屋カオリン株式会社)の商品名で知られている平均粒径2.5μmの半焼成カオリン原料として好ましい。本発明の漏水防止剤の最大粒度は10μm以下であることが好ましく、このためには、前記したようにカオリン系鉱物の種類を選択したり、また親水性ポリマーの種類と量を適宜選択したりして調整する。例えばその理由は詳細には不明だが、水に対する膨潤性が著しく高いポリアクリル酸ナトリウム等は粒度分布を広げる原因に推定され、これらを使用する場合、これらの量を少なくし粒度分布に影響のないアルギン酸ナトリウムを併用する。最大粒度が10μm以下の粒度分布を有する本発明の漏水防止剤はコンクリートクラックへの注入性が良好で、注入ポンプのシリンダー部の磨耗もほとんどない。
【0012】
本発明の漏水防止剤の使用方法としては漏水浸入口に見当がつくところではその浸入口付近に散布、又は注入口を設けて注入すればよい。漏水浸入個所が不明な場合は漏水のする屋根、床または壁に全面に均一に散布、又は注入口を設けて注入すればよい。その際、屋根、床または壁を全面的に塗る必要は全くない。
本発明の漏水防止剤を適用するのに好ましい屋根は鉄筋コンクリート造陸屋根であり、これは通常コンクリート目地防水と、アスファルト防水、シート防水、塗膜防水等のメンブレン防水を組み合わせてあるが、防水層の上から散布すれば良い。
【0013】
また、補修用注入用プラグとポンプを使用して無機素材構造物等のひび割れに本発明の漏水防止剤を注入しようとする場合、まず目視によってひび割れが発生した個所を観察し、注入位置を設定する。構造物の駆体の厚みが800mm程度で、ひび割れを挟んで千鳥状に300〜350mmの間隔ごとに注入位置を設定する場合、注入位置にドリル穿孔し、プラグを挿入する。次に漏水防止剤をポンプ注入する。漏水防止剤が十分にひび割れの中に入ったのを確認した後、プラグをつけたまま養生を行う。養生時間は、注入後2〜3時間程度である。所定時間養生した後、止水効果を確認し、必要によりプラグを取り外す。その後注入孔を穴埋めし、止水することができる。
【0014】
本発明の漏水防止剤を適用するのに好ましい床はコンクリート打ち放し素地であるが、その上にモルタル、塗料、シート等があっても構わず、その上から散布すれば良い。
本発明の漏水防止剤を適用するのに好ましい壁はセメントモルタル、アクリルリシン吹き付け、タイル貼り、煉瓦、コンクリート素地等である。
【0015】
【実施例】
次に本発明を実施例によって更に詳細に説明する。
【0016】
実施例1
(1)水 32.8g
(2)コロイダルシリカ(固形分含量30重量%) 20.0g
(商品名:スノーテックスS 日産化学株式会社製)
(3)ポリビニルアセタール水溶物 (固形分含量20重量%) 10.0g
(商品名:エスレックKW−3 積水化学工業株式会社製)
(4)ポリエチレングリコール 16.6g
(試薬:関東化学株式会社製 分子量7400〜9000)
(5)焼成カオリン 15.0g
(商品名:SP33 土屋カオリン株式会社販売)
(6)ヒドロキシプロピルセルローズ 5.0g
(商品名:HPC 日本曹達株式会社製)
(7)アルギン酸ナトリウム 0.4g
(商品名:キミツアルギン 君津化学工業株式会社製)
(8)ポリアクリル酸ナトリウム 0.1g
(商品名:パナカヤクCP100 日本化薬株式会社製)
水に(2)のコロイダルシリカ、(3)のポリビニルアセタール水溶物を加えた。次いでこれに(4)のポリエチレングリコールを少量ずつ攪拌しながら加え、溶解させた。この溶液に(5)焼成カオリン、(6)ヒドロキシプロピルセルローズ、(7)アルギン酸ナトリウム、(8)ポリアクリル酸ナトリウムの粉体をよく混合した後少量ずつ攪拌しながら加え、良く分散させ本発明の漏水防止剤を得た。この漏水防止剤をB型粘度計(東京計器(株)製)を用いて25℃で測定したところ、粘度は1300cPであった。
【0017】
別に市販の砂配合済みセメント(商品名:家庭セメント、東京サンホーム株式会社製)2.6Kgを用意し、これに水600gを加えてよく混練した後、型枠に入れて図1の形状物として固化させた。
このコンクリート容器を二つに割った後(図2)再び合わせて針金で補強し、図3の状態にして容器に水を注いだが、水は合わせ目から直ぐに漏れ出た。この容器に本発明の漏水防止剤を満杯になるまで注ぎ、30分間放置した後、容器から本発明の漏水防止剤を取り出してから水を満杯になるまで注いだが合わせ目から水が漏れ出ることはなかった。水を張った状態で3日間放置したが、合わせ目から水が漏れ出ることはなかった。
また、本発明の漏水防止剤で処理した容器から水を空け、60℃で3日間乾燥した。再び容器に満杯になるまで水を張ったが、水が合わせ目から漏れ出ることはなかった。
【0018】
実施例2
(1)水 32.8g
(2)コロイダルシリカ (固形分含量30重量%) 20.0g
(商品名:スノーテックスS 日産化学株式会社製)
(3)ポリビニルアセタール水溶物 (固形分含量20重量%) 5.0g
(商品名:エスレックKW−3 積水化学工業株式会社製)
(4)ポリエチレングリコール 16.6g
(試薬:関東化学株式会社製 分子量7400〜9000)
(5)半焼成カオリン 20.0g
(商品名:メタマックスEF 土屋カオリン株式会社販売)
(6)ヒドロキシプロピルセルローズ 4.0g
(商品名:HPC 日本曹達株式会社製)
(7)アルギン酸ナトリウム 0.4g
(商品名:キミツアルギン 君津化学工業株式会社製)
(8)ポリアクリル酸ナトリウム 0.1g
(商品名:パナカヤクCP100 日本化薬株式会社製)
水に(2)のコロイダルシリカ、(3)のポリビニルアセタール水溶物を加えた。次いでこれに(4)のポリエチレングリコールを少量ずつ攪拌しながら加え、溶解させた。この溶液に(5)半焼成カオリン、(6)ヒドロキシプロピルセルローズ、(7)アルギン酸ナトリウム、(8)ポリアクリル酸ナトリウムの粉体をよく混合した後少量ずつ攪拌しながら加え、良く分散させ本発明の漏水防止剤を得た。
この漏水防止剤をB型粘度計(東京計器(株)製)を用いて25℃で測定したところ、粘度は3300cPであった。この漏水防止剤をレーザー回折式粒度分布測定装置(SHIMAZU SALD−2100)で粒度分布を測定したところ、最高粒度は10μmであった。
【0019】
別に市販の砂配合済みセメント(商品名:家庭セメント、東京サンホーム株式会社製)2.6Kgを用意し、これに水600gを加えてよく混練した後、型枠に入れて図1の形状物として固化させた。
このコンクリート容器を二つに割った後(図2)再び合わせて針金で補強し、図3の状態にして容器に水を注いだが、水は合わせ目から直ぐに漏れ出た。この容器に本発明の漏水防止剤を満杯になるまで注ぎ、30分間放置した後、容器から本発明の漏水防止剤を取り出してから水を満杯になるまで注いだが合わせ目から水が漏れ出ることはなかった。水を張った状態で3日間放置したが、合わせ目から水が漏れ出ることはなかった。
また、本発明の漏水防止剤で処理した容器から水を空け、60℃で3日間乾燥した。再び容器に満杯になるまで水を張ったが、水が合わせ目から漏れ出ることはなかった。
【0020】
実施例3
(1)水 32.8g
(2)コロイダルシリカ (固形分含量30重量%) 20.0g
(商品名:スノーテックスS 日産化学株式会社製)
(3)ポリビニルアセタール水溶物 (固形分含量20重量%) 5.0g
(商品名:エスレックKW−3 積水化学工業株式会社製)
(4)ポリエチレングリコール 16.6g
(試薬:関東化学株式会社製 分子量7400〜9000)
(5)半焼成カオリン 20.0g
(商品名:ポールスター450 稲垣鉱業株式会社販売)
(6)ヒドロキシプロピルセルローズ 4.0g
(商品名:HPC 日本曹達株式会社製)
(6)アルギン酸ナトリウム 0.4g
(商品名:キミツアルギン 君津化学工業株式会社製)
(7)ポリアクリル酸ナトリウム 0.1g
(商品名:パナカヤクCP100 日本化薬株式会社製)
水に(2)のコロイダルシリカ、(3)のポリビニルアセタール水溶物加えた。次いでこれに(4)のポリエチレングリコールを少量ずつ攪拌しながら加え、溶解させた。この溶液に(5)半焼成カオリン、(6)ヒドロキシプロピルセルローズ、(7)アルギン酸ナトリウム、(8)ポリアクリル酸ナトリウムの粉体をよく混合した後少量ずつ攪拌しながら加え、良く分散させ本発明の漏水防止剤を得た。
この漏水防止剤をB型粘度計(東京計器(株)製)を用いて25℃で測定したところ、粘度は940cPであった。この漏水防止剤をレーザー回折式粒度分布測定装置(SHIMAZU SALD−2100)で粒度分布を測定したところ、最高粒度は10μmであった。
【0021】
別に市販の砂配合済みセメント(商品名:家庭セメント、東京サンホーム株式会社製)2.6Kgを用意し、これに水600gを加えてよく混練した後、型枠に入れて図1の形状物として固化させた。
このコンクリート容器を二つに割った後(図2)再び合わせて針金で補強し、図3の状態にして容器に水を注いだが、水は合わせ目から直ぐに漏れ出た。この容器に本発明の漏水防止剤を満杯になるまで注ぎ、30分間放置した後、容器から本発明の漏水防止剤を取り出してから水を満杯になるまで注いだが合わせ目から水が漏れ出ることはなかった。水を張った状態で3日間放置したが、合わせ目から水が漏れ出ることはなかった。
また、本発明の漏水防止剤で処理した容器から水を空け、60℃で3日間乾燥した。再び容器に満杯になるまで水を張ったが、水が合わせ目から漏れ出ることはなかった。
【0022】
【発明の効果】
本発明の漏水防止剤はモルタル又はコンクリート製品に適用することにより、それらに生じたひび割れを通して浸入してくる水を利用して、ひび割れ部が速やかに漏水防止剤により充填されるため、浸入水の内部への浸入を防ぐ事が出来、また寒冷地においても凍結することない。従ってモルタル及びコンクリート製品の劣化を防ぐために極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】コンクリート製容器
【図2】図1のコンクリート製容器を2分割したもの
【図3】図2の容器を合わせて復元したもの
【符号の説明】
1;コンクリート製容器
2;合わせ目
3;針金
【発明の属する技術分野】
本発明は、良好な防止性能を有する漏水防止剤に関し、より詳しくは漏水の原因となるひび割れ、又は穴に入り込み、その間隙を埋めることにより漏水の浸入を阻止することが出来る漏水防止剤及びその製法に関する。
【0002】
【従来の技術】
屋根、床又は壁面からの漏水を止めるには、その原因となる穴、又はひび割れもしくは間隙などの漏水浸入箇所にシーリング剤を塗布、充填するか、あるいは漏水浸入個所不明の場合は、屋根の全面吹き替え、防水シートの全面張り替え、壁面にあっては全面吹き付け塗装、タイルの全面張り替え等をしなくてはならない。多くの場合、漏水の浸入個所を特定することは甚だ困難なため、シーリング材の塗布、充填だけの簡単な補修では直らない事が多い。
雨漏りに関しては、その補償期間は5年〜10年と長期間にわたることが多く、補償期間内にあっては建築業者が、又補償期限切れの建築業者あるいは、ときには施主がそれぞれ多額の費用負担を余儀なくされている。
コンクリート建造物の場合、コンクリート接合部はアスファルトや、ウレタンの防水目地が使用されることが多い。しかし施工時に接合面が濡れていたり、湿っていたりすると、アスファルトやウレタンのコンクリートへの密着性が無くなる為、防水目地としての漏水阻止能力が失われることになる。その為、これら防水目地の施工時は接合面を完全に乾燥させてから、行わなければならなかった。また、接合面の乾燥が一部不完全であるとそこが漏水の原因となっていた。また、これらに使用する漏水防止剤は、通常平均粒径が10μm以上の無機充填剤を含有するため、これが注入施行における注入ポンプの磨耗の原因となっている。
【0003】
【特許文献2】特開平2002−285142号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、施工の手間がかからず、ひび割れ箇所への注入が容易で、ポンプの磨耗が少なくしかも優れた止水効果を発揮する漏水防止剤を開発することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は前記した様な課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、本発明に至った。即ち本発明は、
(1)カオリン系鉱物((a)成分)、3種以上の親水性ポリマー((b)成分)及びコロイド状シリカの水分散体((d)成分)を炭素数2以上の繰り返し単位を有するアルキレングリコール誘導体((c)成分)を含む分散媒に分散させた漏水防止剤、
(2)成分(b)がポリ(メタ)アクリル酸誘導体、アルギン酸誘導体及びセルロース誘導体並びに必要によりポリビニルアルコール誘導体からなる上記(1)記載の漏水防止剤、
(3)漏水防止剤中でセルロース誘導体が3.0〜6.0重量%、ポリビニルアルコール誘導体が0.5〜3.0重量%、アルギン酸誘導体が0.2〜1.0重量%、ポリ(メタ)アクリル酸誘導体が0〜0.2重量%を占める割合でそれぞれ含有される上記(2)記載の漏水防止剤、
(4)(a)成分が、焼成カオリンまたは半焼成カオリンである上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の漏水防止剤、
(5)(a)成分が漏水防止剤中で5〜40重量%を占める割合で含有される上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の漏水防止剤、
(6)アルキレングリコール誘導体が、漏水防止剤中で10〜35重量%を占める割合で含有される上記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の漏水防止剤、
(7)シリカ微粒子の水分散体中の固形分が、漏水防止剤中で4〜10重量%を占める割合で含有される上記(1)〜(6)のいずれか1項に記載の漏水防止剤、
(8)漏水防止剤の最高粒度が10μm以下である上記(1)〜(7)のいずれか1項に記載の漏水防止剤、
(9)成分(d)及び(c)成分を混合して得た混合物に、(a)成分と(b)成分を混合することを特徴とする上記(1)〜(8)のいずれか1項に記載の漏水防止防止剤の製造方法
に関する。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において用いるカオリン系鉱物((a)成分)は、カオリナイト、ナクライト、デイッカイト、ハロサイトなどの1種または2種以上の粘土鉱物が挙げられ、通常これらの混合物がカオリンとして入手可能である。本発明の漏水防止剤ではこのカオリンを焼成した焼成カオリンまたは半焼成カオリンが好ましく、中でも半焼成カオリンが好ましい。
半焼成カオリンはクラックへの注入性などの観点から出来るだけ粒度の細かいものが好ましい。また半焼成カオリンはコンクリート中のシリカ成分と反応し水に不溶性のシリケート化合物を生成することから防止性能にとって好ましい。
(a)成分は、漏水防止剤中で通常5〜40重量%、好ましくは15〜30重量%を占める割合で使用する。
【0007】
本発明において用いる親水性ポリマー((b)成分)は他の成分と共に、粒子状態で漏水浸入個所へ入り込んだ後、吸水、膨潤し、穴、又はひび割れもしくは間隙などの漏水浸入箇所を閉塞する働きがある。本発明において用いる親水性ポリマーは、短時間で吸水、膨潤し、最大では自己の重量の数百倍程度まで膨潤するような高吸水性ポリマーや水に溶解するポリマーがあげられ、架橋型であっても非架橋型であってもかまわない。又、架橋型と非架橋型を混合して用いても良い。
使用しうる親水性ポリマーの具体例としては、ポリアクリル酸アルカリ金属塩、(メタ)アクリル酸ナトリウム−ビニルアルコール共重合体((メタ)アクリル酸メチル−酢酸ビニル共重合体ケン化物)、ポリ(メタ)アクリロニトリル系重合体ケン化物、ヒドロキシエチルメタクリレートポリマー又はポリ(メタ)アクリルアミド等のポリ(メタ)アクリル酸誘導体;カルボキシメチルセルロースアルカリ金属塩等のセルロース誘導体;ポリアクリルアミド、アルギン酸ナトリウム塩又はアルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸誘導体;澱粉グリコール酸ナトリウム塩、澱粉リン酸エステルナトリウム塩又は澱粉−アクリル酸塩グラフト共重合体等のデンプン誘導体;N−ビニルアセトアミド重合体等のポリ−N−ビニルアセトアミド誘導体;ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール又はポリビニルアセタール等のポリビニルアルコール誘導体等が挙げられる。上記において、アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。
これら親水性ポリマーは、単独でも使用可能だが3種以上を組み合わせて使用する。中でもポリ(メタ)アクリル酸誘導体、アルギン酸誘導体及びセルロース誘導体を必須の組み合わせとして使用することが好ましいが、これら3者に加えて更にポリビニルアルコール誘導体を使用するのが特に好ましい。親水性ポリマーを3種以上組み合わせて使用する場合、ポリアクリル酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルローズ、ポリビニルアセタールを同時に使用することが特に好ましい。
(b)成分は、漏水防止剤中で通常3〜15重量%を占める割合で使用する。また、3種以上の親水性ポリマー使用する場合であって、その好ましい実施態様での各親水性ポリマーの配合割合は、漏水防止剤中でセルロース誘導体が3.0〜6.0重量%、ポリビニルアルコール誘導体が0.5〜3.0重量%、アルギン酸誘導体が0.2〜1.0重量%、ポリ(メタ)アクリル酸誘導体が0〜0.2重量%を占める割合となるようにするのが好ましい。
【0008】
本発明の漏水防止剤が含有する分散媒((c)成分)は炭素数2以上の繰り返し単位を有するアルキレングリコール誘導体を必須の構成成分とする。アルキレングリコール誘導体は、親水性ポリマーの膨潤を防ぎ、漏水防止剤の粘度を低くする役割がある。即ち、未膨潤の状態で親水性ポリマーを漏水経路に充填させる役割を持つ。この結果、降水等により漏水個所に浸入した水分により親水性ポリマーが膨潤し、漏水個所を閉塞せしめて充分な漏水効果を発揮する。
炭素数2以上の繰り返し単位を有するアルキレングリコール誘導体の分子量は特に限定されないが、分子量1000以上の界面活性効果がないものが好ましい。用いうるアルキレングリコール誘導体の具体例としては、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、高級アルコールエチレンオキサイド付加物、アルファフェノールエチレンオキサイド付加物、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルエチレンオキサイド付加物、高級アルコールアミンエチレンオキサイド付加物、油脂のエチレンオキサイド付加物又はポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物などのエチレングリコール誘導体並びにポリプロピレングリコール又はポリプロピレングリコールポリエチレングリコールブロック重合物などのプロピレングリコール誘導体、並びにポリブチレングリコール等のブチレングリコール誘導体等があげられ、中でもエチレングリコール誘導体が好ましい。尚、これらは単独で、又は2種以上を混合して用いても良い。
アルキレングリコール誘導体は、漏水防止剤中で10〜35重量%、好ましくは15〜20重量%を占める割合で使用するのが好ましい。
(c)成分の使用量が、含有量が少ない場合は剤の粘度の制御が難しく、多い場合はクラック内で水と接触した場合の親水性ポリマーの膨潤が遅くなり、止水効果に悪影響が出る。
【0009】
本発明で用いるシリカ微粒子の水分散体((d)成分)は、コンクリート中のアルカリ成分や塩分等によりゲル状物質となる性質があるため、親水性ポリマーの膨潤と共に止水耐久性を向上させる効果がある。(d)成分は粒径8〜20nm程度のシリカ微粒子が水に分散しているもので、コロイド状シリカとしてスノーテック30、スノーテックスS、スノーテックスC(商品名;いずれも日産化学株式会社製)、シリカドール(商品名;日本化学工業株式会社製)等の市販品が入手可能である。(d)成分はシリカ微粒子の表面が修飾してあっても特に支障はないが、pH2〜11の範囲でゲル化し難いものが好ましい。
(d)成分の配合量は、漏水防止剤中で固形分が2〜10重量%を占める割合となるようにするのが好ましい。なお、上記市販品の固形分濃度は通常20〜30重量%である。
(d)成分の使用量が、少量では塩分の多い漏水箇所での止水効果が劣り、増量すると漏水防止剤の耐乾燥耐久性に影響がある場合がある。
【0010】
本発明の漏水防止剤は、上記各成分を所定の割合で混合して得ることができる。本発明の漏水防止剤は、まずコロイド状シリカの水分散体をアルキレングリコール誘導体と混合して水性媒体を調製し、これにカオリン系鉱物及び親水性ポリマーの混合粉体を攪拌しながらゆっくり加え分散体を作ることにより得られる。上記の方法は水性材料と粉体材料を区別して別々に仕込むことで再現性の良い、安定な漏水防止剤を得る製造法であり好ましい。なお、水性材料を得る際に混合に適した量の水を添加してもよい。また、親水性ポリマーの一部を水溶液として水性材料を得る際に添加してもよい。
【0011】
本発明の漏水防止剤の粒度は漏水部位のコンクリートクラックへの剤の注入性に影響する。また漏水防止剤をポンプで注入する場合は粒度の大きい剤はポンプのシリンダー部位を磨耗することが知られている。シリンダー部の磨耗を防ぐには10μm以下の粒度の剤が望ましいとされている。このことからポンプで注入するのを目的とする場合、粒度の出来るだけ細かいカオリン系鉱物を使用するのが好ましく、例えばメタマックスEF(土屋カオリン株式会社)の商品名で知られている平均粒径2.5μmの半焼成カオリン原料として好ましい。本発明の漏水防止剤の最大粒度は10μm以下であることが好ましく、このためには、前記したようにカオリン系鉱物の種類を選択したり、また親水性ポリマーの種類と量を適宜選択したりして調整する。例えばその理由は詳細には不明だが、水に対する膨潤性が著しく高いポリアクリル酸ナトリウム等は粒度分布を広げる原因に推定され、これらを使用する場合、これらの量を少なくし粒度分布に影響のないアルギン酸ナトリウムを併用する。最大粒度が10μm以下の粒度分布を有する本発明の漏水防止剤はコンクリートクラックへの注入性が良好で、注入ポンプのシリンダー部の磨耗もほとんどない。
【0012】
本発明の漏水防止剤の使用方法としては漏水浸入口に見当がつくところではその浸入口付近に散布、又は注入口を設けて注入すればよい。漏水浸入個所が不明な場合は漏水のする屋根、床または壁に全面に均一に散布、又は注入口を設けて注入すればよい。その際、屋根、床または壁を全面的に塗る必要は全くない。
本発明の漏水防止剤を適用するのに好ましい屋根は鉄筋コンクリート造陸屋根であり、これは通常コンクリート目地防水と、アスファルト防水、シート防水、塗膜防水等のメンブレン防水を組み合わせてあるが、防水層の上から散布すれば良い。
【0013】
また、補修用注入用プラグとポンプを使用して無機素材構造物等のひび割れに本発明の漏水防止剤を注入しようとする場合、まず目視によってひび割れが発生した個所を観察し、注入位置を設定する。構造物の駆体の厚みが800mm程度で、ひび割れを挟んで千鳥状に300〜350mmの間隔ごとに注入位置を設定する場合、注入位置にドリル穿孔し、プラグを挿入する。次に漏水防止剤をポンプ注入する。漏水防止剤が十分にひび割れの中に入ったのを確認した後、プラグをつけたまま養生を行う。養生時間は、注入後2〜3時間程度である。所定時間養生した後、止水効果を確認し、必要によりプラグを取り外す。その後注入孔を穴埋めし、止水することができる。
【0014】
本発明の漏水防止剤を適用するのに好ましい床はコンクリート打ち放し素地であるが、その上にモルタル、塗料、シート等があっても構わず、その上から散布すれば良い。
本発明の漏水防止剤を適用するのに好ましい壁はセメントモルタル、アクリルリシン吹き付け、タイル貼り、煉瓦、コンクリート素地等である。
【0015】
【実施例】
次に本発明を実施例によって更に詳細に説明する。
【0016】
実施例1
(1)水 32.8g
(2)コロイダルシリカ(固形分含量30重量%) 20.0g
(商品名:スノーテックスS 日産化学株式会社製)
(3)ポリビニルアセタール水溶物 (固形分含量20重量%) 10.0g
(商品名:エスレックKW−3 積水化学工業株式会社製)
(4)ポリエチレングリコール 16.6g
(試薬:関東化学株式会社製 分子量7400〜9000)
(5)焼成カオリン 15.0g
(商品名:SP33 土屋カオリン株式会社販売)
(6)ヒドロキシプロピルセルローズ 5.0g
(商品名:HPC 日本曹達株式会社製)
(7)アルギン酸ナトリウム 0.4g
(商品名:キミツアルギン 君津化学工業株式会社製)
(8)ポリアクリル酸ナトリウム 0.1g
(商品名:パナカヤクCP100 日本化薬株式会社製)
水に(2)のコロイダルシリカ、(3)のポリビニルアセタール水溶物を加えた。次いでこれに(4)のポリエチレングリコールを少量ずつ攪拌しながら加え、溶解させた。この溶液に(5)焼成カオリン、(6)ヒドロキシプロピルセルローズ、(7)アルギン酸ナトリウム、(8)ポリアクリル酸ナトリウムの粉体をよく混合した後少量ずつ攪拌しながら加え、良く分散させ本発明の漏水防止剤を得た。この漏水防止剤をB型粘度計(東京計器(株)製)を用いて25℃で測定したところ、粘度は1300cPであった。
【0017】
別に市販の砂配合済みセメント(商品名:家庭セメント、東京サンホーム株式会社製)2.6Kgを用意し、これに水600gを加えてよく混練した後、型枠に入れて図1の形状物として固化させた。
このコンクリート容器を二つに割った後(図2)再び合わせて針金で補強し、図3の状態にして容器に水を注いだが、水は合わせ目から直ぐに漏れ出た。この容器に本発明の漏水防止剤を満杯になるまで注ぎ、30分間放置した後、容器から本発明の漏水防止剤を取り出してから水を満杯になるまで注いだが合わせ目から水が漏れ出ることはなかった。水を張った状態で3日間放置したが、合わせ目から水が漏れ出ることはなかった。
また、本発明の漏水防止剤で処理した容器から水を空け、60℃で3日間乾燥した。再び容器に満杯になるまで水を張ったが、水が合わせ目から漏れ出ることはなかった。
【0018】
実施例2
(1)水 32.8g
(2)コロイダルシリカ (固形分含量30重量%) 20.0g
(商品名:スノーテックスS 日産化学株式会社製)
(3)ポリビニルアセタール水溶物 (固形分含量20重量%) 5.0g
(商品名:エスレックKW−3 積水化学工業株式会社製)
(4)ポリエチレングリコール 16.6g
(試薬:関東化学株式会社製 分子量7400〜9000)
(5)半焼成カオリン 20.0g
(商品名:メタマックスEF 土屋カオリン株式会社販売)
(6)ヒドロキシプロピルセルローズ 4.0g
(商品名:HPC 日本曹達株式会社製)
(7)アルギン酸ナトリウム 0.4g
(商品名:キミツアルギン 君津化学工業株式会社製)
(8)ポリアクリル酸ナトリウム 0.1g
(商品名:パナカヤクCP100 日本化薬株式会社製)
水に(2)のコロイダルシリカ、(3)のポリビニルアセタール水溶物を加えた。次いでこれに(4)のポリエチレングリコールを少量ずつ攪拌しながら加え、溶解させた。この溶液に(5)半焼成カオリン、(6)ヒドロキシプロピルセルローズ、(7)アルギン酸ナトリウム、(8)ポリアクリル酸ナトリウムの粉体をよく混合した後少量ずつ攪拌しながら加え、良く分散させ本発明の漏水防止剤を得た。
この漏水防止剤をB型粘度計(東京計器(株)製)を用いて25℃で測定したところ、粘度は3300cPであった。この漏水防止剤をレーザー回折式粒度分布測定装置(SHIMAZU SALD−2100)で粒度分布を測定したところ、最高粒度は10μmであった。
【0019】
別に市販の砂配合済みセメント(商品名:家庭セメント、東京サンホーム株式会社製)2.6Kgを用意し、これに水600gを加えてよく混練した後、型枠に入れて図1の形状物として固化させた。
このコンクリート容器を二つに割った後(図2)再び合わせて針金で補強し、図3の状態にして容器に水を注いだが、水は合わせ目から直ぐに漏れ出た。この容器に本発明の漏水防止剤を満杯になるまで注ぎ、30分間放置した後、容器から本発明の漏水防止剤を取り出してから水を満杯になるまで注いだが合わせ目から水が漏れ出ることはなかった。水を張った状態で3日間放置したが、合わせ目から水が漏れ出ることはなかった。
また、本発明の漏水防止剤で処理した容器から水を空け、60℃で3日間乾燥した。再び容器に満杯になるまで水を張ったが、水が合わせ目から漏れ出ることはなかった。
【0020】
実施例3
(1)水 32.8g
(2)コロイダルシリカ (固形分含量30重量%) 20.0g
(商品名:スノーテックスS 日産化学株式会社製)
(3)ポリビニルアセタール水溶物 (固形分含量20重量%) 5.0g
(商品名:エスレックKW−3 積水化学工業株式会社製)
(4)ポリエチレングリコール 16.6g
(試薬:関東化学株式会社製 分子量7400〜9000)
(5)半焼成カオリン 20.0g
(商品名:ポールスター450 稲垣鉱業株式会社販売)
(6)ヒドロキシプロピルセルローズ 4.0g
(商品名:HPC 日本曹達株式会社製)
(6)アルギン酸ナトリウム 0.4g
(商品名:キミツアルギン 君津化学工業株式会社製)
(7)ポリアクリル酸ナトリウム 0.1g
(商品名:パナカヤクCP100 日本化薬株式会社製)
水に(2)のコロイダルシリカ、(3)のポリビニルアセタール水溶物加えた。次いでこれに(4)のポリエチレングリコールを少量ずつ攪拌しながら加え、溶解させた。この溶液に(5)半焼成カオリン、(6)ヒドロキシプロピルセルローズ、(7)アルギン酸ナトリウム、(8)ポリアクリル酸ナトリウムの粉体をよく混合した後少量ずつ攪拌しながら加え、良く分散させ本発明の漏水防止剤を得た。
この漏水防止剤をB型粘度計(東京計器(株)製)を用いて25℃で測定したところ、粘度は940cPであった。この漏水防止剤をレーザー回折式粒度分布測定装置(SHIMAZU SALD−2100)で粒度分布を測定したところ、最高粒度は10μmであった。
【0021】
別に市販の砂配合済みセメント(商品名:家庭セメント、東京サンホーム株式会社製)2.6Kgを用意し、これに水600gを加えてよく混練した後、型枠に入れて図1の形状物として固化させた。
このコンクリート容器を二つに割った後(図2)再び合わせて針金で補強し、図3の状態にして容器に水を注いだが、水は合わせ目から直ぐに漏れ出た。この容器に本発明の漏水防止剤を満杯になるまで注ぎ、30分間放置した後、容器から本発明の漏水防止剤を取り出してから水を満杯になるまで注いだが合わせ目から水が漏れ出ることはなかった。水を張った状態で3日間放置したが、合わせ目から水が漏れ出ることはなかった。
また、本発明の漏水防止剤で処理した容器から水を空け、60℃で3日間乾燥した。再び容器に満杯になるまで水を張ったが、水が合わせ目から漏れ出ることはなかった。
【0022】
【発明の効果】
本発明の漏水防止剤はモルタル又はコンクリート製品に適用することにより、それらに生じたひび割れを通して浸入してくる水を利用して、ひび割れ部が速やかに漏水防止剤により充填されるため、浸入水の内部への浸入を防ぐ事が出来、また寒冷地においても凍結することない。従ってモルタル及びコンクリート製品の劣化を防ぐために極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】コンクリート製容器
【図2】図1のコンクリート製容器を2分割したもの
【図3】図2の容器を合わせて復元したもの
【符号の説明】
1;コンクリート製容器
2;合わせ目
3;針金
Claims (9)
- カオリン系鉱物((a)成分)、3種以上の親水性ポリマー((b)成分)及びシリカ微粒子の水分散体((d)成分)を炭素数2以上の繰り返し単位を有するアルキレングリコール誘導体((c)成分)を含む分散媒に分散させた漏水防止剤。
- 成分(b)がポリ(メタ)アクリル酸誘導体、アルギン酸誘導体及びセルロース誘導体並びに必要によりポリビニルアルコール誘導体からなる請求項1記載の漏水防止剤。
- 漏水防止剤中でセルロース誘導体が3.0〜6.0重量%、ポリビニルアルコール誘導体が0.5〜3.0重量%、アルギン酸誘導体が0.2〜1.0重量%、ポリ(メタ)アクリル酸誘導体が0〜0.2重量%を占める割合でそれぞれ含有される請求項2記載の漏水防止剤。
- (a)成分が、焼成カオリンまたは半焼成カオリンである請求項1〜3のいずれか1項に記載の漏水防止剤。
- (a)成分が漏水防止剤中で5〜40重量%を占める割合で含有される請求項1〜4のいずれか1項に記載の漏水防止剤。
- アルキレングリコール誘導体が、漏水防止剤中で10〜35重量%を占める割合で含有される請求項1〜5のいずれか1項に記載の漏水防止剤。
- シリカ微粒子の水分散体中の固形分が、漏水防止剤中で4〜10重量%を占める割合で含有される請求項1〜6のいずれか1項に記載の漏水防止剤。
- 漏水防止剤の最高粒度が10μm以下である請求項1〜7のいずれか1項に記載の漏水防止剤。
- 成分(d)及び(c)成分を混合して得た混合物に、(a)成分と(b)成分を混合することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の漏水防止剤の製造方法。
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JP2018104492A (ja) * | 2016-12-22 | 2018-07-05 | 日本特殊膜開発株式会社 | 建材からの雨漏り防止用塗付剤 |
-
2002
- 2002-12-04 JP JP2002351964A patent/JP2004182869A/ja active Pending
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